(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136387
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】時計
(51)【国際特許分類】
G04B 43/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G04B43/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047493
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 義弘
(72)【発明者】
【氏名】網倉 遼
(57)【要約】
【課題】部品点数を抑えた上で内部の部品の破損を防止する。
【解決手段】時計100が、モジュール2と、モジュール2を収納するケース本体1と、第1フレーム51と、を備えている。そして第1フレーム51は、視認方向からの平面視において、ケース本体1の側方に配置されており、ケース本体1と第1フレーム51との間は開口して中空状態となっている。このため、外部から加わった衝撃が緩和され、ケース本体1やケース本体1内に収容されているモジュール2が破損するのを防ぐことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュールと、
前記モジュールを収納するケースと、
視認方向からの平面視において前記ケースの側方に配置される第1フレームと、を備え、
前記ケースと前記第1フレームとの間は開口している、
ことを特徴とする時計。
【請求項2】
前記前記ケースと前記第1フレームとの間には、少なくとも一つのリブが設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の時計。
【請求項3】
前記第1フレームは、前記側方のうち前記平面視における前記ケースの両側に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の時計。
【請求項4】
前記側方のうち前記ケースの一側及び他側にバンドを取り付けるバンド取付け部が設けられる場合に、
前記第1フレームは、前記一側のバンド取付け部から前記他側のバンド取付け部にかけて一つながりに設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の時計。
【請求項5】
前記第1フレームと前記リブとは互いに一体的に形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の時計。
【請求項6】
前記ケースの非視認側に配置される第2フレームと、
前記第1フレームと前記第2フレームとの間に接続される第1緩衝フレームと、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の時計。
【請求項7】
前記第1フレーム及び前記第2フレームと、前記第1緩衝フレームと、は互いに一体的に形成されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の時計。
【請求項8】
前記ケースと前記第1フレームとの間に、前記ケースの側方に沿って設けられる第1内周フレームをさらに備え、
前記第1内周フレームと前記第1フレームとの間は開口している、
ことを特徴とする請求項1に記載の時計。
【請求項9】
前記側方のうち前記ケースの一側及び他側にバンドを取り付けるバンド取付け部が設けられる場合に、
前記ケースの側方に沿い、かつ前記バンド取付け部に対向して設けられる第2内周フレームと、
前記バンド取付け部と前記第2内周フレームとの間に接続される第2緩衝フレームと、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項6に記載の時計。
【請求項10】
前記ケースの側方の略全周は、前記第1フレーム、前記第2フレーム、前記第1緩衝フレーム、前記第2緩衝フレームによって囲われる
ことを特徴とする請求項9に記載の時計。
【請求項11】
軸部を含み、前記ケースの外側部の何れかに少なくとも一つ設けられ、押圧されることによって操作可能な操作部をさらに備え、
前記操作部と、前記第1フレーム、前記第2フレーム、前記第1緩衝フレームのうち少なくとも一つと、の間は開口している、
ことを特徴とする請求項6に記載の時計。
【請求項12】
軸部を含み、前記ケースの外側部における前記バンド取付け部側に一つ設けられ、押圧されることによって操作可能な操作部をさらに備え、
前記操作部と、前記第2緩衝フレームと、の間は開口している、
ことを特徴とする請求項9に記載の時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、腕時計のような機器には、落下などの衝撃からベゼルのような外装部材や文字板、内部のモジュール(ムーブメント)等の破損を防止するよう工夫がされているものがある。例えば特許文献1では、ベゼルとケース(特許文献1において「胴」)の間や側面などにポリウレタンゴムなどの緩衝体を設けることで衝撃を吸収することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、モジュール等の破損を防止するために弾性体等の緩衝体を別途用いる必要がある。したがって、モジュールなどの内部の部品への衝撃を吸収するために、従来では部品点数を増加させる必要があるという問題があった。
【0005】
本発明はこうした課題を解決するためのものであり、部品点数を抑えた上で内部の部品の破損を防止することができる時計を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係る時計は、
モジュールと、
前記モジュールを収納するケースと、
視認方向からの平面視において前記ケースの側方に配置される第1フレームと、を備え、
前記ケースと前記第1フレームとの間は開口していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、部品点数を抑えた上で内部の部品の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図1に示す時計の表示部分及び操作部を省略して要部を示した要部斜視図である。
【
図3】
図2に示した状態の時計の要部分解斜視図である。
【
図5】時計に衝撃が加えられた場合の力の加わり方を模式的に示す説明図である。
【
図7】
図6に示すベゼルを適用した時計の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照しつつ、本発明に係る時計の一実施形態について説明する。本実施形態において時計は、使用者の腕等に装着して用いられるウェアラブル機器である。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0010】
[構成]
図1は、本実施形態における時計の斜視図である。また
図2は、
図1に示す時計の表示部分及び操作部を省略して要部を示した要部斜視図である。
図3は
図2に示した状態の時計の要部分解斜視図である。
【0011】
図1から
図3に示すように、本実施形態における時計100は、ケース(以下「ケース本体1」とする。)を有している。
本実施形態のケース本体1は、上下が開口した中空の短柱形状に形成されており、内部の中空部分が後述するモジュール2等の各種部品を収納する収納空間を構成している。
ケース本体1は、例えば金、銀、チタン、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属材料で形成されている。なお、ケース本体1を構成する材料はここに例示したものに限定されず、炭素繊維強化樹脂等の複合材料でもよい。
【0012】
ケース本体1の
図1における外側部等には、ユーザが各種入力操作を行う各種操作部12(押ボタンやりゅうず等)が少なくとも一つ設けられている。操作部12は、軸部を含み、押圧等されることによって操作可能となっている。
ケース本体1の表面側(時計における視認側)の開口部分は、図示しない風防部材により閉塞されている。風防部材は、例えばガラス材料や透明な樹脂材料等により形成された透明な部材(カバー部材)である。
【0013】
また、ケース本体1の表面側(時計における視認側)には、開口部分を囲むように固定部材6が設けられている。本実施形態において固定部材6は前記の風防部材を固定する風防固定部材として機能する。固定部材6には複数個所(図示例では4箇所)にねじ孔61が形成されており、ねじ62によりケース本体1に対してねじ止め固定される。
固定部材6は、ケース本体1と同様に、例えばチタンやステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属材料で形成されている。なお、ケース本体1に固定部材6が設けられることは必須ではない。
【0014】
ケース本体1の内部には、モジュール2が収納されている。
モジュール2の具体的な構成について詳説しないが、時計100が電子時計である場合に、時計100の各種動作部やこれらを制御する制御部、バッテリ等がモジュール2に含まれる。
例えば時計100が
図1に例示するようなアナログ表示方式である場合には、動作部として、指針、当該指針を回転動作させる歯車列(輪列機構)や駆動部(モータ等)等を有する。また時計100がデジタル表示方式である場合には、動作部として、上記各構成の代わりに液晶(Liquid Crystal)表示パネル等を含む表示部等を備え、この表示部が時計の表面側(視認側、
図1等において上側)に配置される。なお時計100は、デジタル方式とアナログ方式の両方を有するハイブリッドタイプでもよく、この場合には、双方の構成部を動作部として有する。
制御部は、図示しない回路基板上等に実装されており、動作部による表示動作等を制御する。
【0015】
ケース本体1の裏面側(時計における非視認側)の開口部分は、図示しない裏蓋部材により閉塞されている。なお、裏蓋部材はケース本体1と一体的に形成されていてもよい。
また裏蓋部材は、図示しない防水リング等を介してケース本体1に取り付けられることが好ましい。防止リング等を介して裏蓋部材を取り付けることで、ケース本体1内の防水性(気密性)を確保した状態で、ケース本体1の裏面側(時計における非視認側)の開口部分を閉塞することができる。
【0016】
また
図1から
図3に示すように、本実施形態における時計100は、ケース本体1を取り囲むように配置されるベゼル5を備えている。
ベゼル5は、例えばケース本体1と同様に、金やチタン、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属材料で形成されている。
【0017】
図4は、本実施形態におけるベゼルを示す斜視図である。
図4に示すように、ベゼル5は、視認側からの平面視においてケース本体1の側方に配置される第1フレーム51を備えている。
具体的には、第1フレーム51は、側方のうち視認側からの平面視におけるケース本体1の両側(すなわち、アナログ時計における3時位置側と9時位置側)に配置される。
【0018】
ケース本体1と第1フレーム51との間は開口している。すなわち、ケース本体1と第1フレーム51との間に開口して中空状態となっている開口部分510が設けられている。本実施形態では、ケース本体1と第1フレーム51との間に、ケース本体1の外周に沿う第1内周フレーム512(
図4において網掛けで示す部分)が介在している。そしてこの第1内周フレーム512と第1フレーム51との間に開口部分510が設けられる。このように第1内周フレーム512と第1フレーム51との間に開口部分510があることで、ケース本体1と第1フレーム51との間において(間接的に)開口部分510が確保される。なお、ベゼル5が第1内周フレーム512を備えず、ケース本体1と第1フレーム51との間に(直接的に)開口部分510が設けられていてもよい。
ケース本体1とベゼル5(特に第1フレーム51)とが密着せずに空間を開けて配置されることで、外部(特に側方)からの衝撃が直接的にケース本体1へと伝達しにくくなる。つまり、外部からの衝撃を吸収、緩和する効果が期待される。
【0019】
なお、このケース本体1と第1フレーム51との間(開口して中空状態となっている開口部分510)には、後述する変形例のように少なくとも一つのリブ511が形成されていてもよい。リブ511を設けない場合でもケース本体1への衝撃吸収効果を有するが、リブ511が無い場合は衝撃により第1フレーム51自体が変形してしまう可能性がある。第1フレーム51が変形すると、連鎖的に緩衝フレーム52(第1緩衝フレーム)や第2フレーム53等、ベゼル5の全体が変形しうる。つまり、リブ511は開口部分510を確保しつつも、簡易な構造でベゼル5(特に、第1フレーム51)の変形を防止する等の効果を有する。リブ511の形状や設ける位置等は特に限定されない。
第1フレーム51とリブ511とは互いに一体的に形成されていてもよい。さらに第1フレーム51とリブ511と第1内周フレーム512とが互いに一体的に(例えば同一材料による切削加工、レーザー加工等により)継ぎ目なく形成されていてもよい。
【0020】
ケース本体1の一側及び他側(すなわち、アナログ時計における12時位置側と6時位置側)にバンド3を取り付けるバンド取付け部513が設けられる場合に、第1フレーム51は、一側(例えば12時側)のバンド取付け部513から他側(例えば6時側)のバンド取付け部513にかけて一つながりに設けられる。
すなわち、本実施形態では、ケース本体1の両側に配置された第1フレーム51がそれぞれアナログ時計における12時位置側から6時位置側まで伸びており、第1フレーム51の、アナログ時計における12時側及び6時側にそれぞれバンド3を取り付けるバンド取付け部513が形成されている。
ケース本体1をベゼル5により取り囲んだ状態でバンド取付け部513にバンド3が取り付けられることでケース本体1の外側にバンド3が取り付けられる。
【0021】
また本実施形態のベゼル5は、ケース本体1の非視認側(ケース本体1の裏面側)に配置される第2フレーム53と、第1フレーム51と第2フレーム53との間に接続される緩衝フレーム52(これを「第1緩衝フレーム」ともいう)と、をさらに備えている。
図4に示すように、第2フレーム53は、ケース本体1の非視認側において、ケース本体1の周方向のほぼ全周に亘って略環状に形成されている。なお、第2フレーム53の具体的な形状はこれに限定されない。
【0022】
第1フレーム51と緩衝フレーム52とは一体的に(例えば同一材料による切削加工、レーザー加工等により)継ぎ目なく形成されていてもよい。
緩衝フレーム52を、ベゼル5の骨格を構成する第1フレーム51と一体的に形成することで、衝撃が加わった場合に、当該衝撃を第1フレーム51と緩衝フレーム52とが一体として受け流すことができ、衝撃が集中して破損等につながるのを効果的に防ぐことができる。
【0023】
また第2フレーム53と緩衝フレーム52とが一体的に(例えば同一材料による切削加工、レーザー加工等により)継ぎ目なく形成されていてもよい。
緩衝フレーム52を、ケース本体1の非視認側(ケース本体1の裏面側)を保護する第2フレーム53と一体的に形成することで、非視認側から衝撃が加わった場合にも、当該衝撃を第2フレーム53と緩衝フレーム52とが一体として受け流すことができ、衝撃が集中して破損等につながるのを効果的に防ぐことができる。
【0024】
さらには、第1フレーム51及び第2フレーム53と、緩衝フレーム52と、は互いに一体的に(例えば同一材料による切削加工、レーザー加工等により)継ぎ目なく形成されていてもよい。
第1フレーム51と第2フレーム53とがともに緩衝フレーム52を介して一体的に形成されることで、いずれの方向から時計100に衝撃が加わった場合にも、当該衝撃を第1フレーム51及び第2フレーム53と、緩衝フレーム52とが一体として(すなわちベゼル5全体として)当該衝撃を受け流す効果が期待でき、より一層耐衝撃性に優れた構成となると考えられる。
【0025】
なお、複数の緩衝フレーム52は、ケース本体1に設けられる操作部12(押ボタンやりゅうず等)の図示しない軸部を挿通させる孔に対応する部分を避けつつ、ケース本体1のほぼ全周を取り囲んでいる。本実施形態では、操作部12や操作部12に対応する孔の周囲に(つまり、緩衝フレーム52と操作部12との間に)中空状態の部分があることで、落下等により緩衝フレーム52が瞬間的に変形(例えば弾性変形)した場合に、操作部12や図示しない軸部が折れることを防ぐことができる。なお、本実施形態において、操作部12と、第1フレーム51、第2フレーム53、緩衝フレーム52のうち少なくとも一つと、の間は開口している。すなわち、緩衝フレーム52だけでなく、第1フレーム51又は第2フレーム53に関しても、操作部12の周囲に中空状態の部分があることが好ましい。
また、緩衝フレーム52の周囲に適宜中空状態となった部分を設けることで軽量化を図ることができる。また、中空状態の部分(開口部分510)があることで、落下等により衝撃を受けた際に当該衝撃を吸収して内部のケース本体1に影響が及ぶのを抑える効果が期待できる。すなわち、ケース本体1と第1フレーム51との間に(間接的又は直接的に)中空状態となっている部分(開口部分510)が確保されることで、外部から衝撃が加わった場合にケース本体1に直接的に衝撃が伝わるのを防ぐことができる。
なお、開口している部分には、適宜リブ等が形成されていてもよい。
【0026】
このように本実施形態では、ケース本体1との間に隙間(開口部分510)を確保しつつ、第1フレーム51及び第2フレーム53と、緩衝フレーム52とを有するベゼル5でケース本体1を取り囲んでいる。これにより、軽量化を図りつつも時計100に衝撃が加わった際にはベゼル5が適宜衝撃を吸収する。またケース本体1との間の隙間(開口部分510)に適宜リブ511を設けることでベゼル5の変形を防止し、ベゼル5全体としての剛性や強度を大きくすることができる。
【0027】
図5は、時計が落下した際の衝撃を矢印の大きさで模式的に示した説明図である。
図5に示すように、時計100が落下した際、ケース本体1にはあらゆる方向から衝撃が加わる。なお、
図5において二点鎖線で示した矢印は、ベゼル5(図示例では直接的な衝撃が加わりやすい第1フレーム51のみを図示し、第2フレーム53等を省略している。)をケース本体1の両側に配置した場合に受け流すことのできた衝撃を仮想的に示している。
なお、時計100全体の重量が軽い方が落下した際に破損しにくいため、ベゼル5を軽量化するために適宜開口して中空状態とする。また適度に中空状態とした上で中空状態とした部分に適宜リブ511を配置した方が加えられた衝撃(力)を分散して受け流すことができる。
【0028】
これにより、時計100に衝撃が加わった際に、第1フレーム51、第2フレーム53、緩衝フレーム52が全体として当該衝撃を効果的に受け流すことができ、時計100が耐衝撃性に優れた構成となる。
【0029】
[作用]
本実施形態の時計100を組み立てる場合には、時計100を落下させた際等に時計100に加わる衝撃の大きさ、衝撃を受ける方向等を考慮して設計されたベゼル5を、ケース本体1を取り囲むように配置する。
【0030】
ケース本体1内にモジュール2を収容して、ケース本体1の側部等に押しボタンやりゅうず等の操作部12を取り付ける。
そして視認側の開口部分を風防部材で閉塞するとともに、非視認側の開口部分を裏蓋部材で閉塞する。また
図3に示すように、視認側に固定部材6を配置し、
図3等に示すように、複数箇所(図示例では時計における12時側、6時側に各2箇所ずつ、計4箇所)でねじ止めする。
【0031】
本実施形態では、ベゼル5(本実施形態では第1フレーム51)及びケース本体1における、固定部材6のねじ孔61に対応する位置にねじ孔55、15が形成されており、ねじ62により、固定部材6、ベゼル5(本実施形態では第1フレーム51)、ケース本体1が共締めされ、固定される。
これにより、時計100が完成する。
【0032】
さらに、ベゼル5(本実施形態では第1フレーム51)に設けられたバンド取付け部513にねじ等によりバンド3を取り付ける。なお、バンド3についても時計100に加わる可能性のある衝撃を考慮して、適宜肉抜き加工を行ってもよい。
【0033】
このようにして形成された時計100が、例えば時計100の側方や上面側(視認側)から落下したり、壁等にぶつかる等すると、外部から激しい衝撃が時計100に加わる。
このような場合でも、時計100の上面側(視認側)には第1フレーム51が配置され、時計100のケース本体1と第1フレーム51との間には中空状態となった開口部分510が設けられているため、ケース本体1への直接的な衝撃を吸収することができる。またケース本体1の側部には上面側(視認側)に配置された第1フレーム51と裏面側(非視認側)に配置された第2フレーム53との間に介在して緩衝フレーム52が配置されている。このため、時計100の側方からの衝撃は第1フレーム51及び緩衝フレーム52によって吸収又は分散され、ケース本体1に影響を及ぼしにくい。このため、別途樹脂部材等の緩衝部材を配置しなくても、ケース本体1やケース本体1内に収容されているモジュール2が破損するのを防ぐことができる。
【0034】
またケース本体1の非視認側(ケース本体1の裏面側)には第2フレーム53が配置されている。このため、時計100が、例えば時計100の下面側(非視認側)から落下したり、壁等にぶつかる等により外部から激しい衝撃が時計100に加わった場合にも第2フレーム53により衝撃が吸収又は分散され、ケース本体1に影響を及ぼしにくい。特に第2フレーム53が緩衝フレーム52と一体化されている場合には、第2フレーム53及び緩衝フレーム52によって、より効果的に衝撃が緩和され、ケース本体1やケース本体1内に収容されているモジュール2が破損するのを防ぐことができる。
【0035】
[効果]
以上のように本実施形態における時計は、モジュール2と、モジュール2を収納するケース本体1と、視認方向からの平面視においてケース本体1の側方に配置される第1フレーム51と、を備え、ケース本体1と第1フレーム51との間は開口して中空状態となった開口部分510となっている。
これにより、時計100が落下等により激しい衝撃を受けた場合でも、当該衝撃を第1フレーム51及びケース本体1と第1フレーム51との間の中空状態の開口部分510で吸収し、又は受け流して衝撃を緩和し、ケース本体1やその内部に収容されているモジュール2等が破損するのを防止することができる。
またケース本体1と第1フレーム51との間を中空状態とすることで、全体としての重量を軽量化し、衝撃に強い構成とすることができる。
【0036】
また本実施形態では、第1フレーム51は、側方のうち平面視においてケース本体1の両側に配置される。すなわち、第1フレーム51は時計における3時側、9時側に配置される。
時計100は風防部材が設けられた正面から衝撃を受ける他、りゅうず等が設けられている側部から落下等による衝撃を受ける可能性が高い。
この点、ベゼル5の骨格を構成する第1フレーム51をケース本体1の両側に配置することで、側方からの衝撃に効果的に備えることができ、ケース本体1や内部に収容されているモジュール2等への影響を抑えることができる。
ことができる。
【0037】
また本実施形態では、側方のうちケース本体1の一側(12時側)及び他側(6時側)にバンド3を取り付けるバンド取付け部513が設けられる場合に、第1フレーム51は、一側のバンド取付け部513から他側のバンド取付け部513にかけて一つながりに設けられる。
本実施形態ではバンド3が設けられていない時計100の側方に沿って第1フレーム51を延在させることで、時計100の側方(すなわち3時側や9時側)から時計100に加えられた衝撃を第1フレーム51によりバンド3の延在方向へ効果的に受け流し、側方からの衝撃に備えることができる。
【0038】
また、第1フレーム51とリブ511とは互いに一体的に形成されていてもよい。
この場合には、ケース本体1と第1フレーム51との間の中空状態の開口部分510をリブ511によって強化することができ、ケース本体1及びケース本体1内部のモジュール2等を、部品点数を増やさずに効果的に保護することができる。
【0039】
また本実施形態では、ケース本体1の非視認側に配置される第2フレーム53と、第1フレームと第2フレーム53との間に接続される緩衝フレーム52と、をさらに備えている。
このため、ケース本体1を第1フレーム、第2フレーム53及び緩衝フレーム52でとり囲むようにして保護することができ、時計100に加わる側方からの衝撃、視認側からの衝撃、非視認側からの衝撃といったあらゆる方向からの衝撃からケース本体1及びケース本体1内部のモジュール2等を効果的に保護することができる。
【0040】
また本実施形態では、第1フレーム51と緩衝フレーム52とは一体的に形成されていてもよく、第2フレーム53と緩衝フレーム52とも一体的に形成されていてもよい。さらに第1フレーム51及び第2フレーム53と、緩衝フレーム52と、は互いに一体的に形成されていてもよい。
このように、緩衝フレーム52を、ベゼル5の骨格を構成する第1フレーム51や裏面側に配置される第2フレーム53と一体的に形成することで、時計100に衝撃が加わった場合に、当該衝撃を第1フレーム51、第2フレーム53と緩衝フレーム52とが一体として効果的に受け流すことができ、衝撃によるモジュール2の破損等を防ぐことができる。
【0041】
また本実施形態では、ケース本体1と第1フレーム51との間に、ケース本体1の側方に沿って設けられる第1内周フレーム512をさらに備え、第1内周フレーム512と第1フレーム51との間は開口している。
これにより、全体としての重量を軽量化するとともに、衝撃に強い構成とすることができる。
【0042】
[変形例]
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0043】
例えば、上記実施形態では、ベゼル5の第1フレーム51にバンド取付け部513が設けられる場合を例示したが、バンド取付け部はベゼル5に設けられる場合に限定されない。
バンド取付け部は、例えばケース本体1に設けられてもよい。この場合にも、第1フレーム51は、一側(例えば時計の6時側)のバンド取付け部から他側(例えば時計の12時側)のバンド取付け部にかけて一つながりに設けられる。
第1フレーム51を時計100の一側(例えば時計の6時側)から他側(例えば時計の12時側)にかけて一つながりに設けることで、外部からの衝撃を効果的に受け流すことができる。
【0044】
またベゼルの構成は、実施例に示したものに限定されない。
例えば
図6は、ベゼルの一変形例を示す斜視図であり、
図7は、
図6に示すベゼル5aを適用した時計の一例を示した斜視図である。
図6及び
図7に示すように、ベゼル5aは、ケース本体1をとり囲むように設けられる第1フレーム51、第2フレーム53、第2内周フレーム54及び緩衝フレーム52a(第1緩衝フレーム)、緩衝フレーム56(第2緩衝フレーム)を備えている。この場合にも、視認方向からの平面視においてケース本体1の側方に配置される第1フレーム51を備え、ケース本体1と第1フレーム51との間は開口しており、開口部分510内には適宜リブ511が設けられている。
【0045】
なお第2フレーム53、緩衝フレーム52a、56等の概形を算出する場合においては、AI(Artificial Intelligence;人工知能)による機能を用いて算出させる手法を一部使用してもよい。
上記実施例では、ケース本体1と第1フレーム51との間を中空状態となった開口部分510とすることにより、時計100(ベゼル5)が落下等により激しい衝撃を受けた場合でも、当該衝撃を開口部分510で吸収し、又は受け流して衝撃を緩和し、ケース本体1やその内部に収容されているモジュール2等が破損するのを防止することができるとした。しかし、例えばベゼル5aが、金、銀、ステンレス鋼等のような、アルミニウム、チタン等よりも比重の比較的大きい金属の場合、たとえ開口部分510があったとしても、落下などの衝撃時において自機(時計100)の重さによりベゼル5a(第1フレーム51)が変形する可能性が考えられる。これは特に、上記実施例のようにベゼル5aを一体的な同一材料とした場合には顕著であり、言い換えれば、ベゼル5aによる衝撃吸収の効果を優先するあまり、ベゼル5aのうち殆ど又はすべてを金、銀、ステンレスなどの比重の大きい金属によって構成してしまうと、衝撃を吸収するどころか自機の重さによって(塑性)変形してしまうおそれがある。
【0046】
これを防ぐには、全体を網目状などにしてベゼル5a全体を軽量化し、さらにベゼル5aの重心を分散させる必要がある。網目状とは、ここではケース本体1の少なくとも側方を取り囲むよう第1フレーム51と第2フレーム53との間に接続される緩衝フレーム52aを複数設け、さらに重心が偏らないようバンド3の少なくとも一方側のバンド取付け部513と第2内周フレーム54との間に接続される緩衝フレーム56を設けることで、ケース本体1の周囲の略全体を取り囲む形状を指す。なお、バンド取付け部513と第2内周フレーム54との間に接続される緩衝フレーム56は、操作部12(6時側のフロントボタン)や図示しない軸部が、衝撃によって折れないよう操作部12との間に中空状態があるように配置される。
この網目状形状のベゼル5aを実現するために、本変形例では、AI(Artificial Intelligence;人工知能)を利用したジェネレーティブデザインに基づく手法によってベゼル5aの概形を算出した。なお、ジェネレーティブデザインに基づく手法は特に限定されず既知のソフトウェアを用いてよい。また、ジェネレーティブデザインに限らずトポロジー最適化等の手法を用いても良い。
【0047】
網目状のベゼル5aの概形の算出には、例えば
図6、
図7に示す例のように、まずケース本体1(
図7に示すケース本体に取り付けられる固定部材6を含む)との間に所定の間隔をあけて(すなわち開口部分510を設けて)、第1フレーム51を配置することを設計者がコンピュータに対して設定(入力)することにより行う。言い換えれば、部材が存在しない空間の座標を設計者が設定(入力)する。また、同様にねじ62の位置、バンド取付け部513等の各部材の空間配置(座標)をパラメータとして設計者が設定(入力)する。また、ベゼル5aの構成材料や、切削加工といった製造方法等も適宜パラメータとして設定(入力)する。
そして、上記パラメータを考慮してベゼル5aの概形をAI(Artificial Intelligence;人工知能)により算出する。
【0048】
そしてさらにどのような方向からどのような大きさの衝撃が加わるおそれがあるか等の荷重情報をコンピュータに与えた上で、外部からの衝撃を吸収し又は受け流すための、第2フレーム53、緩衝フレーム52a、56の概形、ケース本体1と第1フレーム51の間に設けるリブ511の数や概形等を算出し、算出された概形を基に設計者が適宜強度や量産形状等を考慮して最終形状に調整する。
【0049】
つまり、AIによる機能を利用して網目状のベゼル5a(特に緩衝フレーム52a、56)の概形を算出する場合(例えば
図6、
図7に示す例)には、設定した各部材の空間配置に対して、例えば時計100aが落下した際に時計100a各部に加わる力(
図5に矢印で示す衝撃の大きさや衝撃が加わる方向等)を、ベゼル5aの構成材料等の情報とともにコンピュータに入力する。そして算出された概形を基に設計者が最終形状へと調整する。
なお、前述のように時計100a全体の重量が軽い方が落下した際に破損しにくいため、ベゼル5aを軽量化するために適宜開口して中空状態とする。また適度に中空状態とした上で中空状態とした部分に適宜リブ511を配置した方が加えられた衝撃(力)を分散して受け流すことができる。具体的に、中空状態とする程度やリブ511の形状、数、配置については、AI(Artificial Intelligence;人工知能)により導出された結果を参照し、設計者が設定(調整)する。
【0050】
具体的には、
図6に示すベゼル5aでは、緩衝フレーム52a全体が中空の網目状又はスポンジ状のような構成となっており、複数の開口部分510が適宜配置されている。
これにより、ベゼル5a全体の軽量化を実現できる。さらに、ベゼル5aにおいてケース本体1に近接する部分は第1内周フレーム512(
図6において網掛けで示す部分)となっており、この第1内周フレーム512と第1フレーム51との間に開口して中空状態となっている部分(開口部分510)が設けられている。このため、第1内周フレーム512の内側にケース本体1が配置された場合に、ケース本体1と、ベゼル5a(特に第1フレーム51)との間に十分な空間が確保される。
図6に示すような、網目状、中空状の緩衝フレーム52aは可撓性に優れ、落下等により衝撃を受けた際に当該衝撃を吸収して内部のケース本体1に影響が及ぶのを抑える、高い衝撃吸収効果が期待できる。この効果は、ベゼル5aが金、銀、ステンレス鋼などの比較的比重の大きい金属でできている場合は顕著である。また、特に金や銀の場合は展性に富むため、落下などの衝撃によって非常に変形しやすいが、本変形例のベゼル5aによれば、衝撃を受けた際に当該衝撃を吸収して(弾性変形をして)内部のケース本体1に影響が及ぶのを抑えることができる。
なお、緩衝フレーム52aは中空状態となっている部分(開口部分510)が多い構造のため、適宜リブ511,521を設けて強度を保つようになっている。
なお、緩衝フレーム52a及びこれを備えるベゼル5aの形状は図示例に限定されず、適宜変更が可能である。
【0051】
図6及び
図7に示す時計100では、側方のうちケース本体1の一側及び他側にバンド3を取り付けるバンド取付け部513が設けられる場合に、ケース本体1の側方に沿い、かつバンド取付け部513に対向して設けられる第2内周フレーム54と、バンド取付け部513と第2内周フレーム54との間に接続される緩衝フレーム56(第2緩衝フレーム)と、をさらに備えている。
このような構成により、バンド3が取り付けられるケース本体1の一側及び他側から加わる衝撃にも強い構成とすることができる。
【0052】
また
図6及び
図7に示す例では、ケース本体1の側方の略全周が、第1フレーム51、第2フレーム53、緩衝フレーム52a(第1緩衝フレーム)、緩衝フレーム56(第2緩衝フレーム)によって囲われている。
これにより、特に側方から時計100に加わった衝撃を効果的に吸収し、又は受け流して、衝撃に強い構成とすることができる。
【0053】
また
図6及び
図7に示す例では、軸部を含み、ケース本体1の外側部におけるバンド取付け部513側に一つ設けられ、押圧されることによって操作可能な操作部12をさらに備える場合に、この操作部12と緩衝フレーム56(第2緩衝フレーム)との間が、開口している。
これにより、操作部12(特にその軸部)に加わる衝撃を効果的に緩和して破損を防ぐことができる。
【0054】
また例えば、上記実施形態では、指針を備えるアナログ表示方式の腕時計を例として図示したが、本実施形態に示した構造を適用可能な機器は図示例に限定されない。
衝撃による変形や破損等が懸念される部品をケース本体1内部に収容する機器に、本実施形態に示すベゼル5を備える構成を広く適用してもよい。
例えば各種のスマートウォッチ、スポーツウォッチ等の電子機器、時刻の他、心拍や血流の情報等の生体情報を取得するウェアラブル機器等の電子機器に適用することも可能である。
【0055】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0056】
1 ケース本体
2 モジュール
3 バンド
5 ベゼル
51 第1フレーム
52 緩衝フレーム(第1緩衝フレーム)
53 第2フレーム
56 緩衝フレーム(第2緩衝フレーム)
511 リブ
521 リブ
6 固定部材
100 時計