(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136489
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】画像処理システム、制御装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G06F3/12 340
G06F3/12 360
G06F3/12 304
G06F3/12 379
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047622
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】木舟 秋介
(57)【要約】
【課題】分散処理を担当する画像処理部を適切に選択する。
【解決手段】印刷装置が印刷を行うための複数の画像処理を複数の画像処理部が分散して行う分散処理を制御する制御部を備えた画像処理システムであって、前記制御部は、前記画像処理部を備えた複数の装置それぞれから、前記画像処理部に対して割り当てられた画像処理の単位数である割当数を取得し、前記割当数に基づいて、前記分散処理を担当する複数の画像処理部の組み合わせを決定し、決定された前記画像処理部を制御することで、前記分散処理を実行させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置が印刷を行うための複数の画像処理を複数の画像処理部が分散して行う分散処理を制御する制御部を備えた画像処理システムであって、
前記制御部は、
前記画像処理部を備えた複数の装置それぞれから、前記画像処理部に対して割り当てられた画像処理の単位数である割当数を取得し、
前記割当数に基づいて、前記分散処理を担当する複数の画像処理部の組み合わせを決定し、
決定された前記画像処理部を制御することで、前記分散処理を実行させる、画像処理システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記分散処理を担当する複数の前記画像処理部に対して割り当てられた前記割当数の合計が最小となる、前記組み合わせを選択する、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記分散処理を担当する前記画像処理部に対して割り当てられた前記割当数の合計が最小となる前記組み合わせが複数存在する場合には、前記画像処理部を含む前記装置の数が最小となる前記組み合わせを選択する、請求項2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記画像処理部の組み合わせが選択された場合に、選択された前記画像処理部のうち、最初に画像処理を行う前記画像処理部に、前記分散処理の制御情報を送信し、
前記制御情報には、処理対象の画像データと、決定された前記組み合わせに含まれる複数の前記画像処理部を識別する情報とが含まれ、
前記制御情報を受信した前記画像処理部は、前記制御情報に基づいて、前記画像処理を行う、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記印刷装置が指定された場合に、指定された前記印刷装置に対応付けて登録された複数の前記画像処理部のうちから、前記割当数に基づいて、前記分散処理を担当する前記画像処理部を決定する、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項6】
印刷装置が印刷を行うための複数の画像処理を複数の画像処理部が分散して行う分散処理を制御する制御部を備えた制御装置であって、
前記制御部は、
前記画像処理部を備えた複数の装置それぞれから、前記画像処理部に対して割り当てられた画像処理の単位数である割当数を取得し、
前記割当数に基づいて、前記分散処理を担当する複数の画像処理部を決定し、
決定された前記画像処理部を制御することで、前記分散処理を実行させる、制御装置。
【請求項7】
印刷装置が印刷を行うための複数の画像処理を複数の画像処理部が分散して行う分散処理を制御する制御装置のコンピューターが実行するプログラムであって、
前記コンピューターに、
前記画像処理部を備えた複数の装置それぞれから、前記画像処理部に対して割り当てられた画像処理の単位数である割当数を取得するステップと、
前記割当数に基づいて、前記分散処理を担当する複数の画像処理部を決定するステップと、
決定された前記画像処理部を制御することで、前記分散処理を実行させるステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システム、制御装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷を行うための画像処理を高速化する技術が知られている。例えば、特許文献1には、プリントマネージャーがジョブ内容に応じて複数のRIP(Raster Image Processor)にジョブを分配して並列処理を行わせる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術においては、マネージャーがジョブを画像処理装置に割り当てることで、ジョブが割り当てられた画像処理装置がRIP処理を同時並行して実行する分散処理が実現する。このような分散処理を担当する画像処理装置をユーザーが割り当てたいというニーズがあるが、画像処理後のデータを印刷する印刷装置に対して適切な画像処理装置を割り当てるのが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、画像処理システムは、印刷装置が印刷を行うための複数の画像処理を複数の画像処理部が分散して行う分散処理を制御する制御部を備えた画像処理システムであって、前記制御部は、前記画像処理部を備えた複数の装置それぞれから、前記画像処理部に対して割り当てられた画像処理の単位数である割当数を取得し、前記割当数に基づいて、前記分散処理を担当する複数の画像処理部の組み合わせを決定し、決定された前記画像処理部を制御することで、前記分散処理を実行させる。
【0006】
また、制御装置は、印刷装置が印刷を行うための複数の画像処理を複数の画像処理部が分散して行う分散処理を制御する制御部を備えた制御装置であって、前記制御部は、前記画像処理部を備えた複数の装置それぞれから、前記画像処理部に対して割り当てられた画像処理の単位数である割当数を取得し、前記割当数に基づいて、前記分散処理を担当する複数の画像処理部を決定し、決定された前記画像処理部を制御することで、前記分散処理を実行させる。
【0007】
また、プログラムは、印刷装置が印刷を行うための複数の画像処理を複数の画像処理部が分散して行う分散処理を制御する制御装置のコンピューターが実行するプログラムであって、前記コンピューターに、前記画像処理部を備えた複数の装置それぞれから、前記画像処理部に対して割り当てられた画像処理の単位数である割当数を取得するステップと、前記割当数に基づいて、前記分散処理を担当する複数の画像処理部を決定するステップと、決定された前記画像処理部を制御することで、前記分散処理を実行させるステップと
を実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図10】画像処理の設定処理を示すフローチャートである。
【
図15】印刷ルート決定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)画像処理システムの構成:
(1-1)印刷装置の構成:
(1-2)制御装置の構成:
(1-3)画像処理装置の構成:
(2)制御情報:
(3)画像処理:
(4)印刷データ処理:
(5)画像処理例:
(6)画像処理の割り当て:
(7)印刷ルート決定処理:
(8)ライセンス:
(9)付記:
【0010】
(1)画像処理システムの構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる画像処理システム1の一例を示す図である。画像処理システム1は、制御装置10,画像処理装置20,印刷装置30を含む。各装置はネットワークを介して接続されている。本実施形態においては、制御装置10は、第1のローカルネットワーク41を介して3台の画像処理装置20と接続する。また、画像処理装置20と印刷装置30は、第2のローカルネットワーク42を介して、またはUSB等のローカル接続により接続する。
【0011】
ただし、各装置の接続態様は、実施形態に限定されるものではない。制御装置10は、画像処理システム1が備える少なくとも1台の画像処理装置20と直接に接続されていればよく、他の画像処理装置20や印刷装置30とは、他の装置を介して、間接的に接続されていてもよい。例えば、画像処理装置20の一部は、第1のローカルネットワーク41を介して制御装置10と接続する画像処理装置20と第2のローカルネットワーク42を介して接続し、さらに不図示の第3のローカルネットワークを介して印刷装置30と接続してもよい。また、他の例としては、画像処理システム1が備える、すべての制御装置10と、すべての画像処理装置20と、すべての印刷装置30が同一のローカルネットワークに接続してもよい。また、
図1においては、制御装置10が1台、画像処理装置20が3台、印刷装置30が2台例示されているが、これらの台数は
図1に示す台数に限定されない。画像処理システム1は、制御装置10を2台以上備えてもよい。
【0012】
画像処理システム1は、1台以上の印刷装置30を用いて印刷ジョブにかかる印刷を実行するための画像処理に用いられるシステムである。印刷装置30における印刷を実行する際には、画像処理装置20において、例えば、PDF(Portable Document Format)データ等の画像データが印刷対象として指定され、画像データに基づいて画像処理が行われる。例えば、PDFデータに含まれる印刷装置記述言語に基づいてオブジェクトをラスターデータに変換する処理であるRIP(raster image processor)処理や、拡大縮小処理、色変換処理、印刷媒体上での頁のレイアウト決定処理、ハーフトーン処理などが実行される。
【0013】
商業印刷においては、印刷対象データのデータ量が非常に大きくなることがあるため、これらの画像処理は高負荷な処理となりうる。従って、例えば、複数の印刷ジョブを並行して印刷装置30に印刷させるような態様において、画像処理が印刷作業全体のボトルネックになり得る。そこで、本実施形態の画像処理システム1においては、印刷装置30が印刷を行うための複数の画像処理を複数の画像処理装置20が、分散して処理を行う。このような処理を分散処理と称する。以下、画像処理システム1に含まれる各装置の構成を説明する。
【0014】
(1-1)印刷装置の構成:
図2は、印刷装置30の構成を示すブロック図である。印刷装置30は、プロセッサー30aと、通信部30bと、不揮発性メモリー30cと、印刷部30dと、UI部30eとを備える。プロセッサー30aは、図示しないCPUやROMやRAM等を備え、不揮発性メモリー30cに記録された種々のプログラムを実行し印刷装置30の各部を制御することができる。
【0015】
なお、プロセッサー30aは、単一のチップで構成されても良いし、複数のチップで構成されても良いし、様々な機能ブロックとともにSoCとして構成されていても良い。また、例えばCPUに替えてASICが採用されても良いし、CPUとASICとが協働する構成であっても良い。本実施形態における各装置がプロセッサーを備える場合、そのプロセッサーは、プロセッサー30aと同様に種々の態様で実現可能である。
【0016】
通信部30bは、外部機器と各種の通信プロトコルに従って通信するための通信インターフェースを含む。印刷装置30は、当該通信部30bによって画像処理装置20と通信することが可能である。むろん、印刷装置30が制御装置10と通信可能であっても良い。なお、通信部30bは、印刷装置30に装着された各種のリムーバブルメモリーと通信するためのインターフェースを含んでいてもよい。
【0017】
印刷部30dは、印刷を実行する部位であり、印刷媒体にコンテンツを印刷する。印刷方式は限定されず、例えば、インクジェット方式やトナー方式、昇華式等の各種の方式を採用可能である。また、印刷媒体は印刷用紙に限定されず、布や陶器、樹脂など、各種の印刷媒体であってよい。印刷部30dは、各種の媒体に印刷を実行するためのアクチュエーターや各種装置、センサー、駆動回路、機械部品等を備えている。
【0018】
UI部30eは、タッチパネルディスプレイや各種のキーやスイッチやLED等の少なくともいずれかを含む。タッチパネルディスプレイは、各種の情報、例えば、印刷装置30のステータスやインクの残量等を表示する表示パネルと、当該表示パネルに重ねられたタッチ検出パネルとを備え、タッチ操作を検出する。LEDは印刷装置30のステータス等を示す点灯あるいは点滅表示を行う。プロセッサー30aは、UI部30eを介してユーザーの操作内容を取得することができる。また、プロセッサー30aは、UI部30eのディスプレイに各種の情報を表示しユーザーに通知することができる。
【0019】
本実施形態において印刷装置30は、画像処理装置20から送信された印刷データに基づいて印刷を行うことができる。すなわち、プロセッサー30aは、通信部30bを介して画像処理装置20から印刷データを取得し、当該印刷データに基づいて印刷部30dを制御し、印刷を実施する。
【0020】
(1-2)制御装置の構成:
図3は、制御装置10の構成を示すブロック図である。制御装置10は、プロセッサー10aと、通信部10bと、不揮発性メモリー10cと、ディスプレイ10dと入力部10eを備える。プロセッサー10aは、図示しないCPUやROMやRAM等を備え、不揮発性メモリー10cに記録された種々のプログラムを実行し制御装置10の各部を制御することができる。
【0021】
通信部10bは、外部機器と各種の通信プロトコルに従って通信するための通信インターフェースを含む。制御装置10は、当該通信部10bを介して画像処理装置20と通信することが可能である。むろん、制御装置10が印刷装置30と通信可能であっても良い。なお、通信部10bは、制御装置10に装着された各種のリムーバブルメモリーと通信するためのインターフェースを含んでいてもよい。
【0022】
ディスプレイ10dは、任意の画像を表示する表示部である。入力部10eは、ユーザーが入力操作を行う装置であり、例えば、キーボードやマウス等で構成される。本実施形態において、制御装置10は、据置型の端末であることが想定されているが、むろん、制御装置10は他の態様の端末であっても良い。例えば、タブレット端末やスマートフォン端末等であっても良い。これらの端末である場合、入力部10eは、タッチパネル等で構成されてよい。いずれにしても、ユーザーは、ディスプレイ10dに表示される画像や文字を視認しながら、入力部10eを操作してユーザーの意図を入力することができる。
【0023】
制御装置10の不揮発性メモリー10cには、制御情報10c1,画像データ10c2,ステータスデータ10c3が保存される。制御情報10c1は、印刷対象の画像データ10c2と、印刷開始後に画像処理を実行すべき画像処理装置20と、印刷を実行する印刷装置と、を特定するための情報である。なお、画像処理を実行すべき画像処理装置20を特定するための情報は、詳細には、画像処理を実行すべき画像処理部を特定するための情報であるが具体例は後述する。画像データ10c2は、印刷内を示す画像データであり、例えば、PDFデータ等である。本実施形態においては、制御情報10c1と画像データ10c2とがセットになって、画像処理装置20に順次受け渡されていくことにより、画像処理が順次行われていく。画像処理を実行すべき画像処理装置20は、制御情報10c1に基づいて特定可能であり、この構成により、制御装置10は、印刷を開始した後に実行対象の画像処理装置20を管理する必要がなく、制御装置10における管理負荷が小さくなるように構成されている。制御情報10c1は、このような管理負荷の抑制のために用いられる情報であり、詳細は後述する。
【0024】
ステータスデータ10c3は、画像処理の進捗を示す情報である。本実施形態においては、画像処理装置20が備える各画像処理部が処理を開始した場合と、処理を終了した場合に、開始および終了のそれぞれを示す情報を制御装置10に送信する。送信された情報は、ステータスデータ10c3として不揮発性メモリー10cに保存される。
【0025】
プロセッサー10aは、図示しない制御プログラムを実行する。プロセッサー10aが制御プログラムを実行すると、プロセッサー10aは、制御部10a1として機能する。制御部10a1は、後述する画像処理装置20が備える複数の画像処理部に画像処理を実行させる機能である。本実施形態においては、画像処理を実行すべき画像処理装置20を特定するための情報を含む制御情報10c1が生成され、当該制御情報10c1を画像処理装置20に受け渡すことで、以後、制御装置10による制御を行うことなく画像処理装置20が順次選択されていく。
【0026】
このため、制御部10a1は、画像処理装置20が備える複数の画像処理部に画像処理を実行させる制御を行うが、画像処理の進捗に応じて、都度画像処理装置20を選択するような管理を行う訳ではない。すなわち、制御部10a1は、制御情報10c1を生成し、制御情報10c1と処理対象の画像データ10c2とを、最初の画像処理部である第1の画像処理部を含む画像処理装置20に受け渡す。この処理により、制御部10a1は、画像処理装置20が順次選択されていくように制御していると言える。そして、第1画像処理部への情報の受け渡しが行われた後には、制御部10a1によって画像処理装置20の選択などの制御処理が行われなくても、印刷装置30による印刷が完了する。このため、画像処理の分散のために制御部10a1において必要とされる処理の負荷は極めて小さい。
【0027】
制御情報10c1には、画像処理を実行すべき画像処理装置20を特定するための情報が含まれるが、実行すべき画像処理装置20は、制御部10a1によって自動的に決められても良いし、ユーザーによって決められても良い。前者としては、例えば、複数の画像処理装置20が備える画像処理部に対する処理の予約数が均等になるように分散させる構成等が挙げられる。後者としては、画像処理装置20毎の画像処理部をディスプレイ10dに表示させ、入力部10eによるユーザーの指定を受け付ける構成等が挙げられる。いずれにしても、印刷ジョブのそれぞれについて、印刷を行うために必要な画像処理をどの画像処理装置20のどの画像処理部で実行するのか予め決定され、制御部10a1に記述される。
【0028】
また、本実施形態において制御部10a1は、ステータスデータに応じた処理を実行することができる。ステータスデータ10c3が不揮発性メモリー10cに保存されると、制御部10a1は、ステータスデータ10c3に応じた処理を実行することが可能になる。ステータスデータ10c3に応じた処理は、種々の処理であって良く、例えば、ステータスの表示等が挙げられる。具体的には、制御部10a1は、ステータスデータ10c3を参照し、ステータスデータ10c3が示す画像処理の進捗状況をディスプレイ10dに表示する。この構成によれば、ユーザーは、印刷ジョブに関する画像処理の進捗を把握することができる。ステータスデータ10c3に応じた処理は表示に限定されず、ステータスに応じた警告が行われても良いし、ステータスに応じて、画像処理の待機や再開などの進捗管理等が行われてもよい。
【0029】
(1-3)画像処理装置の構成:
図4は、画像処理装置20の構成を示すブロック図である。画像処理装置20は、プロセッサー20aと、通信部20bと、不揮発性メモリー20cと、ディスプレイ20dと、入力部20eとを備える。プロセッサー20aは、図示しないCPUやROMやRAM等を備え、不揮発性メモリー20cに記録された種々のプログラムを実行し画像処理装置20の各部を制御することができる。また、プロセッサー20aは、画像処理などの各種の演算処理を実行することができる。
【0030】
通信部20bは、外部機器と各種の通信プロトコルに従って通信するための通信インターフェースを含む。画像処理装置20は、当該通信部20bを介して制御装置10および印刷装置30と通信することが可能である。また、通信部20bは、画像処理装置20に装着された各種のリムーバブルメモリーと通信するためのインターフェースを含んでもよい。
【0031】
ディスプレイ20dは、任意の画像を表示する表示部である。入力部20eは、ユーザーが入力操作を行う装置であり、例えば、キーボードやマウス等で構成される。本実施形態において、画像処理装置20は、据置型の端末であることが想定されているが、むろん、画像処理装置20は他の態様の端末であっても良い。例えば、タブレット端末やスマートフォン端末等であっても良い。これらの端末である場合、入力部20eは、タッチパネル等で構成されてよい。いずれにしても、ユーザーは、ディスプレイ20dに表示される画像や文字を視認しながら、入力部20eを操作してユーザーの意図を入力することができる。不揮発性メモリー20cには、制御情報10c1や画像処理部による処理過程のデータである処理対象データ20c1が保存される。
【0032】
プロセッサー20aは、図示しない印刷制御プログラムを実行する。プロセッサー20aが印刷制御プログラムを実行すると、プロセッサー20aは、通信制御部20a1,第1の画像処理部20a2,第2の画像処理部20a3として機能する。なお、
図4における画像処理装置20のプロセッサー20aは、第1の画像処理部20a2および第2の画像処理部20a3を実行可能であるが、プロセッサー20aは、これらの画像処理部の一方を実行可能に構成されていても良い。なお、第1の画像処理部20a2および第2の画像処理部20a3を区別する必要がない場合には、これらの第1の画像処理部20a2および第2の画像処理部20a3を単に画像処理部と呼ぶ場合もある。
【0033】
本実施形態において、通信制御部20a1,第1の画像処理部20a2,第2の画像処理部20a3のそれぞれは、予め決められた保存場所を監視する。当該保存場所に新規に制御情報10c1が保存されると、保存された制御情報10c1に従って各部が処理を行う。具体的には、不揮発性メモリー20cに記録される情報は、階層構造を有する論理的な保存場所であるフォルダーに記録されるように構成されている。
【0034】
本実施形態においては、通信制御部20a1が監視するフォルダーとして印刷用監視フォルダー、第1の画像処理部20a2が監視するフォルダーとして第1監視フォルダー、第2の画像処理部20a3が監視するフォルダーとして第2監視フォルダーが予め設定されている。すなわち、各フォルダーが各処理部に対応付けられている。各フォルダーはパスによって特定可能である。すなわち、画像処理装置20の識別情報(本実施形態においてはIPアドレス)を先頭にして、対象のフォルダーまでフォルダー名が上位階層から順に記述されたパスによって各フォルダーを特定可能である。なお、本実施形態にかかる画像処理システム1は複数の画像処理装置20を含み得るが、画像処理装置20が異なる場合にはパスに含まれる画像処理装置20の識別情報が異なる。従って、異なる画像処理装置20のそれぞれが備える第1の画像処理部20a2,第2の画像処理部20a3の監視対象は、異なるフォルダーであり、各フォルダーは異なるパスによって区別される。
【0035】
通信制御部20a1は、画像処理装置20と制御装置10との間における通信と、画像処理装置20と印刷装置30との間における通信を制御する機能である。本実施形態においては、印刷用監視フォルダーに制御情報10c1が保存されると、通信制御部20a1が当該制御情報10c1に基づく処理を開始する。本実施形態において、印刷用監視フォルダーには、制御情報10c1とともに印刷データが保存されるため、通信制御部20a1は、印刷装置30に対して当該印刷データを送信し、印刷を実行させる。なお、本実施形態において、印刷用監視フォルダーは印刷装置30に対応付けられている。従って、印刷用監視フォルダーに印刷データが保存されることにより、当該印刷用監視フォルダーに対応付けられた印刷装置30が印刷対象として特定されることになる。むろん、印刷装置30の特定法は、種々の方法であって良く、例えば、制御情報10c1に印刷装置30の識別情報が記述されていても良い。
【0036】
第1の画像処理部20a2および第2の画像処理部20a3のそれぞれは、印刷装置30において印刷を行うための画像処理の一部を実行する機能である。本実施形態において、第1の画像処理部20a2は、画像データ10c2を印刷装置30で処理可能な印刷データに変換する一連の処理のうち、最初の画像処理を実行する。第2の画像処理部20a3は、第1の画像処理部20a2による画像処理の次に実行される画像処理を実行する。
【0037】
第2の画像処理部20a3による処理後の出力データは、印刷装置30で処理可能な印刷データである。画像データに対して第1の画像処理部20a2が処理を行い、処理後のデータに対して第2の画像処理部20a3が処理を行うと、印刷装置30で処理可能な印刷データが生成される。画像処理システム1が備える画像処理装置20は、ネットワークを介して印刷装置30に印刷データを送信するか、または、USB(Universal Serial Bus)等の携帯型の記録媒体を介して、印刷データを印刷装置30に渡す。
【0038】
本実施形態においては、第1の画像処理部20a2が、ラスタライズまでの処理、例えば、画像データ10c2に含まれる印刷装置記述言語に基づく解析およびラスターデータへの変換処理等を含むレンダリング処理を担当する。第2の画像処理部20a3が、ラスタライズ後の処理、例えば、ICCプロファイルに基づくラスターデータの色変換処理、印刷媒体上での頁のレイアウト決定処理、ハーフトーン処理等を担当する。第1の画像処理部20a2が実行する画像処理を、第1の画像処理と称し、第2の画像処理部20a3が実行する画像処理を、第2の画像処理と称する。
【0039】
第1の画像処理部20a2および第2の画像処理部20a3が入力するデータと出力するデータは異なるが、本明細書においては、各画像処理部が処理対象とするデータを入力データ、処理によって生成されるデータを出力データと呼ぶ場合もある。これらの入力データや出力データは
図4に示す処理対象データ20c1である。
【0040】
本実施形態においては、第1監視フォルダーに制御情報10c1が保存されると、第1の画像処理部20a2が当該制御情報10c1に基づく処理を開始する。本実施形態において、第1監視フォルダーには、制御情報10c1とともに、処理対象となる入力データである画像データが保存される。そこで、第1の画像処理部20a2は、当該入力データに基づいて出力データであるラスターデータを生成し、制御情報10c1が示す第2監視フォルダーに当該出力データを保存する。当該第2監視フォルダーへの保存は、第2の画像処理部20a3への処理開始依頼として機能するため、第1の画像処理部20a2は、出力データを次の処理を行う第2の画像処理部20a3に出力するといえる。
【0041】
本実施形態においては、第2監視フォルダーに制御情報10c1が保存されると、第2の画像処理部20a3が当該制御情報10c1に基づく処理を開始する。本実施形態において、第2監視フォルダーには、制御情報10c1とともに、処理対象となる入力データであるラスターデータが保存される。そこで、第2の画像処理部20a3は、当該入力データに基づいて出力データである印刷データを生成し、制御情報10c1が示す印刷用監視フォルダーに当該出力データを保存する。当該印刷用監視フォルダーへの保存は、通信制御部20a1への処理開始依頼となる。
【0042】
図4には、1台の画像処理装置20の構成が示されているが、画像処理システム1には、
図1に示すように、複数台の画像処理装置20が含まれる。本実施形態においては、複数台の画像処理装置20に分散して存在する複数の第1の画像処理部20a2および第2の画像処理部20a3のいずれかを用いて画像データが印刷データに変換される。画像処理を実行する第1の画像処理部20a2と第2の画像処理部20a3とは、別個の画像処理装置20に備えられていてもよく、処理を行うべき画像処理部は制御情報10c1によって規定される。従って、制御装置10において制御情報10c1が生成され、制御情報10c1が第1監視フォルダーに保存されることで第1の画像処理部20a2による画像処理が開始されると、以後、制御装置10が画像処理部の分散に関する処理を行う必要がない。従って、制御装置10においては、画像処理の分散先を決める処理や、画像処理前後のデータの分配等の処理を行う必要がなく、これらの処理を行う場合と比較して処理負荷が小さくなる。以後、このような処理負荷の低減を実現するための構成の詳細を説明する。
【0043】
(2)制御情報:
図5は、制御情報10c1の例を示す図である。本実施形態において、制御情報10c1は、画像処理に用いられるパラメーターと、ルート情報と、入力データの保存場所と、を含む。本実施形態において、画像処理に用いられるパラメーターは、印刷設定を示す値である。
図5においては、カラー、片面/両面、印刷媒体の種類、印刷サイズ、印刷品質、部数が印刷設定項目として例示されている。これらの項目の設定値により、画像処理の内容が変動し得るため、制御情報10c1にはパラメーターが含まれている。例えば、カラー設定が白黒である場合、第1の画像処理部20a2が生成するラスターデータはグレースケールで生成される。また、例えば、第1の画像処理部20a2は、印刷サイズおよび印刷品質に応じて解像度を特定し、解像度に応じてラスターデータを生成する。
【0044】
ルート情報は、画像データによる印刷開始から印刷データの生成までの間にデータが遷移していくルートを示す情報である。本実施形態においてルート情報には、複数の画像処理部の中で、印刷装置による印刷のための一連の処理を行う画像処理部を指定する情報が含まれる。具体的には、ルート情報には、処理を行う画像処理部によって監視される監視フォルダーのパスが含まれる。監視フォルダーは画像処理部に対応付けられているため、パスによって監視フォルダーが指定されることは、処理を行う画像処理部を指定することと等価である。
【0045】
また、本実施形態においては、制御装置10の不揮発性メモリー10cにおいてステータスデータ10c3が保存される保存場所も予め決められた特定のフォルダーであり、ここでは当該フォルダーをステータスデータ保存フォルダーと呼ぶ。本実施形態においては、各画像処理部が、処理過程において進捗を示すステータスデータ10c3を生成し、ステータスデータ保存フォルダーに保存させる。この結果、印刷のための一連の処理の進捗を示すステータスデータ10c3が制御装置10の不揮発性メモリー10cのステータスデータ保存フォルダーに順次保存されていく。このため、制御装置10においては、画像処理の進捗を特定することが可能である。
【0046】
制御情報10c1のルート情報には、ステータスデータ保存フォルダーや画像処理部による監視フォルダー、通信制御部20a1による監視フォルダーのパスが含まれる。パスの記述態様は種々の態様であって良いが、本実施形態においては、ステータスデータ保存フォルダーのパスが先頭であり、以後、画像処理の進行順にパスが記述されることでルート情報が構成される。
【0047】
例えば、
図5に示す例においては、ルート情報の先頭(最上部)において、ステータスデータ保存フォルダーのパスが記述されることが示されている。すなわち、ルート情報の先頭には、制御装置10のIPアドレスで始まり、ステータスデータ保存フォルダー名で終わる、ステータスデータ保存フォルダーのパスが配置されている。
【0048】
ステータスデータ保存フォルダーのパスの次には、第1の画像処理を行う第1の画像処理部20a2が監視する監視フォルダーのパスが記述される。すなわち、画像処理装置20のIPアドレスで始まり、第1監視フォルダー名で終わる、第1監視フォルダーのパスが配置されている。以後、第2監視フォルダーのパスが配置され、最後に印刷用監視フォルダーのパスが配置されることで、ルート情報が構成されている。
【0049】
入力データの保存場所は、第1の画像処理部20a2や第2の画像処理部20a3が処理対象とする入力データが保存されるフォルダーのパスによって指定される。本実施形態においては、各画像処理部に対応付けられた監視フォルダーが入力データの保存場所である。従って、本実施形態において、制御情報10c1の保存場所と、入力データの保存場所とは、一致しており、入力データは、制御情報10c1とセットで監視フォルダーに保存される。従って、制御情報10c1は、入力データを含むと考えることもできる。なお、入力データの保存場所には、画像処理に必要な他のデータ、例えば、ICCプロファイル等が保存されても良い。
【0050】
図5に示す例において、入力データの保存場所は、第1監視フォルダーのパスである。従って、
図5に示されている制御情報10c1は、第1の画像処理部20a2に受け渡される情報であり、第2の画像処理部20a3に制御情報10c1が受け渡される場合には、入力データの保存場所が書き換えられる。すなわち、
図5に示す制御情報10c1に基づいて第1の画像処理部20a2が画像処理を行った後、次の処理を行う第2の画像処理部20a3に出力データを出力する際には、入力データの保存場所が第2監視フォルダーのパスに書き換えられる。
【0051】
以上のような制御情報10c1は、処理対象となる入力データを示す情報を含んでいると言える。具体的には、画像処理部は、制御情報10c1が示す入力データの保存場所を参照することにより、処理対象となる入力データを取得することができる。従って、入力データの保存場所は、処理対象となる入力データを示す情報である。なお、
図5に示す例において、入力データの保存場所は、制御情報10c1の保存場所、すなわち、監視フォルダーと一致しているが、両者は別の場所であっても良い。
【0052】
さらに、制御情報10c1は、処理後の出力データに対して次の処理を行う画像処理部を識別する情報を含んでいると言える。具体的には、ルート情報においては、画像処理の順序に従って画像処理部によって監視されるフォルダーのパスが記述されている。従って、ある画像処理を行う画像処理部は、当該画像処理部に対応付けられた監視フォルダーの次に記述された監視フォルダーが、次の画像処理を行う画像処理部によって監視されるフォルダーであると特定することができる。例えば、
図5に示す例において、第1の画像処理部20a2が画像処理を行っている場合、第1の画像処理部20a2が監視する第1監視フォルダーの次に記述された第2監視フォルダーに対応付けられた第2の画像処理部20a3が次の処理を行うと特定することができる。
【0053】
(3)画像処理:
次に、以上のような制御情報10c1に基づいて画像処理部が実行する画像処理を説明する。なお、制御情報10c1は、制御装置10において生成される。制御装置10においては、図示しないアプリケーションプログラムを実行することが可能であり、ユーザーは、ディスプレイ10dおよび入力部10eをユーザーインターフェースとして使用し、任意の画像データの印刷を指示することができる。この際、ユーザーは、入力部10eを操作して、印刷設定を入力する。
【0054】
印刷が指示されると、制御部10a1の機能により制御情報10c1が生成される。制御情報10c1は、制御部10a1が自動で生成されても良いし、ユーザーによって生成されても良い。ここでは、後者を想定する。この場合、ユーザーは、入力部10eを操作して、ディスプレイ10dに表示された画像処理部の選択肢の中から、画像処理を実行すべき画像処理装置20および画像処理部と、印刷装置30とを指定する。そして、制御部10a1は、指定された画像処理部での画像処理を行って、指定された印刷装置30で印刷を行うための制御情報10c1を生成する。
【0055】
制御情報10c1が生成されると、制御部10a1は、制御情報10c1に示された第1の画像処理部20a2の監視フォルダーに、制御情報10c1と入力データを保存する。以後、画像処理部は、制御情報10c1に示された順序で画像処理を行っていく。
【0056】
図6は、画像処理のフローチャートである。当該画像処理は、第1の画像処理部20a2および第2の画像処理部20a3のそれぞれで実行される処理である。当該処理において、パラメーターや入力データ、出力データに差異は生じ得るが、処理の流れは各画像処理部で共通であるため、ここでは、画像処理部毎の差異を区別することなく処理の流れを説明する。
【0057】
画像処理装置20に対してインストールされた第1の画像処理部20a2、第2の画像処理部20a3は、それぞれが
図6に示す画像処理を実行する。当該画像処理において、画像処理部は、監視フォルダーを監視し(ステップS100)、監視フォルダーにデータが追加されたか否か判定する(ステップS105)。すなわち、画像処理部は、画像処理部に対して予め対応付けられた監視フォルダーを定期的に参照し、新たにデータが追加されたか否か判定する。新たにデータが追加されたと判定されない場合、画像処理部は、ステップS100以降を実行する。
【0058】
ステップS105において、監視フォルダーに新たにデータが追加されたと判定された場合、監視フォルダーには、制御情報10c1と入力データとがセットで保存された状態となっている。そこで、画像処理部は、画像処理の開始を示すステータスデータを保存する(ステップS110)。すなわち、画像処理部は、制御情報10c1を参照してステータスデータ保存フォルダーのパスを特定し、画像処理の開始を示すステータスデータ10c3を制御装置10に対して出力し、ステータスデータ保存フォルダーにステータスデータ10c3を保存させる。
【0059】
次に、画像処理部は、パラメーターを用いて入力データに対して画像処理を実施する(ステップS115)。すなわち、画像処理部は、制御情報10c1を参照して入力データの保存場所に保存された入力データを取得し、制御情報10c1に基づいて画像処理のパラメーターを特定する。そして、画像処理部は、入力データに対してパラメーターを適用した画像処理を行し、出力データを生成する。
【0060】
次に、画像処理部は、出力データの保存場所に制御情報10c1および出力データを保存する(ステップS120)。すなわち、画像処理部は、制御情報10c1を参照して次の処理の画像処理部が監視する監視フォルダーを特定し、当該監視フォルダーに対して制御情報10c1および出力データを保存する。
【0061】
次に、画像処理部は、画像処理の終了を示すステータスデータを保存する(ステップS125)。すなわち、画像処理部は、制御情報10c1を参照してステータスデータ保存フォルダーのパスを特定し、画像処理の終了を示すステータスデータ10c3を制御装置10に対して出力し、ステータスデータ保存フォルダーにステータスデータ10c3を保存させる。以上の構成によれば、制御情報10c1が示す順序で画像処理を順次実行していくことができる。
【0062】
(4)印刷データ処理:
次に、制御情報10c1に基づいて通信制御部20a1が実行する印刷データ処理を説明する。
図7は、印刷データ処理のフローチャートである。当該印刷データ処理は、通信制御部20a1で実行される処理である。各画像処理装置20に対してインストールされた通信制御部20a1は、それぞれが
図7に示す印刷データ処理を実行する。当該印刷データ処理において、通信制御部20a1は、印刷用監視フォルダーを監視し(ステップS200)、印刷用監視フォルダーにデータが追加されたか否か判定する(ステップS205)。すなわち、通信制御部20a1は、当該通信制御部20a1に対して予め対応付けられた印刷用監視フォルダーを定期的に参照し、新たにデータが追加されたか否か判定する。印刷用監視フォルダーに新たにデータが追加されたと判定されない場合、通信制御部20a1は、ステップS200以降を実行する。
【0063】
ステップS205において、印刷用監視フォルダーに新たにデータが追加されたと判定された場合、印刷用監視フォルダーには、制御情報10c1と入力データとがセットで保存された状態となっている。そこで、通信制御部20a1は、印刷開始を示すステータスデータを保存する(ステップS210)。すなわち、通信制御部20a1は、制御情報10c1を参照してステータスデータ保存フォルダーのパスを特定し、印刷の開始を示すステータスデータ10c3を制御装置10に対して出力し、ステータスデータ保存フォルダーにステータスデータ10c3を保存させる。
【0064】
次に、通信制御部20a1は、印刷装置を特定する(ステップS215)。すなわち、通信制御部20a1は、制御情報10c1を参照して印刷用監視フォルダーを特定し、当該印刷用監視フォルダーに対応した印刷装置を特定する。次に、通信制御部20a1は、印刷データを印刷装置30に出力する(ステップS220)。すなわち、印刷用監視フォルダーに保存された出力データは、ステップS215で特定された印刷装置30に出力すべき印刷データである。そこで、通信制御部20a1当該印刷データを印刷装置30に対して出力する。この結果、出力先の印刷装置30は、印刷データに基づいて印刷を実行する。
【0065】
印刷装置30において印刷が終了すると、印刷装置30は、印刷データの出力元の通信制御部20a1に対して、印刷の終了を通知する。通信制御部20a1は、当該通知に基づいて印刷が終了したか否か判定し(ステップS225)、印刷が終了したと判定されるまでステップS225の判定を繰り返す。
【0066】
ステップS225において、印刷が終了したと判定された場合、通信制御部20a1は、印刷終了を示すステータスデータを保存する(ステップS230)。すなわち、通信制御部20a1は、制御情報10c1を参照してステータスデータ保存フォルダーのパスを特定し、印刷の終了を示すステータスデータ10c3を制御装置10に対して出力し、ステータスデータ保存フォルダーにステータスデータ10c3を保存させる。以上の構成によれば、制御情報10c1が示す順序に従って画像処理が行われて生成された印刷データに基づいて、印刷を実行することができる。
【0067】
(5)画像処理例:
次に、上述の構成による画像処理の流れを例示する。
図8は、画像処理システム1の画像処理例を示す図である。
図8においては、1台の制御装置10および1台の印刷装置30と、3台の画像処理装置20が存在する例を示している。なお、画像処理装置20は、3台のそれぞれを区別するため、画像処理装置21,22,23と表記している。また、
図8においては、制御装置10および画像処理装置21,22,23の構成の一部を抜き出して示している。
【0068】
図8に示す例において、画像処理装置21は、第1の画像処理部21a2および第2の画像処理部21a3を備えている。画像処理装置22は、第1の画像処理部22a2を備えているが、第2の画像処理部は備えていない。画像処理装置23は、第2の画像処理部23a3を備えているが、第1の画像処理部は備えていない。また、画像処理装置21,画像処理装置21,23のそれぞれは、通信制御部21a1,通信制御部23a1を備えている。画像処理装置22は、印刷装置30に出力するための印刷データを生成する第2の画像処理部を備えていないため、通信制御部は表記されていないが、むろん、通信制御部を備えており、制御装置10と画像処理装置22との通信を制御する構成であって良い。
【0069】
なお、
図8に示す例において、制御装置10は不揮発性メモリー10c,画像処理装置21は不揮発性メモリー21c,画像処理装置22は不揮発性メモリー22c,画像処理装置23は不揮発性メモリー23cを備えている。それぞれの不揮発性メモリーに記憶されるデータは、予め用意されたフォルダーに対応付けられて記憶される。
図8においては、不揮発性メモリー10c,21c,22c,23cにおいて設定されたフォルダーが図示されており、制御部10a1、画像処理部、通信制御部からフォルダーに延びる実線の矢印によって各部による監視対象のフォルダーが示されている。なお、
図8においては、画像処理装置21,22,23による画像処理が行われた出力データが、次の処理に受け渡されずに保存可能である例が示されており、保存するためのフォルダーが保存フォルダーとして示されている。
【0070】
以上の構成において、画像データを印刷データに変換する画像処理は、画像処理装置21,22,23が備える画像処理部のいずれかによって実行される。すなわち、画像データは、第1の画像処理部21a2,22a2のいずれかで処理され、当該処理の出力データは第2の画像処理部21a3,23a3のいずれかで処理される。このように、複数の画像処理部から処理を行う画像処理部を任意に選択できるため、画像処理の処理負荷を分散することができる。
【0071】
そして、当該処理の分散は、制御情報10c1に対するフォルダーパスの記述によって実現できる。例えば、破線の矢印で示されるように、画像処理装置21における第1の画像処理部21a2、第2の画像処理部21a3で画像処理を行って印刷装置30で印刷を行う場合を想定する。この場合、制御情報10c1には、画像処理装置21において設定された第1監視フォルダーのパス、第2監視フォルダーのパス、印刷用監視フォルダーのパスが記述される。
【0072】
当該制御情報10c1が画像データとともに画像処理装置21の第1監視フォルダーに保存されると、第1の画像処理部21a2は、当該画像データを入力データとして画像処理を行い、制御情報10c1と出力データを画像処理装置21の第2監視フォルダーに保存する。制御情報10c1と出力データが画像処理装置21の第2監視フォルダーに保存されると、第2の画像処理部21a3は、保存されたデータを入力データとして画像処理を行い、制御情報10c1と出力データを画像処理装置21の印刷用監視フォルダーに保存する。制御情報10c1と出力データが画像処理装置21の印刷用監視フォルダーに保存されると、通信制御部21a1は、保存されたデータである印刷データを印刷装置30に出力する。この結果、印刷装置30において印刷が実行される。なお、二点鎖線の矢印はステータスデータ10c3の流れを示している。
図8においては、第1の画像処理部21a2から制御装置10のステータスデータ保存フォルダーにステータスデータ10c3が送信される際の流れを例示しているが、むろん、他の画像処理部においても進捗を示すステータスデータ10c3が順次ステータスデータ保存フォルダーに保存されていく。
【0073】
一方、一点鎖線の矢印で示されるように、画像処理装置22における第1の画像処理部22a2、画像処理装置23における第2の画像処理部23a3で画像処理を行って印刷装置30で印刷を行う場合を想定する。この場合、制御情報10c1には、画像処理装置22において設定された第1監視フォルダーのパス、画像処理装置23において設定された第2監視フォルダーのパスおよび印刷用監視フォルダーのパスが記述される。
【0074】
当該制御情報10c1が画像データとともに画像処理装置22の第1監視フォルダーに保存されると、第1の画像処理部22a2は、当該画像データを入力データとして画像処理を行い、制御情報10c1と出力データを画像処理装置23の第2監視フォルダーに保存する。制御情報10c1と出力データが画像処理装置23の第2監視フォルダーに保存されると、第2の画像処理部23a3は、保存されたデータを入力データとして画像処理を行い、制御情報10c1と出力データを画像処理装置23の印刷用監視フォルダーに保存する。制御情報10c1と出力データが画像処理装置23の印刷用監視フォルダーに保存されると、通信制御部23a1は、保存されたデータである印刷データを印刷装置30に出力する。この結果、印刷装置30において印刷が実行される。
【0075】
以上のように、本実施形態においては、分散先の画像処理部が予め制御情報10c1に記述され当該制御情報10c1に従って画像処理が進行していく。従って、制御装置10は、画像処理が開始された後に、実行対象の画像処理装置20を決定する等の管理を行う必要がなく、制御装置10が当該管理を行う場合と比較して処理負荷が小さくなる。さらに、本実施形態においては、第1の前記画像処理部による画像処理の後に、第2の画像処理部による処理が行われることが予め決まっている。このため、画像データを印刷データに変換するための画像処理が細分化されており、細分化されていない場合と比較して分散先の選択自由度が高くなる。また、画像処理の分散先は、第1の画像処理部と第2の画像処理部から一つずつ選択されればよく、容易に分散先を選択可能である。
【0076】
さらに、本実施形態においては、画像処理部が監視フォルダーを監視しており、監視フォルダー内のデータの更新に応じて処理が開始される。従って、単に既定のフォルダーにデータを保存する処理によって、一連の画像処理において必要な入力データや出力データの受け渡しを行うことができる。このため、制御情報にパスを記述するという単純な処理によって一連の画像処理の分散先を定義することができる。
【0077】
さらに、本実施形態においては、通信制御部が印刷用監視フォルダーを監視することによって、画像処理後に印刷データが生成されたことを検知し、印刷装置に印刷データを出力する。従って、単に既定のフォルダーにデータを保存する処理によって、印刷に関するデータの受け渡しを行うことができる。このため、制御情報にパスを記述するという単純な処理によって印刷対象の印刷装置を定義することができる。
【0078】
さらに、本実施形態においては、画像処理の進捗を示すステータスデータが既定の保存場所に保存される。従って、当該保存場所のステータスデータを参照することによって、容易に、分散処理されている画像処理の進捗を特定することが可能である。さらに、本実施形態においては、画像処理の開始前に、一連の処理を行う各画像処理部が監視するフォルダーのパスが制御情報に記述される。このため、容易に画像処理部を指定可能である。また、制御装置の処理負荷を抑制することが可能である。
【0079】
さらに、本実施形態においては、制御情報と入力データとがセットで共通のフォルダーに保存されるため、画像処理に用いられるデータを複数の保存先から抽出する必要がなく、画像処理部による処理を簡易化することができる。さらに、本実施形態においては、制御情報が画像処理に用いられるパラメーターを含むため、画像処理に用いられるパラメーターを制御情報と異なる保存場所から抽出する必要がなく、画像処理部による処理を簡易化することができる。
【0080】
(6)画像処理の割り当て:
画像処理システム1が備えるすべての画像処理装置20からすべての印刷装置30に印刷データを渡すことができるわけではない。印刷データに変換するための画像処理である第2の画像処理は、印刷装置に接続している画像処理装置に限られる。例えば、
図9に示すように、印刷装置P1には、画像処理装置G1,G2,G3がネットワークを介して接続しているが、印刷装置P2には、例えば、USB等により画像処理装置G2のみが接続されているとする。印刷装置P1の機種名がA、印刷装置P2の機種名がBであるとする。この場合において、印刷装置P1が印刷装置として設定される場合には、画像処理装置G1,G2,G3のいずれにおいても、第2の画像処理を担当できる。一方で、印刷装置P2が印刷装置として設定される場合には、第2の画像処理を担当できるのは、画像処理装置G2に限られる。本実施形態の画像処理システム1は、このような画像処理の画像処理装置20への割り当てのための処理を行う。
【0081】
図10は、制御装置10による、画像処理の設定処理を示すフローチャートである。本処理は、ユーザー操作を契機に開始される。まず、制御装置10の制御部10a1は、画像処理システム1が備えるすべての画像処理装置20に対して、いずれの印刷装置30に印刷データの印刷を指示可能か、を問い合わせる(ステップS300)。これに対し、各画像処理装置20は、例えばネットワークを介して接続されている印刷装置30を示す情報を応答として返す。また、画像処理装置20は、携帯型の記録媒体を介して印刷データを印刷装置30に渡すことができるとする。この場合には、画像処理装置20は、例えば、このような印刷装置30のドライバソフトがインストールされていることから、印刷データを渡すことができる印刷装置30として認識し、当該印刷装置30を示す情報を応答として返す。
【0082】
そして、制御部10a1は、各画像処理装置20から応答を受信する(ステップS305)。応答には、印刷データの印刷を指示可能な印刷装置が示される。次に、制御部10a1は、応答の送信元の画像処理装置20を示す情報と、応答に示される印刷装置30を示す情報と、を対応付けて不揮発性メモリー10cに登録する(ステップS310)。
【0083】
例えば、
図11に示すように、印刷装置P1は、画像処理装置G1,G2,G3と接続されている。したがって、これら3つの画像処理装置G1,G2,G3と印刷装置P1と、が対応付けて登録される。一方で、
図12に示すように、印刷装置P2は、画像処理装置G2のみと接続され、画像処理装置G1,G3とは接続していない。したがって、印刷装置P2は、画像処理装置G2のみと対応付けて登録される。このように、本実施形態においては、制御装置10と直接接続されていない印刷装置30についても、制御装置10が制御可能な印刷装置として登録することができる。
【0084】
説明を
図10に戻す。ステップS310の後、制御部10a1は、画像処理システム1が備えるすべての印刷装置30それぞれを示すアイコンを、ディスプレイ10dに表示する(ステップS315)。具体的には、制御部10a1は、設定画面を表示する。設定画面は、第1の画像処理と第2の画像処理を含む分散処理を担当する画像処理装置及び画像処理部を登録するための画面である。設定画面については後述する。次に、制御部10a1は、ユーザー操作により、ディスプレイ10dに表示された、印刷装置30を示すアイコンのうち1つのアイコン、すなわち1台の印刷装置30が、設定対象として選択されるまで待機する(ステップS320でN)。そして、制御部10a1は、1台の印刷装置30が選択されると(ステップS320でY)、処理をステップS325へ進める。ステップS325において、制御部10a1は、ステップS320で選択された印刷装置30に対応付けて登録されている画像処理装置20を示す情報をディスプレイ10dに表示する。
【0085】
図13は、ディスプレイ10dに表示される設定画面400の表示例を示す図である。設定画面400の上側には、2台の印刷装置P1,P2に対応したアイコン401,402が表示される。各アイコンは、印刷装置P1,P2の外観を示す。これにより、ユーザーは、アイコンの形状からアイコンに対応する印刷装置P1,P2を容易に判別することができる。そして、例えば、2台の印刷装置30のうち、機種名Aの印刷装置P1が、ユーザー操作に応じて設定対象として選択されると、印刷装置P1が強調表示される。強調表示の具体的な態様としては、
図13に示すように、印刷装置P1のアイコン401の周囲に枠411が表示される。なお、強調表示の態様は、実施形態に限定されるものではない。他の例としては、強調表示として、印刷装置P1の背景色が異なる色に変化してもよい。また、他の例としては、指定されていない印刷装置がグレーアウトすることにより、指定された印刷装置P1が相対的に強調表示されてもよい。
【0086】
さらに、設定画面400の下側には、画像処理装置表示欄420が設けられている。印刷装置のアイコンが選択されると、画像処理装置表示欄420に、選択中の印刷装置に印刷を指示可能な画像処理装置20の情報が表示される。画像処理装置20の情報には、画像処理装置20を選択するためのチェックボックス421と、IPアドレスと、フォルダー名と、割当処理と、が含まれる。
【0087】
チェックボックス421は、ユーザーが当該画像処理装置20を分散処理の担当として指定したい場合にチェックを入力するための入力欄である。IPアドレスは、画像処理装置20を識別するための情報である。フォルダー名は、画像処理装置が備える不揮発性メモリー20cに用意されたフォルダーを識別するための情報である。割当処理は、画像処理装置20に対して割り当てる画像処理であり、図に示す「1」のアイコン422は、レンダリング処理までの第1の画像処理を示す。「2」のアイコン423は、ハーフトーン処理を含む第2の画像処理を示す。ユーザーは、「1」,「2」のアイコン422,423を選択することにより、それぞれ第1の画像処理及び第2の画像処理の選択、非選択を切り替えることができる。「1」,「2」のアイコン422,423は、初期状態では、いずれも選択状態として表示されており、ユーザー操作に応じて、非選択状態、すなわちグレーアウトされた表示に切り替わる。
【0088】
図13に示すように、印刷装置P1が選択されると、印刷装置P1に対応付けて登録された画像処理装置20、すなわち画像処理装置G1,G2,G3が画像処理装置表示欄420に表示される。ユーザーは、チェックボックス421にチェックを入れることで、画像処理装置表示欄420に表示された画像処理装置20の中から、選択中の印刷装置30に対応付けて、分散処理の担当候補として設定したい画像処理装置20を選択することができる。例えば、ネットワークの接続状態からは、画像処理装置G1,G2,G3のいずれも印刷装置P1による印刷に対応可能であっても、画像処理装置G1は他の画像処理装置G2,G3よりも性能が低いために、画像処理装置G1を分散処理の対象から除外したいとする。このような場合には、ユーザーは、画像処理装置G1のチェックを外すことで、画像処理装置G1を担当候補から除外することができる。
【0089】
また、割当処理として表示される「1」,「2」のアイコン422,423を選択することで、各画像処理装置20に画像処理を割り当てることができる。例えば、画像処理装置G2に第1の画像処理を行わせ、画像処理装置G3に第2の画像処理を行わせたいとする。この場合には、ユーザーは、画像処理装置G2に対応する「1」のアイコン422を選択状態のままとする一方で、画像処理装置G3に対応する「2」のアイコン423を選択することで、非選択状態に変更する。本操作は、画像処理部を選択する操作の一例である。
【0090】
説明を
図10に戻す。ユーザーによるチェックボックス421へのチェックが行われると制御部10a1は、このユーザー操作に応じて、チェックが入力された画像処理装置20を、分散処理の担当候補として設定する(ステップS330)。次に、ユーザーにより、割当処理の「1」,「2」のアイコン422,423の選択、非選択の切り替えが行われる。制御部10a1は、このユーザー操作に応じて、画像処理装置の画像処理部に対して、分散処理を構成する第1の画像処理と第2の画像処理とを割り当てる(ステップS335)。これにより、印刷のための画像処理を行うための処理を担当する画像処理部の実行順番が決定される。この実行順番と、印刷装置と、を示す情報を印刷ルートと称する。すなわち、印刷ルートは、第1の画像処理を担当する第1画像処理部と、第2の画像処理を担当する第2の画像処理部と、これらの画像処理後の画像データ、すなわち印刷データを用いて印刷を行う印刷装置30と、を示す情報である。
【0091】
なお、第1の画像処理は、1つの第1の画像処理部20a2に割り当てられてもよく、複数の画像処理装置20それぞれが備える複数の第1の画像処理部20a2に割り当てられてもよい。この場合には、実際の画像処理のタイミングにおける各第1の画像処理部20a2の稼働状況等に応じて、適切な第1の画像処理部20a2が1つ選択され、選択された第1の画像処理部20a2が第1の画像処理を担当する。第2の画像処理についても同様に、1つの第2の画像処理部20a3に割り当てられてもよく、複数の画像処理装置20それぞれが備える複数の第2の画像処理部20a3に割り当てられてもよい。
【0092】
ステップS335において、画像処理が割り当てられると、制御部10a1は、選択された画像処理装置において、分散処理を構成するすべての画像処理が割り当てられているか否かを確認する(ステップS340)。例えば、
図14に示すように、画像処理装置表示欄420において、下から2つの画像処理装置が選択され、これら2つの画像処理装置において割り当てられた画像処理が第1の画像処理のみであるとする。この場合には、第2の画像処理を担当する第2の画像処理部20a3が選択されておらず、分散処理を完了することができない。このため、ステップS340においては、割り当てられていない画像処理が存在すると判断される。このように、分散処理を構成する複数の画像処理のうち、少なくとも1つの画像処理が割り当てられていない場合には、ステップS340において、割り当てられていない画像処理が存在すると判断される。
【0093】
割り当てられていない画像処理が存在する場合には(ステップS340でN)、制御部10a1は、
図14に示すように、警告450を表示する(ステップS345)。警告450には、「印刷ルートが確立できません。割当処理を見直して下さい。」というように、印刷を行うためのすべての画像処理を行うための印刷ルートが確立されていないことが示され、画像処理の割り当てを再度行うことを勧める内容が示される。このように、警告450を表示することで、ユーザーに、画像処理の割り当てをやり直し、分散処理を構成する複数の画像処理のすべてを割り当てるよう促すことができる。なお、ディスプレイ10dは、出力部の一例である。また、警告は、ディスプレイへの表示に限定されるものではなく、出力部が警告を出力すればよい。そうした他の例としては、スピーカーが警告を示す音声や警告音を音声出力してもよい。
【0094】
ステップS340において、分散処理を構成するすべての画像処理が割り当てられている場合には(ステップS340でY)、制御部10a1は、処理をステップS350へ進める。ステップS350において、制御部10a1は、適用指示を受け付けたか否かを確認する。ユーザーが設定画面400に表示される適用ボタン430を選択すると、制御部10a1は、適用指示を受け付ける。
【0095】
制御部10a1は、適用指示を受け付けない場合には(ステップS350でN)、処理をS330へ進める。制御部10a1は、適用指示を受け付けた場合には(ステップS350でY)、処理をS355へ進める。そして、ステップS355において、制御部10a1は、設定画面400における設定内容を登録する。例えば、印刷装置P1に対して、第1の画像処理の担当として、画像処理装置G2の第1の画像処理部と、画像処理装置G3の第1の画像処理が割り当てられ、第2の画像処理の担当として、画像処理装置G2の第2の画像処理部を割り当てられたとする。この場合、これらの各画像処理装置の画像処理部が、分散処理の担当候補として印刷装置に対応付けて登録される。
【0096】
以上のように、設定処理により、画像処理装置の各画像処理部が印刷装置に対応付けられる。そして、制御装置10は、印刷指示が入力された場合には、分散処理の担当候補として設定された画像処理部の中から、第1の画像処理及び第2の画像処理それぞれを担当する第1の画像処理部と第2の画像処理部とを選択し、これらの画像処理部に画像処理を行わせる。これにより分散処理が実現する。
【0097】
また、設定画面400において、更新ボタン440が選択された場合には、制御部10a1は、印刷装置30と画像処理装置20の接続状態を再度確認し、表示内容を更新する。例えば、画像処理システム1に新たに画像処理装置20が追加され、印刷装置P1での印刷が可能に接続されているとする。この場合、新たに追加された画像処理装置20は印刷装置P1に対応付けて不揮発性メモリー10cに登録される。そして、印刷装置P1が選択された場合には、画像処理装置表示欄420には、新たに追加された画像処理装置20の情報が表示される。
【0098】
なお、新たな画像処理装置20が追加された場合には、制御装置10の制御部10a1は、制御装置10から到達可能なIPアドレスを探索し、送受信が可能であるかを確認する。探索には、UDPによるブロードキャストで応答を待つ方法を用いてもよく、IPアドレスを指定して、TCPで接続を試みる方法を用いてもよい。
【0099】
(7)印刷ルート決定処理:
制御装置10において、ユーザーが印刷装置30を指定して、印刷指示を入力すると、制御装置10は、印刷ルート決定処理を実行する。印刷ルート決定処理では、印刷指示に応じた印刷を実行するための第1の画像処理と第2の画像処理のそれぞれを担当する第1の画像処理部20a2と第2の画像処理部20a3とを含む印刷ルートが自動的に決定される。
【0100】
本実施形態の制御装置10は、各画像処理部に割り当てられた画像処理の単位数である割当数に基づいて、印刷ルートを決定する。ここで、割当数は、1つの画像処理部に割り当てられた画像処理の数である。例えば、1つの第1の画像処理部20a2に対して、1つの第1の画像処理が割り当てられている場合には、割当数は1となる。また、1つの第1の画像処理部20a2に対して、第1の印刷指示に応じた第1の画像処理と、第2の印刷指示に応じた第1の画像処理が割り当てられている場合には、割当数は2となる。一方、印刷指示が入力されていない場合等には、第1の画像処理部20a2に対して第1の画像処理が割り当てられていないので、割当数は0となる。割当数は、各画像処理装置20の不揮発性メモリー20cに格納される。
【0101】
図15は、印刷ルート決定処理を示すフローチャートである。印刷ルート決定処理は、制御装置10により実行される処理である。ユーザーが例えばディスプレイ10dに表示された印刷装置30のアイコンを選択することにより、印刷を行わせたい印刷装置30のアイコンを選択する。これに応じて、制御装置10の制御部10a1は、画像処理を担当する画像処理部を決定する。すなわち、制御部10a1は、印刷装置が指定された場合に、分散処理としての画像処理を担当する画像処理部を決定する。印刷ルート決定処理においては、制御装置10の制御部10a1は、印刷装置30のアイコンが選択されると、ユーザー操作により選択されたアイコンに対応する印刷装置30を選択する(ステップS400)。
【0102】
次に、制御部10a1は、ステップS400において選択された印刷装置30に対して、
図10を参照しつつ説明した設定処理において設定された画像処理部の中から、第1の画像処理を担当する第1の画像処理部と、第2の画像処理を担当する第2の画像処理部と、を選択することで、印刷ルートを決定する。具体的には、制御部10a1は、まず各画像処理装置20から、各画像処理部の割当数を取得する(ステップS405)。
【0103】
次に、制御部10a1は、印刷ルートに含まれる画像処理部の割当数に基づいて、第1の画像処理部20a2と第2の画像処理部20a3の組み合わせを選択する。具体的には、制御部10a1は、割当数の合計が最小となるような第1の画像処理部20a2と第2の画像処理部20a3の組み合わせを選択する(ステップS410)。次に、制御部10a1は、ステップS410において選択した各画像処理部の割当数を1加算する(ステップS415)。
【0104】
例えば、
図16の左側に示すように、画像処理装置G11に含まれる第1の画像処理部20a2と第2の画像処理部20a3の割当数がそれぞれ1,2であるとする。また、画像処理装置G12の第1の画像処理部20a2と第2の画像処理部20a3の割当数がそれぞれ0,1であるとする。また、画像処理装置G13は、第1の画像処理部20a2のみを有し、割当数が1であるとする。画像処理装置G14は、第2の画像処理部20a3のみを有し、割当数が2であるとする。
【0105】
この場合には、第1の画像処理部20a2の割当数と第2の画像処理部20a3の割当数の合計が最小となるのは、画像処理装置G12の第1の画像処理部20a2と、画像処理装置G12の第2の画像処理部20a3である。したがって、画像処理装置G12の第1の画像処理部20a2と、画像処理装置G12の第2の画像処理部20a3の組み合わせが選択される。そして、この場合には、
図16の右側に示すように、画像処理装置G12の第1の画像処理部20a2と、画像処理装置G12の第2の画像処理部20a3の割当数がそれぞれ1加算される。
【0106】
また、
図17の左側に示すように、各画像処理部に割当数が割り当てられている場合には、画像処理装置G13の第1の画像処理部20a2と、画像処理装置G14の第2の画像処理部20a3と、の組み合わせが選択される。そして、
図17の右側に示すように、画像処理装置G13の第1の画像処理部20a2と、画像処理装置G14の第2の画像処理部20a3の割当数がそれぞれ1加算される。
【0107】
また、例えば、
図17の例において、画像処理装置G12の第1の画像処理部の割当数が1ではなく、0であったとする。この場合には、画像処理装置G12の第1の画像処理部20a2と、画像処理装置G12の第2の画像処理部20a3の割当数の合計と、画像処理装置G13の第1の画像処理部20a2と、画像処理装置G14の第2の画像処理部20a3の割当数の合計は、共に1と等しくなる。このように、割当数の合計が最小となる組み合わせが複数存在する場合には、制御部10a1は、画像処理装置20の数が最小となるような画像処理部の組み合わせを選択する。すなわち、
図17の例では、画像処理装置G12の第1の画像処理部20a2と、画像処理装置G12の第2の画像処理部20a3の組み合わせが選択される。同一の画像処理装置20内で処理が行われることにより、ネットワークに起因した遅延の影響を受けないためである。
【0108】
以上で、印刷ルートが確定する。このように、本実施形態においては、制御部10a1は、割当数を参照することで、各画像処理部の負荷推定を簡易的に行う。これにより、より負荷の低い画像処理部を選択することができ、印刷に係る画像処理システム1の全体のパフォーマンスを最適化することができる。
【0109】
説明を
図15に戻す。ステップS415までの処理により印刷ルートが決定されると、次に、制御部10a1は、印刷指示に対応した制御情報を生成する(ステップS420)。次に、制御部10a1は、制御情報を画像処理部に送信する(ステップS425)。具体的には、制御部10a1は、印刷を行うための複数の画像処理のうち最初の画像処理である第1の画像処理が割り当てられた第1の画像処理部20a2に、分散処理の制御情報を送信する。そして、制御情報を受信した第1の画像処理部20a2は、制御情報に基づいて、第1の画像処理を行う。第1の画像処理が完了すると、第2の画像処理が割り当てられた第2の画像処理部20a3に制御情報が送信され、第2の画像処理部20a3により第2の画像処理が行われ、印刷データが印刷装置30に送信される。このように、制御部10a1は、制御情報を送信することで、分散処理の担当の画像処理部に画像処理を行わせることで、分散処理を実行する。
【0110】
なお、ネットワークの切断などにより、制御装置10が画像処理装置20と通信ができなくなった場合には、画像処理装置20は、通信ができなくなった制御装置10から送信された制御情報に係る画像処理を中止する。そして、画像処理装置20は、画像処理を中止した画像処理部の割当数を1減じることとする。これにより、通信ができない制御装置10により画像処理部が占有されるのを防ぐことができる。なお、画像処理装置20は、定期的に制御装置10のIPアドレスを監視し、通信可能であることを確認するものとする。
【0111】
(8)ライセンス:
次に、ライセンスについて説明する。本実施形態においては、画像処理装置20における画像処理のうちレンダリング処理は、認証済みのライセンスが必要な処理であるものとする。このため、画像処理システム1において、複数のユーザーが画像処理のサービスを利用する場合には、複数のユーザーが保有するライセンスの総数分が、同時に実行可能な処理の数となる。本実施形態に係る画像処理システム1は、このライセンスの総数による制約下において、レンダリング処理を含む第1の画像処理が最大限実行されるような、効率的な処理を実現するために、ライセンス管理を行う。
【0112】
ライセンスは、ユーザーが利用する制御装置10の数だけ付与されているものとする。例えば、
図18に示すように、画像処理システム1において制御装置10として、制御装置C1,C2の2台が存在する場合には、ライセンスA,Bの2つのライセンスが設定される。この場合、各制御装置10の制御部10a1は、まず、ライセンスの登録を行う。具体的には、制御装置10が接続する画像処理装置20に対して、制御装置10に付与されたライセンスの登録を行う。これにより、画像処理装置20においては、ライセンスを識別するライセンス情報と、ライセンスの送信元の制御装置10を識別する制御装置情報と、が対応付けて、不揮発性メモリー20cに登録される。なお、制御装置情報は、制御装置10のIPアドレスであるものとする。
【0113】
これにより、
図18に示すように、制御装置C1からライセンスAが登録され、制御装置C2からライセンスBが登録される場合には、画像処理装置20には、ライセンスAと、ライセンスBの2つのライセンスが登録される。また、
図18においては説明の便宜上1つの画像処理装置20のみを示しているが、制御装置10に接続されるすべての画像処理装置20に制御装置10に付与されたライセンスの情報が登録される。第1の画像処理部により画像処理が実行される場合には、当該第1の画像処理部に1つのライセンスが割り当てられる。このように、1つの画像処理部に割り当てられたライセンスは、他の画像処理部への割り当てが禁止される。ライセンスが画像処理部に割り当てられている場合には、ライセンスはロック状態として管理され、ライセンスが画像処理部に割り当てられていない場合には、ライセンスはアンロック状態として管理される。
【0114】
次に、
図19を参照しつつ、画像処理部へのライセンスの割り当てについて説明する。制御装置10の制御部10a1は、画像処理装置20に対してライセンスの使用要求を送信する。ライセンスの使用要求は、ライセンスを識別するライセンス情報と、アクセスキーと、を含む。アクセスキーは、制御部10a1により生成され、不揮発性メモリー10cに格納される。
【0115】
ライセンスの使用要求を受信した画像処理装置20は、ライセンス情報に示されるライセンスが付与されている制御装置10に対して、ライセンスのロック要求を送信する。ライセンスのロック要求には、ライセンス情報と、アクセスキーと、が含まれる。
【0116】
ここでは、
図19に示すように、制御装置C1がライセンスBの使用要求を送信した場合を例に説明する。この場合には、画像処理装置20は、ライセンスBの使用要求を受信すると、受信したライセンスBの使用要求を、ライセンスBが付与された制御装置C2に対して送信する。
【0117】
ライセンスBがいずれの画像処理にも割り当てられてない場合、すなわちアンロック状態の場合には、制御装置C2は、画像処理装置20に対して、応答として、使用許可情報を送信する。そして、制御装置C2は、ライセンスBに対応付けて使用要求に含まれるアクセスキーを格納する。そして、制御装置C2は、ライセンスBをロック状態に変更する。画像処理装置20は、使用許可情報を受信すると、使用許可情報を制御装置C1に送信する。
【0118】
一方で、ライセンスBが既に画像処理に割り当てられている場合、すなわちロック状態の場合には、制御装置C2は、使用不可情報を送信する。画像処理装置20は、使用不可情報を受信すると、使用不可情報を制御装置C1に送信する。この場合、画像処理装置20は、ライセンスBに対応する画像処理が完了し、ライセンスBがアンロック状態になるまで、定期的に制御装置C2に対してライセンスBの使用要求を送信し続ける。そして、ライセンスBがアンロック状態になると、制御装置C2は、画像処理装置20から受信した、ライセンスBの使用要求に応じて、ライセンスBに対応付けて、使用要求に含まれるアクセスキーを格納する。そして、制御装置C2は、ライセンスBを再びロック状態に変更する。これに対応し、画像処理装置20は、ライセンスBがアンロック状態になった場合に、使用許可情報を受信する。画像処理装置20は、使用許可情報を受信すると、これを制御装置C1に送信する。
【0119】
制御装置10の制御部10a1は、ライセンスの使用要求を送信した後、使用許可情報を受信する。なお、ライセンスがロック状態の場合には、使用不可情報が送信されるが、制御部10a1は、ライセンスがアンロック状態になるまで待機し、アンロック状態になった後で、使用許可情報を受信する。そして、制御部10a1は、使用許可情報に対応したライセンスを、印刷ルートに含まれる第1の画像処理部20a2に割り当てる。
【0120】
次に、
図20を参照しつつ、ライセンスの開放について説明する。第1の画像処理部20a2により第1の画像処理が完了すると、第1の画像処理部20a2を備える画像処理装置20は、第1の画像処理が完了した旨のステータスデータを制御装置10に送信する。例えば、
図19に示す制御装置C1が画像処理装置20に制御情報を送信することで、画像処理が開始され、当該処理が完了した場合には、制御装置C1に画像処理終了のステータスデータが送信される。
【0121】
制御装置C1は、画像処理終了のステータスデータを受信すると、
図20に示すように、画像処理装置20に対してライセンスBの開放要求を送信する。ライセンスBの開放要求には、ライセンスBの使用要求を送信したときに生成したアクセスキーが含まれる。画像処理装置20は、ライセンスBの開放要求を受信すると、ライセンスBのアンロック要求を制御装置C2に送信する。アンロック要求には、ライセンスBのライセンス情報と、アクセスキーとが含まれる。制御装置C2は、ライセンスBのアンロック要求を受信すると、ライセンスBに対応付けて格納されているアクセスキーとアンロック要求に含まれるアクセスキーとを比較する。そして、制御装置C2は、両アクセスキーが一致する場合にライセンスBをアンロックの状態に変更する。以上のように、ライセンスが管理されることで、画像処理システム1のようにライセンスを共有するシステムにおいて、ライセンスの使用率を向上させることができる。
【0122】
なお、ネットワークの切断などにより、制御装置10が画像処理装置20と通信ができなくなる場合がある。例えば、
図19の例において、ライセンスBがロック状態で、制御装置C2と画像処理装置20が通信できなくなった場合には、ライセンスBをアンロック状態に変更する。これにより、通信ができない画像処理装置20によりライセンスが占有されるのを防ぐことができる。なお、制御装置10は、定期的に画像処理装置20のIPアドレスを監視し、通信可能であることを確認するものとする。
【0123】
以上のように、本実施形態の画像処理システム1においては、印刷装置30が設定対象としてユーザーにより選択されると、選択された印刷装置30に対応付けられた画像処理装置20をディスプレイ10dに表示する。そして、ディスプレイ10dに表示された画像処理装置20が選択されると、選択された画像処理装置20を分散処理の担当候補として設定する。したがって、画像処理システム1は、装置の設置環境に合わせた適切な画像処理装置の割り当てを行うことができる。
【0124】
また、画像処理システム1は、割当数に基づいて、分散処理としての画像処理を担当する画像処理部の組み合わせを決定する。したがって、画像処理システム1の各画像処理部の負荷状況に応じた適切な組み合わせを選択することができ、処理効率を向上させることができる。
【0125】
(9)付記:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、画像処理システムの装置構成は、
図1に示す構成に限定されない。制御装置10と画像処理装置20の構成は共通であっても良い。具体的には、コンピューターに、制御部10a1、第1の画像処理部20a2、第2の画像処理部20a3をインストールし、各コンピューターが制御装置10、画像処理装置20のいずれとしても機能できるように構成されていても良い。この場合において、各コンピューターは、第1の画像処理部20a2、第2の画像処理部20a3を備えるが、特定のコンピューターは、第1の画像処理部20a2、第2の画像処理部20a3の一方として機能するように設定可能であっても良い。この場合、他方の画像処理部は機能しないように設定される。
【0126】
さらに、
図1に示す各装置は、機能を共有するより少数の端末であっても良いし、より多数の端末であっても良い。例えば、画像処理装置20と印刷装置30とは一体の装置であっても良いし、制御装置10や画像処理装置20がクラウドコンピューターで実現されるなどの構成であっても良い。
【0127】
画像処理システムは、印刷装置において印刷を行うための画像処理を実行する複数の画像処理部と、複数の画像処理部に画像処理を実行させる制御部と、を含むシステムであれば良い。従って、他の装置、例えば、印刷装置等が含まれていても良い。また、画像処理部の数は限定されず、制御部や印刷装置は複数個存在しても良い。
【0128】
画像処理部は、印刷装置において印刷を行うための画像処理を実行することができればよく、印刷指示が行われてから印刷が開始されるまでの間に、少なくとも2種類の画像処理が順次実行され、それぞれの画像処理を行う2種類の画像処理部が存在する。但し、印刷指示が行われてから印刷が開始されるまでの間に3種類以上の画像処理が順次実行されても良く、その場合、制御情報によって3番目以降の画像処理部にも情報が伝達される。
【0129】
また、上述の実施形態においては、複数のコンピューターが画像処理部として機能するが、1台のコンピューターは画像処理部が1種類以上実行可能であれば良く、1台のコンピューターにおいて画像処理部が2種類以上実行可能であっても良い。また、1種類の画像処理部が1台のコンピューターにおいて実行可能であっても良く、任意の種類の画像処理部を実行可能なコンピューターが2台以上混在していても良い。
【0130】
画像処理部は、上述のようなラスタライズ処理等を行う第1の画像処理部と、ハーフトーン処理等を行う第2の画像処理部と、に区別されている構成に限定されず、例えば、レイアウト処理とハーフトーン処理とを行う画像処理部が別個に存在しても良い。
【0131】
制御部は、複数の画像処理部に画像処理を実行させることができればよいが、当該制御は制御情報に基づいて実行される。従って、制御部は、第1の画像処理部に制御情報を出力した後において、画像処理の分散先の制御を行う必要はない。
【0132】
制御情報は、処理対象となる入力データと、処理後の出力データに対して次の処理を行う画像処理部と、を示す情報を含んでいれば良い。すなわち、制御情報は、画像処理部に対する入出力に際して参照される情報が含まれ、当該制御情報を参照すれば、画像処理が順次進行していくように構成されていれば良い。
【0133】
制御情報に含まれる、処理対象となる入力データを示す情報は、当該情報に基づいて画像処理部が入力データを取得し、画像処理を開始できるように定義されていれば良い。従って、処理対象となる入力データを示す情報は、上述の実施形態のように、入力データ自体であっても良いし、入力データが保存された保存場所を示す情報であっても良い。
【0134】
制御情報に含まれる、処理後の出力データに対して次の処理を行う画像処理部を示す情報は、当該情報に基づいて、出力データが入力されるべき画像処理部を特定できるように定義されていれば良い。従って、上述の実施形態のように、画像処理部に対応付けられた保存場所が示されることによって、出力データが入力されるべき画像処理部が特定される構成に限定されない。例えば、画像処理部がインストールされたコンピューターのIDや画像処理部に対応付けられたID等によって画像処理部が特定される構成等が採用されてもよい。入力データや出力データは、任意の態様のデータであれば良く、画像処理部による画像処理を経ることで、そのフォーマットは変化し得る。
【0135】
画像処理システム1が備える複数の画像処理装置20それぞれは、第2の画像処理が行われた後の画像データ、すなわち印刷データを、ネットワークを介して、他の画像処理装置20へ転送することができる。そこで、
図10を参照しつつ説明した、画像処理の設定処理において、制御装置10は、印刷データの印刷を指示可能な画像処理装置20として画像処理システム1が備えるすべての画像処理装置20を、印刷装置30に対応付けて不揮発性メモリー10cに登録してもよい。これにより、画像処理部の選択肢を増やすことができる。
【0136】
制御装置10の制御部10a1は、割当数に基づいて、分散処理を担当する画像処理部の組み合わせを決定すればよく、そのための具体的な処理は実施形態に限定されるものではない。例えば、割当数に対して重みを乗じてもよい。例えば、処理能力が高い画像処理部に対しては、1つの画像処理が割り当てられた場合に、1よりも小さい割当数を付与することとしてもよい。これにより、処理能力が高い画像処理部ほど選択されやすくなる。
【0137】
さらに、本発明は、コンピューターが実行するプログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、複数の装置が備える部品を利用して実現される場合もあり、各要素が上述した装置とは異なる装置に設けられる場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリーであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0138】
1…画像処理システム、10…制御装置、10a…プロセッサー、10a1…制御部、10b…通信部、10c…不揮発性メモリー、10c1…制御情報、10c2…画像データ、10c3…ステータスデータ、10d…ディスプレイ、10e…入力部、20…画像処理装置、20a…プロセッサー、20a1…通信制御部、20a2…第1の画像処理部、20a3…第2の画像処理部、20b…通信部、20c…不揮発性メモリー、20c1…処理対象データ、20d…ディスプレイ、20e…入力部、21…画像処理装置、21a1…通信制御部、21a2…第1の画像処理部、21a3…第2の画像処理部、21c…不揮発性メモリー、22…画像処理装置、22a2…第1の画像処理部、22c…不揮発性メモリー、23…画像処理装置、23a1…通信制御部、23a3…第2の画像処理部、23c…不揮発性メモリー、30…印刷装置、30a…プロセッサー、30b…通信部、30c…不揮発性メモリー、30d…印刷部、30e…UI部