(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136336
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】携帯端末、プログラム、クラウドサーバおよび防災システム
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20240927BHJP
A62C 37/50 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G08B17/00 E
G08B17/00 L
A62C37/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047424
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003476
【氏名又は名称】弁理士法人瑛彩知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 翔
【テーマコード(参考)】
2E189
5G405
【Fターム(参考)】
2E189HA01
5G405AA06
5G405AA08
5G405CA22
5G405CA27
5G405CA46
(57)【要約】
【課題】総合操作盤の設置スペースを削減する。
【解決手段】本発明に係る携帯端末は、クラウドサーバから情報を取得する取得部と、取得された情報を表示する表示制御部と備える。上記のクラウドサーバは、火災受信機との通信を制御する通信制御部と、防火対象物の地図情報と、消防用設備機器の作動状況を示す情報を記憶する記憶部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウドサーバから情報を取得する取得部と、
前記取得された情報を表示する表示制御部と
を備え、
前記クラウドサーバは、
火災受信機との通信を制御する通信制御部と、
防火対象物の地図情報と、消防用設備機器の作動状況を示す情報を記憶する記憶部と
を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
制御指示部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記消防用設備機器を制御するための操作手段をさらに表示し、
前記制御指示部は、前記操作手段が操作されると、前記消防用設備機器の制御を前記クラウドサーバに指示し、
前記クラウドサーバは、設備制御部をさらに備え、
前記設備制御部は、前記指示を受けて、前記火災受信機を介して前記消防用設備機器を制御する
ことを特徴とする、請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記取得された情報であって、前記携帯端末の利用者に対して付与されている権限に応じた情報を表示することを特徴とする、請求項1に記載の携帯端末。
【請求項4】
携帯型のコンピュータを、請求項1に記載の前記取得部および前記表示制御部として機能させるためのプログラム。
【請求項5】
火災受信機との通信を制御する通信制御部と、
防火対象物の地図情報と、消防用設備機器の作動状況を示す情報を記憶する記憶部と、
前記火災受信機を介して前記消防用設備機器を制御する設備制御部と、
前記記憶部に記憶されるいずれかの情報を携帯端末に送信する送信部と
を備えるクラウドサーバ。
【請求項6】
携帯端末とクラウドサーバを備える防災システムであって、
前記携帯端末は、
前記クラウドサーバから情報を取得する取得部と、
前記取得された情報を表示する表示制御部と
を備え、
前記クラウドサーバは、
火災受信機との通信を制御する通信制御部と、
防火対象物の地図情報と、消防用設備機器の作動状況を示す情報を記憶する記憶部と
を備えることを特徴とする防災システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末、プログラム、クラウドサーバおよび防災システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高層の建築物、大規模な建築物等において各種の消防用設備に係る監視、操作等を行うための機器として、総合操作盤が知られている(例えば、特開2018-142338号公報参照)。
総合操作盤のディスプレイシステムは、据え置き型の制御処理装置(PC)とLCDモニタ等で構成され、防災センタに設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
総合操作盤を複数台設置する場合や、副防災監視場所にも設置する場合、同等のハードウェアが必要であり、かつ有線での防災LAN配線の敷設が必要であるため、スペース面で導入のハードルが高い。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、総合操作盤の設置スペースを削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明に係る携帯端末は、クラウドサーバから情報を取得する取得部と、前記取得された情報を表示する表示制御部と備え、前記クラウドサーバは、火災受信機との通信を制御する通信制御部と、防火対象物の地図情報と、消防用設備機器の作動状況を示す情報を記憶する記憶部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、総合操作盤の設置スペースを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、防災システム100の構成例を示す。
【
図3】
図3は、クラウドサーバ103の構成例を示す。
【
図4】
図4は、タブレット端末104の構成例を示す。
【
図8】
図8は、さらに別のメイン画面の一例を示す。
【
図9】
図9は、さらに別のメイン画面の一例を示す。
【
図12】
図12は、タブレット端末104で消防用設備機器を制御する際の動作の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.実施例
本発明の実施例について説明する。
1-1.概要
まず、本発明の実施例の概要について説明する。
従来の総合操作盤は、上述した通り、複数台設置する場合や、副防災監視場所にも設置する場合、同等のハードウェアが必要であり、かつ有線での防災LAN配線の敷設が必要であるため、スペース面やコスト面で導入のハードルが高い。
そのため、リアルタイムの火災情報はほとんど全て防災センタに集約され、現場との間で情報格差が生じてしまうが、操作や各種対応で忙しい防災センタ要員との通話連絡は容易ではない。
【0009】
このような事情に鑑みて、本実施例では、総合操作盤(特に、ディスプレイシステム)のプログラム処理をクラウド上で行い、制御処理装置(PC)のハードウェアを不要とし、タブレットのみとする。ハードウェアの大幅削減により、設置スペース削減の効果が見込まれ、クラウドとタブレットの無線通信による構成とすることで、複数台設置や防災センタ以外での設置が容易となる。
【0010】
また、従来は現地確認要員が火災時に現地に駆け付ける際、火災警報画面を写真撮影したり印刷したりして持ち出していたが、タブレットを1台持ちだすだけで、変化するリアルタイムの火災情報を得られ、簡便かつより正確な情報が入手できる。加えて、現地から防災センタへの報告も、通話連絡することなく、タブレット上での操作により伝達可能となる。さらには、タブレットで撮影した写真や動画の送信などの付加機能により、利便性を高めることができる。
【0011】
その他にも、現地到着した公設消防隊にも貸し出すことで、初見の大規模かつ複雑な建物でも、地図表示でわかりやすく位置関係を確認しながら、そしてリアルタイムの火災情報を確認しながら消防活動を行うことができる。
【0012】
従来、総合操作盤は火災受信機の制御を行うことが可能である。本実施例では、混乱を避け、利便性を向上させるために、操作可能な機能については利用者の役割(アカウント)ごとに権限設定を変更する。
【0013】
1-2.構成
本実施例に係る防災システム100について、図面を参照して説明する。
図1は、防災システム100の構成例を示す。
防災システム100は、火災受信機101、通信ユニット102、クラウドサーバ103および複数のタブレット端末104A~104Dを備える。これらの機器のうち、火災受信機101、通信ユニット102およびタブレット端末104A~104Dは、防火対象物に設置されている。これに対して、クラウドサーバ103は、防火対象物の外(例えば、外部のデータセンタ)に設置されている。
また、これらの機器のうち、通信ユニット102、クラウドサーバ103およびタブレット端末104A~104Dは、インターネット105に接続されている。
【0014】
これらの機器のうち、火災受信機101は、建物内に設置された感知器や発信機から火災信号を受信し、火災の発生を音響と地区表示により知らせるとともに、地区音響装置を鳴動させ、関係者または消防機関に報知するための防災設備機器である。この火災受信機101は、防火対象物の防災センタや中央管理室に設置される。
【0015】
通信ユニット102は、火災受信機101をインターネット105に接続するための通信機器である。この通信ユニット102は、火災受信機101とは有線で接続され、インターネット105とは無線で接続されている。
【0016】
クラウドサーバ103は、防火対象物において各種の消防用設備に係る監視、操作等を行うための防災設備機器である。このクラウドサーバ103は、従来の総合操作盤(特に、ディスプレイシステム)の機能の全部または一部を、クラウドコンピューティングを利用して(言い換えると、インターネットを経由して)提供する。
【0017】
タブレット端末104A~104Dは、クラウドサーバ103が提供する防災機能を利用するための携帯端末である。このタブレット端末104A~104Dのうち、タブレット端末104Aは、防災センタの防災要員により使用され、タブレット端末104Bは、副防災監視場所の防災要員により使用され、タブレット端末104Cは、自衛消防隊員(特に、現地確認要員)により使用され、タブレット端末104Dは、公設消防隊員により使用される。これらのタブレット端末104A~104Dを、以下では「タブレット端末104」と総称する。
以下、防災システム100の主要な構成機器についてより具体的に説明する。
【0018】
1-2-1.火災受信機101
火災受信機101は、以下に示す17種類の消防用設備と接続可能である。
(1)屋内消火栓設備
(2)スプリンクラー設備
(3)水噴霧消火設備
(4)泡消火設備
(5)不活性消火設備
・二酸化炭素消火
・窒素ガス消火
・IG-541ガス消火
・IG-55ガス消火
(6)ハロゲン化物消火設備
(7)粉末消火設備
(8)屋外消火栓設備
(9)自動火災報知設備
(10)ガスもれ火災警報設備
(11)非常警報設備
・非常電話
・非常放送
(12)誘導灯
(13)排煙設備
(14)連結散水設備
(15)連結送水管
(16)非常用コンセント設備
(17)無線通信補助設備
【0019】
火災受信機101は、上記の17種類の消防用設備を監視することができる。加えて、火災受信機101は、上記の17種類の消防用設備のうち、(1)屋内消火栓設備、(2)スプリンクラー設備、(3)水噴霧消火設備、(4)泡消火設備、(8)屋外消火栓設備、および(13)排煙設備を制御することができる。
【0020】
図2は、火災受信機101の構成例を示す。
火災受信機101は、RAM等の主記憶装置201と、HDD等の補助記憶装置202、CPU等のプロセッサ203と、タッチパネルや操作ボタン等の入力装置204と、ディスプレイ、表示灯、スピーカ、プリンタ等の出力装置205と、伝送基板等の通信制御部206を備える。
【0021】
このうち、主記憶装置201は各種のプログラムを記憶しており、これらのプログラムをプロセッサ203が実行することにより、各種の機能が実現される。本発明に特に関連する機能としては、機器状態管理部211、警報情報送信部212および制御実行部213が実現される。以下、各機能について説明する。
【0022】
機器状態管理部211は、火災受信機101に接続されている消防用設備を構成する機器(以下単に、「消防用設備機器」という。)の状態情報を管理する。管理される状態情報には、例えば、感知器の作動状況を示す情報や、消火ポンプの運転状況を示す情報や、排煙機の運転状況を示す情報が含まれる。
【0023】
警報情報送信部212は、警報情報をクラウドサーバ103に送信する。送信される警報情報には、火災警報情報と作動警報情報が含まれる。このうち、火災警報情報は、火災の発生を通知する情報である。この火災警報情報には、例えば、発報した感知器の情報が含まれる。
一方、作動警報情報は、火災受信機101に接続されている消防用設備機器のうち、状態が変化した機器の情報を示す情報である。この作動警報情報には、例えば、起動または停止した消火ポンプの情報や、作動または復旧した排煙機の情報が含まれる。
【0024】
制御実行部213は、クラウドサーバ103から送られてくる制御情報に応じて、火災受信機101に接続されている消防用設備機器を制御する。実行される制御には、例えば、消火ポンプの制御や排煙機の制御が含まれる。
【0025】
次に、補助記憶装置202について説明する。
補助記憶装置202は、機器状態管理部211により管理される、消防用設備機器の状態情報221を記憶する。
【0026】
1-2-2.クラウドサーバ103
クラウドサーバ103は、複数の消防用設備等に係わる監視、操作などにより、防火対象物全体における火災の発生、火災の拡大などの状況を把握できる機能を始めとする、総合的な管理機能を搭載する装置である。このクラウドサーバ103は、主な機能として、表示機能、制御機能および消防隊活動支援機能を備える。
【0027】
これらの機能のうち、表示機能は、消防用設備の設置状況を表示する機能である。また、この表示機能は、火災等の発生状況および拡大状況を防火対象物の平面図、断面図等を用いて、警戒区域、放射区域、防護区画等を逐次表示し、平面的な広がり、上下階方向および防火区画の状況が容易に確認できることとする機能である。また、この表示機能は、自動火災報知設備と連動する消防用設備にあっては、連動または連動停止の状態を表示する機能である。
【0028】
次に、制御機能は、消防用設備を、火災受信機101を介して遠隔的に制御する機能である。
【0029】
次に、消防隊活動支援機能は、火災発生時に、到着した公設消防隊に的確かつ早急に情報提供する機能である。この消防隊活動支援機能により、感知器、発信機またはガス漏れ検知器が作動したすべての階の平面図および当該階に係る次の事項を分かりやすく表示できる。
(1)作動した感知器または発信機の位置
(2)作動したガス漏れ検知器の位置およびガス遮断弁の作動状況
(3)防火区画を構成する壁の位置ならびに防火戸、防火・防煙シャッター、ダンパーおよび可動防煙垂れ壁の作動状況
(4)排煙機および排煙口の作動状況
(5)スプリンクラー設備等自動消火設備の作動範囲
【0030】
加えて、消防隊活動支援機能により、次の各階の平面図が簡単な操作により分かりやすく表示できる。
(1)出火階の平面図
(2)出火階以外の感知器、発信機またはガス漏れ検知器の作動した階の平面図
(3)出火階の直上階の平面図
(4)出火階の直下階の平面図
【0031】
図3は、クラウドサーバ103の構成例を示す。
クラウドサーバ103は、RAM等の主記憶装置301と、HDD等の補助記憶装置302と、CPU等のプロセッサ303と、マウス、キーボード等の入力装置304と、ディスプレイ等の出力装置305と、ネットワークカード等の通信制御部306を備える。
【0032】
このうち、通信制御部306は、通信ユニット102を介した火災受信機101との通信を制御する。また、この通信制御部306は、タブレット端末104との通信を制御する。
【0033】
主記憶装置301は各種のプログラムを記憶しており、これらのプログラムをプロセッサ303が実行することにより、各種の機能が実現される。実現される機能には、警報情報受付部311、利用者認証部312、画面情報配信部313、設備制御部314、メッセージ配信部315および画像配信部316が含まれる。以下、各機能について説明する。
【0034】
警報情報受付部311は、火災受信機101から送信される警報情報を受け付ける。受け付ける警報情報には、火災警報情報と作動警報情報が含まれる。このうち、火災警報情報は、火災の発生を通知する情報である。この火災警報情報には、例えば、発報した感知器の情報が含まれる。
一方、作動警報情報は、火災受信機101に接続されている消防用設備機器のうち、状態が変化した機器の情報を示す情報である。この作動警報情報には、例えば、起動または停止した消火ポンプの情報や、作動または復旧した排煙機の情報が含まれる。
警報情報受付部311は、火災警報情報または作動警報情報を受け付けると、補助記憶装置302に記憶されている機器状態情報322を更新する。
【0035】
利用者認証部312は、クラウドサーバ103にアクセスしてきたタブレット端末104の利用者についてユーザ認証を行う。具体的には、利用者認証部312は、アクセスしてきた利用者に利用者IDとパスワードを入力させ、入力された情報の組が利用者情報321として登録されているか否かを判定する。この判定の結果、入力された情報の組が利用者情報321として登録されている場合には、利用者認証部312は、当該利用者によるアクセスを許可する。一方、この判定の結果、入力された情報の組が利用者情報321として登録されていない場合には、利用者認証部312は、当該利用者によるアクセスを拒否する。
【0036】
画面情報配信部313は、ユーザ認証に成功したタブレット端末104の利用者に対して画面情報を配信する。その際、画面情報配信部313は、利用者の役割(言い換えると、アカウント)に応じて、配信する画面情報を変える。これは、利用者の役割ごとに実行可能な制御を制限することで、利用者の混乱を避け、利便性を向上させるためである。なお、利用者の役割は、補助記憶装置302に記憶されている利用者情報321を参照することで特定される。
【0037】
以下に、役割ごとに設定される権限を示す。
防災センタ(主)アカウント:表示あり、全操作可能
防災センタ(副)アカウント:表示あり、操作不可
副防災監視場所アカウント:表示あり、操作不可
現地確認要員アカウント:表示あり、火災断定操作のみ可能
公設消防隊アカウント:表示あり、防災動力(消火ポンプ、排煙機)制御のみ操作可能
【0038】
次に、設備制御部314は、タブレット端末104から送られてくる制御情報に基づいて、火災受信機101を介して消防用設備機器を制御する。その際、設備制御部314は、タブレット端末104から送られてきた制御情報を火災受信機101に転送し、火災受信機101に、当該制御情報に応じて消防用設備機器を制御させる。その際、実行される制御には、例えば、消火ポンプの制御や排煙機の制御が含まれる。
【0039】
メッセージ配信部315は、タブレット端末104から投稿されたメッセージを、他のタブレット端末104に対して配信する。この結果、タブレット端末104の利用者間でコミュニケーションが可能になる。
【0040】
画像配信部316は、タブレット端末104から投稿された写真または動画を、他のタブレット端末104に対して配信する。配信される写真または動画は、例えば、火元の様子を表す画像である。このような画像を共有することで、タブレット端末104の利用者間で火元の状況を視覚的に共有することができる。
【0041】
次に、補助記憶装置302について説明する。
補助記憶装置302は、利用者情報321、機器状態情報322、平面図情報323、画面レイアウト情報324、連絡先情報325、画像情報326およびメッセージ情報327を記憶する。
【0042】
このうち、利用者情報321は、タブレット端末104の利用者の情報である。
図5は、利用者情報321の一例を示す。
利用者情報321は、テーブル形式の情報であり、利用者ID501、役割502、パスワード503、通信アドレス504等のカラムを有する。これらのカラムのうち、役割502には、「防災センタ(主)」、「防災センタ(副)」、「副防災監視場所」、「現地確認要員」、「公設消防隊」といった情報が格納される。この役割502に格納される情報に応じて、利用者に配信される画面情報が変化する。
【0043】
機器状態情報322は、火災受信機101に接続されている消防用設備機器の状態情報である。この機器状態情報322には、火災受信機101に接続されている消防用設備機器の作動状況を示す情報が含まれる。例えば、当該情報には、作動した感知器の位置を示す情報や、消火ポンプの運転状況を示す情報や、排煙機の運転状況を示す情報が含まれる。
警報情報受付部311は、火災受信機101から送られてくる火災警報情報または作動警報情報を受けて、この機器状態情報322を更新する。
【0044】
平面図情報323は、防火対象物の地図情報である。具体的には、平面図情報323は、各階の平面図を表す画像情報である。この平面図情報323が表す各階の平面図には、壁、扉、窓、階段、エスカレータ、エレベータなど各種設備が描画され、さらに、各種の消防用設備機器がシンボルで描画されている。
【0045】
画面レイアウト情報324は、メイン画面のレイアウトを表す情報である。上述のように画面情報は利用者の役割に応じて変化する。そのため、利用者の役割ごとに画面レイアウトが用意されている。画面レイアウト情報324は、これら複数の画面レイアウトを表す情報である。
画面情報配信部313は、この画面レイアウト情報324と、機器状態情報322および平面図情報323とに基づいて画面情報を生成する。
【0046】
連絡先情報325は、タブレット端末104の利用者の連絡先を示す情報である。具体的には、連絡先情報325は、各利用者の利用者ID、役割、通信アドレスを示す情報である。この連絡先情報325は、タブレット端末104の利用者間で通話する際に利用される。
【0047】
画像情報326は、タブレット端末104から投稿されてくる写真または画像のファイルである。この画像情報326は、画像配信部316により補助記憶装置302に記憶される。
【0048】
メッセージ情報327は、タブレット端末104から投稿されてくるメッセージと、そのメッセージに関する属性情報である。このメッセージ情報327は、メッセージ配信部315により補助記憶装置302に記憶される。
【0049】
1-2-3.タブレット端末104
タブレット端末104は、クラウドサーバ103が提供する防災機能を利用するための携帯端末である。
図4は、タブレット端末104の構成例を示す。
タブレット端末104は、RAM等の主記憶装置401と、HDD等の補助記憶装置402と、CPU等のプロセッサ403と、タッチパネル、マイク、カメラ等の入力装置404と、ディスプレイやスピーカ等の出力装置405と、ネットワークカード等の通信制御部406を備える。
【0050】
このうち、主記憶装置401は各種のプログラムを記憶しており、これらのプログラムをプロセッサ403が実行することにより、各種の機能が実現される。実現される機能には、情報取得部411、表示制御部412、制御指示部413、通話部414、画像送受信部415およびメッセージ送受信部416が含まれる。
【0051】
このうち、情報取得部411は、クラウドサーバ103と通信を行い、当該サーバから画面情報を取得する。
【0052】
表示制御部412は、情報取得部411が取得した画像情報を解釈して、メイン画面を表示する。表示されるメイン画面は、防火対象物の平面図と、防火対象物内で発生したイベントのリストを含む。また、当該メイン画面は、消防用設備機器を制御するための操作手段(例えば、スイッチ)を含む。
【0053】
ここで、情報取得部411が取得する画像情報は、上述のように、利用者の役割に応じて変化する。これは、役割ごとに付与される権限が異なるからである。そのため、表示制御部412は、タブレット端末104の利用者に付与された権限に応じたメイン画面を表示することになる。以下では、利用者に付与された権限に応じて変化するメイン画面について説明する。
【0054】
図6は、メイン画面の一例を示す。同図に示すメイン画面600は、防災センタ(主)アカウントを有する利用者に対して表示されるメイン画面である。このメイン画面600では、消防用設備機器に対するすべての操作が可能になっている。
【0055】
このメイン画面600は、平面キープラン601、断面キープラン602、画面切替スイッチ群603、グラフィックエリア604、アラームリスト605、消防支援スイッチ606、火災断定スイッチ607、復旧スイッチ608、音響停止スイッチ609、通話スイッチ610、写真/動画スイッチ611およびメッセージスイッチ612を有する。以下、各表示要素について説明する。
【0056】
平面キープラン601は、グラフィックエリア604に表示された平面図と同じフロアの縮小全体平面図をウィンドウ表示するエリアである。
【0057】
断面キープラン602は、建物の各フロアに対応してフロア選択スイッチが配列されたフロア選択ウィンドウを表示するエリアである。この断面キープラン602のフロア選択スイッチが選択されると、選択されたスイッチが黒色反転表示に変化し、対応するフロアの平面図がグラフィックエリア604に表示される。また、対応するフロアの縮小全体平面図が平面キープラン601に表示される。
【0058】
画面切替スイッチ群603は、直上階スイッチ、出火階スイッチ、直下階スイッチおよび警報画面スイッチからなる。これらのスイッチのうち、直上階スイッチ、出火階スイッチまたは直下階スイッチが選択されると、選択されたスイッチに対応するフロアの平面図がグラフィックエリア604に表示される。また、対応するフロアの縮小全体平面図が平面キープラン601に表示される。一方、警報画面スイッチが選択されると、警報表示ウィンドウ(図示略)がグラフィックエリア604に表示される。
【0059】
グラフィックエリア604は、各種情報を切替表示可能なエリアであり、主に建物の各フロアの平面図を表示するエリアである。このグラフィックエリア604にフロアの平面図を表示する場合、フロアの概要とともに消防用設備機器がそれぞれ固有のシンボルで、設置されている実際の場所に対応するように表示される。
【0060】
アラームリスト605は、最新5個のイベント情報を表示可能な表示エリアであり、それ以前のイベント情報は、スクロール操作により、表示可能となっている。このアラームリスト605には、各イベント情報に関連して、イベント発生時刻、消防用設備機器の名称、イベント内容、消防用設備機器の設置場所、棟階番号が一覧表示可能である。
【0061】
消防支援スイッチ606は、公設消防隊の支援に必要な情報を容易に表示するためのスイッチである。この消防支援スイッチ606が選択されると、消防支援ウィンドウがグラフィックエリア604に表示される。
【0062】
図10は、消防支援ウィンドウの一例を示す。同図に示す消防支援ウィンドウ1000は、連動遮断状態スイッチ1001、消火ポンプ運転状態スイッチ1002および排煙機運転状態スイッチ1003を有する。これらのスイッチのうち、連動遮断状態スイッチ1001は、防排煙機器の連動停止状態の確認と解除操作を行うためのスイッチである。消火ポンプ運転状態スイッチ1002は、消火ポンプの運転状況の確認と起動操作を行うためのスイッチである。排煙機運転状態スイッチ1003は、排煙機の運転状況の確認と起動操作を行うためのスイッチである。排煙機は、防排煙機器の中でも公設消防隊にとって重要な防災動力であり、消火ポンプとともに専用のスイッチを設けている。
【0063】
メイン画面600の説明に戻る。
火災断定スイッチ607は、火災断定を指示するためのスイッチである。
復旧スイッチ608は、火災復旧を指示するためのスイッチである。
音響停止スイッチ609は、地区音響の停止を指示するためのスイッチである。
【0064】
通話スイッチ610は、他のタブレット端末104の利用者と通話するためのスイッチである。この通話スイッチ610が選択されると、連絡先リスト(図示略)がグラフィックエリア604に表示される。表示される連絡先リストは、クラウドサーバ103から提供される連絡先情報325に基づいて生成される。
表示された連絡先リストにおいて通話相手が選択されると、選択された通話相手との通話が開始される。
【0065】
次に、写真/動画スイッチ611は、他のタブレット端末104の利用者により投稿された写真または動画を閲覧するためのスイッチである。この写真/動画スイッチ611が選択されると、画像リスト(図示略)がグラフィックエリア604に表示される。表示される画像リストは、クラウドサーバ103から提供される画像情報326(より具体的には、各画像ファイルの属性情報)に基づいて生成される。
表示された画像リストにおいて所望の画像が選択されると、選択された画像のファイルがクラウドサーバ103から取得され、グラフィックエリア604に表示される。加えて、選択された画像の撮影場所が平面キープラン601に図示される。この図示は、選択された画像の属性情報に基づいて行われる。属性情報には、撮影場所が含まれている。
【0066】
メッセージスイッチ612は、他のタブレット端末104の利用者により投稿されたメッセージを閲覧するためのスイッチである。このメッセージスイッチ612は、新着メッセージを受信すると、色が変化する。そして、このメッセージスイッチ612が選択されると、過去分を含めて、投稿されたメッセージがリスト形式で表示される。
【0067】
以上説明したメイン画面600では、消防支援スイッチ606を操作することで、防排煙機器の連動停止状態、消火ポンプの運転状況、排煙機の運転状況を確認することができる。また、同スイッチを操作することで、防排煙機器の連動停止状態の解除操作、消火ポンプの起動操作、排煙機の起動操作を行うことができる。
加えて、メイン画面600では、火災断定、火災復旧、音響停止、通話および投稿画像の閲覧を行うことができる。
【0068】
次に、別のメイン画面について説明する。
図7は、別のメイン画面の一例を示す。同図に示すメイン画面700は、防災センタ(副)アカウントを有する利用者に対して表示されるメイン画面である。このメイン画面700では、消防用設備機器に対する操作を行うことができない。
【0069】
このメイン画面700は、
図6に例示したメイン画面600と同様に、平面キープラン601、断面キープラン602、画面切替スイッチ群603、グラフィックエリア604およびアラームリスト605を有している。しかし、このメイン画面700は、
図6に例示したメイン画面600とは異なり、消防支援スイッチ606、火災断定スイッチ607、復旧スイッチ608、音響停止スイッチ609、通話スイッチ610および写真/動画スイッチ611を有していない。
【0070】
そのため、このメイン画面700では、消防支援スイッチ606を操作して防排煙機器の連動停止状態等を確認することができない。また、同スイッチを操作して防排煙機器の連動停止状態の解除操作等を行うことができない。
加えて、メイン画面700では、火災断定、火災復旧、音響停止、通話および投稿画像の閲覧を行うことができない。
【0071】
次に、さらに別のメイン画面について説明する。
図8は、さらに別のメイン画面の一例を示す。同図に示すメイン画面800は、現地確認要員アカウントを有する利用者に対して表示されるメイン画面である。このメイン画面800では、消防用設備機器に対する捜査は、火災断定操作のみを行うことができる。
【0072】
このメイン画面800は、
図6に例示したメイン画面600と同様に、平面キープラン601、断面キープラン602、画面切替スイッチ群603、グラフィックエリア604、アラームリスト605、火災断定スイッチ607および通話スイッチ610を有している。しかし、このメイン画面800は、
図6に例示したメイン画面600とは異なり、消防支援スイッチ606、復旧スイッチ608、音響停止スイッチ609および写真/動画スイッチ611を有していない。代わりに、このメイン画面800は、火災スイッチ801、非火災スイッチ802、手入力スイッチ803、写真投稿スイッチ804および動画投稿スイッチ805を有している。以下、メイン画面600との差分について説明する。
【0073】
火災スイッチ801は、火災発生を通知するメッセージを送信するためのスイッチである。この火災スイッチ801が選択されると、定型の火災発生通知メッセージがクラウドサーバ103に送信される。
【0074】
非火災スイッチ802は、非火災を通知するメッセージを送信するためのスイッチである。この非火災スイッチ802が選択されると、定型の非火災通知メッセージがクラウドサーバ103に送信される。
【0075】
手入力スイッチ803は、定型以外のメッセージを手入力して送信するためのスイッチである。この手入力スイッチ803が選択されると、メッセージ入力ウィンドウ(図示略)がグラフィックエリア604に表示される。表示されたメッセージ入力ウィンドウにメッセージが入力される。入力されるメッセージは、例えば、「負傷者あり」や「A通路は通行不可」などである。メッセージが入力されて送信ボタン(図示略)が選択されると、入力されたメッセージがクラウドサーバ103に送信される。
【0076】
写真投稿スイッチ804は、写真を投稿するためのスイッチである。この写真投稿スイッチ804が選択されると、写真撮影用画面(図示略)が表示される。表示された写真撮影用画面を利用して写真が撮影され、投稿ボタン(図示略)が選択されると、撮影された写真のファイルがクラウドサーバ103に送信される。
【0077】
動画投稿スイッチ805は、動画を投稿するためのスイッチである。この動画投稿スイッチ805が選択されると、動画撮影用画面(図示略)が表示される。表示された動画撮影用画面を利用して動画が撮影され、投稿ボタン(図示略)が選択されると、撮影された動画のファイルがクラウドサーバ103に送信される。
【0078】
以上説明したメイン画面800では、
図6に例示したメイン画面600とは異なり、消防支援スイッチ606を操作して防排煙機器の連動停止状態等を確認することができない。また、同スイッチを操作して防排煙機器の連動停止状態の解除操作等を行うことができない。
加えて、メイン画面800では、火災復旧、音響停止および投稿画像の閲覧を行うことができない。
ただし、メイン画面800では、メッセージ、写真または動画を投稿することができる。
【0079】
次に、さらに別のメイン画面について説明する。
図9は、さらに別のメイン画面の一例を示す。同図に示すメイン画面900は、公設消防隊アカウントを有する利用者に対して表示されるメイン画面である。このメイン画面900では、防災動力制御のみを行うことができる。
【0080】
このメイン画面900は、
図6に例示したメイン画面600と同様に、平面キープラン601、断面キープラン602、画面切替スイッチ群603、グラフィックエリア604、アラームリスト605および通話スイッチ610を有している。しかし、このメイン画面900は、
図6に例示したメイン画面600とは異なり、消防支援スイッチ606、火災断定スイッチ607、復旧スイッチ608、音響停止スイッチ609および写真/動画スイッチ611を有していない。代わりに、このメイン画面900は、受信機状態スイッチ901、排煙機スイッチ902、消火ポンプスイッチ903および写真投稿スイッチ904を有している。以下、メイン画面600との差分について説明する。
【0081】
受信機状態スイッチ901は、火災受信機101の連動遮断状態の確認を行うためのスイッチである。
【0082】
排煙機スイッチ902は、排煙機の起動・復旧を指示するためのスイッチである。
消火ポンプスイッチ903は、消火ポンプの起動を指示するためのスイッチである。
【0083】
写真投稿スイッチ904は、写真を投稿するためのスイッチである。この写真投稿スイッチ904が選択されると、写真撮影用画面(図示略)が表示される。表示された写真撮影用画面を利用して写真が撮影され、投稿ボタン(図示略)が選択されると、撮影された写真のファイルがクラウドサーバ103に送信される。
【0084】
以上説明したメイン画面900では、
図6に例示したメイン画面600とは異なり、消防支援スイッチ606を操作して防排煙機器の連動停止状態等を確認することができない。また、同スイッチを操作して防排煙機器の連動停止状態の解除操作等を行うことができない。
加えて、メイン画面900では、火災断定、火災復旧、音響停止および投稿画像の閲覧を行うことができない。
ただし、メイン画面900では、写真を投稿することができる。
【0085】
以上説明したように、メイン画面の内容は、タブレット端末104の利用者の役割に応じて変化する。ここで、メイン画面の内容とは、表示可能な情報と操作可能な制御のことである。
【0086】
タブレット端末104の機能の説明に戻る。
制御指示部413は、メイン画面に対する利用者の操作を受けて、制御情報をクラウドサーバ103に送信する。送信される制御情報は、消防用設備機器の制御を指示する情報である。この制御情報により制御される機器には、例えば、消火ポンプ、排煙機、地区音響装置が含まれる。
【0087】
なお、この制御指示部413が受け付ける利用者の操作には、上述した火災断定スイッチ607、復旧スイッチ608、音響停止スイッチ609、排煙機スイッチ902、消火ポンプスイッチ903の操作が含まれる。
【0088】
これらのスイッチの操作の可否は、上で説明した通り、メイン画面によって異なる。これは、メイン画面の内容が、利用者に付与されている権限に応じて変化するからである。そのため、制御指示部413は、利用者に対して制御権が付与されている消防用設備機器についてのみ、制御情報をクラウドサーバ103に送信することになる。
【0089】
次に、通話部414は、メイン画面に対する利用者の操作を受けて、他のタブレット端末104との間で通話処理を行う。具体的には、通話部414は、メイン画面で上記の通話スイッチ610が選択されると、クラウドサーバ103から連絡先情報325を取得する。そして、通話部414は、取得した連絡先情報325に基づいて連絡先リスト(図示略)を表示する。通話部414は、この連絡先リストで通話相手が選択されると、選択された通話相手との通話処理を開始する。
【0090】
画像送受信部415は、メイン画面に対する利用者の操作を受けて、写真または動画を投稿する。具体的には、画像送受信部415は、メイン画面で上記の写真投稿スイッチ804、904または動画投稿スイッチ805が選択されると、撮影用画面(図示略)を表示する。画像送受信部415は、表示された撮影用画面を利用して写真または動画が撮影され、グラフィックエリア604の平面図上で撮影場所が選択され、投稿ボタン(図示略)が選択されると、撮影された画像のファイルをクラウドサーバ103に送信する。送信されるファイルには、属性情報として撮影場所が記録されている。
【0091】
また、画像送受信部415は、メイン画面に対する利用者の操作を受けて、他のタブレット端末104の利用者により投稿された写真または動画を表示する。具体的には、画像送受信部415は、メイン画面で上記の写真/動画スイッチ611が選択されると、クラウドサーバ103から画像情報326(より具体的には、各画像ファイルの属性情報)を取得する。そして、画像送受信部415は、取得した画像情報326に基づいて画像リスト(図示略)を表示する。画像送受信部415は、この画像リストで所望の画像が選択されると、選択された画像のファイルをクラウドサーバ103から取得して表示する。加えて、画像送受信部415は、選択された画像の撮影場所を平面キープラン601に図示する。この図示は、選択された画像の属性情報に基づいて行われる。属性情報には、撮影場所が含まれている。
【0092】
メッセージ送受信部416は、メイン画面に対する利用者の操作を受けて、メッセージを投稿する。具体的には、メッセージ送受信部416は、メイン画面で上記の火災スイッチ801または非火災スイッチ802が選択されると、定型の火災発生通知メッセージまたは非火災通知メッセージをクラウドサーバ103に送信する。
【0093】
また、メッセージ送受信部416は、メイン画面で上記の手入力スイッチ803が選択されると、メッセージ入力ウィンドウ(図示略)を表示する。メッセージ送受信部416は、このメッセージ入力ウィンドウにメッセージが入力され、送信ボタン(図示略)が選択されると、入力されたメッセージをクラウドサーバ103に送信する。
【0094】
また、メッセージ送受信部416は、他のタブレット端末104から投稿され、クラウドサーバ103により配信されたメッセージを取得して表示する。具体的には、メッセージ送受信部416は、新着メッセージを受け付けると、上述したメッセージスイッチ612の色を変化させる。そして、メッセージ送受信部416は、メッセージスイッチ612が選択されると、過去分を含めて、投稿されたメッセージをリスト形式で表示する。
【0095】
次に、タブレット端末104の補助記憶装置402について説明する。
補助記憶装置402は、画面情報421、連絡先情報422、画像情報423およびメッセージ情報424を記憶する。
【0096】
このうち、画面情報421は、クラウドサーバ103から配信されて記憶された画面情報である。表示制御部412は、この画面情報421を解釈してメイン画面を表示する
【0097】
連絡先情報422は、クラウドサーバ103から配信されて記憶された連絡先情報である。通話部414は、この連絡先情報422に基づいて連絡先リスト(図示略)を表示する。
【0098】
画像情報423は、クラウドサーバ103から配信されて記憶された画像情報である。画像送受信部415は、この画像情報326に基づいて画像リスト(図示略)と個別の画像ファイルを表示する。
【0099】
メッセージ情報424は、クラウドサーバ103から配信されて記憶されたメッセージ情報である。メッセージ送受信部416は、このメッセージ情報327に基づいて投稿メッセージを表示する。
【0100】
1-3.動作
防災システム100の動作について説明する。以下では、一例として、火災警報時の動作と、タブレット端末104で消防用設備機器を制御する際の動作について説明する。
【0101】
1-3-1.火災警報時の動作
図11は、火災警報時の動作の一例を示す。同図に示す動作1100では、火災受信機101は、接続されている感知器からの発報信号を受信するなど、火災の発生を検知すると(ステップ1101)、火災警報情報をクラウドサーバ103に送信する(ステップ1102)。
【0102】
クラウドサーバ103は、火災受信機101から配信された火災警報情報を受信すると、受信した火災警報情報に基づいて画面情報を生成する(ステップ1103)。その際、クラウドサーバ103は、配信先の利用者の役割に応じて異なる画面情報を生成する。生成される画面情報の差異については、
図6~
図9に示す画面例を参照のこと。
クラウドサーバ103は、生成した画面情報をタブレット端末104に配信する(ステップ1104)。
【0103】
タブレット端末104は、クラウドサーバ103から送信された画面情報を受信すると、受信した画面情報に基づいてメイン画面を新たに表示するか、または表示中のメイン画面を更新する(ステップ1105)。新たに表示または更新されたメイン画面には、警報が発生した地区の平面図が映し出され、その平面図には、作動した感知器が点滅表示される。タブレット端末104は、さらに、音声警報を鳴動させる。
【0104】
ここで現地確認要員は、タブレット端末104に利用者IDとパスワードを入力すると、当該タブレット端末104は、自衛消防隊員(現地確認要員)用のタブレット端末104Cとしての画面表示を行う。現地確認要員は、タブレット端末104Cの画面表示を参考に感知器が発報した現場へ向かい、火災状況を確認する。火災を確認したら火災断定スイッチ607を押して火災を確定する。
以上が火災警報時の動作1100についての説明である。
【0105】
1-3-2.タブレット端末104で消防用設備機器を制御する際の動作
図12は、タブレット端末104で消防用設備機器を制御する際の動作の一例を示す。同図に示す動作1200では、タブレット端末104は、消防用設備機器を制御するための操作を受け付ける(ステップ1201)。この操作は、例えば、メイン画面において上述した排煙機スイッチ902または消火ポンプスイッチ903を選択する操作である。
タブレット端末104は、この操作を受け付けると、選択された制御を指示するための制御情報をクラウドサーバ103に送信する(ステップ1202)。
【0106】
クラウドサーバ103は、タブレット端末104から送信された制御情報を火災受信機101に転送する(ステップ1203)。
火災受信機101は、クラウドサーバ103から転送された制御情報を受信すると、受信した制御情報に応じて消防用設備機器を制御する(ステップ1204)。その際、制御される消防用設備機器には、消火ポンプ、排煙機、地区音響装置などが含まれる。
【0107】
火災受信機101は、消防用設備機器を制御後、制御した機器の状態変化を通知する作動警報情報をクラウドサーバ103に送信する(ステップ1205)。
クラウドサーバ103は、火災受信機101から送信された作動警報情報を受信すると、受信した作動警報情報に基づいて画面情報を生成する(ステップ1206)。その際、クラウドサーバ103は、配信先の利用者の役割に応じて異なる画面情報を生成する。生成される画面情報の差異については、
図6~
図9に示す画面例を参照のこと。
クラウドサーバ103は、生成した画面情報をタブレット端末104に配信する(ステップ1207)。
【0108】
タブレット端末104は、クラウドサーバ103から送信された画面情報を受信すると、受信した画面情報に基づいてメイン画面を新たに表示するか、または表示中のメイン画面を更新する(ステップ1208)。新たに表示または更新されたメイン画面には、そのアラームリスト605に、制御された消防用設備機器の情報が表示される。具体的には、制御された消防用設備機器について、イベント発生日時、消防用設備機器の名称、イベント内容、消防用設備機器の設置場所、棟階番号が表示される。
以上が消防用設備機器を制御する際の動作1200についての説明である。
【0109】
1-4.効果
以上説明した防災システム100では、総合操作盤(特に、ディスプレイシステム)のプログラム処理をクラウド上で行い、制御処理装置(PC)のハードウェアを不要とし、タブレットのみとする。ハードウェアの大幅削減により、設置スペース削減の効果が見込まれ、クラウドとタブレットの無線通信による構成とすることで、複数台設置や防災センタ以外での設置が容易となる。
【0110】
また、従来は現地確認要員が火災時に現地に駆け付ける際、火災警報画面を写真撮影したり印刷したりして持ち出していたが、タブレットを1台持ちだすだけで、変化するリアルタイムの火災情報を得られ、簡便かつより正確な情報が入手できる。加えて、現地から防災センタへの報告も、通話連絡することなく、タブレット上での操作により伝達可能となる。さらには、タブレットで撮影した写真や動画の送信などの付加機能により、利便性を高めることができる。
【0111】
その他にも、現地到着した公設消防隊にも貸し出すことで、初見の大規模かつ複雑な建物でも、地図表示でわかりやすく位置関係を確認しながら、そしてリアルタイムの火災情報を確認しながら消防活動を行うことができる。
【0112】
さらに、操作可能な機能について利用者の役割(アカウント)ごとに権限設定を行うことで、利用者の混乱を避け、利便性を向上させることができる。
【0113】
2.変形例
上記の実施例を下記のように変形してもよい。以下の変形例は互いに組み合わせてもよい。
(1)上記の実施例では、クラウドサーバ103が提供する防災機能を利用するための携帯端末として、タブレット端末104を利用している。しかし、利用する携帯端末の種類はタブレット端末に限られず、スマートフォン、ノートPC、ウェアラブル端末等であってもよい。
【0114】
(2)上記の実施例では、クラウドサーバ103が、利用者の役割に応じて異なる画面情報を配信している。その結果、タブレット端末104では、利用者の役割に応じたメイン画面が表示されている。このようなメイン画面の変更方法に代えて、クラウドサーバ103は一律の画面情報を配信し、タブレット端末104の方で、利用者の役割に応じたメイン画面を表示するようにしてもよい。
【0115】
例えば、クラウドサーバ103は、消防支援スイッチ606を含む画面情報を一律で各タブレット端末104に配信する。タブレット端末104は、クラウドサーバ103から画面情報と、当該端末の利用者の役割を示す情報を受信する。そして、タブレット端末104は、利用者が防災センタ(主)アカウントを有する場合には消防支援スイッチ606を表示し、そうでない場合には消防支援スイッチ606を表示しないようにする。
【0116】
このようなメイン画面の変更方法でも、利用者の役割に応じて異なるメイン画面を表示させることができる。その結果、当該利用者に付与された権限に応じた情報のみを表示させることができ、また、当該利用者に付与された権限に応じた操作のみを行わせることができる。
【0117】
(3)上記の実施例では、各利用者に対して以下のいずれかの役割が付与され、各役割には、下記の通り、権限が設定されている。
防災センタ(主)アカウント:表示あり、全操作可能
防災センタ(副)アカウント:表示あり、操作不可
副防災監視場所アカウント:表示あり、操作不可
現地確認要員アカウント:表示あり、火災断定操作のみ可能
公設消防隊アカウント:表示あり、防災動力(消火ポンプ、排煙機)制御のみ操作可能
【0118】
しかし、これらの役割と権限は、あくまで一例である。利用者に付与する役割と、その役割に設定する権限は、防災システムの目的に応じて適宜定められてよい。
【0119】
(4)上記の実施例では、クラウドサーバ103にアクセス可能な装置は、すべてタブレット端末104である。言い換えると、携帯型の端末装置である。しかし、タブレット端末104A~104Dのうち、例えばタブレット端末104Aについては、従来の総合操作盤と同様に固定式の装置としてもよい。その場合でも、すべての装置を従来のように固定式とする場合と比較して、コストを削減できる。また、現地確認要員用と公設消防隊用に携帯型の端末装置を備える点においてメリットがある。
【0120】
(5)なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0121】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0122】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
なお、上述の実施例は少なくとも特許請求の範囲に記載の構成を開示している。
【符号の説明】
【0123】
100…防災システム、101…火災受信機、102…通信ユニット、103…クラウドサーバ、104A~104D…タブレット端末、105…インターネット、211…機器状態管理部、212…警報情報送信部、213…制御実行部、222…機器状態情報、311…警報情報受付部、312…利用者認証部、313…画面情報配信部、314…設備制御部、315…メッセージ配信部、316…画像配信部、321…利用者情報、322…機器状態情報、323…平面図情報、324…画面レイアウト情報、325…連絡先情報、326…画像情報、327…メッセージ情報、411…情報取得部、412…表示制御部、413…制御指示部、414…通話部、415…画像送受信部、416…メッセージ送受信部、421…画面情報、422…連絡先情報、423…画像情報、424…メッセージ情報