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特開2024-136207シュリンクフィルムの異常検査装置及び異常検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136207
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】シュリンクフィルムの異常検査装置及び異常検査方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 57/02 20060101AFI20240927BHJP
   B65B 57/00 20060101ALI20240927BHJP
   B65B 65/00 20060101ALI20240927BHJP
   G01N 21/90 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B65B57/02 B
B65B57/00 B
B65B65/00
G01N21/90 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047242
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】青木 一真
【テーマコード(参考)】
2G051
3E056
【Fターム(参考)】
2G051AA13
2G051AA41
2G051AB20
2G051BA04
2G051BB01
2G051CA04
2G051CA06
2G051CB01
2G051DA06
2G051DA13
3E056AA01
3E056AA02
3E056DA05
3E056EA05
3E056GA01
(57)【要約】
【課題】容器本体が透明なシュリンクフィルムに包装されたフィルム包装体に対して高い精度でフィルムの異常を検出する。
【解決手段】フィルム包装体の異常検査装置は、上蓋の表面に位置するシュリンクフィルムを撮像する撮像手段と、この撮像手段によって撮像されるシュリンクフィルムの像にハレーションが発生するように上蓋の表面に位置するシュリンクフィルムに対して所定の角度で照明光を照射する照明手段と、撮像手段で得られた画像におけるハレーションの状況に基づいてシュリンクフィルムの異常を判定するフィルム異常判定手段と、を備えてなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体がシュリンクフィルムによって包装されてなるフィルム包装体の異常検査装置であって、
上蓋の表面に位置する前記シュリンクフィルムを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像される前記シュリンクフィルムの像にハレーションが発生するように、前記上蓋の表面に位置する前記シュリンクフィルムに対して所定の角度で照明光を照射する照明手段と、
前記撮像手段で得られた前記ハレーションの状況に基づいて前記シュリンクフィルムの異常を判定するフィルム異常判定手段と、
を備えてなるフィルム包装体の異常検査装置。
【請求項2】
前記フィルム包装体を搬送する搬送手段をさらに含み、
前記撮像手段及び前記照明手段は、前記搬送手段を挟むように前記搬送手段の側方にそれぞれ配置されてなり、
複数の前記フィルム包装体が前記搬送手段で搬送されながら前記照明手段で順次照明されることで、前記複数のフィルム包装体における各々の上蓋の表面に位置するシュリンクフィルムが前記撮像手段によって撮像される、
請求項1に記載のフィルム包装体の異常検査装置。
【請求項3】
前記搬送手段を介して移動する前記フィルム包装体の通過を検出する検出センサをさらに含み、
前記照明手段は、前記検出センサの検出結果に基づいて前記上蓋の表面に位置する前記シュリンクフィルムに対して前記照明光を照射する、
請求項2に記載のフィルム包装体の異常検査装置。
【請求項4】
前記搬送手段を介して移動する前記フィルム包装体を前記搬送手段から排出する排出手段をさらに含み、
前記排出手段は、前記フィルム異常判定手段によってフィルムの異常が判定されたフィルム包装体を前記搬送手段から排出する、
請求項3に記載のフィルム包装体の異常検査装置
【請求項5】
前記照明手段は、前記搬送手段の上流側において一方の側に配置される第1照明装置と、前記第1照明装置よりも下流側において前記一方の側とは反対側である他方の側に配置される第2照明装置と、を備え、
前記撮像手段は、前記搬送手段に対して前記第1照明装置に対応して前記他方の側に配置される第1撮像装置と、前記搬送手段に対して前記第2照明装置に対応して前記一方の側に配置される第2撮像装置と、を備え、
前記第1撮像装置および前記第2撮像装置は、前記上蓋の表面に位置するシュリンクフィルムのうち前記照明手段に近い領域をそれぞれ撮像する、
請求項4に記載のフィルム包装体の異常検査装置。
【請求項6】
前記フィルム異常判定手段は、
前記容器本体の底部又は胴部の表面に位置するシュリンクフィルムの破損に起因する上蓋表面のシュリンクフィルムでの異常を検出する、
請求項1~5のいずれか一項に記載のフィルム包装体の異常検査装置。
【請求項7】
容器本体がシュリンクフィルムによって包装されてなるフィルム包装体の異常を検査するフィルム包装体の異常検査方法であって、
撮像手段によって撮像される前記シュリンクフィルムの像にハレーションが発生するように、上蓋の表面に位置する前記シュリンクフィルムに対して所定の角度で照明光を照射する工程と、
前記照明光が照射された状態の前記シュリンクフィルムを前記撮像手段で撮像する工程と、
前記撮像手段で得られた前記ハレーションの状況に基づいて前記シュリンクフィルムの異常を判定する工程と、
を含んでなるフィルム包装体の異常検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品などの物品が貯留されたカップなどの容器を包装するシュリンクフィルムの良否を判定可能なシュリンクフィルムの異常検査装置および異常検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、食品や物品などを貯留するカップ状の容器が用いられている。かような容器には、水分や埃などが侵入しないように樹脂製の包装材(封緘材、シュリンクフィルム、透明ラップなどとも称される。以下、かような包装材を「シュリンクフィルム」と総称する。)でラッピングされることも多い。
【0003】
シュリンクフィルムは、上述した水分や汚れなどから容器や内容物を保護する機能に加え、そのラッピングされた容器が未開封であることを証明する機能も有している。従って製造過程においてシュリンクフィルムの破損は上記機能の喪失につながることから、下記の特許文献に例示されるようにシュリンクフィルムの破損を検査することは重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-177742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば特許文献1によれば、高周波蛍光照明装置から発する光の反射光をカメラで撮影することによりその明暗を検知することが提案されている。たしかに特許文献1によれば、シュリンクフィルムの有無による反射光の明暗度合いを解析することで、ある程度の精度でフィルムの欠失部を検知することはできる。
【0006】
しかしながら特許文献1の構成では、単純に容器の検査面からの反射光をカメラで撮影することに留まっており、良否判定の肝となる明暗度合いを最大化するには未だに改善の余地があると言える。また、特許文献1の構成では、フィルムの穴や破れ等の大きな異常は検知できたとしても、より高精度に例えばシワやフィルム弛みなど小さな異常までは検知することが出来ない。加えて特許文献1はカメラに直接映る異常を検出することに留まるものであるが、必要に応じてカメラに直接映らない箇所の不良も間接的に検知できることが望ましいと言える。
【0007】
本発明は、上記した課題を一例に鑑みて為されたものであり、容器本体が透明なシュリンクフィルムに包装されたフィルム包装体に対して高い精度でフィルムの異常を検出可能なフィルム包装体の異常検査装置および異常検査方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態におけるフィルム包装体の異常検査装置は、(1)容器本体がシュリンクフィルムによって包装されてなるフィルム包装体の異常検査装置であって、上蓋の表面に位置する前記シュリンクフィルムを撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像される前記シュリンクフィルムの像にハレーションが発生するように、前記上蓋の表面に位置する前記シュリンクフィルムに対して所定の角度で照明光を照射する照明手段と、前記撮像手段で得られた前記ハレーションの状況に基づいて前記シュリンクフィルムの異常を判定するフィルム異常判定手段と、を備えてなる。
【0009】
また、上記(1)に記載のフィルム包装体の異常検査装置においては、(2)前記フィルム包装体を搬送する搬送手段をさらに含み、前記撮像手段及び前記照明手段は、前記搬送手段を挟むように前記搬送手段の側方にそれぞれ配置されてなり、複数の前記フィルム包装体が前記搬送手段で搬送されながら前記照明手段で順次照明されることで、前記複数のフィルム包装体における各々の上蓋の表面に位置するシュリンクフィルムが前記撮像手段によって撮像されることが好ましい。
【0010】
また、上記(2)に記載のフィルム包装体の異常検査装置においては、(3)前記搬送手段を介して移動する前記フィルム包装体の通過を検出する検出センサをさらに含み、前記照明手段は、前記検出センサの検出結果に基づいて前記上蓋の表面に位置する前記シュリンクフィルムに対して前記照明光を照射することが好ましい。
【0011】
また、上記(3)に記載のフィルム包装体の異常検査装置においては、(4)前記搬送手段を介して移動する前記フィルム包装体を前記搬送手段から排出する排出手段をさらに含み、前記排出手段は、前記フィルム異常判定手段によってフィルムの異常が判定されたフィルム包装体を前記搬送手段から排出することが好ましい。
【0012】
また、上記(4)に記載のフィルム包装体の異常検査装置においては、(5)前記照明手段は、前記搬送手段の上流側において一方の側に配置される第1照明装置と、前記第1照明装置よりも下流側において前記一方の側とは反対側である他方の側に配置される第2照明装置と、を備え、前記撮像手段は、前記搬送手段に対して前記第1照明装置に対応して前記他方の側に配置される第1撮像装置と、前記搬送手段に対して前記第2照明装置に対応して前記一方の側に配置される第2撮像装置と、を備え、前記第1撮像装置および前記第2撮像装置は、前記上蓋の表面に位置するシュリンクフィルムのうち前記照明手段に近い領域をそれぞれ撮像することが好ましい。
【0013】
また、上記(1)~(5)のいずれかに記載のフィルム包装体の異常検査装置においては、(6)前記フィルム異常判定手段は、前記容器本体の底部又は胴部の表面に位置するシュリンクフィルムの破損に起因する上蓋表面のシュリンクフィルムでの異常を検出することが好ましい。
【0014】
さらに、上記した課題を解決するため本発明の一実施形態におけるフィルム包装体の異常検査方法は、(7)容器本体がシュリンクフィルムによって包装されてなるフィルム包装体の異常を検査するフィルム包装体の異常検査方法であって、撮像手段によって撮像される前記シュリンクフィルムの像にハレーションが発生するように、上蓋の表面に位置する前記シュリンクフィルムに対して所定の角度で照明光を照射する工程と、前記照明光が照射された状態の前記シュリンクフィルムを前記撮像手段で撮像する工程と、前記撮像手段で得られた前記ハレーションの状況に基づいて前記シュリンクフィルムの異常を判定する工程と、を含んでなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シュリンクフィルムへの照明光のハレーションを利用してフィルム包装体の傷や破損などの異常を判定することから、簡易な構成で安定して高い精度で上記異常を検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態におけるフィルム包装体の異常検査装置の構成を模式的に示した斜視図である。
図2】実施形態におけるフィルム包装体の異常検査装置の構成を模式的に示した上面図である。
図3】実施形態におけるフィルム包装体の異常検査装置の構成を模式的に示した側面図である。
図4】実施形態におけるフィルム包装体の異常検査装置のうちハレーションを発生させるためのフィルム包装体に対する撮像装置と照明装置の位置関係を説明する模式図である。
図5】実施形態におけるフィルム包装体に対する他の検査態様を説明する模式図である。
図6】実施形態によって撮像される良品画像の例と不良品パターンの例とを比較し参照する図である。
図7】実施形態におけるフィルム包装体の異常検査方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明のフィルム包装体の異常判定装置および異常判定方法について具体的に説明する。なお、以下の実施形態は本発明の一例を説明するものであり、本発明を意図せず限定するものではなく、他の公知の構成を適宜補完してもよい。また、以下で詳述する構成以外の構成については、上記した特許文献を含む公知の機構を適宜援用してもよい。
以下の実施形態では、鉛直方向をZ方向としつつ、検査時におけるコンベア上を移動するフィルム包装体の搬送方向と平行な方向をY方向とし、これらZ方向及びY方向と直交する方向をX方向として例示する。しかしながらこの方向設定は説明の便宜上のためであり、本発明を意図せず限定するものではない。
【0018】
<フィルム包装体の異常検査装置100>
図1図3に、実施形態におけるフィルム包装体の異常検査装置100を示す。同図に示すとおりフィルム包装体10の異常検査装置100は、底部1及び胴部2を備えた容器本体3の開口が上蓋4により閉塞されてシュリンクフィルム5によって包装されてなるフィルム包装体10の異常を検査する機能を有して構成されている。
より具体的に本実施形態の異常検査装置100は、撮像手段20と、照明手段30と、 フィルム異常判定手段40と、を少なくとも含んで構成されている。また、本実施形態の異常検査装置100は、さらに、搬送手段50、検出センサ60および排出手段70を含んで構成されていることが好ましい。
【0019】
ここで「フィルム包装体10」とは、上記した特許文献1にも例示されるとおり、例えば所定の装飾やコーティングが施された容器が公知の透明なシュリンクフィルムにより包装された物品を言う。なお容器の具体例としては、例えば開口が形成された容器本体が上蓋で閉塞された公知のカップや箱が例示できる。また、容器本体内に保存される内容物としては、特に制限はなく、例えばジャムやヨーグルトなどの食品、錠剤などの薬品、あるいは玩具や文具など公知の内容物が例示できる。
【0020】
かような容器の材質としても、特に制限はなく、意匠的な装飾やコーティングが施された公知の紙製カップや樹脂製カップなどが例示できる。さらに容器の外観形状としても、上記した透明なシュリンクフィルムで包装可能な限りにおいて公知の形状を適用でき、例えば食品用途に適した浅底のカップ形状など公知の容器形状が適用できる。
【0021】
撮像手段20は、上記したフィルム包装体10における上蓋4の表面に位置するシュリンクフィルム(上面シュリンクフィルム5a)を撮像する機能を有して構成されている。かような撮像手段20としては、後述する照明手段30からの照明光を受光可能な公知のカメラが例示できる。また、図2および図3に示すように、本実施形態における撮像手段20は、後述する搬送手段50としてのベルトコンベアに沿って複数設けられることが好ましい。
【0022】
照明手段30は、前記した撮像手段20によって撮像されるシュリンクフィルム5の像にハレーションが発生するように、上蓋4の表面に位置する上面シュリンクフィルム5aに対して所定の角度で照明光を照射する機能を有して構成されている。このように本実施形態において照明手段30は、搬送手段50で搬送されるフィルム包装体10の上面を照明した際に、撮像手段20で撮像される像がハレーションを起こす角度で設置されていることに最大の特徴がある。一般的な撮像においては光が強く当たりすぎて画面が白くぼやけたり濁ったりする現象(ハレーション)は好ましくないため諸検査において如何にハレーションを発生させないかが重要となるが、本実施形態では敢えてハレーションを利用して検査精度の向上を図っている。
【0023】
かようなハレーションは、例えば図4に例示するように、フィルム包装体10、撮像手段20および照明手段30の位置関係を事前に設定することで意図的に発生させることができる。一例として本実施形態では、フィルム包装体10の中心から撮像手段20までの距離L1を270mm、撮像手段20に関するフィルム包装体10の搬送面からの設置高さH1を160mm、照明手段30の上記設置高さH2を120mm、照明手段30によるフィルム包装体10の上面への照明光の照射角α1を30度、撮像手段20の上記搬送面に対する角度α2を20度と設定した。なお上記L1、H1、H2、α1およびα2の値は一例であって、フィルム包装体10における上面の径やシュリンクフィルム5の材質によって適宜調整が必要である。
【0024】
なお本実施形態では、上記ハレーションが発生するようにフィルム包装体10、撮像手段20および照明手段30の位置関係を事前に設定しているが、例えば6軸制御可能なステッピングモータなど公知の駆動機構を介して撮像手段20および照明手段30の向きや位置を自動で調整してハレーションを発生させてもよい。
また、本実施形態の照明手段30は、例えば公知のブルーライトなど、より光が反射し易い青色波長の照明光を照射することが好ましい。
【0025】
フィルム異常判定手段40は、前記した撮像手段20で得られたハレーションの状況に基づいてシュリンクフィルム5の異常を判定する機能を有して構成されている。例えば図6(a)に示すように、上面シュリンクフィルム5a全領域でハレーションが適正に起きていれば良品と判定することができる。一方で図6(b)や(c)に示すように、上面シュリンクフィルム5aの一部でハレーションが起きておらず、シワ模様や上蓋の印刷模様などが映っていれば不良品と判定することができる。
かようなフィルム異常判定手段40は、公知のコンピュータ(制御装置)によって実行され得る。かような制御装置としては、一つ又は複数のプロセッサ(CPU(Central Processing Unit))と、この一つ又は複数のプロセッサに通信可能に接続される一つ又は複数の記憶装置(メモリ)と、を備えて構成されていてもよい。なお制御装置は、前記した撮像手段20、照明手段30、それぞれ後述する搬送手段50、検出センサ60及び排出手段70の少なくとも1つを制御する機能を有して構成されていることが好ましい。
【0026】
搬送手段50は、上記したフィルム包装体10を搬送する機能を有して構成されている。かような搬送手段50の具体例としては、図2などに示すように、複数のフィルム包装体10を搬送することが可能な公知のベルトコンベアが例示できる。本実施形態の搬送手段50としてのベルトコンベアは、一例として、35~40m/minでフィルム包装体10を搬送する。
【0027】
図2および図3に示すように、本実施形態では搬送手段50としてのベルトコンベア上を上流から下流に沿ってフィルム包装体10が搬送される途中で、撮像手段20および照明手段30によって上記した異常の有無がノンストップで検出される。これにより、1分間で150個程度のフィルム包装体10のフィルム異常の有無を検出することが可能となっている。なお本実施形態では、撮像手段20や照明手段30の下でフィルム包装体10が停止せずに上記異常の有無が検出されるが、例えば単品検査など検査時間の短縮が要望されない場合にはベルトコンベアを間欠的に停止して上記異常の有無を検出してもよい。
【0028】
このように複数のフィルム包装体10はベルトコンベア上を上流から下流に沿って順次搬送されて上記した異常の有無がノンストップで検出される。従って撮像手段20及び照明手段30は、この搬送手段50を挟むように搬送手段50の側方にそれぞれ配置されている。そして図2に示すように、複数のフィルム包装体10が搬送手段50で搬送されながら照明手段30で順次照明されることで、複数のフィルム包装体10における各々の上蓋4の表面に位置する上面シュリンクフィルム5aが撮像手段20によって撮像される。
【0029】
なお本実施形態ではハレーションを利用してシュリンクフィルムの破れなどの異常を検出することから、照明手段30による照明光の強度を安定して確保することが重要となる。従って図5に例示するように、フィルム包装体10における上蓋4の表面に位置する上面シュリンクフィルム5aのうち照明手段30に近い一部の領域を撮像することが好ましい。なお図示ではフィルム包装体10の上面のうち照明手段30に近い側の半分を検査領域HISとしているが、必ずしも半分である必要はなく図5におけるX方向に関してフィルム包装体10の中心付近から半分程度であればよい。
【0030】
従って、本実施形態の照明手段30は、搬送手段50の上流側において一方の側(図2におけるベルトコンベアの右側)に配置される第1照明装置30Aと、この第1照明装置30Aよりも下流側において一方の側とは反対側である他方の側(図2におけるベルトコンベアの左側)に配置される第2照明装置30Bと、を備えてなる。また、本実施形態の撮像手段20は、この搬送手段50に対して第1照明装置30Aに対応して他方の側に配置される第1撮像装置20Aと、搬送手段50に対して第2照明装置30Bに対応して一方の側に配置される第2撮像装置20Bと、を備えてなる。
このように本実施形態では、図2に示すように、第1撮像装置20Aおよび第1照明装置30Aが配置される上流側検査エリアIA-1と、第2撮像装置20Bおよび第2照明装置30Bが配置される下流側検査エリアIA-2と、に区画されていてもよい。
【0031】
検出センサ60は、上記した搬送手段50を介して移動するフィルム包装体10の通過を検出する機能を有して構成されている。本実施形態の検出センサ60は、第1照明装置30Aによるフィルム包装体10への照射タイミングおよび第1撮像装置20Aによる撮像タイミングの起動トリガーとなる第1トリガーセンサ61と、第2照明装置30Bによるフィルム包装体10への照射タイミングおよび第2撮像装置20Bによる撮像タイミングの起動トリガーとなる第2トリガーセンサ62と、を含んでなる。
このように本実施形態の照明手段30は、前記した検出センサ60の検出結果に基づいて、フィルム包装体10における上蓋4の表面に位置する上面シュリンクフィルム5aに対して照明光を照射することが可能となっている。
【0032】
また、本実施形態の検出センサ60は、図2に示すように、上流側検査エリアIA-1において不良判定を受けたフィルム包装体10を排出する排出手段70(第1圧空装置70A)の起動トリガーとなる第3トリガーセンサ63と、下流側検査エリアIA-2において不良判定を受けたフィルム包装体10を排出する排出手段70(第2圧空装置70B)の起動トリガーとなる第4トリガーセンサ64と、をさらに含んでいることが好ましい。
なお、かような検出センサ60の具体例としては、上記したフィルム包装体10の通過を検出できる限りにおいて特に制限はなく、例えば赤外線を用いた光学センサなど公知の種々のセンサが例示できる。
【0033】
排出手段70は、前記した搬送手段50を介して移動するフィルム包装体10を搬送手段50から排出する機能を有して構成されている。これにより、例えばフィルム異常判定手段40を介してシュリンクフィルム5の異常が検出されたフィルム包装体10をベルトコンベア上から排出することが可能となる。本実施形態の排出手段70は、図2に示すように、上流側検査エリアIA-1においてフィルム異常判定手段40によって不良判定を受けたフィルム包装体10を個別に圧縮空気を吹き付けて排出可能な第1圧空装置70Aと、下流側検査エリアIA-2においてフィルム異常判定手段40によって不良判定を受けた他のフィルム包装体10を個別に圧縮空気を吹き付けて排出可能な第2圧空装置70Bと、を含んでいる。
【0034】
なお本実施形態の排出手段70は不図示の陽圧源と接続されて圧縮空気を吐出可能な公知のエアーガンであるが、排出手段70の構成は上記に限定されない。すなわち排出手段70としては、不良判定されたフィルム包装体10を上記ベルトコンベア上から除外することが可能な限りにおいて特に制限はなく、上記したエアーガンの他に例えば金属などの押出し部材を不良品に押し当てて上記ベルトコンベア上から排出してもよい。すなわち排出手段70としては、例えば圧縮空気を用いて非接触で不良判定されたフィルム包装体10をベルトコンベア上から排出してもよいし、上記押出し部材など公知の部材を接触させて不良判定されたフィルム包装体10をベルトコンベア上から排出してもよい。
【0035】
図6に、本実施形態の異常検査装置100における撮像手段20で撮像された検査画像の例を示す。
まず図6(a)に、シュリンクフィルム5に破れや規定外のシワがないフィルム包装体10の良品パターンの画像例を示す。同図に示すように、良品画像パターンにおいては、滑らかなシュリンクフィルム5に対して撮像手段20(カメラ)がハレーションする強度で照明手段30による照明光が当たると、シュリンクフィルム5上で光が反射してハレーションを起こる。これにより、図示されるとおりシュリンクフィルム5が白く映る画像が得られる。
【0036】
次に図6(b)及び(c)に、シュリンクフィルム5に破れや規定外のシワがあるフィルム包装体10の不良品パターンの画像例を示す。このうち図6(b)は、上蓋4の上面をカバーする上面シュリンクフィルム5aの周縁にシワが生じているフィルム包装体10の例を示している。このようなフィルム包装体10の上記したシワの部分に照明光が当たった場合、シワによる凹凸で照明光が散乱して反射光が弱まることになる。その結果、撮像手段20で撮像された画像のうち上記シワがある領域は、図示されたように黒く映ることになる。
【0037】
かようなシワは、例えばフィルム包装体10の上面シュリンクフィルム5aでの欠失のみならず底部1又は胴部2の上に位置するシュリンクフィルム5の破損に起因することが判明した。すなわち、底部1や胴部2にフィルムの破れが発生した場合、これによりフィルムが弛んで表面にシワが発生することになる。
従来の検査装置とは大きく異なり、本実施形態における異常検査装置100のフィルム異常判定手段40は、カメラには映らない容器本体3の底部1又は胴部2の上に位置するシュリンクフィルム5の破損に起因する上蓋表面のシュリンクフィルムでの異常を間接的に検出可能であると言える。
【0038】
一方で図6(c)は、上蓋4の上面をカバーする上面シュリンクフィルム5aに破れが生じているフィルム包装体10の例を示している。このようなフィルム包装体10の上記した破損の部分に照明光が当たった場合、破れている領域においては上蓋4の印刷面で光が反射することで、印刷面が撮像手段20で撮像されることになる。すなわち、例えば上蓋4が紙や樹脂で構成されている場合、照明手段30による照明光はその表面で散乱して撮像手段20に向かう反射光の強度は弱くなり、その結果としてハレーションは発生しないことになる。
【0039】
これによりフィルム異常判定手段40は、上面シュリンクフィルム5aの全面でハレーションが発生していれば良品としつつ、少なくとも一部の領域でハレーションが発生していない場合には不良品と判定できる。このようにフィルム異常判定手段40は、前記した撮像手段20で得られたハレーションの状況に基づいてシュリンクフィルム5の異常を判定することが可能となる。
【0040】
<フィルム包装体の異常検査方法>
次に図7もさらに参照しつつ上記した異常検査装置100によるフィルム包装体10の異常検査方法について説明する。本実施形態におけるフィルム包装体の異常検査方法は、容器本体3がシュリンクフィルム5によって包装されてなるフィルム包装体10の異常(例えばシュリンクフィルムの底部や胴部の破損に起因する上面のシワの有無や、この上面の破れの有無など)を検査する手法である。かような異常検査方法は、例えば異常検査装置100を制御する上記した制御装置に、プログラムとして格納されてCPUで実行され得る。なおこの異常検査方法のプログラムは、上記した制御装置のメモリに格納される他、クラウドなどのネットワークを介してPCへダウンロードされる形態であってもよい。
【0041】
まずステップ1で上記した制御装置は、作業者による操作の下で、搬送手段50としてのベルトコンベアを駆動させる。これにより図2などに示すように、検査前の複数のフィルム包装体10がベルトコンベア上で異常検査装置100の下を順次に移動する。
【0042】
続くステップ2では、ベルトコンベア上を移動する被検査体(フィルム包装体10)が上記した第1トリガーセンサ61に到達したか否かが判定される。そしてステップ2でフィルム包装体10が規定位置に到達したと判定された場合には、次いでステップ3へと移行する。
【0043】
すなわちステップ3において、上記した制御装置は、図2に示すように、上流側検査エリアIA-1においてフィルム包装体10の上面シュリンクフィルム5aのうち右半面の異常検査を実行する。具体的には、撮像手段20としての第1撮像装置20Aによって撮像されるシュリンクフィルムの像にハレーションが発生するように、上蓋4の表面に位置するシュリンクフィルムの右半面に対して所定の角度で第1照明装置30Aを介して照明光を照射する。このとき上記照明光の照射と並行して、前記した照明光が照射された状態のシュリンクフィルム(上面シュリンクフィルム5a)が第1撮像装置20Aで撮像される。
【0044】
次いでステップ4において、制御装置のフィルム異常判定手段40は、上述した手法によって第1撮像装置20Aで得られた画像におけるハレーションの状況に基づいてシュリンクフィルムの異常を判定する。そしてステップ4でシュリンクフィルムの異常が検出されてこのフィルム包装体10が不良品と判定された場合にはステップ5に移行する。一方でステップ4でシュリンクフィルムの異常が検出されない場合には、ステップ6へ移行する。なおこのステップ2からステップ5までにおいてベルトコンベアは依然として駆動したままであり、フィルム包装体10がベルトコンベア上で停止せずに移動したまま上記検査が実行される。
【0045】
ステップ4で不良品があると判定された後に続くステップ5では、上記した制御装置は、上記した第3トリガーセンサ63の検出結果に基づいて、第1圧空装置70Aを用いて、不良判定されたフィルム包装体10を個別に圧縮空気を吹き付けて排出する制御を実行する。これにより、まず右半面に不良があるフィルム包装体10が、上流側検査エリアIA-1の終盤においてベルトコンベアから除外されることになる。
【0046】
一方でステップ4で不良判定を受けなかったフィルム包装体10は、ベルトコンベアを介して下流側検査エリアIA-2へと移動を続ける。従ってステップ6では、上記した制御装置によって、ベルトコンベア上を移動する被検査体(フィルム包装体10)が上記した第2トリガーセンサ62に到達したか否かが判定される。ステップ6でフィルム包装体10が規定位置に到達したと判定された場合には、次いでステップ7へと移行する。
【0047】
すなわちステップ7において、上記した制御装置は、図2に示すように、下流側検査エリアIA-2においてフィルム包装体10の上面シュリンクフィルム5aのうち左半面の異常検査を実行する。具体的には、撮像手段20としての第2撮像装置20Bによって撮像されるシュリンクフィルムの像にハレーションが発生するように、上蓋4の表面に位置するシュリンクフィルムの左半面に対して所定の角度で第2照明装置30Bを介して照明光を照射する。このとき上記照明光の照射と並行して、前記した照明光が照射された状態のシュリンクフィルム(上面シュリンクフィルム5a)が第2撮像装置20Bで撮像される。
【0048】
次いでステップ8において、制御装置のフィルム異常判定手段40は、上述した手法と同様にして、第2撮像装置20Bで得られた画像におけるハレーションの状況に基づいてシュリンクフィルムの異常を判定する。そしてステップ8でシュリンクフィルムの異常が検出されてこのフィルム包装体10が不良品と判定された場合にはステップ9に移行する。一方でステップ8でシュリンクフィルムの異常が検出されない場合には、ステップ10へ移行する。なおこのステップ6からステップ9までにおいてベルトコンベアは駆動を継続したままであり、フィルム包装体10がベルトコンベア上で停止せずに移動したまま上流から下流にかけて上記した各検査が実行される。
【0049】
ステップ8で不良品があると判定された後に続くステップ9では、上記した制御装置は、上記した第4トリガーセンサ64の検出結果に基づいて、第2圧空装置70Bを用いて、不良判定されたフィルム包装体10を個別に圧縮空気を吹き付けて排出する制御を実行する。これにより、右半面は異常がなくとも左半面に不良があるフィルム包装体10が、下流側検査エリアIA-2の終盤においてベルトコンベアから除外されることになる。
【0050】
一方でステップ8で不良判定を受けなかったフィルム包装体10は、下流側検査エリアIA-2を通過することで、シュリンクフィルム5に異常はない(すなわち良品である)と判定される。
この後にステップ10では目標数の検査が完了したか否かが判定され、未だにベルトコンベア上を被検査体が流れる状態であればステップ1に戻って上記した処理が繰り返される。他方でステップ10において目標数の検査が完了したと判定された場合には、本実施形態の異常判定方法が終了する。
【0051】
このように本実施形態のフィルム包装体の異常検査方法は、ベルトコンベア上を移動するフィルム包装体の移動を停止せずにシュリンクフィルムの異常を判定する。また、シュリンクフィルムの異常判定に際しては、上流側と下流側の検査エリアを設定してハレーションが安定して発生するようにシュリンクフィルムの検査すべき領域を区分けしている。これにより本実施形態では、簡易な構成で安定して高い精度でしかも高速度でフィルム包装体の異常を検出することが可能となっている。
【0052】
以上説明した実施形態は本発明の趣旨を具現化した一例であり、本発明の上記趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えてもよい。さらには本発明の上記趣旨を逸脱しない範囲で公知の構造や手法を適宜追加して変形してもよい。
【0053】
例えば上記した実施形態では、フィルム包装体の右半面を最初に異常検査したが、フィルム包装体の左半面を最初に検査してもよい。また、シュリンクフィルムの検査すべき領域を半々に区分けしているが、ハレーションが安定して発生する限りにおいて必ずしも五割ずつで区分する必要はなく適宜に領域調整をしてもよい。
【0054】
また、上記した実施形態において、排出手段70は、不良判定されたフィルム包装体10を真横から押し出すように構成されていた。しかしながらこの形態に限られず、排出手段70は、ベルトコンベアで移動するフィルム包装体の進行方向と斜めに交差する方向に圧縮空気などを押し当てて斜め方向に押し出すようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、簡易で迅速にシュリンクフィルムの異常を判定可能なフィルム包装体の異常検査装置を実現するのに適している。
【符号の説明】
【0056】
10 フィルム包装体
20 撮像手段
30 照明手段
40 異常判定手段
50 搬送手段
60 検出センサ
70 排出手段
100 フィルム包装体の異常検査装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7