IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社小糸製作所の特許一覧

<>
  • 特開-画像投影装置 図1
  • 特開-画像投影装置 図2
  • 特開-画像投影装置 図3
  • 特開-画像投影装置 図4
  • 特開-画像投影装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136196
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】画像投影装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20240927BHJP
   B60K 35/23 20240101ALI20240927BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/00 A
G03B21/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047227
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001667
【氏名又は名称】弁理士法人プロウィン
(72)【発明者】
【氏名】小澤 一嘉
(72)【発明者】
【氏名】津田 俊明
【テーマコード(参考)】
2H199
2K203
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA12
2H199DA13
2H199DA14
2H199DA15
2H199DA19
2H199DA23
2H199DA30
2H199DA34
2H199DA43
2K203FA23
2K203GA22
2K203GA23
2K203GA25
2K203HA04
2K203HA34
2K203HA92
2K203MA04
3D344AA19
3D344AB01
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】照射光の利用効率を高めることが可能な画像投影装置を提供する。
【解決手段】無偏光な照射光を照射する光源(11)と、照射光の第1方向の偏光を反射し、第1方向に垂直な第2方向の偏光を透過する反射型偏光部(13a)と、反射型偏光部(13a)を透過した光を反射する反射鏡(13b)と、反射型偏光部(13a)または反射鏡(13b)の何れか一方で反射された光の経路上に配置された二分の一波長板(14)とを有し、二分の一波長板(14)に入射する光を反射する反射型偏光部(13a)または反射鏡(13b)は、反射面が曲面に形成されている画像投影装置(10)。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無偏光な照射光を照射する光源と、
前記照射光の第1方向の偏光を反射し、前記第1方向に垂直な第2方向の偏光を透過する反射型偏光部と、
前記反射型偏光部を透過した光を反射する反射鏡と、
前記反射型偏光部または前記反射鏡の何れか一方で反射された光の経路上に配置された二分の一波長板とを有し、
前記二分の一波長板に入射する光を反射する前記反射型偏光部または前記反射鏡は、反射面が曲面に形成されていることを特徴とする画像投影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像投影装置であって、
平面視において、前記二分の一波長板の面積は、前記二分の一波長板に入射する光を反射する前記反射型偏光部または前記反射鏡の面積よりも小さいことを特徴とする画像投影装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像投影装置であって、
前記反射型偏光部で反射された光、および前記反射鏡で反射された光が入射する拡散板を有することを特徴とする画像投影装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像投影装置であって、
前記二分の一波長板に入射する光は、前記拡散板に到達する前に集光され、光径が拡大しながら前記拡散板に到達することを特徴とする画像投影装置。
【請求項5】
請求項3に記載の画像投影装置であって、
前記拡散板において、前記反射型偏光部で反射された光の照射領域と、前記反射鏡で反射された光の照射領域が少なくとも一部重なり合うことを特徴とする画像投影装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一つに記載の画像投影装置であって、
前記反射型偏光部で反射された光、および前記反射鏡で反射された光が入射し、画像を表示する画像表示部と、
前記画像表示部から照射された画像光を表示部に対して投影する投影光学部を有することを特徴とする画像投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両内に各種情報を表示する装置として、アイコンを点灯表示する計器盤が用いられている。また、表示する情報量の増加とともに、計器盤に画像表示装置を埋め込むことや、計器盤全体を画像表示装置で構成することも提案されている。
【0003】
しかし、計器盤は車両のフロントガラス(ウィンドシールド)より下方に位置しているため、計器盤に表示された情報を運転者等の搭乗者が視認するには、運転中に視線を下方に移動させる必要があり好ましくない。そこで、フロントガラスに画像を投影して、搭乗者が車両の前方を視認したときに情報を読み取れるようにするヘッドアップディスプレイ(以下HUD:Head Up Display)のような画像投影装置が提案されている(例えば、特許文献1,2を参照)。
【0004】
特許文献1,2の画像投影装置は、画像照射部が画像を含んだ照射光を照射し、自由曲面ミラー等で照射光を反射させて、ウィンドシールド等の表示部を介して空間中に画像が結像するように搭乗者の視点の位置に到達させる。これにより、搭乗者は視点に入射した照射光によって、奥行き方向における結像位置に画像が表示されているように認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-119248号公報
【特許文献2】特開2019-119262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の画像投影装置では、液晶表示装置等の画像表示部を用いて投影画像を表示し、画像表示部の背面側から照射光を照射して画像光を投影している。しかし、液晶表示装置等の画像表示部では、特定方向の偏光のみを透過するため、無偏光の照射光が入射した場合には、特定方向以外の偏光は画像の投影に利用されず光の利用効率が低下する。
【0007】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、照射光の利用効率を高めることが可能な画像投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の画像投影装置は、無偏光な照射光を照射する光源と、前記照射光の第1方向の偏光を反射し、前記第1方向に垂直な第2方向の偏光を透過する反射型偏光部と、前記反射型偏光部を透過した光を反射する反射鏡と、前記反射型偏光部または前記反射鏡の何れか一方で反射された光の経路上に配置された二分の一波長板とを有し、前記二分の一波長板に入射する光を反射する前記反射型偏光部または前記反射鏡は、反射面が曲面に形成されていることを特徴とする。
【0009】
このような本発明の画像投影装置では、光源からの照射光は反射型偏光部と反射鏡と二分の一波長板で所定方向に偏光したバックライト光に変換される。また、画像表示部に到達するバックライト光の偏光方向は、画像表示部での画像表示に用いられる偏光方向と一致しているため、画像表示部で吸収されてしまう偏光成分は少なく、光の利用効率を向上させることが可能となる。また、反射型偏光部または反射鏡は、反射面が曲面に形成されているため、二分の一波長板に照射光を集光して入射させることができ、二分の一波長板の面積を小さくすることが可能となる。
【0010】
また、本発明の一態様では、平面視において、前記二分の一波長板の面積は、前記二分の一波長板に入射する光を反射する前記反射型偏光部または前記反射鏡の面積よりも小さい。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記反射型偏光部で反射された光、および前記反射鏡で反射された光が入射する拡散板を有する。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記二分の一波長板に入射する光は、前記拡散板に到達する前に集光され、光径が拡大しながら前記拡散板に到達する。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記拡散板において、前記反射型偏光部で反射された光の照射領域と、前記反射鏡で反射された光の照射領域が少なくとも一部重なり合う。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記反射型偏光部で反射された光、および前記反射鏡で反射された光が入射し、画像を表示する画像表示部と、前記画像表示部から照射された画像光を表示部に対して投影する投影光学部を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、照射光の利用効率を高めることが可能な画像投影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係る画像投影装置100を用いた虚像Pの投影を説明する模式図である。
図2】第1実施形態に係る画像照射部10の概要を説明する模式断面図である。
図3】第1実施形態に係る画像照射部10の概要を説明する模式平面図である。
図4】第2実施形態に係る画像照射部10の概要を説明する模式断面図である。
図5】第3実施形態に係る画像照射部10の概要を説明する模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。以下の説明では、本発明に係る画像投影装置100を、車両等に搭載されるHUDに適用した形態を例示して説明する。図1は、本実施形態に係る画像投影装置100を用いた虚像Pの投影を説明する模式図である。図1に示すように、画像投影装置100から投影された画像光は、ウィンドシールド(表示部)WSで反射されて運転者の視点位置に照射される。運転者は、画像光が入射してきた光路の延長上(破線方向)に結像された虚像Pを視認する。本実施形態では画像投影装置100が画像光を投影して一つの虚像Pが結像される例を示しているが、虚像Pの数は限定されない。
【0018】
図1に示すように画像投影装置100は、画像照射部10と、第1ミラー20と、第2ミラー30を備えている。画像投影装置100では、各部と情報通信可能に接続された制御部(図示省略)を用いて各部を制御している。制御部の構成は限定されないが、一例として情報処理を行うためのCPU(Central Processing Unit)や、メモリ装置、記録媒体、情報通信装置等を備えるものが挙げられる。制御部は、予め定められたプログラムに従って各部の動作を制御し、画像を含んだ情報(画像情報)を画像照射部10に送出する。
【0019】
画像照射部10は、制御部からの画像情報に基づいて、画像を含んだ光を画像光として第1ミラー20に対して照射する部分である。画像照射部10の詳細については後述する。
【0020】
第1ミラー20は、画像照射部10から到達した画像光を第2ミラー30方向に反射する光学部材である。図1に示した例では第1ミラー20を凹面の反射鏡として例を示しているが、平面または凸面の反射鏡を用いるとしてもよい。また、第1ミラー20を曲面で構成する場合には、曲率が一定なものに限定されず、回転放物面や楕円面、自由曲面ミラー等を用いることができる。
【0021】
第2ミラー30は、第1ミラー20から到達した画像光をウィンドシールドWS方向に反射する光学部材である。図1に示した例では、第2ミラー30として画像光を虚像Pとして投影するために必要な光学設計された凹面形状の自由曲面ミラーを示している。
【0022】
第1ミラー20および第2ミラー30の反射面は、ウィンドシールドWSを介して画像光を虚像Pとして投影するために、運転者の視点方向に光径が拡大するように設計されている。ここで、視点方向に光径が拡大するとは、反射後に光径が一貫して拡大する場合だけでなく、光径が縮小して中間地点において結像した後に拡大する場合も含む。第1ミラー20および第2ミラー30の組み合わせは、ウィンドシールドWSを介して画像光を投影する機能を有しており、本発明における投影光学部に相当している。
【0023】
図1では、画像光の光路を一本の直線として描いている。しかし、実際の画像光は、画像照射部10において所定の面積で表示されたものであり、進行方向に垂直な方向に所定の面積をもっている。また、画像光は、第1ミラー20で反射されて光径が縮小されながら進行し、第1ミラー20と第2ミラー30の間の中間結像位置F(図示省略)において中間結像されるとしてもよい。
【0024】
ウィンドシールドWSは、車両の運転席前方に設けられて可視光を透過する部分である。ウィンドシールドWSは、車両の内側面では画像投影装置100から入射した画像光を視点方向に対して反射し、車両の外部からの光を視点方向に対して透過するため、本発明における表示部に相当している。ここでは表示部としてウィンドシールドWSを用いた例を示したが、ウィンドシールドWSとは別に表示部としてコンバイナーを用意し、画像投影装置100からの光を視点方向に反射するとしてもよい。また、車両の前方に位置するものに限定されず、搭乗者の視点に対して画像を投影するものであれば側方や後方に配置するとしてもよい。
【0025】
虚像Pは、ウィンドシールドWSで反射された画像光が搭乗者の視点(アイボックス)に到達した際に、空間中に結像されたように表示される画像である。虚像Pが結像される位置は、画像投影装置100に含まれる投影光学部とウィンドシールドWSの合成焦点距離によって決まる。
【0026】
図2は、本実施形態に係る画像照射部10の概要を説明する模式断面図である。図2に示すように、本実施形態の画像照射部10は、光源11と、プライマリーレンズ12と、偏光変換素子13と、二分の一波長板14と、拡散板15と、画像表示部16を備えている。本実施形態では、偏光変換素子13は反射型偏光部13aと反射鏡13bを内部に備えたプリズムである。ここでは二分の一波長板14と偏光変換素子13を分離して配置した例を示したが、プリズムの光出射面に二分の一波長板14を貼り付けて、反射型偏光部13aと、反射鏡13bと、二分の一波長板14の組み合わせで偏光変換素子13を構成するとしてもよい。
【0027】
光源11は、プライマリーレンズ12、偏光変換素子13、二分の一波長板14、拡散板15を介して照射光を画像表示部16に照射する部材である。光源11は、一例としてはLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)等の半導体発光素子であり、予め定められた方向(図2の紙面奥行き方向)に配列されている。光源11の発光色は特に限定されないが、本実施形態では一例として白色としている。なお、本実施形態では光源11の配列数を1列としているが、2列以上であってもよい。また光源11はLEDに限らず半導体レーザや有機EL(Electro Luminescence)素子等であってもよい。
【0028】
プライマリーレンズ12は、複数の光源11の光出射方向に配置され、光源11から照射された照射光を集光し、例えば平行光、あるいは平行光に近い光(以下、両者を併せて「略平行光」という)として出射する機能を有する光学部材である。またプライマリーレンズ12は、複数の光源11の配列方向に沿って延伸されている。本実施形態ではプライマリーレンズ12の一例として、中央に光を屈折する屈折部が設けられ、屈折部の両側に光を反射する反射部が設けられたTIR(Total Internal Reflection)レンズを用いている。図2ではプライマリーレンズ12として光源11の配列方向に延伸された形状を示しているが、光源11毎に複数のコリメートレンズを設けるとしてもよい。また、光源11からの光を略平行光にすることができればレンズに限定されず、リフレクタとレンズの組み合わせやリフレクタ単体で略平行光とする構成を採用してもよい。
【0029】
反射型偏光部13aは、プリズムの内部において、第1方向の偏光を反射し、第1方向に直交する第2方向の偏光を透過する光学部材である。反射型偏光部13aが透過する偏光方向は限定されず、最終的に画像表示部16に対して照射されるバックライト光に要求される偏光方向に適合させる必要がある。一例としては図2における横方向の偏光(例えばp偏光)を透過し、紙面に垂直な方向の偏光(例えばs偏光)を反射するとしてもよい。反射型偏光部13aは、光源11から照射される光の進行方向に対して所定角度だけ傾斜して配置されている。
【0030】
反射鏡13bは、プリズムの内部において反射面が曲面に形成され、入射した光を反射する光学部材である。反射鏡13bの曲面形状は限定されないが、後述するように反射鏡13bで反射された光を二分の一波長板14に効果的に集光できる曲率を有することが好ましい。図2に示した例では、反射鏡13bは、反射型偏光部13aを透過した光の進行方向に対して所定角度だけ傾斜して配置されている。ここで、凹面形状の反射鏡13bが所定角度だけ傾斜するとは、入射した光の進行方向と、反射する光の進行方向が交差することを意味している。図2に示した例では、反射型偏光部13aと反射鏡13bは光源11から照射された光の進行方向に対して45度傾斜して配置されており、バックライト光における反射型偏光部13aで反射された光と、反射鏡13bで反射された光の進行方向が同じである。
【0031】
二分の一波長板14は、反射型偏光部13aまたは反射鏡13bで反射された照射光の経路上に配置され、スロー軸とファスト軸における屈折率が異なる複屈折材料で構成された光学部材である。また、二分の一波長板14は、入射した光が出射するまでに光の波長の半分だけスロー軸とファスト軸で位相差が生じるように設計されている。また、二分の一波長板14のスロー軸とファスト軸は、到達した照射光の偏光方向に対して45度異なる向きに配置されている。また、二分の一波長板14は、光の波長に対し正確に50%の位相差である必要はなく、50%に近い位相差を生じさせるものであれば、面内における偏光方向の回転という機能を発揮することができる。後述するように、二分の一波長板14に入射する照射光は、凹形状の反射面で集光されており、二分の一波長板14に対する入射角度が垂直とは限らないため、角度依存性の小さな二分の一波長板14を用いることが好ましい。
【0032】
拡散板15は、画像表示部16の背面側に配置され、バックライト光を拡散して透過する光学部材である。拡散板15は、プライマリーレンズ12で偏向した指向性の高い光を拡散させて画像表示部16に出射し、画像表示部16がより均一に照明されるように機能する。拡散板15としては、偏光変換素子13で変換されたバックライト光の偏光方向を維持したまま拡散して透過する光学部材を用いることが好ましい。
【0033】
画像表示部16は、偏光変換素子13から照射されたバックライト光が背面から入射し、画像情報によって変調した光を出射面から出射する空間光変調部として機能する。画像表示部16の具体的な構成は限定されないが、一例としては、背面から入射した光を透過して表面から出射する透過型液晶表示装置を用いることができる。透過型液晶表示装置では、裏面側に入射した所定方向の偏光のみが透過されるため、偏光変換素子13における偏光方向を当該所定方向と一致させる。
【0034】
上述した画像投影装置100では、光源11から照射された照射光は偏光方向が限定されていない無偏光である。光源11から照射された照射光は、プライマリーレンズ12に入射してコリメートされ、偏光変換素子13の入射面に入射する。偏光変換素子13に入射した照射光は、第1方向の偏光が反射型偏光部13aで拡散板15方向に反射され、第2方向の偏光が反射型偏光部13aを透過する。ここで、反射型偏光部13aで反射される照射光の偏光は、画像表示部16が透過する第1方向に偏光している。また、反射型偏光部13aを透過する照射光の偏光は、第1方向にほぼ直交する第2方向に偏光している。
【0035】
反射型偏光部13aを透過した照射光は、反射鏡13bで反射および集光されて二分の一波長板14に入射する。二分の一波長板14に入射した照射光は、偏光方向が90度回転されて、第1方向に偏光したバックライト光として拡散板15に入射する。拡散板15では、第1方向に偏光したバックライト光は拡散および透過される。これにより、画像表示部16の背面には第1方向に偏光したバックライト光が均一に照射される。図2では反射鏡13bを曲面形状として、二分の一波長板14を反射鏡13bの光出射面側に配置した例を示したが、反射型偏光部13aを曲面形状として二分の一波長板14を反射型偏光部13aの光出射面側に配置するとしてもよい。
【0036】
図3は、本実施形態に係る画像照射部10の概要を説明する模式平面図である。図3における左右方向は図2における左右方向に対応し、図3における上下方向は図2における紙面に垂直な方向に対応している。図3に示したように、平面視において二分の一波長板14の面積は、反射鏡13bの面積よりも小さくなっている。図2および図3に示した例では、反射鏡13bの反射面を凹形状となる曲面で構成しているため、二分の一波長板14に対して照射光を集光することができる。これにより、二分の一波長板14の面積を小さくしても、第2方向の偏光を良好に第1方向の偏光に変換してバックライト光として照射することができる。
【0037】
また、図2に示したように、反射鏡13bで反射されて二分の一波長板14に入射した照射光は、拡散板15に到達する前に集光され、光径が拡大しながら拡散板15に到達している。これにより、拡散板15から画像表示部16に照射されるバックライト光も光径が拡大し、より広い範囲に均一に光を照射することが可能となる。図2では、反射鏡13bと二分の一波長板14の間において照射光が集光された例を示している。この場合には、集光された後に拡散板15に照射光が到達する間に光径が拡がる距離を確保することができて好ましい。また、二分の一波長板14の内部において集光されるとしてもよい。この場合には、二分の一波長板14の面積を最小化することができる。また、二分の一波長板14で偏光と拡散板15の間において照射光が集光されるとしてもよい。この場合には、二分の一波長板14への照射光の入射角度が垂直に近くなり、二分の一波長板14の光学設計が容易になる。
【0038】
上述したように、本実施形態の画像投影装置100では、光源11からの照射光は反射型偏光部13aと反射鏡13bと二分の一波長板14で所定方向に偏光したバックライト光に変換される。また、画像表示部16に到達するバックライト光の偏光方向は、画像表示部16での画像表示に用いられる偏光方向と一致しているため、画像表示部16で吸収されてしまう偏光成分は少なく、光の利用効率を向上させることが可能となる。また、反射型偏光部13aまたは反射鏡13bは、反射面が曲面に形成されているため、二分の一波長板14に照射光を集光して入射させることができ、二分の一波長板14の面積を小さくすることが可能となる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図4を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。図4は、本実施形態に係る画像照射部10の概要を説明する模式断面図である。図4に示すように、本実施形態の画像照射部10は、光源11と、プライマリーレンズ12と、反射型偏光部17と、反射鏡18と、二分の一波長板14と、拡散板15と、画像表示部16を備えている。本実施形態では、偏光変換素子13をプリズムで構成せず、反射型偏光部17と、反射鏡18とをそれぞれ薄板状の独立した部材で構成した点が第1実施形態と異なっている。
【0040】
反射型偏光部17は、光を透過する薄板状の材料で構成され、第1方向の偏光を反射し、第1方向に直交する第2方向の偏光を透過する光学部材である。反射型偏光部17が透過する偏光方向は限定されず、最終的に画像表示部16に対して照射されるバックライト光に要求される偏光方向に適合させる必要がある。反射鏡18は、反射面が曲面に形成され、入射した光を反射する薄板状の光学部材である。反射鏡18を構成する材料は限定されず、例えばアルミニウム等の高反射性金属を用いるとしてもよく、樹脂で構成された曲面板に高反射膜を形成した構造を用いるとしてもよい。図4では図示を省略しているが、反射型偏光部17、反射鏡18および二分の一波長板14は、保持部材を用いて画像投影装置100の筐体に固定されている。
【0041】
本実施形態では、反射型偏光部17と反射鏡18を独立した部材で構成しているため、光源11から照射される光に対する位置や傾斜角度を変更することが容易であり、光学設計の自由度を向上させることができる。また、プリズムを用いないため、画像照射部10の軽量化を図ることが可能となる。
【0042】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図5を用いて説明する。第1実施形態または第2実施形態と重複する内容は説明を省略する。図5は、本実施形態に係る画像照射部10の概要を説明する模式断面図である。本実施形態では、反射型偏光部13aで反射された光の照射領域と、反射鏡13bで反射された光の照射領域が、拡散板15において少なくとも一部重なり合う点が第1実施形態と異なっている。
【0043】
図5に示したように本実施形態では、光源11から照射された照射光は、プライマリーレンズ12を透過した後にも照射範囲が拡大していき、反射型偏光部13aで反射されたバックライト光も照射範囲が拡大して拡散板15まで到達する。また、反射鏡13bの曲率も小さく設定されており、反射鏡13bの反射面で反射された照射光は、二分の一波長板14と反射鏡13bの間で集光された後に光径が拡大して拡散板15まで到達する。これにより、反射型偏光部13aで反射されたバックライト光と、反射鏡13bで反射されて二分の一波長板14を透過したバックライト光は、拡散板15における照射領域が一部重なりあう。
【0044】
したがって、反射型偏光部13aで反射されたバックライト光の照射領域と、反射鏡13bで反射されたバックライト光の照射領域は、拡散板15において境界が分離せず、暗部の発生や輝度ムラを抑制することができる。また、反射型偏光部13aで反射されたバックライト光と、反射鏡13bで反射されたバックライト光の拡がりを適切に設定することで、第1ミラー20および第2ミラー30で構成される投影光学部の光学設計に適した配光を実現することができる。
【0045】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
100…画像投影装置
10…画像照射部
20…第1ミラー
30…第2ミラー
11…光源
12…プライマリーレンズ
13…偏光変換素子
13a,17…反射型偏光部
13b,18…反射鏡
14…二分の一波長板
15…拡散板
16…画像表示部
図1
図2
図3
図4
図5