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特開2024-136270合成スラブ構造及び合成スラブ構造を施工する施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136270
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】合成スラブ構造及び合成スラブ構造を施工する施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 5/38 20060101AFI20240927BHJP
   E04B 5/40 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
E04B5/38 C
E04B5/40 D
E04B5/40 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047343
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】米澤 泰斗
(57)【要約】
【課題】シアコネクタが接合された梁上にデッキプレートを架け渡した場合であっても連続支持として合成スラブを設計することができる技術を提供する。
【解決手段】本発明に係る合成スラブ構造1Aは、3つの梁H1~H3のうち間に位置する梁H3にシアコネクタCが取り付けられた3つの梁H1~H3にわたって、梁H3の延び方向Wに所定の間隔をあけてシアコネクタCを挟むように架け渡された複数の波形の長尺デッキプレート11と、シアコネクタCを挟む長尺デッキプレート11の間でシアコネクタCを避けるように架け渡された短尺プレート12と、長尺デッキプレート11及び短尺プレート21上に打設されたコンクリート部70と、備え、短尺プレート21が架け渡された長さ方向Lにおいて少なくとも小梁H3上にコンクリート部との合成機構が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3つの梁のうち間に位置する中間梁にシアコネクタが取り付けられた少なくとも3つの梁にわたって、前記中間梁の延び方向に前記シアコネクタを挟むように架け渡された複数の波形のデッキプレートと、
前記シアコネクタを挟む前記デッキプレートの間で前記シアコネクタを避けるように架け渡されたプレートと、
前記デッキプレート及び前記プレート上に打設されたコンクリート部と、
備え、
前記プレートが架け渡された方向において少なくとも中間梁上に前記コンクリート部との合成機構が設けられている
ことを特徴とする合成スラブ構造。
【請求項2】
前記プレートは、隣接するデッキプレートと前記梁の前記延び方向において係合する嵌合部を有していることを特徴とする請求項1に記載の合成スラブ構造。
【請求項3】
前記合成機構として、前記プレートの長手方向に沿って形成されていて、前記梁とは反対の側に突出した突出部を含むことを特徴とする請求項1に記載の合成スラブ構造。
【請求項4】
2つのプレートが前記梁に交差する方向に前記シアコネクタを挟むように架け渡されていることを特徴とする請求項1に記載の合成スラブ構造。
【請求項5】
前記合成機構として、2つのプレートの間でかつ少なくとも前記中間梁上で前記プレートの長さ方向に沿って配置された棒部材を含むことを特徴とする請求項1に記載の合成スラブ構造。
【請求項6】
開口を有する1つのプレートが前記少なくとも3つの梁に架け渡されており、該プレートは、前記シアコネクタが前記開口内に位置するように架け渡されていることを特徴とする請求項1に記載の合成スラブ構造。
【請求項7】
前記合成機構として、少なくとも前記開口の上側に配置された棒部材を含むことを特徴とする請求項6に記載の合成スラブ構造。
【請求項8】
少なくとも3つの梁のうち間に位置する中間梁にシアコネクタが取り付けられた少なくとも3つの梁上に合成スラブ構造を施工する施工方法であって、
前記中間梁の延び方向に前記シアコネクタを挟むようにして複数のデッキプレートを架け渡す工程と、
前記梁に交差しかつ前記シアコネクタを避けるようにプレートを架け渡す工程と、
前記デッキプレート及び前記プレート上にコンクリートを打設する工程と、
を含み、
少なくとも中間梁上に前記コンクリートとの合成機構を設ける
ことを特徴とする合成スラブ構造を施工する施工方法。
【請求項9】
前記プレートを架け渡す工程において、前記プレートの延び方向に沿って形成されていて前記梁とは反対の側に突出した突出部を有するプレートを架け渡すことを特徴とする請求項8に記載の施工方法。
【請求項10】
前記プレートを架け渡す工程において、2つのプレートを前記梁に交差する方向に前記シアコネクタを挟むように架け渡し、
前記合成機構を、前記2つのプレートの間でかつ該2つのプレートの延び方向に沿うように少なくとも前記中間梁上に棒部材を配置して形成する
ことを特徴とする請求項8に記載の施工方法。
【請求項11】
前記プレートを架け渡す工程において、開口を有する1つのプレートを前記シアコネクタが前記開口内に位置するように架け渡すことを特徴とする請求項8に記載の施工方法。
【請求項12】
前記合成機構を、前記開口の上側に棒部材を配置して形成することを特徴とする請求項11に記載の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成スラブ構造及び合成スラブ構造を施工する施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の床、天井、屋根等にはデッキプレート、コンクリート等を含む合成スラブ構造が使用されている。合成スラブ構造においてH型鋼により形成された大梁、小梁(鉄骨梁)の上にはデッキプレートが架け渡されて、大梁、小梁に固定されている。また、大梁、小梁には、コンクリートとの結合を促進するためのスタッドボルト等が溶接等により接合される場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-293835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、合成スラブ構造において一枚のデッキプレートが、例えば、少なくとも3つの複数の梁にわたって架け渡されることがある。この場合、合成スラブ構造を連続支持としてみなすことができる。しかしながら、梁にスタッドボルトなどのシアコネクタ等が接合されている場合、デッキプレートは、スタッドボルトなどのシアコネクタが接合された梁上でスタッドボルトなどのシアコネクタを避けて、つまりデッキプレートを分割してシアコネクタを挟むように架け渡す必要があり、この場合、合成スラブ構造は単純支持とみなされる。合成スラブ構造において連続支持及び単純支持とみなされる部分が混在する場合、全体としては単純支持とみなして合成スラブ構造を設計することもあった。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、シアコネクタが接合された梁上にデッキプレートを架け渡した場合であっても、連続支持として合成スラブ構造を設計することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る合成スラブ構造は、少なくとも3つの梁のうち間に位置する中間梁にシアコネクタが取り付けられた少なくとも3つの梁にわたって、前記中間梁の延び方向に前記シアコネクタを挟むように架け渡された複数の波形のデッキプレートと、前記シアコネクタを挟む前記デッキプレートの間で前記シアコネクタを避けるように架け渡されたプレートと、前記デッキプレート及び前記プレート上に打設されたコンクリート部と、備え、前記プレートが架け渡された方向において少なくとも中間梁上に前記コンクリート部との合成機構が設けられていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る合成スラブ構造の一態様において、前記プレートは、隣接するデッキプレートと前記梁の前記延び方向において係合する嵌合部を有している。
【0008】
また、本発明に係る合成スラブ構造の一態様において、前記合成機構として、前記プレートの長手方向に沿って形成されていて、前記梁とは反対の側に突出した突出部を含む。
【0009】
また、本発明に係る合成スラブ構造の一態様において、2つのプレートが前記梁に交差する方向に前記シアコネクタを挟むように架け渡されている。
【0010】
また、本発明に係る合成スラブ構造の一態様において、前記合成機構として、2つのプレートの間でかつ少なくとも前記中間梁上で前記プレートの長さ方向に沿って配置された棒部材を含む。
【0011】
また、本発明に係る合成スラブ構造の一態様において、開口を有する1つのプレートが前記少なくとも3つの梁に架け渡されており、該プレートは、前記シアコネクタが前記開口内に位置するように架け渡されている。
【0012】
また、本発明に係る合成スラブ構造の一態様において、前記合成機構として、少なくとも前記開口の上側に配置された棒部材を含む。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明に係る施工方法は、少なくとも3つの梁のうち間に位置する中間梁にシアコネクタが取り付けられた少なくとも3つの梁上に合成スラブ構造を施工する施工方法であって、前記中間梁の延び方向に前記シアコネクタを挟むようにして複数のデッキプレートを架け渡す工程と、前記梁に交差しかつ前記シアコネクタを避けるようにプレートを架け渡す工程と、前記デッキプレート及び前記プレート上にコンクリートを打設する工程と、を含み、少なくとも中間梁上に前記コンクリートとの合成機構を設けることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る合成スラブ構造の施工方法の一態様において、前記プレートを架け渡す工程において、前記プレートの延び方向に沿って形成されていて前記梁とは反対の側に突出した突出部を有するプレートを架け渡す。
【0015】
また、本発明に係る合成スラブ構造の施工方法の一態様において、前記プレートを架け渡す工程において、2つのプレートを前記梁に交差する方向に前記シアコネクタを挟むように架け渡し、前記合成機構を、前記2つのプレートの間でかつ該2つのプレートの延び方向に沿うように少なくとも前記中間梁上に棒部材を配置して形成する。
【0016】
また、本発明に係る合成スラブ構造の施工方法の一態様において、前記プレートを架け渡す工程において、開口を有する1つのプレートを前記シアコネクタが前記開口内に位置するように架け渡す。
【0017】
また、本発明に係る合成スラブ構造の施工方法の一態様において、前記合成機構を、前記開口の上側に棒部材を配置して形成する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、シアコネクタが接合された梁上にデッキプレートを架け渡した場合であっても、連続支持として合成スラブ構造を設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態1に係る合成スラブ構造を部分的に断面にして示す斜視図である。
図2】長尺デッキプレートの構成を説明するための部分的な斜視図である。
図3A】実施の形態1における実施の形態1における短尺プレートの構成を説明するための斜視図である。
図3B】中間梁上におけるコンクリート部の図示を省略した実施の形態1に係る合成スラブ構造を示す斜視図である。
図4】設計における単純支持及び連続支持とみなされた場合の曲げモーメントを比較した図である。
図5A】変形例1に係る短尺プレートを示す図である。
図5B】変形例2に係る短尺プレートを示す図である。
図6】実施の形態2に係る合成スラブ構造を部分的に断面にして示す斜視図である。
図7A】実施の形態2における長尺プレートの構成を説明するための斜視図である。
図7B】中間梁上におけるコンクリート部の図示を省略した実施の形態2に係る合成スラブ構造を示す斜視図である。
図8】変形例3に係る長尺プレートを示す図である。
図9A】実施の形態3に係る合成スラブ構造を長さ方向Lに見た示す概略的な断面図である。
図9B】中間梁上におけるコンクリート部の図示を省略した実施の形態3に係る合成スラブ構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率等が異なる部分が含まれている場合がある。
【0021】
本発明に係る合成スラブ構造1Aは、少なくとも3つの梁Hのうち間に位置する梁(中間梁)H3にシアコネクタCが取り付けられた少なくとも3つの梁H1,H2,H3にわたって、梁H3の延び方向(幅方向)Wに所定の間隔をあけてシアコネクタCを挟むように架け渡された複数の波形の長尺デッキプレート(デッキプレート)11と、シアコネクタCを挟む長尺デッキプレート11の間でシアコネクタCを避けるように架け渡された短尺プレート(プレート)12と、長尺デッキプレート11及び短尺プレート21上に打設されたコンクリート部70と、備え、短尺プレート21が架け渡された長さ方向Lにおいて少なくとも小梁H3上にコンクリート部との合成機構が設けられていることを特徴とする。以下、本実施の形態に係る合成スラブ構造1Aについて具体的に説明する。
【0022】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係る合成スラブ構造1Aを部分的に断面にして示す斜視図である。実施の形態1に係る合成スラブ構造1Aは、例えば、建築物の床、屋上又は天井等に用いられるものである。合成スラブ構造1Aは、例えば、H形鋼により形成された3つの梁H1,H2,H3、例えば鉄骨梁上に形成されている。
【0023】
各梁H1,H2,H3は、互いの延び方向が並行になるように設けられている。3つの梁H1,H2,H3のうち、2つの梁H1,H2は、例えば、端部梁であり、2つの大梁H1,H2の間に設けられている梁H3中間梁である。後述するコンクリート部70との合成を高めるためにシアコネクタCは、梁H3に、溶接等により接合されている。以下において梁H1,H2と梁H3とを区別しない場合には、単に、「梁H」と記載する。
【0024】
合成スラブ構造1Aは、主として、デッキプレート10と、補強材として、例えば、金属により形成された棒部材、例えば、鉄筋(合成機構)30と、コンクリート部70と、を備える。以下の説明において、長さ方向Lは、デッキプレート10が梁Hに架け渡される方向であり、幅方向Wは、梁Hの延び方向であり、デッキプレート10が梁Hに架け渡される方向に直交する方向である。また、厚さ方向(高さ方向)Dは、長さ方向L及び幅方向Wが形成する平面に対して直交する方向であり、合成スラブ構造1Aの厚さの方向である。なお、本実施の形態においては、合成機構として鉄筋30を用いたが、金属以外の、例えば、樹脂等により形成された棒部材を用いてもよい。
【0025】
デッキプレート10は、長さ方向Lに沿って梁Hにわたって架け渡されていて、幅方向Wに沿って梁H上で敷き詰められている。合成スラブ構造1Aに含まれるデッキプレート10は、長尺デッキプレート11と、短尺プレート21と、を含む。
【0026】
図2は、長尺デッキプレート11の構成を説明するための部分的な斜視図である。長尺デッキプレート11は、両端が梁H1,H2に固定され、3つの梁Hにわたって架け渡される長さを有する。長尺デッキプレート11は、梁H3においてシアコネクタCが接合された位置を避けて架け渡されている。なお、長尺デッキプレート11は、梁H3においてもスポット溶接等により接合されていてもよい。
【0027】
長尺デッキプレート11は、山頂部110と、谷底部120,130と、傾斜部140と、嵌合部(折返し部)150,160と、を有する。
【0028】
長尺デッキプレート11は、山頂部110及び谷底部120,130が長さ方向Lに延びる傾斜部140を介して互いに幅方向Wに交互に連続して波形状をなしている。長尺デッキプレート11のプレート単体では、2つの山頂部110と、3つの谷底部120,130と、2組の一対の傾斜部140とからなり、幅方向Wに沿った断面において波形に形成されている。なお、長尺デッキプレート11は、長さ方向Lの両端部においてエンドクローズ加工が施されていてもよい。
【0029】
山頂部110は、例えば、スラブにおいて梁Hに架け渡された状態において、梁Hに対して離間して上側に位置する平坦に形成された部分であり、長さ方向Lに延在する板状の部分である。山頂部110は、溝111を有する。溝111は、谷底部120,130の側に向けて凹状に形成されている。溝111は、長さ方向Lに延在し、溝111が1つの場合には幅方向Wにおいて中央近傍に設けられている。
【0030】
谷底部120,130は、山頂部110に対して平行又は略平行であり、梁Hに架け渡された状態において、梁Hに載置される平坦に形成された部分である。谷底部120,130は、長さ方向Lに延在する平坦な板状の部分である。谷底部120,130は、幅方向Wにおいて山頂部110とは重ならない。
【0031】
3つの谷底部120,130のうち、谷底部120は、幅方向Wにおいて谷底部130に挟まれており、長尺デッキプレート11の中央部分に設けられている。幅方向Wにおいて谷底部120の両側には後述する傾斜部140が連続している。谷底部120は、谷底部130に対して幅方向Wにおいて広幅に形成されている。谷底部120は、幅方向Wにおいて中央又は略中央に設けられた複数のエンボス部121を有する。エンボス部121は、長さ方向Lに沿って等間隔に設けられ、山頂部110に向かって凸に形成されている。また、エンボス部121は、長さ方向Lに沿って延在し、山頂部110に向かって凸に形成された溝部として形成されていてもよい。エンボス部121や溝部により、長尺デッキプレート11の剛性が高まると共に形状が安定する。
【0032】
谷底部130は、デッキプレート10の幅方向Wにおける両端に設けられている。幅方向Wにおいて各谷底部130の谷底部120の側には、後述する傾斜部140が連続している。傾斜部140が連続している側とは反対の谷底部130の端部にはそれぞれ、後述する嵌合部150,160が設けられている。
【0033】
傾斜部140は、山頂部110と谷底部120,130とを連結する部分であり、長さ方向Lに延在する平坦な板状の部分である。傾斜部140は、幅方向Wにおいて山頂部110の両端部の側から斜めに谷底部120,130に向かって延びている。幅方向Wにおいて互いに隣り合う傾斜部140は、それぞれ異なる方向に山頂部110から互いに離間するように延びている。傾斜部140は、山頂部110及び谷底部120,130に対して所定の角度、例えば、鈍角を形成するように傾斜している。
【0034】
傾斜部140には複数のエンボス部141が形成されている。各エンボス部141は、長さ方向Lに沿って所定の間隔をあけて設けられている。エンボス部141は、傾斜部140が連続する谷底部120,130に向かって凸に形成されている。エンボス部141により、デッキプレート10の剛性が高まると共に形状が安定する。
【0035】
谷底部120,130と傾斜部140との間の移行部には膨出部142が形成されている。膨出部142は、一の山頂部110における一対の傾斜部140において互いに反対の側に突出した部分である。谷底部120を挟んで対向する一対の傾斜部140において、膨出部142は対向するように形成されており、互いに近づく方向に膨出している。また、谷底部130それぞれの側に形成された膨出部142は、谷底部120とは反対の側に膨出している。
【0036】
膨出部142と谷底部120,130との間には長さ方向Lに沿って延在する蟻溝143が形成されている。幅方向Wに沿った蟻溝143の断面は、湾曲するように形成されている。谷底部120を挟んで対向する一対の傾斜部140において、蟻溝143は、対向するように形成されており、互いに離れる方向、つまり、谷底部130の側に向かって湾曲している。また、谷底部130それぞれの側に形成された蟻溝143は、谷底部120の側に向かって湾曲している。
【0037】
嵌合部150,160は、各谷底部130に連続して設けられている。嵌合部150,160は、スラブを構築する際、幅方向Wに隣合うデッキプレート10同士の連結の用に供されている。具体的には、一のデッキプレート10の嵌合部150と、他のデッキプレート10の嵌合部160とが互いに嵌合することにより、2枚のデッキプレート10は、幅方向Wにおいて連結される。嵌合部150,160は、互いに異なる側に折り返されている。
【0038】
嵌合部150は、一方の谷底部130に設けられていて、山頂部110とは反対の側に折り返されている。嵌合部160は、他方の谷底部130に設けられていて、山頂部110の側に折り返されている。長尺デッキプレート11は、幅方向Wにおいて隣合う他の長尺デッキプレート11及び後述する短尺プレート21と、嵌合部150,160を介して互いに連結されている。
【0039】
図3Aは、実施の形態1における短尺プレート21の構成を説明するための斜視図である。図3Bは、中間梁H3上におけるコンクリート部50の図示を省略した実施の形態1に係る合成スラブ構造1Aを示す斜視図である。短尺プレート21は、一端が梁H1又は大H2、他端が梁H3に固定され、梁H1,H2と梁H3に架け渡される長さを有する。短尺プレート21は、幅方向Wにおいて長尺デッキプレート11の間で、長さ方向LにおいてシアコネクタCを挟むように架け渡されている。
【0040】
短尺プレート21は、平坦部210と、嵌合部(折返し部)250,260と、を有する。短尺プレート21が梁H1,H2及び梁H3に載置された状態において、平坦部210は、梁H1,H2及び梁H3に接触する部分である。
【0041】
平坦部210は、複数のエンボス部211を有する。エンボス部211は、長さ方向Lに沿って等間隔に設けられ、山頂部110に向かって凸に形成されている。また、エンボス部211は、長さ方向Lに沿って延在し、梁Hとは反対の側に凸に形成された溝部として形成されていてもよい。エンボス部211や溝部により、短尺プレート21の剛性が高まると共に形状が安定する。なお、短尺プレート21の平坦部210において、エンボス部211は設けられていなくてもよい。
【0042】
嵌合部250は、幅方向Wにおける平坦部210の一方の縁に設けられていて、梁Hの側に折り返されている。嵌合部260は、幅方向Wにおける平坦部210の他方の縁に設けられていて、梁Hとは反対の側に折り返されている。短尺プレート21は、嵌合部250,260において、幅方向Wにおいて隣合う他の長尺デッキプレート11の嵌合部150,160と噛み合うことにより、連結されている。
【0043】
鉄筋(合成機構)30は、例えば、異形鉄筋として形成されており、各短尺プレート21上に設けられている。鉄筋30は、梁H3上で後述するコンクリート部70と係合して、長さ方向Lに並ぶ2つの短尺プレート21を構造上連結する。
【0044】
鉄筋30は、長さ方向Lにおいて短尺プレート21を超える長さを有する。鉄筋30は、短尺プレート21の各嵌合部250,260の近傍において、長さ方向Lに沿って短尺プレート21を設けられている。各短尺プレート21に設けられた鉄筋30は、梁H3上において互いに、長さ方向Lにおいて重なるように延びている。なお、少なくとも短尺プレート21に設けられた鉄筋30は、長さ方向Lにおいて梁H3を超えて他方の短尺プレート21にまで延びていてもよい。
【0045】
また、鉄筋30は、短尺プレート21の平坦部210に設置されたスペーサ等に設置してもよい。この場合、鉄筋30は、厚さ方向Dにおいて、長尺デッキプレート11の山頂部110よりも下側に位置している。
【0046】
溶接金網50は、例えば、鋼製の棒部材又は線材により格子状に形成されていて、長尺デッキプレート11及び短尺プレート21上に設置されたスペーサ(図示せず)上に載せられて、厚さ方向Dにおいて、鉄筋30の上方に位置する。溶接金網50は、後述するコンクリート部70に埋もれていて、コンクリート部70のひび割れを防止することに寄与している。なお、溶接金網50は、設計上、合成スラブ構造1Aの構造としてはみなされない。
【0047】
コンクリート部70は、コンクリートをデッキプレート10の一方の面(上面)に打設して固化することにより形成されている。コンクリート部70は、デッキプレート10、鉄筋30等及び溶接金網50を覆うように打設され、コンクリート部70の固化後、デッキプレート10は、鉄筋30及び溶接金網50は、コンクリート部70内に埋設された状態にある。つまり、2つの短尺プレート21は、中間梁である梁H3上において、鉄筋30を介してコンクリート部70と合成されている。
【0048】
次に、合成スラブ構造1Aの施工法について説明する。合成スラブ構造1Aを施工する施工方法は、少なくとも3つの梁H1,H2,H3のうち間に位置する梁(中間梁)H3にシアコネクタCが取り付けられた少なくとも3つの梁H1,H2,H3上に合成スラブ構造1Aを施工する施工方法であって、梁H3の延び方向(幅方向W)にシアコネクタCを挟むようにして複数の長尺デッキプレート(デッキプレート)11を架け渡す工程と、梁H1,H2,H3に交差しかつシアコネクタCを避けるように短尺プレート(プレート)12を架け渡す工程と、長尺デッキプレート11及び短尺プレート21上にコンクリートを打設する工程と、を含み、短尺プレート21を架け渡す工程及びコンクリートを打設する工程の少なくとも一方において、少なくとも梁H3上にコンクリートとの合成機構を設けることを特徴とする。以下、本実施の形態に係る合成スラブ構造1Aを施工する施工方法について具体的に説明する。
【0049】
まず、梁Hに長尺デッキプレート11を架け渡す。具体的には、長尺デッキプレート11を、合成スラブ構造1Aを施工する現場の幅方向Wにおける端から、シアコネクタCが接合されている梁H3の領域まで敷き詰めていく(梁Hに架け渡す)。幅方向Wに隣接する長尺デッキプレート11は、互いに嵌合部150,160を介して互いに連結される。
【0050】
次いで、シアコネクタCが接合されている梁H3の領域に、短尺プレート21を設置する。具体的には、梁H1と梁H3との間及び梁H2と梁H3との間に短尺プレート21を架け渡す。短尺プレート21を嵌合部250;260を介して隣接する長尺デッキプレート11に連結する。この場合、梁H3上に鉄筋30が位置し、コンクリート部70と係合する合成機構が設けられる。
【0051】
次いで、短尺プレート21の長尺デッキプレート11が連結されていない側に長尺デッキプレート11を設置して短尺プレート21に連結し、さらに、長尺デッキプレート11を所定の位置まで敷き詰めていく。
【0052】
次いで、短尺プレート21に鉄筋30を配筋する。各短尺プレート21に設けられた鉄筋30は、それぞれの一方の端部が梁H3上において長さ方向Lに重なるように設置される。なお、鉄筋30を短尺プレート21に溶接等により接合してもよく、また、スペーサ等に載置してもよい。
【0053】
次いで、長尺デッキプレート11及び短尺プレート21よりも上側で、かつ、鉄筋30よりも上側に、溶接金網50を、例えば、スペーサを介して設置し、次いで、コンクリートを長尺デッキプレート11及び短尺プレート21上に打設してコンクリート部70を形成する。以上により、合成スラブ構造1Aが施工される。
【0054】
以上のような合成スラブ構造1Aによれば、梁H3上にシアコネクタCが接合されている場合であって、2つの短尺プレート21に合成機構である鉄筋30が設けられているので、短尺プレート21が架け渡された領域においても、連続支持合成スラブとして設計することができる。
【0055】
図4は、設計上における単純支持及び連続支持とみなされた場合の曲げモーメントを比較した概略図である。例えば、合成機構としての鉄筋30が設けられていない合成スラブ構造100Aは、単純支持とみなされる。この場合、矢印の方向から合成スラブ構造100Aに負荷がかかった場合、梁H3に生じるモーメントを負担する構造が存在しないため、便宜的に梁H3上に生じるモーメントはゼロとみなして、本来、梁H3上に生じるモーメントについては、梁H1と梁H3との間、及び、梁H2と梁H3との間で下側に生じるモーメントM1と仮定して単純支持として設計する。連続支持としての設計に比べて、下側に生じるモーメントM1は大きく想定されるので、例えば、梁H間のスパンを狭くしたり、デッキプレート10の山頂部110の位置を高くしたり、また、デッキプレート10の板厚を厚くしたりして、モーメントM1を負担する必要があった。
【0056】
これに対して、合成スラブ構造1Aは、全体として連続支持とみなすことができる。合成スラブ構造1Aにおいては、梁H3上に合成機構となる鉄筋30が設けられている。これにより、合成スラブ構造1Aは、長尺デッキプレート11と同様に、連続支持の構造とみなすことができる。したがって、梁H3の上側に生じるモーメントM2を鉄筋30により負担することができるので、梁H1,H2と梁H3とのスパン(間隔)を、例えば、単純支持の場合よりも大きくできたり、デッキプレート10の山頂部110の位置を単純支持の場合よりも低くできたり、また、デッキプレート10の板厚を単純支持の場合よりも薄くしコストの削減を図ることができ、さらに、許容荷重を増加するなど合成スラブの性能向上を図ることができる。
【0057】
また、短尺プレート21は、嵌合部250,260を介して、連続支持として設計されている長尺デッキプレート11と連結することができる。
【0058】
なお、短尺プレート21に合成機構を一体的に備え付けてもよい。図5Aは、変形例1に係る短尺プレート21Aを示す図である。以下においては、短尺プレート21と異なる部分について主に説明し、短尺プレート21と同じ部分については同じ符号を付す。短尺プレート21Aは、平坦部210と、突出部(合成機構)220と、嵌合部(折返し部)250,260と、を有する。
【0059】
突出部220は、平坦部210に形成されており、長さ方向Lに沿って連続して延在している。突出部220は、梁Hとは反対の側、又は、山頂部110に向かって凸に形成されている。突出部220は、2つの蟻溝部221を有する。蟻溝部221は、突出部220が平坦部210から立ち上がる部分において互いに離れることにより形成されている。突出部220、特に蟻溝部221は、コンクリート部70との合成機構として機能する。突出部220により、短尺プレート21Aは、梁H3上において、コンクリート部70と係合することができる。これにより、梁H3上においてシアコネクタCを挟んで短尺プレート21Aが架け渡されたとしても、連続支持として設計することができる。
【0060】
短尺プレート21Aを用いた場合、シアコネクタCが接合された梁H3上においてコンクリート部70と短尺プレート21Aとの十分な合成が確保することができており、鉄筋30は設けられていないが、鉄筋30が設けられていてもよい。短尺プレート21Aに鉄筋30が設けられていた場合、コンクリート部70との合成効果をさらに高めることができる。
【0061】
図5Bは、変形例2に係る短尺プレート21Bを示す図である。短尺プレート21Bにおいて、長さ方向Lにおける突出部220の両端に閉鎖部222を有している。閉鎖部222は、エンドクローズ加工されている。これにより、例えば、コンクリートの漏れ止め部材や作業を省略することなどができる。
【0062】
なお、変形例1,2に係る短尺プレート21A,21Bにおいては、1つの突出部220が長さ方向Lに沿って設けられていたが、2つの突出部220が幅方向Wに所定の間隔をあけて平坦部210に設けられていてもよい。
【0063】
<実施の形態2>
図6は、実施の形態2に係る合成スラブ構造1Bを部分的に断面にして示す斜視図である。以下に実施の形態2に係る合成スラブ構造1Bについて説明するが、実施の形態1に係る合成スラブ構造1Aと同じ構成については、同じ符号を付し、異なる部分について主に説明する。
【0064】
合成スラブ構造1Bは、主として、デッキプレート10と、コンクリート部70と、を備える。デッキプレート10は、長さ方向Lに沿って梁Hにわたって架け渡されていて、幅方向Wに沿って梁H上で敷き詰められている。合成スラブ構造1Bに含まれるデッキプレート10は、長尺デッキプレート11と、長尺プレート(プレート)31と、を含む。
【0065】
図7Aは、実施の形態2における長尺プレート31の構成を説明するための斜視図である。図7Bは、中間梁H3上におけるコンクリート部50の図示を省略した実施の形態2に係る合成スラブ構造1Bを示す斜視図である。長尺プレート31は、両端が梁H1,H2に固定され、3つの梁Hにわたって架け渡される長さを有する。長尺プレート31は、梁H3においてシアコネクタCが接合された長尺デッキプレート11が架け渡されていない位置に架け渡されている。
【0066】
長尺プレート31は、平坦部310と、突出部320と、嵌合部(折返し部)350,360と、を有する。長尺プレート31が梁H1,H2及び梁H3に載置された状態において、平坦部310は、梁H1,H2及び梁H3に接触する部分である。
【0067】
平坦部210は、2つの突出部320を有する。各突出部320は、長さ方向Lにおける両端部から中央部に向かって延びている。2つの突出部320は、中央部において、後述する開口部(開口)330により、互いに所定の間隔をあけて長さ方向Lに一列に設けられている。
【0068】
突出部320は、梁Hとは反対の側、又は、山頂部110に向かって凸に形成されている。各突出部320は、2つの蟻溝部321を有する。蟻溝部321は、突出部320が平坦部310から立ち上がる部分において互いに離れることにより形成されている。蟻溝部321は、コンクリート部70との合成機構として機能する。
【0069】
開口部330は、2つの突出部320の間に形成されている。開口部330は、長さ方向Lにおいて長尺プレート31の中央部、具体的には、長尺プレート31が梁Hに架け渡された状態において、梁H3に接合されたシアコネクタCと重なる部分に設けられている。長尺プレート31が架け渡された状態において、シアコネクタCは、開口部330を通じてコンクリート部70の側に突出している。
【0070】
嵌合部350は、幅方向Wにおける平坦部310の一方の縁に設けられていて、梁Hの側に折り返されている。嵌合部360は、幅方向Wにおける平坦部310の他方の縁に設けられていて、梁Hとは反対の側に折り返されている。長尺プレート31は、嵌合部350,360において、幅方向Wにおいて隣合う他の長尺デッキプレート11の嵌合部150,160と噛み合うことにより連結されている。
【0071】
次に、合成スラブ構造1Bの施工法について説明する。まず、梁Hに長尺デッキプレート11を架け渡す。具体的には、長尺デッキプレート11を、幅方向Wにおいて端から、シアコネクタCが接合されている小梁H3の領域まで敷き詰めていく(梁Hに架け渡す)。幅方向Wに隣接する長尺デッキプレート11は、互いに嵌合部150,160を介して互いに連結される。
【0072】
次いで、シアコネクタCが接合されている小梁H3の領域に、長尺プレート31を設置する。具体的には、長尺プレート31を、開口部330がH3に接合されたシアコネクタCと重なるように梁Hに架け渡す。長尺プレート31は、開口部330を通じてシアコネクタCが突出するように架け渡されている。長尺プレート31を嵌合部250;260を介して隣接する長尺デッキプレート11に連結する。
【0073】
次いで、長尺プレート31の長尺デッキプレート11が連結されていない側に長尺デッキプレート11を設置して長尺プレート31に連結し、さらに、長尺デッキプレート11を所定の位置まで敷き詰めていく。
【0074】
次いで、長尺デッキプレート11及び長尺プレート31よりも上側に溶接金網50を、例えば、スペーサを介して設置し、次いで、コンクリートを長尺デッキプレート11及び長尺プレート31上に打設してコンクリート部70を形成する。以上により、合成スラブ構造1Bが施工される。
【0075】
以上のような合成スラブ構造1Bによれば、梁H3上にシアコネクタCが接合されている場合であって、開口部330を通じてシアコネクタCを避けることができるので、一の長尺プレート31を架け渡すことができる。さらに、長尺プレート31に合成機構である突出部320が設けられているので、梁H3上においても、コンクリート部70との十分な合成(係合)を確保することができるので、連続支持として設計することができる。これにより、合成スラブ構造1Bは、全体として連続支持の合成スラブ構造としてみなすことができる。合成スラブ構造1Bを連続支持として設計することができるので、梁H1,H2と梁H3とのスパン(間隔)を、単純支持の場合よりも大きくすることができ、また、許容荷重を増加するなど合成スラブの性能向上を図ることができる。
【0076】
なお、長尺プレート31に鉄筋30を配筋してもよい。これにより、長さ方向Lにわたって長尺プレート31上におけるコンクリート部70との合成範囲を広範囲に確保することができる。また、開口部330の上側に、例えば、鉄筋30、溶接金網50等の棒部材を配置することにより合成機構をさらに形成してもよい。
【0077】
図8は、変形例3に係る長尺プレート31Aを示す図である。長尺プレート31Aにおいて、長さ方向Lにおける突出部320の両端に閉鎖部322を有している。閉鎖部322は、エンドクローズ加工されている。これにより例えば、コンクリートの漏れ止め部材や作業を省略することなどができる。
【0078】
なお、変形例3,4に係る長尺プレート31,31Aにおいては、開口部330を挟んで長さ方向Lに一列の突出部320設けられていたが、開口部330を挟んで2列の突出部320が幅方向Wに所定の間隔をあけて平坦部310に設けられていてもよい。
【0079】
<実施の形態3>
図9Aは、実施の形態3に係る合成スラブ構造1Cを長さ方向Lに見た示す概略的な断面図である。図9Bは、中間梁H3上におけるコンクリート部50の図示を省略した実施の形態3に係る合成スラブ構造1Cを示す斜視図である。例えば、上記実施の形態1,2において用いられていた合成機構の代わりに、補強部(合成機構)40を設けてもよい。この場合、幅方向WにおいてシアコネクタCを挟む長尺デッキプレート11の間において梁H1と梁H3及び梁H2と梁H2には、例えば、木製又は鋼製のプレートPが架け渡されている。
【0080】
補強部40は、梁H3に接合されたシアコネクタCを幅方向Wに挟む長尺デッキプレート11の間で、嵌合部150,160上にある。具体的には、長さ方向Lにおいて補強部40の一端は、プレートP及び梁H3に厚さ方向Dにおいて重なる。補強部40は、コンクリート部70内に埋設されて、コンクリート部70と合成している。
【0081】
補強部40は、幅方向Wに延びる複数の、例えば、2本の鉄筋41と、長さ方向Lに延びる複数の、例えば、2本の鉄筋45と、を有する。鉄筋41はそれぞれ、厚さ方向Dに所定の間隔をあけ、かつ、長さ方向Lに沿って所定の間隔をあけて少なくとも梁H3上に設けられている。鉄筋41は、設置した状態において、幅方向Wに隣接する長尺プレート11における嵌合部150,160に両端部が達する程度の長さを有している。
【0082】
鉄筋45は、厚さ方向Dに所定の間隔をあけてそれぞれ設けられた複数の鉄筋41に交差するように設けられている。なお、厚さ方向Dにおいて相対的に下側に位置する鉄筋45は、シアコネクタCの中心の穴を通って長さ方向Lに延びている。鉄筋45は、設置した状態において、長さ方向Lに隣接するプレートPに達する程度の長さを有している。
【0083】
厚さ方向Dにおいて所定の間隔をあけて設けられている鉄筋41及び鉄筋45は、厚さ方向Dにおいて対向していていても、対向していなくてもよく、また、鉄筋41,45の数は、特に限定されず、例えば、1本でもよく、また、3本以上でもよい。
【0084】
鉄筋41及び鉄筋45は、例えば、異形鉄筋により形成されている。なお、補強部40において、鉄筋41,45の代わりにそれぞれ、例えば、樹脂製の棒部材等、他の材質の部材を用いてもよい。
【0085】
補強部40は、工場等により予め製造されて合成スラブ構造1Cの施工現場に搬送されてもよいし、現場で構築されてもよい。なお、補強部40は、鉄筋41,45により構成されていたが、鉄筋41,45の代わりに、例えば、樹脂製の棒部材等により構成されていてもよい。
【0086】
<その他>
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。また、例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0087】
1,1A,1C・・・合成スラブ構造
10・・・デッキプレート、11・・・長尺デッキプレート、21,21A,21B・・・短尺プレート、31,31A・・・長尺プレート、P・・・プレート
30・・・鉄筋(合成機構、棒部材)、220・・・突出部(合成機構)、40・・・補強部(合成機構)
50・・・溶接金網(棒部材)
70・・・コンクリート部
330・・・開口部(開口)
C・・・シアコネクタ
H(H1,H2・・・端部梁、H3・・中間梁)・・・梁
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B