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特開2024-136174保守支援システム、および保守支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136174
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】保守支援システム、および保守支援方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/32 20180101AFI20240927BHJP
   F24F 11/49 20180101ALI20240927BHJP
   F24F 11/58 20180101ALI20240927BHJP
   F24F 11/57 20180101ALI20240927BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20240927BHJP
   F24F 11/88 20180101ALI20240927BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20240927BHJP
   F24F 110/20 20180101ALN20240927BHJP
【FI】
F24F11/32
F24F11/49
F24F11/58
F24F11/57
F24F11/64
F24F11/88
F24F110:10
F24F110:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047189
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝亦 敦
(72)【発明者】
【氏名】五所尾 康博
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕造
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AA01
3L260AB03
3L260BA31
3L260BA64
3L260CA12
3L260CA13
3L260FC32
3L260FC33
3L260JA01
3L260JA15
(57)【要約】
【課題】住宅の全館空調システムにおける適切なデータの取得を容易とする。
【解決手段】保守支援システム10は、空調制御装置100と、環境モニタ用センサ200と、データ収集蓄積装置300と、管理サーバ400とを有する。空調制御装置100は、住宅に設置された空調機を制御する。環境モニタ用センサ200は、住宅の所定の箇所に設置され環境データを取得する。データ収集蓄積装置300の収集部331は、空調制御装置100から空調データを収集し、環境モニタ用センサ200から環境データを収集する。データ収集蓄積装置300の格納部332は、収集部331により収集された空調データと環境データとを記憶部320に記憶する。データ収集蓄積装置300の送信部333は、格納部332により記憶部320に記憶された空調データと環境データとを、所定の通信に基づいて端末装置に送信する。管理サーバ400の通信可否制御部431は、所定の通信を制御する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調制御装置と、環境モニタ用センサと、データ収集蓄積装置と、管理サーバとを有する保守支援システムであって、
前記空調制御装置は、住宅に設置された空調機を制御し、
環境モニタ用センサは、住宅の所定の箇所に設置され環境データを取得し、
前記データ収集蓄積装置は、
前記空調制御装置から空調データを収集し、前記環境モニタ用センサから前記環境データを収集する収集部と、
前記収集部により収集された前記空調データと前記環境データとを記憶部に記憶する格納部と、
前記格納部により前記記憶部に記憶された前記空調データと前記環境データとを、所定の通信に基づいて端末装置に送信する送信部とを有し、
前記管理サーバは、
前記所定の通信を制御する通信可否制御部を有する、
ことを特徴とする保守支援システム。
【請求項2】
前記収集部は、温度および湿度のセンサである環境モニタ用センサからの温度データまたは湿度データの少なくともどちらか一方を収集する、
ことを特徴する請求項1に記載の保守支援システム。
【請求項3】
前記通信可否制御部は、前記データ収集蓄積装置と前記端末装置との前記所定の通信について、前記端末装置からの命令に基づいて通信路の有効化または通信路の無効化を切り替えて制御する、
ことを特徴する請求項1に記載の保守支援システム。
【請求項4】
前記送信部は、前記所定の通信として無線通信に基づいて前記格納部により記憶された前記空調データと前記環境データとを前記端末装置に送信する、
ことを特徴する請求項1に記載の保守支援システム。
【請求項5】
前記送信部は、端末装置からの指示に基づいて、前記格納部により記憶された前記空調データと前記環境データとを予め設定された端末装置に送信する、
ことを特徴する請求項1に記載の保守支援システム。
【請求項6】
前記送信部は、所定のデータ送信条件を満たす場合に、前記格納部により記憶された前記空調データと前記環境データとを予め設定された端末装置に送信する、
ことを特徴する請求項1に記載の保守支援システム。
【請求項7】
前記管理サーバは、
前記住宅の空調設備の保守支援を行う管理者の操作に基づいて、前記住宅の空調設備の所定の設定を変更する変更部を更に有する、
ことを特徴する請求項1から6のいずれか1つに記載の保守支援システム。
【請求項8】
データ収集蓄積装置と、管理サーバとに実行させる保守支援方法であって、
前記データ収集蓄積装置に実行させる、
空調制御装置から空調データを収集し、環境モニタ用センサから環境データを収集する収集工程と、
前記収集工程により収集された前記空調データと前記環境データとを記憶部に記憶する格納工程と、
前記格納工程により前記記憶部に記憶された前記空調データと前記環境データとを、所定の通信に基づいて端末装置に送信する送信工程とを含み、
前記管理サーバに実行させる、
前記所定の通信の可否を制御する通信可否制御工程を含む、
ことを特徴とする保守支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保守支援システム、および保守支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅に設置される全館空調システムは、一台もしくは複数台の空調機により空気調和された空気を各部屋に供給することより、住宅内の各場所において快適な環境を実現する。しかしながら、住宅外の温度や湿度等の環境は、昼夜、天候、季節の変化等により大きく変動する。このため、全館空調システムは、事前にこれらの環境変化を想定した調整(例えば、各部屋への空気の供給量や吹き出し向き等)が行われる。
【0003】
上記の調整作業は、住宅の新築時等の全館空調システム導入時に実施されるが、発生し得る環境変化の全てを予め想定した調整を行うことは難しい。そのため、全館空調システムの設置時に調整を行ったとしても、稼働後に不具合が生じる場合がある。このような場合には、全館空調システムの再調整を行うために不具合発生時点における住宅環境のデータの取得および解析を行う。そこで、従来技術では、クラウドサーバを利用して空調機の運転に関するデータを取得する技術が提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-211111号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】クラウド型空調コントロールサービス「DK-CONNECT」<CP21064EXX-000-019.pdf>,[令和5年3月23日検索],インターネット<https://ec.daikinaircon.com/iportal/CatalogViewInterfaceStartUpAction.do?catalogId=CP21064EXX&itemNumber=&designID=3>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術では、住宅の全館空調システムにおける適切なデータの取得が難しい、という課題があった。例えば、従来技術は、ビル等の大規模な施設における全館空調システムを対象としており、小規模な個別住宅を対象としていない。また、従来技術は、クラウドサーバ等を利用してネットワークに常時接続して通信を行うため、通信容量の圧迫やセキュリティ上の脅威の発生等が懸念されるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、上記の課題を解決し目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、空調制御装置と、環境モニタ用センサと、データ収集蓄積装置と、管理サーバとを有する保守支援システムであって、前記空調制御装置は、住宅に設置された空調機を制御し、環境モニタ用センサは、住宅の所定の箇所に設置され環境データを取得し、前記データ収集蓄積装置は、前記空調制御装置から空調データを収集し、前記環境モニタ用センサから前記環境データを収集する収集部と、前記収集部により収集された前記空調データと前記環境データとを記憶部に記憶する格納部と、前記格納部により前記記憶部に記憶された前記空調データと前記環境データとを、所定の通信に基づいて端末装置に送信する送信部とを有し、前記管理サーバは、前記所定の通信を制御する通信可否制御部を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、住宅の全館空調システムにおける適切なデータの取得を容易とする、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る住宅における全館空調システムの概要を示す図である。
図2図2は、従来の課題の概要を示す図である。
図3図3は、本実施形態に係る保守支援システムの構成の一例を示す図である。
図4図4は、本実施形態に係る保守支援システムの機能ブロック図の一例を示す図である。
図5図5は、本実施形態に係る保守支援システムの装置構成の一例を示す図である。
図6図6は、本実施形態に係る保守支援の手順についてのフローチャートである。
図7図7は、本実施形態に係る保守支援システムを構成する各種装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここから、実施の形態(以降、「実施形態」)について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。また、以下に記載する実施形態の説明は、本発明に係る保守支援システム、および保守支援方法を限定するものではない。
【0011】
〔1.序説〕
本実施形態に係る保守支援システム10は、住宅に設置された全館空調システムおよび環境モニタ用センサからデータを収集および蓄積し、管理者等からの要求に応じて遠隔地と接続する通信路を有効化することで当該データを遠隔地に転送する方法を提供する。ここから、序説として、住宅における全館空調システムの概要、従来の課題、本実施形態の概要について説明する。
【0012】
〔1-1.住宅における全館空調システムの概要〕
本実施形態に係る住宅における全館空調システム1は、住宅の少なくとも一か所に設置された空調機により住宅内の各部屋を空気調和するシステムである。まず、本実施形態に係る住宅における全館空調システム1の概要について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る住宅における全館空調システム1の概要を示す図である。
【0013】
図1に示す通り、全館空調システム1は、住宅外壁に設置された給気口から吸い込まれた外気を住宅内の中央空調機へ送気する(図1の(1))。続いて、全館空調システム1に含まれる中央空調機は、送気された外気が予め設定された温度や湿度となるように空気調和を行う(図1の(2))。そして、中央空調機は、空気調和した空気を各部屋に送気する(図1の(3-1)から(3-4))。なお、全館空調システム1においては、吸排気のバランスが取られるようにVAV(Variable Air Volume system)等を用いて制御が行われるが、本項目においては詳細な説明は省略する。
【0014】
〔1-2.従来技術の課題〕
次に、従来技術の課題について説明する。前述したように住宅における全館空調システムは、住宅内に設置された中央空調機により住宅内の各部屋を空気調和するため、各部屋に設置された個別空調機器のように部屋ごとの温度を細かく調整することはできない。そこで、全館空調システムの導入時には、住宅内の各部屋が快適な温度および湿度となるような調整作業が実施される。
【0015】
しかしながら、前述したような調整作業を実施したとしても、全ての環境変化に対応する調整を一度で終えることは困難である。例えば、季節ごとの温度変化に対する調整の場合、全館空調システムの管理者等は、一年を通して温度の変化をモニタリングし、全館空調システムの調整を最適化する必要がある。しかし、四季ごとの温度変化が想定よりも大きい場合、全館空調システムの調整範囲を超えてしまい、一年を通じた快適な環境を実現が難しい場合がある。このような場合には、全館空調システムの再調整のために、住宅内の温度や湿度、空調機の状態等の各種データを都度取得する必要があった。
【0016】
ここで、図2を用いて従来の課題について更に説明する。図2は、従来の課題の概要を示す図である。図2に示す通り、住宅における全館空調システムに調整不足が発生した場合、住宅のユーザ等から対応依頼がされる(図2の(1))。その場合、全館空調システムの管理者は、対象の住宅を訪問し(1回目の訪問)、データ収集のための機器(環境モニタ用センサ)を設置する(図2の(2))。そして、全館空調システムの管理者は、再度対象の住宅を訪問し(2回目の訪問)、所定の期間(例えば、2週間等)にわたり収集された当該住宅の環境データを回収する(図2の(3))。
【0017】
全館空調システムの管理者は、回収した環境データを用いて調整作業のための解析を行う(図2の(4))。次に、全館空調システムの管理者は、再度対象の住宅を訪問し(3回目の訪問)、解析結果に基づいて全館空調システムの調整作業を実施する(図2の(5))。そして、調整の状態を確認するため、環境モニタ用センサは、環境データの収集を継続する(図2の(6))。
【0018】
その後、全館空調システムの管理者は、再度対象の住宅を訪問し(4回目の訪問)、収集されたデータを回収する(図2の(7))。そして、全館空調システムの管理者は、調整作業が適切だった否かの確認のために回収した環境データを用いて改めて解析を行う(図2の(8))。
【0019】
このように従来は、調整作業発生時において機器の設置、データの収集および回収といった作業のために複数回に渡り対象の住宅を訪問する必要がある等、多くの工数が発生していた。また、必要な情報をすぐに取得することができないという課題があった。そこで、上記の課題に対する従来技術として、設置された全館空調システムから所定のデータを収集し、外部の装置に常時送信する技術が提案されている。しかしながら、前述の従来技術は、データを外部の装置に蓄積するために常に通信路を有効化しておくため、万全のセキュリティ対策を行う必要がある。また、全てのデータを外部の装置に蓄積する必要があり、データ容量に応じた通信帯域と通信料が発生する場合があった。
【0020】
〔1-3.本実施形態の概要〕
そこで、本実施形態に係る保守支援システム10のデータ収集蓄積装置300は、住宅に設置されたデータ収集蓄積装置300が空調データおよび環境データの収集と蓄積を行う。そして、データ収集蓄積装置300は、管理サーバ400によって制御される所定の通信(例えば、閉域網による無線通信)を用いて、蓄積したデータを端末装置500に送信する。ここで、図3を用いて、保守支援システム10の概要について説明する。図3は、本実施形態に係る保守支援システム10の構成の一例を示す図である。
【0021】
図3に示す通り、対象の住宅には全館空調システム1および保守支援システム10が構築されている。なお、全館空調システム1の詳細については、前述した内容と同様のため本項目での説明は省略する。
【0022】
保守支援システム10に含まれるデータ収集蓄積装置300は、住宅に設置された全館空調システム1に含まれる空調機を制御する空調制御装置100から空調データを収集し、環境モニタ用センサ200から環境データを収集する。そして、データ収集蓄積装置300は、収集したデータを記憶部に記憶し蓄積する(図3の(1))。
【0023】
保守支援システム10に含まれる管理サーバ400は、データ収集蓄積装置300と遠隔地(全館空調システム管理者)の端末装置500との間の所定の通信(例えば、閉域網による無線通信)を制御する。具体的には、管理サーバ400は、通常時には論理的に所定の通信を無効化して、データ収集蓄積装置300は所定の通信を介した通信ができないように制御する(図3の(2))。
【0024】
ここで、データ収集蓄積装置300に蓄積されたデータを取得する場合、管理サーバ400は、端末装置500からの指令に基づいて(図3の(3))、所定の通信を有効化する(図3の(4))。そして、データ収集蓄積装置300は、有効化された所定の通信を介して、端末装置500に対して蓄積されたデータを送信する(図3の(5))。
【0025】
このようにして、保守支援システム10は、データ収集蓄積装置300に蓄積されたデータを取得する時だけ所定の通信を有効化することで、通信網の逼迫や通信料金の抑制を可能とする。また、保守支援システム10は、通常時において所定の通信は無効化するため、外部からの侵入(例えば、悪意を持ったクラッカ等による侵入)を防ぐことを可能とする(図3の(6))。
【0026】
次に、本実施形態に係る保守支援システム10の機能の概要について、図4を用いて更に説明する。図4は、本実施形態に係る保守支援システム10の機能ブロック図の一例を示す図である。なお、図4では、各機能部の詳細な機能は後述することとし、本項目では処理の流れのみを説明する。
【0027】
データ収集蓄積装置300の収集部331は、全館空調システム1に含まれる空調機を制御する空調制御装置100から空調データを収集する(図4の(1-1))。また、収集部331は、環境モニタ用センサ200から環境データを収集する(図4の(1-2))。そして、格納部332は、収集部331により収集された空調データと環境データとを記憶部320(空調データ記憶部および環境データ記憶部)に記憶する(図4の(2))。
【0028】
ここで、保守支援システム10の管理者等により操作される端末装置500の送信部531は、管理サーバ400に対して所定の通信の有効化の指令を送信する(図4の(3))。続いて、管理サーバ400の通信可否制御部431は、端末装置500からの指令に基づいて所定の通信を有効化する(図4の(4))。
【0029】
端末装置500の取得部532は、有効化された所定の通信を介してデータ収集蓄積装置300に蓄積された空調データおよび環境データを取得する(図4の(5))。なお、本実施形態に係る取得部532は、データ収集蓄積装置300にデータの送信命令を出力して、送信部333に空調データおよび環境データを送信させることにより対象のデータの取得を行ってよい。続けて、取得部532は、取得した空調データおよび環境データを記憶部520に記憶させる(図4の(6))。
【0030】
データ取得終了後、保守支援システム10の管理者等により操作される端末装置500の送信部531は、管理サーバ400に対して所定の通信の無効化の指令を送信する(図4の(7))。続いて、管理サーバ400の通信可否制御部431は、端末装置500からの指令に基づいて所定の通信を無効化する(図4の(8))。
【0031】
端末装置500の出力部533は、記憶部520に記憶された空調データおよび環境データを出力する(図4の(9))。
【0032】
このようにして、保守支援システム10は、常時収集および蓄積された空調データおよび環境データを管理者等の操作に基づいて、適時取得することができる。また、当該データ取得工程以外のタイミングでは所定の通信が無効化されているため、保守支援システム10は、セキュリティ上安全なデータの蓄積を可能とする。
【0033】
〔2.保守支援システムの構成〕
ここから、図5を用いて、本実施形態に係る保守支援システム10の構成例について説明する。図5は、本実施形態に係る保守支援システム10の装置構成の一例を示す図である。図5に示す通り、本実施形態に係る保守支援システム10は、空調制御装置100と、環境モニタ用センサ200と、データ収集蓄積装置300と、管理サーバ400と、端末装置500とを有する。
【0034】
〔2-1.空調制御装置の構成〕
まず、本実施形態に係る全館空調システム1に含まれる空調機を制御する空調制御装置100の構成例について説明する。前述してきた通り、空調制御装置100は、住宅に設置された空調機を制御する。図5に示す通り、空調制御装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0035】
(通信部110)
通信部110は、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部110は、必要に応じてネットワークと有線または無線で接続され、双方向に情報の送受信を行うことができる。例えば、通信部110は、データ収集蓄積装置300との通信を実現する。
【0036】
(記憶部120)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。そして、記憶部120は、制御部130による各種処理に用いるデータおよびプログラムを格納する。また、記憶部120は、全館空調システム1に含まれる空調機や温度や湿度の計測機構から取得された空調データを記憶することができる。
【0037】
(制御部130)
制御部130は、プロセッサ(Processor)や、MPU(Micro Processing Unit)や、CPU(Central Processing Unit)等が、記憶部120に記憶されている各種プログラムについて、RAMを作業領域として実行することにより、実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のIC(Integrated Circuit)により実現される。そして、制御部130は、空調制御装置100が住宅の全館空調システム1の空調制御装置として機能するための処理を行う。
【0038】
〔2-2.環境モニタ用センサの構成〕
次に、本実施形態に係る保守支援システム10に含まれる環境モニタ用センサ200の構成例について説明する。前述してきた通り、環境モニタ用センサ200は、住宅の所定の箇所(例えば、中央空調機により空気調和された空気の吹き出し口がある部屋等)に設置され環境データを取得する。図5に示す通り、環境モニタ用センサ200は、通信部210と、記憶部220と、制御部230と、センサ240とを有する。
【0039】
(通信部210)
通信部210は、NIC等によって実現される。そして、通信部210は、必要に応じてネットワークと有線または無線で接続され、双方向に情報の送受信を行うことができる。例えば、通信部210は、データ収集蓄積装置300との通信を実現する。
【0040】
(記憶部220)
記憶部220は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。そして、記憶部220は、制御部230による各種処理に用いるデータおよびプログラムを格納する。また、記憶部220は、後述の取得部231により取得された環境データ(例えば、温度や湿度等)を記憶することができる。
【0041】
(制御部230)
制御部230は、プロセッサや、MPUや、CPU等が、記憶部220に記憶されている各種プログラムについて、RAMを作業領域として実行することにより、実現される。また、制御部230は、例えば、ASICやFPGA等のICにより実現される。図5に示す通り、制御部230は、取得部231および出力部232を有する。
【0042】
(取得部231)
取得部231は、後述のセンサ240から環境データを取得する。なお、本実施形態に係る保守支援システム10では環境データとして、温度データおよび湿度データを取得するが、後述のセンサ240がその他のデータ(例えば、気圧等)を取得することができる。
【0043】
(出力部232)
出力部232は、取得部231により取得された環境データをデータ収集蓄積装置300に出力する。例えば、出力部232は、データ収集蓄積装置300の収集部331により環境データの出力指令がなされた場合に、環境データをデータ収集蓄積装置300に出力できる。また、出力部232は、データ収集蓄積装置300からの指令に依らず、予め設定された条件に基づいて、所定の周期で環境データをデータ収集蓄積装置300に対して出力してもよい。
【0044】
(センサ240)
センサ240は、設置環境中の温度または湿度を計測する。例えば、センサ240は、サーミスタ温度計、熱電対温度計、赤外線放射温度計等であってよく、温度(室温)を計測可能な温度計であれば限定されない。また、センサ240は、電子センサ式湿度計、容量性センサ式湿度計等であってよく、湿度を計測可能な湿度計であれば限定されない。
【0045】
〔2-3.データ収集蓄積装置の構成〕
次に、本実施形態に係る保守支援システム10に含まれるデータ収集蓄積装置300の構成例について説明する。前述してきた通り、データ収集蓄積装置300は、空調制御装置100から空調データを収集し、蓄積する。また、データ収集蓄積装置300は、環境モニタ用センサ200から環境データを収集し、蓄積する。そして、端末装置500からの指令に基づいて、所定の通信を介して空調データおよび環境データを端末装置500に送信する。図5に示す通り、データ収集蓄積装置300は、通信部310と、記憶部320と、制御部330とを有する。
【0046】
(通信部310)
通信部310は、NIC等によって実現される。そして、通信部310は、必要に応じてネットワークと有線または無線で接続され、双方向に情報の送受信を行うことができる。例えば、通信部310は、空調制御装置100と、環境モニタ用センサ200と、端末装置500との通信を実現する。なお、データ収集蓄積装置300は、空調データおよび環境データの送信において管理サーバ400と直接通信を行わない前提として説明を行うが、これに限定されずに保守支援システム10の構成によっては通信部310を介して管理サーバ400と通信を行ってもよい。
【0047】
(記憶部320)
記憶部320は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。図5に示す通り、記憶部320は、空調データ記憶部321および環境データ記憶部322を有する。
【0048】
(空調データ記憶部321)
空調データ記憶部321は、後述の収集部331により収集された空調データを記憶する。空調データは、空調制御装置100により取得された全館空調システム1に含まれる空調機に関する情報である。例えば、空調データは、空調機の稼働情報、制御情報、アラート情報、温湿度データ等の空調機により取得可能な情報であってよい。なお、空調データは、前述した情報に限定されない。
【0049】
(環境データ記憶部322)
環境データ記憶部322は、後述の収集部331により収集された環境データを記憶する。環境データは、環境モニタ用センサ200により取得された設置環境の情報である。例えば、環境データは、環境モニタ用センサ200の設置環境の温度、湿度、気圧等の情報であってよい。なお、環境データは、前述した情報に限定されない。
【0050】
(制御部330)
制御部330は、プロセッサや、MPUや、CPU等が、記憶部320に記憶されている各種プログラムについて、RAMを作業領域として実行することにより、実現される。また、制御部330は、例えば、ASICやFPGA等のICにより実現される。図5に示す通り、制御部330は、収集部331と、格納部332と、送信部333とを有する。
【0051】
(収集部331)
収集部331は、空調制御装置100から空調データを収集し、環境モニタ用センサ200から環境データを収集する。具体的には、収集部331は、空調制御装置100から空調機の稼働情報、制御情報、アラート情報、温湿度データ等の情報を空調データとして取得できる。
【0052】
また、収集部331は、温度および湿度のセンサである環境モニタ用センサ200からの温度データまたは湿度データの少なくともどちらか一方を環境データとして収集する。例えば、収集部331は、環境モニタ用センサ200の設置環境の温度、湿度、気圧等の情報を環境データとして取得できる。
【0053】
(格納部332)
格納部332は、収集部331により収集された空調データと環境データとを記憶部320(空調データ記憶部321および環境データ記憶部322)に記憶する。例えば、格納部332は、収集部331により収集された空調機の稼働情報、制御情報、アラート情報、温湿度データ等の情報を空調データとして、空調データ記憶部321に記憶する。また、格納部332は、収集部331により収集された環境モニタ用センサ200の設置環境の温度、湿度、気圧等の情報を環境データとして、環境データ記憶部322に記憶する。
【0054】
(送信部333)
送信部333は、格納部332により記憶部320(空調データ記憶部321および環境データ記憶部322)に記憶された空調データと環境データとを、所定の通信に基づいて端末装置500に送信する。具体的には、送信部333は、所定の通信として無線通信に基づいて格納部332により記憶された空調データと環境データとを端末装置500に送信する。なお、本実施形態に係る無線通信は、閉域網による無線通信であってよい。
【0055】
送信部333は、端末装置500からの指示に基づいて、格納部332により記憶された空調データと環境データとを予め設定された端末装置500に送信する。例えば、送信部333は、端末装置500の取得部532からの指令に基づいて有効化された前述の閉鎖域による無線通信を介して、端末装置500に空調データと環境データとを送信できる。
【0056】
送信部333は、所定のデータ送信条件を満たす場合に、格納部332により記憶された空調データと環境データとを予め設定された端末装置500に送信する。具体的には、送信部333は、格納部332により記憶された空調データまたは環境データが所定の条件を満たす場合に、予め設定された対象の端末装置500に対して空調データと環境データとを送信できる。
【0057】
例えば、送信部333は、格納部332により記憶された空調データに所定のアラート情報(例えば、空調機の制御系統の通信経路の断線等)が含まれている場合に、端末装置500に対して空調データと環境データとを送信できる。また、送信部333は、格納部332により記憶された環境データに含まれる温度または湿度が所定の閾値を超える場合に、端末装置500に対して空調データと環境データとを送信できる。なお、ここでいう所定の閾値とは、温度であれば「〇〇度以上〇〇度未満」等の温度範囲を示す値であってよい。他方、湿度であれば、「〇〇%以上〇〇%未満」等の湿度範囲を示す値であってよい。
【0058】
〔2-4.管理サーバの構成〕
次に、本実施形態に係る保守支援システム10に含まれる管理サーバ400の構成例について説明する。前述してきた通り、管理サーバ400は、データ収集蓄積装置300と端末装置500との間の所定の通信(例えば、閉鎖網による無線通信)の有効化および無効化の制御を行う。図5に示す通り、管理サーバ400は、通信部410と、記憶部420と、制御部430とを有する。
【0059】
(通信部410)
通信部410は、NIC等によって実現される。そして、通信部410は、必要に応じてネットワークと有線または無線で接続され、双方向に情報の送受信を行うことができる。例えば、通信部410は、所定の通信(例えば、閉鎖網による無線通信)を行う通信網への接続を実現する。また、管理サーバ400は、後述の変更部432により全館空調システム1の設定を変更する場合に、通信部410を介して空調制御装置100と通信を行ってよい(図5の(1))。
【0060】
(記憶部420)
記憶部420は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。そして、記憶部420は、制御部430による各種処理に用いるデータおよびプログラムを格納する。
【0061】
(制御部430)
制御部430は、プロセッサや、MPUや、CPU等が、記憶部420に記憶されている各種プログラムについて、RAMを作業領域として実行することにより、実現される。また、制御部430は、例えば、ASICやFPGA等のICにより実現される。図5に示す通り、制御部430は、通信可否制御部431および変更部432を有する。
【0062】
(通信可否制御部431)
通信可否制御部431は、所定の通信を制御する。具体的には、通信可否制御部431は、データ収集蓄積装置300と端末装置500との所定の通信について、端末装置500からの命令に基づいて通信路の有効化または通信路の無効化を切り替えて制御する。
【0063】
例えば、通信可否制御部431は、端末装置500が空調データおよび環境データを取得する場合には、端末装置500からの指令に基づいて前述の通信路を有効化する。これにより、端末装置500の取得部532は、所定の通信を介してデータ収集蓄積装置300から蓄積された空調データおよび環境データを取得できる。他方、通信可否制御部431は、端末装置500が空調データおよび環境データの取得を完了した後に、端末装置500からの指令に基づいて前述の通信路を無効化する。これにより、当該通信路は、外部からの接続ができない状態となり、セキュリティ上安全な状態となる。
【0064】
なお、前述した「通信路の有効化」とは、「通信路を使用可能状態へ切り替え」と読み替えてもよい。また、前述した「通信路の無効化」とは、「通信路を使用不可状態へ切り替え」と読み替えてもよい。
【0065】
(変更部432)
変更部432は、住宅の空調設備の保守支援を行う管理者の操作に基づいて、住宅の空調設備の所定の設定を変更する。例えば、変更部432は、端末装置500からの指令に基づいて、全館空調システム1に含まれる空調機を制御する空調制御装置100に対して空調機の設定(例えば、温度、湿度、風量、風向き、換気量等)の変更を行うことができる。なお、前述した通り、変更部432は、通信部410を介して空調制御装置100と直接、またはデータ収集蓄積装置300を介して全館空調システム1の設定変更をおこなってよい。
【0066】
〔2-5.端末装置の構成〕
次に、本実施形態に係る保守支援システム10に含まれる端末装置500の構成例について説明する。前述してきた通り、端末装置500は、住宅における全館空調システム1の保守管理を行う管理者等により操作される情報処理端末で、管理サーバ400への所定の通信(例えば、閉域網による無線通信)の有効化または無効化の指令、データ収集蓄積装置300へのデータ送信指令を行う。なお、本実施形態に係る端末装置500は、例えば、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレット端末、ノートPC(Personal Computer)等であってよい。そして、図5に示す通り、端末装置500は、通信部510と、記憶部520と、制御部530とを有する。
【0067】
(通信部510)
通信部510は、NIC等によって実現される。そして、通信部510は、必要に応じてネットワークと有線または無線で接続され、双方向に情報の送受信を行うことができる。例えば、通信部510は、所定の通信を介してデータ収集蓄積装置300、管理サーバ400との通信を実現する。
【0068】
(記憶部520)
記憶部520は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。そして、記憶部520は、制御部530による各種処理に用いるデータおよびプログラムを格納する。また、記憶部520は、後述の取得部532により取得された空調データおよび環境データを記憶することができる。
【0069】
(制御部530)
制御部530は、プロセッサや、MPUや、CPU等が、記憶部520に記憶されている各種プログラムについて、RAMを作業領域として実行することにより、実現される。また、制御部530は、例えば、ASICやFPGA等のICにより実現される。図5に示す通り、制御部530は、送信部531と、取得部532と、出力部533を有する。
【0070】
(送信部531)
送信部531は、管理サーバ400に対して所定の通信の有効化または無効化の指令を送信する。例えば、送信部531は、データ収集蓄積装置300から空調データおよび環境データを取得する場合、保守支援システム10の管理者等の操作に基づき、管理サーバ400に対して所定の通信の有効化の指令を送信できる。
【0071】
他方、送信部531は、データ収集蓄積装置300からの空調データおよび環境データの取得を完了した場合、保守支援システム10の管理者等の操作に基づき、管理サーバ400に対して所定の通信の無効化の指令を送信できる。
【0072】
なお、送信部531は、本実施形態においては保守支援システム10の管理者等の操作に基づいて所定の指令を送信する前提で説明するが、その他の実施形態として予め設定された条件により所定の指令を送信してもよい。例えば、送信部531は、全館空調システム1のユーザからの対応依頼を受け付けたといったフラグ情報が保守支援システム10により受け付けられた場合に、当該フラグ情報を起因として所定の通信の有効化の指令を送信してもよい。また、送信部531は、データ収集蓄積装置300から「空調データおよび環境データの取得完了」といったフラグ情報が保守支援システム10により受け付けられた場合に、当該フラグ情報を起因として所定の通信の無効化の指令を送信してもよい。
【0073】
(取得部532)
取得部532は、所定の通信を介してデータ収集蓄積装置300から空調データおよび環境データを取得する。例えば、取得部532は、データ収集蓄積装置300にデータの送信命令を出し、送信部333に送信させて空調データおよび環境データを取得できる。また、取得部532は、データ収集蓄積装置300の送信部333が所定の条件を満たす場合に送信する空調データおよび環境データを取得することができる。
【0074】
(出力部533)
出力部533は、取得部532によりデータ収集蓄積装置300から取得された空調データおよび環境データを出力する。例えば、出力部533は、取得部532により取得された後、記憶部520に記憶された空調データおよび環境データを、保守支援システム10の管理者等の操作に基づき所定の形式で出力することができる。なお、出力部533は、空調データおよび環境データの出力形式を限定せずに、例えば、外付けの記憶媒体への出力、ネットワークを介しての出力、出力装置を介しての出力(例えば、プリントアウトやモニタへの表示)等を行うことができる。
【0075】
〔3.処理手順〕
ここから、本実施形態に係る保守支援システム10の保守支援の手順を、図6を用いて説明する。図6は、本実施形態に係る保守支援の手順についてのフローチャートである。なお、以下に記載する各ステップは、異なる順序で実行されてもよいし、省略される処理があってもよい。
【0076】
空調制御装置100は、住宅の全館空調システム1の空調データを取得する(工程S101)。環境モニタ用センサ200の取得部231は、設置環境の環境データを取得する(工程S102)。なお、工程S101と工程S102は、順番を入れ替えて実施されてもよい。
【0077】
データ収集蓄積装置300の収集部331は、空調制御装置100から空調データを収集する(工程S103)。また、データ収集蓄積装置300の収集部331は、環境モニタ用センサ200から環境データを収集する(工程S104)。なお、工程S103と工程S104は、順番を入れ替えて実施されてもよい。次に、データ収集蓄積装置300の格納部332は、空調データおよび環境データを記憶する(工程S105)。
【0078】
ここで、空調データおよび環境データの送信を開始しない場合(工程S106のNo)、工程を戻り処理を継続する。他方、空調データおよび環境データの送信を開始する場合(工程S106のYes)、端末装置500の送信部531は、管理サーバ400に対して、所定の通信(例えば、閉鎖網による無線通信)の有効化の指令を送信する(工程S107)。
【0079】
管理サーバ400の通信可否制御部431は、所定の通信(例えば、閉域網による無線通信)を有効化する(工程S108)。続けて、データ収集蓄積装置300の送信部333は、所定の通信を介して空調データおよび環境データを端末装置500に送信する(工程S109)。
【0080】
空調データおよび環境データの送信が終了しない場合(工程S110のNo)、保守支援システム10は、次の処理を待機する。他方、空調データおよび環境データの送信が終了した場合(工程S110のYes)、端末装置500の送信部531は、管理サーバ400に対して、所定の通信(例えば、閉鎖網による無線通信)の無効化の指令を送信する(工程S111)。そして、管理サーバ400の通信可否制御部431は、所定の通信(例えば、閉域網による無線通信)を無効化し(工程S112)、工程を終了する。
【0081】
〔4.効果〕
ここから、本実施形態に係る保守支援システム10が提供する効果について説明する。従来、住宅の全館空調システムにおける適切なデータの収集が難しい、という課題があった。例えば、従来技術は、遠隔地へのデータ送信は可能だが、対象がビル等の大規模な施設であり小規模な個別住宅を対象としていないという課題があった。また、従来技術は、クラウドサーバ等を利用して常時ネットワークに接続し通信を行うため、通信容量の圧迫やセキュリティ上の脅威の発生等が懸念されるという問題があった。
【0082】
そこで、本実施形態に係る保守支援システム10は、空調制御装置100と、環境モニタ用センサ200と、データ収集蓄積装置300と、管理サーバ400と、端末装置500とを有する。空調制御装置100は、住宅に設置された空調機を制御する。環境モニタ用センサ200は、住宅の所定の箇所に設置され環境データを取得する。データ収集蓄積装置300の収集部331は、空調制御装置100から空調データを収集し、環境モニタ用センサ200から環境データを収集する。データ収集蓄積装置300の格納部332は、収集部331により収集された空調データと環境データとを記憶部320(空調データ記憶部321および環境データ記憶部322)に記憶する。データ収集蓄積装置300の送信部333は、格納部332により記憶部320(空調データ記憶部321および環境データ記憶部322)に記憶された空調データと環境データとを、所定の通信に基づいて端末装置500に送信する。管理サーバ400の通信可否制御部431は、所定の通信を制御する、ことを特徴とする。そのため、本実施形態の保守支援システム10によれば、住宅の全館空調システム1における適切なデータの収集が容易とする、という効果を奏する。
【0083】
具体的には、データ収集蓄積装置300の収集部331は、温度および湿度のセンサである環境モニタ用センサ200からの温度データまたは湿度データの少なくともどちらか一方を収集する。この環境モニタ用センサ200は、無線通信により環境データの収集が可能であり、設置と回収が容易である。そのため、保守支援システム10は、調整作業を行う場合でも従来よりも迅速かつ効率的に解析に用いる環境データを収集することを可能とする。その結果、保守支援システム10は、得られた環境データを用いた解析に基づく全館空調システム1の不具合発生の原因と対策案を得ることを可能とする、という効果を提供する。
【0084】
さらに、前述の環境モニタ用センサ200は、設置されている間は常時環境データを収集するため、調整作業の実施後の環境データを継続して取得する。その結果、保守支援システム10は、そこで得られた環境データに基づいて、調整の改善効果の確認を可能とする、という効果を提供する。
【0085】
管理サーバ400の通信可否制御部431は、データ収集蓄積装置300と端末装置500との所定の通信について、端末装置500からの命令に基づいて通信路の有効化または通信路の無効化を切り替えて制御する。これにより、保守支援システム10は、データ収集蓄積装置300への外部からのアクセスを制限できる。その結果、保守支援システム10は、悪意を持つ侵入者(例えば、クラッカ等)による不正アクセスを防ぐ、という効果を提供する。
【0086】
データ収集蓄積装置300の送信部333は、所定の通信として無線通信に基づいて格納部332により記憶された空調データと環境データとを端末装置500に送信する。例えば、データ収集蓄積装置300の送信部333は、端末装置500からの指示に基づいて、格納部332により記憶された空調データと環境データとを予め設定された端末装置500に送信する。そのため、保守支援システム10は、調整作業実施のための解析に用いるデータを容易に収集することを可能とする。前述したようなデータは、住宅の居住者が保有しているものであるため、原則として住宅外に取り出す際には居住者の了解を得て、従来は都度訪問してデータを収集するということが行われていた。しかしながら、本実施形態に係る保守支援システム10は、居住者の了解を得た上で、遠隔操作にてデータを住宅外に取り出すことを可能とする。
【0087】
データ収集蓄積装置300の送信部333は、所定のデータ送信条件を満たす場合に、格納部332により記憶された空調データと環境データとを予め設定された端末装置500に送信する。それにより、保守支援システム10は、アラート情報や環境データが所定の閾値を超えた場合等の送信すべきデータが発生した場合、適時対象のデータを収集することができる。
【0088】
また、管理サーバ400の変更部432は、住宅の空調設備の保守支援を行う管理者の操作に基づいて、住宅の空調設備の所定の設定を変更する。これにより、保守支援システム10は、所定の通信を経由して遠隔操作にて全館空調システム1のパラメータ等の変更を実施することができる。
【0089】
〔5.ハードウェア構成〕
本実施形態に係る保守支援システム10を構成する各装置は、例えば、図7に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。図7は、本実施形態に係る保守支援システム10を構成する各種装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、補助記憶装置1400、通信I/F(インタフェース)1500、入出力I/F(インタフェース)1600が、バス1800により接続された形態を有する。
【0090】
CPU1100は、ROM1300または補助記憶装置1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0091】
補助記憶装置1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、および、係るプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信I/F1500は、所定の通信網NW(本実施形態では、閉鎖域による無線通信を含む)を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを所定の通信網NWを介して他の機器へ送信する。CPU1100は、入出力I/F1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、および、キーボードやマウス等の入出力装置1700を制御する。CPU1100は、入出力I/F1600を介して、入出力装置1700からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータについて入出力I/F1600を介して入出力装置1700へ出力する。
【0092】
例えば、コンピュータ1000が本実施形態に係る各種装置として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部の機能を実現する。
【0093】
〔6.その他〕
前述の実施形態および変形例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0094】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の通り構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0095】
前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述してきた実施形態および変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0096】
また、前述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」等に読み替えることができる。例えば、制御部は、制御手段や制御回路に読み替えることができる。
【0097】
以上、実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で、本実施形態について実施をすることが可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 全館空調システム
10 保守支援システム
100 空調制御装置
110,210,310,410,510 通信部
120,220,320,420,520 記憶部
130,230,330,430,530 制御部
200 環境モニタ用センサ
231,532 取得部
232,533 出力部
240 センサ
300 データ収集蓄積装置
321 空調データ記憶部
322 環境データ記憶部
331 収集部
332 格納部
333,531 送信部
400 管理サーバ
431 通信可否制御部
432 変更部
500 端末装置
1000 コンピュータ
1100 CPU
1200 RAM
1300 ROM
1400 補助記憶装置
1500 通信I/F
1600 入出力I/F
1700 入出力装置
1800 バス
NW 所定の通信網
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7