(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136152
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ブロワブラケット構造
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20240927BHJP
B60K 11/06 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B60K11/06
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047157
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本田 宇希
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
【Fターム(参考)】
3D038AA09
3D038AB01
3D038AC22
3D235AA01
3D235BB22
3D235BB23
3D235BB36
3D235BB45
3D235CC15
3D235DD22
3D235DD35
3D235EE14
3D235FF06
3D235FF07
3D235FF12
(57)【要約】
【課題】電動車(電動車両)の上下方向に対する振動が発生する場合に、ブロワに加えられる上下方向への加速度を低減すると共に、ブロワブラケットの上方に配置される部品に水がかかることを抑制する。
【解決手段】ブロワブラケット構造は、クロスメンバ112の間に搭載される電池パック13であって、電池パック13を冷却させるためのブロワ15がブロワブラケット16を介して搭載されている。ブロワブラケット16は、クロスメンバ112を橋渡しするようにクロスメンバ112の間に締結されている。ブロワブラケット16は、車両の上方へ突出する防水リブを、車幅方向に所定長さで設けてある。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロスメンバの間に搭載される電池パックであって、
前記電池パックを冷却させるためのブロワがブロワブラケットを介して搭載されており、
前記ブロワブラケットは、前記クロスメンバを橋渡しするように前記クロスメンバの間に締結されており、
前記ブロワブラケットは、車両の上方へ突出する防水リブを、車幅方向に所定長さで設けてある、
ブロワブラケット構造。
【請求項2】
前記ブロワを前記上方から覆うように吸気カバーが設けられ、
前記防水リブは、前記ブロワブラケットと前記吸気カバーとの隙間を塞ぐように配置されている、
請求項1に記載のブロワブラケット構造。
【請求項3】
前記防水リブは、前記クロスメンバと前記ブロワブラケットとの締結箇所の近傍に設けられる、
請求項1または請求項2に記載のブロワブラケット構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロワブラケット構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両の中には、防水トレイにブロワが(ブロワ)ブラケットを介して締結しているものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、電動車両の中には、(ブロワ)ブラケットがクロスメンバに締結されるものがある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-92907号公報
【特許文献2】特開2021-160586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した電動車両において、上下方向に対する振動が発生する場合に、ブロワに加えられる上下方向への加速度を低減した上で、ブロワブラケットの上方に配置される部品(例えば、ブロワ)に水がかかることを抑制するには、改善の余地がある。
【0006】
本発明の目的は、電動車両の上下方向に対する振動が発生する場合に、ブロワに加えられる上下方向への加速度を低減すると共に、ブロワブラケットの上方に配置される部品(例えば、ブロワ)に水がかかることを抑制することができる、ブロワブラケット構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため、本発明に係るブロワブラケット構造は、クロスメンバの間に搭載される電池パックであって、電池パックを冷却させるためのブロワがブロワブラケットを介して搭載されており、ブロワブラケットは、クロスメンバを橋渡しするようにクロスメンバの間に締結されており、ブロワブラケットは、車両の上方へ突出する防水リブを、車幅方向に所定長さで設けてある。
【0008】
この構成によれば、ブロワブラケットは、剛性が高いクロスメンバに締結されるため、例えば、車両の上下方向に対する振動が発生する場合に、ブロワに加えられる上下方向への加速度を低減することができる。
【0009】
その上、ブロワブラケットは、車両の上方へ突出する防水リブが設けられるため、ブロワブラケットの上方に配置される部品(例えば、ブロワ)に水がかかることを抑制することができる。
【0010】
また、本発明に係るブロワブラケット構造において、ブロワを上方から覆うように吸気カバーが設けられ、防水リブは、ブロワブラケットと吸気カバーとの隙間を塞ぐように配置されている。
【0011】
この構成によれば、防水リブによって、ブロワブラケットと吸気カバーとの間の隙間からブロワブラケットの上面に水が浸入することを抑制することができる。そのため、ブロワブラケットの上方に配置される部品(例えば、ブロワ)に水がかかることを抑制することができる。
【0012】
また、本発明に係るブロワブラケット構造において、防水リブは、クロスメンバとブロワブラケットとの締結箇所の近傍に設けられる。
【0013】
この構成によれば、防水リブによって、クロスメンバとブロワブラケットとの締結箇所の近傍における剛性を向上することができるため、ブロワから発生するノイズおよび振動を抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ブロワブラケット構造において、車両の上下方向に対する振動が発生する場合に、ブロワに加えられる上下方向への加速度を低減することができると共に、ブロワブラケットの上方に配置される部品(例えば、ブロワ)に水がかかることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】
図2は、
図1に示すカバー本体を取り外し、ブロワおよびブロワブラケットを露出させた状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すブロワブラケットを示す斜視図である。
【
図4】
図4は、カバー本体、ブロワブラケット、および、クロスメンバを前後方向における後方側から視た背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、電動車の実施形態について、
図1~
図5を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0017】
図1は、電動車10の一部を示す模式的な底面図である。
図2は、
図1に示すカバー本体141を取り外し、ブロワ15およびブロワブラケット16を露出させた状態を示す斜視図である。
図3は、
図2に示すブロワブラケット16を示す斜視図である。
図4は、カバー本体141、ブロワブラケット16、および、クロスメンバ112を前後方向における後方側から視た背面図である。
図5は、
図2の矢視A-A線での断面図である。本実施形態において、電動車(電動車両)10は、ハイブリッドカー(HV)である。なお、電動車10は、プラグインハイブリッドカー(PHEV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)、又は駆動力に電気を用いる他の種類の車両であっても良い。
【0018】
各図面に示されるように、本明細書において、便宜上、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、車幅方向に沿って設けられる。Y軸は、前後方向に沿って設けられる。Z軸は、鉛直方向に沿って設けられる。
【0019】
さらに、本明細書において、X方向(車幅方向)、Y方向(前後方向)及びZ方向(鉛直方向)が定義される。X方向は、X軸に沿う方向であって、X軸の矢印が示す+X方向(右方向)と、X軸の矢印の反対方向である-X方向(左方向)とを含む。Y方向は、Y軸に沿う方向であって、Y軸の矢印が示す+Y方向(前方向)と、Y軸の矢印の反対方向である-Y方向(後方向)とを含む。Z方向は、Z軸に沿う方向であって、Z軸の矢印が示す+Z方向(上方向)と、Z軸の矢印の反対方向である-Z方向(下方向)とを含む。換言すると、+Z方向および-Z方向は、上下方向である。
【0020】
図1に示す電動車10は、車体11と、防水トレイ12と、電池パック13と、吸気カバー14と、ブロワ15(
図2参照)と、ブロワブラケット16(
図2参照)と、を備える。さらに、電動車10は、一対の前輪、一対の前輪、エンジン、及び他の種々の部品を備える。
【0021】
車体11は、複数のサイドメンバ111と、複数のクロスメンバ112と、フロアパネル113と、を備える。サイドメンバ111は、車体11を形成する部材であって、略前後方向に沿って延びるように形成される。そして、複数のサイドメンバ111は、電動車10の車幅方向において、間隔をあけて配置される。なお、
図1では、車体11の左方向に配置されたサイドメンバ111を示し、車体11の右方向に配置されたサイドメンバ111を省略してある。
【0022】
クロスメンバ112は、車体11を形成する部材であって、略車幅方向に沿って延びるように形成される。そして、クロスメンバ112の車幅方向の両端は、サイドメンバ111に取り付けられる。つまり、クロスメンバ112は、一対のサイドメンバ111の間に架設される。また、複数のクロスメンバ112は、電動車10の前後方向において、間隔をあけて配置される。複数のクロスメンバ112には、前後方向における前方側に配置される前方側クロスメンバ112aと、前後方向における後方側に配置される後方側クロスメンバ112bと、が含まれる。
【0023】
フロアパネル113は、車体11を形成する部材であって、電動車10の少なくとも後部において、車室と車外とを仕切る板状に形成される。フロアパネル113の車外側の底面には、燃料タンクおよびエキゾーストパイプ等が取り付けられる。フロアパネル113は、板状に形成される一方、クロスメンバ112は、例えば、横断面が中空の矩形状に形成されるため、クロスメンバ112の剛性は、フロアパネル113の剛性よりも大きい。本実施形態に係る電動車10は、ブロワブラケット16を、剛性の大きいクロスメンバ112に締結することによって、車両の後部における剛性をより向上することができる。
【0024】
防水トレイ12は、側部および底部が閉塞された収容空間12sを有する箱状に形成され、一対のサイドメンバ111と、2本のクロスメンバ112に囲まれる空間に配置される。そして、防水トレイ12は、フロアパネル113およびクロスメンバ112に、ボルトおよびナットによって締結される。防水トレイ12は、収容空間12sに配置される電池パック13およびブロワ15に、下方から水がかかることを防止することができると共に、側方から水がかかることを防止することができる。
【0025】
電池パック13は、防水トレイ12の収容空間12sに配置される。より具体的に説明すると、防水トレイ12の収容空間12sにおいて、車幅方向の一方側の端部に寄せて配置される。また、換言すると、電池パック13は、複数のクロスメンバ112の間に配置される。
【0026】
このような電池パック13は、電池と、電池に設けられた電装部品と、電池および電装部品を内蔵する電池ケース131と、を備える。電池は、例えば、複数のリチウムイオン電池のような二次電池を組み合わせた組電池である。電池は、車両に搭載されたモータ等の搭載部品に電力を供給する。このような電池パック13には、ワイヤハーネス13W(
図2参照)が設けられる。そして、電池の電力が、ワイヤハーネス13Wを介して、電動車10の前部に配置された搭載部品に供給される。ワイヤハーネス13Wは、例えば、ブロワブラケットに対して結束バンド等の固定部材によって固定される。
【0027】
吸気カバー14は、カバー本体141と、保護カバー142と、を有し、上下方向において、ブロワ15およびブロワブラケット16を上方から覆う。保護カバー142は、カバー本体141に取り付けられる。
【0028】
図2に示すブロワ15は、電池パック13(電池)を冷却するための冷却風(ブロワ)を発生するものである。ブロワ15は、ブロワ本体151と、ブロワ本体151をブロワブラケット16に取り付けるためのブロワ脚部152と、を有する。
【0029】
ブロワブラケット16は、ブロワ15を取り付けてブロワ15を支持するものであり、2つのクロスメンバ112を橋渡しするように、2つのクロスメンバ112にそれぞれ締結される。
【0030】
このようなブロワブラケット16は、例えば、金属材料で形成してある。より具体的に説明すると、ブロワブラケット16は、アルミダイカスト製である。
【0031】
ブロワ15およびブロワブラケット16は、防水トレイ12の収容空間12sに配置される。より具体的に説明すると、防水トレイ12の収容空間12sにおいて、車幅方向の他方側の端部に寄せて配置される。つまり、本実施形態に係る電動車10は、車幅方向において、電池パック13と、ブロワ15およびブロワブラケット16とを横並びに配置している。
【0032】
このようなブロワブラケット16は、
図3に示すように、ベース161と、リブ162と、ボス163と、防水リブ164と、を有する。ベース161は、略前後方向に沿って延び、かつ、平板状に形成され、ブラケット底部161aと、ブラケット前方側第1傾斜部161bと、ブラケット前方側第1平坦部161cと、ブラケット前方側第2傾斜部161dと、ブラケット前方側第2平坦部161eと、ブラケット後方側第1傾斜部161fと、ブラケット後方側第2傾斜部161gと、を備える。
【0033】
ブラケット底部161aは、ブロワブラケット16の上下方向において、最も下方に配置される部分である。そして、ブラケット底部161aの表面および裏面が、上下方向に対して直交する。
【0034】
ブラケット前方側第1傾斜部161bは、ブラケット底部161aの前後方向における前方側に配置される部分であって、上下方向および前後方向に対して傾斜するように配置される部分である。より具体的に説明すると、ブラケット前方側第1傾斜部161bは、自身の前後方向における前方側の端部が、自身の前後方向における後方側の端部よりも上方となるように傾斜する。また、ブラケット前方側第1傾斜部161bの表面は、前後方向において、ブラケット後方側第1傾斜部161fの表面に対向する。
【0035】
ブラケット前方側第1平坦部161cは、ブラケット底部161aよりも上下方向の上方に配置される部分であって、ブラケット前方側第1傾斜部161bの前後方向における前方側に配置される部分である。そして、ブラケット前方側第1平坦部161cの表面および裏面が、上下方向に対して直交する。
【0036】
ブラケット前方側第2傾斜部161dは、ブラケット前方側第1平坦部161cの前後方向における前方側に配置される部分であって、上下方向および前後方向に対して傾斜するように配置される部分である。より具体的に説明すると、ブラケット前方側第2傾斜部161dは、自身の前後方向における前方側の端部が、自身の前後方向における後方側の端部よりも上方となるように傾斜する。また、ブラケット前方側第2傾斜部161dの表面は、前後方向において、ブラケット後方側第2傾斜部161gの表面に対向する。
【0037】
ブラケット前方側第2平坦部161eは、ブラケット前方側第1平坦部161cよりも上下方向の上方に配置される部分であって、ブラケット前方側第2傾斜部161dの前後方向における前方側に配置される部分である。そして、ブラケット前方側第2平坦部161eの表面および裏面が、上下方向に対して直交する。
【0038】
ブラケット後方側第1傾斜部161fは、ブラケット底部161aの前後方向における後方側に配置される部分であって、上下方向および前後方向に対して傾斜するように配置される部分である。より具体的に説明すると、ブラケット後方側第1傾斜部161fは、自身の前後方向における後方側の端部が、自身の前後方向における前方側の端部よりも上方となるように傾斜する。
【0039】
ブラケット後方側第2傾斜部161gは、ブラケット後方側第1傾斜部161fの前後方向における後方側に配置される部分であって、上下方向および前後方向に対して傾斜するように配置される部分である。より具体的に説明すると、ブラケット後方側第2傾斜部161gは、自身の前後方向における後方側の端部が、自身の前後方向における前方側の端部よりも上方となるように傾斜する。
【0040】
リブ162は、ブロワブラケット16の剛性を向上する部分であって、例えば、ベース161の表面から突出するように形成される。リブ162は、リブ両端部162a、162bと、リブ中央部162cと、を有する。
【0041】
リブ両端部162a、162bは、ベース161のうちブラケット前方側第2平坦部161eを除いたすべての部分161a、161b、161c、161d、161f、161gに形成される。より具体的に説明すると、リブ両端部162a、162bは、これらの部分161a、161b、161c、161d、161f、161gにおける車幅方向の両端に配置される。そして、リブ両端部162a、162bは、前後方向に沿って連続するように形成される。そのため、前後方向に沿って連続して延在するリブ両端部162a、162bによって、ブロワブラケット16の剛性を向上することができる。
【0042】
リブ中央部162cは、ブラケット底部161a、ブラケット後方側第1傾斜部161f、および、ブラケット後方側第2傾斜部161gに形成される。より具体的に説明すると、リブ中央部162cは、ブラケット底部161a、ブラケット後方側第1傾斜部161f、および、ブラケット後方側第2傾斜部161gにおいて、車幅方向の略中央に配置される。そして、リブ中央部162cは、略前後方向に沿って連続するように形成される。そのため、前後方向に沿って連続して延在するリブ中央部162cによって、ブロワブラケット16の剛性を向上することができる。
【0043】
ボス163は、円筒状に形成される。ボス163には、第1ボス163aと、第2ボス163b(
図4参照)と、第3ボス163c(
図4参照)と、第4ボス163dと、第5ボス163eと、が含まれる。
【0044】
第1ボス163aは、ブラケット前方側第2平坦部161eの裏面側に配置される。第1ボス163aには、第1ボルト16B1(
図1参照)のネジ部が挿通される第1貫通孔16H1が形成される。第1貫通孔16H1は、第1ボス163aを上下方向に貫通すると共に、ブラケット前方側第2平坦部161eを上下方向に貫通する。そして、第1貫通孔16H1には、第1ボルト16B1のネジ部が挿通され、かつ、第1ボルト16B1のネジ部は、前方側クロスメンバ112aに形成されたネジ孔に挿通された上でナットに締結される。つまり、ブロワブラケット16は、前方側クロスメンバ112aに締結される。
【0045】
第2ボス163bは、
図4に示すように、ブラケット後方側第2傾斜部161gの裏面側に配置される。第2ボス163bには、第2ボルト16B2のネジ部が挿通される第2貫通孔16H2が形成される(
図3参照)。第2貫通孔16H2は、第2ボス163bを上下方向に貫通すると共に、ブラケット後方側第2傾斜部161gを上下方向に貫通する。そして、第2貫通孔16H2には、第2ボルト16B2のネジ部が挿通され、かつ、第2ボルト16B2のネジ部は、後方側クロスメンバ112bに形成されたネジ孔に挿通された上でナットに締結される。つまり、ブロワブラケット16は、後方側クロスメンバ112bに締結される。
【0046】
第3ボス163cは、ブラケット後方側第2傾斜部161gの裏面側に配置される。第3ボス163cには、第3ボルト16B3のネジ部が挿通される第3貫通孔16H3が形成される(
図3参照)。第3貫通孔16H3は、第3ボス163cを上下方向に貫通すると共に、ブラケット後方側第2傾斜部161gを上下方向に貫通する。そして、第3貫通孔16H3には、第3ボルト16B3のネジ部が挿通され、かつ、第3ボルト16B3のネジ部は、後方側クロスメンバ112bに形成されたネジ孔に挿通された上でナットに締結される。つまり、ブロワブラケット16は、後方側クロスメンバ112bに締結される。
【0047】
第2ボス163bおよび第3ボス163cは、略車幅方向に並べられ、かつ、車幅方向において所定の間隔をあけて配置される。
【0048】
第4ボス163dは、
図3に示すように、ブラケット後方側第2傾斜部161gの表面側に配置される。第4ボス163dには、第4ボルト16B4(
図4参照)のネジ部が締結される第1ネジ孔16H4が形成される。第1ネジ孔16H4は、第4ボス163dを上下方向に貫通すると共に、ブラケット後方側第2傾斜部161gを上下方向に貫通する。そして、第4ボルト16B4のネジ部は、保護カバー142を上下方向に貫通する貫通孔に挿通された上で、第1ネジ孔16H4に締結される。つまり、ブロワブラケット16は、吸気カバー14に締結される。
【0049】
第5ボス163eは、ブラケット後方側第2傾斜部161gの表面側に配置される。第5ボス163eには、第5ボルト16B5(
図4)のネジ部が締結される第2ネジ孔16H5が形成される。第2ネジ孔16H5は、第5ボス163eを上下方向に貫通すると共に、ブラケット後方側第2傾斜部161gを上下方向に貫通する。そして、第5ボルト16B5のネジ部は、保護カバー142を上下方向に貫通する貫通孔に挿通された上で、第2ネジ孔16H5に締結される。つまり、ブロワブラケット16は、吸気カバー14に締結される。
【0050】
第4ボス163dおよび第5ボス163eは、略車幅方向に並べられ、かつ、車幅方向において所定の間隔をあけて配置される。
【0051】
防水リブ164は、前方側防水リブ164aと、後方側防水リブ164bとを有する。
【0052】
前方側防水リブ164aは、ベース161の前後方向における前方側に配置される。より具体的に説明すると、前方側防水リブ164aは、ベース161における最も前方側に位置するブラケット前方側第2平坦部161eに配置される。また、前方側防水リブ164aは、ブラケット前方側第2平坦部161eの表面から鉛直方向へ向けて突出し、かつ、車幅方向の全域にわたって平板に形成される。そして、前方側防水リブ164aは、
図1に示すように、前方側クロスメンバ112aの表面、および、ブラケット前方側第2平坦部161eの表面に溜まった水が、ブロワブラケット16の表面側に流れることを防止する。
【0053】
また、
図2に示すように、前方側防水リブ164aの前後方向における後方側には、上述したワイヤハーネス13Wが配置される。なお、後方側防水リブ164bの前後方向における前方側に、ワイヤハーネス13Wを配置してもよい。
【0054】
後方側防水リブ164bは、ベース161の前後方向における後方側に配置される。より具体的に説明すると、後方側防水リブ164bは、ベース161における最も後方側に位置するブラケット後方側第2傾斜部161gに配置される。また、後方側防水リブ164bは、ブラケット後方側第2傾斜部161gの表面から鉛直方向へ向けて突出し、かつ、車幅方向に沿って延びるように(つまり、車幅方向に所定長さで延びるように)平板状に形成される。その上、本実施形態に係る後方側防水リブ164bは、車幅方向において、第2ボス163bと第3ボス163cとの間に配置される。つまり、後方側防水リブ164bは、後方側クロスメンバ112bとブロワブラケット16との締結箇所17(
図4参照)の近傍に設けられる。より詳細に説明すると、後方側防水リブ164bは、車幅方向において、第4ボス163dと第5ボス163eとの間の空間を閉塞するように、第4ボス163dと第5ボス163eとの間に設けられる。
【0055】
本実施形態に係る電動車10においては、車両の底部の剛性を向上するため、リブ162を有するブロワブラケット16を2つのクロスメンバ112に橋渡しするように、2つのクロスメンバ112の間に締結されている。そして、上下方向において、吸気カバー14とクロスメンバ112との間に、単に、ブロワブラケット16を配置した場合には、吸気カバー14とクロスメンバ112との間に、ボルト16B2、16B3を配置するための隙間が形成され、この隙間からブロワブラケット16の表面側に水が浸入するおそれがある。そこで、本実施形態に係るブロワブラケット構造では、ブロワブラケット16に、上下方向における後方側クロスメンバ112bと吸気カバー14との間の隙間を閉塞する後方側防水リブ164bを設けてある。そして、後方側防水リブ164bによって、後方側クロスメンバ112bと吸気カバー14との間の隙間から、ブロワブラケット16の表面に水が浸入することを防止することができる。
【0056】
また、ブロワブラケット16のブラケット底部161aには、
図3に示すように、ブラケット底部161aを上下方向に貫通する第6貫通孔16H6が形成される。第6貫通孔16H6には、
図5に示すように、第6ボルト16B6が挿通される。そして、第6ボルト16B6のネジ部は、フロアパネル113に形成された貫通孔113Hに挿通され、防水トレイ12に形成された貫通孔12Hに挿通され、ブラケット底部161aに形成された第6貫通孔16H6に挿通され、ブロワ脚部152に形成された貫通孔152Hに挿通された上で、第1ナット16N1に締結される。つまり、フロアパネル113と防水トレイ12とブロワ15とブロワブラケット16とが、第6ボルト16B6および第1ナット16N1によって共締めされる。別の言い方をすると、ブロワブラケット16は、フロアパネル113に締結される。
【0057】
さらに、ブロワブラケット16のブラケット底部161aには、
図3に示すように、ブラケット後方側第2傾斜部161gを上下方向に貫通する第7貫通孔16H7が形成される。第7貫通孔16H7には、
図2に示すように、第7ボルト16B7が挿通される。そして、第7ボルト16B7のネジ部は、ブラケット後方側第2傾斜部161gに形成された第7貫通孔16H7に挿通され、ブロワ脚部152に形成された貫通孔に挿通された上で、第2ナット16N2に締結される。
【0058】
以上説明したように、本実施形態に係るブロワブラケット構造は、クロスメンバ112の間に搭載される電池パック13であって、電池パック13を冷却させるためのブロワ15がブロワブラケット16を介して搭載されており、ブロワブラケット16は、クロスメンバ112を橋渡しするようにクロスメンバ112の間に締結されており、ブロワブラケット16は、車両の上方へ突出する防水リブ164を、車幅方向に所定長さで設けてある。したがって、ブロワブラケット16は、剛性が高いクロスメンバ112に締結されるため、例えば、車両の上下方向に対する振動が発生する場合に、ブロワ15に加えられる上下方向への加速度を低減することができる。例えば、電動車10が縁石等の段差を超える際に発生する車両の上下方向に対する振動が発生する場合に、ブロワ15に加えられる上下方向への加速度を低減することができる。
【0059】
また、本実施形態に係るブロワブラケット構造におけるブロワブラケット16には、車両の上方へ突出する防水リブ164が設けられる。したがって、ブロワブラケット16の上方に配置される部品(例えば、ブロワ15)に水がかかることを抑制することができる。そのため、車室で多量の水をこぼした場合、または、電動車10を駐車スペースに停止した状態において、駐車スペースが冠水した場合、ブロワブラケット16の上方に配置される部品に水がかかることを抑制することができるため、正常に走行できる状態を維持することができる。
【0060】
さらに、本実施形態に係るブロワブラケット構造は、ブロワ15を上方から覆うように吸気カバー14が設けられ、防水リブ164は、ブロワブラケット16と吸気カバー14との隙間を塞ぐように配置されている。したがって、防水リブ164によって、ブロワブラケット16と吸気カバー14との間の隙間からブロワブラケット16の表面に水が浸入することを抑制することができる。そのため、ブロワブラケット16の上方に配置される部品(例えば、ブロワ15)に水がかかることを抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態に係るブロワブラケット構造おける防水リブ164は、クロスメンバ112とブロワブラケット16との締結箇所17の近傍に設けられる。したがって、防水リブ164によって、クロスメンバ112とブロワブラケット16との締結箇所17の近傍における剛性を向上することができるため、ブロワ15から発生するノイズおよび振動を抑制することができる。
【0062】
さらに、本実施形態に係るブロワブラケット構造は、ブロワブラケット16がフロアパネル113に締結される。したがって、フロアパネル113の剛性を向上することができる。
【0063】
また、本実施形態に係るブロワブラケット構造において、ブロワブラケット16は、アルミダイカスト製である。したがって、ブロワブラケット16を設けることによる質量の大幅な増加を抑制することができる。その上、アルミダイカスト製のブロワブラケット16は、リブ162および防水リブ164の追加を、例えばプレス成型よりも容易に行うことができる。
【0064】
さらに、本実施形態に係るブロワブラケット構造は、前方側防水リブ164aの前後方向における後方側にワイヤハーネス13Wが配置される。したがって、仮に、前方側防水リブ164aを超えて水が、前後方向における後方側に浸入した場合でも、ワイヤハーネス13Wによって、ブロワ15側への水の浸入を防止することができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した実施形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能である。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また、この実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
10…電動車(電動車両)、112…クロスメンバ、13…電池パック、14…吸気カバー、15…ブロワ、16…ブロワブラケット、164…防水リブ、17…締結箇所