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特開2024-136206カップ容器の外面検査機能付きリーク検査装置、及び、カップ容器の外面及びリーク検査方法
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  • 特開-カップ容器の外面検査機能付きリーク検査装置、及び、カップ容器の外面及びリーク検査方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136206
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】カップ容器の外面検査機能付きリーク検査装置、及び、カップ容器の外面及びリーク検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/32 20060101AFI20240927BHJP
   B25J 15/00 20060101ALI20240927BHJP
   B65G 47/84 20060101ALI20240927BHJP
   G01M 3/26 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G01M3/32 R
B25J15/00 E
B65G47/84 C
G01M3/26 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047241
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 和久
(72)【発明者】
【氏名】ニョ ヨンジアン
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 貴之
【テーマコード(参考)】
2G067
3C707
3F072
【Fターム(参考)】
2G067AA47
2G067BB02
2G067BB03
2G067BB17
2G067BB30
2G067CC04
2G067DD02
3C707AS14
3C707BS09
3C707CY13
3C707DS08
3C707FS01
3C707HS27
3C707HT02
3C707HT24
3C707KS33
3C707KT01
3C707KT04
3C707KT18
3C707KV01
3C707KX03
3C707MT08
3C707NS03
3F072AA07
3F072GB10
3F072GE03
3F072KB08
3F072KC02
(57)【要約】
【課題】カップ容器に対してリーク検査と外面検査の双方を実行する。
【解決手段】外面検査機能付きリーク検査装置は、カップ容器の開口に挿入される容器保持用マンドレル部と、容器保持用マンドレル部が径方向に延びるよう放射状に複数保持して回転可能な第1ターレットと、容器保持用マンドレル部へ正圧及び負圧の少なくとも一方を付与可能な圧力付与機構と、容器保持用マンドレル部に吸引保持されたカップ容器からのリークを検出するリーク検出部と、カップ容器を保持した容器保持用マンドレル部を回転させるマンドレル回転機構と、容器保持用マンドレル部に吸引保持されて回転するカップ容器の胴部を撮像する胴部外面撮像装置と、を備えてなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部及び胴部を備えたカップ容器からのリーク有無および前記カップ容器の外面検査を行う、カップ容器の外面検査機能付きリーク検査装置であって、
前記カップ容器の開口に挿入される容器保持用マンドレル部と、
前記容器保持用マンドレル部が径方向に延びるよう放射状に複数保持して回転可能な第1ターレットと、
前記容器保持用マンドレル部へ正圧及び負圧の少なくとも一方を付与可能な圧力付与機構と、
前記容器保持用マンドレル部に吸引保持された前記カップ容器からのリークを検出するリーク検出部と、
前記カップ容器を保持した前記容器保持用マンドレル部を回転させるマンドレル回転機構と、
前記容器保持用マンドレル部に吸引保持されて回転する前記カップ容器の胴部を撮像する胴部外面撮像装置と、
を備えてなるカップ容器の外面検査機能付きリーク検査装置。
【請求項2】
前記マンドレル回転機構は、
モータと、
前記モータを介して回転するベルトと、
前記容器保持用マンドレル部に対応して前記第1ターレットに固定されて前記ベルトと接触可能なローラと、
前記ローラと連結されて前記ローラの回転を前記径方向に沿った軸周りの回転に変換する傘歯車と、
前記容器保持用マンドレル部の後端に設けられて前記傘歯車と噛み合う後部ギアと、
を含んで構成されてなる、
請求項1に記載のカップ容器の外面検査機能付きリーク検査装置。
【請求項3】
前記容器保持用マンドレル部は、
前記カップ容器の開口に挿入されて前記カップ容器を保持可能な容器保持部を備え、前記圧力付与機構で付与される正圧と負圧がそれぞれ印加される流路がそれぞれ形成された先端部と、
前記先端部と連結されると共に、前記後部ギアを備えて前記第1ターレットの内部にベアリングを介して内蔵される内部回転体と、
を含んで構成されてなる、
請求項2に記載のカップ容器の外面検査機能付きリーク検査装置。
【請求項4】
前記容器保持用マンドレル部に設けられて前記容器保持用マンドレル部と共に回転する変位検出マーカーと、
前記変位検出マーカーを介して前記容器保持用マンドレル部の回転状態を検出するエンコーダと、をさらに含み、
前記胴部外面撮像装置は、前記エンコーダを介して検出した前記容器保持用マンドレル部の回転状態に基づいて、前記胴部の画像を撮像する、
請求項1~3のいずれか一項に記載のカップ容器の外面検査機能付きリーク検査装置。
【請求項5】
前記圧力付与機構を介して前記容器保持用マンドレル部の容器保持部で前記カップ容器を吸引保持した状態で、前記カップ容器の前記底部の外面を撮像する底部外面撮像装置をさらに含む、
請求項4に記載のカップ容器の外面検査機能付きリーク検査装置。
【請求項6】
前記容器保持用マンドレル部に吸引保持された前記カップ容器の胴部を保持可能な外面保持ホルダを複数備え、複数の前記外面保持ホルダの中心軸がそれぞれ放射状となる第2ターレットと、
前記容器保持用マンドレル部から前記外面保持ホルダに移転された前記カップ容器の内面を撮像する容器内面撮像装置と、をさらに含む、
請求項4に記載のカップ容器の外面検査機能付きリーク検査装置。
【請求項7】
底部及び胴部を備えたカップ容器からのリーク有無および前記カップ容器の外面検査を行う、カップ容器の外面及びリーク検査方法であって、
容器保持用マンドレル部の容器保持部を介して前記カップ容器を吸引保持する工程と、
中心位置から前記容器保持用マンドレル部が径方向に延びるよう放射状に前記容器保持用マンドレル部を保持する第1ターレットを前記中心位置を基点に回転させる工程と、
前記第1ターレットを介して回転する前記容器保持用マンドレル部に吸引保持された前記カップ容器の内面側に付与された負圧の変化に基づいて前記リーク有無を検出する工程と、
前記カップ容器の内面側に前記容器保持用マンドレル部を介して所定の負圧が付与された状態で前記容器保持用マンドレル部を前記径方向に沿った軸を回転軸として回転させながら、前記容器保持用マンドレル部に吸引保持された前記カップ容器の前記胴部を撮像して前記胴部の外面検査を行う工程と、
を含んでなるカップ容器の外面及びリーク検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品や医薬品など物品を貯蔵可能なカップ容器の外面検査とリーク検査を1つの装置で実施可能な外面検査機能付きリーク検査装置、カップ容器の外面及びリーク検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば飲料などの内容物を貯蔵するために各種の容器が用いられている。特に液体や液状物などの流体を保存する容器は、漏れなどがないように製造過程においてリーク検査が実施される。例えば特許文献1~3などにおいては、液体を貯留可能なペットボトルのリーク検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-103114号公報
【特許文献3】特開2021-051048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献はいずれもペットボトルのリーク検査には好適と言える。一方で、例えば飲料の他に食品や医薬品を貯蔵するカップ容器やコップ容器(以下、これらを総称して「カップ容器」とも称する)が知られている。かようなカップ容器は、例えば意匠性の向上や商品の識別性向上などを目的として、容器本体に対してその外周面に装飾が施されることが多い。
【0005】
しかしながら上記した特許文献を含む従来のリーク検査装置はそもそもカップ容器のリーク検査には適しておらず、かようなカップ容器に適したリーク検査装置が希求されていた。またカップ容器の外周面には上記した装飾が施されることが多いことから、一度の検査でリーク検査と共に外面検査も少なくとも並行して実施できることが望ましいと言える。
【0006】
本発明は、上記した課題を一例に鑑みて為されたものであり、カップ容器に対してリーク検査と外面検査の双方を実行可能なカップ容器の外面検査機能付きリーク検査装置、及び、カップ容器の外面及びリーク検査方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態におけるカップ容器の外面検査機能付きリーク検査装置は、(1)底部及び胴部を備えたカップ容器からのリーク有無および前記カップ容器の外面検査を行う、カップ容器の外面検査機能付きリーク検査装置であって、前記カップ容器の開口に挿入される容器保持用マンドレル部と、前記容器保持用マンドレル部が径方向に延びるよう放射状に複数保持して回転可能な第1ターレットと、前記容器保持用マンドレル部へ正圧及び負圧の少なくとも一方を付与可能な圧力付与機構と、前記容器保持用マンドレル部に吸引保持された前記カップ容器からのリークを検出するリーク検出部と、前記カップ容器を保持した前記容器保持用マンドレル部を回転させるマンドレル回転機構と、前記容器保持用マンドレル部に吸引保持されて回転する前記カップ容器の胴部を撮像する胴部外面撮像装置と、を備えてなる。
【0008】
また、上記(1)に記載のカップ容器の外面検査機能付きリーク検査装置においては、(2)前記マンドレル回転機構は、モータと、前記モータを介して回転するベルトと、前記容器保持用マンドレル部に対応して前記第1ターレットに固定されて前記ベルトと接触可能なローラと、前記ローラと連結されて前記ローラの回転を前記径方向に沿った軸周りの回転に変換する傘歯車と、前記容器保持用マンドレル部の後端に設けられて前記傘歯車と噛み合う後部ギアと、を含んで構成されてなることが好ましい。
【0009】
また、上記(2)に記載のカップ容器の外面検査機能付きリーク検査装置においては、(3)前記容器保持用マンドレル部は、前記カップ容器の開口に挿入されて前記カップ容器を保持可能な容器保持部を備え、前記圧力付与機構で付与される正圧と負圧がそれぞれ印加される流路がそれぞれ形成された先端部と、前記先端部と連結されると共に、前記後部ギアを備えて前記第1ターレットの内部にベアリングを介して内蔵される内部回転体と、を含んで構成されてなることが好ましい。
【0010】
また、上記(1)~(3)のいずれかに記載のカップ容器の外面検査機能付きリーク検査装置においては、(4)前記容器保持用マンドレル部に設けられて前記容器保持用マンドレル部と共に回転する変位検出マーカーと、前記変位検出マーカーを介して前記容器保持用マンドレル部の回転状態を検出するエンコーダと、をさらに含み、前記胴部外面撮像装置は、前記エンコーダを介して検出した前記容器保持用マンドレル部の回転状態に基づいて、前記胴部の画像を撮像することが好ましい。
【0011】
また、上記(4)に記載のカップ容器の外面検査機能付きリーク検査装置においては、(5)前記圧力付与機構を介して前記容器保持用マンドレル部の容器保持部で前記カップ容器を吸引保持した状態で、前記カップ容器の前記底部の外面を撮像する底部外面撮像装置をさらに含むことが好ましい。
【0012】
また、上記(4)に記載のカップ容器の外面検査機能付きリーク検査装置においては、(6)前記容器保持用マンドレル部に吸引保持された前記カップ容器の胴部を保持可能な外面保持ホルダを複数備え、複数の前記外面保持ホルダの中心軸がそれぞれ放射状となる第2ターレットと、前記容器保持用マンドレル部から前記外面保持ホルダに移転された前記カップ容器の内面を撮像する容器内面撮像装置と、をさらに含むことが好ましい。
【0013】
さらに、上記した課題を解決するため本発明の一実施形態におけるカップ容器の外面及びリーク検査方法は、(7)容器保持用マンドレル部の容器保持部を介して前記カップ容器を吸引保持する工程と、中心位置から前記容器保持用マンドレル部が径方向に延びるよう放射状に前記容器保持用マンドレル部を保持する第1ターレットを前記中心位置を基点に回転させる工程と、前記第1ターレットを介して回転する前記容器保持用マンドレル部に吸引保持された前記カップ容器の内面側に付与された負圧の変化に基づいて前記リーク有無を検出する工程と、前記カップ容器の内面側に前記容器保持用マンドレル部を介して所定の負圧が付与された状態で前記容器保持用マンドレル部を前記径方向に沿った軸を回転軸として回転させながら、前記容器保持用マンドレル部に吸引保持された前記カップ容器の前記胴部を撮像して前記胴部の外面検査を行う工程と、を含んでなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カップ形状の複数の容器に対してリーク検査を順次実施しつつ、さらにはその外面検査も並行して迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態における外面検査機能付きリーク検査装置を示した模式図である。
図2】実施形態における外面検査機能付きリーク検査装置の一部(容器投入部)を示す模式図である。
図3】実施形態における外面検査機能付きリーク検査装置の一部(ディスクバルブ部)を示す模式図である。
図4図3におけるα部の部分拡大図である。
図5】ターレット部が駆動した時におけるディスクバルブ部とターレット部との相対的な変位を示す状態遷移図である。
図6】実施形態における外面検査機能付きリーク検査装置の一部(外面(胴部)検査手段)を示す模式図である。
図7】実施形態における外面検査機能付きリーク検査装置の一部(マンドレル回転機構)を示す模式図である。
図8】第1ターレット部の回転軸および回転方向と、容器保持用マンドレル部の回転軸および回転方向と、の違いを説明するための模式図である。
図9】変形例における実施形態における外面検査機能付きリーク検査装置の一部(回転ムラ検出手段)を示す模式図である。
図10】実施形態における外面検査機能付きリーク検査装置の一部(外面(底部)検査手段)を示す模式図である。
図11】実施形態における外面検査機能付きリーク検査装置の一部(第2ターレット部及び外面(内面部)検査手段)を示す模式図である。
図12】実施形態におけるカップ容器の外面及びリーク検査方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明における外面検査機能付きリーク検査装置、及び、カップ容器の外面及びリーク検査方法について具体的に説明する。なお、以下の実施形態は本発明の一例を説明するものであり、本発明を意図せず限定するものではなく、他の公知の構成を適宜補完してもよい。また、以下で詳述する構成以外の構成については、種々の公知の機構を適宜援用してもよい。
また、以下の実施形態では、鉛直方向をZ方向としてそれぞれ図示のとおりX方向とY方向を設定したが、この設定は説明の便宜上のためであって本発明を意図せず限定するものではない。
【0017】
<外面検査機能付きリーク検査装置100>
図1図11に、実施形態における外面検査機能付きリーク検査装置100を示す。例えば図1及び図2などに示すとおり、本実施形態の外面検査機能付きリーク検査装置100は、底部1及び胴部2を備えたカップ容器Cp(図2参照)からのリークの有無およびこのカップ容器Cpの外面や内面の検査を行う機能を有して構成されている。
【0018】
なお、本実施形態に好適な「カップ容器Cp」としては、有底円筒状のカップ形状あるいはコップ形状など公知の開口を有する容器が例示できる。かような容器の材質としては、公知の材料が適用でき、例えば紙あるいは紙に樹脂のコーティングを施したものなどが例示できる。また、リーク検査を要する限りにおいて紙製以外の樹脂など他の材料で容器が構成されていてもよい。また、容器に貯蔵される内容物としても、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、例えば食品や衣料品の他に、飲料などの液体やゼリーなどの液状物などが適用できる。
【0019】
また、かようなカップ容器Cpは、例えば意匠性の向上や商品識別性の向上などを目的として、容器本体3の外面(例えば胴部2など)に装飾や印字が施されていてもよい。
またカップ容器Cpにおける開口の形状についても、円形が好適ではあるものの、後述する容器保持用マンドレル部10の容器保持部11で吸引保持可能な限りにおいて例えば楕円状や四角形状などの任意の公知の形状を採用してもよい。
【0020】
本実施形態の外面検査機能付きリーク検査装置100は、容器保持用マンドレル部10、第1ターレット20、圧力付与機構30、リーク検出部40、マンドレル回転機構50、胴部外面撮像装置60、底部外面撮像装置61、容器内面撮像装置62、及び、第2ターレット70などを含んで構成されている。
【0021】
かような外面検査機能付きリーク検査装置100は、検査を要する複数のカップ容器Cpを容器保持用マンドレル部10で保持しながら第1ターレット20の回転動作に基づいてリーク検査を行いつつ、第1ターレット20によって所定のステーションに位置付けられたカップ容器Cpの外面検査を撮像装置で実行し得る。
【0022】
また、本実施形態の外面検査機能付きリーク検査装置100は、第1ターレット20と第2ターレット70との間でカップ容器Cpの受け渡しを行う機能を有している。これにより、例えば第1ターレット20でリーク検査と胴部及び底部の外面検査が完了したカップ容器Cpに対して、第2ターレット70でカップ容器Cpの内面検査を続けて実行することが可能となっている。
【0023】
以下、外面検査機能付きリーク検査装置100を構成する各部について図面を参照しながら詳述する。
容器保持用マンドレル部10は、前記したカップ容器Cpの開口に挿入され得る。図3に示すように、本実施形態の容器保持用マンドレル部10は、カップ容器Cpを保持可能な容器保持部11を備えてなる。図2からも理解されるとおり、外面検査機能付きリーク検査装置100は、上記した容器保持用マンドレル部10を複数有して構成されており、これにより検査を要する複数のカップ容器Cpをそれぞれ複数の容器保持用マンドレル部10で保持することが可能となっている。
【0024】
なお図3及び図4などに示すように、本実施形態の容器保持用マンドレル部10は、先端部13と、内部回転体14と、を含んで構成されている。
このうち先端部13は、前記したカップ容器Cpの開口に挿入されてカップ容器Cpを保持可能な容器保持部11を備え、後述する圧力付与機構30で付与される正圧と負圧がそれぞれ印加される流路12がそれぞれ形成されている。また、図示されるとおり、容器保持用マンドレル部10内に形成される流路12は、上記した負圧が付与される負圧流路12Aと、上記した正圧が付与されて圧縮空気が流通可能な正圧流路12Bと、で構成されている。
【0025】
内部回転体14は、図4図8などに示すように、前記した先端部13と連結されると共に、後述する傘歯車55と噛み合う後部ギア56を備えてなる。本実施形態の内部回転体14は、公知のベアリングBrを介して後述する第1ターレット20の内部に内蔵されている。
なお上記した容器保持用マンドレル部10の流路構造は一例であって、後述する第1ターレット20に放射状となるように立設されてカップ容器Cpを容器保持部11で吸着保持可能な限り、先端部13内での流路構造は図示された形態に限定されない。
【0026】
第1ターレット20は、前記した容器保持用マンドレル部10が径方向に延びるよう放射状に保持して回転する機能を有して構成されている。より具体的に本実施形態の第1ターレット20は、図1及び図2に示すように、中心位置Cから複数の容器保持用マンドレル部10がそれぞれ径方向に延びるように当該容器保持用マンドレル部10を放射状に保持すると共に、この中心位置Cを基点として軸周りに回転可能なように構成されている。
【0027】
かような第1ターレット20は、図3及び図4などに示すように、上記した容器保持用マンドレル部10を保持する可能な本体部21と、この本体部21の上端側に位置して後述するディスクバルブ部31と接触するスライドリング22と、上記した容器保持用マンドレル部10の流路12に連通可能な気体流路23と、を含んで構成されている。
【0028】
圧力付与機構30は、前記した容器保持用マンドレル部10へ正圧及び負圧の少なくとも一方を、第1ターレット20を介して付与可能に構成されている。本実施形態の圧力付与機構30は、容器保持用マンドレル部10に対して正圧を付与可能なディスクバルブ部31や、容器保持用マンドレル部10に対して負圧を付与可能な負圧チューブ(不図示)などを備えてなる。また、圧力付与機構30は、第1ターレット20に搭載された公知の負圧チューブ(不図示)を介して容器保持用マンドレル部10に負圧を付与し得る(図4参照)。本実施形態の圧力付与機構30は、前記した第1ターレット20が軸周りに回転することを許容しつつ、この第1ターレット20を介して容器保持用マンドレル部10の容器保持部11へ、ディスクバルブ部31や上記負圧チューブを介して正圧及び負圧の少なくとも一方を付与可能なように構成されている。
【0029】
<容器保持用マンドレル部への圧力付与>
次に図2図4及び図5を合わせて参照しつつ、本実施形態における圧力付与機構30による容器保持用マンドレル部10への正圧又は負圧付与の態様について説明する。
まず図2に示すように、本実施形態の第1ターレット20は、後述する制御装置による制御の下で、間欠的に回転動作を行うことができる。換言すれば、第1ターレット20に搭載された複数の容器保持用マンドレル部10は、図2に示すように、投入位置である(a)位置から、順次に(b)位置、(c)位置、・・・、(h)位置といった形で各ステーションで一時停止しながら移動することが可能となっている。なお本実施形態では、図2に示すように、カップ容器Cpは、開口を鉛直下向きにして落下するように(a)位置で容器保持用マンドレル部10に保持される。
【0030】
一方で、図4及び図5を合わせて参照すると理解されるとおり、第1ターレット20がθy(Y軸周り)方向(図4参照)に回転する際にも、依然として圧力付与機構30から正圧または負圧が必要に応じて付与可能となっている。図示されるとおり、第1ターレット20のスライドリング22とディスクバルブ部31とは、摺動面SSを境界として、固定されたディスクバルブ部31に対してスライドリング22が摺動しながら上記θy方向に回転可能となっている。
かような観点から、上記した摺動面SSを構成するスライドリング22とディスクバルブ部31の表面は、少なくとも一方に対して耐摩耗性に優れた公知の材料(例えばテフロン(登録商標)材やターカイト材など)をコーティングしてもよい。
【0031】
図5に示すように、スライドリング22とディスクバルブ部31における相手方との対向面には、気体が流通可能な開口が形成されている。すなわち、例えばフレームFMに固定されるディスクバルブ部31には、図5に示されるように、周方向に沿って断続的に設けられる第1気体流通孔32A、第2気体流通孔32B、第3気体流通孔32C、第4気体流通孔32D、及び、第5気体流通孔32Eが設けられている。このうち、例えば第3気体流通孔32C、第4気体流通孔32D及び第5気体流通孔32Eについては、周方向に関して長く延びる長孔状となっており、長く延びる分だけその区間において連通を継続することが可能となっている。なお説明の便宜上、図5では負圧用の気体流通孔を例にして示しているが、正圧用の気体流通孔も同様にディスクバルブ部31に設けられる。
【0032】
一方で上記したディスクバルブ部31の各孔が形成された摺動面と対向するスライドリング22においても、上記したディスクバルブ部31の気体流通孔32とほぼ同じ半径で同心円状に位置するように、上記した気体流路23が周方向に沿って複数配置された構造となっている。
【0033】
従って本実施形態の外面検査機能付きリーク検査装置100においては、上記した第1ターレット20がθy方向(Y軸周り)に回転することでスライドリング22が摺動面SSを介してディスクバルブ部31に接触しながら回転しつつ、圧力付与機構30を介して互いの気体流通孔の開閉状態の変化を介して容器保持用マンドレル部10に必要な正圧又は負圧が付与されることになる。
例えば図5においては、紙面左側の状態では第1気体流通孔32A、第2気体流通孔32B、第3気体流通孔32C、第4気体流通孔32D、及び第5気体流通孔32Eのすべてが気体流路23と連通しているものの、紙面右側の状態に遷移すると第1気体流通孔32A及び第2気体流通孔32Bは不通の状態となることが分かる。
【0034】
一例として本実施形態では、上記した圧力付与機構30による圧力印加と、第1ターレット20による回転動作に基づく気体流通孔の開閉状態と、の協働によって、以下の表1に示す容器保持用マンドレル部10の各位置における圧力印加状態と処理内容などが規定されている。
【0035】
【表1】
【0036】
例えば表1、図2及び図5を参照すると、上記した(a)位置で検査を要するカップ容器Cpを容器保持部11で受けた後で、第1ターレット20が間欠動作して容器保持用マンドレル部10を(b)位置に移動させる。このときスライドリング22における気体流路23の開口は、ディスクバルブ部31の第1気体流通孔32Aと合わさる位置となる(図5参照)。このとき、圧力付与機構30および負圧流路12Aなどを介して必要な負圧が付与されて、容器保持部11でカップ容器Cpを吸引保持することが可能となっている。
【0037】
また、第1ターレット20が間欠動作して容器保持用マンドレル部10を上記した(e)位置まで移動させると、スライドリング22における気体流路23の開口は、ディスクバルブ部31の第2気体流通孔32Bと合わさる位置となる(図5参照)。換言すれば、第1ターレット20が間欠動作して容器保持用マンドレル部10を上記した(b)位置から(e)位置まで移動させるまでは、スライドリング22における気体流路23は、ディスクバルブ部31の気体流通孔とは合致せずに密閉状態となり、例えば(c)位置や(d)位置においては減圧状態が保持されることになる。なお、この(e)位置においては、公知の差圧計(不図示)と気体流路23が接続されることで、後述するリーク検出部40によるリーク検査が実行される。
【0038】
また、第1ターレット20がさらに間欠動作して容器保持用マンドレル部10を上記した(f)位置まで移動させると、スライドリング22における気体流路23の開口は、ディスクバルブ部31の第3気体流通孔32Cの後部端(図5の第3気体流通孔32Cでの右端)と合わさる位置となる。この過程で圧力付与機構30は、上記した負圧流路12Aを介して、カップ容器Cpが容器保持部11から離脱しない程度の負圧を印加する処理を実行する。一方で、上記した(e)位置で実行されるリーク検査(詳細は後述)で不良判定を受けたカップ容器Cpを保持する容器保持部11については、圧力付与機構30は、気体流路23と正圧流路12Bを介いて、カップ容器Cpを容器保持部11から離脱させてNG品排出処理を実行する。なお、この(f)位置においては、後述する外面検査手段による胴部外面検査が実行される。
【0039】
また、第1ターレット20がさらに間欠動作して容器保持用マンドレル部10を上記した(g)位置まで移動させると、スライドリング22における気体流路23の開口は、ディスクバルブ部31の第4気体流通孔32Dの後端(図5の第4気体流通孔32Dでの右上端)と合わさる位置となる。このとき圧力付与機構30は、上記した負圧流路12Aを介して、カップ容器Cpが容器保持部11から離脱しない程度の負圧を印加する処理を実行する。
【0040】
このように本実施形態では、回転する第1ターレット20に取り付けられた摺動部品(本例ではスライドリング22)とディスクバルブ部31の擦り合わせによって流体のON/OFFの切り替えを実現している。これによりスライドリング22とディスクバルブ部31の互いの摺動面に空いた孔が一致した際に、必要な圧力(負圧又は正圧)を容器保持用マンドレル部10の容器保持部11へ安定して印加することが可能となっている。
【0041】
<リーク検査>
次に、上記した(e)位置で実行される、カップ容器Cpのリーク検査について説明する。すなわち本実施形態のリーク検査では、容器保持用マンドレル部10に供給されたカップ容器Cpの内部に対して上記(b)位置から所定の負圧を印加し、この状態を一定時間(上記(c)位置および(d)位置を通過する間など)だけ保持した後に、印加した圧力と保持後の圧力との差によってカップ容器Cpに破損(穴など)が生じているかの検査を(e)位置において行う。なお上述した通り、このような負圧の印加、圧力の保持、測定器である差圧計への圧力供給の切り替えは、第1ターレット20の回転と連動して回転するディスクバルブ部31や負圧チューブによって実行する。
【0042】
上記したリーク検査は、外面検査機能付きリーク検査装置100を構成するリーク検出部40によって実行される。すなわち、リーク検出部40は、前記した容器保持用マンドレル部10に吸引保持されたカップ容器Cpからのリークを検出する機能を有して構成されている。より具体的にリーク検出部40は、第1ターレット20を介して回転する容器保持用マンドレル部10に吸引保持されたカップ容器Cpの内面側に付与された負圧の変化に基づいてリーク有無を検出する。このように本実施形態の外面検査機能付きリーク検査装置100においては、容器保持用マンドレル部10を介してカップ容器Cpの内面側に対して圧力付与機構30によって所定の負圧を付与しつつ、リーク検出部40によって容器保持用マンドレル部10に吸引保持されたカップ容器Cpからの気体リークを検出する。
【0043】
かようなリーク検出部40は、外面検査機能付きリーク検査装置100を統括制御する公知の制御装置に動作プログラムの一部として組み込まれていてもよい。かような制御装置は、例えば公知のコンピューターが例示でき、一つ又は複数のプロセッサ(CPU(Central Processing Unit))と、前記一つ又は複数のプロセッサに通信可能に接続される一つ又は複数の記憶装置(メモリ)と、を備えて構成されている。本実施形態の制御装置は、一例として、公知のネットワークを介して外部サーバなどと接続可能に構成されていてもよい。
【0044】
<外面(胴部)検査>
次に図6図8も適宜参照しつつ、外面検査機能付きリーク検査装置100を構成する外面検査手段の1つである胴部外面検査手段について説明する。
本実施形態の胴部外面検査手段は、リーク検査を通過した良品としてのカップ容器Cpの外面を検査する機能を有し、上記したマンドレル回転機構50及び胴部外面撮像装置60で構成されてなる。胴部外面検査手段は、上記した負圧で容器保持部11に吸引保持されたカップ容器Cpを回転させながら、この容器保持用マンドレル部10に保持されたカップ容器Cpの胴部を撮像する機能を有して構成されている。
【0045】
マンドレル回転機構50は、前記したカップ容器Cpを保持した容器保持用マンドレル部10を、容器保持用マンドレル部10の長手方向である中心軸周りに回転させることが可能となっている。換言すれば、本実施形態のマンドレル回転機構50は、第1ターレット20の回転軸(本例ではY軸と平行な軸)と直交する回転軸(本例ではZ軸)を中心軸として、容器保持用マンドレル部10をθz方向に回転させる機能を有して構成されている(図6及び図8参照)。
【0046】
なお本実施形態では、容器保持部11がθz方向に回転しつつも負圧流路12Aを介して圧力付与機構30から負圧の供給が維持される。従って図8に示すように、先端部13内において負圧流路12Aはθz周りに環状に設けられると共に、圧力付与機構30のうち負圧チューブを保持するチューブ保持部TSを固定する部分は第1ターレット20に設置され、これらが摺動面SSを介して摺動する形で回転中の負圧供給が維持されることになっている。なお図8においては、説明の便宜上、右上から左下に向かう斜線が付与されている部分がθz方向に回転可能な部位であり、左上から右下に向かう斜線が付与されている部分がθy方向に回転する部位であることを示している。
かような観点から、例えば摺動面SSを構成する先端部13の端面に、上記したテフロン(登録商標)材やターカイト材など公知の耐摩耗性部材を介在させてもよい。
【0047】
かようなマンドレル回転機構50は、図7に示すように、公知の電動のモータ51と、このモータ51を介して回転するベルト52と、フレームFMに設置されてこのベルト52を支持する支持ローラ53と、複数の容器保持用マンドレル部10に対応してそれぞれ第1ターレット20に固定されて設置される従動ローラ54と、この従動ローラ54と連結されて従動ローラ54の回転(本例ではY軸周り)を径方向に沿った軸周りの回転(本例ではZ軸周り)に変換する傘歯車55と、上記した容器保持用マンドレル部10の後端に設けられて傘歯車55と噛み合う後部ギア56と、を含んで構成されてなる。なお、支持ローラ53は、従動ローラ54に対するベルト52のテンションを調節するように自動または手動で可動するように構成されていてもよい。
【0048】
このように、第1ターレット20には、それぞれの容器保持用マンドレル部10に対応するように、複数の従動ローラ54が設けられている。従って、第1ターレット20が上記した間欠的に回転すると、外面(胴部)検査位置(上記した(f)位置)に到達するいずれかの従動ローラ54がベルト52と接触する。これにより、モータ51の駆動力によって駆動するベルト52を介して従動ローラ54がまず回転し、この従動ローラ54の回転に追従して容器保持用マンドレル部10がギア機構(傘歯車55及び後部ギア56)を介して径方向に沿った軸(Z軸)周りに回転を開始することになる。
【0049】
そして本実施形態の外面検査機能付きリーク検査装置100においては、上述の構成を採用することで、カップ容器Cpに対して所定の負圧(上記したリーク検査を行う際の負圧の値とは異なる圧力値)が付与された状態で容器保持用マンドレル部10を径方向に沿った軸を回転軸として回転させることが可能となっている。
【0050】
胴部外面撮像装置60は、容器保持用マンドレル部10に吸引保持されて回転するカップ容器Cpの胴部を撮像する機能を有して構成されている。より具体的に本実施形態の胴部外面撮像装置60は、前記したマンドレル回転機構50を介して回転する容器保持用マンドレル部10に吸引保持されたカップ容器Cpの胴部を撮像する。
【0051】
なお、胴部外面撮像装置60の具体例としては、カップ容器Cpの外面を連続して撮像可能であれば特に制限はなく、例えば公知のラインスキャンカメラが例示できる。本実施形態では、一例として、上記したラインスキャンカメラを用いて、1スキャン毎に撮像した画像を繋ぎ合わせて一枚の検査画像を生成する。なお本実施形態では、一枚の検査画像を生成するためにカップ容器Cpを一回り半(1.5周)させて撮像することが好ましい。
【0052】
なお、上記した外面(胴部)検査においては、マンドレル回転機構50によってθz周りに回転する容器保持部11で吸引保持されたカップ容器Cpの胴部(側面)が撮像される。従って、胴部外面撮像装置60で得られる画像は、このマンドレル回転機構50の回転動作の精度に依存したものとならざるを得ない。
かような観点から、本実施形態の外面検査機能付きリーク検査装置100においては、胴部外面検査手段の好適な変形例として、次に示す画像調整手段をさらに備えることが好ましい。
【0053】
図9に、変形例に係る胴部外面検査手段を示す。
本変形例では、胴部外面検査手段を構成するマンドレル回転機構50は、上記した実施形態の構成に対して、さらに変位検出マーカー15と、エンコーダERと、を含んで構成されている。
【0054】
変位検出マーカー15は、前記した容器保持用マンドレル部10に設けられて容器保持用マンドレル部10と共に回転するように構成されている。かような変位検出マーカー15としては、後述するエンコーダERで検出可能な格子状マークなど公知の種々のスケールであってもよい。なお本実施形態の第1ターレット20は複数の容器保持用マンドレル部10を備えているため、上記した変位検出マーカー15は複数の容器保持用マンドレル部10にそれぞれ設けられている。
【0055】
エンコーダERは、前記した変位検出マーカー15を介して容器保持用マンドレル部10の回転状態(絶対位置または相対位置)を検出する機能を有して構成されている。本実施形態のエンコーダERは、例えばフレームFMに固定されてなる。かようなエンコーダERとしては、例えば上記した変位検出マーカー15を光学的に検出可能な公知のインクリメンタル方式又はアブソリュート方式のエンコーダを適用できる。
【0056】
これにより変形例に係る胴部外面検査手段を構成する胴部外面撮像装置60は、前記したエンコーダERを介して検出した容器保持用マンドレル部10の回転状態(回転角の検出値)に基づいて、カップ容器Cpの胴部の画像を撮像することが可能となる。より具体的に胴部外面撮像装置60は、エンコーダERで検出した上記回転状態に応じて、カップ容器Cpの胴部に対する撮像のタイミングを調整することができる。そしてその後、胴部外面撮像装置60は、上記回転状態に応じてそれぞれ撮像した画像を時系列順に並べて1枚の画像を生成し、この生成した画像(撮像データ)と予め保持した良品の画像(正規データ)とを比較して合否判定を実行してもよい。
これにより、例えばマンドレル回転機構50で回転ムラ(例えば始動時のブレや上記ベルト52と従動ローラ54との接触不良(滑り)などに起因するムラなど)が生じた場合においても、この回転ムラに対応した画像の調整を高い精度で実行することが可能となっている。なお胴部外面撮像装置60は、エンコーダERの検出結果に基づいてカップ容器Cpの胴部の撮像タイミングを調整しているが、本実施形態はこの形態に限られない。例えば胴部外面撮像装置60は、エンコーダERの検出結果(上記回転状態)に基づいて、撮像したカップ容器Cpの胴部の画像を加工して補正してもよい。
【0057】
<外面(底部)検査>
次に図10も適宜参照しつつ、外面検査機能付きリーク検査装置100を構成する外面検査手段の1つである底部外面検査手段について説明する。
本実施形態の底部外面検査手段は、容器保持用マンドレル部10および底部外面撮像装置61を含んで構成されている。また、上記したとおり、本実施形態におけるカップ容器Cpの外面(底部)検査は、第1ターレット20によって回転された際の(d)位置において実行される。
【0058】
すなわち、上記した(d)位置に対応するように設置された底部外面撮像装置61は、圧力付与機構30を介して容器保持用マンドレル部10の容器保持部11でカップ容器Cpを吸引保持した状態で、このカップ容器Cpの底部の外面を撮像する。かような底部外面撮像装置61の具体例としては、カップ容器Cpの底部を撮像可能であれば特に制限はなく、例えば静止画や動画を撮像可能な公知のデジタルカメラが例示できる。
【0059】
このとき、図5および表1から理解されるとおり、スライドリング22側の気体流路23の開口は、ディスクバルブ部31のいずれの気体流通孔32とも重なっていない状態となっている。
なお底部外面検査手段によって底部に不良があると判定されたカップ容器Cpは、その後に到達する(f)位置においてNG品として排出されてもよい。
【0060】
<第1ターレットから第2ターレットへのカップ容器の受け渡し>
上述の工程を経て(g)位置まで到達したカップ容器Cpは、図1に示すように、図示しない受け渡し装置を介して第1ターレット20から第2ターレット70へ移送される。かような受け渡し装置としては、特に制限はなく、例えばロボットハンドなど公知の把持機構などを適用してもよい。
【0061】
図1及び図11から理解されるとおり、第2ターレット70は、前記した容器保持用マンドレル部10に吸引保持されたカップ容器Cpの胴部を保持可能な外面保持ホルダ71を複数備えて構成されている。図11に示すように、本実施形態の第2ターレット70は、複数の外面保持ホルダ71の中心軸がそれぞれ放射状となるように、複数の外面保持ホルダ71が円環状に連なって構成されている。
【0062】
なお本実施形態では、第1ターレット20がカップ容器Cpを(g)位置に位置付けた際に、上記した受け渡し装置を介して第2ターレット70の(i)位置で、外面保持ホルダ71にカップ容器Cpの胴部を挿入するように構成されている。従って外面保持ホルダ71に保持されたカップ容器Cpは、第1ターレット20から第2ターレット70へ移送された後においては、第2ターレット70の回転動作によって図11に示す各ステーションへと移動することになる。
【0063】
<外面(内面)検査>
次に図11を参照して、外面検査機能付きリーク検査装置100を構成する外面検査手段の1つである内面検査手段について説明する。
本実施形態の内面検査手段は、上記した外面保持ホルダ71および容器内面撮像装置62を含んで構成されている。容器内面撮像装置62は、容器保持用マンドレル部10から外面保持ホルダ71に移転されたカップ容器Cpの内面を撮像する機能を有して構成されている。
なお図11に示すように、本実施形態におけるカップ容器Cpの内面検査は、第2ターレット70によって回転された際の(m)位置において実行される。
【0064】
すなわち、上記した(m)位置に対応するように設置された容器内面撮像装置62は、外面保持ホルダ71でカップ容器Cpの外周面を保持した状態で、このカップ容器Cpの内面を撮像する。かような容器内面撮像装置62の具体例としては、カップ容器Cpの内面側を撮像可能であれば特に制限はなく、例えば静止画や動画を撮像可能な公知のデジタルカメラが例示できる。
なお容器内面検査手段によって内面に不良があると判定されたカップ容器Cpは、例えばその後に到達する(p)位置においてNG品として公知の手法(例えば圧縮空気で押出しなど)で排出されてもよい。
【0065】
なお第2ターレット70において、上記した(m)位置に到達する前において、カップ容器Cpの内面に対するクリーニングを実行することが好ましい。すなわち、本実施形態では、図1に示すように、(k)位置においてカップ容器Cpの内面に対してクリーニングを行うクリーニング装置63が設けられていてもよい(図1参照)。かようなクリーニング装置63としては、例えば公知の集塵装置などが例示できる。
【0066】
以上説明した本実施形態の外面検査機能付きリーク検査装置100によれば、カップ形状の複数の容器に対してもリーク検査を順次実施しつつ、さらにはその外面検査も並行して迅速に行うことができる。
【0067】
<カップ容器の外面及びリーク検査方法>
次に図12を参照しつつ上記した外面検査機能付きリーク検査装置100を用いたカップ容器の外面及びリーク検査方法について詳述する。この外面及びリーク検査方法では、底部及び胴部を備えたカップ容器からのリーク有無およびこのカップ容器の外面検査を以下の手順で行う。なお、以下では、ある特定のカップ容器に着目した例を説明するが、上述したとおり本実施形態では複数のカップ容器Cpを第1ターレット20によって順次に各位置へ移送してそれぞれの処理を実行することができる。
【0068】
また、このカップ容器の外面及びリーク検査方法は、例えば上記したリーク検出部40を構成する制御装置に、プログラムとして格納されてCPUで実行可能である。この外面及びリーク検査方法のプログラムは、上記した制御装置のメモリに格納される他、クラウドなどのネットワークを介して当該制御装置へダウンロードされる形態であってもよい。
【0069】
まず図12に示すステップ10において、例えば上記した(a)位置において、検査を要するカップ容器Cpが第1ターレット20における容器保持用マンドレル部10の容器保持部11に供給される。
その後、ステップ11において、第1ターレット20がY軸周り(θy方向)に間欠駆動する。これにより、容器保持部11でカップ容器Cpを保持した容器保持用マンドレル部10が(b)位置に移動する(以降の間欠駆動においても同様にして容器保持用マンドレル部10の位置が各ステーションへ移動する)。なお、上記したステップ11や後述するステップ13など以降のステップにおいて、中心位置Cから容器保持用マンドレル部10が径方向に延びるよう放射状に容器保持用マンドレル部10を保持する第1ターレット20を、この中心位置Cを基点に回転させることが適宜実行される。
【0070】
次いでステップ12では、上記した圧力付与機構30および負圧流路12Aを介して容器保持用マンドレル部10の容器保持部11を介してカップ容器Cpを吸引する。
続くステップ13では、ステップ11と同様に、カップ容器Cpを保持した容器保持用マンドレル部10が、第1ターレット20の駆動によって後段のステーションへ移動される。
【0071】
そしてステップ14において、底部外面検査を行う位置に到達したか否かが判定される。具体的に、例えば上記した制御装置は、検査を要するカップ容器Cpが上記した(d)位置に到達したか否かを検出する。そしてステップ14で(d)位置にカップ容器Cpが到達した場合には、ステップ15において上記した底部外面検査手段を介した外面(底部)検査が実行される。
【0072】
外面(底部)検査を終えた後は、続くステップ16で第1ターレット20が再び間欠的に駆動して(e)位置にカップ容器Cpを移送する。
続くステップ17では、(e)位置に到達したカップ容器Cpに対してリーク検査が実行される。具体的にステップ17において、リーク検出部40は、上記した差圧計による計測値に基づいて、容器保持用マンドレル部10に吸引保持されたカップ容器Cpからのリークの有無を検出する。このようにリーク検査においては、第1ターレット20を介して回転する容器保持用マンドレル部10に吸引保持されたカップ容器Cpの内面側に付与された負圧の変化に基づいてリークの有無が検出される。
【0073】
リーク検査を終えた後は、続くステップ18で第1ターレット20が再び間欠的に駆動してカップ容器Cpを次のステーションへ移送する。
次いでステップ19において、胴部外面検査を行う位置に到達したか否かが判定される。具体的に、例えば上記した制御装置は、検査を要するカップ容器Cpが上記した(f)位置に到達したか否かを検出する。
【0074】
そしてステップ19において(f)位置にカップ容器Cpが到達した場合には、ステップ20において上記した胴部外面検査手段を介した外面(胴部)検査が実行される。具体的には、本工程において、カップ容器Cpの内面側に容器保持用マンドレル部10を介して所定の負圧が付与された状態で容器保持用マンドレル部10を径方向に沿った軸を回転軸として回転させながら、容器保持用マンドレル部10に吸引保持されたカップ容器Cpの胴部を撮像して当該胴部の外面検査が行われる。
【0075】
これ以降、このステップ20において、胴部外面や底部に不良がある容器(不良品)と判定された場合には、続くステーションにおいて上記した不良品の排出が実行される。
上記のように胴部外面検査および不良品排出が行われた後は、続くステップ21に移行して、上述したとおりカップ容器Cpの第1ターレット20から第2ターレット70への移送が行われる。
【0076】
カップ容器Cpが第2ターレット70に移送された後は、制御装置は、第2ターレット70を間欠駆動して、外面保持ホルダ71に保持されたカップ容器Cpが順次に移送されることになる。そして外面保持ホルダ71に保持されたカップ容器Cpの移送が開始された後は、続くステップ22において、上記したクリーニング装置63を介してカップ容器Cpの内面側を集塵する。
【0077】
続くステップ23では、ステップ21と同様に、カップ容器Cpを保持した外面保持ホルダ71が、第2ターレット70の駆動によって後段のステーションへ移動される。
次いでステップ24では、カップ容器Cpが容器内面検査を行う位置に到達したか否かが判定される。具体的に、例えば上記した制御装置は、検査を要するカップ容器Cpが上記した(m)位置に到達したか否かを検出する。
【0078】
そしてステップ24において(m)位置にカップ容器Cpが到達した場合には、ステップ25において上記した容器内面検査手段を介した内面検査が実行される。
ステップ25でカップ容器Cpの内面検査が完了した後は、続くステップ27で最終的な良品選別が実行される。一例として制御装置は、例えば良品となったカップ容器Cpは第2ターレット70の(о)位置から公知の手法で排出する一方で、NG品と判定されたカップ容器Cpは(p)位置から公知の手法で排出する処理を実行してもよい。
【0079】
このように本実施形態のカップ容器の外面及びリーク検査方法は、
容器保持用マンドレル部の容器保持部を介して前記カップ容器を吸引保持する工程と、
中心位置から前記容器保持用マンドレル部が径方向に延びるよう放射状に前記容器保持用マンドレル部を保持する第1ターレットを前記中心位置を基点に回転させる工程と、
前記第1ターレットを介して回転する前記容器保持用マンドレル部に吸引保持された前記カップ容器の内面側に付与された負圧の変化に基づいて前記リーク有無を検出する工程と、
前記カップ容器の内面側に前記容器保持用マンドレル部を介して所定の負圧が付与された状態で前記容器保持用マンドレル部を前記径方向に沿った軸を回転軸として回転させながら、前記容器保持用マンドレル部に吸引保持された前記カップ容器の前記胴部を撮像して前記胴部の外面検査を行う工程と、を含んでなる。
これにより、カップ形状の複数の容器に対してもリーク検査を順次実施しつつ、さらにはその外面検査も並行して迅速に行うことができる。
【0080】
以上説明した実施形態は本発明の趣旨を具現化した一例であり、本発明の上記趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えてもよい。さらには本発明の上記趣旨を逸脱しない範囲で公知の構造や手法を適宜追加して変形してもよい。
【0081】
例えば上記した実施形態では、第1ターレット20の(h)位置や、第2ターレット70の(j)位置や(n)位置などにおいて、上述した以外の処理をカップ容器Cpに対して追加で実施してもよい。
また、上記したリーク検査や外面検査などの各処理を行うターレット上でのポジションは一例であって、第1ターレット20や第2ターレット70が間欠的に停止する他のステーションにおいて上述した処理を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、複数のカップ容器に対してリーク検査と内面及び外面検査を並行して迅速に行う検査装置を実現するのに適している。
【符号の説明】
【0083】
100 外面検査機能付きリーク検査装置
10 容器保持用マンドレル部
20 第1ターレット
30 圧力付与機構30
40 リーク検出部(制御装置)
50 マンドレル回転機構
60 胴部外面撮像装置
61 底部外面撮像装置
62 容器内面撮像装置
70 第2ターレット
Cp カップ容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12