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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136155
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/04 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B60S3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047160
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】徳永 良二
(72)【発明者】
【氏名】金丸 慎治
(72)【発明者】
【氏名】澤田 源一
(72)【発明者】
【氏名】森本 雄一郎
【テーマコード(参考)】
3D026
【Fターム(参考)】
3D026AA19
3D026AA25
(57)【要約】
【課題】省スペースで車両を洗浄することができる洗浄装置を提供する。
【解決手段】洗浄装置(1)は、洗浄装置本体(10)と、車両の位置情報を取得する位置センサ(30)と、制御部と、を備えている。洗浄装置本体(10)は、一対の支柱(11)、および一対の水平部(12)を有する。水平部(12)は、車両(X)に対して洗浄液を噴射するノズル(131,132)を備えていると共に、支柱(11)の長手方向を中心軸として回動可能に構成されている。制御部は、位置情報に基づいて、水平部(12)の回動角度(θ)および洗浄液の噴射方向を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄対象である車両の幅方向の両側に立設される一対の支柱、および前記支柱のそれぞれに片持ち支持される一対の水平部を有する洗浄装置本体と、
前記車両の位置に関する位置情報を取得する位置センサと、
制御部と、を備え、
それぞれの前記水平部は、前記車両に対して洗浄液を噴射するノズルを備えていると共に、前記支柱の長手方向を中心軸として回動可能に構成されており、
前記制御部は、前記位置情報に基づいて、前記水平部の回動角度および前記洗浄液の噴射方向を制御する、洗浄装置。
【請求項2】
前記水平部は、昇降動作が可能な構成であり、
前記制御部は、前記位置情報に基づいて、前記水平部の上下方向の位置を制御する、請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記車両の高さを検知する車高センサをさらに備え、
前記制御部は、前記位置情報に基づいて、前記車両が前記洗浄装置本体よりも前方または後方に位置していると判断した場合、前記水平部の延伸方向が前記支柱間方向に向くよう、前記回動角度を制御するとともに、前記車高センサから取得する高さ情報に基づいて、前記水平部の位置を制御することにより、前記車両の前面または後面を洗浄する、請求項2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記位置情報に基づいて、前記車両が前記支柱間を通過する前に、前記水平部が前記車両の通過方向と略平行になるよう回動させる、請求項3に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記位置情報に基づいて、前記車両が前記支柱間を通過している間、前記ノズルから前記洗浄液を前記車両に向けて噴射させることにより、前記車両の側面を洗浄する、請求項4に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記ノズルは、前記車両の走行面に平行な第1方向に前記洗浄液を噴射する第1ノズル、および前記第1方向と反対の方向である第2方向に前記洗浄液を噴射する第2ノズルを含み、
前記制御部は、前記位置情報に基づいて、前記洗浄液を噴射するノズルを切り替えることにより、前記洗浄液の噴射方向を制御する、請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記水平部は、長手軸を回転軸として回転可能に構成されており、前記制御部は、前記水平部を回転させることにより、前記洗浄液の噴射方向を制御する、請求項1に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を洗浄する洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗用車用の洗車機では洗車困難な大型車両を洗浄する洗浄装置がある。例えば、特許文献1には、車両進入路の両側部及び前方に車両外部洗浄装置を設け、更に、車両進入通路の後方に車両内部洗浄装置を設けることで、大型車両を洗浄可能にした洗車設備が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭57-158148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の洗車設備では、車両進入路の両側部及び前方に洗浄装置を設けると共に、車両進入路の後方にも洗浄装置を設ける構成であるため、洗車設備の設置スペースを広くとる必要があるという課題がある。
【0005】
本発明の一態様は、省スペースで車両を洗浄可能な洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る洗浄装置は、洗浄対象である車両の幅方向の両側に立設される一対の支柱、および前記支柱のそれぞれに片持ち支持される一対の水平部を有する洗浄装置本体と、前記車両の位置に関する位置情報を取得する位置センサと、制御部と、を備えている。それぞれの前記水平部は、前記車両に対して洗浄液を噴射するノズルを備えていると共に、前記支柱の長手方向を中心軸として回動可能に構成されている。前記制御部は、前記位置情報に基づいて、前記水平部の回動角度および前記洗浄液の噴射方向を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、省スペースで車両を洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態1に係る洗浄装置の概略正面図である。
図2】実施形態1に係る洗浄装置の概略上面図である。
図3】実施形態1に係る洗浄装置の構成を示すブロック図である。
図4】実施形態1に係る洗浄装置の制御部による車両洗浄処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5図4の車両前面洗浄処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】実施形態1に係る洗浄装置による車両の前面洗浄時の様子を示す概略側面図である。
図7】実施形態1に係る洗浄装置による車両の前面洗浄時の様子を示す概略上面図である。
図8図4の車両側面洗浄処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】実施形態1に係る洗浄装置による車両の側面洗浄時の様子を示す概略上面図である。
図10図4の車両後面洗浄処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11】実施形態1に係る洗浄装置による車両の後面洗浄時の様子を示す概略上面図である。
図12】実施形態2に係る洗浄装置の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1に係る洗浄装置1ついて、図1図11を参照して説明する。
【0010】
[洗浄装置の構成]
図1は、洗浄装置1の概略正面図である。図2は、洗浄装置1の概略上面図である。図3は、洗浄装置1の構成を示すブロック図である。図1図3に示すように、洗浄装置1は、洗浄装置本体10と、車高センサ20と、位置センサ30と、支持台40と、制御部50と、を備えている。
【0011】
洗浄装置1は、例えばガソリンスタンド等に設置され、車両Xを洗浄する装置である。洗浄装置1が洗浄対象とする車両Xは、特に限定されないが、例えばトラック、バス等の大型車両であってもよいし、ダンプカー、パッカー車等の特殊車両であってもよい。洗浄装置1は、洗浄装置1により洗浄可能な位置まで車両Xが走行して洗浄を行う自走式のものであるとする。以下、説明の便宜上、図1及び図2の矢印に示されるように、洗浄装置1の上下方向、左右方向、及び前後方向を定義する。
【0012】
図1及び図2に示すように、洗浄装置本体10は、一対の支柱11と、一対の水平部12とを有している。一対の支柱11は、左右方向に所定の間隔をあけて、車両Xの走行面Rを走行する車両Xの幅方向の両側に立設されている。
【0013】
一対の水平部12は、各支柱11のそれぞれに片持ち支持されている。各水平部12は、図2の点線で示される第1位置と、図2の実線で示される第2位置との間で回動可能に構成されている。洗浄装置1の初期状態(洗車開始時の状態)は、水平部12が第1位置にある状態である。なお、各水平部12は、第2位置にある状態において、各支柱11から左右中央側に向かって水平に延び、各水平部12の各先端部の間には隙間が生じるようになっている。
【0014】
一対の水平部12は、各支柱11に対して、図1の白抜き矢印で示されるように、上下方向に昇降動作可能に支持されている。洗浄装置本体10は、各水平部12を上下方向に沿って昇降移動させる駆動機構(図示省略)を備えている。制御部50は、駆動機構を制御することで、各水平部12の昇降動作を制御して、車両Xの洗浄をより良好に行う。
【0015】
図1及び図2に示すように、各水平部12には、複数の第1ノズル131、及び複数の第2ノズル132が、水平部12の延伸方向に間隔をあけて並んで配置されている。第1ノズル131は、車両Xの走行面Rに平行な第1方向に洗浄液を噴射する。車両Xの走行面Rに平行な方向とは、換言すると水平方向である。第2ノズル132は、水平部12において、第1ノズル131が位置する面と反対側に位置している。つまり、第2ノズル132は、上記第1方向と反対方向に向けて洗浄液Lを噴射する。第1ノズル131及び第2ノズル132は、本開示に係る、車両Xに対して洗浄液Lを噴射するノズルの一例である。
【0016】
図1及び図2に示す例では、第1ノズル131及び第2ノズル132は、各水平部12に3つずつ設けられている。各第1ノズル131及び第2ノズルは、水平部12に固定されている。各第1ノズル131及び第2ノズルは、シャンプー等を含む洗浄液Lが貯留された図示しないタンクに接続され、当該タンクから洗浄液Lが供給されるようになっている。
【0017】
例えば、図2に示すように、水平部12が第2状態にある場合、第1ノズル131が洗浄液Lを噴射する第1方向は、車両Xの走行面Rに平行、且つ、後方に向かう方向である。第2ノズル132が洗浄液Lを噴射する第2方向は、第1方向と反対の方向であり、図2の前方に向かう方向である。なお、第1ノズル131及び第2ノズル132の数は、適宜変更可能であるとする。
【0018】
図1に示すように、各支柱11の上部には、それぞれ車高センサ20が設けられている。車高センサ20は、車両Xの高さを検知するためのセンサである。車高センサ20は、検知した車両Xの高さに関する高さ情報を、制御部50へ出力する。なお、車高センサ20の配置位置や配置個数は、適宜変更可能である。
【0019】
図2に示すように、走行面Rの左側において、支柱11の前方及び後方には、それぞれ支持台40が立設されている。各支持台40には、それぞれ位置センサ30が設けられている。位置センサ30は、車両Xの位置に関する位置情報を取得する。
【0020】
具体的には、位置センサ30は、例えば、投光部と、受光部とを有して構成される。位置センサ30は、投光部から車両Xにレーザー光を出射し、反射した光を受光部により受けることで、車両Xの位置を検知するセンサである。位置センサ30は、投光部からレーザー光を出射してから受光部により受光するまでの時間、及び受光した光の角度に基づいて、車両Xの位置を検知する。
【0021】
図3に示すように、制御部50は、車両位置推定部51と、回動動作制御部52と、ノズル制御部53と、昇降動作制御部54とを有している。制御部50は、洗浄装置本体10に内蔵されていてもよいし、洗浄装置本体10の外部に配置されていてもよい。
【0022】
制御部50は、例えば、CPU等のプロセッサにより構成され、メモリに格納された制御プログラムをプロセッサ上で実行することで、各種の制御を行う。制御部50は、車高センサ20及び位置センサ30等の検知結果に基づいて、洗浄装置本体10の水平部12、第1ノズル131、及び第2ノズル132等の駆動を制御する。
【0023】
車両位置推定部51は、位置センサ30による検知結果に基づいて、車両Xの位置を推定する。回動動作制御部52は、車両位置推定部51により推定された車両Xの位置に応じて、各水平部12の回動角度θ(図2参照)を調節する。
【0024】
ノズル制御部53は、位置センサ30から取得する車両Xの位置情報に基づいて、洗浄液Lを噴射するノズルを、第1ノズル131又は第2ノズル132のいずれかに切り替えることにより、洗浄液Lの噴射方向を制御する。
【0025】
昇降動作制御部54は、車高センサ20による検知結果に基づいて、各水平部12の昇降動作を制御する。昇降動作制御部54は、車高センサ20から取得する車両Xの高さ情報に基づいて、各水平部12の上下方向の位置を制御する。これにより、車両Xの車高に応じた範囲において、車両Xを効率良く洗車することが可能となっている。
【0026】
[制御部による車両洗浄処理の流れ]
次に、洗浄装置1の制御部50による車両洗浄処理の流れの一例について、図4図11を参照して説明する。図4は、洗浄装置1の制御部50による車両洗浄処理の流れの一例を示すフローチャートである。図4に示すように、実施形態1では、制御部50は、車両前面洗浄処理(S1)と、車両側面洗浄処理(S2)と、車両後面洗浄処理(S3)とを順に実行する。なお、図4に示すフローチャートは一例であり、これに限定されない。
【0027】
まず、ユーザは、洗浄装置本体10に設けられた操作部(図示省略)を操作することにより、洗車条件の設定、洗車料金の支払い等を行う。洗車条件としては、車両の形状、車両洗浄処理の方法、各種装備品の有無等が含まれる。車両洗浄処理の方法には、水洗い、シャンプー洗い、ワックス・コーティングの有無等がある。本実施形態では、車両洗浄処理において、例えばシャンプー洗いを実施する場合について説明する。
【0028】
洗車条件の設定及び洗車料金の支払い等が完了すると、制御部50は、図示しない表示部又はスピーカ等を制御することにより、ユーザに対して、車両Xを洗浄装置1により洗車が開始可能な位置まで移動させるよう案内する。ユーザは、例えば洗浄装置本体10の後方側の所定位置に、車両Xを停車させる。
【0029】
<車両前面洗浄処理>
図5は、図4の車両前面洗浄処理S1の流れを示すフローチャートである。図6は、洗浄装置1による車両Xの前面洗浄時の様子を示す概略側面図である。図7は、洗浄装置1による車両Xの前面洗浄時の様子を示す概略上面図である。図5に示すように、制御部50は、位置センサ30により車両Xの位置情報を取得開始すると共に(S11)、車高センサ20により車両Xの高さ情報を取得開始する(S12)。
【0030】
続いて、制御部50は、位置センサ30により取得された車両Xの位置情報に基づいて、車両Xが洗浄装置本体10の前方の所定位置に位置しているか否かを判定する(S13)。所定位置は、洗浄装置1により車両Xを適切に洗浄可能な位置である。
【0031】
制御部50は、車両位置推定部51により車両Xが洗浄装置本体10の前方の所定位置に位置していると判断した場合(S13:YES)、回動動作制御部52により、水平部12の延伸方向が支柱間方向に向くよう、回動角度θを制御する(S14)。ここで、回動角度θは、水平部12が図2の点線で示される第1位置のとき、0°であり、水平部12が図2の実線で示される第2位置のとき、90°である。S14において、制御部50は、回動角度θを0°から90°へ変化させる。
【0032】
S14の後、制御部50は、車高センサ20により取得された車両Xの高さ情報に基づいて、昇降動作制御部54により水平部12の上下方向の位置を制御する(S15)。S15において、制御部50は、昇降動作制御部54により、例えば車両Xの前面における高さ方向の中央位置に水平部12が位置するように、水平部12の上下方向の位置を調節する。これにより、車両Xの高さを考慮して、より適切に車両Xの前面の洗浄を行うことが可能となる。
【0033】
S15の後、制御部50は、位置センサ30により取得された車両Xの位置情報に基づいて、第1ノズル131から洗浄液Lを噴射させることにより噴射方向を制御し(S16)、図6及び図7に示すように、車両Xの前面の洗浄を開始する(S17)。このとき、第2ノズル132からは洗浄液Lは噴射されない。つまり、制御部50は、洗浄液Lを噴射するノズルを切り替えることにより、洗浄液Lの噴射方向を制御する。車両Xの位置情報に基づいて、車両Xが位置する方向にのみ洗浄液Lを噴射することにより、洗浄液Lの周囲への飛水を低減しながら、車両Xをより良好に洗浄することができる。
【0034】
S17の後、制御部50は、車両Xの前面洗浄が終了したか否かを判断する(S18)。S18において、制御部50は、例えば、ユーザにより設定された洗車条件に応じて算出される水平部12の作動時間が経過した場合に、車両Xの前面洗浄が終了したと判断する。作動時間は、例えば、水平部12を上下方向に往復移動させる回数、及び車高センサ20により取得された車両Xの高さ情報に基づいて算出されるものとする。
【0035】
制御部50は、車両Xの前面洗浄が終了したと判断した場合(S18:YES)、図5に示す車両前面洗浄処理S1を終了する。図4に戻り、S1の後、制御部50は、車両側面洗浄処理を実行する(S2)。
【0036】
<車両側面洗浄処理>
図8は、図4の車両側面洗浄処理S2の流れを示すフローチャートである。図9は、洗浄装置1による車両Xの側面洗浄時の様子を示す概略上面図である。図8のフローチャートにおいて、制御部50は、回動動作制御部52により、水平部12を車両Xの通過方向と略平行となるようする(S21)。具体的には、回動動作制御部52は、回動角度θを90°から0°へ変化させる。このように、制御部50により、車両Xが支柱11間を通過する前に、水平部12が車両Xの通過方向と略平行になるよう回動させることで、車両Xの通過を可能にすると共に、車両Xの側面を確実に洗浄することが可能となる。
【0037】
その後、ユーザは、車両Xを前方に進行させて、一対の支柱11の間に車両Xを通過させる。S21の後、制御部50は、車高センサ20により取得された車両Xの高さ情報に基づいて、昇降動作制御部54により水平部12の上下方向の位置を制御する(S22)。これにより、車両Xの高さを考慮して、より適切に車両Xの側面の洗浄を行うことができる。
【0038】
そして、制御部50は、位置センサ30により取得された車両Xの位置情報に基づいて、第1ノズル131から洗浄液Lを噴射させることにより、噴射方向を制御し(S23)、図9に示すように、車両Xの側面の洗浄を開始する(S24)。
【0039】
このように、制御部50により、車両Xが支柱11間を通過している間、第1ノズル131から洗浄液Lを車両Xの側面に向けて噴射させることにより、車両Xの側面全体を良好に洗浄することができる。
【0040】
S24の後、制御部50は、車両Xの側面洗浄が終了したか否かを判定する(S25)。S25において、制御部50は、位置センサ30からの位置情報に基づいて、車両Xが一対の支柱11間を通過しているか否かを判断することにより、車両Xの側面洗浄が終了したか否かを判定する。
【0041】
制御部50は、車両Xの側面洗浄が終了したと判断した場合(S25:YES)、即ち、車両Xが一対の支柱11間を通過完了したと判断した場合、図8に示す車両側面洗浄処理S2を終了する。なお、S25における車両Xの側面及び下面洗浄が終了したか否かの判定は、車両Xの側面及び下面洗浄が開始されてから所定時間が経過したか否かによって判定されてもよい。このとき、ユーザは、洗浄装置本体10の前方の所定位置まで、車両Xを移動させた後に停車させる。
【0042】
<車両後面洗浄処理>
図4に戻り、S2の後、制御部50は、車両後面洗浄処理を実行する(S3)。ここで、図10は、図4の車両側面洗浄処理S3の流れを示すフローチャートである。図11は、洗浄装置1による車両Xの後面洗浄時の様子を示す概略上面図である。図10のフローチャートにおいて、制御部50は、位置センサ30からの位置情報に基づいて、車両Xが洗浄装置本体10の前方の所定位置に位置していると判断すると、回動動作制御部52により、水平部12の延伸方向が支柱間方向に向くよう回動角度θを制御する(S31)。具体的には、回動動作制御部52は、水平部12の回動角度θを0°から90°へ変化させる。
【0043】
S31の後、制御部50は、車高センサ20により取得された車両Xの高さ情報に基づいて、昇降動作制御部54により水平部12の上下方向の位置を制御する(S32)。昇降動作制御部54は、例えば、車両Xの後面における高さ方向の中央位置に水平部12が位置するように、水平部12の上下方向の位置を調節する。
【0044】
S32の後、制御部50は、位置センサ30により取得された車両Xの位置情報に基づいて、第2ノズル132から洗浄液Lを噴射させることにより噴射方向を制御し(S33)、図11に示すように、車両Xの後面の洗浄を開始する(S34)。このとき、第1ノズル131からは洗浄液Lは噴射されない。つまり、制御部50は、位置センサ30により取得された車両Xの位置情報に基づいて、洗浄液Lを噴射するノズルを切り替えることにより、洗浄液Lの噴射方向を制御している。
【0045】
S34の後、制御部50は、S18と同様にして、車両Xの後面洗浄が終了したか否かを判定する(S35)。制御部50は、車両Xの後面洗浄が終了したと判断した場合(S35:YES)、図10に示す車両後面洗浄処理S3を終了する。このようにして、洗浄装置1による車両洗浄処理を完了する。
【0046】
上述した車両前面洗浄処理S1、車両側面洗浄処理S2、及び車両後面洗浄処理S3において、昇降動作制御部54は、車高センサ20から取得する車両Xの高さ情報に基づいて、各水平部12の上下方向の位置を車両Xの洗浄に適切な高さに保持してもよい。あるいは、昇降動作制御部54は、車高センサ20から取得する車両Xの高さ情報に基づいて、各水平部12を、車両Xの洗浄に適切な高さ範囲において、上下方向に往復動作させてもよい。この場合、昇降動作制御部54は、各水平部12を一定速度で往復動作させてもよいし、速度を段階的に変更しながら各水平部12を往復移動させてもよい。
【0047】
なお、制御部50は、車両洗浄処理が終了すると、設定された洗車条件に従って、例えば、強風により洗浄液Lの水切りを行う水切り処理、純水を用いて車両Xの仕上げ洗浄を行う仕上げ洗浄処理、送風により車両Xを乾燥させる乾燥処理等を実行してもよい。
【0048】
以上説明した実施形態1の洗浄装置1によれば、洗浄液Lを噴射する第1ノズル131及び第2ノズル132を備えた水平部12が、支柱11の長手方向を中心軸として回動可能に構成されている。このため、制御部50により、一対の水平部12を回動させて、第1ノズル131又は第2ノズル132により洗浄液Lを噴射することで、車両Xの前面、側面、及び後面を適切に洗浄できる。これにより、省スペースで、車両Xを良好に洗浄することができる。
【0049】
また、車両Xが洗浄装置本体10の前方または後方に位置しているときに、制御部50により、水平部12の延伸方向が支柱間方向に向くように回動角度θを制御する(S14,S31)ことで、車両Xの前面または後面を適切に洗浄できる。そして、制御部50により、車両Xの高さ情報に基づいて、水平部12の上下方向の位置を制御する(S15,S32)ことによって、洗浄液Lの周囲への飛水を低減しながら、車両Xの前面または後面を良好に洗浄できる。また、実施形態1の洗浄装置1は、乗用車用の洗車機のようなアーチ形状(門形状)ではないため、大型車または特殊車両など種々の車両の洗浄に用いることができる。
【0050】
また、制御部により、車両Xの位置情報に基づいて、洗浄液Lを噴射するノズルを第1ノズル131または第2ノズル132のいずれかに切り替えて、洗浄液Lの噴射方向を制御する(S16,S23,S33)ことによって、洗浄液Lの周囲への飛水を低減しながら、車両Xをより良好に洗浄することができる。
【0051】
〔実施形態2〕
次に、本発明の実施形態2の洗浄装置1Aについて、図12を参照して説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0052】
[洗浄装置の構成]
図12は、実施形態2に係る洗浄装置1Aの概略側面図である。図12に示すように、実施形態2の洗浄装置1Aでは、一対の水平部12Aは、図12の矢印に示されるように、水平部12Aの長手軸を回転軸として回転可能に構成されている。各水平部12Aは、それぞれ複数のノズル13Aを有している。
【0053】
制御部50のノズル制御部53は、各水平部12Aを回転させることにより、洗浄液Lの噴射方向を制御する。具体的には、ノズル制御部53は、水平部12Aを回転させることで、ノズル13Aの噴射方向を第1方向と第2方向とに切り替える。
【0054】
[制御部による車両洗浄処理の流れ]
<車両後面洗浄処理>
実施形態2の洗浄装置1Aでは、図10に示す車両後面洗浄処理S3におけるS33の処理内容が、実施形態1の洗浄装置1と異なる。実施形態2では、図10のフローチャートにおいて、制御部50は、S31及びS32の処理を、実施形態1と同様に行う。
【0055】
S32の後、制御部50は、S33において、ノズル制御部53により、水平部12Aを回転させることにより、ノズル13Aの噴射方向が第1方向から第2方向になるようにする。その後、車両Xの後面の洗浄を開始し(S34)、車両Xの後面洗浄が終了したと判断した場合(S35:YES)、図10に示す車両後面洗浄処理S3を終了する。
【0056】
以上説明した実施形態2の洗浄装置1Aにおいても、実施形態1の洗浄装置1と同様の効果を得ることができる。特に、水平部12Aが長手軸を回転軸として回転可能に構成されているので、制御部50により水平部12Aを回転させることで、洗浄液Lの噴射方向を変えることができる。これにより、複数のノズルを設けることなく、簡易な構成で車両Xの前面及び後面の洗浄を行うことが可能となっている。
【0057】
〔その他の実施形態〕
上記した実施形態1,2では、洗浄装置1,1Aは、車両Xが洗浄装置1により洗浄可能な位置まで走行して洗浄を行う自走式のものであるとしたが、これに限定されない。洗浄装置1,1Aは、洗浄装置本体10が図示しないレール上を走行して、車両Xに対して前後方向に相対移動するように構成されていてもよい。なお、洗浄装置1,1Aが走行する場合における洗浄装置1,1Aの走行面は、車両Xの走行面Rと同じであってよい。
【0058】
また、上記した実施形態1,2では、一対の水平部12は、各支柱11に対して上下方向に昇降動作可能な構成としたが、これに限らず、各支柱11に対して上下方向に移動しない構成であってもよい。
【0059】
また、上記した実施形態1,2では、洗浄装置1,1Aは、車高センサ20及び位置センサ30を有するものとしたが、これに限らず、他にも、例えば形状センサを有していてもよい。この形状センサは、光電センサや超音波センサ等からなり、車両Xの外面形状を検知する。制御部50は、形状センサによる検知結果に基づいて、水平部12の上下方向の位置や、第1ノズル131及び第2ノズル132の噴射方向を制御することで、より適切に車両Xの洗浄を行うことが可能となる。
【0060】
また、上記した実施形態1,2では、各第1ノズル131及び第2ノズルは、水平部12に固定されているものとしたが、これに限らず、首振り動作可能な構成となっていてもよい。この場合、制御部50により、車両Xの位置情報に応じて、各第1ノズル131及び第2ノズルの首振り角度を調節することで、より高品質な洗浄が可能となる。
【0061】
〔まとめ〕
(1)本開示の態様1に係る洗浄装置は、洗浄対象である車両の幅方向の両側に立設される一対の支柱、および前記支柱のそれぞれに片持ち支持される一対の水平部を有する洗浄装置本体と、前記車両の位置に関する位置情報を取得する位置センサと、制御部と、を備えている。それぞれの前記水平部は、前記車両に対して洗浄液を噴射するノズルを備えていると共に、前記支柱の長手方向を中心軸として回動可能に構成されている。前記制御部は、前記位置情報に基づいて、前記水平部の回動角度および前記洗浄液の噴射方向を制御する。
【0062】
上記構成によれば、洗浄液を噴射するノズルを備えた水平部が、支柱の長手方向を中心軸として回動可能に構成されているので、制御部により、車両の位置情報に基づいて、水平部の回動角および洗浄液の噴射方向を制御することで、車両の前面、側面、及び後面を適切に洗浄することができる。これにより、省スペースで、車両を良好に洗浄することができる。
(2)本開示の態様2に係る洗浄装置では、上記態様1において、前記水平部は、昇降動作が可能な構成である。前記制御部は、前記位置情報に基づいて、前記水平部の上下方向の位置を制御する。
【0063】
上記構成によれば、制御部により、車両の位置情報に基づいて、水平部の上下方向の位置を制御することで、車両の位置の変化に伴う車高の変化を考慮して、より適切に車両の洗浄を行うことができる。
【0064】
(3)本開示の態様3に係る洗浄装置は、上記態様1または2において、前記車両の高さを検知する車高センサをさらに備えている。前記制御部は、前記位置情報に基づいて、前記車両が前記洗浄装置本体よりも前方または後方に位置していると判断した場合、前記水平部の延伸方向が前記支柱間方向に向くよう、前記回動角度を制御するとともに、前記車高センサから取得する高さ情報に基づいて、前記水平部の位置を制御することにより、前記車両の前面または後面を洗浄する。
【0065】
上記構成によれば、車両が洗浄装置本体の前方または後方に位置しているときに、制御部により、水平部の延伸方向が支柱間方向に向くように回動角度を制御することで、車両の前面または後面を適切に洗浄できる。更に、制御部により、車両の高さ情報に基づいて、水平部の位置を制御することで、洗浄液の周囲への飛水を低減しながら、車両を良好に洗浄することができる。
【0066】
(4)本開示の態様4に係る洗浄装置では、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記制御部は、前記位置情報に基づいて、前記車両が前記支柱間を通過する前に、前記水平部が前記車両の通過方向と略平行になるよう回動させる。
【0067】
上記構成によれば、制御部により、車両が支柱間を通過する前に、水平部が車両の通過方向と略平行になるよう回動させることで、車両の側面を確実に洗浄することができる。
【0068】
(5)本開示の態様5に係る洗浄装置では、上記態様1から4のいずれかにおいて、前記制御部は、前記位置情報に基づいて、前記車両が前記支柱間を通過している間、前記ノズルから前記洗浄液を前記車両に向けて噴射させることにより、前記車両の側面を洗浄する。
【0069】
上記構成によれば、制御部により、車両が支柱間を通過している間、ノズルから洗浄液を車両に向けて噴射させることにより、車両の側面を確実に洗浄することができる。
【0070】
(6)本開示の態様6に係る洗浄装置では、上記態様1から5のいずれかにおいて、前記ノズルは、前記車両の走行面に平行な第1方向に前記洗浄液を噴射する第1ノズル、および前記第1方向と反対の方向である第2方向に前記洗浄液を噴射する第2ノズルを含む。前記制御部は、前記位置情報に基づいて、前記洗浄液を噴射するノズルを切り替えることにより、前記洗浄液の噴射方向を制御する。
【0071】
上記構成によれば、制御部により、車両の位置情報に基づいて、洗浄液を噴射するノズルを第1ノズルまたは第2ノズルのいずれかに切り替えて、洗浄液の噴射方向を制御することで、洗浄液の周囲への飛水を低減しながら、車両をより良好に洗浄することができる。
【0072】
(7)本開示の態様7に係る洗浄装置では、上記態様1から6のいずれかにおいて、前記水平部は、長手軸を回転軸として回転可能に構成されている。前記制御部は、前記水平部を回転させることにより、前記洗浄液の噴射方向を制御する。
【0073】
上記構成によれば、水平部が長手軸を回転軸として回転可能に構成されているので、制御部により水平部を回転させることで、簡易な構成で洗浄液の噴射方向を変えることができる。
【0074】
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
1、1A 洗浄装置
10 洗浄装置本体
11 支柱
12、12A 水平部
13A ノズル
131 第1ノズル(ノズル)
132 第2ノズル(ノズル)
20 車高センサ
30 位置センサ
50 制御部
θ 回動角度
L 洗浄液
図1
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