(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136203
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】屋外構造物
(51)【国際特許分類】
E04H 17/16 20060101AFI20240927BHJP
E04H 6/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
E04H17/16 102Z
E04H6/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047236
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楠 翔旭
(72)【発明者】
【氏名】小谷 将平
(72)【発明者】
【氏名】堀江 慎吾
【テーマコード(参考)】
2E142
【Fターム(参考)】
2E142EE00
2E142HH03
2E142HH13
2E142HH25
(57)【要約】
【課題】カバー材のがたつきや脱落を抑制することができる屋外構造物を提供する。
【解決手段】屋外構造物は、柱と、該柱の一面側に取り付けられる面構成材とを備える屋外構造物であって、前記柱の前記一面と交差する側面に固定される第1固定部と、前記柱に対する前記面構成材の取付面に固定される第2固定部とを有し、前記面構成材を前記柱に取り付けるための取付桟と、前記第1固定部を覆う第1カバー部と、前記第2固定部を覆う第2カバー部とを有するカバー材と、を備え、前記取付桟の前記第1固定部は、前記柱に対する固定面の裏面側に一対の被係合部を有し、前記カバー材の前記第1カバー部は、前記一対の被係合部に対してスナップインで係合可能な一対の係合部を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱と、該柱の一面側に取り付けられる面構成材とを備える屋外構造物であって、
前記柱の前記一面と交差する側面に固定される第1固定部と、前記柱に対する前記面構成材の取付面に固定される第2固定部とを有し、前記面構成材を前記柱に取り付けるための取付桟と、
前記第1固定部を覆う第1カバー部と、前記第2固定部を覆う第2カバー部とを有するカバー材と、
を備え、
前記取付桟の前記第1固定部は、前記柱に対する固定面の裏面側に一対の被係合部を有し、
前記カバー材の前記第1カバー部は、前記一対の被係合部に対してスナップインで係合可能な一対の係合部を有する
ことを特徴とする屋外構造物。
【請求項2】
請求項1に記載の屋外構造物であって、
前記被係合部及び前記係合部は、前記第2固定部と前記第2カバー部との間には設けられていない
ことを特徴とする屋外構造物。
【請求項3】
請求項2に記載の屋外構造物であって、
前記第2カバー部と前記第2固定部との間には、隙間が設けられる
ことを特徴とする屋外構造物。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の屋外構造物であって、
前記第2カバー部と前記面構成材との間には、隙間が設けられる
ことを特徴とする屋外構造物。
【請求項5】
請求項1に記載の屋外構造物であって、
さらに、前記取付桟の端面と前記カバー材の端面とを覆う小口キャップを備え、
前記小口キャップは、前記第1固定部と前記第1カバー部との間に挿入される第1圧入片と、前記第2固定部と前記第2カバー部との間に挿入される第2圧入片とを有し、
前記取付桟は、前記第1固定部に設けられ、前記第1圧入片が圧入される第1圧入面と、前記第2固定部に設けられ、前記第2圧入片が圧入される第2圧入面とを有し、
前記第1圧入面と前記第2圧入面とは、互いに線対称構造である
ことを特徴とする屋外構造物。
【請求項6】
請求項5に記載の屋外構造物であって、
さらに、前記第1カバー部と前記第1固定部とを締結し、前記カバー材を前記取付桟に固定するねじを備え、
前記ねじは、前記第1圧入片と前記第1カバー部と前記第1固定部とを共締めする
ことを特徴とする屋外構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーポートやテラス屋根等として用いることができる屋外構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばカーポートやテラス屋根等として用いられる屋外構造物では、格子を柱で支持したフェンスが取り付けられることがある。特許文献1には、格子取付部材を用いて格子を柱に取り付けし、格子取付部材の取付ねじをカバー材で覆ったフェンスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のカバー材は、格子取付部材の柱に対する固定部と格子に対する固定部とに対して一体的に係合固定されている。このため、例えば強風時の風圧等で格子が移動した場合、カバー材と格子取付部材との係合が外れ、カバー材ががたつきを生じ或いは脱落する懸念がある。
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、カバー材のがたつきや脱落を抑制することができる屋外構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る屋外構造物は、柱と、該柱の一面側に取り付けられる面構成材とを備える屋外構造物であって、前記柱の前記一面と交差する側面に固定される第1固定部と、前記柱に対する前記面構成材の取付面に固定される第2固定部とを有し、前記面構成材を前記柱に取り付けるための取付桟と、前記第1固定部を覆う第1カバー部と、前記第2固定部を覆う第2カバー部とを有するカバー材と、を備え、前記取付桟の前記第1固定部は、前記柱に対する固定面の裏面側に一対の被係合部を有し、前記カバー材の前記第1カバー部は、前記一対の被係合部に対してスナップインで係合可能な一対の係合部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記態様によれば、カバー材のがたつきや脱落を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る屋根構造体の側面図である。
【
図5】
図4に示す取付桟にカバー材を装着する動作を示す説明図である。
【
図6】カバー材を装着した取付桟と小口キャップの分解斜視図である。
【
図8】
図7とは別の角度から見た小口キャップの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る屋外構造物について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の屋外構造物10は、カーポートやテラス屋根等として用いられる屋外構造物である。屋外構造物10は、屋根12と、一対の柱14,15と、一対の梁16,17と、フェンス18とを備える。
【0011】
以下、
図2に示すように屋外構造物10を柱14,15側とは反対側から見た方向を正面とし、正面から見て手前側を前、奥側を後、上方を上、下方を下、左方を左、右方を右、と呼んで説明する。これらの各方向の呼び方は説明の便宜上のものであり、各方向は屋外構造物10の用途、設置状況、又は利用者の視点位置等によって当然に変化し得る。
【0012】
屋根12は、複数の屋根材20と、屋根材20の周囲を囲む屋根枠22とを備える。屋根12は、前から後に向かって次第に下に傾斜した水勾配を有する。水勾配の前後は逆でもよいし、少なくとも屋根枠22は水平に設置されてもよい。
【0013】
各屋根材20は、隣接する幅方向(左右方向)の縁部同士が互いに連結部24で連結され、これにより左右方向に連接されている。各屋根材20は、長手方向(前後方向)の端部がそれぞれ屋根枠22にねじ止めされる。
【0014】
屋根枠22は、前枠26と、後枠27と、左右の側枠28,29とを有する。各枠26~29は、例えばアルミニウム等の金属で形成された押出形材である。前枠26及び後枠27は、屋根材20の連接方向(左右方向)に沿って延在する枠材であり、互いに平行している。後枠27は前枠26よりも低位置にあり、これにより屋根12の水勾配を形成している。側枠28,29は、後下がりで前後方向に沿って延在した枠材であり、左右方向で互いに平行している。側枠28,29は、前枠26の左右端部と後枠27の左右端部との間を連結している。さらに側枠28,29は、左右の端に配置された屋根材20の側部を支持している。
【0015】
柱14,15は、例えばステンレスやアルミニウム等で形成された角筒状の支柱部材であり、下端部が地面Gに固定される。一方の柱14は、上端部で後枠27及び一方の梁16を支持している。他方の柱15は、上端部で後枠27及び他方の梁17を支持している。
【0016】
梁16,17は、例えばステンレスやアルミニウム等で形成された角筒状の部材であり、前上がりで前後方向に沿って延在している。梁16,17は、前端部の上面に前枠26の下面がねじ止めされ、後端部の上面に後枠27の下面がねじ止めされる。柱14,15の上端部には、例えば上向きに開口した溝状部が設けられ、この溝状部に梁16,17が挿入され、互いに締結される。梁16,17の前端下面には補助柱36を設置し、屋根12の支持強度を高めることもできる(
図1参照)。補助柱36は省略されてもよい。
図2では補助柱36の図示を省略している。
【0017】
フェンス18は、屋外構造物10の後面に設置される目隠しである。フェンス18は、面構成材38と、複数本の柱39及び柱14,15とで構成されている。
【0018】
面構成材38は、例えば横向きに延在する帯状の板材38aを上下に複数枚並べて面格子を形成したものである。板材38aは、例えば木製、樹脂製、又は金属製である。面構成材38は、縦向きの板材を横に並べた縦格子、メッシュ状の面材、又は平板状の面材等で構成されてもよい。柱39は、例えばステンレスやアルミニウム等で形成された角筒状の部材であり、下端部が地面Gに固定される。柱39は、屋外構造物10の構造部材である柱14,15と互い違いになるように3本設けられている。
【0019】
面構成材38は、左右方向に並んだ各柱14,15,39を跨ぐように左右方向に延在し、各柱14,15,39で支持されている。柱14,15,39と面構成材38とは取付桟40で連結されている。柱39は省略し、柱14,15のみで面構成材38を支持してもよい。フェンス18は柱14,15を用いず、柱39のみで自律的に設置されてもよい。この場合、屋外構造物10は屋根12や柱14,15を設けず、フェンス18のみで構成されてもよい。
【0020】
次に、取付桟40を用いた面構成材38の取付構造の構成例を説明する。
【0021】
図2~
図5に示すように、面構成材38は、柱14,15,39に対して取付桟40を用いて固定される。以下では、
図3~
図6に示すように、
図2中で最も左端の柱39における取付桟40を用いた面構成材38の取付構造を代表的に例示する。左端の柱39以外の他の柱14,15,39に対する面構成材38の取付構造は、
図3~
図6に示す構造と同一又は左右対称とすることができるため(
図2参照)、詳細な説明は省略する。
【0022】
図3~
図6に示すように、本実施形態の面構成材38の取付構造は、取付桟40と、カバー材42と、上下の小口キャップ44A,44Bとを備える。
図4及び
図5は上側の小口キャップ44Aの図示を省略している。
【0023】
取付桟40は、例えばステンレスやアルミニウム等の金属で形成された押出形材である。取付桟40は、上下方向に延在し、断面略L字状に形成されている。取付桟40は、L字の一辺である第1固定部46と、他辺である第2固定部47とを有する。
【0024】
第1固定部46は、柱39の側面39aにねじ50を用いて固定される板部であり、前後方向及び上下方向に沿って配置される。本実施形態の面構成材38は、取付桟40を用いて柱39の正面(一面)39b側に取り付けられる。側面39aは、この正面39bと直交する面である。
図4に示す柱39では、第1固定部46は右向きの側面39aに固定されるが、他の柱14,15,39では左向きの側面に固定される場合もある。
【0025】
第1固定部46は、前後方向に並んだ一対の被係合部51,52を有する。被係合部51,52は、側面39aに対する第1固定部46の固定面46aの裏面側から突出し、先端に爪部が設けられた突出片である。一方の被係合部51は第1固定部46の前端部近傍に設けられている。他方の被係合部52は第1固定部46の前後方向の全長の中央よりも多少後方に寄った位置に設けられている。換言すれば、前後方向を基準として、被係合部52は後述する第2固定部47の突出片53の先端よりも多少前方に配置されている。
【0026】
第2固定部47は、面構成材38の取付面38bにねじ54を用いて固定される板部であり、左右方向及び上下方向に沿って配置される。取付面38bは、面構成材38を構成する各板材38aの裏面(前面)である。第2固定部47は、被係合部51,52のような爪部は設けられていない。第2固定部47は、第1固定部46との角部側とは逆側の端部に突出片53が設けられている。突出片53は、面構成材38側とは逆方向(前方)に突出しており、その突出長は被係合部51,52の突出長と同一又は略同一である。
【0027】
図4及び
図5に示すように、一方の被係合部51の内面は、後述する小口キャップ44Aの圧入片71又は小口キャップ44Bの圧入片72が圧入される圧入面(第1圧入面)51aを形成する。同様に突出片53の内面は、後述する小口キャップ44Aの圧入片72又は小口キャップ44Bの圧入片71が圧入される圧入面(第2圧入面)53aを形成する。圧入面51a,53aは、互いに線対称構造を有する。従って、
図5に示すように、固定部46,47の角部から圧入面51a,53aまでの距離は、互いに同一のピッチP1とされている。
【0028】
カバー材42は、例えばアルミニウム等の金属や樹脂で形成された押出形材である。カバー材42は、上下方向に延在し、断面略L字状に形成されている。カバー材42は、取付桟40と柱14,15,39及び面構成材38とを固定するねじ50,54を隠して当該屋外構造物10の意匠性を向上する化粧材である。カバー材42は、柱39及び面構成材38に対して固定された取付桟40を覆うように装着される。カバー材42は、L字の一辺である第1カバー部56と、他辺である第2カバー部57とを有する。
【0029】
第1カバー部56は、第1固定部46を覆うことでねじ50の頭部を隠す板部であり、前後方向及び上下方向に沿って配置される。第1カバー部56は、前後方向に並んだ一対の係合部61,62を有する。係合部61,62は、第1固定部46に対する第1カバー部56の対向面から突出し、先端に被係合部51,52の爪部と係合可能な爪部が設けられた突出片である。一方の係合部61は第1カバー部56の前端部に設けられている。他方の係合部62は第1カバー部56の後端部、つまりカバー部56,57が直交する角部に設けられている。
【0030】
第2カバー部57は、第2固定部47を覆うことでねじ54の頭部を隠す板部であり、左右方向及び上下方向に沿って配置される。第2カバー部57は、係合部61,62のような爪部は設けられていない。第2カバー部57は、第1カバー部56との角部側とは逆側の端部に突出片63が設けられている。突出片63は、面構成材38側(後方)に突出しており、その突出長は係合部61,62の突出長と同一又は略同一である。
【0031】
図3~
図6に示すように、小口キャップ44A,44Bは、取付桟40とカバー材42との間に形成される略L字状の中空部66(
図6参照)の上下の小口を塞ぐキャップ部材である。上側の小口キャップ44Aは、取付桟40の上端面及びカバー材42の上端面を同時に覆う。下側の小口キャップ44Bは、取付桟40の下端面及びカバー材42の下端面を同時に覆う。
【0032】
本実施形態の小口キャップ44A,44Bは、その取付方向が上下逆であるが、共通の部品で兼用されている。そこで以下では、小口キャップ44A,44Bについて区別せず、まとめて「小口キャップ44」と呼んで説明する場合もある。
【0033】
図4~
図8に示すように、小口キャップ44は、例えば樹脂の成形部品であり、略L字状に形成されている。小口キャップ44は、キャップ本体70と、一対の圧入片71,72と、コーナーポスト74とを有する。
【0034】
キャップ本体70は、中空部66の小口を覆う略L字状の板部70aと、板部70aの一縁部から屈曲した立壁状の側壁部70bとを有する。側壁部70bは、板部70aの周縁部のうち、柱39及び面構成材38に面する縁部以外の縁部に設けられている。側壁部70bは、取付桟40及びカバー材42の各端面と板部70aとの隙間を隠すものである。
【0035】
コーナーポスト74は、L字状の板部70aの内面の角部近傍から突出した略L字状の突出片である。コーナーポスト74は、取付桟40の固定部46,47の角部内面に対して近接又は当接した位置で対向配置される(
図4参照)。
【0036】
圧入片71,72は、略コ字状の突出片であり、キャップ本体70の板部70aの内面から突出している。
図6に示すように、上側の小口キャップ44Aの一方の圧入片71の外面71aは、取付桟40の第1固定部46の圧入面51aに対して圧入される。小口キャップ44Aの他方の圧入片72の外面72aは、第2固定部47の他方の圧入面53aに対して圧入される。下側の小口キャップ44Bでは、小口キャップ44Aと圧入片71,72の配置が逆となる。このため、
図5に示すように、小口キャップ44Bでは、一方の圧入片71の外面71aは第2固定部47の圧入面53aに対して圧入され、他方の圧入片72の外面72aは第1固定部46の圧入面51aに対して圧入される。
【0037】
外面71a,72aは、互いに線対称構造を有する。従って、
図5に示すように、コーナーポスト74の角部から外面71a,72aまでの距離は、互いに同一のピッチP2とされている。このピッチP2は、圧入面51a,53aのピッチP1と同一か又は僅かに小さい。外面71a,72aには、圧入面51a,53aに対する圧入をより強固にするための凸条71b,72bが形成されている。
【0038】
圧入片71,72には、ねじ76が挿通される孔部71c、72cが形成されている。ねじ76は、小口キャップ44とカバー材42と取付桟40とを共締めする(
図4参照)。ここで、本実施形態のカバー材42は、第1カバー部56にはねじ76が挿通される孔部56aが形成されているが、第2カバー部57にはこのような孔部を設けていない。
【0039】
従って、ねじ76は、圧入片71,72の一方と、第1カバー部56と、第1固定部46とを共締めする。具体的には、上側の小口キャップ44Aでは、圧入片71が第1カバー部56及び第1固定部46とねじ76で共締めされる。下側の小口キャップ44Bでは、圧入片72が第1カバー部56及び第1固定部46とねじ76で共締めされる。一方、ねじ76は、圧入片71,72の他方と、第2カバー部57と、第2固定部47との間は締結しない。
【0040】
なお、上記した通り、本実施形態の小口キャップ44A,44Bは、その取付方向が上下逆であるが、共通の部品で兼用されている。このため、上下の小口キャップ44A,44Bで圧入片71,72のいずれか一方が第1カバー部56及び第1固定部46と積層配置されるため、両者に孔部71c,72cを設け、上下の小口キャップ44A,44Bで選択的に利用可能としている。
【0041】
次に、取付桟40を用いた面構成材38の取付動作及び作用効果を説明する。
【0042】
先ず、取付桟40の第1固定部46を柱39の側面39aにねじ50で固定し、さらに、第2固定部47に面構成材38をねじ54で固定する。続いて、カバー材42を取付桟40に装着する。カバー材42の装着は、第1カバー部56に設けられた一対の係合部61,62を第1固定部46に設けられた一対の被係合部51,52に対してスナップインで係合させる。これによりカバー材42は、ねじ50,54を覆い隠した状態で取付桟40に固定される。
【0043】
この際、
図4に示すように、第2カバー部57と第2固定部47との間には隙間G1が設けられる。具体的には、第2固定部47の突出片53の先端と第2カバー部57との間に隙間G1が形成される。
図4に示すように、第2カバー部57と面構成材38との間にも隙間G2が設けられる。具体的には、第2カバー部57の突出片63の先端と面構成材38の取付面38bとの間に隙間G2が形成される。
【0044】
次いで、上下の小口キャップ44A,44Bの圧入片71,72を対応する圧入面51a,53aに対して圧入する。具体的には、上側の小口キャップ44Aでは、一方の圧入片71が第1固定部46の圧入面(第1圧入面)51aに圧入される第1圧入片として機能し、他方の圧入片72が第2固定部47の圧入面(第2圧入面)53aに圧入される第2圧入片として機能する。一方、下側の小口キャップ44Bでは、他方の圧入片72が第1固定部46の圧入面(第1圧入面)51aに圧入される第1圧入片として機能し、一方の圧入片71が第2固定部47の圧入面(第2圧入面)53aに圧入される第2圧入片として機能する。
【0045】
最後に、ねじ76を用いて小口キャップ44、第1カバー部56、及び第1固定部46を共締めする。なお、他の柱14,15,39でも上記と同様に取付桟40を用いて面構成材38を取り付ける。これにより取付桟40を用いた面構成材38の取付作業が完了する。
【0046】
このように本実施形態の屋外構造物10は、取付桟40の柱39に対する第1固定部46に一対の被係合部51,52を有し、この第1固定部46を覆うカバー材42の第1カバー部56に被係合部51,52とスナップインで係合可能な一対の係合部61,62を有する。このため、屋外構造物10は、例えば強風時の風圧等を受けて面構成材38が前後に移動した場合であっても、被係合部51,52と係合部61,62との係合部に対する影響を抑えることができる。このため、被係合部51,52と係合部61,62との係合が外れ、カバー材42ががたつきを生じ或いは脱落することを抑制することができる。また、カバー材42はスナップインで取付桟40に装着できるため、装着作業も容易である。
【0047】
換言すれば、当該屋外構造物10では、第2カバー部57と第2固定部47との間には上記のような被係合部51,52及び係合部61,62を設けていない。ここで、仮に第2カバー部57と第2固定部47との間を被係合部及び係合部で固定した構成を考えてみる。この構成では、例えば強風時に面構成材38が移動し、これに伴って第2固定部47が移動すると、第2カバー部57との係合が外れて再係合できなくなり、第2カバー部57が浮いた状態となる懸念もある。この点、当該屋外構造物10はこのような不具合の発生を未然に防ぐことができる。
【0048】
特に当該屋外構造物10では、第2カバー部57と第2固定部47との間に隙間G1を設けている。このため、面構成材38と共に第2固定部47が移動した場合であっても、第2カバー部57への影響が一層抑制される。また当該屋外構造物10では、第2カバー部57と面構成材38との間にも隙間G2を設けている。このため、第2カバー部57が直接的に面構成材38の移動の影響を受けることも抑制できる。
【0049】
当該屋外構造物10では、取付桟40とカバー材42の小口を塞ぐ小口キャップ44を備えることもできる。小口キャップ44は、一対の圧入片71,72を有し、取付桟40の圧入面51a,53aに圧入によって固定できる。このため、特に下側の小口キャップ44Bは、装着作業時に落下等の問題を生じにくく、また手を放して作業することもでき、取扱い性及び作業性が向上する。しかも取付桟40の圧入面51a,53aは互いに線対称構造である。このため、上下の小口キャップ44A,44Bは共通の部品で兼用することができ、部品コストを低減できる。
【0050】
本発明の一態様に係る屋外構造物は、柱と、該柱の一面側に取り付けられる面構成材とを備える屋外構造物であって、前記柱の前記一面と交差する側面に固定される第1固定部と、前記柱に対する前記面構成材の取付面に固定される第2固定部とを有し、前記面構成材を前記柱に取り付けるための取付桟と、前記第1固定部を覆う第1カバー部と、前記第2固定部を覆う第2カバー部とを有するカバー材と、を備え、前記取付桟の前記第1固定部は、前記柱に対する固定面の裏面側に一対の被係合部を有し、前記カバー材の前記第1カバー部は、前記一対の被係合部に対してスナップインで係合可能な一対の係合部を有する。このような構成によれば、例えば強風時の風圧等で面構成材が移動した場合であっても、被係合部と係合部との係合が外れ、カバー材ががたつきを生じ或いは脱落することを抑制することができる。
【0051】
前記被係合部及び前記係合部は、前記第2固定部と前記第2カバー部との間には設けられていない構成とすることが好ましい。そうすると、例えば強風時に面構成材が移動し、これに伴って第2固定部が移動した場合であっても、前記第2固定部と前記第2カバー部との間が係合されていないことで、第2固定部が第2カバー部に対して相対移動し、容易に元に戻る。
【0052】
前記第2カバー部と前記第2固定部との間には、隙間が設けられてもよい。そうすると、面構成材と共に第2固定部が移動した場合であっても、第2カバー部への影響が一層抑制される。
【0053】
前記第2カバー部と前記面構成材との間には、隙間が設けられてもよい。そうすると、第2カバー部が直接的に面構成材の移動の影響を受けることを抑制できる。
【0054】
さらに、前記取付桟の端面と前記カバー材の端面とを覆う小口キャップを備え、前記小口キャップは、前記第1固定部と前記第1カバー部との間に挿入される第1圧入片と、前記第2固定部と前記第2カバー部との間に挿入される第2圧入片とを有し、前記取付桟は、前記第1固定部に設けられ、前記第1圧入片が圧入される第1圧入面と、前記第2固定部に設けられ、前記第2圧入片が圧入される第2圧入面とを有し、前記第1圧入面と前記第2圧入面とは、互いに線対称構造であってもよい。そうすると、小口キャップの装着作業時の落下等の問題を抑制でき、取扱い性及び作業性が向上する。しかも取付桟の圧入面が互いに線対称構造であることで、取付桟の両端の小口キャップを共通の部品で兼用することができ、部品コストを低減できる。
【0055】
さらに、前記第1カバー部と前記第1固定部とを締結し、前記カバー材を前記取付桟に固定するねじを備え、前記ねじは、前記第1圧入片と前記第1カバー部と前記第1固定部とを共締めする構成としてもよい。そうすると、上記した強風時等でのカバー材のがたつきや脱落を一層抑制することができる。他方で、第2カバー部と第2固定部とをねじ止めしないことで、強風時等での面構成材の移動の影響が第2カバー部に及ぶことを一層抑制できる。
【0056】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
10 屋外構造物、12 屋根、14,15,39 柱、18 フェンス、38 面構成材、40 取付桟、42 カバー材、44A,44B 小口キャップ、46 第1固定部、47 第2固定部、51,52 被係合部、56 第1カバー部、57 第2カバー部、61,62 係合部、71,72 圧入片