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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136245
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】振動検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01H 17/00 20060101AFI20240927BHJP
   G01M 99/00 20110101ALI20240927BHJP
【FI】
G01H17/00 D
G01M99/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】54
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047294
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】青江 敬
(72)【発明者】
【氏名】岡田 篤典
【テーマコード(参考)】
2G024
2G064
【Fターム(参考)】
2G024AD01
2G024AD03
2G024BA22
2G024BA27
2G024CA13
2G024FA06
2G024FA15
2G064AB01
2G064AB02
2G064AB22
2G064BA02
2G064BD02
2G064CC02
2G064DD02
(57)【要約】
【課題】低消費電力及び低速の通信規格でも周波数解析をすることを可能とする。
【解決手段】本開示に係る振動検出装置10は、振動検出装置10が設置されている装置の振動が入力信号として入力されて、振動の振幅に関する情報を検出する信号処理回路100と、信号処理回路100の出力をアナログ信号からデジタル信号に変換するAD変換回路101と、デジタル信号に基づく信号を無線で送信する無線通信回路16と、信号処理回路100、AD変換回路101及び無線通信回路16を制御する制御回路15と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動検出装置であって、
前記振動検出装置が設置されている装置の振動が入力信号として入力されて、前記振動の振幅に関する情報を検出する信号処理回路と、
前記信号処理回路の出力をアナログ信号からデジタル信号に変換するAD変換回路と、
前記デジタル信号に基づく信号を無線で送信する無線通信回路と、
前記信号処理回路、前記AD変換回路及び前記無線通信回路を制御する制御回路と、
を備える、振動検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の振動検出装置において、
前記信号処理回路は、
前記入力信号が入力される互いに通過帯域周波数が異なる複数のバンドパスフィルタと、
前記複数のバンドパスフィルタが出力する複数の信号に対して、複数の振幅に関する情報を検出する複数の振幅検出回路と、
を備える、振動検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の振動検出装置において、
前記複数のバンドパスフィルタのうちの1つが全帯域通過フィルタである、振動検出装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の振動検出装置において、
前記振幅検出回路は、ピークホールド回路である、振動検出装置。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の振動検出装置において、
前記振幅検出回路は、サンプルホールド回路である、振動検出装置。
【請求項6】
請求項2又は3に記載の振動検出装置において、
前記振幅検出回路は、包絡線検波回路である、振動検出装置。
【請求項7】
請求項2又は3に記載の振動検出装置において、
前記振幅検出回路は、実効値回路である、振動検出装置。
【請求項8】
請求項2又は3に記載の振動検出装置において、
前記振幅検出回路は、ピークホールド回路、サンプルホールド回路、包絡線検波回路、実効値回路、又はこれらの回路のいずれかのうちの複数の機能を含む回路である、振動検出装置。
【請求項9】
請求項2に記載の振動検出装置において、
前記振幅検出回路は、出力電圧の調整機能を有する、振動検出装置。
【請求項10】
請求項2に記載の振動検出装置において、
前記制御回路は、測定サイクル内の適切なタイミングにおいて、前記振幅検出回路に対し、振幅値の取得、保持及びクリアを実行させる制御を行う、振動検出装置。
【請求項11】
請求項2に記載の振動検出装置において、
前記AD変換回路は、前記複数の振幅検出回路の複数の出力信号のうちのいずれかの出力信号を出力する選択回路、を備える、振動検出装置。
【請求項12】
請求項2に記載の振動検出装置において、
前記AD変換回路は、前記振幅検出回路の出力信号それぞれに対して、アナログ信号からデジタル信号に変換する個別のAD変換器を備える、振動検出装置。
【請求項13】
請求項2に記載の振動検出装置において、
前記AD変換器は、多ビットのADコンバータである、振動検出装置。
【請求項14】
請求項2に記載の振動検出装置において、
前記AD変換器は、1個のコンパレータである、振動検出装置。
【請求項15】
請求項2に記載の振動検出装置において、
前記AD変換器は、複数のコンパレータを備え、前記複数のコンパレータは、互いに基準電圧が異なる、振動検出装置。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の振動検出装置において、
前記1個のコンパレータ又は前記複数のコンパレータは、それぞれの基準電圧の調整機能を有する、振動検出装置。
【請求項17】
請求項2に記載の振動検出装置において、
前記AD変換器は、フリップフロップ又はラッチである、振動検出装置。
【請求項18】
請求項14又は17に記載の振動検出装置において、
前記制御回路は、複数回の測定を行い、前記各コンパレータ、前記フリップフロップ又は前記ラッチが出力するハイ信号とロー信号との比率に基づいて、前記振幅検出回路が出力する信号の振幅に関する情報を取得する、振動検出装置。
【請求項19】
請求項13に記載の振動検出装置において、
前記制御回路は、複数回の測定を行い、前記多ビットのADコンバータが出力する値を演算処理して、前記振幅検出回路が出力する信号の振幅に関する情報を取得する、振動検出装置。
【請求項20】
請求項1に記載の振動検出装置において、
前記信号処理回路は、
前記入力信号が入力される通過帯域周波数が可変のバンドパスフィルタと、
前記通過帯域周波数が可変のバンドパスフィルタが出力する信号に対して、振幅に関する情報を検出する振幅検出回路と、
を備える、振動検出装置。
【請求項21】
請求項1に記載の振動検出装置において、
前記信号処理回路は、前記入力信号が入力される通過帯域周波数が可変の可変バンドパスフィルタを備える、振動検出装置。
【請求項22】
請求項1に記載の振動検出装置において、
前記信号処理回路は、前記入力信号が入力される複数のバンドパスフィルタを備える、振動検出装置。
【請求項23】
請求項21に記載の振動検出装置において、
前記バンドパスフィルタは、出力電圧が調整可能である、振動検出装置。
【請求項24】
請求項20に記載の振動検出装置において、
前記振幅検出回路は、ピークホールド回路である、振動検出装置。
【請求項25】
請求項20に記載の振動検出装置において、
前記振幅検出回路は、サンプルホールド回路である、振動検出装置。
【請求項26】
請求項20に記載の振動検出装置において、
前記振幅検出回路は、包絡線検波回路である、振動検出装置。
【請求項27】
請求項20に記載の振動検出装置において、
前記振幅検出回路は、実効値回路である、振動検出装置。
【請求項28】
請求項20に記載の振動検出装置において、
前記振幅検出回路は、ピークホールド回路、サンプルホールド回路、包絡線検波回路、実効値回路、又はこれらの回路のいずれかのうちの複数の機能を含む回路である、振動検出装置。
【請求項29】
請求項20に記載の振動検出装置において、
前記振幅検出回路は、出力電圧の調整機能を有する、振動検出装置。
【請求項30】
請求項20に記載の振動検出装置において、
前記制御回路は、測定サイクル内の適切なタイミングにおいて、前記振幅検出回路に対し、振幅値の取得、保持及びクリアを実行させる制御を行う、振動検出装置。
【請求項31】
請求項20に記載の振動検出装置において、
前記AD変換器は、多ビットのADコンバータである、振動検出装置。
【請求項32】
請求項20に記載の振動検出装置において、
前記AD変換器は、1個のコンパレータである、振動検出装置。
【請求項33】
請求項20に記載の振動検出装置において、
前記AD変換器は、複数のコンパレータを備え、前記複数のコンパレータは、互いに基準電圧が異なる、振動検出装置。
【請求項34】
請求項32又は33に記載の振動検出装置において、
前記1個のコンパレータ又は前記複数のコンパレータは、それぞれの基準電圧の調整機能を有する、振動検出装置。
【請求項35】
請求項20に記載の振動検出装置において、
前記AD変換器は、フリップフロップ又はラッチである、振動検出装置。
【請求項36】
請求項32又は35に記載の振動検出装置において、
前記制御回路は、複数回の測定を行い、前記各コンパレータ、前記フリップフロップ又は前記ラッチが出力するハイ信号とロー信号との比率に基づいて、前記振幅検出回路が出力する信号の振幅に関する情報を取得する、振動検出装置。
【請求項37】
請求項31に記載の振動検出装置において、
前記制御回路は、複数回の測定を行い、前記多ビットのADコンバータが出力する値を演算処理して、前記振幅検出回路が出力する信号の振幅に関する情報を取得する、振動検出装置。
【請求項38】
請求項21に記載の振動検出装置において、
前記AD変換器は、多ビットのADコンバータである、振動検出装置。
【請求項39】
請求項21に記載の振動検出装置において、
前記AD変換器は、1個のコンパレータである、振動検出装置。
【請求項40】
請求項21に記載の振動検出装置において、
前記AD変換器は、複数のコンパレータを備え、前記複数のコンパレータは、互いに基準電圧が異なる、振動検出装置。
【請求項41】
請求項39又は40に記載の振動検出装置において、
前記1個のコンパレータ又は前記複数のコンパレータは、それぞれの基準電圧の調整機能を有する、振動検出装置。
【請求項42】
請求項21に記載の振動検出装置において、
前記AD変換器は、フリップフロップ又はラッチである、振動検出装置。
【請求項43】
請求項39又は42に記載の振動検出装置において、
前記制御回路は、複数回の測定を行い、前記各コンパレータ、前記フリップフロップ又は前記ラッチが出力するハイ信号とロー信号との比率に基づいて、前記バンドパスフィルタが出力する信号の振幅に関する情報を取得する、振動検出装置。
【請求項44】
請求項38に記載の振動検出装置において、
前記制御回路は、複数回の測定を行い、前記多ビットのADコンバータが出力する値を演算処理して、前記バンドパスフィルタが出力する信号の振幅に関する情報を取得する、振動検出装置。
【請求項45】
請求項22に記載の振動検出装置において、
前記バンドパスフィルタは、出力電圧が調整可能である、振動検出装置。
【請求項46】
請求項22に記載の振動検出装置において、
前記AD変換回路は、前記複数の振幅検出回路の複数の出力信号のうちのいずれかの出力信号を出力する選択回路、を備える、振動検出装置。
【請求項47】
請求項22に記載の振動検出装置において、
前記AD変換回路は、前記振幅検出回路の出力信号それぞれに対して、アナログ信号からデジタル信号に変換する個別のAD変換器を備える、振動検出装置。
【請求項48】
請求項22に記載の振動検出装置において、
前記AD変換器は、多ビットのADコンバータである、振動検出装置。
【請求項49】
請求項22に記載の振動検出装置において、
前記AD変換器は、1個のコンパレータである、振動検出装置。
【請求項50】
請求項22に記載の振動検出装置において、
前記AD変換器は、複数のコンパレータを備え、前記複数のコンパレータは、互いに基準電圧が異なる、振動検出装置。
【請求項51】
請求項49又は50に記載の振動検出装置において、
前記1個のコンパレータ又は前記複数のコンパレータは、それぞれの基準電圧の調整機能を有する、振動検出装置。
【請求項52】
請求項22に記載の振動検出装置において、
前記AD変換器は、フリップフロップ又はラッチである、振動検出装置。
【請求項53】
請求項49又は52に記載の振動検出装置において、
前記制御回路は、複数回の測定を行い、前記各コンパレータ、前記フリップフロップ又は前記ラッチが出力するハイ信号とロー信号との比率に基づいて、前記バンドパスフィルタが出力する信号の振幅に関する情報を取得する、振動検出装置。
【請求項54】
請求項48に記載の振動検出装置において、
前記制御回路は、複数回の測定を行い、前記多ビットのADコンバータが出力する値を演算処理して、前記バンドパスフィルタが出力する信号の振幅に関する情報を取得する、振動検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、振動検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、モータなどの回転する要素を含む機械は、回転に同期した振動を生じる。モータに傷などの故障が生じている場合、回転に同期した通常の振動とは異なる周波数の振動が生じる場合がある。
【0003】
従来、機械の振動信号を周波数解析することによって機械の異常を診断する技術が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
【0004】
従来技術においては、振動信号を周波数解析する場合、以下のような処理をすることが多い。
(1)振動信号の高周波成分をアンチエイリアスフィルタによって除去する。
(2)高周波成分を除去した信号をADコンバータによってデジタル信号に変換する。
(3)デジタル信号に対してFFT(Fast Fourier Transform)などの演算を行って周波数解析を行い、通常の振動成分と異常な振動成分とを分離する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-233789号公報
【特許文献2】特開2008-58191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
FFTを行う場合、ADコンバータは、最高周波数成分の2倍以上の周波数でサンプリングする必要がある。そのため、FFTを行うためには、高速のADコンバータが必要である。
【0007】
また、FFTなどのデジタル演算は、大量の演算をすることが必要である。そのため、FFTなどのデジタル演算をするためには、高速のプロセッサ、専用の演算ハードウェアなどが必要である。
【0008】
振動検出装置が、高速のADコンバータ、高速のプロセッサなどを含む構成であると、回路規模が大きくなり、コスト及び消費電力が大きくなる。消費電力が大きいと、高速のADコンバータ、高速のプロセッサなどを含む振動検出装置を電池交換せずに長時間駆動することは困難である。
【0009】
振動検出装置のコスト及び消費電力を低減するために、FFTなどのデジタル演算を外部の機器で行わせることも考えられる。その場合、振動検出装置は、大量のデータを外部の機器に送信することが必要となる。しかしながら、振動検出装置が低速の通信規格でデータを送信する装置である場合、そのような大量のデータを送信するためには非常に時間がかかる。
【0010】
このように、振動検出装置を、低消費電力及び低速の通信規格で実現しようとすると、FFTのような大量の演算を必要とする技術で周波数解析をすることは困難であった。
【0011】
そこで、本開示は、低消費電力及び低速の通信規格でも周波数解析をすることが可能な振動検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
幾つかの実施形態に係る振動検出装置は、前記振動検出装置が設置されている装置の振動が入力信号として入力されて前記振動の振幅に関する情報を検出する信号処理回路と、前記信号処理回路の出力をアナログ信号からデジタル信号に変換するAD変換回路と、前記デジタル信号に基づく信号を無線で送信する無線通信回路と、前記信号処理回路、前記AD変換回路及び前記無線通信回路を制御する制御回路と、を備える。このような振動検出装置によれば、低消費電力及び低速の通信規格でも周波数解析をすることが可能である。
【0013】
一実施形態に係る振動検出装置において、前記信号処理回路は、前記入力信号が入力される互いに通過帯域周波数が異なる複数のバンドパスフィルタ(Band Pass Filter:BPF)であって、前記複数のバンドパスフィルタは互いに通過帯域周波数が異なる複数のバンドパスフィルタと、前記各バンドパスフィルタが出力する信号の振幅に関する情報を検出する複数の振幅検出回路と、を備えるものであってよい。
【0014】
一実施形態に係る振動検出装置において、前記バンドパスフィルタのうちの1つが全帯域通過フィルタ(All Pass Filter:APF)であってよい。
【0015】
一実施形態に係る振動検出装置において、前記振幅検出回路は、ピークホールド回路であってよい。これにより、バンドパスフィルタが出力する信号の最大値を保持することができる。
【0016】
一実施形態に係る振動検出装置において、前記振幅検出回路は、サンプルホールド回路であってもよい。サンプルホールド回路によって複数のデータを取得すれば、平均化処理などを行うことができる。
【0017】
一実施形態に係る振動検出装置において、前記振幅検出回路は、包絡線検波回路であってよい。これにより、シンプルな構成で各バンドパスフィルタが出力する信号の振幅に関するエンベロープの情報を検出することができる。
【0018】
一実施形態に係る振動検出装置において、前記振幅検出回路は、実効値(RMS)回路であってよい。これにより、シンプルな構成で各バンドパスフィルタが出力する信号の実効値情報を検出することができる。
【0019】
一実施形態に係る振動検出装置において、前記振幅検出回路は、ピークホールド回路、サンプルホールド回路、包絡線検波回路、実効値回路、又はこれらの回路のいずれかのうちの複数の機能を含む回路であってよい。
【0020】
一実施形態に係る振動検出装置において、前記振幅検出回路は、出力電圧の調整機能を有していてよい。これにより、感度調節が実現できる。
【0021】
一実施形態に係る振動検出装置において、前記制御回路は、測定サイクル内の適切なタイミングにおいて、前記振幅検出回路に対し、振幅値の取得、保持及びクリアを実行させる制御を行ってよい。
【0022】
一実施形態に係る振動検出装置において、前記AD変換回路は、前記複数の振幅検出回路の複数の出力信号のうちのいずれかの出力信号を出力する選択回路を備えていてよい。
【0023】
一実施形態に係る振動検出装置において、前記AD変換回路は、前記振幅検出回路の出力信号それぞれに対して、アナログ信号からデジタル信号に変換する個別のAD変換器を備えていてよい。
【0024】
一実施形態に係る振動検出装置において、前記AD変換器は、多ビットのADコンバータであってよい。これにより高精度のAD変換が可能になる。
【0025】
一実施形態に係る振動検出装置において、前記AD変換器は、1個のコンパレータであってよい。これにより、通信回路が送信するデータのデータ量を低減することができる。
【0026】
一実施形態に係る振動検出装置において、前記AD変換器は、複数のコンパレータを備え、前記複数のコンパレータは、互いに基準電圧が異なっていてもよい。これにより、シンプルな構成で低分解能のフラッシュ式ADコンバータを実現することができる。
【0027】
一実施形態に係る振動検出装置において、前記1個のコンパレータ又は前記複数のコンパレータは、それぞれの基準電圧の調整機能を有していてよい。これにより感度調整が可能になる。
【0028】
一実施形態に係る振動検出装置において、前記AD変換器はフリップフロップ又はラッチであってよい。これにより回路の簡略化が可能になる。
【0029】
一実施形態に係る振動検出装置において、前記制御回路は、複数回の測定を行い、前記多ビットのADコンバータが出力する値を演算処理して、前記バンドパスフィルタ又は前記振幅検出回路が出力する信号の振幅に関する情報を取得する制御を行うものであってよい。
【0030】
一実施形態に係る振動検出装置において、前記制御回路は、測定サイクル内で複数回の測定を行い、前記各コンパレータ、前記フリップフロップ又は前記ラッチが出力するハイ信号とロー信号との比率に基づいて、前記バンドパスフィルタ又は前記振幅検出回路が出力する信号の振幅に関する情報を取得してよい。
【0031】
一実施形態に係る振動検出装置において、前記信号処理回路は、前記入力信号が入力される通過帯域周波数が可変のバンドパスフィルタと、前記通過帯域周波数が可変のバンドパスフィルタが出力する信号に対して、振幅に関する情報を検出する振幅検出回路と、を備えていてよい。
【0032】
一実施形態に係る振動検出装置において、前記信号処理回路は、前記入力信号が入力される通過帯域周波数が可変の可変バンドパスフィルタを備えていてよい。
【0033】
一実施形態に係る振動検出装置において、前記信号処理回路は、前記入力信号が入力される複数のバンドパスフィルタを備えていてよい。
【0034】
一実施形態に係る振動検出装置において、前記バンドパスフィルタは、出力電圧が調整可能であってよい。
【発明の効果】
【0035】
本開示によれば、低消費電力及び低速の通信規格でも周波数解析をすることが可能な振動検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】一実施形態に係る振動検出装置の概略構成を示す図である。
図2図1において振幅検出回路がピークホールド回路の場合を示す図である。
図3】振動検出装置の動作のタイミングチャートを示す図である。
図4図1においてAD変換器がコンパレータの場合を示す図である。
図5図1においてAD変換器が複数のコンパレータで構成されている場合を示す図である。
図6】第1の変形例に係る振動検出装置の概略構成を示す図である。
図7】第2の変形例に係る振動検出装置の概略構成を示す図である。
図8】振幅に応じたコンパレータの出力の様子を示す概念図である。
図9】第3の変形例に係る振動検出装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、一実施形態に係る振動検出装置10の概略構成を示す図である。図1を参照して、一実施形態に係る振動検出装置10の構成及び機能について説明する。
【0038】
振動検出装置10は、振動を検出する対象である装置に設置されて用いられる。振動検出装置10は、振動検出装置10が設置されている装置の振動を検出することができる。
【0039】
振動検出装置10は、複数のバンドパスフィルタ11-1~11-n及び複数の振幅検出回路12-1~12-nを備える信号処理回路100と、選択回路13及びAD変換器14を備えるAD変換回路101と、制御回路15と、無線通信回路16と、電池17とを備える。図1においては、バンドパスフィルタを「BPF」と表記している。
【0040】
信号処理回路100は、振動検出装置10が設置されている装置の振動が入力信号として入力されて、振動の振幅に関する情報を検出する。
【0041】
AD変換回路101は、信号処理回路100の出力をアナログ信号からデジタル信号に変換する。
【0042】
バンドパスフィルタ11-1~11-nについては、特に区別する必要がない場合、単に「バンドパスフィルタ11」と称して説明する。また、振幅検出回路12-1~12-nについては、特に区別する必要がない場合、単に「振幅検出回路12」と称して説明する。以下、同一の複数の構成要素を有する場合は、同様に説明する。
【0043】
図1においては、振動検出装置10がn個のバンドパスフィルタ11及びn個の振幅検出回路12を備える構成を示しているが、nは2以上の任意の整数であってよい。
【0044】
バンドパスフィルタ11-1~11-nには、振動検出装置10が設置されている装置の振動が入力信号として入力される。バンドパスフィルタ11-1~11-nは、互いに通過帯域周波数が異なる。バンドパスフィルタ11-1~11-nに入力される入力信号は、様々な振幅の周波数成分を含む。
【0045】
バンドパスフィルタ11は、アナログのバンドパスフィルタである。バンドパスフィルタ11は、任意の構成のバンドパスフィルタであってよいが、例えば、抵抗、キャパシタ、オペアンプなどを備える構成のバンドパスフィルタであってよい。
【0046】
バンドパスフィルタ11は、入力信号のうち、通過帯域周波数の成分の信号を振幅検出回路12に出力する。例えば、バンドパスフィルタ11-1は、入力信号のうち、バンドパスフィルタ11-1の通過帯域周波数の成分の信号を振幅検出回路12-1に出力する。バンドパスフィルタ11-2は、入力信号のうち、バンドパスフィルタ11-2の通過帯域周波数の成分の信号を振幅検出回路12-2に出力する。以下同様に、バンドパスフィルタ11-nは、入力信号のうち、バンドパスフィルタ11-nの通過帯域周波数の成分の信号を振幅検出回路12-nに出力する。
【0047】
振幅検出回路12-1~12-nは、それぞれ、バンドパスフィルタ11-1~11-nが出力する信号の振幅に関する情報を検出する。すなわち、振幅検出回路12-1は、バンドパスフィルタ11-1が出力する信号の振幅に関する情報を検出する。振幅検出回路12-2は、バンドパスフィルタ11-2が出力する信号の振幅に関する情報を検出する。以下同様に、振幅検出回路12-nは、バンドパスフィルタ11-nが出力する信号の振幅に関する情報を検出する。振幅検出回路12-1~12-nは、選択回路13に信号を出力する。
【0048】
例えば、入力信号が、バンドパスフィルタ11-1の通過帯域周波数の成分を含み、バンドパスフィルタ11-2の通過帯域周波数の成分を含まない場合、振幅検出回路12-1は、大きな振幅を検出し、振幅検出回路12-2は、ほとんど振幅を検出しない。
【0049】
振幅検出回路12は、バンドパスフィルタ11が出力する信号の振幅に関する情報を取得可能な任意の回路であってよい。振幅検出回路12は、例えば、ピークホールド回路、サンプルホールド回路、包絡線検波回路、実効値回路、又はこれらの回路の複数の機能を含む回路などであってよい。
【0050】
選択回路13は、振幅検出回路12-1~12-nの出力信号のうち、いずれかの出力信号を、AD変換器14に出力する。選択回路13は、制御回路15から指令を受けて、振幅検出回路12-1~12-nの出力信号のうち、いずれの出力信号を出力するかを選択する。
【0051】
AD変換器14は、選択回路13が出力する信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換する。AD変換器14は、任意の構成のADコンバータであってよい。AD変換器14は、デジタル信号に変換した出力信号を制御回路15に出力する。
【0052】
AD変換器14は、振幅検出回路12が出力する信号の振幅に関する情報をデジタル信号に変換するだけであるため、高速のADコンバータである必要はなく、低速のADコンバータであってよい。
【0053】
制御回路15は、プロセッサを含んでいてよい。プロセッサは、汎用のプロセッサでもよいし、特定の処理に特化した専用のプロセッサであってもよい。
【0054】
制御回路15は、AD変換器14から取得したデジタル信号を処理し、無線通信回路16に出力する。
【0055】
制御回路15は、選択回路13を制御し、振幅検出回路12-1~12-nの出力信号のうち、いずれの出力信号を出力するかを選択させる。
【0056】
無線通信回路16は、制御回路15から取得したデジタル信号を、アンテナを介して無線で他の機器に送信する。他の機器は、例えば、振動検出装置10が設置されている装置の振動の情報を収集しているホストコンピュータなどであってよい。無線通信回路16が送信する信号は、AD変換器14が出力するデジタル信号を制御回路15が処理した信号である。すなわち、無線通信回路16が送信する信号は、AD変換器14が出力するデジタル信号に基づく信号である。
【0057】
電池17は、振動検出装置10が備える構成要素に電力を供給する電池である。振動検出装置10は、電池17によって供給される電力によって動作することができる。
【0058】
このように、一実施形態に係る振動検出装置10は、FFTのような大量のデジタル演算を行わなくても、各通過帯域周波数における振幅をバンドパスフィルタ11及び振幅検出回路12といったアナログ回路で検出することにより、簡易的に周波数解析をすることができる。そのため、一実施形態に係る振動検出装置10は、低消費電力で周波数解析をすることができる。また、一実施形態に係る振動検出装置10は、FFTなどのデジタル演算を外部の機器で行わせる必要がないため、低速の通信規格でも周波数解析をした結果を外部の機器に送信することができる。
【0059】
図2に、振幅検出回路12が、ピークホールド回路である場合の例を示す。図2においては、振幅検出回路12がピークホールド回路であることを、「P/H」と表記して示している。また、振幅検出回路12-1~12-nを、それぞれ、P/H1~P/Hnと表記している。
【0060】
図2を参照して、振幅検出回路12がピークホールド回路である場合を例として、振動検出装置10が、振動検出装置10が設置されている装置の振動を検出する動作を説明する。
【0061】
振動検出装置10は、所定の測定サイクルで振動検出装置10が設置されている装置の振動を検出する。所定のサイクルは任意の時間であってよいが、例えば、10分程度の時間であってよい。このように、例えば、10分に1回程度だけ振動を検出する動作することで、振動検出装置10は、消費電力を低減することができるため、短いサイクルで振動を検出する場合に比べて長時間動作することができる。
【0062】
図3に示すタイミングチャートを参照して、振動検出装置10の動作を説明する。
【0063】
制御回路15は、測定サイクルの最初に、ピークホールド回路であるP/H1~P/Hnが保持する値をクリアする。クリアされた後、P/H1~P/Hnは、振幅値の取得期間中においては、入力値と保持する値とを比較し、入力値の方が大きい場合は、保持する値を入力値によって更新する。また、P/H1~P/Hnは、振幅値の保持期間中においては、保持する値より大きな値が入力されても保持する値を更新しない。
【0064】
振幅値の保持期間中に、制御回路15は、選択回路13に、ピークホールド回路であるP/H1~P/Hnの出力信号を順次出力させる。AD変換器14は、選択回路13が順次出力するP/H1~P/Hnの出力信号を、デジタル信号に順次変換して制御回路15に出力する。
【0065】
これにより、制御回路15は、入力信号に含まれる、バンドパスフィルタ11-1~11-nのそれぞれの通過帯域周波数の成分の振幅を取得することができる。制御回路15は、デジタル信号として取得した、それぞれの通過帯域周波数の成分の振幅を適切なフォーマットに加工し、無線通信回路16によって無線で送信させる。
【0066】
振動検出装置10は、この測定サイクルを1サイクルとして、振動を検出する動作を繰り返す。
【0067】
このようにして、振動検出装置10は、入力信号に含まれる様々な周波数成分の最大振幅を検出することができる。
【0068】
図2を参照して、振幅検出回路12がピークホールド回路である場合を説明したが、振幅検出回路12は、サンプルホールド回路であってもよい。
【0069】
振幅検出回路12がサンプルホールド回路である場合、サンプルホールド回路は、バンドパスフィルタ11が出力する信号を複数個取得して、バンドパスフィルタ11が出力する信号の振幅に関する情報を取得してもよい。
【0070】
振幅検出回路12がサンプルホールド回路である場合、制御回路15は、サンプルホールド回路が取得した複数個の信号を処理することによって、振幅に関する情報を取得してよい。
【0071】
制御回路15は、例えば、サンプルホールド回路が取得した複数個の信号を平均化する処理をしてよい。また、制御回路15は、例えば、サンプルホールド回路が取得した複数個の信号から最大の信号を除き、残った複数個の信号を平均化する処理をしてよい。このように、最大の信号を除くことによって、ノイズなどに起因する大きな信号が含まれていた場合にその影響を除去することができる。
【0072】
また、図2を参照して、振幅検出回路12がピークホールド回路である場合を説明したが、振幅検出回路12は、包絡線検波回路であってもよい。
【0073】
振幅検出回路12が包絡線検波回路である場合も、振幅検出回路12がサンプルホールド回路である場合と同様に、制御回路15は、包絡線検波回路が取得した複数個の信号を処理することによって、振幅に関する情報を取得してよい。
【0074】
また、図2を参照して、振幅検出回路12がピークホールド回路である場合を説明したが、振幅検出回路12は、実効値回路であってもよい。
【0075】
振幅検出回路12が実効値回路である場合も、振幅検出回路12がサンプルホールド回路である場合と同様に、制御回路15は、実効値回路が取得した複数個の信号を処理することによって、振幅に関する情報を取得してよい。
【0076】
図4に示す振動検出装置10aは、図1に示した振動検出装置10において、AD変換器14がコンパレータ18である場合を示す図である。図4においては、コンパレータを「CMP」と表記している。
【0077】
なお、コンパレータ18は、1ビットのADコンバータであるので、図4に示す振動検出装置10aは、図1に示した振動検出装置10の一例である。
【0078】
コンパレータ18は、選択回路13が出力する信号を基準電圧と比較し、選択回路13が出力する信号が基準電圧以上である場合はハイ信号を出力し、選択回路13が出力する信号が基準電圧より小さい場合はロー信号を出力する。
【0079】
図4に示す振動検出装置10aのように、AD変換器14がコンパレータ18である場合、AD変換器14が多ビットのADコンバータである場合に比べて、無線通信回路16が送信するデータのデータ量を低減することができる。
【0080】
図5に示す振動検出装置10bは、図1に示した振動検出装置10において、AD変換器14が、複数のコンパレータ18-1~18-3を備える構成である場合を示す図である。なお、図5において、振動検出装置10bが3つのコンパレータ18を備えているのは一例であり、振動検出装置10bは、2つのコンパレータ18を備えていてもよいし、4つ以上のコンパレータ18を備えていてもよい。
【0081】
なお、複数のコンパレータ18-1~18-3を備える構成は、低分解能のフラッシュADコンバータであるので、図5に示す振動検出装置10bは、図1に示した振動検出装置10の一例である。
【0082】
コンパレータ18-1は、選択回路13が出力する信号を基準電圧1と比較し、選択回路13が出力する信号が基準電圧1以上である場合はハイ信号を出力し、選択回路13が出力する信号が基準電圧1より小さい場合はロー信号を出力する。コンパレータ18-2は、選択回路13が出力する信号を基準電圧2と比較し、選択回路13が出力する信号が基準電圧2以上である場合はハイ信号を出力し、選択回路13が出力する信号が基準電圧2より小さい場合はロー信号を出力する。コンパレータ18-3は、選択回路13が出力する信号を基準電圧3と比較し、選択回路13が出力する信号が基準電圧3以上である場合はハイ信号を出力し、選択回路13が出力する信号が基準電圧3より小さい場合はロー信号を出力する。
【0083】
基準電圧1、基準電圧2及び基準電圧3は、互いに異なる電圧である。
【0084】
以上のような一実施形態に係る振動検出装置10によれば、低消費電力及び低速の通信規格でも周波数解析をすることが可能である。より具体的には、一実施形態に係る振動検出装置10は、互いに通過帯域周波数が異なる複数のバンドパスフィルタ11と、各バンドパスフィルタ11が出力する信号の振幅に関する情報を検出する複数の振幅検出回路12と、複数の振幅検出回路12の出力信号のうちのいずれかの出力信号を出力する選択回路13と、選択回路13が出力する信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するAD変換器14と、AD変換器14が出力するデジタル信号に基づく信号を無線で送信する無線通信回路16と、を備える。このように、通過帯域周波数が異なる複数のバンドパスフィルタ11が出力する信号の振幅を検出することにより、振動検出装置10は、FFTのような大量のデジタル演算をしなくても周波数解析をすることができるため、低消費電力で周波数解析をすることができる。また、振動検出装置10は、FFTなどのデジタル演算を外部の機器で行わせる必要がないため、大量のデータを送信する必要がなく、低速の通信規格でも周波数解析をした結果を外部の機器に送信することができる。
【0085】
(第1の変形例)
図6は、第1の変形例に係る振動検出装置10cの概略構成を示す図である。第1の変形例に係る振動検出装置10cは、複数のバンドパスフィルタ11-1~11-nと、複数の振幅検出回路12-1~12-nと、複数のコンパレータ18-1~18-nと、制御回路15と、無線通信回路16と、電池17とを備える。
【0086】
第1の変形例に係る振動検出装置10cは、選択回路13を備えていないという点、及び、n個のコンパレータ18を備えているという点で、図1に示した振動検出装置10と相違する。第1の変形例に係る振動検出装置10cについては、図1に示した振動検出装置10との相違点について主に説明し、図1に示した振動検出装置10と共通する内容については適宜説明を省略する。
【0087】
振幅検出回路12は、バンドパスフィルタ11が出力する信号の振幅に関する値を出力する。
【0088】
振幅検出回路12は、バンドパスフィルタ11が出力する信号が所定の振幅であるときにコンパレータ18の基準電圧と同じ電圧を出力するように出力電圧が調整されていてよい。このように振幅検出回路12の出力の大きさが調整されていることにより、振幅検出回路12は、コンパレータ18に信号を直接出力することができる。
【0089】
振幅検出回路12-1~12-nは、それぞれ、コンパレータ18-1~18-nに信号を出力する。
【0090】
コンパレータ18は、振幅検出回路12が出力する信号を基準電圧と比較し、振幅検出回路12が出力する信号が基準電圧以上である場合はハイ信号を出力し、振幅検出回路12が出力する信号が基準電圧より小さい場合はロー信号を出力する。なお、図6においては、コンパレータ18に入力される基準電圧の記載を省略している。
【0091】
コンパレータ18は、例えば、フリップフロップ又はラッチであってもよい。コンパレータ18をフリップフロップ又はラッチとすることにより、回路を簡略化することができる。
【0092】
振幅検出回路12は、バンドパスフィルタ11が出力する信号が所定の振幅であるときに、フリップフロップ又はラッチのハイ/ロー判別の閾値(CMOS回路の場合は電源電圧の50%のことが多い)と同じ電圧を出力するように出力電圧が調整されていてよい。このように振幅検出回路12の出力の大きさが調整されていることにより、振幅検出回路12は、フリップフロップ又はラッチに信号を直接出力することができる。
【0093】
また、コンパレータ18を省略し、振幅検出回路12の出力を、制御回路15のI/Oポートへ直接入力してもよい。これにより、回路をさらに簡略化することができる。
【0094】
振幅検出回路12は、バンドパスフィルタ11が出力する信号が所定の振幅であるときに、I/Oポートのハイ/ロー判別の閾値(CMOS回路の場合は電源電圧の50%のことが多い)と同じ電圧を出力するように出力電圧が調整されていてよい。このように振幅検出回路12の出力の大きさが調整されていることにより、振幅検出回路12は、I/Oポートに信号を直接出力することができる。
【0095】
(第2の変形例)
図7は、第2の変形例に係る振動検出装置10dの概略構成を示す図である。第2の変形例に係る振動検出装置10dは、複数のバンドパスフィルタ11-1~11-nと、複数のコンパレータ18-1~18-nと、制御回路15と、無線通信回路16と、電池17とを備える。
【0096】
第2の変形例に係る振動検出装置10dは、振幅検出回路12-1~12-nを備えていないという点で、図6に示した第1の変形例に係る振動検出装置10cと相違する。第2の変形例に係る振動検出装置10dについては、図6に示した第1の変形例に係る振動検出装置10cとの相違点について主に説明し、第1の変形例に係る振動検出装置10cと共通する内容については適宜説明を省略する。
【0097】
バンドパスフィルタ11-1~11-nは、それぞれ、コンパレータ18-1~18-nに信号を出力する。
【0098】
コンパレータ18は、バンドパスフィルタ11が出力する信号を基準電圧と比較し、バンドパスフィルタ11が出力する信号が基準電圧以上である場合はハイ信号を出力し、バンドパスフィルタ11が出力する信号が基準電圧より小さい場合はロー信号を出力する。なお、図7においては、コンパレータ18に入力される基準電圧の記載を省略している。
【0099】
第2の変形例に係る振動検出装置10dにおいては、バンドパスフィルタ11が出力する信号がそのままコンパレータ18に入力される。そのため、コンパレータ18には、順次変化する信号が入力される。図8に、振幅に応じたコンパレータ18の出力を制御回路15が一定の間隔で複数回サンプリングした場合の概念図を示す。
【0100】
図8において、左側は、大きい振幅の信号がコンパレータ18に入力された様子を示す図である。右側は、小さい振幅の信号がコンパレータ18に入力された様子を示す図である。
【0101】
大きい振幅の信号がコンパレータ18に入力された時のコンパレータ18の出力を一定の間隔で複数回サンプリングした場合、図8の左側に示すように、ハイ信号(H)はロー信号(L)より多くサンプルされる。図8に示す例においては、サンプルされたハイ信号とロー信号との比は、6:2である。
【0102】
小さい振幅の信号がコンパレータ18に入力された時のコンパレータ18の出力を一定の間隔で複数回サンプリングした場合、図8の右側に示すように、ロー信号はハイ信号よりも多くサンプルされる。図8に示す例においては、サンプルされたハイ信号とロー信号との比は、2:6である。
【0103】
第2の変形例に係る振動検出装置10dは、振幅検出回路12を省略した分だけ、第1の変形例に係る振動検出装置10cに比べて、回路を簡略化することができる。
【0104】
(第3の変形例)
図9は、第3の変形例に係る振動検出装置10eの概略構成を示す図である。第3の変形例に係る振動検出装置10eは、可変バンドパスフィルタ20と、振幅検出回路12と、AD変換器14と、制御回路15と、無線通信回路16と、電池17とを備える。
【0105】
第3の変形例に係る振動検出装置10eは、複数のバンドパスフィルタ11-1~11-nの代わりに可変バンドパスフィルタ20を備えている点、及び、選択回路13を備えていないという点で、図1に示した振動検出装置10と相違する。第3の変形例に係る振動検出装置10eについては、図1に示した振動検出装置10との相違点について主に説明し、図1に示した振動検出装置10と共通する内容については適宜説明を省略する。
【0106】
可変バンドパスフィルタ20は、通過帯域周波数を任意に設定でき、また変更することができるバンドパスフィルタである。可変バンドパスフィルタ20は、制御回路15から指令を受けて、通過帯域周波数をスイープすることもできる。
【0107】
制御回路15は、所定の周期で、可変バンドパスフィルタ20の通過帯域周波数を変化させる。
【0108】
振幅検出回路12は、可変バンドパスフィルタ20の通過帯域周波数が変化すると、変化後の通過帯域周波数において可変バンドパスフィルタ20が出力する信号の振幅に関する情報を検出する。
【0109】
このようにして、第3の変形例に係る振動検出装置10eは、簡易的なスペクトラムアナライザのような動作をすることができる。
【0110】
また、第3の変形例に係る振動検出装置10eは、可変バンドパスフィルタ20の通過帯域周波数を細かいステップで変化させることにより、図1に示した振動検出装置10よりも高い分解能で、それぞれの通過帯域周波数における振幅を検出することができる。
【0111】
本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。従って、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含される。
【0112】
例えば、上述した各構成部の配置及び個数等は、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の配置及び個数等は、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。
【0113】
例えば、図1に示した制御回路15は、選択回路13の制御と、AD変換器14から取得したデジタル信号の処理との両方を行うものとして説明したが、制御回路15は、AD変換器14から取得したデジタル信号の処理のみを行い、選択回路13の制御は、別の制御回路が行ってもよい。
【符号の説明】
【0114】
10、10a、10b、10c、10d、10e 振動検出装置
11 バンドパスフィルタ
12 振幅検出回路
13 選択回路
14 AD変換器
15 制御回路
16 無線通信回路
17 電池
18 コンパレータ
20 可変バンドパスフィルタ
100 信号処理回路
101 AD変換回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9