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特開2024-136418生育状態推定装置、植物管理システム、生育状態推定方法、植物管理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136418
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】生育状態推定装置、植物管理システム、生育状態推定方法、植物管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20240927BHJP
   A01G 31/00 20180101ALI20240927BHJP
【FI】
A01G7/00 603
A01G31/00 612
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047531
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】初谷 恵美子
(72)【発明者】
【氏名】王 俊善
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 平理
【テーマコード(参考)】
2B314
【Fターム(参考)】
2B314MA09
2B314MA17
2B314MA38
2B314MA39
2B314MA40
2B314MA42
2B314PB44
2B314PD59
(57)【要約】
【解決手段】育成状態推定装置は、植物工場内に設けられたセンサにより検出された、前記植物工場内の第1時点での二酸化炭素濃度と、前記第1時点より後の第2時点での二酸化炭素濃度とを取得する濃度取得部と、二酸化炭素を貯蔵するタンクを有する二酸化炭素供給設備を介して、前記植物工場内に前記第1時点から前記第2時点までに供給される二酸化炭素の供給量を取得する供給量取得部と、前記第1時点の二酸化炭素濃度、前記第2時点の二酸化炭素濃度、及び二酸化炭素の前記供給量に基づいて、前記第1時点から前記第2時点までに前記植物工場内で栽培されている植物により消費された二酸化炭素の消費量を特定する消費量特定部と、二酸化炭素の消費量と前記植物工場内の前記植物の生育状態との関係を示す関係情報と、特定された前記消費量とに基づいて、前記植物の生育状態を推定する推定部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物工場内に設けられたセンサにより検出された、前記植物工場内の第1時点での二酸化炭素濃度と、前記第1時点より後の第2時点での二酸化炭素濃度とを取得する濃度取得部と、
二酸化炭素を貯蔵するタンクを有する二酸化炭素供給設備を介して、前記植物工場内に前記第1時点から前記第2時点までに供給される二酸化炭素の供給量を取得する供給量取得部と、
前記第1時点の二酸化炭素濃度、前記第2時点の二酸化炭素濃度、及び二酸化炭素の前記供給量に基づいて、前記第1時点から前記第2時点までに前記植物工場内で栽培されている植物により消費された二酸化炭素の消費量を特定する消費量特定部と、
二酸化炭素の消費量と前記植物工場内の前記植物の生育状態との関係を示す関係情報と、特定された前記消費量とに基づいて、前記植物の生育状態を推定する推定部と
を備える生育状態推定装置。
【請求項2】
前記消費量特定部は、前記植物工場内で前記植物が栽培されていない状態で前記第1時点から前記第2時点までの期間に相当する期間に前記植物工場内で消費された二酸化炭素の消費量である予め定められた基礎消費量にさらに基づいて、前記第1時点から前記第2時点までに前記植物工場内で前記植物により消費された二酸化炭素の消費量を特定する、請求項1に記載の生育状態推定装置。
【請求項3】
前記消費量特定部は、前記植物工場内に前記第1時点から前記第2時点までの間に存在する人の人数及び滞在時間に基づいて、前記第1時点から前記第2時点までに人により排出される二酸化炭素の排出量を特定し、特定された人の二酸化炭素の前記排出量にさらに基づいて、前記第1時点から前記第2時点までに前記植物工場内で前記植物により消費された二酸化炭素の消費量を特定する、請求項1に記載の生育状態推定装置。
【請求項4】
前記供給量取得部は、肥料成分を含む養液を貯蔵するタンクを有する養液供給設備を介して、前記第1時点から前記第2時点までに前記植物に供給される前記養液の供給量を取得し、
前記推定部は、前記養液の供給量と前記植物の生育状態との関係を示す関係情報と、前記養液の供給量とに基づいて、前記植物の生育状態を推定し、
前記推定部は、前記二酸化炭素の消費量に基づき推定された前記植物の生育状態と、前記養液の供給量に基づき推定された前記植物の生育状態とに基づいて、前記植物の生育状態を推定する、請求項1に記載の生育状態推定装置。
【請求項5】
前記推定部は、前記二酸化炭素の消費量に基づき推定された前記植物の生育状態と、前記養液の供給量に基づき推定された前記植物の生育状態とが一致する場合に、一致した前記生育状態を前記植物工場内の環境を制御する環境制御設備を制御するための前記植物の生育状態として用いる、請求項4に記載の生育状態推定装置。
【請求項6】
前記推定部は、前記二酸化炭素の消費量に基づき推定された前記植物の生育状態と、前記養液の供給量に基づき推定された前記植物の生育状態とが一致しない場合に、一致しない前記生育状態を前記植物工場内の環境を制御する環境制御設備を制御するための前記植物の生育状態として用いない、請求項4に記載の生育状態推定装置。
【請求項7】
肥料成分を含む養液を貯蔵するタンクを有する養液供給設備を介して、第1時点から前記第1時点より後の第2時点までに植物工場内で栽培される植物に供給される前記養液の供給量を取得する供給量取得部と、
前記養液の供給量と前記植物の生育状態との関係を示す関係情報と、前記養液の前記供給量とに基づいて、前記植物の生育状態を推定する推定部と
を備える生育状態推定装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れか1つに記載の生育状態推定装置と、
前記推定部により推定された前記植物の生育状態が、前記第2時点で満たすべき予め定められた生育状態となるように、前記植物工場内の環境を制御する環境制御設備を制御する環境制御部と
を備える植物管理システム。
【請求項9】
前記環境制御設備は、前記植物に肥料成分を含む養液を供給する養液供給設備を含み、
前記環境制御部は、前記推定部により推定された前記植物の生育状態が、前記第2時点で満たすべき予め定められた生育状態となるように、前記養液供給設備により前記植物に供給される養液の肥料濃度を調整する、請求項8に記載の植物管理システム。
【請求項10】
前記環境制御設備は、前記植物が栽培されている培地に水分を供給する潅水設備を含み、
前記環境制御部は、前記推定部により推定された前記植物の生育状態が、前記第2時点で満たすべき予め定められた生育状態となるように、前記潅水設備による前記培地への潅水量を調整する、請求項8に記載の植物管理システム。
【請求項11】
前記環境制御設備は、前記植物に人工光を照射する光源を有する光源設備を含み、
前記環境制御部は、前記推定部により推定された前記植物の生育状態が、前記第2時点で満たすべき予め定められた生育状態となるように、前記光源設備により前記植物へ照射される光量及び照射時間を調整する、請求項8に記載の植物管理システム。
【請求項12】
請求項1から6の何れか1つに記載の生育状態推定装置と、
前記推定部により推定された前記植物の生育状態が、前記第2時点で満たすべき予め定められた生育状態となるように、前記植物工場内の環境を制御する環境制御設備を制御する環境制御部と、
前記消費量特定部により特定された二酸化炭素の前記消費量が予め定められた閾値より小さい場合、前記環境制御設備の異常発生を示すメッセージを通知する通知部とを備える植物管理システム。
【請求項13】
植物工場内に設けられたセンサにより検出された、前記植物工場内の第1時点での二酸化炭素濃度と、前記第1時点より後の第2時点での二酸化炭素濃度とを取得する段階と、
二酸化炭素を貯蔵するタンクを有する二酸化炭素供給設備を介して、前記植物工場内に前記第1時点から前記第2時点までに供給される二酸化炭素の供給量を取得する段階と、
前記第1時点の二酸化炭素濃度、前記第2時点の二酸化炭素濃度、及び二酸化炭素の前記供給量に基づいて、前記第1時点から前記第2時点までに前記植物工場内で栽培されている植物により消費された二酸化炭素の消費量を特定する段階と、
二酸化炭素の消費量と前記植物工場内の前記植物の生育状態との関係を示す関係情報と、特定された前記消費量とに基づいて、前記植物の生育状態を推定する段階と
を備える生育状態推定方法。
【請求項14】
肥料成分を含む養液を貯蔵するタンクを有する養液供給設備を介して、第1時点から前記第1時点より後の第2時点までに植物工場内で栽培される植物に供給される前記養液の供給量を取得する段階と、
前記養液の供給量と前記植物の生育状態との関係を示す関係情報と、前記養液の前記供給量とに基づいて、前記植物の生育状態を推定する段階と
を備える生育状態推定方法。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載の生育状態推定方法に従って、前記植物の生育状態を推定する段階と
推定された前記植物の生育状態が、前記第2時点で満たすべき予め定められた生育状態となるように、前記植物工場内の環境を制御する環境制御設備を制御する段階と
を備える植物管理方法。
【請求項16】
植物工場内に設けられたセンサにより検出された、前記植物工場内の第1時点での二酸化炭素濃度と、前記第1時点より後の第2時点での二酸化炭素濃度とを取得する段階と、
二酸化炭素を貯蔵するタンクを有する二酸化炭素供給設備を介して、前記植物工場内に前記第1時点から前記第2時点までに供給される二酸化炭素の供給量を取得する段階と、
前記第1時点の二酸化炭素濃度、前記第2時点の二酸化炭素濃度、及び二酸化炭素の前記供給量に基づいて、前記第1時点から前記第2時点までに前記植物工場内で栽培されている植物により消費された二酸化炭素の消費量を特定する段階と、
二酸化炭素の消費量と前記植物工場内の前記植物の生育状態との関係を示す関係情報と、特定された前記消費量とに基づいて、前記植物の生育状態を推定する段階と
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項17】
肥料成分を含む養液を貯蔵するタンクを有する養液供給設備を介して、第1時点から前記第1時点より後の第2時点までに植物工場内で栽培される植物に供給される前記養液の供給量を取得する段階と、
前記養液の供給量と前記植物の生育状態との関係を示す関係情報と、前記養液の前記供給量とに基づいて、前記植物の生育状態を推定する段階と
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生育状態推定装置、植物管理システム、生育状態推定方法、植物管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「レーザスキャナ4により窒素の含有量に対して反射率の異なる2波長からなるパルス測距光をスキャンし、2波長を分離して受光し、各パルス測距光毎に及び2波長毎に、測距値、光量を検出し、測距値に基づき作物の丈を検出し、2波長の受光光量比を検出し、検出された丈、受光光量比に基づき作物の生育状態を検出する。」と記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2022-054395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
追加設備を抑制しつつ、植物工場で栽培される植物の生育状態を特定することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様に係る生育状態推定装置は、植物工場内に設けられたセンサにより検出された、前記植物工場内の第1時点での二酸化炭素濃度と、前記第1時点より後の第2時点での二酸化炭素濃度とを取得する濃度取得部を備えてよい。前記生育状態推定装置は、二酸化炭素を貯蔵するタンクを有する二酸化炭素供給設備を介して、前記植物工場内に前記第1時点から前記第2時点までに供給される二酸化炭素の供給量を取得する供給量取得部を備えてよい。前記生育状態推定装置は、前記第1時点の二酸化炭素濃度、前記第2時点の二酸化炭素濃度、及び二酸化炭素の前記供給量に基づいて、前記第1時点から前記第2時点までに前記植物工場内で栽培されている植物により消費された二酸化炭素の消費量を特定する消費量特定部を備えてよい。前記生育状態推定装置は、二酸化炭素の消費量と前記植物工場内の前記植物の生育状態との関係を示す関係情報と、特定された前記消費量とに基づいて、前記植物の生育状態を推定する推定部を備えてよい。
【0005】
前記生育状態推定装置において、前記消費量特定部は、前記植物工場内で前記植物が栽培されていない状態で前記第1時点から前記第2時点までの期間に相当する期間に前記植物工場内で消費された二酸化炭素の消費量である予め定められた基礎消費量にさらに基づいて、前記第1時点から前記第2時点までに前記植物工場内で前記植物により消費された二酸化炭素の消費量を特定してよい。
【0006】
いずれかの前記生育状態推定装置において、前記消費量特定部は、前記植物工場内に前記第1時点から前記第2時点までの間に存在する人の人数及び滞在時間に基づいて、前記第1時点から前記第2時点までに人により排出される二酸化炭素の排出量を特定し、特定された人の二酸化炭素の前記排出量にさらに基づいて、前記第1時点から前記第2時点までに前記植物工場内で前記植物により消費された二酸化炭素の消費量を特定してよい。
【0007】
いずれかの前記生育状態推定装置において、前記供給量取得部は、肥料成分を含む養液を貯蔵するタンクを有する養液供給設備を介して、前記第1時点から前記第2時点までに前記植物に供給される前記養液の供給量を取得してよい。前記推定部は、前記養液の供給量と前記植物の生育状態との関係を示す関係情報と、前記養液の供給量とに基づいて、前記植物の生育状態を推定してよい。前記推定部は、前記二酸化炭素の消費量に基づき推定された前記植物の生育状態と、前記養液の供給量に基づき推定された前記植物の生育状態とに基づいて、前記植物の生育状態を推定してよい。
【0008】
いずれかの前記生育状態推定装置において、前記推定部は、前記二酸化炭素の消費量に基づき推定された前記植物の生育状態と、前記養液の供給量に基づき推定された前記植物の生育状態とが一致する場合に、一致した前記生育状態を前記植物工場内の環境を制御する環境制御設備を制御するための前記植物の生育状態として用いてよい。
【0009】
いずれかの前記生育状態推定装置において、前記推定部は、前記二酸化炭素の消費量に基づき推定された前記植物の生育状態と、前記養液の供給量に基づき推定された前記植物の生育状態とが一致しない場合に、一致しない前記生育状態を前記植物工場内の環境を制御する環境制御設備を制御するための前記植物の生育状態として用いなくてよい。
【0010】
本発明の一態様に係る生育状態推定装置は、肥料成分を含む養液を貯蔵するタンクを有する養液供給設備を介して、第1時点から前記第1時点より後の第2時点までに植物工場内で栽培される植物に供給される前記養液の供給量を取得する供給量取得部を備えてよい。前記生育状態推定装置は、前記養液の供給量と前記植物の生育状態との関係を示す関係情報と、前記養液の前記供給量とに基づいて、前記植物の生育状態を推定する推定部とを備えてよい。
【0011】
本発明の一態様に係る植物管理システムは、前記生育状態推定装置と、前記推定部により推定された前記植物の生育状態が、前記第2時点で満たすべき予め定められた生育状態となるように、前記植物工場内の環境を制御する環境制御設備を制御する環境制御部とを備えてよい。
【0012】
前記植物管理システムにおいて、前記環境制御設備は、前記植物に肥料成分を含む養液を供給する養液供給設備を含んでよい。前記環境制御部は、前記推定部により推定された前記植物の生育状態が、前記第2時点で満たすべき予め定められた生育状態となるように、前記養液供給設備により前記植物に供給される養液の肥料濃度を調整してよい。
【0013】
いずれかの前記植物管理システムにおいて、前記環境制御設備は、前記植物が栽培されている培地に水分を供給する潅水設備を含んでよい。前記環境制御部は、前記推定部により推定された前記植物の生育状態が、前記第2時点で満たすべき予め定められた生育状態となるように、前記潅水設備による前記培地への潅水量を調整してよい。
【0014】
いずれかの前記植物管理システムにおいて、前記環境制御設備は、前記植物に人工光を照射する光源を有する光源設備を含んでよい。前記環境制御部は、前記推定部により推定された前記植物の生育状態が、前記第2時点で満たすべき予め定められた生育状態となるように、前記光源設備により前記植物へ照射される光量及び照射時間を調整してよい。
【0015】
いずれかの前記植物管理システムは、前記消費量特定部により特定された二酸化炭素の前記消費量が予め定められた閾値より小さい場合、前記環境制御設備の異常発生を示すメッセージを通知する通知部をさらに備えてよい。
【0016】
本発明の一態様に係る生育状態推定方法は、植物工場内に設けられたセンサにより検出された、前記植物工場内の第1時点での二酸化炭素濃度と、前記第1時点より後の第2時点での二酸化炭素濃度とを取得する段階を備えてよい。前記生育状態推定方法は、二酸化炭素を貯蔵するタンクを有する二酸化炭素供給設備を介して、前記植物工場内に前記第1時点から前記第2時点までに供給される二酸化炭素の供給量を取得する段階を備えてよい。前記生育状態推定方法は、前記第1時点の二酸化炭素濃度、前記第2時点の二酸化炭素濃度、及び二酸化炭素の前記供給量に基づいて、前記第1時点から前記第2時点までに前記植物工場内の前記植物により消費された二酸化炭素の消費量を特定する段階を備えてよい。前記生育状態推定方法は、二酸化炭素の消費量と前記植物工場内で栽培されている植物の生育状態との関係を示す関係情報と、特定された前記消費量とに基づいて、前記植物の生育状態を推定する段階を備えてよい。
【0017】
本発明の一態様に係る生育状態推定方法は、肥料成分を含む養液を貯蔵するタンクを有する養液供給設備を介して、第1時点から前記第1時点より後の第2時点までに植物工場内で栽培される植物に供給される前記養液の供給量を取得する段階を備えてよい。生育状態推定方法は、前記養液の供給量と前記植物の生育状態との関係を示す関係情報と、前記養液の前記供給量とに基づいて、前記植物の生育状態を推定する段階を備えてよい。
【0018】
本発明の一態様に係る植物管理方法は、いずれかの前記生育状態推定方法に従って前記植物の生育状態を推定する段階を備えてよい。前記植物管理方法は、推定された前記植物の生育状態が、前記第2時点で満たすべき予め定められた生育状態となるように、前記植物工場内の環境を制御する環境制御設備を制御する段階を備えてよい。
【0019】
本発明の一態様に係るプログラムは、植物工場内に設けられたセンサにより検出された、前記植物工場内の第1時点での二酸化炭素濃度と、前記第1時点より後の第2時点での二酸化炭素濃度とを取得する段階をコンピュータに実行させてよい。前記プログラムは、二酸化炭素を貯蔵するタンクを有する二酸化炭素供給設備を介して、前記植物工場内に前記第1時点から前記第2時点までに供給される二酸化炭素の供給量を取得する段階を前記コンピュータに実行させてよい。前記プログラムは、前記第1時点の二酸化炭素濃度、前記第2時点の二酸化炭素濃度、及び二酸化炭素の前記供給量に基づいて、前記第1時点から前記第2時点までに前記植物工場内で栽培されている植物により消費された二酸化炭素の消費量を特定する段階を前記コンピュータに実行させてよい。前記プログラムは、二酸化炭素の消費量と前記植物工場内の前記植物の生育状態との関係を示す関係情報と、特定された前記消費量とに基づいて、前記植物の生育状態を推定する段階を前記コンピュータに実行させてよい。
【0020】
本発明の一態様に係るプログラムは、肥料成分を含む養液を貯蔵するタンクを有する養液供給設備を介して、第1時点から前記第1時点より後の第2時点までに植物工場内で栽培される植物に供給される前記養液の供給量を取得する段階をコンピュータに実行させてよい。前記プログラムは、前記養液の供給量と前記植物の生育状態との関係を示す関係情報と、前記養液の前記供給量とに基づいて、前記植物の生育状態を推定する段階を前記コンピュータに実行させてよい。
【0021】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態に係る植物管理システムの全体構成の機能ブロックの一例を示す図である。
図2】植物管理装置の機能ブロックの一例を示す図である。
図3A】植物の生育状態と二酸化炭素の消費量との関係を示す関係情報の一例を示す図である。
図3B】植物の生育状態と養液の供給量との関係を示す関係情報の一例を示す図である。
図4】二酸化炭素の消費量に基づく植物30の生育状態の推定及び環境制御の手順の一例を示すフローチャートである。
図5】二酸化炭素の消費量及び養液の供給量に基づく植物30の生育状態の推定及び環境制御の手順の一例を示すフローチャートである。
図6】ハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0024】
図1は、本実施形態に係る植物管理システムの全体構成の機能ブロックの一例を示す図である。植物管理システムは、植物工場10で栽培される植物30の生育状態を管理する。植物管理システムは、複数の栽培棚20、光源設備40、養液供給設備50、二酸化炭素供給設備60、空調設備70、送風設備80、センサ90、及び植物管理装置100を備える。光源設備40、養液供給設備50、二酸化炭素供給設備60、空調設備70、及び送風設備80は、環境制御設備の一例である。
【0025】
栽培棚20は、野菜、青果、または生花などの植物30を栽培する。光源設備40は、LEDまたは白熱灯などの人工光を照射する複数の光源42備え、複数の光源42のそれぞれから植物30に人工光を照射する。複数の光源42は、栽培棚20の栽培面に対向して配置されてよい。
【0026】
養液供給設備50は、ポンプ52及びパイプ54を有し、ポンプ52及びパイプ54を介して、栽培棚20にカリウムまたはカルシウムなどの各肥料成分を含む養液を供給する。養液供給設備50は、肥料濃度を適宜調整して、肥料濃度が調整された養液を植物30に供給する。養液供給設備50は、肥料濃度が調整された養液を霧状にして、植物30の根部分に噴霧することで植物30に養液を供給してもよい。養液供給設備50は、植物30が栽培されている培地に水分を供給する潅水設備として機能してもよい。栽培棚20に供給される潅水量は、養液供給設備50から栽培棚20に供給される養液の量を調整することで、調整されてよい。
【0027】
二酸化炭素供給設備60は、タンク62及びノズル64を有する。タンク62は、二酸化炭素を貯蔵する。二酸化炭素供給設備60は、タンク62に貯蔵された二酸化炭素をノズル64を介して植物工場10内に供給する。
【0028】
空調設備70は、植物工場10内の空気を調温及び調湿し、調温及び調湿された空気を室内空間内に循環させる。送風設備80は、植物工場10内に風を供給するサーキュレータまたは扇風機を含む。
【0029】
センサ90は、植物工場10内の二酸化炭素濃度を検出するCOセンサである。センサ90は、植物工場10に複数設けられてよい。センサ90は、栽培棚20ごとに設けられてよい。センサ90は、定期的に植物工場10内の二酸化炭素濃度を検出し、検出結果を植物管理装置100に提供する。植物工場10内に1つのセンサ90が設けられているだけもよい。
【0030】
植物管理装置100は、光源設備40、養液供給設備50、二酸化炭素供給設備60、空調設備70、及び送風設備80を制御することで、植物30の生育状態を制御する。植物管理装置100は、光源設備40、養液供給設備50、二酸化炭素供給設備60、空調設備70、送風設備80、及びセンサ90と無線ネットワークまたは有線ネットワークを介して互いに通信する。植物管理装置100は、生育状態推定装置の一例である。
【0031】
植物管理装置100は、中央処理装置(CPU)及びメモリを有するコンピュータでよい。光源設備40、養液供給設備50、二酸化炭素供給設備60、空調設備70、及び送風設備80は、中央処理装置(CPU)及びメモリを有するコンピュータを備えてよい。
【0032】
コンピュータは、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、ワークステーション、サーバコンピュータ、または汎用コンピュータ等のコンピュータであってよく、複数のコンピュータが接続されたコンピュータシステムであってもよい。このようなコンピュータシステムもまた広義のコンピュータである。コンピュータは、植物工場の環境制御用に設計された専用コンピュータであってもよく、専用回路によって実現された専用ハードウェアであってもよい。コンピュータは、仮想コンピュータ環境によって実装されてもよい。コンピュータを用いる場合、植物管理装置100、光源設備40、養液供給設備50、二酸化炭素供給設備60、空調設備70、及び送風設備80は、中は、コンピュータによりプログラムを実行することによって実現される。
【0033】
図2は、植物管理装置100の機能ブロックの一例を示す図である。植物管理装置100は、濃度取得部102、供給量取得部104、消費量特定部106、推定部108、環境制御部110、通知部112、及び記憶部120を備える。
【0034】
濃度取得部102は、複数のセンサ90のそれぞれから二酸化炭素濃度を定期的に取得する。濃度取得部102は、複数のセンサ90のそれぞれから取得した二酸化炭素濃度の平均値を植物工場10内の二酸化炭素濃度として取得してよい。濃度取得部102は、複数のセンサ90から、植物工場10内の時点T1での二酸化炭素濃度と、時点T1より後の時点T2での二酸化炭素濃度とを取得してよい。濃度取得部102は、1時間ごと、6時間ごと、12時間ごと、または24時間ごとに複数のセンサ90のそれぞれから二酸化炭素濃度を取得して、複数のセンサ90からの二酸化炭素濃度の平均値を植物工場10内の二酸化炭素濃度として、記憶部120に登録してよい。
【0035】
供給量取得部104は、二酸化炭素を貯蔵するタンク62を有する二酸化炭素供給設備60を介して、植物工場10内に予め定められた期間内に供給される二酸化炭素の供給量を取得する。供給量取得部104は、時点T1から時点T2までに植物工場10内に供給される二酸化炭素の供給量を取得する。供給量取得部104は、予め定められた期間ごとに、予め定められた期間内に植物工場10内に供給される二酸化炭素の供給量を取得してよい。供給量取得部104は、1時間内、6時間内、12時間内、または24時間内に植物工場10内に供給される二酸化炭素の供給量を取得してよい。
【0036】
消費量特定部106は、複数のセンサ90で検出された植物工場10内の二酸化炭素濃度と、二酸化炭素供給設備60を介して植物工場10内に供給された二酸化炭素の供給量に基づいて、植物工場10内の植物30により消費された二酸化炭素の消費量を特定する。消費量特定部106は、時点T1の二酸化炭素濃度、時点T2の二酸化炭素濃度、及び二酸化炭素の時点T1から時点T2までに供給量に基づいて、時点T1から時点T2までに植物工場10内の植物30により消費された二酸化炭素の消費量を特定する。消費量特定部106は、植物工場10内で栽培されている植物30全体での二酸化炭素の消費量を特定する。消費量特定部106は、植物工場10内で栽培されている植物30のうちセンサ90で二酸化炭素濃度が検出されているエリアで栽培され、そのエリアへ二酸化炭素供給設備60から供給されている二酸化炭素の供給量が把握できる植物30全体での二酸化炭素の消費量を特定する。
【0037】
消費量特定部106は、時点T1の二酸化炭素濃度(ppm)に植物工場10の容量(m)を乗算することで、時点T1での植物工場10内の二酸化炭素量を導出する。消費量特定部106は、同様に、時点T2での植物工場10内の二酸化炭素量を導出する。そして、消費量特定部106は、時点T1での植物工場10内の二酸化炭素量と二酸化炭素の時点T1から時点T2までの供給量とを合計した量から、時点T2での植物工場10内の二酸化炭素量を減算することで、時点T1から時点T2までに植物工場10内の植物30により消費された二酸化炭素の消費量を特定する。
【0038】
推定部108は、二酸化炭素の消費量と植物工場10内で栽培されている植物の生育状態との関係を示す関係情報と、消費量特定部106で特定された二酸化炭素の消費量とに基づいて、植物の生育状態を推定する。生育状態は、例えば、定植から収穫までの生育状態を複数の段階に分けて、区別されてよい。関係情報は、例えば、図3Aに示すように、定植から収穫までの生育状態を5段階に分けて、それぞれの段階ごとに二酸化炭素の消費量の範囲を関連づける。植物30の生育が進むにつれて、植物30で消費する二酸化炭素の消費量は増加する。したがって、関係情報は、二酸化炭素の消費量が大きいほど、植物30の生育状態が進んでいることを示すように段階分けされた情報でよい。関係情報は、植物30の種類ごとに、実験等により実際に、植物30の生育状態の段階ごとに、二酸化炭素の消費量を測定し、統計データを収集することで、生成してよい。関係情報は、記憶部120に予め登録されていてよい。
【0039】
植物工場10内で消費される二酸化炭素は、植物30以外の要因も考えられる。そこで、植物工場10内で植物30が栽培されていない状態で時点T1から時点T2までの期間に相当する期間に植物工場10内で消費された二酸化炭素の消費量である予め定められた基礎消費量を実験等により導出して、基礎消費量は、記憶部120に予め登録されてよい。
【0040】
消費量特定部106は、基礎消費量にさらに基づいて、時点T1から時点T2までに植物工場10内の植物30により消費された二酸化炭素の消費量を特定してよい。すなわち、消費量特定部106は、時点T1での植物工場10内の二酸化炭素量と二酸化炭素の時点T1から時点T2までの供給量とを合計した量から、時点T2での植物工場10内の二酸化炭素量を減算し、さらに基礎消費量を現在することで、時点T1から時点T2までに植物工場10内の植物30により消費された二酸化炭素の消費量を特定してよい。
【0041】
植物工場10内には、人が出入りする可能性もある。植物工場10内に人が出入りする場合には、消費量特定部106は人が発する二酸化炭素量も考慮して、植物30により消費される二酸化炭素の消費量を特定してほうがよい。そこで、消費量特定部106は、植物工場10内に時点T1から時点T2までの間に存在する人の人数及び滞在時間に基づいて、時点T1から時点T2までに人により排出される二酸化炭素の排出量を特定し、特定された人の二酸化炭素の排出量にさらに基づいて、時点T1から時点T2までに植物工場10内で植物30により消費された二酸化炭素の消費量を特定してよい。
【0042】
記憶部120は、単位時間あたり、一人の人が発する二酸化炭素量を記憶してよい。植物工場10の出入り口には、人感センサーを設けて、植物管理装置100は、植物工場10内に存在する人の人数及び滞在時間を計測して、記憶部120に記憶してよい。消費量特定部106は、時点T1から時点T2までの間に植物工場10内に存在した人の人数及びそれぞれの人の滞在時間に基づいて、時点T1から時点T2までの間に人が植物工場10内で発生させた二酸化炭素の総量を導出する。そして、消費量特定部106は、時点T1から時点T2までの間に植物工場10内に供給される二酸化炭素の供給量、人により発生した二酸化炭素の総量を合計し、その合計量と時点T1での植物工場10内の二酸化炭素量とを合計した量から、時点T2での植物工場10内の二酸化炭素量を減算することで、時点T1から時点T2までに植物工場10内の植物30により消費された二酸化炭素の消費量を特定してよい。
【0043】
環境制御部110は、推定部108により推定された植物30の生育状態が、時点T2で満たすべき予め定められた生育状態となるように、植物工場10内の環境を制御する光源設備40、養液供給設備50、二酸化炭素供給設備60、空調設備70、及び送風設備80の少なくとも1つの環境制御設備を制御する。
【0044】
環境制御部110は、推定部108により推定された植物30の生育状態が、時点T2で満たすべき予め定められた生育状態となるように、養液供給設備50により栽培棚20の培地へ供給される養液の肥料濃度を調整してよい。環境制御部110は、推定部108により推定された植物30の生育状態が、時点T2で満たすべき予め定められた生育状態まで達していない場合、養液供給設備50により栽培棚20の培地へ供給される養液の肥料濃度を増加するように調整してよい。環境制御部110は、推定部108により推定された植物30の生育状態が、時点T2で満たすべき予め定められた生育状態より生育している場合、養液供給設備50により栽培棚20の培地へ供給される養液の肥料濃度を減少するように調整してよい。植物30が潅水量により生育状態が変化するトマトなどであれば、環境制御部110は、推定部108により推定された植物30の生育状態が、時点T2で満たすべき予め定められた生育状態となるように、養液供給設備50により栽培棚20の培地へ供給される潅水量を調整してもよい。
【0045】
環境制御部110は、推定部108により推定された植物30の生育状態が、時点T2で満たすべき予め定められた生育状態となるように、光源設備40により植物30へ照射される光量及び照射時間を調整してよい。環境制御部110は、推定部108により推定された植物30の生育状態が、時点T2で満たすべき予め定められた生育状態に達していなければ、光源設備40により植物30へ照射される光量を増加してよい。または、環境制御部110は、光源設備40による植物30への光の照射時間を長くしてもよい。一方、環境制御部110は、推定部108により推定された植物30の生育状態が、時点T2で満たすべき予め定められた生育状態より生育している場合、光源設備40により植物30へ照射される光量を減少してよい。または、環境制御部110は、光源設備40による植物30への光の照射時間を短くしてもよい。
【0046】
消費量特定部106により特定された二酸化炭素の消費量があまりにも小さい場合、植物工場10内の環境を制御する光源設備40、養液供給設備50、二酸化炭素供給設備60、空調設備70、及び送風設備80の少なくとも1つの環境制御設備に異常が発生している可能性がある。そこで、通知部112は、消費量特定部106により特定された二酸化炭素の消費量が予め定められた閾値より小さい場合、環境制御設備の異常発生を示すメッセージを通知する。通知部112は、植物工場10を管理する管理者向けにメッセージを通知してよい。通知部112は、植物管理装置100が備えるディスプレイにメッセージを表示させてもよい。通知部112は、植物工場10を管理する管理者が有する端末にメッセージを通知してもよい。
【0047】
上記では、推定部108は、二酸化炭素の消費量と植物工場10内で栽培されている植物の生育状態との関係を示す関係情報と、消費量特定部106で特定された二酸化炭素の消費量とに基づいて、植物の生育状態を推定する例について説明した。しかし、推定部108は、二酸化炭素の消費量の代わりに、もしくは、二酸化炭素の消費量に加えて、養液供給設備50により供給される養液の供給量に基づいて、植物30の生育状態を推定してもよい。なお、養液供給設備50は、植物30で消費された養液の消費量に応じて、新たに養液を植物30に供給してよい。つまり、養液供給設備50により供給される養液の供給量は、植物30で消費された養液の消費量に対応する。
【0048】
供給量取得部104は、時点T1から時点T2までの間に、養液供給設備50により栽培棚20の培地へ供給された養液の供給量を取得してよい。推定部108は、養液の供給量と植物工場10内で栽培されている植物の生育状態との関係を示す関係情報と、供給量取得部104で取得される養液の供給量とに基づいて、植物30の生育状態を推定してもよい。関係情報は、例えば、図3Bに示すように、定植から収穫までの生育状態を5段階に分けて、それぞれの段階ごとに養液の供給量の範囲を関連づける。植物30の生育が進むにつれて、植物30で消費する養液の消費量が増加するので供給量も増加する。したがって、関係情報は、養液の供給量が大きいほど、植物30の生育状態が進んでいることを示すように段階分けされた情報でよい。関係情報は、植物30の種類ごとに、実験等により実際に、植物30の生育状態の段階ごとに、養液の供給量を測定し、統計データを収集することで、生成してよい。関係情報は、記憶部120に予め登録されていてよい。
【0049】
推定部108は、二酸化炭素の消費量に基づき推定された植物30の生育状態と、養液の供給量に基づき推定された植物30の生育状態とに基づいて、植物30の生育状態を最終的に推定してよい。2つのパラメータを用いて植物30の生育状態を推定することでより精度よく植物30の生育状態を推定できる。
【0050】
推定部108は、二酸化炭素の消費量に基づき推定された植物30の生育状態と、養液の供給量に基づき推定された植物30の生育状態とが一致する場合に、一致した生育状態を植物工場10内の環境を制御する環境制御設備を制御するための植物30の生育状態として用いてよい。一方、推定部108は、二酸化炭素の消費量に基づき推定された植物30の生育状態と、養液の供給量に基づき推定された植物30の生育状態とが一致しない場合に、一致しない生育状態を植物工場10内の環境を制御する環境制御設備を制御するための植物30の生育状態として用いなくてよい。
【0051】
図4は、二酸化炭素の消費量に基づく植物30の生育状態の推定及び環境制御の手順の一例を示すフローチャートである。
【0052】
濃度取得部102は、センサ90により検出された時点T1及び時点T2の二酸化炭素濃度を取得する(S100)。供給量取得部104は、時点T1から時点T2までに二酸化炭素供給設備60から植物工場10内に供給された二酸化炭素の供給量を取得する(S102)。消費量特定部106は、時点T1及び時点T2の二酸化炭素濃度、時点T1から時点T2までの二酸化炭素の供給量、基礎消費量、植物工場10内の人の出入りによる人による二酸化炭素の供給量に基づいて、時点T1から時点T2までの間に植物30により消費された二酸化炭素の消費量を特定する(S104)。
【0053】
二酸化炭素の消費量が閾値より小さい場合(S106で「Y」)、通知部112は、環境制御設備の異常を示す設備エラーを外部に通知する(S108)。一方、二酸化炭素の消費量が閾値以上である場合(S106で「N」)、推定部108は、関係情報と、特定された二酸化炭素の消費量とに基づいて、植物工場10内の植物30の生育状態を推定する(S110)。
【0054】
環境制御部110は、推定された植物30の生育状態が、時点T2で想定されている予め定められた生育状態か否かを判定する(S112)。推定された植物30の生育状態が、時点T2で想定されている予め定められた生育状態であれば、処理は終了する。
【0055】
推定された植物30の生育状態が、時点T2で想定されている予め定められた生育状態でない場合、環境制御部110は、推定された植物30の生育状態が、時点T2で想定されている予め定められた生育状態より遅れている場合(S114で「Y」)、栽培棚20の培地に供給する養液の肥料濃度及び植物30に照射される光量を増加すべく、養液供給設備50及び光源設備40を制御する(S116)。植物30が潅水量により生育状態が変化するのであれば、環境制御部110は、肥料濃度を調整する代わりに、植物30に供給される潅水量を増加させてもよい。
【0056】
一方、推定された植物30の生育状態が、時点T2で想定されている予め定められた生育状態より進んでいる場合(S114で「N」)、栽培棚20の培地に供給する養液の肥料濃度及び植物30に照射される光量を減少すべく、養液供給設備50及び光源設備40を制御する(S118)。植物30が潅水量により生育状態が変化するのであれば、環境制御部110は、肥料濃度を調整する代わりに、植物30に供給される潅水量を減少させてもよい。
【0057】
以上、本実施形態に係る植物管理装置100によれば、植物工場10内で栽培されている植物30全体で消費されている二酸化炭素の消費量を特定して、その消費量に基づいて植物工場10内で栽培されている植物30全体での生育状態を推定する。さらに、植物管理装置100は、生育状態の推定結果に基づいて、植物工場10内の環境を、植物30が満たすべき生育状態となるように環境制御設備を制御する。植物工場10に設置された既存の設備を利用して、二酸化炭素の消費量を推定して、植物30の生育状態を把握でき、適切に植物工場10内の環境を制御できる。
【0058】
図5は、二酸化炭素の消費量及び養液の供給量に基づく植物30の生育状態の推定及び環境制御の手順の一例を示すフローチャートである。
【0059】
推定部108は、二酸化炭素の消費量と植物工場10内で栽培されている植物の生育状態との関係を示す関係情報と、消費量特定部106で特定された二酸化炭素の消費量とに基づいて、植物30の生育状態を推定する(S200)。推定部108は、養液の供給量と植物工場10内で栽培されている植物30の生育状態との関係を示す関係情報と、供給量取得部104で取得される養液の供給量とに基づいて、植物30の生育状態を推定する(S202)。
【0060】
推定部108は、二酸化炭素の消費量に基づいて推定された植物30の生育状態と、養液の供給量に基づいて推定された植物30の生育状態とが一致するか否かを判定する(S204)。推定された生育状態同士が一致する場合、環境制御部110は、推定された植物30の生育状態に基づいて、光源設備40、及び養液供給設備50などの環境制御設備を制御する(S206)。一方、推定された生育状態同士が一致しない場合、環境制御部110は、推定された植物30の生育状態に基づいて、光源設備40、及び養液供給設備50などの環境制御設備を制御せず、処理を終了する。
【0061】
以上、実施形態に係る植物管理装置100によれば、植物工場10内で栽培されている植物30全体で消費されている二酸化炭素の消費量及び植物30に供給される養液の供給量を特定して、その消費量及び供給量に基づいて植物工場10内で栽培されている植物30全体での生育状態を推定する。植物管理装置100は、二酸化炭素の消費量及び養液の供給量のそれぞれに基づいて推定される生育状態を考慮して、最終的な植物30の生育状態を推定することで、より精度よく植物30の生育状態を推定できる。よって、植物管理装置100は、生育状態の推定結果に基づいて、植物工場10内の環境を、植物30が満たすべき生育状態となるようにより精度よく環境制御設備を制御できる。
【0062】
図6は、本実施形態の態様を全体的または部分的に具現化し得るコンピュータ1200の一例を示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーションまたは当該装置の1または複数の「部」として機能させることができる。または、当該プログラムは、コンピュータ1200に当該オペレーションまたは当該1または複数の「部」を実行させることができる。当該プログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつかまたは全てに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0063】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、及びRAM1214を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、入力/出力ユニットを含み、それらは入力/出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。コンピュータ1200はまた、ROM1230を含む。CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。
【0064】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブが、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納してよい。ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/またはコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。プログラムが、CR-ROM、USBメモリまたはICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体またはネットワークを介して提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体の例でもあるRAM1214、またはROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーションまたは処理を実現することによって構成されてよい。
【0065】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、またはUSBメモリのような記憶媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信した受信データを記憶媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0066】
また、CPU1212は、USBメモリ等のような外部記憶媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記憶媒体にライトバックしてよい。
【0067】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記憶媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記憶媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記憶媒体内に格納される場合、CPU1212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0068】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ1200上またはコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記憶媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0069】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよい。その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM(登録商標))、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0070】
コンピュータ可読命令は、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。ソースコードまたはオブジェクトコードは、従来の手続型プログラミング言語を含む。従来の手続型プログラミング言語は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語でよい。コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供されてよい。プロセッサまたはプログラマブル回路は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0071】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0072】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0073】
10 植物工場
20 栽培棚
30 植物
40 光源設備
42 光源
50 養液供給設備
52 ポンプ
54 パイプ
60 二酸化炭素供給設備
62 タンク
64 ノズル
70 空調設備
80 送風設備
90 センサ
100 植物管理装置
102 濃度取得部
104 供給量取得部
106 消費量特定部
108 推定部
110 環境制御部
112 通知部
120 記憶部
1200 コンピュータ
1210 ホストコントローラ
1212 CPU
1214 RAM
1220 入力/出力コントローラ
1222 通信インタフェース
1230 ROM
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6