(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136484
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ベルトコンベアシュート装置
(51)【国際特許分類】
B65G 11/00 20060101AFI20240927BHJP
B65G 11/20 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B65G11/00 B
B65G11/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047614
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184859
【弁理士】
【氏名又は名称】磯村 哲朗
(74)【代理人】
【識別番号】100123386
【弁理士】
【氏名又は名称】熊坂 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196667
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100130834
【弁理士】
【氏名又は名称】森 和弘
(72)【発明者】
【氏名】北住 怜
(72)【発明者】
【氏名】奥田 賢史郎
(72)【発明者】
【氏名】曹 寧源
【テーマコード(参考)】
3F011
【Fターム(参考)】
3F011AA03
3F011BA02
3F011BB01
3F011BC08
(57)【要約】
【課題】 振動スクリーンの幅方向に対する粒状物の偏りを減少させることが可能なベルトコンベアシュート装置を提供する。
【解決手段】
ベルトコンベアシュート装置は、ベルトコンベアから振動スクリーンへ粒状物を搬送するための装置である。ベルトコンベアシュート装置は、前記ベルトコンベアから前記粒状物が供給される供給口及び、前記振動スクリーンに向けて前記粒状物が排出される排出口を有する箱体と、前記箱体の内部において、前記供給口及び、前記排出口の間に設けられている段差部と、前記箱体の内部において、前記段差部よりも前記排出口側に設けられかつ、前記粒状物の移動方向を規制する第1の分配部と、前記箱体の内部において、前記第1の分配部よりも前記排出口側に設けられかつ、前記粒状物の移動方向を規制する第2の分配部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトコンベアから振動スクリーンへ粒状物を搬送するためのベルトコンベアシュート装置であって、
前記ベルトコンベアから前記粒状物が供給される供給口及び、前記振動スクリーンに向けて前記粒状物が排出される排出口を有する箱体を有し、
前記箱体は、前記供給口及び、前記排出口の間に階段状に形成されている段差部と、
前記段差部よりも前記排出口側に設けられかつ、前記粒状物の移動方向を規制する第1の分配部と、
前記第1の分配部よりも前記排出口側に設けられかつ、前記粒状物の移動方向を規制する第2の分配部と、を有する、ベルトコンベアシュート装置。
【請求項2】
前記第1の分配部は、前記段差部に堆積した前記粒状物が安息角をなす際の前記粒状物の稜線の延長線上に位置する、請求項1に記載のベルトコンベアシュート装置。
【請求項3】
前記第2の分配部は、前記第1の分配部に堆積した前記粒状物が安息角をなす際の前記粒状物の稜線の延長線上に位置する、請求項1又は2に記載のベルトコンベアシュート装置。
【請求項4】
前記第2の分配部は、前記排出口の幅方向に沿った方向に延びる板状に形成され、
前記第2の分配部の前記排出口の幅方向の沿った方向の長さは、前記排出口の幅の60~95%である、請求項1又は2に記載のベルトコンベアシュート装置。
【請求項5】
前記第2の分配部は、前記排出口の幅方向に沿った方向に延びる板状に形成され、
前記第2の分配部の前記排出口の幅方向の沿った方向の長さは、前記排出口の幅の60~95%である、請求項3に記載のベルトコンベアシュート装置。
【請求項6】
前記段差部は、前記供給口に前記ベルトコンベアが接続されている前記箱体の壁部と対向する壁部に設けられ、
前記第1の分配部及び、前記第2の分配部は、前記段差部が設けられている前記壁部と同一の壁部に設けられ、
前記排出口は、前記第2の分配部が設けられている前記壁部に対向する壁部に設けられている、請求項1又は2に記載のベルトコンベアシュート装置。
【請求項7】
前記段差部は、前記供給口に前記ベルトコンベアが接続されている前記箱体の壁部と対向する壁部に設けられ、
前記第1の分配部及び、前記第2の分配部は、前記段差部が設けられている前記壁部と同一の壁部に設けられ、
前記排出口は、前記第2の分配部が設けられている前記壁部に対向する前記壁部に設けられている、請求項3に記載のベルトコンベアシュート装置。
【請求項8】
前記段差部は、前記供給口に前記ベルトコンベアが接続されている前記箱体の壁部と対向する壁部に設けられ、
前記第1の分配部及び、前記第2の分配部は、前記段差部が設けられている前記壁部と同一の壁部に設けられ、
前記排出口は、前記第2の分配部が設けられている前記壁部に対向する前記壁部に設けられている、請求項4に記載のベルトコンベアシュート装置。
【請求項9】
前記段差部は、前記供給口に前記ベルトコンベアが接続されている前記箱体の壁部と対向する壁部に設けられ、
前記第1の分配部及び、前記第2の分配部は、前記段差部が設けられている前記壁部と同一の壁部に設けられ、
前記排出口は、前記第2の分配部が設けられている前記壁部に対向する前記壁部に設けられている、請求項5に記載のベルトコンベアシュート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベアから振動スクリーンへ粒状物を搬送するためのベルトコンベアシュート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄所で取り扱う原料には、鉱石や石炭、焼結鉱やコークス等の粒状物がある。粒状物は、振動スクリーンによって適切な粒度にふるい分けられて、製鉄の様々な工程に用いられる。
【0003】
粒状物は、ベルトコンベアによって搬送され、ベルトコンベアシュートを介して振動スクリーンに供給される。粒状物が振動スクリーンにおいて偏って堆積されると、振動スクリーンの能力が十分に発揮されず、篩分けを適切に行うことができない恐れがある。このため、粒状物は、可能な限り均等な厚さで振動スクリーンに堆積されることが好ましい。
【0004】
ベルトコンベアシュートの幅は、ベルトコンベアの幅と同等に形成されている。多くの場合、ベルトコンベアと振動スクリーンの幅は大きく異なり、ベルトコンベアの幅が、振動スクリーンの幅よりも狭く形成されいている。このため、振動スクリーンの幅方向の中央に粒状物が偏って堆積される問題がある。
【0005】
従来では、ベルトコンベアで粒状物を搬送する際に、搬送方向の幅方向において一様に粒状物を供給する試みが行われている。例えば、特許文献1では、上流のベルトコンベアから下流のベルトコンベアに粒状物を受け渡すシュートにおいて、粒状物を分散させて下流コンベアに搬送するための障害部材を設けることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のベルトコンベア用シュートは、粒状物がシュートに供給される供給口及び、当該粒状物が排出される排出口が、鉛直方向に配置される。このため、特許文献1のベルトコンベア用シュートを用いて、ベルトコンベアと振動スクリーンを接続した場合、粒状物の流下速度が速くなり、粒状物を振動スクリーンの幅方向に一様に分散させることができない問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、振動スクリーンの幅方向に対する粒状物の偏りを減少させることが可能なベルトコンベアシュート装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は以下の特徴を有する。
【0010】
[1]
ベルトコンベアから振動スクリーンへ粒状物を搬送するためのベルトコンベアシュート装置であって、
前記ベルトコンベアから前記粒状物が供給される供給口及び、前記振動スクリーンに向けて前記粒状物が排出される排出口を有する箱体を有し、
前記箱体は、前記供給口及び、前記排出口の間に階段状に形成されている段差部と、
前記段差部よりも前記排出口側に設けられかつ、前記粒状物の移動方向を規制する第1の分配部と、
前記第1の分配部よりも前記排出口側に設けられかつ、前記粒状物の移動方向を規制する第2の分配部と、を有する、ベルトコンベアシュート装置。
[2]
前記第1の分配部は、前記段差部に堆積した前記粒状物が安息角をなす際の前記粒状物の稜線の延長線上に位置する、[1]に記載のベルトコンベアシュート装置。
[3]
前記第2の分配部は、前記第1の分配部に堆積した前記粒状物が安息角をなす際の前記粒状物の稜線の延長線上に位置する、[1]又は[2]に記載のベルトコンベアシュート装置。
[4]
前記第2の分配部は、前記排出口の幅方向に沿った方向に延びる板状に形成され、
前記第2の分配部の前記排出口の幅方向の沿った方向の長さは、前記排出口の幅の60~95%である、[1]~[3]のいずれかに記載のベルトコンベアシュート装置。
[5]
前記段差部は、前記供給口に前記ベルトコンベアが接続されている前記箱体の壁部と対向する壁部に設けられ、
前記第1の分配部及び、前記第2の分配部は、前記段差部が設けられている前記壁部と同一の壁部に設けられ、
前記排出口は、前記第2の分配部が設けられている前記壁部に対向する壁部に設けられている、[1]~[4]のいずれかに記載のベルトコンベアシュート装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明のベルトコンベアシュート装置によれば、供給口から供給された粒状物は、段差部に堆積される。また、粒状物は、段差部に形成された粒状物の堆積物に沿って下方に流下し、第1の分配部に堆積される。さらに、粒状物は、第1の分配部に形成された粒状物の堆積物に沿って下方に流下し、第2の分配部に堆積される。さらにまた、さらに、粒状物は、第2の分配部に形成された粒状物の堆積物に沿って下方に流下し、排出口から排出される。
【0012】
粒状物は、段差部、第1の分配部及び、第2の分配部に形成された堆積物に沿って流下していくため、その流下速度が低下する。したがって、第1の分配部及び、第2の分配部において効率よく粒状物の分配を行うことができるため、振動スクリーンの幅方向に対する粒状物の偏りを減少させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ベルトコンベアシュート装置の斜視図である。
【
図2】
図1の箱体の内部の構造を示す説明図である。
【
図5】箱体に供給された粒状物の流れを示す説明図である。
【
図6】第2実施形態に係る箱体の内部の構造を示す説明図である。
【
図7】第2実施形態の変形例に係る箱体の内部の構造を示す説明図である。
【
図8】振動スクリーンの幅方向における粒状物の定量解析を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、ベルトコンベアシュート装置100の斜視図である。
図1に示すように、ベルトコンベアシュート装置100は、箱状に形成されている箱体10を有している。箱体10には、粒状物を搬送するベルトコンベア20及び、粒状物を所望の粒径に分級する振動スクリーン30が接続されている。
【0015】
ベルトコンベア20は、搬送方向の一端側及び他端側に設けられている一対のプーリ21に、環状のベルト22が架け渡されている。したがってプーリ21が稼働することによってベルト22が搬送方向に移動する。
【0016】
ベルトコンベア20から搬送される粒状物としては、特には限定されないが、例えば、鉱石、石炭、焼結鉱、コークス、シリカ、ペレット(鉱石に水と粘結剤を加えて球状にし、焼き固めたもの)等が挙げられる。
【0017】
振動スクリーン30は、第1の篩31と、第1の篩の下方に配置されかつ、第1の篩よりも目開きが細かい第2の篩(図示せず)と、を振動させることによって、粒状物を分級する篩装置である。ベルトコンベアシュート装置100から排出された粒状物は、振動スクリーン30によって分級される。
【0018】
箱体10は、上方が直方体状に形成され、下方が錐台状に形成されている。箱体10は、内壁によって囲まれた空間を有する。箱体10の上方には、ベルトコンベア20から粒状物が供給される供給口11が形成されている。
【0019】
供給口11は、本実施形態においては、箱体10の壁部13に設けられている。また、本実施形態においては、供給口11にはベルトコンベア20のプーリ21が挿通されている。したがって、ベルトコンベア20から搬送された粒状物は、供給口11から箱体10の内部に供給される。
【0020】
箱体10の下方には、供給された粒状物を振動スクリーン30に向けて排出する排出口12が形成されている。排出口12は、本実施形態においては、箱体10の壁部13に設けられている。すなわち、供給口11及び、排出口12は、ベルトコンベア20が接続されている壁部13に形成されている。
【0021】
箱体10の供給口11及び、排出口12の間には、階段状に形成されている段差部14が設けられている。段差部14が設けられている位置は特には限定されないが、本実施形態においては、供給口11にベルトコンベア20が接続されている壁部13と対向する壁部15に設けられている。ベルトコンベア20から供給された粒状物は、段差部14に堆積される。
【0022】
図2は、
図1の箱体10の内部の構造を示している。
図2に示すように、段差部14から下方に続く壁部15aは、段差部14に対して鋭角をなして形成されている。本実施形態においては、当該壁部15aは、段差部14に対して側面視がL字状をなすように形成されている。壁部15は、壁部15aから下方に続く壁部15bを有する。壁部15bは、壁部15aに対して鈍角をなすように形成されている。壁部15bは、下方に向かうにしたがってその幅が広くなるように形成されている。
【0023】
箱体10は、段差部14よりも排出口12側に設けられている第1の分配部16を有する。より具体的には第1の分配部16は、段差部14から下方に続く壁部15aに設けられている。
【0024】
第1の分配部16は、排出口12の幅方向に沿って延びる板状に形成されている。第1の分配部16は、本実施形態においては、壁部15aの壁面に対して垂直な方向に取り付けられている。第1の分配部16は、例えば、ボルト等の締結手段(図示せず)によって壁部15aに着脱可能に設けられているとよい。
【0025】
箱体10は、第1の分配部16よりも排出口12側に設けられている第2の分配部17を有する。より具体的には第2の分配部17は、壁部15aから下方に続く壁部15bに設けられている。
【0026】
第2の分配部17は、排出口12の幅方向に沿って延びる板状に形成されている。第2の分配部17の排出口12の幅方向の沿った方向の長さは、排出口12の幅の60~95%とするとよい。排出口12の幅の60%以上とすることで、粒状物の移動方向の規制を効率よく行うことができる。また、排出口12の幅の95%以下とすることで、粒状物の移動を効率よく行うことができる。
【0027】
第2の分配部17は、本実施形態においては、壁部15bの壁面に対して垂直な方向に取り付けられている。第2の分配部17は、例えば、ボルト等の締結手段(図示せず)によって壁部15bに着脱可能に設けられているとよい。
【0028】
図3は、箱体10の上方側の断面を示している。
図3に示されているように、ベルトコンベア20から粒状物40が箱体10に供給されると、段差部14に粒状物40が堆積される。粒状物40が段差部14に堆積すると、安息角θ1を有する堆積物が形成される。
【0029】
尚、粒状物40の安息角θ1は、粒状物40の種類ごとに異なる。例えば、粒状物40が焼結鉱である場合、その安息角θ1は、30~50度である。また、粒状物40がシリカである場合、20~25度である。
【0030】
第1の分配部16は、段差部14に堆積された粒状物40(堆積物)の稜線L1の延長線上に位置する。新たに供給された粒状物40は、段差部14に堆積された粒状物40(堆積物)の稜線L1に沿って流下する。稜線L1に沿って流下した粒状物40は、第1の分配部16に堆積する。粒状物40が第1の分配部16に堆積すると、その安息角θ1が形成される。
【0031】
このように、第1の分配部16は、段差部14に堆積した粒状物40が安息角θ1をなす際の粒状物40(堆積物)の稜線L1の延長線上に位置する。本実施形態においては、第1の分配部16は、粒状物40(堆積物)の稜線L1の延長線上にその端部が位置する。
【0032】
尚、第1の分配部16は、段差部14に堆積した粒状物40が安息角θ1をなす際の粒状物40(堆積物)の稜線L1の延長線上に位置するように、箱体10における高さ位置、幅方向の位置を調整可能に設けられているとよい。例えば、第1の分配部16は、ボルトによってその固定位置を変更可能に設けられているとよい。
【0033】
図4は、箱体10の下方側の断面を示している。
図4に示されているように、段差部14に粒状物40が堆積され、安息角θ1を有する堆積物が形成される。同様に、第1の分配部16に粒状物40が堆積され、安息角θ1を有する堆積物が形成される。
【0034】
新たに供給された粒状物40は、第1の分配部16に堆積された粒状物40(堆積物)の稜線L2に沿って流下する。稜線L2に沿って流下した粒状物40は、第2の分配部17に堆積する。粒状物40が第2の分配部17に堆積すると、安息角θ1を有する堆積物が形成される。
【0035】
このように、第2の分配部17は、第1の分配部16に堆積した粒状物40が安息角をなす際の粒状物40(堆積物)の稜線L2の延長線上に位置する。本実施形態においては、第2の分配部17は、粒状物40(堆積物)の稜線L2の延長線上にその端部が位置する。
【0036】
尚、第2の分配部17は、第1の分配部16に堆積した粒状物40が安息角θ1をなす際の粒状物40(堆積物)の稜線L2の延長線上に位置するように、箱体10における高さ位置、幅方向の位置を調整可能に設けられているとよい。例えば、第2の分配部17は、ボルトによる固定位置を変更可能に設けられているとよい。
【0037】
図5は、箱体10に供給された粒状物40の流れを示している。
図5に示すように、供給口11から供給された粒状物40は、段差部14、第1の分配部16及び、第2の分配部17において堆積する。新たに供給された粒状物40は、段差部14、第1の分配部16及び、第2の分配部17に堆積した粒状物40(堆積物)の稜線L1,L2に沿って流下する。すなわち、新たに供給された粒状物40は、段差部14、第1の分配部16及び、第2の分配部17に堆積した粒状物40によってその移動方向が規制されて排出口12から排出される。
【0038】
粒状物40は、段差部14、第1の分配部16及び、第2の分配部17に形成された堆積物に沿って流下していくため、その流下速度が低下する。特に、段差部14が、供給口11が形成されている壁部13と対向する壁部15に設けられていることにより、粒状物40の流下速度を段差部14又は、段差部14に堆積した粒状物40の堆積物によって低下させることができる。
【0039】
また、第1の分配部16が、段差部14が設けられている壁部15と同一の壁部15に設けられていることにより、粒状物40の流下速度を第1の分配部16又は、第1の分配部16に堆積した粒状物40の堆積物によって低下させることができる。同様に第2の分配部17が、段差部14が設けられている壁部15と同一の壁部15に設けられていることにより、粒状物40の流下速度を低下させることができる。
【0040】
さらに排出口12は第2の分配部17が設けられている壁部15に対向する壁部13に設けられていることにより、流下速度が十分に低下された粒状物40を振動スクリーン30の幅方向に分散させた状態で排出口12から排出させることができる。
【0041】
このように、本実施形態のベルトコンベアシュート装置100によれば、第1の分配部16及び、第2の分配部17によって粒状物40が分配されるため、振動スクリーン30の幅方向に対する粒状物40の偏りを減少させることが可能となる。
【0042】
(第2実施形態)
上述の実施形態においては、第2の分配部17は、一枚の板状に形成されている例を説明した。第2の分配部17は、複数形成されているようにしてもよい。尚、第1実施形態と同一の部材については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
図6は、第2実施形態に係る箱体10の内部の構造を示す説明図である。
図6に示すように、第2の分配部18は、壁部15bの幅方向に配列された2つの上段部18aと、上段部18aよりも下方に設けられている下段部18bと、から構成されている。
【0044】
2つの上段部18aは、壁部15bの幅方向において間隔を有して設けられている。
図6に示す例においては、下段部18bは、2つの上段部18aの間に設けられている。したがって、2つの上段部18aの間から流下した粒状物40は、下段部18bにおいて堆積される。尚、下段部18bは、上段部18aに堆積した粒状物40が安息角θ1をなす際の粒状物40(堆積物)の稜線L2の延長線上に位置するように、箱体10における高さ位置、幅方向の位置を調整可能に設けられているとよい。
【0045】
このように、第2の分配部18を構成しても、第1実施形態のベルトコンベアシュート装置100と同様に、第1の分配部16及び、第2の分配部17によって粒状物40が分配される。このため、振動スクリーン30の幅方向に対する粒状物40の偏りを減少させることが可能となる。
【0046】
尚、第2の分配部18は、このような態様に限られず、例えば、複数の下段部18bで構成してもよい。
図7は、第2実施形態の変形例に係る箱体10の内部の構造を示す説明図である。
図7に示すように、下段部18bは、壁部15の幅方向において2つの上段部18aの外側に設けられている。したがって、2つの上段部18aの外側から流下した粒状物40は、下段部18bにおいて堆積される。このように、第2の分配部18を構成しても上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第2の分配部18は、上段部18a、下段部18bの2段で構成されることには限定されず、3以上の段数で構成してもよい。
【実施例0047】
図2、6、7において示したベルトコンベアシュート装置を用いて、振動スクリーン上における粒状物の分散の態様を評価した。粒状物の分散の態様を評価には、DEM(Distinct Element Method)を用いて、定量解析を行った。尚、定量解析にあたり、ベルトコンベアの仕様、搬送する原料の物性等を考慮した。
【0048】
図8に解析結果を示す。
図8において、
図7のベルトコンベアシュート装置を発明例1とし、
図6のベルトコンベアシュート装置を発明例2とし、
図2のベルトコンベアシュート装置を発明例3とした。
【0049】
発明例1~3について、排出口の幅方向に沿った第1の分配部の長さは、粒状物の安息角及び、想定される粒状物の堆積物の厚さ(層厚)に基づいて決定した。具体的には、粒状物の安息角を36°として設定した。排出口の幅方向に沿った第1の分配部の長さは、400mmとした。
【0050】
また、第1の分配部から段差部までの高さは290mmとした。これは、排出口の幅方向に沿った第1の分配部の長さ(400mm)×tan(安息角:36°)に基づいて算出された。
【0051】
図7に示す発明例1では、第2の分配部の上段部の配置は、第1の分配部に堆積した粒状物の安息角に基づいて決定した。第2の分配部の下段部の配置は、第2の分配部の上段部に堆積した粒状物の安息角に基づいて決定した。
【0052】
図6に示す発明例2では、第2の分配部の上段部の配置は、発明例1と同様に決定した。第2の分配部の下段部の配置は、排出口の幅方向の中央に位置するように決定した。
【0053】
図2に示す発明例3では、第2の分配部の上段部の配置は、発明例1と同様に決定した。ただし、発明例3では、発明例1の2つの第2の分配部の上段部が繋がるように1の板状に形成された第2の分配部を用いた。
【0054】
粒状物の量を計測するボックスを、振動スクリーンの幅方向に配列し、各々のボックスに流入した粒状物の質量%を計測した。
図8にその結果を示す。尚、振動スクリーンの幅方向の一端側に配置されたボックスをNo.1とし、他端側に配置されたボックスをNo.20とし、No.1~No.20までの間に所定の間隔でNo.2~19のボックスを配置した。
図8においては、横軸にボックスの番号が示され、縦軸に粒状物の質量%を示している。
【0055】
図8においてグレーで着色された領域は、第1の分配部及び、第2の分配部が設けられていない従来例のベルトコンベアシュート装置を用いた場合に、粒状物が流入したボックスの範囲を示している。すなわち、従来例では、振動スクリーン上において、粒状物のほとんどは中央の領域に偏在していることが示されている。
【0056】
発明例1~3のベルトコンベアシュート装置は、従来の例よりも振動スクリーンの幅方向に粒状物を一様に供給することができる。発明例1では、振動スクリーンの中央部に粒状物が集中して供給されていることが分かる。発明例2では、発明例1よりも粒状物の分散性は向上したが振動スクリーンの中央部の供給量が減少した。発明例3では、発明例1、2と比較して粒状物の分散性が最も良好なことが分かった。これは、第2の分配部の上段部を1の板状に形成することにより、第2の分配部の上段部よりも下流側で流れる粒状物が分散されることが確認された。このように発明例3のように第1の分配部及び、第2の分配部を配置することで、振動スクリーンの幅方向における粒状物の供給量を発明例1及び2よりも一様にすることができる。