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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013645
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】微細化装置
(51)【国際特許分類】
   B02C 13/282 20060101AFI20240125BHJP
   B02C 13/10 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B02C13/282
B02C13/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115897
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100173428
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】小島 英揮
(72)【発明者】
【氏名】小穴 壮太郎
【テーマコード(参考)】
4D065
【Fターム(参考)】
4D065AA05
4D065BB04
4D065BB11
4D065BB20
4D065EB12
4D065ED22
4D065ED29
4D065ED45
4D065EE02
4D065EE07
4D065EE15
(57)【要約】
【課題】円滑かつ良好な微細化処理を行うことができる微細化装置を提供すること。
【解決手段】ケーシングと、回転軸と、投入口側に位置する第1ローター部と、排出口側に位置する第2ローター部と、隔壁と、を有し、ケーシングの内部に配置されたローターと、ローターの外周に沿ってケーシングの内面に配置されたライナーと、を備え、第1ローター部は、投入口側に開放し、隔壁で遮断された空隙部を介して、回転軸回りに放射状に設置された複数の第1ブレードを有し、第2ローター部は、回転軸回りに放射状に設置された複数の第2ブレードを有し、ローターが回転している状態で、投入口から投入された前記原料は、空隙部および隣り合う第1ブレードの間を順次通過し、第1ブレードとライナーとの間および第2ブレードとライナーとの間を順次通過する際に微細化され、排出口から排出されることを特徴とする微細化装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料の投入口および排出口を有するケーシングと、
回転軸と、前記投入口側に位置する第1ローター部と、前記排出口側に位置する第2ローター部と、前記第1ローター部と前記第2ローター部とを隔てる隔壁と、を有し、前記ケーシングの内部に配置されたローターと、
前記ローターの外周に沿って前記ケーシングの内面に配置されたライナーと、を備え、
前記第1ローター部は、前記投入口側に開放し、前記隔壁で遮断された空隙部を介して、前記回転軸回りに放射状に設置された複数の第1ブレードを有し、
前記第2ローター部は、前記回転軸回りに放射状に設置された複数の第2ブレードを有し、
前記ローターが回転している状態で、前記投入口から投入された前記原料は、前記空隙部および隣り合う前記第1ブレードの間を順次通過し、前記第1ブレードと前記ライナーとの間および前記第2ブレードと前記ライナーとの間を順次通過する際に微細化され、前記排出口から排出されることを特徴とする微細化装置。
【請求項2】
前記第1ローター部と共に回転し、前記回転軸の近傍に前記原料を前記空隙部に導入する導入口が形成され、第1ブレードと固定された側板を有する請求項1に記載の微細化装置。
【請求項3】
前記投入口から投入された前記原料を前記導入口に案内する筒状の案内部材を有する請求項2に記載の微細化装置。
【請求項4】
前記側板は、支持部材を介して前記回転軸に固定されている請求項2または3に記載の微細化装置。
【請求項5】
前記隔壁は、外周部が前記ライナーから離間し、前記第1ブレードおよび前記第2ブレードに固定されている請求項1または2に記載の微細化装置。
【請求項6】
前記第1ブレードと前記第2ブレードとは、前記回転軸の軸方向から見たとき、同一のパターンで配置されている請求項1または2に記載の微細化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
古紙を粗砕する粗砕部、粗砕部で得られた粗砕片を解繊する解繊部、解繊部で得られた解繊物を平面上に堆積させる堆積部、堆積したウェブを加熱、加圧する加熱加圧部、加熱加圧部で得られたシートを所定の形状に裁断する裁断部、および得られたシートを回収するシート回収部を備えたシート製造装置が知られている。
【0003】
上記解繊部としては、例えば、特許文献1に記載されているようなターボ式微粉砕機を用いることができる。特許文献1のターボ式微粉砕機は、原料入口部および粉砕製品出口部を有するケーシングと、ケーシングの内面に設けられたライナーと、ケーシング内で回転するローターとを有する。回転しているローターとライナーとの間を原料が通過する際、原料が粉砕され、粉砕物が粉砕製品出口部から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-276916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているターボ式微粉砕機では、ローターとライナーとの間の隙間は、比較的狭く、原料の大きさによっては、原料がローターとライナーとの間に入っていかず、ローターの手前側で滞留してしまうおそれがある。この滞留が生じてしまうと、原料の粉微粉砕を良好に行うことができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の微細化装置は、
原料の投入口および排出口を有するケーシングと、
回転軸と、前記投入口側に位置する第1ローター部と、前記排出口側に位置する第2ローター部と、前記第1ローター部と前記第2ローター部とを隔てる隔壁と、を有し、前記ケーシングの内部に配置されたローターと、
前記ローターの外周に沿って前記ケーシングの内面に配置されたライナーと、を備え、
前記第1ローター部は、前記投入口側に開放し、前記隔壁で遮断された空隙部を介して、前記回転軸回りに放射状に設置された複数の第1ブレードを有し、
前記第2ローター部は、前記回転軸回りに放射状に設置された複数の第2ブレードを有し、
前記ローターが回転している状態で、前記投入口から投入された前記原料は、前記空隙部および隣り合う前記第1ブレードの間を順次通過し、前記第1ブレードと前記ライナーとの間および前記第2ブレードと前記ライナーとの間を順次通過する際に微細化され、前記排出口から排出される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る微細化装置を備えるシート製造装置の概略を示す構成図である。
図2図2は、図1に示す微細化装置の縦断面図である。
図3図3は、図2中のA-A線断面図である。
図4図4は、図2中のB-B線断面図である。
図5図5は、第2実施形態に係る微細化装置の縦断面図である。
図6図6は、第3実施形態に係る微細化装置の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の微細化装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0009】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態にかかる微細化装置を備えるシート製造装置の概略を示す構成図である。図2は、図1に示す微細化装置の縦断面図である。図3は、図2中のA-A線断面図である。図4は、図2中のB-B線断面図である。
【0010】
なお、以下では、図1の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言うことがある。また、図2および図5の左側を「左」、右側を「右」と言うことがある。また、図1は、概略構成図であり、シート製造装置100の各部の位置関係、向き、大きさ等は、図示のものに限定されない。また、図1において、粗砕片M2、解繊物M3、第1選別物M4-1、第2選別物M4-2、第1ウェブM5、細分体M6、混合物M7、第2ウェブM8、再生紙Sが搬送される方向、すなわち、矢印で示す方向を搬送方向とも言う。また、図1中の矢印の先端側を搬送方向における「下流側」、図1中の矢印の基端側を搬送方向における「上流側」とも言う。
【0011】
図1に示すシート製造装置100は、例えば使用済みのコピー用紙のような古紙である原料M1をシート状の再生紙Sを生成するシート製造装置100である。
【0012】
図1に示すように、シート製造装置100は、原料供給部11と、粗砕部12と、本発明の微細化装置13と、選別部14と、第1ウェブ形成部15と、細分部16と、混合部17と、分散部18と、第2ウェブ形成部19と、成形部20と、切断部21と、ストック部22と、回収部27と、を備えている。
【0013】
また、シート製造装置100は、加湿部231と、加湿部232と、加湿部233と、加湿部234と、加湿部235と、加湿部236とを備えている。その他、シート製造装置100は、ブロアー261と、ブロアー262と、ブロアー263とを備えている。
【0014】
また、シート製造装置100では、原料供給工程と、粗砕工程と、解繊工程と、選別工程と、第1ウェブ形成工程と、分断工程と、混合工程と、ほぐし工程と、第2ウェブ形成工程と、シート形成工程と、切断工程とがこの順に実行される。
【0015】
以下、各部の構成について説明する。
原料供給部11は、粗砕部12に原料M1を供給する原料供給工程を行なう部分である。この原料M1としては、セルロース繊維を含む繊維含有物からなるシート状材料である。なお、セルロース繊維とは、化合物としてのセルロース(狭義のセルロース)を主成分とし繊維状をなすものであればよく、セルロース(狭義のセルロース)の他に、ヘミセルロース、リグニンを含むものであってもよい。また、原料M1は、織布、不織布等、形態は問わない。また、原料M1は、例えば、古紙を解繊して再生、製造されたリサイクルペーパーや、合成紙のユポ紙(登録商標)であってもよいし、リサイクルペーパーでなくてもよい。
【0016】
粗砕部12は、原料供給部11から供給された原料M1を大気中等の気中で粗砕する粗砕工程を行なう部分である。粗砕部12は、一対の粗砕刃121と、シュート122とを有している。
【0017】
一対の粗砕刃121は、互いに反対方向に回転することにより、これらの間で原料M1を粗砕して、すなわち、裁断して粗砕片M2にすることができる。粗砕片M2の形状や大きさは、微細化装置13における解繊処理に適しているのが好ましい。粗砕片M2の形状としては、例えば平面形状が正方形の小片、長方形、特に短冊状の小片が挙げられる。また、粗砕片M2のサイズは、例えば、1辺の平均長さが100mm以下の小片であるのが好ましく、3mm以上70mm以下の小片であるのがより好ましい。前記小片の形状としては、正方形、長方形以外のものであってもよい。また、厚さは0.07mm以上、0.10mm以下が好ましい。
【0018】
シュート122は、一対の粗砕刃121の下方に配置され、例えば漏斗状をなすものとなっている。これにより、シュート122は、粗砕刃121によって粗砕されて落下してきた粗砕片M2を受けることができる。
【0019】
また、シュート122の上方には、加湿部231が一対の粗砕刃121に隣り合って配置されている。加湿部231は、シュート122内の粗砕片M2を加湿するものである。この加湿部231は、水分を含むフィルター(図示せず)を有し、フィルターに空気を通過させることにより、湿度を高めた加湿空気を粗砕片M2に供給する気化式(または温風気化式)の加湿器で構成されている。加湿空気が粗砕片M2に供給されることにより、粗砕片M2が静電気によってシュート122等に付着するのを抑制することができる。
【0020】
シュート122は、管241を介して、微細化装置13の上流側に接続されている。すなわち、管241の下流側端部は、微細化装置13の投入口31に接続されている。シュート122に集められた粗砕片M2は、管241を通過して、微細化装置13に搬送される。
【0021】
図1に示すように、微細化装置13は、粗砕片M2を気中で、すなわち、乾式で解繊する解繊工程を行なう部分である。この微細化装置13での解繊処理により、粗砕片M2から解繊物M3を生成することができる。ここで「解繊する」とは、複数の繊維が結着されてなる粗砕片M2を、繊維1本1本に解きほぐすことを言う。そして、この解きほぐされたものが解繊物M3となる。解繊物M3の形状は、線状や帯状である。また、解繊物M3同士は、絡み合って塊状となった状態、すなわち、いわゆる「ダマ」を形成している状態で存在してもよい。
【0022】
また、微細化装置13は、後述するローター5の回転により、粗砕部12から選別部14に向かう空気の流れ、すなわち、気流を発生させることができる。これにより、粗砕片M2を管241から微細化装置13の上流側に導入することができ、解繊処理後、解繊物M3を、管242を介して選別部14に送り出すことができる。
【0023】
微細化装置13の下流側には、管242が接続されている。管242の途中には、例えばターボ型ファンで構成されるブロアー261が設置されている。ブロアー261は、選別部14に向かう気流を発生させる気流発生装置である。これにより、微細化装置13への粗砕片M2の導入および選別部14への解繊物M3の送り出しが促進される。後述するように、微細化装置13は、その構造上、原料である粗砕片M2の通過および解繊処理が円滑になされるが、微細化装置13の下流側に設置されたブロアー261の作動により、粗砕片M2の微細化装置13内における通過および解繊処理が促進される。なお、ブロアー261は、微細化装置13の上流側に設置されていてもよい。
【0024】
選別部14は、解繊物M3を、繊維長の大小によって選別する選別工程を行なう部分である。選別部14では、解繊物M3は、第1選別物M4-1と、第1選別物M4-1よりも繊維長が大きい第2選別物M4-2とに選別される。第1選別物M4-1は、その後の再生紙Sの製造に適した大きさのものとなっており、その平均繊維長は、前述した通りである。一方、第2選別物M4-2は、例えば、解繊が不十分なものや、解繊された繊維同士が過剰に凝集したもの等が含まれる。
【0025】
選別部14は、ドラム部141と、ドラム部141を収納するハウジング部142とを有する。
【0026】
ドラム部141は、円筒状をなす網体で構成され、その中心軸回りに回転する篩である。このドラム部141には、解繊物M3が流入してくる。そして、ドラム部141が回転することにより、網の目開きよりも小さい解繊物M3は、第1選別物M4-1として選別され、網の目開き以上の大きさの解繊物M3は、第2選別物M4-2として選別される。
【0027】
第1選別物M4-1は、ドラム部141から落下する。
一方、第2選別物M4-2は、ドラム部141に接続されている管243に送り出される。管243は、ドラム部141と反対側、すなわち下流側の端部が管241の途中に接続されている。この管243を通過した第2選別物M4-2は、管241内で粗砕片M2と合流して、粗砕片M2とともに微細化装置13に流入する。これにより、第2選別物M4-2は、微細化装置13に戻されて、粗砕片M2とともに解繊処理される。
【0028】
また、ドラム部141から落下した第1選別物M4-1は、気中に分散しつつ落下して、ドラム部141の下方に位置する第1ウェブ形成部15に向かう。第1ウェブ形成部15は、第1選別物M4-1から第1ウェブM5を形成する第1ウェブ形成工程を行なう部分である。第1ウェブ形成部15は、メッシュベルト151と、3つの張架ローラー152と、吸引部153とを有している。
【0029】
メッシュベルト151は、無端ベルトであり、第1選別物M4-1が堆積する。このメッシュベルト151は、3つの張架ローラー152に掛け回されている。そして、張架ローラー152の回転駆動により、メッシュベルト151上の第1選別物M4-1は、下流側に搬送される。
【0030】
第1選別物M4-1は、メッシュベルト151の目開き以上の大きさとなっている。これにより、第1選別物M4-1は、メッシュベルト151の通過が規制され、よって、メッシュベルト151上に堆積することができる。また、第1選別物M4-1は、メッシュベルト151上に堆積しつつ、メッシュベルト151ごと下流側に搬送されるため、層状の第1ウェブM5として形成される。
【0031】
また、第1選別物M4-1には、例えば塵や埃等が混在しているおそれがある。塵や埃は、例えば、粗砕や解繊によって生じることがある。そして、このような塵や埃は、後述する回収部27に回収されることとなる。
【0032】
吸引部153は、メッシュベルト151の下方から空気を吸引するサクション機構である。これにより、メッシュベルト151を通過した塵や埃を空気ごと吸引することができる。
【0033】
また、吸引部153は、管244を介して、回収部27に接続されている。吸引部153で吸引された塵や埃は、回収部27に回収される。
【0034】
回収部27には、管245がさらに接続されている。また、管245の途中には、ブロアー262が設置されている。このブロアー262の作動により、吸引部153で吸引力を生じさせることができる。これにより、メッシュベルト151上における第1ウェブM5の形成が促進される。この第1ウェブM5は、塵や埃等が除去されたものとなる。また、塵や埃は、ブロアー262の作動により、管244を通過して、回収部27まで到達する。
【0035】
ハウジング部142は、加湿部232と接続されている。加湿部232は、気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング部142内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、第1選別物M4-1を加湿することができ、よって、第1選別物M4-1がハウジング部142の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
【0036】
選別部14の下流側には、加湿部235が配置されている。加湿部235は、水を噴霧する超音波式加湿器で構成されている。これにより、第1ウェブM5に水分を供給することができ、よって、第1ウェブM5の水分量が調整される。この調整により、静電力による第1ウェブM5のメッシュベルト151への吸着を抑制することができる。これにより、第1ウェブM5は、メッシュベルト151が張架ローラー152で折り返される位置で、メッシュベルト151から容易に剥離される。
【0037】
加湿部235の下流側には、細分部16が配置されている。細分部16は、メッシュベルト151から剥離した第1ウェブM5を分断する分断工程を行なう部分である。細分部16は、回転可能に支持されたプロペラ161と、プロペラ161を収納するハウジング部162とを有している。そして、回転するプロペラ161により、第1ウェブM5を分断することができる。分断された第1ウェブM5は、細分体M6となる。また、細分体M6は、ハウジング部162内を下降する。
【0038】
ハウジング部162は、加湿部233と接続されている。加湿部233は、気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング部162内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、細分体M6がプロペラ161やハウジング部162の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
【0039】
細分部16の下流側には、混合部17が配置されている。混合部17は、細分体M6と添加剤とを混合する混合工程を行なう部分である。この混合部17は、添加剤供給部171と、管172と、ブロアー173とを有している。
【0040】
管172は、細分部16のハウジング部162と、分散部18のハウジング182とを接続しており、細分体M6と添加剤との混合物M7が通過する流路である。
【0041】
管172の途中には、添加剤供給部171が接続されている。添加剤供給部171は、添加剤が収容されたハウジング部170と、ハウジング部170内に設けられたスクリューフィーダー174とを有している。スクリューフィーダー174の回転により、ハウジング部170内の添加剤がハウジング部170から押し出されて管172内に供給される。管172内に供給された添加剤は、細分体M6と混合されて混合物M7となる。
【0042】
ここで、添加剤供給部171から供給される添加剤としては、例えば、繊維同士を結着させる結着剤や、繊維を着色するための着色剤、繊維の凝集を抑制するための凝集抑制剤、繊維等を燃えにくくするための難燃剤、再生紙Sの紙力を増強するための紙力増強剤、解繊物等が挙げられ、これらのうちの一種または複数種を組み合わせて用いることができる。以下では、一例として、添加剤が結着剤P1である場合について説明する。添加剤が繊維同士を結合させる結合材を含むことにより、再生紙Sの強度を高めることができる。
【0043】
結着剤P1は、例えば、澱粉、デキストリン、グリコーゲン、アミロース、ヒアルロン酸、葛、こんにゃく、片栗粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、天然ガム糊、繊維誘導糊、海藻類、動物性蛋白質等の天然物由来成分や、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、天然物由来成分であるのが好ましく、澱粉であるのがより好ましい。また、例えば、各種ポリオレフィン、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性樹脂、各種熱可塑性エラストマー等を用いることもできる。
【0044】
なお、添加剤供給部171から供給されるものとしては、結着剤P1の他に、例えば、繊維を着色するための着色剤、繊維の凝集や結着剤P1の凝集を抑制するための凝集抑制剤、繊維等を燃えにくくするための難燃剤、再生紙Sの紙力を増強するための紙力増強剤等が含まれていてもよい。または、予めそれらを結着剤P1に含ませて複合化したものを添加剤供給部171から供給してもよい。
【0045】
また、管172の途中には、添加剤供給部171よりも下流側にブロアー173が設置されている。ブロアー173が有する羽根等の回転部の作用により、細分体M6と結着剤P1との混合が促進される。また、ブロアー173は、分散部18に向かう気流を発生させることができる。この気流により、管172内で、細分体M6と結着剤P1とを撹拌することができる。これにより、混合物M7は、細分体M6と結着剤P1とが均一に分散した状態で、分散部18に搬送される。また、混合物M7中の細分体M6は、管172内を通過する過程でほぐされて、より細かい繊維状となる。
【0046】
なお、ブロアー173は、制御装置28と電気的に接続されており、その作動が制御される。また、ブロアー173の送風量を調整することにより、ドラム181内に送り込む空気の量を調整することができる。
【0047】
なお、図示はしないが、管172は、ドラム181側の端部が2股に分岐しており、分岐した端部は、ドラム181の端面に形成された図示しない導入口にそれぞれ接続されている。
【0048】
図1に示す分散部18は、混合物M7における、互いに絡み合った繊維同士をほぐして放出する放出工程を行なう部分である。分散部18は、解繊物である混合物M7を導入および放出するドラム181と、ドラム181を収納するハウジング182と、を有する。
【0049】
ドラム181は、円筒状をなす網体で構成され、その中心軸回りに回転する篩である。ドラム181が回転することにより、混合物M7のうち、網の目開きよりも小さい繊維等が、ドラム181を通過することができる。その際、混合物M7がほぐされて空気とともに放出される。すなわち、ドラム181が、繊維を含む材料を放出する放出部として機能する。
【0050】
ドラム181は、図示しない駆動源に接続されており、駆動源から出力された回転力によって回転する。該駆動源は、制御装置28と電気的に接続されており、その作動が制御される。
【0051】
また、ハウジング182は、加湿部234と接続されている。加湿部234は、気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング182内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、ハウジング182内を加湿することができ、よって、混合物M7がハウジング182の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
【0052】
また、ドラム181で放出された混合物M7は、気中に分散しつつ落下して、ドラム181の下方に位置する第2ウェブ形成部19に向かう。第2ウェブ形成部19は、混合物M7を堆積させて堆積物である第2ウェブM8を形成する堆積工程を行なう部分である。第2ウェブ形成部19は、メッシュベルト191と、張架ローラー192と、吸引部193とを有している。
【0053】
メッシュベルト191は、メッシュ部材であり、図示の構成では、無端ベルトで構成される。また、メッシュベルト191には、分散部18が分散、放出した混合物M7が堆積する。このメッシュベルト191は、4つの張架ローラー192に掛け回されている。そして、張架ローラー192の回転駆動により、メッシュベルト191上の混合物M7は、下流側に搬送される。
【0054】
なお、図示の構成では、メッシュ部材の一例としてメッシュベルト191を用いる構成であるが、本発明ではこれに限定されず、例えば、平板状をなすものであってもよい。
【0055】
また、メッシュベルト191上のほとんどの混合物M7は、メッシュベルト191の目開き以上の大きさである。これにより、混合物M7は、メッシュベルト191を通過してしまうのが規制され、よって、メッシュベルト191上に堆積することができる。また、混合物M7は、メッシュベルト191上に堆積しつつ、メッシュベルト191ごと下流側に搬送されるため、層状の第2ウェブM8として形成される。
【0056】
吸引部193は、メッシュベルト191の下方から空気を吸引するサクション機構である。これにより、メッシュベルト191上に混合物M7を吸引することができ、よって、混合物M7のメッシュベルト191上への堆積が促進される。
【0057】
吸引部193には、管246が接続されている。また、この管246の途中には、ブロアー263が設置されている。このブロアー263の作動により、吸引部193で吸引力を生じさせることができる。
【0058】
分散部18の下流側には、加湿部236が配置されている。加湿部236は、加湿部235と同様の超音波式加湿器で構成されている。これにより、第2ウェブM8に水分を供給することができ、よって、第2ウェブM8の水分量が調整される。この調整により、静電力による第2ウェブM8のメッシュベルト191への吸着を抑制することができる。これにより、第2ウェブM8は、メッシュベルト191が張架ローラー192で折り返される位置で、メッシュベルト191から容易に剥離される。
【0059】
なお、加湿部231~加湿部236までに加えられる合計水分量は、例えば、加湿前の材料100質量部に対して0.5質量部以上20質量部以下であるのが好ましい。
【0060】
第2ウェブ形成部19の下流側には、成形部20が配置されている。成形部20は、第2ウェブM8から再生紙Sを形成するシート形成工程を行なう部分である。この成形部20は、加圧部201と、加熱部202とを有している。
【0061】
加圧部201は、一対のカレンダーローラー203を有し、カレンダーローラー203の間で第2ウェブM8を加熱せずに加圧することができる。これにより、第2ウェブM8の密度が高められる。なお、加熱する場合の加熱の程度としては、例えば、結着剤P1を溶融させない程度であるのが好ましい。そして、この第2ウェブM8は、加熱部202に向けて搬送される。なお、一対のカレンダーローラー203のうちの一方は、図示しないモーターの作動により駆動する主動ローラーであり、他方は、従動ローラーである。
【0062】
加熱部202は、一対の加熱ローラー204を有し、加熱ローラー204の間で第2ウェブM8を加熱しつつ、加圧することができる。この加熱加圧により、第2ウェブM8内では、結着剤P1が溶融して、この溶融した結着剤P1を介して繊維同士が結着する。これにより、再生紙Sが形成される。そして、この再生紙Sは、切断部21に向けて搬送される。なお、一対の加熱ローラー204の一方は、図示しないモーターの作動により駆動する主動ローラーであり、他方は、従動ローラーである。
【0063】
成形部20の下流側には、切断部21が配置されている。切断部21は、再生紙Sを切断する切断工程を行なう部分である。この切断部21は、第1カッター211と、第2カッター212とを有する。
【0064】
第1カッター211は、再生紙Sの搬送方向と交差する方向、特に直交する方向に再生紙Sを切断するものである。
【0065】
第2カッター212は、第1カッター211の下流側で、再生紙Sの搬送方向に平行な方向に再生紙Sを切断するものである。この切断は、再生紙Sの幅方向の両側端部の不要な部分を除去して、再生紙Sの幅を整えるものである。
【0066】
このような第1カッター211と第2カッター212との切断により、所望の形状、大きさの再生紙Sが得られる。そして、この再生紙Sは、さらに下流側に搬送されて、ストック部22に蓄積される。
【0067】
このようなシート製造装置100が備える各部は、制御装置28と電気的に接続されている。そして、これら各部の作動は、制御装置28によって制御される。
【0068】
図1に示すように、制御装置28は、制御部281と、記憶部282と、通信部283と、を有する。
【0069】
制御部281は、少なくとも1つのプロセッサーを有し、記憶部282に記憶された各種プログラムを実行する。プロセッサーとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)を用いることができる。また、制御部281は、シート製造装置100のうち、ブロアー261の駆動を制御する機能等のシート製造に関連する装置各部位の駆動を制御する機能、後述するモーターMの駆動制御等、種々機能を有する。
【0070】
制御部281のブロアー261およびモーターMへの通電制御により、ブロアー261およびモーターMは、それぞれ、所定のタイミング、所定の回転数で駆動回転する。なお、ブロアー261とモーターMとは、概ね時間的に重複して駆動するのが好ましい。これにより、原料の微細化装置13内の円滑な通過および良好な解繊処理が促進される。
【0071】
記憶部282には、例えば、シート製造に関するプログラム等が記憶されている。微細化装置13による原料の微細化に関しては、ブロアー261およびモーターMの作動タイミングおよび回転数等の条件を含む作動シーケンスに関するプログラムが記憶されている。
【0072】
通信部283は、例えば、I/Oインターフェースで構成され、シート製造装置100の各部との通信を行う。また、通信部283は、例えばネットワークを介して図示しないコンピューターやサーバーと通信を行う機能を有する。
【0073】
制御装置28は、シート製造装置100に内蔵されていてもよいし、外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよい。また、制御部281と、記憶部282とは、例えば、一体化されて、1つのユニットとして構成されていてもよいし、制御部281がシート製造装置100に内蔵され、記憶部282が外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよいし、記憶部282がシート製造装置100に内蔵され、制御部281が外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよい。
【0074】
次に、微細化装置13の構成について説明する。
図2に示すように、微細化装置13は、供給された原料を微細化して微細化物を排出するものであり、本実施形態では、供給された粗砕片M2を解繊して解繊物M3を生成する解繊装置である。
【0075】
図1に示すシート製造装置100に組み込まれた微細化装置13では、導入される原料として粗砕片M2と共に第2選別物M4-2も混合されているが、原料中の第2選別物M4-2の量は粗砕片M2に比べて少量であるため、以下、導入される原料を粗砕片M2として説明する。
【0076】
微細化装置13は、ケーシング3と、ケーシング3の内面に配置されたライナー4と、ケーシング3の内部に回転可能に設置されたローター5と、ローター5を回転駆動するモーターMと、を有する。粗砕片M2は、回転するローター5の外周部と、ライナー4との間を通過する際に解繊され、解繊物M3となる。
【0077】
ケーシング3は、粗砕片M2をケーシング3内へ投入する投入口31と、生成された解繊物M3をケーシング3外へ排出する排出口32と、を有する。ケーシング3は、ライナー4およびローター5を収納する内部空間S0を有する円筒状の部材である。
【0078】
投入口31は、ケーシング3の左側の端部付近の側方に設けられている。また、投入口31は、ケーシング3の径方向外側に筒状に突出して設けられている。投入口31は、図1に示す管241の下流側端部に接続されており、粗砕部12で生成された粗砕片M2は、管241を介して投入口31からケーシング3内に投入される。
【0079】
排出口32は、ケーシング3の右側の端部付近の側方に設けられている。また、排出口32は、ケーシング3の径方向外側に筒状に突出して設けられている。排出口32は、図1に示す管242の上流側端部に接続されており、生成された解繊物M3は、ケーシング3外へ排出され、管242を介して選別部14に搬送される。
【0080】
投入口31および排出口32は、ケーシング3の周方向の位置が同じである。ただし、この構成に限定されず、これらの形成位置は、所定角度ずれていたり、反対側であったりしてもよい。
【0081】
また、ケーシング3は、内部空間S0に設けられた仕切り板33および仕切り板34を有する。仕切り板33は、投入口31の延長上に設けられ、その厚さ方向が回転軸50に沿う向きで設置されている。仕切り板34は、排出口32の延長上に設けられ、その厚さ方向が回転軸50に沿う向きで設置されている。仕切り板33と仕切り板34とは、ほぼ平行に配置されている。仕切り板33および仕切り板34は、回転軸50側の端部が回転軸50から離間している。
【0082】
仕切り板33が設けられていることにより、投入口31から投入された粗砕片M2を回転軸50付近まで案内することができる。よって、後述する本発明の効果をより確実に得ることができる。また、仕切り板34が設けられていることにより、生成された解繊物M3を効果的に排出口32に案内することができる。よって、解繊物M3の排出をより円滑に行うことができる。
【0083】
ライナー4は、ケーシング3の円筒状部分の内面の全周に配置された筒状の部材である。ライナー4の中心軸は、回転軸と同軸である。図3および図4に示すように、ライナー4の外周面は、ケーシング3の内周面に固定されている。図3に示すように、ライナー4は、その軸方向の長さが、後述する第1ブレード511および第2ブレード521を包含する程度の長さである。ライナー4は、例えば金属のような硬質材料で構成されている。
また、ライナー4の内周には、歯41が形成されている。
【0084】
歯41は、ライナー4の周方向に沿って設けられ、内側に突出する複数の突出部411を有する。また、突出部411は、ケーシング3の軸方向に沿っても延在している。各突出部411は、突出高さが同じであり、頂部412を有する。
【0085】
粗砕片M2は、回転するローター5の外周部と歯41との間を通過する際、歯41と衝突して解繊され、解繊物M3が生成される。
【0086】
ローター5は、回転軸50と、第1ローター部51と、第1ローター部51の右側に位置する第2ローター部52と、第1ローター部51と第2ローター部52との間に位置する隔壁53と、を有する。
【0087】
回転軸50は、長尺状をなし、左右方向に延在する向きでケーシング3を貫通するよう設置されている。回転軸50は、ケーシング3に対し、図示しない軸受けを介して回転可能に支持されており、右側の端部がモーターMの出力軸に接続されている。モーターMへの通電によりモーターMが駆動し、回転軸50が所定方向に回転する。なお、モーターMの出力軸と、回転軸50との間に図示しない減速機が設置されていてもよい。
【0088】
回転軸50の長手方向の途中には、隔壁53と、側板55とが、互いに離間して固定されている。隔壁53および側板55は、円板状をなしており、それぞれ、中心部に回転軸50を挿通、固定する図示しない貫通孔が設けられている。
【0089】
図2図4に示すように、第1ローター部51は、回転軸50回りに放射状に配置された複数の第1ブレード511と、各第1ブレード511の左側に位置する側板54とを有する。第1ブレード511は、本実施形態では、8枚である。各第1ブレード511は、板状をなし、各主面がケーシング3およびローター5の径方向に沿う向きで配置されている。各第1ブレード511は、右側の端面512が隔壁53の左側の面531に固定されている。また、各第1ブレード511は、左側の端面513が、側板54の右側の面541に固定されている。
【0090】
第2ローター部52は、回転軸50回りに放射状に配置された複数の第2ブレード521と、各第2ブレード521の右側に位置する側板55とを有する。第2ブレード521は、本実施形態では、8枚である。各第2ブレード521は、板状をなし、各主面がケーシング3およびローター5の径方向に沿う向きで配置されている。各第2ブレード521は、右側の端面522が側板55の左側の面551に固定されている。また、各第2ブレード521は、左側の端面523が、隔壁53の右側の面532に固定されている。隔壁53と、側板54と、側板55とは、回転軸50の軸方向に沿って等間隔で、かつほぼ平行に配置されている。
【0091】
このように、各第1ブレード511は、隔壁53を介して回転軸50に固定され、各第第2ブレード521は、隔壁53および側板55を介して回転軸50に固定されている。これにより、回転軸50が回転した際、各第1ブレード511および各第2ブレード521が、隔壁53、側板54および側板55と共に、回転軸50回りに回転する。粗砕片M2は、回転する各第1ブレード511とライナー4との間を通過する際に解繊され、さらに、回転する各第2ブレード521とライナー4との間を通過する際により微細に解繊される。
【0092】
隔壁53は、第1ブレード511および第2ブレード521の間に位置し、第1ブレード511および第2ブレード521の双方に固定されている。隔壁53の外周部は、ライナー4から所定距離離間している。第1ブレード511および第2ブレード521は、互いに位置関係が固定された状態で、隔壁53とともに安定的に回転することができる。
【0093】
上述したように、ローター5は、第1ローター部51と第2ローター部52とを有し、これらにより2段階で解繊を行う。これにより、1段階で解繊を行う場合に比べ、粗砕片M2の解繊を円滑かつ効率よく行うことができ、解繊度をより高めることができる。
【0094】
解繊時におけるローター5の回転数は、特に限定されないが、1000rpm以上、300000rpm以下が好ましく、2000rpm以上、20000rpm以下がより好ましい。
【0095】
本実施形態では、各第1ブレード511は、同じ形状および大きさであり、各第2ブレード521は、同じ形状および大きさである。ただし、この構成に限定されず、各第1ブレード511は、少なくとも1つが他と異なる形状または大きさであってもよく、各第2ブレード521は、少なくとも1つが他と異なる形状または異なる大きさであってもよい。
【0096】
また、第1ブレード511と第2ブレード521とは、回転軸50の軸方向から見たとき、同一のパターンで配置されている。本実施形態では、第1ブレード511と第2ブレード521とは、同じ形状、同じ大きさ、同じ枚数、同じ配置パターンである。ただし、この構成に限定されず、例えば、第1ブレード511および第2ブレード521は、大きさすなわち寸法が異なっていてもよく、設置枚数が異なっていてもよく、周方向の配設ピッチが異なっていてもよい。例えば、第1ブレード511の回転軸50方向の長さが第2ブレード521の回転軸50方向の長さより短いまたは長い場合が挙げられる。また、第1ブレード511のローター径方向の長さが第2ブレード521のローター径方向の長さより短いまたは長い場合が挙げられる。また、第1ブレード511と第2ブレード521の設置枚数は同じであるが、回転軸50の軸方向から見たとき、第1ブレード511と第2ブレード521の周方向ピッチが半ピッチずれて配置されていてもよい。
【0097】
第1ブレード511および第2ブレード521は、例えば金属のような硬質材料で構成されている。第1ブレード511と第2ブレード521とは、同じ材料で構成されているのが好ましいが、これに限定されない。
【0098】
第1ブレード511と第2ブレード521とは、回転軸50の軸方向から見たとき、同一のパターンで配置されている。すなわち、各第1ブレード511と各第2ブレード521とは、回転軸50の軸方向から見たとき、重なっている。このような構成とすることにより、第1ブレード511と第2ブレード521とで互換性を有し、構造をより簡素化することができる。
【0099】
ただし、この構成に限定されず、第1ブレード511および第2ブレード521は、一方の一部のみが他方に重なっていたり、双方の配置位置がローター5の周方向または径にずれていてもよい。
【0100】
図2および図3に示すように、第1ローター部51は、回転軸50の外周部に、すなわち回転軸50と各第1ブレード511との間に空隙部S1を有する。換言すれば、第1ブレード511は、空隙部S1を介して回転軸50回りに放射状に設置されている。
【0101】
空隙部S1の右側は、隔壁53により遮断され、空隙部S1の外周側は、隣り合う第1ブレード511の間を介してライナー4側に開放し、空隙部S1の右側は、導入口540を介して投入口31側の内部空間S0に開放している。
【0102】
回転軸50の近傍となる側板54の中心部には、貫通孔で構成された導入口540が形成されている。投入口31から投入され、内部空間S0に入った粗砕片M2は、導入口540を経て空隙部S1に導入することができる。
【0103】
回転軸50の近傍にある導入口540は、空隙部S1の内部空間S0に対する開放部であり、第1ブレード511が固定された側板54の中心部に形成されている。図3に示すように、導入口540は、回転軸50を中心とする円形である。これにより、ローター5の回転に伴って側板54が回転した際、導入口540から空隙部S1への気流が安定して形成され、粗砕片M2の流れを円滑に形成することができる。
【0104】
なお、導入口540の形状は、円形に限定されず、例えば、正多角形であってもよい。
また、回転軸50の軸方向から見た側板54の面積をA0、導入口540の開口面積をA1としたとき、A1/A0の比率は特に限定されないが、0.05≦A1/A0≦0.7であるのが好ましく、0.1≦A1/A0≦0.5であるのがより好ましい。A1/A0の比率を上記のような範囲とすることにより、空隙部S1を経由する粗砕片M2の流れを適度な流速とし、より円滑な流れを形成することができる。
【0105】
投入口31から投入され、内部空間S0に入った粗砕片M2は、図2中実線で示す経路Rを辿る。以下詳述する。ローター5が所定方向に回転すると、その遠心力により空隙部S1内の空気は、隣り合う第1ブレード511の間を通って外周方向、すなわち回転軸50から遠ざかる方向へ流れる。これにより、空隙部S1に負圧が生じるが、空隙部S1の右側が隔壁53により遮断されているため、導入口540から空隙部S1に空気が流入する。この空気の流れに伴って導入口540から粗砕片M2が、空隙部S1に導入される。導入口540から導入された粗砕片M2は、各第1ブレード511と回転軸50との間に形成された空隙部S1に移行する。
【0106】
空隙部S1は、投入口31側に開放し、隔壁53で遮断されている。この隔壁53の存在により、空隙部S1内の粗砕片M2が第2ブレード521と回転軸50との間の空隙部S2に直接移行することが阻止される。このため、空隙部S1内の粗砕片M2は、回転する第1ブレード511の遠心力で形成された気流によって、隣り合う第1ブレード511間を外方へ向けて通過する。そして、第1ブレード511の外周部とライナー4との間で第1段階の解繊がなされる。次いで、第2ブレード521の外周部とライナー4との間に移行し、さらに第2段階の解繊が行われ、解繊物M3となる。得られた解繊物M3は、側板55と仕切り板34との間を通過し、第2ローター部52より右側の内部空間S0を経て排出口32から排出される。
【0107】
第2ローター部52より右側の内部空間S0および排出口32の内部は、前述したブロアー261の作動により負圧とされており、排出口32からの解繊物M3の排出は、円滑になされる。
【0108】
ここで、従来では、粗砕片M2は、図2中破線で示す経路R’を辿っていた。すなわち、従来では、導入口540に相当する開口が無く、原料は、仕切り板33と隔壁53との間の空間S3に相当する空間から、第1ブレード511に相当する部材とライナー4に相当する部材との間に供給されていた。しかしながら、第1ブレード511の外周とライナー4との隙間は、比較的狭く設定されているので、原料が空間S3に相当する空間に滞留したり、局所的に目詰まりを起こしたりすることがあり、第1ブレード511の外周とライナー4との間に円滑に移行しないという問題が生じることがあった。
【0109】
これに対し、微細化装置13では、投入口31より投入された粗砕片M2は、前述した経路Rを辿って、移送されて解繊され、排出口32より排出される。これにより、従来のような装置内での原料の滞りを防止することができ、円滑かつ良好な微細化処理、すなわち、解繊処理を実現することができる。
【0110】
なお、本実施形態の微細化装置13においても、投入口31から投入され粗砕片M2の全てが経路Rを辿らず、粗砕片M2の一部は、経路R’を辿り、第1ブレード511の外周部とライナー4との間に移行する場合があり、この場合も本発明に含まれる。この場合、経路R’を辿る粗砕片M2の量は少ないので、粗砕片M2が空間S3に滞留し、目詰まりを起こすことは無く、第1ブレード511の外周とライナー4との間への円滑な移行に支障を生じることはない。
【0111】
微細化装置13において、投入口31から投入された粗砕片M2の全量をV0[kg/分]とし、そのうち経路Rを辿る粗砕片M2の量、すなわち導入口540から導入され空隙部S1を経て第1ブレード511の外周とライナー4との間へ移行する粗砕片M2の量をV1[kg/分]としたとき、V1/V0の比率は特に限定されないが、0.33≦V1/V0≦1であるのが好ましく、0.5≦V1/V0≦1であるのがより好ましく、0.7≦V1/V0≦1であるのがさらに好ましい。また、V1/V0の上限値は、装置の設計上不可避的な値として、1未満の数字、例えば0.85~0.99程度の範囲内の数字であってもよい。V1/V0の比率を上記のような範囲とすることにより、より円滑で良好な微細化処理を行うことができる。
【0112】
以上述べたように、微細化装置13は、原料である粗砕片M2の投入口31および排出口32を有するケーシング3と、回転軸50と、投入口31側に位置する第1ローター部51と、排出口32側に位置する第2ローター部52と、第1ローター部51と第2ローター部52とを隔てる隔壁53と、を有し、ケーシング3の内部に配置されたローター5と、ローター5の外周に沿ってケーシング3の内面に配置されたライナー4と、を備える。また、第1ローター部51は、投入口31側に開放し、隔壁53で遮断された空隙部S1を介して、回転軸50回りに放射状に設置された複数の第1ブレード511を有し、第2ローター部52は、回転軸50回りに放射状に設置された複数の第2ブレード521を有する。そして、ローター5が回転している状態で、投入口31から投入された粗砕片M2は、空隙部S1および隣り合う第1ブレード511の間を順次通過し、第1ブレード511とライナー4との間および第2ブレード521とライナー4との間を順次通過する際に微細化され、排出口32から排出される。これにより、従来生じていた装置内での原料の滞りを防止することができ、円滑で良好な微細化処理を行うことができる。
【0113】
また、微細化装置13は、第1ローター部51と共に回転し、回転軸50の近傍に原料である粗砕片M2を空隙部S1に導入する導入口540が形成され、第1ブレード511と固定された側板54を有する。これにより、第1ブレード511の回転により、導入口540から空隙部S1へ向かう気流を容易に発生させることができる。よって、より円滑で良好な微細化処理を行うことができる。
【0114】
また、隔壁53は、外周部がライナー4から離間し、第1ブレード511および第2ブレード521に固定されている。これにより、第1ブレード511および第2ブレード521は、互いに位置関係が固定された状態で、隔壁53とともに安定的に回転することができる。
【0115】
なお、本実施形態では、短冊状の粗砕片M2を原料として微細化を行う構成について説明したが、本発明ではこれに限定されず、原料の形状は、例えば、鱗片状、綿状、ペレット状、粒状、粉状であってもよい。また、原料として、繊維を含む原料すなわち紙である場合について説明したが、本発明ではこれに限定されず、原料は、繊維を含まないものであってもよい。本発明における原料の種類は、特に限定されず、例えば、穀物等の食品、種子類、薬品、飼糧、肥料、工業用原料、工業用製品等であってもよい。よって、本発明は、原料を細かく微細化するものであって、繊維を含む原料であれば細かい繊維に解繊する解繊手段となり、繊維質でない原料であれば細かく粉砕する粉砕手段となる。
【0116】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態に係る微細化装置の縦断面図である。
【0117】
以下、図5を参照しつつ本発明の微細化装置の第2実施形態について説明するが、以下では、第1実施形態との相違点を説明し、共通点については説明を省略する。
【0118】
図5に示すように、微細化装置13は、投入口31から投入された粗砕片M2を導入口540に案内する筒状の案内部材6を有する。
【0119】
案内部材6は、側板54より左側、すなわち投入口31側に設けられている。案内部材6は、左側の端部が、仕切り板33とケーシング3の壁部とに固定されている。案内部材6の右側の端部は、側板54の導入口540の縁部に微小な隙間を介して位置している。案内部材6の内部には回転軸50が相通されている。
【0120】
経路Rで示すように、投入口31から投入された粗砕片M2は、案内部材6内を通過し、導入口540より空隙部S1に導入される。本実施形態の構成では、案内部材6の設置により、粗砕片M2が空間S3に向かう量を極めて少なくすることができる。すなわち、前述したV1/V0の比率をより高めることができる。これにより、経路Rで示す粗砕片M2の流れを確実に形成することができ、前述した本発明の効果をより顕著に発揮することができる。
【0121】
このように、微細化装置13は、投入口31から投入された粗砕片M2を導入口540に案内する筒状の案内部材6を有する。これにより、粗砕片M2をより確実に導入口540から空隙部S1に案内することができ、より円滑で良好な微細化処理を行うことができる。
【0122】
なお、図示されていないが、側板54は、各種ベアリング等の軸受けを介して案内部材6の右側端部に対し回転可能に接合されていてよい。また、側板54と案内部材6との間に、隙間を埋める例えばスキージーのような弾性部材が設置されていてもよい。
【0123】
<第3実施形態>
図6は、第3実施形態に係る微細化装置の横断面図である。
【0124】
以下、図6を参照しつつ本発明の微細化装置の第3実施形態について説明するが、以下では、第1実施形態との相違点を説明し、共通点については説明を省略する。
【0125】
図6に示すように、微細化装置13は、側板54を回転軸50に対して固定する支持部材7を有する。支持部材7は、棒状をなし、一端部が回転軸50の外周部に固定され、他端部が側板54の導入口540の縁部に固定されている。本実施形態では、支持部材7は、3本設けられており、放射状に等角度間隔で配置されている。ただし、支持部材7の本数、配置等は特に限定されず、また、図示と異なる形状の支持部材を用いることもできる。
【0126】
このような本実施形態によれば、側板54が支持部材7によって支持されている分、ローター5の機械的強度を高めることができると共に、第1ローター部51およびこれに属する第1ブレード511の回転が安定する。
【0127】
よって、ローター5を比較的高速で回転させることができ、より強い気流を発生させることができ、解繊処理の効率を上げることができる。また、ローター5の回転をより安定させることができるので、より円滑で良好な微細化処理を行うことができる。
【0128】
なお、第3実施形態においても、前述したA1/A0の比率、V1/V0の比率については同様である。
【0129】
このように、側板54は、支持部材7を介して回転軸50に固定されている。これにより、ローター5の回転をより安定させることができ、ローターの高速回転化による微細化処理の効率向上が図れ、また、より円滑で良好な微細化処理の実現に寄与する。
【0130】
以上、本発明の微細化装置を図示の各実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、微細化装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、微細化装置には、任意の構成物が付加されていてもよい。また、本発明の微細化装置は、各実施形態の特徴を組み合わせたものであってもよい。
【0131】
また、シート製造装置では、原料供給部11および粗砕部12が省略されていてもよい。この場合、シート製造装置は、原料供給部11および粗砕部12に代えて、粗砕片を供給する粗砕片供給部を備える。
【符号の説明】
【0132】
3…ケーシング、4…ライナー、5…ローター、6…案内部材、7…支持部材、11…原料供給部、12…粗砕部、13…微細化装置、14…選別部、15…第1ウェブ形成部、16…細分部、17…混合部、18…分散部、19…第2ウェブ形成部、20…成形部、21…切断部、22…ストック部、27…回収部、28…制御装置、31…投入口、32…排出口、33…仕切り板、34…仕切り板、41…歯、50…回転軸、51…第1ローター部、52…第2ローター部、53…隔壁、54…側板、55…側板、100…シート製造装置、121…粗砕刃、122…シュート、141…ドラム部、142…ハウジング部、151…メッシュベルト、152…張架ローラー、153…吸引部、161…プロペラ、162…ハウジング部、170…ハウジング部、171…添加剤供給部、172…管、173…ブロアー、174…スクリューフィーダー、181…ドラム、182…ハウジング、191…メッシュベルト、192…張架ローラー、193…吸引部、201…加圧部、202…加熱部、203…カレンダーローラー、204…加熱ローラー、211…第1カッター、212…第2カッター、231…加湿部、232…加湿部、233…加湿部、234…加湿部、235…加湿部、236…加湿部、241…管、242…管、243…管、244…管、245…管、246…管、261…ブロアー、262…ブロアー、263…ブロアー、281…制御部、282…記憶部、283…通信部、411…突出部、412…頂部、511…第1ブレード、512…端面、513…端面、521…第2ブレード、522…端面、523…端面、531…面、532…面、540…導入口、541…面、551…面、M…モーター、M1…原料、M2…粗砕片、M3…解繊物、M4-1…第1選別物、M4-2…第2選別物、M5…第1ウェブ、M6…細分体、M7…混合物、M8…第2ウェブ、P1…結着剤、R…経路、R'…経路、S…再生紙、S0…内部空間、S1…空隙部、S2…空隙部、S3…空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6