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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136412
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20240927BHJP
   H10B 12/00 20230101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L29/78 626A
H10B12/00 621B
H10B12/00 621Z
H01L29/78 616T
H01L29/78 618F
H01L29/78 616V
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047522
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】下森 顕
(72)【発明者】
【氏名】菊地 巧也
(72)【発明者】
【氏名】山本 亮介
【テーマコード(参考)】
5F083
5F110
【Fターム(参考)】
5F083AD02
5F083AD03
5F083AD15
5F083AD21
5F083AD28
5F083AD31
5F083JA12
5F083JA36
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA42
5F083PR05
5F083PR21
5F110BB06
5F110CC09
5F110DD05
5F110DD12
5F110DD13
5F110EE01
5F110EE02
5F110EE04
5F110EE08
5F110FF01
5F110FF02
5F110FF03
5F110FF09
5F110FF12
5F110FF13
5F110GG01
5F110GG22
5F110GG23
5F110HJ01
5F110HK01
5F110HK02
5F110HK03
5F110HK04
5F110HK07
5F110HK21
5F110HK22
5F110HM02
5F110HM12
5F110NN02
5F110NN22
5F110NN23
5F110NN24
5F110QQ05
(57)【要約】
【課題】トランジスタ特性の優れた半導体装置を提供する。
【解決手段】実施形態の半導体装置は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に設けられた酸化物半導体層と、酸化物半導体層を囲むゲート電極と、ゲート電極と酸化物半導体層との間に設けられ、第1の電極と離隔したゲート絶縁層と、第1の電極とゲート電極との間に設けられ、酸化物半導体層との間にゲート絶縁層が設けられた第1の絶縁層と、第1の電極と第1の絶縁層との間に設けられ、第1の領域と、第1の領域と第1の絶縁層との間に設けられた第2の領域と、を含み、第1の電極の化学組成と異なる化学組成の中間層と、を備える。第1の領域は第1の金属元素と酸素(O)を含み、第2の領域は第2の金属元素を含み、第2の領域の酸素濃度は、第1の領域の酸素濃度より低い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層を囲むゲート電極と、
前記ゲート電極と前記酸化物半導体層との間に設けられ、前記第1の電極と離隔したゲート絶縁層と、
前記第1の電極と前記ゲート電極との間に設けられ、前記酸化物半導体層との間に前記ゲート絶縁層が設けられた第1の絶縁層と、
前記第1の電極と前記第1の絶縁層との間に設けられ、第1の領域と、前記第1の領域と前記第1の絶縁層との間の第2の領域と、を含み、前記第1の電極の化学組成と異なる化学組成の中間層と、
を備え、
前記第1の領域は第1の金属元素と酸素(O)を含み、
前記第2の領域は第2の金属元素を含み、
前記第2の領域の酸素濃度は、前記第1の領域の酸素濃度より低い、半導体装置。
【請求項2】
前記第1の絶縁層は前記酸化物半導体層の一部を囲み、前記中間層は前記酸化物半導体層の別の一部を囲む、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記酸化物半導体層は前記第1の電極に接する、請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の電極から前記第2の電極に向かう第1の方向に平行で、前記酸化物半導体層、前記第1の絶縁層、前記中間層、及び前記ゲート絶縁層を含む第1の断面において、
前記第1の絶縁層は第1の部分と第2の部分を含み、前記中間層は第3の部分と第4の部分を含み、前記ゲート絶縁層は第5の部分と第6の部分を含み、
前記第1の部分と前記第2の部分との間に前記酸化物半導体層が設けられ、前記第3の部分と前記第4の部分との間に前記酸化物半導体層が設けられ、前記第1の部分と前記酸化物半導体層との間に前記第5の部分が設けられ、前記第2の部分と前記酸化物半導体層との間に前記第6の部分が設けられ、
前記第3の部分と前記第4の部分との間の第1の最小距離は、前記第5の部分と前記第6の部分との間の第2の最小距離よりも大きい、請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の最小距離は、前記第1の部分と前記第2の部分との間の第3の最小距離よりも大きい、請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2の電極と前記ゲート電極との間に設けられた第2の絶縁層を、更に備え、
前記第1の断面は、前記第2の絶縁層を含み、
前記第2の絶縁層は第7の部分と第8の部分を含み、前記ゲート絶縁層は第9の部分と第10の部分とを更に含み、
前記第7の部分と前記第8の部分との間に前記酸化物半導体層が設けられ、前記第7の部分と前記酸化物半導体層との間に前記第9の部分が設けられ、前記第8の部分と前記酸化物半導体層との間に前記第10の部分が設けられ、
前記第1の最小距離は、前記第9の部分と前記第10の部分との間の最大距離よりも大きい、請求項4記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2の電極と前記ゲート電極との間に設けられた第2の絶縁層を、更に備え、
前記第1の断面は、前記第2の絶縁層を含み、
前記第2の絶縁層は第7の部分と第8の部分を含み、前記ゲート絶縁層は第9の部分と第10の部分とを更に含み、
前記第7の部分と前記第8の部分との間に前記酸化物半導体層が設けられ、前記第7の部分と前記酸化物半導体層との間に前記第9の部分が設けられ、前記第8の部分と前記酸化物半導体層との間に前記第10の部分が設けられ、
前記第2の最小距離は、前記第9の部分と前記第10の部分との間の最大距離よりも小さい、請求項4記載の半導体装置。
【請求項8】
前記中間層の前記第1の電極から前記第2の電極に向かう第1の方向の厚さは、前記第1の絶縁層の前記第1の方向の厚さよりも薄い、請求項1記載の半導体装置。
【請求項9】
前記ゲート絶縁層は前記第2の電極と接する、請求項1記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第3の部分は前記酸化物半導体層と接し、前記第4の部分は前記酸化物半導体層と接する、請求項4記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1の金属元素と前記第2の金属元素は、同一の元素である、請求項1記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1の領域は前記第1の金属元素の酸化物を含み、前記第2の領域は前記第2の金属元素を含む金属を含む、請求項1記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1の金属元素は、チタン(Ti)又はタングステン(W)の少なくともいずれか一方であり、
前記第2の金属元素は、チタン(Ti)又はタングステン(W)の少なくともいずれか一方である、請求項1記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1の電極は、インジウム(In)、スズ(Sn)、及び酸素(O)を含む、請求項1記載の半導体装置。
【請求項15】
請求項1記載の半導体装置と、
前記第1の電極又は前記第2の電極に電気的に接続されたキャパシタと、
を備える半導体記憶装置。
【請求項16】
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層を囲むゲート電極と、
前記ゲート電極と前記酸化物半導体層との間に設けられ、前記第1の電極と離隔したゲート絶縁層と、
前記第1の電極と前記ゲート電極との間に設けられ、前記酸化物半導体層との間に前記ゲート絶縁層が設けられた第1の絶縁層と、
前記第1の電極と前記第1の絶縁層との間に設けられ、チタン(Ti)又はタングステン(W)の少なくともいずれか一方を含み、前記第1の電極の化学組成と異なる化学組成の中間層と、
を備える半導体装置。
【請求項17】
前記中間層は、チタン、酸化チタン、窒化チタン、酸窒化チタン、炭化チタン、タングステン、酸化タングステン、窒化タングステン、酸窒化タングステン、炭化タングステン、チタンタングステン、モリブデンタングステン、及び、タンタルタングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む、請求項16記載の半導体装置。
【請求項18】
前記第1の絶縁層は前記酸化物半導体層の一部を囲み、前記中間層は前記酸化物半導体層の別の一部を囲む、請求項16記載の半導体装置。
【請求項19】
前記酸化物半導体層は前記第1の電極に接する、請求項18記載の半導体装置。
【請求項20】
請求項16記載の半導体装置と、
前記第1の電極又は前記第2の電極に電気的に接続されたキャパシタと、
を備える半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置及び半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化物半導体層にチャネルを形成する酸化物半導体トランジスタは、オフ動作時のチャネルリーク電流が極めて小さいという優れた特性を備える。このため、例えば、酸化物半導体トランジスタを、Dynamic Random Access Memory(DRAM)のメモリセルのスイッチングトランジスタに適用することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-169490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、トランジスタ特性の優れた半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層を囲むゲート電極と、前記ゲート電極と前記酸化物半導体層との間に設けられ、前記第1の電極と離隔したゲート絶縁層と、前記第1の電極と前記ゲート電極との間に設けられ、前記酸化物半導体層との間に前記ゲート絶縁層が設けられた第1の絶縁層と、前記第1の電極と前記第1の絶縁層との間に設けられ、第1の領域と、前記第1の領域と前記第1の絶縁層との間の第2の領域と、を含み、前記第1の電極の化学組成と異なる化学組成の中間層と、を備え、前記第1の領域は第1の金属元素と酸素(O)を含み、前記第2の領域は第2の金属元素を含み、前記第2の領域の酸素濃度は、前記第1の領域の酸素濃度より低い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図2】第1の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図3】第1の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図4】第1の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図5】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
図6】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
図7】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
図8】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
図9】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
図10】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
図11】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
図12】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
図13】比較例の半導体装置の模式断面図。
図14】比較例の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
図15】比較例の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
図16】比較例の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
図17】比較例の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
図18】比較例の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
図19】比較例の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
図20】比較例の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
図21】第1の実施形態の変形例の半導体装置の模式断面図。
図22】第2の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図23】第2の実施形態の変形例の半導体装置の模式断面図。
図24】第3の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図25】第4の実施形態の半導体記憶装置の等価回路図。
図26】第4の実施形態の半導体記憶装置の模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材などには同一の符号を付し、一度説明した部材などについては適宜その説明を省略する場合がある。
【0008】
また、本明細書中、便宜上「上」、「下」、「上部」、又は「下部」という用語を用いる場合がある。「上」、「下」、「上部」、又は「下部」とはあくまで図面内での相対的位置関係を示す用語であり、重力に対する位置関係を規定する用語ではない。
【0009】
本明細書中の半導体装置及び半導体記憶装置を構成する部材の化学組成の定性分析及び定量分析は、例えば、二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry:SIMS)、エネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy:EDX)、ラザフォード後方散乱分析法(Rutherford Back-Scattering Spectroscopy:RBS)により行うことが可能である。また、半導体装置及び半導体記憶装置を構成する部材の厚さ、部材間の距離、結晶粒径等の測定には、例えば、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)を用いることが可能である。また、半導体装置及び半導体記憶装置を構成する部材の構成物質の同定、構成物質の存在割合の計測には、例えば、X線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)、硬X線光電子分光法(Hard X-ray Photoelectron Spectroscopy:HAXPES)、電子エネルギー損失分光法(Electron Energy Loss Spectroscopy:EELS)を用いることが可能である。
【0010】
本明細書中「金属」とは、金属的性質を示す物質の総称であり、例えば、金属的性質を示す金属窒化物や金属炭化物などの金属化合物も「金属」の範囲に含めるものとする。
【0011】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の半導体装置は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に設けられた酸化物半導体層と、酸化物半導体層を囲むゲート電極と、ゲート電極と酸化物半導体層との間に設けられ、第1の電極と離隔したゲート絶縁層と、第1の電極とゲート電極との間に設けられ、酸化物半導体層との間にゲート絶縁層が設けられた第1の絶縁層と、第1の電極と第1の絶縁層との間に設けられ、第1の領域と、第1の領域と第1の絶縁層との間の第2の領域と、を含み、第1の電極の化学組成と異なる化学組成の中間層と、を備える。第1の領域は第1の金属元素と酸素(O)を含み、第2の領域は第2の金属元素を含み、第2の領域の酸素濃度は、第1の領域の酸素濃度より低い。
【0012】
図1図2図3、及び図4は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図2は、図1のAA’断面図である。図3は、図1のBB’断面図である。図4は、図1のCC’断面図である。図1において、上下方向を第1の方向と称する。図1において、左右方向を第2の方向と称する。第2の方向は、第1の方向に垂直である。
【0013】
第1の実施形態の半導体装置は、トランジスタ100である。トランジスタ100は、酸化物半導体にチャネルが形成される酸化物半導体トランジスタである。トランジスタ100は、ゲート電極が、チャネルが形成される酸化物半導体層を囲んで設けられる。トランジスタ100は、いわゆるSurrounding Gate Transistor(SGT)である。トランジスタ100は、いわゆる縦型トランジスタである。
【0014】
トランジスタ100は、下部電極12、上部電極14、酸化物半導体層16、ゲート電極18、ゲート絶縁層20、下部絶縁層22、保護層24、及び上部絶縁層26を備える。酸化物半導体層16は、第1サブ領域16a、第2サブ領域16b、及び第3サブ領域16cを含む。下部絶縁層22は、第1の部分22a及び第2の部分22bを含む。保護層24は、金属酸化物領域24x及び金属領域24yを含む。保護層24は、第3の部分24a及び第4の部分24bを含む。ゲート絶縁層20は、第5の部分20a、第6の部分20b、第9の部分20c、及び第10の部分20dを含む。上部絶縁層26は、第7の部分26a及び第8の部分26bを含む。
【0015】
下部電極12は、第1の電極の一例である。上部電極14は、第2の電極の一例である。第1サブ領域16aは一部の一例である。第2サブ領域16bは別の一部の一例である。下部絶縁層22は、第1の絶縁層の一例である。保護層24は、中間層の一例である。金属酸化物領域24xは、第1の領域の一例である。金属領域24yは、第2の領域の一例である。上部絶縁層26は、第2の絶縁層の一例である。
【0016】
下部電極12は、酸化物半導体層16の下に設けられる。下部電極12は、酸化物半導体層16に電気的に接続される。下部電極12は、例えば、酸化物半導体層16に接する。下部電極12は、トランジスタ100のソース電極又はドレイン電極として機能する。
【0017】
下部電極12は、導電体である。下部電極12は、例えば、酸化物導電体を含む。下部電極12は、例えば、酸化物導電体層である。
【0018】
下部電極12は、例えば、インジウム(In)、スズ(Sn)、及び酸素(O)を含む。下部電極12は、例えば、酸化インジウムスズを含む。下部電極12は、例えば、酸化インジウムスズ層である。
【0019】
下部電極12は、例えば、スズ(Sn)及び酸素(O)を含む。下部電極12は、例えば、酸化スズを含む。下部電極12は、例えば、酸化スズ層である。
【0020】
下部電極12は、例えば、金属を含む。下部電極12は、例えば、金属層である。
【0021】
下部電極12は、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、又はタンタル(Ta)を含む。下部電極12は、例えば、タングステン層、モリブデン層、銅層、アルミニウム層、チタン層、又はタンタル層である。
【0022】
下部電極12は、例えば、複数の導電体の積層構造を有していても構わない。下部電極12は、例えば、酸化物導電体層と金属層との積層構造である。例えば、下部電極12の酸化物半導体層16の側の表面が酸化物導電体層である。
【0023】
上部電極14は、酸化物半導体層16の上に設けられる。上部電極14は、酸化物半導体層16に電気的に接続される。上部電極14は、例えば、酸化物半導体層16に接する。上部電極14は、トランジスタ100のソース電極又はドレイン電極として機能する。
【0024】
上部電極14は、導電体である。上部電極14は、例えば、酸化物導電体を含む。上部電極14は、例えば、酸化物導電体層である。
【0025】
上部電極14は、例えば、インジウム(In)、スズ(Sn)、及び酸素(O)を含む。上部電極14は、例えば、酸化インジウムスズを含む。上部電極14は、例えば、酸化インジウムスズ層である。
【0026】
上部電極14は、例えば、スズ(Sn)及び酸素(O)を含む。上部電極14は、例えば、酸化スズを含む。上部電極14は、例えば、酸化スズ層である。
【0027】
上部電極14は、例えば、金属を含む。上部電極14は、例えば、金属層である。
【0028】
上部電極14は、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、又はタンタル(Ta)を含む。上部電極14は、例えば、タングステン層、モリブデン層、銅層、アルミニウム層、チタン層、又はタンタル層である。
【0029】
上部電極14は、例えば、複数の導電体の積層構造を有していても構わない。上部電極14は、例えば、酸化物導電体層と金属層との積層構造である。例えば、上部電極14の酸化物半導体層16の側の表面が酸化物導電体層である。
【0030】
下部電極12と上部電極14とは、例えば、同一の材料で形成される。下部電極12及び上部電極14は、例えば、インジウム(In)、スズ(Sn)、及び酸素(O)を含む酸化物導電体である。下部電極12及び上部電極14は、例えば、酸化インジウムスズを含む。下部電極12及び上部電極14は、例えば、酸化インジウムスズ層である。
【0031】
酸化物半導体層16は、下部電極12と上部電極14との間に設けられる。酸化物半導体層16は、例えば、下部電極12に接する。酸化物半導体層16は、例えば、上部電極14に接する。
【0032】
酸化物半導体層16は、第1サブ領域16a、第2サブ領域16b、及び第3サブ領域16cを含む。第1サブ領域16aは、第2サブ領域16bと第3サブ領域16cの間に設けられる。
【0033】
酸化物半導体層16には、トランジスタ100のオン動作時に、電流経路となるチャネルが形成される。
【0034】
酸化物半導体層16は、酸化物半導体である。酸化物半導体層16は、例えば、アモルファスである。
【0035】
酸化物半導体層16は、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、及びスズ(Sn)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素と、亜鉛(Zn)と、酸素(O)を含む。酸化物半導体層16は、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)及び酸素(O)を含む。酸化物半導体層16は、例えば、酸化インジウムガリウム亜鉛を含む。酸化物半導体層16は、例えば、酸化インジウムガリウム亜鉛層である。
【0036】
酸化物半導体層16は、例えば、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素と、酸素(O)を含む。酸化物半導体層16は、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、又は酸化タングステンを含む。酸化物半導体層16は、例えば、酸化チタン層、酸化亜鉛層、又は酸化タングステン層である。
【0037】
酸化物半導体層16は、例えば、下部電極12の化学組成、及び、上部電極14の化学組成と異なる化学組成を有する。
【0038】
酸化物半導体層16は、酸素空孔を含む。酸化物半導体層16の中の酸素空孔は、ドナーとして機能する。
【0039】
酸化物半導体層16の第1の方向の長さは、例えば、80nm以上200nm以下である。酸化物半導体層16の第2の方向の長さは、例えば、20nm以上100nm以下である。
【0040】
第1の方向は、下部電極12から上部電極14に向かう方向である。第2の方向は、第1の方向に垂直な方向である。
【0041】
ゲート電極18は、酸化物半導体層16に対向する。ゲート電極18は、その第1の方向における位置座標が下部電極12と上部電極14それぞれの第1の方向における位置座標の間の値となるように設けられる。
【0042】
図2に示すように、ゲート電極18は、酸化物半導体層16を囲んで設けられる。ゲート電極18は、酸化物半導体層16の周囲に設けられる。
【0043】
ゲート電極18は、導電体である。ゲート電極18は、例えば、金属、金属化合物、又は半導体である。ゲート電極18は、例えば、タングステン(W)を含む。
【0044】
ゲート電極18の第1の方向の長さは、例えば、20nm以上100nm以下である。
【0045】
ゲート絶縁層20は、酸化物半導体層16とゲート電極18との間に設けられる。ゲート絶縁層20は、酸化物半導体層16を囲んで設けられる。ゲート絶縁層20は、下部電極12と上部電極14との間に設けられる。
【0046】
ゲート絶縁層20は、下部電極12と離隔する。ゲート絶縁層20は、下部電極12と第1の方向に離隔する。ゲート絶縁層20は、例えば、上部電極14と接する。
【0047】
ゲート絶縁層20は、例えば、酸化物、窒化物、又は酸窒化物である。ゲート絶縁層20は、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウム、又は酸窒化シリコンを含む。ゲート絶縁層20は、例えば、酸化シリコン層、酸化アルミニウム層、窒化シリコン層、窒化アルミニウム層、又は酸窒化シリコン層である。
【0048】
ゲート絶縁層20は、例えば、積層構造を有していても構わない。ゲート絶縁層20は、例えば、窒化物と酸化物の積層構造である。ゲート絶縁層20は、例えば、窒化シリコン層と酸化シリコン層の積層構造を有する。ゲート絶縁層20の厚さは、例えば、2nm以上10nm以下である。
【0049】
下部絶縁層22は、下部電極12の上に設けられる。下部絶縁層22は、下部電極12とゲート電極18との間に設けられる。
【0050】
図3に示すように、下部絶縁層22は酸化物半導体層16の第1サブ領域16aを囲む。下部絶縁層22は、ゲート絶縁層20を囲む。下部絶縁層22と酸化物半導体層16の第1サブ領域16aとの間に、ゲート絶縁層20が設けられる。
【0051】
下部絶縁層22は、絶縁体である。下部絶縁層22は、例えば、酸化物、窒化物、又は酸窒化物である。下部絶縁層22は、例えば、シリコン(Si)及び酸素(O)を含む。下部絶縁層22は、例えば、酸化シリコンを含む。下部絶縁層22は、例えば、酸化シリコン層である。
【0052】
保護層24は、下部電極12の上に設けられる。保護層24は、下部電極12と下部絶縁層22との間に設けられる。保護層24は、例えば、下部電極12に接する。保護層24は、例えば、下部絶縁層22に接する。
【0053】
図4に示すように、保護層24は酸化物半導体層16の第2サブ領域16bを囲む。保護層24は、例えば、酸化物半導体層16の第2サブ領域16bに接する。
【0054】
保護層24は、下部電極12と酸化物半導体層16との間のコンタクト構造を形成する際に、下部電極12がエッチングされることを抑制する機能を有する。
【0055】
保護層24は、下部電極12、下部絶縁層22、及び、酸化物半導体層16と異なる化学組成を有する。
【0056】
保護層24は、金属酸化物領域24xと金属領域24yを含む。金属領域24yは、金属酸化物領域24xと下部絶縁層22との間に設けられる。金属酸化物領域24xは、例えば、下部電極12に接する。金属領域24yは、例えば、下部絶縁層22に接する。金属酸化物領域24xは、例えば、金属領域24yに接する。
【0057】
金属酸化物領域24xは、第1の金属元素と酸素(O)を含む。第1の金属元素は、例えば、チタン(Ti)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、及び、モリブデン(Mo)からなる群から選ばれる少なくとも一つの金属元素である。
【0058】
金属酸化物領域24xは、例えば、第1の金属元素の金属酸化物を含む。金属酸化物領域24xは、例えば、酸化チタン、酸化タングステン、酸化タンタル、及び、酸化モリブデンからなる群から選ばれる少なくとも一つの金属酸化物を含む。金属酸化物領域24xは、例えば、金属酸化物である。金属酸化物領域24xは、例えば、酸化チタン、酸化タングステン、酸化タンタル、又は、酸化モリブデンである。
【0059】
金属領域24yは、第2の金属元素を含む。金属領域24yは、酸素(O)を含むか、又は、含まない。金属領域24yの酸素濃度は、金属酸化物領域24xの酸素濃度よりも低い。
【0060】
第2の金属元素は、例えば、チタン(Ti)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、及び、モリブデン(Mo)からなる群から選ばれる少なくとも一つの金属元素である。
【0061】
金属領域24yは、例えば、第1の金属元素を含む金属を含む。金属領域24yは、例えば、第1の金属元素の単体金属を含む。金属領域24yは、例えば、第1の金属元素の金属窒化物を含む。金属領域24yは、例えば、第1の金属元素の金属炭化物を含む。金属領域24yは、例えば、第1の金属元素と別の金属元素との合金を含む。金属領域24yは、例えば、金属である。
【0062】
金属領域24yは、例えば、チタン、窒化チタン、酸窒化チタン、炭化チタン、タングステン、窒化タングステン、酸窒化タングステン、炭化タングステン、タンタル、窒化タンタル、酸窒化タンタル、炭化タンタル、モリブデン、窒化モリブデン、酸窒化モリブデン、炭化モリブデン、チタンタングステン、モリブデンタングステン、及び、タンタルタングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの金属を含む。
【0063】
金属領域24yは、例えば、チタン、窒化チタン、酸窒化チタン、炭化チタン、タングステン、窒化タングステン、酸窒化タングステン、炭化タングステン、タンタル、窒化タンタル、酸窒化タンタル、炭化タンタル、モリブデン、窒化モリブデン、酸窒化モリブデン、炭化モリブデン、チタンタングステン、モリブデンタングステン、又は、タンタルタングステンである。
【0064】
金属酸化物領域24xに含まれる第1の金属元素と、金属領域24yに含まれる第2の金属元素は、例えば、同一の元素である。
【0065】
保護層24の第1の方向の厚さは、例えば、下部絶縁層22の第1の方向の厚さよりも薄い。保護層24の第1の方向の厚さは、例えば、下部絶縁層22の第1の方向の厚さの30%以下である。
【0066】
上部絶縁層26は、ゲート電極18の上に設けられる。上部絶縁層26は、例えば、ゲート電極18と上部電極14との間に設けられる。
【0067】
上部絶縁層26は酸化物半導体層16の第3サブ領域16cを囲む。上部絶縁層26は、ゲート絶縁層20を囲む。上部絶縁層26と酸化物半導体層16の第3サブ領域16cとの間に、ゲート絶縁層20が設けられる。
【0068】
上部絶縁層26は、絶縁体である。上部絶縁層26は、例えば、酸化物、窒化物、又は酸窒化物である。上部絶縁層26は、例えば、シリコン(Si)及び酸素(O)を含む。上部絶縁層26は、例えば、酸化シリコンを含む。上部絶縁層26は、例えば、酸化シリコン層である。
【0069】
下部電極12から上部電極14に向かう第1の方向に平行で、酸化物半導体層16、下部絶縁層22、保護層24、上部絶縁層26、及びゲート絶縁層20を含む断面を第1の断面と定義する。図1に示す断面は、第1の断面の一例である。
【0070】
第1の断面において、下部絶縁層22は第1の部分22aと第2の部分22bを含む。また、保護層24は第3の部分24aと第4の部分24bを含む。また、ゲート絶縁層20は、第5の部分20a、第6の部分20b、第9の部分20c、及び第10の部分20dを含む。また、上部絶縁層26は、第7の部分26aと第8の部分26bを含む。
【0071】
第1の部分22aと第2の部分22bとの間に、酸化物半導体層16が設けられる。また、第3の部分24aと第4の部分24bとの間に、酸化物半導体層16が設けられる。
【0072】
第1の部分22aと酸化物半導体層16との間に、第5の部分20aが設けられる。また、第2の部分22bと酸化物半導体層16との間に、第6の部分20bが設けられる。
【0073】
第7の部分26aと第8の部分26bとの間に、酸化物半導体層16が設けられる。また、第7の部分26aと酸化物半導体層16との間に、第9の部分20cが設けられる。また、第8の部分26bと酸化物半導体層16との間に、第10の部分20dが設けられる。
【0074】
例えば、第3の部分24aと第4の部分24bとの間の第1の最小距離(図1中のd1)は、第5の部分20aと第6の部分20bとの間の第2の最小距離(図1中のd2)よりも大きい。また、例えば、第1の最小距離d1は、第1の部分22aと第2の部分22bとの間の第3の最小距離(図1中のd3)よりも大きい。また、例えば、第1の最小距離d1は、第9の部分20cと第10の部分20dとの間の最大距離(図1中のd4)よりも大きい。
【0075】
次に、第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例について説明する。
【0076】
図5図6図7図8図9図10図11、及び図12は、第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図である。図5図12は、それぞれ、図1に対応する断面を示す。図5図12は、トランジスタ100の製造方法の一例を示す図である。
【0077】
以下、下部電極12が酸化インジウムスズ層、上部電極14が酸化インジウムスズ層、酸化物半導体層16が酸化インジウムガリウム亜鉛層、ゲート電極18がタングステン層、ゲート絶縁層20が酸化シリコン層、下部絶縁層22が酸化シリコン層、保護層24の金属酸化物領域24xが酸化チタン、保護層24の金属酸化物領域24xが窒化チタン、上部絶縁層26が酸化シリコン層である場合を例に説明する。
【0078】
最初に、図示しない基板の上に、第1の酸化インジウムスズ膜31、酸化チタン膜32a、窒化チタン膜32b、第1の酸化シリコン膜33、タングステン膜34、及び第2の酸化シリコン膜35を、この順に第1の方向に積層する(図5)。第1の酸化インジウムスズ膜31、酸化チタン膜32a、窒化チタン膜32b、第1の酸化シリコン膜33、タングステン膜34、及び第2の酸化シリコン膜35は、例えば、Chemical Vapor Deposition法(CVD法)により形成する。
【0079】
第1の酸化インジウムスズ膜31の一部は、最終的に下部電極12となる。酸化チタン膜32aの一部は最終的に保護層24の金属酸化物領域24xとなる。窒化チタン膜32bの一部は、最終的に保護層24の金属領域24yとなる。第1の酸化シリコン膜33の一部は、最終的に下部絶縁層22となる。タングステン膜34の一部は、最終的にゲート電極18となる。第2の酸化シリコン膜35の一部は、最終的に上部絶縁層26となる。
【0080】
次に、第2の酸化シリコン膜35の表面から、タングステン膜34、及び第1の酸化シリコン膜33を貫通し、窒化チタン膜32bに達する開口部36を形成する(図6)。開口部36は、例えば、リソグラフィ法、及び、Reactive Ion Etching法(RIE法)を用いて形成する。RIE法は基板に垂直な方向のイオンの衝撃を利用する異方性エッチングである。
【0081】
次に、開口部36の内部に、第3の酸化シリコン膜37を形成する(図7)。第3の酸化シリコン膜37は、例えば、CVD法により形成する。第3の酸化シリコン膜37の一部は、最終的にゲート絶縁層20となる。
【0082】
次に、開口部36の底部の第3の酸化シリコン膜37をエッチングし、窒化チタン膜32bを露出させる(図8)。第3の酸化シリコン膜37は、例えば、RIE法を用いてエッチングする。例えば、第3の酸化シリコン膜37をエッチングする際に、窒化チタン膜32bのエッチングレートが第3の酸化シリコン膜37のエッチングレートより遅くなる条件を選択する。
【0083】
次に、開口部36の底に露出した窒化チタン膜32b及び酸化チタン膜32aをエッチングし、第1の方向に垂直な第2の方向に広がる凹部38を形成する(図9)。凹部38の底部には、第1の酸化インジウムスズ膜31が露出する。
【0084】
凹部38を形成する際に、例えば、等方性エッチングを行う。凹部38を形成する際に、例えば、窒化チタン膜32b及び酸化チタン膜32aを等方的にエッチングする。例えば、凹部38を形成する際には、第1の酸化インジウムスズ膜31、第1の酸化シリコン膜33、及び第3の酸化シリコン膜37のエッチングレートが、窒化チタン膜32b及び酸化チタン膜32aのエッチングレートより遅くなる条件を選択する。
【0085】
窒化チタン膜32b及び酸化チタン膜32aのエッチングには、例えば、ウェットエッチング法を用いる。窒化チタン膜32b及び酸化チタン膜32aのエッチングには、例えば、過酸化水素(H)を主成分とする溶液を用いる。
【0086】
窒化チタン膜32b及び酸化チタン膜32aのエッチングには、例えば、等方性のドライエッチングを用いることも可能である。
【0087】
次に、凹部38及び開口部36を酸化インジウムガリウム亜鉛膜39で埋め込む(図10)。酸化インジウムガリウム亜鉛膜39の一部は、最終的に酸化物半導体層16となる。酸化インジウムガリウム亜鉛膜39は、例えば、CVD法で形成する。
【0088】
次に、酸化インジウムガリウム亜鉛膜39の上部を除去し、第2の酸化シリコン膜35の表面を露出させる(図11)。酸化インジウムガリウム亜鉛膜39は、例えば、RIE法を用いてエッチングし、除去する。
【0089】
次に、第2の酸化インジウムスズ膜40を形成する(図12)。第2の酸化インジウムスズ膜40は、例えば、CVD法により形成する。第2の酸化インジウムスズ膜40の一部は、最終的に上部電極14となる。
【0090】
以上の製造方法により、図1図2図3、及び図4に示すトランジスタ100が製造される。
【0091】
次に、第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果について説明する。
【0092】
図13は、比較例の半導体装置の模式断面図である。図13は、第1の実施形態の図1に対応する図である。
【0093】
比較例の半導体装置はトランジスタ900である。比較例のトランジスタ900は、保護層24を備えず、ゲート絶縁層20が下部電極12と接する点で、第1の実施形態のトランジスタ100と異なる。
【0094】
図14図15図16図17図18図19、及び図20は、比較例の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図である。図14図20は、それぞれ、図13に対応する断面を示す。図14図20は、トランジスタ900の製造方法の一例を示す図である。
【0095】
以下、第1の実施形態と同様、下部電極12が酸化インジウムスズ層、上部電極14が酸化インジウムスズ層、酸化物半導体層16が酸化インジウムガリウム亜鉛層、ゲート電極18がタングステン層、ゲート絶縁層20が酸化シリコン層、下部絶縁層22が酸化シリコン層、上部絶縁層26が酸化シリコン層である場合を例に説明する。
【0096】
最初に、図示しない基板の上に、第1の酸化インジウムスズ膜31、第1の酸化シリコン膜33、タングステン膜34、及び第2の酸化シリコン膜35を、この順に第1の方向に積層する(図14)。第1の酸化インジウムスズ膜31、第1の酸化シリコン膜33、タングステン膜34、及び第2の酸化シリコン膜35は、例えば、CVD法により形成する。
【0097】
第1の酸化インジウムスズ膜31の一部は、最終的に下部電極12となる。第1の酸化シリコン膜33の一部は、最終的に下部絶縁層22となる。タングステン膜34の一部は、最終的にゲート電極18となる。第2の酸化シリコン膜35の一部は、最終的に上部絶縁層26となる。
【0098】
次に、第2の酸化シリコン膜35の表面から、タングステン膜34、及び第1の酸化シリコン膜33を貫通し、第1の酸化インジウムスズ膜31に達する開口部36を形成する(図15)。開口部36は、例えば、リソグラフィ法、及び、RIE法を用いて形成する。
【0099】
次に、開口部36の内部に、第3の酸化シリコン膜37を形成する(図16)。第3の酸化シリコン膜37は、例えば、CVD法により形成する。第3の酸化シリコン膜37の一部は、最終的にゲート絶縁層20となる。
【0100】
次に、開口部36の底部の第3の酸化シリコン膜37をエッチングし、第1の酸化インジウムスズ膜31を露出させる(図17)。第3の酸化シリコン膜37は、例えば、RIE法を用いてエッチングする。
【0101】
次に、開口部36を酸化インジウムガリウム亜鉛膜39で埋め込む(図18)。酸化インジウムガリウム亜鉛膜39の一部は、酸化物半導体層16となる。酸化インジウムガリウム亜鉛膜39は、例えば、CVD法で形成する。
【0102】
次に、酸化インジウムガリウム亜鉛膜39の上部を除去し、第2の酸化シリコン膜35の表面を露出させる(図19)。酸化インジウムガリウム亜鉛膜39は、例えば、RIE法を用いてエッチングし、除去する。
【0103】
次に、第2の酸化インジウムスズ膜40を形成する(図20)。第2の酸化インジウムスズ膜40は、例えば、CVD法により形成する。第2の酸化インジウムスズ膜40の一部は、最終的に上部電極14となる。
【0104】
以上の製造方法により、図13に示すトランジスタ900が製造される。
【0105】
比較例のトランジスタ900の製造において、開口部36を形成する際、第1の酸化インジウムスズ膜31の表面がエッチングに晒される。例えば、イオンの衝撃が加わることで、第1の酸化インジウムスズ膜31の表面にエッチングダメージが生ずる。また、比較例のトランジスタ900の製造において、開口部36の底部の第3の酸化シリコン膜37をエッチングする際、第1の酸化インジウムスズ膜31の表面がエッチングに晒される。この場合も、例えば、イオンの衝撃が加わることで、第1の酸化インジウムスズ膜31の表面にエッチングダメージが生ずる。
【0106】
第1の酸化インジウムスズ膜31の表面にエッチングダメージが生ずることで、例えば、第1の酸化インジウムスズ膜31と酸化インジウムガリウム亜鉛膜39との接触抵抗が高くなる。いいかえれば、下部電極12と酸化物半導体層16との間の接触抵抗が高くなる。下部電極12と酸化物半導体層16との間の接触抵抗が高くなると、トランジスタ900のオン抵抗が高くなるため望ましくない。
【0107】
また、比較例のトランジスタ900の製造において、ゲート絶縁層20となる第3の酸化シリコン膜37を形成する際に、第1の酸化インジウムスズ膜31の表面が露出されている。このため、第3の酸化シリコン膜37の成膜条件によっては、第1の酸化インジウムスズ膜31の表面にダメージが生じ得る。したがって、トランジスタ900のオン抵抗が高くなるため望ましくない。
【0108】
一方、第1の実施形態のトランジスタ100は、保護層24を備える。したがって、開口部36を形成する際、第1の酸化インジウムスズ膜31の表面はエッチングに晒されない。また、開口部36の底部の第3の酸化シリコン膜37をエッチングする際、第1の酸化インジウムスズ膜31の表面がエッチングに晒されることもない。したがって、第1の酸化インジウムスズ膜31の表面にエッチングダメージは生じない。
【0109】
また、ゲート絶縁層20となる第3の酸化シリコン膜37を形成する際に、第1の酸化インジウムスズ膜31の表面は、保護層24に覆われている。したがって、第3の酸化シリコン膜37の形成に伴うダメージも生じない。よって、比較例のトランジスタ900と比較して、トランジスタ100のオン抵抗が低減する。
【0110】
保護層24の化学組成は、下部絶縁層22の化学組成と異なるため、例えば、開口部36を形成する際に、最終的に保護層24なる膜と、最終的に下部絶縁層22となる膜とのエッチングレートに差を設けることができる。したがって、開口部36を形成する際、第1の酸化インジウムスズ膜31の表面が露出することが抑制できる。
【0111】
保護層24の上部の金属領域24yは、金属を含む。したがって、最終的に保護層24なる膜と、最終的に下部絶縁層22となる膜とのエッチングレートに差を設けることが容易である。
【0112】
さらに、保護層24は、金属領域24yと下部電極12との間に、金属酸化物領域24xを含む。金属酸化物領域24xを含むことで、特に、下部電極12の表面が導電性酸化物である場合に、下部電極12と保護層24との密着性が向上する。したがって、例えば、保護層24が下部電極12から剥がれることを抑制できる。
【0113】
金属酸化物領域24xに含まれる第1の金属元素と、金属領域24yに含まれる第2の金属元素は、同一の元素であることが好ましい。第1の金属元素と第2の金属元素が同一の元素であることで、例えば、金属酸化物領域24xと金属領域24yとの間の密着性が向上する。したがって、例えば、金属領域24yが金属酸化物領域24xから剥がれることを抑制できる。
【0114】
なお、第1の実施形態のトランジスタ100の製造において、開口部36の底部の窒化チタン膜32b及び酸化チタン膜32aをエッチングする際には、第1の酸化インジウムスズ膜31の表面がエッチングに晒される。しかし、例えば、ウェットエッチング法を用いることで、第1の酸化インジウムスズ膜31の表面にエッチングダメージが生じることを抑制できる。
【0115】
保護層24の金属酸化物領域24xに含まれる第1の金属元素は、チタン(Ti)又はタングステン(W)の少なくともいずれか一方であることが好ましい。金属酸化物領域24xには、酸化チタン又は酸化タングステンが含まれることが好ましい。
【0116】
酸化チタン及び酸化タングステンは、過酸化水素を主成分とする溶液を用いたウェットエッチング法により、エッチングすることが可能である。
【0117】
保護層24の金属領域24yに含まれる第2の金属元素は、チタン(Ti)又はタングステン(W)の少なくともいずれか一方であることが好ましい。金属領域24yには、チタン(Ti)を含む金属、又は、タングステン(W)を含む金属が含まれることが好ましい。金属領域24yは、チタン、窒化チタン、酸窒化チタン、炭化チタン、タングステン、窒化タングステン、酸窒化タングステン、炭化タングステン、チタンタングステン、モリブデンタングステン、及び、タンタルタングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの金属を含むことが好ましい。
【0118】
チタン(Ti)を含む金属、及び、タングステン(W)を含む金属は、過酸化水素を主成分とする溶液を用いたウェットエッチング法により、エッチングすることが可能である。
【0119】
過酸化水素を主成分とする溶液は、中性又は弱酸性の溶液である。このため、図9に示すように凹部38を形成する際に、最終的に下部電極12、下部絶縁層22、ゲート絶縁層20となる膜のエッチングレートを極めて遅くできる。
【0120】
例えば、第1の酸化インジウムスズ膜31、第1の酸化シリコン膜33、及び第3の酸化シリコン膜37のエッチングレートが極めて遅くなる。いいかえれば、窒化チタン膜32b及び酸化チタン膜32aをエッチングする際に、窒化チタン膜32b及び酸化チタン膜32aと、第1の酸化インジウムスズ膜31、第1の酸化シリコン膜33、及び第3の酸化シリコン膜37との間で、エッチングレートに差を設けることが極めて容易となる。よって、凹部38の形成が容易となる。
【0121】
第1の実施形態のトランジスタ100は、第3の部分24aと第4の部分24bとの間の第1の最小距離(図1中のd1)は、第5の部分20aと第6の部分20bとの間の第2の最小距離(図1中のd2)よりも大きい。したがって、例えば、比較例のトランジスタ900と比べて、下部電極12と酸化物半導体層16との間の接触面積が大きくなる。したがって、下部電極12と酸化物半導体層16との間の接触抵抗が低くなる。よって、トランジスタ100のオン抵抗が低減する。
【0122】
下部電極12と酸化物半導体層16との間の接触面積を大きくし、下部電極12と酸化物半導体層16との間の接触抵抗を低くする観点から、第1の最小距離d1は、第1の部分22aと第2の部分22bとの間の第3の最小距離(図1中のd3)よりも大きいことが好ましい。また、下部電極12と酸化物半導体層16との間の接触抵抗を低くする観点から、第1の最小距離d1は、第9の部分20cと第10の部分20dとの間の最大距離(図1中のd4)よりも大きいことが好ましい。
【0123】
(変形例)
第1の実施形態の変形例の半導体装置は、第3の部分と第4の部分との間の第1の最小距離は、第5の部分と第6の部分との間の第2の最小距離と等しい点で、第1の実施形態の半導体装置と異なる。
【0124】
図21は、第1の実施形態の変形例の半導体装置の模式断面図である。第1の実施形態の変形例の半導体装置は、トランジスタ101である。図21は、第1の実施形態の図1に対応する図である。
【0125】
図21に示すように、第3の部分24aと第4の部分24bとの間の第1の最小距離(図21中のd1)は、第5の部分20aと第6の部分20bとの間の第2の最小距離(図21中のd2)と等しい。
【0126】
第1の実施形態の変形例のトランジスタ101は、保護層24を備えることで、第1の実施形態のトランジスタ100と同様、オン抵抗が低減する。
【0127】
以上、第1の実施形態及び変形例によれば、オン抵抗が低減し、トランジスタ特性の優れた半導体装置が実現できる。
【0128】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体装置は、第5の部分と第6の部分との間の第2の最小距離は、第9の部分と第10の部分との間の最大距離よりも小さい点で、第1の実施形態の半導体装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0129】
図22は、第2の実施形態の半導体装置の模式断面図である。第2の実施形態の半導体装置は、トランジスタ200である。
【0130】
トランジスタ200は、酸化物半導体にチャネルが形成される酸化物半導体トランジスタである。トランジスタ200は、ゲート電極が、チャネルが形成される酸化物半導体層を囲んで設けられる。トランジスタ200は、いわゆるSGTである。トランジスタ200は、いわゆる縦型トランジスタである。
【0131】
トランジスタ200は、下部電極12、上部電極14、酸化物半導体層16、ゲート電極18、ゲート絶縁層20、下部絶縁層22、保護層24、及び上部絶縁層26を備える。下部絶縁層22は、第1の部分22a及び第2の部分22bを含む。保護層24は、第3の部分24a及び第4の部分24bを含む。ゲート絶縁層20は、第5の部分20a、第6の部分20b、第9の部分20c、及び第10の部分20dを含む。上部絶縁層26は、第7の部分26a及び第8の部分26bを含む。
【0132】
下部電極12は、第1の電極の一例である。上部電極14は、第2の電極の一例である。下部絶縁層22は、第1の絶縁層の一例である。保護層24は、中間層の一例である。上部絶縁層26は、第2の絶縁層の一例である。
【0133】
第5の部分20aと第6の部分20bとの間の第2の最小距離(図22中のd2)は、第9の部分20cと第10の部分20dとの間の最大距離(図22中のd4)よりも小さい。第1の方向に平行な第1の断面において、酸化物半導体層16の側面は、順テーパ形状を有する。
【0134】
例えば、第3の部分24aと第4の部分24bとの間の第1の最小距離(図22中のd1)は、第5の部分20aと第6の部分20bとの間の第2の最小距離(図22中のd2)よりも大きい。また、例えば、第1の最小距離d1は、第1の部分22aと第2の部分22bとの間の第3の最小距離(図22中のd3)よりも大きい。また、例えば、第1の最小距離d1は、第9の部分20cと第10の部分20dとの間の最大距離(図22中のd4)よりも大きい。
【0135】
第2の実施形態のトランジスタ200は、保護層24を備えることで、第1の実施形態のトランジスタ100と同様、オン抵抗が低減する。
【0136】
(変形例)
第2の実施形態の変形例の半導体装置は、酸化物半導体層に囲まれた第4の絶縁層を、更に備える点で、第2の実施形態の半導体装置と異なる。
【0137】
図23は、第2の実施形態の変形例の半導体装置の模式断面図である。第2の実施形態の変形例の半導体装置は、トランジスタ201である。図23は、第2の実施形態の図22に対応する図である。
【0138】
トランジスタ201はコア絶縁層28を備える。コア絶縁層28は、第4の絶縁層の一例である。
【0139】
コア絶縁層28は、第1の方向に垂直な断面において、酸化物半導体層16に囲まれる。コア絶縁層28は、例えば、コア絶縁層28は、上部絶縁層26を含み、第1の方向に垂直な断面において、酸化物半導体層16に囲まれる。
【0140】
コア絶縁層28は、第1の方向に延びる。コア絶縁層28は、例えば、上部電極14に接する。
【0141】
コア絶縁層28は、絶縁体である。コア絶縁層28は、例えば、酸化物、窒化物、又は酸窒化物である。コア絶縁層28は、例えば、シリコン(Si)及び酸素(O)を含む。コア絶縁層28は、例えば、酸化シリコンを含む。コア絶縁層28は、例えば、酸化シリコン層である。
【0142】
第2の実施形態の変形例のトランジスタ201は、保護層24を備えることで、第2の実施形態のトランジスタ200と同様、オン抵抗が低減する。
【0143】
以上、第2の実施形態及び変形例によれば、オン抵抗が低減し、トランジスタ特性の優れた半導体装置が実現できる。
【0144】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の半導体装置は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に設けられた酸化物半導体層と、酸化物半導体層を囲むゲート電極と、ゲート電極と酸化物半導体層との間に設けられ、第1の電極と離隔したゲート絶縁層と、第1の電極とゲート電極との間に設けられ、酸化物半導体層との間にゲート絶縁層が設けられた第1の絶縁層と、第1の電極と第1の絶縁層との間に設けられ、チタン(Ti)又はタングステン(W)の少なくともいずれか一方を含み、前記第1の電極の化学組成と異なる化学組成の中間層と、を備える。第3の実施形態の半導体装置は、中間層が、2つの領域に分かれていない点で、第1の実施形態の半導体装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0145】
図24は、第3の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図24は、第1の実施形態の図1に対応する図である。図24において、上下方向を第1の方向と称する。図1において、左右方向を第2の方向と称する。第2の方向は、第1の方向に垂直である。
【0146】
第3の実施形態の半導体装置は、トランジスタ300である。トランジスタ300は、酸化物半導体にチャネルが形成される酸化物半導体トランジスタである。トランジスタ300は、ゲート電極が、チャネルが形成される酸化物半導体層を囲んで設けられる。トランジスタ300は、いわゆるSurrounding Gate Transistor(SGT)である。トランジスタ300は、いわゆる縦型トランジスタである。
【0147】
トランジスタ300は、下部電極12、上部電極14、酸化物半導体層16、ゲート電極18、ゲート絶縁層20、下部絶縁層22、保護層24、及び上部絶縁層26を備える。酸化物半導体層16は、第1サブ領域16a、第2サブ領域16b、及び第3サブ領域16cを含む。下部絶縁層22は、第1の部分22a及び第2の部分22bを含む。ゲート絶縁層20は、第5の部分20a、第6の部分20b、第9の部分20c、及び第10の部分20dを含む。上部絶縁層26は、第7の部分26a及び第8の部分26bを含む。
【0148】
下部電極12は、第1の電極の一例である。上部電極14は、第2の電極の一例である。下部絶縁層22は、第1の絶縁層の一例である。保護層24は、中間層の一例である。上部絶縁層26は、第2の絶縁層の一例である。
【0149】
保護層24は、下部電極12の上に設けられる。保護層24は、下部電極12と下部絶縁層22との間に設けられる。保護層24は、例えば、下部電極12に接する。保護層24は、例えば、下部絶縁層22に接する。
【0150】
保護層24は酸化物半導体層16の第2サブ領域16bを囲む。保護層24は、例えば、酸化物半導体層16の第2サブ領域16bに接する。
【0151】
保護層24は、下部電極12と酸化物半導体層16との間のコンタクト構造を形成する際に、下部電極12がエッチングされることを抑制する機能を有する。
【0152】
保護層24は、下部電極12、下部絶縁層22、及び、酸化物半導体層16と異なる化学組成を有する。
【0153】
保護層24は、チタン(Ti)又はタングステン(W)の少なくともいずれか一方を含む。保護層24は、例えば、金属酸化物又は金属である。
【0154】
保護層24は、例えば、チタン、酸化チタン、窒化チタン、酸窒化チタン、炭化チタン、タングステン、酸化タングステン、窒化タングステン、酸窒化タングステン、炭化タングステン、チタンタングステン、モリブデンタングステン、及び、タンタルタングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。保護層24は、例えば、チタン層、酸化チタン層、窒化チタン層、酸窒化チタン層、炭化チタン層、タングステン層、酸化タングステン層、窒化タングステン層、酸窒化タングステン層、炭化タングステン、チタンタングステン層、モリブデンタングステン層、及び、タンタルタングステン層である。
【0155】
保護層24の第1の方向の厚さは、例えば、下部絶縁層22の第1の方向の厚さよりも薄い。保護層24の第1の方向の厚さは、例えば、下部絶縁層22の第1の方向の厚さの30%以下である。
【0156】
第3の実施形態のトランジスタ300によれば、第1の実施形態のトランジスタ100と同様の作用及び効果により、トランジスタ300のオン抵抗が低減する。
【0157】
チタン(Ti)を含む物質、及び、タングステン(W)を含む物質は、過酸化水素を主成分とする溶液を用いたウェットエッチング法により、エッチングすることが可能である。例えば、チタン(Ti)を含む金属酸化物、チタン(Ti)を含む金属、タングステン(W)を含む金属酸化物、及び、タングステン(W)を含む金属は、過酸化水素を主成分とする溶液を用いたウェットエッチング法により、エッチングすることが可能である。
【0158】
過酸化水素を主成分とする溶液は、中性又は弱酸性の溶液である。このため、図9に示すように凹部38を形成する際に、過酸化水素を主成分とする溶液をエッチング液として用いると、最終的に下部電極12、下部絶縁層22、ゲート絶縁層20となる膜のエッチングレートを極めて遅くできる。
【0159】
例えば、第1の酸化インジウムスズ膜31、第1の酸化シリコン膜33、及び第3の酸化シリコン膜37のエッチングレートが極めて遅くなる。いいかえれば、保護層24となる膜をエッチングする際に、窒化チタン膜32b及び酸化チタン膜32aと、第1の酸化インジウムスズ膜31、第1の酸化シリコン膜33、及び第3の酸化シリコン膜37との間で、エッチングレートに差を設けることが極めて容易となる。よって、第3の実施形態のトランジスタ300によれば、凹部38の形成が容易となる。
【0160】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の半導体記憶装置は、第1の実施形態の半導体装置と、第1の電極又は第2の電極に電気的に接続されたキャパシタと、を備える。
【0161】
第4の実施形態の半導体記憶装置は、半導体メモリ400である。第4の実施形態の半導体記憶装置は、DRAMである。半導体メモリ400は、第1の実施形態のトランジスタ100を、DRAMのメモリセルのスイッチングトランジスタとして使用する。
【0162】
以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0163】
図25は、第4の実施形態の半導体記憶装置の等価回路図である。図25は、メモリセルMCが1個の場合を例示しているが、メモリセルMCは、例えばアレイ状に複数設けられていても構わない。
【0164】
半導体メモリ400は、メモリセルMC、ワード線WL、ビット線BL、及びプレート線PLを備える。メモリセルMCは、スイッチングトランジスタTR及びキャパシタCAを含む。図25で、破線で囲まれた領域がメモリセルMCである。
【0165】
ワード線WLは、スイッチングトランジスタTRのゲート電極に電気的に接続される。ビット線BLは、スイッチングトランジスタTRのソース・ドレイン電極の一方に電気的に接続される。キャパシタCAの一方の電極は、スイッチングトランジスタTRのソース・ドレイン電極の他方に電気的に接続される。キャパシタCAの他方の電極は、プレート線PLに接続される。
【0166】
メモリセルMCは、キャパシタCAに電荷を蓄積することで、データを記憶する。データの書き込み及び読み出しは、スイッチングトランジスタTRをオン動作させることにより行う。
【0167】
例えば、ビット線BLに所望の電圧を印加した状態でスイッチングトランジスタTRをオン動作させ、メモリセルMCへのデータの書き込みを行う。
【0168】
また、例えば、スイッチングトランジスタTRをオン動作させ、キャパシタに蓄積された電荷量に応じたビット線BLの電圧変化を検知し、メモリセルMCのデータの読み出しを行う。
【0169】
図26は、第4の実施形態の半導体記憶装置の模式断面図である。図26は、半導体メモリ400のメモリセルMCの断面を示す。
【0170】
半導体メモリ400は、シリコン基板10、スイッチングトランジスタTR、キャパシタCA、第1の層間絶縁層50、及び第2の層間絶縁層52を含む。
【0171】
スイッチングトランジスタTRは、下部電極12、上部電極14、酸化物半導体層16、ゲート電極18、ゲート絶縁層20、下部絶縁層22、保護層24、及び上部絶縁層26を備える。
【0172】
スイッチングトランジスタTRは、第1の実施形態のトランジスタ100と同様の構造を有する。
【0173】
キャパシタCAは、シリコン基板10とスイッチングトランジスタTRとの間に設けられる。キャパシタCAは、シリコン基板10と下部電極12との間に設けられる。キャパシタCAは、下部電極12に電気的に接続される。
【0174】
キャパシタCAは、セル電極71、プレート電極72、キャパシタ絶縁膜73を備える。セル電極71は、下部電極12に電気的に接続される。セル電極71は、例えば、下部電極12に接する。
【0175】
セル電極71及びプレート電極72は、例えば、窒化チタンである。キャパシタ絶縁膜73は、例えば、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムの積層構造を有する。
【0176】
ゲート電極18は、例えば、図示しないワード線WLに電気的に接続される。上部電極14は、例えば、図示しないビット線BLに電気的に接続される。プレート電極72は、例えば、図示しないプレート線PLに接続される。
【0177】
半導体メモリ400は、オフ動作時のチャネルリーク電流が極めて小さい酸化物半導体トランジスタをスイッチングトランジスタTRに適用する。したがって、電荷保持特性に優れたDRAMが実現する。
【0178】
また、半導体メモリ400のスイッチングトランジスタTRは、オン抵抗が小さい。したがって、例えば、メモリセルMCの書き込み速度又は読み出し速度が速くなる。よって、半導体メモリ400の動作特性が向上する。
【0179】
第4の実施形態においては、第1の実施形態のトランジスタが適用される半導体メモリを例に説明したが、本発明の実施形態の半導体メモリは、第2又は第3の実施形態のトランジスタが適用される半導体メモリであっても構わない。
【0180】
第4の実施形態においては、セル電極が下部電極12に電気的に接続される半導体メモリを例に説明したが、本発明の実施形態の半導体メモリは、セル電極が上部電極14に電気的に接続される半導体メモリであっても構わない。
【0181】
キャパシタCAは、スイッチングトランジスタTRの上に設けられる構造であっても構わない。シリコン基板10とキャパシタCAとの間に、スイッチングトランジスタTRが設けられる構造であっても構わない。
【0182】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0183】
12 下部電極(第1の電極)
14 上部電極(第2の電極)
16 酸化物半導体層
16a 第1サブ領域(一部)
16b 第2サブ領域(別の一部)
18 ゲート電極
20 ゲート絶縁層
20a 第5の部分
20b 第6の部分
20c 第9の部分
20d 第10の部分
22 下部絶縁層(第1の絶縁層)
22a 第1の部分
22b 第2の部分
24 保護層(中間層)
24a 第3の部分
24b 第4の部分
24x 金属酸化物領域(第1の領域)
24y 金属領域(第2の領域)
26 上部絶縁層(第2の絶縁層)
26a 第7の部分
26b 第8の部分
100 トランジスタ(半導体装置)
200 トランジスタ(半導体装置)
300 トランジスタ(半導体装置)
400 半導体メモリ(半導体記憶装置)
CA キャパシタ
d1 第1の最小距離
d2 第2の最小距離
d3 第3の最小距離
d4 最大距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
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図21
図22
図23
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図26