(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136342
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】搬送システム及び無人飛行体
(51)【国際特許分類】
G08G 5/00 20060101AFI20240927BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20240927BHJP
B64U 10/13 20230101ALI20240927BHJP
B64C 13/20 20060101ALI20240927BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20240927BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240927BHJP
B64U 101/60 20230101ALN20240927BHJP
【FI】
G08G5/00 A
G08B25/10 Z
B64U10/13
B64C13/20 Z
B65G61/00 546
G06Q50/10
B64U101:60
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047436
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】榎元 将大
(72)【発明者】
【氏名】竹下 敦
【テーマコード(参考)】
5C087
5H181
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5C087AA02
5C087AA03
5C087BB20
5C087DD04
5C087DD17
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087GG70
5C087GG83
5H181AA26
5H181BB04
5H181CC04
5H181FF13
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】無人飛行体(1)が搬送物を搬送中に火災等の不測の事態が発生した場合、当該不測の事態に対処する搬送システムを得ることができる。
【解決手段】搬送システムは、無人飛行体(1)と、サーバ(2)と、を備え、サーバ(2)には、無人飛行体(1)を識別するID、駆動方式、及び搬送物の種別を含む飛行計画情報が、事前に登録されており、無人飛行体(1)は、搬送中に不測の事態を検知した場合、サーバ(2)に、自機のID及び不測の事態に関する状態情報を送信し、サーバ(2)は、状態情報、及び事前に登録されている飛行計画情報に基づいて、避難先となる複数の避難場所の中から適切な避難場所を選定し、無人飛行体(1)に、選定した適切な避難場所まで飛行することを指示する飛行指令を送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を搬送する無人飛行体と、
前記無人飛行体と通信可能なサーバと、
を備え、
前記サーバには、前記無人飛行体に関して、無人飛行体を識別するID、駆動方式、及び前記搬送物の種別を含む飛行計画情報が、事前に登録されており、
前記無人飛行体は、搬送中に不測の事態を検知した場合、前記サーバに、自機のID及び前記不測の事態に関する状態情報を送信し、
前記サーバは、前記ID及び前記状態情報を受信すると、当該状態情報、及び事前に登録されている前記飛行計画情報に基づいて、避難先となる複数の避難場所の中から適切な避難場所を選定し、前記無人飛行体に、選定した前記適切な避難場所まで飛行することを指示する飛行指令を送信し、
前記無人飛行体は、前記状態情報に対する返信として受信した前記飛行指令に基づいて、前記適切な避難場所まで飛行する、
搬送システム。
【請求項2】
前記避難場所には、前記無人飛行体の着地のときに、前記無人飛行体を装置内部に収容する収容装置が設けられている、
請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記収容装置は、前記装置内部を密閉する蓋部を有しており、前記無人飛行体を収容した後に前記蓋部を閉じることで、前記無人飛行体を前記装置内部に密閉する、
請求項2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記サーバには、前記複数の避難場所のそれぞれに準備されている消火設備に関する消火設備情報が登録されており、
前記サーバは、当該状態情報及び前記飛行計画情報に基づいて前記適切な避難場所を選定する際に、前記飛行計画情報に含まれている前記駆動方式及び前記搬送物の種別に基づいて消火方法を決定し、決定した消火方法に対応する消火設備を備えた避難場所を、前記消火設備情報を参照することで選定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記サーバは、消防署に、選定した前記避難場所の位置情報を通知するとともに、火災の発生を通報する、
請求項4に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記無人飛行体は、搬送中に不測の事態を検知した場合、前記サーバに、現在位置を特定する情報である飛行体位置情報をさらに送信し、
前記サーバは、複数の避難場所を候補として選定した場合、前記飛行体位置情報に基づいて、前記無人飛行体の前記現在位置から最も近い地点の避難場所を、最終的な避難場所として選定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記サーバは、前記飛行指令を送信した後に、他の前記無人飛行体から前記ID及び前記状態情報を受信した場合、当該他の無人飛行体の避難先となる避難場所が、既に飛行指令を送信した無人飛行体の避難場所として選定したものと同じである場合、当該避難場所を除外した上で、前記他の無人飛行体の避難先となる避難場所の再選定を行う、
請求項1から3のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記無人飛行体には、避難先となる複数の前記避難場所の位置情報のリストが予め記憶されており、
前記無人飛行体は、前記サーバとの通信が途絶えて前記飛行指令を受信できない場合、現在位置と前記リストとを照らし合わせることにより、前記現在位置から最も近い地点の避難場所を前記適切な避難場所として選定し、当該適切な避難場所まで飛行する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項9】
搬送物を搬送する無人飛行体であって、
搬送中に不測の事態が自機に発生した場合の避難先となる複数の避難場所の位置を示す位置情報リストを予め記憶する記憶部と、
搬送中に不測の事態が発生したか否かを検知する検知部と、
前記検知部により、搬送中に不測の事態が発生したと検知された場合、現在位置と、前記記憶部に記憶されている前記位置情報リストとを照らし合わせることにより、前記現在位置から最も近い地点の避難場所を、適切な避難場所として選定し、当該適切な避難場所までの飛行を制御する制御部と、
を備える無人飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無人飛行体が物を搬送中に火災等の不測の事態が発生した場合に、無人飛行体を適切な場所に誘導する搬送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、宅配サービス、消火活動、探索などに、無人飛行体を活用した事例が増えてきている。
【0003】
また、無人飛行体を屋外で活用するため、無人飛行体の運航を管理する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に係る運航空域管理装置は、運航空域を分割し、この区画空域毎に無人飛行体の飛行を許可するか否かを設定することにより、運航空域の有効利用を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無人飛行体の運航管理については、上記の特許文献1に開示されている手法など、様々な手法が検討されている。
【0006】
一方、無人飛行体が搬送物を搬送している最中に、無人飛行体または搬送物からの出火、出火に至る前の異常高温状態の発生、鳥などの飛行物との衝突によるトラブルなど、不測の事態が発生した場合、これらに対処する必要がある。
【0007】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、無人飛行体が物を搬送中に火災等の不測の事態が発生した場合、当該不測の事態に対処する搬送システム及び無人飛行体を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る搬送システムは、搬送物を搬送する無人飛行体と、無人飛行体と通信可能なサーバと、を備え、サーバには、無人飛行体に関して、無人飛行体を識別するID、駆動方式、及び搬送物の種別を含む飛行計画情報が、事前に登録されており、無人飛行体は、搬送中に不測の事態を検知した場合、サーバに、自機のID及び不測の事態に関する状態情報を送信し、サーバは、ID及び状態情報を受信すると、当該状態情報、及び事前に登録されている飛行計画情報に基づいて、避難先となる複数の避難場所の中から適切な避難場所を選定し、無人飛行体に、選定した適切な避難場所まで飛行することを指示する飛行指令を送信し、無人飛行体は、状態情報に対する返信として受信した飛行指令に基づいて、適切な避難場所まで飛行する。
【0009】
また、本開示に係る無人飛行体は、搬送物を搬送する無人飛行体であって、搬送中に不測の事態が自機に発生した場合の避難先となる複数の避難場所の位置を示す位置情報リストを記憶する記憶部と、搬送中に不測の事態が発生したか否かを検知する検知部と、検知部により、搬送中に不測の事態が発生したと検知された場合、現在位置と、記憶部に記憶されている位置情報リストとを照らし合わせることにより、現在位置から最も近い地点の避難場所を、適切な避難場所として選定し、当該適切な避難場所までの飛行を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、無人飛行体が搬送物を搬送中に火災等の不測の事態が発生した場合、当該不測の事態に対処する搬送システム及び無人飛行体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施の形態1における搬送システムの構成を示す図である。
【
図2】
図1に示す搬送システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】本開示の実施の形態1における、無人飛行体の駆動方式と消火方法との対応関係を例示する図である。
【
図4】本開示の実施の形態1における、搬送物の種別と消火方法との対応関係を例示する図である。
【
図5】
図1に示す搬送システムにおける、無人飛行体の搬送中に火災が発生したときの動作を示すシーケンス図である。
【
図6】
図1に示す搬送システムにおける、各指令を受信した後の無人飛行体及び収容装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の搬送システムの好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
本開示に係る搬送システムは、資材、荷物などの搬送物を、無人飛行体を用いて搬送するシステムである。
【0013】
この搬送システムには、搬送中に不測の事態が発生した場合、無人飛行体の状態に基づいて、無人飛行体を適切な場所へ誘導する避難誘導機能が組み込まれていることを技術的特徴とする。また、以下の説明においては、不測の事態の一例として、火災が発生した場合について説明する。
【0014】
実施の形態1.
図1は、本開示の実施の形態1における搬送システムの構成を示す図である。
【0015】
搬送システム100は、無人飛行体1、サーバ2、及び複数の収容装置3を備えて構成されている。
【0016】
無人飛行体1は、自律的に姿勢を保ちながら飛行する飛行体である。実施の形態1において、無人飛行体1は、人の操作を要さず、障害物を検知して接触を回避しながら自律飛行を行う。
【0017】
無人飛行体1は、サーバ2から、無線通信及び広域通信網200を介して届け先の位置情報を取得し、搬送物50を、当該届け先まで自律飛行により搬送する。
【0018】
サーバ2は、無人飛行体1の動作を統制する装置であり、設定された飛行経路に沿って、無人飛行体1を届け先まで飛行させる。
【0019】
サーバ2は、無人飛行体1及び収容装置3と通信可能になるように接続されている。ここでは、サーバ2は、広域通信網200を介して無人飛行体1及び収容装置3と通信する。
【0020】
また、サーバ2は、無人飛行体1に不測の事態が発生した場合、複数の避難場所Lの中から好適な避難場所Lxを選定し、無人飛行体1を避難させる。複数の避難場所Lのそれぞれは、無人飛行体1を不時着させる程度の面積が確保された場所である。また、複数の避難場所Lの全部または一部には、収容装置3が設けられている。
【0021】
収容装置3は、不測の事態が発生した無人飛行体1を収容する。なお、収容装置3は、消火設備72を備えて構成することも可能である。消火設備72を備えている場合には、運搬中に火災が発生した無人飛行体1を装置内部に収容した後に、消火設備72を用いて消火することができる。
【0022】
消火設備72は、水、薬剤などの消火用の液体を、放出口721から放出して消火を行う。
【0023】
収容装置3は、装置内部を密閉する蓋部71を有している。収容装置3は、無人飛行体1が収容装置3の装置内部に着地した後に、蓋部71を閉じることで、無人飛行体1を装置内部に密閉する。
【0024】
また、収容装置3には、無人飛行体1が正しく着地できるように目印73が設けられている。無人飛行体1は、収容装置3の装置内部に着地する際、下部に設けられているカメラ61を用いて目印73を撮像し、位置を確認しながら収容装置3の装置内部に着地する。
【0025】
図2は、
図1に示す搬送システム100の構成例を示すブロック図である。
図2において、無人飛行体1は、通信部11、制御部12、記憶部13、音声出力部14、撮像部15、温度センサ16、及び自律飛行統制部17を備える。
【0026】
通信部11は、広域通信網200を介してサーバ2との間で通信を行う。
【0027】
制御部12は、各種の演算処理を行うとともに、無人飛行体1内の各種ハードウェアに対して指示信号を出力し、これらを制御する。制御部12は、演算処理装置、主記憶装置、及び、各種ハードウェアを制御するための信号入出力部を含んでいる。
【0028】
記憶部13には、無人飛行体1を設定された飛行経路に沿って飛行させるための制御用パラメータ、音声出力部14によって出力される音声データ、搬送路を特定するためのマップ情報などの各種データが記憶されている。また、記憶部13には、無人飛行体1の動作ログが記録される。
【0029】
音声出力部14は、スピーカを有しており、搬送中に火災が発生した場合、注意喚起用のメッセージを外部に発報する。
【0030】
撮像部15は、上記のカメラ61、及び図示しない複数のカメラを有しており、無人飛行体1の周囲を撮像する。
【0031】
また、撮像部15は、無人飛行体1に搭載されている駆動部を撮像し、駆動部に不具合が生じているかを監視する。例えば、無人飛行体1がリチウムイオン電池により駆動する場合、撮像部15は、当該リチウムイオン電池を撮像する。また、無人飛行体1が水素燃料、個体酸化物形燃料電池、または液体燃料により駆動する場合、撮像部15は、燃料が充填されているボンベ及び各接続部分を撮像する。
【0032】
温度センサ16は、駆動部及び搬送物50の近傍に配置され、異常高温状態を検知する。
【0033】
なお、撮像部15及び温度センサ16は、搬送中に不測の事態が発生したか否かを検知する検知部として機能する。
【0034】
自律飛行統制部17は、無人飛行体1が姿勢を保ちながら、且つ障害物との接触を回避しながら飛行するように制御するモジュールである。自律飛行統制部17には、GPS受信機、慣性計測ユニット、複数の物体検知センサ、制御回路、各回転翼を回転させるための複数のモータ、及び上記の駆動部が備えられている。制御回路は、慣性計測ユニットからの加速度、回転速度、地軸向きなどの計測信号、及び、物体検知センサからの検知信号を受信し、これら各信号に基づいて、各モータの回転速度を制御する。
【0035】
図2において、サーバ2は、通信部21、制御部22、記憶部23、及びインターフェイス部24を備える。
【0036】
インターフェイス部24は、オペレータとサーバ2との間のデータの入出力を担う部位であり、例えば、キーボード、マウス、モニターなどの物理的なデバイスである。
【0037】
通信部21、制御部22、記憶部23は、無人飛行体1に備えられている通信部11、制御部12、記憶部13と同じ機能を備えている。
【0038】
サーバ2の記憶部23には、飛行計画情報、及び避難場所情報が、事前に登録されている。
【0039】
ここで、飛行計画情報は、無人飛行体1を識別するIDと、当該無人飛行体1の駆動方式と、当該無人飛行体1によって搬送されている搬送物の種別とを対応付けた情報である。
【0040】
ここで、駆動方式とは、例えば、上記のリチウムイオン電池、水素燃料、個体酸化物形燃料電池、液体燃料などである。また、搬送物の種別の詳細については後述する。
【0041】
避難場所情報は、無人飛行体1に不測の事態が発生した場合の避難先となる複数の避難場所Lに関する情報である。避難場所情報は、複数の避難場所Lのそれぞれについて、位置情報と消火設備情報とが対応付けられた情報である。ここで、消火設備情報は、各避難場所のそれぞれに準備されている消火設備に関する情報であり、収容装置3が設置されているか否かの情報、収容装置3が設置されている場合には当該収容装置3が対処できる消火方法の情報が含まれている。
【0042】
また、サーバ2の記憶部23には、後述する
図3、
図4の各図面に示す対応関係が記憶されている。
【0043】
図2において、収容装置3は、通信部31、制御部32、記憶部33、消火部34、及び開閉部35を備える。なお、消火部34に関しては、一部の収容装置3のみが備えていてもよく、全ての収容装置3が消火部34を備えていてもよい。
【0044】
通信部31、制御部32、記憶部33は、無人飛行体1に備えられている通信部11、制御部12、記憶部13と同じ機能を備えている。
【0045】
消火部34は、少なくとも1つの消火設備72を備えており、無人飛行体1が収容装置3の装置内部に収容されると、無人飛行体1に対して消火を行う。
【0046】
ここで、消火部34に備えられている消火設備72の種別として、水を用いる設備、泡状薬剤を用いる設備、粉末状薬剤を用いる設備、金属火災用消火薬剤を用いる設備、ハロンを用いる設備、及び二酸化炭素を用いる設備を挙げることができる。
【0047】
開閉部35は、上記の蓋部71を備えており、無人飛行体1を収容した後に蓋部71を閉じることで、無人飛行体1を収容装置3の装置内部を密閉する。
【0048】
実施の形態1においては、飛行計画情報に基づいて、どのように消火するかの消火方法が決定される。具体的には、無人飛行体1の駆動方式、及び、無人飛行体1によって搬送される搬送物50の種別に応じて、消火方法が決定される。ここで、無人飛行体1の駆動方式と消火方法との対応関係、及び搬送物50の種別と消火方法との対応関係について説明する。
【0049】
図3は、本開示の実施の形態1における、無人飛行体の駆動方式と消火方法との対応関係を例示する図である。
【0050】
無人飛行体1の駆動方式としては、上記のとおり、リチウムイオン電池、水素燃料、個体酸化物形燃料電池、及び液体燃料がある。収容装置3は、以下に示すとおり、駆動方式に応じた消火方法により、消火を実施する。
【0051】
駆動方式が水素燃料であり、水素漏れ及び炎が検知されている場合には、消火すると水素のみが残るおそれがある。このため、収容装置3は、消火設備72を用いずに、燃え尽きるまで放置する。また、収容装置3は、蓋部71を開き状態にして、装置内部を密閉しないようにする。
【0052】
駆動方式が水素燃料であり、水素漏れは検知されているが炎は検知されていない場合、収容装置3は、蓋部71を開き状態にして水素を逃がす。なお、火災は検知されていないことから、消火設備72による消火は行われない。
【0053】
駆動方式が水素燃料であり、水素漏れは検知されていないが炎は検知されている場合、収容装置3は、水を放出することで消火し、ボンベを冷却する。また、収容装置3は、蓋部71を閉じ状態にして装置内部を密閉する。
【0054】
駆動方式がリチウムイオン電池である場合、高温になると可燃性のガスが発生するおそれがある。このため、収容装置3は、水による消火、または泡状薬剤による消火を行うとともに、蓋部71を閉じ状態にして装置内部を密閉する。
【0055】
駆動方式が個体酸化物形燃料電池であり、ガス漏れ及び炎が検知されている場合、収容装置3は、粉末状薬剤による消火を行う。また、収容装置3は、蓋部71を開き状態にして装置内部を密閉しないようにする。
【0056】
駆動方式が個体酸化物形燃料電池であり、ガス漏れは検知されているが炎は検知されていない場合、収容装置3は、蓋部71を開き状態にしてガスを逃がす。なお、火災は検知されていないことから、消火設備72による消火は行われない。
【0057】
駆動方式が個体酸化物形燃料電池であり、ガス漏れは検知されていないが炎は検知されている場合、収容装置3は、水を放出することにより消火及びボンベを冷却する。また、収容装置3は、蓋部71を閉じ状態にして装置内部を密閉する。
【0058】
駆動方式がガソリンなどの液体燃料である場合、収容装置3は、粉末状薬剤による消火を行い、蓋部71を閉じ状態にして装置内部を密閉する。
【0059】
図4は、本開示の実施の形態1における、搬送物の種別と消火方法との対応関係を例示する図である。
【0060】
実施の形態1においては、無人飛行体1によって搬送される搬送物を、水と化学反応する物、水をかけると価値が無くなる物、生き物、価値の低い物のいずれかに分類する。そして、収容装置3は、搬送物の種別に応じた消火方法により、消火を行う。
【0061】
水と化学反応する物としては、例えばマグネシウムがある。このような搬送物の場合、収容装置3は、乾燥砂または金属火災用消火薬剤を用いて消火を行う。また、収容装置3は、蓋部71を閉じ状態にして装置内部を密閉する。
【0062】
水をかけると価値が無くなる物としては、例えば電気機器がある。このような搬送物の場合、収容装置3は、ハロン、二酸化炭素などを用いた消火を行う。また、収容装置3は、蓋部71を閉じ状態にして密閉する。
【0063】
搬送物が生き物である場合、収容装置3は、水を放射する。また、収容装置3は、生き物が呼吸できるようにするため、蓋部71を適度に開いた状態にする。
【0064】
搬送物の価値が低い場合、収容装置3は、上記の駆動方式に応じた消火方法を優先的に採用する。なお、搬送物の価格が規定金額以下であるか否かによって、価値の低い物に分類するか否かが決定される。
【0065】
搬送物の価値が極めて高い場合、収容装置3は、搬送物のみを収容し、蓋部71を閉じ状態にして密閉してもよい。この場合、無人飛行体1は、別の避難場所Lyまで飛行して着地する。この方法は、特に、無人飛行体1のみが出火している場合に有効であり、搬送物に対する被害を低減させることができる。また、蓋部71を閉じ状態にして密閉することにより、搬送物が盗まれるのを防止することができる。
【0066】
引き続き、無人飛行体1が搬送物50を搬送しているときに、不測の事態が発生したときの動作について説明する。なお、以降の説明においては、不測の事態として、火災が発生した場合を例にして説明する。
【0067】
図5は、
図1に示す搬送システム100における、無人飛行体1の搬送中に火災が発生したときの動作を示すシーケンス図である。
【0068】
無人飛行体1は、ステップS101において、搬送物50の搬送中に不測の事態、ここでは火災が発生したかどうかを監視している。そして、無人飛行体1は、火災を検知すると、ステップS102において、自機のID、飛行体位置情報、及び状態情報を、サーバ2に送信する。
【0069】
ここで、飛行体位置情報は、無人飛行体1の現在位置を特定する情報であり、具体的には、GPS受信機によって取得される位置情報である。
【0070】
状態情報は、不測の事態に関する情報であり、無人飛行体1の状態を示す情報である。ここでは、状態情報は、火災のみが発生しているのか、漏れのみが発生しているのか、もしくはその両方が発生しているのかを示す情報であるものとする。
【0071】
無人飛行体1は、温度センサ16の検知信号、及び撮像部15によって撮像された周囲画像に基づいて、火災の発生を検知する。また、無人飛行体1は、撮像部15によって撮像された駆動部の画像を用いて、駆動部が破損しているか否かを判定することにより、漏れの発生を検知する。無人飛行体1は、このような処理を行うことにより、状態情報を取得し、サーバ2に送信する。
【0072】
サーバ2は、ステップS103において、受信したID、及び飛行計画情報に基づいて、無人飛行体1の駆動方式、及び搬送物50の種別を特定する。
【0073】
そして、サーバ2は、
図3及び
図4を用いて説明した対応関係を使用することにより、駆動方式、搬送物50の種別、及び状態情報から消火方法を決定する。ここで、状態情報は、
図3に示されている「条件」を特定するために用いられる。
【0074】
駆動方式が「水素燃料」、条件が「水素漏洩なし、且つ炎あり」であり、搬送物50の種別が「水をかけると価値がなくなる物」である場合を例にして、消火方法の決定手法について説明する。
【0075】
サーバ2は、
図3から、駆動方式に応じた消火方法として「水消火」及び「閉じ状態」を決定する。一方、サーバ2は、
図4から、搬送物50に応じた消火方法として「ハロンまたは二酸化炭素による消火」及び「閉じ状態」を決定する。
【0076】
サーバ2は、駆動方式に応じた消火方法と、搬送物50に応じた消火方法とが異なる場合、
図4の対応関係、すなわち搬送物50に応じた消火方法を優先的に採用する。一方、サーバ2は、搬送物50が価値の低い物として分類されている場合、
図3の対応関係、すなわち駆動方式によって決定した消火方法を採用する。
【0077】
また、サーバ2は、ステップS103において、複数の避難場所Lの中から、適切な避難場所Lxを選定する。ここでは、サーバ2は、決定した消火方法を行うことができる避難場所Lx、すなわち、少なくとも収容装置3が設けられている避難場所Lxを選定する。
【0078】
サーバ2は、消火設備72の種類が収容装置3ごとに異なる場合、決定した消火方法で消火することができる収容装置3を特定し、当該収容装置3が設置された避難場所Lxを選定する。ここで、適切な避難場所Lxとして複数の避難場所が候補として選定された場合、サーバ2は、飛行体位置情報に基づいて、無人飛行体1の位置から最も近い地点の避難場所を最も適切な避難場所Lxとして、最終的に選定する。
【0079】
サーバ2は、ステップS104において、無人飛行体1に、選定した避難場所Lxの位置情報とともに、当該避難場所Lxまで飛行する指令である飛行指令を送信する。以降、選定した避難場所Lxを、目的避難場所Lxと称する。
【0080】
一方、サーバ2は、ステップS105において、選定した避難場所Lxの収容装置3に対し、決定した消火方法で消火するように消火指令を送信する。
【0081】
無人飛行体1は、ステップS106において、飛行指令を受信すると、受信した目的避難場所Lxの位置情報に基づいて、目的避難場所Lxまで飛行する。
【0082】
収容装置3は、ステップS107において、消火指令を受信すると、無人飛行体1が到達するのを待ち受ける。この際、収容装置3は、蓋部71が閉じ状態である場合は開き状態にする。そして、収容装置3は、無人飛行体1が到達して当該無人飛行体1を装置内部に収容した後、サーバ2によって決定された消火方法で消火する。
【0083】
図6は、
図1に示す搬送システム100における、各指令を受信した後の無人飛行体1及び収容装置3の動作を示すフローチャートである。また、
図6は、
図5のシーケンス図におけるステップS106及びステップS107の動作を示す図である。
【0084】
無人飛行体1は、ステップS201において、GPS受信機を用いて自機の緯度及び経度の機体位置を割り出し、ステップS202において、目的避難場所Lxに向けて飛行を続ける。この際、無人飛行体1は、音声出力部14を介して注意喚起用のメッセージを発報しながら飛行する。
【0085】
無人飛行体1は、ステップS203において、自らの機体位置と目的避難場所Lxの位置情報とを比較することにより、目的避難場所Lxまで到達したか否かを判定する。
【0086】
無人飛行体1は、目的避難場所Lxに到達していない場合、処理をステップS201に戻す。
【0087】
無人飛行体1は、目的避難場所Lxに到達した場合、ステップS204において、収容装置3の装置内部に着地するための着地動作を行う。無人飛行体1は、
図1に示すカメラ61を介して収容装置3内の目印73を確認しながら、目印73の中心位置を目指して着地動作を行う。
【0088】
収容装置3は、ステップS205において、無人飛行体1が着地したか否かを判定する。例えば、目印73に重量センサが設けられている場合、収容装置3は、当該重量センサの検出した重さに基づいて、着地したか否かを判定する。
【0089】
収容装置3は、無人飛行体1が着地していないと判定する場合、ステップS205の無人飛行体1による着地動作が繰り返される。
【0090】
収容装置3は、無人飛行体1が着地したと判定する場合、ステップS206において、サーバ2によって決定された消火方法で消火を行う。
【0091】
上記の例においては、不測の事態として、主に火災が発生した場合に着目して説明した。これに対し、不測の事態としては、例えば、出火に至る前の異常高温状態の発生、鳥との衝突、回転翼の回転不足など、さまざまなもの存在する。無人飛行体1は、温度センサ16の値、自律飛行統制部17の慣性計測ユニットからの値、モータの回転速度を監視することにより、不測の事態が発生したか否かを判定する。
【0092】
また、不測の事態のうち、鳥との衝突、機器の不具合などは、単に不時着できればよく、消火までは要さない。従って、当該不具合の場合、サーバ2は、収容装置3が設けられていない避難場所Lを目的避難場所Lxとして選定してもよい。また、この場合、
図5のステップS105、ステップS107、
図6のステップS205、及びステップS206は省略される。
【0093】
また、上記の
図5の例において、放置による消火が適用される場合、サーバ2は、消火設備72の無い収容装置3が設けられている避難場所Lを、目的避難場所Lxとして選定してもよい。
【0094】
また、上記の
図5の例において、状態情報は、火災のみが発生しているのか、漏れのみが発生しているのか、もしくはその両方が発生しているのかを示す情報であるとして説明した。これ以外にも、状態情報として、異常高温状態の発生、鳥との衝突、機器の不具合など、不測の事態の内容を特定する情報であってもよい。
【0095】
無人飛行体1は、温度センサ16の値、自律飛行統制部17の慣性計測ユニットからの値、モータの回転速度の値などから、各不測の事態の発生を把握することができる。
【0096】
また、状態情報には、温度センサ16の値、撮像部15によって撮像された周囲画像、自律飛行統制部17の慣性計測ユニットからの値、モータの回転速度の値などが含まれていてもよい。この場合、サーバ2が、不測の事態の内容を判定してもよい。
【0097】
なお、サーバ2は、複数の無人飛行体1を管理してもよい。複数の無人飛行体1を管理している場合、1つの無人飛行体1を避難させている最中に、他の無人飛行体1においても不測の事態が発生することが想定される。この場合、サーバ2は、各無人飛行体1の避難先が被らないように統制する。
【0098】
すなわち、サーバ2は、他の無人飛行体1の避難先となる避難場所が、既に前記飛行指令を送信した前記無人飛行体についての避難場所と同じである場合、当該避難場所を除外した上で、他の無人飛行体1の避難先となる避難場所の再選定を行う。
【0099】
また、サーバ2は、無人飛行体1に火災が発生した場合、消防署に通報してもよい。この場合、サーバ2は、選定した目的避難場所Lxの位置情報も、合わせて通知する。
【0100】
また、実施の形態1において説明した態様を、施設内で同一の飛行ルートを往復する無人飛行体にも適用することもできる。
【0101】
また、実施の形態1においては、広域通信網200を用いて通信を行う構成について説明したが、これに限定されない。例えば、搬送システム100を使用する組織が管理している施設内に敷設されている独自の専用通信網などが用いられてもよい。
【0102】
また、実施の形態1においては、無人飛行体1が、カメラ61を用いて収容装置3の目印73を撮像し、位置を確認しながら収容装置3の装置内部に着地するものとして説明した。これに対し、例えば以下の2つの方法により、目的避難場所Lxの側で無人飛行体1を誘導してもよい。
【0103】
目的避難場所Lxの側で無人飛行体1を誘導する第1の誘導方法として、無人飛行体1に誘導用のLEDを備えておき、各避難場所Lにカメラまたは受光素子、及び、無人飛行体1と通信を行うための通信機器を設置しておく。
【0104】
そして、飛来してきた無人飛行体1がLEDの点滅を行い、目的避難場所Lxに備えられたカメラや受光素子が無人飛行体1の位置を把握する。そして、把握した位置に基づいて、目的避難場所Lxに備えられた通信機器が「100mm左」などの制御信号を無人飛行体1に送信する。
【0105】
制御信号を受信した無人飛行体1は、自らの位置を調整することができる。
【0106】
また、第2の誘導方法として、各避難場所Lに複数のミリ波レーダを設置しておき、飛来してきた無人飛行体1の位置を把握し、無人飛行体1に対して上記と同様の制御信号を送信する。このような第2の誘導方法であっても、無人飛行体1は、自らの位置を調整することができる。
【0107】
また、実施の形態1においては、サーバ2が適切な避難場所Lxを選定し、無人飛行体1に当該適切な避難場所Lxまで飛行するように指令する構成としている。一方、無人飛行体1に不測の事態が生じた場合、サーバ2との通信が途絶えてしまい、適切な避難場所Lxをサーバ2から取得できなくなるおそれがある。
【0108】
このような不測の事態が生じた場合にも、例えば次に示す構成にすることにより、無人飛行体1自らで適切な当該避難場所Lxを選定し、当該適切な避難場所Lxまで自律的に飛行することができる。
【0109】
適切な避難場所Lxまで自律的に飛行する構成として、全ての避難場所L、または、無人飛行体1の飛行経路付近にある1つまたは複数の避難場所Lの位置情報のリストを、予め無人飛行体1の記憶部13に記憶させておく。
【0110】
そして、無人飛行体1に不測の事態が生じた場合、無人飛行体1の制御部12は、自らの現在の位置情報と、避難場所Lの位置情報のリストとを照らし合わせ、直近の避難場所Lを、適切な避難場所Lxとして選定する。
【0111】
そして、無人飛行体1の制御部12は、
図6に示す手順と同様に、当該適切な避難場所Lxまで飛行するように、自律飛行統制部17を制御する。この一連の処理を、以降、自律型避難処理と称する。
【0112】
無人飛行体1は、サーバ2と通信可能な場合、サーバ2から適切な避難場所Lxの位置情報を受信し、サーバ2との通信が途絶えたと判定した場合に限り、自律型避難処理を行ってもよい。
【0113】
また、無人飛行体1は、ID、状態情報、飛行体位置情報などの情報をサーバ2に送ることなく、自律型避難処理を行ってもよい。
【0114】
また、無人飛行体1に、自らの飛行計画情報、
図3、及び
図4の対応関係を記憶させておき、サーバ2が
図5のステップS103で行った処理と同じ処理を、無人飛行体1に行わせてもよい。
【0115】
上述した避難誘導機能を備えた搬送システム100の特徴を整理すると、以下のような構成を有し、効果を実現できることとなる。
【0116】
避難誘導機能は、搬送物を搬送する無人飛行体1と、無人飛行体1と通信可能なサーバ2と、を備える構成により実現される。
【0117】
サーバ2には、無人飛行体1に関して、無人飛行体1を識別するID、駆動方式、及び搬送物50の種別を含む飛行計画情報が、事前に登録されている。
【0118】
無人飛行体1は、搬送中に不測の事態を検知した場合、サーバ2に、自機のID及び不測の事態に関する状態情報を送信する。
【0119】
サーバ2は、ID及び状態情報を受信すると、当該状態情報、及び事前に登録されている飛行計画情報に基づいて、避難先となる複数の避難場所Lの中から適切な避難場所Lxを選定する。その後、サーバ2は、無人飛行体1に、選定した適切な避難場所Lxまで飛行することを指示する飛行指令を送信する。
【0120】
無人飛行体1は、状態情報に対する返信として受信した飛行指令に基づいて、適切な避難場所Lxまで飛行する。
【0121】
このため、搬送システム100は、無人飛行体1が物を搬送中に火災等の不測の事態が発生した場合、当該不測の事態に対処する避難誘導機能を実現することができる。
【0122】
また、避難場所Lには、無人飛行体1の着地のときに、無人飛行体1を装置内部に収容する収容装置3を設けておくことができる。このため、着地後の無人飛行体1が外部に露出した状態となるのを避けることができる。加えて、着地した無人飛行体1が正しく管理されていることを、着地地点の周囲に示すことができる。
【0123】
収容装置3は、装置内部を密閉する蓋部71を有しており、無人飛行体1を収容した後に蓋部71を閉じることで、無人飛行体1を装置内部に密閉する。
【0124】
このため、避難誘導機能を備えた搬送システム100は、無人飛行体1及び搬送物50の盗難を防止することができる。また、避難誘導機能を備えた搬送システム100は、不測の事態が火災である場合、収容装置3の装置内部を酸欠状態にして消火することができる。
【0125】
また、サーバ2には、複数の避難場所Lのそれぞれに準備されている消火設備72に関する消火設備情報が登録されている。
【0126】
サーバ2は、当該状態情報及び飛行計画情報に基づいて適切な避難場所Lxを選定する際に、飛行計画情報に含まれている駆動方式及び搬送物の種別に基づいて消火方法を決定する。そして、サーバ2は、決定した消火方法に対応する消火設備72を備えた避難場所Lを、消火設備情報を参照することで選定する。
【0127】
このため、避難誘導機能を備えた搬送システム100は、無人飛行体1が物を搬送しているときに火災が発生した場合、当該火災を対処することができる。
【0128】
また、サーバ2は、消防署に、選定した避難場所Lxの位置情報を通知するとともに、火災の発生を通報する。このため、消防署に対し、火災が発生している旨の通報を迅速に行うことができる。
【0129】
また、無人飛行体1は、搬送中に不測の事態を検知した場合、サーバ2に、現在位置を特定する情報である飛行体位置情報をさらに送信する。サーバ2は、複数の避難場所を候補として選定した場合、飛行体位置情報に基づいて、無人飛行体1の現在位置から最も近い地点の避難場所Lxを、最終的な避難場所として選定する。
【0130】
このため、サーバ2は、距離的に好適な条件の避難場所Lxを選定することができる。
【0131】
また、サーバ2は、飛行指令を送信した後に、他の無人飛行体1からID及び状態情報を受信した場合、当該他の無人飛行体の避難先となる避難場所Lxが、既に飛行指令を送信した無人飛行体の避難場所Lxとして選定したものと同じである場合、当該避難場所Lxを除外した上で、他の無人飛行体の避難先となる避難場所Lxの再選定を行う。
【0132】
このため、サーバ2は、同時期に複数の無人飛行体1で不測の事態が発生した場合、同じ避難場所Lxを選定するのを回避することができる。従って、無人飛行体1同士が同じ避難場所Lxで接触するのを回避することができる。
【0133】
また、無人飛行体には、避難先となる複数の避難場所Lの位置を示す位置情報リストが記憶されている。そして、無人飛行体は、サーバ2との通信が途絶えて飛行指令を受信できない場合、現在位置と位置情報リストとを照らし合わせることにより、現在位置から最も近い地点の避難場所Lを適切な避難場所Lxとして選定し、当該適切な避難場所Lxまで飛行する。
【0134】
このため、サーバとの通信が途絶えた場合でも、適切な避難場所Lxまで飛行することができる。
【0135】
また、無人飛行体1は、搬送物を搬送する無人飛行体であって、記憶部13と、検知部としての撮像部15及び温度センサ16と、制御部12とを有する。
【0136】
記憶部13は、搬送中に不測の事態が自機に発生した場合の避難先となる複数の避難場所Lの位置を示す位置情報リストを記憶する。
【0137】
検知部としての撮像部15及び温度センサ16は、搬送中に不測の事態が発生したか否かを検知する。
【0138】
制御部12は、検知部により、搬送中に不測の事態が発生したと検知された場合、現在位置と、記憶部13に記憶されている位置情報リストとを照らし合わせることにより、現在位置から最も近い地点の避難場所Lを、適切な避難場所Lxとして選定し、当該適切な避難場所Lxまでの飛行を制御する。
【0139】
このため、無人飛行体1は、搬送物を搬送中に火災等の不測の事態が発生した場合、自律的に、当該不測の事態に対処する避難誘導機能を実現することができる。
【符号の説明】
【0140】
1 無人飛行体、2 サーバ、3 収容装置、71 蓋部、72 消火設備、100 搬送システム、L、Lx、Ly 避難場所。