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特開2024-136288永久磁石モータの制御方法、制御装置および天井扇風機
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136288
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】永久磁石モータの制御方法、制御装置および天井扇風機
(51)【国際特許分類】
   H02P 27/048 20160101AFI20240927BHJP
【FI】
H02P27/048
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047366
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000233273
【氏名又は名称】ミネベアパワーデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】久米 賢一
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 卓
(72)【発明者】
【氏名】杉野 友啓
【テーマコード(参考)】
5H505
【Fターム(参考)】
5H505AA05
5H505CC05
5H505DD08
5H505HA01
5H505HA06
5H505HB01
5H505JJ03
5H505JJ17
5H505JJ28
5H505LL24
(57)【要約】
【課題】AC入力電圧が不安定であっても適切に制御できる永久磁石モータの制御方法を提供する。
【解決手段】AC入力電圧をDC電圧に変換するコンバータ部3と、DC電圧をAC電圧に変換するインバータ部5と、永久磁石モータ6と、永久磁石モータ6の回転速度を制御するためにインバータ部を制御する制御部(MCU8)と、を備える永久磁石モータの制御方法であって、制御部は、AC入力電圧を検出し、AC入力電圧のピーク値または実効値の変化量を計測し、変化量が負の値で、かつ、変化量の絶対値が所定の閾値を超えた場合に、永久磁石モータ6の回転速度を抑制する。永久磁石モータ6の回転速度を抑制する際に、予め定められたAC入力電圧と回転速度の関係を示すテーブルに基づき制御される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
AC入力電圧をDC電圧に変換するコンバータ部と、
前記DC電圧をAC電圧に変換するインバータ部と、
永久磁石モータと、
前記永久磁石モータの回転速度を制御するために前記インバータ部を制御する制御部と、を備える永久磁石モータの制御方法であって、
前記制御部は、前記AC入力電圧を検出し、
前記AC入力電圧のピーク値または実効値の変化量を計測し、
前記変化量が負の値で、かつ、前記変化量の絶対値が所定の閾値を超えた場合に、前記永久磁石モータの回転速度を抑制する
ことを特徴とする永久磁石モータの制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の永久磁石モータの制御方法であって、
前記永久磁石モータの回転速度を抑制する際に、予め定められた前記AC入力電圧と回転速度の関係を示すテーブルに基づき制御される
ことを特徴とする永久磁石モータの制御方法。
【請求項3】
請求項1に記載の永久磁石モータの制御方法であって、
前記AC入力電圧は、AC電源を抵抗可変の電流制限器であるレギュレータを介した電圧である
ことを特徴とする永久磁石モータの制御方法。
【請求項4】
DC電圧をAC電圧に変換するインバータ部と、
永久磁石モータの回転速度を制御するために前記インバータ部を制御する制御部と、を備えた制御装置であって、
前記制御部は、AC入力電圧を検出し、
前記AC入力電圧のピーク値または実効値の変化量を計測し、
前記変化量が負の値で、かつ、前記変化量の絶対値が所定の閾値を超えた場合に、前記永久磁石モータの回転速度を抑制する
ことを特徴とする制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の制御装置を搭載した天井扇風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石モータの制御方法、制御装置および天井扇風機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、単純構造・安価な誘導モータを使用したシーリングファンが多く使われていたが、近年では、高効率で省エネルギーな永久磁石モータを使用したものが主流となっている。
【0003】
従来の誘導モータはAC入力電源の大きさによって回転速度が決まる。そのため、回転速度を調整するにはレギュレータスイッチなどを用いてAC入力電源を電圧降下させる必要があった。一方で、永久磁石モータはAC入力電源をコンバータ側で直流に変換し、インバータ側によって意図した周期の交流に変換して回転速度を制御することが可能である。
【0004】
特許文献1には、複数のファンブレードを駆動するためのECモータ(Electronically Commutated Motor)と、バックEMF(Electro-Motive Force)を使用してロータ位置を判断するように構成され、ロータ位置および所定の命令にしたがってモータを加圧するように構成されたモータコントローラとを備える、シーリングファンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2013-526260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
誘導モータから永久磁石モータへの取り換えを考えるとき、誘導モータで使用していたレギュレータを取りつけた状態で、永久磁石モータを使って速度調整可能な構成が要求されている。
【0007】
そのため、レギュレータを用いた状態で永久磁石モータを使用する場合、AC入力が急激に変化するような国または地域では、供給電力が安定しないため、制御不能状態になる問題があった。
【0008】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、AC入力電圧が不安定であっても適切に制御できる永久磁石モータの制御方法、制御装置および天井扇風機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明の永久磁石モータの制御方法は、AC入力電圧をDC電圧に変換するコンバータ部と、前記DC電圧をAC電圧に変換するインバータ部と、永久磁石モータと、前記永久磁石モータの回転速度を制御するために前記インバータ部を制御する制御部と、を備える永久磁石モータの制御方法であって、前記制御部は、前記AC入力電圧を検出し、前記AC入力電圧のピーク値または実効値の変化量を計測し、前記変化量が負の値で、かつ、前記変化量の絶対値が所定の閾値を超えた場合に、前記永久磁石モータの回転速度を抑制することを特徴とする。本発明のその他の態様については、後記する実施形態において説明する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、AC入力電圧が不安定であっても適切に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】永久磁石モータを用いたシーリングファンの全体構成を示す図である。
図1B】AC入力電圧ピーク値と周波数指令値の関係を示す図である。
図2A】電流制限器であるレギュレータによる電流制限の例を示す図である。
図2B】電力不足時の制御周波数と入力電圧ピーク値の時間変化を示す図である。
図3】第1実施形態に係る永久磁石モータの制御方法の概要を示す図である。
図4】第1実施形態に係るAC入力電圧ピーク値と制御周波数の関係を示す図である。
図5】第1実施形態に係る速度制御処理を示すフローチャートである。
図6】第1実施形態に係る速度制御処理を適用した制御の例を示す図である。
図7A】第1実施形態を適用前の制御周波数と入力電圧ピーク値の時間変化を示す図である。
図7B】本実施形態を適用後の制御周波数と入力電圧ピーク値の時間変化を示す図である。
図8A】第2実施形態に係るAC入力電圧ピーク値と周波数指令値の関係(AC200Vrms)を示す図である。
図8B】第2実施形態に係るAC入力電圧ピーク値と周波数指令値の関係(AC220Vrms)を示す図である。
図8C】第2実施形態に係るAC入力電圧ピーク値と周波数指令値の関係(AC240Vrms)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下においては「実施形態」と表記する)を、適宜、図面を参照して説明する。
<従来の問題点>
まず最初に、既存の電源設備に、永久磁石モータを設置する際の問題点を説明する。
ある国または地域では、需要家への系統電圧は220V~240Vということになっているが、電気供給が需要に追いついておらず、頻繁に停電がおこっているのが現状である。そのような国または地域においては不安定な電圧が問題となっている。電気の需要が大きくなる朝方や夜の時間は電圧が低くなってしまい、逆に日中の時間などは電圧が異常に高くなる傾向にある。また、同じ日中の時間帯においても、頻繁に電圧が変動するのが実情である。本実施形態では、このような国または地域において、AC入力電圧が不安定であっても適切に制御できる永久磁石モータの制御方法を提案する。
【0013】
図1Aは、永久磁石モータ6を用いたシーリングファン7の全体構成を示す図である。図1Bは、AC入力電圧ピーク値と周波数指令値の関係を示す図である。図2Aは、電流制限器であるレギュレータによる電流制限の例を示す図である。図2Bは、電力不足時の制御周波数と入力電圧ピーク値の時間変化を示す図である。
【0014】
図1Aに示す永久磁石モータ6を用いたシーリングファン7は、AC入力電圧をDC電圧に変換するコンバータ部3と、コンデンサ4と、DC電圧をAC電圧に変換するインバータ部5と、永久磁石モータ6と、永久磁石モータの回転速度を制御するためにインバータ部を制御するMCU8(制御部)と、を備え、永久磁石モータ6の回転軸にシーリングファン7が接続されている。電源設備としては、従来の誘導モータを外した状態なので、AC電源1を入力とする抵抗可変の電流制限器であるレギュレータ2がある。永久磁石モータ6を用いたシーリングファンには、レギュレータ2を介して電力が供給される。MCU8は、電圧計9を介してAC電圧を検出し、インバータ部5に永久磁石モータ6の速度制御指令をする。なお、MCUは、Micro Controller Unitの略称である。
【0015】
ここで、レギュレータ2は各スイッチにより抵抗が異なる。永久磁石モータ6を使用した構成のシーリングファン7はMCU8で検出した入力電圧値に応じて速度が決定される。ユーザ側が指定したレギュレータ2のスイッチをMCU8側へ知らせない状態で、速度制御を維持する場合、検出したAC入力電圧ピーク値が高く、かつ、レギュレータ2による電流制限によってモータへ供給する電力が制限されてしまう状況のとき、電源側とモータ側の消費電力のバランスが崩れ、入力電圧が一気に低下し、モータ制御不能状態に陥る。このモータ制御駆動範囲が狭まるというこの問題の解決が急務となっていた。
【0016】
図2Aのレギュレータ2のスイッチ21では、OFFとSW1~5のダイヤル式になっており、SWと抵抗の関係22を参照すると、SW1が最も抵抗値が高く、SW5が抵抗値が小さく設定されている。
【0017】
図1Bは、AC入力電圧ピーク値と周波数指令値の関係を示す。MCU8は、AC200VrmsでSW5の場合、最大回転速度である周波数指令値Fmaxに設定されており、また、AC200VrmsでSW1の場合、最小回転速度である周波数指令値Fminに設定されている。もし、AC電源1が系統電圧の不安定で急激に上がった場合においても、最大回転速度を維持するように設定されている。すなわち、AC240VrmsでSW5の場合において、最大回転速度である周波数指令値Fmaxに設定されており、また、AC240V実効値でSW1の場合においても、最大回転速度である周波数指令値Fmaxに設定されている。この設定例を、図2Aの周波数指令値23に示す。
【0018】
通常、機器は、系統電圧は維持されている状態で設定値を決めているので、AC電源1が急激に上がった場合(例えば、AC200Vrmsから240Vrmsに上がった場合)、MCU8は、図2Bに示すように、現在周波数から周波数目標に向けて(1)回転速度が上昇し、(2)の電力供給不足箇所で入力と出力との電力バランスが崩れ、(3)電力が供給できなくなると入力電圧が一気に下がる。その結果、モータの制御が不能となる問題が発生していた。
【0019】
≪第1実施形態≫
本実施形態では、前記の問題を解決する手段を示す。
図3は、第1実施形態に係る永久磁石モータ6の制御方法の概要を示す図である。本実施形態では、コンバータ部3側の電力供給と、インバータ部5側の電力需要のバランスをとる制御を提案している。
【0020】
本実施形態の永久磁石モータ6の制御方法は、AC入力電圧をDC電圧に変換するコンバータ部3と、コンデンサ4と、DC電圧をAC電圧に変換するインバータ部5と、永久磁石モータ6と、永久磁石モータ6の回転速度を制御するためにインバータ部5を制御するMCU8(制御部)と、を備える永久磁石モータの制御方法であって、MCU8は、電圧計9を介してAC入力電圧を検出し、AC入力電圧のピーク値または実効値の変化量を計測し、電力不足に陥りそうな場合には、モータ制御可能な速度まで回転速度を制限するようにした。なお、制御装置10は、DC電圧をAC電圧に変換するインバータ部5と、永久磁石モータ6の回転速度を制御するためにインバータ部5を制御するMCU8と、電圧計9を含んでいる。
【0021】
種々の検討をした結果、電力不足に陥りを検知する方法として、AC入力電圧の変化量が負の値で、かつ、AC入力電圧の変化量の絶対値が所定の閾値を超えた場合に、永久磁石モータ6の回転速度を抑制することを特徴としている。
【0022】
図4は、第1実施形態に係るAC入力電圧ピーク値と制御周波数の関係を示す図である。AC電源1が200Vrmsがあった状態で、240Vrmsに突然上がった場合は、そのまま周波数制御すると、電力需給のバランスが崩れてします。その前に、周波数指令値を最小の周波数指令値Fminまで制限している。これにより、電力需給のバランスが維持される。本実施形態では、永久磁石モータ6の回転速度を抑制する際に、図4を数値化した予め定められたAC入力電圧と回転速度(周波数指令値)の関係を示すテーブルに基づき制御される。
【0023】
図5は、第1実施形態に係る速度制御処理S50を示すフローチャートである。MCU8は、AC入力電圧ピーク値を計測し(ステップS51)、一つ前の検出した電圧と比較する(ステップS52)。MCU8は、電圧変化量ΔV(=Vi+1-V)が負(ΔV<0)で、かつ、ΔVの絶対値がΔVac(閾値)を上回ったか(|ΔV|>ΔVac)の判定条件を満たすか判定する(ステップS53)。
【0024】
MCU8は、判定条件を満たす場合(ステップS53,Yes)、回転速度を減速し(ステップS54)、ステップS51に戻る。一方、MCU8は、判定条件を満たさない場合(ステップS53,No)、制限なしで通常通りとして、ステップS51に戻る。以上の処理を制御時間ΔTごとに実施する。
【0025】
図6は、第1実施形態に係る図5の速度制御処理を適用した制御の例を示す図である。横軸は時間であり、縦軸はAC入力電圧ピーク値である。時刻t1,t2,t3,・・・ごとに、AC入力電圧ピーク値V1,V2,V3,・・・が計測されている。MCU8は、各時刻で図5のステップS53で示した判定条件を満たすか判定している。
【0026】
時刻t5において、(1)ΔV=V5-V4が負と判定され、|ΔV|>ΔVacならば、回転速度を減速している。その後(2)回転速度の減速により、電力の需給バランスが維持され電力が回復している。
【0027】
具体的な手順をさらに説明する。
(1)入力電圧を検出、そこから入力電圧変化量を計測する。
1ms以内毎に測定。16回分以上の平均値を1000msのフイルターに通して、電圧値Viを計算する。
(2)Viとひとつまえの電圧値Vi-1の変化量を計算する。
入力電圧変化量ΔV=Vi-1-Vが負であり、閾値ΔVac(=2.5V以上)とすると、
|ΔV|>ΔVacを超えるかチェックする。
(3)越えていた場合、モータの回転速度を下げる。
モータ電力を回復させるため。モータの回転速度が小さくなる。すなわち、モータの需要電力が少なくなる。制御周波数は13.33Hz以下に下げる。
(4)その後、入力電圧変化量ΔVが閾値ΔVac以下になるまで速度を落とし、閾値ΔVac以下になったらこの処理を中止する。
【0028】
図7Aは、第1実施形態を適用前の制御周波数と入力電圧ピーク値の時間変化を示す図である。図7Bは、本実施形態を適用後の制御周波数と入力電圧ピーク値の時間変化を示す図である。
【0029】
図7Aの場合、MCU8は、現在の周波数から周波数目標に向けて制御周波数が上昇し、電力供給不足箇所で入力と出力との電力バランスが崩れ、電力が供給できなくなると入力電圧が一気に下がる。その結果、モータの制御が不能となる問題が発生していた。
【0030】
図7Bの場合、MCU8は、現在の周波数から周波数目標に向けて制御周波数が上昇するが、モータ動作できる回転速度まで速度制限することができる。また、入力電圧ピーク値は、電圧の変化量から回転速度を制限することにより、すぐに回復している。
【0031】
<効果>
(1)電圧不安定な国または地域での永久磁石モータでの回転速度制御法を新たに確立できた。
(2)部品の追加・コストアップ等せずに既存の構造要求を達成できる。
(3)モータ制御不能状態になる兆候を電圧量から検出し制御できる。
なお、本実施形態では、系統電圧が220V~240Vの場合について説明したが、その国または地域の事情に合わせて、制御範囲は設定することができる。
【0032】
<<第2実施形態>>
第1実施形態では、図4に基づくAC入力電圧と回転速度(周波数指令値)の関係を示す一つのテーブルに基づき制御していたが、第2実施形態では、複数のテーブルに基づき制御する方法を説明する。
【0033】
図8Aは、第2実施形態に係るAC入力電圧ピーク値と周波数指令値の関係(AC200Vrms)を示す図である。図8Bは、第2実施形態に係るAC入力電圧ピーク値と周波数指令値の関係(AC220Vrms)を示す図である。図8Cは、第2実施形態に係るAC入力電圧ピーク値と周波数指令値の関係(AC240Vrms)を示す図である。
【0034】
第2実施形態では、AC入力電圧に合わせた複数のテーブルをMCU8内に持たせた場合である。MCU8は、図8A図8Cを数値化した予め定められたAC入力電圧と回転速度(周波数指令値)の関係を示すテーブルに基づき制御する。
【0035】
ユーザがレギュレータ2をSW1に設定していた状態で、系統電圧が不安定でAC電源1が200Vから240Vに上がった場合、MCU8は、図8Aに基づくテーブルから、図8Cに基づくテーブルに移行し周波数指令値を、インバータ部5に指令する。同様に系統電圧の不安定でAC電源1が200Vから220Vに上がった場合、MCU8は、図8Aに基づくテーブルから、図8Bに基づくテーブルに移行し周波数指令値を、インバータ部5に指令する。これにより、AC入力電圧が不安定であっても適切に制御できる。さらに、系統電圧の不安定でAC電源1が240Vから220Vに下がった場合、MCU8は、図8Cに基づくテーブルから、図8Bに基づくテーブルに移行し周波数指令値を、インバータ部5に指令する。
【0036】
以上説明した本実施形態の永久磁石モータの制御方法、制御装置および天井扇風機は、次の特徴を有する。
(1)AC入力電圧をDC電圧に変換するコンバータ部3と、DC電圧をAC電圧に変換するインバータ部5と、永久磁石モータ6と、永久磁石モータ6の回転速度を制御するためにインバータ部5を制御する制御部(例えば、MCU8)と、を備える永久磁石モータの制御方法であって、制御部は、AC入力電圧を検出し、AC入力電圧のピーク値または実効値の変化量を計測し、変化量が負の値で、かつ、変化量の絶対値が所定の閾値を超えた場合に、永久磁石モータの回転速度を抑制する。これにより、電圧不安定な地域での永久磁石モータを適切に制御できる。
【0037】
(2)前記(1)の永久磁石モータの制御方法であって、永久磁石モータ6の回転速度を抑制する際に、予め定められたAC入力電圧と回転速度の関係を示すテーブルに基づき制御される。
【0038】
(3)前記(1)の永久磁石モータの制御方法であって、AC入力電圧は、AC電源を抵抗可変の電流制限器であるレギュレータ2を介した電圧である。
【0039】
(4)DC電圧をAC電圧に変換するインバータ部5と、永久磁石モータ6の回転速度を制御するためにインバータ部5を制御する制御部と、を備えた制御装置10であって、制御部は、AC入力電圧を検出し、AC入力電圧のピーク値または実効値の変化量を計測し、変化量が負の値で、かつ、変化量の絶対値が所定の閾値を超えた場合に、永久磁石モータの回転速度を抑制する。これにより、電圧不安定な地域での永久磁石モータを適切に制御できる。
【0040】
(5)前記(4)に記載の制御装置10を搭載した天井扇風機(例えば、シーリングファン7)を提供できる。
【符号の説明】
【0041】
1 AC電源
2 レギュレータ
3 コンバータ部
4 コンデンサ
5 インバータ部
6 永久磁石モータ
7 シーリングファン(天井扇風機)
8 MCU(制御部)
9 電圧計
10 制御装置
21 スイッチ
22 SWと抵抗の関係
23 周波数指令値
S50 速度制御処理
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C