(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001362
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】装飾性の物のためのディスプレーデバイス
(51)【国際特許分類】
A47F 11/06 20060101AFI20231226BHJP
H05B 47/155 20200101ALI20231226BHJP
H05B 47/125 20200101ALI20231226BHJP
【FI】
A47F11/06
H05B47/155
H05B47/125
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023189217
(22)【出願日】2023-11-06
(62)【分割の表示】P 2021103854の分割
【原出願日】2021-06-23
(31)【優先権主張番号】20186983.1
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・デュビュニョン
(72)【発明者】
【氏名】セドリック・ブラッテル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】照明の動的、適応的、自動的な制御などを用いて、装飾性の物の照明を改善する。
【解決手段】装飾性の物2をディスプレーするためのディスプレーデバイス1は、支持体5を備えるケース4を備え、支持体5において、関心領域3が定められ、関心領域内にて装飾性の物2が配置される。ディスプレーデバイス1は、視認者と装飾性の物を識別するための識別デバイスと、関心領域3を照らすための照明システムと、処理ユニットとを備える。照明システムは、視認者の視認プロファイル、視認者の挙動的状態、装飾性の物の特徴に応じて、関心領域3を照らすように構成している発光体を備える主照明デバイスと副照明デバイス8bを備える。装飾性の物2に対する視認者の視覚的知覚に関する基準に応じて、主照明デバイス、副照明デバイスの照明の性質を制御する命令を生成し、それぞれの制御を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾性の物(2)をディスプレーするためのディスプレーデバイス(1)であって、
支持体(5)を備えるケース(4)を備え、
前記支持体(5)において、関心領域(3)が定められ、
前記関心領域(3)内にて前記装飾性の物(2)が配置され、かつ/又は扱われること
が想定されており、
前記ディスプレーデバイス(1)は、視認者と前記装飾性の物(2)を識別するための
識別デバイス(6a、6b)と、前記関心領域(3)を照らすための照明システム(7)
と、及び処理ユニット(10)とを備え、
前記照明システム(7)は、視認者の視認プロファイル、及び/又は視認者の挙動的状
態、及び/又は前記装飾性の物(2)の特徴に応じて、前記関心領域(3)を照らすよう
に構成している発光体を備える主照明デバイス(8a)と副照明デバイス(8b)を備え
、
前記処理ユニット(10)は、前記装飾性の物(2)に対する視認者の視覚的知覚に関
する基準に応じて、前記主照明デバイス(8a)及び/又は前記副照明デバイス(8b)
の照明の性質を制御するための命令を生成し、前記主照明デバイス(8a)及び/又は前
記副照明デバイス(8b)をその性質を制御するための前記命令に応じて制御するように
構成している
ことを特徴とするディスプレーデバイス(1)。
【請求項2】
前記識別デバイス(6a)は、視認者を認証するための認証モジュール(11a)と、
及びこの視認者の挙動的状態を識別するための識別モジュール(11b)とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載のディスプレーデバイス(1)。
【請求項3】
前記ケース(4)には、ベース(12a)と天井部(12b)、側面、背面、及び前面
があり、
これらの側面、背面、及び前面は、前記ベース(12a)と前記天井部(12b)とと
もに、前記関心領域(3)が定められる内側空間を定め、
前記ケース(4)には、前記前面のすべて又は一部に、外部から前記装飾性の物を見る
ための領域がある
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のディスプレーデバイス(1)。
【請求項4】
前記処理ユニット(10)は、視認者と前記装飾性の物(2)を識別するための前記識
別デバイス(6a、6b)と、視認者に対する視認プロファイルデータ、視認者の挙動的
状態に関連する視認プロファイルデータ、前記装飾性の物と視認者の特徴に関するデータ
、及び/又は装飾性の物識別データを含むデータベース(13)に接続される
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のディスプレーデバイス(1)。
【請求項5】
前記主照明デバイス(8a)は、複数の発光体、又は変調器につながった単一の発光体
をそれぞれ備える、第1の照明モジュール(9a)、第2の照明モジュール(9b)及び
/又は第3の照明モジュール(9c)を備える
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のディスプレーデバイス(1)。
【請求項6】
前記第1の照明モジュール(9a)は、前記関心領域(3)の上方に配置され、したが
って、前記支持体(5)のプレートの上方に配置され、
前記第2の照明モジュール(9b)は、前記関心領域(3)の下方に配置され、したが
って、前記支持体(5)のプレートの下方に配置され、
前記第3の照明モジュール(9c)は、前記関心領域(3)のまわりに配置されており
、したがって、前記支持体(5)のプレートのまわりに配置される
ことを特徴とする請求項5に記載のディスプレーデバイス(1)。
【請求項7】
前記主照明デバイス(8a)は、前記関心領域(3)の全体的又は部分的にまわりに配
置され前記ケース(4)の前記ベース(12a)と前記天井部(12b)の間にて鉛直方
向に延在している調整要素(14)を備える
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のディスプレーデバイス(1)。
【請求項8】
前記調整要素(14)は、前記処理ユニット(10)によって制御され、反射状態と散
乱状態の間で切り替わることができ、
前記反射状態においては、前記第1、第2又は第3の照明モジュール(9a、9b、9
c)から前記関心領域(3)の方へと発せられる光放射を反射し、
前記散乱状態においては、前記副照明デバイス(8b)から前記関心領域(3)の方へ
と発せられる光放射を散乱する
ことを特徴とする請求項7に記載のディスプレーデバイス(1)。
【請求項9】
前記ディスプレーデバイス(1)は、前記装飾性の物(2)を見ている視認者の頭部を
監視するための監視デバイス(15)と、及び前記視認者の目に感知される明るさを測定
するための測定デバイス(16)を備える
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のディスプレーデバイス(1)。
【請求項10】
前記副照明デバイス(8b)は、前記ケース(4)の外側、特に、前記ケース(4)の
上方に、配置される
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のディスプレーデバイス(1)。
【請求項11】
前記装飾性の物(2)は、宝飾品又は計時器である
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のディスプレーデバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾性の物のためのディスプレーデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術においては、計時器のような物、特に、貴重な材料や貴石を用いた物は、伝統
的に、ランプを備えるディスプレーデバイス内にて展示されて照らされて、まわりの人々
に見えるようにされる。
【0003】
しかし、このようなデバイスの大きな課題として、不適切な、ランプ、より一般的には
、照明システム、に起因して、これらの物を十分に展示することができないことがある。
【0004】
このように、これらの装飾性の物の最適な照明を実現するための手法が必要であること
がわかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような状況で、本発明は、装飾性の物を良く展示するために、特に、照明の動的、
適応的、自動的な制御を用いて、装飾性の物の照明を改善することを可能にする手法を提
案することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、装飾性の物をディスプレーするためのディスプレーデバイスに関する。これ
は、支持体を備えるケースを備え、前記支持体において、関心領域が定められ、前記関心
領域内にて前記装飾性の物が配置され、かつ/又は扱われることが想定されており、前記
ディスプレーデバイスは、視認者と前記装飾性の物を識別するための識別デバイスと、前
記関心領域を照らすための照明システムと、及び処理ユニットとを備え、前記照明システ
ムは、視認者の視認プロファイル、及び/又は視認者の挙動的状態、及び/又は前記装飾
性の物の特徴に応じて、前記関心領域を照らすように構成している発光体を備える主照明
デバイスと副照明デバイスを備え、前記処理ユニットは、前記装飾性の物に対する視認者
の視覚的知覚に関する基準に応じて、前記主照明デバイス及び/又は前記副照明デバイス
の照明の性質を制御するための命令を生成し、前記主照明デバイス及び/又は前記副照明
デバイスをその性質を制御するための前記命令に応じて制御するように構成している。
【0007】
他の実施形態においては、以下の特徴がある。
- 前記識別デバイスは、視認者を認証するための認証モジュールと、及びこの視認者の
挙動的状態を識別するための識別モジュールとを備える。
- 前記ケースには、ベースと天井部、側面、背面、及び前面があり、これらの側面、背
面、及び前面は、前記ベースと前記天井部とともに、前記関心領域が定められる内側空間
を定め、前記ケースには、前記前面のすべて又は一部に、外部から前記装飾性の物を見る
ための領域がある。
- 前記処理ユニットは、視認者と、装飾性の物を識別するための識別デバイスに接続さ
れる。
- 前記処理ユニットは、視認者に対する視認プロファイルデータ、視認者の挙動的状態
に関連する視認プロファイルデータ、前記装飾性の物と視認者の特徴に関するデータ、及
び/又は装飾性の物識別データを含むデータベースに接続される。
- 前記主照明デバイスは、複数の発光体をそれぞれ備える、第1の照明モジュール、第
2の照明モジュール及び/又は第3の照明モジュールを備える。
- 前記主照明デバイスは、変調器につながった単一の発光体をそれぞれ備える、第1の
照明モジュール、第2の照明モジュール及び/又は第3の照明モジュールを備える。
- 前記第1の照明モジュールは、前記関心領域の上方に配置され、したがって、前記支
持体のプレートの上方に配置される。
- 前記第2の照明モジュールは、前記関心領域の下方に配置され、したがって、前記支
持体のプレートの下方に配置される。
- 前記第3の照明モジュールは、前記関心領域のまわりに配置されており、したがって
、前記支持体のプレートのまわりに配置される。
- 前記主照明デバイスは、前記関心領域の全体的又は部分的にまわりに配置され前記ケ
ースの前記ベースと前記天井部の間にて鉛直方向に延在している調整要素を備える。
- 前記調整要素は、前記処理ユニットによって制御され、反射状態と散乱状態の間で切
り替わることができ、前記反射状態においては、前記第1、第2又は第3の照明モジュー
ルから前記関心領域の方へと発せられる光放射を反射し、前記散乱状態においては、前記
副照明デバイスから前記関心領域の方へと発せられる光放射を散乱する。
- 前記ディスプレーデバイスは、前記装飾性の物を見ている視認者の頭部を監視するた
めの監視デバイスと、及び前記視認者の目に感知される明るさを測定するための測定デバ
イスを備える。
- 前記副照明デバイスは、前記ケースの外側、特に、前記ケースの上方に、配置される
。
- 前記装飾性の物は、宝飾品又は計時器である。
【0008】
以下、例として与えられる添付の図面を用いて、本発明について詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る、装飾性の物のためのディスプレーデバイスの図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る、装飾性の物が配置されたディスプレーデバイスの展示ケースの図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、装飾性の物2をディスプレーするためのディスプレーデバイス1を示しており
、これは、支持要素5を備える展示ケース4を備え、この支持要素5上に関心領域3が形
成されている。この関心領域3内に前記装飾性の物2が配置される可能性が高い。この装
飾性の物2は、計時器、宝飾品又は貴石であることができるが、これらに限られず、また
、これらがすべてを網羅しているわけではない。
【0011】
このようなディスプレーデバイス1の目的は、関心領域3内にある装飾性の物2を見た
り扱ったりする人に対して、この装飾性の物2の視覚的知覚を提供することであり、この
装飾性の物2は、このディスプレーデバイス1に適合していたり、さらには、このディス
プレーデバイス1用に作られていたりする。この視覚的知覚は、この人の脳がこの物に関
する少なくとも1つの情報を解釈した結果であると定義することができる。この情報は、
光の放射に含まれており、これは、光受容体によって捕捉され、その人の瞳孔から入り、
その人の目の網膜にある受容細胞を活性化させる。これらの細胞によって作られた信号は
、視神経を介して脳に伝えられる。本発明の説明においては、関心領域3においてこの装
飾性の物2を見たり扱ったりするこの人を「視認者」と呼ぶことにする。
【0012】
このディスプレーデバイス1において、
図2に示しているケース4を「ディスプレーケ
ース」や「ディスプレーボックス」と呼ぶことがある。このケース4には、ベース12a
と天井部12bと、ガラス張りになっている側面、背面、及び前面がある。この前面は透
明であり、側面や背面も透明や半透明である。代替的実施形態の1つにおいて、このケー
ス4のベース12aと天井部12bも、ガラス張りであって透明又は半透明であることも
できる。これらの面は、ベース12aと天井部12bともに、装飾性の物2が配置される
関心領域3を含むケース4の内側空間を定めている。この関心領域3は、支持体5のプレ
ートの全体又は一部上にある。この支持体5は、さらに、このプレートをケース4内に固
定するための少なくとも1つの固定要素を備える。前記少なくとも1つの固定要素は、好
ましくは、前記ケース4のベース12aに接続され、これによって、支持体5の脚部を形
成している。代替的実施形態の1つにおいて、前記少なくとも1つの固定要素は、ベース
12a、及び/又は天井部12b、及び/又は一又は複数の側面、及び/又は背面、に接
続されることができる。なお、前記プレートと前記少なくとも1つの固定要素は、透明又
は半透明であることができる。また、ケース4には、装飾性の物を外部から見るための視
認領域が設けられている。この視認領域は、このケース4の前面のすべて又は一部におい
て形成されている。この視認領域は、この前面に形成された開口であることができ、また
、この前面にある透明な部分であることができる。開口である場合、この開口には、随意
的に、スペクトル的、空間的、そして、時間的な変調が可能な偏光フィルターを備えるこ
とができる。なお、最後に、ケース4における天井部12a及び/又はベース12bに平
行な断面は、多角形である。
【0013】
ディスプレーデバイス1は、さらに、処理ユニット10を備え、この処理ユニット10
は、特に、以下で説明するように、識別される視認者、及び/又はその挙動的状態、及び
/又は装飾性の物3の特徴、に応じた関心領域3の照明の制御/管理に寄与する。この処
理ユニット10は、コンピューターであることができ、ハードウェア資源及びソフトウェ
ア資源、特に、メモリー要素と連係する少なくとも1つのプロセッサー、を備える。この
処理ユニット10は、関心領域3の照明を管理するために、コンピュータープログラムの
命令を実行することができる。このような処理ユニット10は、ディスプレーデバイス1
の他の要素に接続されており、これは、例えば、視認者及び装飾性の物2の識別デバイス
6a、6b、視認者の頭部を監視するデバイス15、装飾性の物2の面の一部に対する明
るさを測定するための測定デバイス16、データベース13、及び前記関心領域3を照ら
すシステムである。
【0014】
視認者識別デバイス6aは、視認者を識別するための識別モジュール11aと、この視
認者の挙動的状態を識別するための識別モジュール11bを備える。視認者認証モジュー
ル11aは、生体認証や無線認証に関連する従来技術においてよく知られている技術に基
づいて、そして、データベース13に格納されている視認者識別データに基づいて、この
視認者の識別又は認証の実行に寄与するように構成している。このような認証モジュール
11aは、視認者がディスプレーデバイス1に知られており、その識別/認証データがデ
ータベース13に既に存在している場合に、識別デバイス6aが実行するように実装され
る。視認者の挙動的状態を識別するための識別モジュール11bは、認証モジュール11
aによるこの視認者の認証に加えて、この視認者がディスプレーデバイス1に知られてい
ない場合に実行されるように実装される。この視認者の挙動的状態を識別するための識別
モジュール11bは、視認者に関する少なくとも1つの画像と少なくとも1つの音の要素
を撮影するシステムと、画像と音の要素をデジタル処理するアルゴリズムを搭載している
。したがって、このような識別モジュール11bは、この視認者の体の動きや声の捕捉に
基づいて、視認者の興奮した挙動的状態、また逆に、落ち着いた挙動的状態を識別するた
めなどに用いることができる。これに関連して、頻度と振幅が大きい視認者の腕の動きは
、高い声のトーンと組み合わさって、かなり興奮した挙動的状態を反映しているとするこ
とができる。また、この挙動的状態を識別するための識別モジュール11bは、この視認
者の年齢、性別、体温、呼吸数を評価することができる。なお、これに限定されず、これ
がすべてを網羅しているわけではない。この視認者の挙動的状態の識別は、ディスプレー
デバイス1によって考慮されて、関心領域の適切な照明を定める。
【0015】
上述したように、ディスプレーデバイス1は、さらに、装飾性の物2を識別するための
識別デバイス6bを備える。この装飾性の物2を識別するための識別デバイス6bにおい
ては、デジタル画像処理アルゴリズムに関連づけられた、少なくとも1つの画像を捕捉す
るための捕捉システムが実装されている。このようなデバイスは、データベース13に格
納されている物識別データから物を識別することに寄与する。この物識別データには、特
に、各物の形状、寸法構成及び/又は美的外観が記述されている、これらの物の2次元又
は3次元的ディスプレーデータ、そして、この物が作られている材料の性質に関連するデ
ータが含まれる。また、このデータは、物に存在することができる2次元又は3次元的な
バーコードやシリアルナンバーのタイプの情報データを含むこともできる。
【0016】
この構成において、処理ユニット10と、視認者と装飾性の物2を識別するための識別
デバイス6a、6bと、データベース13とが、視認者、及び/又は、装飾性の物2、及
び/又はこの視認者の挙動的状態、を認証することに共同で寄与して、この視認者に固有
の関心領域3の照明が実現することを理解することができる。
【0017】
特に、関心領域3の照明の構成は、識別された/認証された視認者の視認プロファイル
、及び/又は識別された物の少なくとも1つの特徴、及び/又はこの視認者の挙動のプロ
ファイルに応じて、行われる。この照明の構成は、照明デバイス7を制御する処理ユニッ
ト10によって行われる。このようなシステム7は、主照明デバイス8aと副照明デバイ
ス8b、そして、関心領域3の照明を調整するための調整要素14を備える。この主照明
デバイス8aは、ケース4の内部に備えられ、一方、副照明デバイス8bは、このケース
4の外部に配置される。これらの主及び副照明デバイス8a、8bそれぞれは、複数の発
光体を備える。代わりに、各照明デバイス8a、8bは、変調器につながった単一の発光
体を備えることができる。これに関連して、この変調器は、このダイオードの光スペクト
ル、そして、このダイオードの光放射の、強度/振幅、向き及び/又は指向性の度合い、
及び/又は散乱、を変調することができる。発光体は、さらに、発光ダイオードを備え、
代替的実施形態の1つにおいて、マイクロレンズ又は他の光学的手段を備える。なお、代
替的実施形態の1つにおいて、発光体にこのようなダイオードを用いないことも可能であ
る。
【0018】
主照明デバイス8aは、3つの照明モジュール9a~9cを備える。副照明デバイス8
bは、ケース4の上方に配置される照明モジュールを備える。この照明モジュールは、地
面から測った高さが、主照明デバイス8aの3つの照明モジュールの高さよりも高い位置
に配置される。この副照明デバイス8bの単一の照明モジュールは、ケース4とその周辺
領域にまでわたる光放射を発する。このような照明モジュールは、好ましくは、このケー
ス4の環境において均等な照明を発生させる。
【0019】
主照明デバイス8aにおいて、第1の照明モジュール9aは、関心領域3の上方、した
がって、支持体5のプレートの上方、に配置される。特に、この第1の照明モジュール9
aは、ケース4の天井部12bのすべて又は一部に配置される。照明デバイス8aは、さ
らに、関心領域3の下方、したがって、支持体5のプレートの下方、に配置される第2の
照明モジュール9bを備える。特に、この第2の照明モジュール9bは、そのすべて又は
一部が、ケース4のベース12a上に配置される。最後に、この照明デバイス8aは、関
心領域3の周辺、したがって、支持体5のプレートの周辺、に配置される第3の照明モジ
ュール9cを備える。実際に、この第3の照明モジュールは、ケース4の角部のすべて又
は一部に配置される。ケース4の各角部は、面どうしの交差部に形成されるケース4の凸
角の範囲内にある。これらの角部は、このケース4のベース12aと天井部12bの間に
て鉛直方向に延在している。すなわち、これらの角部のそれぞれが延在している方向は、
天井部12b又はベース12aを含む平面に対して実質的に垂直ないし垂直である。
【0020】
代替的実施形態の1つにおいて、主照明デバイス8aは、以下で説明する関心領域3の
照明を調整するための調整要素14とともに、第1及び第2の照明モジュール9a、9b
のみを備える。
【0021】
別の代替的実施形態において、主照明デバイス8aは、調整要素14とともに第3の照
明モジュール9cのみを備える。なお、この後者の代替的実施形態において、ベース12
a及び天井部12bがそれぞれ、好ましくは、透明又は半透明であることを理解すること
ができる。
【0022】
この調整要素14は、処理ユニット10に接続されており、全体的に又は部分的に関心
領域3のまわりに配置され、ケース4のベース12aと天井部12bの間にて鉛直方向に
延在している。このような調整要素14には、開口が形成されており、この開口を通して
、視認者が、関心領域3、特に、装飾性の物2、を見ることができ、さらには扱うことが
できる。この調整要素14は、処理ユニット10によって制御され、以下の状態の間を切
り替えることができる。
- 第1、第2又は第3の照明モジュール9a~9cから関心領域3の方へと発せられる
光放射を反射する反射状態
- 第3の照明モジュール9c及び/又は第2の照明デバイス8bから関心領域3の方へ
と発せられる光放射を散乱する散乱状態
【0023】
この調整要素14は、ケース4内における関心領域3と、実質的に側面や背面である面
との間に配置されるパネルであることができる。代替的実施形態の1つにおいて、この調
整要素14は、これらの側面と背面の内面及び/又は外面に、コーティングのような形態
で設けることができる。代替的実施形態の1つにおいて、この調整要素14は、これらの
側面と背面の厚み内にて直接的に備えられていることができる。なお、これら2つの代替
的実施形態において、エレクトロクロミック、フォトクロミック、サーモクロミック又は
液晶のタイプの技術を用いて制御要素14を動作させることができる。
【0024】
視認者がディスプレーデバイス1に既に知られており、したがって、認証されている場
合、照明システム7とデータベース13に接続されている処理ユニット10によって照明
を構成する。この構成は、データベース13に含まれるデータに基づいて評価される視覚
的認識基準に基づいて行われ、このデータは、以下に関連する。
- その認証されている視認者の視認プロファイル、及び/又は
- 識別された装飾性の物2についての、物理的、化学的、美的、機能的及び構造的な特
徴のような特徴、及び/又は
- この視認者の識別された挙動的状態に対する視認プロファイル
【0025】
視認者に対する視認プロファイルデータは、視覚的知覚に影響を与える生理的及び生物
学的なデータを含む。なお、これらの生理学的及び生物学的データは、以下に関連するも
のであることができる。
- 年齢
- 視認者の性別
- 視認者の眼系の特徴(まぶしさに対する感度)。
- 視認者の神経系の特徴
- 視認者の視覚的な耐性及び/又は耐久性に関する特徴
【0026】
視認者の識別された挙動的状態に関連する視認プロファイルデータは、視覚的知覚に影
響を与える物理的及び心理的なデータを含む。このデータは、特に、以下に関連する。
- 年齢
- 視認者の性別
- 視認者の挙動の特徴に基づいて、アルゴリズム、特に、学習アルゴリズム、によって
生成された、識別された挙動的状態に関連する視認プロファイルのデジタルモデル
【0027】
視認者の視認プロファイルデータと、視認者の識別された挙動的状態の視認プロファイ
ルに関して、以下の関連情報的な要素も考慮に入れる必要がある。
- 視認者のサーカディアンリズムを考慮に入れるなどのために、1日における時間
- 視認者が装飾性の物2を見たり扱ったりする日付と年
- ディスプレーデバイス1の地理的な位置、したがって、このディスプレーデバイス1
の位置
- ケース4が日光の中に配置される場合の日光のスペクトルと強度、及び
- 光の波長にリンクされた視覚的な露出時間に関連する規格/安全性の特徴などを含む
視覚的な光生物学的な安全性の特徴
【0028】
したがって、視認者がディスプレーデバイス1に知られていない場合、データベース1
3に含まれるデータから評価される視覚的知覚基準に基づいて、照明システム7に接続さ
れる処理ユニット10によって、照明を構成する。このデータは、以下に関連する。
- 上述のこの視認者の識別された挙動的状態に関連する視認プロファイル、及び/又は
- 同様に上で言及した、識別された装飾性の物2の特徴
【0029】
したがって、これに関連して、処理ユニット10は、視認者の視覚的知覚に関する基準
に応じて、主照明デバイス8a及び/又は副照明デバイス8bの照明の性質を制御するた
めの命令を生成することができる。なお、これらの視覚的知覚基準は、識別される視認者
の視認プロファイルデータに応じて、また識別された挙動的状態の視認プロファイルデー
タに応じて、さらに識別される装飾性の物の特徴に関するデータに応じて、ディスプレー
デバイス1の既知又は未知の視認者の最適な視覚的知覚を特徴づける/定量化するように
意図されている。
【0030】
上述した主及び副照明デバイス8a、8bの照明の性質は、以下を含む。
- 前記照明デバイス8a、8bそれぞれを構成している各発光ダイオードの光スペクト
ル
- 前記照明デバイス8a、8bそれぞれを構成している各発光ダイオードの光放射の強
度/振幅
- 積分球のような、前記照明デバイス8a、8bそれぞれを構成しているすべての発光
ダイオードによって発生する光放射の指向性及び/又は散乱の向き及び/又は度合い
【0031】
処理ユニット10は、主照明デバイス8a及び/又は副照明デバイス8bの照明の性質
を制御するための命令を生成した後に、それらの命令を実行する。この実行によって、処
理ユニット10が以下に影響を与えることが可能になる。
- 主照明デバイス8a及び/又は副照明デバイス8bの発光ダイオードのすべて又は一
部の光放射の光スペクトル及び/又は強度/振幅
- 例として以下に起因して、主照明デバイス8a及び/又は副照明デバイス8bから発
せられる光放射の指向性及び/又は散乱の向き及び/又は度合い
-- 主照明デバイス8a及び/又は副照明デバイス8bの発光ダイオードの選択的な
スイッチオフ又はスイッチオン、又は
-- 各ダイオードにマイクロレンズのような光学的手段が設けられている主照明デバ
イス及び/又は副照明デバイス8bの光放射の向き
【0032】
上述のように、ディスプレーデバイス1は、視認者の頭部を監視するための監視デバイ
ス15、そして、装飾性の物2の面の一部に対する明るさを測定するための測定デバイス
16を備え、これらはいずれも処理ユニット10に接続される。この監視デバイス15は
、デジタル画像処理アルゴリズムに関連づけられた、少なくとも1つの画像を捕捉するた
めの捕捉システムと、アイトラッカー(目追跡デバイス)又はピューピロメーターを備え
る。このような監視デバイス15においては、以下のことが可能である。
- 視認者の頭の動きや位置をその視認者の体の他の部分に対して判断する。
- 視認者の特定の顔の表情を解釈する。
- 視認者の表情の変化を識別する。
- 装飾性の物に対する視認者の視線の方向や向きなどを判断することによって、視認者
の目の経路を測定し記録する。
【0033】
このような監視デバイス15は、特に、再評価された視覚的知覚基準に基づいて関心領
域3の照明を変えることを視野に入れて、装飾性の物2の視認者の知覚基準を再評価する
ことに寄与する。特に、このような監視デバイス15に接続していることによって、処理
ユニット10は、例えば、装飾性の物2の視覚的知覚を変える可能性が高い視認者の疲労
及び/又は視覚的不快感の状態を識別することができる。このような疲労及び/又は視覚
的不快感は、例えば、この視認者の注意力の低下や集中力の欠如や喪失につながったりそ
の原因となったりする。これに関連して、関心領域3、特に、装飾性の物3、の不適切な
照明によって、視認者の疲労や視覚的な不快感の状態が発生することがある。このような
場合に、処理ユニット10は、以下のデバイスから受信したデータを処理する。
- 視認者の頭部を監視するための監視デバイス15
- 視認者の視線が集中している又は向いている物の面の一部から発生する明るさを測定
するための測定デバイス16
- 視認者の生理的及び/又は生物学的なパラメーターを測定するための測定デバイス1
7
【0034】
この構成において、監視デバイス15は、視認者の顔の、画像、一連の画像、動画のよ
うなデータを送信し、処理ユニット10は、このデータに基づいて、疲労状態を示唆する
まばたき、顔をしかめることによって表現される視覚的な不快感のような、顔の特定の表
情を検出することなどを可能とするデジタル処理を行う。明るさ測定デバイス16は、視
認者の視線が集まっていたり向いていたりする装飾性の物3の面の部分に関連する明るさ
測定データを処理ユニット10に送信し、例えば、明るさ基準値に応じて、実行された1
つ又は複数の測定が、関心領域3に対する、特に、装飾性の物2の面の前記部分に対する
、不適切な照明に起因する、視認者の視覚的不快感を明らかにするかどうかを判断するこ
とができる。視認者の生理的及び/又は生物学的なパラメーターを測定するための測定デ
バイス17は、視認者の生理的及び/又は生物学的な状態を測定したデータを処理ユニッ
ト10に送信する。
【0035】
これに関連して、処理ユニット10は、視認者の疲労及び/又は視覚的不快感の状態が
確認されるとすぐに、再評価された視覚的知覚基準を生成することができる。このために
、この処理ユニット10は、視認者の疲労及び/又は視覚的不快感のレベルを特徴づける
補正指数に基づいて、以前に計算された視覚的知覚基準の値を変えることを目的として計
算演算を行う。なお、処理ユニット10は、このような再評価を、以下にしたがって、定
期的に行う。
- 構成可能な所定の時間間隔
- 装飾性の物2に対する視認者の視線の方向/向きの変化の検出
- 装飾性の物2の取り扱いの検出
- 装飾性の物2の変位の検出
- 装飾性の物2の少なくとも1つの光学的性質の変化の検出
- 視認者による装飾性の物2の面の新たな部分の視認の検出
- 視認者の少なくとも1つの生理的及び生物学的パラメーターの変動の検出
【0036】
このように、この処理ユニット10は、再評価された視覚的知覚基準に起因する照明の
性質を制御するための新しい命令に応じて、主照明デバイス8a及び/又は副照明デバイ
ス8bを制御する。
【0037】
随意的に、ディスプレーデバイス1は、処理ユニット10に接続されるスピーカーを備
えることができ、このスピーカーは、特に、視認者の識別された挙動的状態に応じて、装
飾性の物2がある関心領域3の照明に付随する周辺音を発生させることができる。
【0038】
また、ディスプレーデバイス1は、ヒューマンマシンインタフェースを備えることがで
き、これによって、データベース13に格納されている様々ないわゆる周辺の視覚的及び
/又は音のシナリオをアクティベートすることができる。このように、主照明デバイス8
a及び/又は副照明デバイス8bの照明の性質が、選択されたシナリオに応じて制御され
て、所定の音環境にされる。
【符号の説明】
【0039】
1 ディスプレーデバイス
2 装飾性の物
3 関心領域
4 ケース
5 支持体
6a、6b 識別デバイス
7 照明システム
8a 主照明デバイス
8b 副照明デバイス
9a、9b、9c 照明モジュール
10 処理ユニット
11a 認証モジュール
11b 識別モジュール
12a ベース
12b 天井部
13 データベース
14 調整要素
15 監視デバイス
16 測定デバイス
【外国語明細書】