IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビアメカニクス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-加工装置 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136479
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20240927BHJP
   B23B 19/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B23Q11/00 P
B23B19/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047608
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000233332
【氏名又は名称】ビアメカニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王子 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】角 博文
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩一
(72)【発明者】
【氏名】北島 寿弥
【テーマコード(参考)】
3C011
3C045
【Fターム(参考)】
3C011BB00
3C045FD15
3C045FD23
(57)【要約】
【課題】エネルギー消費が小さな加工装置を提供する。
【解決手段】
加工装置は、コンプレッサと、コンプレッサから圧縮空気が供給される第1の供給先ユニットと、コンプレッサから圧縮空気が供給される第2の供給先ユニットと、コンプレッサから第1の供給先ユニットへの圧縮エアの供給量を調整する第1調整手段と、コンプレッサから第2の供給先ユニットへの圧縮エアの供給量を調整する第2調整手段と、ワークの非加工時に第1調整手段及び前記第2調整手段を制御して、コンプレッサから第1の供給先ユニット及び第2の供給先ユニットへの圧縮エアの供給を停止する制御手段と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを加工する加工装置であって、
圧縮空気を供給するコンプレッサと、
前記コンプレッサから圧縮空気が供給される第1の供給先ユニットと、
前記コンプレッサから圧縮空気が供給される第2の供給先ユニットと、
前記コンプレッサから前記第1の供給先ユニットへの圧縮エアの供給経路上に配置され、前記コンプレッサから前記第1の供給先ユニットへの圧縮エアの供給量を調整する第1調整手段と、
前記コンプレッサから前記第2の供給先ユニットへの圧縮エアの供給経路上に配置され、前記コンプレッサから前記第2の供給先ユニットへの圧縮エアの供給量を調整する第2調整手段と、
前記ワークの非加工時に前記第1調整手段及び前記第2調整手段を制御して、前記コンプレッサから前記第1の供給先ユニット及び前記第2の供給先ユニットへの圧縮エアの供給を停止する制御手段と、を備えた、
ことを特徴とする加工装置。
【請求項2】
前記第1の供給先ユニットは、回転工具を保持するスピンドルの空気軸受けであり、
前記第2の供給先ユニットは、CCDセンサのエアブロワーである、
ことを特徴とする請求項1記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板等のワークを加工する加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気軸受けを設けたスピンドルでドリルを高速回転させ、ドリルをワークに対して垂直方向に下降させて穴あけ加工を行う穴あけ装置が知られている(特許文献1参照)。また、上記特許文献1記載の穴あけ装置は、ドリルの刃先の有無を検出するCCDセンサを備えており、このCCDセンサによって、スピンドルがドリルを保持しているか否か判定することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-120563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような、穴あけ装置では、圧縮エアの供給に大量の電力を消費しており、省エネルギー化が求められていた。
【0005】
そこで、本発明は、エネルギー消費の小さな加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ワークを加工する加工装置であって、圧縮空気を供給するコンプレッサと、前記コンプレッサから圧縮空気が供給される第1の供給先ユニットと、前記コンプレッサから圧縮空気が供給される第2の供給先ユニットと、前記コンプレッサから前記第1の供給先ユニットへの圧縮エアの供給経路上に配置され、前記コンプレッサから前記第1の供給先ユニットへの圧縮エアの供給量を調整する第1調整手段と、前記コンプレッサから前記第2の供給先ユニットへの圧縮エアの供給経路上に配置され、前記コンプレッサから前記第2の供給先ユニットへの圧縮エアの供給量を調整する第2調整手段と、前記ワークの非加工時に前記第1調整手段及び前記第2調整手段を制御して、前記コンプレッサから前記第1の供給先ユニット及び前記第2の供給先ユニットへの圧縮エアの供給を停止する制御手段と、を備えた、ことを特徴とする加工装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、エネルギー消費の小さな加工装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る加工装置の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る加工装置としての穴あけ加工装置1について、図面に基づいて説明をする。なお、以下の説明において、X軸方向、Y軸方向とは、加工対象を平面視で視た際の状態を基準とする。また、Z軸方向とは、これらX軸方向及びY軸方向と直交する方向である。
【0010】
<加工装置の全体構成>
図1に示すように、穴あけ加工装置1は、装置基台上にX軸方向に移動可能に設けられたテーブル2と、ドリル4を回転可能に保持するスピンドル3と、を備えており、テーブル2上には、穴あけ加工を行う被加工物としてのワーク(本実施の形態ではプリント基板)Wが載置されている。また、テーブル2のワークWの載置領域の外側には、新しい交換用のドリルと古いドリルとが区別されて収納されているドリルカセットと、スピンドル3に保持されているドリル4を交換する際に、古いドリルを一時的に保持する排出用ツールポスト6と、新しいドリルを供給するための供給用ツールポスト7と、CCDセンサ8とが配設されている。なお、CCDセンサ8はエアブロワーを備えており、エアブロワーによってCCDセンサ8のレンズなどの撮像エリアに圧縮空気を噴出することによって、撮像エリアにある障害物を撮像エリア外に排除することができるようになっている。
【0011】
スピンドル3は、装置基台の門型コラムにY軸方向及びZ軸方向に移動可能に支持されていると共に、先端にドリル4を取り付けるコレットチャックを有するロータシャフト31と、ロータシャフト31を回転自在に支持する空気軸受(不図示)と、ロータシャフト31を回転させるモータ(不図示)と、を備えている。空気軸受は、ラジアル空気軸受によりロータシャフト31を径方向に支持し、スラスト空気軸受により軸方向に支持している。モータは、ロータシャフト31に形成されたロータと、ロータに対向する位置に配置されたステータと、により構成されている。
【0012】
また、穴あけ加工装置1は、上記空気軸受及びCCDセンサ8のエアブロワー等に圧縮空気を供給するコンプレッサ9と、テーブル2、スピンドル3など、装置全体の動作を制御するための全体制御部(制御手段)10と、を備えている。全体制御部10は、例えばプログラム制御の処理装置を中心にして構成され、その中の各構成要素や接続線は、論理的なものも含むものとする。また、各構成要素の一部はこれと別個に設けられていてもよい。更に、全体制御部10はここで説明するもの以外の制御機能を有し、図示されていないブロックにも接続されているものとする。本実施の形態において、全体制御部10の内部には、スピンドル3の動作指令を出力するスピンドル制御部101、テーブル2をX軸方向及びY軸方向に動作させるテーブル制御部102、後述する電磁弁11,12を動作させるエア供給制御部103が設けられている。なお、本実施の形態では、コンプレッサ9の制御はコンプレッサ内の制御部で制御されている。
【0013】
このように、穴あけ加工装置1が構成されているため、全体制御部10は、テーブル2及びスピンドル3の相対位置を移動させてワークWを穴あけ位置に位置決めし、ワークWが位置決めされた後にスピンドル3をZ軸方向に下降させることによって、ドリル4でワークWに穴あけを行う。
【0014】
また、複数の穴をワークWに穿設してドリル4が摩耗したり、異なる径や長さの穴を穿設したりする場合、穴あけ加工装置1は、スピンドル3が保持しているドリル4の交換を行う。具体的には、全体制御部10は、まず、スピンドル3の回転を停止させる。ついで、テーブル2及びスピンドル3の相対位置を移動させると共にスピンドル3をZ軸方向に移動させて、不図示のサブチャックによりドリルカセット5から新しいドリルを取り出し、供給用ツールポスト7に配置する。
【0015】
供給用ツールポスト7に新しいドリルが配置されると、全体制御部10は、テーブル2及びスピンドル3を移動させて、スピンドル3が保持しているドリル4を排出用ツールポスト6に置く。
【0016】
ついで、全体制御部10は、スピンドル3がCCDセンサ8の上方に位置するようにテーブル2及びスピンドル3の相対位置を移動させ、この状態で、スピンドル3を所定位置まで下降させる。そして、全体制御部10は、CCDセンサ8がドリル4の刃先を検知したかどうかを判定し、ドリル4の刃先が検知された場合、スピンドル3にドリル4が残っているとして、作業者に対して警告を発する。また、CCDセンサ8がドリル4の刃先を検知しない場合には、スピンドル3を供給用ツールポスト7の上部に移動させた後に下降させ、供給用ツールポスト7に保持されている新たなドリル4を保持させる。
【0017】
新しいドリル4をスピンドル3が保持すると、全体制御部10は、サブチャックによって排出用ツールポスト10にあるドリルをドリルカセット5へ収納し、その後、スピンドル3の回転をスタートさせる。
【0018】
<圧縮エアの供給制御>
ついで、圧縮エアの供給制御について説明をする。本実施の形態においては、上述したようにコンプレッサ9からスピンドル3の空気軸受及びCCDセンサ8のエアブロワーに対して圧縮エアを供給している。コンプレッサ9は、上記スピンドル3の空気軸受やCCDセンサ8のエアブロワーなどの圧縮エアの供給先ユニットが休止している場合でも、圧縮エアを供給し続けるように構成されている。ここで、供給先ユニットの休止時においても圧縮エアが供給先ユニットで消費されると、穴あけ加工装置1全体で消費される圧縮エアの量が増大し、穴あけ加工装置1が消費するエネルギ(電力)も大きくなってしまう。
【0019】
このため、本実施の形態では、図1に示すように、コンプレッサ9とスピンドル3との間の圧縮エアの供給経路に第1電磁弁11を設け、コンプレッサ9とCCDセンサ8との間の圧縮エアの供給経路に第2電磁弁12を設け、これら第1及び第2電磁弁11,12によって圧縮エアの供給先ユニットであるスピンドル3及びCCDセンサ8に供給する圧縮エアの供給量を調整可能に構成されている。
【0020】
具体的には、全体制御部10は、加工終了時や待機時などの非加工時に、上記第1及び第2電磁弁11,12を閉じてスピンドル3の空気軸受け及びCCDセンサ8のエアブロワーへの圧縮エアの供給を停止している。このように、非加工時に電磁弁11,12を閉じて圧縮エアの供給を停止することによって、非加工時に消費する圧縮エアの量を少なくし、穴あけ加工装置1が消費するエネルギ(電力)を小さくすることができる。
【0021】
また、例えば、ドリルによるワークWの穴あけ時(スピンドル3の回転時)には、第1電磁弁11を(例えば最大開度で)開いてスピンドル3の空気軸受けに圧縮エアを供給し、第2電磁弁12を閉じるもしくはその開度を小さくして、CCDセンサ8のエアブロワーへの圧縮空気の供給を停止もしくは小さくしても良い。
【0022】
更に、ドリルの交換時には、第1電磁弁11を閉じるもしくはその開度を小さくしてスピンドル3の空気軸受けへの圧縮空気の供給を停止もしくは小さくし、第2電磁弁12を(例えば最大開度で)開いてCCDセンサ8のエアブロワーに圧縮エアを供給するようにしても良い。このようにすることによって、加工時であっても圧縮空気の消費量を少なくし、穴あけ加工装置1が消費するエネルギ(電力)を小さくすることができる。
【0023】
なお、上述した実施の形態では、コンプレッサ9から圧縮空気が供給される第1の供給先ユニットとしてスピンドル3の空気軸受けを、コンプレッサ9から圧縮空気が供給される第2の供給先ユニットとしてCCDセンサ8のエアブロワーを例示したが、これに限らず、圧縮エアの供給先ユニットは、加工装置において圧縮エアを使用する部分であれば、どこでも良い。
【0024】
また、圧縮エアの供給先ユニットへの供給量を調整する調整手段として、電磁弁を例示したが、電磁弁以外にも、制御部によって圧縮エアの供給量を調整可能なものであれば、どのようなものであっても良い。更に、CCDセンサ8は、ドリル4の刃先の有無の確のみならず、例えば、ドリル4の長さや径の確認などに使用することもでき、これにより、保持しているドリル所望のドリルであるか、ドリル4が適切に保持しているかなどを検知することもできる。また、ワークを加工する回転工具として、ドリルを例示したが、加工装置は、ドリル以外にもエンドミルなどによってワークを加工することができる装置であっても良い。加えて、上述した実施の形態は、どのように組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0025】
1:加工装置
3:第1の供給先ユニット
8:第2の供給先ユニット
9:コンプレッサ
10:制御手段
11:第1調整手段
12:第2調整手段
W:ワーク
図1