(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136156
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】パラメータ決定システムおよびパラメータ決定方法
(51)【国際特許分類】
G01D 9/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G01D9/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047161
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】森光 英貴
(72)【発明者】
【氏名】島崎 尚史
(72)【発明者】
【氏名】喜多 亮介
【テーマコード(参考)】
2F070
【Fターム(参考)】
2F070AA01
2F070CC01
2F070CC06
2F070CC11
2F070DD14
2F070DD20
2F070FF02
2F070FF04
2F070FF12
2F070GG07
2F070HH07
2F070HH08
(57)【要約】
【課題】時系列データから、データ解析の対象となる対象物の駆動が行われている期間の時系列データを取得するためのパラメータを決定する。
【解決手段】パラメータ決定システム1は、時系列データを第1の期間取得する取得部10と、取得部10によって取得された第1の期間の時系列データから、第1の期間よりも短い第2の期間の時系列データを切り出した複数の切り出しデータを生成する切り出し部20と、複数の切り出しデータに基づいて、複数の切り出しデータそれぞれの特徴を示す複数の特徴量を算出する特徴量算出部30と、複数の特徴量に基づいて、1以上のパラメータを決定するパラメータ決定部40と、を備え、上記1以上のパラメータは、上記特定の期間の時系列データを取得する際のデータ取得開始時刻とデータ取得終了時刻とを決定する要素を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の駆動に係る物理量を示す時系列データから特定の期間の前記時系列データを取得する際に使用する1以上のパラメータを決定するパラメータ決定システムであって、
前記時系列データを第1の期間取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記第1の期間の前記時系列データから、前記第1の期間よりも短い第2の期間の前記時系列データを切り出した複数の切り出しデータを生成する切り出し部と、
前記複数の切り出しデータに基づいて、前記複数の切り出しデータそれぞれの特徴を示す複数の特徴量を算出する特徴量算出部と、
前記複数の特徴量に基づいて、前記1以上のパラメータを決定するパラメータ決定部と、を備え、
前記1以上のパラメータは、前記特定の期間の前記時系列データを取得する際のデータ取得開始時刻とデータ取得終了時刻とを決定する要素を含む
パラメータ決定システム。
【請求項2】
前記データ取得開始時刻は、前記時系列データが示す物理量が閾値を超える閾値超過時刻から第1の特定の期間遡った時刻であり、
前記データ取得終了時刻は、前記閾値超過時刻から第2の特定の期間経過した時刻であり、
前記要素は、前記閾値と、前記第1の特定の期間および前記第2の特定の期間を決定するための第1の特定の期間情報および第2の特定の期間情報と、を含む
請求項1に記載のパラメータ決定システム。
【請求項3】
前記1以上のパラメータは、さらに、前記時系列データが示す物理量のゲインを含む
請求項1または請求項2に記載のパラメータ決定システム。
【請求項4】
さらに、前記複数の切り出しデータを整流して、複数の整流済切り出しデータを出力する前処理部を備え、
前記特徴量算出部は、前記複数の整流済切り出しデータに基づいて、前記複数の特徴量を算出する
請求項1または請求項2に記載のパラメータ決定システム。
【請求項5】
前記時系列データは、ローパスフィルタを通過したデータである
請求項1または請求項2に記載のパラメータ決定システム。
【請求項6】
前記時系列データは、ハイパスフィルタを通過したデータである
請求項1または請求項2に記載のパラメータ決定システム。
【請求項7】
さらに、前記時系列データを取得する対象とする前記駆動の種類を特定する駆動種類特定情報の入力を受け付ける入力受付部を備え、
前記パラメータ決定部は、さらに、前記駆動種類特定情報にも基づいて、前記1以上のパラメータを決定する
請求項1または請求項2に記載のパラメータ決定システム。
【請求項8】
前記時系列データを取得する対象とする前記駆動の種類には、前記対象物を持続的に等速に駆動する等速駆動が含まれ、
前記パラメータ決定部は、前記駆動種類特定情報が前記等速駆動を特定する場合に、前記第1の特定の期間および前記第2の特定の期間が、それぞれ予め定められた期間となるように、前記1以上のパラメータを決定する
請求項2を引用する請求項7に記載のパラメータ決定システム。
【請求項9】
対象物の駆動に係る物理量を示す時系列データから特定の期間の前記時系列データを取得する際に使用する1以上のパラメータを決定するパラメータ決定方法であって、
前記時系列データを第1の期間取得する取得ステップと、
前記取得ステップによって取得された前記第1の期間の前記時系列データから、前記第1の期間よりも短い第2の期間の前記時系列データを切り出した複数の切り出しデータを生成する切り出しステップと、
前記複数の切り出しデータに基づいて、前記複数の切り出しデータそれぞれの特徴を示す複数の特徴量を算出する特徴量算出ステップと、
前記複数の特徴量に基づいて、前記1以上のパラメータを決定するパラメータ決定ステップと、を有し、
前記1以上のパラメータは、前記特定の期間の前記時系列データを取得する際のデータ取得開始時刻とデータ取得終了時刻とを決定する要素を含む
パラメータ決定方法。
【請求項10】
前記データ取得開始時刻は、前記時系列データが示す物理量が閾値を超える閾値超過時刻から第1の特定の期間遡った時刻であり、
前記データ取得終了時刻は、前記閾値超過時刻から第2の特定の期間経過した時刻であり、
前記要素は、前記閾値と、前記第1の特定の期間および前記第2の特定の期間を決定するための第1の特定の期間情報および第2の特定の期間情報と、を含む
請求項9に記載のパラメータ決定方法。
【請求項11】
前記1以上のパラメータは、さらに、前記時系列データが示す物理量のゲインを含む
請求項9または請求項10に記載のパラメータ決定方法。
【請求項12】
さらに、前記複数の切り出しデータを整流して、複数の整流済切り出しデータを出力する前処理ステップを有し、
前記特徴量算出ステップでは、前記複数の整流済切り出しデータに基づいて、前記複数の特徴量を算出する
請求項9または請求項10に記載のパラメータ決定方法。
【請求項13】
前記時系列データは、ローパスフィルタを通過したデータである
請求項9または請求項10に記載のパラメータ決定方法。
【請求項14】
さらに、前記時系列データを取得する対象とする前記駆動の種類を特定する駆動種類特定情報の入力を受け付ける入力受付ステップを有し、
前記パラメータ決定ステップでは、さらに、前記駆動種類特定情報にも基づいて、前記1以上のパラメータを決定する
請求項9または請求項10に記載のパラメータ決定方法。
【請求項15】
前記時系列データを取得する対象とする前記駆動の種類には、前記対象物を等速に駆動する等速駆動が含まれ、
前記パラメータ決定ステップは、前記駆動種類特定情報が前記等速駆動を特定する場合に、前記第1の特定の期間および前記第2の特定の期間が、それぞれ予め定められた期間となるように、前記1以上のパラメータを決定する
請求項10を引用する請求項14に記載のパラメータ決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象物の駆動に係る物理量を示す時系列データを取得する際に使用するパラメータを決定するパラメータ決定システムおよびパラメータ決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場等の製造現場における設備には、製造物、工具、搬送物といった対象物を駆動する装置を備える機器が多数存在する。
【0003】
このような、対象物を駆動する装置の動作の様子を把握することができれば、製造現場における機器の稼働状況の把握、機器故障の未然防止等が可能となる。
【0004】
このため、対象物の駆動に係る物理量を示す時系列データを取得し、取得した時系列データを解析して、対象物を駆動する機器の動作の様子を把握する技術の開発が行われている。
【0005】
ここで、対象物の駆動に係る物理量を示す時系列データは、例えば、対象物を駆動する装置がモータである場合における、そのモータに流れる電流等が該当する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-78848号公報
【特許文献2】国際公開第2022/079796号
【特許文献3】特開2020-153965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、長期間稼働する機器が多数存在するような製造現場から、対象物の駆動に係る物理量を示す時系列データを、対象物を駆動する装置が稼働している全期間に亘って取得すると、そのデータ量が莫大になる。このため、データ解析を適切に行うためには、対象物を駆動する装置がデータ解析の対象となる対象物の駆動を行っている期間の時系列データ以外の時系列データを用いずに、その時系列データの解析を行うことが望まれる。
【0008】
そこで、本開示は、対象物の駆動に係る物理量を示す時系列データから、データ解析の対象となる対象物の駆動が行われている期間の時系列データを取得するためのパラメータを決定することができるパラメータ決定システムおよびパラメータ決定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係るパラメータ決定システムは、対象物の駆動に係る物理量を示す時系列データから特定の期間の前記時系列データを取得する際に使用する1以上のパラメータを決定するパラメータ決定システムであって、前記時系列データを第1の期間取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記第1の期間の前記時系列データから、前記第1の期間よりも短い第2の期間の前記時系列データを切り出した複数の切り出しデータを生成する切り出し部と、前記複数の切り出しデータに基づいて、前記複数の切り出しデータそれぞれの特徴を示す複数の特徴量を算出する特徴量算出部と、前記複数の特徴量に基づいて、前記1以上のパラメータを決定するパラメータ決定部と、を備え、前記1以上のパラメータは、前記特定の期間の前記時系列データを取得する際のデータ取得開始時刻とデータ取得終了時刻とを決定する要素を含む。
【0010】
本開示の一態様に係るパラメータ決定方法は、対象物の駆動に係る物理量を示す時系列データから特定の期間の前記時系列データを取得する際に使用する1以上のパラメータを決定するパラメータ決定方法であって、前記時系列データを第1の期間取得する取得ステップと、前記取得ステップによって取得された前記第1の期間の前記時系列データから、前記第1の期間よりも短い第2の期間の前記時系列データを切り出した複数の切り出しデータを生成する切り出しステップと、前記複数の切り出しデータに基づいて、前記複数の切り出しデータそれぞれの特徴を示す複数の特徴量を算出する特徴量算出ステップと、前記複数の特徴量に基づいて、前記1以上のパラメータを決定するパラメータ決定ステップと、を有し、前記1以上のパラメータは、前記特定の期間の前記時系列データを取得する際のデータ取得開始時刻とデータ取得終了時刻とを決定する要素を含む。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様に係るパラメータ決定システムおよびパラメータ決定方法によると、対象物の駆動に係る物理量を示す時系列データから、特定の期間(ここでは、データ解析の対象となる対象物の駆動が行われている期間)の時系列データを取得するためのパラメータを決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施の形態に係るパラメータ決定システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係るセンサが電流を検出している様子を示す模式図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る前処理部が切り出し信号を整流して整流済切り出し信号を出力する様子を示す模式図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る特徴量算出部が特徴量Cおよび特徴量Dを算出する様子を示す模式図である。
【
図5A】
図5Aは、実施の形態に係る駆動装置が対象物を加減速駆動している際に、実施の形態に係るセンサが出力する典型的な時系列データの一例を示す模式図である。
【
図5B】
図5Bは、実施の形態に係る駆動装置が対象物を等速駆動している際に、実施の形態に係るセンサが出力する典型的な時系列データの一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係るパラメータ決定処理のフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態に係るゲインおよび閾値決定処理のフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態に係るプレトリガ期間およびデータ取得期間決定処理のフローチャートである。
【
図9】
図9は、変形例に係るパラメータ決定システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本開示の一態様を得るに至った経緯)
対象物の駆動に係る物理量を示す時系列データから、データ解析の対象となる対象物の駆動が行われている期間の時系列データを取得するためには、データ解析の対象となる対象物の駆動が行われている期間のそれぞれについて、データ取得開始時刻とデータ取得終了時刻とを決定して、その時系列データから、決定したデータ取得開始時刻から決定したデータ取得終了時刻までの期間のデータのそれぞれを切り出す必要がある。
【0014】
従来、上述したデータの切り出しを行うための方法として、以下の2つの方法が知られている。
【0015】
1つ目の方法は、対象物の駆動に係る物理量を示す時系列データを人間が解析して、その解析結果に基づいて、データ取得開始時刻とデータ取得終了時刻とを決定するためのパラメータを決定し、そのパラメータを使用して、その時系列データから、上記データの切り出しを行って、データ解析の対象となる対象物の駆動が行われている期間のデータを取得するという方法である。
【0016】
ここで、パラメータとは、取得対象とする期間のデータ取得開始時刻とデータ取得終了時刻とを決定する要素のことをいう。より具体的には、例えば、データ取得開始時刻を、時系列データが示す物理量が閾値を超える閾値超過時刻から第1の特定の期間遡った時刻として定義し、データ取得終了時刻を、閾値超過時刻から第2の特定の期間経過した時刻として定義する場合には、パラメータは、例えば、上記閾値と、上記第1の特定の期間および上記第2の特定の期間を決定するための第1の特定の期間情報(例えば、第1の特定の期間そのもの)および第2の特定の期間情報(例えば、データ取得期間)と、なる。
【0017】
しかしながら、この1つ目の方法では、時系列データを解析するにあたって、時系列データを解析する人物が、時系列データが示す物理量の挙動の詳細を理解している必要があるため、限られた人物にしかこの方法によるデータの切り出しを行うことができないという問題がある。
【0018】
さらに、対象となる装置毎にパラメータを決定する必要があるため、対象となる機器が多数ある場合には、対象となる機器全てに対してパラメータを決定するまでに莫大な手間がかかってしまうという問題がある。
【0019】
2つ目の方法は、対象物を駆動する装置を制御する制御装置から、その装置を制御する制御信号を抜き取り、抜き取った制御信号に基づいてデータ取得開始時刻とデータ取得終了時刻とを決定し、決定したデータ取得開始時刻とデータ取得終了時刻とを用いて、時系列データの中から、上記データの切り出しを行って、データ解析の対象となる対象物の駆動が行われている期間のデータを取得するという方法である。
【0020】
しかしながら、この2つ目の方法では、抜き取った制御信号に基づいてデータ取得開始時刻とデータ取得終了時刻とを決定するにあたって、その決定方法を策定する人物が、制御信号の仕様の詳細を理解している必要があるため、限られた人物にしかこの方法によるデータの切り出しを行うことができないという問題がある。
【0021】
さらに、制御装置から制御信号を抜き取るためのアダプタ、配線等の追加の設備を適切に設置する必要があるという問題がある。
【0022】
そこで、発明者らは、対象物の駆動に係る物理量を示す時系列データから、データ解析の対象となる対象物の駆動が行われている期間の時系列データを取得するためのパラメータを、自動的に決定することができるシステムを実現すべく、鋭意、実験、検討を繰り返した。
【0023】
その結果、発明者らは、下記本開示の一態様に係るパラメータ決定システム、および、下記本開示の一態様に係るパラメータ決定方法に想到した。
【0024】
本開示の一態様に係るパラメータ決定システムは、対象物の駆動に係る物理量を示す時系列データから特定の期間の前記時系列データを取得する際に使用する1以上のパラメータを決定するパラメータ決定システムであって、前記時系列データを第1の期間取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記第1の期間の前記時系列データから、前記第1の期間よりも短い第2の期間の前記時系列データを切り出した複数の切り出しデータを生成する切り出し部と、前記複数の切り出しデータに基づいて、前記複数の切り出しデータそれぞれの特徴を示す複数の特徴量を算出する特徴量算出部と、前記複数の特徴量に基づいて、前記1以上のパラメータを決定するパラメータ決定部と、を備え、前記1以上のパラメータは、前記特定の期間の前記時系列データを取得する際のデータ取得開始時刻とデータ取得終了時刻とを決定する要素を含む。
【0025】
上記パラメータ決定システムによると、対象物の駆動に係る物理量を示す時系列データから、特定の期間(ここでは、データ解析の対象となる対象物の駆動が行われている期間)の時系列データを取得するための1以上のパラメータが自動的に決定される。このため、時系列データが示す物理量の挙動の詳細を理解している人物でなくても、上記パラメータ決定システムを利用することで、比較的容易に上記1以上のパラメータを決定することができる。
【0026】
また、前記データ取得開始時刻は、前記時系列データが示す物理量が閾値を超える閾値超過時刻から第1の特定の期間遡った時刻であり、前記データ取得終了時刻は、前記閾値超過時刻から第2の特定の期間経過した時刻であり、前記要素は、前記閾値と、前記第1の特定の期間および前記第2の特定の期間を決定するための第1の特定の期間情報および第2の特定の期間情報と、を含むとしてもよい。
【0027】
これにより、上記閾値と上記第1の特定の期間情報と上記第2の特定の期間情報とを含む上記1以上のパラメータを決定することができる。
【0028】
また、前記1以上のパラメータは、さらに、前記時系列データが示す物理量のゲインを含むとしてもよい。
【0029】
これにより、取得する時系列データが示す物理量を、よりデータ解析に適した値とすることができる。
【0030】
また、さらに、前記複数の切り出しデータを整流して、複数の整流済切り出しデータを出力する前処理部を備え、前記特徴量算出部は、前記複数の整流済切り出しデータに基づいて、前記複数の特徴量を算出するとしてもよい。
【0031】
これにより、特徴量算出部は、取得する時系列データが示す物理量が交流信号である場合に、比較的容易に特徴量を算出することができる。
【0032】
また、前記時系列データは、ローパスフィルタを通過したデータであるとしてもよい。
【0033】
これにより、高周波ノイズ成分が除去された時系列データを用いて、上記パラメータを決定することができる。
【0034】
また、前記時系列データは、ハイパスフィルタを通過したデータであるとしてもよい。
【0035】
これにより、物理量のオフセットシフトが除去された時系列データを用いて、上記パラメータを決定することができる。
【0036】
また、さらに、前記時系列データを取得する対象とする前記駆動の種類を特定する駆動種類特定情報の入力を受け付ける入力受付部を備え、前記パラメータ決定部は、さらに、前記駆動種類特定情報にも基づいて、前記1以上のパラメータを決定するとしてもよい。
【0037】
これにより、駆動種類特定情報により特定される駆動の種類に応じて、上記パラメータを決定することができる。
【0038】
また、前記時系列データを取得する対象とする前記駆動の種類には、前記対象物を持続的に等速に駆動する等速駆動が含まれ、前記パラメータ決定部は、前記駆動種類特定情報が前記等速駆動を特定する場合に、前記第1の特定の期間および前記第2の特定の期間が、それぞれ予め定められた期間となるように、前記1以上のパラメータを決定するとしてもよい。
【0039】
これにより、駆動種類特定情報により特定される駆動の種類が等速駆動である場合に、比較的少ない演算量で上記パラメータを決定することができる。
【0040】
本開示の一態様に係るパラメータ決定方法は、対象物の駆動に係る物理量を示す時系列データから特定の期間の前記時系列データを取得する際に使用する1以上のパラメータを決定するパラメータ決定方法であって、前記時系列データを第1の期間取得する取得ステップと、前記取得ステップによって取得された前記第1の期間の前記時系列データから、前記第1の期間よりも短い第2の期間の前記時系列データを切り出した複数の切り出しデータを生成する切り出しステップと、前記複数の切り出しデータに基づいて、前記複数の切り出しデータそれぞれの特徴を示す複数の特徴量を算出する特徴量算出ステップと、前記複数の特徴量に基づいて、前記1以上のパラメータを決定するパラメータ決定ステップと、を有し、前記1以上のパラメータは、前記特定の期間の前記時系列データを取得する際のデータ取得開始時刻とデータ取得終了時刻とを決定する要素を含む。
【0041】
上記パラメータ決定方法によると、対象物の駆動に係る物理量を示す時系列データから、特定の期間(ここでは、データ解析の対象となる対象物の駆動が行われている期間)の時系列データを取得するためのパラメータが自動的に決定される。このため、時系列データが示す物理量の挙動の詳細を理解している人物でなくても、上記パラメータ決定方法を利用することで、比較的容易に上記1以上のパラメータを決定することができる。
【0042】
また、前記データ取得開始時刻は、前記時系列データが示す物理量が閾値を超える閾値超過時刻から第1の特定の期間遡った時刻であり、前記データ取得終了時刻は、前記閾値超過時刻から第2の特定の期間経過した時刻であり、前記要素は、前記閾値と、前記第1の特定の期間および前記第2の特定の期間を決定するための第1の特定の期間情報および第2の特定の期間情報と、を含むとしてもよい。
【0043】
これにより、上記閾値と上記第1の特定の期間情報と上記第2の特定の期間情報とを含む上記1以上のパラメータを決定することができる。
【0044】
また、前記1以上のパラメータは、さらに、前記時系列データが示す物理量のゲインを含むとしてもよい。
【0045】
これにより、取得する時系列データが示す物理量を、よりデータ解析に適した値とすることができる。
【0046】
また、さらに、前記複数の切り出しデータを整流して、複数の整流済切り出しデータを出力する前処理ステップを有し、前記特徴量算出ステップでは、前記複数の整流済切り出しデータに基づいて、前記複数の特徴量を算出するとしてもよい。
【0047】
これにより、特徴量算出ステップでは、取得する時系列データが示す物理量が交流信号である場合に、比較的容易に特徴量を算出することができる。
【0048】
また、前記時系列データは、ローパスフィルタを通過したデータであるとしてもよい。
【0049】
これにより、高周波ノイズ成分が除去された時系列データを用いて、上記パラメータを決定することができる。
【0050】
また、さらに、前記時系列データを取得する対象とする前記駆動の種類を特定する駆動種類特定情報の入力を受け付ける入力受付ステップを有し、前記パラメータ決定ステップでは、さらに、前記駆動種類特定情報にも基づいて、前記1以上のパラメータを決定するとしてもよい。
【0051】
これにより、駆動種類特定情報により特定される駆動の種類に応じて、上記パラメータを決定することができる。
【0052】
また、前記時系列データを取得する対象とする前記駆動の種類には、前記対象物を等速に駆動する等速駆動が含まれ、前記パラメータ決定ステップは、前記駆動種類特定情報が前記等速駆動を特定する場合に、前記第1の特定の期間および前記第2の特定の期間が、それぞれ予め定められた期間となるように、前記1以上のパラメータを決定するとしてもよい。
【0053】
これにより、駆動種類特定情報により特定される駆動の種類が等速駆動である場合に、比較的容易に上記パラメータを決定することができる。
【0054】
以下、本開示の一態様に係るパラメータシステムの具体例について、図面を参照しながら説明する。ここで示す実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。従って、以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置および接続形態、ならびに、ステップ(工程)およびステップの順序等は、一例であって本開示を限定する趣旨ではない。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0055】
(実施の形態)
ここでは、対象物を駆動する駆動装置が行う対象物の駆動に係る物理量を示す時系列データから、データ解析の対象となる対象物の駆動が行われている期間の時系列データを取得するためのパラメータを決定するパラメータ決定システムについて説明する。
【0056】
<構成>
図1は、実施の形態に係るパラメータ決定システム1の構成を示すブロック図である。
【0057】
図1に示すように、パラメータ決定システム1は、パラメータ決定装置100と、駆動装置200と、対象物300と、センサ400とを備える。
【0058】
駆動装置200は、対象物300を駆動する装置である。駆動装置200は、例えば、工場等の製造現場における設備に備えられている。
【0059】
駆動装置200は、対象物300を駆動することができれば、如何なる装置であっても構わないが、本実施の形態においては、必ずしも限定されない一例として、駆動装置200はモータであるとして説明する。
【0060】
駆動装置200のモータ以外の例としては、例えば、流量制御弁等が考えられる。
【0061】
対象物300は、駆動装置200により駆動される物体である。対象物300は、例えば、設備が製造する製造物、製造物を加工する工具、製造物の材料として搬送される搬送物等である。
【0062】
センサ400は、対象物300の駆動に係る物理量を検出し、検出した物理量を示す時系列データを出力する。
【0063】
センサ400は、対象物300の駆動に係る物理量を検出することができれば、如何なる装置であっても構わないが、本実施の形態においては、必ずしも限定されない一例として、センサ400は電流センサであるとして説明する。より具体的には、センサ400は、対象物300の駆動に係る物理量として、モータである駆動装置200に流れる電流を検出し、検出した電流を示す時系列データを出力する装置であるとして説明する。
【0064】
センサ400の電流センサ以外の例としては、例えば、対象物300に装着された加速度センサ、対象物300の位置を検出する位置センサ等が考えられる。例えば、センサ400が対象物300に装着された加速度センサである場合には、センサ400は、対象物300の駆動に係る物理量として、対象物300の加速度を検出し、検出した加速度を示す時系列データを出力し、例えば、センサ400が対象物300の位置を検出する位置センサである場合には、センサ400は、対象物300の駆動に係る物理量として、対象物の位置を検出し、検出した位置を示す時系列データを出力する。なお、センサ400が加速度センサの場合、センサ400は、必ずしも対象物300に装着されていなくてもよい。例えば、対象物300が、設備が製造する製造物の場合、加速度センサであるセンサ400は、この製造物を搬送するコンベアに取り付けられていてもよい。
【0065】
図2は、センサ400が電流を検出している様子を示す模式図である。
【0066】
図2の(A)は、センサ400が出力する時系列データの一例である。
図2の(A)において、横軸は時間であり、縦軸は電流値である。
【0067】
図2の(A)に示すように、センサ400は、駆動装置200に流れる電流を検出し、検出した電流の時系列データを出力する。
【0068】
図2の(B)は、対象物300の駆動に係る物理量の時系列データ(ここでは、センサ400から出力される、電流の時系列データ)のうち、データ解析の対象となる対象物300の駆動(例えば、間欠的な加減速駆動、持続的な等速駆動等)が行われている期間(以下、「切り出し対象期間」とも称する)における時系列データの一例である。
図2の(B)において、横軸は時間であり、縦軸は電流値である。
【0069】
図2の(C)は、対象物300の駆動に係る物理量の時系列データのうち、切り出し対象期間からはずれた期間における時系列データの一例である。
図2の(C)において、横軸は時間であり、縦軸は電流値である。
【0070】
パラメータ決定システム1は、
図2の(A)に一例として示す、センサ400が出力する時系列データから、
図2の(B)に一例として示す、切り出し対象期間の時系列データを取得するためのパラメータを決定するシステムである。
【0071】
ここで、パラメータとは、切り出し対象期間の開始時刻(以下、「データ取得開始時刻」とも称する)と終了時刻(以下、「データ取得終了時刻」とも称する)とを決定する要素のことをいう。
【0072】
本実施の形態において、データ取得開始時刻は、時系列データが示す物理量が閾値を超える閾値超過時刻から第1の特定の期間遡った時刻として定義され、データ取得終了時刻を、閾値超過時刻から第2の特定の期間経過した時刻として定義されるとして説明する。そして、本実施の形態において、パラメータは、上記閾値と、上記第1の特定の期間(以下、「プレトリガ期間」とも称する)と、プレトリガ期間に上記第2の特定の期間を加算した期間(以下、「データ取得期間」とも称する)と、を含むとして説明する。
【0073】
図2の(D)は、対象物300の駆動に係る物理量の時系列データのうちの切り出し対象期間における時系列データであるものの、時系列データが示す物理量(ここでは電流)のゲインが適切でない場合の、時系列データの一例である。
図2の(D)において、横軸は時間であり、縦軸は電流値である。
【0074】
図2の(D)に示すように、物理量のゲインが低すぎる場合には、精度よくデータ解析を行うことができない場合がある。また、逆に、物理量のゲインが高すぎる場合には、データ解析に用いる物理量が飽和してしまい、正しくデータ解析を行うことができない場合がある。このため、ゲインは、データ解析に適した値であることが望まれる。このため、本実施の形態において、パラメータは、さらに、時系列データが示す物理量のゲインを含むとして説明する。
【0075】
再び
図1に戻って、パラメータ決定システム1の構成の説明を続ける。
【0076】
パラメータ決定装置100は、センサ400から出力された時系列データ、すなわち、対象物300を駆動する駆動装置200が行う対象物300の駆動に係る物理量(ここでは、駆動装置200に流れる電流)を示す時系列データを取得し、取得した時系列データから、データ解析の対象となる対象物300の駆動が行われている期間の時系列データを取得するためのパラメータを決定する。パラメータ決定装置100は、決定したパラメータを、外部に出力するとしてもよいし、内部で行う更なる処理に利用するとしてもよい。
【0077】
パラメータ決定装置100は、例えば、専用のハードウエアによって構成される専用装置と、プロセッサとメモリとを備えるサーバ装置であって、プロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することで所定の処理を行うサーバ装置とが協同動作することで実現されるとしてもよいし、例えば、1つまたは複数の専用のハードウエアにより実現されるとしてもよいし、例えば、1つまたは複数のサーバ装置により実現されるとしてもよい。
【0078】
図1に示すように、パラメータ決定装置100は、取得部10と、切り出し部20と、特徴量算出部30と、パラメータ決定部40と、前処理部50と、入力受付部60と、特徴量記憶部70と、パラメータ記憶部80と、を備える。
【0079】
取得部10は、センサ400から出力された時系列データを第1の期間取得する。ここで、第1の期間は、切り出し対象期間に対して十分に長い期間である。本実施の形態において、第1の期間は、必ずしも限定されない一例として、一週間である。第1の期間は、例えば予め定められた期間であってもよいし、パラメータ決定装置100を利用するユーザにより指定された期間であってもよい。本実施の形態において、第1の期間は、ユーザにより指定された期間であって、後述する入力受付部60によって、ユーザから受け付けられたものであるとして説明する。
【0080】
切り出し部20は、取得部10によって取得された第1の期間の時系列データから、第1の期間よりも短い第2の期間の時系列データを切り出した複数の切り出しデータを生成する。
【0081】
後述するように、本実施の形態において、切り出し部20は、上記複数の切り出しデータの生成を、1回または2回行う。
【0082】
本実施の形態において、上記複数の切り出しデータの生成を1回目に行う場合の第2の期間は、物理量を示す時系列が閾値の初期値を超える時刻から、プレトリガ期間の初期値だけ遡った時刻を第2の期間の開始時刻とし、第2の期間の開始時刻に、データ取得期間の初期値を加算した時刻を第2の期間の終了時刻とする。
【0083】
また、本実施の形態において、上記複数の切り出しデータの生成を2回目に行う場合の第2の期間は、物理量を示す時系列が、後述するパラメータ記憶部80が記憶する閾値を超える時刻から、プレトリガ期間の初期値だけ遡った時刻を第2の期間の開始時刻とし、第2の期間の開始時刻に、データ取得期間の初期値を加算した時刻を第2の期間の開始時刻とする。
【0084】
ここで、閾値の初期値と、プレトリガ期間の初期値と、データ取得期間の初期値とは、予め定められている値であってもよいし、パラメータ決定装置100を利用するユーザにより指定された値であってもよい。本実施の形態において、閾値の初期値と、プレトリガ期間の初期値と、データ取得期間の初期値とは、予め定められている値であるとして説明する。
【0085】
ここで、閾値の初期値は、比較小さな値であることが望ましい。閾値の初期値を比較的小さな値とすることで、比較的多数の切り出しデータを生成することができる。
【0086】
また、プレトリガ期間の初期値と、データ取得期間の初期値とは、比較的大きな値であることが望ましい。プレトリガ期間の初期値と、データ取得期間の初期値とを比較的大きな値とすることで、対象物300の一続きの駆動における物理量を示す一連の時系列データが、複数の切り出しデータに分かれて切り出されてしまう可能性を低減することができる。
【0087】
なお、上記複数の切り出しデータの生成を2回行う場合において、1回目に行うときのプレトリガ期間の初期値およびデータ取得期間の初期値と、2回目に行うときのプレトリガ期間の初期値およびデータ取得期間の初期値とは、異なっていてもよいし、同じであってもよいが、少なくとも2回目に行うときのプレトリガ期間の初期値およびデータ取得期間の初期値は、データ解析の対象となる対象物300の一続きの駆動における物理量を示す一連の時系列データが、1つの切り出しデータに収まるような値になっている必要がある。
【0088】
また、切り出し部20は、複数の切り出しデータを生成する際に、取得部10によって取得された第1の期間の時系列データにゲインをかけて複数の切り出しデータを生成する。
【0089】
切り出し部20は、上記複数の切り出しデータの生成を1回目に行う場合に、取得部10によって取得された第1の期間の時系列データにゲインの初期値をかけて複数の切り出しデータを生成し、2回目に行う場合に、取得部10によって取得された第1の期間の時系列データにパラメータ記憶部80が記憶するゲインをかけて複数の切り出しデータを生成する。
【0090】
切り出し部20は、例えば、取得部10によって取得された第1の期間の時系列データに対して、上記複数の切り出しデータの生成を1回目に行う際には、ゲインの初期値を適用したアンプを用いて第1の期間の時系列データを増幅し、増幅した第1の期間の時系列データに対して、上記複数の切り出しデータの生成を行い、2回目に行う際には、パラメータ記憶部80が記憶するゲインを適用したアンプを用いて第1の期間の時系列データを増幅し、増幅した第1の期間の時系列データに対して、上記複数の切り出しデータの生成を行うとしてもよい。
【0091】
ここで、ゲインの初期値は、比較的小さな値であることが望ましい。ゲインの初期値を比較的小さな値とすることで、切り出しデータにおける物理量が飽和してしまう可能性を低減することができる。
【0092】
前処理部50は、切り出し部20によって生成された複数の切り出し信号を整流して、複数の整流済切り出しデータを出力する。以下、この処理を前処理とも称する。
【0093】
図3は、前処理部50が切り出し信号を整流して整流済切り出しデータを出力する様子を示す模式図である。
【0094】
図3において、切り出しデータの横軸は時間であり、縦軸は電流値である。また、整流済切り出しデータの横軸は時間であり、縦軸は電流値である。
【0095】
図3に示すように、本実施の形態において、前処理部50は、切り出し部20によって生成された複数の切り出しデータに対して、振幅の絶対値に基づく包絡線検波を行い、包絡線検波により得られた複数の時系列データを、複数の整流済切り出しデータとして出力するとして説明する。
【0096】
なお、センサ400から出力される時系列データが、
図3の切り出しデータに示すような交流信号ではなく、直流信号である場合には、必ずしも、切り出しデータを整流する必要はない。この場合には、例えば、パラメータ決定装置100は、必ずしも前処理部50を備えていなくてもよい。
【0097】
再び
図1に戻って、パラメータ決定システム1の構成の説明を続ける。
【0098】
特徴量算出部30は、切り出し部20によって生成された複数の切り出しデータに基づいて、複数の切り出しデータそれぞれの特徴を示す複数の特徴量を算出する。より具体的には、特徴量算出部30は、複数の切り出しデータ、および/または、複数の整流後切り出しデータに基づいて、複数の特徴量を算出する。
【0099】
後述するように、本実施の形態において、特徴量算出部30は、上記複数の特徴量の算出を、1回または2回行う。
【0100】
特徴量算出部30は、上記複数の特徴量の算出を1回行う場合における1回目、および、2回行う場合における1回目に、複数の特徴量Aおよび複数の特徴量Bを算出し、上記複数の特徴量の算出を2回行う場合における2回目に、複数の特徴量Cおよび複数の特徴量Dを算出する。
【0101】
特徴量算出部30は、切り出し部20によって生成された複数の切り出しデータそれぞれに基づいて、切り出しデータそれぞれの振幅絶対値の最大値を特徴量Aと算出し、整流済切り出しデータそれぞれに基づいて、整流済切り出しデータそれぞれの振幅の最大値を特徴量Bと算出する。
【0102】
図4は、特徴量算出部30が、特徴量Cおよび特徴量Dを算出する様子を示す模式図である。
【0103】
図4において、横軸は時間であり、縦軸は整流済切り出しデータにおける電流値である。
【0104】
図4に示すように、特徴量算出部30は、複数の整流済切り出しデータそれぞれに基づいて、複数の特徴量Cおよび複数の特徴量Dを算出する。
【0105】
図4において、時刻t3は、整流済切り出しデータの振幅が、後述するパラメータ記憶部80が記憶する閾値に最初に到達した時刻である。時刻t2は、整流済切り出しデータの振幅が、閾値より小さな値であるy2に最初に到達した時刻である。時刻t1は、整流済切り出しデータの振幅が、y2より小さな値であるy1に最初に到達した時刻である。時刻t4は、整流済切り出しデータの振幅が、y1に最後に到達した時刻である。
【0106】
まず、特徴量算出部30は、時刻t1から時刻t2の期間における、整流後切り出しデータの振幅の変化率を、直線近似により算出する。すなわち、特徴量算出部30は、(y2-y1)/(t2-t1)を、上記変化率と算出する。
【0107】
次に、特徴量算出部30は、算出した上記変化率を用いて、横軸をt軸、縦軸をy軸とする場合における、座標(t2、y2)の点と座標(t1、y1)の点とを結ぶ直線と、t軸との交点に位置する時刻t0を算出する。この時刻t0は、対象とする切り出しデータにおけるデータ取得開始時刻に該当する。
【0108】
次に、特徴量算出部30は、座標(t4,y2)の点を通る直線であって、上記変化率の符号を反転させた傾きを持つ直線と、t軸との交点に位置する時刻t5を算出する。この時刻t5は、対象とする切り出しデータにおけるデータ取得終了時刻に該当する。
【0109】
次に、特徴量算出部30は、t3-t0の値を特徴量Cと算出し、t5-t0の値を特徴量Dと算出する。この特徴量Cは、対象とする切り出しデータにおけるプレトリガ期間に該当し、この特徴量Dは、対象とする切り出しデータにおけるデータ取得期間に該当する。
【0110】
再び
図1に戻って、パラメータ決定システム1の構成の説明を続ける。
【0111】
特徴量記憶部70は、特徴量算出部30が算出した、複数の特徴量A、複数の特徴量B、複数の特徴量C、および、複数の特徴量Dのそれぞれを記憶する。
【0112】
入力受付部60は、パラメータ決定装置100を利用するユーザからの入力を受け付ける。入力受付部60が受け付けるユーザからの入力には、第1の期間と、データ解析の対象となる対象物300の駆動の種類を特定する駆動種類特定情報と、が含まれる。
【0113】
駆動種類特定情報が特定する駆動の種類は、如何なる駆動の種類であっても構わないが、本実施の形態においては、必ずしも限定されない一例として、対象物300を間欠的に加減速する加減速駆動と、対象物300を持続的に等速に駆動する等速駆動とであるとして説明する。
【0114】
図5Aは、駆動装置200が対象物300を加減速駆動している際に、センサ400が出力する典型的な時系列データの一例を示す模式図であり、
図5Bは、駆動装置200が対象物300を加減速駆動している際に、センサ400が出力する典型的な時系列データの一例を示す模式図である。
図5Aおよび
図5Bにおいて、横軸は時間であり、縦軸は電流値である。
【0115】
図5Aに示すように、駆動装置200が対象物300を加減速駆動している際に、センサ400が出力する典型的な時系列データにおける時系列データの振幅は、時間の経過とともに、0の状態から次第に増加し、その後減少に転じて、最終的に0の状態に戻る。
【0116】
図5Bに示すように、駆動装置200が対象物300を等速駆動している際に、センサ400が出力する典型的な時系列データにおける時系列データの振幅は、時間の経過と共に、一定の値を保ち続ける。
【0117】
再び
図1に戻って、パラメータ決定システム1の構成の説明を続ける。
【0118】
パラメータ決定部40は、特徴量記憶部70が記憶する複数の特徴量Aの分布、複数の特徴量Bの分布、複数の特徴量Cの分布、および、複数の特徴量Dの分布に基づいて、センサ400から出力された時系列データから、データ解析の対象となる対象物300の駆動が行われている期間の時系列データを取得するための1以上パラメータを決定する。そして、決定したパラメータをパラメータ記憶部80および外部に出力する。
【0119】
より具体的には、本実施の形態においては、パラメータ決定部40は、(1)特徴量記憶部70が記憶する複数の特徴量Aのうちの最大値を抽出し、抽出した特徴量Aの最大値が、データ解析の際に飽和してしまわないように、第1のパラメータ、すなわち、時系列データが示す物理量のゲインを決定する。
【0120】
また、本実施の形態においては、パラメータ決定部40は、(2)データ解析の対象となる対象物300の駆動における時系列データの振幅の最大値が、第1の期間全体に亘る時系列データの振幅の最大値になるはずであるとの仮定に基づいて、特徴量記憶部70が記憶する複数の特徴量Bのうちの最大値に対して、1未満の所定値を乗算して得られる値を第2のパラメータ、すなわち、閾値と決定する。本実施の形態において、1未満の設定値は、必ずしも限定されない一例として、0.7であるとして説明する。この設定値は、予め定められた値であってもよいし、パラメータ決定装置100を利用するユーザにより指定された値であってもよい。本実施の形態において、この設定値は、予め定められた値であるとして説明する。
【0121】
なお、この設定値は、第1の期間に行われる、データ解析の対象となる対象物300の駆動の全てにおいて、その駆動期間中の時系列データの振幅の最大値が閾値以上となる値に設定されていることが望ましい。
【0122】
また、本実施の形態においては、パラメータ決定部40は、特徴量記憶部70が、複数の特徴量Cを記憶している場合に、(3)特徴量記憶部70が記憶する複数の特徴量Cのうちの最大値を第3のパラメータ、すなわち、プレトリガ期間と決定する。
【0123】
また、本実施の形態においては、パラメータ決定部40は、特徴量記憶部70が、複数の特徴量Dを記憶している場合に、(4)特徴量記憶部70が記憶する複数の特徴量Dのうちの最大値を第4のパラメータ、すなわち、データ取得期間と決定する。
【0124】
後述するように、本実施の形態において、特徴量算出部30が複数の特徴量の算出を2回行う場合は、すなわち、特徴量記憶部70が複数の特徴量Cおよび複数の特徴量Dを記憶する場合は、入力受付部60が受け付けた駆動種類特定情報が加減速駆動を特定する場合、すなわち、データ解析の対象となる対象物300の駆動の種類が加減速駆動である場合に該当する。
【0125】
このため、プレトリガ期間とデータ取得期間とを上記の通りに決定することにより、第1の期間に行われる、データ解析の対象となる対象物300の加減速駆動の全てにおいて、その駆動期間中の時系列データを、単一の切り出しデータ内に収めることができる。
【0126】
ここで、上述したように、特徴量算出部30は、複数の特徴量の算出を1回しか行わない場合には、特徴量Cと特徴量Dとを算出しない。この場合には、パラメータ決定部40は、プレトリガ期間とデータ取得期間とを、それぞれ、複数の特徴量Cと複数の特徴量Dとに基づいて決定せずに、第1の特定の期間および第2の特定の期間が、それぞれ第1の予め定められた期間および第2の予め定められた期間となるように、プレトリガ期間とデータ取得期間とを決定する。
【0127】
後述するように、本実施の形態において、特徴量算出部30が複数の特徴量の算出を1回しか行わない場合は、すなわち、特徴量記憶部70が複数の特徴量Cおよび複数の特徴量Dを記憶しない場合は、入力受付部60が受け付けた駆動種類特定情報が、等速駆動を特定する場合、すなわち、データ解析の対象となる対象物300の駆動の種類が等速駆動である場合に該当する。
【0128】
駆動の種類が等速駆動である場合には、等速駆動の期間中、センサ400から出力される物理量(ここでは、電流量)の振幅は一定であると考えられる。このため、駆動の種類が等速駆動である場合には、各切り出しデータは、等速駆動の期間中の時系列データの少なくとも一部を含んでいれば、一連の等速駆動の期間中の全体の時系列データを含んでいなくても事足りる。
【0129】
本実施の形態においては、第1の予め定められた期間、すなわち、予め定められたプレトリガ期間は0と定められており、第1の予め定められた期間に第2の予め定められた期間を加算した期間、すなわち、予め定められたデータ取得期間は、等速駆動において持続的に等速に駆動する期間より短い期間に定められている。
【0130】
すなわち、パラメータ決定部40は、特徴量算出部30が、複数の特徴量の算出を1回しか行わない場合には、プレトリガ期間を0と決定し、データ取得期間を予め定められた期間と決定する。
【0131】
パラメータ記憶部80は、パラメータ決定部40から出力された、ゲインと閾値とプレトリガ期間とデータ取得期間とのうち、少なくとも、ゲインと閾値とを記憶する。
【0132】
<動作>
以下、上記構成のパラメータ決定システム1が行う動作について説明する。
【0133】
パラメータ決定システム1は、駆動装置200が行う対象物300の駆動に係る物理量を示す時系列データから、データ解析の対象となる対象物300の駆動が行われている期間の時系列データを取得するためのパラメータを決定するパラメータ決定処理を行う。
【0134】
パラメータ決定処理は、例えば、パラメータ決定システム1を利用するユーザが、パラメータ決定装置100に対して、パラメータ決定処理を開始する旨の操作を行うことで開始される。
【0135】
図6は、パラメータ決定処理のフローチャートである。
【0136】
図6に示すように、パラメータ決定処理が開始されると、入力受付部60は、パラメータ決定装置100を利用するユーザから、第1の期間と駆動種類特定情報とが入力されるまで待機する(ステップS10:Noを繰り返す)。そして、第1の期間と駆動種類特定情報とが入力されると、入力受付部60は、入力された第1の期間と駆動種類特定情報を受け付ける(ステップS10:Yes)。
【0137】
入力受付部60が第1の期間と駆動種類特定情報を受け付けると、パラメータ決定システム1は、ゲインおよび閾値決定処理を開始する(ステップS20)。
【0138】
図7は、ゲインおよび閾値決定処理のフローチャートである。
【0139】
図7に示すように、ゲインおよび閾値決定処理が開始されると、取得部10は、センサ400から出力された時系列データを第1の期間取得する(ステップS100)。
【0140】
取得部10が時系列データを第1の期間取得すると、切り出し部20は、閾値の初期値と、プレトリガ期間の初期値と、データ取得期間の初期値と、ゲインの初期値と、を用いて、その時系列データから、複数の切り出しデータを生成する(ステップS110)。この複数の切り出しデータの生成が、切り出し部20が1回または2回行う複数の切り出しデータの生成のうちの1回目に行う複数の切り出しデータの生成に該当する。
【0141】
切り出し部20が複数の切り出しデータを作成すると、前処理部50は、切り出し部20が生成した複数の切り出しデータのうちの未選択の切り出しデータの1つを選択する(ステップS120)。
【0142】
ここで、未選択の切り出しデータとは、ステップS120の処理~後述のステップS160:Yesの処理によって形成されるループ処理において、未だステップS120の処理によって選択されたことのない切り出しデータのことをいう。
【0143】
前処理部50は、未選択の切り出しデータを選択すると、選択した切り出しデータに対して、前処理を行い、整流済切り出しデータを出力する(ステップS130)。
【0144】
前処理部50が整流済切り出しデータを出力すると、特徴量算出部30は、切り出しデータの振幅絶対値の最大値を特徴量Aと算出し、整流済切り出しデータの振幅の最大値を特徴量Bと算出する(ステップS140)。この、ステップS120の処理~後述のステップS160:Yesの処理によって形成されるループ処理において繰り返し行われる特徴量Aおよび特徴量Bの算出が、特徴量算出部30が1回または2回行う複数の特徴量の算出のうちの1回目に行う複数の特徴量の算出に該当する。
【0145】
特徴量算出部30が特徴量Aと特徴量Bとを算出すると、特徴量記憶部70は、算出された特徴量Aと特徴量Bとを記憶する(ステップS150)。
【0146】
特徴量記憶部70が特徴量Aと特徴量Bとを記憶すると、切り出し部20は、生成した複数の切り出しデータのうち、未選択の切り出しデータが存在するか否かを調べる(ステップS160)。
【0147】
ステップS160の処理において、未選択の切り出しデータが存在する場合に(ステップS160:Yes)、ゲインおよび閾値決定処理は、ステップS120の処理に進む。
【0148】
ステップS160の処理において、未選択の切り出しデータが存在しない場合に(ステップS160:No)、パラメータ決定部40は、複数の特徴量Aの分布に基づいてゲインを決定し、複数の特徴量Bの分布に基づいて閾値を決定する(ステップS170)。より具体的には、パラメータ決定部40は、最大の特徴量Aに基づいてゲインを決定し、最大の特徴量Bに基づいて閾値を決定する。
【0149】
パラメータ決定部40がゲインと閾値とを決定すると、パラメータ記憶部80は、決定されたゲインと閾値とを記憶する(ステップS180)。
【0150】
ステップS180の処理が終了すると、ゲインおよび閾値決定処理は終了する。
【0151】
再び
図6に戻って、パラメータ決定処理の説明を続ける。
【0152】
ステップS20の処理が終了すると、すなわち、ゲインおよび閾値決定処理が終了すると、入力受付部60は、受け付けた駆動種類特定情報が等速駆動を特定しているか否かを調べる(ステップS30)。
【0153】
ステップS30の処理において、受け付けた駆動種類特定情報が等速駆動を特定している場合に(ステップS30:Yes)、パラメータ決定部40は、プレトリガ期間を0と決定し、データ取得期間を予め定められた期間と決定する(ステップS40)。
【0154】
ステップS30の処理において、受け付けた駆動種類特定情報が等速駆動を特定していない場合に(ステップS30:No)、すなわち、受け付けた駆動種類特定情報が加減速駆動を特定している場合に、パラメータ決定システム1は、プレトリガ期間およびデータ取得期間決定処理を開始する(ステップS50)。
【0155】
図8は、プレトリガ期間およびデータ取得期間決定処理のフローチャートである。
【0156】
図8に示すように、プレトリガ期間およびデータ取得期間決定処理が開始されると、切り出し部20は、パラメータ記憶部80が記憶する決定された閾値と、プレトリガ期間の初期値と、データ取得期間の初期値と、パラメータ記憶部80が記憶する決定されたゲインとを用いて、ゲインおよび閾値決定処理におけるステップS100の処理によって取得された時系列データから、複数の切り出しデータを生成する(ステップS210)。この複数の切り出しデータの生成が、切り出し部20が1回または2回行う複数の切り出しデータの生成のうちの2回目に行う複数の切り出しデータの生成に該当する。
【0157】
切り出し部20が複数の切り出しデータを作成すると、前処理部50は、切り出し部20が生成した複数の切り出しデータのうちの未選択の切り出しデータの1つを選択する(ステップS220)。
【0158】
ここで、未選択の切り出しデータとは、ステップS220の処理~後述のステップS260:Yesの処理によって形成されるループ処理において、未だステップS220の処理によって選択されたことのない切り出しデータのことをいう。
【0159】
前処理部50は、未選択の切り出しデータを選択すると、選択した切り出しデータに対して、前処理を行い、整流済切り出しデータを出力する(ステップS230)。
【0160】
前処理部50が整流済切り出しデータを出力すると、特徴量算出部30は、整流済切り出しデータに基づいて、特徴量Cおよび特徴量Dを算出する(ステップS240)。この、ステップS220の処理~後述のステップS260:Yesの処理によって形成されるループ処理において繰り返し行われる特徴量Cおよび特徴量Dの算出が、特徴量算出部30が1回または2回行う複数の特徴量の算出のうちの2回目に行う複数の特徴量の算出に該当する。
【0161】
特徴量算出部30が特徴量Cと特徴量Dとを算出すると、特徴量記憶部70は、算出された特徴量Cと特徴量Dとを記憶する(ステップS250)。
【0162】
特徴量記憶部70が特徴量Cと特徴量Cとを記憶すると、切り出し部20は、生成した複数の切り出しデータのうち、未選択の切り出しデータが存在するか否かを調べる(ステップS260)。
【0163】
ステップS260の処理において、未選択の切り出しデータが存在する場合に(ステップS260:Yes)、プレトリガ期間およびデータ取得期間決定処理は、ステップS220の処理に進む。
【0164】
ステップS260の処理において、未選択の切り出しデータが存在しない場合に(ステップS260:No)、パラメータ決定部40は、複数の特徴量Cの分布に基づいてプレトリガ期間を決定し、複数の特徴量Dの分布に基づいてデータ取得期間を決定する(ステップS270)。より具体的には、パラメータ決定部40は、最大の特徴量Cをプレトリガ期間と決定し、最大の特徴量Dをデータ取得期間と決定する。
【0165】
ステップS270の処理が終了すると、ゲインおよび閾値決定処理は終了する。
【0166】
再び
図6に戻って、パラメータ決定処理の説明を続ける。
【0167】
ステップS40の処理が終了した場合、および、ステップS50の処理、すなわち、プレトリガ期間およびデータ取得期間決定処理が終了した場合に、パラメータ決定部40は、決定した4つパラメータ、すなわち、ゲイン、閾値、プレトリガ期間、および、データ取得期間を外部に出力する(ステップS60)。
【0168】
ステップS60の処理が終了すると、パラメータ決定処理は終了する。
【0169】
(変形例)
以下、実施の形態に係るパラメータ決定システム1から、一部の構成が変更されて構成される変形例に係るパラメータ決定システムについて説明する。
【0170】
ここでは、変形例に係るパラメータ決定システムについて、パラメータ決定システム1と同様の構成要素については、既に説明済みであるとして同じ符号を振ってその詳細な説明を省略し、パラメータ決定システム1との相違点を中心に説明する。
【0171】
図9は、変形例に係るパラメータ決定システム1Aの構成を示すブロック図である。
【0172】
図9に示すように、パラメータ決定システム1Aは、実施の形態に係るパラメータ決定システム1から、センサ400とパラメータ決定装置100との間にフィルタ500が追加されて構成される。
【0173】
フィルタ500は、センサ400から出力される時系列データをフィルタリングする。
【0174】
フィルタ500は、例えば、ローパスフィルタであってもよいし、ハイパスフィルタであってもよいし、他のフィルタであってもよい。
【0175】
フィルタ500がローパスフィルタである場合には、取得部10は、ローパスフィルタを通過した時系列データを取得することとなる。これにより、パラメータ決定装置100は、高周波ノイズが除去された時系列データを用いて、パラメータを決定することができる。
【0176】
フィルタ500がハイパスフィルタである場合には、取得部10は、ハイパスフィルタを通過した時系列データを取得することとなる。これにより、パラメータ決定装置100は、物理量のオフセットシフトが除去された時系列データを用いて、パラメータを決定することができる。
【0177】
なお、ここでは、パラメータ決定システム1Aは、フィルタ500がセンサ400とパラメータ決定装置100との間に配置される構成であるとして説明したが、他の構成例として、パラメータ決定システム1Aは、例えば、パラメータ決定装置100がフィルタ500を内蔵する構成である例等も考えられる。
【0178】
(補足)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態および変形例に基づいて説明した。しかしながら、本開示は、これら実施の形態および変形例に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態または変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の1つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0179】
(1)実施の形態において、パラメータ決定装置100は、閾値と、プレトリガ期間と、データ取得期間と、ゲインとの4つのパラメータを決定するとして説明した。
【0180】
しかしながら、パラメータ決定装置100は、1以上のパラメータを決定することができれば、必ずしも、上記4つのパラメータを決定する構成例に限定される必要はない。パラメータ決定装置100が決定するパラメータの他の例としては、例えば、前処理部50が切り出しデータを整流する際のフィルタ係数等が挙げられる。
【0181】
(2)実施の形態において、特徴量算出部30は、複数の切り出しデータそれぞれの特徴を示す複数の特徴量として、複数の特徴量Aと複数の特徴量Bと複数の特徴量Cと複数の特徴量Dとの4つの複数の特徴量を算出するとして説明した。しかしながら、特徴量算出部30は、複数の切り出しデータそれぞれの特徴を示す複数の特徴量を算出することができれば、必ずしも、上記4つの複数の特徴量を算出する構成例に限定される必要はない。
【0182】
(3)実施の形態において、パラメータ決定部40は、複数の特徴量Aの最大値に基づいて、パラメータ(ここでは、ゲイン)を決定するとして説明した。
【0183】
しかしながらパラメータ決定部40は、複数の特徴量Aの分布に基づいて、パラメータを決定することができれば、必ずしも、複数の特徴量Aの最大値に基づいてパラメータを決定する構成例に限定される必要はない。パラメータ決定部40は、例えば、複数の特徴量Aの中央値、平均値、最頻値、最大値からN番目に大きな値に基づいてパラメータを決定する構成例等が考えられる。
【0184】
また、実施の形態において、パラメータ決定部40は、複数の特徴量Bの最大値に基づいて、パラメータ(ここでは、閾値)を決定するとして説明した。
【0185】
しかしながらパラメータ決定部40は、複数の特徴量Bの分布に基づいて、パラメータを決定することができれば、必ずしも、複数の特徴量Bの最大値に基づいてパラメータを決定する構成例に限定される必要はない。パラメータ決定部40は、例えば、複数の特徴量Bの中央値、平均値、最頻値、最大値からN番目に大きな値等に基づいてパラメータを決定する構成例等が考えられる。
【0186】
また、実施の形態において、パラメータ決定部40は、複数の特徴量Cの最大値をパラメータ(ここでは、プレトリガ期間)と決定するとして説明した。
【0187】
しかしながらパラメータ決定部40は、複数の特徴量Cの分布に基づいて、パラメータを決定することができれば、必ずしも、複数の特徴量Cの最大値をパラメータと決定する構成例に限定される必要はない。パラメータ決定部40は、例えば、複数の特徴量Cの中央値、平均値、最頻値、最大値からN番目に大きな値に基づいてパラメータを決定する構成例等が考えられる。
【0188】
また、実施の形態において、パラメータ決定部40は、複数の特徴量Dの最大値をパラメータ(ここでは、データ取得期間)と決定するとして説明した。
【0189】
しかしながらパラメータ決定部40は、複数の特徴量Dの分布に基づいて、パラメータを決定することができれば、必ずしも、複数の特徴量Dの最大値をパラメータと決定する構成例に限定される必要はない。パラメータ決定部40は、例えば、複数の特徴量Dの中央値、平均値、最頻値、最大値からN番目に大きな値等に基づいてパラメータを決定する構成例等が考えられる。
【0190】
(4)実施の形態において、パラメータ決定装置100が行うゲインおよび閾値決定処理について、パラメータ決定装置100は、ゲインおよび閾値決定処理を実行している期間中に、切り出し部20が行う複数の切り出しデータの生成に用いる、閾値の初期値と、プレトリガ期間の初期値と、データ取得期間の初期値と、ゲインの初期値とを、変更しないことを前提として説明した。しかしながら、パラメータ決定装置100は、ゲインおよび閾値決定処理を実行している期間中に、閾値の初期値と、プレトリガ期間の初期値と、データ取得期間の初期値と、ゲインの初期値とのうちの少なくとも1つを変更するとしてもよい。
【0191】
また、実施の形態において、パラメータ決定装置100が行うプレトリガ期間およびデータ取得期間決定処理について、パラメータ決定装置100は、プレトリガ期間およびデータ取得期間決定処理を実行している期間中に、切り出し部20が行う複数の切り出しデータの生成に用いる、パラメータ記憶部80が記憶する決定された閾値と、プレトリガ期間の初期値と、データ取得期間の初期値と、パラメータ記憶部80が記憶する決定されたゲインとを、変更しないことを前提として説明した。しかしながら、パラメータ決定装置100は、プレトリガ期間およびデータ取得期間決定処理を実行している期間中に、パラメータ記憶部80が記憶する決定された閾値と、プレトリガ期間の初期値と、データ取得期間の初期値と、パラメータ記憶部80が記憶する決定されたゲインとのうちの少なくとも1つを変更するとしてもよい。
【0192】
(5)実施の形態において、切り出し部20は、一旦取得部10によって取得された第1の期間の時系列データから複数の第2の期間の時系列データを切り出すとして説明した。しかしながら、他の構成例として、切り出し部20は、取得部10が第1の期間の時系列情報を取得するのと並列に、第1の期間の完了を迎えるまで繰り返し第2の期間の時系列データを切り出す構成であってもよい。
【0193】
(6)上述した通り、実施の形態において、入力受付部60が受け付けるユーザからの入力には、第1の期間と、駆動種類特定情報と、が含まれる。また、上述した通り、実施の形態において、入力受付部60により受け付けられた駆動種類特定情報は、パラメータ決定部40が利用する。このため、
図1中に、入力受付部60からパラメータ決定部40へと延びる矢印が存在するとみなしてもよい。
【0194】
(7)本開示の包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、プログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの非一時的な記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、プログラムおよび非一時的な記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。例えば、本開示は、パラメータ決定装置100が行う処理をコンピュータ装置に実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0195】
本開示は、対象物の駆動に係る物理量を示す時系列データを取得する際に使用するパラメータを決定するパラメータ決定システムに広く利用可能である。
【符号の説明】
【0196】
1、1A パラメータ決定システム
10 取得部
20 切り出し部
30 特徴量算出部
40 パラメータ決定部
50 前処理部
60 入力受付部
70 特徴量記憶部
80 パラメータ記憶部
100 パラメータ決定装置
200 駆動装置
300 対象物
400 センサ
500 フィルタ