(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136383
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】エレベータの制御システム
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20240927BHJP
B66B 1/14 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B66B3/00 F
B66B1/14 L
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047483
(22)【出願日】2023-03-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【テーマコード(参考)】
3F303
3F502
【Fターム(参考)】
3F303CA05
3F303DC32
3F502HB02
3F502JA04
3F502MA03
3F502MA17
3F502MA41
(57)【要約】
【課題】利用者が自身の行きたい場所がある建物へスムーズに行けるようにすることを、エレベータの制御技術を用いて可能にする。
【解決手段】乗場呼びに用いられる登録装置にてキーワードが音声で入力された場合に、解析処理部が、当該音声の音声データを解析することにより、その音声で入力されたキーワードを判別する。解析処理部が判別したキーワードを検索キーワードとして、検索処理部が、第1情報管理データ内の案内情報から、検索キーワードと合致するキーワードが対応付けられている候補情報を探す(第1検索処理)。そして、検索処理部は、第1検索処理で候補情報を探し出すことができなかった場合には、第2情報管理データ内の案内情報から候補情報を探す(第2検索処理)。検索処理部が第2検索処理で候補情報を探し出した場合、表示処理部が、当該候補情報を、それが第2建物についての情報であることを知らせる通知と共に、登録装置に表示させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータを備えた第1建物についての案内情報を管理するためのデータであり、当該第1建物についての案内情報ごとに、当該案内情報に対して、その案内情報に関連するキーワードが対応付けられている第1情報管理データと、
前記第1建物とは別の第2建物についての案内情報を管理するためのデータであり、当該第2建物についての案内情報ごとに、当該案内情報に対して、その案内情報に関連するキーワードが対応付けられている第2情報管理データと、
前記エレベータでの乗場呼びに用いられる登録装置にてキーワードが音声で入力された場合に、当該音声の音声データを解析することにより、その音声で入力されたキーワードを判別する解析処理部と、
前記解析処理部が判別したキーワードを検索キーワードとして、当該検索キーワードに基づいた前記案内情報の検索を行う検索処理部であり、前記第1情報管理データ内の前記案内情報から、前記検索キーワードと合致するキーワードが対応付けられている候補情報を探す第1検索処理を実行し、当該第1検索処理で前記候補情報を探し出すことができなかった場合には、前記第2情報管理データ内の前記案内情報から前記候補情報を探す第2検索処理を実行する、検索処理部と、
前記検索処理部が前記第2検索処理で前記候補情報を探し出した場合に、当該候補情報を、それが前記第2建物についての情報であることを知らせる通知と共に、前記登録装置に表示させる表示処理部と、
を備える、エレベータの制御システム。
【請求項2】
前記表示処理部は、前記検索処理部が前記第2検索処理で探し出した前記候補情報を、前記登録装置に選択可能に表示させる、請求項1に記載の制御システムであり、
前記第2検索処理で探し出された前記候補情報の1つが前記登録装置にて選択された場合に、前記第1建物の出口のうちの前記第2建物へ通じる出口がある特定階を用いてエレベータの呼び登録を行う呼び登録処理部、
を更に備える、エレベータの制御システム。
【請求項3】
前記表示処理部は、前記検索処理部が前記第1検索処理で前記候補情報を探し出した場合には、当該候補情報を、前記登録装置に選択可能に表示させ、
前記呼び登録処理部は、前記第1検索処理で探し出された前記候補情報の1つが前記登録装置にて選択された場合には、その候補情報を対象案内情報として、当該対象案内情報に対応する階を用いてエレベータの呼び登録を行う、請求項2に記載のエレベータの制御システム。
【請求項4】
前記表示処理部は、前記検索処理部が前記第1検索処理で前記候補情報を探し出した場合には、当該候補情報を、前記登録装置に選択可能に表示させる、請求項1に記載に制御システムであり、
前記第1検索処理で探し出された前記候補情報の1つが前記登録装置にて選択された場合に、その候補情報を対象案内情報として、当該対象案内情報に対応する階を用いてエレベータの呼び登録を行う呼び登録処理部、
を更に備える、エレベータの制御システム。
【請求項5】
前記第1情報管理データは、前記案内情報として、前記第1建物内にある各場所を案内する情報と、前記第1建物の特定の出口を通って利用者がアクセスする当該第1建物外の各場所を案内する情報と、を含む、請求項3又は4に記載のエレベータの制御システム。
【請求項6】
前記第1検索処理で探し出された前記候補情報が前記登録装置に選択可能に表示された場合において、そのうちの1つが音声で読み上げられた場合には、前記解析処理部が、当該音声の音声データを解析することにより、その音声で読み上げられた候補情報を判別し、
前記解析処理部が前記候補情報を判別した場合、前記呼び登録処理部は、その候補情報を、前記登録装置にて選択された前記対象案内情報として、前記呼び登録を行う、請求項3又は4に記載のエレベータの制御システム。
【請求項7】
前記登録装置にてキーワードが音声で入力されたときに、その音声を入力した利用者の顔情報が得られた場合であって、且つ、前記検索処理部が前記第1検索処理で前記候補情報を探し出した場合には、前記表示処理部は、前記第1検索処理で探し出された前記候補情報を、当該候補情報に対する優先度を前記顔情報に基づいて設定した上で、その優先度の高いものから順に前記登録装置に表示させる、請求項3又は4に記載のエレベータの制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、場所の検索が可能なエレベータの制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの制御技術として、特許文献1には、行先階登録装置でのキーワードの入力によって建物内のテナントを検索できるようにし、その検索の結果をエレベータの呼び登録に用いる技術が開示されている。具体的には、キーワードに基づいた検索によって得られたテナントが行先階登録装置の画面に選択可能に表示され、当該画面にて利用者がテナントの1つを選択した場合に、そのテナントのある階がエレベータの呼び登録に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、幾つかの建物から構成された複合施設が建設されることが多くなってきている。そのような施設では、訪れた利用者は、自身の行きたい場所がその施設内にあることは分かっているが、行きたい場所がどの建物にあるのかを把握できていないことが多い。また、各建物には、案内表示が設定されてはいるが、その建物内の場所だけを案内している場合が多く、その場合、利用者が案内表示を見ているときにいる建物とは別の建物に自身の行きたい場所があったとすると、その利用者は、そのとき見ている案内表示からは自身の行きたい場所を見付け出すことが難しくなる。そのため、利用者は、自身の行きたい場所がどの建物にあるのかを把握するためだけに、案内表示を探し回らなければならず、多くの時間を消費しなければならなくなる。
【0005】
そこで本発明の目的は、利用者が、そのときにいる建物とは別の建物に自身の行きたい場所があることを認識できていなかったとしても、その利用者が自身の行きたい場所がある建物へスムーズに行けるようにすることを、エレベータの制御技術を用いて可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る制御システムは、第1情報管理データと、第2情報管理データと、解析処理部と、検索処理部と、表示処理部と、を備える。第1情報管理データは、エレベータを備えた第1建物についての案内情報を管理するためのデータであり、第1情報管理データでは、第1建物についての案内情報ごとに、当該案内情報に対して、その案内情報に関連するキーワードが対応付けられている。第2情報管理データは、第1建物とは別の第2建物についての案内情報を管理するためのデータであり、第2情報管理データでは、第2建物についての案内情報ごとに、当該案内情報に対して、その案内情報に関連するキーワードが対応付けられている。解析処理部は、エレベータでの乗場呼びに用いられる登録装置にてキーワードが音声で入力された場合に、当該音声の音声データを解析することにより、その音声で入力されたキーワードを判別する。検索処理部は、解析処理部が判別したキーワードを検索キーワードとして、当該検索キーワードに基づいた案内情報の検索を行う。具体的には、検索処理部は、第1情報管理データ内の案内情報から、検索キーワードと合致するキーワードが対応付けられている候補情報を探す(第1検索処理)。そして、検索処理部は、第1検索処理で候補情報を探し出すことができなかった場合には、第2情報管理データ内の案内情報から候補情報を探す(第2検索処理)。表示処理部は、検索処理部が第2検索処理で候補情報を探し出した場合に、当該候補情報を、それが第2建物についての情報であることを知らせる通知と共に、登録装置に表示させる。
【0007】
上記制御システムによれば、利用者が、そのときにいる第1建物とは別の第2建物に自身の行きたい場所があることを認識できていなかったとしても、その利用者は、自身の行きたい場所に関連するキーワードを音声で第1建物内の登録装置に入力するだけで、当該登録装置の画面に表示される候補情報と通知とから、自身の行きたい場所が第2建物にあることを知ることができる。また、登録装置では音声でキーワードを入力することができるため、キーワードを手入力する場合に比べて、入力時の操作性を著しく向上させることができる。
【0008】
上記制御システムにおいて、表示処理部は、検索処理部が第2検索処理で探し出した候補情報を、登録装置に選択可能に表示させてもよい。この構成において、制御システムは、呼び登録処理部を更に備え、当該呼び登録処理部は、第2検索処理で探し出された候補情報の1つが登録装置にて選択された場合に、第1建物の出口のうちの第2建物へ通じる出口がある特定階を用いてエレベータの呼び登録を行ってもよい。
【0009】
上記構成によれば、登録装置の画面にて利用者が候補情報を1つ選択することにより、第2建物へ通じる第1建物の出口がある特定階へ行くための呼び登録が自動的に実行される。従って、利用者は、登録装置での音声によるキーワードの入力と、登録装置での候補情報の確認及び選択、といった簡単な操作を行うだけで、その利用者の行きたい場所が第2建物内にあったとしても、迷うことなく、第2建物へ通じる第1建物の出口のある特定階までエレベータを利用して移動し、そこから第2建物へスムーズに移動することが可能になる。
【0010】
上記制御システムにおいて、表示処理部は、検索処理部が第1検索処理で候補情報を探し出した場合には、当該候補情報を、登録装置に選択可能に表示させてもよい。この構成において、呼び登録処理部は、第1検索処理で探し出された候補情報の1つが登録装置にて選択された場合には、その候補情報を対象案内情報として、当該対象案内情報に対応する階を用いてエレベータの呼び登録を行ってもよい。
【0011】
上記構成によれば、登録装置にて利用者が音声でキーワードを入力することにより、第1建物についての案内情報のうちの当該キーワードに関連する候補情報だけが登録装置の画面に選択可能に表示されることになる。よって、利用者は、自身が音声で入力したキーワードに関連する候補情報だけを登録装置の画面で確認することができ、それが故に、自身が所望する案内情報を画面内から比較的容易に見付け出すことができる。そして、その画面にて利用者が候補情報を1つ選択することにより、その情報に対応する階へ行くための呼び登録が自動的に実行されることになる。このように、利用者は、登録装置での音声によるキーワードの入力と、登録装置での候補情報の確認及び選択、といった簡単な操作を行うだけで、迷うことなく、自身の行きたい場所のある階までエレベータを利用して移動することが可能になる。
【0012】
上記制御システムにおいて、第1情報管理データは、案内情報として、第1建物内にある各場所を案内する情報と、第1建物の特定の出口を通って利用者がアクセスする当該第1建物外の各場所を案内する情報と、を含んでいてもよい。具体例として、第1建物の特定の出口を通って利用者がアクセスする当該第1建物外の場所は、第1建物の最寄駅、第1建物に併設された駐車場や別の施設である。この構成によれば、利用者は、自身の行きたい場所が第1建物外にある場合であっても、当該場所へ行くために通る特定の出口がある階へ迷うことなく向かうことが可能になる。
【0013】
上記制御システムでは、第1検索処理で探し出された候補情報が登録装置に選択可能に表示された場合において、そのうちの1つが音声で読み上げられた場合には、解析処理部が、当該音声の音声データを解析することにより、その音声で読み上げられた候補情報を判別してもよい。この構成において、解析処理部が候補情報を判別した場合、呼び登録処理部は、その候補情報を、登録装置にて選択された対象案内情報として、呼び登録を行ってもよい。この構成によれば、登録装置に候補情報が選択可能に表示された場合に、利用者は、そのうちの1つを音声で選択することが可能になる。
【0014】
上記制御システムにおいて、登録装置にてキーワードが音声で入力されたときに、その音声を入力した利用者の顔情報が得られた場合であって、且つ、検索処理部が第1検索処理で候補情報を探し出した場合には、表示処理部は、第1検索処理で探し出された候補情報を、当該候補情報に対する優先度を顔情報に基づいて設定した上で、その優先度の高いものから順に登録装置に表示させてもよい。この構成によれば、利用者ごとに、その利用者が所望している可能性の高い候補情報(案内情報)が他の候補情報よりも優先的に表示されるため、利用者は、自身が所望する案内情報を画面内から見付け出しやすくなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、利用者が、そのときにいる第1建物とは別の第2建物に自身の行きたい場所があることを認識できていなかったとしても、その利用者は、自身の行きたい場所がある第2建物へスムーズに行けるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を例示した概念図である。
【
図2】実施形態において行先階登録装置の登録部に表示される(A)待機画面、(B)登録画面、(C)登録通知画面、(D)案内画面、(E)第1選択画面、及び(F)第1案内通知画面、をそれぞれ例示した概念図である。
【
図3】実施形態において行先階登録装置の登録部に表示される(A)第2案内通知画面及び(B)その画面の変形例をそれぞれ例示した概念図である。
【
図4】実施形態で用いられる(A)第1情報管理データ、(B)第2情報管理データ、及び(C)装置管理データをそれぞれ例示した概念図である。
【
図5A】実施形態において、待機画面にて行先階登録モードが選択された場合に行先階登録装置が行う動作、及び群管理制御装置が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
【
図5B】実施形態において、待機画面にて情報検索モードが選択された場合に行先階登録装置が行う動作、及び群管理制御装置が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
【
図5C】実施形態において、第1検索処理(
図5BのステップS213A)で候補情報が抽出された場合に行先階登録装置が行う動作、及び群管理制御装置が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
【
図6】第1変形例において、待機画面にて情報検索モードが選択された場合に行先階登録装置が行う動作、及び群管理制御装置が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
【
図7】実施形態において行先階登録装置の登録部に表示される(A)第2選択画面、(B)その画面の変形例、及び(C)第2案内通知画面をそれぞれ例示した概念図である。
【
図8】第2変形例で用いられる第1情報管理データを例示した概念図である。
【
図9】第3変形例において、待機画面にて情報検索モードが選択された場合に行先階登録装置が行う動作、及び群管理制御装置が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
【
図10】第4変形例に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を例示した概念図である。
【
図11】第4変形例において、待機画面にて情報検索モードが選択された場合に行先階登録装置が行う動作、及び群管理制御装置が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
【
図12】行先階登録装置の登録部に表示される第1選択画面について、(A)第4変形例、(B)第5変形例、及び(C)第6変形例でそれぞれ表示されるものを例示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[1]実施形態
[1-1]エレベータの全体構成
図1は、実施形態に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を例示した概念図である。ここで、このエレベータは、第1建物と第2建物(互いに別の建物)から構成された複合施設において、それらの建物のうちの第1建物が備えるエレベータを対象として、本実施形態の制御システムが適用されたものである。
【0018】
図1の例では、エレベータは、行先階登録装置1と、群管理制御装置2と、を備える。以下、各部について具体的に説明する。
【0019】
<行先階登録装置>
行先階登録装置1は、エレベータの利用前に利用者が行う乗場呼びに用いられる装置であり、建物の各階に設置される。本実施形態では、行先階登録装置1は、行先階Fdを入力(選択を含む)して乗場呼びを行えるようにするための本来の機能(以下、「行先階登録モード」と称す)に加えて、上記複合施設において行きたい場所を音声で検索できるようにするための新たな機能(以下、「情報検索モード」と称す)を備えている。
【0020】
具体的な構成として、行先階登録装置1は、登録部11と、音声入力部12と、を備える。また、各行先階登録装置1には、それを他の装置と識別するための装置情報Pdが設定されている。
【0021】
登録部11は、利用者が乗場呼びを行うときの操作や情報の確認に用いられる部分であり、タッチパネルなど、入力部としての機能と表示部としての機能とを兼ね備えたデバイスによって構成される。尚、登録部11は、入力部と表示部とが別個に構成されたものであってもよい。例えば、表示部が、表示専用のモニタで構成され、入力部が、行先階Fdなどを入力するための機械式のボタン(テンキーなど)で構成されてもよい。
【0022】
そして、登録部11には、乗場呼びに関連する様々な画面が表示される。本実施形態では、そのような画面として、待機画面(
図2(A)参照)、登録画面(
図2(B)参照)、登録通知画面(
図2(C)参照)、案内画面(
図2(D)参照)、第1選択画面(
図2(E)参照)、第1案内通知画面(
図2(F)参照)、及び第2案内通知画面(
図3(A)参照)が、登録部11に適宜表示される。
【0023】
ここで、待機画面は、行先階登録装置1をどちらのモード(行先階登録モード又は情報検索モード)で使用するのかを選択するための最初の画面である。
【0024】
登録画面は、待機画面にて行先階登録モードが選択された場合に表示される画面であり、行先階Fdを入力(選択を含む)して登録することによって乗場呼びを行うための画面である。登録画面で行先階Fdが登録された場合、その行先階Fdは、群管理制御装置2が行う呼び登録(乗りかごへの割当てを含む)に用いられる。従って、行先階登録装置1は、登録画面にて行先階Fdの登録が行われるごとに、その行先階Fdを群管理制御装置2へ送信する。登録通知画面は、登録画面での行先階Fdの登録後に群管理制御装置2が乗りかごへの割当てを行った場合に表示される画面であり、その乗りかごの情報(かご情報Pg)を利用者に通知するための画面である。
【0025】
案内画面は、待機画面にて情報検索モードが選択された場合に表示される画面であり、行きたい場所に関連するキーワードを音声で入力することを利用者に促すための画面である。
【0026】
第1選択画面は、キーワードが音声で入力された場合に表示される画面であり、当該キーワードに基づいた検索によって第1建物についての情報が得られた場合(後述する第1情報管理データDp1から案内情報Pn(候補情報Ps)が得られた場合)に、得られた情報を利用者に提供すると共に、当該情報が選択可能に表示される画面である。第1選択画面で何れかの情報が選択された場合、その情報(後述する対象案内情報Pt)は、群管理制御装置2が行う呼び登録(乗りかごへの割当てを含む)に用いられる。従って、行先階登録装置1は、第1選択画面にて情報の選択が行われるごとに、その情報(対象案内情報Pt)を群管理制御装置2へ送信する。第1案内通知画面は、第1選択画面での情報の選択後に群管理制御装置2が乗りかごへの割当て行った場合に表示される画面であり、その乗りかごのかご情報Pgを、第1選択画面で選択された情報(対象案内情報Pt)と共に利用者に通知するための画面である。
【0027】
第2案内通知画面は、キーワードが音声で入力された場合に表示される画面であり、当該キーワードに基づいた検索によって第2建物についての情報が得られた場合(後述する第2情報管理データDp2から案内情報Pn(候補情報Ps)が得られた場合)に、得られた情報を、それが第2建物についての情報であることを知らせる通知と共に利用者に提供するための画面である。
【0028】
音声入力部12は、利用者による音声の入力に用いられる部分であり、入力された音声を音声データVd1(アナログ信号又はデジタル信号)に変換するデバイス(マイクロフォンなど)によって構成される。音声入力部12からキーワードが音声で入力された場合、そのキーワードが、群管理制御装置2にて実行される制御処理(検索処理や呼び登録処理など)に用いられる。従って、行先階登録装置1は、音声入力部12からキーワードが音声で入力されるごとに、入力された音声の音声データVd1を群管理制御装置2へ送信する(後述する
図5BのステップS112参照)。
【0029】
<群管理制御装置>
群管理制御装置2は、上記エレベータが備える複数の乗りかごを一元的に管理する装置であり、制御処理の1つとして、行先階登録モード時の行先階登録装置1にて行先階Fdの登録が行われた場合、当該行先階Fdを用いて呼び登録を行う(呼び登録処理)。また本実施形態では、群管理制御装置2は、情報検索モード時の行先階登録装置1にてキーワードが音声で入力された場合、制御処理の1つとして、当該キーワードに基づいた検索で得た情報(後述する案内情報Pn)を、行先階登録装置1を通じて利用者に提供する(検索処理及び表示処理)。
【0030】
具体的な構成として、群管理制御装置2は、記憶部21と制御部22とを備える。
【0031】
記憶部21は、上述した制御処理に必要な情報が保存される部分であり、ROMやRAMなどの記憶デバイスで構成されている。本実施形態では、制御処理に必要な情報として、第1情報管理データDp1と、第2情報管理データDp2と、装置管理データDrと、が記憶部21に保存されている。
【0032】
図4(A)及び
図4(B)は、本実施形態で用いられる第1情報管理データDp1及び第2情報管理データDp2をそれぞれ例示した概念図である。
【0033】
第1情報管理データDp1は、第1建物(群管理制御装置2が制御するエレベータを備えた建物)についての案内情報Pnを管理するためのデータである。ここで、第1情報管理データDp1で管理される案内情報Pnは、第1建物内にある各場所(テナントや催しなど)の案内に用いられる情報である。
【0034】
そして、この第1情報管理データDp1では、第1建物についての案内情報Pnごとに、当該案内情報Pnに対して、その案内情報Pnに関連するキーワードWn及び対象階Ftが対応付けられている(
図4(A)参照)。ここで、第1情報管理データDp1にて各案内情報Pnに対応付けられるキーワードWnは、当該案内情報Pnが示している場所(テナントや催しなど)の名称、略称、ジャンル、その場所で扱われる商品やサービスの名称、略称、ジャンルなどであり、後述する検索処理で用いられる。また、第1情報管理データDp1にて各案内情報Pnに対応付けられた対象階Ftは、当該案内情報Pnが示している場所がある階である。
【0035】
一方、第2情報管理データDp2は、第2建物(複合施設内の第1建物とは別の建物)についての案内情報Pnを管理するためのデータである。ここで、第2情報管理データDp2で管理される案内情報Pnは、第2建物内にある各場所(テナントや催しなど)の案内に用いられる情報である。
【0036】
そして、この第2情報管理データDp2では、第2建物についての案内情報Pnごとに、当該案内情報Pnに対して、その案内情報Pnに関連するキーワードWnが対応付けられている(
図4(B)参照)。ここで、第2情報管理データDp2にて各案内情報Pnに対応付けられるキーワードWnは、当該案内情報Pnが示している場所(テナントや催しなど)の名称、略称、ジャンル、その場所で扱われる商品やサービスの名称、略称、ジャンルなどであり、後述する検索処理で用いられる。
【0037】
図4(C)は、本実施形態で用いられる装置管理データDrの一例を示した概念図である。この図に示されるように、装置管理データDrでは、行先階登録装置1ごとに、装置情報Pdが設置階Fsと対応付けられている。
【0038】
ここで、設置階Fsは、装置情報Pdで特定される行先階登録装置1が設置されている階である。本実施形態では、エレベータを利用するためには、その都度、行先階登録装置1にて乗場呼びを行う必要があり、利用者は、乗場呼びに用いた行先階登録装置1の設置階Fsから乗りかごに乗車することになる。従って、行先階登録装置1の設置階Fsは、群管理制御装置2が呼び登録処理(乗りかごへの割当てを含む)を行う際に、利用者の出発階(乗車階)として用いられる。
【0039】
制御部22は、上述した制御処理を実行する部分であり、CPUなどの処理デバイスで構成されている。本実施形態では、制御部22は、解析処理、検索処理、表示処理、及び呼び登録処理を実行する。以下、具体的に説明する。尚、より詳細な内容(制御の流れなど)については後述する。
【0040】
行先階登録装置1の登録部11において、待機画面(
図2(A)参照)にて行先階登録モードが選択され、且つ、登録画面(
図2(B)参照)にて行先階Fdが登録された場合には、制御部22は、当該行先階Fdを用いて呼び登録を行う(呼び登録処理)。
【0041】
一方、行先階登録装置1の登録部11において、待機画面(
図2(A)参照)にて情報検索モードが選択され、且つ、案内画面(
図2(D)参照)に従って音声入力部12からキーワードが音声で入力された場合には、制御部22は、先ず、当該音声の音声データVd1を解析することにより、その音声で入力されたキーワードを判別する(解析処理)。
【0042】
次に、制御部22は、解析処理で判別したキーワードを検索キーワードWtとして、当該検索キーワードWtに基づいた案内情報Pnの検索を行う(検索処理)。具体的には、制御部22は、第1情報管理データDp1内の案内情報Pnから、検索キーワードWtと合致するキーワードWnが対応付けられている候補情報Psを探す(第1検索処理)。このとき、第1情報管理データDp1内の案内情報Pnに、検索キーワードWtと合致するキーワードWnが対応付けられているものが複数ある場合には、制御部22は、それら全ての案内情報Pnをそれぞれ候補情報Psとして抽出する。
【0043】
そして、制御部22は、第1検索処理で候補情報Psを探し出すことができた場合には、当該候補情報Psを、登録部11に選択可能に表示させる(表示処理)。
【0044】
その後、制御部22は、第1検索処理で探し出した候補情報Psの1つが登録部11にて選択された場合には、その候補情報Psを対象案内情報Ptとして、第1情報管理データDp1にて当該対象案内情報Ptに対応付けられている対象階Ftを用いてエレベータの呼び登録を行う(呼び登録処理)。
【0045】
一方、制御部22は、第1検索処理で候補情報Psを探し出すことができなかった場合には、第2情報管理データDp2内の案内情報Pnから、上記検索キーワードWtと合致するキーワードWnが対応付けられている候補情報Psを探す(第2検索処理)。このとき、第2情報管理データDp2内の案内情報Pnに、検索キーワードWtと合致するキーワードWnが対応付けられているものが複数ある場合には、制御部22は、それら全ての案内情報Pnをそれぞれ候補情報Psとして抽出する。
【0046】
そして、制御部22は、第2検索処理で候補情報Psを探し出すことができた場合には、当該候補情報Psを、それが第2建物についての情報であることを知らせる通知と共に、登録部11に表示させる(表示処理)。
【0047】
このような制御処理(解析処理、検索処理、表示処理、呼び登録処理を含む)は、群管理制御装置2の制御部22内に構築される処理部によって実行される。
図1では、そのような処理部として、解析処理部221、検索処理部222、表示処理部223、及び呼び登録処理部224が、制御部22内に構築されている。本実施形態では、これらの処理部は、制御部22にプログラムを実行させることによってソフトウェアで構成される。そして、そのようなプログラムは、携帯可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ等)に読取可能な状態で保存され、当該記憶媒体から読み出されてインストールされたものが群管理制御装置2の記憶部21に保存されてもよいし、他のサーバなどにダウンロード可能に保存され、当該サーバからダウンロードされてインストールされたものが記憶部21に保存されてもよい。尚、上記の処理部は、群管理制御装置2内に回路を構築することによってハードウェアで構成されてもよい。
【0048】
そして、このようなエレベータの一部又は全部によって、複合施設内において利用者が自身の行きたい場所がある建物へスムーズに行くことを可能にする制御システムが構成されている。以下では、当該制御システムが実行する制御処理として、行先階登録装置1が行う動作、及び群管理制御装置2が実行する制御処理について、具体的に説明する。
【0049】
尚、上記エレベータは、乗りかごを1つだけ備えたものであってもよい。この場合、当該1つの乗りかごを制御するエレベータ制御装置が、上記制御システムが実行する制御処理の一部を、群管理制御装置2に代わって担うことになる。
【0050】
[1-2]制御処理
本実施形態では、エレベータの利用前に、行先階登録装置1にて乗場呼びを行うことが必要とされる。そして、行先階登録装置1の登録部11に表示された最初の画面(待機画面。
図2(A)参照)では、利用者は、行先階登録モード及び情報検索モードの何れか一方を選択することができる。
【0051】
先ず、行先階登録装置1の待機画面にて行先階登録モードが選択された場合について説明する。
図5Aは、その場合に行先階登録装置1が行う動作、及び群管理制御装置2が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
【0052】
待機画面にて行先階登録モードが選択された場合、行先階登録装置1は、登録部11の画面に、待機画面から切り替えて登録画面(
図2(B)参照)を表示する(ステップS101)。そして、当該登録画面にて利用者が行先階Fdを登録した場合、行先階登録装置1は、その行先階Fdを群管理制御装置2へ送信する(ステップS102)。このとき、行先階登録装置1は、当該行先階Fdがどの装置から送信されてきたのかを群管理制御装置2に認識させるべく、その行先階Fdと共に、自身の装置情報Pdを群管理制御装置2へ送信する。尚、
図2(B)の例では、行先階Fdとして「3階」が選択された場合が示されている。
【0053】
群管理制御装置2は、行先階Fdなどの情報を行先階登録装置1から受信した場合(ステップS201)、当該情報を用いて呼び登録を実行する(呼び登録処理。ステップS202)。
【0054】
具体的には、群管理制御装置2は、装置管理データDrから、ステップS201で受信した装置情報Pdに対応付けられている設置階Fs(即ち、利用者が行先階Fdの登録に用いた行先階登録装置1の設置階Fs)を抽出する(ステップS202A)。
【0055】
そして、群管理制御装置2は、ステップS202Aで抽出した設置階Fsを利用者の出発階(乗車階)とした上で、当該出発階とステップS201で受信した行先階Fd(即ち、登録画面で登録された行先階Fd)とを1つの乗場呼びとして、乗りかごへの割当てを行う(ステップS202B)。
【0056】
その後、群管理制御装置2は、ステップS202Bで割り当てた乗りかごのかご情報Pgを、行先階登録装置1を通じて利用者に提示するべく、ステップS201で受信した装置情報Pdを用いて行先階登録装置1を特定し、その行先階登録装置1に、登録部11への登録通知画面(
図2(C)参照)の表示を実行させる(表示処理。ステップS202C)。具体的には、群管理制御装置2は、当該登録通知画面の表示を実行させるための表示指令Rxを行先階登録装置1へ送信する。このとき、群管理制御装置2は、登録通知画面に表示させる情報として、ステップS202Bで割り当てた乗りかごのかご情報Pgを行先階登録装置1へ送信する。尚、
図2(C)に示されるように、登録通知画面には、かご情報Pgに加えて、ステップS202Bでの割当てに用いられた行先階Fdが更に表示されてもよく、その場合には、群管理制御装置2は、当該行先階Fdも行先階登録装置1へ送信する。
【0057】
行先階登録装置1は、表示指令Rxなどの情報を群管理制御装置2から受信した場合(ステップS103)、それらの情報を用いて登録部11への登録通知画面の表示を行う(ステップS104)。これにより、利用者は、登録した行先階Fdへの移動に際して自身がどの乗りかごに乗車すべきかを認識することが可能になる。
【0058】
次に、行先階登録装置1の待機画面にて情報検索モードが選択された場合について説明する。
図5B及び
図5Cは、その場合に行先階登録装置1が行う動作、及び群管理制御装置2が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
【0059】
待機画面にて情報検索モードが選択された場合、行先階登録装置1は、登録部11の画面に、待機画面から切り替えて案内画面(
図2(D)参照)を表示する(ステップS111)。そして、その案内画面を確認した利用者が、自身の行きたい場所に関連するキーワードを音声で音声入力部12から入力した場合、行先階登録装置1は、その音声の音声データVd1を群管理制御装置2へ送信する(ステップS112)。このとき、行先階登録装置1は、当該音声データVd1がどの装置から送信されてきたのかを群管理制御装置2に認識させるべく、その音声データVd1と共に、自身の装置情報Pdを群管理制御装置2へ送信する。
【0060】
群管理制御装置2は、音声データVd1などの情報を行先階登録装置1から受信した場合(ステップS211)、当該音声データVd1を解析することにより、その音声で入力されたキーワードを判別する(解析処理。ステップS212)。このときの解析方法として、群管理制御装置2は、音声データVd1から特徴量を抽出し、当該特徴量とキーワードとの対応関係が予め設定されたデータを参照することによってキーワードを判別する方法を用いてもよいし、キーワードとその音声データVd1とを学習データとする機械学習によって得られた学習モデル(AI)を用いて音声データVd1からキーワードを判別する方法を用いてもよい。
【0061】
次に、群管理制御装置2は、解析処理で判別したキーワードを検索キーワードWtとして、当該検索キーワードWtに基づいた案内情報Pnの検索を行う(検索処理。ステップS213)。
【0062】
具体的には、群管理制御装置2は、先ず、第1情報管理データDp1を参照することにより、第1情報管理データDp1内の案内情報Pnから、検索キーワードWtと合致するキーワードWnが対応付けられている候補情報Psを探す(第1検索処理。ステップS213A)。このとき、第1情報管理データDp1内の案内情報Pnに、検索キーワードWtと合致するキーワードWnが対応付けられているものが複数ある場合には、群管理制御装置2は、それら全ての案内情報Pnをそれぞれ候補情報Psとして抽出する。
【0063】
第1検索処理(ステップS213A)の実行後、群管理制御装置2は、当該第1検索処理で候補情報Psを探し出すことができたか否かを判断する(ステップS213B)。そして、群管理制御装置2は、第1検索処理(ステップS213A)で候補情報Psを1つも抽出できずに、ステップS213Bにて「探し出すことができなかった(No)」と判断した場合には、次に第2情報管理データDp2を参照することにより、第2情報管理データDp2内の案内情報Pnから候補情報Psを探す(第2検索処理。ステップS213C)。このとき、第2情報管理データDp2内の案内情報Pnに、検索キーワードWtと合致するキーワードWnが対応付けられているものが複数ある場合には、群管理制御装置2は、それら全ての案内情報Pnをそれぞれ候補情報Psとして抽出する。
【0064】
このような検索処理の結果として、先ず、群管理制御装置2が、第1検索処理(ステップS213A)で候補情報Psを少なくとも1つ抽出できて、ステップS213Bにて「探し出すことができた(Yes)」と判断した場合について説明する。
【0065】
この場合、群管理制御装置2は、第1検索処理で得た候補情報Psを、行先階登録装置1を通じて利用者に提供するべく、ステップS211で受信した装置情報Pdを用いて行先階登録装置1を特定し、その行先階登録装置1に、登録部11への第1選択画面(
図2(E)参照)の表示を実行させる(表示処理。
図5CのステップS214)。具体的には、群管理制御装置2は、当該第1選択画面の表示を実行させるための表示指令Ry1を行先階登録装置1へ送信する。このとき、群管理制御装置2は、第1選択画面に表示させる情報として、第1検索処理(ステップS213A)で抽出した候補情報Psを行先階登録装置1へ送信する。
【0066】
更に本実施形態では、群管理制御装置2は、第1検索処理(ステップS213A)で抽出した候補情報Psのうちの、第1情報管理データDp1にて対応付けられている対象階Ftが送信先の行先階登録装置1の設置階Fsと同じであるものについては、第1選択画面で選択できないようにするために、選択不可情報Pxを対応付けた状態で当該行先階登録装置1へ送信する。
【0067】
行先階登録装置1は、表示指令Ry1などの情報を群管理制御装置2から受信した場合(
図5CのステップS113)、それらの情報を用いて登録部11への第1選択画面の表示を行う(ステップS114)。これにより、第1選択画面には、第1建物についての案内情報Pnのうちの、利用者が音声で入力したキーワードに関連する候補情報Psだけが選択可能に表示されることになる(
図2(E)参照)。このとき、行先階登録装置1は、ステップS113で受信した候補情報Psのうちの、選択不可情報Pxが対応付けられているものについては、選択不可(グレーアウトなど)の状態で第1選択画面に表示すると共に、同じ階であることを利用者に通知するための表記を付加する。
【0068】
図2(E)の例では、利用者が「靴」というキーワードを音声で入力することにより、第1情報管理データDp1(
図4(A)参照)から「A店」、「G店」、「H店」、及び「I店」が候補情報Psとして抽出され、それらの候補情報Psが第1選択画面に表示された場合が示されている。また、
図2(E)の例では、利用者が操作している行先階登録装置1の設置階Fsが1階であって、候補情報Psのうちの、対象階Ftが1階である「A店」が選択不可(グレーアウトなど)になっている場合が、二重枠線で示されている。また、「A店」には、同じ階であることを利用者に通知するための「この階です」という表記が付加されている。
【0069】
そして、第1選択画面の表示により、利用者は、音声で入力したキーワードに対する案内情報Pnの検索結果(候補情報Ps)を画面で確認することが可能になる。換言すれば、利用者は、自身が音声で入力したキーワードに関連する候補情報Psだけを行先階登録装置1の画面(第1選択画面)で確認することができ、それが故に、自身が所望する案内情報Pnを画面内から比較的容易に見付け出すことができる。
【0070】
更に、第1選択画面には、利用者が操作している行先階登録装置1の設置階Fsと同じ階にある第1建物内の場所(テナントや催しなど)についての案内情報Pnも表示されるため、利用者は、そのときにいる階と同じ階にある第1建物内の場所についての案内情報Pnをも確認することができる。また、そのときに利用者がいる階とは別の階にある第1建物内の場所についての案内情報Pnは、第1選択画面に選択可能に表示されるため、利用者は、案内情報Pnを確認してから、そのうちの何れか1つを選択することができる。
【0071】
尚、第1選択画面は、そこに表示された候補情報Psを更に別のキーワードで絞り込むことができるように構成されてもよい。
【0072】
第1選択画面(
図2(E)参照)にて候補情報Psの何れか1つが選択された場合、行先階登録装置1は、選択された候補情報Psを対象案内情報Ptとして群管理制御装置2へ送信する(ステップS115)。このとき、行先階登録装置1は、その対象案内情報Ptがどの装置から送信されてきたのかを群管理制御装置2に認識させるべく、自身の装置情報Pdも群管理制御装置2へ送信する。
図2(E)の例では、「H店」が選択された場合が示されている。
【0073】
群管理制御装置2は、対象案内情報Ptなどの情報を行先階登録装置1から受信した場合(ステップS215)、当該情報を用いて呼び登録を実行する(呼び登録処理。ステップS216)。換言すれば、第1選択画面(
図2(E)参照)にて利用者が候補情報Psを1つ選択することにより、その情報(対象案内情報Pt)に対応する階へ行くための呼び登録が自動的に実行されることになる。
【0074】
具体的には、群管理制御装置2は、第1情報管理データDp1から、ステップS215で受信した対象案内情報Ptに対応付けられている対象階Ftを抽出する(ステップS216A)。更にステップS216Aでは、群管理制御装置2は、装置管理データDrから、ステップS215で受信した装置情報Pdに対応付けられている設置階Fs(即ち、利用者が第1選択画面での対象案内情報Ptの選択に用いた行先階登録装置1の設置階Fs)を抽出する。
【0075】
そして、群管理制御装置2は、ステップS216Aで抽出した設置階Fs及び対象階Ftをそれぞれ利用者の出発階(乗車階)及び行先階Fdとした上で、それらを1つの乗場呼びとして、乗りかごへの割当てを行う(ステップS216B)。
【0076】
その後、群管理制御装置2は、ステップS216Bで割り当てた乗りかごのかご情報Pgを、行先階登録装置1を通じて利用者に提示するべく、ステップS215で受信した装置情報Pdを用いて行先階登録装置1を特定し、その行先階登録装置1に、登録部11への第1案内通知画面(
図2(F)参照)の表示を実行させる(表示処理。ステップS216C)。具体的には、群管理制御装置2は、当該第1案内通知画面の表示を実行させるための表示指令Rz1を行先階登録装置1へ送信する。このとき、群管理制御装置2は、第1案内通知画面に表示させる情報として、ステップS216Bで割り当てた乗りかごのかご情報Pgを行先階登録装置1へ送信する。また、群管理制御装置2は、その乗りかごがどの場所へ行くためのものであるのかも第1案内通知画面を通じて利用者に提示するべく、ステップS216Bでの割当てに用いた対象階Ftと、ステップS216Aでの当該対象階Ftの抽出に用いた対象案内情報Ptも、行先階登録装置1へ送信する。
【0077】
行先階登録装置1は、表示指令Rz1などの情報を群管理制御装置2から受信した場合(ステップS116)、それらの情報を用いて登録部11への第1案内通知画面の表示を行う(ステップS117)。これにより、利用者は、選択した場所への移動に際して自身がどの乗りかごに乗車すべきかを認識することが可能になり、しかも、その場所へ行くためにはどの階で降車すべきかを認識することも可能になる。
【0078】
このような制御処理によれば、利用者は、行先階登録装置1での音声によるキーワードの入力と、行先階登録装置1での候補情報Psの確認及び選択、といった簡単な操作を行うだけで、迷うことなく、自身の行きたい場所のある階までエレベータを利用して移動することが可能になる。しかも、行先階登録装置1では音声でキーワードを入力することができるため、キーワードを手入力する場合に比べて、入力時の操作性を著しく向上させることができる。
【0079】
次に、上述した検索処理の結果として、群管理制御装置2が、第1検索処理(
図5BのステップS213A)では候補情報Psを1つも探し出すことができず、その一方で、第2検索処理(ステップS213C)で候補情報Psを探し出すことができた場合について説明する。
【0080】
この場合、群管理制御装置2は、第2検索処理で得た候補情報Psを、行先階登録装置1を通じて利用者に提供するべく、ステップS211で受信した装置情報Pdを用いて行先階登録装置1を特定し、その行先階登録装置1に、登録部11への第2案内通知画面(
図3(A)参照)の表示を実行させる(表示処理。
図5BのステップS220)。具体的には、群管理制御装置2は、当該第2案内通知画面の表示を実行させるための表示指令Rz2を行先階登録装置1へ送信する。このとき、群管理制御装置2は、第2案内通知画面に表示させる情報として、第2検索処理(ステップS213C)で抽出した候補情報Psを行先階登録装置1へ送信する。また、群管理制御装置2は、当該候補情報Psが第2建物についての情報であることを利用者に知らせるための通知情報Py1も行先階登録装置1へ送信する。
【0081】
行先階登録装置1は、表示指令Rz2などの情報を群管理制御装置2から受信した場合(
図5BのステップS121)、それらの情報を用いて登録部11への第2案内通知画面の表示を行う(ステップS122)。これにより、利用者は、自身の行きたい場所が、そのときにいる第1建物とは別の第2建物にあることを認識することが可能になる。
【0082】
図3(A)の例では、利用者が「スマホ」というキーワードを音声で入力することにより、第2情報管理データDp2(
図4(B)参照)から「K店」及び「L店」が候補情報Psとして抽出され、それらの候補情報Psが第2案内通知画面に表示された場合が示されている。また、
図3(A)の例では、第2案内通知画面に表示された候補情報Psが第2建物についての情報であることを利用者に知らせるための通知と共に、第1建物には該当する場所がなかったことを利用者に知らせるための通知も表示されている。
【0083】
このような制御処理によれば、利用者が、そのときにいる第1建物とは別の第2建物に自身の行きたい場所があることを認識できていなかったとしても、その利用者は、自身の行きたい場所に関連するキーワードを音声で第1建物内の行先階登録装置1に入力するだけで、当該行先階登録装置1の画面(第2案内通知画面)に表示される候補情報Psと通知とから、自身の行きたい場所が第2建物にあることを知ることができる。よって、利用者は、自身の行きたい場所がある第2建物へスムーズに行けるようになる。
【0084】
尚、ステップS220では、群管理制御装置2は、第2案内通知画面に表示させる情報として、第1建物から第2建物までの経路を利用者に知らせるための経路情報Pzを行先階登録装置1へ送信してもよい。この場合、第2案内通知画面には、候補情報Psと共に経路情報Pzが表示されることになる(
図3(B)参照)。よって、利用者は、経路情報Pzを確認することにより、第1建物から第2建物への移動に際してどのような経路で行けばよいのかを認識することが可能になる。
【0085】
[2]変形例
[2-1]第1変形例
上述した検索処理(
図5BのステップS213参照)において、群管理制御装置2が、第1検索処理(ステップS213A)では候補情報Psを1つも探し出すことができず、その一方で、第2検索処理(ステップS213C)で候補情報Psを探し出すことができた場合には、以下のような制御処理が実行されてもよい。
【0086】
図6は、第1変形例において、待機画面にて情報検索モードが選択された場合に行先階登録装置1が行う動作、及び群管理制御装置2が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
【0087】
群管理制御装置2は、第2検索処理(
図5BのステップS213C)で候補情報Psを探し出すことができた場合、上述した実施形態とは別の方法で当該候補情報Psを利用者に提供する。具体的には、群管理制御装置2は、ステップS211(
図5B参照)で受信した装置情報Pdを用いて行先階登録装置1を特定し、その行先階登録装置1に、登録部11への第2選択画面(
図7(A)参照)の表示を実行させる(表示処理。
図6のステップS231)。ここで、第2選択画面は、第1選択画面とは別の画面であり、第2検索処理(ステップS213C)で得られた候補情報Psを利用者に提供すると共に、当該候補情報Psが選択可能に表示される画面である。
【0088】
より具体的には、群管理制御装置2は、上記第2選択画面の表示を実行させるための表示指令Ry2を行先階登録装置1へ送信する。このとき、群管理制御装置2は、第2選択画面に表示させる情報として、第2検索処理(ステップS213C)で抽出した候補情報Psを行先階登録装置1へ送信する。また、群管理制御装置2は、当該候補情報Psが第2建物についての情報であることを利用者に知らせるための通知情報Py1も行先階登録装置1へ送信する。
【0089】
行先階登録装置1は、表示指令Ry2などの情報を群管理制御装置2から受信した場合(ステップS131)、それらの情報を用いて登録部11への第2選択画面の表示を行う(ステップS132)。これにより、第2選択画面には、第2建物についての案内情報Pnのうちの、利用者が音声で入力したキーワードに関連する候補情報Psだけが選択可能に表示されることになる(
図7(A)参照)。
【0090】
図7(A)の例では、利用者が「スマホ」というキーワードを音声で入力することにより、第2情報管理データDp2(
図4(B)参照)から「K店」及び「L店」が候補情報Psとして抽出され、それらの候補情報Psが第2選択画面に表示された場合が示されている。また、
図7(A)の例では、第2選択画面に表示された候補情報Psが第2建物についての情報であることを利用者に知らせるための通知と共に、第1建物には該当する場所がなかったことを利用者に知らせるための通知も表示されている。
【0091】
第2選択画面の表示により、利用者は、自身の行きたい場所が、そのときにいる第1建物とは別の第2建物にあることを認識することができる。そして本変形例では、利用者は、第2選択画面に表示された候補情報Psを確認してから、そのうちの何れかの1つを選択することができる。
【0092】
第2選択画面(
図7(A)参照)にて候補情報Psの何れか1つが選択された場合、行先階登録装置1は、第2選択画面で候補情報Psが選択されたことを示す選択信号Qsを群管理制御装置2へ送信する(ステップS133)。このとき、行先階登録装置1は、その選択信号Qsがどの装置から送信されてきたのかを群管理制御装置2に認識させるべく、自身の装置情報Pdも群管理制御装置2へ送信する。
図7(A)の例では、「L店」が選択された場合が示されている。
【0093】
尚、第2選択画面では、候補情報Psが選択可能に表示されることに代えて、第2建物へ行くことを選択するボタンが表示されてもよい(
図7(B)参照)。そして、行先階登録装置1は、そのボタンが押された場合に選択信号Qsを群管理制御装置2へ送信してもよい。
【0094】
群管理制御装置2は、選択信号Qsなどの情報を行先階登録装置1から受信した場合(ステップS232)、第1建物の出口のうちの第2建物へ通じる出口がある特定階Fx(例えば、第1建物と第2建物とを繋ぐ連絡通路がある階など)を用いてエレベータの呼び登録を行う(ステップS233)。換言すれば、第2選択画面(
図7(A)又は
図7(B)参照)にて利用者が候補情報Psの選択又は上記ボタンの押下を行うことにより、第2建物へ通じる第1建物の出口がある特定階Fxへ行くための呼び登録が自動的に実行されることになる。
【0095】
具体的には、上記特定階Fxの情報は、群管理制御装置2の記憶部21に予め保存されており、群管理制御装置2は、選択信号Qsを受信した場合に記憶部21から特定階Fxを読み出す(ステップS233A)。更にステップS233Aでは、群管理制御装置2は、装置管理データDrから、ステップS232で受信した装置情報Pdに対応付けられている設置階Fs(即ち、利用者が第2選択画面での候補情報Psの選択又は上記ボタンの押下に用いた行先階登録装置1の設置階Fs)を読み出す。
【0096】
そして、群管理制御装置2は、ステップS233Aで読み出した設置階Fs及び特定階Fxをそれぞれ利用者の出発階(乗車階)及び行先階Fdとした上で、それらを1つの乗場呼びとして、乗りかごへの割当てを行う(ステップS233B)。
【0097】
その後、群管理制御装置2は、ステップS233Bで割り当てた乗りかごのかご情報Pgを、行先階登録装置1を通じて利用者に提示するべく、ステップS232で受信した装置情報Pdを用いて行先階登録装置1を特定し、その行先階登録装置1に、登録部11への第2案内通知画面(
図7(C)参照)の表示を実行させる(表示処理。ステップS233C)。具体的には、群管理制御装置2は、当該第2案内通知画面の表示を実行させるための表示指令Rz3を行先階登録装置1へ送信する。このとき、群管理制御装置2は、第2案内通知画面に表示させる情報として、ステップS233Bで割り当てた乗りかごのかご情報Pgを行先階登録装置1へ送信する。また、群管理制御装置2は、その乗りかごが何を目的として割り当てられたものであるのかも第2案内通知画面を通じて利用者に提示するべく、ステップS233Bでの割当てに用いた特定階Fxと、当該特定階Fxが第2建物へ通じる第1建物の出口のある階であることを利用者に知らせるための通知情報Py2と、を行先階登録装置1へ送信する。
【0098】
行先階登録装置1は、表示指令Rz3などの情報を群管理制御装置2から受信した場合(ステップS134)、それらの情報を用いて登録部11への第2案内通知画面の表示を行う(ステップS135)。これにより、利用者は、第2建物へ通じる第1建物の出口がある特定階Fxへ行くための割当てが行われたことを認識することが可能になり、しかも、特定階Fxへの移動に際して自身がどの乗りかごに乗車すべきかを認識することも可能になる。
【0099】
第1変形例によれば、利用者は、行先階登録装置1での音声によるキーワードの入力と、行先階登録装置1での候補情報Psの確認及び選択(上記ボタンの押下を含む)、といった簡単な操作を行うだけで、その利用者の行きたい場所が第2建物内にあったとしても、迷うことなく、第2建物へ通じる第1建物の出口のある特定階Fxまでエレベータを利用して移動し、そこから第2建物へスムーズに移動することが可能になる。
【0100】
[2-2]第2変形例
図8は、第2変形例で用いられる第1情報管理データDp1を例示した概念図である。この図に示されるように、第1情報管理データDp1は、案内情報Pnとして、第1建物内にある各場所を案内する情報だけでなく、第1建物の特定の出口を通って利用者がアクセスする当該第1建物外の各場所を案内する情報を含んでいてもよい。具体例として、第1建物の特定の出口を通って利用者がアクセスする当該第1建物外の各場所は、第1建物の最寄駅、第1建物に併設された駐車場や別の施設などである。
【0101】
この場合、案内情報Pnのうちの、第1建物外の各場所を案内する各情報に対しては、キーワードWnとして、その第1建物外の場所に関連するものが対応付けられると共に、対象階Ftとして、その場所へのアクセスの際に利用者が通る特定の出口がある階が対応付けられる。
【0102】
図8の例では、第1建物外の場所を案内する案内情報Pnとして「地下鉄X線」及び「Y電鉄」が第1情報管理データDp1に含まれており、これらの情報には、関連するキーワードWnとして「電車」や「帰宅」などが対応付けられている。
【0103】
第2変形例によれば、利用者は、自身の行きたい場所が第1建物外にある場合であっても、当該場所へ行くために通る特定の出口がある階へ迷うことなく向かうことが可能になる。
【0104】
[2-3]第3変形例
上述した制御システム及び制御処理は、第1選択画面(
図2(E)参照)に候補情報Psが選択可能に表示された場合において、そのうちの1つを音声で読み上げることで選択できるように構成されたものへ適宜変更されてもよい。
【0105】
図9は、第3変形例において、待機画面にて情報検索モードが選択された場合に行先階登録装置1が行う動作、及び群管理制御装置2が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
【0106】
行先階登録装置1は、ステップS114(
図5Cも参照)での第1選択画面の表示後、当該第1選択画面にて候補情報Psが手入力で選択されたか否かを判断する(ステップS141)。そして、行先階登録装置1は、ステップS141にて「手入力で選択された(Yes)」と判断した場合には、ステップS115(
図5C参照。群管理制御装置2への対象案内情報Ptの送信)を実行する。
【0107】
一方、ステップS141にて行先階登録装置1が「手入力で選択されていない(No)」と判断した場合には、利用者が音声で候補情報Psを読み上げて選択した可能性がある。そこで、行先階登録装置1は、音声入力部12から音声が入力されたか否かを判断する(ステップS142)。そして、行先階登録装置1は、ステップS142にて「音声が入力されていない(No)」と判断した場合には、ステップS141へ戻り、ステップS141にて「手入力で選択された(Yes)」と判断できるか、又は、ステップS142にて「音声が入力された(Yes)」と判断できるまで、ステップS141及びS142を繰り返し実行する。
【0108】
行先階登録装置1は、ステップS142にて「音声が入力された(Yes)」と判断した場合には、音声入力部12から入力された音声の音声データVd2を群管理制御装置2へ送信する(ステップS143)。このとき、行先階登録装置1は、当該音声データVd2がどの装置から送信されてきたのかを群管理制御装置2に認識させるべく、その音声データVd2と共に、自身の装置情報Pdを群管理制御装置2へ送信する。
【0109】
群管理制御装置2は、音声データVd2などの情報を行先階登録装置1から受信した場合(ステップS241)、当該音声データVd2を解析することにより、その音声で読み上げられた候補情報Psを判別する(解析処理。ステップS242)。このときの解析方法として、群管理制御装置2は、音声データVd2から特徴量を抽出し、当該特徴量と案内情報Pn(候補情報Psとなり得る全ての案内情報Pn)との対応関係が予め設定されたデータを参照することによって候補情報Psを判別する方法を用いてもよいし、案内情報Pnとその音声データVd2とを学習データとする機械学習によって得られた学習モデル(AI)を用いて音声データVd2から候補情報Psを判別する方法を用いてもよい。
【0110】
次に、群管理制御装置2は、ステップS242(解析処理)で判別した候補情報Psを用いて、当該候補情報Psが第1情報管理データDp1内の案内情報Pnの何れかに合致するか否かを判断する(ステップS243)。そして、群管理制御装置2は、ステップS243にて「合致する(Yes)」と判断した場合には、その判断を以て、ステップS242(解析処理)で判別した候補情報Psが、利用者が音声で読み上げて選択した情報である、と判断できる。そこで、行先階登録装置1は、その候補情報Psを対象案内情報Ptとした上で(ステップS244)、呼び登録を実行する(呼び登録処理。
図5CのステップS216)。
【0111】
一方、群管理制御装置2は、ステップS243にて「合致しない(No)」と判断した場合には、その判断を以て、利用者は未だ候補情報Psを選択していない、と判断できる。そこで、行先階登録装置1は、利用者が未だ候補情報Psを選択していないことを、音声データVd2を送信してきた行先階登録装置1に認識させるべく、未選択信号Qtを当該行先階登録装置1へ送信する(ステップS245)。
【0112】
行先階登録装置1は、未選択信号Qtを群管理制御装置2から受信した場合(ステップS144)、ステップS141へ戻り、当該ステップS141からの処理を再び行う。
【0113】
第3変形例によれば、行先階登録装置1の画面(ここでは、第1選択画面)に候補情報Psが選択可能に表示された場合に、利用者は、そのうちの1つを音声で選択することが可能になる。
【0114】
尚、音声で読み上げられた候補情報Psを解析処理で判別する上記の構成は、上述した制御システム及び制御処理において、第2選択画面(
図7(A)又は
図7(B)参照)にて候補情報Ps又は第2建物へ行くことを選択するボタンを音声で読み上げて選択できるように構成を変更する場合にも適用できる。
【0115】
[2-4]第4変形例
図10は、第4変形例に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を例示した概念図である。この図に示されるように、行先階登録装置1は、顔情報取得部13を更に備えていてもよい。ここで、顔情報取得部13は、音声入力部12から音声を入力した利用者の顔情報Pfを取得する部分であり、カメラなどの撮像デバイスによって構成される。
【0116】
ここでは、行先階登録装置1の登録部11において、待機画面(
図2(A)参照)にて情報検索モードが選択され、且つ、案内画面(
図2(D)参照)に従って音声入力部12からキーワードが音声で入力されたときに、その音声を入力した利用者の顔情報Pfが顔情報取得部13によって得られた場合について考える。この場合、群管理制御装置2は、行先階登録装置1に第1選択画面を表示させる表示処理(
図5CのS214参照)において、第1検索処理(
図5AのステップS213A参照)で抽出した候補情報Psを、当該候補情報Psに対する優先度Qpを上記顔情報Pfに基づいて設定した上で、その優先度Qpの高いものから順に第1選択画面に表示させてもよい。
【0117】
図11は、第4変形例において、待機画面にて情報検索モードが選択された場合に行先階登録装置1が行う動作、及び群管理制御装置2が実行する制御処理、を示したフローチャートである。
【0118】
案内画面(
図2(D)参照)を確認した利用者が、自身の行きたい場所に関連するキーワードを音声で音声入力部12から入力したときに、その利用者の顔情報Pfが顔情報取得部13によって得られた場合には、行先階登録装置1は、入力された音声の音声データVd1と共に、当該顔情報Pfを群管理制御装置2へ送信する(ステップS150)。このとき、行先階登録装置1は、音声データVd1及び顔情報Pfがどの装置から送信されてきたのかを群管理制御装置2に認識させるべく、当該音声データVd1及び顔情報Pfと共に、自身の装置情報Pdを群管理制御装置2へ送信する。
【0119】
群管理制御装置2は、音声データVd1などの情報を行先階登録装置1から受信した場合(ステップS250)、解析処理(ステップS212)を経て第1検索処理(ステップS213A)を実行し、その第1検索処理で第1情報管理データDp1から候補情報Psを抽出できた場合(即ち、ステップS213Bにて「探し出すことができた(Yes)」と判断した場合)には、当該候補情報Psに対する優先度Qpを、ステップS211で受信した顔情報Pfに基づいて設定する(ステップS251)。このときの優先度Qpの設定方法の一例として、群管理制御装置2は、顔情報Pfを解析することによって利用者の属性(年齢や性別など)を判別し、当該属性について予め設定された案内情報Pnごとの優先度Qpのデータを参照することによって候補情報Psに対する優先度Qpを設定する方法を用いることができる。他の例として、群管理制御装置2は、利用者の顔情報Pfと当該利用者の行きたい場所についての案内情報Pnとを学習データとする機械学習によって得られた学習モデル(AI)を用いて、利用者の顔情報Pfから案内情報Pnを確率の高いものから順に出力し、その順序を参照することにより候補情報Psに対する優先度Qpを設定する方法を用いることができる。
【0120】
その後、群管理制御装置2は、第1検索処理で得た候補情報Psを、行先階登録装置1を通じて利用者に提供するべく、ステップS250で受信した装置情報Pdを用いて行先階登録装置1を特定し、その行先階登録装置1に、登録部11への第1選択画面(
図12(A)参照)の表示を実行させる(表示処理。ステップS252)。具体的には、群管理制御装置2は、当該第1選択画面の表示を実行させるための表示指令Ry1を行先階登録装置1へ送信する。このとき、群管理制御装置2は、第1選択画面に表示させる情報として、第1検索処理(ステップS213A)で抽出した候補情報Psを行先階登録装置1へ送信する。また、群管理制御装置2は、ステップS252で設定した当該候補情報Psに対する優先度Qpも行先階登録装置1へ送信する。
【0121】
行先階登録装置1は、表示指令Ry1などの情報を群管理制御装置2から受信した場合(ステップS151)、それらの情報を用いて登録部11への第1選択画面の表示を行う(ステップS152)。このとき行先階登録装置1は、候補情報Psを、当該候補情報Psに対する優先度Qpの高いものから順に第1選択画面に表示する。
【0122】
図12(A)の例では、利用者が「男性」であって、その利用者が「服」というキーワードを音声で入力することにより、第1情報管理データDp1(
図4(A)又は
図8参照)から衣服店である「E店」、「I店」、及び「J店」が候補情報Psとして抽出され、それらの候補情報Psのうちの、男性用の衣服店(I店、J店)が、女性用の衣服店(E店)よりも優先的に第1選択画面に表示された場合が示されている。
【0123】
第4変形例によれば、利用者ごとに、その利用者が所望している可能性の高い候補情報Ps(案内情報Pn)が他の候補情報Psよりも優先的に表示されるため、利用者は、自身が所望する案内情報Pnを画面内から見付け出しやすくなる。
【0124】
尚、候補情報Psに対する優先度Qpを顔情報Pfに基づいて設定し、その上で、その優先度Qpの高いものから順に画面に表示させる上記の構成は、上述した制御システム及び制御処理において、第2案内通知画面に候補情報Psを表示させる表示処理(
図5BのステップS220)や、第2選択画面に候補情報Psを選択可能に表示させる表示処理(
図6のステップS231)にも適用できる。
【0125】
[2-5]第5変形例
上述した実施形態及び変形例の何れにおいても、行先階登録装置1に第1選択画面を表示させる表示処理(
図5CのステップS214や
図11のステップS252)では、群管理制御装置2は、第1選択画面に表示させる情報として、候補情報Psと共に、第1情報管理データDp1にてそれらの情報に対応付けられている対象階Ftも行先階登録装置1へ送信してもよい。
【0126】
そして、行先階登録装置1は、第1選択画面にて候補情報Psを選択可能に表示すると共に、当該候補情報Psごとに、その情報に対応付けられている対象階Ftを表示してもよい(
図12(B)参照)。
【0127】
第5変形例によれば、利用者は、候補情報Psに対応する対象階Ftを第1選択画面にて確認することにより、そのときに自身がいる場所(階)と各候補情報Psが示す場所(対象階Ft)との位置関係を把握することができ、その位置関係を参考にして候補情報Psを選択することが可能になる。
【0128】
尚、候補情報Psごとに当該情報に対応する階も画面に表示させる上記の構成は、上述した制御システム及び制御処理において、第2案内通知画面に候補情報Psを表示させる表示処理(
図5BのステップS220)や、第2選択画面に候補情報Psを選択可能に表示させる表示処理(
図6のステップS231)にも適用できる。
【0129】
[2-6]第6変形例
上述した実施形態及び変形例の何れにおいても、行先階登録装置1に第1選択画面を表示させる表示処理(
図5CのステップS214、
図11のステップS252)では、群管理制御装置2は、第1検索処理(ステップS213A)で抽出した候補情報Psのうちの、第1情報管理データDp1にて対応付けられている対象階Ftが同じものを1つのグループに纏め、その上で、行先階登録装置1に、グループごとに1つのボタンを選択可能に表示させてもよい(
図12(C)参照)。
【0130】
第6変形例によれば、登録部11の画面に選択可能に表示させるボタンの数を減らすことができる。
【0131】
尚、候補情報Psをグループ化して画面に選択可能に表示させる上記の構成は、上述した制御システム及び制御処理において、第2案内通知画面に候補情報Psを表示させる表示処理(
図5BのステップS220)や、第2選択画面に候補情報Psを選択可能に表示させる表示処理(
図6のステップS231)にも適用できる。
【0132】
[2-7]第7変形例
上述した実施形態又は変形例の何れにおいても、解析処理(
図5BのステップS212、
図9のステップS242)や検索処理(
図5BのステップS213)など、群管理制御装置2が行う処理の一部を、群管理制御装置2とは別の装置(管理サーバなど)に担わせてもよい。
【0133】
[2-8]他の変形例
上述した実施形態又は変形例の何れにおいても、制御システム及び制御処理の各部構成は、行先階登録装置1にてキーワードを文字で入力できるようにした場合にも適用できる。
【0134】
上述した実施形態又は変形例の何れにおいても、行先階登録装置1に代えて、利用者が携帯する端末装置を行先階登録装置1として機能させてもよい。この場合、行先階登録装置1と同じ機能を端末装置に発揮させることを可能にするための行先階登録用のアプリケーションプログラムが、端末装置にインストールされることになる。
【0135】
上述の実施形態及び変形例の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態や変形例ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0136】
また、上述の実施形態や変形例からは、発明の対象として、エレベータの制御システムに限らず、その制御システムを構成する装置、当該制御システムで実行される制御処理やプログラムなどが個々に抽出されてもよいし、それらの一部が部分的に抽出されてもよい。
【符号の説明】
【0137】
1 行先階登録装置
2 群管理制御装置
11 登録部
12 音声入力部
13 顔情報取得部
21 記憶部
22 制御部
Dp1 第1情報管理データ
Dp2 第2情報管理データ
Dr 装置管理データ
Fd 行先階
Fs 設置階
Ft 対象階
Fx 特定階
Pd 装置情報
Pf 顔情報
Pg かご情報
Pn 案内情報
Ps 候補情報
Pt 対象案内情報
Px 選択不可情報
Py1、Py2 通知情報
Pz 経路情報
Qp 優先度
Qs 選択信号
Qt 未選択信号
Rx、Ry1、Ry2、Rz1、Rz2、Rz3 表示指令
Vd1、Vd2 音声データ
Wn キーワード
Wt 検索キーワード
221 解析処理部
222 検索処理部
223 表示処理部
224 呼び登録処理部