(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136278
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 9/06 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B25J9/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047354
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100173428
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】田村 与作
(72)【発明者】
【氏名】中村 隆行
(72)【発明者】
【氏名】矢野 一久
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707AS06
3C707AS14
3C707BS15
3C707CV07
3C707CW07
3C707CY29
3C707CY34
3C707DS01
3C707HS27
3C707HT20
3C707KV01
(57)【要約】
【課題】アームカバーを着脱する際の操作性、放熱性および作業中の安全性を両立することができるロボットを提供すること。
【解決手段】基台と、基台に対し第1回転軸の回りに回転可能に接続される第1アームと、第1アームに対し第1回転軸と平行な第2回転軸の回りに回転可能に接続され、アームベースと、前記アームベースの上部を覆うアームカバーと、を有する第2アームと、第2アームを回転させる駆動部と、を備え、アームカバーは、アームベースの側面のうち駆動部に対応する部分に少なくとも設けられる被覆部を有し、第1アームは、第1アームの先端部に設けられ、上方に行くに従って第2回転軸との距離が大きくなるよう傾斜する第1傾斜部を有し、被覆部は、被覆部の少なくとも基端部に設けられ、下方に行くに従って第2回転軸との距離が大きくなるよう傾斜する第2傾斜部を有するロボット。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台に対し第1回転軸の回りに回転可能に接続される第1アームと、
前記第1アームの先端部に、前記第1アームに対し前記第1回転軸と平行な第2回転軸の回りに回転可能に接続され、アームベースと、前記アームベースの上部を覆うアームカバーと、を有する第2アームと、
前記アームベースの前記第2回転軸上に配置され、前記第2アームを回転させる駆動部と、を備え、
前記アームカバーは、前記アームベースの側面のうち前記駆動部に対応する部分に少なくとも設けられる被覆部を有し、
前記第1アームは、前記第1アームの先端部に設けられ、上方に行くに従って前記第2回転軸との距離が大きくなるよう傾斜する第1傾斜部を有し、
前記被覆部は、前記被覆部の少なくとも基端部に設けられ、下方に行くに従って前記第2回転軸との距離が大きくなるよう傾斜する第2傾斜部を有することを特徴とするロボット。
【請求項2】
前記第1傾斜部と前記第2傾斜部とは、前記第2回転軸に対する傾斜方向が同じである部分を有する請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記第1傾斜部と前記第2傾斜部とは、前記第2回転軸に対する傾斜角度が同じである部分を有する請求項2に記載のロボット。
【請求項4】
前記第2傾斜部は、前記被覆部の前記第2回転軸方向における全域にわたって設けられている請求項1ないし3のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項5】
前記第1アームの先端部は、前記第1傾斜部と、前記第1傾斜部の上方に隣接し、前記第2回転軸方向に沿った端部と、を有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項6】
前記第1アームの先端部は、前記第1傾斜部と、前記第1傾斜部の下方に隣接し、前記第2回転軸方向に沿った端部と、を有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項7】
前記被覆部は、柔軟性を有する材料で構成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項8】
前記第1アームは、前記駆動部が設置され、前記第1アーム側に開放する開放部を有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種のロボットを用いてワークに対し搬送、加工、組立および検査等の所望の作業を行い、作業の迅速化、効率化が図られている。
【0003】
特許文献1に記載されているロボットは、基台と、基台に対し、第1回転軸回りに回転可能に接続される第1アームと、第1アームに対し、第1回転軸と平行な第2回転軸回りに回転可能に接続される第2アームと、第2アームに支持される作業ヘッドと、を備える。また、第2アームは、アームベースと、アームベース上に設置され、モーター、減速機等で構成される駆動部と、アームベースに対し着脱可能に装着されるアームカバーと、を有する。アームカバーは、アームベース上に設置された駆動部やその他の駆動系を覆うように、アームベースに装着される。そして、第2アームのアームベース上に設置された駆動部やその他の駆動系等を点検、修理する際には、アームベースからアームカバーを離脱させる作業が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているロボットでは、アームカバーがアームベースの駆動部に対応する部分を覆うためアームカバーとアームベースとの間に空隙がなく、放熱性が悪い。そこで放熱性を向上するために、アームカバーとアームベースとの間に空隙を設けることも考えられる。一方、アームカバーとアームベースとの間に空隙を設けた第2アームの形状によっては、ロボットアーム全体の一体感が損なわれるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のロボットは、基台と、
前記基台に対し第1回転軸の回りに回転可能に接続される第1アームと、
前記第1アームの先端部に、前記第1アームに対し前記第1回転軸と平行な第2回転軸の回りに回転可能に接続され、アームベースと、前記アームベースの上部を覆うアームカバーと、を有する第2アームと、
前記アームベースの前記第2回転軸上に配置され、前記第2アームを回転させる駆動部と、を備え、
前記アームカバーは、前記アームベースの側面のうち前記駆動部に対応する部分に少なくとも設けられる被覆部を有し、
前記第1アームは、前記第1アームの先端部に設けられ、上方に行くに従って前記第2回転軸との距離が大きくなるよう傾斜する第1傾斜部を有し、
前記被覆部は、前記被覆部の少なくとも基端部に設けられ、下方に行くに従って前記第2回転軸との距離が大きくなるよう傾斜する第2傾斜部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明のロボットの第1実施形態に係るロボットシステムの全体図である。
【
図2】
図1に示すロボットが備える第1アームおよび第2アームの接続部の側面図である。
【
図6】アームベースからアームカバーを離脱させる手順を説明するための図であって、第2アームを上方から見た図である。
【
図7】アームベースからアームカバーを離脱させる手順を説明するための図であって、第2アームを上方から見た図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係るロボットが備える第1アームおよび第2アームの接続部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のロボットを添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明のロボットの第1実施形態に係るロボットシステムの全体図である。
図2は、
図1に示すロボットが備える第1アームおよび第2アームの接続部の側面図である。
図3は、
図1中矢印A方向から見た図である。
図4は、
図3中矢印C方向から見た図である。
図5は、
図3中B-B線断面図である。
図6は、アームベースからアームカバーを離脱させる手順を説明するための図であって、第2アームを上方から見た図である。
図7は、アームベースからアームカバーを離脱させる手順を説明するための図であって、第2アームを上方から見た図である。
図8は、第2アームを上方から見た図である。
【0009】
図1中では、互いに直交する3軸であるX軸、Y軸およびZ軸が設定されており、
図2~
図8中にもそれぞれ同様の3軸が示されている。3軸のうちZ軸方向は鉛直方向を示し、X-Y平面は水平面を示す。また、3軸において、矢印の示す方向を「プラス側」、その反対方向を「マイナス側」と言う。これらのことは、
図9についても同様である。
【0010】
図1、
図2、
図3および
図5中の上下方向は、鉛直方向と一致している。
図1、
図2、
図3および
図5中の上側を「上」、「上部」または「上方」、下側を「下」、「下部」または「下方」とも言い、ロボットアーム22、第1アーム23および第2アーム24等については、
図1、
図2、
図4、
図6、
図7、および
図8中の右側を「基端」または「基端部」、左側を「先端」または「先端部」とも言う。これらのことは、
図9についても同様である。
【0011】
本明細書において、「鉛直」とは、鉛直と一致している場合のみならず、鉛直に対して若干、例えば±10°以内傾斜している場合も含む意味である。また、本明細書において、「平行」とは、2つの対象が平行と一致している場合のみならず、平行から若干、例えば±10°以内傾斜している場合も含む意味である。
【0012】
図1に示すロボットシステム1は、ロボット2と、ロボット2の駆動を制御するロボット制御装置9と、を有している。
【0013】
本実施形態におけるロボット2は、スカラロボットであり、例えば、電子部品、機械部品等のワークの保持、搬送、加工、組立および検査等の各作業(以下これらを総称して単に「作業」と言う。)で用いられる。ただし、ロボット2の用途は、特に限定されない。
【0014】
図1に示すように、ロボット2は、基台21と、基台21に対し回転可能に接続されているロボットアーム22と、を有している。基台21は、水平面と平行な床面100に固定されている。基台21の内部には、ロボット制御装置9が設置されている。なお、図示の構成と異なり、ロボット制御装置9は、基台21の外部に設置されていてもよい。
【0015】
ロボットアーム22は、基端部が基台21に接続され、基台21に対して鉛直方向に沿う第1回転軸J1回りに回転する第1アーム23と、基端部が第1アーム23の先端部231に接続され、第1アーム23に対して鉛直方向に沿う第2回転軸J2回りに回転する第2アーム24と、を有している。
【0016】
第2アーム24の先端部には作業ヘッド25が設けられている。第2アーム24は、第2回転軸J2から作業ヘッド25まで直線状、つまりX軸方向に延在する形状である。作業ヘッド25は、第2アーム24の先端部に、互いに同軸で配置されているスプラインナット251およびボールネジナット252と、スプラインナット251およびボールネジナット252に挿通されているスプラインシャフト253と、を有している。スプラインシャフト253は、第2アーム24に対して、その中心軸であり、かつ鉛直方向に沿う第3回転軸J3回りに回転可能であるとともに、第3回転軸J3に沿って上下方向に移動可能である。
【0017】
基台21と第2アーム24とは、例えばケーブルのような可撓性を有する配管10によって接続されている。配管10の基端部は、基台21の上面210を貫通して基台21内に位置している。配管10の先端部は、第2アーム24の上面である天面41Aに形成された後述する幅広開口部412を貫通してアームカバー4内に位置している。
【0018】
配管10内には、基台21の内部から第2アーム24の内部に延びる電力供給線や、信号線等が収納されている。すなわち、これら電力供給線や信号線等は、絶縁被覆されたコードとしてまたはコードを束ねたケーブルとして構成されている。このようなコードやケーブルにより、基台21の内部に設置されたロボット制御装置9と、アームカバー4の内部に位置する駆動部である第2駆動部28、第1駆動機構291および第2駆動機構292とがそれぞれ電気的に接続される。
【0019】
配管10は、可撓性を有しているため、第1アーム23の回転および第2アーム24の回転によるロボットアーム22の姿勢の変化に十分に追従することができる。
【0020】
スプラインシャフト253の下端部26には、図示しないエンドエフェクターが装着される。エンドエフェクターは、着脱自在であり目的の作業に適したものが適宜選択される。エンドエフェクターとしては、例えば、組み立てまたは加工の対象物であるワークを把持するハンド、チャック、孔あけ、研削、研磨等を行う工具、スプレーガン等の塗装具等が挙げられる。
【0021】
ロボット2は、基台21と第1アーム23とを連結し、基台21に対して第1アーム23を第1回転軸J1回りに回転させる第1駆動部27と、第1アーム23と第2アーム24とを連結し、第1アーム23に対して第2アーム24を第2回転軸J2回りに回転させる関節部としての第2駆動部28と、を有している。
【0022】
第1アーム23は、第1駆動部27によって、基台21の上面210に対し、離間した状態で基台21に接続されている。第2アーム24は、第2駆動部28によって、第1アーム23の上面230に対し、所定距離離間した状態で第1アーム23に接続されている。第2アーム24の被覆部42の下端423と上面230との離間距離は、特に限定されないが、後述するアームカバー4の離脱操作の際に両者の間に右手HRまたは左手HLの指Fが入ることができる程度とするのが好ましい。
【0023】
また、ロボット2は、スプラインナット251を回転させてスプラインシャフト253を第3回転軸J3回りに回転させる第1駆動機構291と、ボールネジナット252を回転させてスプラインシャフト253を第3回転軸J3に沿った方向に昇降させる第2駆動機構292と、を有する。第2駆動機構292は、第1駆動機構291の下部に位置している。
【0024】
第1駆動機構291の作動によりスプラインシャフト253が第3回転軸J3回りに所定方向に回転し、これに伴い下端部26が同方向に回転する。第2駆動機構292の作動によりスプラインシャフト253が第3回転軸J3の軸方向に移動し、これに伴い下端部26が同方向に移動、すなわち上昇または下降する。
【0025】
第1駆動部27、第2駆動部28、第1駆動機構291および第2駆動機構292は、それぞれ、図示しないモーター、減速機、エンコーダー等を有する。各モーターおよび各エンコーダーは、それぞれ、ロボット制御装置9と電気的に接続されている。各エンコーダーは、対応するモーターの回転位置情報を検出し、ロボット制御装置9に送信する。ロボット制御装置9は、各エンコーダーから受信した各モーターの回転位置情報に基づいて、図示しないモータードライバーを介して各モーターへの通電条件を制御する。これにより、ロボットアーム22が作動し、すなわち第1アーム23、第2アーム24およびスプラインシャフト253がそれぞれ作動し、予め定められたプログラムに従いロボットアーム22の姿勢が経時的に変化して、所望の作業を行うことができる。
【0026】
このようなロボット2では、第1アーム23の先端部に第1傾斜部7が設けられており、第2アーム24のアームカバー4の基端部に第2傾斜部421が設けられている。第1傾斜部7および第2傾斜部421は、第2回転軸J2を介して互いに反対側に位置している。すなわち、第1傾斜部7は、第2回転軸J2の基端側に位置し、第2傾斜部421は、第2回転軸J2の先端側に位置している。第1傾斜部7および第2傾斜部421は、それぞれ第2回転軸J2に対して傾斜している。第1傾斜部7および第2傾斜部421の第2回転軸J2に対する傾斜方向は、同方向である。
【0027】
図2に示すように、第1傾斜部7の一つである第1傾斜部7Aと、端部8Aは、第1アーム23の先端部231に設けられている。第1傾斜部7Aは、上方に行くに従って、すなわち、第2アーム24に近づくに従って、第2回転軸J2との距離が大きくなるように傾斜する第1傾斜面71を有する。第1傾斜面71は、第1アーム23の先端面であり、平面で構成されている。端部8Aは、第1傾斜部7Aの上方に隣接し、第2回転軸J2方向に沿った面、すなわち、Y-Z平面に沿った端面81を有する。また、第1傾斜部7Aは、被覆部42の先端部424と上下方向に重なる位置に設けられる。
【0028】
また、このような構成によれば、例えばエンドエフェクターに把持されたワーク等の他の物体が衝突しやすいZ軸方向マイナス側に、優先的に第1傾斜部7Aを設けられているため、現行機種からの改変が比較的容易であるとともに、鉛直方向の端面81が設けられている分、第1アーム23のX軸方向の長さを短くすることができる。よって、作業中の安全性を高めることができるとともに、さらに、小型化を図ることができる
【0029】
第1傾斜面71のZ軸方向に沿った長さをL1とし、端面81のZ軸方向に沿った長さをL2としたとき、L1/L2は、0.2以上1.8以下であるのが好ましく、0.8以上1.2以下であるのがより好ましい。これにより、作業中の安全性、一体感および小型化をバランスよく高い水準で発揮することができる。
【0030】
第1傾斜部7を有することにより、以下の効果Aを得ることができる。
(効果A)
図2に示すように、Y軸方向から見たとき、Y-Z平面に沿った仮想面である先端面230Xを有する構成と比較してみると、第1傾斜部7が形成されていることにより、その分、欠損部すなわち空間S1が形成されることとなる。この空間S1を有する分、ロボットアーム22の作動に際し、第1アーム23の先端部231が他の物体と干渉(例えば、接触、衝突等)しにくくすることができる。すなわち、第1アーム23の先端部231が他の物体と干渉しようとした際、空間S1が当該物体の逃げ空間となり、干渉を回避することができる。よって、ロボットアーム22の作動による作業中の安全性を高めることができる。
【0031】
第1傾斜面71と第2回転軸J2とのなす角度θAは、特に限定されないが、角度θAの平均値は、20°以上80°以下であるのが好ましく、30°以上70°以下であるのがより好ましい。これにより、上記効果Aをより確実に発揮することができ、特に、作業中の安全性および小型化をバランスよく、より高い水準で発揮することができる。角度θAが小さすぎると、空間S1が比較的狭くなり、他の条件によっては(例えば、第1アーム23の先端部231のZ軸方向の長さが小さい場合)、第1傾斜部7を設けたことの効果が減少するおそれがある。一方、角度θAを、前記上限値を超える値としても、それ以上の効果の向上が見込めない。
なお、端面81は、第2回転軸J2の周方向に沿って湾曲していてもよい。
【0032】
なお、第1傾斜面71は、第1アーム23の先端部231において、Z軸方向の一部のみに設けられているが、第1アーム23の先端部231において、Z軸方向、すなわち、第2回転軸J2の軸方向の全域にわたって設けられた第1傾斜面72となっていてもよい。これにより、空間S1をより広く確保することができる。よって、作業中の安全性をより高めることができる。
【0033】
また、第1傾斜部7の第1傾斜面72が第1アーム23の先端部231の下面33から上面230付近まで形成され、上方に向かって第2回転軸J2との距離が大きくなるよう傾斜しているため、ロボットアーム22の作動中または停止中に、第2アーム24のアームベース3の下面33と先端部231の上面230との隙間Gに、X軸方向プラス側から誤って指F等を挿入してしまうことを防止または抑制することができ、安全性に優れる。
【0034】
第1傾斜面71は、互いに傾斜角度の異なる2つ以上の平面を有していてもよい。この場合、角度θAは、各平面の第2回転軸J2との傾斜角度の平均値とすることができる。
【0035】
なお、第1傾斜面71は、平面に限定されず、Y軸方向から見て、第2回転軸J2に向かって湾曲した湾曲凹面であってもよく、第2回転軸J2と反対側に向かって湾曲した湾曲凸面であってもよい。
【0036】
また、第1傾斜面71は、第2回転軸J2の周方向に沿って湾曲、または複数に屈曲していてもよい。
【0037】
また、第1傾斜面71は、角度θA、平面・湾曲面等の別の条件がY軸方向に沿ってあるいは第2回転軸J2の周方向に沿って異なる部位を有していてもよい。
【0038】
このような第1傾斜部7により、ロボットアーム22の作動による作業中の安全性を高めることができる。
【0039】
また、
図1および
図2に示すように、第1アーム23の先端部231には、+Z軸側に開放する凹部で構成された開放部としての設置孔232が形成されている。設置孔232の底部には、第2駆動部28の下端部が設置されている。また、設置孔232の孔径は、第2駆動部28の外径よりも大きい。これにより、隙間G側に開放する空間が形成される。よって、この空間を介して第2駆動部28の放熱を行うことができる。
【0040】
このように第1アーム23は、駆動部である第2駆動部28が設置され、第1アーム23側に開放する開放部としての設置孔232を有する。これにより、第2駆動部28の放熱を良好に行うことができる。
【0041】
図1に示すように、隙間GのZ軸方向の距離、すなわち、第1アーム23と第2アーム24との離間距離D3と、第1アーム23のZ軸方向の長さD4との比D3/D4は、特に限定されないが、0.1以上0.7以下であることが好ましく、0.2以上0.5以下であることがより好ましい。これにより、D3を十分に確保することができ、指を入れやすくすることができるとともに、第1アーム23の外観形状に占める割合を適正化することにより、見る者に安定感を与えることができ、審美性を高めることができる。
【0042】
同様の観点から、第2アーム24のZ軸方向の長さ、すなわち、後述するD1+D2と、D3との比D3/D1+D2は、特に限定されないが、0.09以上0.6以下であることが好ましく、0.2以上0.4以下であることがより好ましい。
【0043】
次に、第2アーム24の構造について説明する。
図1および
図2に示すように、第2アーム24は、第2アーム24の基本骨格をなすアームベース3と、第2アーム24の外観形状の大半を担うアームカバー4と、を備える。アームカバー4は、第2アーム24の搭載物を覆い、保護するケーシングとして機能する。
【0044】
アームベース3は、剛体で構成され、作業ヘッド25や第2駆動部28、第1駆動機構291および第2駆動機構292等、第2アーム24に搭載される搭載物の各部を支持するものである。アームベース3は、主に、Z軸方向に所定の厚さを有し、直線状、つまりX軸方向に延在する長手形状をなす板状部材で構成されている。また、アームベース3の長手方向と直交する方向、つまりY軸方向にある部分を側部と言う。アームベース3の厚さは、アームベース3の側面30のZ軸方向の長さに等しい。
【0045】
なお、アームベース3は、中空部と、該中空部を複数の空間に仕切るようなリブとを有し、全体として板状をなす構成のものでもよい。これにより、アームベース3は、十分な強度の確保と軽量化とを両立することができる。このような構成のアームベース3では、アームベース3の外周に沿って形成された側壁の外面に側面30が形成される。
【0046】
アームベース3の構成材料としては、例えば、各種金属材料、各種樹脂材料、特に硬質樹脂材料、各種セラミックスが挙げられ、これらを任意に組み合わせた複合材料であってもよい。
【0047】
アームベース3は、第2駆動部28が設置、固定される設置部31と、作業ヘッド25が設置、固定される設置部32と、を有する。
【0048】
設置部31は、アームベース3の基端部に設けられ、アームベース3の厚さ方向に貫通する貫通孔で構成されている。設置部31の内周面には、第2駆動部28の図示しない減速機の出力軸の外周面が固定されている。
【0049】
設置部32は、アームベース3の先端部に設けられ、アームベース3の厚さ方向に貫通する貫通孔で構成されている。設置部32の内周面には、作業ヘッド25のスプラインシャフト253を支持する図示しないベアリングの外周面が固定されている。
【0050】
アームカバー4は、アームベース3の上部を覆い、作業ヘッド25や第2駆動部28等、第2アーム24の内部に搭載される搭載物の各部を保護する機能を有する。アームカバー4は、アームベース3に対して着脱可能に装着される。本実施形態では、アームカバー4をアームベース3に装着した際、固定部材としてのネジ5を介して固定される。このことに関しては、後に詳述する。
【0051】
アームカバー4は、アームカバー本体41と、アームベース3の側面30の一部を覆う被覆部42と、を有する。被覆部42は、アームカバー4の基端部、すなわち第2回転軸J2側に設けられている。
【0052】
アームカバー本体41は、筐体で構成され、アームベース3の上部を覆うものである。アームカバー本体41は、例えば、樹脂材料を所望の立体形状に成形した板材で構成される。このアームカバー本体は、力を加えると若干変形する程度の弾性を有するのが好ましい。また、アームカバー本体41は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属材料による板材を所望の立体形状に成形したものでもよい。
【0053】
図2、
図3、
図7および
図8に示すように、アームカバー本体41は、天面41Aおよび基端面41Bを有し、天面41Aおよび基端面41Bには、それぞれ、スリット411が形成されている。スリット411は、天面41Aにおいては、X軸方向に沿って形成されており、アームカバー本体41のX軸方向中央部付近から基端側まで形成されている。特に、第2アーム24を鉛直方向に沿って平面視、すなわちZ軸方向に沿ってプラス側からマイナス側に見ると、スリット411の先端側の端部は、第1傾斜部7よりもX軸方向マイナス側に形成されている。また、スリット411は、基端面41Bにおいては、Z軸方向に沿って上端から下端まで形成されている。また、スリット411は、配管10が天面41Aを貫通する部分から基端面41BのZ軸方向中央部付近にわたって形成され、スリットの幅が広くなっている幅広開口部412を有する。アームカバー4をアームベース3から離脱させる際、配管10が幅広開口部412の長手方向に沿って移動する。従って、幅広開口部412の幅、すなわちY軸方向の長さは、配管10の外径にほぼ等しい値となっている。
【0054】
このようなスリット411および幅広開口部412は、アームカバー4のアームベース3への着脱時に、アームカバー4に外力を加えてアームカバー4を変形させ、着脱の操作を容易に行うことができるようにするためのものである。
【0055】
なお、スリット411および幅広開口部412の形状や配置パターンは、図示の構成に限定されない。例えば、
図8に示すように、スリット411を幅広開口部412よりも幅広に形成し、配管10と接続する配管コネクター413、第1コネクター414、第2コネクター415、およびネジ416が設けられた凹部417を、スリット411から露出するように設けてもよい。このとき、第2アーム24は、凹部417の底部を構成する底部構成部材を有するとともに、天面41Aは、凹部417の側壁部を構成する。配管コネクター413、第1コネクター414、第2コネクター415、およびネジ416は、それぞれ、凹部417の底部に取り付けられる。
【0056】
第1コネクター414としては、例えば、第2アーム24やエンドエフェクターに装着されるカメラ用のコネクター等が挙げられる。また、第2コネクター415としては、例えば、エンドエフェクターで用いる圧縮空気を供給するためのコネクター等が挙げられる。第1コネクター414および第2コネクター415は、配管コネクター413よりも第2アーム24の先端側であって、スリット411の先端側の端部よりも第2アーム24の基端側に配置される。これにより、第2アーム24が回転する際に、第1コネクター414および第2コネクター415と接続する配線等と配管コネクター413と接続する配管10とが捻じれて干渉してしまうことを防止できる。
【0057】
また、第1コネクター414は、第2駆動部28よりも第2アーム24の先端側の位置に設けられる。これにより、スペースに余裕のある位置に第1コネクター414の配線を配置することでき、配線作業が容易となる。また、第1コネクター414は、第2コネクター415よりも大きく、第1傾斜部7と上下方向に重なる位置に設けられる。これにより、第2コネクター415よりも大きな第1コネクター414が第1アーム23により支えられているという安定感を見る者に与えることができ、審美性を高めることができる。
【0058】
また、第2コネクター415は、第1コネクター414よりも第2アーム24の先端側に配置される。これにより、配管コネクター413と第1コネクター414との距離よりも、配管コネクター413と第2コネクター415との距離の方が長くなり、第2コネクター415と接続する配線等の屈曲を、第1コネクター414と接続する配線等の屈曲よりも抑えることができる。特に、電線等と比較して圧縮空気用のチューブは屈曲させにくいため、カメラ用のコネクターを第1コネクター414として設け、圧縮空気を供給するためのコネクターを第2コネクター415として設けることが好ましい。
【0059】
ネジ416は、凹部417に4つ設けられており、4つのうち2つは第2アーム24の基端側に配置され、残り2つは第2アーム24の先端側に配置される。第2アーム24の基端側にある2つは、第1傾斜部7と上下方向に重なる位置に配置され、第2アーム24の先端側にある2つは、第1コネクター414と第2コネクター415との間に配置される。4つのネジ416は、いずれも水平に配置されており、天面41Aの上方に板などを取り付ける際には、板を水平に取り付けることができる。
【0060】
被覆部42は、アームカバー本体41から下方に向かって突出して設けられ、アームベース3にアームカバー4を装着した状態(以下単に「装着状態」と言う)では、アームベース3の側面30の一部を覆う。図示の構成では、被覆部42は、アームベース3の側面30のうち、基端側の部分を覆うように、約半周設けられている。換言すれば、被覆部42は、アームベース3の側面30の関節部である第2駆動部28に対応する部分に設けられ、すなわち第2駆動部28の外周部を覆うように設けられ、作業ヘッド25の設置部32の外周部には設けられていない。これにより、アームカバー4の、第2駆動部28に対応する部分の剛性をより高めることができ、また、第2駆動部28付近への塵、埃等の侵入防止効果も高まり、これらの相乗効果により、第2駆動部28を有効に保護することができる。さらに、ユーザーが周辺機器や配線などを当該部分に設置してしまうのを効果的に抑制することができ、該設置によってロボットアーム22の動作が阻害されるのを防止することができる。
【0061】
図示の構成では、被覆部42は、Y軸方向から見て、第2駆動部28のX軸方向の全域を覆っている。ただし、この構成に限定されず、被覆部42は、Y軸方向から見て、第2駆動部28のX軸方向における一部を覆っていてもよい。被覆部42の先端部424、すなわち、X軸方向マイナス側の端部は、第2回転軸J2方向、すなわち、Y-Z平面に沿って直線状になっている。なお、先端部424は、側面視、すなわちY軸方向に沿って見たときに、上方、すなわちZ軸方向プラス側に行くに従って第2回転軸J2との距離が大きくなるよう傾斜していてもよい。
【0062】
アームベース3の側面30のうち、中央部よりも先端側の部分は、被覆部42で覆われておらず、すなわち被覆部42から露出している。これにより、露出している部分からアームベース3の放熱を行うことができる。以下、側面30のうち被覆部42から露出している部分を第2面30Bと言い、側面30のうち被覆部42で被覆されている部分を第3面30Cと言う。
【0063】
図5に示すように、被覆部42の下端423は、アームベース3の厚さ方向の下端である下面33より下側に位置している。すなわち、被覆部42は、アームベース3の下面33を超えて側面30を被覆している。これにより、側面30の被覆の効果がより向上し、塵、埃等の侵入防止効果、すなわちアームカバー4による内部保護効果がより高まる。ただし、この構成に限定されず、被覆部42の下端423は、アームベース3の下面33とZ軸方向の位置が同じであってもよく、またはアームベース3の下面33より上側でかつアームベース3の上端より下側に位置していてもよい。なお、被覆部42の下端423がアームベース3の下面33を超えるか、同じ位置である場合には、アームベース3の下面33が邪魔にならず、指Fを被覆部42の下端423に引っ掛けやすくなるため、離脱操作しやすい。
【0064】
図1に示すように、アームカバー4の天面41Aとアームカバー本体41の下端(被覆部42との境界部)までのZ軸方向の距離、すなわち、アームカバー本体41のZ軸方向の長さD1と、側面30のZ軸方向の長さD2との比D2/D1は、特に限定されないが、0.1以上0.8以下であることが好ましく、0.3以上0.6以下であることがより好ましい。これにより、アームカバー本体41より重く強度の高いアームベース3の第3面30Cを十分に見せるとともに、アームベース3よりも軽いアームカバー本体41が第2アーム24の外観形状に占める割合を適正化することにより、見る者に安定感とともに機敏な印象を与えることができ、審美性を高めることができる。
【0065】
なお、本実施形態では、アームカバー4の天面41A、アームカバー本体41の下端、被覆部42の下端423およびアームベース3の下面33は、水平方向に沿っている。ただし、この構成に限定されず、これらは、水平方向に対して傾斜していてもよい。
【0066】
図4に示すように、第2回転軸J2の軸方向から見て、被覆部42が第2回転軸J2回りに存在している範囲の角度をθ1としたとき、θ1は、特に限定されないが、10°以上300°以下であることが好ましく、45°以上280°以下であることがより好ましく、90°以上270°以下であるのがさらに好ましい。これにより、被覆部42が広範囲にわたって形成され、被覆部42を設置することによる効果、すなわち離脱操作の操作性の向上効果と、アームベース3の搭載物、特に第2駆動部28の保護効果と、を必要かつ十分に発揮することができる。
【0067】
なお、本実施形態では、被覆部42は、角度θ1の範囲内において、周方向に連続的に形成されているが、これに限らず、周方向に沿って複数の被覆部42が断続的または間欠的に形成されていてもよい。
【0068】
図3、
図4および
図5に示すように、被覆部42は、アームカバー4の装着状態で、空隙Sを介してアームベース3の側面30の第3面30Cを覆う部分を有する。また、被覆部42は、下方に行くに従って、すなわち、第1アーム23に近づくに従って、第2回転軸J2との距離が大きくなるよう所定角度θB傾斜する第2傾斜部421を有する。第2傾斜部421は、被覆部42の少なくとも基端部側の部分に形成されている。第2傾斜部421は、空隙Sを介して、側面30の第3面30Cを覆っている。
このような構成とすることにより、以下の効果Bおよび効果Cを得ることができる。
【0069】
(効果B)
アームカバー4を把持し、アームベース3から離脱させる際、
図5に示すように、被覆部42が側面30(第3面30C)から離れているため、空隙Sを有さない場合に比べ、指Fがアームベース3に接触し難くなり、指Fを被覆部42に引っ掛けやすくなる。また、被覆部42と側面30との間に手の指Fを挿入し、被覆部42の下端(下端423)に指Fを引っ掛けてもよい。よって、アームカバー4を把持し易く、アームカバー4を持ち上げ易く、アームカバー4のアームベース3からの離脱操作(以下単に「離脱操作」と言う)を容易かつ迅速に行うことができる。また、被覆部42は、第2傾斜部421を有しており、第2傾斜部421は、下方に行くに従って第2回転軸J2との距離が大きくなるよう傾斜していることから、下方に行くに従って空隙Sを広くとることができる。このため、第2傾斜部421を側面30からさらに離すことができ、前述した離脱操作をさらに容易かつ迅速に行うことができる。
【0070】
(効果C)
第1駆動部27、第2駆動部28、第1駆動機構291および第2駆動機構292が駆動した際、それらが有する各モーターが発熱し、それらを支持するアームベース3が昇温し、アームベース3の一部は、常温よりも高温、例えば28℃以上70℃以下の温度となることがある。本実施形態のロボット2では、アームベース3は、側面30のうち第3面30Cからも放熱を行うことができ、アームベース3の温度を下げることができる。これにより、各モーターの温度を下げることが可能となり、各モーターにおける出力の向上や、過熱による異常の抑制などを実現することができる。側面30のうち、被覆部42に覆われていない部分である第2面30Bはもちろんのこと、被覆部42により覆われている部分も、前述したように空隙Sを介して覆われているため、空隙Sを有さない場合に比べより多く放熱を行うことができる。また、空隙Sは、下方に開放しているため、第2アーム24の移動とともに、外部から空気が出入りしやすく、前述した放熱をより効果的に行うことができる。また、被覆部42は、第2傾斜部421を有しており、下方に行くに従って空隙Sを広くとることができる。このため、外部から空気がさらに出入りしやすくなり、前述した放熱をさらに効果的に行うことができる。
【0071】
また、被覆部42は、アームベース3の側面30(第3面30C)から離間するように傾斜する第2傾斜部421を有する。第2傾斜部421は、下方に向かって広がるように、すなわち側面30(第3面30C)から遠ざかるように第2回転軸J2に対して傾斜している。
【0072】
図3および
図5に示すように、第2傾斜部421は、下方に向かって第2回転軸J2から遠ざかるように傾斜した第2傾斜面422を有する。第2傾斜面422は、Y軸方向から見たとき、直線状をなしている。
【0073】
また、被覆部42の全部が第2傾斜部421となっている。すなわち、被覆部42の全周にわたって第2傾斜部421が形成されている。ただしこの構成に限定されず、被覆部42の一部のみが第2傾斜部421となっていてもよい。このとき、第2傾斜部421となっていない被覆部42の部分は、その外面が第2回転軸J2に対して平行な形状となっていてもよく、その外面が側面30(第3面30C)からの離間距離が一定となるように側面30に対し平行な形状となっていてもよく、側面30(第3面30C)との間に空隙Sを介していればどのような形状となっていてもよい。
【0074】
このような第2傾斜部421を有することにより、以下の効果Dが得られる。
(効果D)
図2に示すように、被覆部42が、Y軸方向から見たとき、Y-Z平面に沿った仮想面である外周面420Xを有する構成と比較してみると、第2傾斜部421が形成されていることにより、その分、欠損部すなわち空間S2が形成されることとなる。この空間S2を有する分、ロボットアーム22の作動に際し、被覆部42、特に第2アーム24の基端部を他の物体と干渉(例えば、接触、衝突等)しにくくすることができる。すなわち、第2アーム24が他の物体と干渉しようとした際、空間S2が当該物体の逃げ空間となり、干渉を回避することができる。よって、ロボットアーム22の作動による作業中の安全性を高めることができる。
【0075】
第2傾斜面422と第2回転軸J2とのなす角度θBは、特に限定されないが、角度θBの平均値は、45°以上80°以下であるのが好ましく、50°以上70°以下であるのがより好ましい。これにより、上記効果Dをより確実に発揮することができ、また、上記効果BおよびCにとっても有利である。角度θBが小さすぎると、空間S2が比較的狭くなり、他の条件によっては(例えば、前述した長さD2が小さい場合)、第2傾斜部421を設けたことの効果が減少するおそれがある。一方、角度θBを、前記上限値を超える値としても、それ以上の効果の向上が見込めない。
【0076】
角度θAおよび角度θBの差、すなわちθA-θBの絶対値は、特に限定されないが、0°以上25°以下であることが好ましく、0°以上18°以下であることがより好ましく、1°以上12°以下であることがさらに好ましい。これにより、第1傾斜部7と第2傾斜部421とで、上記効果Aおよび効果Dの乖離を小さくすることができる。また、Y軸方向から見たとき、初期姿勢において、第1アーム23および第2アーム24に一体感が生まれ、ロボットアーム22全体のデザインに一体感、安定感があり、審美性に優れる。
【0077】
第2傾斜部421は、被覆部42のZ軸方向の全域にわたって設けられている。これにより、指を被覆部42内に挿入しやすくすることができ、上記効果B~D、特に上記効果Bをより確実に発揮することができる。
【0078】
なお、第2傾斜部421は、被覆部42において、Z軸方向の一部のみに設けられていてもよい。
【0079】
第2傾斜面422は、互いに傾斜角度の異なる2つ以上の平面を有していてもよい。この場合、角度θBは、各平面の第2回転軸J2との傾斜角度の平均値とすることができる。
【0080】
なお、第2傾斜面422は、平面に限定されず、X-Y平面上の任意の方向から見て、第2回転軸J2に向かって湾曲した湾曲凹面であってもよく、第2回転軸J2と反対側に向かって湾曲した湾曲凸面であってもよい。
【0081】
また、第2傾斜面422は、第2回転軸J2の周方向に沿って湾曲し、または複数に屈曲していてもよい。
【0082】
また、第2傾斜面422は、角度θB、平面・湾曲面等の別の条件がY軸方向に沿ってあるいは第2回転軸J2の周方向に沿って同一でも、異なる部位を有していてもよい。後者の場合、例えば、
図3~
図5に示すように、被覆部42のうち最も基端側、すなわちX軸方向プラス側(例えば、
図4中のスリット411付近の部位)に形成された第2傾斜面422の角度θBの平均値を角度θB1とし、それより先端側、すなわちX軸方向マイナス側の被覆部42(例えば、
図4中のネジ5の設置部付近の部位)に形成された第2傾斜面422の角度θBの平均値を角度θB2としたとき、角度θB1>角度θB2とすること、特に、角度θB1≧1.2×角度θB2とすることができる。これにより、離脱操作の操作性向上と、放熱性向上とをバランス良く得ることができ、審美性も向上する。
【0083】
図3および
図4に示すように、第2傾斜部421の側面30(第3面30C)に対する最大離間距離Dは、特に限定されないが、10mm以上100mm以下であることが好ましく、15mm以上50mm以下であることがより好ましい。これにより、第2傾斜部421と側面30(第3面30C)との距離がより適正化される。すなわち、離脱操作の際、指Fがアームベース3に接触し難くなるとともに、隙間に指Fを過不足なく挿入することができ、離脱操作を容易に行うことができる。また、最大離間距離Dを上記範囲とすることは、放熱効果の観点からも好ましい。
なお、第2傾斜部421が下方に向かって広がるように傾斜しているため、第2傾斜部421の下端(下端423)が、側面30(第3面30C)に対する最大離間距離Dとなる。
【0084】
第2傾斜部421は、被覆部42の下端423に向かって、アームベース3の側面30との離間距離が連続的または段階的に大きくなるような形状となっている。すなわち、第2傾斜部421は、下方に向かって広がるように傾斜して設けられている。これにより、
図5に示すように、第2傾斜部421と側面30(第3面30C)との間に指Fを挿入した際、上側に行くほど離間距離が狭くなっているので、指Fの挿入深さを規制し、アームカバー4をさらに把持し易くすることができる。
【0085】
図4に示すように、第2回転軸J2の軸方向から見て、第2傾斜部421が第2回転軸J2回りに存在している範囲の角度をθ2としたとき、θ2は、特に限定されないが、5°以上300°以下であることが好ましく、30°以上270°以下であることがより好ましい。これにより、第2傾斜部421が比較的広範囲にわたって形成され、離脱操作の操作性がより向上し、また、上述した効果B~Dを必要かつ十分に発揮することができる。
【0086】
なお、本実施形態では、第2傾斜部421は、角度θ2の範囲内において、周方向に連続的に形成されているが、これに限らず、周方向に沿って複数の第2傾斜部421が断続的または間欠的に形成されていてもよい。
【0087】
また、θ2をθ1との関係で考察すると、θ2/θ1は、0.05以上1以下であることが好ましく0.2以上0.8以下であることがより好ましく、0.3以上0.6以下であることがさらに好ましい。これにより、第2傾斜部421の存在している範囲を必要かつ十分に確保することができ、上記効果B~Dをより高い水準で両立することができる。本実施形態では、
図4に示す構成では、θ2/θ1=1となっている。
【0088】
θ2/θ1が1未満の場合でも、被覆部42のうち最も基端側、すなわちX軸方向プラス側(例えば、
図4中のスリット411付近の部位)に、第2傾斜部421が形成されていることが好ましい。
【0089】
図1~
図4、
図6、
図7および
図8に示すように、アームカバー4は、
図1に示すように、アームベース3への装着状態で、固定部材であるネジ5によってアームベース3に固定される。特に、アームベース3の側面30に固定される。これにより、アームベース3に対しアームカバー4を確実に、安定的に固定することができ、作業中に振動、衝撃、その他の外力等が加わった場合でも、アームカバー4の不本意な脱落等を防止することができる。ネジ5は、被覆部42に形成された図示しない貫通孔およびアームベース3の側面30(第3面30C)に形成されたネジ穴に挿入、螺合することにより、被覆部42をアームベース3に固定している。これにより、アームベース3の側面30(第3面30C)にネジ穴を形成するという簡単な方法でアームカバー4をアームベース3に固定することができる。
【0090】
なお、ネジ5は、アームベース3の下面33より上側であって、被覆部42の先端部424かつ下端423の付近に配置されており、アームカバー4の端部はねじ5によりアームベース3に固定されている。これにより、第2アーム24が動作する際などに、アームカバー4の端部がアームベース3から浮いてしまうことを防止でき、アームカバー4の端部とアームベース3との間に隙間が生ずることを抑制できる。結果、第2アーム24内にある第2駆動部28、第1駆動機構291、および第2駆動機構292などから異物が発生しても、異物が第2アーム24の外に出てしまうことを抑制できる。なお、ネジ5は、下端423の付近以外に配置されていてもよい。
【0091】
図示の構成では、第2傾斜部421の無い被覆部42にネジ止めする構成として、アームベース3の側部にある被覆部42をネジ止めしているが、第2傾斜部421のある被覆部42をネジ止めしてもよい。第2傾斜部421をネジ止めする場合は、比較的長いネジ5を用いるか、または、第2傾斜部421よりも上部の被覆部42をネジ止めすることにより、上記のようにネジ止めによる固定を簡易に確実に行うことができる。特に、被覆部42の全部が第2傾斜部421となっている場合には上述のようにネジ止めすることが好ましい。
【0092】
このようなネジ5によるネジ止めの箇所、すなわち固定箇所は、1箇所でも複数箇所でもよいが、固定をより確実にするために、複数箇所が好ましい。本実施形態では、ネジ5によるネジ止め箇所は、側面30のうち第3面30CのY軸方向プラス側およびY軸方向マイナス側の計2箇所であるが、これに限定されず、第3面30Cの基端面、すなわちX軸方向プラス側の面に1または2箇所以上形成されていてもよい。
【0093】
また、被覆部42のみをアームベース3にネジ止めする構成であってもよく、アームカバー本体41のみをアームベース3にネジ止めする構成であってもよく、アームカバー本体41および被覆部42の双方をアームベース3にネジ止めする構成であってもよい。
【0094】
また、固定部材として、ネジ5を用いる場合について説明したが、本発明ではこれに限定されず、ネジ5以外の固定部材、例えば、ビス、ボルトおよびナット、フック、クリップ、緊締バンド、磁石等を用いてもよく、あるいは、カシメ、嵌合等の方法で固定してもよい。
【0095】
このようなロボット2では、第1傾斜部7が設けられていることにより、ロボットアーム22の作動に際し、第1アーム23の先端部231が他の物体と干渉しにくくすることができ、その結果、作業中の安全性を高めることができる(効果A)。また、被覆部42が第2駆動部28に対応する部分を、空隙Sを介して覆う構成であるため、アームカバー4を着脱する際の操作性を高めることができる(効果B)とともに、放熱性を高めることができる(効果C)。さらに、第2傾斜部421が設けられていることにより空隙Sをさらに広げることができ、着脱する際の操作性を高めることができる(効果B)とともに、放熱性を高めることができる(効果C)。また、同じく第2傾斜部421が設けられていることにより、ロボットアーム22の作動に際し、被覆部42、ひいては第2アーム24を他の物体と干渉しにくくすることができ、その結果、安全性を高めることができる(効果D)。
【0096】
また、第1傾斜部7は第2アーム24に近づくほど広がり、第2傾斜部421は第1アーム23に近づくほど広がっているため、第1アーム23および第2アーム24が連続しているとの一体感を出すことができる。また、傾斜している部分が一か所のみ、例えば第2傾斜部421のみ設けられる場合には、第2傾斜部421が目立つことで一体感が損なわれてしまうことが考えられるが、第1傾斜部7および第2傾斜部421を有することにより、傾斜している部分が複数箇所ある分、一か所の傾斜部のみが目立ってしまって一体感が損なわれるのを防止することができる。また、第1傾斜部7が第1アーム23の先端部231に設けられ、第2傾斜部421が第2アーム24の基端部に設けられているため、第1アーム23および第2アーム24の境界において一体感を出すことができる。よって、審美性に優れる。なお、本実施形態では、距離が近い、第1アーム23の先端部231の端部8Aと第2アーム24の被覆部42の先端部424とを第2回転軸J2方向に沿った形状とすることで、第1アーム23および第2アーム24の一体感を高めている。この他にも、第1傾斜部7を先端部231の第2回転軸J2の軸方向の全域にわたって設けられた第1傾斜面72とするとともに、第2アーム24の被覆部42の先端部424を傾斜させることで、第1アーム23および第2アーム24の一体感をさらに高めてもよい。
【0097】
以上説明したように、ロボット2は、基台21と、基台21に対し第1回転軸J1の回りに回転可能に接続される第1アーム23と、第1アーム23の先端部231に、第1アーム23に対し第1回転軸J1と平行な第2回転軸J2の回りに回転可能に接続され、アームベース3と、アームベース3の上部を覆うアームカバー4と、を有する第2アーム24と、アームベース3の第2回転軸J2上に配置され、第2アーム24を回転させる駆動部である第2駆動部28と、を備える。また、アームカバー4は、アームベース3の側面のうち第2駆動部28に対応する部分に少なくとも設けられる被覆部42と、を有し、第1アーム23は、第1アーム23の先端部231に設けられ、上方に行くに従って第2回転軸J2との距離が大きくなるよう傾斜する第1傾斜部7を有し、被覆部42は、被覆部42の少なくとも基端部に設けられ、下方に行くに従って第2回転軸J2との距離が大きくなるよう傾斜する第2傾斜部421を有する。これにより、放熱性および審美性を高めることができる。
【0098】
第1傾斜部7と第2傾斜部421とは、第2回転軸J2に対する傾斜方向が同じである部分を有する。なお、本実施形態では、第1傾斜部7と第2傾斜部421との全部が、第2回転軸J2に対する傾斜方向が同じである。これにより、ロボットアーム22全体のデザインに一体感、安定感が生じ、審美性を高めることができる。なお、第1傾斜部7と第2傾斜部421とは、互いに異なる方向に傾斜していてもよい。
【0099】
第1傾斜部7と第2傾斜部421とは、第2回転軸J2に対する傾斜角度が同じである部分を有する。これにより、ロボットアーム22全体のデザインに一体感、安定感が生じ、審美性をさらに高めることができる。なお、第1傾斜部7と第2傾斜部421とは、傾斜角度が異なる部分を有していてもよい。
【0100】
また、第1アーム23の先端部231は、第1傾斜部7Aと、第1傾斜部7Aの上方に隣接し、第2回転軸J2方向に沿った端部8Aと、を有する。これにより、作業中の安全性を高めることができ、また、ロボット2の小型化を図ることができる。
【0101】
第2傾斜部421は、被覆部42の第2回転軸J2の軸方向における全域にわたって設けられている。これにより、第2アーム24における作業中の安全性をより高めることができる。また、離脱操作の操作性の向上や、放熱性の向上にも寄与する。
【0102】
なお、第2傾斜部421は、被覆部42の第2回転軸J2の軸方向の一部のみに設けられていてもよい。
【0103】
このような被覆部42は、アームカバー本体41よりも柔軟性を有する材料で構成されていることが好ましい。これにより、被覆部42に指を挿入しやすくすることができるとともに、作業中の安全性をさらに高めることができる。柔軟性を有する材料としては、各種樹脂材料、各種ゴム材料等が挙げられる。
【0104】
被覆部42は、柔軟性を有する材料で構成されている。これにより、被覆部42に指を引っかけやすくすることができる。また、被覆部42に外力が加わった際、形状が変更可能となるため、作業中の安全性をより高めることができる。
【0105】
なお、アームカバー本体41および被覆部42は、同じ材料で一体的に形成されていてもよい。この場合、被覆部42の厚さをアームカバー本体41の厚さよりも薄くすること、または被覆部42の各所にスリット、薄肉部等を設けることにより、被覆部42に柔軟性を持たせることができ、上記効果を容易に発揮することができる。
【0106】
次に、アームカバー4をアームベース3から離脱する離脱操作の手順について説明する。
【0107】
手順1:
アームカバー4の装着状態において、まず、図示しないドライバーを用いて全てのネジ5を取り外す。
【0108】
手順2:
次いで、
図6に示すように、例えば、右手HRで被覆部42を把持し、左手HLでアームカバー本体41の先端部を把持する。この際、
図5に示すように、右手HRの指Fを被覆部42の第2傾斜部421の内側に挿入し、引っ掛ける。
【0109】
手順3:
次いで、左手HLでアームカバー本体41の先端部を上方に持ち上げるとともに、指Fを第2傾斜部421に引っ掛けたまま右手HRで被覆部42を上方に持ち上げる。アームカバー4を持ち上げる際、配管10は、スリット411の幅広開口部412内をその長手方向に移動する。
【0110】
手順4:
次いで、手順3でアームカバー4を持ち上げた状態を維持しつつ、
図7および
図8に示すように、左手HLを持ちかえて、被覆部42のスリット411よりもY軸方向マイナス側の部分を左手HLで把持し、右手HRを持ちかえて、被覆部42のスリット411よりもY軸方向プラス側の部分を右手HRで把持する。このとき、
図7に示すように、被覆部42のY軸方向マイナス側の側部を左手HLで把持し、被覆部42のY軸方向プラス側の側部を右手HRで把持してもよいし、
図7に示すように、被覆部42の基端部側であって、スリット411のY軸方向マイナス側にある第2傾斜部421を左手HLで把持し、Y軸方向プラス側にある第2傾斜部421を右手HRで把持してもよい。そして、アームカバー本体41のY軸方向マイナス側の部分とY軸方向プラス側の部分とが離間するように、すなわちスリット411が開くようにアームカバー本体41に力を加え、スリット411が開いた状態でスリット411から配管10が離脱するようにアームカバー4を若干持ち上げる。
【0111】
手順5:
次いで、アームカバー4からスプラインシャフト253を抜去するように、アームカバー4をさらに上方に持ち上げる。
【0112】
このような手順1~5を経てアームカバー4をアームベース3から離脱させることができる。なお、手順1~5において、用いる手の左右は逆であってもよい。
【0113】
<第2実施形態>
図9は、本発明の第2実施形態に係るロボットが備える第1アームおよび第2アームの接続部の側面図である。
【0114】
以下、
図9を参照しつつ本発明のロボットの第2実施形態について説明するが、以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については説明を省略する。
【0115】
図9に示すように、第1アーム23の先端部231は、第1傾斜部7の一つである第1傾斜部7Bと、端部8Bとを有する。第1傾斜部7Bは、上方に行くに従って第2回転軸J2との距離が大きくなるように傾斜した第1傾斜面73を有する。この第1傾斜面73は、前記第1実施形態の第1傾斜面71に相当するものである。端部8Bは、第1傾斜部7Bの下方に隣接し、第2回転軸J2方向に沿った面、すなわち、Y-Z平面に沿った端面82を有する。また、第1傾斜部7Bは、被覆部42の先端部424と上下方向に重なる位置に設けられる。
【0116】
このような構成によれば、第1アーム23の先端部231のうち、例えばエンドエフェクターに把持されたワーク等の他の物体が衝突しやすいZ軸方向マイナス側の部分の凹没量を比較的大きく確保することができる。また、第1傾斜部7Bの第1傾斜面73が第1アーム23の先端部231の下面33から上面230まで連続して形成されているため、ロボットアーム22の作動中または停止中に、第2アーム24のアームベース3の下面33と先端部231の上面230との隙間Gに、X軸方向マイナス側から誤って指F等を挿入してしまうことを防止または抑制することができ、安全性に優れる。さらに、斬新なデザインまたは奇抜なデザインとなり、審美性を高めることができる。
【0117】
第1傾斜面73のZ軸方向に沿った長さをL3とし、端面81のZ軸方向に沿った長さをL4としたとき、L3/L4は、0.2以上1.8以下であるのが好ましく、0.7以上1.3以下であるのがより好ましい。これにより、作業中の安全性および小型化をバランスよく高い水準で発揮することができる。
【0118】
第1傾斜面73と第2回転軸J2とのなす角度θDは、特に限定されないが、20°以上80°以下であるのが好ましく、30°以上70°以下であるのがより好ましい。これにより、上記効果Aを十分に発揮することができ、特に、作業中の安全性および小型化をバランスよく、より高い水準で発揮することができる。
なお、端面82は、第2回転軸J2の周方向に沿って湾曲していてもよい。
【0119】
このように、第1アーム23の先端部231は、第1傾斜部7Bと、第1傾斜部7Bの下方に隣接し、第2回転軸J2方向に沿った端部8Bと、を有する。これにより、作業中等における安全性を高めることができ、また、審美性がより優れたロボットアーム22とすることができる。特に、第1アーム23の先端部231の端部8Bと第2アーム24の被覆部42の先端部424とを第2回転軸J2方向に沿った形状とするだけでなく、第1傾斜部7Bを端部8Bと被覆部42の先端部424との間に設けることで、第1アーム23の先端部231および被覆部42の先端部424が全体として傾斜している印象を見る者に与えることができる。これにより、第2傾斜部421とあわせて第1アーム23および第2アーム24の一体感をさらに高めることができる。
【0120】
以上、本発明のロボットを図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明のロボットは、第1および第2実施形態が有する構成を任意に組み合わせたものでもよい。また、本発明のロボットは、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【0121】
なお、基台の第1アーム側の端部に第1傾斜部に相当する傾斜部が形成され、第1アームの基台側の端部、すなわち、基端部に第2傾斜部に相当する傾斜部が形成されていてもよい。この場合であっても、基台と第1アームとの接続部において、上記と同様の効果を得ることができる。
【0122】
また、被覆部の+Y軸側の縁部、すなわち、第2アームの側面視において、被覆部とアームベースとの境界部は、傾斜していてもよい。この傾斜角度および傾斜方向が第1傾斜部および第2傾斜部の少なくとも一方と同じであると、デザインに一体感が生まれ、審美性をさらに高めることができる。
【符号の説明】
【0123】
1…ロボットシステム、2…ロボット、3…アームベース、4…アームカバー、5…ネジ、7…第1傾斜部、7A…第1傾斜部、7B…第1傾斜部、8A…端部、8B…端部、9…ロボット制御装置、10…配管、21…基台、22…ロボットアーム、23…第1アーム、24…第2アーム、25…作業ヘッド、26…下端部、27…第1駆動部、28…第2駆動部、30…側面、30B…第2面、30C…第3面、31…設置部、32…設置部、33…下面、41…アームカバー本体、41A…天面、41B…基端面、42…被覆部、71…第1傾斜面、72…第1傾斜面、73…第1傾斜面、81…端面、82…端面、100…床面、210…上面、230…上面、230X…先端面、231…先端部、232…設置孔、251…スプラインナット、252…ボールネジナット、253…スプラインシャフト、291…第1駆動機構、292…第2駆動機構、411…スリット、412…幅広開口部、413…配管コネクター、414…第1コネクター、415…第2コネクター、416…ネジ、420X…外周面、421…第2傾斜部、422…第2傾斜面、423…下端、424…先端部、D…最大離間距離、D1…長さ、D2…長さ、D3…離間距離、D4…長さ、F…指、G…隙間、HL…左手、HR…右手、J1…第1回転軸、J2…第2回転軸、J3…第3回転軸、L1…長さ、L2…長さ、L3…長さ、L4…長さ、S…空隙、S1…空間、S2…空間、θ1…角度、θ2…角度、θA…角度、θB…角度、θB1…角度、θB2…角度、θC…角度、