(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136413
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】記憶装置
(51)【国際特許分類】
H10B 61/00 20230101AFI20240927BHJP
H10B 63/00 20230101ALI20240927BHJP
H10N 50/10 20230101ALI20240927BHJP
H10N 70/00 20230101ALI20240927BHJP
H10N 99/00 20230101ALI20240927BHJP
H10B 63/10 20230101ALI20240927BHJP
【FI】
H10B61/00
H10B63/00
H10N50/10 Z
H10N70/00 Z
H10N99/00
H10B63/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047523
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕也
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】東 悠介
(72)【発明者】
【氏名】趙 丹丹
(72)【発明者】
【氏名】グエンビェット バオ
(72)【発明者】
【氏名】野村 幸寛
(72)【発明者】
【氏名】村上 俊也
(72)【発明者】
【氏名】山本 和彦
【テーマコード(参考)】
4M119
5F083
5F092
【Fターム(参考)】
4M119AA01
4M119AA17
4M119BB01
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5F083FZ10
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5F092BC04
5F092BC43
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5F092EA04
(57)【要約】
【課題】特性の優れたスイッチング素子を有する記憶装置を提供する。
【解決手段】実施形態の記憶装置は、第1の導電層と第3の導電層との間のスイッチング層と、第3の導電層と第2の導電層との間の抵抗変化層と、を含むメモリセルを備える。スイッチング層は、第1の領域と、第1の領域と第3の導電層との間の第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間の第3の領域と、を含む。第1の領域は、Zn及びSnからなる群から選ばれる少なくとも一つの第1の元素と、Oと、を含み、第2の領域は、Zn及びSnからなる群から選ばれる少なくとも一つの第2の元素と、Oと、を含み、第3の領域は、Ta、Nb、及び、Vからなる群から選ばれる少なくとも一つの第3の元素と、Oと、を含み、第1の導電層及び第3の導電層は、C、Co、Au、及び、Niからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電層と、
第2の導電層と、
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に設けられた第3の導電層と、
前記第1の導電層と前記第3の導電層との間に設けられたスイッチング層と、
前記第3の導電層と前記第2の導電層との間に設けられた抵抗変化層と、を含むメモリセルを備え、
前記スイッチング層は、
第1の領域と、前記第1の領域と前記第3の導電層との間の第2の領域と、前記第1の領域と前記第2の領域との間の第3の領域と、を含み、
前記第1の領域は、亜鉛(Zn)及びスズ(Sn)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第1の元素と、酸素(O)と、を含み、
前記第2の領域は、亜鉛(Zn)及びスズ(Sn)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第2の元素と、酸素(O)と、を含み、
前記第3の領域は、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、及び、バナジウム(V)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第3の元素と、酸素(O)と、を含み、
前記第1の導電層は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含み、
前記第3の導電層は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む、記憶装置。
【請求項2】
前記第3の領域の前記第1の導電層から前記第2の導電層に向かう第1の方向の厚さは、
前記第1の領域の前記第1の方向の厚さ、及び、前記第2の領域の前記第1の方向の厚さよりも厚い、請求項1記載の記憶装置。
【請求項3】
前記第3の領域の前記第1の方向の厚さは、2.5nm以上4.0nm以下であり、
前記第1の領域の前記第1の方向の厚さ、及び、前記第2の領域の前記第1の方向の厚さは、1.6nm以上2.4nm以下である、請求項2記載の記憶装置。
【請求項4】
前記第1の領域は前記第1の元素の酸化物である第1の酸化物を含み、
前記第2の領域は前記第2の元素の酸化物である第2の酸化物を含み、
前記第3の領域は前記第3の元素の酸化物である第3の酸化物を含み、
前記第3の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、前記第1の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも小さく、
前記第3の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、前記第2の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも小さい、請求項1記載の記憶装置。
【請求項5】
第4の酸化物を含む第1の側壁と、
第5の酸化物を含む第2の側壁と、
を更に備え、
前記第1の導電層から前記第2の導電層に向かう第1の方向に垂直な第2の方向において、前記第1の領域は前記第1の側壁と前記第2の側壁との間に設けられ、
前記第2の方向において、前記第2の領域は前記第1の側壁と前記第2の側壁との間に設けられ、
前記第1の領域は前記第1の元素の酸化物である第1の酸化物を含み、
前記第2の領域は前記第2の元素の酸化物である第2の酸化物を含み、
前記第4の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、前記第1の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きく、
前記第4の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、前記第2の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きく、
前記第5の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、前記第1の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きく、
前記第5の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、前記第2の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい、請求項1記載の記憶装置。
【請求項6】
第6の酸化物を含む第3の側壁と、
第7の酸化物を含む第4の側壁と、
を更に備え、
前記第2の方向において、前記第3の側壁は、前記第1の領域と前記第1の側壁との間に設けられ、
前記第2の方向において、前記第3の側壁は、前記第2の領域と前記第1の側壁との間に設けられ、
前記第2の方向において、前記第4の側壁は、前記第1の領域と前記第2の側壁との間に設けられ、
前記第2の方向において、前記第4の側壁は、前記第2の領域と前記第2の側壁との間に設けられ、
前記第6の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、前記第1の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きく、
前記第6の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、前記第2の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きく、
前記第6の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、前記第4の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも小さく、
前記第7の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、前記第1の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きく、
前記第7の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、前記第2の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きく、
前記第7の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、前記第5の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも小さい、請求項5記載の記憶装置。
【請求項7】
前記第1の側壁は前記第1の導電層又は前記第3の導電層と離隔し、
前記第2の側壁は前記第1の導電層又は前記第3の導電層と離隔する、請求項5記載の記憶装置。
【請求項8】
前記第1の領域の前記第2の方向に位置する前記第1の側壁の前記第2の方向の厚さは、前記第2の領域の前記第2の方向に位置する前記第1の側壁の前記第2の方向の厚さと異なり、
前記第1の領域の前記第2の方向に位置する前記第2の側壁の前記第2の方向の厚さは、前記第2の領域の前記第2の方向に位置する前記第2の側壁の前記第2の方向の厚さと異なる、請求項5記載の記憶装置。
【請求項9】
前記第1の導電層と前記第3の導電層との間に設けられ、前記第1の領域及び前記第2の領域のいずれか一方に接する、第4の領域を、更に備え、
前記第4の領域は、インジウム(In)、スズ(Sn)、及び、酸素(O)の元素組み合わせ、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、及び、酸素(O)の元素組み合わせ、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、及び、酸素(O)の元素組み合わせ、及び、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、及び、酸素(O)の元素組み合わせからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素組み合わせを含む、請求項1記載の記憶装置。
【請求項10】
前記第4の領域の前記第1の導電層から前記第2の導電層に向かう第1の方向の厚さは、2nm以上20nm以下である、請求項9記載の記憶装置。
【請求項11】
前記第1の導電層と前記第1の領域との間に設けられ、銀(Ag)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、及び、ロジウム(Rh)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第1の金属元素と、酸素(O)を含む第1の層と、
前記第3の導電層と前記第2の領域との間に設けられ、銀(Ag)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、及び、ロジウム(Rh)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第2の金属元素と、酸素(O)を含む第2の層と、
の少なくともいずれか一方を更に備える請求項1記載の記憶装置。
【請求項12】
前記第1の層は、前記少なくとも一つの第1の金属元素の第1の金属酸化物を含み、
前記第2の層は、前記少なくとも一つの第2の金属元素の第2の金属酸化物を含み、
前記第1の領域は前記少なくとも一つの第1の元素の酸化物である第1の酸化物を含み、
前記第2の領域は前記少なくとも一つの第2の元素の酸化物である第2の酸化物を含み、
前記第1の金属酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、前記第1の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きく、
前記第2の金属酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、前記第2の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい、請求項11記載の記憶装置。
【請求項13】
前記抵抗変化層は磁気トンネル接合を含む、請求項1記載の記憶装置。
【請求項14】
前記抵抗変化層は、所定の電圧の印加により電気抵抗が変化し、
前記スイッチング層は、特定の閾値電圧で電流が立ち上がる非線形な電流電圧特性を有する、請求項1記載の記憶装置。
【請求項15】
複数の第1の配線と、
前記複数の第1の配線と交差する複数の第2の配線と、を更に備え、
前記複数の第1の配線の一つと、前記複数の第2の配線の一つが交差する領域に前記メモリセルが設けられる、請求項1記載の記憶装置。
【請求項16】
第1の導電層と、
第2の導電層と、
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に設けられた第3の導電層と、
前記第1の導電層と前記第3の導電層との間に設けられたスイッチング層と、
前記第3の導電層と前記第2の導電層との間に設けられた抵抗変化層と、を含むメモリセルを備え、
前記スイッチング層は、
第1の領域と、前記第1の領域と前記第3の導電層との間の第2の領域と、前記第1の領域と前記第2の領域との間の第3の領域と、を含み、
前記第1の領域は、酸化ニオブ、酸化バナジウム、クロム添加酸化バナジウム、酸化ニッケル、チタン酸ランタン、ストロンチウム添加マンガン酸ランタン、及び、酸化鉄からなる群から選ばれる少なくとも一つの第1の金属酸化物を含み、
前記第2の領域は、酸化ニオブ、酸化バナジウム、クロム添加酸化バナジウム、酸化ニッケル、チタン酸ランタン、ストロンチウム添加マンガン酸ランタン、及び、酸化鉄からなる群から選ばれる少なくとも一つの第2の金属酸化物を含み、
前記第3の領域は、酸化ジルコニウム、窒化シリコン、チタン酸ストロンチウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ハフニウム、アルミン酸銅、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、ケイ酸ハフニウム、チタン酸バリウム、炭化珪素、酸化ゲルマニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、及び、窒化アルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む、記憶装置。
【請求項17】
前記少なくとも一つの物質の電子親和力は、前記少なくとも一つの第1の金属酸化物の電子親和力よりも小さく、
前記少なくとも一つの物質の電子親和力は、前記少なくとも一つの第2の金属酸化物の電子親和力よりも小さい、請求項16記載の記憶装置。
【請求項18】
前記第1の導電層は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含み、
前記第3の導電層は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む、請求項16記載の記憶装置。
【請求項19】
前記抵抗変化層は磁気トンネル接合を含む、請求項16記載の記憶装置。
【請求項20】
前記抵抗変化層は、所定の電圧の印加により電気抵抗が変化し、
前記スイッチング層は、特定の閾値電圧で電流が立ち上がる非線形な電流電圧特性を有する、請求項16記載の記憶装置。
【請求項21】
複数の第1の配線と、
前記複数の第1の配線と交差する複数の第2の配線と、を更に備え、
前記複数の第1の配線の一つと、前記複数の第2の配線の一つが交差する領域に前記メモリセルが設けられる、請求項16記載の記憶装置。
【請求項22】
第1の導電層と、
第2の導電層と、
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に設けられた第3の導電層と、
前記第1の導電層と前記第3の導電層との間に設けられたスイッチング層と、
前記第3の導電層と前記第2の導電層との間に設けられた抵抗変化層と、を含むメモリセルを備え、
前記スイッチング層は、
第1の領域と、前記第1の領域と前記第3の導電層との間の第2の領域と、前記第1の領域と前記第2の領域との間の第3の領域と、を含み、
前記第1の領域は、酸化ニオブ、酸化バナジウム、クロム添加酸化バナジウム、酸化ニッケル、チタン酸ランタン、ストロンチウム添加マンガン酸ランタン、及び、酸化鉄からなる群から選ばれる少なくとも一つの第1の金属酸化物を含み、
前記第2の領域は、酸化ニオブ、酸化バナジウム、クロム添加酸化バナジウム、酸化ニッケル、チタン酸ランタン、ストロンチウム添加マンガン酸ランタン、及び、酸化鉄からなる群から選ばれる少なくとも一つの第2の金属酸化物を含み、
前記第3の領域は、酸化ニオブ、酸化バナジウム、クロム添加酸化バナジウム、酸化ニッケル、チタン酸ランタン、ストロンチウム添加マンガン酸ランタン、及び、酸化鉄からなる群から選ばれる少なくとも一つの第3の金属酸化物を含み、
前記第3の金属酸化物の電子親和力は、前記第1の金属酸化物の電子親和力よりも小さく、
前記第3の金属酸化物の電子親和力は、前記第2の金属酸化物の電子親和力よりも小さい、記憶装置。
【請求項23】
前記第1の導電層は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含み、
前記第3の導電層は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む、請求項22記載の記憶装置。
【請求項24】
前記抵抗変化層は磁気トンネル接合を含む、請求項22記載の記憶装置。
【請求項25】
前記抵抗変化層は、所定の電圧の印加により電気抵抗が変化し、
前記スイッチング層は、特定の閾値電圧で電流が立ち上がる非線形な電流電圧特性を有する、請求項22記載の記憶装置。
【請求項26】
複数の第1の配線と、
前記複数の第1の配線と交差する複数の第2の配線と、を更に備え、
前記複数の第1の配線の一つと、前記複数の第2の配線の一つが交差する領域に前記メモリセルが設けられる、請求項22記載の記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大容量の不揮発性記憶装置として、クロスポイント型の2端子の記憶装置がある。クロスポイント型の2端子の記憶装置は、メモリセルの微細化・高集積化が容易である。
【0003】
クロスポイント型の2端子の記憶装置のメモリセルは、例えば、抵抗変化素子とスイッチング素子を有する。メモリセルがスイッチング素子を有することで、選択メモリセル以外のメモリセルに流れる電流が抑制される。
【0004】
スイッチング素子には、低いリーク電流、高いオン電流、及び高い信頼性など、優れた特性を備えることが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施形態では、特性の優れたスイッチング素子を有する記憶装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態の記憶装置は、第1の導電層と、第2の導電層と、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に設けられた第3の導電層と、前記第1の導電層と前記第3の導電層との間に設けられたスイッチング層と、前記第3の導電層と前記第2の導電層との間に設けられた抵抗変化層と、を含むメモリセルを備える。前記スイッチング層は、第1の領域と、前記第1の領域と前記第3の導電層との間の第2の領域と、前記第1の領域と前記第2の領域との間の第3の領域と、を含む。前記第1の領域は、亜鉛(Zn)及びスズ(Sn)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第1の元素と、酸素(O)と、を含み、前記第2の領域は、亜鉛(Zn)及びスズ(Sn)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第2の元素と、酸素(O)と、を含み、前記第3の領域は、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、及び、バナジウム(V)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第3の元素と、酸素(O)と、を含む。前記第1の導電層は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含み、前記第3の導電層は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】第1の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図4】第1の実施形態のスイッチング素子の電流電圧特性の説明図。
【
図5】第1の実施形態の記憶装置の作用及び効果の説明図。
【
図6】第1の実施形態の記憶装置の作用及び効果の説明図。
【
図7】第2の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図8】第2の実施形態の第1の変形例の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図9】第2の実施形態の第2の変形例の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図10】第2の実施形態の第3の変形例の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図11】第3の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図12】第3の実施形態の第1の変形例の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図13】第3の実施形態の第2の変形例の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図14】第3の実施形態の第3の変形例の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図15】第4の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図16】第5の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図17】第5の実施形態のスイッチング素子のバンド構造を示す図。
【
図18】第5の実施形態の比較例の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図19】第5の実施形態の記憶装置の作用及び効果の説明図。
【
図20】第5の実施形態の記憶装置の作用及び効果の説明図。
【
図21】第5の実施形態の記憶装置の作用及び効果の説明図。
【
図22】第5の実施形態の記憶装置の作用及び効果の説明図。
【
図23】第6の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図24】第6の実施形態のスイッチング素子のバンド構造を示す図。
【
図25】第6の実施形態の記憶装置の作用及び効果の説明図。
【
図26】第7の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材などには同一の符号を付し、一度説明した部材などについては適宜その説明を省略する。
【0010】
本明細書中の記憶装置を構成する化学組成の定性分析及び定量分析は、例えば、ラザフォード後方散乱分光法(Rutherford Backscattering Spectroscopy:RBS)、二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectroscopy:SIMS)、エネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy:EDS)、電子エネルギー損失分光法(Electron Energy Loss Spectroscopy:EELS)などにより行うことが可能である。また、記憶装置を構成する部材の厚さ、部材間の距離等の測定には、例えば、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)を用いることが可能である。また、記憶装置を構成する部材の構成物質の同定、構成物質の存在割合の計測には、例えば、X線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)、硬X線光電子分光法(Hard X-ray Photoelectron Spectroscopy:HAXPES)、EELSを用いることが可能である。
【0011】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の記憶装置は、第1の導電層と、第2の導電層と、第1の導電層と第2の導電層との間に設けられた第3の導電層と、第1の導電層と第3の導電層との間に設けられたスイッチング層と、第3の導電層と第2の導電層との間に設けられた抵抗変化層と、を含むメモリセルを備える。スイッチング層は、第1の領域と、第1の領域と第3の導電層との間の第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間の第3の領域と、を含む。第1の領域は、亜鉛(Zn)及びスズ(Sn)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第1の元素と、酸素(O)と、を含み、第2の領域は、亜鉛(Zn)及びスズ(Sn)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第2の元素と、酸素(O)と、を含み、第3の領域は、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、及び、バナジウム(V)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第3の元素と、酸素(O)と、を含む。第1の導電層は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含み、第3の導電層は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。
【0012】
また、第1の実施形態の記憶装置は、複数の第1の配線と、複数の第1の配線と交差する複数の第2の配線と、を更に備える。そして、複数の第1の配線の一つと、複数の第2の配線の一つが交差する領域に上記メモリセルが設けられる。
【0013】
図1は、第1の実施形態の記憶装置のブロック図である。
【0014】
第1の実施形態の記憶装置のメモリセルアレイ100は、例えば、半導体基板101上に絶縁層を介して、複数のワード線102と、ワード線102と交差する複数のビット線103とを備える。ビット線103は、例えば、ワード線102の上層に設けられる。ワード線102は、ビット線103の上層に設けられてもよい。また、メモリセルアレイ100の周囲には、周辺回路として、第1の制御回路104、第2の制御回路105、センス回路106が設けられる。
【0015】
ワード線102は第1の配線の一例である。また、ビット線103は、第2の配線の一例である。
【0016】
ワード線102と、ビット線103が交差する領域に、複数のメモリセルMCが設けられる。第1の実施形態の記憶装置は、クロスポイント構造を備える二端子の磁気抵抗メモリである。
【0017】
複数のワード線102は、それぞれ、第1の制御回路104に接続される。また、複数のビット線103は、それぞれ、第2の制御回路105に接続される。センス回路106は、第1の制御回路104及び第2の制御回路105に接続される。
【0018】
第1の制御回路104及び第2の制御回路105は、例えば、所望のメモリセルMCを選択し、そのメモリセルMCへのデータの書き込み、メモリセルMCのデータの読み出し、メモリセルMCのデータの消去等を行う機能を備える。データの読み出し時に、メモリセルMCのデータは、ワード線102と、ビット線103との間に流れる電流量、又はビット線103の電位変化として読み出される。センス回路106は、その電流量を判定して、データの極性を判断する機能を備える。例えば、データの“0”、“1”を判定する。
【0019】
第1の制御回路104、第2の制御回路105、及び、センス回路106は、例えば、半導体基板101上に形成される半導体デバイスを用いた電子回路で構成される。
【0020】
図2は、第1の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図2は、
図1のメモリセルアレイ100中の、例えば点線の円で示される一個のメモリセルMCの断面を示す。
【0021】
メモリセルMCは、
図2に示すように、下部電極10、上部電極20、中間電極30、スイッチング層40、及び、抵抗変化層50を備える。スイッチング層40は、下部領域41、上部領域42、中間領域43を含む。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53を含む。
【0022】
下部電極10は、第1の導電層の一例である。上部電極20は、第2の導電層の一例である。中間電極30は、第3の導電層の一例である。下部領域41は、第1の領域の一例である。上部領域42は第2の領域の一例である。中間領域43は、第3の領域の一例である。
【0023】
下部電極10、スイッチング層40、及び中間電極30が、メモリセルMCのスイッチング素子を構成する。中間電極30、抵抗変化層50、及び上部電極20が、メモリセルMCの抵抗変化素子を構成する。
【0024】
下部電極10はワード線102に接続される。下部電極10は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。下部電極10は、例えば、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。下部電極10は、例えば、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、又は、ニッケル(Ni)である。
【0025】
下部電極10はワード線102の一部であっても構わない。
【0026】
上部電極20はビット線103に接続される。上部電極20は、例えば金属である。上部電極20は、例えば、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0027】
上部電極20はビット線103の一部であっても構わない。
【0028】
中間電極30は、下部電極10と上部電極20との間に設けられる。中間電極30は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。中間電極30は、例えば、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。中間電極30は、例えば、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、又は、ニッケル(Ni)である。
【0029】
スイッチング層40は、下部電極10と中間電極30との間に設けられる。スイッチング層40の下部電極10から上部電極20に向かう第1の方向の厚さは、例えば、5nm以上50nm以下である。
【0030】
スイッチング層40は、半選択セルに流れる半選択リーク電流の増加を抑制する機能を有する。スイッチング層40は、特定の閾値電圧で電流が急峻に立ち上がる非線形な電流電圧特性を有する。
【0031】
スイッチング層40は、下部領域41、上部領域42、中間領域43を含む。上部領域42は、下部領域41と中間電極30との間に設けられる。中間領域43は、下部領域41と上部領域42との間に設けられる。
【0032】
下部領域41は、例えば、下部電極10に接する。下部領域41は、例えば、中間領域43に接する。上部領域42は、例えば、中間電極30に接する。上部領域42は、例えば、例えば、中間領域43に接する。
【0033】
スイッチング層40の下部領域41は、亜鉛(Zn)及びスズ(Sn)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第1の元素と、酸素(O)と、を含む。下部領域41は、例えば、第1の元素の酸化物である第1の酸化物を含む。
【0034】
第1の酸化物は、例えば、酸化亜鉛、又は、酸化スズである。下部領域41は、例えば、酸化亜鉛、又は、酸化スズである。
【0035】
下部領域41に含まれる酸化亜鉛は、例えば、ZnOで表される化学組成を有する。下部領域41に含まれる酸化スズは、例えば、SnO2で表される化学組成を有する。
【0036】
下部領域41の第1の方向の厚さは、例えば、1.6nm以上2.4nm以下である。
【0037】
スイッチング層40の上部領域42は、亜鉛(Zn)及びスズ(Sn)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第2の元素と、酸素(O)と、を含む。上部領域42は、例えば、第2の元素の酸化物である第2の酸化物を含む。
【0038】
第1の元素と第2の元素は、例えば、同一の元素である。第1の酸化物と第2の酸化物は、例えば、同一の酸化物である。
【0039】
第2の酸化物は、例えば、酸化亜鉛、又は、酸化スズである。上部領域42は、例えば、酸化亜鉛、又は、酸化スズである。
【0040】
上部領域42に含まれる酸化亜鉛は、例えば、ZnOで表される化学組成を有する。上部領域42に含まれる酸化スズは、例えば、SnO2で表される化学組成を有する。
【0041】
上部領域42の第1の方向の厚さは、例えば、1.6nm以上2.4nm以下である。
【0042】
スイッチング層40の中間領域43は、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、及び、バナジウム(V)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第3の元素と、酸素(O)と、を含む。中間領域43は、例えば、第3の元素の酸化物である第3の酸化物を含む。
【0043】
第3の酸化物は、例えば、酸化タンタル、酸化ニオブ、又は、酸化バナジウムである。中間領域43は、例えば酸化タンタル、酸化ニオブ、又は、酸化バナジウムである。
【0044】
中間領域43に含まれる酸化タンタルは、例えば、Ta2O5で表される化学組成を有する。中間領域43に含まれる酸化ニオブは、例えば、Nb2O5で表される化学組成を有する。中間領域43に含まれる酸化バナジウムは、例えば、V2O5で表される化学組成を有する。
【0045】
中間領域43の第1の方向の厚さは、例えば、2.5nm以上4.0nm以下である。
【0046】
中間領域43の第1の方向の厚さは、例えば、下部領域41の第1の方向の厚さよりも厚い。また、中間領域43の第1の方向の厚さは、例えば、上部領域42の第1の方向の厚さよりも厚い。
【0047】
中間領域43に含まれる第3の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、例えば、下部領域41に含まれる第1の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも小さい。中間領域43に含まれる第3の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、例えば、上部領域42に含まれる第2の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも小さい。なお、標準生成ギブズエネルギーが負の値である場合は、標準生成ギブズエネルギーが小さいとは、標準生成ギブズエネルギーの絶対値が大きいことを意味する。
【0048】
例えば、酸化タンタル(Ta2O5)の標準生成ギブズエネルギー、酸化ニオブ(Nb2O5)の標準生成ギブズエネルギー、及び、酸化バナジウム(V2O5)の標準生成ギブズエネルギーは、酸化亜鉛(ZnO)の標準生成ギブズエネルギー、及び、酸化スズ(SnO2)の標準生成ギブズエネルギーよりも小さい。
【0049】
なお、第1の酸化物、第2の酸化物、及び、第3の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、第1の酸化物、第2の酸化物、及び、第3の酸化物が特定できれば、それらの物性値として特定できる。
【0050】
中間領域43に含まれる第3の酸化物の電子親和力は、例えば、下部領域41に含まれる第1の酸化物の電子親和力より小さい。また、中間領域43に含まれる第3の酸化物の電子親和力は、例えば、上部領域42に含まれる第2の酸化物の電子親和力より小さい。
【0051】
中間領域43に含まれる第3の酸化物の誘電率は、例えば、下部領域41に含まれる第1の酸化物の誘電率より大きい。また、中間領域43に含まれる第3の酸化物の誘電率は、例えば、上部領域42に含まれる第2の酸化物の誘電率より大きい。
【0052】
抵抗変化層50は、中間電極30と上部電極20との間に設けられる。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53を有する。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53で構成される磁気トンネル接合を含む。
【0053】
抵抗変化層50は、抵抗変化によりデータを記憶する機能を有する。抵抗変化層50は、例えば、所定の電圧の印加により電気抵抗が変化する特性を有する。
【0054】
固定層51は、強磁性体である。固定層51では、所定の書き込み電圧に対して磁化方向が変化せず、磁化方向が特定の方向に固定される。
【0055】
トンネル層52は、絶縁体である。トンネル層52では、電子がトンネル効果によって通過する。
【0056】
自由層53は、強磁性体である。自由層53では、所定の書き込み電圧に対して磁化方向が変化する。自由層53の磁化方向は、固定層51の磁化方向と平行な状態、及び、固定層51の磁化方向と反平行な状態のどちらの状態もとることが可能である。例えば、中間電極30と上部電極20との間に、電圧を印加し電流を流すことにより、自由層53の磁化方向を変化させることが可能となる。
【0057】
自由層53の磁化方向を変化させることで、抵抗変化層50の電気抵抗が変化する。自由層53の磁化方向が固定層51の磁化方向と反平行な状態になる場合、電流が流れにくい高抵抗状態となる。一方、自由層53の磁化方向が固定層51の磁化方向と平行な状態になる場合、電流が流れやすい低抵抗状態となる。なお、固定層51と自由層53の配置は逆でも良い。つまり、中間電極30、自由層53、トンネル層52、固定層51、上部電極20の順に積層されていても良い。
【0058】
次に、第1の実施形態の記憶装置の作用及び効果について説明する。
【0059】
第1の実施形態の記憶装置は、上述のように、自由層53の磁化方向を変化させることで、抵抗変化層50の抵抗が変化する。自由層53の磁化方向が固定層51の磁化方向と反平行な状態になる場合、電流が流れにくい高抵抗状態となる。一方、自由層53の磁化方向が固定層51の磁化方向と平行な状態になる場合、電流が流れやすい低抵抗状態となる。
【0060】
例えば、抵抗変化層50の高抵抗状態をデータ“1”、低抵抗状態をデータ“0”と定義する。メモリセルMCは異なる抵抗状態を維持できることで、“0”と“1”の1ビットデータを記憶することが可能となる。1つのメモリセルMCの書き込みは、そのメモリセルMCに接続されたビット線103とワード線102との間に電圧を印加し電流を流すことで行う。
【0061】
図3は、第1の実施形態の記憶装置の課題の説明図である。
図3は、メモリセルアレイ内の1個のメモリセルMCを書き込み動作のために選択した際に、メモリセルMCに印加される電圧を示している。ワード線とビット線の交点が、各メモリセルMCを表している。
【0062】
選択されたメモリセルMCはメモリセルA(選択セル)である。メモリセルAにつながるワード線には書き込み電圧Vwriteが印加される。また、メモリセルAにつながるビット線には、0Vが印加される。
【0063】
以下、メモリセルAと接続されないワード線及びビット線には、書き込み電圧の半分の電圧(Vwrite/2)が印加される場合を例に説明する。
【0064】
メモリセルAと接続されないワード線及びビット線に接続されたメモリセルC(非選択セル)に印加される電圧は0Vである。すなわち、電圧は印加されない。
【0065】
一方、メモリセルAと接続されたワード線又はメモリセルAと接続されたビット線に接続されたメモリセルB(半選択セル)には、書き込み電圧Vwriteの半分の電圧(Vwrite/2)が印加される。したがって、メモリセルB(半選択セル)には、半選択リーク電流が流れることになる。
【0066】
なお、上記以外の印加方式として、メモリセルAにつながるワード線に書き込み電圧の半分の電圧(Vwrite/2)を、ビット線に書き込み電圧の半分の負電圧(-Vwrite/2)を、メモリセルAにつながらないワード線及びビット線に0Vを印加する方式を使用しても良い。
【0067】
図4は、第1の実施形態のスイッチング素子の電流電圧特性の説明図である。横軸がスイッチング素子に印加される電圧、縦軸がスイッチング素子に流れる電流である。
【0068】
スイッチング素子は閾値電圧Vthで電流が急峻に立ち上がる非線形な電流電圧特性を有する。閾値電圧Vthは、例えば、0.5V以上3V以下である。
【0069】
第1の実施形態のスイッチング素子では、書き込み電圧Vwriteが閾値電圧Vthより高く、書き込み電圧Vwriteの半分の電圧(Vwrite/2)が閾値電圧より低くなるように、書き込み電圧Vwriteは設定される。書き込み電圧Vwriteを印加した時にスイッチング素子に流れる電流がオン電流(
図4中のIon)である。書き込み電圧Vwriteの半分の電圧(Vwrite/2)を印加した時にスイッチング素子に流れる電流が半選択リーク電流(
図4中のIhalf)である。
【0070】
なお、メモリセルMCの読み出し電圧Vreadは、例えば、
図4に示すように、閾値電圧Vthより高く、書き込み電圧Vwriteより低い電圧に設定される。したがって、メモリセルMCの読み出しの際に、半選択セルに流れる半選択リーク電流も抑制できる。
【0071】
半選択リーク電流が大きいと、例えば、チップの消費電力の増大を招く。また、例えば、配線での電圧降下が増加して選択セルに十分高い電圧が印加されなくなり、メモリセルMCへの書き込み動作が不安定となる。また、オン電流が小さいと、例えば、選択セルに流れる電流が不足し、メモリセルMCへの書き込み不足が生じる。したがって、スイッチング素子の電流電圧特性には、低い半選択リーク電流と高いオン電流を両立することが要求される。
【0072】
図5(a)、
図5(b)、及び、
図5(c)は、第1の実施形態の記憶装置の作用及び効果の説明図である。
図5(a)、
図5(b)、及び、
図5(c)は、第1の実施形態のスイッチング素子の電流電圧特性の説明図である。
図5(a)、
図5(b)、及び、
図5(c)は、下部電極10、下部領域41、中間領域43、上部領域42、及び、中間電極30のバンド構造を示す。
【0073】
図5(a)は、下部電極10と中間電極30との間に電圧が印加されていない場合を示す。
図5(b)は、下部電極10と中間電極30との間に書き込み電圧(Vwrite)の半分の電圧(Vwrite/2)が印加された場合を示す。
図5(c)は、下部電極10と中間電極30との間に書き込み電圧(Vwrite)が印加された場合を示す。
【0074】
図5(a)に示すように、中間領域43の電子親和力(Ea3)は、下部領域41の電子親和力(Ea1)、及び、上部領域42の電子親和力(Ea2)よりも小さい。したがって、
図5(a)に示すように、第1の実施形態のスイッチング素子は、中央部の電子障壁が高いバンド構造を有する。第1の実施形態のスイッチング素子は、いわゆるCrested型のバンド構造を有するスイッチング素子である。
【0075】
下部電極10と中間電極30との間に書き込み電圧(Vwrite)の半分の電圧(Vwrite/2)が印加された場合、
図5(b)に示すように、中央部の電子障壁が高いため、流れる電流は小さい。いいかえれば、半選択リーク電流が低く抑えられる。
【0076】
下部電極10と中間電極30との間に書き込み電圧(Vwrite)が印加された場合、
図5(c)に示すように、中央部の電子障壁の実効高さが低くなり、大きなトンネル電流が流れる。いいかえれば、高いオン電流が流れる。
【0077】
図6は、第1の実施形態の記憶装置の作用及び効果の説明図である。
図6は、第1の実施形態のスイッチング素子のバンド構造を示す図である。
【0078】
スイッチング素子の下部電極10と中間電極30との間を流れる電流量は、
図6に示すようなバンド構造のパラメータを特定することにより、算出することができる。具体的には、下部領域41の第1の障壁高さφb1、上部領域42の第2の障壁高さφb2、中間領域43の第3の障壁高さφb3、下部領域41を構成する材料の第1の誘電率ε1、上部領域42を構成する材料の第2の誘電率ε2、中間領域43を構成する材料の第3の誘電率ε3、下部領域41の膜厚t1、上部領域42の膜厚t2、及び、中間領域43の膜厚t3を特定することで、電流量を算出することができる。
【0079】
第1の障壁高さφb1は、下部電極10を構成する材料の第1の仕事関数φm1と、下部領域41を構成する材料の電子親和力(Ea1)との差分である。第2の障壁高さφb2は、中間電極30を構成する材料の第2の仕事関数φm2と、上部領域42を構成する材料の電子親和力(Ea2)との差分である。第3の障壁高さφb3は、下部電極10を構成する材料の第1の仕事関数φm1又は中間電極30を構成する材料の第2の仕事関数φm2と、中間領域43を構成する材料の電子親和力(Ea3)との差分である。
【0080】
第1の誘電率ε1、第2の誘電率ε2、第3の誘電率ε3、膜厚t1、膜厚t2、及び、膜厚t3から、下部領域41、上部領域42、及び、中間領域43のそれぞれに印加される電圧が算出される。
【0081】
発明者らは、Crested型のスイッチング素子のバンド構造の上記パラメータを変化させて、スイッチング素子に流れる半選択リーク電流とオン電流を計算した。そして、低い半選択リーク電流と高いオン電流を両立することができる、下部領域41、上部領域42、中間領域43、下部電極10、及び、中間電極30を構成する材料の組み合わせを見出した。
【0082】
第1の実施形態の記憶装置のスイッチング素子は、下部領域41、上部領域42、中間領域43、下部電極10、及び、中間電極30に適切な材料を含むことで、低い半選択リーク電流と高いオン電流を両立することができる。
【0083】
第1の実施形態の記憶装置のスイッチング素子において、下部領域41は上記第1の元素の酸化物である第1の酸化物を含み、上部領域42は上記第2の元素の酸化物である第2の酸化物を含み、中間領域43は上記第3の元素の酸化物である第3の酸化物を含む場合を考える。この場合、第3の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、第1の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも小さく、第3の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、第2の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも小さいことが好ましい。
【0084】
中間領域43は上述のように電子障壁が高く、リーク電流を抑制する機能を有する。中間領域43に含まれる第3の酸化物の標準生成ギブズエネルギーが大きい場合、第3の酸化物から酸素が脱離し、酸素空孔が形成されるおそれがある。中間領域43の酸素空孔が多くなると、酸素空孔を介した電流が流れ、半選択リーク電流が増大するおそれがある。
【0085】
中間領域43に含まれる第3の酸化物の標準生成ギブズエネルギーを、下部領域41に含まれる第1の酸化物の標準生成ギブズエネルギー、及び、上部領域42に含まれる第2の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも小さくすることで、中間領域43からの酸素の脱離が抑制され、半選択リーク電流の増大が抑制される。
【0086】
低い半選択リーク電流と高いオン電流を両立する観点から、中間領域43の第1の方向の厚さは、下部領域41の第1の方向の厚さ、及び、上部領域42の第1の方向の厚さよりも厚いことが好ましい。
【0087】
低い半選択リーク電流と高いオン電流を両立する観点から、下部領域41の第1の方向の厚さ、及び、上部領域42の第1の方向の厚さは、1.6nm以上2.4nm以下であることが好ましい。低い半選択リーク電流と高いオン電流を両立する観点から、中間領域43の第1の方向の厚さは、2.5nm以上4.0nm以下であることが好ましい。
【0088】
以上、第1の実施形態によれば、低い半選択リーク電流、及び、高いオン電流、という優れた特性を備えたスイッチング素子が実現できる。さらに、特性の優れたスイッチング素子を有する記憶装置が実現できる。
【0089】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の記憶装置は、第4の酸化物を含む第1の側壁と、第5の酸化物を含む第2の側壁と、を更に備える点で、第1の実施形態の記憶装置と異なる。そして、第1の導電層から第2の導電層に向かう第1の方向に垂直な第2の方向において、第1の領域は第1の側壁と第2の側壁との間に設けられ、第2の方向において、第2の領域は第1の側壁と第2の側壁との間に設けられる。第1の領域は第1の元素の酸化物である第1の酸化物を含み、第2の領域は第2の元素の酸化物である第2の酸化物を含み、第4の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、第1の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きく、第4の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、第2の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きく、第5の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、第1の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きく、第5の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、第2の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい。以下、第1の実施形態の記憶装置と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0090】
図7は、第2の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図7は、第1の実施形態の
図2に対応する図である。
図7は、一個のメモリセルMCの断面を示す。
【0091】
メモリセルMCは、
図7に示すように、下部電極10、上部電極20、中間電極30、スイッチング層40、抵抗変化層50、第1の側壁61、及び、第2の側壁62を備える。スイッチング層40は、下部領域41、上部領域42、中間領域43を含む。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53を含む。
【0092】
下部電極10は、第1の導電層の一例である。上部電極20は、第2の導電層の一例である。中間電極30は、第3の導電層の一例である。下部領域41は、第1の領域の一例である。上部領域42は第2の領域の一例である。中間領域43は、第3の領域の一例である。
【0093】
下部電極10、スイッチング層40、及び中間電極30が、メモリセルMCのスイッチング素子を構成する。中間電極30、抵抗変化層50、及び上部電極20が、メモリセルMCの抵抗変化素子を構成する。
【0094】
下部電極10は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。
【0095】
上部電極20は、例えば金属である。上部電極20は、例えば、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0096】
中間電極30は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。
【0097】
スイッチング層40は、下部領域41、上部領域42、中間領域43を含む。上部領域42は、下部領域41と中間電極30との間に設けられる。中間領域43は、下部領域41と上部領域42との間に設けられる。
【0098】
下部領域41は、例えば、下部電極10に接する。下部領域41は、例えば、中間領域43に接する。上部領域42は、例えば、中間電極30に接する。上部領域42は、例えば、例えば、中間領域43に接する。
【0099】
スイッチング層40の下部領域41は、亜鉛(Zn)及びスズ(Sn)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第1の元素と、酸素(O)と、を含む。下部領域41は、例えば、第1の元素の酸化物である第1の酸化物を含む。
【0100】
スイッチング層40の上部領域42は、亜鉛(Zn)及びスズ(Sn)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第2の元素と、酸素(O)と、を含む。上部領域42は、例えば、第2の元素の酸化物である第2の酸化物を含む。
【0101】
スイッチング層40の中間領域43は、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、及び、バナジウム(V)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第3の元素と、酸素(O)と、を含む。中間領域43は、例えば、第3の元素の酸化物である第3の酸化物を含む。
【0102】
下部電極10から上部電極20に向かう第1の方向に垂直な方向を第2の方向と定義する。
【0103】
第2の方向において、第1の側壁61と第2の側壁62との間に、スイッチング層40が設けられる。第2の方向において、下部領域41は、第1の側壁61と第2の側壁62との間に設けられる。第2の方向において、上部領域42は、第1の側壁61と第2の側壁62との間に設けられる。第2の方向において、中間領域43は、第1の側壁61と第2の側壁62との間に設けられる。第1の側壁61と第2の側壁62は分離されていても良いが、例えば、第1の方向に垂直な断面において、第1の側壁61と第2の側壁62が接続し、スイッチング層40を取り囲んでいても良い。
【0104】
第1の側壁61及び第2の側壁62は、例えば、下部領域41、上部領域42、及び、中間領域43に接する。
【0105】
第2の方向において、第1の側壁61と第2の側壁62との間に、例えば、下部電極10及び中間電極30が設けられる。第1の側壁61及び第2の側壁62は、例えば、下部電極10及び中間電極30に接する。
【0106】
第1の側壁61は、第4の酸化物を含む。第2の側壁62は、第5の酸化物を含む。
【0107】
第1の側壁61に含まれる第4の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、下部領域41に含まれる第1の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい。また、第1の側壁61に含まれる第4の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、上部領域42に含まれる第2の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい。
【0108】
第1の側壁61に含まれる第4の酸化物は、例えば、酸化タングステン、酸化ゲルマニウム、酸化マンガン、酸化コバルト、又は、酸化ビスマスである。第1の側壁61に含まれる酸化タングステンは、例えば、WO3又はWO2で表される化学組成を有する。第1の側壁61に含まれる酸化ゲルマニウムは、例えば、GeO2で表される化学組成を有する。第1の側壁61に含まれる酸化マンガンは、例えば、MnO2で表される化学組成を有する。第1の側壁61に含まれる酸化コバルトは、例えば、Co3O4又はCoOで表される化学組成を有する。第1の側壁61に含まれる酸化ビスマスは、例えば、Bi2O3で表される化学組成を有する。
【0109】
第2の側壁62に含まれる第5の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、下部領域41に含まれる第1の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい。また、第2の側壁62に含まれる第5の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、上部領域42に含まれる第2の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい。
【0110】
第2の側壁62に含まれる第5の酸化物は、例えば、酸化タングステン、酸化ゲルマニウム、酸化マンガン、酸化コバルト、又は、酸化ビスマスである。第2の側壁62に含まれる酸化タングステンは、例えば、WO3又はWO2で表される化学組成を有する。第2の側壁62に含まれる酸化ゲルマニウムは、例えば、GeO2で表される化学組成を有する。第2の側壁62に含まれる酸化マンガンは、例えば、MnO2で表される化学組成を有する。第2の側壁62に含まれる酸化コバルトは、例えば、Co3O4又はCoOで表される化学組成を有する。第2の側壁62に含まれる酸化ビスマスは、例えば、Bi2O3で表される化学組成を有する。
【0111】
以下、酸化物の標準生成ギブズエネルギーの大小関係の一例を示す。一群の酸化物を標準生成ギブズエネルギーが大きい酸化物から小さい酸化物へと例示列挙する。標準生成ギブズエネルギーが大きい方から小さい方へ、順に、酸化パラジウム(PdO)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化コバルト(Co3O4)、酸化コバルト(CoO)、酸化マンガン(MnO2)、酸化ゲルマニウム(GeO2)、酸化タングステン(WO3)、酸化スズ(SnO2)、酸化モリブデン(MoO2)、酸化タングステン(WO2)、酸化インジウム(In2O3)、酸化バナジウム(V2O5)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化バナジウム(V2O4)、酸化ガリウム(Ga2O3)、酸化クロム(Cr2O3)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化マンガン(MnO)、酸化ニオブ(NbO2)、酸化バナジウム(V2O3)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化バナジウム(VO)、酸化シリコン(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化イットリウム(Y2O3)である。
【0112】
第1の側壁61の第2の方向の厚さは、例えば、2nm以上20nm以下である。第2の側壁62の第2の方向の厚さは、例えば、2nm以上20nm以下である。
【0113】
次に、第2の実施形態の記憶装置の作用及び効果について説明する。
【0114】
仮に、第2の実施形態のメモリセルMCにおいて、第1の側壁61及び第2の側壁62が設けられない場合を考える。この場合、例えば、スイッチング素子のオン電流が低くなるおそれがある。
【0115】
スイッチング素子のオン電流が低くなるのは、例えば、下部領域41から下部電極10へ酸素が引き抜かれ、下部領域41に酸素空孔ができるためと考えられる。下部領域41に酸素空孔ができることで、下部電極10のフェルミレベルが下部領域41にピニングされ、下部電極10と下部領域41との間の第1の障壁高さφb1(
図6参照)が大きくなるためと考えられる。
【0116】
また、スイッチング素子のオン電流が低くなるのは、例えば、上部領域42から中間電極30へ酸素が引き抜かれ、上部領域42に酸素空孔ができるためと考えられる。上部領域42に酸素空孔ができることで、中間電極30のフェルミレベルが上部領域42にピニングされ、中間電極30と上部領域42との間の第2の障壁高さφb2(
図6参照)が大きくなるためと考えられる。
【0117】
第2の実施形態のメモリセルMCには、第1の側壁61が設けられる。そして、第1の側壁61に含まれる第4の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、下部領域41に含まれる第1の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい。いいかえれば、第1の側壁61に含まれる第4の酸化物の中の酸素は、下部領域41に含まれる第1の酸化物の中の酸素よりも抜けやすい。このため、第1の側壁61から酸素が脱離し、下部領域41に供給され、下部領域41の酸素空孔が埋められる。したがって、下部電極10のフェルミレベルピニングが抑制され、第1の障壁高さφb1の変化が抑制される。よって、スイッチング素子のオン電流が低くなることが抑制できる。
【0118】
また、第1の側壁61に含まれる第4の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、上部領域42に含まれる第2の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい。いいかえれば、第1の側壁61に含まれる第4の酸化物の中の酸素は、上部領域42に含まれる第2の酸化物の中の酸素よりも抜けやすい。このため、第1の側壁61から酸素が脱離し、上部領域42に供給され、上部領域42の酸素空孔が埋められる。したがって、中間電極30のフェルミレベルピニングが抑制され、第2の障壁高さφb2の変化が抑制される。よって、スイッチング素子のオン電流が低くなることが抑制できる。
【0119】
第2の実施形態のメモリセルMCには、第2の側壁62が設けられる。そして、第2の側壁62に含まれる第5の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、下部領域41に含まれる第1の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい。いいかえれば、第2の側壁62に含まれる第5の酸化物の中の酸素は、下部領域41に含まれる第1の酸化物の中の酸素よりも抜けやすい。このため、第2の側壁62から酸素が脱離し、下部領域41に供給され、下部領域41の酸素空孔が埋められる。したがって、下部電極10のフェルミレベルピニングが抑制され、第1の障壁高さφb1の変化が抑制される。よって、スイッチング素子のオン電流が低くなることが抑制できる。
【0120】
また、第2の側壁62に含まれる第5の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、上部領域42に含まれる第2の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい。いいかえれば、第2の側壁62に含まれる第5の酸化物の中の酸素は、上部領域42に含まれる第2の酸化物の中の酸素よりも抜けやすい。このため、第2の側壁62から酸素が脱離し、上部領域42に供給され、上部領域42の酸素空孔が埋められる。したがって、中間電極30のフェルミレベルピニングが抑制され、第2の障壁高さφb2の変化が抑制される。よって、スイッチング素子のオン電流が低くなることが抑制できる。
【0121】
また、第1の側壁61及び第2の側壁62を設けることで、スイッチング素子の半選択リーク電流の低減も期待できる。例えば、スイッチング層40を反応性イオンエッチング法(RIE法)で加工した場合、エッチングダメージにより、スイッチング層40の側面に酸素空孔が形成される。この場合、酸素空孔に起因するリーク電流が流れ、半選択リーク電流が増加するおそれがある。
【0122】
第1の側壁61及び第2の側壁62から酸素がスイッチング層40の側面に供給することで、エッチングダメージにより生じた酸素空孔が埋められる。したがって、半選択リーク電流を低減することが可能となる。
【0123】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、低い半選択リーク電流、及び、高いオン電流、という優れた特性を備えたスイッチング素子が実現できる。また、フェルミレベルピニングが抑制され、更にスイッチング素子のオン電流が高くなる。
【0124】
(第1の変形例)
第2の実施形態の第1の変形例の記憶装置は、第6の酸化物を含む第3の側壁と、第7の酸化物を含む第4の側壁と、を更に備え、第2の方向において、第3の側壁は、第1の領域と第1の側壁との間に設けられ、第2の方向において、第3の側壁は、第2の領域と第1の側壁との間に設けられ、第2の方向において、第4の側壁は、第1の領域と第2の側壁との間に設けられ、第2の方向において、第4の側壁は、第2の領域と第2の側壁との間に設けられ、第6の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、第1の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きく、第6の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、第2の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きく、第6の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、第4の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも小さく、第7の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、第1の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きく、第7の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、第2の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きく、第7の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、第5の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも小さい点で、第2の実施形態の記憶装置と異なる。
【0125】
図8は、第2の実施形態の第1の変形例の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図8は、第2の実施形態の
図7に対応する図である。
図8は、一個のメモリセルMCの断面を示す。
【0126】
メモリセルMCは、
図8に示すように、下部電極10、上部電極20、中間電極30、スイッチング層40、抵抗変化層50、第1の側壁61、第2の側壁62、第3の側壁63、及び、第4の側壁64を備える。スイッチング層40は、下部領域41、上部領域42、中間領域43を含む。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53を含む。
【0127】
第2の方向において、第1の側壁61と第2の側壁62との間に、スイッチング層40が設けられる。第2の方向において、下部領域41は、第1の側壁61と第2の側壁62との間に設けられる。第2の方向において、上部領域42は、第1の側壁61と第2の側壁62との間に設けられる。第2の方向において、中間領域43は、第1の側壁61と第2の側壁62との間に設けられる。第1の側壁61と第2の側壁62は分離されていても良いが、例えば、第1の方向に垂直な断面において、第1の側壁61と第2の側壁62が接続し、スイッチング層40を取り囲んでいても良い。
【0128】
第2の方向において、第3の側壁63は、下部領域41と第1の側壁61との間に設けられる。第2の方向において、第3の側壁63は、上部領域42と第1の側壁61との間に設けられる。第2の方向において、第4の側壁64は、下部領域41と第2の側壁62との間に設けられる。第2の方向において、第4の側壁64は、上部領域42と第2の側壁62との間に設けられる。第3の側壁63と第4の側壁64は分離されていても良いが、例えば、第1の方向に垂直な断面において、第3の側壁63と第4の側壁64が接続し、スイッチング層40を取り囲んでいても良い。
【0129】
第3の側壁63及び第4の側壁64は、例えば、下部領域41、上部領域42、及び、中間領域43に接する。
【0130】
第2の方向において、第3の側壁63と第4の側壁64との間に、例えば、下部電極10及び中間電極30が設けられる。第3の側壁63及び第4の側壁64は、例えば、下部電極10及び中間電極30に接する。
【0131】
第1の側壁61は、例えば、第3の側壁63に接する。第2の側壁62は、例えば、第4の側壁64に接する。
【0132】
第1の側壁61は、第4の酸化物を含む。第2の側壁62は、第5の酸化物を含む。第3の側壁63は、第6の酸化物を含む。第4の側壁64は、第7の酸化物を含む。
【0133】
第1の側壁61に含まれる第4の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、下部領域41に含まれる第1の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい。また、第1の側壁61に含まれる第4の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、上部領域42に含まれる第2の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい。
【0134】
第2の側壁62に含まれる第5の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、下部領域41に含まれる第1の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい。また、第2の側壁62に含まれる第5の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、上部領域42に含まれる第2の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい。
【0135】
第3の側壁63に含まれる第6の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、下部領域41に含まれる第1の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい。また、第3の側壁63に含まれる第6の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、上部領域42に含まれる第2の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい。また、第3の側壁63に含まれる第6の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、第1の側壁16に含まれる第4の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも小さい。
【0136】
第4の側壁64に含まれる第7の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、下部領域41に含まれる第1の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい。また、第4の側壁64に含まれる第7の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、上部領域42に含まれる第2の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい。また、第4の側壁64に含まれる第7の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、第2の側壁62に含まれる第5の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも小さい。
【0137】
第3の側壁63の第2の方向の厚さは、例えば、2nm以上20nm以下である。第4の側壁64の第2の方向の厚さは、例えば、2nm以上20nm以下である。
【0138】
仮に、第2の実施形態の第1の変形例のメモリセルMCにおいて、第3の側壁63及び第4の側壁64が設けられない場合を考える。この場合、例えば、下部電極10と中間電極30との間に、リーク電流が流れ、半選択リーク電流が高くなるおそれがある。
【0139】
第2の実施形態で説明したように、第1の側壁61から酸素が脱離し、下部領域41及び上部領域42に供給され、下部領域41及び上部領域42の酸素空孔が埋められる。この時、酸素が脱離した第1の側壁61の中には、酸素空孔が形成される。第1の側壁61の酸素空孔が多くなると、酸素空孔を介したリーク電流が流れる。例えば、第1の側壁61と、下部電極10及び中間電極30とが接していると、下部電極10と中間電極30との間に、リーク電流が流れる。
【0140】
同様に、第2の側壁62から酸素が脱離し、下部領域41及び上部領域42に供給され、下部領域41及び上部領域42の酸素空孔が埋められる。この時、酸素が脱離した第2の側壁62の中には、酸素空孔が形成される。第2の側壁62の酸素空孔が多くなると、酸素空孔を介したリーク電流が流れる。例えば、第2の側壁62と、下部電極10及び中間電極30とが接していると、下部電極10と中間電極30との間に、リーク電流が流れる。
【0141】
第2の実施形態の第1の変形例のメモリセルMCには、第1の側壁61と、下部電極10及び中間電極30との間に、第3の側壁63が設けられる。このため、第1の側壁61は下部電極10及び中間電極30と離隔している。したがって、第1の側壁61を通って、下部電極10と中間電極30との間にリーク電流が流れることが抑制される。
【0142】
そして、第3の側壁63に含まれる第6の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、下部領域41に含まれる第1の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい。いいかえれば、第3の側壁63に含まれる第6の酸化物の中の酸素は、下部領域41に含まれる第1の酸化物の中の酸素よりも抜けやすい。このため、第3の側壁63から酸素が脱離し、下部領域41に供給され、下部領域41の酸素空孔が埋められる。
【0143】
また、第3の側壁63に含まれる第6の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、上部領域42に含まれる第2の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい。いいかえれば、第3の側壁63に含まれる第6の酸化物の中の酸素は、上部領域42に含まれる第2の酸化物の中の酸素よりも抜けやすい。このため、第3の側壁63から酸素が脱離し、上部領域42に供給され、上部領域42の酸素空孔が埋められる。
【0144】
また、第2の実施形態の第1の変形例のメモリセルMCには、第2の側壁62と、下部電極10及び中間電極30との間に、第4の側壁64が設けられる。このため、第2の側壁62は下部電極10及び中間電極30と離隔している。したがって、第2の側壁62を通って、下部電極10と中間電極30との間にリーク電流が流れることが抑制される。
【0145】
そして、第4の側壁64に含まれる第7の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、下部領域41に含まれる第1の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい。いいかえれば、第4の側壁64に含まれる第7の酸化物の中の酸素は、下部領域41に含まれる第1の酸化物の中の酸素よりも抜けやすい。このため、第4の側壁64から酸素が脱離し、下部領域41に供給され、下部領域41の酸素空孔が埋められる。
【0146】
また、第4の側壁64に含まれる第7の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、上部領域42に含まれる第2の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい。いいかえれば、第4の側壁64に含まれる第7の酸化物の中の酸素は、上部領域42に含まれる第2の酸化物の中の酸素よりも抜けやすい。このため、第4の側壁64から酸素が脱離し、上部領域42に供給され、上部領域42の酸素空孔が埋められる。
【0147】
したがって、第2の実施形態と同様、スイッチング素子のオン電流が低くなることが抑制できる。
【0148】
酸素が脱離した第3の側壁63の中には、酸素空孔が形成される。しかし、第3の側壁63に含まれる第6の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、第1の側壁61に含まれる第4の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも小さい。いいかえれば、第1の側壁61に含まれる第4の酸化物の中の酸素は、第3の側壁63に含まれる第6の酸化物の中の酸素よりも抜けやすい。このため、第1の側壁61から酸素が脱離し、第3の側壁63に供給され、第3の側壁63の酸素空孔が埋められる。したがって、第3の側壁63を通って、下部電極10と中間電極30との間にリーク電流が流れることが抑制される。
【0149】
酸素が脱離した第4の側壁64の中には、酸素空孔が形成される。しかし、第4の側壁64に含まれる第7の酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、第2の側壁62に含まれる第5の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも小さい。いいかえれば、第2の側壁62に含まれる第5の酸化物の中の酸素は、第4の側壁64に含まれる第7の酸化物の中の酸素よりも抜けやすい。このため、第2の側壁62から酸素が脱離し、第4の側壁64に供給され、第4の側壁64の酸素空孔が埋められる。したがって、第4の側壁64を通って、下部電極10と中間電極30との間にリーク電流が流れることが抑制される。
【0150】
したがって、第2の実施形態の第1の変形例によれば、半選択リーク電流が高くなることが抑制される。
【0151】
(第2の変形例)
第2の実施形態の第2の変形例の記憶装置は、第1の側壁は第1の導電層又は第3の導電層と離隔し、第2の側壁は第1の導電層又は第3の導電層と離隔する点で、第2の実施形態の記憶装置と異なる。
【0152】
図9は、第2の実施形態の第2の変形例の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図9は、第2の実施形態の
図7に対応する図である。
図9は、一個のメモリセルMCの断面を示す。
【0153】
メモリセルMCは、
図9に示すように、下部電極10、上部電極20、中間電極30、スイッチング層40、抵抗変化層50、第1の側壁61、及び、第2の側壁62を備える。スイッチング層40は、下部領域41、上部領域42、中間領域43を含む。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53を含む。
【0154】
第1の側壁61は、中間電極30と離隔する。また、第2の側壁62は、中間電極30と離隔する。
【0155】
第2の実施形態で説明したように、第1の側壁61から酸素が脱離し、下部領域41及び上部領域42に供給され、下部領域41及び上部領域42の酸素空孔が埋められる。この時、酸素が脱離した第1の側壁61の中には、酸素空孔が形成される。第1の側壁61の酸素空孔が多くなると、酸素空孔を介したリーク電流が流れる。例えば、第1の側壁61と、下部電極10及び中間電極30とが接していると、下部電極10と中間電極30との間に、リーク電流が流れる。
【0156】
同様に、第2の側壁62から酸素が脱離し、下部領域41及び上部領域42に供給され、下部領域41及び上部領域42の酸素空孔が埋められる。この時、酸素が脱離した第2の側壁62の中には、酸素空孔が形成される。第2の側壁62の酸素空孔が多くなると、酸素空孔を介したリーク電流が流れる。例えば、第2の側壁62と、下部電極10及び中間電極30とが接していると、下部電極10と中間電極30との間に、リーク電流が流れる。
【0157】
第2の実施形態の第2の変形例のメモリセルMCには、第1の側壁61と中間電極30は離隔する。また、第2の側壁62と中間電極30は離隔する。
【0158】
したがって、第1の側壁61を通って、下部電極10と中間電極30との間にリーク電流が流れることが抑制される。また、第2の側壁62を通って、下部電極10と中間電極30との間にリーク電流が流れることが抑制される。
【0159】
よって、第2の実施形態の第2の変形例によれば、半選択リーク電流が高くなることが抑制される。
【0160】
なお、第1の側壁61と下部電極10が離隔し、第2の側壁62と下部電極10が離隔する形態とすることも可能である。また、第1の側壁61と中間電極30及び下部電極10とが離隔し、第2の側壁62と中間電極30及び下部電極10とが離隔する形態とすることも可能である。
【0161】
(第3の変形例)
第2の実施形態の第3の変形例の記憶装置は、第1の領域の第2の方向に位置する第1の側壁の第2の方向の厚さは、第2の領域の第2の方向に位置する第1の側壁の第2の方向の厚さと異なり、第1の領域の第2の方向に位置する第2の側壁の第2の方向の厚さは、第2の領域の第2の方向に位置する第2の側壁の第2の方向の厚さと異なる点で、第2の実施形態の記憶装置と異なる。
【0162】
図10は、第2の実施形態の第3の変形例の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図10は、第2の実施形態の
図7に対応する図である。
図10は、一個のメモリセルMCの断面を示す。
【0163】
メモリセルMCは、
図10に示すように、下部電極10、上部電極20、中間電極30、スイッチング層40、抵抗変化層50、第1の側壁61、及び、第2の側壁62を備える。スイッチング層40は、下部領域41、上部領域42、中間領域43を含む。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53を含む。
【0164】
第1の側壁61は、テーパ形状を有する。下部領域41の第2の方向に位置する第1の側壁61の第2の方向の第1の厚さ(
図10中のtx1)は、上部領域42の第2の方向に位置する第1の側壁61の第2の方向の第2の厚さ(
図10中のtx2)と異なる。
【0165】
第1の側壁61の第1の厚さtx1は、第1の側壁61の第2の厚さtx2より厚い。第1の厚さtx1は、例えば、第2の厚さtx2の10倍以上100倍以下である。
【0166】
第2の側壁62は、テーパ形状を有する。下部領域41の第2の方向に位置する第2の側壁62の第2の方向の第3の厚さ(
図10中のty1)は、上部領域42の第2の方向に位置する第2の側壁62の第2の方向の第4の厚さ(
図10中のty2)と異なる。
【0167】
第2の側壁62の第2の厚さty1は、第2の側壁62の第4の厚さty2より厚い。第2の厚さty1は、例えば、第4の厚さty2の10倍以上100倍以下である。
【0168】
第2の実施形態で説明したように、第1の側壁61から酸素が脱離し、下部領域41及び上部領域42に供給され、下部領域41及び上部領域42の酸素空孔が埋められる。この時、酸素が脱離した第1の側壁61の中には、酸素空孔が形成される。第1の側壁61の酸素空孔が多くなると、酸素空孔を介したリーク電流が流れる。例えば、第1の側壁61と、下部電極10及び中間電極30とが接していると、下部電極10と中間電極30との間に、リーク電流が流れる。
【0169】
同様に、第2の側壁62から酸素が脱離し、下部領域41及び上部領域42に供給され、下部領域41及び上部領域42の酸素空孔が埋められる。この時、酸素が脱離した第2の側壁62の中には、酸素空孔が形成される。第2の側壁62の酸素空孔が多くなると、酸素空孔を介したリーク電流が流れる。例えば、第2の側壁62と、下部電極10及び中間電極30とが接していると、下部電極10と中間電極30との間に、リーク電流が流れる。
【0170】
第2の実施形態の第3の変形例のメモリセルMCでは、第1の側壁61及び第2の側壁62がテーパ形状を有し、厚さの薄い領域を有する。第1の側壁61及び第2の側壁62の厚さの薄い領域は高抵抗となる。
【0171】
したがって、第1の側壁61を通って、下部電極10と中間電極30との間に流れるリーク電流が抑制される。また、第2の側壁62を通って、下部電極10と中間電極30との間にリ流れるリーク電流が抑制される。
【0172】
したがって、第2の実施形態の第3の変形例によれば、半選択リーク電流が高くなることが抑制される。
【0173】
なお、第1の側壁61及び第2の側壁62が逆テーパ形状を有する形態とすることも可能である。この場合、第1の側壁61の第1の厚さtx1は、第1の側壁61の第2の厚さtx2より薄くなる。また、第2の側壁62の第2の厚さty1は、第2の側壁62の第4の厚さty2より薄くなる。
【0174】
以上、第2の実施形態及び変形例によれば、低い半選択リーク電流、及び、高いオン電流、という優れた特性を備えたスイッチング素子が実現できる。さらに、特性の優れたスイッチング素子を有する記憶装置が実現できる。
【0175】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の記憶装置は、第1の導電層と第3の導電層との間に設けられ、第1の領域及び第2の領域のいずれか一方に接する、第4の領域を、更に備え、第4の領域は、インジウム(In)、スズ(Sn)、及び、酸素(O)の元素組み合わせ、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、及び、酸素(O)の元素組み合わせ、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、及び、酸素(O)の元素組み合わせ、及び、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、及び、酸素(O)の元素組み合わせからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素組み合わせを含む点で、第1の実施形態の記憶装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0176】
図11は、第3の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図11は、第1の実施形態の
図2に対応する図である。
図11は、一個のメモリセルMCの断面を示す。
【0177】
メモリセルMCは、
図11に示すように、下部電極10、上部電極20、中間電極30、スイッチング層40、及び、抵抗変化層50を備える。スイッチング層40は、下部領域41、上部領域42、中間領域43、第1の導電領域44、及び、第2の導電領域45を含む。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53を含む。
【0178】
下部電極10は、第1の導電層の一例である。上部電極20は、第2の導電層の一例である。中間電極30は、第3の導電層の一例である。下部領域41は、第1の領域の一例である。上部領域42は第2の領域の一例である。中間領域43は、第3の領域の一例である。第1の導電領域44は、第4の領域の一例である。第2の導電領域45は、第4の領域の一例である。
【0179】
下部電極10、スイッチング層40、及び中間電極30が、メモリセルMCのスイッチング素子を構成する。中間電極30、抵抗変化層50、及び上部電極20が、メモリセルMCの抵抗変化素子を構成する。
【0180】
下部電極10は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。
【0181】
上部電極20は、例えば金属である。上部電極20は、例えば、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0182】
中間電極30は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。
【0183】
スイッチング層40は、下部領域41、上部領域42、中間領域43、第1の導電領域44、及び、第2の導電領域45を含む。上部領域42は、下部領域41と中間電極30との間に設けられる。中間領域43は、下部領域41と上部領域42との間に設けられる。第1の導電領域44は、下部電極10と下部領域41との間に設けられる。第2の導電領域45は、中間電極30と上部領域42との間に設けられる。
【0184】
第1の導電領域44は、例えば、下部電極10に接する。第1の導電領域44は、例えば、下部領域41に接する。下部領域41は、例えば、中間領域43に接する。第2の導電領域45は、例えば、中間電極30に接する。第2の導電領域45は、例えば、上部領域42に接する。上部領域42は、例えば、中間領域43に接する。
【0185】
スイッチング層40の下部領域41は、亜鉛(Zn)及びスズ(Sn)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第1の元素と、酸素(O)と、を含む。下部領域41は、例えば、第1の元素の酸化物である第1の酸化物を含む。
【0186】
スイッチング層40の上部領域42は、亜鉛(Zn)及びスズ(Sn)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第2の元素と、酸素(O)と、を含む。上部領域42は、例えば、第2の元素の酸化物である第2の酸化物を含む。
【0187】
スイッチング層40の中間領域43は、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、及び、バナジウム(V)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第3の元素と、酸素(O)と、を含む。中間領域43は、例えば、第3の元素の酸化物である第3の酸化物を含む。
【0188】
第1の導電領域44は、導電性を有する。第1の導電領域44は、インジウム(In)、スズ(Sn)、及び、酸素(O)の元素組み合わせ、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、及び、酸素(O)の元素組み合わせ、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、及び、酸素(O)の元素組み合わせ、及び、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、及び、酸素(O)の元素組み合わせからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素組み合わせを含む。第1の導電領域44は、例えば、酸化インジウムスズ、酸化ガリウムスズ、ガリウム添加酸化亜鉛、又は、アルミニウム添加酸化亜鉛を含む。第1の導電領域44は、例えば、酸化インジウムスズ、酸化ガリウムスズ、ガリウム添加酸化亜鉛、又は、アルミニウム添加酸化亜鉛である。
【0189】
第2の導電領域45は、導電性を有する。第2の導電領域45は、インジウム(In)、スズ(Sn)、及び、酸素(O)の元素組み合わせ、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、及び、酸素(O)の元素組み合わせ、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、及び、酸素(O)の元素組み合わせ、及び、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、及び、酸素(O)の元素組み合わせからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素組み合わせを含む。第2の導電領域45は、例えば、酸化インジウムスズ、酸化ガリウムスズ、ガリウム添加酸化亜鉛、又は、アルミニウム添加酸化亜鉛を含む。第2の導電領域45は、例えば、酸化インジウムスズ、酸化ガリウムスズ、ガリウム添加酸化亜鉛、又は、アルミニウム添加酸化亜鉛である。
【0190】
第1の導電領域44の第1の方向の厚さは、例えば、2nm以上20nm以下である。また、第2の導電領域45の第1の方向の厚さは、例えば、2nm以上20nm以下である。
【0191】
次に、第3の実施形態の記憶装置の作用及び効果について説明する。
【0192】
仮に、第3の実施形態のメモリセルMCにおいて、第1の導電領域44及び第2の導電領域45が設けられない場合を考える。この場合、例えば、スイッチング素子のオン電流が低くなるおそれがある。
【0193】
スイッチング素子のオン電流が低くなるのは、例えば、下部領域41から下部電極10へ酸素が引き抜かれ、下部領域41に酸素空孔ができるためと考えられる。下部領域41に酸素空孔ができることで、下部電極10のフェルミレベルが下部領域41にピニングされ、下部電極10と下部領域41との間の第1の障壁高さφb1(
図6参照)が大きくなるためと考えられる。
【0194】
また、スイッチング素子のオン電流が低くなるのは、例えば、上部領域42から中間電極30へ酸素が引き抜かれ、上部領域42に酸素空孔ができるためと考えられる。上部領域42に酸素空孔ができることで、中間電極30のフェルミレベルが上部領域42にピニングされ、中間電極30と上部領域42との間の第2の障壁高さφb2(
図6参照)が大きくなるためと考えられる。
【0195】
第3の実施形態のメモリセルMCには、第1の導電領域44が設けられる。第1の導電領域44は、酸素を放出する機能を有する。第1の導電領域44から放出される酸素が、下部領域41に供給され、下部領域41の酸素空孔が埋められる。したがって、下部電極10のフェルミレベルピニングが抑制され、第1の障壁高さφb1の変化が抑制される。よって、スイッチング素子のオン電流が低くなることが抑制できる。
【0196】
第3の実施形態のメモリセルMCには、第2の導電領域45が設けられる。第2の導電領域45は、酸素を放出する機能を有する。第2の導電領域45から放出される酸素が、上部領域42に供給され、上部領域42の酸素空孔が埋められる。したがって、中間電極30のフェルミレベルピニングが抑制され、第2の障壁高さφb2の変化が抑制される。よって、スイッチング素子のオン電流が低くなることが抑制できる。
【0197】
(第1の変形例)
第3の実施形態の第1の変形例の記憶装置は、第4の領域は第1の導電層と第1の領域との間にのみ設けられる点で、第3の実施形態の記憶装置と異なる。
【0198】
図12は、第3の実施形態の第1の変形例の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図12は、第3の実施形態の
図11に対応する図である。
図12は、一個のメモリセルMCの断面を示す。
【0199】
メモリセルMCは、
図12に示すように、下部電極10、上部電極20、中間電極30、スイッチング層40、及び、抵抗変化層50を備える。スイッチング層40は、下部領域41、上部領域42、中間領域43、及び、第1の導電領域44を含む。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53を含む。
【0200】
下部電極10は、第1の導電層の一例である。上部電極20は、第2の導電層の一例である。中間電極30は、第3の導電層の一例である。下部領域41は、第1の領域の一例である。上部領域42は第2の領域の一例である。中間領域43は、第3の領域の一例である。第1の導電領域44は、第4の領域の一例である。
【0201】
スイッチング層40は、下部領域41、上部領域42、中間領域43、及び、第1の導電領域44を含む。上部領域42は、下部領域41と中間電極30との間に設けられる。中間領域43は、下部領域41と上部領域42との間に設けられる。第1の導電領域44は、下部電極10と下部領域41との間に設けられる。
【0202】
第1の導電領域44は、例えば、下部電極10に接する。第1の導電領域44は、例えば、下部領域41に接する。下部領域41は、例えば、中間領域43に接する。上部領域42は、例えば、中間電極30に接する。上部領域42は、例えば、例えば、中間領域43に接する。
【0203】
第3の実施形態の第1の変形例のメモリセルMCには、第1の導電領域44が設けられる。第1の導電領域44は、酸素を放出する機能を有する。第1の導電領域44から放出される酸素が、下部領域41に供給され、下部領域41の酸素空孔が埋められる。したがって、下部電極10のフェルミレベルピニングが抑制され、第1の障壁高さφb1の変化が抑制される。よって、スイッチング素子のオン電流が低くなることが抑制できる。
【0204】
(第2の変形例)
第3の実施形態の第2の変形例の記憶装置は、第4の領域は第3の導電層と第2の領域との間にのみ設けられる点で、第3の実施形態の記憶装置と異なる。
【0205】
図13は、第3の実施形態の第2の変形例の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図13は、第3の実施形態の
図11に対応する図である。
図13は、一個のメモリセルMCの断面を示す。
【0206】
メモリセルMCは、
図13に示すように、下部電極10、上部電極20、中間電極30、スイッチング層40、及び、抵抗変化層50を備える。スイッチング層40は、下部領域41、上部領域42、中間領域43、及び、第2の導電領域45を含む。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53を含む。
【0207】
下部電極10は、第1の導電層の一例である。上部電極20は、第2の導電層の一例である。中間電極30は、第3の導電層の一例である。下部領域41は、第1の領域の一例である。上部領域42は第2の領域の一例である。中間領域43は、第3の領域の一例である。第2の導電領域45は、第4の領域の一例である。
【0208】
スイッチング層40は、下部領域41、上部領域42、中間領域43、及び、第2の導電領域45を含む。上部領域42は、下部領域41と中間電極30との間に設けられる。中間領域43は、下部領域41と上部領域42との間に設けられる。第2の導電領域45は、中間電極30と上部領域42との間に設けられる。
【0209】
下部領域41は、例えば、下部電極10に接する。下部領域41は、例えば、中間領域43に接する。第2の導電領域45は、例えば、中間電極30に接する。第2の導電領域45は、例えば、上部領域42に接する。上部領域42は、例えば、例えば、中間領域43に接する。
【0210】
第3の実施形態の第2の変形例のメモリセルMCには、第2の導電領域45が設けられる。第2の導電領域45は、酸素を放出する機能を有する。第2の導電領域45から放出される酸素が、上部領域42に供給され、上部領域42の酸素空孔が埋められる。したがって、中間電極30のフェルミレベルピニングが抑制され、第2の障壁高さφb2の変化が抑制される。よって、スイッチング素子のオン電流が低くなることが抑制できる。
【0211】
(第3の変形例)
第3の実施形態の第3の変形例の記憶装置は、第4の領域は第1の領域と第3の領域の間に設けられる点で、第3の実施形態の記憶装置と異なる。
【0212】
図14は、第3の実施形態の第3の変形例の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図14は、第3の実施形態の
図11に対応する図である。
図14は、一個のメモリセルMCの断面を示す。
【0213】
メモリセルMCは、
図14に示すように、下部電極10、上部電極20、中間電極30、スイッチング層40、及び、抵抗変化層50を備える。スイッチング層40は、下部領域41、上部領域42、中間領域43、及び、第1の導電領域44を含む。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53を含む。
【0214】
下部電極10は、第1の導電層の一例である。上部電極20は、第2の導電層の一例である。中間電極30は、第3の導電層の一例である。下部領域41は、第1の領域の一例である。上部領域42は第2の領域の一例である。中間領域43は、第3の領域の一例である。第1の導電領域44は、第4の領域の一例である。
【0215】
スイッチング層40は、下部領域41、上部領域42、中間領域43、及び、第1の導電領域44を含む。上部領域42は、下部領域41と中間電極30との間に設けられる。中間領域43は、下部領域41と上部領域42との間に設けられる。第1の導電領域44は、下部領域41と中間領域43の間に設けられる。
【0216】
下部領域41は、例えば、下部電極10に接する。第1の導電領域44は、例えば、下部領域41及び中間領域43に接する。上部領域42は、例えば、中間電極30に接する。上部領域42は、例えば、中間領域43に接する。
【0217】
第3の実施形態の第3の変形例のメモリセルMCには、第1の導電領域44が設けられる。第1の導電領域44は、酸素を放出する機能を有する。第1の導電領域44から放出される酸素が、下部領域41に供給され、下部領域41の酸素空孔が埋められる。したがって、下部電極10のフェルミレベルピニングが抑制され、第1の障壁高さφb1の変化が抑制される。よって、スイッチング素子のオン電流が低くなることが抑制できる。
【0218】
なお、第1の導電領域44は、上部領域42と中間領域43との間に設けられてもかまわない。また、第1の導電領域44は、下部領域41と中間領域43との間、上部領域42と中間領域43との間の両方に設けられてもかまわない。
【0219】
以上、第3の実施形態及び変形例によれば、低い半選択リーク電流、及び、高いオン電流、という優れた特性を備えたスイッチング素子が実現できる。さらに、特性の優れたスイッチング素子を有する記憶装置が実現できる。
【0220】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の記憶装置は、第1の導電層と第1の領域との間に設けられ、銀(Ag)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、及び、ロジウム(Rh)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第1の金属元素と、酸素(O)を含む第1の層と、第3の導電層と第2の領域との間に設けられ、銀(Ag)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、及び、ロジウム(Rh)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第2の金属元素と、酸素(O)を含む第2の層と、の少なくともいずれか一方を更に備える点で、第1の実施形態の記憶装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0221】
図15は、第4の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図15は、第1の実施形態の
図2に対応する図である。
図15は、一個のメモリセルMCの断面を示す。
【0222】
メモリセルMCは、
図15に示すように、下部電極10、上部電極20、中間電極30、スイッチング層40、抵抗変化層50、第1の金属酸化物層81、及び、第2の金属酸化物層82を備える。スイッチング層40は、下部領域41、上部領域42、及び、中間領域43を含む。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53を含む。
【0223】
下部電極10は、第1の導電層の一例である。上部電極20は、第2の導電層の一例である。中間電極30は、第3の導電層の一例である。下部領域41は、第1の領域の一例である。上部領域42は第2の領域の一例である。中間領域43は、第3の領域の一例である。第1の金属酸化物層81は、第1の層の一例である。第2の金属酸化物層82は、第2の層の一例である。
【0224】
下部電極10、第1の金属酸化物層81、スイッチング層40、第2の金属酸化物層82、及び中間電極30が、メモリセルMCのスイッチング素子を構成する。中間電極30、抵抗変化層50、及び上部電極20が、メモリセルMCの抵抗変化素子を構成する。
【0225】
下部電極10は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。
【0226】
上部電極20は、例えば金属である。上部電極20は、例えば、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0227】
中間電極30は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。
【0228】
スイッチング層40は、下部領域41、上部領域42、中間領域43を含む。上部領域42は、下部領域41と中間電極30との間に設けられる。中間領域43は、下部領域41と上部領域42との間に設けられる。
【0229】
下部領域41は、例えば、中間領域43に接する。上部領域42は、例えば、例えば、中間領域43に接する。
【0230】
スイッチング層40の下部領域41は、亜鉛(Zn)及びスズ(Sn)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第1の元素と、酸素(O)と、を含む。下部領域41は、例えば、第1の元素の酸化物である第1の酸化物を含む。
【0231】
スイッチング層40の上部領域42は、亜鉛(Zn)及びスズ(Sn)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第2の元素と、酸素(O)と、を含む。上部領域42は、例えば、第2の元素の酸化物である第2の酸化物を含む。
【0232】
スイッチング層40の中間領域43は、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、及び、バナジウム(V)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第3の元素と、酸素(O)と、を含む。中間領域43は、例えば、第3の元素の酸化物である第3の酸化物を含む。
【0233】
第1の金属酸化物層81は、下部電極10と下部領域41との間に設けられる。第1の金属酸化物層81は、例えば、下部電極10に接する。第1の金属酸化物層81は、例えば、下部領域41に接する。
【0234】
第1の金属酸化物層81は、銀(Ag)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、及び、ロジウム(Rh)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第1の金属元素と、酸素(O)を含む。第1の金属酸化物層81は、例えば、第1の金属元素の第1の金属酸化物を含む。
【0235】
第1の金属酸化物は、例えば、酸化銀、酸化イリジウム、酸化オスミウム、酸化ルテニウム、又は、酸化ロジウムである。
【0236】
第1の金属酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、例えば、下部領域41に含まれる第1の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい。
【0237】
第1の金属酸化物層81は、導電性を有する。
【0238】
第2の金属酸化物層82は、中間電極30と上部領域42との間に設けられる。第2の金属酸化物層82は、例えば、中間電極30に接する。第2の金属酸化物層82は、例えば、上部領域42に接する。
【0239】
第2の金属酸化物層82は、銀(Ag)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、及び、ロジウム(Rh)からなる群から選ばれる少なくとも一つの第2の金属元素と、酸素(O)を含む。第2の金属酸化物層82は、例えば、第2の金属元素の第2の金属酸化物を含む。
【0240】
第2の金属酸化物は、例えば、酸化銀、酸化イリジウム、酸化オスミウム、酸化ルテニウム、又は、酸化ロジウムである。
【0241】
第2の金属酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、例えば、上部領域42に含まれる第2の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい。
【0242】
第2の金属酸化物層82は、導電性を有する。
【0243】
第1の金属酸化物層81の第1の方向の厚さは、例えば、2nm以上20nm以下である。第2の金属酸化物層82の第1の方向の厚さは、例えば、2nm以上20nm以下である。
【0244】
次に、第4の実施形態の記憶装置の作用及び効果について説明する。
【0245】
仮に、第4の実施形態のメモリセルMCにおいて、第1の金属酸化物層81及び第2の金属酸化物層82が設けられない場合を考える。この場合、例えば、スイッチング素子のオン電流が低くなるおそれがある。
【0246】
スイッチング素子のオン電流が低くなるのは、例えば、下部領域41から下部電極10へ酸素が引き抜かれ、下部領域41に酸素空孔ができるためと考えられる。下部領域41に酸素空孔ができることで、下部電極10のフェルミレベルが下部領域41にピニングされ、下部電極10と下部領域41との間の第1の障壁高さφb1(
図6参照)が大きくなるためと考えられる。
【0247】
また、スイッチング素子のオン電流が低くなるのは、例えば、上部領域42から中間電極30へ酸素が引き抜かれ、上部領域42に酸素空孔ができるためと考えられる。上部領域42に酸素空孔ができることで、中間電極30のフェルミレベルが上部領域42にピニングされ、中間電極30と上部領域42との間の第2の障壁高さφb2(
図6参照)が大きくなるためと考えられる。
【0248】
第4の実施形態のメモリセルMCには、第1の金属酸化物層81が設けられる。そして、第1の金属酸化物層81に含まれる第1の金属酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、下部領域41に含まれる第1の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい。いいかえれば、第1の金属酸化物層81に含まれる第1の金属酸化物の中の酸素は、下部領域41に含まれる第1の酸化物の中の酸素よりも抜けやすい。このため、第1の金属酸化物層81から酸素が脱離し、下部領域41に供給され、下部領域41の酸素空孔が埋められる。したがって、下部電極10のフェルミレベルピニングが抑制され、第1の障壁高さφb1の変化が抑制される。よって、スイッチング素子のオン電流が低くなることが抑制できる。
【0249】
また、第4の実施形態のメモリセルMCには、第2の金属酸化物層82が設けられる。そして、第2の金属酸化物層82に含まれる第2の金属酸化物の標準生成ギブズエネルギーは、上部領域42に含まれる第2の酸化物の標準生成ギブズエネルギーよりも大きい。いいかえれば、第2の金属酸化物層82に含まれる第2の金属酸化物の中の酸素は、上部領域42に含まれる第2の酸化物の中の酸素よりも抜けやすい。このため、第2の金属酸化物層82から酸素が脱離し、上部領域42に供給され、上部領域42の酸素空孔が埋められる。したがって、中間電極30のフェルミレベルピニングが抑制され、第2の障壁高さφb2の変化が抑制される。よって、スイッチング素子のオン電流が低くなることが抑制できる。
【0250】
例えば、下部電極10が、炭素(C)の場合、第1の金属酸化物層81の熱伝導率は下部電極10の熱伝導率よりも小さい。したがって、第1の金属酸化物層81は、スイッチング層40の中に熱を閉じ込める機能を有する。スイッチング層40の中に熱を閉じ込められることで、スイッチング素子の動作が安定する。
【0251】
同様に、例えば、中間電極30が、炭素(C)の場合、第2の金属酸化物層82の熱伝導率は中間電極30の熱伝導率よりも小さい。したがって、第2の金属酸化物層82は、スイッチング層40の中に熱を閉じ込める機能を有する。スイッチング層40の中に熱を閉じ込められることで、スイッチング素子の動作が安定する。
【0252】
以上、第4の実施形態によれば、低い半選択リーク電流、及び、高いオン電流、という優れた特性を備えたスイッチング素子が実現できる。さらに、特性の優れたスイッチング素子を有する記憶装置が実現できる。
【0253】
(第5の実施形態)
第5の実施形態の記憶装置は、第1の導電層と、第2の導電層と、第1の導電層と第2の導電層との間に設けられた第3の導電層と、第1の導電層と第3の導電層との間に設けられたスイッチング層と、第3の導電層と第2の導電層との間に設けられた抵抗変化層と、を含むメモリセルを備える。スイッチング層は、第1の領域と、第1の領域と第3の導電層との間の第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間の第3の領域と、を含む。第1の領域は、酸化ニオブ、酸化バナジウム、クロム添加酸化バナジウム、酸化ニッケル、ストロンチウム添加マンガン酸ランタン、及び、酸化鉄からなる群から選ばれる少なくとも一つの第1の金属酸化物を含み、第2の領域は、酸化ニオブ、酸化バナジウム、クロム添加酸化バナジウム、酸化ニッケル、ストロンチウム添加マンガン酸ランタン、及び、酸化鉄からなる群から選ばれる少なくとも一つの第2の金属酸化物を含み、第3の領域は、酸化ジルコニウム、窒化シリコン、チタン酸ストロンチウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ハフニウム、アルミン酸銅、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、ケイ酸ハフニウム、チタン酸バリウム、炭化珪素、酸化ゲルマニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、及び、窒化アルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0254】
また、第5の実施形態の記憶装置は、複数の第1の配線と、複数の第1の配線と交差する複数の第2の配線と、を更に備える。そして、複数の第1の配線の一つと、複数の第2の配線の一つが交差する領域に上記メモリセルが設けられる。
【0255】
第5の実施形態の記憶装置は、スイッチング素子の構成が異なる点で、第1の実施形態の記憶装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0256】
第5の実施形態の記憶装置は、第1の実施形態の
図1のブロック図に示した構成と同様の構成を備える。
【0257】
図16は、第5の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図16は、例えば、
図1のメモリセルアレイ100中の、例えば点線の円で示される一個のメモリセルMCの断面を示す。
【0258】
メモリセルMCは、
図16に示すように、下部電極10、上部電極20、中間電極30、スイッチング層40、及び、抵抗変化層50を備える。スイッチング層40は、下部領域41、上部領域42、中間領域43を含む。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53を含む。
【0259】
下部電極10は、第1の導電層の一例である。上部電極20は、第2の導電層の一例である。中間電極30は、第3の導電層の一例である。下部領域41は、第1の領域の一例である。上部領域42は第2の領域の一例である。中間領域43は、第3の領域の一例である。
【0260】
下部電極10、スイッチング層40、及び中間電極30が、メモリセルMCのスイッチング素子を構成する。中間電極30、抵抗変化層50、及び上部電極20が、メモリセルMCの抵抗変化素子を構成する。
【0261】
下部電極10は、例えば、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。下部電極10は、例えば、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。下部電極10は、例えば、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、又は、ニッケル(Ni)である。
【0262】
下部電極10は、例えば、チタン(Ti)、プラチナ(Pt)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、銅(Cu)、及び、パラジウム(Pd)からなる群から選ばれる少なくとも一つの金属元素を含む。下部電極10は、例えば、チタン(Ti)、プラチナ(Pt)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、銅(Cu)、及び、パラジウム(Pd)からなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。下部電極10は、例えば、チタン(Ti)、プラチナ(Pt)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、銅(Cu)、又は、パラジウム(Pd)である。
【0263】
下部電極10は、例えば、チタン(Ti)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、銅(Cu)、及び、パラジウム(Pd)からなる群から選ばれる少なくとも一つの金属元素と窒素(N)を含む。下部電極10は、例えば、窒化チタン、窒化タングステン、窒化クロム、窒化モリブデン、窒化鉄、窒化銅、及び、窒化パラジウムからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。下部電極10は、例えば、窒化チタン、窒化タングステン、窒化クロム、窒化モリブデン、窒化鉄、窒化銅、又は、窒化パラジウムである。
【0264】
下部電極10は、例えば、インジウム(In)、スズ(Sn)、及び、酸素(O)を含む。下部電極10は、例えば、酸化インジウムスズを含む。下部電極10は、例えば、酸化インジウムスズである。
【0265】
上部電極20は、例えば金属である。上部電極20は、例えば、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0266】
中間電極30は、下部電極10と上部電極20との間に設けられる。
【0267】
中間電極30は、例えば、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。中間電極30は、例えば、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。中間電極30は、例えば、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、又は、ニッケル(Ni)である。
【0268】
中間電極30は、例えば、チタン(Ti)、プラチナ(Pt)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、銅(Cu)、及び、パラジウム(Pd)からなる群から選ばれる少なくとも一つの金属元素を含む。中間電極30は、例えば、チタン(Ti)、プラチナ(Pt)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、銅(Cu)、及び、パラジウム(Pd)からなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。中間電極30は、例えば、チタン(Ti)、プラチナ(Pt)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、銅(Cu)、又は、パラジウム(Pd)である。
【0269】
中間電極30は、例えば、チタン(Ti)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、銅(Cu)、及び、パラジウム(Pd)からなる群から選ばれる少なくとも一つの金属元素と窒素(N)を含む。中間電極30は、例えば、窒化チタン、窒化タングステン、窒化クロム、窒化モリブデン、窒化鉄、窒化銅、及び、窒化パラジウムからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。中間電極30は、例えば、窒化チタン、窒化タングステン、窒化クロム、窒化モリブデン、窒化鉄、窒化銅、又は、窒化パラジウムである。
【0270】
中間電極30は、例えば、インジウム(In)、スズ(Sn)、及び、酸素(O)を含む。中間電極30は、例えば、酸化インジウムスズを含む。中間電極30は、例えば、酸化インジウムスズである。
【0271】
スイッチング層40は、下部電極10と中間電極30との間に設けられる。スイッチング層40の下部電極10から上部電極20に向かう第1の方向の厚さは、例えば、5nm以上50nm以下である。
【0272】
スイッチング層40は、半選択セルに流れる半選択リーク電流の増加を抑制する機能を有する。スイッチング層40は、特定の閾値電圧で電流が急峻に立ち上がる非線形な電流電圧特性を有する。
【0273】
スイッチング層40は、下部領域41、上部領域42、中間領域43を含む。上部領域42は、下部領域41と中間電極30との間に設けられる。中間領域43は、下部領域41と上部領域42との間に設けられる。
【0274】
下部領域41は、例えば、下部電極10に接する。下部領域41は、例えば、中間領域43に接する。上部領域42は、例えば、中間電極30に接する。上部領域42は、例えば、例えば、中間領域43に接する。
【0275】
スイッチング層40の下部領域41は、酸化ニオブ、酸化バナジウム、クロム添加酸化バナジウム、酸化ニッケル、チタン酸ランタン、ストロンチウム添加マンガン酸ランタン、及び、酸化鉄からなる群から選ばれる少なくとも一つの第1の金属酸化物を含む。下部領域41は、例えば、第1の金属酸化物である。
【0276】
下部領域41に含まれる酸化ニオブは、例えば、NbO2で表される化学組成を有する。下部領域41に含まれる酸化バナジウムは、例えば、VO2で表される化学組成を有する。下部領域41に含まれるクロム添加酸化バナジウムは、例えば、(VxCr1-x)2O2で表される化学組成を有する。下部領域41に含まれる酸化ニッケルは、例えば、NiOで表される化学組成を有する。下部領域41に含まれるチタン酸ランタンは、例えば、LaTiO3で表される化学組成を有する。下部領域41に含まれるストロンチウム添加マンガン酸ランタンは、例えば、La1-xSrxMnO3で表される化学組成を有する。下部領域41に含まれる酸化鉄は、例えば、Fe3O4で表される化学組成を有する。
【0277】
下部領域41に含まれる第1の金属酸化物は、Mott絶縁体である。Mott絶縁体は、Mott転移が生じる材料である。Mott転移は、金属絶縁体転移である。Mott絶縁体は、例えば、電圧を印加することで、絶縁相から金属相へ相転移する。なお、Mott転移は可逆的であり、例えば、電圧の印加を停止することで、金属相から絶縁相へ相転移する。
【0278】
下部領域41の第1の方向の厚さは、例えば、1nm以上10nm以下である。
【0279】
スイッチング層40の上部領域42は、酸化ニオブ、酸化バナジウム、クロム添加酸化バナジウム、酸化ニッケル、チタン酸ランタン、ストロンチウム添加マンガン酸ランタン、及び、酸化鉄からなる群から選ばれる少なくとも一つの第2の金属酸化物を含む。上部領域42は、例えば、第2の金属酸化物である。
【0280】
上部領域42に含まれる酸化ニオブは、例えば、NbO2で表される化学組成を有する。上部領域42に含まれる酸化バナジウムは、例えば、VO2で表される化学組成を有する。上部領域42に含まれるクロム添加酸化バナジウムは、例えば、(VxCr1-x)2O2で表される化学組成を有する。上部領域42に含まれる酸化ニッケルは、例えば、NiOで表される化学組成を有する。上部領域42に含まれるチタン酸ランタンは、例えば、LaTiO3で表される化学組成を有する。上部領域42に含まれるストロンチウム添加マンガン酸ランタンは、例えば、La1-xSrxMnO3で表される化学組成を有する。上部領域42に含まれる酸化鉄は、例えば、Fe3O4で表される化学組成を有する。
【0281】
上部領域42に含まれる第1の金属酸化物は、Mott絶縁体である。
【0282】
第1の金属酸化物と第2の金属酸化物は、例えば、同一の金属酸化物である。
【0283】
上部領域42の第1の方向の厚さは、例えば、1nm以上10nm以下である。
【0284】
スイッチング層40の中間領域43は、酸化ジルコニウム、窒化シリコン、チタン酸ストロンチウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ハフニウム、アルミン酸銅、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、ケイ酸ハフニウム、チタン酸バリウム、炭化珪素、酸化ゲルマニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、及び、窒化アルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。中間領域43は、例えば、酸化ジルコニウム、窒化シリコン、チタン酸ストロンチウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ハフニウム、アルミン酸銅、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、ケイ酸ハフニウム、チタン酸バリウム、炭化珪素、酸化ゲルマニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、又は、窒化アルミニウムである。
【0285】
中間領域43に含まれる酸化ジルコニウムは、例えば、ZrO2で表される化学組成を有する。中間領域43に含まれる窒化シリコンは、例えば、Si3N4で表される化学組成を有する。中間領域43に含まれるチタン酸ストロンチウムは、例えば、SrTiO3で表される化学組成を有する。中間領域43に含まれる酸化チタンは、例えば、TiO2で表される化学組成を有する。中間領域43に含まれる酸化タンタルは、例えば、Ta2O5で表される化学組成を有する。中間領域43に含まれる酸化ハフニウムは、例えば、HfO2で表される化学組成を有する。中間領域43に含まれるアルミン酸銅は、例えば、CuAlO2で表される化学組成を有する。中間領域43に含まれる酸化ランタンは、例えば、La2O3で表される化学組成を有する。中間領域43に含まれる酸化イットリウムは、例えば、Y2O3で表される化学組成を有する。中間領域43に含まれる酸化アルミニウムは、例えば、Al2O3で表される化学組成を有する。中間領域43に含まれるケイ酸ハフニウムは、例えば、HfSiO4で表される化学組成を有する。中間領域43に含まれるチタン酸バリウムは、例えば、BaTiO3で表される化学組成を有する。中間領域43に含まれる炭化珪素は、例えば、SiCで表される化学組成を有する。中間領域43に含まれる酸化ゲルマニウムは、例えば、GeO2で表される化学組成を有する。中間領域43に含まれる酸化銅は、例えば、Cu2Oで表される化学組成を有する。中間領域43に含まれる酸化マグネシウムは、例えば、MgOで表される化学組成を有する。中間領域43に含まれる窒化アルミニウムは、例えば、AlNで表される化学組成を有する。
【0286】
中間領域43に含まれる物質は、非Mott絶縁体である。非Mott絶縁体は、Mott転移が生じない材料である。
【0287】
中間領域43の第1の方向の厚さは、例えば、1nm以上10nm以下である。
【0288】
図17は、第5の実施形態のスイッチング素子のバンド構造を示す図である。
【0289】
中間領域43に含まれる物質の電子親和力(
図17中のEa3)は、例えば、下部領域41に含まれる第1の金属酸化物の電子親和力(
図17中のEa1)より小さい。また、中間領域43に含まれる物質の電子親和力(
図17中のEa3)は、例えば、上部領域42に含まれる第2の金属酸化物の電子親和力(
図17中のEa2)より小さい。
【0290】
中間領域43に含まれる物質の電子親和力(
図17中のEa3)は、例えば、3.0eV以下である。
【0291】
中間領域43に含まれる物質の誘電率(
図17中のε3)は、例えば、下部領域41に含まれる第1の金属酸化物の誘電率(
図17中のε1)より大きい。また、中間領域43に含まれる物質の誘電率は、例えば、上部領域42に含まれる第2の金属酸化物の誘電率(
図17中のε2)より大きい。
【0292】
中間領域43に含まれる物質の電子親和力(
図17中のEa3)は、例えば、下部電極10に含まれる物質の仕事関数(
図17中のφm1)より小さい。中間領域43に含まれる物質の電子親和力(
図17中のEa3)は、例えば、中間電極30に含まれる物質の仕事関数(
図17中のφm2)より小さい。
【0293】
また、中間領域43に含まれる物質の電荷中性準位(
図17中のEx)は、例えば、下部電極10に含まれる物質の仕事関数(
図17中のφm1)より小さい。中間領域43に含まれる物質の電荷中性準位(
図17中のEx)は、例えば、中間電極30に含まれる物質の仕事関数(
図17中のφm2)より小さい。電荷中性準位Exは、フェルミレベルピニングが生ずるエネルギーレベルと真空準位とのエネルギー差である。
【0294】
中間領域43に含まれる物質のピニング係数(pinning factor)は、例えば、0.5以下である。ピニング係数は、物質に対するフェルミレベルピニングの生じやすさを示す物性値である。ピニング係数が小さいほど、フェルミレベルピニングが生じやすい。
【0295】
なお、物質の誘電率、電子親和力、仕事関数、電荷中性準位、ピニング係数は、当該物質が特定できれば、その物性値として特定できる。
【0296】
抵抗変化層50は、中間電極30と上部電極20との間に設けられる。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53を有する。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53で構成される磁気トンネル接合を含む。
【0297】
抵抗変化層50は、抵抗変化によりデータを記憶する機能を有する。抵抗変化層50は、例えば、所定の電圧の印加により電気抵抗が変化する特性を有する。
【0298】
次に、第5の実施形態の記憶装置の作用及び効果について説明する。
【0299】
図18は、第5の実施形態の比較例の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図18は、第5の実施形態の
図16に対応する図である。
【0300】
比較例の記憶装置のメモリセルMCは、スイッチング層40が、Mott絶縁体領域91のみで形成される点で、第5の実施形態の記憶装置のメモリセルMCと異なる。
【0301】
スイッチング層40のMott絶縁体領域91は、酸化ニオブ、酸化バナジウム、クロム添加酸化バナジウム、酸化ニッケル、チタン酸ランタン、ストロンチウム添加マンガン酸ランタン、及び、酸化鉄からなる群から選ばれる少なくとも一つの金属酸化物を含む。Mott絶縁体領域91は、例えば、上記金属酸化物である。
【0302】
Mott絶縁体領域91に含まれる金属酸化物は、Mott絶縁体である。
【0303】
図19は、第5の実施形態の記憶装置の作用及び効果の説明図である。
図19は、比較例の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図19は、比較例のスイッチング素子がオン状態の場合を示す。
【0304】
スイッチング素子に電圧が印加され、所定の電圧に達すると、Mott絶縁体領域91の少なくとも一部が絶縁相91xから金属相91yに相転移する。例えば、下部電極10と中間電極30との間で、金属相91yがつながり、高いオン電流が流れる。スイッチング素子は閾値電圧Vthで電流が急峻に立ち上がる非線形な電流電圧特性を有する。
【0305】
Mott絶縁体領域91に金属相91yが形成されることで、スイッチング素子のオン電流が高くなる。しかし、半選択リーク電流が十分に低くならないおそれがある。例えば、電圧の印加を停止した後の金属相91yから絶縁相91xの回復が完全ではなく、Mott絶縁体領域91に欠陥が残り、半選択リーク電流が十分に低くならないおそれがある。
【0306】
第5の実施形態の記憶装置のスイッチング素子は、Mott絶縁体の下部領域41と、Mott絶縁体の上部領域42との間に、非Mott絶縁体を含む中間領域43を備える。
【0307】
図20、
図21(a)、
図21(b)は、第5の実施形態の記憶装置の作用及び効果の説明図である。
【0308】
図20は、第5の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図20は、第5の実施形態のスイッチング素子がオン状態の場合を示す。
【0309】
図21(a)、
図21(b)は、第5の実施形態のスイッチング素子のバンド構造を示す図である。
図21(a)はスイッチング素子がオフ状態のバンド構造、
図21(b)がスイッチング素子がオン状態のバンド構造である。
【0310】
図20に示すように、スイッチング素子がオン状態では、Mott絶縁体の下部領域41と、Mott絶縁体の上部領域42には、金属相91yが形成される。一方、非Mott絶縁体を含む中間領域43には、金属相91yは形成されない。
【0311】
図21(a)に示すように、スイッチング素子のオフ状態では、下部電極10とMott絶縁体の下部領域41の間の第1の障壁高さφb1、中間電極30と上部領域42との間の第2の障壁高さφb2、及び、下部電極10及び中間電極30と中間領域43との間の第3の障壁高さφb3によって、電流が抑制されている。
【0312】
仮に、Mott絶縁体の下部領域41と、Mott絶縁体の上部領域42に半選択リーク電流の原因となる欠陥が残存しても、非Mott絶縁体を含む中間領域43で形成される障壁によって、半選択リーク電流の増加を抑制できる。
【0313】
なお、
図21(b)に示すように、スイッチング素子がオン状態では、中間領域43をトンネリングすることで、高いオン電流が流れる。オン状態では、下部領域41と上部領域42は、Mott転移により金属化する。このため、下部電極10のフェルミレベルと下部領域41のフェルミレベルが一致し、中間電極30のフェルミレベルと上部領域42のフェルミレベルが一致する。
【0314】
半選択リーク電流を低減する観点から、第3の障壁高さφb3は高いことが好ましい。したがって、中間領域43に含まれる物質の、電子親和力(
図17中のEa3)は小さいことが好ましい。中間領域43に含まれる物質の、電子親和力Eaは、3.0eV以下であることが好ましい。
【0315】
また、Mott絶縁体の下部領域41及びMott絶縁体の上部領域42に有効に電界を印加し、Mott転移を促進させる観点から、中間領域43に含まれる物質の誘電率は大きいことが好ましい。
【0316】
図22は、第5の実施形態の記憶装置の作用及び効果の説明図である。
図22は、第5の実施形態のスイッチング素子のバンド構造を示す図である。
図22はスイッチング素子がオン状態のバンド構造である。
【0317】
スイッチング素子がオン状態の時、フェルミピニングが生じると、例えば、下部電極10と下部領域41の仕事関数が、第1の仕事関数(
図22中のφm1)から第1の実効仕事関数(
図22中のφm1_eff)に変化する。第1の実効仕事関数φm1_effは、中間領域43に含まれる物質の電荷中性準位Exと一致する。
【0318】
フェルミピニングが生じた後の、第1の実効仕事関数φm1_effが小さくなると、トンネル電流が流れやすくなり、スイッチング素子のオン電流が高くなる。したがって、中間領域43に含まれる物質の電荷中性準位Exは小さいことが好ましく、ピニング係数は小さいことが好ましい。
【0319】
電子親和力が小さく、誘電率が大きく、中性電荷準位が小さく、ピニング係数が小さい物質という観点から、中間領域43に含まれる物質は、酸化ジルコニウム、窒化シリコン、チタン酸ストロンチウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ハフニウム、アルミン酸銅、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、又は、ケイ酸ハフニウムであることが好ましく、酸化ジルコニウム、窒化シリコン、チタン酸ストロンチウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ハフニウム、又は、アルミン酸銅であることがより好ましく、酸化ジルコニウム又は窒化シリコンであることが更に好ましい。
【0320】
第3の障壁高さ(
図17中のφb3)を高くし、半選択リーク電流を抑制する観点から、中間領域43に含まれる物質の電子親和力(
図17中のEa3)は、下部領域41に含まれる第1の金属酸化物の電子親和力(
図17中のEa1)より小さいことが好ましい。また、中間領域43に含まれる物質の電子親和力(
図17中のEa3)は、上部領域42に含まれる第2の金属酸化物の電子親和力(
図17中のEa2)より小さいことが好ましい。
【0321】
第1の障壁高さ(
図17中のφb1)、第2の障壁高さ(
図17中のφb2)、及び、第3の障壁高さ(
図17中のφb3)を高くし、半選択リーク電流を抑制する観点から、下部電極10の第1の仕事関数(
図17中のφm1)、及び、中間電極30の第2の仕事関数(
図17中のφm2)は大きいことが好ましい。
【0322】
上記観点から、下部電極10は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含むことが好ましい。また、下部電極10は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含むことが好ましい。また、下部電極10は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、ニッケル(Ni)であることが好ましい。
【0323】
上記観点から、中間電極30は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含むことが好ましい。また、中間電極30は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含むことが好ましい。また、中間電極30は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、ニッケル(Ni)であることが好ましい。
【0324】
以上、第5の実施形態によれば、低い半選択リーク電流、及び、高いオン電流、という優れた特性を備えたスイッチング素子が実現できる。さらに、特性の優れたスイッチング素子を有する記憶装置が実現できる。
【0325】
(第6の実施形態)
第6の実施形態の記憶装置は、第1の導電層と、第2の導電層と、第1の導電層と第2の導電層との間に設けられた第3の導電層と、第1の導電層と第3の導電層との間に設けられたスイッチング層と、第3の導電層と第2の導電層との間に設けられた抵抗変化層と、を含むメモリセルを備える。スイッチング層は、第1の領域と、第1の領域と第3の導電層との間の第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間の第3の領域と、を含む。第1の領域は、酸化ニオブ、酸化バナジウム、クロム添加酸化バナジウム、酸化ニッケル、チタン酸ランタン、ストロンチウム添加マンガン酸ランタン、及び、酸化鉄からなる群から選ばれる少なくとも一つの第1の金属酸化物を含み、第2の領域は、酸化ニオブ、酸化バナジウム、クロム添加酸化バナジウム、酸化ニッケル、ストロンチウム添加マンガン酸ランタン、及び、酸化鉄からなる群から選ばれる少なくとも一つの第2の金属酸化物を含み、第3の領域は、酸化ニオブ、酸化バナジウム、クロム添加酸化バナジウム、酸化ニッケル、ストロンチウム添加マンガン酸ランタン、及び、酸化鉄からなる群から選ばれる少なくとも一つの第3の金属酸化物を含む。第3の金属酸化物の電子親和力は、第1の金属酸化物の電子親和力よりも小さく、第3の金属酸化物の電子親和力は、第2の金属酸化物の電子親和力よりも小さい。
【0326】
また、第6の実施形態の記憶装置は、複数の第1の配線と、複数の第1の配線と交差する複数の第2の配線と、を更に備える。そして、複数の第1の配線の一つと、複数の第2の配線の一つが交差する領域に上記メモリセルが設けられる。
【0327】
第6の実施形態の記憶装置は、スイッチング素子の構成が異なる点で、第1の実施形態の記憶装置と異なる。また、第6の実施形態の記憶装置は、中間領域43にMott絶縁体が含まれる点で、第5の実施形態の記憶装置と異なる。以下、第1の実施形態又は第5の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0328】
第6の実施形態の記憶装置は、第1の実施形態の
図1のブロック図に示した構成と同様の構成を備える。
【0329】
図23は、第6の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図23は、例えば、
図1のメモリセルアレイ100中の、例えば点線の円で示される一個のメモリセルMCの断面を示す。
【0330】
メモリセルMCは、
図23に示すように、下部電極10、上部電極20、中間電極30、スイッチング層40、及び、抵抗変化層50を備える。スイッチング層40は、下部領域41、上部領域42、中間領域43を含む。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53を含む。
【0331】
下部電極10は、第1の導電層の一例である。上部電極20は、第2の導電層の一例である。中間電極30は、第3の導電層の一例である。下部領域41は、第1の領域の一例である。上部領域42は第2の領域の一例である。中間領域43は、第3の領域の一例である。
【0332】
下部電極10、スイッチング層40、及び中間電極30が、メモリセルMCのスイッチング素子を構成する。中間電極30、抵抗変化層50、及び上部電極20が、メモリセルMCの抵抗変化素子を構成する。
【0333】
下部電極10は、例えば、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。下部電極10は、例えば、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。下部電極10は、例えば、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、又は、ニッケル(Ni)である。
【0334】
下部電極10は、例えば、チタン(Ti)、プラチナ(Pt)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、銅(Cu)、及び、パラジウム(Pd)からなる群から選ばれる少なくとも一つの金属元素を含む。下部電極10は、例えば、チタン(Ti)、プラチナ(Pt)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、銅(Cu)、及び、パラジウム(Pd)からなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。下部電極10は、例えば、チタン(Ti)、プラチナ(Pt)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、銅(Cu)、又は、パラジウム(Pd)である。
【0335】
下部電極10は、例えば、チタン(Ti)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、銅(Cu)、及び、パラジウム(Pd)からなる群から選ばれる少なくとも一つの金属元素と窒素(N)を含む。下部電極10は、例えば、窒化チタン、窒化タングステン、窒化クロム、窒化モリブデン、窒化鉄、窒化銅、及び、窒化パラジウムからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。下部電極10は、例えば、チ窒化チタン、窒化タングステン、窒化クロム、窒化モリブデン、窒化鉄、窒化銅、又は、窒化パラジウムである。
【0336】
下部電極10は、例えば、インジウム(In)、スズ(Sn)、及び、酸素(O)を含む。下部電極10は、例えば、酸化インジウムスズを含む。下部電極10は、例えば、酸化インジウムスズである。
【0337】
上部電極20は、例えば金属である。上部電極20は、例えば、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0338】
中間電極30は、下部電極10と上部電極20との間に設けられる。
【0339】
中間電極30は、例えば、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。中間電極30は、例えば、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。中間電極30は、例えば、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、又は、ニッケル(Ni)である。
【0340】
中間電極30は、例えば、チタン(Ti)、プラチナ(Pt)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、銅(Cu)、及び、パラジウム(Pd)からなる群から選ばれる少なくとも一つの金属元素を含む。中間電極30は、例えば、チタン(Ti)、プラチナ(Pt)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、銅(Cu)、及び、パラジウム(Pd)からなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。中間電極30は、例えば、チタン(Ti)、プラチナ(Pt)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、銅(Cu)、又は、パラジウム(Pd)である。
【0341】
中間電極30は、例えば、チタン(Ti)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、銅(Cu)、及び、パラジウム(Pd)からなる群から選ばれる少なくとも一つの金属元素と窒素(N)を含む。中間電極30は、例えば、窒化チタン、窒化タングステン、窒化クロム、窒化モリブデン、窒化鉄、窒化銅、及び、窒化パラジウムからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。中間電極30は、例えば、チ窒化チタン、窒化タングステン、窒化クロム、窒化モリブデン、窒化鉄、窒化銅、又は、窒化パラジウムである。
【0342】
中間電極30は、例えば、インジウム(In)、スズ(Sn)、及び、酸素(O)を含む。下部電極10は、例えば、酸化インジウムスズを含む。中間電極30は、例えば、酸化インジウムスズである。
【0343】
スイッチング層40は、下部電極10と中間電極30との間に設けられる。スイッチング層40の下部電極10から上部電極20に向かう第1の方向の厚さは、例えば、5nm以上50nm以下である。
【0344】
スイッチング層40は、半選択セルに流れる半選択リーク電流の増加を抑制する機能を有する。スイッチング層40は、特定の閾値電圧で電流が急峻に立ち上がる非線形な電流電圧特性を有する。
【0345】
スイッチング層40は、下部領域41、上部領域42、中間領域43を含む。上部領域42は、下部領域41と中間電極30との間に設けられる。中間領域43は、下部領域41と上部領域42との間に設けられる。
【0346】
下部領域41は、例えば、下部電極10に接する。下部領域41は、例えば、中間領域43に接する。上部領域42は、例えば、中間電極30に接する。上部領域42は、例えば、例えば、中間領域43に接する。
【0347】
スイッチング層40の下部領域41は、酸化ニオブ、酸化バナジウム、クロム添加酸化バナジウム、酸化ニッケル、チタン酸ランタン、ストロンチウム添加マンガン酸ランタン、及び、酸化鉄からなる群から選ばれる少なくとも一つの第1の金属酸化物を含む。下部領域41は、例えば、第1の金属酸化物である。
【0348】
下部領域41に含まれる酸化ニオブは、例えば、NbO2で表される化学組成を有する。下部領域41に含まれる酸化バナジウムは、例えば、VO2で表される化学組成を有する。下部領域41に含まれるクロム添加酸化バナジウムは、例えば、(VxCr1-x)2O2で表される化学組成を有する。下部領域41に含まれる酸化ニッケルは、例えば、NiOで表される化学組成を有する。下部領域41に含まれるチタン酸ランタンは、例えば、LaTiO3で表される化学組成を有する。下部領域41に含まれるストロンチウム添加マンガン酸ランタンは、例えば、La1-xSrxMnO3で表される化学組成を有する。下部領域41に含まれる酸化鉄は、例えば、Fe3O4で表される化学組成を有する。
【0349】
下部領域41に含まれる第1の金属酸化物は、Mott絶縁体である。
【0350】
下部領域41の第1の方向の厚さは、例えば、1nm以上10nm以下である。
【0351】
スイッチング層40の上部領域42は、酸化ニオブ、酸化バナジウム、クロム添加酸化バナジウム、酸化ニッケル、チタン酸ランタン、ストロンチウム添加マンガン酸ランタン、及び、酸化鉄からなる群から選ばれる少なくとも一つの第2の金属酸化物を含む。上部領域42は、例えば、第2の金属酸化物である。
【0352】
上部領域42に含まれる酸化ニオブは、例えば、NbO2で表される化学組成を有する。上部領域42に含まれる酸化バナジウムは、例えば、VO2で表される化学組成を有する。上部領域42に含まれるクロム添加酸化バナジウムは、例えば、(VxCr1-x)2O2で表される化学組成を有する。上部領域42に含まれる酸化ニッケルは、例えば、NiOで表される化学組成を有する。上部領域42に含まれるチタン酸ランタンは、例えば、LaTiO3で表される化学組成を有する。上部領域42に含まれるストロンチウム添加マンガン酸ランタンは、例えば、La1-xSrxMnO3で表される化学組成を有する。上部領域42に含まれる酸化鉄は、例えば、Fe3O4で表される化学組成を有する。
【0353】
上部領域42に含まれる第1の金属酸化物は、Mott絶縁体である。
【0354】
第1の金属酸化物と第2の金属酸化物は、例えば、同一の金属酸化物である。
【0355】
上部領域42の第1の方向の厚さは、例えば、1nm以上10nm以下である。
【0356】
スイッチング層40の中間領域43は、酸化ニオブ、酸化バナジウム、クロム添加酸化バナジウム、酸化ニッケル、チタン酸ランタン、ストロンチウム添加マンガン酸ランタン、及び、酸化鉄からなる群から選ばれる少なくとも一つの第3の金属酸化物を含む。中間領域43は、例えば、第3の金属酸化物である。
【0357】
中間領域43に含まれる酸化ニオブは、例えば、NbO2で表される化学組成を有する。中間領域43に含まれる酸化バナジウムは、例えば、VO2で表される化学組成を有する。中間領域43に含まれるクロム添加酸化バナジウムは、例えば、(VxCr1-x)2O2で表される化学組成を有する。中間領域43に含まれる酸化ニッケルは、例えば、NiOで表される化学組成を有する。中間領域43に含まれるチタン酸ランタンは、例えば、LaTiO3で表される化学組成を有する。中間領域43に含まれるストロンチウム添加マンガン酸ランタンは、例えば、La1-xSrxMnO3で表される化学組成を有する。中間領域43に含まれる酸化鉄は、例えば、Fe3O4で表される化学組成を有する。
【0358】
中間領域43に含まれる第1の金属酸化物は、Mott絶縁体である。
【0359】
第3の金属酸化物と、第1の金属酸化物及び第2の金属酸化物は、異なる金属酸化物である。
【0360】
中間領域43の第1の方向の厚さは、例えば、1nm以上10nm以下である。
【0361】
図24は、第6実施形態のスイッチング素子のバンド構造を示す図である。
【0362】
中間領域43に含まれる第3の金属酸化物の電子親和力(
図24中のEa3)は、下部領域41に含まれる第1の金属酸化物の電子親和力(
図24中のEa1)より小さい。また、中間領域43に含まれる第3の金属酸化物の電子親和力(
図24中のEa3)は、上部領域42に含まれる第2の金属酸化物の電子親和力(
図24中のEa2)より小さい。
【0363】
例えば、第3の金属酸化物が酸化ニッケル(NiO)であり、第1の金属酸化物及び第2の金属酸化物が酸化ニオブ(NbO2)である場合、第3の金属酸化物の電子親和力Eaは、第1の金属酸化物の電子親和力Ea1及び第2の金属酸化物の電子親和力Ea2よりも小さい。
【0364】
抵抗変化層50は、中間電極30と上部電極20との間に設けられる。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53を有する。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53で構成される磁気トンネル接合を含む。
【0365】
抵抗変化層50は、抵抗変化によりデータを記憶する機能を有する。抵抗変化層50は、例えば、所定の電圧の印加により電気抵抗が変化する特性を有する。
【0366】
次に、第6の実施形態の記憶装置の作用及び効果について説明する。
【0367】
図25は、第6の実施形態の記憶装置の作用及び効果の説明図である。
図25は、第6の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図25は、第6の実施形態のスイッチング素子がオン状態の場合を示す。
【0368】
図25に示すように、スイッチング素子に電圧が印加され、所定の電圧に達すると、Mott絶縁体の下部領域41、Mott絶縁体の上部領域42、及び、Mott絶縁体の中間領域43が絶縁相91xから金属相91yに相転移する。スイッチング素子がオン状態では、Mott絶縁体の下部領域41、Mott絶縁体の上部領域42、及び、Mott絶縁体の中間領域43に、金属相91yが形成される。例えば、下部電極10と中間電極30との間で、金属相91yがつながり、スイッチング素子に高いオン電流が流れる。スイッチング素子は閾値電圧Vthで電流が急峻に立ち上がる非線形な電流電圧特性を有する。
【0369】
第6の実施形態の記憶装置のスイッチング素子は、電子親和力の小さい第3の金属酸化物を含む中間領域43を備える。このため、中間領域43が、下部領域41で形成される第1の障壁高さ(
図24中のφb1)、及び、上部領域42で形成される第2の障壁高さ(
図24中のφb2)よりも高い第3の障壁高さ(
図24中のφb3)を備える。
【0370】
仮に、高い障壁を形成する中間領域43が設けられない場合、障壁が低いためスイッチング素子の半選択リーク電流が増加するおそれがある。第6の実施形態の記憶装置のスイッチング素子は、電子親和力の小さい第3の金属酸化物を含む中間領域43を備えることで、半選択リーク電流を低くすることができる。
【0371】
第1の障壁高さ(
図24中のφb1)、第2の障壁高さ(
図24中のφb2)、及び、第3の障壁高さ(
図24中のφb3)を高くする観点から、下部電極10の第1の仕事関数(
図24中のφm1)、中間電極30の第2の仕事関数(
図24中のφm2)は大きいことが好ましい。
【0372】
上記観点から、下部電極10は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含むことが好ましい。また、下部電極10は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含むことが好ましい。また、下部電極10は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、ニッケル(Ni)であることが好ましい。
【0373】
上記観点から、中間電極30は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含むことが好ましい。また、中間電極30は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、及び、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含むことが好ましい。また、中間電極30は、炭素(C)、コバルト(Co)、金(Au)、ニッケル(Ni)であることが好ましい。
【0374】
以上、第6の実施形態によれば、低い半選択リーク電流、及び、高いオン電流、という優れた特性を備えたスイッチング素子が実現できる。さらに、特性の優れたスイッチング素子を有する記憶装置が実現できる。
【0375】
(第7の実施形態)
第7の実施形態の記憶装置は、抵抗変化型メモリ(ReRAM)である点で、第1の実施形態の記憶装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については記述を一部省略する。
【0376】
図26は、第7の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図26は、
図1のメモリセルアレイ100中の、例えば点線の円で示される一個のメモリセルMCの断面を示す。
【0377】
メモリセルMCは、
図26に示すように、下部電極10、上部電極20、中間電極30、スイッチング層40、及び、抵抗変化層50を備える。抵抗変化層50は、高抵抗層50x及び低抵抗層50yを含む。
【0378】
下部電極10は、第1の導電層の一例である。上部電極20は、第2の導電層の一例である。中間電極30は、第3の導電層の一例である。
【0379】
下部電極10、スイッチング層40、及び中間電極30が、メモリセルMCのスイッチング素子を構成する。中間電極30、抵抗変化層50、及び上部電極20が、メモリセルMCの抵抗変化素子を構成する。
【0380】
スイッチング素子の構成は、第1の実施形態の記憶装置と同様である。
【0381】
抵抗変化層50は、高抵抗層50xと低抵抗層50yを含む。
【0382】
高抵抗層50xは、例えば、金属酸化物である。高抵抗層50xは、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、又は、酸化ニオブである。
【0383】
低抵抗層50yは、例えば、金属酸化物である。低抵抗層50yに含まれる金属酸化物は、高抵抗層50xに含まれる金属酸化物と異なる。低抵抗層50yは、例えば、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、又は、酸化タングステンである。
【0384】
抵抗変化層50は、抵抗変化によりデータを記憶する機能を有する。抵抗変化層50は、例えば、所定の電圧の印加により電気抵抗が変化する特性を有する。
【0385】
抵抗変化層50に電圧を印加することで、抵抗変化層50が高抵抗状態から低抵抗状態へ、或いは、低抵抗状態から高抵抗状態へと変化する。抵抗変化層50への電圧の印加により、高抵抗層50xと低抵抗層50yとの間で、酸素イオンが移動し、低抵抗層50yの中の酸素欠損量(酸素空孔量)が変化する。低抵抗層50yの中の酸素欠損量に伴い抵抗変化層50の導電性が変化する。低抵抗層50yは、いわゆる、空孔変調伝導性酸化物(Vacancy Modulated Conductive Oxide)である。
【0386】
例えば、高抵抗状態をデータ“1”、低抵抗状態をデータ“0”と定義する。メモリセルMCは“0”と“1”の1ビットデータを記憶することが可能となる。
【0387】
以上、第7の実施形態の記憶装置によれば、第1の実施形態と同様、低い半選択リーク電流、及び、高い信頼性という優れた特性を備えたスイッチング素子が実現できる。よって、第7の実施形態によれば、特性の優れたスイッチング素子を有する記憶装置を実現できる。
【0388】
第1ないし第6の実施形態では2端子の記憶装置として磁気抵抗メモリ、第7の実施形態では2端子の記憶装置として抵抗変化型メモリを例に説明したが、その他の2端子の記憶装置に本発明を適用することが可能である。例えば、相変化メモリ(Phase Change Memory:PCM)、又は、強誘電体メモリ(Ferroelectric Random Access Memory:FeRAM)に本発明を適用することが可能である。
【0389】
また、第7の実施形態では記憶装置として第1の実施形態のスイッチング素子を有する抵抗変化型メモリを例に説明したが、第2ないし第6の実施形態のスイッチング素子を有する抵抗変化型メモリとすることも可能である。
【0390】
第1ないし第7の実施形態では、スイッチング素子が抵抗変化素子の下に設けられる場合を例に説明したが、スイッチング素子を抵抗変化素子の上に設ける構成とすることも可能である。
【0391】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0392】
10 下部電極(第1の導電層)
20 上部電極(第2の導電層)
30 中間電極(第3の導電層)
40 スイッチング層
41 下部領域(第1の領域)
42 上部領域(第2の領域)
43 中間領域(第3の領域)
44 第1の導電領域(第4の領域)
45 第2の導電領域(第4の領域)
50 抵抗変化層
61 第1の側壁
62 第2の側壁
63 第3の側壁
64 第4の側壁
81 第1の金属酸化物層(第1の層)
82 第2の金属酸化物層(第2の層)
102 ワード線(第1の配線)
103 ビット線(第2の配線)
MC メモリセル