(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136435
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】壁面システム及び壁面システムの施工方法
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
E04F13/08 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047552
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 久士
【テーマコード(参考)】
2E110
【Fターム(参考)】
2E110AA52
2E110AA55
2E110AA57
2E110AB04
2E110AB23
2E110CA03
2E110CA07
2E110CA08
2E110CA09
2E110CA13
2E110CC02
2E110CC03
2E110CC14
2E110DA09
2E110DA12
2E110DC02
2E110DC12
2E110GA33W
2E110GA34W
2E110GB01Z
(57)【要約】
【課題】模様替えの際の作業性に優れた壁面システムを提供する。
【解決手段】壁面システムAは、上下方向に延びる棚柱11を有し、壁部Wに固定されたフレーム10と、フレーム10に対して引掛け構造によって着脱可能な化粧パネル30と、フレーム10に対して引掛け構造によって着脱可能な棚板35、オープンボックス39、収納ボックス40と、を備えている。工具を用いることなく、化粧パネルや棚板35、オープンボックス39、収納ボックス40の配置を変えたり、新規の化粧パネル30や棚板35、オープンボックス39、収納ボックス40等のハンギングアイテムと交換することができる。よって、模様替え等の際の作業性に優れている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる棚柱を有し、ベース部材に固定されたフレームと、
前記フレームに対して引掛け構造によって着脱可能な化粧パネルと、
前記フレームに対して引掛け構造によって着脱可能なハンギングアイテムと、を備えている壁面システム。
【請求項2】
前記ハンギングアイテムは、前記化粧パネルの前面に対して隙間を空けて取り付けられている請求項1に記載の壁面システム。
【請求項3】
前記棚柱の前面に上下方向に所定ピッチを空けて形成され、前記化粧パネル及び前記ハンギングアイテムの少なくとも一方を引っ掛けることが可能な複数の係止孔を有している請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の壁面システム。
【請求項4】
前記化粧パネルの側縁部が、前記棚柱の前記前面のうち前記係止孔が形成されていない側縁領域のみを覆うように配置される請求項3に記載の壁面システム。
【請求項5】
前記フレームは、隣り合う2本の前記棚柱の対向面の間に水平に差し渡された支持部材を含み、
前記化粧パネルは、前記支持部材に引っ掛けることによって、前記フレームに取り付けられている請求項3に記載の壁面システム。
【請求項6】
複数本の棚柱が、ベース部材に対して一定のピッチで並列配置されて固定され、隣り合う前記棚柱に、化粧パネルに固定した連結部材の両端部が係止されている壁面システムを施工する方法であって、
前記化粧パネルから外した状態の前記連結部材を、前記ベース部材に固定済みの前記棚柱と、前記ベース部材に未固定の前記棚柱とに係止することによって、前記固定済みの棚柱と前記未固定の棚柱とを位置決めする位置決め工程と、
前記位置決め工程によって位置決めした前記未固定の棚柱を、前記ベース部材に固定する固定工程と、
前記固定工程において前記ベース部材に固定した前記棚柱に、前記化粧パネルに固定した前記連結部材を係止する係止工程と、を含む壁面システムの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、壁面システム及び壁面システムの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数枚のパネル本体を相互に連結して構成されるパネル構成体が開示されている。パネル本体の左右両側縁のうち一方の側縁にはメス柱部材が固定され、他方の側縁にはオス柱部材が固定されている。パネル本体の施工は、1枚目のパネル本体のメス柱部材を固定ネジによって下地壁面に固定し、この固定したメス柱部材に、2枚目のパネル部材のオス柱部材を引っ掛け、2枚目のパネル本体のメス柱部材を、固定ネジによって下地壁面に固定する、という工程を繰り返す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構造では、固定ネジを下地壁面にねじ込むことによって、パネル本体を下地壁面に取り付けている。そのため、模様替え等の際には、工具を用いて固定ネジを下地壁面から取り外す必要があり、作業性が良くない。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、作業性に優れた壁面システムを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の開示の壁面システムは、
上下方向に細長い棚柱を有し、ベース部材に固定されたフレームと、
前記フレームに対して引掛け構造によって着脱可能な化粧パネルと、
前記フレームに対して引掛け構造によって着脱可能なハンギングアイテムと、を備えている。
本開示において、引掛け構造は、ドライバーやレンチ等の工具を用いることなく、取付け状態に保持でき、且つ取外しが可能な構造と定義する。
【0007】
第2の開示は、
複数本の棚柱が、ベース部材に対して一定のピッチで並列配置されて固定され、隣り合う前記棚柱に、化粧パネルに固定した連結部材の両端部が係止されている壁面システムを施工する方法であって、
前記化粧パネルから外した状態の前記連結部材を、前記ベース部材に固定済みの前記棚柱と、前記ベース部材に未固定の前記棚柱とに係止することによって、前記固定済みの棚柱と前記未固定の棚柱とを位置決めする位置決め工程と、
前記位置決め工程によって位置決めした前記未固定の棚柱を、前記ベース部材に固定する固定工程と、
前記固定工程において前記ベース部材に固定した前記棚柱に、前記化粧パネルに固定した前記連結部材を係止する係止工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】棚柱に対する化粧パネルの取付け構造の分解斜視図
【
図5】棚柱に化粧パネルを取り付けた状態の平断面図
【
図8】実施形態2の棚柱に対する化粧パネルの取付け構造の分解斜視図
【
図10】棚柱に化粧パネルを取り付けた状態の斜視図
【
図11】棚柱に化粧パネルを取り付けた状態の平断面図
【
図12】棚柱に化粧パネルを取り付けた状態の側断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。下記の複数の実施形態を、矛盾を生じない範囲で任意に組み合わせたものも、発明を実施するための形態に含まれる。
[1]本開示の壁面システムは、上下方向に延びる棚柱を有し、ベース部材に固定されたフレームと、前記フレームに対して引掛け構造によって着脱可能な化粧パネルと、前記フレームに対して引掛け構造によって着脱可能なハンギングアイテムと、を備える。
[2]上記[1]において、前記ハンギングアイテムは、前記化粧パネルの前面に対して隙間を空けて取り付けられている。
[3]上記[1]及び[2]のいずれか一方において、前記棚柱の前面に上下方向に所定ピッチを空けて形成され、前記化粧パネル及び前記ハンギングアイテムの少なくとも一方を引っ掛けることが可能な複数の係止孔を有している。
[4]上記[3]において、前記化粧パネルの側縁部が、前記棚柱の前記前面のうち前記係止孔が形成されていない側縁領域のみを覆うように配置される。
[5]上記[1]~[4]において、前記フレームは、隣り合う2本の前記棚柱の対向面の間に水平に差し渡された支持部材を含み、前記化粧パネルは、前記支持部材に引っ掛けることによって、前記フレームに取り付けられている。
【0010】
[6]本開示の壁面システムの施工方法は、複数本の棚柱が、ベース部材に対して一定のピッチで並列配置されて固定され、隣り合う前記棚柱に、化粧パネルに固定した連結部材の両端部が係止されている壁面システムを施工する方法であって、前記化粧パネルから外した状態の前記連結部材を、前記ベース部材に固定済みの前記棚柱と、前記ベース部材に未固定の前記棚柱とに係止することによって、前記固定済みの棚柱と前記未固定の棚柱とを位置決めする位置決め工程と、前記位置決め工程によって位置決めした前記未固定の棚柱を、前記ベース部材に固定する固定工程と、前記固定工程において前記ベース部材に固定した前記棚柱に、前記化粧パネルに固定した前記連結部材を係止する係止工程と、を含む。
【0011】
<実施形態1>
以下、本開示を具体化した実施形態1を
図1~
図7を参照して説明する。以下の説明において、壁面システムAの前後方向については、壁部Wに正対した状態において、手前側(壁部Wから遠ざかる方向)を前方と定義し、奥側を後方と定義する。
図1~7におけるF方向は、前方を示す。上下の方向については、
図1~4,6におけるH方向を上方と定義する。上下方向と高さ方向を同義で用いる左右の方向については、壁部Wに正対したときの向きを、そのまま左方、右方と定義する。
図1~3,5,7におけるR方向は、右方を示す。左右方向と幅方向を同義で用いる。
【0012】
実施形態1の壁面システムAは、建物の壁部Wをベース部材とし、壁部Wに固定したフレーム10に対して、化粧パネル30とハンギングアイテムを任意に着脱可能に取り付けたものである。
【0013】
図2に示すように、フレーム10は、複数本の棚柱11によって構成されている。棚柱11は、上下方向に細長く直線状に延びた金属製の単一部材である。棚柱11は、壁面システムAが施工される室内の床面から天井面に至る長さを有する。棚柱11は、壁部Wと平行な前板部12と、前板部12の左右両側縁から後方へ互いに平行に突出した一対の側板部13とを有する。前板部12には、前板部12を貫通した形態の複数の係止孔14が形成されている。棚柱11を前方から見た正面視において、係止孔14は、上下方向に細長い形状をなす。複数の係止孔14は、左右に間隔を空けて2列に分かれ、各列において一定ピッチで上下方向に並ぶように配置されている。複数の棚柱11は、左右方向に一定のピッチで並列するように壁部Wに固定されている。
【0014】
棚柱11には、複数の連結部材20が組み付けられている。連結部材20は、所定形状の金属板材に曲げ加工を施して成形された単一部材である。連結部材20は、全体として左右方向に長い長方形をなす。連結部材20は、板厚方向を前後方向に向けた平板状の板状本体部21と、板状本体部21の左右両端部に形成した一対の引掛部22とを有する。
【0015】
引掛部22は、第1支持板部23と、第2支持板部24と、上下一対の鈎部25とを有する。第1支持板部23は、本体部の側縁部から前方へ突出している。第2支持板部24は、第1支持板部23の前端縁から左右方向外方へ延出している。上下一対の鈎部25は、第2支持板部24の側縁から後方へ突出している。連結部材20を側方から見た側面視において、鈎部25は、先端が下向きとなるようにL字形に屈曲した形状をなす。上下一対の鈎部25は、上下に間隔を空けて配置されている。上下における一対の鈎部25のピッチは、上下方向における係止孔14のピッチと同じ寸法である。
【0016】
化粧パネル30は、板厚方向を前後方向に向けた板状の部材であり、化粧パネル30の正面視形状は、縦長の長方形である。化粧パネル30は、基板31と、基板31の前面に貼着した化粧板32とを有する。化粧パネル30の高さ寸法は、床面から天井面での高さ寸法よりも僅かに小さい寸法である。化粧板32の高さ寸法は、基板31の高さ寸法と同じである。化粧板32の幅寸法は基板31の幅寸法よりも大きい。化粧板32の左右両側縁部は、基板31の左右両側縁から幅方向外方へ張り出している。基板31の幅寸法は、隣り合う棚柱11の間隔よりも小さい寸法である。化粧板32の幅寸法は、隣り合う2本の棚柱11の間隔よりも大きく、且つ隣り合う棚柱11の間隔に1本の棚柱11の幅寸法を加えた寸法よりも小さい。
【0017】
基板31の後面には、上下一対の連結部材20が、板状本体部21に貫通したビス33をねじ込むことによって固定されている。ここで、基板31の幅寸法は、左右両第1支持板部23の間隔と同じ寸法に設定されている。連結部材20を化粧パネル30に固定した状態では、基板31が一対の第1支持板部23の間に嵌合することによって、化粧パネル30と連結部材20とが左右方向に位置決めされる。
【0018】
ハンギングアイテムは、水平な平板からなる棚板35と、前面が開口したオープンボックス39と、開閉扉を有する収納ボックス40等を含む。棚板35には、左右対称な一対のブラケット36が固定されている。ブラケット36は、所定形状の金属板材に曲げ加工を施して成形した部材である。
図6,7に示すように、ブラケット36は、板厚方向を左右方向に向けて前後方向に細長く延びる板状支持部37と、板状支持部37の後端縁37Rから後方へ突出した上下一対の鈎部38とを有する。ブラケット36に形成した一対の鈎部38は、連結部材20に形成した一対の鈎部25と同一の形状、即ち、先端が下向きとなるようにL字形に屈曲した形状である。オープンボックス39の後面と収納ボックス40の後面にも、連結部材20及びブラケット36の鈎部25,38と同じ形状の鈎部を有する支持部材(図示省略)が固定されている。
【0019】
棚板35、オープンボックス39、収納ボックス40等は、フレーム10に対して引掛け構造によって着脱可能となっている。引掛け構造は、棚板35、オープンボックス39、収納ボックス40等をフレーム10に対して取付け状態に保持でき、且つドライバーやレンチ等の工具を用いることなく、棚板35、オープンボックス39、収納ボックス40等をフレーム10から取り外すことが可能な構造と定義する。引掛け構造は、棚柱11の係止孔14と、連結部材20の鈎部25と、ブラケット36の鈎部38とを含む。
【0020】
複数本の棚柱11を壁部Wに固定する際には、壁部Wの左右いずれか一方の端部に、1本の棚柱11を固定する。次に、固定済みの棚柱11とは別の未固定の棚柱11を、固定済みの棚柱11に対して間隔を空けて並ぶように仮配置する。この状態で、化粧パネル30に取り付けられていない連結部材20の鈎部25を、固定済みの棚柱11の係止孔14と未固定の棚柱11の係止孔14とに係止する。これにより、未固定の棚柱11が位置決めされ、固定済みの棚柱11と未固定の棚柱11との間隔が、連結部材20の左右両鈎部25の間隔と整合した寸法に設定される。このとき、2つの連結部材20を、棚柱11の上端部同士と、棚柱11の下端部同士に係止させることによって、固定済みの棚柱11と未固定の棚柱11が平行に配置される。未固定の棚柱11の位置が定まったら、この未固定の棚柱11をビス等によって壁部Wに固定する。以上の作業を繰り返すことによって、全ての棚柱11が、適正な間隔を空けて位置決めされた状態で壁部Wに固定される。
【0021】
棚柱11に化粧パネル30を取り付ける際には、化粧パネル30の上下両端部に連結部材20を固定し、その連結部材20の鈎部25を棚柱11の係止孔14に引っ掛ける。この引掛け構造によって、化粧パネル30がフレーム10を構成する棚柱11に取り付けられる。化粧パネル30を棚柱11に取り付けた状態では、
図5,7に示すように、化粧板32の左右両側縁部30Sが、棚柱11の前板部12の側縁領域11Sのみを前方から覆い隠すように配置される。棚柱11の側縁領域11Sは、幅方向において、前板部12のうち左右に並ぶ2つの係止孔14よりも外側の領域である。換言すると、左右両側縁領域11Sは、係止孔14が形成されていない領域である。正面視において、化粧パネル30の側縁部30Sは、係止孔14の開口領域から幅方向外方へ外れた領域のみを覆う。
【0022】
棚柱11に化粧パネル30を取り付けた後、棚板35やオープンボックス39や収納ボックス40を棚柱11に取り付ける。取り付ける際には、鈎部38を棚柱11の係止孔14に引っ掛けるだけでよい。棚柱11に棚板35を取り付けた状態では、
図6,7に示すように、化粧パネル30の前面20Fと棚板35の後端面35Rとの間に、前後方向の隙間42が確保されている。この状態では、
図6に示すように、棚板35に固定したブラケット36の板状支持部37の後端縁37Rが、棚柱11の前板部12に対して前方から突き当たっているので、棚板35を後方へ移動させることができない。したがって、棚板35を棚柱11に取り付ける作業の際にも、棚板35を棚柱11に取り付けた状態においても、棚板35が化粧パネル30の前面に接触する虞はない。よって、化粧パネル30が棚板35によって傷付く虞がない。オープンボックス39を棚柱11に取り付けたときも、収納ボックス40を棚柱11に取り付けたときも、棚板35と同様、化粧パネル30がオープンボックス39や収納ボックス40によって傷付く虞はない。
【0023】
例えば、模様替え等のために化粧パネル30を交換する際には、棚板35やオープンボックス39や収納ボックス40を棚柱11から外すとともに、化粧パネル30を棚柱11から外す。棚板35、オープンボックス39、収納ボックス40、化粧パネル30を棚柱11から取り外す際には、棚板35、オープンボックス39、収納ボックス40、化粧パネル30を少しに持ち上げることによって、鈎部25を係止孔14から外し、その高さを保ったままで、棚板35、オープンボックス39、収納ボックス40、化粧パネル30を前方へスライドさせればよい。棚柱11からの取り外しには、工具は不要である。
【0024】
本実施形態1の壁面システムAは、壁部Wに固定されたフレーム10と、化粧パネル30と、ハンギングアイテムとを有する。フレーム10は、上下方向に延びる複数本の細長い棚柱11によって構成されている。化粧パネル30は、フレーム10に対して引掛け構造によって着脱可能である。ハンギングアイテムである棚板35、オープンボックス39、収納ボックス40も、フレーム10に対して引掛け構造によって着脱可能である。この構成によれば、工具を用いることなく、化粧パネル30や、棚板35、オープンボックス39、収納ボックス40等のハンギングアイテムの配置を変えることができる。また、工具を用いることなく、新規の化粧パネル30に交換したり、既存のハンギングアイテムを別のハンギングアイテムと交換することができる。よって、本実施形態1の壁面システムAは、例えば模様替えのために、化粧パネル30やハンギングアイテムの配置替えや交換等を行う際の作業性に優れている。
【0025】
ハンギングアイテムである棚板35、オープンボックス39、収納ボックス40は、化粧パネル30の前面30Fに対して隙間42を空けて取り付けられている。化粧パネル30は、棚板35、オープンボックス39、収納ボックス40との接触によって傷付けられることはない。
【0026】
棚柱11の前面には、複数の係止孔14が、上下方向に所定ピッチを空けて形成されている。化粧パネル30、棚板35、オープンボックス39、収納ボックス40は、鈎部25を係止孔14に引っ掛けることによって、棚柱11に取り付けられている。係止孔14が棚柱11の前面に配置されているので、作業者が係止孔14の位置を目視で確認できる。よって、作業性に優れている。
【0027】
化粧パネル30の側縁部30Sは、棚柱11の前面のうち係止孔14が形成されていない側縁領域11Sのみを覆うように配置される。この構成によれば、係止孔14に対して化粧パネル30や、棚板35、オープンボックス39、収納ボックス40等のハンギングアイテムの着脱を可能にしながら、隣り合う化粧パネル30間の間隔を狭めて美観の向上を図ることができる。
【0028】
壁面システムAは、複数本の棚柱11が、壁部Wに対して一定のピッチで並列配置されて固定され、隣り合う棚柱11に、化粧パネル30に固定した水平な連結部材20の両端部が係止された形態である。この壁面システムAを施工する際には、位置決め工程と、固定工程と、係止工程とを実行する。位置決め工程では、化粧パネル30から外した状態の連結部材20を、壁部Wに固定済みの棚柱11と、壁部Wに未固定の棚柱11とに係止することによって、隣り合う固定済みの棚柱11と未固定の棚柱11とを位置決めする。固定工程では、位置決め工程によって位置決めした未固定の棚柱11を、壁部Wに固定する。係止工程では、固定工程において壁部Wに固定した棚柱11に、化粧パネル30に固定した連結部材20を係止する。この施工方法によれば、隣り合う棚柱11間のピッチを定めるための手段として、化粧パネル30を取り付けるための連結部材20を用いたので、施工後に、連結部材20を棚柱11に確実に取り付けることができる。
【0029】
<実施形態2>
次に、本開示を具体化した実施形態2を
図8~
図12を参照して説明する。本実施形態2は、フレーム50に対する化粧パネル65の着脱構造を、上記実施形態1とは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施形態1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0030】
実施形態1のフレーム10は、複数本の棚柱11によって構成されているのに対し、本実施形態2のフレーム50は、複数本の棚柱51と、複数の支持部材60とを組み付けて構成されている。実施形態2の棚柱51の基本構造は、実施形態1の棚柱51と同じであり、前板部52と左右一対の側板部53とを有する。前板部52には、複数の第1係止孔54が、実施形態1と同様、左右2列に分かれて形成されている。本実施形態2の棚柱51では、更に、左右両側板部53に第2係止孔55が形成されている。第2係止孔55の形状と大きさは、第1係止孔54と同じである。側板部53に形成された複数の第2係止孔55は、2列に分かれず、上下方向に1列になって一定ピッチで配置されている。上下方向における第1係止孔54の配列ピッチと第2係止孔55の配列ピッチは、同じ寸法に設定されている。第1係止孔54と第2係止孔55は、同じ高さに配置されている。
【0031】
支持部材60は、所定形状の金属板材に曲げ加工を施して成形された単一部材である。支持部材60は、全体として左右方向に長い長方形をなす。支持部材60は、板厚方向を前後方向に向けた平板状の板状本体部61と、板状本体部61の左右両端部に形成した一対の連結突起62と、板状本体部61の上端縁に形成した左右一対の係止突起63とを有する。支持部材60を上から見た平面視において、連結突起62は、板状本体部61の左右両端縁から幅方向外方へ突出し、且つ板状本体部61よりも前方に位置するように段差状に屈曲している。上下に並ぶ連結突起62の上下方向のピッチは、第2係止孔55の上下方向のピッチと同じ寸法である。連結部材を側方から見た側面視において、係止突起63は、板状本体部61の上縁部から上方へ突出し、且つ板状本体部61よりも前方に位置するように段差状に屈曲している。
【0032】
実施形態2の化粧パネル65の基本構造は、実施形態1の化粧パネル30と同じであり、基板66と化粧板67とを合体させた部材である。
図9,12に示すように、基板66の後面には、左右一対の凹部68が形成されている。各凹部68内には、係止部材70が収容されている。係止部材70は、金属板材からなり、板厚方向を前後方向に向けた板状固定部71と、板状固定部71の上端縁部に形成した鈎形係止部72とを有する。
図12に示すように、鈎形係止部72は、板状固定部71の上端縁部から、後方へ突出した第1リブ73と、第1リブ73の後端縁から下方へ突出した第2リブ74とによって構成されている。係止部材70は、板状固定部71をビス(図示省略)によって凹部68の背面に固定することによって、化粧パネル65に一体化されている。
【0033】
化粧パネル65をフレーム50に取り付ける際には、棚柱51を壁部Wに固定する際に、隣り合う棚柱51の間に、上下一対の支持部材60を取り付けておく。棚柱51に対する支持部材60の取付けは、支持部材60の連結突起62を棚柱51の第2係止孔55に引っ掛けることによって行う。支持部材60は、棚柱51に取り付けることによって、壁部Wに固定される。化粧パネル65をフレーム50に取り付ける際には、化粧パネル65に固定している係止部材70の鈎形係止部72を、支持部材60の上向きの係止突起63に引っ掛けるだけでよい。化粧パネル65をフレーム50から取り外す際には、化粧パネル65を持ち上げて、鈎形係止部72を係止突起63から外し、その高さを保ったままで、化粧パネル65を前方へスライドさせればよい。
【0034】
本実施形態2のフレーム50は、隣り合う2本の棚柱51の側板部53(対向面)の間に水平に差し渡された支持部材60を含む。化粧パネル65は、係止部材70の鈎形係止部72を支持部材60の係止突起63に引っ掛けることによって、フレーム50に取り付けられている。この構成によれば、棚柱51の前面に開口する全ての第1係止孔54を、ハンギングアイテム(図示省略)を取り付けるための部位として使用することが可能である。
【0035】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
実施形態1,2において、ベース部材は、建物の壁部に限らず、例えば、システムキッチンを構成するフレームや面材等であってもよい。
実施形態1,2において、ハンギングアイテムにおける化粧パネルとの対向面に、ゴムや合成樹脂等からなる保護シートを貼り付けてもよい。このようにすれば、化粧パネルを傷付けることなく、ハンギングアイテムを化粧パネルの外面に接触した状態で取り付けることができる。
実施形態1,2において、係止孔は、棚柱の側面のみに形成されていてもよい。
実施形態1,2では、化粧パネルの形状を縦長の長方形としたが、化粧パネルの形状は正方形でもよく、横長の長方形でもよい。
実施形態1,2において、隣り合う2本の棚柱の間には、床面から天井面に至る高さの1枚の化粧パネルが配置されているが、隣り合う2本の棚柱の間に、複数枚の化粧パネルを上下に並ぶように配置してもよい。
実施形態1,2では、化粧パネルとして形状と大きさが同一の部材のみを用いたが、形状や大きさが異なる複数種類の化粧パネルを組み合わせて配置してもよい。
実施形態1では、化粧パネルに固定した2つの連結部材を、棚柱の上端部同士と棚柱の下端部同士に係止させたが、棚柱における連結部材の係止位置は、上端部や下端部に限らず、上下方向に間隔を空けた少なくとも2つの位置であればよい。
実施形態1では、フレームが複数の棚柱によって構成されているが、フレームは、壁部に固定した棚柱以外の部材も含む構成としてもよい。
【符号の説明】
【0036】
A…壁面システム、W…壁部(ベース部材)、10…フレーム、11,51…棚柱、11S…棚柱の前面の側縁領域、14…係止孔、20…連結部材、30,65…化粧パネル、30F…化粧パネルの前面、30S…化粧パネルの側縁部、35…棚板(ハンギングアイテム)、39…オープンボックス(ハンギングアイテム)、40…収納ボックス(ハンギングアイテム)、42…化粧パネルとハンギングアイテムとの間の隙間、54…第1係止孔、60…支持部材