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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136197
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】測定装置および測定装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/01 20060101AFI20240927BHJP
   G01J 5/00 20220101ALI20240927BHJP
   G01J 5/03 20220101ALI20240927BHJP
【FI】
A61B5/01 350
G01J5/00 101Z
G01J5/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047228
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】岩附 弘靖
(72)【発明者】
【氏名】赤木 幸知
【テーマコード(参考)】
2G066
4C117
【Fターム(参考)】
2G066AC13
2G066BC05
2G066BC11
2G066BC15
2G066BC21
2G066CA16
4C117XA01
4C117XB01
4C117XB07
4C117XD04
4C117XE23
4C117XE48
4C117XG18
4C117XJ12
4C117XJ13
(57)【要約】
【課題】気温と被計測者の身体温度との表示を、適切に切り替える測定装置
【解決手段】気温および被測定者の身体温度を測定する温度測定装置(1)であって、所定の条件を満たすか否かを判定する判定部(42)と、当該判定の結果に応じて、前記気温および前記身体温度の何れか一方の温度を表示する表示部(7)とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気温および被測定者の身体温度を測定する測定装置であって、
所定の条件を満たすか否かを判定する判定部と、
当該判定の結果に応じて、前記気温および前記身体温度の何れか一方の温度を表示する表示部と
を備えている測定装置。
【請求項2】
温度センサが検出した対象物の温度データを取得する取得部を備えており、
前記判定部は、検出された前記対象物の温度が所定範囲内であるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記取得部は、カメラが撮影した被測定者の撮影画像データを取得し、
前記判定部は、前記被測定者が登録されている人物であるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記気温および前記身体温度のうちのいずれかの表示の選択のための入力操作を受け付ける受付部をさらに備えており、
前記表示部は、受け付けた前記入力操作に応じて、前記気温および前記身体温度の何れか一方の温度を表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の測定装置。
【請求項5】
距離センサが検出した対象物との距離データを取得する取得部を備えており、
前記判定部は、検出された前記対象物の距離が所定閾値を下回るか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項6】
前記取得部は、温度センサが検出した対象物の温度データを取得し、
前記判定部は、検出された前記対象物の温度が所定閾値を超えるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項5に記載の測定装置。
【請求項7】
気温および被測定者の身体温度を測定する測定装置の制御方法であって、
所定の条件を満たすか否かを判定する判定ステップと、
当該判定の結果に応じて、前記気温および前記身体温度の何れか一方の温度を表示する表示ステップと
を含む測定装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は気温および被測定者の身体温度を測定する測定装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
気温および身体温度を測定して表示する装置が従来技術として知られている。例えば、特許文献1には、現在の温度および被計測者の体表面温度を表示する温度計が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5264943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来技術は、現在の温度および被計測者の体表面温度を別々のLCDユニットを用いて表示する技術である。そのため、上述のような従来技術は、気温と被計測者の体表面温度との表示とを切り替えて表示する技術ではない。
【0005】
本発明の一態様は、気温と被計測者の身体温度との表示を、適切に切り替えることができる測定装置などを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る測定装置は、気温および被測定者の身体温度を測定する測定装置であって、所定の条件を満たすか否かを判定する判定部と、当該判定の結果に応じて、前記気温および前記身体温度の何れか一方の温度を表示する表示部とを備えている。
【0007】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る測定装置の制御方法は、気温および被測定者の身体温度を測定する測定装置の制御方法であって、所定の条件を満たすか否かを判定する判定ステップと、当該判定の結果に応じて、前記気温および前記身体温度の何れか一方の温度を表示する表示ステップとを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、気温と身体温度との表示の切り替えを適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態1に係る温度測定装置の要部構成を示すブロック図である。
図2】本開示に係る温度測定装置の概要を示す図である。
図3】本実施形態1に係る表示画像の一例を示す図である。
図4】本実施形態1に係る測定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5】本実施形態2に係る温度測定装置の要部構成を示すブロック図である。
図6】本実施形態2に係る測定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】本実施形態3に係る温度測定装置の要部構成を示すブロック図である。
図8】本実施形態3に係る測定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】本実施形態4に係る温度測定装置の要部構成を示すブロック図である。
図10】本実施形態4に係る測定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11】本変形例に係る気温を示す表示画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(温度測定装置の概要)
はじめに、本開示に係る温度測定装置の概要について、図2を用いて説明する。図2は温度測定装置1の概要を示す図である。温度測定装置1は、気温および被測定者の身体温度を測定して表示する装置である。温度測定装置1として、例えば、スマートフォン、タブレット端末などを適用してもよい。図2に示すように、温度測定装置1は、温度を検出する温度センサ2および表示画像を表示する表示部7等を備えている。図2の左図に示す温度測定装置1は、気温「25.6℃」を示す表示画像D1を表示部7に表示している。図2の右図に示す温度測定装置1は、身体温度として身体温度情報「36.5」を示す表示画像D2を表示部7に表示している。温度測定装置1は所定の条件を満たすか否かを判定し、当該判定の結果に応じて、気温および身体温度の何れか一方の温度を表示部7に表示する。
【0011】
前記構成によれば、温度測定装置1は、所定の条件を満たすか否かに応じて、気温および身体温度の何れか一方の温度を表示する。そのため、温度測定装置1は気温および身体温度の何れか一方を、条件に応じて適切に、表示することができる。すなわち、温度測定装置1は、表示部7において、気温と身体温度との表示の切り替えを適切に行うことができる。
【0012】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、図1から図4を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
(温度測定装置1の概要)
本実施形態に係る温度測定装置1の概要について、図2を用いて説明する。温度測定装置1は、温度センサ2によって検出された温度が所定範囲内であるか否かを判定し、当該判定の結果に応じて、気温および身体温度の何れか一方の温度を表示部7に表示してもよい。例えば、温度測定装置1が備えている温度センサ2によって検出された温度が所定範囲内であると判定した場合、温度測定装置1は図2の右図に示すような被測定者Uの撮影画像と共に被測定者Uの身体温度を示す表示画像を表示してもよい。また、温度センサ2によって検出された温度が所定範囲内でないと判定した場合、温度測定装置1は図2の左図に示すように、撮影画像と共に気温を示す表示画像を表示してもよい。
【0014】
上述の所定範囲を、例えば、ヒトの標準的な身体温度以上の範囲としてもよい。また、上述の所定範囲を、これまでに温度測定装置1が取得した温度と現在の測定にて検出された温度との差分値が閾値以上の範囲としてもよい。また、上述の所定範囲を、所定の期間の変化率が閾値以上となる範囲としてもよい。例えば、ヒトが温度測定装置1に近づいた場合には検出される温度は上昇し得る。そのため、上述のような所定範囲の温度が検出され得る。
【0015】
前記の構成によれば、検出された対象物の温度が所定範囲の温度であるか否かに応じて、すなわち、ヒトが測定装置のそばに近づいた可能性が高いか否かに応じて、気温および身体温度の何れか一方の温度を表示することができる。
【0016】
(温度測定装置1の構成)
次に、図1を参照して、温度測定装置1の構成について説明する。図1は温度測定装置1の要部構成を示すブロック図である。図1に示すように、温度測定装置1は、温度センサ2、カメラ3、制御部4、タイマ5、記憶部6および表示部7を備えている。
【0017】
<温度センサ2>
温度センサ2は対象物の温度を検出する。温度センサ2は検出した温度を示す温度データを取得部41に送信する。温度センサ2は、例えば、対象物の熱放射を検出する赤外線検出センサであってもよい。温度センサ2が赤外線検出センサである場合、温度センサ2は検出した熱放射を示すデータを取得部41に送信してもよい。また、温度センサ2の検出対象である前記対象物は、例えば、後述のカメラ3が撮影する撮影画像内に存在する複数の物体であってもよい。すなわち、温度データは、複数の対象物から検出された温度を示すデータであってもよい。
【0018】
<カメラ3>
カメラ3は温度測定装置1の周囲を撮影する。カメラ3は撮影した撮影画像を示す撮影画像データを取得部41に送信する。
【0019】
<制御部4>
制御部4は、温度測定装置1の各部を統括して制御する。図1に示すように、制御部4は取得部41、判定部42、温度補正部43、表示画像生成部44および表示制御部45を備えている。
【0020】
≪取得部41≫
取得部41は温度センサ2が検出した対象物の温度データを取得する。また、取得部41は、温度センサ2としての赤外線センサから受信した熱放射の実測値を、温度を示す温度データに換算してもよい。また、取得部41はカメラ3が撮影した測定対象物の撮影画像データを取得する。取得部41は取得した温度データを温度判定部421および温度補正部43に送信する。また、取得部41は取得した撮影画像データを表示画像生成部44に送信する。
【0021】
取得部41は、例えば、タイマ5を参照して、温度センサ2およびカメラ3から所定のサンプリングの周期にて、対象物の温度データおよび撮影画像データを取得してもよい。取得部41は1回目のデータの取得を行うと、タイマ5に経過時間を計測させる構成としてもよい。
【0022】
例えば、カメラ3が撮影を行うタイミングには、上述の温度センサ2が温度を検出するタイミングが含まれていてもよい。すなわち、温度センサ2が検出した温度データには、当該温度データが示す温度の検出と同じタイミングにて撮影された撮影画像データが対応していてもよい。同じタイミングにて検出および撮影された、温度データおよび撮影画像データを対応温度データおよび対応撮影画像データと呼称する。
【0023】
≪判定部42≫
判定部42は所定の条件を満たすか否かを判定する。詳細には、判定部42は取得部41が取得したデータが所定の条件を満たすか否かを判定する。判定部42は、温度判定部421、ヒト判定部422および登録判定部423を備えている。
【0024】
〈温度判定部421〉
温度判定部421は、取得部41から受信した検出された対象物の温度が所定範囲内であるか否かを判定する。温度判定部421は、温度データが示す複数の対象物の温度のうち、温度センサ2に対して所定の位置にある対象物の温度について判定を行ってもよい。例えば、温度判定部421は、対応撮影画像における中心の位置にある対象物の温度について判定を行ってもよい。本明細書では、温度データが示す温度のうち、対応撮影画像における中心に位置する対象物の温度を中心温度と呼称する。温度判定部421が行う温度の判定方法について、具体例を以下に示す。
【0025】
《温度の判定方法の例1》
本例においては、上述の所定範囲を閾値I以上とする。すなわち、温度判定部421は、中心温度が以下の式を満たすか否かを判定してもよい。
【0026】
中心温度≧閾値I
前記の閾値Iは、例えば、30℃である。
【0027】
中心温度が前記式を満たす場合に、温度判定部421は中心温度は所定範囲内であると判定してもよい。
【0028】
《温度の判定方法の例2》
本例においては、上述の所定範囲を以下に示す範囲としてもよい。現行のサンプリングに対する直近のサンプリングにて取得された中心温度である「直近の中心温度」と、現行のサンプリングにて取得された中心温度である「現行の中心温度」との差分値が閾値以上となる範囲。
【0029】
すなわち、温度判定部421は、中心温度が以下の式を満たすか否かを判定してもよい。
【0030】
「現行の中心温度」-「直近の中心温度」>閾値II
「現行の中心温度」が前記式を満たすと判定した場合、温度判定部421は「現行の中心温度」は所定範囲内であると判定してもよい。
【0031】
《温度の判定方法の例3》
本例においては、上述の所定範囲を、所定の期間における中心温度の変化率が閾値以上となる範囲としてもよい。すなわち、温度判定部421は、中心温度が以下の式を満たすか否かを判定してもよい。
【0032】
変化率=(「時刻(t+Δt)の中心温度」-「時刻(t)の中心温度」)/Δt>閾値III
前記式においては、「所定の期間」は、時刻(t)から時刻(t+Δt)の期間となる。
【0033】
例えば、時刻(t+Δt)を現行のサンプリングの時刻とし、時刻(t)を現行のサンプリングに対する直近のサンプリングの時刻としてもよい。
【0034】
前記式を満たすと判定した場合、温度判定部421は「時刻(t+Δt)の中心温度」は所定範囲内であると判定してもよい。
【0035】
上述の温度の判定方法の例1から例3について、例えば、温度判定部421は、記憶部6に記憶されている、閾値I、閾値IIまたは閾値IIIを示す閾値情報61を参照して、判定処理を行ってもよい。
【0036】
対象物の温度が所定範囲内であると判定した場合、温度判定部421は以下の処理を行ってもよい。温度判定部421は表示画像生成部44にガイドが示されている表示画像の生成を指示する。図3は、表示画像生成部44が生成するガイドD31を示した表示画像D3の一例を示す図である。図3に示すように、表示画像D3には、撮影画像にガイドD31が重畳されている。ガイドD31は、カメラ3による撮影において被測定者Uの顔が当該ガイドD31の中に入るようにガイドするものである。また、対象物の温度が所定範囲内であると判定した場合、温度判定部421は、ヒト判定部422に判定処理の開始を指示する。
【0037】
対象物の温度が所定範囲内ではないと判定した場合、温度判定部421は中心温度を気温に補正するように温度補正部43に指示する。
【0038】
〈ヒト判定部422〉
ヒト判定部422は、温度判定部421から、判定処理の開始の指示を受信すると以下の処理を行う。ヒト判定部422は、表示画像生成部44からガイドが表示されている画像であるガイド表示画像のデータを受信する。ヒト判定部422は、ガイド表示画像におけるガイド内にヒトの顔が撮影されているか否かを判定する。ヒト判定部422は、例えば、パターン認識などによって、当該判定を行ってもよい。
【0039】
ガイド内にヒトの顔が撮影されていると判定した場合、ヒト判定部422は、ガイド表示画像のデータおよび判定開始の指示を登録判定部423に送信する。また、ヒト判定部422は表示画像生成部44にガイドをヒト型に変形させて表示している表示画像の生成を指示してもよい。
【0040】
ガイド内にヒトの顔が撮影されていないと判定した場合、ヒト判定部422は以下の処理を行ってもよい。ヒト判定部422は、表示画像におけるガイド表示の解除を表示画像生成部44に指示する。また、ヒト判定部422は、中心温度を気温に補正するように温度補正部43に指示する。
【0041】
〈登録判定部423〉
例えば、記憶部6には、登録者の顔画像データを含むデータベースとして登録者情報62が記憶されていてもよい。登録判定部423は、登録者情報62を参照して、ガイド表示画像におけるガイド内に撮影されているヒト、すなわち、被測定者Uの顔が登録者の顔であるか否かを判定してもよい。すなわち、登録判定部423は、被測定者Uが登録されている人物であるか否かを判定してもよい。
【0042】
被測定者Uが登録者であると判定した場合、登録判定部423は中心温度を身体温度に補正するように温度補正部43に指示する。
【0043】
被測定者Uが登録者でないと判定した場合、登録判定部423は対応撮影画像データにおけるガイド外の位置にある対象物の温度を気温に補正するように温度補正部43に指示する。
【0044】
前記の構成によれば、撮影された被測定者が登録されている人物であるか否かに応じて、気温および身体温度の何れか一方の温度を表示することができる。例えば、登録されている人物の身体温度の表示のみを行うことができる。
【0045】
≪温度補正部43≫
温度補正部43は、取得部41から温度データを受信する。また、温度補正部43は表示画像生成部44からガイド表示画像のデータを受信する。また、温度補正部43は、温度データが示す温度を気温または身体温度に補正する指示を判定部42から受信する。
【0046】
温度補正部43は、判定部42から受信した指示に応じて、温度データに含まれる中心温度を補正して、気温または身体温度を算出する。また、温度補正部43は、温度データに含まれるガイド表示画像におけるガイド外に位置する対象物の温度を補正して、気温を算出する。本明細書では、温度データが示す温度のうち、対象撮影画像であるガイド表示画像におけるガイド外に位置する対象物の温度をガイド外温度と呼称する。
【0047】
例えば、温度補正部43は、表示画像生成部44から受信したガイド表示画像のデータを参照して、温度データが示す温度のうちガイド外温度を示すデータを取得してもよい。温度補正部43はガイド外温度を以下の処理により算出してもよい。温度補正部43は、ガイド表示画像を複数のセルに分割し、当該分割されたセルのうちガイドの外に位置するセルを選択する。温度補正部43は選択したセルの中心に位置する対象物の温度の平均値をガイド外温度として算出する。
【0048】
温度補正部43は、算出した気温または身体温度を示すデータを表示画像生成部44に送信する。例えば、温度補正部43は補正した温度の種類を示すデータ、すなわち、補正することによって算出した温度が気温または身体温度のどちらであるかを示すデータを表示画像生成部44に送付してもよい。
【0049】
例えば、温度補正部43は、記憶部6に記憶されている、計算テーブル63を参照して、温度データが示す温度を補正して、気温または身体温度を算出してもよい。計算テーブル63は以下に示すテーブルをすべて含んでもよいし、一部を含んでいてもよい。
【0050】
〈ヒト用テーブル/モノ用テーブル〉
ヒトとモノとでは赤外線の放射率が異なる。ここで、モノとは、例えば、壁等である。ヒト用テーブル/モノ用テーブルは、対象物に応じた温度の補正用のテーブルである。
【0051】
例えば、温度を補正して気温を算出する場合、温度補正部43はモノ用のテーブルを参照する。すなわち、温度補正部43は対象物であるモノから検出した温度を補正して、気温を算出してもよい。また、被対象者から検出された温度を補正することによって身体温度を算出する場合、温度補正部43はヒト用のテーブルを参照する。
【0052】
〈熱放射補正用テーブル〉
温度センサ2としての赤外線センサと対象物との距離が遠い場合、赤外線センサが検出する熱放射は小さくなる。例えば、温度測定装置1は、対象物との距離を検出する距離センサを備えていてもよい。熱放射補正用テーブルは対象物の実際の温度を推定するための補正テーブルであって、温度センサ2が測定した対象物の実測値を対象物の距離に応じて補正するテーブルである。
【0053】
〈身体温度情報用テーブル〉
対象物が被測定者の顔の場合、顔のパーツ、例えば、目、鼻等、によって測定される温度は異なる。身体温度情報用テーブルは、それぞれのパーツの実測値を身体温度に補正するためのテーブルである。
【0054】
〈外気影響補正用テーブル〉
温度センサ2として赤外線センサによって被測定者を測定した場合、実測値は周囲の気温の影響をうける。例えば、周囲の気温が低いと、被測定者の体表面温度は低く計測される。しかし、実際の身体温度は、計測された体表面温度より高い。外気影響補正用テーブルは、周囲の気温に応じて、身体温度の実測値を補正する補正用テーブルである。当該テーブルを用いる構成では、身体温度を算出するための参照に用いるために、温度測定装置1は気温を測定してもよい。
【0055】
なお、本実施形態では、温度測定装置1は、取得部41が取得した温度データが示す温度を補正することによって気温または身体温度を算出する例について説明する。一方で、温度測定装置1は、判定部42の判定結果に応じて、取得部41が取得した温度データが示す温度そのままを気温または身体温度として表示してもよい。
【0056】
≪表示画像生成部44≫
表示画像生成部44は、取得部41が取得した撮影画像データから、表示部7が表示する表示画像を生成する。
【0057】
[ガイド表示画像の生成]
表示画像生成部44は、ガイドが示されているガイド表示画像の生成の指示を温度判定部421から受信すると、撮像画像にガイドを重畳したガイド表示画像を作成する。表示画像生成部44はガイド表示画像のデータをヒト判定部422、温度補正部43および表示制御部45に送信する。
【0058】
[温度表示画像の生成]
表示画像生成部44は、補正した気温または身体温度を示すデータを温度補正部43から受信する。また、表示画像生成部44は撮影画像データを取得部41から受信する。表示画像生成部44は、受信した気温または身体温度を示すデータに応じて、撮影画像と温度とを示す表示画像のデータを生成する。表示画像生成部44は生成した表示画像のデータを表示制御部45に送信する。
【0059】
≪表示制御部45≫
表示制御部45は、表示画像生成部44から受信した表示画像のデータが示す表示画像を表示部7に表示させる。
【0060】
<タイマ5>
タイマ5は、取得部41よるデータの取得開始からの経過時間を計測する。
【0061】
<記憶部6>
記憶部6は、閾値情報61、登録者情報62および計算テーブル63を記憶する。
【0062】
<表示部7>
表示部7は、表示制御部45の制御によって、判定部42の判定結果に応じて、気温および身体温度の何れか一方の温度を表示する。
【0063】
(温度測定装置1における測定処理の流れの例)
次に、図4を参照して、温度測定装置1における測定処理の例について説明する。図4は温度測定装置1が実行する測定処理の流れの一例を示すフローチャートである。図4に示すように、温度測定装置1の電源がONになると、取得部41は温度データを取得する(S1)。ここで、温度測定装置1の電源がONになった直後においては、判定部42は判定処理を行わず、温度補正部43は温度データに含まれる中心温度を補正して、気温を算出してもよい。続いて、表示制御部45は、気温を示す表示画像を表示部7に表示させることによって、気温を表示する(S2:表示ステップ)。続いて、取得部41はサンプリング周期であるか否かを判定する(S3)。サンプリング周期であると判定した場合(S3でYES)、取得部41は温度データを取得する(S4)。続いて、温度判定部421は温度データが示す温度が所定範囲内であるか否かを判定する(S5:判定ステップ)。温度判定部421が、当該温度は所定範囲内であると判定した場合(S5でYES)、表示制御部45はガイド表示画像を表示部7に表示する(S6)。続いて、ヒト判定部422は、ガイド表示画像におけるガイド内にヒトの顔が撮影されているか否かを判定することによって、ガイド内にヒトが撮影されているか否かを判定する(S7:判定ステップ)。ヒト判定部422が、ガイド内にヒトが撮影されていると判定した場合(S7でYES)、登録判定部423はガイド内に撮影されているヒト、すなわち、被測定者が登録者か否かを判定する(S8:判定ステップ)。登録判定部423が、被測定者が登録者である判定した場合(S8でYES)、温度補正部43は温度データが示す温度を身体温度に補正する(S9)。続いて、表示制御部45は、身体温度を示す表示画像を表示部7に表示させることによって、身体温度を表示する(S10:表示ステップ)。そして、処理はS3に戻る。また、取得部41がサンプリング周期でないと判定した場合(S3でNO)、処理は、再び、S3に戻る。
【0064】
また、温度判定部421が、温度データが示す温度が所定範囲内ではないと判定した場合(S5でNO)、温度補正部43は温度データが示す温度を気温に補正し(S11)、処理はS2に戻る。また、ヒト判定部422が、ガイド内にヒトが撮影されていないと判定した場合(S7でNO)、処理はS11に続く。また、登録判定部423が、被測定者が登録者ではないと判定した場合(S8でNO)、処理はS11に続く。
【0065】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。以下、本発明の一実施形態について、図5および図6を参照しながら詳細に説明する。
【0066】
(温度測定装置1aの概要)
はじめに、本実施形態の概要について説明する。本実施形態にかかる温度測定装置1aは、気温および身体温度のうちのいずれかの表示の選択のための入力操作を受け付ける受付部46aを備えている。温度測定装置1aの表示部7は、実施形態1にて説明した温度測定装置1の判定結果に加えて、受け付けた入力操作に応じて、気温および身体温度の何れか一方の温度を表示する。前記の構成によれば、温度測定装置1aは、入力操作による選択に応じて、気温および身体温度の何れか一方の温度を表示することができる。そのため、本実施形態にかかる温度測定装置1aは、プライバシーの観点等において、適切ではないタイミングによる身体温度の表示を低減することができる。
【0067】
(温度測定装置1aの構成)
次に、図5を参照して、温度測定装置1aの構成について説明する。図5は温度測定装置1aの要部構成を示すブロック図である。図5に示すように、温度測定装置1aは、温度センサ2、カメラ3、制御部4a、タイマ5、記憶部6、表示部7および操作入力部8aを備えている。
【0068】
<操作入力部8a>
操作入力部8aは、気温および身体温度の何れか一方の表示を選択するためのユーザによる入力操作を受け付ける。
【0069】
<制御部4a>
制御部4aが行う処理について、実施形態1にて説明した、制御部4とは異なる処理について説明する。
【0070】
≪判定部42a≫
判定部42aは、実施形態1に説明した登録判定部423の換わりに、登録判定部423aを備えている。登録判定部423aは、登録判定部423と同様に、判定開始の指示をヒト判定部422から受信すると、ガイド表示画像におけるガイド内に撮影されているヒトの顔が登録されているヒトの顔であるか否かを判定する。すなわち、登録判定部423aは、被測定者Uがデータベースに登録されている人物であるか否かを判定する。登録判定部423aが行う処理は、登録判定部423が行う処理と以下の点で異なる。被測定者Uが登録されている人物であると判定した場合、登録判定部423aは、表示画像生成部44aに、気温および身体温度のうちのいずれかの表示を選択するための入力操作用の表示画像の作成を指示する。
【0071】
≪温度補正部43a≫
温度補正部43aは、取得部41から温度データを受信する。また、温度補正部43aは表示画像生成部44からガイド表示画像のデータを受信する。また、温度補正部43aは、温度データが示す温度を気温または身体温度に補正する指示を判定部42aまたは受付部46aから受信する。
【0072】
温度補正部43aは、判定部42aまたは受付部46aから受信した指示に応じて、温度データに温度を補正して、気温または身体温度を算出する。温度補正部43bが行う、温度データの補正についての処理は実施形態1にて説明した処理と同様であるため、ここでの説明は繰り返さない。温度補正部43aは、算出した気温または身体温度を示すデータを表示画像生成部44aに送信する。例えば、温度補正部43aは補正した温度の種類を示すデータ、すなわち、補正することによって算出した温度が気温または身体温度のどちらであるかを示すデータを表示画像生成部44aに送付してもよい。
【0073】
≪表示画像生成部44a≫
表示画像生成部44aは、実施形態1にて説明した表示画像生成部44の処理に加え、登録判定部423aから受信した指示に応じて、入力操作用の表示画像を生成する。表示画像生成部44aは入力操作用の表示画のデータを表示制御部45に送信する。
【0074】
≪受付部46a≫
受付部46aは、操作入力部8aを介して、気温および身体温度の何れか一方の表示の選択を受け付ける。受付部46aは気温の表示および身体温度の表示のうち、どちらの表示の選択を受け付けたかを判定する。
【0075】
身体温度の表示の選択を受け付けたと判定した場合、受付部46aは中心温度を身体温度に補正するように温度補正部43aに指示する。
【0076】
気温の表示の選択を受け付けたと判定した場合、受付部46aは対応撮影画像データにおけるガイド外の位置にある対象物の温度を気温に補正するように温度補正部43aに指示する。
【0077】
(温度測定装置1aにおける測定処理の流れの例)
次に、図6を参照して、温度測定装置1aにおける測定処理の例について説明する。図6は温度測定装置1aが実行する測定処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、実施形態1にて説明した各処理については、同じ符号を付記し、ここでの詳細な説明は繰り返さない。
【0078】
図6に示すように、温度測定装置1の電源がONになると、取得部41は温度データを取得する(S1)。続いて、実施形態1にて説明したS2からS8の処理が行われる。登録判定部423aが、ガイド内に撮影されているヒトがデータベースに登録されていると判定した場合(S8でYES)、表示制御部45は、表示画像生成部44aが生成した入力操作用の表示画像を表示部7に表示させる(S12a)。続いて、受付部46aは(A)身体温度の表示、および、(B)気温の表示のうち、どちらの表示の選択を受け付けたかを判定する(S13a:判定ステップ)。受付部46aが、身体温度の表示の選択を受け付けたと判定した場合(S13aで(A))、温度補正部43aは温度データが示す中心温度を身体温度に補正し(S9)、処理はS10に続く。受付部46aが、気温の表示の選択を受け付けたと判定した場合(S13aで(B))、温度補正部43aは温度データが示す温度を気温に補正し(S11)、処理はS2に戻る。
【0079】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。以下、本発明の一実施形態について、図7および図8を参照しながら詳細に説明する。
【0080】
(温度測定装置1bの概要)
本実施形態にかかる温度測定装置1bは、距離センサ9bが検出した対象物との距離を取得する。温度測定装置1bは、検出された前記対象物の距離が所定閾値を下回るか否かを判定する。例えば、距離センサ9bは、距離センサ9bに対して所定の位置にある対象物の距離を検出してもよい。温度測定装置1bは、当該判定の結果に応じて、気温および身体温度の何れか一方の温度を表示する。
【0081】
例えば、ヒトが温度測定装置1bに近づいた場合、距離センサ9bが検出する対象物の距離が所定の距離よりも近くなる可能性が高い。前記の構成によれば、検出された対象物の距離が所定の距離よりも近いか否かに応じて、すなわち、ヒトが測定装置に近づいた可能性が高いか否かに応じて、気温および身体温度の何れか一方の温度を表示することができる。
【0082】
例えば、被測定者の身体温度の測定を行う場合、温度測定装置1bが備えるカメラ3のファインダーに被測定者が収まるように温度測定装置1bと被測定者との間の距離が固定されてもよい。被測定者が成人であれば、この距離はほぼ一定となる。当該距離を上述の所定閾値としてもよい。
【0083】
また、温度測定装置1bを据え置き型の測定装置とし、温度測定装置1bの周囲に対象物がない場合は温度を表示する構成としてもよい。例えば、ヒトが、温度測定装置1bが備える表示部7をのぞき込む、すなわち、温度測定装置1bの周囲に被測定者が存在した場合、換言すると、距離センサ9bが検出する距離に変化が生じた場合、温度測定装置1bは測定処理を開始してもよい。
【0084】
(温度測定装置1bの構成)
次に、図7を参照して、温度測定装置1bの構成について説明する。図7は温度測定装置1bの要部構成を示すブロック図である。図7に示すように、温度測定装置1bは、温度センサ2、カメラ3、制御部4b、タイマ5、記憶部6b、表示部7および距離センサ9bを備えている。
【0085】
<距離センサ9b>
距離センサ9bは対象物との距離を検出する。距離センサ9bは検出した距離を示す距離データを取得部41bに送信する。距離センサ9bは、距離センサ9bに対して所定の位置にある対象物の距離を検出してもよい。例えば、距離センサ9bは、当該対象物として、カメラ3が撮影する撮影画像の中心に位置する物体等の距離を検出してもよい。
【0086】
<制御部4b>
制御部4bは、温度測定装置1bの各部を統括して制御する。図7に示すように、制御部4bは取得部41b、判定部42b、温度補正部43b、表示画像生成部44bおよび表示制御部45を備えている。
【0087】
≪取得部41b≫
取得部41bは、実施形態1および実施形態2にて説明した取得部41が行う処理に加え、距離センサ9bが検出した対象物との距離を示す距離データを取得する。取得部41bは取得した温度データを温度補正部43bに送信する。また、取得部41bは取得した撮影画像データを表示画像生成部44bに送信する。また、取得部41bは取得した距離データを判定部42bに送信する。
【0088】
取得部41bは、例えば、タイマ5を参照して、温度センサ2、カメラ3および距離センサ9bから所定のサンプリングの周期にて、対象物の温度データ、撮影画像データおよび距離データを取得してもよい。取得部41bは1回目のデータの取得を行うと、タイマ5に経過時間を計測させる構成としてもよい。
【0089】
≪判定部42b≫
判定部42bは、検出された対象物の距離が所定閾値を下回るか否かを判定する。例えば、判定部42bは、記憶部6bに記憶されている、上述の所定閾値を示す閾値情報61bを参照して、判定を行ってもよい。
【0090】
当該距離が所定閾値を下回ると判定した場合、判定部42bは中心温度を身体温度に補正するように温度補正部43bに指示する。
【0091】
当該距離が所定閾値を下回らないと判定した場合、判定部42bは中心温度を気温に補正するように温度補正部43bに指示する。
【0092】
≪温度補正部43b≫
温度補正部43bは、取得部41bから温度データを受信する。また、温度補正部43bは、取得部41bから受信した温度データが示す温度を気温または身体温度に補正する指示を判定部42bから受信する。
【0093】
温度補正部43bは、判定部42bから受信した指示に応じて、温度データに含まれる中心温度を補正して、気温または身体温度を算出する。温度補正部43bが行う、温度データの補正についての処理は実施形態1にて説明した処理と同様であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0094】
温度補正部43bは、算出した気温または身体温度を示すデータを表示画像生成部44bに送信する。例えば、温度補正部43bは補正することによって算出した温度が気温または身体温度のどちらであるかを示すデータを表示画像生成部44bに送付してもよい。
【0095】
≪表示画像生成部44b≫
表示画像生成部44bは、温度補正部43bから、補正された気温または身体温度を示すデータを受信する。また、取得部41bから画像データを受信する。表示画像生成部44bは、受信した気温または身体温度を示すデータに応じて、気温または身体温度を示す表示画像のデータを生成して、表示制御部45に送信する。
【0096】
≪表示制御部45≫
表示制御部45は、表示画像生成部44bから受信した表示画像のデータが示す表示画像を表示部7に表示させる。
【0097】
<記憶部6b>
記憶部6bは、閾値情報61bおよび計算テーブル63を記憶する。
【0098】
(温度測定装置1bにおける測定処理の流れの例)
次に、図8を参照して、温度測定装置1bにおける測定処理の例について説明する。図8は温度測定装置1bが実行する測定処理の流れの一例を示すフローチャートである。図8に示すように、温度測定装置1bの電源がONになると、取得部41bは温度データおよび距離データを取得する(S21)。続いて、判定部42bは、距離データが示す距離が所定閾値を下回る否かを判定する(S22:判定ステップ)。判定部42bが、距離が所定閾値を下回らないと判定した場合(S22でNO)、温度補正部43bはモノ用テーブル等を用いて、温度データが示す温度を気温に補正する(S23)。続いて、表示制御部45は、気温を示す表示画像を表示部7に表示させることによって、気温を表示する(S24:表示ステップ)。続いて、取得部41bはサンプリング周期であるか否かを判定する(S27)。取得部41bがサンプリング周期であると判定した場合(S27でYES)、処理はS21に戻る。また、取得部41bがサンプリング周期でないと判定した場合(S27でNO)、処理は、再び、S27に戻る。
【0099】
また、判定部42bが、距離が所定閾値を下回ると判定した場合(S22でYES)、温度補正部43bはヒト用テーブル等を用いて、温度データが示す温度を身体温度に補正する(S25)。続いて、表示制御部45は、身体温度を示す表示画像を表示部7に表示させることによって、身体温度を表示する(S26:表示ステップ)。そして、処理はS27に続く。
【0100】
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。以下、本発明の一実施形態について、図9から図10を参照しながら詳細に説明する。
【0101】
(温度測定装置1cの概要)
本実施形態にかかる温度測定装置1cは、距離センサ9bが検出した対象物との距離を取得する。温度測定装置1cは、検出された前記対象物の距離が所定閾値を下回るか否かを判定する。さらに、温度測定装置1cは温度センサ2が検出した対象物の温度データを取得し、検出された対象物の温度が所定閾値を超えるか否かを判定する。温度測定装置1cは、当該判定の結果に応じて、気温および身体温度の何れか一方の温度を表示する。
【0102】
前記の構成によれば、対象物が近づいたか否かだけでなく、さらに対象物の温度が所定閾値を超えるか否かに応じて、気温および身体温度の何れか一方の温度を表示することができる。例えば、所定閾値をヒトでは検知できない低温の温度として、対象物の温度が所定閾値よりも高い場合は身体温度を表示する構成としてもよい。そのため、対象物から検出されたヒトでは検知できない低い温度について、身体温度として表示することを低減することができる。例えば、所定閾値の例として、30℃等を例に挙げることができる。
【0103】
(温度測定装置1cの構成)
次に、図9を参照して、温度測定装置1cの構成について説明する。図9は温度測定装置1cの要部構成を示すブロック図である。図9に示すように、温度測定装置1cは、温度センサ2、カメラ3、制御部4c、タイマ5、記憶部6b、表示部7および距離センサ9bを備えている。
【0104】
<制御部4c>
制御部4cは、温度測定装置1cの各部を統括して制御する。図9に示すように、制御部4cは取得部41c、判定部42c、温度補正部43c、表示画像生成部44bおよび表示制御部45を備えている。
【0105】
≪取得部41c≫
取得部41cは、取得部41bが行う処理に加え、取得した温度データを判定部42cおよび温度補正部43cに送信する。また、取得部41cは取得した撮影画像データを表示画像生成部44bに送信する。また、取得部41cは取得した距離データを判定部42cに送信する。
【0106】
≪判定部42c≫
判定部42cは、距離判定部424cおよび身体温度判定部425cを備えている。判定部42cは取得部41cから距離データおよび温度データを受信する。
【0107】
〈距離判定部424c〉
距離判定部424cは、実施形態3にて説明した判定部42bと同様に、検出された対象物の距離が所定閾値を下回るか否かを判定する。
【0108】
当該距離が所定閾値を下回ると判定した場合、距離判定部424cは身体温度判定部425cに判定処理の開始を指示する。
【0109】
当該距離が所定閾値を下回らないと判定した場合、距離判定部424cは中心温度を気温に補正するように温度補正部43cに指示する。
【0110】
〈身体温度判定部425c〉
身体温度判定部425cは、距離判定部424cから判定処理の開始の指示を受信すると以下の処理を行う。身体温度判定部425cは、温度データが示す温度、すなわち、検出された対象物の温度が所定閾値を超えるか否かを判定する。
【0111】
対象物の温度が所定閾値を超えると判定した場合、身体温度判定部425cは、中心温度を身体温度に補正するように温度補正部43cに指示する。
【0112】
対象物の温度が所定閾値以下と判定した場合、身体温度判定部425cは、中心温度を気温に補正するように温度補正部43cに指示する。
【0113】
≪温度補正部43c≫
温度補正部43cは、取得部41cから温度データを受信する。また、温度補正部43cは、取得部41cから受信した温度データが示す温度を気温または身体温度に補正する指示を判定部42cから受信する。
【0114】
温度補正部43cは、判定部42cから受信した指示に応じて、温度データに含まれる中心温度を補正して、気温または身体温度を算出する。温度補正部43cが行う、温度データの補正についての処理は実施形態1にて説明した処理と同様であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0115】
温度補正部43cは、算出した気温または身体温度を示すデータを表示画像生成部44bに送信する。例えば、温度補正部43cは補正することによって算出した温度が気温または身体温度のどちらであるかを示すデータを表示画像生成部44bに送付してもよい。
【0116】
≪表示画像生成部44b≫
表示画像生成部44bは、温度補正部43cから、補正された気温または身体温度を示すデータを受信する。また、取得部41cから撮影画像データを受信する。表示画像生成部44bは、受信した気温または身体温度を示すデータに応じて、気温または身体温度を示す表示画像のデータを生成して、表示制御部45に送信する。
【0117】
≪表示制御部45≫
表示制御部45は、表示画像生成部44bから受信した表示画像のデータが示す表示画像を表示部7に表示させる。
【0118】
(温度測定装置1cにおける測定処理の流れの例)
次に、図10を参照して、温度測定装置1cにおける測定処理の例について説明する。図10は温度測定装置1cが実行する測定処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、実施形態3にて説明した各処理については、同じ符号を付記し、ここでの詳細な説明は繰り返さない。図10に示すように、温度測定装置1cの電源がONになると、取得部41cは温度データおよび距離データを取得する(S21)。続いて、距離判定部424cは、距離データが示す距離が所定閾値を下回るか否かを判定する(S22:判定ステップ)。距離判定部424cが、距離が所定閾値を下回ると判定した場合(S22でYES)、身体温度判定部425cは検出された対象物の温度が所定閾値を超えるか否かを判定する(S28c:判定ステップ)。身体温度判定部425cが、検出された対象物の温度が所定閾値を超えると判定する場合(S28cでYES)、処理はS25、S26およびS27に続く。
【0119】
また、距離判定部424cが、距離が所定閾値を下回らないと判定した場合(S22でNO)、処理はS23、S24およびS27に続く。また、身体温度判定部425cが、検出された対象物の温度が所定以下と判定する場合(S28cでNO)、処理はS23、S24およびS27に続く。
【0120】
(変形例)
本変形例にかかる温度測定装置1、1a、1bおよび1cの表示制御部45が表示部7に表示させる気温を示す表示画像の一例について説明する。図11は、本変形例にかかる気温を示す表示画像D4の一例を示す図である。図11に示すように、表示画像D4においては、カメラ3が撮影した撮影画像が複数のセルに分割されて表示されている。また、各セルには、当該セルの中心に位置する対象物から検出された温度に基づいて補正された気温が表示されている。
【0121】
〔ソフトウェアによる実現例〕
温度測定装置1、1a、1bおよび1c(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部4、4a、4bおよび4cに含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0122】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0123】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0124】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0125】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0126】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る温度測定装置(測定装置)1、1a、1b、1cは、気温および被測定者の身体温度を測定する測定装置であって、所定の条件を満たすか否かを判定する判定部42、42a、42b、42cと、当該判定の結果に応じて、前記気温および前記身体温度の何れか一方の温度を表示する表示部7とを備えている。
【0127】
前記の構成によれば、所定の条件を満たすか否かに応じて、気温および身体温度の何れか一方の温度を表示する。そのため、気温および身体温度の何れか一方を、適切に、表示することができる。すなわち、気温および身体温度の表示の切り替えを適切に行うことができるという効果を奏する。また、1つの表示部において、気温と身体温度との表示の切り替えを適切に行うことができるという効果を奏する。
【0128】
本発明の態様2に係る温度測定装置1、1aは、上記態様1において、温度センサ2が検出した対象物の温度データを取得する取得部41を備えており、前記判定部42、42aは、検出された前記対象物の温度が所定範囲内であるか否かを判定してもよい。
【0129】
例えば、所定の範囲の温度を、ヒトの標準的な身体温度以上としてもよい。また、所定の範囲の温度が、これまでに取得された温度と現在の測定にて検出された温度との差分値が閾値以上となる温度としてもよい。また、所定の範囲の温度を、所定の期間の変化率が閾値以上となる温度としてもよい。
【0130】
例えば、ヒトが測定装置に近づいた場合、検出される温度は上昇し得る。そのため、上述のような所定の範囲の温度が検出され得る。
【0131】
前記の構成によれば、検出された対象物の温度が所定の範囲の温度であるか否かに応じて、すなわち、ヒトが測定装置のそばに近づいた可能性が高いか否かに応じて、気温および身体温度の何れか一方の温度を表示することができるという効果を奏する。
【0132】
本発明の態様3に係る温度測定装置1、1aは、上記態様2において、前記取得部41は、カメラ3が撮影した被測定者の撮影画像データを取得し、前記判定部42、42aは、前記被測定者が登録されている人物であるか否かを判定してもよい。
【0133】
前記の構成によれば、撮影された被測定者が登録されている人物であるか否かに応じて、気温および身体温度の何れか一方の温度を表示することができるという効果を奏する。例えば、登録されている人物の身体温度の表示のみを行い、登録されていない人物の身体温度の表示は行わない構成としてもよい。
【0134】
本発明の態様4に係る温度測定装置1aは、上記態様2または3において、前記気温および前記身体温度のうちのいずれかの表示の選択のための入力操作を受け付ける受付部46aをさらに備えており、前記表示部7は、受け付けた前記入力操作に応じて、前記気温および前記身体温度の何れか一方の温度を表示してもよい。
【0135】
前記の構成によれば、入力操作による選択に応じて、気温および身体温度の何れか一方の温度を表示することができる。そのため、例えば、プライバシーの観点等において、適切ではないタイミングによる身体温度の表示を低減することができるという効果を奏する。
【0136】
本発明の態様5に係る温度測定装置1b、1cは、上記態様1において、距離センサ9bが検出した対象物との距離データを取得する取得部41b、41cを備えており、前記判定部42b、42cは、検出された前記対象物の距離が所定閾値を下回るか否かを判定してもよい。
【0137】
例えば、ヒトが測定装置に近づいた場合、距離センサ9bが検出する対象物の距離が所定の距離よりも近くなる可能性が高い。
【0138】
前記の構成によれば、検出された前記対象物の距離が所定の距離よりも近いか否かに応じて、すなわち、ヒトが測定装置に近づいた可能性が高いか否かに応じて、気温および身体温度の何れか一方の温度を表示することができるという効果を奏する。
【0139】
本発明の態様6に係る温度測定装置1cは、上記態様5において、前記取得部41cは、温度センサ2が検出した対象物の温度データを取得し、前記判定部42cは、検出された前記対象物の温度が所定閾値を超えるか否かを判定してもよい。
【0140】
前記の構成によれば、前記対象物が近づいたか否かだけでなく、さらに対象物の温度が所定の温度よりも高いか否かに応じて、気温および身体温度の何れか一方の温度を表示することができるという効果を奏する。例えば、所定の温度をヒトでは検知できない低温の温度として、対象物の温度が所定の温度よりも高い場合は身体温度を表示する構成としてもよい。
【0141】
本発明の態様7に係る温度測定装置1、1a、1b、1cの制御方法は、気温および被測定者の身体温度を測定する測定装置の制御方法であって、所定の条件を満たすか否かを判定する判定ステップS5、S7、S8、S13a、S22、S28cと、当該判定の結果に応じて、前記気温および前記身体温度の何れか一方の温度を表示する表示ステップS2、S10、S24、S26とを含む。前記の構成によれば、上記態様1と同様の効果を奏する。
【0142】
本発明の各態様に係る測定装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記測定装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記測定装置をコンピュータにて実現させる測定装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0143】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0144】
1、1a、1b、1c 温度測定装置(測定装置)
2 温度センサ
3 カメラ
7 表示部
8a 操作入力部
9b 距離センサ
41、41b、41c 取得部
42、42a、42b、42c 判定部
46a 受付部
S5、S7、S8、S13a、S22、S28c 判定ステップ
S2、S10、S24、S26 表示ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11