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特開2024-136244移動ロボット同士の並行及び対向を考慮して移動経路を探索する管理装置、プログラム及び方法
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  • 特開-移動ロボット同士の並行及び対向を考慮して移動経路を探索する管理装置、プログラム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136244
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】移動ロボット同士の並行及び対向を考慮して移動経路を探索する管理装置、プログラム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240927BHJP
【FI】
G05D1/02 H
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047293
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【弁理士】
【氏名又は名称】早原 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】神谷 尚保
(72)【発明者】
【氏名】稗圃 泰彦
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG09
5H301LL03
5H301LL06
(57)【要約】
【課題】複数の移動ロボットが並行及び/又は対向して同時に走行可能な複数の経路区間からなる経路について、移動ロボットの移動経路を探索する管理装置等を提供する。
【解決手段】管理装置は、経路区間毎に、並行及び/又は対向して同時に走行可能な移動ロボットの数を表す通路容量を記憶した通路容量記憶手段と、経路区間毎にリンクコストを設定し、1つ以上の経路区間のリンクコストの合計が最小となる移動経路を探索した後、各経路区間を同時に走行する移動ロボットの数が通路容量以下となるように、移動経路を再探索する経路探索手段とを有する。また、経路探索手段は、移動ロボット毎に、当該移動ロボットの車幅に応じて消費する通路容量を設定しており、各経路区間を同時に走行する移動ロボットの数が通路容量以下となるように、移動経路を再探索する。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動ロボットが並行及び/又は対向して同時に走行可能な複数の経路区間からなる経路について、移動ロボットの移動経路を探索する管理装置であって、
経路区間毎に、並行及び/又は対向して同時に走行可能な移動ロボットの数を表す通路容量を記憶した通路容量記憶手段と、
経路区間毎にリンクコストを設定し、1つ以上の経路区間のリンクコストの合計が最小となる移動経路を探索した後、各経路区間を同時に走行する移動ロボットの数が通路容量以下となるように、移動経路を再探索する経路探索手段と
を有することを特徴とする管理装置。
【請求項2】
通路容量記憶手段は、移動ロボット毎に、当該移動ロボットの車幅に応じて消費する通路容量を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
経路区間毎に、人口密度を推計する人口密度推計手段を更に有し、
通路容量記憶手段は、経路区間毎に、当該人口密度に応じて当該通路容量を再設定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の管理装置。
【請求項4】
経路探索手段は、移動ロボット毎に、各経路区間の走行予測時間をリンクコストとして設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項5】
複数の経路区間を結ぶノードに、待機可能な移動ロボットの数を表す通路容量を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項6】
経路探索手段は、
全ての経路区間に通路容量を設定したマップデータを構成し、
移動ロボット毎に、当該マップデータに当該移動ロボットの機種に応じたリンクコストを再設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項7】
経路探索手段は、将来の時刻進行に応じて予測される各移動ロボットの位置から、いずれの経路区間の通路容量が不足するか否かを判定し、不足が予測される経路区間のリンクコストを増分して再設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項8】
通路容量記憶手段は、過去の移動ロボットの走行又は停止を記録した走行状態情報を用いて、停止が所定数以上となる経路区間における通路容量を減分して再設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項9】
経路探索手段は、通路容量の不足が予測される経路区間について、当該経路区間への進入すべき移動ロボットがノードに待機するコストと、当該経路区間へ進入した後にバックトラックによって当該ノードへ退避するコストとを比較し、小さい方のコストを当該経路区間のリンクコストに加算する
ことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項10】
移動ロボットを指定場所で指定時間だけ待機させ、及び/又は、移動ロボットが指定場所を移動する際の移動速度を指定する指定待機速度判定手段を更に有し、
経路探索手段は、移動ロボットの待機及び/又は移動速度によって、各経路区間のリンクコストを再設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項11】
複数の移動ロボットが並行及び/又は対向して同時に走行可能な複数の経路区間からなる経路について、移動ロボットの移動経路を探索するようにコンピュータを機能させるプログラムであって、
経路区間毎に、並行及び/又は対向して同時に走行可能な移動ロボットの数を表す通路容量を記憶した通路容量記憶手段と、
経路区間毎にリンクコストを設定し、1つ以上の経路区間のリンクコストの合計が最小となる移動経路を探索した後、各経路区間を同時に走行する移動ロボットの数が通路容量以下となるように、移動経路を再探索する経路探索手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
複数の移動ロボットが並行及び/又は対向して同時に走行可能な複数の経路区間からなる経路について、移動ロボットの移動経路を探索する装置の移動経路探索方法であって、
装置は、
経路区間毎に、並行及び/又は対向して同時に走行可能な移動ロボットの数を表す通路容量を記憶した通路容量記憶部を有し、
経路区間毎にリンクコストを設定し、1つ以上の経路区間のリンクコストの合計が最小となる移動経路を探索する第1のステップと、
各経路区間を同時に走行する移動ロボットの数が通路容量以下となるように、移動経路を再探索する第2のステップと
を実行することを特徴とする装置の移動経路探索方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明によれば、移動体の移動経路を探索する技術に関する。移動体としては特に、自走可能な移動ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通常時のロボットの移動に影響を与えることなく、ロボット同士の衝突を避ける技術がある(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、地図データと、ロボットの現在位置と、移動経路に設定された有限個のサブゴールに関するサブゴールデータとを取得し、2台のロボットが衝突する可能性があるか否かを判定する。衝突可能性がある2台のロボットのうち、一方のロボットの移動経路を、他方のロボットとの衝突を避けるように変更する。
【0003】
また、他のロボットと干渉することなく、ロボットを確実に移動させるロボット制御装置の技術もある(例えば特許文献2参照)。この技術によれば、ロボットは、移動経路データの生成要求をロボット制御装置へ送信し、ロボット制御装置から移動経路データを受信する。ロボット制御装置は、複数のロボットからの生成要求を受信し、複数のロボット同士が衝突しないように生成要求のそれぞれに応じた移動経路データを生成し、生成された移動経路データのうちの一定時間分を、要求元のロボットへ送信する。
【0004】
更に、移動ロボット間で発生するデッドロックを回避すると共に、その演算量を削減するロボット制御装置の技術もある(例えば特許文献3参照)。この技術によれば、ロボット制御装置は、通路の属性情報が含まれるリンクと、隣接するリンクを接続するノードとを有する地図情報を用いて、ロボットの目的地までの経路情報を生成する。その上で、全てのロボットの経路情報から、他のロボットの経路と競合しない非競合区間を抽出する。ロボットが非競合区間のみによって目的地までの移動ができない場合には、他のロボットの走行情報に応じて制御情報を更新する。そして、ロボット制御装置は、ロボットへ制御情報を送信すると共に、非競合区間の移動の終了通知をロボットから受信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-133863号公報
【特許文献2】特開2010-231698号公報
【特許文献3】WO-A1-2022/180783
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した特許文献1~3はいずれも、複数の移動ロボットが互いに発見できるような比較的近い距離で、対向して衝突する状況のみが想定されている。即ち、狭い通路で、一方の移動ロボットとそれに対向する他方の移動ロボットとが衝突することを回避しようとするものである。
【0007】
これに対し、本願の発明者らは、複数のロボットの経路探索の地点で、衝突を回避するように移動経路を設定することができないか、と考えた。衝突を回避する移動経路が設定できれば、移動ロボットが待機する必要もなく、時間ロスを回避することができる。
また、本願の発明者らは、衝突に限られず、比較的狭い幅の経路区間では、同時に並行や対向する移動ロボットの数にも制限がある、と考えた。即ち、経路区間の幅によっては、多数の移動ロボットが同時に走行可能な経路区間もあれば、1台の移動ロボットしか走行できない経路区間もあるであろう、と考えた。
【0008】
そこで、本発明は、複数の移動ロボットが並行及び/又は対向して同時に走行可能な複数の経路区間からなる経路について、移動ロボットの移動経路を探索することができる管理装置、プログラム及び方法を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、複数の移動ロボットが並行及び/又は対向して同時に走行可能な複数の経路区間からなる経路について、移動ロボットの移動経路を探索する管理装置であって、
経路区間毎に、並行及び/又は対向して同時に走行可能な移動ロボットの数を表す通路容量を記憶した通路容量記憶手段と、
経路区間毎にリンクコストを設定し、1つ以上の経路区間のリンクコストの合計が最小となる移動経路を探索した後、各経路区間を同時に走行する移動ロボットの数が通路容量以下となるように、移動経路を再探索する経路探索手段と
を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
通路容量記憶手段は、移動ロボット毎に、当該移動ロボットの車幅に応じて消費する通路容量を決定することも好ましい。
【0011】
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
経路区間毎に、人口密度を推計する人口密度推計手段を更に有し、
通路容量記憶手段は、経路区間毎に、当該人口密度に応じて当該通路容量を再設定する
ことも好ましい。
【0012】
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
経路探索手段は、移動ロボット毎に、各経路区間の走行予測時間をリンクコストとして設定することも好ましい。
【0013】
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
複数の経路区間を結ぶノードに、待機可能な移動ロボットの数を表す通路容量を設定することも好ましい。
【0014】
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
経路探索手段は、
全ての経路区間に通路容量を設定したマップデータを構成し、
移動ロボット毎に、当該マップデータに当該移動ロボットの機種に応じたリンクコストを再設定することも好ましい。
【0015】
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
経路探索手段は、将来の時刻進行に応じて予測される各移動ロボットの位置から、いずれの経路区間の通路容量が不足するか否かを判定し、不足が予測される経路区間のリンクコストを増分して再設定することも好ましい。
【0016】
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
通路容量記憶手段は、過去の移動ロボットの走行又は停止を記録した走行状態情報を用いて、停止が所定数以上となる経路区間における通路容量を減分して再設定することも好ましい。
【0017】
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
経路探索手段は、通路容量の不足が予測される経路区間について、当該経路区間への進入すべき移動ロボットがノードに待機するコストと、当該経路区間へ進入した後にバックトラックによって当該ノードへ退避するコストとを比較し、小さい方のコストを当該経路区間のリンクコストに加算することも好ましい。
【0018】
本発明の管理装置における他の実施形態によれば、
移動ロボットを指定場所で指定時間だけ待機させ、及び/又は、移動ロボットが指定場所を移動する際の移動速度を指定する指定待機速度判定手段を更に有し、
経路探索手段は、移動ロボットの待機及び/又は移動速度によって、各経路区間のリンクコストを再設定することも好ましい。
【0019】
本発明によれば、複数の移動ロボットが並行及び/又は対向して同時に走行可能な複数の経路区間からなる経路について、移動ロボットの移動経路を探索するようにコンピュータを機能させるプログラムであって、
経路区間毎に、並行及び/又は対向して同時に走行可能な移動ロボットの数を表す通路容量を記憶した通路容量記憶手段と、
経路区間毎にリンクコストを設定し、1つ以上の経路区間のリンクコストの合計が最小となる移動経路を探索した後、各経路区間を同時に走行する移動ロボットの数が通路容量以下となるように、移動経路を再探索する経路探索手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、複数の移動ロボットが並行及び/又は対向して同時に走行可能な複数の経路区間からなる経路について、移動ロボットの移動経路を探索する装置の移動経路探索方法であって、
装置は、
経路区間毎に、並行及び/又は対向して同時に走行可能な移動ロボットの数を表す通路容量を記憶した通路容量記憶部を有し、
経路区間毎にリンクコストを設定し、1つ以上の経路区間のリンクコストの合計が最小となる移動経路を探索する第1のステップと、
各経路区間を同時に走行する移動ロボットの数が通路容量以下となるように、移動経路を再探索する第2のステップと
を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の管理装置、プログラム及び方法によれば、複数の移動ロボットが並行及び/又は対向して同時に走行可能な複数の経路区間からなる経路について、移動ロボットの移動経路を探索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明におけるシステム構成図である。
図2】本発明における移動ロボットの機能構成図である。
図3】本発明における管理装置の機能構成図である。
図4】本発明における経路区間の通路容量を表す説明図である。
図5】通路容量を含むマップデータにリンクコストが付与された第1の例である。
図6図5の移動経路について2つの移動ロボットが経路を探索した第1の例である。
図7図6について移動ロボット#1の移動経路を表す第1の例である。
図8図7について移動ロボット#2の移動経路を表す第1の例である。
図9】経路区間を結ぶノードに待機場所が設けられたマップデータの第2の例である。
図10図9について移動ロボット#1の移動経路を表す第2の例である。
図11図9について移動ロボット#2の移動経路を表す第2の例である。
図12】通路容量を含むマップデータに、移動ロボット#4に対応するリンクコストが付与された第3の例である。
図13】通路容量を含むマップデータに、移動ロボット#5に対応するリンクコストが付与された第4の例である。
図14】通路容量を含むマップデータに、移動ロボット#6に対応するリンクコストが付与された第5の例である。
図15】将来時刻における各移動ロボットの想定位置及び通路容量を算出した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明におけるシステム構成図である。
【0025】
本発明は、自律走行可能な複数の移動ロボットが、屋外の一般道路や屋内の通路を、利用者によって指定された目的地まで移動することを想定する。
図1のシステムによれば、利用者端末1と、移動ロボット2と、携帯端末3と、管理装置4とが、ネットワークを介して通信する。
【0026】
<利用者端末1>
利用者端末1は、移動ロボット2の利用者によって操作される端末である。例えばスマートフォンやタブレット端末であってもよい。利用者端末1は、ネットワークを介して管理装置4と通信する。
図1によれば、利用者端末1は、商品発注部101と、目的地情報入力部102とを有する。
【0027】
[商品発注部101]
商品発注部101は、利用者に、配送サービスにおける商品や役務を選択して発注させるべく操作させる。また、商品発注部101は、利用者が所有する物品の残量をリアルタイムに管理し、その残量が所定閾値以下になった際に、補充用の商品を自動的に発注するものであってもよい。
【0028】
[目的地情報入力部102]
目的地情報入力部102は、利用者に、発注した商品役務の目的地を入力させる。例えば、利用者自らの住所等の情報を入力させる。勿論、以前に入力された目的地の情報を流用し、毎回の入力を省略するものであってもよい。
また、目的地情報入力部102は、利用者端末(例えばスマートフォン)に搭載されたGPS(Global Positioning System)の測位機能を用いて、現在位置を目的地としてもよい。尚、目的地情報入力部102は、カメラで撮影された周囲の景色情報を目的地の参考情報としてもよい。
【0029】
<移動ロボット2>
移動ロボット2は、自律走行可能な移動体である(スマートモビリティ)。移動ロボット2は、管理装置4から指示された移動経路を自走可能なものである。配送サービスの場合、移動ロボット2は、ユーザへ商品役務を提供するべく移動する。
尚、本発明が想定する経路は、一般車両が走行する道路であってもよいし、屋内の通路であってもよい。移動ロボット2は、不特定多数の第三者が行き来する経路を、通行及び駐車することができればよい。
【0030】
<携帯端末3>
携帯端末3は、経路周辺に位置する不特定多数の第三者によって所持されたものである。例えば人が外出時に持ち歩くスマートフォンであり、移動ロボット2のサービスとは何ら関係ないものであってもよい。携帯端末3は、特定の通信キャリアと契約されており、位置情報の取得の合意が取れている全ての加入者を対象としていることが好ましい。
【0031】
<管理装置4>
管理装置4は、複数の移動ロボット2が並行及び/又は対向して同時に走行可能な複数の経路区間からなる経路について、移動ロボット2の移動経路を探索する。
管理装置4は、ネットワークを介して、移動ロボット2へ移動経路を指示すると共に、各経路区間おける携帯端末3の滞在数も収集することができる。
【0032】
図2は、本発明における移動ロボットの機能構成図である。
【0033】
図2によれば、移動ロボット2は、無線通信部201と、現在位置取得部202と、状態取得部203と、撮像部204と、経路情報記憶部205と、動作判断部206と、動作制御部207と、指定待機速度受信部208とを有する。これら機能構成部は、移動ロボットに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。また、これら機能構成部の処理の流れは、移動ロボットの制御方法としても理解できる。
【0034】
[無線通信部201]
無線通信部201は、基地局やアクセスポイントと無線で通信するための無線通信モジュールである。これは、RAN(Radio Access Network)やインターネットを介して、管理装置4と通信する。
具体的には、無線通信部201は、現在実用化されている4G(第4世代移動通信システム)や5G(第5世代移動通信システム)、将来的な実用化が見込まれる6G(第6世代移動通信システム)等の無線通信方式に対応する基地局との間で、無線で通信する。勿論、例えばWiFi(登録商標)のようなアンライセンス系の無線通信方式に対応したアクセスポイントとの間で、無線で通信するものであってもよい。
【0035】
[現在位置取得部202]
現在位置取得部202は、屋外であれば、例えばGPS(Global Positioning System)によって測位する。屋内であれば、例えばIMES(Indoor MEssaging System)によって絶対位置を測位するものであってもよい。
【0036】
[状態取得部203]
状態取得部203は、移動ロボット2に搭載された各種センサから、例えばバッテリー残量、温度、移動速度、加速度のような状態データを取得する。
【0037】
[撮像部204]
撮像部204は、移動ロボット2の周辺を撮影するカメラである。例えば移動ロボット2の進行方向前方を撮影するものであってもよい。
また、撮像部204は、カメラを移動させる移動機構を備えていてもよい。移動機構を制御して、進行方向前方に限られず、左右や上下を撮像することもできる。
【0038】
[経路情報記憶部205]
経路情報記憶部205は、管理装置4から受信した「移動経路」を記憶する。
【0039】
[動作判断部206]
動作判断部206は、以下の情報を用いて、周囲の環境に合わせながら、移動経路に沿って移動する。
・現在位置取得部202で取得した現在位置
・状態取得部203で取得した状態データ
・撮像部204で撮影した画像
動作判断部206は、例えば撮影画像によって前方の障害物を検知した場合、移動速度を制御しながら、障害物を避けるように移動するべく判断する。
【0040】
[動作制御部207]
動作制御部207は、動作判断部206で判断した動作を実行する。具体的には、移動ロボット2を前進、後退、右左折させ、停止させて制御する。
尚、動作制御部207は、カメラを移動させる移動機構を制御してカメラの向きを変更することもできる。
【0041】
[指定待機速度受信部208]
指定待機速度受信部208は、管理装置4から動作制御情報を受信する。その動作制御情報は、動作制御部207へ出力され、移動ロボット2を指定場所で指定時間だけ待機させ、又は、指定場所を移動する際の移動速度を指定速度に変更する。
【0042】
図3は、本発明における管理装置の機能構成図である。
【0043】
管理装置4は、複数の移動ロボット2の移動経路を探索するサーバであって、例えばクラウド上に存在するものであってもよい。管理装置4は、様々な情報によって移動ロボット2の運用を監視し、その移動を制御する(ナビゲーション)。
勿論、管理装置4は、単体の汎用コンピュータ装置として、専用のハードウェア装置として、分散コンピュータとして、又は、Webサイトとして、構成されたものであってもよい。
【0044】
図3によれば、管理装置4は、運用監視部401と、オーダー情報管理部402と、目的地取得部403と、位置状態情報記憶部404と、地図情報記憶部405と、ロボット情報記憶部406と、ロボット割当部407と、端末位置情報記憶部408と、人口密度推計部409と、通路容量記憶部410と、経路探索部411と、経路配信部412と、指定待機速度判定部413とを有する。これら機能構成部は、管理装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。また、これら機能構成部の処理の流れは、移動ロボットの移動経路探索方法としても理解できる。
【0045】
[運用監視部401]
運用監視部401は、複数の移動ロボット2の運用を監視する。運用監視部401は、移動ロボット2毎のID(識別子)に紐付けて、移動ロボット2からリアルタイムに受信した位置情報、状態情報及び画像(映像を含む)を管理する。これら情報は、例えば1秒間隔で受信して更新されるものであってもよい。運用監視部401は、特に位置情報、状態情報及び画像を解析し、移動ロボット2の障害発生を検知した際に、システム監視者に対して警報を発出する。
【0046】
[オーダー情報管理部402]
オーダー情報管理部402は、利用者端末1から商品発注のオーダー情報を受信し、そのオーダー情報を記憶する。オーダー情報管理部402は、任意の購買システムと連携して購買処理を実行し、配送計画を策定する。オーダー情報管理部402は、策定した配送計画に従って、移動ロボット2が移動すべき出発地、目的地及び時間帯等の予定移動情報を記憶する。
【0047】
[目的地取得部403]
目的地取得部403は、オーダー情報管理部402に記憶されたオーダー情報又は予定移動情報から、目的地情報を取得する。
【0048】
[位置状態情報記憶部404]
位置状態情報記憶部404は、各移動ロボット2における位置情報及び状態情報を記憶する。ここで、位置情報は、例えばGPS座標であってもよい。GPSが取得できない屋内では、例えばIMES(Indoor MEssaging System)のような屋内測位技術で取得した絶対位置情報であってもよい。状態情報は、移動ロボット2に搭載された各種センサから取得できる移動速度や加速度等の状態データである。
【0049】
[地図情報記憶部405]
地図情報記憶部405は、移動ロボットが走行する、屋外の一般道路及び歩行道路の道路地図データや、屋内の通路データを記憶する。道路地図データは、例えば交差点等をノードとして、地図上の経路を「経路区間」に分割する。経路区間は、各ノード間を結び、以下のような情報を含む。
・リンク固有の識別子(リンクID)
・「通路容量」
・道路幅
・道路種別
・区間長
・始点・終点(ノード)の位置(経度、緯度)
・角度(方向)
経路区間には、並行及び/又は対向して同時に走行可能な移動ロボット2の数を表す「通路容量」が規定される。経路区間を同時走行可能な移動ロボットの数は、通路容量以下となる。
【0050】
[ロボット情報記憶部406]
ロボット情報記憶部406は、移動ロボット2毎の性能情報を記憶する。性能情報としては、例えば以下のようなものがある。
全長・全幅・全高、重量、ホイールサイズ、最高速度、駆動時間、荷室容量等
【0051】
[ロボット割当部407]
ロボット割当部407は、オーダー情報管理部402で策定された配送計画で適切な移動ロボット2を選択して、その配送に割り当てる。ロボット割当部407は、例えば、小型化又は少量の商品を配送する場合、バッテリー効率の良い小型ロボットが配送に割り当てられる。
【0052】
[端末位置情報記憶部408]
端末位置情報記憶部408は、各携帯端末3の位置情報の履歴を記憶する。例えば、各スマートフォンのGPSの位置情報を、時刻に紐づけて記憶する。例えば通信キャリアによって収集可能な不特定多数の携帯端末3における統計値であってもよい。
【0053】
[人口密度推計部409]
人口密度推計部409は、経路区間毎に、人口密度を推計する。
人口密度推計部409は、端末位置情報記憶部408に記憶された多数の携帯端末3の位置情報から、経路区間毎に、その経路区間周辺の人口密度を推計する。また、携帯端末3の位置情報の履歴から、時間帯毎に、その経路区間周辺の人口密度を推計することも好ましい。
【0054】
人口密度推計部409は、多数の携帯端末3の位置情報と、地図情報記憶部405に記憶された地図情報とを比較して、マップマッチングを実行する。これによって、経路区間毎に、その周辺に位置する携帯端末3の数から、人口密度を推計することができる。マップマッチングは、カーナビゲーションシステムでも利用されており、位置情報と地図情報を用いて、例えば経路区間上になるように補正する処理である。
また、人口密度推計部409は、人口密度を、月や曜日、時間帯などで別々に推計することも好ましい。同じエリアであっても、時間帯等によって大きく人口密度が異なるためである。
更に、人口密度推計部409は、携帯端末2以外の他の実施形態によって、人口密度を推計するものであってもよい。例えば移動ロボット2によって撮影された画像から、人の画像を認識することによって、人口密度を推計するものであってもよい。
【0055】
尚、人口密度推計部409は、例えば、位置情報の変化がほとんどない場合は屋内、ある程度変化している場合は屋外にいると判定するものであってもよい。また、携帯端末3の移動速度から、歩行であるか、又は、車両であるかを判定できることもできる。
【0056】
[通路容量記憶部410]
通路容量記憶部410は、経路区間毎に、並行及び/又は対向して同時に走行可能な移動ロボットの数を表す「通路容量」を記憶する。
【0057】
図4は、本発明における経路区間の通路容量を表す説明図である。
【0058】
図4(a)によれば、「通路容量」が、以下のように設定されている。
経路区間: 通路容量
a-b: 2
a-c: 3
b-c: 1
ここで、経路探索手段は、移動ロボット2毎に、当該移動ロボット2の車幅に応じて「消費する通路容量」も、以下のように決定されている。
移動ロボット: 消費する通路容量
#1 : 1
#2 : 1
#3 : 1
【0059】
図4(a)によれば、通路容量2の経路区間a-bでは、移動ロボット2が以下のように「並行」して走行している。
移動ロボット#1が、通路容量1を消費してノードa->bへ走行
移動ロボット#2が、通路容量1を消費してノードa->bへ走行
このとき、経路区間a-bの通路容量は、0(=2-1-1)となり、それら以外の他の移動ロボットが走行することはできない。
また、図4(a)によれば、通路容量3の経路区間a-cでは、移動ロボット2が以下のように走行している。
移動ロボット#3が、通路容量1を消費してノードa->cへ走行
このとき、経路区間a-cの通路容量は、2(=3-1)となり、それ以外の他の移動ロボットも走行することができる。
【0060】
図4(b)によれば、図4(a)と異なって、通路容量2の経路区間a-bでは、移動ロボットが以下のように「対向」して走行している。
移動ロボット#1が、通路容量1を消費してノードa->bへ走行
移動ロボット#2が、通路容量1を消費してノードb->aへ走行
このとき、経路区間a-bの通路容量は、0(=2-1-1)となり、それら以外の他の移動ロボットが走行することはできない。
【0061】
図4(c)によれば、移動ロボット2の車幅によって「消費する通路容量」が、以下のように設定されている。
移動ロボット: 消費する通路容量
#1(大型): 2
#2(標準): 1
#3(小型): 0.5
【0062】
図4(c)によれば、通路容量2の経路区間a-bでは、移動ロボットが以下のように走行している。
移動ロボット#1が、通路容量2を消費してノードa->bへ走行
このとき、経路区間a-bの通路容量は、0(=2-2)となり、それ以外の他の移動ロボットが走行することはできない。
この場合、移動ロボット#2の移動経路は、移動経路b->c->aへ再設定される。そして、通路容量1の経路区間b-cで、移動ロボット#2が通路容量1を消費してノードb->cへ走行する。
【0063】
また、通路容量3の経路区間a-cでは、移動ロボットが以下のように走行している。
移動ロボット#3が、通路容量0.5を消費してノードa->cへ走行
このとき、経路区間a-cの通路容量は、2.5(=3-1)となり、それ以外の他の移動ロボットも走行することができる。
【0064】
このように、移動ロボット2の車幅に応じて「消費する通路容量」を決定し、同時に並行及び/又は対向することができる台数を決定することができる。これによって、複数の移動ロボット2が、時間的なロスを生じないように移動経路を探索することができる。
【0065】
他の実施形態として、通路容量記憶部410は、経路区間毎に、人口密度記憶部409の人口密度に応じて、通路容量を再設定することも好ましい。即ち、人口密度が所定閾値以上(人通りが多い)となる経路区間の場合、通常、通路容量1であっても、その通路容量0.5に再設定するものであってもよい。
【0066】
また、他の実施形態として、通路容量記憶部410は、過去の移動ロボット2の走行又は停止を記録した走行状態情報を用いて、停止が所定数以上となる経路区間における通路容量を減分して再設定することも好ましい。走行状態情報は、移動区間毎に走行する移動ロボット2から収集する。
【0067】
更に、他の実施形態として、通路容量記憶部410は、経路区間毎に、障害物に応じて、通路容量を可変とするものであってもよい。例えば、過去の履歴によって、トラックの停車が多い移動区間については、それらトラックの車幅(例えば全長4,700mmのトラックが、全幅1,700mmに安全担保の余白幅分を加えた占有幅)に応じて、通路容量を減数させることが好ましい。停車車両の過去の履歴は、他の移動ロボット2の撮像部204によって撮影された画像を用いることができる。これらの情報は、例えば曜日・時間帯毎に統計的な傾向を管理しておくこともできる。
このように、経路区間の通路容量は、移動経路を探索する時の状況に応じて再設定される。
【0068】
[経路探索部411]
<S1>経路探索部411は、最初に、経路区間毎にリンクコストを設定し、1つ以上の経路区間のリンクコストの合計が最小となる移動経路を探索する。
【0069】
経路探索部411は、移動ロボット毎に、各経路区間の走行予測時間をリンクコストとして設定する。走行予測時間は、経路区間の距離や、移動ロボット2の移動速度(その他、路面状態等の通路の走り易さに依存するパラメータ)から算出されることが好ましい。リンクコスト1は、例えば1分であると決定してよい。
【0070】
経路探索部411は、出発地から目的地までの移動経路を、例えばダイクストラ法を用いて探索するものであってもよい。勿論、例えばA*アルゴリズムのような他のアルゴリズムを用いて、移動経路を探索するものであってもい。
具体的には、経路探索部411は、出発地から目的地へ向けて、1つ以上の移動区間を順次つないでいき、そのリンクコストを積算していく。目的地までのリンクコストの合計が最小となる移動経路を探索する。即ち、リンクコストが小さい移動区間ほど、選択されやすくなる。
【0071】
図5は、通路容量を含むマップデータにリンクコストが付与された第1の例である。
図5によれば、経路探索部411は、全ての経路区間における通路容量を含むマップデータに、例えば以下のようなリンクコストを付与して構成する。
経路区間: 通路容量: リンクコスト
a-b: 2 : 5
b-c: 1 : 7
c-f: 3 : 6
f-e: 7 : 7
e-a: 2 : 3
・・・・・・・・・・・
尚、経路区間と通路容量との組み合わせから構成されるマップデータは、全ての移動ロボット2で共通的に利用できる。
そのマップデータの経路区間毎のリンクコストは、移動ロボットの機種毎に別々に異なるものとなる。図5によれば、全ての移動ロボットについてリンクコストも同一として説明する。
【0072】
また、経路探索部411は、各移動ロボット2の出発地及び目的地と、消費する通路容量とを、以下のように設定する。
出発地 目的地 消費する通路容量
移動ロボット#1: a -> c 1
移動ロボット#2: c -> a 1
「消費する通路容量」とは、その移動ロボットが走行することによって占有する通路容量をいう。これは、移動ロボット2毎に、車幅によって異なり、その機種に応じて決定される。
【0073】
図6は、図5の移動経路について2つの移動ロボットが経路を探索した第1の例である。
図6によれば、ほぼ同じようなタイミングで、移動ロボット#1と移動ロボット#2とが走行を開始しようとしたとする。最初に、移動ロボット#1及び#2それぞれについて、リンクコストの合計が最小となる経路を選択する。
移動経路 リンクコストの合計
移動ロボット#1: a->b->c 5+7=12
移動ロボット#2: c->b->a 7+5=12
このとき、経路区間b-cで双方の移動ロボット#1及び#2が対向(すれ違い)し、対面することによって通行が不能となり、時間ロスが発生する。
【0074】
<S2>経路探索部41は、次に、各経路区間を同時に走行(並行及び/又は対向)する移動ロボットの数が通路容量以下となるように、移動経路を再探索する。
【0075】
図7は、図6について移動ロボット#1の移動経路を表す第1の例である。
図7によれば、移動ロボット#1が最初に走行を開始し、その後、移動ロボット#2が走行を開始しようとしたとする。最初に、移動ロボット#1について、リンクコストの合計が最小となる経路を選択する。
移動経路 リンクコストの合計
移動ロボット#1: a->b->c 5+7=12
これによって、経路探索部411は、マップデータの通路容量を、以下のように再設定する。
経路区間: 通路容量 -> 再設定の通路容量
a-b: 2 : 1(移動ロボット#1が消費する通路容量1減分)
b-c: 1 : 0(移動ロボット#1が消費する通路容量1減分)
c-f: 3 : 6
f-e: 7 : 7
e-a: 2 : 3
・・・・・・・・・・・・・・
【0076】
図8は、図7について移動ロボット#2の移動経路を表す第1の例である。
【0077】
経路探索部411は、通路容量の不足が予測される経路区間について、当該経路区間への進入すべき移動ロボットがノードに待機するコストと、当該経路区間へ進入した後にバックトラックによって当該ノードへ退避するコストとを比較する。そして、小さい方のコストを当該経路区間のリンクコストに加算する。
【0078】
図8によれば、移動ロボット#2の移動経路上における経路区間b-cは、通路容量0となっている。これは、移動ロボット#2が消費する通路容量1よりも下回っている。
このとき、経路区間b-cのリンクコストの再設定を実行する。例えば以下のように実行する。
(s81)移動ロボット#1及び#2の両方とも、最初に移動経路a->b->cが探索されており、リンクコストの合計は12(=7+5)となっている。
(s82)移動区間b-cで対向が生じた場合、例えばバックトラックのような回避動作を実行する場合、その回避コストを例えば13と仮定したとする。
(s82)この場合、リンクコスト12と回避コスト13とを比較して、小さい方のコスト12を、経路区間b-cのリンクコスト7に加算して、リンクコスト19として再設定する。
(s84)改めて、移動ロボット#2は、リンクコストの合計が最小となる経路を選択する。
移動経路 リンクコストの合計
移動ロボット#2: c->b->a 7+19=26
移動ロボット#2:★c->f->e->a 6+7+3=16
(s85)これによって、移動ロボット#2には、移動経路c->f->e->aが再設定される。
【0079】
図9は、経路区間を結ぶノードに待機場所が設けられたマップデータの第2の例である。
図9によれば、複数の経路区間a-b及びb-cを結ぶノードbに、移動ロボット1台分の待機可能場所があるとする。この待機可能場所は、例えばリンクコスト2(待機時間)で、待機可能な移動ロボットの数を表す通路容量1となる経路区間b-bが設定されることとなる。
【0080】
図10は、図9について移動ロボット#1の移動経路を表す第2の例である。
図10によれば、移動ロボット#1は、ノードbでリンクコスト2の時間分だけ待機することができる。そのために、経路区間b-cで、移動ロボット#2との対向を回避することができる。
移動経路 リンクコストの合計
移動ロボット#1: a->b->待機->c 5+2+7=14
【0081】
図11は、図9について移動ロボット#2の移動経路を表す第2の例である。
図11によれば、移動ロボット#1がノードbで待機するために、移動ロボット#2は、移動経路c->b->aでも対向が発生しなくなる。
移動経路 リンクコストの合計
移動ロボット#2: c->b->a 7+5=12
【0082】
図12は、通路容量を含むマップデータに、移動ロボット#4に対応するリンクコストが付与された第3の例である。
図13は、通路容量を含むマップデータに、移動ロボット#5に対応するリンクコストが付与された第4の例である。移動ロボット#5は、例えば段差の乗り越え性能が他の移動ロボットより低く、例えば経路区間e-fを通過することが困難な場合、そのリンクコストが∞(無限大)に設定される。
図14は、通路容量を含むマップデータに、移動ロボット#6に対応するリンクコストが付与された第5の例である。移動ロボット#6は、他の移動ロボットより高速で移動することが可能であり、各経路区間のリンクコスト(走行可能時間)が低い。
【0083】
図15は、将来時刻における各移動ロボットの想定位置及び通路容量を算出した説明図である。
図15によれば、移動ロボットの機種毎に異なるリンクコストを考慮したものである。リンクコスト1は、例えば1分であるとする。また、各移動ロボットは、最短経路で以下のように移動するとする。
移動ロボット#4:ノードaから5分間かけてノードbに移動する。
移動ロボット#5:ノードcから7分間かけてノードbに移動する。
移動ロボット#6:1分後に、ノードaから3分間かけてノードbに移動する。
この場合、1分後~4分後に、経路区間a-b及びb-cの通路容量が使用される。
また、5分後の経路区間b-cの通路容量が不足することなる。
【0084】
このように、経路探索部411は、将来の時刻進行に応じて予測される各移動ロボットの位置から、いずれの経路区間の通路容量が不足するか否かを判定する。そして、不足が予測される経路区間のリンクコスト(走行可能時間)を増分して再設定する。
【0085】
[経路配信部412]
経路配信部412は、経路探索部411によって探索された移動経路を、移動ロボット2へ送信する。
【0086】
[指定待機速度判定部413]
指定待機速度判定部413は、移動ロボットを指定場所で指定時間だけ待機させ、及び/又は、移動ロボットが指定場所を移動する際の移動速度を指定する。
指定待機速度判定部413は、移動ロボット2を任意の指定場所で指定時間だけ待機させ、又は、特定の移動ロボット2が指定場所を移動する際の移動速度を指定速度に変更することができる。これによって、比較的短い距離における経路区間の輻輳を回避することができる。
尚、経路探索部411は、移動ロボットの待機及び/又は移動速度によって、各経路区間のリンクコストを再設定するものであってもよい。
【0087】
以上、詳細に説明したように、本発明の管理装置、プログラム及び方法によれば、複数の移動ロボットが並行及び/又は対向して同時に走行可能な複数の経路区間からなる経路について、移動ロボットの移動経路を探索することができる。
【0088】
尚、これにより、例えば「移動ロボットを効率よく移動させることができる」ことから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0089】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0090】
1 利用者端末
101 商品発注部
102 目的地情報入力部
2 移動ロボット
201 無線通信部
202 現在位置取得部
203 状態取得部
204 撮像部
205 経路情報記憶部
206 動作判断部
207 動作制御部
208 指定待機速度受信部
3 携帯端末
4 管理装置
401 運用監視部
402 オーダー情報管理部
403 目的地取得部
404 位置状態情報記憶部
405 地図情報記憶部
406 ロボット情報記憶部
407 ロボット割当部
408 端末位置情報記憶部
409 人口密度推計部
410 通路容量記憶部
411 経路探索部
412 経路配信部
413 指定待機速度判定部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15