(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136343
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】シーリングプレート外れ検知装置
(51)【国際特許分類】
A62C 37/12 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
A62C37/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047438
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 恵理子
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189CA08
2E189CC09
2E189CD01
2E189CG09
(57)【要約】
【課題】スプリンクラーヘッドのシーリングプレートが外れた場合、これを早期に発見することができるシーリングプレート外れ検知装置を得る。
【解決手段】シーリングプレート外れ検知装置(100)は、スプリンクラーヘッド(51)の設置用穴(61)を覆うシーリングプレート(52)が、天井板(6)から外れたか否かを検知する検知部(1、15A、15B、16)と、検知部(1、15A、15B、16)により、シーリングプレート(52)が天井板(6)から外れたと検知された場合、警報を発報する発報部(3)と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプリンクラーヘッドの設置用穴を覆うシーリングプレートが、設置面から外れたか否かを検知する検知部と、
前記検知部により、前記シーリングプレートが前記設置面から外れたと検知された場合、警報を発報する発報部と、
を有するシーリングプレート外れ検知装置。
【請求項2】
前記検知部は、前記シーリングプレートが前記設置面と接触している状態から非接触状態になった異常状態を検知することにより、前記シーリングプレートが前記設置面から外れたと検知する、
請求項1に記載のシーリングプレート外れ検知装置。
【請求項3】
前記検知部は、前記シーリングプレートが前記スプリンクラーヘッドと接触している状態から非接触状態になった異常状態を検知することにより、前記シーリングプレートが前記設置面から外れたと検知する、
請求項1に記載のシーリングプレート外れ検知装置。
【請求項4】
前記検知部は、複数のスプリンクラーヘッドが設置された環境において、前記複数のスプリンクラーヘッドのそれぞれの設置用穴を覆う複数のシーリングプレートに対応して個別に設けられた複数の検知部として構成されており、
前記複数の検知部のそれぞれは、信号線によって直列接続されており、前記シーリングプレートが前記設置面から外れた場合に作動することにより、前記信号線が断線状態となり、
前記発報部は、前記信号線が断線状態であるか否かを判断し、前記断線状態であると判断した場合には前記警報を発報する
請求項2または3に記載のシーリングプレート外れ検知装置。
【請求項5】
前記発報部は、
前記警報を発報することを強制的に禁止する発報禁止状態に切り替え設定が可能なスイッチ部を有し、
前記発報禁止状態が設定されている場合には、前記警報を発報しないように動作する
請求項1から3のいずれか1項記載のシーリングプレート外れ検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スプリンクラーヘッドの設置用穴を覆うシーリングプレートが外れたか否かを検知するシーリングプレート外れ検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
天井板にスプリンクラーヘッドを設ける場合、設置用穴を天井板に空けてスプリンクラーヘッドを設置する。また、スプリンクラーヘッドを設置した後、シーリングプレートを取り付けて設置用穴を覆う。
【0003】
ここで、シーリングプレートとして、次のものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に係るシーリングプレートは、直角方向へ立ち上がる複数の長係止部と短係止部とを備え、開口部の側の面に係止突起を備える。これにより、シーリングプレートのカバー部と天井板下面との間に隙間ができないように天井穴を塞ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のシーリングプレートも含め、スプリンクラーヘッドのシーリングプレートは、保守点検の観点により、取り外し可能な構成となっている。このため、シーリングプレートに何等かの物体が接触して力が加わる場合、第三者のいたずら行為などにより、シーリングプレートが外れてしまうことがある。また、シーリングプレートが外れたまま放置されていると、美観の上で好ましくない。
【0006】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、スプリンクラーヘッドのシーリングプレートが外れた状態を早期に発見することができるシーリングプレート外れ検知装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るシーリングプレート外れ検知装置は、スプリンクラーヘッドの設置用穴を覆うシーリングプレートが、設置面から外れたか否かを検知する検知部と、検知部により、シーリングプレートが設置面から外れたと検知された場合、警報を発報する発報部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、スプリンクラーヘッドのシーリングプレートが外れたことを早期に発見することができるシーリングプレート外れ検知装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施の形態1におけるシーリングプレート外れ検知装置の構成を示す図である。
【
図2】実施の形態1におけるスプリンクラーヘッドが天井板に取り付けられた状態を示す図である。
【
図3】
図2の状態からシーリングプレートが取り外された状態を示す図である。
【
図4】コンシールドヘッドが天井板に取り付けられた状態を示す図である。
【
図5】
図4の状態からコンシールド部が取り外された状態を示す図である。
【
図6】
図2に示す接点を天井板に固定させた場合の構成例を示す図である。
【
図7】
図6の状態からシーリングプレートが取り外された状態を示す図である。
【
図8】
図2に示す接点に替えて、正極側端子、負極側端子、及び金属板を検知部として用いる構成例を示す図である。
【
図9】
図8の状態からシーリングプレートが取り外された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示のシーリングプレート外れ検知装置の好適な態様につき、図面を用いて説明する。
本開示の実施の形態1に係るシーリングプレート外れ検知装置は、設置面からシーリングプレートが外れたか否かを検知し、外れた場合に警報を発報することを技術的特徴としている。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本開示の実施の形態1におけるシーリングプレート外れ検知装置を示す図である。
【0012】
シーリングプレート外れ検知装置100は、検知部としての複数の接点1と、発報部としての監視警報盤3とが、信号線2により電気的に接続されている構成を備えている。また、
図1において、各接点1は直列接続により接続されている。
【0013】
接点1は、例えば、プッシュプランジャ型のリミットスイッチにおける接点であり、シーリングプレート52が設置面としての天井板6から外れたか否かを検知する。接点1は、
図1に示すように、複数のスプリンクラーヘッド51が設置された環境において、複数のシーリングプレート52に対応して個別に設けられている。
【0014】
ここで、スプリンクラーヘッド51は、初期消火を行う設備であり、設定温度以上の熱気流を受けると、火災が発生したとして、配水管7を通じて供給される水を散水する。
【0015】
シーリングプレート52は、スプリンクラーヘッド51を設置する際に形成される設置用穴61を覆い、施工跡を隠す部材である。
【0016】
監視警報盤3は、スピーカを備え、接点1により、シーリングプレート52が天井板6から外れたと検知された場合、警報を発報する。
【0017】
次に、実施の形態1における、シーリングプレート52の外れ検知方法について説明する。
【0018】
図2は、実施の形態1におけるスプリンクラーヘッド51が天井板6に取り付けられた状態を示す図である。また、
図3は、
図2の状態からシーリングプレート52が取り外された状態を示す図である。
【0019】
接点1は、
図3に示すリミットスイッチ11が下向きになるように、スプリンクラーヘッド51の側面に固定される。
【0020】
また、
図2に示すように、シーリングプレート52が設置用穴61を覆っている状態のときに、リミットスイッチ11が押された状態となる。このため、シーリングプレート52が設置用穴61を覆っている状態のときには、接点1がオンになり、信号線2に電流が流れる。
【0021】
一方、
図3に示すように、シーリングプレート52が外れた状態になると、リミットスイッチ11の押下状態が解除される。このため、接点1がオフになって信号線2が断線状態となる。
【0022】
監視警報盤3は、規定アンペアの電流を信号線2に流す。そして、監視警報盤3は、信号線2に流れる電流の値を監視することにより、信号線2が断線状態であるか否かを判断する。監視警報盤3は、信号線2が断線状態であると判断した場合、警報を発報し、シーリングプレート52が外れたことを周囲に知らせる。
【0023】
次に、上記の態様を、コンシールドヘッドのスプリンクラーに適用させる場合について説明する。
【0024】
図4は、コンシールドヘッド5が天井板6に取り付けられた状態を示す図である。また、
図5は、
図4の状態からコンシールド部53が取り外された状態を示す図である。
【0025】
図4に示すコンシールドヘッド5は、コンシールド部53とスプリンクラーヘッド51とを備えており、スプリンクラーヘッド51にコンシールド部53を被せた状態で、天井板6に設置される。
【0026】
また、コンシールド部53は、シーリングプレート52と一体となって構成されている。すなわち、スプリンクラーヘッド51にコンシールド部53を被せることにより、シーリングプレート52が設置用穴61を覆ってこれを隠すことができる。
【0027】
コンシールド部53は、火災時の熱気流を受けると、コンシールド部53の内部に設けられている半田が溶けてシーリングプレート52から離脱する。コンシールド部53が離脱すると、スプリンクラーヘッド51が外部に露出する。
【0028】
そして、外部に曝されたスプリンクラーヘッド51は、より高温の熱気流を受けると、半田が溶けて作動し、火災が発生したとして散水を行う。
【0029】
また、コンシールド部53が離脱すると、シーリングプレート52に設けられている接点が閉じて、図示しない警報装置に、信号出力線54を介して火災信号を発信する。このように、コンシールドヘッド5は、コンシールド部53が離脱することにより、外部の警報装置に移報することができる。
【0030】
図4に示す接点1は、
図2及び
図3の例と同様に、スプリンクラーヘッド51の側面に固定されている。また、
図4に示す接点1は、スプリンクラーヘッド51にコンシールド部53とシーリングプレート52が被せられている状態で、シーリングプレート52によりリミットスイッチ11が押された状態になる。すなわち、接点1は、スプリンクラーヘッド51にコンシールド部53とシーリングプレート52が被せられている状態で、オンになる。
【0031】
一方、シーリングプレート52が天井板6から取り外されると、接点1は、
図5に示すように、リミットスイッチ11の押された状態が解除されてオフになる。
【0032】
監視警報盤3は、
図2及び
図3の例と同様に、接点1がオフになると警報を発報し、シーリングプレート52が外れたことを周囲に知らせる。
【0033】
なお、保守点検時に作業者は、コンシールド部53と一体となっているシーリングプレート52を天井板6から外して、スプリンクラーヘッド51の外観、漏水の有無などを確認する。
【0034】
そのため、監視警報盤3の側に、発報を抑止する仕組みを設けてもよい。例えば、監視警報盤3に、スイッチ部としてのジャンパスイッチを設ける。そして、保守点検を行う作業者は、作業前に、信号線2に接続されている監視警報盤3のプラス端子とマイナス端子とを、直接ジャンパスイッチにより電気的に接続する。これにより、保守点検時にシーリングプレート52を天井板6から外しても、警報を発報しないようにすることができる。
【0035】
すなわち、監視警報盤3は、このようなジャンパスイッチを有することにより、警報を発報することを強制的に禁止する発報禁止状態に切り替え設定が可能になる。
【0036】
なお、これはコンシールドヘッド5を使用する場合に限らず、一般的なスプリンクラーヘッド51を使用する場合でも適用可能であり、シーリングプレート52が汚れて交換する場合等に有効である。
【0037】
これまでに説明した接点1は、スプリンクラーヘッド51に固定されており、シーリングプレート52とスプリンクラーヘッド51との接触状態を監視している。すなわち、シーリングプレート52とスプリンクラーヘッド51とが非接触状態になったら、シーリングプレート52が天井板6から取り外されたものと擬制している。
【0038】
これに対し、接点1を天井板6に設け、シーリングプレート52と天井板6との接触状態を監視する態様について説明する。
【0039】
図6は、
図2に示す接点1を天井板6に固定させた場合の構成例を示す図である。また、
図7は、
図6の状態からシーリングプレート52が取り外された状態を示す図である。
【0040】
図6において、接点1は、天井板6の設置用穴61の内側面に固定されている。また、接点1は、シーリングプレート52が設置用穴61を覆っている状態のときに、リミットスイッチ11が押されるように、リミットスイッチ11が下向きになるように設置されている。
【0041】
このため、接点1は、シーリングプレート52が天井板6に接触しているときにオンになる。一方、
図7に示すように、シーリングプレート52が外れて天井板6と非接触状態になると、リミットスイッチ11の押下状態が解除され、接点1がオフになる。
【0042】
図6及び
図7の例では、接点1は、シーリングプレート52が天井板6と接触している状態から非接触状態になった異常状態を検知する構成を例示した。このような構成であっても、シーリングプレート52が外れた場合、監視警報盤3を発報させることができる。
【0043】
次に、上記の接点1とは異なる構成による、シーリングプレート52の外れ検知方法について説明する。
【0044】
図8は、
図2に示す接点1に替えて、正極側端子、負極側端子、及び金属板を検知部として用いる構成例を示す図である。また、
図9は、
図8の状態からシーリングプレート52が取り外された状態を示す図である。
【0045】
図8の例において、正極側端子15A及び負極側端子15Bは、それぞれ天井板6の設置用穴61の内側面に固定されている。また、
図8の例において、正極側端子15A及び負極側端子15Bは、先端部が天井板6の下面と面一になるように、天井板6に固定されている。そして、導電性を有する金属板16が、シーリングプレート52の上面に設けられている。
【0046】
この構成においても、接点1を用いた構成と同じように、信号線2を閉状態にして導通状態にしたり、開状態にして断線状態にしたりすることができる。すなわち、シーリングプレート52が設置用穴61を覆っている状態である場合、
図8に示すように、正極側端子15A及び負極側端子15Bが金属板16を介して電気的に接続される。このため、信号線2が閉状態になり、電流が流れる。
【0047】
一方、シーリングプレート52が外れた状態になると、
図9に示すように、正極側端子15A及び負極側端子15Bの電気的な接続が解除される。このため、信号線2が開状態になり、断線状態になる。
【0048】
監視警報盤3は、接点1を用いる構成と同様に、信号線2が開状態になると警報を発報し、コンシールド部53が外れたことを周囲に知らせる。
【0049】
実施の形態1においては、設置面として、スプリンクラーヘッド51及びシーリングプレート52を天井板6に取り付けるものとして説明したが、壁面などの平面であってもよい。
【0050】
また、実施の形態1においては、監視警報盤3を、新たに個別の装置として提供するものと説明したが、例えば、火災受信機、消火設備制御盤などの既設の設備に、監視警報盤3と同様の機能を持たせるようにしてもよい。
【0051】
上記のシーリングプレート外れ検知装置100の特徴を整理すると、以下のような構成を有し、効果を実現できることとなる。
【0052】
本開示に係るシーリングプレート外れ検知装置100は、スプリンクラーヘッド51の設置用穴61を覆うシーリングプレート52が、天井板6から外れたか否かを検知する検知部を有する。
【0053】
ここで、検知部は、接点1であってもよく、正極側端子15A、負極側端子15B、及び金属板16を有する構成であってもよい。
【0054】
また、シーリングプレート外れ検知装置100は、検知部により、シーリングプレート52が天井板6から外れたと検知された場合、警報を発報する監視警報盤3を有する。
【0055】
このため、スプリンクラーヘッド51のシーリングプレート52が外れた場合、これを早期に発見することができる。
【0056】
また、検知部は、シーリングプレート52が天井板6と接触している状態から非接触状態になった異常状態を検知することにより、シーリングプレート52が天井板6から外れたと検知する。
【0057】
または、検知部は、シーリングプレート52がスプリンクラーヘッド51と接触している状態から非接触状態になった異常状態を検知することにより、シーリングプレート52が天井板6から外れたと検知する。
【0058】
これらの構成においても、監視警報盤3は、シーリングプレート52が天井板6から外れた場合、警報を発報することができる。
【0059】
また、検知部は、複数のスプリンクラーヘッド51が設置された環境において、複数のスプリンクラーヘッド51のそれぞれの設置用穴61を覆う複数のシーリングプレート52に対応して個別に設けられた複数の検知部として構成されている。
【0060】
また、複数の検知部のそれぞれは、信号線2によって直列接続されており、シーリングプレート52が天井板6から外れた場合に作動することにより、信号線2が断線状態となる。
【0061】
監視警報盤3は、信号線2が断線状態であるか否かを判断し、断線状態であると判断した場合には警報を発報する。
【0062】
このため、複数のシーリングプレート52がある場合においても、これらを同時に監視することができる。
【0063】
監視警報盤3は、警報を発報することを強制的に禁止する発報禁止状態に切り替え設定が可能なジャンパスイッチを有する。監視警報盤3は、発報禁止状態が設定されている場合には、警報を発報しないように動作する。
【0064】
このため、保守点検時において、ジャンパスイッチを操作することにより、シーリングプレート52が天井板6から外されても、警報を発報しないように動作させることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 接点(検知部)、2 信号線、3 監視警報盤(発報部)、5 コンシールドヘッド、6 天井板(設置面)、15A 正極側端子(検知部)、15B 負極側端子(検知部)、16 金属板(検知部)、51 スプリンクラーヘッド、52 シーリングプレート、61 設置用穴。