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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136304
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】転倒検知装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/02 20060101AFI20240927BHJP
   G01S 17/89 20200101ALI20240927BHJP
   G01S 17/50 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G08B21/02
G01S17/89
G01S17/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047385
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】野村 准右
【テーマコード(参考)】
5C086
5J084
【Fターム(参考)】
5C086AA49
5C086CA12
5C086CA21
5C086CA25
5C086CB16
5C086DA08
5J084AA04
5J084AA05
5J084AA07
5J084AB07
5J084BA03
5J084BA20
5J084BA50
5J084BB26
5J084BB28
5J084CA65
(57)【要約】
【課題】 誤検知を低減し得る転倒検知装置を提供する。
【解決手段】 転倒検知装置1は、検査領域40内の人を移動体50として検知可能なLiDAR装置10と、LiDAR装置10で検知される移動体50の最上部51が下方に移動し、下方に移動する直前の最上部51の位置より低い第1位置PT1より最上部51が低くなり、最上部51が第1位置PT1より低くなるタイミングでの最上部51の下方に向かう速度が所定速度以上である場合に、第1信号を出力する判定部30と、を備える。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査領域内の人を移動体として検知可能なLiDAR装置と、
前記LiDAR装置で検知される前記移動体の最上部が下方に移動し、下方に移動する直前の前記最上部の位置より低い第1位置より前記最上部が低くなり、前記最上部が前記第1位置より低くなるタイミングでの前記最上部の下方に向かう速度が所定速度以上である場合に、第1信号を出力する判定部と、
を備える
ことを特徴とする転倒検知装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記最上部の位置が前記第1位置より低くなるタイミングでの前記移動体の長手方向と鉛直方向とのなす角度が所定角度より大きい場合に前記第1信号を出力し、前記タイミングでの前記移動体の長手方向と鉛直方向とのなす角度が所定角度以下の場合に、前記第1信号を出力しない
ことを特徴とする請求項1に記載の転倒検知装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記最上部が下方に移動し前記最上部が前記第1位置より低くなる際の前記最上部の水平方向の移動距離が所定距離より大きい場合に前記第1信号を出力し、前記最上部の水平方向の移動距離が前記所定距離以下の場合に、前記第1信号を出力しない
ことを特徴とする請求項1に記載の転倒検知装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記最上部が下方に移動し前記最上部が前記第1位置より低くなる際の前記最上部の下方に向かう速度が、前記最上部の位置が低くなるほど速くなる場合に、前記第1信号を出力し、前記最上部の下方に向かう速度が、前記最上部の位置が低くなるほど速くならない場合に、前記第1信号を出力しない
ことを特徴とする請求項1に記載の転倒検知装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記最上部の位置が前記第1位置より低くなるタイミングから所定期間経過するまでに前記最上部の位置が前記第1位置と同じまたは前記第1位置より高くなる場合に、第2信号を出力する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の転倒検知装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記タイミングから前記所定期間経過するまでに前記最上部の位置が前記第1位置より高い第2位置より高くなる場合に、第3信号を出力する
ことを特徴とする請求項5に記載の転倒検知装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転倒検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照射した光の反射光を検出することで対象物までの距離や形状を測定可能なLiDAR(Light Detection And Ranging)装置が知られており、下記特許文献1には、このLiDAR装置を用いた転倒検知装置が開示されている。
【0003】
下記特許文献1に記載の転倒検知装置は、LiDAR装置と情報処理装置とを備える。LiDAR装置は、複数のレーザ光を監視領域へ照射して物体を検出し、情報処理装置は、LiDAR装置が検出した物体に照射されるレーザ光の数が減少した場合に、物体が転倒したと判定する。このため、この転倒検知装置によれば、転倒した人を検知することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/188748号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の転倒検知装置では、物体に照射されるLiDAR装置からのレーザ光の数の減少によって物体の転倒を検知している。しかし、例えば、人がしゃがむ場合、当該人に照射されるLiDAR装置からのレーザ光の数は、減少する。このため、上記特許文献1の転倒検知装置では、人がしゃがむ場合も転倒として誤検知してしまう場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、誤検知を低減し得る転倒検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的の達成のため、本発明の転倒検知装置は、検査領域内の人を移動体として検知可能なLiDAR装置と、前記LiDAR装置で検知される前記移動体の最上部が下方に移動し、下方に移動する直前の前記最上部の位置より低い第1位置より前記最上部が低くなり、前記最上部が前記第1位置より低くなるタイミングでの前記最上部の速度が所定速度以上である場合に、第1信号を出力する判定部と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
立っている人における最上部は、例えば頭であり、倒れている人における最上部は、例えば頭や背中等であり、立っている人における最上部の位置より低い。また、人が転倒する場合、頭の下方に向かう速度は、頭の位置が低くなるほど速くなる傾向にあり、しゃがむ場合における頭の下方に向かう速度より速くなる傾向にある。この転倒検知装置では、上記のように、判定部は、移動体の最上部が下方に移動し、下方に移動する直前の最上部の位置より低い第1位置より最上部が低くなり、最上部が第1位置より低くなるタイミングでの最上部の速度が所定速度以上である場合に、第1信号を出力する。このため、この転倒検知装置によれば、第1位置を立っている人における最上部より低く、転倒し床等に横たわった人における最上部より高い位置となるように設定し得、移動体として人が転倒する場合に判定部から第1信号が出力するようにし得る。従って、この転倒検知装置によれば、人の転倒を検知し得る。また、この転倒検知装置によれば、上記の所定速度をしゃがむ場合の頭部の速度より速く、転倒する場合の頭部の最高速度より遅い速度となるように設定し得、人がしゃがむ場合に判定部が第1信号を出力しないようにし得る。従って、この転倒検知装置によれば、移動体の最上部の速度を考慮しない場合と比べて、誤検知を低減し得る。
【0009】
前記判定部は、前記最上部の位置が前記第1位置より低くなるタイミングでの前記移動体の長手方向と鉛直方向とのなす角度が所定角度より大きい場合に前記第1信号を出力し、前記タイミングでの前記移動体の長手方向と鉛直方向とのなす角度が所定角度以下の場合に、前記第1信号を出力しなくてもよい。
【0010】
人が転倒する場合、膝を大きく曲げずに姿勢が鉛直方向に対して傾いた状態となって頭が低くなり、床等に倒れる傾向がある。一方、人がしゃがむ場合、このような傾向ではない。このため、この転倒検知装置によれば、人がしゃがむ場合に判定部が第1信号を出力しないようにし得る。従って、この転倒検知装置によれば、上記の角度を考慮しない場合と比べて、誤検知を低減し得る。
【0011】
前記判定部は、前記最上部が下方に移動し前記最上部が前記第1位置より低くなる際の前記最上部の水平方向の移動距離が所定距離より大きい場合に前記第1信号を出力し、前記最上部の水平方向の移動距離が前記所定距離以下の場合に、前記第1信号を出力しなくてもよい。
【0012】
上記のように、転倒する場合、姿勢が鉛直方向に対して傾いた状態となって頭が低くなる傾向にある。このため、転倒する場合の頭の水平方向の移動距離は、しゃがむ場合と比べて長くなる傾向にある。従って、この転倒検知装置によれば、人がしゃがむ場合に判定部が第1信号を出力しないようにし得る。従って、この転倒検知装置によれば、最上部の水平方向の移動距離を考慮しない場合と比べて、誤検知を低減し得る。
【0013】
前記判定部は、前記最上部が下方に移動し前記最上部が前記第1位置より低くなる際の前記最上部の下方に向かう速度が、前記最上部の位置が低くなるほど速くなる場合に、前記第1信号を出力し、前記最上部の下方に向かう速度が、前記最上部の位置が低くなるほど速くならない場合に、前記第1信号を出力しなくてもよい。
【0014】
人がしゃがむ場合、頭は概ね一定の速さで下方に向かう傾向にある。しかし、前述のように、人が転倒する場合の頭の下方に向かう速度は、当該頭の位置が低くなるほど速くなる傾向にある。このため、この転倒検知装置によれば、最上部の下方に向かう速度の変化を考慮しない場合と比べて、人がしゃがむ場合に判定部が第1信号を出力しないようにし得、誤検知を低減し得る。
【0015】
前記判定部は、前記最上部の位置が前記第1位置より低くなるタイミングから所定期間経過するまでに前記最上部の位置が前記第1位置と同じまたは前記第1位置より高くなる場合に、第2信号を出力してもよい。
【0016】
起き上がった人の最上部は、倒れている人の最上部より高くなる。このため、この転倒検知装置によれば、転倒した人が倒れたままか否かを検知し得る。
【0017】
この場合、前記判定部は、前記タイミングから前記所定期間経過するまでに前記最上部の位置が前記第1位置より高い第2位置より高くなる場合に、第3信号を出力してもよい。
【0018】
この転倒検知装置によれば、第2位置を転倒した人が立ち上がった際の最上部より低い位置となるように設定し得る。このため、この転倒検知装置によれば、転倒した人が立ち上がり途中の場合に判定部から第2信号が出力され、転倒した人が立ち上がった場合に判定部から第3信号が出力されるようにし得、転倒した人のその後の状態を検知し得る。
【発明の効果】
【0019】
以上のように本発明によれば、誤検知を低減し得る転倒検知装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る転倒検知装置を示す概略図である。
図2】本実施形態のLiDAR装置の本体部を示す概略図である。
図3】移動体の最上部を説明するための図である。
図4】本実施形態における転倒検知装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図5】転倒判定処理における判定部の動作の一例を示すフローチャートである。
図6】移動体である人が転倒する最中の状態を示す模式図である。
図7】移動体である人が転倒した状態を示す模式図である。
図8】立ち上がり判定処理における判定部の動作の一例を示すフローチャートである。
図9】変形例1に係る転倒判定処理における判定部の動作の一例を示すフローチャートである。
図10】変形例2に係る転倒判定処理における判定部の動作の一例を示すフローチャートである。
図11】変形例3に係る転倒判定処理における判定部の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る転倒検知装置の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができる。また、本発明は、以下に例示する実施形態における構成要素を適宜組み合わせてもよい。なお、以下で参照する図面では、理解を容易にするために、各部材の寸法を変えて示す場合がある。また、図面では、見易さのため、同様の構成要素については一部にのみ参照符号が付され、一部参照符号が省略される場合がある。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る転倒検知装置を示す概略図である。本実施形態の転倒検知装置1は、LiDAR装置10と、判定部30と、メモリ35と、モニタ36と、を主な構成として備える。
【0023】
LiDAR装置10は、検査領域内の人を移動体として検知可能に構成される。本実施形態のLiDAR装置10は、本体部11と、検知部25と、メモリ26とを含み、本体部11は室内の壁41に設置される。そして、LiDAR装置10は、室内の検査領域40に位置する人を移動体50として検知可能である。図1では、検査領域40の床42の上に移動体50である人が位置している状態が示されている。
【0024】
図2は、本実施形態のLiDAR装置10の本体部11を示す概略図である。本実施形態の本体部11は、カバー12と、制御部13と、メモリ14と、レーザ光源15と、H方向走査用駆動ミラー16と、V方向走査用駆動ミラー17と、受光素子18と、を主な構成として備える。なお、図2の例では、LiDAR装置10の本体部11は、メカニカル式であるが、駆動部を含まないフェイズドアレイ方式であってもよい。
【0025】
カバー12は、制御部13、メモリ14、レーザ光源15、H方向走査用駆動ミラー16、V方向走査用駆動ミラー17、及び受光素子18を収める収容空間を有し、レーザ光源15から出射するレーザ光Ldや当該レーザ光Ldが検査領域40内の物体で反射する反射光Lrを透過する。
【0026】
制御部13は、例えば、マイクロコントローラ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large-scale Integrated Circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの集積回路やNC(Numerical Control)装置から成る。また、制御部13は、NC装置を用いた場合、機械学習器を用いたものであってもよく、機械学習器を用いないものであってもよい。制御部13は、メモリ14、レーザ光源15、H方向走査用駆動ミラー16、V方向走査用駆動ミラー17、及び受光素子18に電気的に接続される。
【0027】
メモリ14は、情報を記憶し、当該記憶した情報を読み出し可能に構成される。メモリ14は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の半導体記録媒体が好適であるが、光学式記録媒体や磁気記録媒体等の任意の形式の記録媒体を包含し得る。なお、「非一過性」の記録媒体とは、一過性の伝搬信号(transitory, propagating signal)を除く全てのコンピュータで読み取り可能な記録媒体を含み、揮発性の記録媒体を除外するものではない。なお、メモリ14は、制御部13の内部に設けられてもよい。メモリ14には、本体部11のいくつかの構成を制御したり、情報を生成したりするための各種プログラムや当該制御や生成に必要な情報が記憶され、制御部13はメモリ14に記憶されるプログラムや情報を読み出す。また、メモリ14は、制御部13からの指示で情報等を記憶する。
【0028】
本実施形態の制御部13は、メモリ14から各種プログラムを読み出した状態において、駆動制御部20及び点群データ生成部21を備える。
【0029】
駆動制御部20は、レーザ光源15、H方向走査用駆動ミラー16、及びV方向走査用駆動ミラー17を制御する。
【0030】
レーザ光源15は、パルス状のレーザ光Ldを出射する。このレーザ光Ldは、例えば、波長が905nmや1550nmといった近赤外線であるが、レーザ光Ldの波長は制限されない。レーザ光源15がレーザ光Ldを出射するタイミングは、駆動制御部20により制御される。
【0031】
H方向走査用駆動ミラー16は、レーザ光源15から出射するレーザ光Ldを反射するミラーと、駆動制御部20により制御される不図示の駆動部とを有する。H方向走査用駆動ミラー16は、レーザ光Ldを反射する際、上記駆動部により水平方向に反射角度を変化させながらレーザ光Ldを反射する。このH方向走査用駆動ミラー16の反射角度の変化により、本体部11は水平方向のレーザ光Ldの走査を行う。
【0032】
V方向走査用駆動ミラー17は、H方向走査用駆動ミラー16で反射されたレーザ光Ldを反射するミラーと、駆動制御部20により制御される不図示の駆動部とを有する。V方向走査用駆動ミラー17は、レーザ光Ldを反射する際、上記駆動部により鉛直方向に反射角度を変化させながらレーザ光Ldを反射する。このV方向走査用駆動ミラー17の反射角度の変化により、本体部11による水平方向のレーザ光Ldの走査の位置を鉛直方向に変化させる。V方向走査用駆動ミラー17で反射されたレーザ光Ldは、カバー12を透過し、検査領域40に照射され、検査領域40に対するレーザ光Ldの走査が行われる。この走査は、所定の時間間隔、例えば、0.1秒間隔で繰り返される。
【0033】
H方向走査用駆動ミラー16及びV方向走査用駆動ミラー17は、例えば、ポリゴンミラーやガルバノミラーを含んで構成される。また、H方向走査用駆動ミラー16及びV方向走査用駆動ミラー17は、MEMSミラーによりそれぞれ構成されてもよい。また、H方向走査用駆動ミラー16とV方向走査用駆動ミラー17とが、二軸走査タイプのミラーにより1つに纏められてもよく、H方向走査用駆動ミラー16とV方向走査用駆動ミラー17とでレーザ光Ldを反射する順番が入れ替わってもよい。
【0034】
受光素子18は、レーザ光Ldが検査領域40の物体で反射した反射光Lrを受光する素子であり、受光した反射光Lrに係る情報を電気信号として制御部13に出力する。
【0035】
制御部13の点群データ生成部21は、受光素子18からの情報や駆動制御部20の制御情報等に基づいて、検査領域40の物体に係る情報を示す点群データを生成する。点群データは、物体で反射した反射光Lrの反射点の本体部11に対する座標情報の集まりである。本実施形態では、点群データ生成部21は、点群データから検査領域40の画像データを生成し、当該画像データに係る情報を電気信号として検知部25に出力する。この画像データは検査領域40における座標情報も含む。なお、点群データ生成部21は、生成した点群データと生成した検査領域40の画像データを電気信号として出力してもよい。
【0036】
本実施形態では、検知部25は制御部13と同様の構成とされ、メモリ26はメモリ14と同様の構成とされる。なお、メモリ26は検知部25の内部に設けられてもよい。検知部25は、制御部13及びメモリ26に電気的に接続され、点群データ生成部21で生成される情報が入力される。また、メモリ26は、検知部25からの指示で情報等を記憶する。
【0037】
本実施形態では、メモリ26には点群データ生成部21で事前に生成された検査領域40の画像データである背景データが記憶されている。そして、検知部25は、この背景データと点群データ生成部21で生成された画像データとを比較し、当該画像データにおいて背景データと異なる部位を移動体50として検知し、当該移動体50に係る情報を電気信号として出力する。
【0038】
なお、検知部25の移動体50の検知方法は、制限されるものではない。例えば、検知部25は、メモリ26に記憶される互いに異なる複数の背景データと、点群データ生成部21で生成された画像データとの比較によって移動体50を検知してもよい。この場合、例えば、検知部25は、生成された画像データにおいて、両方の背景データと異なる部位を移動体50として検知する。このようにすることで、移動体50の誤検知を抑制し得る。
【0039】
また、検知部25は、背景データを所定の時間間隔で更新してもよい。例えば、検知部25は、点群データ生成部21で生成された画像データから移動体50が検知されない場合、当該画像データを背景データとしてメモリ26に記憶させる。そして、例えば1時間等の所定期間経過した以降に生成された画像データのうち、移動体50が検知されない画像データを新たな背景データとしてメモリ26に記憶させる。検知部25は、このような背景データの書き換えを繰り返して背景データを更新してもよい。
【0040】
また、検知部25は、点群データ生成部21で生成された検査領域40の画像データと当該画像データの直前に点群データ生成部21で生成された検査領域40の画像データとを比較して、移動体50を検知してもよい。この場合、例えば、検知部25は、生成された検査領域40の画像データと直前に生成された検査領域40の画像データとで、位置が所定距離以上変化した物体を移動体50として検知してもよい。
【0041】
本実施形態では、判定部30は制御部13と同様の構成とされ、メモリ35はメモリ14と同様の構成とされる。なお、メモリ35は判定部30の内部に設けられてもよい。また、判定部30と検知部25とが一体に構成されてもよく、この場合、メモリ26とメモリ35とが一体に構成されてもよい。判定部30は、検知部25、メモリ35、及びモニタ36に電気的に接続され、検知部25が検知した移動体50に係る情報が入力される。また、メモリ35は、判定部30からの指示で情報等を記憶する。
【0042】
判定部30は、検知部25が検知した移動体50に係る情報に基づいて、移動体50の最上部の位置の経時変化と、当該最上部の下方に向かう速度の経時変化を算出し、その結果をメモリ35に記憶する。また、判定部30は、検査領域40のレーザ光Ldの走査が行われる度に、これら情報を更新する。しかし、更新する時間間隔は、検査領域40のレーザ光Ldの走査の時間間隔より長くてもよい。
【0043】
図3は、移動体50の最上部を説明するための図である。図3に示すように、最上部51は、移動体50における最も上方に位置する最上点50tを含む部位であり、本実施形態では、最上点50tから所定距離だけ下方に位置する水平面より上側の部位である。図3では、理解を容易にするため、最上部51にハッチングが施されている。なお、最上部51は、最上点50tであってもよい。本実施形態では、判定部30は、最上部51の図心の位置を最上部51の位置とし、当該図心の下方に向かう速度を最上部51の下方の向かう速度として、それぞれ算出する。
【0044】
判定部30は、最上部51の位置の経時変化、及び下方に向かう速度の経時変化に基づいて、モニタに出力する信号を変化させる。判定部30の信号の出力については、後述する。
【0045】
モニタ36は、判定部30から入力される信号に応じた情報を表示する。
【0046】
次に、本実施形態の転倒検知装置1の動作について説明する。
【0047】
図4は、本実施形態における転倒検知装置1の動作の一例を示すフローチャートである。図4に示すように、転倒検知装置1は、検知処理SP1と、算出処理SP2、転倒判定処理SP3と、立ち上がり判定処理SP4とを含む処理を行う。
【0048】
検知処理SP1は、LiDAR装置10が移動体50を検知する処理である。LiDAR装置10は移動体50を検知する場合、検知した移動体50に係る情報を判定部30に出力する。そして、転倒検知装置1は、算出処理SP2を行う。なお、本実施形態では、転倒検知装置1は、算出処理SP2を行っている最中も検知処理SP1を行う。
【0049】
算出処理SP2は、判定部30が、LiDAR装置10から入力する移動体50に係る情報に基づいて、移動体50の最上部51の位置の経時変化、及び当該最上部51の下方に向かう速度の経時変化を算出する処理である。例えば、判定部30は、LiDAR装置10から入力する移動体50に係る情報が入力される度に、最上部51の位置の情報をナンバリングしてメモリ35に記憶させる。このようにすることで、最上部51の位置の経時変化の情報がメモリ35に記憶される。また、判定部30は、最上部51の位置の情報と、当該位置の情報の直前にメモリ35に記憶された最上部51の位置の情報とに基づいて、最上部51の下方に向かう速度を算出する。そして、判定部30は、この速度の情報を、当該速度の算出に用いた2つの最上部51の位置の情報のうち後からメモリ35に記憶される最上部51の位置の情報に関連付けしてメモリ35に記憶させる。最上部51の位置の情報をメモリ35に記憶させる度に速度の算出をすることで、この最上部51の下方に向かう速度の経時変化の情報がメモリ35に記憶される。判定部30は、このようにして最上部51の位置の経時変化及び速度の経時変化の情報をメモリ35に記憶させる。そして、判定部30は、転倒判定処理SP3を行う。本実施形態では、判定部30は、転倒判定処理SP3を行っている最中も算出処理SP2を行い、最上部51の位置の経時変化及び速度の経時変化の情報を更新する。なお、最上部51の位置の経時変化、及び当該最上部51の下方に向かう速度の経時変化の算出方法は制限されるものではない。
【0050】
転倒判定処理SP3は、移動体50が転倒したか否かを判定部30によって判定する処理である。
【0051】
図5は、転倒判定処理SP3における判定部30の動作の一例を示すフローチャートである。転倒判定処理SP3における判定部30の動作は、ステップSP31と、ステップSP32と、ステップSP33とを含む。
【0052】
(ステップSP31)
本ステップSP31では、判定部30は、メモリ35に記憶される最上部51の位置の経時変化の情報を参照し、最上部51が下方に移動し、下方に移動する直前の最上部51の位置より低い第1位置より最上部51が低くなるか否かで場合分けをする。
【0053】
図6は、移動体50である人が転倒する最中の状態を示す模式図であり、図7は、移動体50である人が転倒した状態を示す模式図である。図6図7では、第1位置PT1が一点鎖線で示され、転倒する前の人が点線で示され、最上部51の図心の軌跡が破線で示されている。
【0054】
図6図7に示すように、立っている人における最上部51は、例えば頭であり、倒れている人における最上部51は、例えば頭や背中等であり、立っている人における最上部51の位置より低い。第1位置PT1は、例えば、床42からの距離が30cm以上、60cm以下となる位置であってもよい。また、第1位置PT1は、床42からの距離が、下方に移動する直前の最上部51の高さの1/3以下であり、下方に移動する直前の最上部51の高さの1/5以上となる位置であってもよい。また、第1位置PT1は、床42からの距離が、最上部51が下方に移動する直前の移動体50の水平方向の幅の4倍以下、当該幅の2倍以上となる位置であってもよい。これらの第1位置PT1は、立っている人における最上部51より低く、転倒し床42に横たわった人における最上部51より高い位置となり得る。
【0055】
判定部30は、最上部51が下方に移動し第1位置PT1より低くなる場合に、動作のフローをステップSP32に進め、他の場合には、本ステップSP31を繰り返す。本ステップSP31を繰り返す時間間隔は、最上部51の位置の経時変化及び速度の経時変化の情報を更新する時間間隔と同じとされるが、この時間間隔より長くてもよい。
【0056】
(ステップSP32)
本ステップSP32では、判定部30は、メモリ35に記憶される最上部51の速度の経時変化の情報を参照し、最上部51が第1位置PT1より低くなるタイミングでの最上部51の下方に向かう速度が所定速度以上であるか否かで場合分けをする。所定速度は、例えば、0.3m/s以上、0.7m/s以下であってもよい。また、所定速度は、最上部51が下方への移動を開始した直後の速度の1.1倍以上、1.5倍以下であってもよい。これらの所定速度は、しゃがむ場合の頭部の速度より速く、転倒する場合の頭部の最高速度より遅い速度となり得る。
【0057】
判定部30は、最上部51が第1位置PT1より低くなるタイミングでの最上部51の速度が所定速度以上である場合に、動作のフローをステップSP33に進め、他の場合には、動作のフローをステップSP31に戻す。
【0058】
(ステップSP33)
本ステップSP33では、判定部30は、モニタ36に第1信号を出力し、立ち上がり判定処理SP4を行う。モニタ36は第1信号に応じた情報として、転倒を示す情報を表示する。このようにして、移動体50として人が転倒する場合に判定部30から第1信号が出力され、転倒検知装置1が移動体50である人の転倒を検知する。
【0059】
次に、立ち上がり判定処理SP4について説明する。立ち上がり判定処理SP4は、転倒した移動体50が立ち上がったか否かを判定部30によって判定する処理である。なお、判定部30は、立ち上がり判定処理SP4を行っている最中も算出処理SP2を行い、最上部51の位置の経時変化及び速度の経時変化の情報を更新する。
【0060】
図8は、立ち上がり判定処理SP4における判定部30の動作の一例を示すフローチャートである。立ち上がり判定処理SP4における判定部30の動作は、ステップSP41と、ステップSP42と、ステップSP43と、ステップSP44とを含む。
【0061】
(ステップSP41)
本ステップSP41では、判定部30は、メモリ35に記憶される最上部51の位置の経時変化の情報を参照する。そして、判定部30は、最上部51が第1位置PT1より低くなるタイミングから所定期間経過する前に、最上部51の位置が第1位置PT1と同じまたは第1位置PT1より高いか否かで場合分けをする。
【0062】
上記の所定期間は、例えば5秒とされるが、制限されるものではない。
【0063】
判定部30は、所定期間経過する前に最上部51の位置が第1位置PT1と同じまたは第1位置PT1より高い場合に、動作のフローをステップSP42に進め、他の場合には、立ち上がり判定処理SP4を終了する
【0064】
(ステップSP42)
本ステップSP42では、判定部30は、メモリ35に記憶される最上部51の位置の経時変化の情報を参照する。そして、判定部30は、最上部51の位置が第2位置より高いか否かで場合分けをする。なお、第2位置は、下方に移動する直前の最上部51の位置より低い位置である。図6図7には、第2位置PT2が二点鎖線で示されている。
【0065】
第2位置PT2は、例えば、床42からの距離が例えば80cm以上、120cm以下の位置であってもよい。また、第2位置PT2は、床42からの距離が、下方に移動する直前の最上部51の高さの4/5以下であり、下方に移動する直前の最上部51の高さの1/3以上となる位置であってもよい。これらの第2位置PT2は、転倒し床42に横たわった人における最上部51より高く、転倒した人が立ち上がった際の最上部51より低い位置となり得る。
【0066】
判定部30は、最上部51の位置が第2位置PT2より高い場合に、動作のフローをステップSP44に進め、他の場合には、動作のフローをステップSP43に進める。
【0067】
(ステップSP43)
本ステップSP43では、判定部30は、モニタ36に第2信号を出力し、立ち上がり判定処理SP4を終了する。本ステップSP43は、最上部51の位置が第1位置PT1と同じまたは第1位置PT1と第2位置PT2との間に位置する場合に行われる。このため、転倒したままではないが、転倒してから所定期間経過する前までに立ち上がれていない場合、本ステップSP43が行われる。モニタ36は第2信号に応じた情報として、人が立ち上がり途中であることを示す情報を表示する。
【0068】
(ステップSP44)
本ステップSP43では、判定部30は、モニタ36に第3信号を出力し、立ち上がり判定処理SP4を終了する。本ステップSP43は、最上部51の位置が第2位置PT2より高い場合に行われるステップである。このため、転倒してから所定期間経過する前までに立ち上がれた場合、本ステップSP44が行われる。モニタ36は第3信号に応じた情報として、人が立ち上がったことを示す情報を表示する。
【0069】
このようにして、移動体50として人が立ち上がり途中である場合に判定部30から第2信号が出力され、人が立ち上がった場合に判定部30から第3信号が出力され、転倒検知装置1が移動体50である人の転倒後の状態を検知する。
【0070】
以上説明したように、本実施形態の転倒検知装置1は、検査領域40内の人を移動体50として検知可能なLiDAR装置10と、判定部30とを備える。立っている人における最上部51は、例えば頭であり、倒れている人における最上部51は、例えば頭や背中等であり、立っている人における最上部51の位置より低い。また、人が転倒する場合、頭の下方に向かう速度は、頭の位置が低くなるほど速くなる傾向にあり、しゃがむ場合における頭の下方に向かう速度より速くなる傾向にある。本実施形態の転倒検知装置1では、ステップSP31,SP32,SP33で説明したように、判定部30は、移動体50の最上部51が下方に移動し、下方に移動する直前の最上部51の位置より低い第1位置PT1より最上部51が低くなり、最上部51が第1位置PT1より低くなるタイミングでの最上部51の下方に向かう速度が所定速度以上である場合に、第1信号を出力する。このため、本実施形態の転倒検知装置1によれば、第1位置PT1を立っている人における最上部51より低く、転倒し床42等に横たわった人における最上部51より高い位置となるように設定し得、移動体50として人が転倒する場合に判定部30から第1信号が出力するようにし得る。従って、本実施形態の転倒検知装置1によれば、人の転倒を検知し得る。また、本実施形態の転倒検知装置1によれば、上記の所定速度をしゃがむ場合の頭部の速度より速く、転倒する場合の頭部の最高速度より遅い速度となるように設定し得、人がしゃがむ場合に判定部30が第1信号を出力しないようにし得る。従って、本実施形態の転倒検知装置1によれば、移動体50の最上部51の速度を考慮しない場合と比べて、誤検知を低減し得る。
【0071】
本実施形態の転倒検知装置1では、判定部30は、最上部51が第1位置PT1より低くなるタイミングから所定期間経過するまでに、最上部51の位置が第1位置PT1と同じまたは第1位置PT1と当該第1位置PT1より高い第2位置PT2との間に位置する場合に、モニタ36に第2信号を出力する。また、判定部30は、最上部51が第1位置PT1より低くなるタイミングから所定期間経過するまでに、最上部51の位置が第2位置PT2より高くなる場合に、モニタ36に第3信号を出力する。本実施形態の転倒検知装置1では、第2位置PT2を転倒した人が立ち上がった際の最上部51より低い位置となるように設定し得る。このため、本実施形態の転倒検知装置1によれば、転倒した人が立ち上がり途中の場合に判定部30から第2信号が出力され、転倒した人が立ち上がった場合に判定部30から第3信号が出力されるようにし得、転倒した人のその後の状態を検知し得る。
【0072】
なお、転倒した人が倒れたままか否かを検知する観点では、判定部30は、最上部51の位置が第1位置PT1より低くなるタイミングから所定期間経過するまでに最上部51の位置が第1位置PT1と同じまたは第1位置PT1より高くなる場合に、第2信号を出力するようにしてもよい。
【0073】
以上、本発明について、上記実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0074】
例えば、上記実施形態では、本体部11が室内に設置されるLiDAR装置10を例に説明した。しかし、本体部11の設置位置は制限されるものではなく、本体部11は野外に設置されてもよい。
【0075】
また、転倒判定処理SP3や立ち上がり判定処理SP4における判定部30の動作のフローは制限されるものではない。例えば、図5に示す転倒判定処理SP3における判定部30の動作において、ステップSP31の前にステップSP32を行ってもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、最上部51が下方に移動し、第1位置PT1より最上部51が低くなり、最上部51が第1位置PT1より低くなるタイミングでの最上部51の下方に向かう速度が所定速度以上である場合に、第1信号を出力する判定部30を例に説明した。しかし、判定部30は、このような場合であっても、第1信号を出力しない場合があってもよい。このような変形例1から変形例3について、以下に説明する。なお、上記実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0077】
(変形例1)
図9は、本変形例に係る転倒判定処理SP3における判定部30の動作の一例を示すフローチャートである。図9に示すように、本変形例における転倒判定処理SP3での判定部30の動作は、ステップSP134を更に含む点において、上記実施形態と異なる。
【0078】
(ステップSP134)
本ステップSP134は、ステップSP32において、最上部51が第1位置PT1より低くなるタイミングでの最上部51の速度が所定速度以上である場合に、行われるステップである。本ステップSP134では、判定部30は、メモリ35に記憶される最上部51の位置の経時変化の情報を参照する。そして、判定部30は、図7に示される最上部51が下方に移動し最上部51が第1位置PT1より低くなる際の最上部51の水平方向の移動距離Dに基づいて場合分けをする。具体的には、判定部30はこの移動距離Dが所定距離より大きいか否かで場合分けをする。そして、判定部30は、この移動距離Dが所定距離より大きい場合に、動作のフローをステップSP33に進め、他の場合には、動作のフローをステップSP31に戻す。このため、本変形例の判定部30は、最上部51の水平方向の移動距離Dが所定距離より大きい場合に第1信号を出力し、最上部51の水平方向の移動距離Dが所定距離以下の場合に、第1信号を出力しない。
【0079】
図6図7に示すように、人が転倒する場合、姿勢が鉛直方向に対して傾いた状態となって頭が低くなる傾向にある。このため、転倒する場合の頭の水平方向の移動距離Dは、しゃがむ場合と比べて長くなる傾向にある。上記の所定距離は、例えば、80cm以上であってもよい。また、この所定距離は、下方に移動する直前の最上部51の高さの1/2以上であってもよい。これらの所定距離は、しゃがむ際の頭の水平方向の移動距離より大きくなり得る。
【0080】
このように、本変形例の転倒検知装置1によれば、所定距離をしゃがむ際の頭の水平方向の移動距離より大きくなるように設定し得、人がしゃがむ場合に判定部30が第1信号を出力しないようにし得る。従って、本変形例の転倒検知装置1によれば、最上部51の水平方向の移動距離Dを考慮しない場合と比べて、誤検知を低減し得る。
【0081】
(変形例2)
図10は、本変形例に係る転倒判定処理SP3における判定部30の動作の一例を示すフローチャートである。図10に示すように、本変形例における転倒判定処理SP3での判定部30の動作は、ステップSP234を更に含む点において、上記実施形態と異なる。
【0082】
(ステップSP234)
本ステップSP234は、ステップSP32において、最上部51が第1位置PT1より低くなるタイミングでの最上部51の速度が所定速度以上である場合に、行われるステップである。本ステップSP234では、判定部30は、メモリ35に記憶される最上部51の位置の経時変化及び速度の経時変化の情報を参照する。そして、判定部30は、最上部51が下方に移動し最上部51が第1位置PT1より低くなる際の最上部51の下方に向かう速度が、最上部51の位置が低くなるほど速くなるか否かで場合分けをする。そして、判定部30は、最上部51の下方に向かう速度が、最上部51の位置が低くなるほど速くなる場合に、動作のフローをステップSP33に進め、他の場合には、動作のフローをステップSP31に戻す。このため、本変形例の判定部30は、最上部51が下方に移動し最上部51が第1位置PT1より低くなる際の最上部51の下方に向かう速度が、最上部51の位置が低くなるほど速くなる場合に、第1信号を出力し、最上部51の下方に向かう速度が、最上部51の位置が低くなるほど速くならない場合に、第1信号を出力しない。
【0083】
人がしゃがむ場合、頭は概ね一定の速さで下方に向かう傾向にある。しかし、前述のように、人が転倒する場合の頭の下方に向かう速度は、当該頭の位置が低くなるほど速くなる傾向にある。このため、本変形例の転倒検知装置1によれば、最上部51の下方に向かう速度の変化を考慮しない場合と比べて、人がしゃがむ場合に判定部30が第1信号を出力しないようにし得、誤検知を低減し得る。
【0084】
(変形例3)
本変形例では、算出処理SP2が上記実施形態における算出処理SP2と異なり、転倒判定処理SP3が上記実施形態における転倒判定処理SP3と異なる。
【0085】
まず、本変形例における算出処理SP2について説明する。
【0086】
本変形例の算出処理SP2では、上記実施形態と同様に、判定部30は、LiDAR装置10から入力する移動体50に係る情報に基づいて、移動体50の最上部51の位置の経時変化、及び当該最上部51の下方に向かう速度の経時変化を算出する。しかし、本変形例では、判定部30は、LiDAR装置10から入力する移動体50に係る情報に基づいて、移動体50の長手方向LDを算出する。また、判定部30は、移動体50の長手方向LDとの鉛直方向VDとのなす角度θを算出し、最上部51の位置及び速度の経時変化の情報と共に、この角度θの経時変化の情報をメモリ35に記憶する。なお、図6には、移動体50の長手方向LDを示す矢印、鉛直方向VDを示す矢印、及び長手方向LDと鉛直方向VDとのなす角度θが記載されており、当該角度θは鋭角の角度である。
【0087】
ここで、制御部13の点群データ生成部21によって生成される点群データは、物体で反射した反射光Lrの反射点の本体部11に対する座標情報の集まりである。このため、本例の判定部30は、点群データ生成部21によって生成される点群データのうち、移動体50に係る点群データに対して例えば最小二乗法を用いることで、図6に示すように、移動体50を直線VLに近似し、当該直線VLに沿う方向を移動体50の長手方向LDとする。なお、移動体50の長手方向LDの算出方法は制限されるものではない。例えば、移動体50における最下点から最上点50tに向かう方向を移動体50の長手方向LDとしてもよい。
【0088】
本変形例では、上記実施形態と同様に、判定部30は、転倒判定処理SP3を行っている最中も算出処理SP2を行い、最上部51の位置の経時変化及び速度の経時変化の情報と角度の経時変化の情報を更新する。
【0089】
次に、本変形例における転倒判定処理SP3について説明する。
【0090】
図11は、本変形例に係る転倒判定処理SP3における判定部30の動作の一例を示すフローチャートである。図11に示すように、本変形例における転倒判定処理SP3での判定部30の動作は、ステップSP334を更に含む点において、上記実施形態と異なる。
【0091】
(ステップSP334)
本ステップSP334は、ステップSP32において、最上部51が第1位置PT1より低くなるタイミングでの最上部51の速度が所定速度以上である場合に、行われるステップである。本ステップSP334では、判定部30は、メモリ35に記憶される移動体50の長手方向LDと鉛直方向VDとのなす角度θの経時変化の情報を参照する。そして、判定部30は、最上部51の位置が第1位置PT1より低くなるタイミングでの移動体50の長手方向LDと鉛直方向VDとのなす角度θが所定角度より大きいか否かで場合分けをする。そして、判定部30は、この角度θが所定角度より大きい場合に、動作のフローをステップSP33に進め、他の場合には、動作のフローをステップSP31に戻す。このため、本変形例の判定部30は、最上部51の位置が第1位置PT1より低くなるタイミングでの移動体50の長手方向LDと鉛直方向VDとのなす角度θが所定角度より大きい場合に第1信号を出力し、上記のタイミングでの移動体50の長手方向LDと鉛直方向VDとのなす角度θが所定角度以下の場合に、第1信号を出力しない。
【0092】
図6に示すように、人が転倒する場合、膝を大きく曲げずに姿勢が鉛直方向VDに対して傾いた状態となって頭が低くなり、床42等に倒れる傾向にある。一方、人がしゃがむ場合、このような傾向ではない。このため、上記の角度θによって、人が転倒する場合か、人がしゃがむ場合かを区別し得、閾値である所定角度は、例えば10度以上とされる。
【0093】
本変形例の転倒検知装置1によれば、人がしゃがむ場合に判定部30が第1信号を出力しないようにし得、上記の角度θを考慮しない場合と比べて、誤検知を低減し得る。
【0094】
本変形例では、算出処理SP2により移動体50の長手方向LDと鉛直方向VDとのなす角度θの経時変化の情報を算出するが、この経時変化を算出しなくてもよい。この場合、例えば、ステップSP334において、最上部51の位置が第1位置PT1より低くなるタイミングでの移動体50の長手方向LDと鉛直方向VDとのなす角度θを算出してもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、1つのLiDAR装置10を備える転倒検知装置1を例に説明した。しかし、転倒検知装置1は複数のLiDAR装置10を備えてもよく、この場合、それぞれのLiDAR装置10に対する検査領域40は互いに重なっていても、重なっていなくてもよい。また、変形例1から変形例3の少なくとも2つを組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明によれば、誤検知を低減し得る転倒検知装置提供され、屋内や屋外の監視システムなどの分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0097】
1・・・転倒検知装置
10・・・LiDAR装置
30・・・判定部
40・・・検査領域
50・・・移動体
51・・・最上部
PT1・・・第1位置
PT2・・・第2位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11