(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136283
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】配車システム、配車方法、及び車載装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20240927BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240927BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20240927BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20240927BHJP
【FI】
G08G1/123
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047361
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】512200217
【氏名又は名称】GO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 隆由
(72)【発明者】
【氏名】山本 彰祐
(72)【発明者】
【氏名】脇田 謙一
(72)【発明者】
【氏名】舩越 健太
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA14
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB13
5H181EE10
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181MC03
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】迎車専用車両の運用を可能とする配車システムを提供する。
【解決手段】配車システム1は、ユーザーが配車依頼を送信するユーザー端末3と、ユーザーからの配車依頼を受け付けユーザーに対して配車を行う配車サーバー5と、ユーザーに配車される車両7に搭載された車載装置9とを備え、車載装置9は、車両7が実車中に配車サーバー5から第1配車依頼を受信し、実車中の車両7を、空車になった際に第1配車依頼に基づいて第1迎車地へ向かわせる第1迎車状態とし、車両7が第1迎車中にユーザーの配車依頼である第2配車依頼に基づく配車が行われる際に第1迎車地を第2配車依頼の第2迎車地に変更する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーが配車依頼を送信するユーザー端末と、
前記ユーザーからの配車依頼を受け付け前記ユーザーに対して配車を行う配車サーバーと、
前記ユーザーに配車される車両に搭載された車載装置とを備え、
前記車載装置は、
前記車両が実車中に前記配車サーバーから第1配車依頼を受信し、
前記実車中の車両を、空車になった際に前記第1配車依頼に基づいて第1迎車地へ向かわせる第1迎車状態とし、
前記車両が第1迎車中に前記ユーザーの配車依頼である第2配車依頼に基づく配車が行われる際に前記第1迎車地を前記第2配車依頼の第2迎車地に変更する、
配車システム。
【請求項2】
請求項1の配車システムであって、
前記車載装置は、前記実車中における決済を開始して完了するまでに前記第1配車依頼を受信する、
配車システム。
【請求項3】
請求項1の配車システムであって、
前記車載装置は、前記車両が実車中であるときに、前記空車になることを予告する空車予告を前記車両のドライバーから受け付けて前記第2配車依頼に基づく前記配車を可能とし、前記空車予告中に前記配車がされると前記車両が空車となったときに前記第2迎車地へ向けた第2迎車状態とする、
配車システム。
【請求項4】
請求項1の配車システムであって、
前記第1迎車地は、前記第1迎車となるときの前記車両から所定範囲内で配車依頼数が多いことが予測されるエリア又は場所である、
配車システム。
【請求項5】
ユーザーが配車依頼を送信するユーザー端末と、
前記ユーザーからの配車依頼を受け付け前記ユーザーに対して配車を行う配車サーバーと、
前記ユーザーに配車される車両に搭載された車載装置とを用いた配車方法であって、
前記車載装置が、
前記車両が実車中に前記配車サーバーから第1配車依頼を受信し、
前記実車中の車両を、空車になった際に前記第1配車依頼に基づいて第1迎車地へ向かわせる第1迎車状態とし、
前記車両が第1迎車中に前記ユーザーの配車依頼である第2配車依頼に基づく配車が行われる際に前記第1迎車地を前記第2配車依頼の第2迎車地に変更する、
配車方法。
【請求項6】
請求項5の配車方法であって、
前記車載装置が、前記実車中における決済を開始して完了するまでに前記第1配車依頼を受信する、
配車方法。
【請求項7】
請求項5の配車方法であって、
前記車載装置が、前記車両が実車中であるときに、前記空車になることを予告する空車予告を前記車両のドライバーから受け付けて前記第2配車依頼に基づく前記配車を可能とし、前記空車予告中に前記配車がされると前記車両が空車となったときに前記第2迎車地へ向けた第2迎車状態とする、
配車方法。
【請求項8】
請求項5の配車方法であって、
前記第1迎車中の車両の状態表示部をカバーによって外部から視認不能に覆う、
配車方法。
【請求項9】
請求項5の配車方法であって、
前記第1迎車地は、前記第1迎車中の車両から所定範囲内で配車依頼数が多いことが予測されるエリア又は場所である、
配車方法。
【請求項10】
ユーザーからの配車依頼に基づいて前記ユーザーに対して配車される車両に搭載された車載装置であって、
前記車両が実車中に前記配車サーバーから第1配車依頼を受信し、
前記実車中の車両を、空車になった際に前記第1配車依頼に基づいて第1迎車地へ向かわせる第1迎車状態とし、
前記車両が第1迎車中に前記ユーザーの配車依頼である第2配車依頼に基づく配車が行われる際に前記第1迎車地を前記第2配車依頼の第2迎車地に変更する、
車載装置。
【請求項11】
請求項10の車載装置であって、
前記実車中における決済を開始して完了するまでに前記第1配車依頼を受信する、
車載装置。
【請求項12】
請求項10の車載装置であって、
前記車両が実車中であるときに、前記空車になることを予告する空車予告を前記車両のドライバーから受け付けて前記第2配車依頼に基づく前記配車を可能とし、前記空車予告中に前記配車がされると前記車両が空車となったときに前記第2迎車地へ向けた第2迎車状態とする、
車載装置。
【請求項13】
請求項10の車載装置であって、
前記車両の状態を表示する状態表示部と、
前記状態表示部を外部から視認不能に覆うカバーとを備え、
前記車両が前記第1迎車中であるときに前記状態表示部が空車を表示すると共に該状態表示部を前記カバーにより覆う、
車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシー等の車両の配車を行う配車システム、配車方法、及び車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乗客を輸送する車両であるタクシーは、近年、携帯電話機等のユーザー端末上でのアプリケーションにより配車依頼をして利用できることが知られている。配車依頼を受けた場合、タクシーは、指定された迎車地までユーザーを迎えに行くことになる。
【0003】
近年では、こうしたアプリケーション等による配車依頼が増加してきており、迎車専用車両を設けることが望まれている。
【0004】
しかし、タクシーは、車両状態が空車になると、状態表示部であるスーパーサインに空車であることを表示し、道端のユーザーに呼び止められた場合にユーザーを乗せる必要が生じる。
【0005】
このため、タクシーは、道端等のユーザーの利用の可能性を排除できず、迎車専用車両として運用することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする問題点は、迎車専用車両として運用することが困難であった点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ユーザーが配車依頼を送信するユーザー端末と、前記ユーザーからの配車依頼を受け付け前記ユーザーに対して配車を行う配車サーバーと、前記ユーザーに配車される車両に搭載された車載装置とを備え、前記車載装置は、前記車両が実車中に前記配車サーバーから第1配車依頼を受信し、前記実車中の車両を、空車になった際に前記第1配車依頼に基づいて第1迎車地へ向かわせる第1配車状態とし、前記車両が第1配車中に前記ユーザーの配車依頼である第2配車依頼に基づく配車が行われる際に前記第1迎車地を前記第2配車依頼の第2迎車地に変更する、配車システムを提供する。
【0009】
また、本発明は、ユーザーが配車依頼を送信するユーザー端末と、前記ユーザーからの配車依頼を受け付け前記ユーザーに対して配車を行う配車サーバーと、前記ユーザーに配車される車両に搭載された車載装置とを用いた配車方法であって、前記車載装置が、前記車両が実車中に前記配車サーバーから第1配車依頼を受信し、前記実車中の車両を、空車になった際に前記第1配車依頼に基づいて第1迎車地へ向かわせる第1配車状態とし、前記車両が第1配車中に前記ユーザーの配車依頼である第2配車依頼に基づく配車が行われる際に前記第1迎車地を前記第2配車依頼の第2迎車地に変更する、配車方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、ユーザーからの配車依頼に基づいて前記ユーザーに対して配車される車両に搭載された車載装置であって、前記車両が実車中に前記配車サーバーから第1配車依頼を受信し、前記実車中の車両を、空車になった際に前記第1配車依頼に基づいて第1迎車地へ向かわせる第1配車状態とし、前記車両が第1配車中に前記ユーザーの配車依頼である第2配車依頼に基づく配車が行われる際に前記第1迎車地を前記第2配車依頼の第2迎車地に変更する、車載装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、空車になった車両を直ちに第1迎車地へ向かわせる第1迎車状態とし、その後に第1迎車地を第2迎車地に変更することで、道端等のユーザーの利用の可能性を排除して迎車専用車両の運用を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1に係る配車システムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、
図1の配車システムに用いられるユーザー端末を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1の配車システムに用いられる配車サーバーを示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図1の配車システムに用いられる車両の車載装置のドライバー端末を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施例1の配車システムによる第1配車処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施例1の配車システムによる配車処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本発明の実施例2に係る配車システムに用いられる車載装置のドライバー端末を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
迎車専用車両の運用を可能とするという目的を、空車になった車両を直ちに第1迎車地へ向かわせる第1迎車状態とし、その後に第1迎車地を第2迎車地に変更することにより実現した。
【0014】
図のように、配車システム1及び配車方法は、ユーザー端末3と、配車サーバー5と、車載装置9とを備えている。ユーザー端末3は、ユーザーが配車依頼を送信するものである。配車サーバー5は、ユーザーからの配車依頼を受け付け、ユーザーに対して配車を行う。車載装置9は、ユーザーに配車される車両7に搭載されたものである。
【0015】
車載装置9は、車両7が実車中に配車サーバー5から第1配車依頼を受信する。実車中の車両7が空車になった際には、車載装置9が第1配車依頼に基づいて車両7を第1迎車地へ向かわせる第1迎車状態とする。車両7が第1迎車中にユーザーの配車依頼である第2配車依頼に基づく配車が行われる際に、第1迎車地を配車依頼の第2迎車地に変更する。
【0016】
この場合において、第1配車中の車両7の状態表示部43をカバー45によって外部から視認不能に覆うのが好ましい。
【0017】
具体的には、車載装置9は、車両の状態を表示する状態表示部43と、状態表示部43を外部から視認不能に覆うカバー45とを備える。車両7が第1迎車中であるときに状態表示部43が空車を表示すると共に状態表示部43をカバー45により覆う。
【0018】
車載装置9は、実車中であればいつでも第1配車依頼を受信することが可能であるが、実車中における決済を開始して完了するまでに第1配車依頼を受信するのが好ましい。
【0019】
車載装置9は、車両7が実車中であるときに、空車になることを予告する空車予告を車両7のドライバーから受け付けてもよい。
【0020】
この場合、車載装置9は、空車予告を受け付けると配車が可能となり、空車予告中に配車がされると車両7が空車となったときに第2迎車地へ向けた第2迎車状態とする。
【0021】
第1迎車地は、任意のエリア又は場所とすることが可能である。ただし、第1迎車地は、第1迎車となるときの車両7から所定範囲内で配車依頼数が多いことが予測されるエリア又は場所であってもよい。
【実施例0022】
[配車システム]
図1は、本発明の実施例1に係る配車システムの概略構成を示す概略図である。
【0023】
本実施例の配車システム1は、ユーザー端末3と、配車サーバー5と、車両7に搭載される車載装置9とを備え、車両7を迎車専用車両として運用する。
【0024】
なお、
図1では、理解容易のためにユーザーのユーザー端末3及び車両7をそれぞれ1台のみ示しているが、実際は、複数台のユーザー端末3及び車両7が配車システム1内に存在する。また、本実施例の車両7は、乗客を輸送する車両、特にタクシーである。
【0025】
迎車専用車両は、道端等のユーザーの利用を排除して、電話による配車依頼又はユーザー端末3による配車依頼を行ったユーザーに対してのみ配車される車両を意味する。
【0026】
配車依頼は、ユーザーが配車を要求するものである。配車は、ユーザーに車両7を割り当て、割り当てた車両7を配車依頼で指定された位置情報に応じた迎車地(乗車地)に向かわせることをいう。
【0027】
なお、ユーザーによる配車依頼は、第2配車依頼と称することがあり、この第2配車依頼の迎車地は、第2迎車地と称する。また、車両7が第2迎車地へ向かう迎車を第2迎車と称する。第2迎車とは、車両7が乗客を乗せずに第2迎車地へ向かうと共に第2配車依頼である配車依頼を行ったユーザーである乗客以外を受け付けない車両ステータスをいう。
【0028】
【0029】
ユーザー端末3は、
図1のように、携帯電話機、タブレット端末、パーソナルコンピューター等の情報処理装置(コンピューター)であり、ネットワーク11を介して配車サーバー5と通信可能に構成されている。ネットワーク11は、公衆回線網、インターネット等のネットワークである。
【0030】
このユーザー端末3は、
図1及び
図2のように、ユーザーインターフェース13と、通信インターフェース15と、プロセッサー17と、記憶部19とを備えている。
【0031】
ユーザーインターフェース13は、情報の入力や表示を可能とするものであり、例えばタッチパネル式のディスプレイである。通信インターフェース15は、配車サーバー5を含む外部装置に対するデータの送受信を行うための通信デバイスである。
【0032】
プロセッサー17は、ユーザー端末3の各部を制御するCPU(Central Processing Unit)等の制御要素であり、記憶部19は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等のメモリーデバイスである。
【0033】
ユーザー端末3は、記憶部19内のユーザーズプログラム(ユーザーズアプリケーション)を実行することによって、配車を要求する第2配車依頼としての配車依頼が可能となっている。すなわち、プロセッサー17は、ユーザーズプログラムの実行により、第2配車依頼部21として機能する。
【0034】
第2配車依頼部21は、第2配車依頼機能を実現し、ユーザー端末3のユーザーインターフェース13上の操作に基づき、第2配車依頼の少なくとも位置情報を入力させる。第2配車依頼の位置情報の入力は、GPS(Global Positioning System)等の測位技術や地図データ等を利用して行えばよい。ただし、位置情報の入力は、住所や座標をテキストによって指定することで行うことも可能である。
【0035】
入力される位置情報は、ユーザーが乗車を希望する場所(車両7による第2迎車が行われる第2迎車地)の位置情報である。ただし、ユーザーが降車を希望する場所(目的地)の位置情報を含めることも可能である。
【0036】
こうして入力された位置情報を含めた第2配車依頼を、第2配車依頼情報としてユーザー端末3から配車サーバー5に送信する。本実施例において、送信される第2配車依頼には、位置情報に加え、第2配車依頼の識別情報である配車依頼ID、ユーザーの氏名、及び電話番号等のユーザー識別情報が含まれる。
【0037】
なお、第2配車依頼は、電話等によって行うことも可能である。この場合、ユーザーが電話等により配車サーバー5の管理会社等にユーザーの位置情報やユーザー識別情報等を連絡し、管理会社等の作業者が配車サーバー5に対して連絡を受けた情報に基づいて配車依頼を入力すればよい。
【0038】
【0039】
配車サーバー5は、情報処理装置(コンピューター)によって構成されており、
図3のように、通信インターフェース23と、プロセッサー25と、記憶部27とを備えている。
【0040】
通信インターフェース23は、ユーザー端末3や車両7の車載装置9を含む外部装置に対するデータの送受信を行うための通信デバイスである。
【0041】
プロセッサー25は、配車サーバー5の制御を行うCPU等の制御要素であり、記憶部27は、RAM、ROM、HDD、SSD等のメモリーデバイスである。
【0042】
本実施例のプロセッサー25は、記憶部27内の配車プログラムを実行することにより、車両情報取得部29と、車両抽出部31と、第1配車依頼部33と、配車伺い部35と、配車実行部37として機能する。
【0043】
車両情報取得部29は、車両情報取得機能を実現し、車両7から位置情報及び稼働情報の車両情報を取得する。具体的には、車両7から随時送信される位置情報及び稼働情報を車両情報取得部29が受信して取得する。取得した位置情報及び稼働情報は、記憶部27内に保持される。
【0044】
稼働情報は、賃走、空車、支払、迎車等の車両7の状態である稼働状態を示すものである。賃走は、車両7が乗客を乗せて走行している実車状態をいう。空車は、車両7が乗客を乗せておらず、乗客を受け付けている状態をいう。支払は、乗客が決済を行っている状態をいう。迎車は、上記の第2迎車を意味する。なお、本実施例において、実車とは、車両7の稼働状態が賃走及び支払の双方を含む。
【0045】
車両抽出部31は、車両抽出機能を実現し、車両7の稼働情報に基づき第1迎車の対象となる車両7を抽出する。第1迎車は、車両7が乗客を乗せずに第1迎車地へ向かうと共に乗客を受け付けない車両ステータスをいう。
【0046】
第1迎車の対象は、事前に車両7の車載装置9で迎車専用車両としての設定が行われた車両7の内、稼働情報が賃走から支払が完了するまでの実車中のものである。本実施例において、迎車専用車両の内、稼働情報が支払になった、つまり決済を開始した車両7が第1配車の対象となる。
【0047】
また、車両抽出部31は、車両7の位置情報、稼働情報並びに第2配車依頼の位置情報に基づき、配車の対象となる車両7を抽出する。すなわち、車両抽出部31は、稼働状態が空車であり、ユーザーまでの移動時間が所定範囲内の配車可能な車両7を抽出する。
【0048】
移動時間は、車両7及び第2配車依頼の位置情報、交通状況等を用いて、公知の手法で予測することが可能である。所定範囲は、任意に設定することが可能である。ただし、配車依頼時にユーザーが指定した時間としてもよい。
【0049】
なお、稼働状態が空車の車両7には、迎車専用車両として設定されていない車両を含めてもよい。
【0050】
第1配車依頼部33は、第1配車依頼機能を実現し、第1配車の対象となる車両7へ第1配車依頼を送信する。本実施例において、第1配車の対象は、上記のように車両抽出部31により抽出された決済が開始された車両7である。
【0051】
第1配車依頼は、第1迎車地の位置情報を含む。第1迎車地は、第1配車となるときの車両7から所定範囲内で配車依頼数が多いことが予測されるエリア又は場所である。本実施例では、決済が開始された車両7の位置情報を中心とした所定範囲内のエリア又は場所である。配車依頼数が多いことの予測は、公知の手法により過去のデータに基づいて行うことができ、天候、時刻、曜日等が考慮される。
【0052】
決済が開始される前の車両7に第1配車依頼を行ってもよいが、この場合は、第1配車依頼を送信した車両7から決済開始の稼働情報を位置情報と共に取得し、その位置情報に基づいて第1迎車地を車両7へ送信する。
【0053】
配車伺い部35は、配車伺い機能を実現し、ユーザーからの配車依頼である第2配車依頼に応じ、第2配車の対象となる複数の車両7に対して配車伺いを一斉に送信する。本実施例において、第2配車の対象となるのは、上記のように車両抽出部31により抽出された稼働状態が空車の車両7である。
【0054】
ただし、配車伺いの送信は、迎車専用車両として設定された車両7のみだけでなく、迎車専用車両以外も含めて対象としてもよい。ただし、迎車専用車両を優先するのが好ましい。例えば、配車伺いは、まず迎車専用車両として設定された車両7のみを対象とし、その後に迎車専用車両ではない稼働状態が空車の車両も対象とする。
【0055】
なお、配車伺いは、迎車専用車両にのみ送信してもよい。また、配車伺いは、ユーザーに近い車両7から順に一台ずつ送信してもよい。また、配車伺いは、配車可能な車両7をユーザーからの距離に応じて相対的に近いグループと遠いグループとに分類し、相対的に近いグループの車両7から順に一斉送信してもよい。
【0056】
配車伺いは、ユーザーから受け付けた第2配車依頼に対応した内容を示す情報である。この配車伺いは、配車依頼IDやユーザーの位置情報等を含み、第2配車依頼に応じて作成したもの、又は第2配車依頼に必要な情報を付加して作成したものの何れであってもよい。また、配車伺いとしては、第2配車依頼をそのまま送信してもよい。
【0057】
配車実行部37は、配車実行機能を実現し、ユーザーからの第2配車依頼に基づいて、ユーザーに車両7を割り当てる第2配車を行う。本実施例の配車実行部37は、配車伺い部35で送信された配車伺いに対する受諾を車両7から受け付けると、受諾の送信元の車両7をユーザーに割り当てる。配車実行情報は、車両7へと送信される。受諾は、車両7から送信される受諾情報により受け付けられる。
【0058】
なお、配車実行部37は、配車伺い部35を省略し、車両7からの受諾を待たずに配車可能な車両7を第2配車依頼に基づいてユーザーに配車してもよい。
【0059】
車載装置9は、
図1のように、ユーザーに配車される各車両7に搭載されており、スーパーサイン43と、カバー45と、ドライバー端末46とを備えている。
【0060】
スーパーサイン43は、車両7の稼働状態を外部に表示する状態表示部である。スーパーサイン43に表示される稼働情報は、空車、賃走、迎車、支払等である。スーパーサイン43は、例えば、図示しないダッシュ―ボード上等に設置され、図示しないフロントガラスを介して外部から視認可能となっている。
【0061】
カバー45は、スーパーサイン43を外部から視認不能に覆うものである。カバー45の形態は、特に限定されるものではなく、例えばスーパーサイン43の前面を覆う板状又はシート状のもの、スーパーサイン43の前方のフロントガラスに取り付けられてスーパーサイン43の前面を覆うもの、スーパーサイン43に被せられる袋状のもの等とすることが可能である。
【0062】
カバー45には、外部から視認可能な部分に迎車である旨の表示、例えば迎車の文字が記載されている。このカバー45は、車両7が第1配車中であるときに、空車を表示するスーパーサイン43を覆う。
【0063】
スーパーサイン43をカバー45によって覆うのは、手動又は自動で行うことが可能である。自動の場合は、アクチュエーター等によって、車両7が第1配車状態となったときにスーパーサイン43を覆う位置にカバー45を動作させ、第2配車状態となったときにスーパーサイン43を覆わない位置にカバー45を動作させればよい。
【0064】
図4は、車両7の車載装置9を示すブロック図である。
【0065】
ドライバー端末46は、
図4のように、通信インターフェース39、ユーザーインターフェース41と、プロセッサー47と、記憶部49とを備えている。
【0066】
通信インターフェース39は、配車サーバー5を含む外部装置に対するデータの送受信を行うための通信デバイスである。
【0067】
ユーザーインターフェース41は、車両7のドライバーが操作する入出力デバイスであり、例えばタッチパネル式のディスプレイからなる。このユーザーインターフェース41は、車両7の稼働状態をドライバーに対して表示可能となっている。
【0068】
プロセッサー47は、車載装置9の各部を制御するCPU等の制御要素であり、記憶部49は、RAM、ROM、HDD、SSD等のメモリーデバイスである。
【0069】
本実施例のプロセッサー47は、記憶部49内のドライバーズプログラム(ドライバーズアプリケーション)を実行することにより、入出力制御部50、車両情報送信部51、第1配車受付部53、受諾送信部55、迎車地変更部57として機能する。
【0070】
入出力制御部50は、入出力制御機能を実現し、ユーザーインターフェース41の入出力を制御する。本実施例において、入出力制御部50は、ユーザーインターフェース41に、車両7の稼働状態をドライバーに対して表示する。また、入出力制御部50は、迎車専用車両としての設定のオン/オフをユーザーインターフェース41上で受け付ける。
【0071】
車両情報送信部51は、車両情報送信機能を実現し、車両7の位置情報や稼働情報を常時配車サーバー5に送信する。位置情報は、GPSによって取得すればよく、稼働情報は、ドライバーのユーザーインターフェース41上での操作等に基づいて取得することが可能である。
【0072】
また、車両情報送信部51は、ユーザーインターフェース41上で受け付けられた迎車専用車両としての設定のオン/オフを配車サーバー5に送信する。
【0073】
第1配車受付部53は、第1配車受付機能を実現し、車両7が実車中に配車サーバー5から第1配車依頼を受信する。本実施例では、車両7で決済の開始から終了までの間に第1配車依頼を受信する。第1配車受付部53は、実車中の車両7を、空車になった際に受信していた第1配車依頼に基づいて第1迎車地へ向かわせる第1迎車状態とする。車両7が第1配車されるユーザーは、配車サーバー5の管理者等となる。
【0074】
受諾送信部55は、受諾送信機能を実現し、配車伺いに対する受諾を受け付けて配車サーバー5に送信可能とする。具体的には、受諾送信部55は、配車サーバー5から配車伺いを受信すると、ユーザーインターフェース41上で配車伺いに対する受諾を行うか否かを受け付ける。受付けられた受諾を行うか否かの受諾情報は、配車サーバー5に送信される。
【0075】
迎車地変更部57は、迎車地変更機能を実現し、車両7が第1配車中にユーザーの第2配車依頼に基づく配車が行われる際に第1迎車地を第2配車依頼の第2迎車地に変更する。すなわち、配車伺いに対する受諾を行った場合、配車サーバー5から送信される第2配車情報又は配車伺いに含まれる第2迎車地を第1迎車地に代えて設定する。これにより、車両7は、第1配車状態から第2配車状態となる。
【0076】
[配車方法]
以下、本実施例の配車方法について、配車システムの処理として説明する。
図5は、本実施例の配車システム1による第1配車処理を示すフローチャートである。
図5のフローチャートは、迎車専用車両として設定された車両7が賃走中に開始される。
【0077】
ステップS1では、車両7からの車両情報の送信が行われる。すなわち、車両7の車載装置9は、車両7の位置情報や稼働情報の車両情報を常時配車サーバー5に送信する。
【0078】
ステップS2では、車両7から受信した稼働情報に基づいて、配車サーバー5が車両7にて決済が開始されたか否かを判断する。決済が開始された場合は、ステップS3へ移行し、そうでない場合は、ステップS1へ戻る。
【0079】
ステップS3では、配車サーバー5が第1配車依頼を決済が開始された車両7に送信する。具体的には、配車サーバー5が、決済が開始された車両7の位置情報に基づいて第1迎車地を設定する。そして、配車サーバー5は、この第1迎車地の情報を含む第1配車依頼を決済が開始された車両7に送信する。
【0080】
ステップS4では、車両7の車載装置9が配車サーバー5からの第1配車依頼を受信してステップS5へ移行する。
【0081】
ステップS5では、車載装置9が車両7の稼働状態が空車になったか否かを判断する。具体的には、車載装置9において、ユーザーインターフェース41等の操作を通じて決済が完了して稼働状態が空車になったか否かを判断する。車両7の稼働状態が空車になった場合はステップS6へ移行し、そうでない場合はステップS5を繰り返す。
【0082】
ステップS6では、車両7の車載装置9が、稼働状態が空車になったのに応じ、ステップS4で受信した第1配車依頼に基づいて車両7を第1迎車地へ向かわせる第1迎車状態とする。このとき、スーパーサイン43は、稼働状態に応じて空車を表示する。
【0083】
こうして、第1迎車状態となった車両7は、スーパーサイン43の表示が空車であるため、カバー45によってスーパーサイン43が外部から視認不能に覆われる。この状態で、車両7は、第1迎車地へ向かうこととなる。
【0084】
ステップS7では、配車サーバー5が第1迎車中の車両7を配車伺いの対象として管理する。すなわち、配車サーバー5は、車両7から空車である稼働情報を受信することによって、車両7の配車サーバー5での管理状態が第1迎車状態となる。この第1迎車中の車両7が、配車サーバー5からの配車伺いの対象となる。
【0085】
図6は、本実施例の配車システム1による配車処理を示すフローチャートである。
図6のフローチャートは、迎車専用車両として設定された車両7の第1迎車中に開始される。
【0086】
ステップS11では、ユーザー端末3から送信された第2配車依頼が配車サーバー5によって受信されて受け付けられる。
【0087】
ステップS12では、配車サーバー5が配車伺いの対象となる車両7を抽出する。本実施例では、迎車専用車両として設定されている車両7の内、稼働状態が空車であり、且つユーザーから所定範囲内の車両7を配車伺いの対象として抽出する。
【0088】
ステップS13では、配車サーバー5が抽出した車両7に対して配車伺いを一斉送信する。
【0089】
ステップS14では、車両7の車載装置9において、配車サーバー5から受信した配車伺いに対して受諾するか否かをドライバーから受け付ける。受諾を受け付けた場合は、ステップS15へ移行し、受諾を受け付けなかった場合は、ステップS11へ戻る。
【0090】
ステップS15では、車両7の車載装置9が第1迎車地を第2迎車地に変更する。こうして第2迎車状態となった車両7は、スーパーサイン43の表示が迎車となる。このため、カバー45をスーパーサイン43から取り外して、車両7が第2迎車地へ向かうこととなる。
【0091】
第2迎車状態の車両7は、第2迎車地で第2配車依頼を行ったユーザーを乗車させると、稼働状態が賃走となり、再度
図5の第1配車処理が実行される。
【0092】
以上説明したように、本実施例の配車システム1及び配車方法は、ユーザーが第2配車依頼を送信するユーザー端末3と、ユーザーからの第2配車依頼を受け取り、ユーザーに対して配車を行う配車サーバー5と、ユーザーに配車される車両7に搭載された車載装置9とを備える。
【0093】
そして、配車システム1及び配車方法では、車載装置9が、車両7が実車中に配車サーバー5から第1配車依頼を受信し、実車中の車両7が空車になった際に第1配車依頼に基づいて車両7を第1迎車地へ向かわせる第1迎車状態とする。車両7が第1迎車中にユーザーの第2配車依頼に基づく配車が行われる際には、車載装置9が第1迎車地を第2配車依頼の第2迎車地に変更する。
【0094】
従って、本実施例では、空車になった車両7を直ちに第1迎車地に向かう第1迎車状態とし、その後に第1迎車地を第2迎車地に変更することで、道端等のユーザーの利用の可能性を排除して迎車専用車両の運用を可能とする。
【0095】
車載装置9は、実車中における決済を開始して完了するまでに第1配車依頼を受信するので、空車になった車両7を受信した第1配車依頼に基づいて直ちに第1迎車地に向かう第1迎車状態にできる。
【0096】
第1迎車地は、第1迎車となるときの車両7から所定範囲内で配車依頼数が多いことが予測されるエリア又は場所である。このため、第1迎車地から第2迎車地に変更される場合に第1迎車地と第2迎車地とが近接する可能性を高め、配車効率を向上することができる。
【0097】
本実施例では、第1迎車中の車両7のスーパーサイン43が空車を表示すると共にスーパーサイン43をカバー45によって外部から視認不能に覆うため、第1迎車中の車両7によって道端等のユーザーに空車である旨が表示されることはない。従って、本実施例では、より確実に迎車専用車両の運用を可能とする。
従って、ドライバー端末46のプロセッサー47は、ドライバーズプログラムを実行することにより、実施例1の入出力制御部50、車両情報送信部51、第1配車受付部53、受諾送信部55、迎車地変更部57に加えて、さらに空車予告受付部59として機能する。
空車予告受付部59は、車両7が実車中であるときに、ユーザーインターフェース41上でドライバーから空車予告を受け付ける。この受付けは、例えば空車予告のボタンを選択可能に表示して行えばよい。受け付けた空車予告は、空車予告情報として配車サーバー5に送信される。
車両7は、空車予告を受け付けると配車が可能となり、迎車地変更部57は、空車予告中にユーザーに対する配車がされると、車両7が空車となったときに第2迎車地へ向けた第2迎車状態とする。
配車サーバー5では、車両7から空車予告を受け付けると、その車両7を配車可能に管理する。つまり、車両抽出部31は、空車予告を受け付けた車両7を空車と同等とし、配車伺いの送信対象を抽出する。
ドライバー端末46の受諾送信部55は、空車予告後に配車サーバー5から配車伺いを受け付けると、ユーザーインターフェース41上でドライバーからの受諾を受け付ける。受諾を受け付けると、迎車地変更部57により車両7が空車となったときに第2迎車地へ向けた第2迎車状態とする。この場合において、所定時間経過により受諾がキャンセルとなる。
このように、本実施例では、空車予告を行うことで、車両7が空車になったら直ちに第2迎車地へ向けた第2迎車状態とすることができ、より確実に迎車専用車両の運用を可能とする。また、空車予告を常時受け付け、配車伺いを受諾可能としても、配車伺いを受諾してから所定時間が経過すると、受諾がキャンセルとなる。このため、不適切な空車予告によるユーザーの待ち時間の増加を抑制することができる。