(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136247
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20240927BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240927BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20240927BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20240927BHJP
H01L 29/417 20060101ALI20240927BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20240927BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240927BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20240927BHJP
H10B 12/00 20230101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L29/78 626A
H01L29/78 613B
H01L29/78 619A
H01L29/78 616T
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H01L29/78 616V
H01L29/78 627F
H01L27/04 C
H01L21/28 301B
H01L29/50 M
H01L21/90 N
H01L27/088 E
H01L27/06 102A
H01L27/088 H
H01L27/088 331E
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H10B12/00 625
H10B12/00 671C
H10B12/00 671Z
H10B12/00 671A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047296
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 友樹
【テーマコード(参考)】
4M104
5F033
5F038
5F048
5F083
5F110
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
【課題】優れたトランジスタ特性を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、基板と、基板に対して基板の表面と交差する第1方向に離間して、第1方向に延伸する酸化物半導体層と、第1方向と交差する第2方向に延伸し、酸化物半導体層の一部と対向する第1配線と、酸化物半導体層と第1配線との間に設けられたゲート絶縁膜と、酸化物半導体層に対して、第1方向の一方側に設けられた第1絶縁層と、第1絶縁層に対して、第1方向の一方側に設けられた第2絶縁層とを備える。第1絶縁層及び第2絶縁層は、それぞれシリコン(Si)及び酸素(O)を含み、第2絶縁層の密度は、第1絶縁層の密度よりも大きい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に対して前記基板の表面と交差する第1方向に離間して、前記第1方向に延伸する酸化物半導体層と、
前記第1方向と交差する第2方向に延伸し、前記酸化物半導体層の一部と対向する第1配線と、
前記酸化物半導体層と前記第1配線との間に設けられたゲート絶縁膜と、
前記酸化物半導体層に対して、前記第1方向の一方側に設けられた第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して、前記第1方向の前記一方側に設けられた第2絶縁層と
を備え、
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層は、それぞれシリコン(Si)及び酸素(O)を含み、
前記第2絶縁層の密度は、前記第1絶縁層の密度よりも大きい
半導体装置。
【請求項2】
前記第2絶縁層は、前記第1絶縁層と接して設けられる
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2絶縁層は、前記第1絶縁層と離間して設けられる
請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1絶縁層の膜厚は、前記第2絶縁層の膜厚より大きい
請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1絶縁層の膜厚は、前記第2絶縁層の膜厚より小さい
請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
前記酸化物半導体層の前記第1方向の一端に電気的に接続された第2配線を備え、
前記第1絶縁層は、前記第2方向に前記第2配線と対向する部分を備える
請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2配線は、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向に延伸し、
前記第2配線は、前記第3方向に並ぶ、複数の前記酸化物半導体層に電気的に接続される
請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
前記酸化物半導体層の前記第1方向の一端に電気的に接続された第2配線を備え、
前記第2絶縁層は、前記第2方向に前記第2配線と対向する部分を備える
請求項1記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2配線は、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向に延伸し、
前記第2配線は、前記第3方向に並ぶ、複数の前記酸化物半導体層に電気的に接続される
請求項8記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2絶縁層の水素(H)濃度は、前記第1絶縁層の水素(H)濃度よりも小さい
請求項1記載の半導体装置。
【請求項11】
前記酸化物半導体層の前記第1方向の一端に電気的に接続された第2配線と、
前記第2配線及び前記第2絶縁層よりも前記酸化物半導体層から遠い第3配線と
を備え、
前記第3配線は、銅(Cu)を含む
請求項1記載の半導体装置。
【請求項12】
前記基板と前記酸化物半導体層との間に、キャパシタ層を備え、
前記キャパシタ層は、前記酸化物半導体層に電気的に接続されたキャパシタ構造を備える
請求項1記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第2絶縁層の膜厚は、300nm以下である
請求項1記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1絶縁層と、前記第2絶縁層と、の間に、第3絶縁層を備え、
前記第2絶縁層の密度は、前記第3絶縁層の密度よりも大きい
請求項3記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第2絶縁層の前記第1方向の膜厚は、5nm以上、50nm以下である
請求項1記載の半導体装置。
【請求項16】
基板と、
前記基板に対して前記基板の表面と交差する第1方向に離間した酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層に対向する第1配線と、
前記酸化物半導体層と前記第1配線との間に設けられたゲート絶縁膜と、
前記酸化物半導体層に対して、前記第1方向の一方側に設けられた第1絶縁層と、
前記第1絶縁層に対して、前記第1方向の前記一方側に設けられ、前記第1絶縁層よりも密度が大きい第2絶縁層と
を備える半導体装置の製造方法であって、
前記酸化物半導体層を形成し、
前記第1絶縁層を形成し、
前記第2絶縁層を形成し、
前記第2絶縁層の形成後に、酸素雰囲気でのアニールを行う、
半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記第1絶縁層を、前記第2絶縁層よりも低温で形成する
請求項16記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記第2絶縁層が露出した状態で、前記酸素雰囲気でのアニールを行う
請求項16記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記酸化物半導体層の前記第1方向の一端に電気的に接続された第2配線と、
前記第2配線及び前記第2絶縁層よりも前記酸化物半導体層から遠い第3配線と
を更に備え、
前記第3配線は、銅(Cu)を含む
半導体装置の製造方法であって、
前記第2配線は、前記酸素雰囲気でのアニールの前に形成し、
前記第3配線は、前記酸素雰囲気でのアニールの後に形成する
請求項16記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記第2絶縁層の水素(H)濃度は、前記第1絶縁層の水素(H)濃度よりも小さい
請求項16記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化物半導体層と、酸化物半導体層に対向する第1配線と、酸化物半導体層と第1配線との間に設けられたゲート絶縁膜と、を備える半導体装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
優れたトランジスタ特性を有する半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態に係る半導体装置は、基板と、基板に対して基板の表面と交差する第1方向に離間して、第1方向に延伸する酸化物半導体層と、第1方向と交差する第2方向に延伸し、酸化物半導体層の一部と対向する第1配線と、酸化物半導体層と第1配線との間に設けられたゲート絶縁膜と、酸化物半導体層に対して、第1方向の一方側に設けられた第1絶縁層と、第1絶縁層に対して、第1方向の一方側に設けられた第2絶縁層とを備える。第1絶縁層及び第2絶縁層は、それぞれシリコン(Si)及び酸素(O)を含み、第2絶縁層の密度は、第1絶縁層の密度よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な回路図である。
【
図2】同半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図3】同半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図4】同半導体装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【
図5】同半導体装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【
図6】同半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図7】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図8】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図9】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図10】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図11】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図12】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図13】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図14】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図15】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図16】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図17】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図18】第2実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図19】同半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図20】同半導体装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【
図21】同半導体装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【
図22】同半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図23】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図24】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図25】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図26】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図27】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図28】同半導体装置の変形例について説明するための模式的な断面図である。
【
図29】第3実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図30】第4実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図31】第5実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図32】第6実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図33】同半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図34】同半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、実施形態に係る半導体装置を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施形態はあくまでも一例であり、本発明を限定する意図で示されるものではない。また、以下の図面は模式的なものであり、説明の都合上、一部の構成等が省略される場合がある。また、複数の実施形態について共通する部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0008】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成に「電気的に接続されている」と言った場合、第1の構成は第2の構成に直接接続されていても良いし、第1の構成が第2の構成に配線、半導体部材又はトランジスタ等を介して接続されていても良い。例えば、3つのトランジスタを直列に接続した場合には、2つ目のトランジスタがOFF状態であったとしても、1つ目のトランジスタは3つ目のトランジスタに「電気的に接続」されている。
【0009】
また、本明細書においては、基板の上面に対して平行な所定の方向をX方向、基板の上面に対して平行で、X方向と垂直な方向をY方向、基板の上面に対して垂直な方向をZ方向と呼ぶ。
【0010】
また、本明細書においては、所定の面に沿った方向を第1方向、この所定の面に沿って第1方向と交差する方向を第2方向、この所定の面と交差する方向を第3方向と呼ぶことがある。これら第1方向、第2方向及び第3方向は、X方向、Y方向及びZ方向のいずれかと対応していても良いし、対応していなくても良い。
【0011】
また、本明細書において、「上」や「下」等の表現は、基板を基準とする。例えば、上記Z方向に沿って基板から離れる向きを上と、Z方向に沿って基板に近付く向きを下と呼ぶ。また、ある構成について下面や下端と言う場合には、この構成の基板側の面や端部を意味する事とし、上面や上端と言う場合には、この構成の基板と反対側の面や端部を意味する事とする。また、X方向又はY方向と交差する面を側面等と呼ぶ。
【0012】
また、本明細書において、構成、部材等について、所定方向の「幅」、「長さ」又は「膜厚」等と言った場合には、SEM(Scanning electron microscopy)やTEM(Transmission electron microscopy)等によって観察された断面等における幅、長さ又は厚み等を意味することがある。
【0013】
[第1実施形態]
[回路構成]
第1実施形態に係る半導体装置は、例えば、
図1に示す様なメモリセルアレイMCA及び周辺回路PCを備える。
【0014】
メモリセルアレイMCAは、複数のビット線BLと、複数のワード線WLと、複数のプレート線PLと、これら複数のビット線BL、複数のワード線WL、及び、複数のプレート線PLに接続された複数のメモリセルMCと、を備える。1のワード線WLに接続された複数のメモリセルMCは、それぞれ、お互いに異なるビット線BLに接続されている。また、1のビット線BLに接続された複数のメモリセルMCは、それぞれ、お互いに異なるワード線WLに接続されている。
【0015】
メモリセルMCは、それぞれ、ビット線BLとプレート線PLとの間に直列に接続された選択トランジスタST及びキャパシタCapを備える。
【0016】
選択トランジスタSTは、チャネル領域として機能する半導体層、ゲート絶縁膜、及び、ゲート電極を備える電界効果型のトランジスタである。選択トランジスタSTのゲート電極には、それぞれ、ワード線WLが接続される。
【0017】
キャパシタCapは、一対の電極、及び、絶縁膜を備えるキャパシタである。キャパシタCapは、メモリ部を含む。
【0018】
周辺回路PCは、例えば、動作電圧を生成して電圧供給線に出力する電圧生成回路、所望の電圧供給線をメモリセルアレイMCA内の各配線(ビット線BL、ワード線WL、及び、プレート線PL)と導通させるデコード回路、ビット線BLの電流又は電圧を検知するセンスアンプ回路等を備える。
【0019】
図2は、半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。第1実施形態に係る半導体装置は、
図2に示す様に、基板Subと、基板SubからZ方向に離間したトランジスタ層L
Trと、トランジスタ層L
Trの上方に設けられた配線層L
MLと、配線層L
MLの上方に設けられた配線層L
ULと、トランジスタ層L
Trの下方に設けられたキャパシタ層L
CPと、キャパシタ層L
CPの下方に設けられたプレート線層L
PTと、プレート線層L
PTの下方において基板Sub上に設けられた周辺回路層L
PCと、を備える。基板Subは、例えば、ホウ素(B)等のP型の不純物を含むP型のシリコン(Si)を含む。
【0020】
また、第1実施形態に係る半導体装置は、
図2に示す様に、基板Sub上に設けられた、メモリ領域R
MCと、周辺領域R
PCと、を備える。
【0021】
[メモリ領域R
MCの構造]
次に、
図2~
図5を参照して、メモリ領域R
MCの構造について説明する。
図3は、メモリ領域R
MCの一部の構成を示す模式的な断面図である。
図4は、
図3に示す構成をA-A´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な断面図である。
図5は、
図3に示す構成をB-B´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な断面図である。
【0022】
メモリ領域R
MCのトランジスタ層L
Trは、例えば
図3に示す様に、キャパシタ層L
CPの上面に設けられた絶縁層111と、絶縁層111の上方に設けられた絶縁層113と、を備える。また、メモリ領域R
MCのトランジスタ層L
Trは、例えば
図4に示す様に、絶縁層111及び絶縁層113の間に設けられ、X方向に交互に並ぶ複数の絶縁層112及び複数の導電層150を備える。また、メモリ領域R
MCのトランジスタ層L
Trは、例えば
図4に示す様に、複数の導電層150に対応してX方向及びY方向に並ぶ複数の半導体層130と、半導体層130の外周面に設けられた絶縁層140と、を備える。
【0023】
絶縁層111、絶縁層112、及び、絶縁層113は、例えば、酸化シリコン(SiO2)等を含む。
【0024】
半導体層130は、例えばZ方向に延伸し、略円柱形状を有する。半導体層130は酸化物半導体であって、例えば、選択トランジスタST(
図1)のチャネル領域として機能する。半導体層130は、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、カドミウム(Cd)、及び、錫(Sn)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素と、亜鉛(Zn)と、酸素(O)と、を含む。半導体層130は、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、及び酸素(O)を含む。
【0025】
絶縁層140は、例えばZ方向に延伸し、略円筒形状を有する。絶縁層140は、例えば、選択トランジスタST(
図1)のゲート絶縁膜として機能する。絶縁層140は、例えば、酸化シリコン(SiO
2)等を含む。絶縁層140は、酸化シリコン(SiO
2)と、窒化シリコン(SiN)又はその他高誘電率の絶縁層と、の積層構造であっても良い。
【0026】
導電層150は、例えば、Y方向に並ぶ複数の選択トランジスタSTのゲート電極、及び、メモリセルアレイMCAのワード線WL(
図1)として機能する。導電層150は、例えば、タングステン(W)、又は、窒化チタン(TiN)及びタングステン(W)の積層構造等を含んでいても良い。
【0027】
メモリ領域R
MCの配線層L
MLは、例えば
図3に示す様に、トランジスタ層L
Trの上面に設けられたビット線層L
BLと、ビット線層L
BLの上面に順に設けられた絶縁層191、絶縁層193、及び、絶縁層195と、ビット線層L
BLの上面に設けられた導電層192と、を備える。
【0028】
ビット線層L
BLは、例えば
図3に示す様に、半導体層130に対応する位置において、トランジスタ層L
Trの上面に順に設けられた導電層170、導電層171、及び、導電層172を備える。導電層170、導電層171、及び、導電層172は、それぞれ半導体層130に電気的に接続されている。
【0029】
導電層170、導電層171、及び、導電層172を含む構造は、例えば
図3及び
図5に示す様に、X方向に延伸し、Y方向に複数並んで設けられる。導電層170、導電層171、及び、導電層172は、例えば、メモリセルアレイMCAのビット線BL(
図1)として機能する。Y方向に並ぶこれら構造の間には、絶縁層190が設けられる。
【0030】
導電層170は、例えば、インジウム(In)、スズ(Sn)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、イリジウム(Ir)、及び、モリブデン(Mo)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素と、酸素(O)と、を含む。導電層170は、例えば、酸化インジウムスズ(InSnO)等であっても良い。
【0031】
導電層171は、例えば、窒化チタン(TiN)等を含む。
【0032】
導電層172は、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)等を含む。
【0033】
絶縁層190は、例えば、隣接するビット線BL(導電層170、導電層171、及び、導電層172を含む構造)を絶縁する材料として機能する。また、絶縁層190は、例えば、後述する酸素(O
2)雰囲気下のアニール(
図15)において、半導体層130へ酸素を導入するための酸素拡散の経路として機能する。
【0034】
絶縁層190のZ方向の膜厚d10(
図3)は、例えば300nm以下である。膜厚d10は、100nm以下であればより好ましい。膜厚d10は、例えば
図3に示す構成では、半導体層130の上面から絶縁層191の下面までの長さである。絶縁層190は、この様な膜厚で形成されることにより、好適に酸素拡散の経路として機能する。
【0035】
絶縁層190は、例えばシリコン(Si)及び酸素(O)を含む。絶縁層190は、例えば酸化シリコン(SiO2)等を含む。また、絶縁層190は、例えば水(H2O)及び水素(H)等を含む。
【0036】
絶縁層190は、比較的密度が小さい材料を含む。絶縁層190は、例えば、多孔質性の膜、微細な空隙を多く含む膜、又は、結晶性の低い膜、等を含んでいても良い。
【0037】
絶縁層190は、比較的酸素が拡散しやすい材料を含む。絶縁層190が、例えば多孔質性の膜を含む場合、酸素は複数の孔を介して拡散する場合がある。絶縁層190が、例えば微細な空隙を多く含む場合、酸素は空隙を介して拡散する場合がある。絶縁層190が、例えば結晶性の低い膜を含む場合、酸素は結晶粒界や非晶質性の高い部分を介して拡散する場合がある。
【0038】
絶縁層190は、比較的水及び水素が吸着しやすい材料を含む。絶縁層190の水素濃度は、比較的大きい。絶縁層190が、例えば多孔質性の膜を含む場合、水及び水素は孔の内部に含まれている場合がある。また、絶縁層190が、例えば微細な空隙を多く含む場合、水及び水素は空隙の内部に含まれている場合がある。また、絶縁層190が、例えば結晶性の低い膜を含む場合、水及び水素は結晶粒界や非晶質性の高い部分に含まれている場合がある。
【0039】
絶縁層190は、例えば
図3及び
図5に示す様に、部分PT10を備える。部分PT10は例えばX方向に延伸し、複数の導電層170、導電層171、及び、導電層172を含む構造(ビット線BL)の間に設けられる。部分PT10は、ビット線BLとY方向に対向する。
【0040】
絶縁層191は、絶縁層190及び導電層172の上面に、絶縁層190及び導電層172と接する様に設けられる。
【0041】
絶縁層191は、例えば、後述する酸素(O
2)雰囲気下のアニール(
図15)において、半導体層130へ酸素を導入するための酸素拡散の経路として機能する。また、絶縁層191は、絶縁層191を形成した後の工程、例えば後述する配線層L
UL(
図2)を形成する工程において使用する水及び水素(H)等の還元性ガスが絶縁層190を介して半導体層130へ到達し、半導体層130が還元される(脱酸素(O)が起こる)ことを防ぐ層として機能する。
【0042】
絶縁層191のZ方向の膜厚d11(
図3)は、例えば5nm以上、50nm以下である。膜厚d11は、20nm程度であればより好ましい。絶縁層191は、この様な膜厚で形成されることにより、酸素導入の経路としての機能、及び、絶縁層190への水素等の吸着を防ぐ機能を有する。
【0043】
絶縁層191は、例えばシリコン(Si)及び酸素(O)を含む。絶縁層191は、例えば酸化シリコン(SiO2)等を含む。また、絶縁層191は、例えば水及び水素(H)を含む。絶縁層191が含む単位体積当たりの水及び水素(H)の含有量は、絶縁層190よりも少ない。
【0044】
絶縁層191は、比較的密度が大きい材料を含む。絶縁層191は、例えば、空孔又は空隙が比較的少なく、また、結晶性の高い膜等で構成されていても良い。
【0045】
絶縁層191は、比較的酸素が拡散しにくい材料を含む。絶縁層191は、例えば孔、空隙等を多く含まないため、孔、空隙等を介した酸素の拡散は起こりにくい。また、絶縁層191は、例えば結晶性の高い膜を含むため、結晶粒界や非晶質性の高い部分を介した酸素の拡散は起こりにくい。
【0046】
絶縁層191は、比較的水及び水素が吸着しにくい材料を含む。絶縁層191の水素濃度は、比較的小さい。絶縁層191は、例えば孔、空隙等を多く含まないため、水及び水素の吸着するサイトが比較的少ない。また、絶縁層191は、例えば結晶性の高い膜を含むため、結晶粒界や非晶質性の高い部分の様な水及び水素の吸着するサイトは比較的少ない。
【0047】
絶縁層191の密度は、絶縁層190の密度より大きい。例えば、絶縁層191を構成する複数の材料の平均密度は、絶縁層190を構成する複数の材料の平均密度より大きい。絶縁層190及び絶縁層191が含む材料の密度は、例えばX線反射率法(X-Ray Reflectivity)等によって測定することができる。
【0048】
絶縁層191の水素濃度は、絶縁層190の水素濃度より小さい。例えば、絶縁層191を構成する複数の材料の平均水素濃度は、絶縁層190を構成する複数の材料の平均水素濃度より小さい。絶縁層190及び絶縁層191の水素(H)濃度は、例えSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)等によって測定することができる。
【0049】
導電層192は、例えば
図2及び
図3に示す様にZ方向に延伸し、略円柱形状を有する。導電層192の下面は、導電層172に接続されている。導電層192の上面は、例えば絶縁層195の上面と同じ位置に設けられる。導電層192は、例えば絶縁層195及び絶縁層193を貫通する様に設けられる。導電層192は、例えば、タングステン(W)、又は、窒化チタン(TiN)及びタングステン(W)の積層構造等を含んでいても良い。
【0050】
絶縁層193は、例えば酸化シリコン(SiO2)等を含む。
【0051】
絶縁層195は、例えば窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム(AlO)等を含む。絶縁層195は、例えば、後述する配線層L
UL(
図2)を形成する工程において使用する水素(H)等の還元性ガスによって、半導体層130が還元される(脱酸素(O)が起こる)ことを防ぐ層として機能する。尚、絶縁層195は形成されていなくても良い。
【0052】
配線層L
ULは、例えば
図2に示す様に、絶縁層195の上面に設けられた配線301と、配線301の上面に配線301に接続して設けられた配線302と、配線302の上面に配線302に接続して設けられた配線303と、を備える。配線301、配線302、及び、配線303の間には、例えば酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層304が設けられる。
【0053】
配線301、配線302、及び、配線303は、例えば、ビット線BLへ電圧及び電流を供給する配線として機能する。配線301、配線302、及び、配線303は、例えば、銅(Cu)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)等を含む。
【0054】
メモリ領域R
MCのキャパシタ層L
CPは、例えば
図2及び
図3に示す様に、複数の半導体層130に対応して設けられ、複数の半導体層130の下端にそれぞれ接続された複数の導電層120と、これら複数の導電層120に対応して設けられ、複数の導電層120の下端にそれぞれ接続された複数の導電層201と、これら複数の導電層120の外周面並びに複数の導電層201の外周面及び下面に設けられた複数の導電層121と、を備える。また、キャパシタ層L
CPは、導電層121の外周面及び下面に設けられた絶縁層202と、絶縁層202の外周面及び下面に設けられた導電層203と、を備える(
図3)。尚、以下の説明では、これらメモリ領域R
MCのキャパシタ層L
CPに設けられたキャパシタCap(
図1)を実現する構成を、「キャパシタ構造CP10」と呼ぶ場合がある。キャパシタ構造CP10は、例えば、導電層120と、導電層121と、導電層201と、絶縁層202と、導電層203と、を含む。複数のキャパシタ構造CP10の間には、例えば、酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層100が設けられる。
【0055】
導電層120は、例えば、選択トランジスタST(
図1)のドレイン電極及びキャパシタCap(
図1)の一方の電極の一部として機能する。導電層120は、XY断面において略円形であり、プラグ形状を有していても良い。導電層120は、例えば、導電層170と同様の材料を含む。導電層120は、例えば、酸化インジウムスズ(InSnO)等であっても良い。
【0056】
導電層121は、例えば、キャパシタCap(
図1)の一方の電極の一部として機能する。導電層121は、例えば、窒化チタン(TiN)等であっても良い。
【0057】
導電層201は、キャパシタCap(
図1)の一方の電極の一部として機能する。導電層201は、例えば、窒化チタン(TiN)及びタングステン(W)の積層構造等を含む。
【0058】
絶縁層202は、キャパシタCap(
図1)の電極間の絶縁層として機能する。絶縁層202は、例えば、酸化アルミニウム(AlO)等を含む。絶縁層202は、例えば、酸化シリコン(SiO
2)又はその他の絶縁性の金属酸化物であっても良い。
【0059】
導電層203は、例えば、キャパシタCap(
図1)の他方の電極として機能する。導電層203は、例えば、窒化チタン(TiN)及びタングステン(W)の積層構造等を含む。
【0060】
メモリ領域R
MCのプレート線層L
PTは、例えば
図2に示す様に、キャパシタ層L
CPの下面に設けられた導電層204を備える。導電層204は、複数の導電層203に電気的に接続されている。導電層204は、例えば、プレート線PL(
図1)として機能する。導電層204は、例えば、タングステン(W)、又は、窒化チタン(TiN)及びタングステン(W)の積層構造等を含んでいても良い。
【0061】
[周辺領域R
PCの構造]
周辺領域R
PCのトランジスタ層L
Trは、例えば
図2に示す様に、ワード線WLとして機能する導電層150の一部と、導電層150の下端に接続された電極151とを備える。電極151は、例えば、タングステン(W)、又は、窒化チタン(TiN)及びタングステン(W)の積層構造等を含んでいても良い。
【0062】
周辺領域R
PCのキャパシタ層L
CPは、例えば
図2に示す様に、Z方向に延伸する複数の電極CCを備える。電極CCは、例えば、上端において電極151に、下端において、プレート線層L
PT中の、後述する複数の導電層205の一部に電気的に接続されている。電極CCは、例えば、タングステン(W)、又は、窒化チタン(TiN)及びタングステン(W)の積層構造等を含んでいても良い。
【0063】
周辺領域R
PCのプレート線層L
PTは、例えば
図2に示す様に、複数の導電層205を備える。導電層205は、例えば、導電層204と同様の材料を含んでいても良い。
【0064】
周辺領域R
PCの周辺回路層L
PCは、例えば
図2に示す様に、基板Sub上に設けられた複数のトランジスタTrP1と、複数のトランジスタTrP1に接続された複数の電極210とを備える。複数の電極210は、上端において導電層205に接続されている。複数の電極210は、それぞれ、複数のトランジスタTrP1のソース領域、ドレイン領域、ゲート電極等に接続されている。複数のトランジスタTrP1は、例えば、周辺回路PC(
図1)を構成する。
【0065】
[第1実施形態の製造方法]
次に、
図6~
図17を参照して、本実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図6~
図17は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。尚、以下、製造方法に係る図面は模式的なものであり、説明の都合上、一部の構成等が省略される場合がある。
【0066】
同製造方法においては、図示しない基板Subの上方に、周辺回路層L
PC(
図2)と、プレート線層L
PT(
図2)と、キャパシタ層L
CP(
図2)と、を形成する。また、例えば
図6に示す様に、導電層120を含むキャパシタ層L
CPの上面に、絶縁層111と、絶縁層112(
図4)及び導電層150と、絶縁層113と、を順に形成する。この工程は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)及びRIE(Reactive Ion Etching)等によって行う。
【0067】
次に、例えば
図7に示す様に、開口TH10を形成する。開口TH10は、Z方向に延伸し、絶縁層113、導電層150、及び、絶縁層111を貫通して、導電層120を露出させる。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0068】
次に、例えば
図8に示す様に、絶縁層113の上面、並びに、開口TH10の内側面及び底面に、絶縁層140´を形成する。絶縁層140´は、例えば絶縁層140と同様の材料を含む。この工程は、例えば、ALD(Atomic Layer Deposition)又はCVD等によって行う。
【0069】
次に、例えば
図9に示す様に、絶縁層140´のうち、絶縁層113の上面及び開口TH10の底面に形成された部分を除去し、開口TH10の内側面に絶縁層140を形成する。この工程により、開口TH10の底面に、導電層120が露出する。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0070】
次に、例えば
図10に示す様に、開口TH10の内部及び絶縁層113の上面に、半導体層130´を形成する。半導体層130´は、例えば半導体層130と同様の材料を含む。この工程は、例えば、CVD又はALD等によって行う。
【0071】
次に、例えば
図11に示す様に、開口TH10があった部分の外に形成された半導体層130´の部分を除去平坦化し、半導体層130を形成する。この工程は、例えば、CMP(Chemical Mechanical Planarization)又はRIE等によって行う。
【0072】
次に、例えば
図12に示す様に、
図11に示す構造の上面に、導電層170´、導電層171´、及び、導電層172´を順に形成する。導電層170´、導電層171´、及び、導電層172´は、例えば導電層170、導電層171、及び、導電層172とそれぞれ同様の材料を含む。この工程は、例えば、CVD等によって行う。
【0073】
次に、例えば
図13に示す様に、導電層170、導電層171、及び、導電層172に対応する位置にフォトリソグラフィ等によりマスク材を形成し、マスク材に被覆されていない部分を除去することによって、導電層170、導電層171、及び、導電層172を形成する。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0074】
次に、例えば
図14に示す様に、絶縁層113の上面、及び導電層172の上面に、絶縁層190と同様の材料を成膜し、上面を除去平坦化して、絶縁層190を形成する。この工程は、CVD及びCMP等によって行う。尚、絶縁層190を成膜する際の成膜温度は、比較的低温であっても良い。絶縁層190を成膜する際の成膜温度は、例えば350℃未満である。
【0075】
次に、例えば
図15に示す様に、絶縁層190及び導電層172の上面に、絶縁層191を形成する。この工程は、例えば、CVD等によって行う。尚、絶縁層191を成膜する際の成膜温度は、絶縁層190を成膜する際の成膜温度よりも高くても良い。絶縁層191を成膜する際の成膜温度は、例えば350℃以上である。
【0076】
また、例えば
図15に示す様に、絶縁層191を形成後、酸素(O
2)雰囲気下のアニールを行い、例えば酸素導入経路PA10により、半導体層130への酸素の導入を行う。
【0077】
酸素導入経路PA10は、例えば酸化シリコン(SiO2)等の、絶縁層191及び絶縁層190を介し、また、例えば酸化インジウムスズ(InSnO)等の導電層170を介して、半導体層130の上面から酸素(O)を導入可能な経路である。
【0078】
次に、例えば
図16に示す様に、絶縁層191の上面に、絶縁層193及び絶縁層195を順に形成する。この工程は、例えば、CVD又はALD等によって行う。
【0079】
また、例えば
図16に示す様に、開口TH11を形成する。開口TH11は、Z方向に延伸し、絶縁層195、絶縁層193、及び、絶縁層191を貫通して、導電層172を露出させる。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0080】
次に、例えば
図17に示す様に、開口TH11の内部及び絶縁層195の上面に、導電層192と同様の材料を成膜し、上面を除去平坦化して、導電層192を形成する。この工程は、例えば、CVD及びCMP等によって行う。
【0081】
次に、
図17に示す構造の上面に、配線層L
UL(
図2)を形成することにより、第1実施形態に係る半導体装置が製造される。尚、配線層L
UL(
図2)を形成する工程においては、水素(H)等の還元性ガスを使用する場合がある。
【0082】
尚、酸素(O
2)雰囲気下のアニール(
図15)における酸素導入経路PA10等は、例えば、アニールにおいて同位体酸素を用い、同位体酸素の分布をSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)等で分析することで、その酸素導入経路を測定することができる。
【0083】
[効果]
本実施形態に係る半導体装置においては、
図15に示す工程において、絶縁層190、及び、絶縁層190に接する絶縁層191を形成した後、半導体層130へ酸素を導入するための酸素アニールを行う。
【0084】
絶縁層190は、比較的密度が小さく、また酸素が拡散しやすい材料を含むため、酸素導入経路上の材料としては好適である。しかしながら、絶縁層190は、比較的水及び水素の吸着が起こりやすい材料でもある。酸素アニール(
図15)よりも後の工程で、絶縁層190に再び多くの水及び水素が吸着した場合、それら水及び水素が半導体層130へ拡散することがある。この様な場合、水素により半導体層130の脱酸素が起こり、選択トランジスタST(
図1)の良好なスイッチング特性が得られない場合がある。
【0085】
そこで、本実施形態に係る半導体装置においては、絶縁層190の上面に絶縁層191を形成する。
【0086】
絶縁層191は、比較的密度が高く、また水及び水素が吸着しにくい材料を含む。例えば、絶縁層191を絶縁層190よりも高温で成膜するため、絶縁層191は、絶縁層190よりも密度が大きく、また水素が吸着しにくい。よって、絶縁層191は、絶縁層190に接してその上面を覆うことで、絶縁層190に水素が吸着することを防ぐことができる。また、本実施形態に係る半導体装置においては、絶縁層191を例えば5nm以上、50nm以下で形成する。この様な膜厚で形成されることにより、絶縁層191は、酸素導入の経路として機能しつつ、絶縁層190への水及び水素等の吸着を防ぐことができる。
【0087】
よって、この様な構成では、半導体層130の酸素量を適切に制御し、優れたトランジスタ特性を有する半導体装置を提供することができる。
【0088】
[第2実施形態]
次に、
図18~
図21を用いて、第2実施形態に係る半導体装置について説明する。
図18及び
図19は、本実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
図20は、
図19に示す構成をC-C´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な平面図である。
図21は、
図19に示す構成をD-D´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な平面図である。以下の説明では、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0089】
本実施形態に係る半導体装置は、基本的には、第1実施形態に係る半導体装置(
図2、
図3)と同様に構成されている。しかしながら、本実施形態に係る半導体装置(
図18)には、配線層L
ML(
図2)のかわりに配線層L
ML2が設けられる。配線層L
ML2は、基本的には、配線層L
ML(
図3)と同様に構成されている。しかしながら、配線層L
ML2は、ビット線層L
BL(
図3)のかわりにビット線層L
BL2(
図19)を備える。また、配線層L
ML2は、ビット線層L
BL2とトランジスタ層L
Trとの間に、プラグ層L
PL2を備える。
【0090】
プラグ層L
PL2は、例えば
図19及び
図20に示す様に、半導体層130に対応する位置において、トランジスタ層L
Trの上面に順に設けられた導電層170_2、導電層171_2、及び、導電層172_2を備える。導電層170_2、導電層171_2、及び、導電層172_2は、それぞれ半導体層130に電気的に接続されている。
【0091】
導電層170_2、導電層171_2、及び、導電層172_2を含む構造は、例えば
図19及び
図20に示す様に、Z方向に延伸する略円柱形状を有し、X方向及びY方向に複数並んで設けられる。導電層170_2、導電層171_2、及び、導電層172_2は、例えば、選択トランジスタSTのソース電極として機能する。これら導電層170_2、導電層171_2、及び、導電層172_2を含む複数の構造の間には、例えば絶縁層190_2の一部が設けられる。
【0092】
導電層170_2、導電層171_2、及び、導電層172_2は、それぞれ導電層170、導電層171、及び、導電層172と同様の材料を含む。
【0093】
ビット線層L
BL2は、例えば
図19に示す様に、導電層172_2に対応する位置において、プラグ層L
PL2の上面に順に設けられた導電層181、導電層182、及び、導電層184を備える。
【0094】
導電層181、導電層182、及び、導電層184は、それぞれX方向に並ぶ複数の導電層172に電気的に接続されている。
【0095】
導電層181、導電層182、及び、導電層184を含む構造は、例えば
図19及び
図21に示す様に、X方向に延伸し、Y方向に複数並んで設けられる。導電層181、導電層182、及び、導電層184は、例えば、メモリセルアレイMCAのビット線BL(
図1)として機能する。Y方向に並ぶこれら構造の間には、例えば絶縁層190_2の一部が設けられる。
【0096】
導電層181及び導電層184は、例えば、窒化チタン(TiN)等を含む。
【0097】
導電層182は、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)等を含む。
【0098】
絶縁層190_2は、絶縁層190と同様の機能を有し、同様の材料を含む。
【0099】
絶縁層190_2のZ方向の膜厚d20(
図19)は、例えば300nm以下である。膜厚d20は、100nm以下であればより好ましい。膜厚d20は、例えば
図19に示す構成では、半導体層130の上面から後述する絶縁層191_2の下面までの長さである。絶縁層190_2は、この様な膜厚で形成されることにより、好適に酸素拡散の経路として機能する。
【0100】
絶縁層190_2は、例えば
図19及び
図21に示す様に部分PT20を備える。部分PT20は例えばX方向に延伸し、複数の導電層181、導電層182、及び、導電層184を含む構造(ビット線BL)の間に設けられる。部分PT20は、ビット線BLとY方向に対向する。
【0101】
また、配線層L
ML2は、例えば
図19に示す様に、ビット線層L
BL2の上面に順に設けられた絶縁層191_2、絶縁層193、及び、絶縁層195と、ビット線層L
BLの上面に設けられた導電層192と、を備える。
【0102】
絶縁層191_2は、絶縁層190_2及び導電層184の上面に、絶縁層190_2及び導電層184と接する様に設けられる。
【0103】
絶縁層191_2は、絶縁層191と同様の機能を有し、同様の材料を含む。
【0104】
絶縁層191_2のZ方向の膜厚d21(
図19)は、例えば5nm以上、50nm以下である。膜厚d21は、20nm程度であればより好ましい。
【0105】
尚、絶縁層191_2の密度は、絶縁層190_2の密度より大きい。例えば、絶縁層191_2を構成する複数の材料の平均密度は、絶縁層190_2を構成する複数の材料の平均密度より大きい。
【0106】
尚、絶縁層191_2の水素濃度は、絶縁層190_2の水素濃度より小さい。例えば、絶縁層191_2を構成する複数の材料の平均水素濃度は、絶縁層190_2を構成する複数の材料の平均水素濃度より小さい。
【0107】
[第2実施形態の製造方法]
次に、
図22~
図27を参照して、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図22~
図27は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【0108】
本実施形態に係る半導体装置は、基本的には第1実施形態に係る半導体装置と同様に製造される。しかしながら、本変形例に係る半導体装置の製造方法では、
図6~
図12を参照して説明した工程の次に、
図22~
図27に示す工程を行う。
【0109】
例えば
図22に示す工程では、
図12に示す構造の上面に、導電層170_2、導電層171_2、及び、導電層172_2に対応する位置にフォトリソグラフィ等によりマスク材を形成し、マスク材に被覆されていない部分を除去することによって、導電層170_2、導電層171_2、及び、導電層172_2を形成する。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0110】
次に、例えば
図23に示す様に、絶縁層113の上面、及び導電層172_2の上面に、絶縁層190_2と同様の材料を成膜し、上面を除去平坦化して、絶縁層190_2´を形成する。この工程は、CVD及びCMP等によって行う。
【0111】
次に、例えば
図24に示す様に、
図23に示す構造の上面に、導電層181´、導電層182´、及び、導電層184´を順に形成する。導電層181´、導電層182´、及び、導電層184´は、それぞれ導電層181、導電層182、及び、導電層184と同様の材料を含む。この工程は、例えば、CVD又はALD等によって行う。
【0112】
次に、例えば
図25に示す様に、導電層181´、導電層182´、及び、導電層184´から、導電層181、導電層182、及び、導電層184に対応する部分以外を除去して、導電層181、導電層182、及び、導電層184を形成する。また、絶縁層190_2´の上面、及び、導電層184の上面に、絶縁層190_2と同様の材料を成膜した後、上面を除去平坦化して、絶縁層190_2を形成する。この工程は、例えば、CVD、RIE、CMP等によって行う。尚、絶縁層190_2を成膜する際の成膜温度は、比較的低温であっても良い。
【0113】
次に、例えば
図26に示す様に、絶縁層190_2及び導電層184の上面に、絶縁層191_2を形成する。この工程は、例えば、CVD等によって行う。尚、絶縁層191_2を成膜する際の成膜温度は、絶縁層190_2を成膜する際の成膜温度よりも高くても良い。
【0114】
また、例えば
図26に示す様に、絶縁層191_2を形成後、酸素(O
2)雰囲気下のアニールを行い、例えば酸素導入経路PA20により、半導体層130への酸素の導入を行う。
【0115】
酸素導入経路PA20は、例えば酸化シリコン(SiO2)等の、絶縁層191_2及び絶縁層190_2を介し、また、例えば酸化インジウムスズ(InSnO)等の導電層170を介して、半導体層130の上面から酸素(O)を導入可能な経路である。
【0116】
次に、例えば
図27に示す様に、
図26に示す構造の上面に、絶縁層193、絶縁層195、及び、導電層192を第1実施形態と同様に形成し、絶縁層195の上方に配線層L
UL(
図2)を形成することにより、第2実施形態に係る半導体装置が製造される。
【0117】
[第2実施形態の変形例]
次に、
図28を参照して、第2実施形態に係る半導体装置の変形例について説明する。
図28は、本変形例に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【0118】
本変形例に係る半導体装置は、基本的には、第2実施形態に係る半導体装置(
図19)と同様に構成されている。しかしながら、本変形例に係る半導体装置(
図28)には、絶縁層190_2と、絶縁層191_2とのかわりに、プラグ層L
PL2に設けられた絶縁層190_2bと、ビット線層L
BL2に設けられた絶縁層191_2b及び例えば酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層183とを備える。
【0119】
絶縁層190_2bは、導電層170、導電層171、及び、導電層172を含む構造の間に設けられる。
【0120】
絶縁層190_2bは、絶縁層190と同様の機能を有し、同様の材料を含む。
【0121】
絶縁層190_2bのZ方向の膜厚d20b(
図28)は、例えば300nm以下である。膜厚d20bは、100nm以下であればより好ましい。膜厚d20bは、例えば
図28に示す構成では、半導体層130の上面から絶縁層191_2bの下面までの長さである。
【0122】
絶縁層191_2bは、絶縁層190_2bの上面に、絶縁層190_2bと接する様に設けられる。また、絶縁層191_2bは、複数の導電層181、導電層182、及び、導電層184を含む構造(ビット線BL)の間に設けられる。
【0123】
絶縁層191_2bは、例えば
図28に示す様に、部分PT21を備える。部分PT21は例えばX方向に延伸し、複数の導電層181、導電層182、及び、導電層184を含む構造(ビット線BL)の間に設けられる。部分PT21は、ビット線BLの一部とY方向に対向する。
【0124】
絶縁層191_2bは、絶縁層191と同様の機能を有し、同様の材料を含む。
【0125】
絶縁層191_2bのZ方向の膜厚d21b(
図28)は、例えば5nm以上、50nm以下である。膜厚d21bは、20nm程度であればより好ましい。
【0126】
尚、絶縁層191_2bの密度は、絶縁層190_2bの密度より大きい。例えば、絶縁層191_2bを構成する複数の材料の平均密度は、絶縁層190_2bを構成する複数の材料の平均密度より大きい。
【0127】
尚、絶縁層191_2bの水素濃度は、絶縁層190_2bの水素濃度より小さい。例えば、絶縁層191_2bを構成する複数の材料の平均水素濃度は、絶縁層190_2bを構成する複数の材料の平均水素濃度より小さい。
【0128】
[第3実施形態]
次に、
図29を用いて、第3実施形態に係る半導体装置について説明する。
図29は、本実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【0129】
本実施形態に係る半導体装置は、基本的には、第1実施形態に係る半導体装置(
図2、
図3)と同様に構成されている。しかしながら、本実施形態に係る半導体装置(
図29)には、配線層L
ML(
図3)のかわりに配線層L
ML3が設けられる。配線層L
ML3は、基本的には、配線層L
MLと同様に構成されている。しかしながら、配線層L
ML3は、絶縁層190及び絶縁層191のかわりに、絶縁層190_3及び絶縁層191_3を備える。
【0130】
絶縁層190_3は、導電層170、導電層171、及び、導電層172を含む構造(ビット線BL)の間と、導電層172の上面と、に設けられる。
【0131】
絶縁層190_3は、絶縁層190と同様の機能を有し、同様の材料を含む。
【0132】
絶縁層190_3のZ方向の膜厚d30(
図29)は、例えば300nm以下である。膜厚d30は、100nm以下であればより好ましい。膜厚d30は、例えば
図28に示す構成では、半導体層130の上面から絶縁層191_3の下面までの長さである。
【0133】
絶縁層190_3は、例えば
図29に示す様に、部分PT30を備える。部分PT30は例えばX方向に延伸し、複数の導電層170、導電層171、及び、導電層172を含む構造(ビット線BL)の間に設けられる。部分PT30は、ビット線BLとY方向に対向する。
【0134】
絶縁層191_3は、絶縁層190_3の上面に、絶縁層190_3と接する様に設けられる。絶縁層191_3は、導電層172(ビット線BL)とは接していない。
【0135】
絶縁層191_3は、絶縁層191と同様の機能を有し、同様の材料を含む。
【0136】
絶縁層191_3のZ方向の膜厚d31(
図29)は、例えば5nm以上、50nm以下である。膜厚d31は、20nm程度であればより好ましい。
【0137】
尚、絶縁層191_3の密度は、絶縁層190_3の密度より大きい。例えば、絶縁層191_3を構成する複数の材料の平均密度は、絶縁層190_3を構成する複数の材料の平均密度より大きい。
【0138】
尚、絶縁層191_3の水素濃度は、絶縁層190_3の水素濃度より小さい。例えば、絶縁層191_3を構成する複数の材料の平均水素濃度は、絶縁層190_3を構成する複数の材料の平均水素濃度より小さい。
【0139】
[第4実施形態]
次に、
図30を用いて、第4実施形態に係る半導体装置について説明する。
図30は、本実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【0140】
本実施形態に係る半導体装置は、基本的には、第1実施形態に係る半導体装置(
図2、
図3)と同様に構成されている。しかしながら、本実施形態に係る半導体装置(
図30)には、配線層L
ML(
図3)のかわりに配線層L
ML4が設けられる。配線層L
ML4は、基本的には、配線層L
MLと同様に構成されている。しかしながら、配線層L
ML4は、絶縁層190及び絶縁層191のかわりに、絶縁層190_4及び絶縁層191_4を備える。
【0141】
絶縁層190_4は、例えば、導電層170、導電層171、及び、導電層172を含む構造(ビット線BL)の間に設けられる。
【0142】
絶縁層190_4は、例えば
図30に示す様に、部分PT40を備える。部分PT40は例えばX方向に延伸し、複数の導電層170、導電層171、及び、導電層172を含む構造(ビット線BL)の一部の間に設けられる。部分PT40は例えばX方向に延伸し、複数の導電層170及び導電層171の間に設けられる。部分PT40は、ビット線BLとY方向に対向する。
【0143】
絶縁層190_4は、絶縁層190と同様の機能を有し、同様の材料を含む。
【0144】
絶縁層190_4のZ方向の膜厚d40(
図30)は、例えば300nm以下である。膜厚d40は、100nm以下であればより好ましい。膜厚d40は、例えば
図30に示す構成では、半導体層130の上面から絶縁層191_4の下面までの長さである。
【0145】
絶縁層191_4は、絶縁層190_4の上面に、絶縁層190_4と接する様に設けられる。また、絶縁層191_4は、例えば、複数の導電層170、導電層171、及び、導電層172を含む構造(ビット線BL)の間に設けられる。
【0146】
絶縁層191_4は、例えば
図30に示す様に、部分PT41を備える。部分PT41は例えばX方向に延伸し、複数の導電層170、導電層171、及び、導電層172を含む構造(ビット線BL)の一部の間に設けられる。部分PT41は例えばX方向に延伸し、複数の導電層172の間に設けられる。部分PT41は、ビット線BLとY方向に対向する。
【0147】
絶縁層191_4は、絶縁層191と同様の機能を有し、同様の材料を含む。
【0148】
絶縁層191_4のZ方向の膜厚d41(
図30)は、例えば5nm以上、50nm以下である。膜厚d41は、20nm程度であればより好ましい。
【0149】
尚、絶縁層191_4の密度は、絶縁層190_4の密度より大きい。例えば、絶縁層191_4を構成する複数の材料の平均密度は、絶縁層190_4を構成する複数の材料の平均密度より大きい。
【0150】
尚、絶縁層191_4の水素濃度は、絶縁層190_4の水素濃度より小さい。例えば、絶縁層191_4を構成する複数の材料の平均水素濃度は、絶縁層190_4を構成する複数の材料の平均水素濃度より小さい。
【0151】
本実施形態では、導電層170の下面のZ方向の位置と絶縁層190_4の下面のZ方向の位置が一致し、導電層171の上面のZ方向の位置と絶縁層190_4の上面のZ方向の位置が一致する。また、導電層172の下面のZ方向の位置と絶縁層191_4の下面のZ方向の位置が一致し、導電層172の上面のZ方向の位置と絶縁層191_4の上面のZ方向の位置が一致する。絶縁層190_4と絶縁層191_4のZ方向の位置はこれに限らない。複数のビット線BLの間に、絶縁層190_4の少なくとも一部と絶縁層191_4の少なくとも一部が設けられていればよい。
【0152】
[第5実施形態]
次に、
図31を用いて、第5実施形態に係る半導体装置について説明する。
図31は、本実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【0153】
本実施形態に係る半導体装置は、基本的には、第1実施形態に係る半導体装置(
図2、
図3)と同様に構成されている。しかしながら、本実施形態に係る半導体装置(
図31)には、配線層L
ML(
図3)のかわりに配線層L
ML5が設けられる。配線層L
ML5は、基本的には、配線層L
MLと同様に構成されている。しかしながら、配線層L
ML5は、絶縁層190及び絶縁層191のかわりに、絶縁層190_5、絶縁層191_5、及び、絶縁層194を備える。
【0154】
絶縁層190_5は、絶縁層190と同様の機能を有し、同様の材料を含む。
【0155】
絶縁層190_5は、例えば、導電層170、導電層171、及び、導電層172を含む構造(ビット線BL)の一部に対向する様に設けられる。
【0156】
絶縁層190_5は、例えば
図31に示す様に、部分PT50を備える。部分PT50は、例えばX方向に延伸し、複数の導電層170、導電層171、及び導電層172を含む構造(ビット線BL)の間に設けられる。部分PT50は例えばX方向に延伸し、複数の導電層171及び導電層172の間に設けられる。部分PT50は、ビット線BLの一部とY方向に対向する。
【0157】
絶縁層191_5は、絶縁層190_5の上方に、絶縁層190_5と離間して設けられる。絶縁層191_5は、導電層172及び絶縁層194の上面に、導電層172及び絶縁層194と接する様に設けられる。
【0158】
絶縁層191_5は、絶縁層191と同様の機能を有し、同様の材料を含む。
【0159】
絶縁層191_5のZ方向の膜厚d51(
図31)は、例えば5nm以上、50nm以下である。膜厚d51は、20nm程度であればより好ましい。また、絶縁層191_5の下面から、半導体層130の上面までの膜厚d50(
図31)は、例えば300nm以下である。膜厚d50は、100nm以下であればより好ましい。
【0160】
尚、絶縁層191_5の密度は、絶縁層190_5の密度より大きい。例えば、絶縁層191_5を構成する複数の材料の平均密度は、絶縁層190_5を構成する複数の材料の平均密度より大きい。
【0161】
尚、絶縁層191_5の水素濃度は、絶縁層190_5の水素濃度より小さい。例えば、絶縁層191_5を構成する複数の材料の平均水素濃度は、絶縁層190_5を構成する複数の材料の平均水素濃度より小さい。
【0162】
絶縁層194は、絶縁層190_5と絶縁層191_5との間に設けられる。絶縁層194は例えばX方向に延伸し、複数の導電層172の間に設けられる。絶縁層194は、ビット線BLの一部とY方向に対向する。絶縁層194は、例えば、前述した酸素(O
2)雰囲気下のアニール(
図15)に対応する工程において、半導体層130へ酸素を導入するための酸素拡散の経路の一部として機能する。絶縁層194は、比較的酸素が拡散しやすい材料を含む。絶縁層194は、例えば酸化シリコン(SiO
2)等を含む。絶縁層194の密度は、絶縁層191_5の密度より小さい。
【0163】
本実施形態では、導電層170の下面のZ方向の位置と絶縁層190_5の下面のZ方向の位置が一致し、導電層171の上面のZ方向の位置と絶縁層190_5の上面のZ方向の位置が一致する。また、導電層172の下面のZ方向の位置と絶縁層194の下面のZ方向の位置が一致し、導電層172の上面のZ方向の位置と絶縁層194の上面のZ方向の位置が一致する。さらに、導電層172の上面のZ方向の位置と絶縁層191_5の下面のZ方向の位置が一致する。絶縁層190_5、絶縁層194、及び、絶縁層191_5のZ方向の位置はこれに限らない。複数のビット線BLの間に、絶縁層190_5の少なくとも一部と絶縁層194の少なくとも一部が設けられていればよい。
【0164】
[第6実施形態]
次に、
図32を用いて、第6実施形態に係る半導体装置について説明する。
図32は、本実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【0165】
本実施形態に係る半導体装置は、基本的には、第1実施形態に係る半導体装置(
図2、
図3)と同様に構成されている。しかしながら、本実施形態に係る半導体装置(
図32)には、配線層L
ML(
図3)のかわりに配線層L
ML6が設けられる。配線層L
ML6は、基本的には、配線層L
MLと同様に構成されている。しかしながら、配線層L
ML6は、絶縁層190及び絶縁層191のかわりに、絶縁層190_6、絶縁層191_6、及び、空洞AGを備える。
【0166】
絶縁層190_6は、絶縁層190と同様の機能を有し、同様の材料を含む。
【0167】
絶縁層190_6は、例えば、導電層170、導電層171、及び、導電層172を含む構造(ビット線BL)に対向する様に設けられる。
【0168】
絶縁層190_6は、例えば
図32に示す様に、部分PT60を備える。部分PT60は、例えばX方向に延伸し、複数の導電層170、導電層171、及び導電層172を含む複数の構造(ビット線BL)の間に設けられる。部分PT60は例えばX方向に延伸し、複数の導電層170、及び導電層171の間に設けられる。部分PT60は、ビット線BLとY方向に対向する。
【0169】
絶縁層191_6は、絶縁層190_6の上方に、絶縁層190_6とは離間して設けられる。絶縁層191_6の一部は、例えば、導電層172の上面に設けられる。絶縁層191_6の一部は、例えば、隣接する導電層172の間に設けられる。絶縁層191_6の一部は、例えば、隣接する導電層172の一部と対向する。
【0170】
絶縁層191_6は、絶縁層191と同様の機能を有し、同様の材料を含む。
【0171】
絶縁層191_6のZ方向の膜厚d61(
図32)は、例えば5nm以上、50nm以下である。膜厚d61は、20nm程度であればより好ましい。また、絶縁層191_6の下面から、半導体層130の上面までの膜厚d60(
図31)は、例えば300nm以下である。膜厚d60は、100nm以下であればより好ましい。
【0172】
尚、絶縁層191_6の密度は、絶縁層190_6の密度より大きい。例えば、絶縁層191_6を構成する複数の材料の平均密度は、絶縁層190_6を構成する複数の材料の平均密度より大きい。
【0173】
尚、絶縁層191_6の水素濃度は、絶縁層190_6の水素濃度より小さい。例えば、絶縁層191_6を構成する複数の材料の平均水素濃度は、絶縁層190_6を構成する複数の材料の平均水素濃度より小さい。
【0174】
空洞AGは、絶縁層190_6と絶縁層191_6との間に設けられる。空洞AGは、例えば、前述した半導体層130へ酸素を導入するための酸素(O
2)雰囲気下のアニール(
図15)に対応する工程において、半導体層130へ酸素を導入するための酸素拡散の経路の一部として機能する。空洞AGの密度は、絶縁層191_6の密度より小さい。
【0175】
空洞AGは、空洞AGの在る部分の周囲に配置された固体材料に囲まれた、いわゆる空間を指し、空洞AGの在る部分はいずれの固体材料も含まない。空洞AGは、例えば、窒素、酸素、及び希ガス等の複数の気体の混合物からなる空気等を含む空間である。尚、空洞AGはいずれの気体も含まない様に脱気されていても良い。
【0176】
本実施形態では、導電層170の下面のZ方向の位置と絶縁層190_6の下面のZ方向の位置が一致し、導電層171の上面のZ方向の位置と絶縁層190_6の上面のZ方向の位置が一致する。また、導電層172の下面のZ方向の位置と空洞AGの下面のZ方向の位置が一致する。絶縁層190_6と空洞AGのZ方向の位置はこれに限らない。複数のビット線BLの間に、絶縁層190_6の少なくとも一部と空洞AGの少なくとも一部が設けられていればよい。
[第6実施形態の製造方法]
次に、
図33及び
図34を参照して、第6実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図33及び
図34は、第6実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【0177】
本実施形態に係る半導体装置は、基本的には第1実施形態に係る半導体装置と同様に製造される。しかしながら、本変形例に係る半導体装置の製造方法では、
図6~
図14を参照して説明した工程の次に、
図32及び
図33に示す工程を行う。
【0178】
例えば
図33に示す工程では、絶縁層190をエッチバックし、絶縁層190_6を形成する。この工程は、例えばRIE等によって行う。
【0179】
次に、例えば
図34に示す様に、
図33に示す構造の上面に、絶縁層191_6を形成する。絶縁層191_6を成膜する際は、比較的被覆性の低い条件で成膜を行う。これにより、導電層172の側面、及び、絶縁層190_6の上面には絶縁層191_6は成膜されず、
図34に示す様な空洞AGが形成される。この工程は、例えばCVD等によって行う。
【0180】
次に、例えば
図34に示す様に、絶縁層191_6の上面に、絶縁層193、絶縁層195、及び、導電層192を第1実施形態と同様に形成する。また、絶縁層195の上方に配線層L
UL(
図2)を形成することにより、第6実施形態に係る半導体装置が製造される。
【0181】
[その他の実施形態]
以上、第1実施形態~第6実施形態に係る半導体装置について説明した。しかしながら、これらの実施形態に係る半導体装置はあくまでも例示であり、具体的な構成、動作等は適宜調整可能である。
【0182】
例えば、以上の説明では、選択トランジスタST(
図1)に、キャパシタCap(
図1)が接続される例について説明した。この様な例において、キャパシタCapの形状、構造等は、適宜調整可能である。
【0183】
また、以上の説明では、選択トランジスタST(
図1)に接続されるメモリ部として、キャパシタCap(
図1)が採用される例について説明した。しかしながら、メモリ部は、キャパシタCapでなくても良い。例えば、メモリ部は、強誘電体、強磁性体、GeSbTe等のカルコゲン材料、又は、その他の材料を含み、これら材料の特性を利用してデータを記録するものであっても良い。例えば、以上において説明したいずれかの構造において、キャパシタCapを形成する電極間の絶縁層に、これら材料のいずれかを含ませても良い。
【0184】
また、以上の説明では、選択トランジスタST(
図1)のチャネル領域として機能する半導体層130について、例えばZ方向に延伸し、略円柱形状を有する例を示した。しかしながら、半導体層130は、例えば、Z方向に延伸する略円筒形状であっても良い。また、半導体層130の内部には、Z方向に延伸する略円柱形状であり、酸化シリコン(SiO
2)等を含む絶縁層が設けられていても良い。
【0185】
[その他]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0186】
Sub…基板、130…半導体層、140…絶縁層、150…導電層、172…導電層、190…絶縁層、191…絶縁層。