(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136328
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】貨幣処理装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/26 20190101AFI20240927BHJP
G07D 11/32 20190101ALI20240927BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G07D11/26
G07D11/32
H04N7/18 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047412
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】高畠 茂孝
(72)【発明者】
【氏名】倉澤 将司
【テーマコード(参考)】
3E141
5C054
【Fターム(参考)】
3E141BA06
3E141CA02
3E141CA04
3E141CA07
3E141DA01
3E141FL04
5C054CA04
5C054CC02
5C054CE00
5C054CH03
5C054CH04
5C054GB02
5C054GB05
5C054GD06
5C054HA14
5C054HA21
(57)【要約】
【課題】硬貨や紙幣又は消耗品等の物品を効率的に且つ安全に管理可能な貨幣処理装置を提供する。
【解決手段】出納機1は、本体31と、本体31に設けられ、新券を処理する新券処理装置30と、本体31内に設けられ、物品を収納可能なキャビネット40と、キャビネット40の引き出しをロック可能なキャビネットロック部44と、キャビネット40内を撮像可能なカメラ47と、新券処理装置30、キャビネットロック部44及びカメラ47を制御する制御部50と、を備えている構成とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に設けられ、貨幣を処理する貨幣処理部と、
前記本体内に設けられ、物品を収納可能なキャビネットと、
前記キャビネットの引き出しをロック可能なロック部と、
前記キャビネット内を撮像可能な撮像部と、
前記貨幣処理部、前記ロック部及び前記撮像部を制御する制御部と、
を備えていることを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項2】
前記撮像部は、前記ロック部が解錠されている期間に亘って前記キャビネット内を撮像することを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項3】
前記撮像部は、前記ロック部の解錠前及び前記ロック部の施錠後において前記キャビネット内をそれぞれ撮像することを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
前記キャビネットを開閉する操作者を識別する操作者識別情報、前記キャビネットが解錠されていた日時を示す開閉時刻情報、及び前記キャビネットが開閉された際の処理内容を示す操作履歴情報を生成するログ生成部と、
前記撮像部が撮像した撮像画像と、前記操作者識別情報、前記開閉時刻情報及び前記操作履歴情報を含む検索用情報とを紐付けて記憶する記憶部と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項5】
前記操作者によって入力された検索条件に合致する前記検索用情報を検索し、検索した前記検索用情報に対応する前記撮像画像を抽出する検索部をさらに備えていることを特徴とする請求項4に記載の貨幣処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記検索部により抽出された前記撮像画像を表示部に表示することを特徴とする請求項5に記載の貨幣処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、硬貨について各種処理等を行う硬貨処理装置と、紙幣について各種処理等を行う紙幣処理装置と、新券紙幣について各種処理等を行う新券処理装置と、を備えている貨幣処理装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の貨幣処理装置では、例えば、硬貨処理装置において硬貨が不足したり、紙幣処理装置において紙幣が不足した場合、操作者が金庫室等まで不足した硬貨等を取りに行って装置に補充する必要があった。また、バラ硬貨から棒金を作製するための包装フィルム、バラ紙幣から小束紙幣を作製するための施封帯、又はプリンタのインクカートリッジやプリンタ用紙等の消耗品の残量が不足した場合に、操作者が在庫置き場等まで予備品を取りに行って装置に補充する必要があった。
【0005】
そこで、本発明は、硬貨や紙幣又は消耗品等の物品を効率的に且つ安全に管理可能な貨幣処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る貨幣処理装置は、本体と、前記本体に設けられ、貨幣を処理する貨幣処理部と、前記本体内に設けられ、物品を収納可能なキャビネットと、前記キャビネットの引き出しをロック可能なロック部と、前記キャビネット内を撮像可能な撮像部と、前記貨幣処理部、前記ロック部及び前記撮像部を制御する制御部と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、硬貨や紙幣又は消耗品等の物品を効率的に且つ安全に管理可能な貨幣処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る出納機を示す斜視図。
【
図2】新券処理機の内部構造を概略的に示す側面図。
【
図3】キャビネットが引き出された状態の新券処理機を示す斜視図。
【
図5】出納機における手許在高の増減の流れを示す模式図。
【
図6】庫内在高管理モードのオンオフを選択する選択画面。
【
図7】出納機が実行する各種処理を選択するメインメニュー画面。
【
図9】キャビネットへの物品の出し入れを行う際に使用する操作画面。
【
図11】キャビネットへの物品の出し入れを終了させるための操作画面。
【
図12】庫内在高管理モードオン時に、キャビネットへ移動させる貨幣の移動金額を入力する入力画面。
【
図13】キャビネットへ移動させる貨幣の移動金額が記載されたレシートを示す図。
【
図14】キャビネットへの貨幣の移動を終了させるための操作画面。
【
図15】庫内在高管理モードオン時に、キャビネットから移動させる貨幣の移動金額を入力する入力画面。
【
図16】キャビネットから移動させる貨幣の移動金額が記載されたレシートを示す図。
【
図17】キャビネットからの貨幣の移動を終了させるための操作画面。
【
図18】庫内在高管理モードオン時に、出納機に収納された貨幣の出金可否及び収納状態を示す待機画面。
【
図19】出納機に収納された貨幣の金種と数量の明細を示す画面。
【
図20】キャビネットからの貨幣の払い出しを終了させるための操作画面。
【
図22】予め設定された検索条件を選択するための操作画面。
【
図23】
図21の検索用情報のうち業務時間外の検索条件に合致するものを抽出したデータテーブル。
【
図24】
図21の検索用情報のうち長時間操作の検索条件に合致するものを抽出したデータテーブル。
【
図25】検索条件を手動で設定するための操作画面。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下では、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0010】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0011】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
【0012】
図1は、貨幣処理装置の一実施形態である、紙幣及び硬貨等を処理する出納機1を示す。出納機1は、銀行等の金融機関の店舗に設置されて店舗全体の貨幣処理を管理するものである。出納機1は、例えば、大口顧客に対する係員による入金又は出金等の取引処理、係員による渉外先への持ち出し金の出金処理や、渉外先からの持ち帰り金の入金処理、及び営業終了後の金融機関店舗全体での入出金状況の締め上げ管理等を行うものである。なお、以下の説明では、出納機1に対して操作者側を前、出納機1に対して操作者とは反対側を後、操作者から出納機1を視て左右を左右とする。
【0013】
出納機1は、
図1に示すように、紙幣の入出金処理等を行う紙幣処理装置10と、硬貨の入出金処理等を行う硬貨処理装置20と、新券紙幣(以下、「新券」という)の入出金処理等を行う新券処理装置30とが、左から紙幣処理装置10、新券処理装置30及び硬貨処理装置20の順に並んで設けられている。
【0014】
紙幣処理装置10は、本体11内に設けられ、バラ紙幣の入出金処理等を行うと共に、バラ紙幣を所定の結束単位枚数だけ纏めて施封帯で結束した小束紙幣の出金処理等を行う図示しない紙幣処理部を備えている。紙幣処理部は、紙幣処理装置10の前面略中央に設けられた紙幣入出金口12から投入されたバラ紙幣を機内のバラ紙幣収納手段に金種毎に振り分けて収納するバラ紙幣入金処理と、機内のバラ紙幣収納手段から繰り出されたバラ紙幣を紙幣入出金口12から機外へ払い出すバラ紙幣出金処理と、を行う。また、紙幣処理部は、紙幣入出金口12から投入されたバラ紙幣又は機内のバラ紙幣収納手段から繰り出されたバラ紙幣から作製した小束紙幣を紙幣処理装置10の前面上部に設けられた束出金口13から払い出す施封処理を行う。
【0015】
硬貨処理装置20は、本体21内に設けられ、バラ硬貨の入出金処理等を行うと共に、バラ硬貨を所定の包装単位枚数だけ纏めて包装フィルムで包装した棒金の入出金処理等を行う図示しない硬貨処理部を備えている。硬貨処理部は、硬貨処理装置20の上面に設けられた硬貨入金口22から投入されたバラ硬貨を機内のバラ硬貨収納手段に金種毎に振り分けて収納するバラ硬貨入金処理と、機内のバラ硬貨収納手段から繰り出されたバラ硬貨を硬貨処理装置20の前面下方に設けられた硬貨出金箱23から機外へ払い出すバラ硬貨出金処理とを行う。また、硬貨処理部は、硬貨処理装置20の前面略中央に設けられた棒金入金口24から装填された棒金を金種毎に振り分けて機内の棒金収納手段に収納する棒金入金処理と、機内の棒金収納手段から繰り出された棒金を棒金入金口24の上方に設けられた第1の棒金出金口25又は棒金入金口24の下方に設けられた第2の棒金出金口26から機外へ払い出す棒金出金処理とを行う。
【0016】
新券処理装置30は、
図2に示すように、本体31内に設けられ、新券の入出金処理等を行う新券処理部32と、キャビネット40とを備えている。新券処理部32は、新券処理装置30の前面上部に設けられた新券入出金口33から投入された新券を機内の新券収納手段に金種毎に振り分けて収納する新券入金処理と、機内の新券収納手段から繰り出される新券を新券入出金口33から機外へ払い出す新券出金処理とを行う。
【0017】
図2及び
図3に示すように、キャビネット40は、本体31内において新券処理部32の下方に形成された収納スペース34内において本体31に対して前側に引き出し可能に格納されている。キャビネット40は、上側が開口された有底箱状に形成されており、内部に物品を収納可能である。キャビネット40に収納される物品は、例えば、貨幣(小束紙幣、大束紙幣、棒金、複数の棒金を纏めたシュリンクパック、損券、損貨、記念貨、支払準備金等)、手形や小切手等の有価証券類、消耗品(バラ硬貨を包装する包装フィルム、バラ紙幣を包装する施封帯、ジャーナル用紙等)、硬貨保管箱、証書又は通帳等であるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
キャビネット40の裏面には、左右一対のローラ41が設けられ、キャビネット40の前面には、操作者がキャビネット40を引き出す際に手をかける取っ手42が形成されている。キャビネット40の左右側面と本体31の内周面との間には、伸縮自在な一対のガイドレール43が設けられており、ガイドレール43は、キャビネット40が前後にスムーズにスライドするのをガイドする。
【0019】
キャビネット40の底面と本体31の底面との間には、キャビネット40の引き出しをロック可能なソレノイドロック等のキャビネットロック部44が設けられている。ソレノイドロックは、公知の構成であり、例えば、本体31側に設けられてソレノイドによって進退移動自在なラッチを備えている。進出状態のラッチがキャビネット40側に設けられた凹部に係合することにより、本体31に対するキャビネット40の引き出しが規制され、退出状態のラッチがキャビネット40側に設けられた凹部から外れることにより、本体31に対するキャビネット40の引き出しが許容される。なお、キャビネット40の引き出しをロックするキャビネットロック部44の構成は、ソレノイドロックに限定されるものではない。
【0020】
キャビネット40の後面と本体31との間には、キャビネット40を前側に付勢するコイルバネ等の付勢手段45が介装されている。また、キャビネット40の前面には、操作者が手動でキャビネットロック部44を解錠する際にキーを差し込むキャビネット錠46が設けられている。
【0021】
キャビネット40には、キャビネット40と一体で移動可能なカメラ47が設けられている。カメラ47は、キャビネット40内を映す動画又は静止画像等の撮像画像を撮像する。カメラ47は、キャビネット40の上部に配置され、キャビネット40全体が撮像画像に映るように視野が設定されている。なお、カメラ47は、1台であっても2台以上であっても構わない。
【0022】
図4に示すように、出納機1には、その動作を制御する制御部50が設けられている。制御部50は、動作制御部51と、表示制御部52と、モード切替部53と、庫内在高管理部54と、を備えている。また、記憶部55には、出納機1の動作に必要な各種情報が保存される。また、記憶部55には、出納機1が管理する機械在高及び手許在高に加えて、キャビネット40内の貨幣の在高(庫内在高)が記憶される。また、制御部50は、ログ生成部56と、検索部57と、を備えている。ログ生成部56及び検索部57の機能については、後述する。
【0023】
出納機1には、
図1に示すように、タッチパネル式の操作表示部60が設けられている。操作表示部60が、本体31の上面に配置され、新券処理装置30の本体31が、紙幣処理装置10の本体11と硬貨処理装置20の本体21との間に設けられ、出納機1の左右方向(幅方向)の略中央に設けられていることにより、操作表示部60の前に立って操作表示部60によって各種の操作を行う操作者が、その位置から左右に大きく移動することなく、出納機1の各種入出金口(紙幣入出金口12、束出金口13、硬貨入金口22、硬貨出金箱23、棒金入金口24、第1の棒金出金口25、第2の棒金出金口26、第3の棒金出金口27、新券入出金口33等)の何れにも容易にアクセスすることができる。さらに、操作表示部60が本体31の上面に配置された新券処理装置30の新券処理部32の下方にキャビネット40が設けられていることにより、操作表示部60の前に立って操作表示部60の前に立って操作表示部60によって各種の操作を行う操作者が、その一から大きく移動することなく、キャビネット40に容易にアクセスすることができる。
【0024】
操作表示部60に表示される画面は、
図4に示すように、表示制御部52によって制御される。操作表示部60には、初期設定又は操作者の操作に応じて予め登録された複数のアイコンや入力フォーム等の選択項目を含む操作画面を表示したり、案内メッセージや警告を表示する。なお、操作表示部60に表示される選択項目は、アイコンや入力フォームの形式に限定されるものではない。操作表示部60に操作者によるタッチ(押下)操作が入力されると、操作表示部60が受け付けた操作者による操作入力に応じて、制御部50は、出納機1の各種動作を制御する。また、出納機1には、各種レシートを印刷するプリンタ70が設けられている。
【0025】
出納機1は、操作者が操作を許可されている者か否かを判定するユーザ認証部80を備えている。ユーザ認証部80による判定は、例えば操作者を特定するカードの読み取り及びパスワード入力の組み合わせ等が考えられる。認証された操作者がキャビネット40へのアクセス権限を持つ場合に限り、動作制御部51が、キャビネット40のロックを解除する。このようにアクセス権限を設定することにより、キャビネット40へのアクセスの機密性を高めることができる。なお、ユーザ認証部80による判定は、上述したカードの読み取りとパスワード入力とを組み合わせたものに限定されず、ID管理や静脈認証等であっても構わない。
【0026】
次に、本実施形態に係る出納機1の主な機能について説明する。
【0027】
<庫内在高管理モード>
図5は、出納機1で処理する貨幣の流れを示す模式図である。出納機1では、各装置が計数管理する機械在高のほかに、手許在高が逐次記憶される。例えば、現金輸送車等で店舗内の出納機1に貨幣が持ち込まれた場合(現受)や操作者が貨幣や手形・小切手等の有価証券類(以下、総称して「貨幣等」という)を手受けした場合(手受)には、出納機1の手許在高を増加させる。また、現金輸送車等で店舗内の出納機1から回収した貨幣が持ち出された場合(現送)や操作者が出納機1から貨幣等を手払いした場合(手払)には、出納機1の手許在高を減少させる。
【0028】
また、出納機1は、上述した出納機1全体の手許在高管理を行う通常の「手許在高管理モード」に加えて、キャビネット40の庫内在高を独立して管理する「庫内在高管理モード」が設けられている。
【0029】
「庫内在高管理モード」では、キャビネット40から貨幣等が出し入れされる場合や、キャビネット40とキャビネット40を除く出納機1内の各種装置との間で貨幣等が移動する場合に、庫内在高管理部54は、手許在高のうちキャビネット40の庫内在高を区分して記憶部55に記憶することが可能である。
【0030】
キャビネット40から貨幣が出し入れされる場合として、例えば、現受や手受により、キャビネット40に貨幣が収納された場合には、庫内在高管理部54は記憶部55に記録されたキャビネット40の庫内在高を貨幣の持ち込み金額分だけ増加させる。また、現送や手払により、キャビネット40から貨幣が持ち出された場合には、庫内在高管理部54は記憶部55に記録されたキャビネット40の庫内在高を貨幣の持ち出し金額分だけ減少させる。
【0031】
また、キャビネット40以外の出納機1に収納された貨幣をキャビネット40へ移動させる場合には、出納機1の貨幣の手許在高を変更することなく、庫内在高管理部54は記憶部55に記録されたキャビネット40の庫内在高を貨幣の移動金額分だけ増加させる。例えば、キャビネット40に収納された新券の小束紙幣を新券処理装置30に装填させる場合には、出納機1全体の貨幣の手許在高と、庫内在高管理部54により記憶部55に記録されたキャビネット40の庫内在高とを貨幣の移動金額分だけ減少させることになる。
【0032】
「庫内在高管理モード」のオンオフは、操作表示部60への操作入力に応じて、制御部50のモード切替部53によって実行される。具体的には、
図6に示す設定画面S1において、操作表示部60が、設定事項「キャビネットの在高管理」について「する」のラジオボタンを選択する操作入力を受け付けた場合には、モード切替部53は、「庫内在高管理モード」をオンにする。一方、操作表示部60が、設定事項「キャビネットの在高管理」について「しない」のラジオボタンを選択する操作入力を受け付けた場合には、モード切替部53は、「庫内在高管理モード」をオフにする。
【0033】
図7は、操作者が、出納機1が実行する各種処理を選択するための操作画面(メインメニュー画面)S2である。
図7に示すメインメニュー画面には、「入金」、「出金」、「キャビネット関連」、「照会」のアイコンが含まれている。操作表示部60が、操作者による操作表示部60に表示された操作画面に含まれるアイコンへの操作入力を受け付けると、表示制御部52は、選択されたアイコンに対応する機能を実現するように別の操作画面を操作表示部60に表示する。例えば、操作者が、メインメニュー画面S2において、「出金」のアイコンI10を押下した場合には、表示制御部52は、操作表示部60に表示される画面を、メインメニュー画面S2から
図8に示す出金額を入力可能な操作画面(入力画面)S3に切り替える。
【0034】
また、
図7に示すメインメニュー画面S2において、操作表示部60が、「キャビネット関連」のアイコンI11を押下する操作入力を受け付けた場合には、表示制御部52は、操作表示部60に表示される画面を、メインメニュー画面S2から
図9に示す操作画面S4に切り替える。操作画面S4には、第1の選択項目である「キャビネットオープン」と表記されたアイコンI20、第2の選択項目である「手許からキャビネット」と表記されたアイコンI21、第3の選択項目である「キャビネットから手許」と表記されたアイコンI22が含まれている。なお、「キャビネットオープン」のアイコンI20は、「庫内在高管理モード」のオンオフにかかわらず選択可能である。一方、「手許からキャビネット」のアイコンI21及び「キャビネットから手許」のアイコンI22は、「庫内在高管理モード」がオンのときにのみ選択可能である。さらに、「キャビネットオープン」のアイコンI20、「手許からキャビネット」のアイコンI21及び「キャビネットから手許」のアイコンI22は、操作者の権限(ランク)により選択可能にするか否かをそれぞれ設定することができる。表示制御部52は、この設定によりユーザ認証部80によって操作者がキャビネットロック部44のロック解除を許可された者であり、キャビネット40へのアクセス権限を持つ者であると判定された場合、これらのアイコンを選択可能に表示し、キャビネット40へのアクセス権限を持つ者でないと判定された場合には、これらのアイコンを非表示又は選択不能にする。
【0035】
<キャビネットオープン>
例えば、操作者が、キャビネット40の庫内の収納物を確認したり、キャビネット40内に予備の消耗品を収納したり、キャビネット40内の消耗品を取り出す場合には、キャビネット40を引き出すために、操作画面S4中の「キャビネットオープン」のアイコンI20を押下する。操作表示部60が、「キャビネットオープン」のアイコンI20への操作入力を受け付けると、動作制御部51が、キャビネットロック部44のロックを解除するとともに、表示制御部52が、操作者にキャビネット40の引き出し、物品の収納及び取り出し、キャビネット40のセットを促す画像とメッセージとが含まれている
図10に示す確認画面S5を操作表示部60に表示する。なお、キャビネットロック部44のロックが解除されると、付勢手段45がキャビネット40を前側に僅かに押し出し、キャビネット40は、本体31から少し飛び出すことにより、操作者は、キャビネット40のロックが解除されたことが視覚的に分かる。
【0036】
その後、キャビネット40が本体31内に手動で押し戻されると、動作制御部51は、キャビネットロック部44によってキャビネット40の引き出しをロックする。さらに、表示制御部52は、
図11に示す確認画面S6を操作表示部60に表示する。確認画面S6において、操作者は、キャビネット40を再度引き出す場合には、「再度オープン」のアイコンI23を押下し、一連の処理を終える場合には、「完了」のアイコンI24を押下する。
【0037】
<手許からキャビネット>
「庫内在高管理モード」がオンの場合に、操作者が、キャビネット40内に貨幣を収納する場合には、
図9に示す操作画面S4中の「手許からキャビネット」のアイコンI21を押下する。操作表示部60が、「手許からキャビネット」のアイコンI21への操作入力を受け付けると、表示制御部52は、
図12に示す移動金額を入力する入力画面S7を表示する。入力画面S7では、移動させる貨幣の金種をリストI25で選択した上で、選択された金種の数量をテンキーI26で入力する。移動金額の入力を終えると、操作者は「完了」のアイコンI27を押下する。
【0038】
その後、動作制御部51は、プリンタ70から
図13に示すレシートR1を印刷する。レシートR1には、入力画面S7で入力された貨幣の金種及び数量並びに移動金額が印字されている。
【0039】
その後、動作制御部51は、キャビネットロック部44のロックを解除するとともに、表示制御部52は、操作者にキャビネット40の引き出し、物品の収納、キャビネット40のセットを促す画像とメッセージとが含まれている確認画面を操作表示部60に表示する。操作者は、キャビネット40を前側に引き出して、キャビネット40内に貨幣を移動する。操作者は、移動した貨幣の金額をレシートR1に印字された移動金額と照らし合わせることにより、貨幣を正確に移動させることができる。
【0040】
その後、貨幣の移動が終了して、キャビネット40が本体31内に手動で押し戻されると、動作制御部51は、キャビネットロック部44によってキャビネット40の引き出しをロックする。さらに、表示制御部52は、
図14に示す確認画面S8を操作表示部60に表示する。確認画面S8において、操作者は、キャビネット40を再度引き出す場合には、「再実行」のアイコンI28を押下し、一連の処理を終える場合には、「完了」のアイコンをI29押下する。
【0041】
また、キャビネット40内への貨幣の移動が生じた場合、庫内在高管理部54は、記憶部55に記録されたキャビネット40の庫内在高を、入力画面S7で入力された貨幣の移動金額分だけ増加させる。
【0042】
<キャビネットから手許>
「庫内在高管理モード」がオンの場合に、操作者が、キャビネット40内の貨幣を取り出す場合には、
図9に示す操作画面S4中の「キャビネットから手許」のアイコンI22を押下する。操作表示部60が、「キャビネットから手許」のアイコンI22への操作入力を受け付けると、表示制御部52は、
図15に示す移動金額を入力する入力画面S9を表示する。入力画面S9では、移動させる貨幣の金種をリストI30で選択した上で、選択された金種の数量をテンキーI31で入力する。移動金額の入力を終えると、操作者は「完了」のアイコンI32を押下する。
【0043】
その後、動作制御部51は、プリンタ70から
図16に示すレシートR2を印刷する。レシートR2には、入力画面S9で入力された貨幣の金種及び数量並びに移動金額が印字されている。
【0044】
その後、動作制御部51は、キャビネットロック部44のロックを解除するとともに、表示制御部52は、操作者にキャビネット40の引き出し、物品の取り出し、キャビネット40のセットを促す画像とメッセージとが含まれている確認画面を操作表示部60に表示する。操作者は、キャビネット40を前側に引き出して、キャビネット40の貨幣を取り出す。操作者は、取り出した貨幣の金額をレシートR2に印字された移動金額と照らし合わせることにより、貨幣を正確に取り出すことができる。
【0045】
その後、貨幣の移動が終了して、キャビネット40が本体31内に手動で押し戻されると、動作制御部51は、キャビネットロック部44によってキャビネット40の引き出しをロックする。さらに、表示制御部52は、
図17に示す確認画面S10を操作表示部60に表示する。確認画面S10において、操作者は、キャビネット40を再度引き出す場合には、「再実行」のアイコンI33を押下し、一連の処理を終える場合には、「完了」のアイコンI34を押下する。
【0046】
また、キャビネット40外への貨幣の移動が生じた場合、庫内在高管理部54は、記憶部55に記録されたキャビネット40の庫内在高を、入力画面S9で入力された貨幣の移動金額分だけ減少させる。
【0047】
その後、例えば、キャビネット40から取り出した貨幣を手許払いで出金する場合、操作者が、
図7に示すメインメニュー画面S2における「出金」のアイコンI10を押下すると、表示制御部52は、
図8に示す入力画面S3に切り替える。その後、操作者は、
図8に示す入力画面S3の入力フォームI13に、出金する貨幣の金種、貨幣の数量及び伝票明細をテンキーI14を介して入力する。また、手払いを指定して手払いする出金額を入力する。出金額の入力を終えると、操作者は「完了」のアイコンI15を押下する。その後、制御部50は、プリンタ70から図示しないレシートを印刷する。レシートには、手払いを指定した貨幣の金種、数量及び出金額が印字されている。出納機1の手許在高は、入力画面S3で入力された出金額分だけ減少される。
【0048】
<在高明細>
図18は、出納機1が待機状態である際に表示する選択画面(待機画面)S11を示す。待機画面S11では、紙幣処理装置10内のバラ紙幣、新券処理装置30内の新券、硬貨処理装置20内のバラ硬貨及び棒金について、金種毎に出金の可否及び収納状態(収納量、フル又はニアフル等)をアイコンI40~I43でそれぞれ示す。さらに、「庫内在高管理モード」がオンの場合には、キャビネット40内の貨幣の収納状態をアイコンI44で示す。待機画面S11中のアイコンI44は、キャビネット40内に貨幣が存在する状態と、キャビネット40内に貨幣が存在しない状態とを視覚的に示すように設定されている。なお、待機画面S11中のアイコンI44において、さらにキャビネット40内の庫内在高又は貨幣の収納量を表示するようにしても構わない。
【0049】
また、操作者が、締め作業等でキャビネット40内の詳細な手許在高情報を確認したい場合には、
図18に示す待機画面S11の「キャビネット」のアイコンI44を押下すると、制御部50は、
図19に示す手許在高明細画面S12を操作表示部60に表示する。手許在高明細画面S12は、出納機1が管理する手許在高の貨幣の金種と数量を表示するものであり、「キャビネット」のタブI45を選択することにより、キャビネット40内の詳細な手許在高情報が表示される。また、手許在高明細画面S12中の「キャビネット除く」のタブI46を選択することにより、キャビネット40を除く出納機1が管理する手許在高が表示され、「手許」のタブI47を選択することにより、キャビネット40を含む出納機1全体の手許在高が表示される。なお、
図7に示すメインメニュー画面S2の「照会」のアイコンI12又は
図18に示す待機画面S11の「共通メニュー」のアイコンI48を押下することでも手許在高明細画面S12に移動することができる。さらに、「共通メニュー」のアイコンI48は、
図18に示す待機画面S11を含む何れの操作画面にも表示されているので、各画面の「共通メニュー」のアイコンI48を押下することでも手許在高明細画面S12に移動することができる。
【0050】
<庫内在高管理モードオフ時のキャビネット操作>
「庫内在高管理モード」がオフの場合、操作表示部60は、
図6に示す設定画面S1において、操作者による、選択事項「手受/手払発生時キャビネット操作」についての「する」又は「しない」を選択する操作入力を受け付ける。操作者が、選択事項「手受/手払発生時キャビネット操作」について「する」のラジオボタンを選択した場合に、制御部50は、貨幣を手許在高として出納機1に出し入れする際にキャビネット40のロックを解除する。
【0051】
例えば、操作者が、設定画面S1で、選択事項「庫内在高管理モード」について「しない」のラジオボタンを選択し、選択事項「手受/手払発生時キャビネット操作」について「する」のラジオボタンを選択し、
図7に示すメインメニュー画面S2において、「出金」のアイコンI10を押下した場合、制御部50は、出金額を入力するための
図8に示す入力画面S3を操作表示部60に表示する。
【0052】
操作者は、
図8に示す入力画面S3の入力フォームI13に、出金する貨幣の金種、貨幣の数量及び伝票明細をテンキーI14を介して入力する。ここで、手払いをする場合は「手払い」を指定して手払いする出金額を入力する。出金額の入力を終えると、操作者は「完了」のアイコンI15を押下する。その後、手払いを指定した場合に、制御部50は、プリンタ70から図示しないレシートを印刷する。レシートには、手払いを指定した貨幣の金種及び数量並びに出金額が印字されている。
【0053】
その後、制御部50は、キャビネットロック部44のロックを解除するとともに、操作者にキャビネット40の引き出し、貨幣の取り出し、キャビネット40のセットを促す画像とメッセージとが含まれている確認画面を操作表示部60に表示する。操作者は、キャビネット40を前側に引き出して、キャビネット40の貨幣を取り出す。操作者は、取り出した貨幣の金額をレシートに印字された出金額と照らし合わせることにより、貨幣を正確に取り出すことができる。
【0054】
その後、貨幣の取り出しが終了して、キャビネット40が本体31内に手動で押し戻されると、制御部50は、キャビネットロック部44によってキャビネット40の引き出しをロックする。さらに、制御部50は、
図20に示す確認画面S13を操作表示部60に表示する。確認画面S13において、操作者は、キャビネット40を再度引き出す場合には、「再度オープン」のアイコンI50を押下し、一連の処理を終える場合には、「完了」のアイコンI51を押下する。
【0055】
一方、操作者が、
図6に示す設定画面S1で、選択事項「手受/手払発生時キャビネット操作」について「しない」のラジオボタンを選択した場合には、制御部50は、入出金の際であってもキャビネット40のロックを解除しない。
【0056】
<操作履歴照会>
出納機1では、セキュリティの観点から、カメラ47がキャビネット40内を適宜撮像し、カメラ47が撮像した撮像画像は、記憶部55に記憶される。
【0057】
カメラ47は、キャビネットロック部44の施錠又は解錠にかかわらずキャビネット40内を常時撮像しても構わないが、撮像画像のデータ容量を抑えるために、キャビネット40の開閉と連動してキャビネット40内を撮像するのが好ましい。
【0058】
例えば、カメラ47は、キャビネットロック部44が解錠状態である開放時間に亘ってキャビネット40内を撮像することにより、操作者がキャビネット40へ物品の出し入れを行う様子を漏れなく記録することができる。
【0059】
また、カメラ47は、キャビネットロック部44の解錠前及び施錠後でキャビネット40内をそれぞれ撮像することにより、物品の出し入れが行われた前後のキャビネット40内の様子を比較可能で且つ省データ容量で記録することができる。
【0060】
また、ログ生成部56が生成した検索用情報は、記憶部55に記憶される。検索用情報には、キャビネット40を開閉する操作者を識別する操作者識別情報、キャビネットロック部44がロック解除されていた日時を示す開閉時刻情報、及びキャビネットが開閉された際の処理内容を示す操作履歴情報が少なくとも含まれ、互いに紐付けて記憶部55に記憶されている。
【0061】
操作者識別情報は、キャビネット40への物品を出し入れする操作者を特定可能な情報であり、例えば、ユーザ認証部80が読み取った操作者を特定するカードに記憶された情報に基づいて生成される。
【0062】
開閉時刻情報は、
図9に示す操作画面S4等を介した入力操作によりキャビネットロック部44が解錠された開始時刻である開始時刻情報と、その後にキャビネット40が本体31内に手動で押し戻されて、動作制御部51が、キャビネットロック部44を施錠してキャビネット40の引き出しをロックし、
図11に示す確認画面S6等を介した入力操作により、キャビネット40の開閉を伴う一連の処理を終えた終了時刻である終了時刻情報と、開始時刻から終了時刻に亘ってキャビネットロック部44が解錠状態であった時間である開放時間情報とを含む。
【0063】
操作履歴情報は、
図9に示す操作画面S4等を介してキャビネット40を引き出す入力操作を行う場合に、図示しない操作画面を介して入力される、キャビネット40の引き出しを伴う各種処理の内容を示し、例えば、キャビネット40内に予備の消耗品を収納したり、キャビネット40内の消耗品を取り出す処理、キャビネット40内へセキュリティの高い貨幣や証券等を出し入れする処理、又はキャビネット40内の物品の収容状況を確認する締め作業等の種別をいう。
【0064】
図21は、検索用情報に関するデータテーブルの一例である。
図21に示す検索用情報では、出納機1が行った各処理に対して時系列順に「処理通番」が振られ、各処理通番に「開始時刻」、「終了時刻」、「開放時間」、「オペレータ番号」、「科目」が紐付けられている。なお、「オペレータ番号」とは、操作者毎に割り当てられた番号であり、操作者識別番号に当たる。また、「科目」とは、キャビネット40の開閉を伴った際の処理の種別であり、操作履歴情報に当たる。
【0065】
また、
図21に示す検索用情報には、カメラ47が撮像した撮像画像が紐付けられて記憶される。これにより、処理毎のキャビネット40内の物品の収容状況を記憶することができる。なお、検索用情報及び撮影画像が記憶される記憶部55は、出納機1内に内蔵されたものであっても、出納機1に対して任意のネットワークを介して接続されたものであっても構わない。
【0066】
操作者が、監査等で過去のキャビネット40の開閉を伴う処理の履歴を確認したい場合には、
図7に示すメインメニュー画面S2等に含まれる図示しない「履歴照会」のアイコンを押下すると、表示制御部52は、
図22に示す操作画面(選択画面)S14を操作表示部60に表示する。選択画面S14は、「業務時間外操作の抽出」のアイコンI60、「長時間操作の抽出」のアイコンI61を含む。
【0067】
操作者が、「業務時間外操作の抽出」のアイコンI60を選択すると、検索部57は、検索用情報のうち、予め設定された業務時間外(例えば、8:00~17:00以外)の検索条件に合致する開始時刻又は終了時刻を検索する。表示制御部52は、検索用情報のうち検索条件に合致した開始時刻又は終了時刻を含む処理を操作表示部60に表示する。
図23は、
図21に示す検索用情報のうち終了時刻が17:00以降の処理を抽出した出力例である。
【0068】
また、操作者が、「長時間操作の抽出」のアイコンI61を選択すると、検索部57は、検索用情報のうち、予め設定された操作時間以上(例えば、5分以上)の検索条件に合致する開放時間を検索する。表示制御部52は、検索用情報のうち検索条件に合致した開放時刻を含む処理を操作表示部60に表示する。
図24は、
図21に示す検索用情報のうち開放時間が5分以上の処理を抽出した出力例である。
【0069】
検索用情報に関する検索条件は、上述したものに限定されず、例えば、キャビネット40の開閉を伴う処理の際にキャビネットロック部44が解錠される標準的な開放時間を超過するものを抽出するように設定されても構わないし、操作者識別情報毎の開放時間の直近5回の平均値(すなわち操作者毎の直近5回分の開放時間の平均値)を算出し、その平均値の1/3~3倍に設定された開放時間範囲から逸脱したものを抽出するように設定されても構わない。なお、検索条件の開放時間範囲を算出するにあたっては、開放時間の平均値を算出する際に参照する処理回数、開放時間の平均値に乗じる係数はそれぞれ任意に変更可能である。
【0070】
また、検索部57は、アイコンI60、I61に対応する検索条件に合致した処理に関するカメラ47の撮像画像を抽出し、表示制御部52は、そのカメラ47の撮像画像を操作表示部60に表示する。
【0071】
なお、表示制御部52は、
図21に示す選択画面S14に代えて、
図24に示す検索条件を手動で入力する操作画面(入力画面)S15を操作表示部60に表示しても構わない。
図24に示す入力画面S15は、処理通番の抽出範囲を指定する「処理通番」の入力ボックスI62、開始時刻又は終了時刻の少なくとも何れか一方を指定する「時刻」の入力ボックスI63、操作者を指定する「オペレ―タ番号」の入力ボックスI64、キャビネット40の開閉を伴った処理の種別を指定する「科目」の入力ボックスI65を含む。操作者は、各入力ボックスI62~I65を押下することにより表示される図示しないテンキー、プルダウンメニュー又は数値ステッパー等を介して所望の検索条件を入力する。
【0072】
検索条件の入力を終えると、操作者は「表示」のアイコンI66を押下する。その後、検索部57が、検索用条件のうち指定された検索条件に合致するものを抽出し、表示制御部52は、検索用情報のうち検索条件に合致したものを含む処理を操作表示部60に表示する。また、検索部57は、
図24に示す入力画面S15で入力した検索条件に合致した処理に関するカメラ47の撮像画像を抽出し、表示制御部52は、そのカメラ47の撮像画像を操作表示部60に表示する。
【0073】
このようにして、本実施形態に係る出納機1は、本体31と、本体31に設けられ、新券を処理する新券処理部32と、本体31内に設けられ、物品を収納可能なキャビネット40と、キャビネット40の引き出しをロック可能なキャビネットロック部44と、キャビネット40内を撮像可能なカメラ47と、新券処理装置30、キャビネットロック部44及びカメラ47を制御する制御部50と、を備えている構成とした。
【0074】
この構成によれば、例えば、出納機1で使用する貨幣等や消耗品等の物品に不足が生じた場合に、キャビネット40に収容された補充物品を取り出すことにより、操作者が出納機1から一時的に離れて補充物品を取りに行くことなく、速やかに物品を補充することができるため、物品を効率的に管理可能な出納機1を提供することができる。さらに、カメラ47が、操作者がキャビネット40内へ物品を出し入れする様子を撮像可能なため、キャビネット40内の物品を安全に管理することができる。
【0075】
また、本実施形態に係る出納機1は、キャビネット40を開閉する操作者を識別する操作者識別情報、キャビネット40が解錠されていた日時を示す開閉時刻情報、及びキャビネット40が開閉された際の処理内容を示す操作履歴情報を生成するログ生成部56と、カメラ47が撮像した撮像画像と、操作者識別情報、開閉時刻情報及び操作履歴情報を含む検索用情報とを紐付けて記憶する記憶部55と、をさらに備えている構成とした。
【0076】
この構成によれば、カメラ47の撮像画像とキャビネット40の操作に関する操作履歴情報とが紐付けて記憶することができる。
【0077】
また、本実施形態に係る出納機1は、操作者によって入力された検索条件に合致する検索用情報を検索し、検索した検索用情報に対応する撮像画像を抽出する検索部57をさらに備えている構成とした。
【0078】
この構成によれば、キャビネット40の開閉を伴う処理の操作履歴を確認する際に、検索条件で合致した操作履歴情報に対応する撮像画像をスムーズに抽出することができる。
【0079】
また、本実施形態に係る出納機1は、制御部50が、検索部57により抽出された撮像画像を操作表示部60に表示する構成とした。
【0080】
この構成によれば、操作者等は、検索部57により抽出された撮像画像を目視で確認することができる。
【0081】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、上記以外にも種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0082】
例えば、出納機1は、紙幣処理装置10、新券処理装置30及び硬貨処理装置20を左右方向(幅方向)の左からこの順番以外に並べたものであっても構わない。また、操作表示部60を新券処理装置30以外の装置の本体の上面に配置しても構わない。さらに、出納機1は、紙幣処理装置10、新券処理装置30及び硬貨処理装置20の3つの装置を並べて設けたものに限定されず、3つより少ない装置を並べたものであっても、3つより多い装置を並べたものであっても構わない。
【0083】
また、例えば、キャビネット40が新券処理装置30内に設けられた場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。キャビネット40を出納機1の左右方向(幅方向)の略中央に設けられた装置の貨幣処理部の下方に設けるものに限定されず、キャビネット40を出納機1の左右方向(幅方向)の略中央以外に設けられた装置の貨幣処理部の下方に設けても構わない。さらに、キャビネット40は、操作表示部60が本体の上面に配置されている装置の貨幣処理部の下方に設けられものに限定されず、操作表示部60が本体の上面に配置されていない装置の貨幣処理部の下方にキャビネット40を設けても構わない。さらに、キャビネット40は、紙幣処理装置10の紙幣処理部、硬貨処理装置20の硬貨処理部又は新券処理装置30の新券処理部32等の各貨幣処置部の下方に配置するものに限定されず、紙幣処理装置10内、硬貨処理装置20内又は新券処理装置30内の任意の場所に配置しても構わない。つまり、キャビネット40を設置可能なスペースを確保できれば、キャビネット40を出納機1内の如何なる場所に設けても構わない。
【0084】
また、キャビネット40へのアクセスの機密性を確保するために、ユーザ認証部80に代えて又は加えて、操作者がキャビネット40へ貨幣を出し入れする一連の処理を録画するカメラを設けても構わない。このようなカメラとして、例えば、出納機1の上方から新券処理装置30を俯瞰して撮影するものが考えられる。
【0085】
また、不正行為を防止するために、キャビネット40の操作に際して、役席者等の承認がなければキャビネット40の操作を行えない、いわゆるダブル認証を設定することも可能である。
【符号の説明】
【0086】
1:出納機、10:紙幣処理装置、11:(紙幣処理装置の)本体、12:紙幣入出金口、13:束出金口、20:硬貨処理装置、21:(硬貨処理装置の)本体、22:硬貨入金口、23:硬貨出金箱、24:棒金入金口、25:第1の棒金出金口、26:第2の棒金出金口、27:第3の棒金出金口、30:新券処理装置、31:(新券処理装置の)本体、32:新券処理部(貨幣処理部)、33:新券入出金口、34:収納スペース、40:キャビネット、41:ローラ、42:取っ手、43:ガイドレール、44:キャビネットロック部、45:付勢手段、46:キャビネット錠、47:カメラ(撮像部)、50:制御部、51:動作制御部、52:表示制御部、53:モード切替部、54:庫内在高管理部、55:記憶部、56:ログ生成部、57:検索部、60:操作表示部(出力部)、70:プリンタ、80:ユーザ認証部