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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136255
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】植毛鉤針取付支援装置
(51)【国際特許分類】
   A41G 3/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
A41G3/00 N
A41G3/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047316
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】井上 健太
(72)【発明者】
【氏名】日月 快
(72)【発明者】
【氏名】小田 晶美
(57)【要約】
【課題】植毛鉤針を精度良く自動植毛装置に取り付けることができる植毛鉤針取付支援装置を提供する。
【解決手段】植毛鉤針20により植毛ネットの目に毛髪材を結びつける自動植毛装置の針固定部に、植毛鉤針20を取り付けるための植毛鉤針取付支援装置300である。植毛鉤針取付支援装置300は、針固定部に仮設した植毛鉤針20における第1方向の位置を検出する第1検出部301と、針固定部に仮設した植毛鉤針における第1方向に対して垂直な第2方向の位置を検出する第2検出部302と、第1検出部301及び第2検出部302の検出結果を報知する報知部304と、を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植毛鉤針により植毛ネットの目に毛髪材を結びつける自動植毛装置の針固定部に、前記植毛鉤針を取り付けるための植毛鉤針取付支援装置であって、
前記針固定部に仮設した前記植毛鉤針における第1方向の位置を検出する第1検出部と、
前記針固定部に仮設した前記植毛鉤針における第1方向に対して垂直な第2方向の位置を検出する第2検出部と、
前記第1検出部及び前記第2検出部の検出結果を報知する報知部と、
を備える、植毛鉤針取付支援装置。
【請求項2】
前記第1検出部は、扁平状である前記植毛鉤針の主面に対して平行な面内における、前記植毛鉤針の長手方向に対して垂直な方向の位置を検出し、前記第2検出部は、前記植毛鉤針の長手方向の位置を検出する、請求項1に記載の植毛鉤針取付支援装置。
【請求項3】
前記針固定部に仮設した前記植毛鉤針の前記第1方向の位置を規制する第1規制部をさらに備える、請求項1に記載の植毛鉤針取付支援装置。
【請求項4】
前記針固定部に仮設した前記植毛鉤針の前記第2方向の位置を規制する第2規制部をさらに備える、請求項1に記載の植毛鉤針取付支援装置。
【請求項5】
前記第1検出部及び前記第2検出部のそれぞれが、1次元センサで構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の植毛鉤針取付支援装置。
【請求項6】
前記第1検出部及び前記第2検出部が設けられた支持部をさらに備え、
前記支持部は、前記第1検出部の検出可能領域内に前記植毛鉤針が含まれる第1位置と、前記第2検出部の検出可能領域内に前記植毛鉤針が含まれる第2位置と、に移動する、請求項5に記載の植毛鉤針取付支援装置。
【請求項7】
前記報知部が、前記第1検出部及び前記第2検出部の検出結果を数値として表示する表示装置で構成されている、請求項1に記載の植毛鉤針取付支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪材を植毛ネットに植毛する自動植毛装置において、植毛鉤針を自動植毛装置に取り付けるために用いられる植毛鉤針取付支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、毛髪材を植毛ネットに結び付けて植毛する自動植毛装置が提案されている。この自動植毛装置では、毛髪材を植毛ネットの目の横糸に結び付けて植毛する植毛鉤針を有しており、毛髪材が植毛鉤針の先端部に保持された状態で植毛ネットの目を出入りすることによって、毛髪材が植毛ネットの目に結び付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6533350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような自動植毛装置において使用される植毛ネットの目は、例えば1mm以下と非常に小さく、植毛鉤針の先端部はそれよりももっと小さくする必要がある。また、植毛鉤針は、自動植毛装置に取り付けられる根元部から先端部にかけて数cm程度の長さが必要である。そのため、植毛鉤針を自動植毛装置に取り付ける際に僅かでも傾くと、植毛ネットの狙った目に植毛鉤針の先端部を通すことができないだけでなく、植毛ネットが破れたり、植毛鉤針の先端部が折れたり曲がったりするなどの問題が生じる。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、植毛鉤針を精度良く自動植毛装置に取り付けることができる植毛鉤針取付支援装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、以下に開示する植毛鉤針取付支援装置は、植毛鉤針により植毛ネットの目に毛髪材を結びつける自動植毛装置の針固定部に、前記植毛鉤針を取り付けるための植毛鉤針取付支援装置であって、前記針固定部に仮設した前記植毛鉤針における第1方向の位置を検出する第1検出部と、前記針固定部に仮設した前記植毛鉤針における第1方向に対して垂直な第2方向の位置を検出する第2検出部と、前記第1検出部及び前記第2検出部の検出結果を報知する報知部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
上記の植毛鉤針取付支援装置によれば、植毛鉤針を針固定部に取り付ける際に、植毛鉤針が取り付けるべき位置にあるかどうかを報知部によって知ることができる。したがって、植毛鉤針を精度良く自動植毛装置に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、自動植毛装置120の側面図である。
図2図2は、自動植毛装置120の正面図である。
図3図3は、自動植毛装置120の側面図である。
図4図4は、自動植毛装置120の側面図である。
図5図5は、植毛鉤針20及び針固定部15の構成を示す斜視図である。
図6図6は、植毛鉤針20が取り付けられた状態の針固定部15の構成を示す斜視図である。
図7図7は、植毛鉤針取付支援装置300の構成を示す斜視図である。
図8図8は、植毛鉤針取付支援装置300の構成を示す斜視図である。
図9図9は、植毛鉤針取付支援装置300による植毛鉤針20の位置の検出方法及び針固定部15への取付方法を示す斜視図である。
図10図10は、植毛鉤針取付支援装置300による植毛鉤針20の位置の検出方法及び針固定部15への取付方法を示す斜視図である。
図11図11は、植毛鉤針取付支援装置300による植毛鉤針20の位置の検出方法及び針固定部15への取付方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、例えば実施形態及び変形例として記載された各構成を任意に組み合わせるなど、適宜変更することが可能である。また、以下で参照する図面も例示であり、当該図面中において構成の簡略化や模式化がされていることもある。
【0010】
<<自動植毛装置の基本的な構成及び動作の一例>>
最初に、本発明の実施形態に係る自動植毛装置の基本的な構成及び動作の一例について説明するが、例えば特許第6533350号公報などに記載されているような公知の自動植毛装置の構成及び動作を採用してもよい。
【0011】
図1は、自動植毛装置の側面図であり、図2は、自動植毛装置の正面図である。図1及び図2に示すように、自動植毛装置120は、エキセン10、植毛鉤針20、引出鉤針30、ストッカ40、糸位置出しバー50、糸落としバー60、糸引込バー70、反転ローラー80、図示しない磁石、駆動機構、制御装置などを備える。なお、図1ないし図4に示す側面図及び正面図では、図中の左右方向が水平方向、上下方向が鉛直方向である。
【0012】
毛髪材100aとは、人工毛(ファイバー、合成繊維)のほか、人毛(ヒトから採取した毛)、動物毛(ヒト以外の動物から採取した毛)、またはこれらの混合物などであり、自動植毛装置120によって植毛可能な毛または毛様の一切の材料が含まれる。また、植毛ネット200は、例えば複数本の縦糸201と複数本の横糸202とからなる網目状である。
【0013】
図1及び図2に示すように、予め切り揃えられた複数本の毛髪材100aからなる毛髪材束100bが、ストッカ40内に配置される。以下、水平面内の方向であって、エキセン10からみて引出鉤針30がある方向を後方、その反対方向を前方といい、これらを合わせて前後方向という。また、水平面内において前後方向と垂直な方向を奥行方向といい、前方から後方を見たときに左側となる方向を奥側(図1における紙面裏側)、右側となる方向を手前側(図1における紙面表側)という。
【0014】
植毛ネット200は、エキセン10のネット掛部11に対して上方から覆い被さるようにセットされ、反転ローラー80にも接触して位置が規制されている。ストッカ40は、底部41と、一対の対向した側板43を有しており、毛髪材束100bが底部41上に配置される。なお、ストッカ40は、図2に示すように1つだけ設けられてもよいし、複数設けられていてもよい。また、ストッカ40に配置される毛髪材100aは、例えば色、太さ、硬さ(弾力)などの種類が異なるものが混合されていてもよい。
【0015】
植毛鉤針20は、先端のフック21と、フック21の針口を開閉するラッチ22とを備える。植毛鉤針20は、制御装置で制御される駆動機構によって駆動され、毛髪材100aを植毛ネット200に結び付けて植毛する。引出鉤針30は、ストッカ40から毛髪材100aを捕捉する部材であり、先端に1本(または複数本)の毛髪材100aを捕捉可能なフック31が設けられる。
【0016】
糸位置出しバー50は、引出鉤針30によってストッカ40から引き出される毛髪材100aを所定位置に誘導する部材である。糸落としバー60は、制御装置で制御される駆動機構で上下方向に振動するものであり、糸引込バー70によって引き込まれる毛髪材100aを払い落とす。糸引込バー70は、制御装置で制御される駆動機構によって前後方向に移動するものであり、植毛ネット200に植毛された毛髪材100aを引っかけて前方に引き込む。
【0017】
次に、自動植毛装置の動作について説明する。自動植毛装置は、図1に示した状態を初期状態として、以下のとおり動作する。(1)糸引込バー70が、ストッカ40の取出口42を超えた位置まで後方に向かって進む。(2)引出鉤針30が、フック31を含む先端部が取出口42からストッカ40の内部に入るまで上昇、毛髪材100aを捕捉し下降する。(3)植毛鉤針20が、後方に向かって進み、フック21が横糸202-1の下を通る。(4)軸部13が、エキセン10の逃げ部12が上方を向くように90度回転する。(5)図3に示すように、植毛鉤針20が、後方に向かって進む。(6)植毛鉤針20が、フック21の針口が上を向いた状態から毛髪材100aを向いた状態(奥側を向いた状態)になるように回転して、針口で毛髪材100aを捕捉する。(7)植毛鉤針20が、フック21の針口が上向きになるように回転した後、前方に向かって進み、横糸202-1の下方を通過する。この際、ラッチ22が横糸202-1に接触して針口が閉じられるが、その後図示しない磁石によりラッチ22が吸着されて針口が開かれる。(8)植毛鉤針20が、後方に進むとともに上昇し、回転して毛髪材100aを撚りループを形成する。(9)図4に示すように、植毛鉤針20が、後方に向かって進む。(10)植毛鉤針20が、フック21の針口が上を向いた状態から毛髪材100aを向いた状態(奥側を向いた状態)になるように回転して、針口で毛髪材100aを捕捉する。(11)植毛鉤針20が、フック21の針口が上向きになるように回転した後、前方に向かって進み毛髪材100aのループを通過する。この際、ラッチ22が毛髪材100aのループに接触して針口が閉じられる。(12)糸引込バー70が、前方に進んで毛髪材100aを前方に引き込み、初期状態に戻る。エキセン10及び植毛鉤針20が初期状態に戻る。この際、図示しない磁石によりラッチ22が吸着されて針口が開かれる。糸落としバー60が、下方に移動して毛髪材100aを下方に整髪した後、上方に移動して初期状態に戻る。
【0018】
上記(2)の動作において、引出鉤針30の先端部が取出口42に挿入された後、僅かに手前側(フック31の針口32が開口した側)に移動して、フック31に毛は毛髪材100aが捕捉され易くしてもよい。上記(6)及び(10)の動作において、毛髪材100aをフック21の針口に導入し易くするために、引出鉤針30を手前側に移動させてもよいし、引出鉤針30及び植毛鉤針20の両方が互いに近づくように移動してもよい。また、図3及び図4では、植毛鉤針20が、上記(6)の動作で2つ折りになった毛髪材100aの前方を捕捉し、上記(10)の動作で後方を捕捉するように図示したが、それぞれの動作において前方、後方のいずれを捕捉してもよい。上記(7)の動作において、植毛鉤針20は上昇しなくてもよい。また、当該動作において、植毛鉤針は1回転またはそれ以上回転してもよいし、半回転でもよい。上記(11)の動作において、植毛鉤針20が毛髪材100aのループを通過する際に、引出鉤針30が上下に小刻みに動いてもよい。これにより、フック31が毛髪材100aから外れ、毛髪材100aが摩擦によって縮れるピーリングが防止される。
【0019】
<<植毛鉤針取付支援装置>>
以下、植毛鉤針を自動植毛装置に取り付ける際に使用される、植毛鉤針取付支援装置について説明する。
【0020】
最初に、植毛鉤針取付支援装置が使用される、植毛鉤針及び自動植毛装置の針固定部の構成について図面を参照して説明する。図7は、植毛鉤針20及び自動植毛装置の針固定部15の構成を示す斜視図である。また、図8は、植毛鉤針20が取り付けられた状態の針固定部15の構成を示す斜視図である。
【0021】
図7に示すように、自動植毛装置120は、植毛鉤針20を固定するための針固定部15を備える。針固定部15は、締結部品(例えば、ねじ、ボルトなど。以下同じ。)151によって上下の部材が固定されており、この部材の中央部分に、植毛鉤針20の根元部23を挿入する溝153が設けられている。そして、図7に示すように、この溝153に植毛鉤針20の根元部23を挿入した状態で、締結部品152を締結すると、締結部品152によって根元部23が針固定部15に固定される。
【0022】
溝153を極めて高精度に形成することができれば、植毛鉤針20の根元部23を溝153に挿入するだけで植毛鉤針20の位置決めが可能になり、それだけで針固定部15に対して植毛鉤針20を精度良く取り付けることができる。しかしながら、溝153を、植毛鉤針20の根元部23を挿入しただけで位置決めができるほど高精度に形成するのは現実的には困難であるし、植毛鉤針20を一切の公差なく作製することも現実的には困難である。そこで、現実的には、植毛鉤針20を針固定部15に取り付ける際には植毛鉤針20の位置決めが必要になり、そのために植毛鉤針取付支援装置が用いられる。
【0023】
次に、植毛鉤針取付支援装置の構成及びその使用方法について説明する。図7及び図8は、植毛鉤針取付支援装置300の構成を示す斜視図である。この植毛鉤針取付支援装置300は、植毛鉤針20を仮設した針固定部15が取り付けられた状態で使用されるものであり、図7は針固定部15が取り付けられていない状態を示す図、図8は針固定部が取り付けられた状態を示す図である。
【0024】
図7及び図8に示すように、植毛鉤針取付支援装置300は、第1検出部301と、第2検出部302と、支持部303と、報知部304と、第1規制部305と、ハンドル306と、挿入部307と、蓋部308と、レール309と、係止部310と、第1受入穴311と、第2受入穴312と、を備える。
【0025】
第1検出部301及び第2検出部302は1次元センサであり、その測定領域を破線で示している。例えば、第1検出部301及び第2検出部302は、発光部と受光部が一対になったレーザ変位センサであり、植毛鉤針20によりレーザが遮られることでその位置が検出される。また、第1検出部301と第2検出部302の測定領域は直交している。具体的に、第1検出部301は、水平面内における植毛鉤針20の長手方向に対して垂直な方向の位置を検出し、第2検出部302は水平面内における植毛鉤針20の長手方向に平行な方向の位置を検出する。なお、図5及び図6に示すように、植毛鉤針20は扁平な形状をしており、主面(面積の広い面)を挟むようにして針固定部15に取り付けられる。そのため、植毛鉤針20の取り付けが問題になるのは、主に植毛鉤針20の主面に平行な面内の位置であり、主面に垂直な方向にはあまり位置ずれが生じない。
【0026】
第1検出部301及び第2検出部302のそれぞれは、支持部303に設けられている。支持部303は、レール309に沿って移動可能な構成である。支持部303には係止部310が設けられており、係止部310が第1受入穴311または第2受入穴312に挿入されると、支持部303の位置が一時的に固定される。なお、係止部310は、例えばバネなどによって付勢され、第1受入穴311または第2受入穴312の直上に位置した際に自動的に第1受入穴311または第2受入穴312に挿入されるように構成されていてもよい。
【0027】
報知部304は、例えば第1検出部301及び第2検出部302の検出結果を数値として表示する表示装置で構成される。なお、図7及び図8では、報知部304が、第1検出部301及び第2検出部302のそれぞれの検出結果を別々の表示装置に表示する場合の構成を例示しているが、1つの表示装置に表示してもよい。具体的に、この植毛鉤針取付支援装置300では、第1検出部301及び第2検出部302が順番に植毛鉤針20の位置を検出し、同時には検出しないため、報知部304を1つの表示装置により構成し、第1検出部301による検出時には第1検出部301の検出結果を表示し、第2検出部302による検出時には第2検出部302の検出結果を表示してもよい。また、報知部304は、数値を表示する表示装置に加えて(または代えて)、植毛鉤針20が適正な位置にある場合(または適正な位置にない場合)に音を発する発音装置を備えていてもよい。
【0028】
図7に示す挿入部307は、針固定部15の後端に設けられた穴に嵌合する形状である。挿入部307が針固定部15の穴に挿入され、さらに、図8に示すように蓋部308を針固定部15に被せることで、針固定部15が植毛鉤針取付支援装置300に取り付けられる。また、蓋部308は、締結部品152を露出させる貫通穴308aを備えている。なお、針固定部15が、挿入部307及び蓋部308の少なくとも一方に嵌合した形状になっていることで、植毛鉤針取付支援装置300に取り付けられた状態で回転しないように構成されていてもよい。
【0029】
第1規制部305は、図8に示すように植毛鉤針20に対して当接することにより、植毛鉤針20の位置を規制する。第1規制部305は、ハンドル306を回すことにより、その位置が変化する。具体的に、第1規制部305は、ハンドル306を回すことで、第1検出部301の検出領域に沿った方向に移動する。
【0030】
次に、図7及び図8に加えて図9ないし図11も参照して、植毛鉤針20の位置の検出方法及び針固定部15への取付方法を説明する。図9ないし図11は、植毛鉤針取付支援装置300による植毛鉤針20の位置の検出方法及び針固定部15への取付方法を示す斜視図である。
【0031】
まず、図8に示すように、植毛鉤針20を仮設した状態の針固定部15を、植毛鉤針取付支援装置300に取り付ける。ここで、「仮設」とは、植毛鉤針20が、針固定部15から簡単には離脱しないものの完全には固定されておらずその位置が調整可能になっている状態をいう。具体的には、図6に示すように、植毛鉤針20の根元部23を溝153に挿入するが、締結部品152を完全には締結しきらず、植毛鉤針20が若干動けるようにした状態をいう。
【0032】
次に、図9に示すように、係止部310が第1受入穴311に挿入される位置(第1位置)まで、支持部303をレール309に沿って移動させる。この位置では、植毛鉤針20の先端部分(ラッチ22よりも根元側の部分)が、第1検出部301の検出領域に含まれ、その位置が数値として報知部304に表示される。ユーザは、報知部304に表示される数値を見ながら植毛鉤針20の位置を調整し、植毛鉤針20を取り付けるべき位置まで誘導する。このとき、ユーザは、植毛鉤針20を第1規制部305に当接させ、ハンドル306を回して第1規制部305により植毛鉤針20を押すことにより、植毛鉤針20の位置を調整してもよい。
【0033】
次に、係止部310を第1受入穴311から引き抜いた後、図10に示すように、係止部310が第2受入穴312に挿入される位置(第2位置)まで、支持部303をレール309に沿って移動させる。この位置では、植毛鉤針20の先端が、第2検出部302の検出領域に含まれ、その位置が数値として報知部304に表示される。ユーザは、報知部304に表示される数値を見ながら植毛鉤針20の位置を調整し、植毛鉤針20を取り付けるべき位置まで誘導する。
【0034】
さらに、図11に示すように、ユーザは、取り付けるべき位置まで誘導した植毛鉤針20に対して、第2規制部313を当接させてもよい。第2規制部313は、例えばボルトで構成されており、支持部303に設けられたナットに根元部分が螺合している。このボルトを回転させれば、植毛鉤針20の長手方向に沿って移動して、植毛鉤針20の先端に当接する。
【0035】
図11に示す状態では、植毛鉤針20は取り付けるべき位置にあるとともに、第1規制部305及び第2規制部313によってその動きが規制される。そのため、ユーザは、植毛鉤針20が取り付けるべき位置からずれること防止しつつ、貫通穴308aから露出した締結部品152を締結して、植毛鉤針20を針固定部15に取り付けることができる。そして、針固定部15に植毛鉤針20が取り付けられると、針固定部15は、植毛鉤針取付支援装置300から取り外され、自動植毛装置120に取り付けられる。
【0036】
以上のように、上記の植毛鉤針取付支援装置300を用いることで、植毛鉤針20を針固定部15に取り付ける際に、植毛鉤針20が取り付けるべき位置にあるかどうかを報知部304によって知ることができる。したがって、植毛鉤針20を精度良く自動植毛装置120に取り付けることができる。
【0037】
さらに、上記の植毛鉤針取付支援装置300では、第1検出部301及び第2検出部302により、取り付け不良が生じ易い、植毛鉤針20の主面に平行な面内の位置を検出するため、植毛鉤針20を精度良く自動植毛装置120に取り付けることができる。
【0038】
また、上記の植毛鉤針取付支援装置300では、第1検出部301と第2検出部302が設けられた支持部303が移動して第1位置と第2位置をとる。これにより、植毛鉤針20を動かすことなく、第1検出部301及び第2検出部302により植毛鉤針20の位置を検出することができるため、植毛鉤針20を取り付けるべき位置に誘導した後に、植毛鉤針20を動かしてその位置がずれることを防止することができる。
【0039】
また、上記の植毛鉤針取付支援装置300では、報知部304が、植毛鉤針20の位置を数値として表示する。そのため、ユーザは、報知部304に表示される数値を見ながら植毛鉤針20の位置を微調整することができるため、より容易かつ精度よく植毛鉤針20を取り付けるべき位置に誘導することができる。
【0040】
なお、上記の植毛鉤針取付支援装置300において、第1検出部301と第2検出部302を1つのセンサ(例えば、2次元レーザ変位センサなどの二次元センサ)で構成してもよい。この場合、支持部303を備えず、センサを固定することも可能である。しかし、上記の植毛鉤針取付支援装置300であれば、2次元センサなどの高価なセンサを用いることなく、低廉な1次元センサを2つ用いるだけで、植毛鉤針20の位置を検出することができる。また、締結部品152を締結する際に、植毛鉤針20の長手方向の位置がずれにくい場合、第2規制部313を設けなくてもよい。
【0041】
<<変形等>>
以上、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0042】
例えば、第1検出部301のみ、または、第2検出部302のみ備えてもよい。この場合、支持部303を備えず、第1検出部301または第2検出部302を固定してもよい。例えば、植毛鉤針20の取り付けにおいて、第1検出部301と第2検出部302のどちらかによって検出される位置のみ問題となる場合において、その問題となる方の位置を検出する検出部を備えればよい。この場合も、報知部304を備えることで、植毛鉤針20を取り付けるべき位置に誘導することができる。
【0043】
また例えば、上述した植毛鉤針取付支援装置300の実施形態では、第1規制部305が、一方から植毛鉤針20に当接しているが、二方向以上の方向から植毛鉤針20に当接する構造としてもよい。例えば、第1規制部を、植毛鉤針20の主面に平行な面内において長手方向に沿って植毛鉤針20を挟むように当接する構造(端的には、第1規制部305と、これに対向するブロックを備え、これらで植毛鉤針20を挟み込む構造)にしてもよいし、植毛鉤針20が挿通されて内周に当接する環状の先端部を有する構造にしてもよい。
【0044】
また、上述した植毛鉤針取付支援装置は、以下のように説明することができる。
【0045】
植毛鉤針取付支援装置は、植毛鉤針により植毛ネットの目に毛髪材を結びつける自動植毛装置の針固定部に、前記植毛鉤針を取り付けるための植毛鉤針取付支援装置であって、前記針固定部に仮設した前記植毛鉤針における第1方向の位置を検出する第1検出部と、前記針固定部に仮設した前記植毛鉤針における第1方向に対して垂直な第2方向の位置を検出する第2検出部と、前記第1検出部及び前記第2検出部の検出結果を報知する報知部と、を備える(第1の構成)。この構成によれば、植毛鉤針を針固定部に取り付ける際に、植毛鉤針が取り付けるべき位置にあるかどうかを報知部によって知ることができる。したがって、植毛鉤針を精度良く自動植毛装置に取り付けることができる。
【0046】
第1の構成において、前記第1検出部は、扁平状である前記植毛鉤針の主面に対して平行な面内における、前記植毛鉤針の長手方向に対して垂直な方向の位置を検出し、前記第2検出部は、前記植毛鉤針の長手方向の位置を検出してもよい(第2の構成)。この構成によれば、取り付け不良が生じ易い、植毛鉤針の主面に平行な面内の位置を検出するため、植毛鉤針を精度良く自動植毛装置に取り付けることができる。
【0047】
第1または第2の構成において、前記針固定部に仮設した前記植毛鉤針の第1方向の位置を規制する第1規制部をさらに備えてもよい(第3の構成)。また、第1~第3のいずれか1つの構成において、前記針固定部に仮設した前記植毛鉤針の第2方向の位置を規制する第2規制部をさらに備えてもよい(第4の構成)。これらの構成によれば、植毛鉤針を取り付けるべき位置まで誘導した後に、植毛鉤針の位置がずれることを防止することができる。
【0048】
第1~第4の構成のいずれか1つにおいて、前記第1検出部及び前記第2検出部のそれぞれが、1次元センサで構成されていてもよい(第5の構成)。この構成によれば、エリアセンサなどの高価なセンサを用いることなく、低廉な1次元センサを2つ用いるだけで、植毛鉤針の位置を検出することができる。
【0049】
第1~第5の構成のいずれか1つにおいて、前記第1検出部及び前記第2検出部が設けられた支持部をさらに備え、前記支持部は、前記第1検出部の検出可能領域内に前記植毛鉤針が含まれる第1位置と、前記第2検出部の検出可能領域内に前記植毛鉤針が含まれる第2位置と、に移動してもよい(第6の構成)。この構成によれば、植毛鉤針を動かすことなく、第1検出部及び第2検出部により植毛鉤針の位置を検出することができるため、植毛鉤針を取り付けるべき位置に誘導した後に、植毛鉤針を動かしてその位置がずれることを防止することができる。
【0050】
第1~第6の構成のいずれか1つにおいて、前記報知部が、前記第1検出部及び前記第2検出部の検出結果を数値として表示する表示装置で構成されてもよい(第7の構成)。この構成によれば、ユーザは、報知部に表示される数値を見ながら植毛鉤針の位置を微調整することができるため、より容易かつ精度よく植毛鉤針を取り付けるべき位置に誘導することができる。
【符号の説明】
【0051】
120…自動植毛装置、15…針固定部、151,152…締結部品、20…植毛鉤針、21…先端部(フック)、22…ラッチ、23…根元部、300…植毛鉤針取付支援装置、301…第1検出部、302…第2検出部、303…支持部、304…報知部、305…第1規制部、313…第2規制部
図1
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