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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136495
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】生体情報測定システム及び便座装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/497 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G01N33/497 D
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047628
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川崎 春奈
(72)【発明者】
【氏名】藤野 翔太
(72)【発明者】
【氏名】永野 晃貴
(72)【発明者】
【氏名】須賀 公平
(72)【発明者】
【氏名】島田 光浩
(72)【発明者】
【氏名】戸崎 正道
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CB04
(57)【要約】
【課題】ガス測定に基づく処理を適切に実行可能にすること。
【解決手段】実施形態に係る生体情報測定システムは、水素ガスに反応する第一のガスセンサおよび臭気性ガスと水素ガスに反応する第二のガスセンサを備えたガス検出装置と、前記ガス検出装置を制御する制御装置と、出力手段とを有し、前記制御装置は、前記第一のガスセンサの検出結果に基づいて水素ガスに対応する第一の算出値を算出し、前記第一の算出値に基づいて前記第二のガスセンサの水素ガスに対応する第二の算出値を算出し、前記第二のガスセンサの検出結果および前記第二の算出値に基づいて臭気性ガスに対応する第三の算出値を算出し、前記制御装置は、前記第一の算出値、前記第二の算出値、前記第三の算出値の少なくとも1つが所定の条件を満たす場合、前記出力手段により出力される前記利用者の健康状態または前記健康状態に関する情報を前記第三の算出値に基づかずに変更する制御を行う。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ室に設置された大便器のボウル内に排出される排便ガスに基づいて、前記トイレ室の利用者の生体情報を測定する生体情報測定システムであって、
気体に含まれる水素ガスに反応する第一のガスセンサおよび硫黄成分を含む臭気性ガスと水素ガスに反応する第二のガスセンサを備えたガス検出装置と、
前記ガス検出装置を制御する制御装置と、
前記制御装置による処理結果に関する情報を出力する出力手段と、
を有し、
前記制御装置は、
前記第一のガスセンサの検出結果に基づいて水素ガスに対応する第一の算出値を算出し、
前記第一の算出値に基づいて前記第二のガスセンサの水素ガスに対応する第二の算出値を算出し、
前記第二のガスセンサの検出結果および前記第二の算出値に基づいて臭気性ガスに対応する第三の算出値を算出し、
前記生体情報測定システムが前記第三の算出値に基づいて前記利用者の健康状態または前記健康状態に関する情報を推定するものであって、
前記制御装置は、
前記第一の算出値、前記第二の算出値、前記第三の算出値の少なくとも1つが所定の条件を満たす場合、前記出力手段により出力される前記利用者の健康状態または前記健康状態に関する情報である第1情報を前記第三の算出値に基づかずに変更する制御を行う
ことを特徴とする生体情報測定システム。
【請求項2】
前記所定の条件は、前記第一の算出値または前記第二の算出値が第一の閾値より上回ること、または、第三の算出値が前記第一の閾値よりも小さい第二の閾値を下回ることの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の生体情報測定システム。
【請求項3】
前記所定の条件は、前記第二の算出値が、前記第二のガスセンサの検出結果に基づき算出される臭気性ガス及び水素ガスに対応する第零の算出値より上回ることを含む
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の生体情報測定システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記所定の条件を満たした場合、前記第1情報に含まれる値を、予め設定した設定値に変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の生体情報測定システム。
【請求項5】
過去の第1情報を記憶する記憶手段を有し、
前記制御装置は、
前記記憶手段に記憶された前記過去の第1情報に基づいて、前記第1情報を変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の生体情報測定システム。
【請求項6】
前記出力手段は、
前記所定の条件を満たした場合、測定精度に関する第2情報を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の生体情報測定システム。
【請求項7】
前記出力手段は、
前記所定の条件を満たした場合、測定エラーに関する第3情報を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の生体情報測定システム。
【請求項8】
トイレ室に設置された大便器のボウル内に排出される排便ガスに基づいて、前記トイレ室の利用者の生体情報を測定する便座装置であって、
気体に含まれる水素ガスに反応する第一のガスセンサおよび硫黄成分を含む臭気性ガスと水素ガスに反応する第二のガスセンサを備えたガス検出装置と、
前記ガス検出装置を制御する制御装置と、
前記制御装置による処理結果に関する情報を出力する出力手段と、
を有し、
前記制御装置は、
前記第一のガスセンサの検出結果に基づいて水素ガスに対応する第一の算出値を算出し、
前記第一の算出値に基づいて前記第二のガスセンサの水素ガスに対応する第二の算出値を算出し、
前記第二のガスセンサの検出結果および前記第二の算出値に基づいて臭気性ガスに対応する第三の算出値を算出し、
前記便座装置が前記第三の算出値に基づいて前記利用者の健康状態または前記健康状態に関する情報を推定するものであって、
前記制御装置は、
前記第一の算出値、前記第二の算出値、前記第三の算出値の少なくとも1つが所定の条件を満たす場合、前記出力手段により出力される前記利用者の健康状態または前記健康状態に関する情報である第1情報を前記第三の算出値に基づかずに変更する制御を行う
ことを特徴とする便座装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、生体情報測定システム及び便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大便と同時に排出される排便ガスを検知し、排便ガスに含まれる臭気性ガスの一例である硫化水素ガスを測定し、硫化水素ガスより腸内状態を測定する健康測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、排便ガスに含まれる、水素ガス、二酸化炭素ガス、又はメタンガスの少なくとも1つからなる健康系ガスと硫黄成分を含む臭気性ガスとのデータより測定者の日々の体調を解析する生体情報システムが知られている(例えば、特許文献2参照)。例えば、臭気性ガスを検出する際に、水素ガスが影響することを抑制するために、臭気性ガスによる測定に基づく検出結果から水素ガスセンサにより検出された水素ガスの影響を分離して、臭気性ガスの量を算出する技術が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-250922号公報
【特許文献2】特許第6674623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術には、改善の余地がある。例えば、単に臭気性ガスによる測定に基づく検出結果から水素ガスセンサにより検出された水素ガスの影響を分離するだけでは、水素ガスセンサの測定バラつきにより適切なガス測定が難しい場合がある。そのため、ガス測定に基づく処理を適切に実行可能にすることが望まれている。
【0005】
開示の実施形態は、ガス測定に基づく処理を適切に実行可能にすることができる生体情報測定システム及び便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る生体情報測定システムは、トイレ室に設置された大便器のボウル内に排出される排便ガスに基づいて、前記トイレ室の利用者の生体情報を測定する生体情報測定システムであって、気体に含まれる水素ガスに反応する第一のガスセンサおよび硫黄成分を含む臭気性ガスと水素ガスに反応する第二のガスセンサを備えたガス検出装置と、前記ガス検出装置を制御する制御装置と、前記制御装置による処理結果に関する情報を出力する出力手段と、を有し、前記制御装置は、前記第一のガスセンサの検出結果に基づいて水素ガスに対応する第一の算出値を算出し、前記第一の算出値に基づいて前記第二のガスセンサの水素ガスに対応する第二の算出値を算出し、前記第二のガスセンサの検出結果および前記第二の算出値に基づいて臭気性ガスに対応する第三の算出値を算出し、前記生体情報測定システムが前記第三の算出値に基づいて前記利用者の健康状態または前記健康状態に関する情報を推定するものであって、前記制御装置は、前記第一の算出値、前記第二の算出値、前記第三の算出値の少なくとも1つが所定の条件を満たす場合、前記出力手段により出力される前記利用者の健康状態または前記健康状態に関する情報である第1情報を前記第三の算出値に基づかずに変更する制御を行うことを特徴とする。
【0007】
実施形態の一態様に係る生体情報測定システムによれば、水素ガスセンサ(第一のガスセンサに対応)により測定した水素ガス検出量がバラついたとしても、臭気性ガス量が0以下となることを抑制し、日々の例えば、腸内環境の状態等の健康状態を利用者に表示する際に、データがない状態を回避することにより、使い勝手を向上させることができる。したがって、生体情報測定システムは、ガス測定に基づく処理を適切に実行可能にすることができることができる。
【0008】
発明者らは、先の特許文献1及び特許文献2に記載のように、排便ガスの情報を用いた体調測定の研究を続けており、研究の中で、排便時に出る排便ガス(おなら)に含まれる、水素、二酸化炭素、酢酸、メタン、エタノール、水などから構成される健康系ガスとアンモニア、トリメチルアミン、硫化水素、メチルメルカプタン、インドール、スカトールなどから構成される臭気性(悪臭)ガスの比率の経時変動が、腸内環境の経時変動を間接的に捉えていることが分かってきた。しかしながら、排便ガスから検出した水素ガス量が多い場合や臭気性ガス量が少なかった場合に、水素ガスセンサの測定バラつきにより、単に、特許文献2のように臭気性ガスにより検出された臭気性ガスの検出値から水素ガスセンサにより検出された水素ガスの影響を分離しようとした場合、水素ガスセンサでの検出量が正にばらつくと、臭気性ガスの検出値が0又は負の値となり、正しく腸内環境が推測できないという課題に直面した。そこで、実施形態の一態様に係る生体情報測定システムにより、水素ガスセンサの測定ばらつきによって水素ガスの量が変動したとしても、これによって臭気性ガス量を大きく誤ることを抑制することが可能となった。
【0009】
実施形態の一態様に係る生体情報測定システムにおいて、前記所定の条件は、前記第一の算出値または前記第二の算出値が第一の閾値より上回ること、または、第三の算出値が前記第一の閾値よりも小さい第二の閾値を下回ることの少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0010】
実施形態の一態様に係る生体情報測定システムによれば、臭気性ガスの検出が困難と考えられる、健康系ガスの量が多い場合、及び/又は、臭気性ガスの量が少ない場合に、臭気性ガス量が0以下となり、データが表示できない状態を回避することにより、通常時は、測定データをそのまま表示し、水素ガス量のバラつきにより測定エラーが生じる場合に対応でき、さらに使い勝手を向上させることができる。したがって、生体情報測定システムは、ガス測定に基づく処理を適切に実行可能にすることができることができる。
【0011】
実施形態の一態様に係る生体情報測定システムにおいて、前記所定の条件は、前記第二の算出値が、前記第二のガスセンサの検出結果に基づき算出される臭気性ガス及び水素ガスに対応する第零の算出値より上回ることを含むことを特徴とする。
【0012】
実施形態の一態様に係る生体情報測定システムによれば、臭気性ガスの検出が困難と考えられる、第一のガスセンサの水素ガス量が大きい場合に下降補正を行うことで、補正が必要なタイミングにのみ水素ガス量を小さく補正することでより精度よく例えば、腸内環境の状態等の健康状態を推定できる。したがって、生体情報測定システムは、ガス測定に基づく処理を適切に実行可能にすることができることができる。
【0013】
実施形態の一態様に係る生体情報測定システムにおいて、前記制御装置は、前記所定の条件を満たした場合、前記第1情報に含まれる値を、予め設定した設定値に変更することを特徴とする。
【0014】
実施形態の一態様に係る生体情報測定システムによれば、簡易な対策で計測が困難な場合でもデータが日々表示されている測定値から逸脱することを抑制できる。したがって、生体情報測定システムは、ガス測定に基づく処理を適切に実行可能にすることができることができる。
【0015】
実施形態の一態様に係る生体情報測定システムは、過去の第1情報を記憶する記憶手段を有し、前記制御装置は、前記記憶手段に記憶された前記過去の第1情報に基づいて、前記第1情報を変更することを特徴とする。
【0016】
実施形態の一態様に係る生体情報測定システムによれば、計測が困難であった場合でもデータが日々表示されている測定値から逸脱することを抑制できる。例えば、腸内環境は数週間かけて徐々に変動していくものであり、経時変動が重要である。実施形態の一態様に係る生体情報測定システムによれば、直近の過去のデータを用いると、そこから大きく腸内環境が変動することはあり得ないため、大きく結果を誤ることを防止できる。したがって、生体情報測定システムは、ガス測定に基づく処理を適切に実行可能にすることができることができる。
【0017】
実施形態の一態様に係る生体情報測定システムにおいて、前記出力手段は、前記所定の条件を満たした場合、測定精度に関する第2情報を出力することを特徴とする。
【0018】
実施形態の一態様に係る生体情報測定システムによれば、所定の条件となったために正確な測定ができていない可能性のあることを利用者に伝えることで、誤った測定結果によって利用者を不要に心配にさせることないようになる。したがって、生体情報測定システムは、ガス測定に基づく処理を適切に実行可能にすることができることができる。
【0019】
実施形態の一態様に係る生体情報測定システムにおいて、前記出力手段は、前記所定の条件を満たした場合、測定エラーに関する第3情報を出力することを特徴とする。
【0020】
実施形態の一態様に係る生体情報測定システムによれば、所定の条件となった場合に、ガスセンサの測定精度を保証できない範囲での測定となったために正確な測定ができていない可能性のあることを利用者に伝えることで、誤った測定結果によって利用者を不要に心配にさせることないようになる。したがって、生体情報測定システムは、ガス測定に基づく処理を適切に実行可能にすることができることができる。
【0021】
実施形態の一態様に係る便座装置は、トイレ室に設置された大便器のボウル内に排出される排便ガスに基づいて、前記トイレ室の利用者の生体情報を測定する便座装置であって、気体に含まれる水素ガスに反応する第一のガスセンサおよび硫黄成分を含む臭気性ガスと水素ガスに反応する第二のガスセンサを備えたガス検出装置と、前記ガス検出装置を制御する制御装置と、前記制御装置による処理結果に関する情報を出力する出力手段と、を有し、前記制御装置は、前記第一のガスセンサの検出結果に基づいて水素ガスに対応する第一の算出値を算出し、前記第一の算出値に基づいて前記第二のガスセンサの水素ガスに対応する第二の算出値を算出し、前記第二のガスセンサの検出結果および前記第二の算出値に基づいて臭気性ガスに対応する第三の算出値を算出し、前記便座装置が前記第三の算出値に基づいて前記利用者の健康状態または前記健康状態に関する情報を推定するものであって、前記制御装置は、前記第一の算出値、前記第二の算出値、前記第三の算出値の少なくとも1つが所定の条件を満たす場合、前記出力手段により出力される前記利用者の健康状態または前記健康状態に関する情報である第1情報を前記第三の算出値に基づかずに変更する制御を行うことを特徴とする。
【0022】
実施形態の一態様に係る便座装置によれば、水素ガスセンサ(第一のガスセンサに対応)により測定した水素ガス検出量がバラついたとしても、臭気性ガス量が0以下となることを抑制し、日々の例えば、腸内環境の状態等の健康状態を利用者に表示する際に、データがない状態を回避することにより、使い勝手を向上させることができる。したがって、便座装置は、ガス測定に基づく処理を適切に実行可能にすることができることができる。
【発明の効果】
【0023】
実施形態の一態様によれば、ガス測定に基づく処理を適切に実行可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、実施形態に係るトイレ室の構成の一例を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る測定装置の構成の一例を示す平面図である。
図3図3は、実施形態に係る生体情報測定システムの全体概要の一例を示す図である。
図4図4は、利用者の行動とシステムの動作の関係の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る便座装置の構成の一例を示すブロック図である。
図6図6は、実施形態に係る制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
図7図7は、ガスセンサの構成の一例を示す図である。
図8図8は、ガスセンサの測定に基づく値とガスの量の関係の一例を示す図である。
図9図9は、ガスセンサと反応成分の一例を示す図である。
図10図10は、臭気性ガスの量の算出処理の一例を示す図である。
図11図11は、臭気性ガスの量の算出の概要を示す図である。
図12図12は、ガスセンサの測定ばらつきによる算出への影響の一例を示す図である。
図13図13は、ガスセンサの測定ばらつきによる算出への影響の一例を示す図である。
図14図14は、ガスセンサによる第1の測定例を示す図である。
図15図15は、ガスセンサによる第2の測定例を示す図である。
図16図16は、ガスセンサによる第3の測定例を示す図である。
図17図17は、ガスセンサによる第4の測定例を示す図である。
図18図18は、ガスセンサによる第5および第6の測定例を示す図である。
図19図19は、ガスセンサによる第7の測定例を示す図である。
図20図20は、第3の測定例に対応する構成及び制御の一例を示す図である。
図21図21は、第4の測定例に対応する構成及び制御の一例を示す図である。
図22図22は、第4の測定例に対応する構成及び制御の一例を示す図である。
図23図23は、第4の測定例に対応する構成及び制御の一例を示す図である。
図24図24は、生体情報測定システムによる情報の第1の変更を示す図である。
図25図25は、生体情報測定システムによる変更後の情報の表示例を示す図である。
図26図26は、生体情報測定システムによるスコアの補正例を示す図である。
図27図27は、生体情報測定システムによる情報の第2の変更を示す図である。
図28図28は、生体情報測定システムによる情報の第3の変更を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する生体情報測定システム及び便座装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。本願では、腸内発酵由来で健康度の高さを示すガスを健康系ガスと称し、腸内腐敗由来で健康度の低さを示すガスを臭気性ガスと称する。
【0026】
例えば、健康系ガスは、腸内の善玉菌による発酵で生成されるガスである。例えば、健康系ガスは、腸内発酵由来で腸内の健康度が高い程多くなるガスであってもよい。具体例としては、健康系ガスは、一例として、水素、二酸化炭素、酢酸、メタン、エタノール、水等がある。
【0027】
また、例えば、臭気性ガスは、腸内の悪玉菌による発酵で生成されるガスである。例えば、臭気性ガスは、排便ガスのうち、硫黄成分を含むガスであってもよい。臭気性ガスは、一例として、アンモニア、トリメチルアミン、硫化水素、メチルメルカプタン、インドール、スカトール等がある。なお、ここでいう排便ガスとは、腸から出るガスであり、例えば、排便ガスには、排便と同時に出てくるガスや排便と同時に排出されないガスも含まれる。
【0028】
<1.実施形態>
以下では、ガスの収集場所となるトイレ室Rや生体情報測定システム1の概要について説明した後、生体情報測定システム1が実行する各種処理やその処理を行うための構成について説明する。
【0029】
<1-1.トイレ室の構成例>
まず、実施形態に係る生体情報測定システムの構成について図1を参照して説明する。図1は、実施形態に係る生体情報測定システムの構成の一例を示す斜視図である。なお、図1では、測定装置4の構成を図示するために便座5や便蓋9を透過した態様で図示する。
【0030】
図1に示すように、トイレ室Rには、床面Fに、便器7が設置される。なお、以下では、床面Fからトイレ室Rの空間内に臨む向きを上と記載する場合がある。トイレ室Rには、吸引装置10及びガス検出装置20を含むガス検出を行う測定装置4等の生体情報測定システム1の構成要素が配置される。
【0031】
便器7は、大便器であり、便器7には、ボウル部8が形成される。ボウル部8は、下方に凹んだ形状であり、利用者の排泄物を受ける部位である。なお、便器7は、図示のような床置き式に限らず、生体情報測定システム1を適用可能であれば、どのような形式でもよく、壁掛け式等のような形式であってもよい。便器7には、ボウル部8が臨む開口の端部の全周にわたってリム部が設けられる。トイレ室Rには、例えば、便器7付近に洗浄水を貯留する洗浄水タンクが設置されてもよいし、洗浄水タンクが設置されない、いわゆるタンクレス式でもよい。
【0032】
例えば、トイレ室Rに設けられた洗浄用の洗浄操作部(図示省略)が利用者により操作されると、便器7のボウル部8への洗浄水の供給による便器洗浄が実施される。洗浄操作部は操作レバーや、操作装置30に表示された便器洗浄オブジェクトに対するタッチ操作であってもよい。なお、洗浄操作部は、操作レバーなどのような利用者の手動によって便器洗浄を実施させるものに限らず、着座センサのような利用者を検知するセンサの人体検知によって便器洗浄を実施させるものでもよい。
【0033】
便座装置2は、便器7の上部に取り付けられ、本体部3と、測定装置4と、便座5と、洗浄ノズル6とを備える。便座装置2は、排泄物を受けるボウル部8が形成された便器7の上部に載置される。便座装置2は、洗浄ノズル6が洗浄水を噴射する前にボウル部8に進出するように便器7の上部に載置される。なお、便座装置2は、便器7に対して着脱可能に取り付けられてもよいし、便器7と一体化するように取り付けられてもよい。
【0034】
便座装置2は、測定装置4等の構成により、トイレ室Rに設置された便器7のボウル部8内に排出される排便ガスに基づいて、トイレ室Rの利用者の生体情報を測定する。測定装置4は、吸引装置10とガス検出装置20とを有する。なお、測定装置4については図2で詳述する。
【0035】
図1に示すように、便座5は、環状に形成され、ボウル部8の端部(リム部)に沿って、便器7の開口に重なる位置に配置される。便座5は、利用者が着座する。便座5は、着座した利用者の臀部を支持する着座部として機能する。また、便蓋9は、便座装置2に必要に応じて取り付けられ、便座装置2は、便蓋9を有しなくてもよい。
【0036】
洗浄ノズル6は、洗浄用の水を吐水するためのノズルである。洗浄ノズル6は、電動モータなどの駆動源(図5中のノズルモータ61等)の駆動により、本体部3の筐体に対して進退可能に構成される。また、洗浄ノズル6は、図示しない水道管などの水源に接続される。そして、洗浄ノズル6は、図1に示すように、本体部3の筐体に対して進出した位置(「進出位置」ともいう)にあるときに、水源からの水を利用者の身体へ噴出させて局部を洗浄する。
【0037】
図1では、洗浄ノズル6が進出位置にある状態を示す。なお、洗浄ノズル6は、便器7(ボウル部8等)内の洗浄用にも共用されてもよい。洗浄ノズル6は、利用者の局部を洗浄する局部洗浄モードと、便器7内に水を撒く便器洗浄モードとを切り替え可能に用いられてもよい。例えば、洗浄ノズル6は、便座装置2による制御に応じて、局部洗浄モードと便器洗浄モードとを切り替え可能に用いられてもよい。
【0038】
操作装置30は、トイレ室R内に設けられる。操作装置30は、利用者が操作可能な位置に設けられる。操作装置30は、利用者が便座5に着座時において、操作可能な位置に設けられる。図1では、操作装置30は、便座5に着座した利用者から見て左側方の壁面Wに配置される。なお、操作装置30は、便座5に着座した利用者が利用可能であれば、壁面に限らず、種々の態様により配置されてもよい。例えば、操作装置30は、便座装置2と一体に設けられてもよい。
【0039】
操作装置30は、便座装置2と所定のネットワークを介して、有線または無線により通信可能に接続される。例えば、便座装置2と操作装置30とは、情報の送受信が可能であれば、どのような接続であってもよく、有線により通信可能に接続されてもよいし、無線により通信可能に接続されてもよい。
【0040】
操作装置30は、例えばタッチパネル機能により表示面(例えば表示画面31)を介して利用者からの各種操作を受け付ける。また、操作装置30は、スイッチやボタンを備え、スイッチやボタン等により各種操作を受け付けてもよい。表示画面31は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって実現されるタブレット端末等の表示画面であり、各種情報を表示するための表示装置である。つまり、操作装置30は、表示画面31により利用者の入力を受け付け、利用者への出力も行う。表示画面31は、各種情報を表示する表示装置である。
【0041】
操作装置30は、トイレ室R内で提供される各種機能を制御するためのユーザの操作を受け付ける。操作装置30は、便座装置2による局部洗浄の実行を制御するためのユーザの操作を受け付ける。例えば、操作装置30は、上述したユーザの操作を受け付けるスイッチやボタン等を有し、スイッチやボタン等に対するユーザの接触に応じて、各種処理を実行してもよい。なお、上記は一例であり、操作装置30は、各種処理を実行するユーザによる操作を受け付けてもよい。
【0042】
生体情報測定システム1は、後述する各種の構成や処理により、トイレ室Rに設置された便器7のボウル部8内に排出される排便ガスに基づいて、トイレ室Rの利用者の生体情報を測定する。生体情報測定システム1は、排便ガスを適切に測定するために制御を実行する。生体情報測定システム1は、測定等により収集した情報を基に、利用者のスマートフォン等のユーザ端末(図3中の表示手段300に相当)に情報提供を行ってもよい。また、生体情報測定システム1は測定等により収集した情報を基に、トイレ室Rの操作装置30(もしくは表示画面31)へ情報提供を行っても良い。
【0043】
<1-2.測定装置の構成>
次に、測定装置4の構成について図2を参照して説明する。図2は、実施形態に係る測定装置の構成の一例を示す平面図である。図2に示す例では、測定装置4は、本体部3内に配置される場合を一例として示す。図2では、測定装置4が配置される箇所の本体部3の筐体(カバー)を取り除いて測定装置4の構成を図示する。
【0044】
測定装置4は、便器7のボウル部8内のガスを吸引する吸引装置10と、吸引されたガスの成分を検出するガス検出装置20とを有する。
【0045】
吸引装置10は、便器7のボウル部8内のガスを吸引するためのファンを有する。吸引装置10は、便器7のボウル部8内に連通するダクト11が接続される。ダクト11は、ボウル部8内のガスを測定装置4へ流入させる流路として機能する。吸引装置10は、ファンを駆動させることにより、ダクト11を流路としてボウル部8内のガスを吸引する。例えば、吸引装置10は、制御装置100の制御に応じて吸引に関する処理を実行する。なお、吸引装置10が便座装置2に組み込まれている脱臭装置等と共用される場合、吸引装置10は制御装置100とは別の制御手段(装置)により制御されてもよい。
【0046】
ガス検出装置20は、吸引装置10により吸引されたガスの成分の検出に関する処理を実行する。図2では、ガス検出装置20は、ボウル部8側から見て吸引装置10の後段に配置される。なお、図2は一例に過ぎず、ガス検出装置20は、吸引装置10が吸引したガスを導入可能な位置であれば任意の位置に配置されてもよい。ガス検出装置20は、本体部3外に連通するダクト12が接続される。ダクト12は、ガス検出装置20内のガスを測定装置4から流出させる流路として機能する。例えば、吸引装置10の駆動に応じて、ガス検出装置20内のガスがダクト12を流路として測定装置4外へ放出される。
【0047】
例えば、ガス検出装置20は、制御装置100の制御に応じてガスの検出に関する処理を実行する。ガス検出装置20は、気体に含まれるガスに反応するガスセンサ40を備える。ガスセンサ40は、ガスの特定の成分を検出する。
【0048】
例えば、ガスセンサ40は、半導体式ガスセンサが用いられる。ガスセンサ40は、水素を検出可能な水素ガスセンサであってもよい。ガスセンサ40は、臭気性ガスを検出可能な臭気性ガスセンサであってもよい。ガスセンサ40は、メタンを検出可能なメタンガスセンサであってもよい。例えば、ガス検出装置20は、複数のガスセンサ40を有する。複数のガスセンサ40には、水素ガスセンサであるガスセンサ40a、臭気性ガスセンサであるガスセンサ40b、メタンガスセンサであるガスセンサ40cが含まれてもよい。ガスセンサ40a~40cを、特に区別せずに説明する場合、ガスセンサ40として説明する。
【0049】
なお、上記は一例に過ぎず、ガスセンサは、半導体式のガスセンサ40に限らず、任意の態様のセンサが用いられてもよい。例えば、ガス検出装置20は、赤外線式の二酸化炭素濃度測定器等のCOセンサといった任意の単数又は複数のガスセンサを有してもよい。
【0050】
<1-3.生体情報測定システムの全体概要例>
次に、生体情報測定システム1の全体概要の一例について、図3を参照して説明する。図3は、実施形態に係る生体情報測定システムの全体概要の一例を示す図である。なお、図1及び図2で説明した内容と同様の点については適宜説明を省略する。
【0051】
図3では、生体情報測定システム1は、吸引装置10と、ガス検出装置20と、制御装置100と、推定手段200とを含む。図1及び図2では便座装置2が吸引装置10と、ガス検出装置20と、制御装置100とを有する場合を示したが、これに限られない。例えば、制御装置100は、吸引装置10及びガス検出装置20とは別に設けられ、吸引装置10及びガス検出装置20と無線または有線により通信することにより、吸引装置10及びガス検出装置20を制御してもよい。また、上述したように吸引装置10は、制御装置100とは別の制御手段により制御されてもよい。
【0052】
推定手段200は、ガス検出装置20による検出により取得される情報を基に推定処理を実行する機能を有するコンピュータ(情報処理装置)である。例えば、推定手段200は、トイレ室R外に位置するクラウドサーバ(サーバ装置)であってもよい。この場合、推定手段200は、便座装置2またはガス検出装置20等のトイレ室R内に配置される装置(「トイレ内装置」ともいう)とインターネット等の所定のネットワークを介して、有線または無線により通信可能に接続される。
【0053】
また、推定手段200は、表示手段300等の利用者への情報を表示する装置と、インターネット等の所定のネットワークを介して、有線または無線により通信可能に接続される。なお、推定手段200は、情報の送受信が可能であれば、トイレ内装置及び表示手段300等の装置とどのように接続されてもよく、有線により通信可能に接続されてもよいし、無線により通信可能に接続されてもよい。なお、推定手段200は、制御装置100と通信可能であってもよい。
【0054】
推定手段200は、トイレ内装置から受信した情報を用いて、利用者の健康状態に関する推定処理を実行する。なお、これまでに取得したデータは推定手段200で蓄積してもよいし、表示手段300に蓄積してもよい。推定手段200は、利用者の排便ガスにおける健康系ガスの量と臭気性ガスの量とに基づいて、利用者の健康状態を推定するための情報(「健康推定情報」ともいう)またはそれに関連する情報を生成する。推定手段200は、利用者の健康推定情報として、利用者の排便ガスにおける健康系ガスの量と臭気性ガスの量との比に基づいてスコアを算出する。例えば、推定手段200は、比率、臭気単体等の任意の情報を用いてもよい。なお、上記は一例に過ぎず、推定手段200は、任意の情報を利用者の健康推定情報として生成してもよい。例えば、推定手段200は、以下のような情報を利用者の健康推定情報として生成してもよいし、以下のような処理結果に基づいて健康推定情報を生成してもよい。
【0055】
例えば、推定手段200は、測定値から利用者の腸の状態に関する情報を推定してもよい。例えば、推定手段200は、菌の状態に関する情報を推定してもよい。この場合、例えば、推定手段200は、ある菌の占有率や善玉菌悪玉菌量や比率などを推定してもよい。また、例えば、推定手段200は、代謝物の状態を推定してもよい。この場合、例えば、推定手段200は、有用物質、有害物質の量やそれらの比率などを推定してもよい。例えば、推定手段200は、腸内pHの状態を推定してもよい。また、推定手段200は、上記のような情報をスコア化したり、良し悪しを評価したりした情報を生成してもよい。例えば、推定手段200は、上記のような情報を利用者の健康推定情報として生成してもよい。
【0056】
また、例えば、推定手段200は、測定値から利用者の健康状態に関する情報を生成してもよい。この場合、例えば、推定手段200は、利用者の腸内環境に関するスコアや良し悪しを評価した情報を生成してもよい。例えば、推定手段200は、利用者の腸内環境に関する情報を生成してもよい。例えば、推定手段200は、利用者の免疫に関する情報を生成してもよい。例えば、推定手段200は、利用者の痩せやすさに関する情報を生成してもよい。例えば、推定手段200は、コレステロール指数に関する情報を生成してもよい。例えば、推定手段200は、代謝スコアに関する情報を生成してもよい。例えば、推定手段200は、上記のような情報を利用者の健康推定情報として生成してもよい。なお、上述した各例は例示に過ぎず、推定手段200は、上記に限らず利用者の健康状態に関連する様々な情報を生成してもよい。
【0057】
推定手段200は、算出した比に基づいて、利用者の排便ガスにおける健康系ガスが臭気性ガスよりも多い程、利用者が健康であると推定する。推定手段200は、算出した比に基づいて、利用者の排便ガスにおける臭気性ガスが健康系ガスよりも多い程、利用者が不健康であると推定する。なお、上記は一例に過ぎず、推定手段200は、算出したスコアを基に任意の推定を行ってもよい。推定手段200は、利用者に提供する情報を表示手段300へ送信する。推定手段200は、利用者の健康推定情報として算出したスコアを、その利用者が利用する表示手段300へ送信する。
【0058】
推定手段200は、クラウドサーバ(サーバ装置)に限らず、任意の装置であってもよい。すなわち、推定手段200の装置構成及び配置は、所望の処理が実現可能であれば、任意の形態が採用可能である。例えば、推定手段200は、生体情報測定システム1の管理者等が携帯可能なノートパソコン等の携帯端末(デバイス)であってもよい。また、推定手段200は、トイレ室R内に配置されてもよい。例えば、推定手段200は、トイレ室R内に配置される構成であってもよい。例えば、推定手段200の機能は、便座装置2が有してもよい。この場合、制御装置100が推定手段200としての機能を有してもよい。
【0059】
表示手段300は、利用者へ提供する情報を表示する表示装置(コンピュータ)である。例えば、表示手段300は、利用者(ユーザ)が所有するユーザ端末(携帯端末)であってもよい。この場合、表示手段300は、例えば、スマートフォンや、携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレット型端末や、ノート型PC(Personal Computer)等により実現される。例えば、表示手段300は、推定手段200等の生体情報測定システム1に含まれる装置と所定のネットワークを介して、有線または無線により通信可能に接続される。
【0060】
表示手段300は、推定手段200との間で情報を送受信する。表示手段300は、利用者に提供する情報を推定手段200から受信する。表示手段300は、利用者の健康推定情報として算出されたスコアを推定手段200から受信する。表示手段300は、利用者の健康推定情報として算出されたスコアを含む情報を表示する。
【0061】
図3では、表示手段300は、利用者の健康推定情報として算出されたスコアを、利用者の腸内環境スコアとして表示する。例えば、表示手段300は、利用者の腸内環境スコアを、排泄の日時ごとに時系列で表示する。表示手段300は、スコアの目標値と、利用者の腸内環境スコアの経時変化を示す情報と、その評価を示す文字情報とを表示する。例えば、表示手段300は、推定手段200に情報を要求し、推定手段200から取得した情報を表示してもよい。
【0062】
なお、上記は一例に過ぎず、生体情報測定システム1は、所望の処理を実現可能であれば任意の装置構成が採用可能である。生体情報測定システム1において、便座装置2が表示手段300以外の構成を有してもよい。例えば、便座装置2は、測定装置4、制御装置100及び推定手段200を有してもよい。また、例えば、表示手段300は、生体情報測定システム1に含まれなくてもよいし、生体情報測定システム1に含まれてもよい。例えば、表示手段300がトイレ室Rの操作装置30である場合、表示手段300は、生体情報測定システム1に含まれてもよい。この場合、操作装置30が利用者の健康推定情報を表示する機能を有する。
【0063】
<1-4.利用者の行動とシステムの動作>
次に、生体情報測定システム1を利用する利用者の動き(行動)と生体情報測定システム1の動き(動作)の関係の一例について、図4を用いて説明する。図4は、利用者の行動とシステムの動作の関係の一例を示す図である。
【0064】
まず、図4を参照して、トイレ室Rを利用して排便を行う利用者の行動の流れについて説明する。トイレ室Rの利用者は、図4に示すような第1段階~第7段階の行動を行う。
【0065】
まず、利用者は、第1段階の行動として、トイレ室Rへの入室する行動を行う。トイレ室R内へ入室した利用者は、第2段階の行動として、トイレ室R内で脱衣する行動を行う。脱衣した利用者は、第3段階の行動として、トイレ室Rの便座5に着座する行動を行う。便座5に着座した利用者は、第4段階の行動として、便器7のボウル部8へ排便する行動を行う。
【0066】
排便した利用者は、第5段階の行動として、便座装置2の局部洗浄の利用やトイレットペーパーにより、排便後の局部の保清等の仕上げの行動を行う。排便後の仕上げが完了した利用者は、第6段階の行動として、立ち上がって便座5から離座する行動を行う。離座した利用者は、第7段階の行動として、便器7の洗浄、トイレ室Rからの退室、及び生体情報測定システム1による排便ガス解析結果の確認等を行う。
【0067】
次に、上述した利用者の行動に対応する生体情報測定システム1の動作の流れについて説明する。生体情報測定システム1は、トイレ室Rに入室した利用者の排便が開始されるまでに、ガスの吸引を開始する。図4では、生体情報測定システム1は、第1段階から第3段階の間にガスの吸引を開始する。これにより、生体情報測定システム1は、利用者の排便前に測定準備を完了する。例えば、生体情報測定システム1は、利用者が排便を行う前のボウル部8内の気体(ガス)を吸引することにより、利用者の排便後のガスと比較するための基準(ベースライン)となるガスを吸引する。例えば、生体情報測定システム1は、ベースラインからの増分(増加量)を算出して、排便ガスに含まれる成分の量を推定(算出)する。
【0068】
生体情報測定システム1は、着座した利用者が排便を行い離座するまでに間に排便ガスの測定を実行する。図4では、生体情報測定システム1は、第4段階になる前から第5段階の間に利用者の排便ガスの測定を実行する。これにより、生体情報測定システム1は、利用者の着座中随時ガスを吸引し、データを取得する。
【0069】
生体情報測定システム1は、排便ガスの測定が完了した後、排便ガスの解析を実行する。図4では、生体情報測定システム1は、第6段階から第7段階の間に利用者の排便ガスの解析を実行する。これにより、生体情報測定システム1は、利用者が排便を終了した後、その利用者ついて取得した排便ガス(結果)の情報に基づいて解析し、スコアを算出する。生体情報測定システム1は、利用者の排便ガスの解析し、その解析結果を利用者に提供する。なお、解析および結果の提供は、第6段階から第7段階に限らず、その情報が提供可能な状況であれば、任意のタイミングで行われてもよい。例えば、生体情報測定システム1は、測定中、測定終了次第等の任意のタイミングで解析および結果等の各種の情報の提供を行ってもよい。
【0070】
<1-5.便座装置の機能構成>
次に、便座装置2の機能構成について図5を参照して説明する。図5は、実施形態に係る便座装置の構成の一例を示すブロック図である。図5に示すように、便座装置2は、人感センサ32と、着座センサ33と、照度センサ34と、制御装置100と、ノズルモータ61と、洗浄ノズル6とを備える。
【0071】
なお、図5に示す便座装置2の構成は一例に過ぎず、各構成が個別に設けられる場合、便座装置2は、便座5のみを有してもよい。このように、図5に示す便座装置2の構成は一例に過ぎず、便座装置2は、任意の構成が採用可能である。人感センサ32や着座センサ33や照度センサ34等は、所望のセンシングが可能であれば任意の箇所に配置されてもよい。また、便座装置2は、利用者の便座5への着座を検知可能であればよく、人感センサ32、着座センサ33及び照度センサ34のうち少なくとも1つを有すればよい。便座装置2は、通信装置(例えば図6中の制御装置100の通信部110等)により、所定のネットワーク(インターネット等)を介して、有線または無線で推定手段200等の情報処理装置との間で情報の送受信を行う。
【0072】
人感センサ32は、人体を検知する機能を有する。例えば、人感センサ32は、利用者の便座5への着座を検知する着座検知手段として用いられる。例えば、人感センサ32は、赤外線信号を用いた焦電センサ等により実現される。例えば、人感センサ32は、μ(マイクロ)波センサ等により実現されてもよい。例えば、人感センサ32は、赤外線投受光式の測距センサであり、人(利用者)が便座5に着座する直前において便座5の付近に存在する人体や、便座5に着座した利用者を検知してもよい。
【0073】
人感センサ32は、利用者による便座5からの離座を検知する離座検知センサとしても機能する。人感センサ32は、便座5に対する利用者の着座状態を検知する。人感センサ32は、検知信号を制御装置100へ出力する。なお、上記は一例であり、人感センサ32は、上記に限らず、種々の手段により人体を検知してもよい。例えば、人感センサ32は、便座5へ接近した人(利用者など)を検知する。
【0074】
着座センサ33は、便座装置2への人の着座を検知する機能を有する。例えば、着座センサ33は、利用者の便座5への着座を検知する着座検知手段として用いられる。例えば、着座センサ33は、荷重センサ等により実現される。着座センサ33は、利用者が便座5に着座したことを検知する。着座センサ33は、便座5に対する利用者による着座を検知可能である。
【0075】
着座センサ33は、利用者による便座5からの離座を検知する離座検知センサとしても機能する。着座センサ33は、便座5に対する利用者の着座状態を検知する。なお、上記は一例であり、着座センサ33は、上記に限らず、種々の手段により便座装置2への人の着座を検知してもよい。着座センサ33は、着座検知信号を制御装置100へ出力する。
【0076】
照度センサ34は、照度を検知するセンサである。例えば、照度センサ34は、利用者の便座5への着座を検知する着座検知手段として用いられる。例えば、照度センサ34は、ボウル部8を臨む位置に配置され、ボウル部8内の照度を検知する。
【0077】
照度センサ34は、利用者による便座5からの離座を検知する離座検知センサとしても機能する。照度センサ34は、便座5に対する利用者の着座状態を検知する。なお、上記は一例に過ぎず、照度センサ34は、照度により利用者の便座5への着座が検知可能であれば、どのような位置に配置されてもよい。
【0078】
制御装置100は、各種構成や処理を制御する。制御装置100は、ガスの測定等に関する各種の情報処理を実行するコンピュータ(情報処理装置)である。制御装置100は、制御に必要な構成を有すればどのような装置であってもよく、例えばマイクロコンピュータ等であってもよい。
【0079】
制御装置100は、ガスを測定するための各種構成を制御する。例えば、制御装置100は、切替弁や閉止弁等の各種の弁を制御する。例えば、制御装置100は、切替弁を制御することにより、ガスが流れる流路を制御する。例えば、制御装置100は、切替弁を切り替えることにより、ガスが流れる流路を切り替える。制御装置100は、ガス検出装置20を制御する。
【0080】
制御装置100は、利用者のトイレ室Rの利用に応じて、ガス検出装置20に排便ガス測定の開始や停止を制御する。例えば、制御装置100は、利用者の便座5への着座に応じて排便ガス測定の開始をガス検出装置20に指示し、利用者の便座5からの離座に応じて排便ガス測定の停止をガス検出装置20に指示する。
【0081】
制御装置100は、有線により、ガス検出装置20に制御情報を送信する。なお、制御装置100は、無線により、ガス検出装置20に制御情報を送信してもよい。例えば、制御装置100は、便座装置2と別装置として構成される場合、無線により、ガス検出装置20の制御情報を便座装置2へ送信してもよい。この場合、便座装置2の制御装置が受信した制御情報を基にガス検出装置20を制御してもよい。
【0082】
制御装置100は、吸引装置10を制御してもよい。例えば、制御装置100は、吸引装置10の吸引の開始や停止を制御する。制御装置100は、有線により、吸引装置10に制御情報を送信する。なお、制御装置100は、無線により、吸引装置10に制御情報を送信してもよい。例えば、制御装置100は、便座装置2と別装置として構成される場合、無線により、吸引装置10の制御情報を便座装置2へ送信してもよい。この場合、便座装置2の制御装置が受信した制御情報を基に吸引装置10を制御してもよい。
【0083】
また、制御装置100は、上記以外にも生体情報測定システム1の各種構成を制御する。制御装置100は、ノズルモータ61等を制御する。制御装置100は、操作装置30から送信された信号に基づいて、ノズルモータ61等を制御する。
【0084】
制御装置100は、操作装置30から送信された局部洗浄に関する制御指示の信号に基づいて、ノズルモータ61を制御する。制御装置100は、洗浄ノズル6を進退させるためにノズルモータ61を制御する。なお、制御装置100は、ノズルモータ61に限らず、様々な機構の制御を行ってもよい。例えば、制御装置100は、流体の流れを電磁的方法により制御する弁(バルブ)の機能を有する電磁弁の開閉を制御する。例えば、制御装置100は、電磁弁を制御することにより、例えば給水管からの水道水の供給および停止を切り替える。
【0085】
制御装置100は、有線により、ノズルモータ61等に制御情報を送信する。なお、制御装置100は、無線により、ノズルモータ61等に制御情報を送信してもよい。例えば、制御装置100は、便座装置2と別装置として構成される場合、無線により、ノズルモータ61等の制御情報を便座装置2へ送信してもよい。この場合、便座装置2の制御装置が受信した制御情報を基にノズルモータ61等を制御してもよい。
【0086】
また、制御装置100は、図1に示すような便蓋9や便座5を制御してもよい。この場合、制御装置100は、操作装置30から送信された信号に基づいて、便蓋9や便座5を制御する。制御装置100は、操作装置30から送信された便蓋開閉に関する制御指示の信号に基づいて、便蓋9を制御する。制御装置100は、操作装置30から送信された着座部開閉に関する制御指示の信号に基づいて、便座5を制御する。制御装置100は、有線により、便蓋9や便座5に制御情報を送信する。なお、制御装置100は、無線により、便蓋9や便座5に制御情報を送信してもよい。
【0087】
制御装置100は、人感センサ32、着座センサ33及び照度センサ34等の着座検知手段による利用者の着座が検知されたか否かを判定する。制御装置100は、着座検知手段から取得した着座検知手段による検知に基づく排便行為利用予測情報による便座5への利用者の着座が検知されたか否かを判定する。
【0088】
ノズルモータ61は、洗浄ノズル6を進退駆動する駆動源(モータ)である。ノズルモータ61は、洗浄ノズル6を本体部3に対して進退させる制御を実行する。ノズルモータ61は、制御装置100からの指示に応じて洗浄ノズル6を進退させる制御を実行する。
【0089】
図5に示す構成では、便座装置2に、制御装置100等が含まれる構成を一例として示したが、制御装置100、人感センサ32、着座センサ33及び照度センサ34等は、便座装置2とは別装置として構成されてもよい。例えば、制御装置100は、便座装置2とは別装置で構成されてもよい。例えば、制御装置100は、サーバ装置であり、便座装置2から離間した位置に配置されてもよい。この場合、制御装置100は、便座装置2、人感センサ32、着座センサ33及び照度センサ34等の各装置と通信し、各種の情報を各装置から受信する。また、この場合、便座装置2は、ノズルモータ61等の便座装置2の各種構成を制御するための構成(制御回路等)を有してもよい。なお、上記は一例に過ぎず、生体情報測定システム1は、所望の処理が可能であれば、任意の装置構成が採用可能である。
【0090】
<1-6.制御装置の機能構成>
以下、制御装置の機能構成について図6を参照して説明する。図6は、実施形態に係る制御装置の構成の一例を示すブロック図である。図6に示すように、制御装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。なお、制御装置100の構成は、図6に示した構成に限られず、所望の処理を実現可能であれば他の構成であってもよい。例えば、制御装置100は、通信部110を有しなくてもよい。
【0091】
通信部110は、例えば、通信回路等によって実現される。通信部110は、所定のネットワークと有線または無線で接続され、外部の情報処理装置との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部110は、所定のネットワークと有線または無線で接続され、操作装置30等の他の装置との間で情報の送受信を行う。なお、通信部110は、制御装置100とは別装置(通信装置)として構成され、便座装置2が有してもよい。
【0092】
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。例えば、記憶部120は、各種の情報処理のプログラム等によって使用されるデータ等を非一時的に記録するコンピュータが読み取り可能な記録媒体である。
【0093】
実施形態に係る記憶部120は、処理に必要な様々な情報を記憶する。記憶部120は、各種センサ等の他の装置から取得した各種情報を記憶する。記憶部120は、各種の情報処理で用いる様々な情報を記憶する。記憶部120は、各種処理に用いる情報を記憶する。例えば、記憶部120は、第一の閾値、第二の閾値等、処理に用いる閾値に関する情報を記憶する。
【0094】
記憶部120は、情報の変更可否の判定に用いる所定の条件を示す情報を記憶する。記憶部120は、第一の算出値または第二の算出値が第一の閾値より上回ること、または、第三の算出値が第一の閾値よりも小さい第二の閾値を下回ることの少なくとも1つを含む所定の条件を示す情報を記憶する。記憶部120は、第二の算出値が、第二のガスセンサの検出結果に基づき算出される臭気性ガス及び水素ガスに対応する第零の算出値より上回ることを含む所定の条件を示す情報を記憶する。記憶部120は、過去の第1情報を記憶する記憶手段として機能する。記憶部120は、過去の推定処理の結果、過去に出力した情報等の各種の履歴情報を記憶する。
【0095】
図6に戻り、説明を続ける。制御部130は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)やCPU(Central Processing Unit)等によって、制御装置100内部に記憶されたプログラム(例えば、本開示に係る各種の情報処理のプログラム等)がRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0096】
図6に示すように、制御部130は、取得部131と、処理部132と、出力部133とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、図6に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0097】
取得部131は、各種情報を取得する。取得部131は、記憶部120から各種情報を取得する。取得部131は、他の装置から情報を受信する。取得部131は、各種のセンサが検知した情報(検知情報等)を各種のセンサから受信する。
【0098】
取得部131は、着座検知手段により検知された情報(検知情報等)を着座検知手段から取得する。取得部131は、人感センサ32、着座センサ33及び照度センサ34のうち少なくとも1つのセンサが検知した情報(検知情報等)をそのセンサから受信する。
【0099】
取得部131は、着座検知手段による検知に基づく排便行為利用予測情報を取得する。例えば、取得部131は、利用者の着座を示す排便行為利用予測情報を取得する。
【0100】
処理部132は、各種の処理を行う。処理部132は、記憶部120に記憶された情報を用いて、各種の処理を行う。処理部132は、ガス検出装置20を制御する。
【0101】
処理部132は、判定処理を行う。処理部132は、記憶部120に記憶された各種の情報を用いて判定処理を行う。処理部132は、取得部131により取得された各種の情報を用いて基準値制御を実行するか否かを判定する。
【0102】
処理部132は、算出処理を行う。処理部132は、記憶部120に記憶された各種の情報を用いて算出処理を行う。処理部132は、取得部131により取得された各種の情報を用いて算出処理を行う。
【0103】
処理部132は、ガスに関する各種情報を算出する。処理部132は、ガス検出装置20により測定された測定値を基に値を算出する。処理部132は、ガスセンサ40により測定された電圧値を基に、センサ素子の抵抗値を算出する。例えば、処理部132は、電圧値とセンサ素子の抵抗値との関係を示す関数を用いて、測定した電圧値からセンサ素子の抵抗値を算出する。処理部132は、式(1)を用いてセンサ素子の抵抗値の逆数(「算出値」ともいう)を算出する。
【0104】
処理部132は、算出したセンサ素子の抵抗値を基に、ガスの濃度を算出してもよい。この場合、処理部132は、抵抗値とガスの濃度との関係を示す関数を用いて、算出した抵抗値からガスの濃度を算出する。
【0105】
処理部132は、第一のガスセンサであるガスセンサ40aの検出結果に基づいて得られた水素ガスに対応する第一の算出値、及び臭気性ガスに対応する第三の算出値に基づいて利用者の健康状態を推定するための情報(健康推定情報)またはそれに関連する情報を推定する推定処理を実行する。なお、推定手段200が行う場合、処理部132は、推定処理を行わなくてもよい。
【0106】
処理部132は、気体に含まれる水素ガスに対応する複数の算出値に基づいて、ガスセンサ40bの水素ガスに対応する第二の算出値を算出する。処理部132は、ガスセンサ40bの検出結果および第二の算出値に基づいて、臭気性ガスに対応する第三の算出値を算出する。処理部132は、ガスセンサ40aの検出結果に基づいて得られた水素ガスに対応する第一の算出値を含む複数の算出値を用いて第二の算出値を算出する。
【0107】
処理部132は、ガスセンサ40aにより密閉空間内のガスを複数回測定して得られた複数の算出値の統計値である第二の算出値を算出する。処理部132は、貯蔵部内のガスを複数回測定して得られた複数の算出値の統計値である第二の算出値を算出する。処理部132は、流路内のガスを一度または複数回測定して得られた一つまたは複数の算出値の統計値である第二の算出値を算出する。
【0108】
処理部132は、第一の算出値とガスセンサ40cの検出結果に基づいて得られた水素ガスに対応する第四の算出値とを含む複数の算出値を用いて第二の算出値を算出する。例えば、処理部132は、第一の算出値から求めた量または濃度と第四の算出値から求めた量または濃度との差が所定値以下である場合、利用者の排便ガスにメタンガスが含まれないと判定する。例えば、処理部132は、第一の算出値から求めた量または濃度と第四の算出値から求めた量または濃度との差が所定値よりも大きい場合、利用者の排便ガスにメタンガスが含まれると判定する。
【0109】
処理部132は、利用者の排便ガスにメタンガスが含まれると判定した場合、ガスセンサ40cをメタンガスの検出用のセンサとして用いる。処理部132は、利用者の排便ガスにメタンガスが含まれないと判定した場合、ガスセンサ40cを水素ガスの検出用のセンサとして用いる。
【0110】
処理部132は、第一のガスセンサであるガスセンサ40aの検出結果に基づいて水素ガスに対応する第一の算出値を算出する。処理部132は、第一の算出値に基づいて第二のガスセンサであるガスセンサ40bの水素ガスに対応する第二の算出値を算出する。ガスセンサ40cが水素ガス検出用のセンサとして使用される場合、処理部132は、第一の算出値および第四の算出値に基づいて第二の算出値を算出する。処理部132は、ガスセンサ40bの検出結果および第二の算出値に基づいて臭気性ガスに対応する第三の算出値を算出する。
【0111】
処理部132は、ガスセンサ40bの検出結果に基づき算出される臭気性ガス及び水素ガスに対応する第零の算出値、または、第二の算出値、または、第三の算出値のうち少なくとも一つを対象として補正を行う。処理部132は、補正として、第二の算出値を減少させる補正、または第零の算出値を増加させる。
【0112】
処理部132は、第一の算出値または第二の算出値が第一の閾値より上回った場合、または、第三の算出値が第一の閾値よりも小さい第二の閾値を下回った場合に補正を行う。処理部132は、第二の算出値が第零の算出値より上回った場合に補正を行う。処理部132は、臭気性ガスに対応する値として予め設定された補正用値を有し、第三の算出値が第三の閾値を下回った場合は、補正として、第三の算出値を補正用値に置き換える。
【0113】
処理部132は、第一の算出値、第二の算出値、第三の算出値の少なくとも1つが所定の条件を満たす場合、出力手段により出力される利用者の健康状態または健康状態に関する情報である第1情報を第三の算出値に基づかずに変更する制御を行う。処理部132は、所定の条件を満たした場合、第1情報に含まれる値を、予め設定した設定値に変更する。
【0114】
処理部132は、記憶手段に記憶された過去の第1情報に基づいて、第1情報を変更する。処理部132は、所定の条件を満たした場合、測定精度に関する第2情報を出力すると判定する。処理部132は、所定の条件を満たした場合、測定エラーに関する第3情報を出力すると判定する。
【0115】
出力部133は、各種情報を出力する出力処理を実行する。出力部133は、各種情報を送信する送信部として機能する。出力部133は、外部の情報処理装置へ情報を送信することにより、出力処理を実行する。出力部133は、外部の情報処理装置へ情報を送信する。例えば、出力部133は、推定手段200へ各種情報を送信する。例えば、出力部133は、推定手段200管理者が利用するパソコン、スマートフォン等の管理者装置へ各種情報を送信する。また、出力部133は、操作装置30(もしくは表示画面31)へ情報を送信することにより、出力処理を実行しても良い。
【0116】
出力部133は、推定手段200が推定処理に用いる各種情報を推定手段200へ送信する。出力部133は、ガス検出装置20により測定された測定値を示す情報を送信する。出力部133は、処理部132により算出された算出値を示す情報を送信する。
【0117】
出力部133は、コンテンツ等の各情報を出力する。出力部133は、所定の条件を満たした場合、元データであるスコアが変更された変更後スコアを含む情報を出力する。出力部133は、所定の条件を満たさない場合、元データであるスコアを含む情報を出力する。出力部133は、所定の条件を満たした場合、測定精度に関する第2情報を出力する。出力部133は、所定の条件を満たした場合、測定エラーに関する第3情報を出力する。
【0118】
<1-7.ガスセンサ>
ここから、ガスセンサの構成例について図7を用いて説明する。図7は、ガスセンサの構成の一例を示す図である。具体的には、図7は、半導体式のガスセンサ40の回路構成CRの一例を示す図である。
【0119】
ガスセンサ40は、センサ素子と、測定用の抵抗素子とが配置されたものである。図7では、ガスセンサ40は、センサ素子(図7中のセンサ抵抗RSに対応)と、測定用の抵抗素子(図7中の抵抗素子RLに対応)とが直列接続された回路構成CRを有する。
【0120】
半導体式のガスセンサ40では、以下のような式(1)を用いてガス量と関係がある値が算出される。式(1)は、図7中に示す回路構成CRに対応し、図7中の関数FC1と同様の式である。
【0121】
RS =((Vc-Vout)/Vout)×RL … (1)
【0122】
式(1)中の「RS」は、センサ素子の抵抗値を示す。例えば、式(1)中の「RS」は、ガスセンサ40による測定を基に算出される値の一例であるセンサ抵抗RSの抵抗値を示す。このように、式(1)は、抵抗値の計算式である。
【0123】
式(1)中の「RL」は、抵抗素子RLの抵抗値を示す。式(1)中の「Vc」は、回路電圧Vcの電圧値を示す。式(1)中の「Vout」は、抵抗素子における出力電圧Voutの電圧値を示す。例えば、式(1)中の「Vout」は、ガスセンサ40により測定される測定値の一例である抵抗素子RLの電圧値を示す。
【0124】
式(1)でのセンサ抵抗RSの抵抗値は、ガス量と関係のある指標である。生体情報測定システム1は、ガス量と関係ある指標(抵抗値)を測定値(電圧値)から算出し、算出した抵抗値からガス量を算出する。なお、半導体式のガスセンサの原理等についての詳細な説明は省略するが、例えば図7の回路構成CRのみに示される「RH」はセンサ素子を熱するためのヒータ(抵抗)に対応し、「V」はヒータの電圧に対応する。なお、本発明におけるガスセンサは、半導体式のセンサに限らず、上記式(1)を満たすセンサであれば代替可能である。
【0125】
<1-8.生体情報測定システムにおける処理概要>
ここから、上述した生体情報測定システム1の構成を前提とした処理例について説明する。まず、生体情報測定システム1における各種処理の説明に先だって、ガスセンサやガスセンサの測定に基づく値とガスの量の関係等について説明する。なお、上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。
【0126】
<1-8-1.ガスセンサの測定と量の関係例>
まず、ガスセンサの測定と量の関係について、図8を用いて説明する。図8は、センサの測定に基づく値とガスの量の関係の一例を示す図である。
【0127】
例えば、図8は、ガスセンサでの測定に基づく成分Aの算出値(抵抗値の逆数)と、成分Aのガス量(単に「量」ともいう)についての両対数グラフであるグラフGR11を示す。具体的には、図8中のグラフGR11は、縦軸が成分Aの算出値「1/kΩ」であり、横軸が成分Aの量「mL」である。
【0128】
グラフGR11中の点(○)は、例えば各々がガスセンサの測定と量の関係性導出のために行った実測結果に対応し、横軸に対応する量の成分Aを含むガスを対象として、ガスセンサで実際に測定した結果により得られた成分Aの算出値を示す。なお、図8では、説明のために5個の点(実測結果)のみを図示するが、実測結果は6個以上であってもよいし、4個以下であってもよい。
【0129】
グラフGR11の線LN1は、成分A由来の算出値と成分Aのガス量との関係を示す。線LN1に対応する式(関数)は、成分Aについて算出値からガス量を算出(推定)するための回帰式である。例えば、線LN1に対応する式(関数)は、グラフGR11中の点(実測結果)を用いた回帰分析などにより導出される。
【0130】
このように、ガスセンサの測定に基づく成分A由来の算出値と成分Aの量とは、両方logスケールにおいては線形の相関関係がある。そのため、ガスセンサのピーク値等の算出値から成分Aのガス量を算出することができる。すなわち、複数のガスセンサの各々の測定に基づく算出値から、それぞれのガス量を算出することができる。各成分のガス量を算出することで、生体情報測定システム1は、健康系ガスに該当する成分のガス量を合算した健康系ガスの量と、臭気性ガスに該当する成分のガス量を合算した臭気性ガスの量との比率関係を算出することができる。
【0131】
<1-8-2.ガスセンサと反応成分例>
次に、図9を用いて、ガスセンサと反応成分例について説明する。図9は、ガスセンサと反応成分の一例を示す図である。図9の対応テーブルTB11では、各ガスセンサとそのガスセンサが反応する成分の対応関係を示す。図9では、ガスセンサがその成分に反応する場合を「○」、ガスセンサがその成分に反応しない場合を「×」として示す。図9中の対応テーブルTB11に示すように、各ガスセンサで反応する成分が異なる。
【0132】
図9では、第一のガスセンサ(水素ガスセンサ)は、水素(H)のみに反応するセンサである。例えば、ガスセンサ40aは、第一のガスセンサ(水素ガスセンサ)である。例えば、生体情報測定システム1のガスセンサ40aは、水素のみに反応する、すなわち水素の量の変化により式(1)のセンサ抵抗RSの抵抗値が変化するガスセンサである。
【0133】
図9に示す第一のガスセンサのように、水素のみに反応する場合、利用者の排便ガスに含まれる水素由来の算出値については、以下のような式(2)で示される。
【0134】
1/Rs_1 =1/Rair+1/RH2_1 … (2)
【0135】
式(2)中の「Rs_1」は、第一のガスセンサのセンサ抵抗RSの抵抗値に対応する。例えば、式(2)中の「Rs_1」は、第一のガスセンサの測定値から算出されたセンサ抵抗RSの抵抗値である。
【0136】
式(2)中の「Rair」は、第一のガスセンサにおけるベースライン由来の抵抗値に対応する。例えば、式(2)中の「Rair」は利用者の排便ガスが放出される前のボウル部8内の空気由来の抵抗値である。
【0137】
また、式(2)中の「RH2_1」は、第一のガスセンサにおける水素ガス由来の抵抗値に対応する。例えば、式(2)中の「RH2_1」は、利用者から放出された排便ガスに含まれる水素由来の抵抗値である。
【0138】
式(2)中の「Rs_1」及び式(2)中の「Rair」は、第一のガスセンサでの測定に基づく算出値であり、第一のガスセンサでの測定により検出(取得)される。そのため、生体情報測定システム1は、第一のガスセンサでの測定により得られた値を式(2)に代入することにより、式(2)中の「RH2_1」を算出する。
【0139】
一方、図9では、第二のガスセンサ(臭気性ガスセンサ)は、臭気性ガス(HS等)に反応するが、水素(H)にも反応するセンサである。例えば、生体情報測定システム1のガスセンサ40bは、第二のガスセンサ(臭気性ガスセンサ)である。例えば、ガスセンサ40bは、臭気性ガス及び水素に反応する、すなわち臭気性ガスの量及び水素の量の変化により式(1)のセンサ抵抗RSの抵抗値が変化するガスセンサである。なお、本実施形態においては、水素ガスセンサに使用されている検出部は水素ガスに強く反応するように、臭気性ガスセンサに使用されている検出部は臭気性ガスに強く反応するように、夫々検出部の成分が調整されている。
【0140】
図9に示す第二のガスセンサのように、臭気性ガス及び水素に反応する場合、利用者の排便ガスに含まれる臭気性ガス由来の算出値については以下のような式(3)で示される。
【0141】
1/Rs_2 =1/Rair+1/RH2_2+1/RH2S_2 … (3)
【0142】
式(3)中の「Rs_2」は、第二のガスセンサのセンサ抵抗RSの抵抗値に対応する。例えば、式(3)中の「Rs_2」は、第二のガスセンサの測定値から算出されたセンサ抵抗RSの抵抗値である。
【0143】
式(3)中の「Rair」は、第二のガスセンサにおけるベースライン由来の抵抗値に対応する。例えば、式(3)中の「Rair」は利用者の排便ガスが放出される前のボウル部8内の空気由来の抵抗値である。
【0144】
また、式(3)中の「RH2_2」は、第二のガスセンサにおける水素ガス由来の抵抗値に対応する。例えば、式(3)中の「RH2_2」は、利用者から放出された排便ガスに含まれる水素由来の抵抗値である。
【0145】
また、式(3)中の「RH2S_2」は、第二のガスセンサにおける臭気性ガス由来の抵抗値に対応する。例えば、式(3)中の「RH2S_2」は、利用者から放出された排便ガスに含まれる硫化水素等の臭気性ガス由来の抵抗値である。
【0146】
式(3)中の「Rs_2」及び式(3)中の「Rair」は、第二のガスセンサでの測定に基づく算出値であり、第二のガスセンサでの測定により検出(取得)されるが、式(3)には「RH2_2」及び「RH2S_2」の2つの変数が未定である。そのため、生体情報測定システム1は、式(3)のみでは、式(3)中の「RH2S_2」の値を確定させることができない。そこで、生体情報測定システム1は、第二のガスセンサ以外のガスセンサの情報を用いて、臭気性ガスの量を算出(推定)するが、この点については後述する。
【0147】
また、図9では、第三のガスセンサ(メタンガスセンサ)は、メタン(CH等)に反応するが、水素(H)にも反応するセンサである。例えば、生体情報測定システム1のガスセンサ40cは、第三のガスセンサ(メタンガスセンサ)である。例えば、ガスセンサ40cは、メタン及び水素に反応する、すなわちメタンの量及び水素の量の変化により式(1)のセンサ抵抗RSの抵抗値が変化するガスセンサである。
【0148】
また、図9では、第四のガスセンサ(二酸化炭素ガスセンサ)は、二酸化炭素(CO)のみに反応するセンサである。例えば、生体情報測定システム1のCOセンサは、第四のガスセンサ(二酸化炭素ガスセンサ)である。例えば、COセンサは、二酸化炭素のみに反応する赤外線式のガスセンサである。
【0149】
<1-8-3.臭気性ガスの量の算出例>
上述したように、第二のガスセンサ(臭気性ガスセンサ)の算出値(抵抗値の逆数)は、数種類の成分の合算値である。例えば、第二のガスセンサの算出値(抵抗値の逆数)は、ベースラインの算出値(抵抗値の逆数)と、反応する成分(臭気性ガス+健康系ガス)由来の算出値(抵抗値の逆数)の合算である。そのため、生体情報測定システム1は、各成分由来の算出値を複数のガスセンサに対応する式との連立方程式によって導出する。この点について、図10を用いて説明する。図10は、臭気性ガスの量の算出処理の一例を示す図である。
【0150】
図10中の関数群FG11は、臭気性ガスの量の算出(推定)に用いる式(2)~(6)とその対応関係を示す。
【0151】
式(2)及び式(4)は、第一のガスセンサ(水素ガスセンサ)での算出値の内訳、及び算出値とガス量との関係を示す。なお、図10中の式(2)は、上述した式(2)と同様であり詳細な説明は省略する。
【0152】
logH2量 = log(1/RH2_1)*CE1+CS1 … (4)
【0153】
式(4)中の「H2量」は、第一のガスセンサでの測定により算出(推定)される水素ガスの量であり、「logH2量」は、水素ガスの量のlog表現(対数値)に対応する。
【0154】
式(4)中の「RH2_1」は、第一のガスセンサでの測定に基づく水素ガス由来の抵抗値であり、「log(1/RH2_1)」は、水素ガス由来の算出値(抵抗値の逆数)のlog表現(対数値)に対応する。
【0155】
式(4)中の「CE1」は、「log(1/RH2_1)」に係る係数であり、例えば「-0.4…」等の任意の値が設定される。また、式(4)中の「CS1」は、「log(1/RH2_1)*CE1」に加算される定数であり、例えば「1.1…」等の任意の値が設定される。例えば、生体情報測定システム1の管理者等は、実測等により式(4)に含まれる係数「CE1」や定数「CS1」を導出し、式(4)を設定する。
【0156】
式(3)、式(5)及び式(6)は、第二のガスセンサ(臭気性ガスセンサ)での算出値の内訳、及び算出値とガス量との関係を示す。なお、図10中の式(3)は、上述した式(3)と同様であり詳細な説明は省略する。
【0157】
logH2量 = log(1/RH2_2)*CE2+CS2 … (5)
【0158】
式(5)中の「H2量」は、第二のガスセンサでの測定により算出(推定)される水素ガスの量であり、「logH2量」は、水素ガスの量のlog表現(対数値)に対応する。
【0159】
式(5)中の「RH2_2」は、第二のガスセンサでの測定に基づく水素ガス由来の抵抗値であり、「log(1/RH2_2)」は、水素ガス由来の算出値(抵抗値の逆数)のlog表現(対数値)に対応する。
【0160】
式(5)中の「CE2」は、「log(1/RH2_2)」に係る係数であり、例えば「-0.8…」等の任意の値が設定される。また、式(5)中の「CS2」は、「log(1/RH2_2)*CE2」に加算される定数であり、例えば「2.0…」等の任意の値が設定される。例えば、生体情報測定システム1の管理者等は、実測等により式(5)に含まれる係数「CE2」や定数「CS2」を導出し、式(5)を設定する。
【0161】
logH2S量 = log(1/RH2S_2)*CE3+CS3 … (6)
【0162】
式(5)中の「H2S量」は、第二のガスセンサでの測定により算出(推定)される臭気性ガスの量であり、「logH2S量」は、臭気性ガスの量のlog表現(対数値)に対応する。
【0163】
式(5)中の「RH2S_2」は、第二のガスセンサでの測定に基づく臭気性ガス由来の抵抗値であり、「log(1/RH2S_2)」は、臭気性ガス由来の算出値(抵抗値の逆数)のlog表現(対数値)に対応する。
【0164】
式(5)中の「CE3」は、「log(1/RH2S_2)」に係る係数であり、例えば「-0.7…」等の任意の値が設定される。また、式(5)中の「CS3」は、「log(1/RH2S_2)*CE3」に加算される定数であり、例えば「1.8…」等の任意の値が設定される。例えば、生体情報測定システム1の管理者等は、実測等により式(6)に含まれる係数「CE3」や定数「CS3」を導出し、式(6)を設定する。
【0165】
ここから、式(2)~(6)を用いて、生体情報測定システム1が臭気性ガスの量を算出(推定)する処理の一例を説明する。
【0166】
まず、生体情報測定システム1は、式(2)及び式(4)を用いて、第一のガスセンサの測定に基づく水素ガスの量に関する値を求める。例えば、生体情報測定システム1は、ガスセンサ40aでの測定で取得した値(式(2)中の「Rs_1」の値及び「Rair」の値)、式(2)及び式(4)を用いて、式(4)中の「logH2量」の値を求める。
【0167】
そして、生体情報測定システム1は、求めた式(4)中の「logH2量」の値を、式(5)に当てはめ、式(5)中の「RH2S_2」の値を求める。
【0168】
そして、生体情報測定システム1は、求めた式(5)中の「RH2S_2」の値を、式(3)に当てはめ、式(5)中の「RH2S_2」の値を求める。例えば、生体情報測定システム1は、求めた式(5)中の「RH2S_2」の値、ガスセンサ40bでの測定で取得した値(式(3)中の「Rs_2」の値及び「Rair」の値)を式(3)に当てはめ、式(3)中の「RH2S_2」の値を求める。例えば、生体情報測定システム1は、求めた式(3)中の「RH2S_2」の値を式(6)に当てはめ、式(6)中の「H2S量」の値を求める。
【0169】
このように、生体情報測定システム1は、第二のガスセンサ(臭気性ガスセンサ)の出力から水素ガス由来の影響を差し引くことにより、臭気性ガスの量を算出(推定)する。なお、上述した処理は一例に過ぎず、生体情報測定システム1は、臭気性ガスの量の算出(推定)可能であれば任意の処理を実行してもよい。
【0170】
<1-8-4.臭気性ガスの量の算出における課題>
ここから、上述したような水素ガスセンサでの測定を使って、臭気性ガスの量を算出する場合における課題について、図11を用いて説明する。図11は、臭気性ガスの量の算出の概要を示す図である。
【0171】
図11中の測定MS2は、第二のガスセンサ(臭気性ガスセンサ)の測定に対応する。例えば、測定MS2中の波形は、センサ出力(例えば電圧値)を示す。臭気性ガス算出処理では、第零の算出値ZV1は、第二のガスセンサの測定MS2での検出結果に基づいて得られた水素ガス及び臭気性ガスに対応する第零の算出値として算出される(ステップS10)。例えば、第零の算出値ZV1の長さが、第零の算出値ZV1の値の大きさを示す。図11中の第零の算出値ZV1は、水素ガスに対応する値である第一の混在値HV1と、臭気性ガスに対応する値である第二の混在値OV1とを含む。
【0172】
例えば、第一の混在値HV1は、式(3)の「RH2_2」に対応する正確な値(正解値)である。また、例えば、第二の混在値OV1は、式(3)の「RH2S_2」に対応する正確な値(正解値)である。なお、図11では説明のために、第零の算出値ZV1での第一の混在値HV1と第二の混在値OV1との内訳を図示するが、実際は後述する第三の算出値を基に推定されるものである。
【0173】
図11中の測定MS1は、第一のガスセンサ(水素ガスセンサ)での測定に対応する。例えば、測定MS1中の波形は、センサ出力(例えば電圧値)を示す。臭気性ガス算出処理では、第一の算出値FV1は、第一のガスセンサの測定MS1での検出結果に基づいて得られた水素ガスに対応する第一の算出値として算出される(ステップS11)。例えば、第一の算出値FV1は、式(2)の「RH2_1」に対応する。第一のガスセンサの測定値から計算した水素ガス量に関する算出値が参照される。なお、ステップS11等の番号は各処理を区別して説明するための符号であり、順序を示すものではなく、例えば、ステップS11はステップS10よりも先に実行されてもよい。
【0174】
臭気性ガス算出処理では、第二の算出値SV1は、第一の算出値FV1に基づいて、第二のガスセンサの水素ガスに対応する第二の算出値として算出される(ステップS12)。例えば、第二の算出値SV1は、式(3)の「RH2_2」に対応する推定値である。第一の算出値FV1から第二のガスセンサに含まれる水素ガス由来の第二の算出値が算出される。例えば、処理部132は、利用者の排便ガスにメタンガスが含まれないと判定した場合、第一の算出値FV1に基づいて、第二のガスセンサの水素ガスに対応する第二の算出値SV1を算出する。
【0175】
臭気性ガス算出処理では、第三の算出値TV1は、第零の算出値ZV1と第二の算出値SV1とに基づいて、臭気性ガスに対応する第三の算出値として算出される(ステップS13)。第三の算出値TV1は、第零の算出値ZV1から第二の算出値SV1を減算することにより、臭気性ガスに対応する第三の算出値として算出される。例えば、第三の算出値TV1は、式(3)の「RH2S_2」に対応する推定値である。臭気性ガス算出処理では、上述したような処理により算出される第三の算出値TV1を用いて、臭気性ガスの量が算出(推定)されるため、第一のガスセンサでの測定ばらつきが最終的な臭気性ガスの量の算出(推定)に影響を及ぼす。そのため、臭気性ガス算出処理では、臭気性ガスの量の算出における課題が生じ得る。
【0176】
ここから、図12及び図13を用いて、臭気性ガスの量の算出における課題の具体例について説明する。図12及び図13は、ガスセンサの測定ばらつきによる算出への影響の一例を示す図である。なお、図11等で説明した内容と同様の点については適宜説明を省略する。
【0177】
まず、図12を用いて臭気性ガスの量がある程度存在する場合についても生じ得る課題について説明する。
【0178】
第零の算出値ZV2は、第二のガスセンサの測定での検出結果に基づいて得られた水素ガス及び臭気性ガスに対応する第零の算出値である。図12中の第零の算出値ZV2は、水素ガスに対応する値である第一の混在値HV2と、臭気性ガスに対応する値である第二の混在値OV2とを含む。
【0179】
例えば、第一の混在値HV2は、式(3)の「RH2_2」に対応する正確な値(正解値)である。また、例えば、第二の混在値OV2は、式(3)の「RH2S_2」に対応する正確な値(正解値)である。なお、図12では説明のために、第零の算出値ZV2での第一の混在値HV2と第二の混在値OV2との内訳を図示するが、実際は後述する第三の算出値を基に推定されるものである。
【0180】
図12中の第二の算出値SV2は、第一のガスセンサの測定での検出結果に基づいて得られた水素ガスに対応する第一の算出値に基づいて算出される。第二の算出値SV2は、第二のガスセンサの水素ガスに対応する第二の算出値である。例えば、第二の算出値SV2は、式(3)の「RH2_2」に対応する推定値である。
【0181】
ここで、第一のガスセンサの測定ばらつきがある場合、第二の算出値SV2にもその測定ばらつきが反映される。図12では、第一のガスセンサの測定ばらつきにより生じる第二の算出値SV2の測定誤差が±20%である場合を一例として示す。図12中の測定誤差ME2は、第二の算出値SV2における測定誤差±20%を可視化したものであり、第二の算出値SV2は、測定誤差ME2の上端と下端との間で値が変動し得る。
【0182】
第二の算出値SV2は、第一のガスセンサの測定誤差がマイナス方向に最大(例えば測定誤差-20%)である場合、測定誤差ME2の上端までの長さに対応する値となる。この場合、第二の算出値SV2は、最も小さい値となり、水素ガスの量が少なく推定されることとなる。
【0183】
第二の算出値SV2は、第一のガスセンサの測定誤差がプラス方向に最大(例えば測定誤差+20%)である場合、測定誤差ME2の下端までの長さに対応する値となる。この場合、第二の算出値SV2は、最も大きい値となり、水素ガスの量が多く推定されることとなる。
【0184】
第三の算出値TV2は、第零の算出値ZV2と第二の算出値SV2とに基づいて、臭気性ガスに対応する第三の算出値として算出される(ステップS21)。例えば、第三の算出値TV2は、式(3)の「RH2S_2」に対応する推定値である。
【0185】
ここで、第二の算出値SV2における測定誤差±20%が、第三の算出値TV2に影響を及ぼす。図12中の誤差範囲ER2は、第三の算出値TV2において、第二の算出値SV2における測定誤差により生じ得る誤差を可視化したものであり、第二の算出値SV2における測定誤差が±20%である場合、第三の算出値TV2は、誤差範囲ER2の上端と下端との間で値が変動し得る。
【0186】
第三の算出値TV2は、第二の算出値SV2における測定誤差が-20%である場合、誤差範囲ER2の上端までの長さに対応する値となる。この場合、第三の算出値TV2は、最も大きい値となり、臭気性ガスの量が多く推定されることとなる。
【0187】
第三の算出値TV2は、第二の算出値SV2における測定誤差が+20%である場合、誤差範囲ER2の下端までの長さに対応する値となる。この場合、第三の算出値TV2は、最も小さい値となり、臭気性ガスの量が少なく推定されることとなる。
【0188】
次に、図13を用いて水素ガスの量が多く、臭気性ガスの量が少ない場合について生じ得る課題について説明する。
【0189】
第零の算出値ZV3は、第二のガスセンサの測定での検出結果に基づいて得られた水素ガス及び臭気性ガスに対応する第零の算出値である。図13中の第零の算出値ZV3は、水素ガスに対応する値である第一の混在値HV3と、臭気性ガスに対応する値である第二の混在値OV3とを含む。
【0190】
例えば、第一の混在値HV3は、式(3)の「RH2_2」に対応する正確な値(正解値)である。また、例えば、第二の混在値OV3は、式(3)の「RH2S_2」に対応する正確な値(正解値)である。なお、図13では説明のために、第零の算出値ZV3での第一の混在値HV3と第二の混在値OV3との内訳を図示するが、実際は後述する第三の算出値を基に推定されるものである。
【0191】
図13中の第二の算出値SV3は、第一のガスセンサの測定での検出結果に基づいて得られた水素ガスに対応する第一の算出値に基づいて算出される。第二の算出値SV3は、第二のガスセンサの水素ガスに対応する第二の算出値である。例えば、第二の算出値SV3は、式(3)の「RH2_2」に対応する推定値である。
【0192】
ここで、第一のガスセンサの測定ばらつきがある場合、第二の算出値SV3にもその測定ばらつきが反映される。図13では、第一のガスセンサの測定ばらつきにより生じる第二の算出値SV3の測定誤差が±20%である場合を一例として示す。図13中の測定誤差ME3は、第二の算出値SV3における測定誤差±20%を可視化したものであり、第二の算出値SV3は、測定誤差ME3の上端と下端との間で値が変動し得る。
【0193】
第二の算出値SV3は、第一のガスセンサの測定誤差がマイナス方向に最大(例えば測定誤差-20%)である場合、測定誤差ME3の上端までの長さに対応する値となる。この場合、第二の算出値SV3は、最も小さい値となり、水素ガスの量が少なく推定されることとなる。
【0194】
第二の算出値SV3は、第一のガスセンサの測定誤差がプラス方向に最大(例えば測定誤差+20%)である場合、測定誤差ME3の下端までの長さに対応する値となる。この場合、第二の算出値SV3は、最も大きい値となり、水素ガスの量が多く推定されることとなる。図13の例では、水素ガスの量が多く、臭気性ガスの量が少ないため、第一のガスセンサの測定誤差がプラス方向である場合、第二の算出値SV3が第零の算出値ZV3よりも大きくなることが生じ得る。
【0195】
第三の算出値TV3は、第零の算出値ZV3と第二の算出値SV3とに基づいて、臭気性ガスに対応する第三の算出値として算出される(ステップS22)。例えば、第三の算出値TV3は、式(3)の「RH2S_2」に対応する推定値である。
【0196】
ここで、第二の算出値SV3における測定誤差±20%が、第三の算出値TV3に影響を及ぼす。図13中の誤差範囲ER3は、第三の算出値TV3において、第二の算出値SV3における測定誤差により生じ得る誤差を可視化したものであり、第二の算出値SV3における測定誤差が±20%である場合、第三の算出値TV3は、誤差範囲ER3の上端と下端との間で値が変動し得る。
【0197】
第三の算出値TV3は、第二の算出値SV3における測定誤差が-20%である場合、誤差範囲ER3の上端までの長さに対応する値となる。この場合、第三の算出値TV3は、最も大きい値となり、臭気性ガスの量が多く推定されることとなる。
【0198】
第三の算出値TV3は、第二の算出値SV3における測定誤差が+20%である場合、誤差範囲ER3の下端までの長さに対応する値となる。この場合、第三の算出値TV3は、第二の算出値SV3が第零の算出値ZV3よりも大きくなり、臭気性ガスの量が0以下になることが生じ得る。
【0199】
このように、第一のガスセンサに測定ばらつきがある場合、第一のガスセンサに測定ばらつきが臭気性ガスの量の推定値に影響を及ぼす。例えば、上述した図13のようなケースでは、第一のガスセンサ水素ガス量の測定ばらつきの影響を大きく受けてしまい、場合によっては臭気性ガス由来の算出値が0以下になり、スコアを適切に算出することができない場合が生じ得る。このような場合、ガス測定に基づく処理を適切に実行可能にすることが難しい。そこで、生体情報測定システム1は、以下の第1の処理、第2の処理及び第3の処理のいずれかにより、上記のような課題を解決し、ガス測定に基づく処理を適切に実行可能にする。
【0200】
<1-9.第1の処理(複数回測定)>
生体情報測定システム1は、第一のガスセンサに測定ばらつきによる影響を抑制するために、複数の情報を用いる第1の処理を実行する。具体的には、生体情報測定システム1は、第一のガスセンサの検出結果に基づいて得られた水素ガスに対応する第一の算出値を含む複数の算出値に基づいて、第二のガスセンサの水素ガスに対応する第二の算出値を算出する。
【0201】
これにより、生体情報測定システム1は、複数回の測定により測定ばらつきの影響を抑制することができる。このように複数回測定を行う場合の生体情報測定システム1の構成や測定の例について、以下例示を説明する。
【0202】
<1-9-1.第1の測定例>
まず、図14を用いて第1の測定例について説明する。図14は、ガスセンサによる第1の測定例を示す図である。具体的には、図14は、複数のデータを用いた処理である第1の測定例の概要を示す図である。図14では、処理のイメージを示すために、生体情報測定システム1の構成のうち一部のみを図示する。図14では、ガス検出装置20は、水素ガスセンサであるガスセンサ40aと臭気性ガスセンサであるガスセンサ40bとを有する。なお、上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。
【0203】
図14中の測定MS11は、ガスセンサ40aでの測定に対応する。例えば、測定MS11中の線LN11は、ガスセンサ40aの測定値(電圧値)であるセンサ出力を示す。測定MS11中のハッチング部分は、1回の測定処理に対応し、1回の排便が出ると同時に排出された排便ガスや1回のオナラ等により生じるセンサ出力の変化を示す。例えば、生体情報測定システム1は、1回の測定処理の最大値(ピーク値)を測定値(電圧値)として用い、算出値を算出する。
【0204】
第1の測定例では、生体情報測定システム1は、1回の排便またはオナラで出た排便ガスをガスセンサ40aで複数のデータを取得し平均化する。例えば、生体情報測定システム1は、ガスセンサ40aでの測定を複数回実行し、複数の測定値を取得して算出した複数の算出値を平均化する。例えば、生体情報測定システム1は、ガスセンサ40aでの複数の測定の各々の対応する算出値を平均化した値を、式(2)の「RH2_1」の値(「決定値」ともいう)として用いることにより、第二の算出値を算出する。
【0205】
このように、生体情報測定システム1は、ガスセンサ40aによりガスを複数回測定して得られた複数の算出値の統計値である第二の算出値を算出する。この場合、第二の算出値は、ガスセンサ40aによりガスを複数回測定して得られた複数の算出値の統計値である。これにより、生体情報測定システム1は、複数データを平均化し測定ばらつきを低減し、真の値に近い水素ガス量を算出(推定)することができる。なお、上述した例では、平均値を、第二の算出値の算出の決定値として用いる場合を一例として説明したが、複数のデータを基に決定される値であれば、平均値に限らず、第二の算出値の算出に用いる決定値は、例えば中央値等の任意の値であってもよい。
【0206】
<1-9-2.第2の測定例>
次に、図15を用いて第2の測定例について説明する。図15は、ガスセンサによる第2の測定例を示す図である。具体的には、図15は、複数のデータを取得するための具体的な構成を有する生体情報測定システム1が実行する第2の測定例の概要を示す図である。なお、上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。
【0207】
図15では、生体情報測定システム1は、ガスを留める機構である密閉手段50を有する。密閉手段50は、内部に密閉空間を有し、密閉空間にガスを留めることが可能である。図15では、密閉手段50は、ガス検出装置20と吸引装置10との間に配置される。すなわち、密閉手段50は、ガス検出装置20と吸引装置10との間の流路に配置される。密閉手段50は、吸引装置10によって吸引されたガスを密閉空間に留める。例えば、密閉手段50は、吸引装置10によって吸引されたガスを貯蔵する貯蔵部を有する。貯蔵部は、内部に密閉空間を有し、密閉空間にガスを貯蔵することができる。
【0208】
第2の測定例では、生体情報測定システム1は、複数回測定するため排便ガスを密閉手段50に貯める。この場合、生体情報測定システム1は、密閉手段50等のガスを留める機構により、留めたガスを複数回測定する。例えば、生体情報測定システム1は、ガスセンサで所定値以上の出力検知した場合、閉止弁(図示せず)を閉じる。そして、生体情報測定システム1は、吸引装置10を止めて、貯蔵部にガスを留める。そして、生体情報測定システム1は、留めたガスをガスセンサ40aと接触させる。
【0209】
図15中の測定MS12は、ガスセンサ40aでの測定に対応する。例えば、測定MS12中の線LN12は、ガスセンサ40aの測定値(電圧値)であるセンサ出力を示す。測定MS12中のハッチング部分は、1回の測定処理に対応し、1回の排便が出ると同時に排出された排便ガスや1回のオナラ等により生じるセンサ出力の変化を示す。例えば、生体情報測定システム1は、1回の測定処理の最大値(ピーク値)を測定値(電圧値)として用い、算出値を算出する。
【0210】
第2の測定例では、生体情報測定システム1は、排便ガスを流路(密閉手段50等)内に留めた後に水素ガスセンサであるガスセンサ40aでの複数回の測定により複数の算出値取得し、平均化する。
【0211】
このように、生体情報測定システム1は、ガスセンサ40aにより密閉空間内のガスを複数回測定して得られた複数の算出値の統計値である第二の算出値を算出する。第二の算出値は、ガスセンサ40aにより密閉空間内のガスを複数回測定して得られた複数の算出値の統計値である。具体的には、生体情報測定システム1は、貯蔵部内のガスを複数回測定して得られた複数の算出値の統計値である第二の算出値を算出する。第二の算出値は、貯蔵部内のガスを複数回測定して得られた複数の算出値の統計値である。
【0212】
これにより、生体情報測定システム1は、流路内に排便ガスを留めることで、排便ガスを水素ガスセンサで何度も測定できるようになり、複数の信号を平均化することでセンサの測定バラつきによる影響を低減することができる。第二の算出値を算出した後の処理については、第1の測定例と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0213】
<1-9-3.第3の測定例>
次に、図16を用いて第3の測定例について説明する。図16は、ガスセンサによる第3の測定例を示す図である。具体的には、図16は、密閉手段50内にガス検出装置20を配置した生体情報測定システム1が実行する第3の測定例の概要を示す図である。なお、上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。
【0214】
図16では、生体情報測定システム1は、密閉手段50を有する。図16では、密閉手段50は、ガス検出装置20を収納する。第3の測定例での生体情報測定システム1は、ガス検出装置20が密閉手段50内に配置される。密閉手段50は、開閉手段(例えば切替弁等)により閉流路への切り替え可能な流路を有するが、この点については後述する。
【0215】
第3の測定例では、生体情報測定システム1は、密閉手段50内に留めたガスを密閉手段50内のガス検出装置20で複数回測定する。この場合、生体情報測定システム1は、ガスがセンサ表面に充満し、センサ出力が安定した状態から複数回データを取得する。
【0216】
図16中の測定MS13は、ガスセンサ40aでの測定に対応する。例えば、測定MS13中の線LN13は、ガスセンサ40aの測定値(電圧値)であるセンサ出力を示す。測定MS13中のハッチング部分は、密閉手段50内に留めたガスによりセンサ出力(電力値)がピーク(最大)となった区間の一部に対応する。例えば、生体情報測定システム1は、センサ出力(電力値)がピーク(最大)となった区間で複数回(図16では点線の○で示す3回)の測定処理を行って、各測定処理に対応する算出値を算出する。
【0217】
第3の測定例では、生体情報測定システム1は、複数回測定するため排便ガスを密閉手段50に貯める。生体情報測定システム1は、ガス検出装置20を収納した密閉手段50内に排便ガスを留めて、水素ガスセンサであるガスセンサ40aでの複数回の測定により複数の算出値取得し、平均化する。
【0218】
このように、生体情報測定システム1は、ガスセンサ40aにより密閉手段50内のガスを複数回測定して得られた複数の算出値の統計値である第二の算出値を算出する。第二の算出値は、ガスセンサ40aにより密閉手段50内のガスを複数回測定して得られた複数の算出値の統計値である。
【0219】
これにより、生体情報測定システム1は、排便ガスを連続的に水素ガスセンサと接触させることで、センサ出力が安定した状態で信号を取得でき、さらに平均化することでガスセンサの測定バラつきによる影響をより低減することができる。第二の算出値を算出した後の処理については、第1の測定例と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0220】
<1-9-4.第4の測定例>
次に、図17を用いて第4の測定例について説明する。図17は、ガスセンサによる第4の測定例を示す図である。図17は、図15に示す第2の測定例と同様の構成の生体情報測定システム1が実行する第4の測定例の概要を示す図である。具体的には、図17は、密閉手段50によりガス検出装置20と吸引装置10との間の流路に留めたガスを測定する第4の測定例を示す図である。なお、上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。
【0221】
第4の測定例での生体情報測定システム1の構成は、第2の測定例での生体情報測定システム1の構成と同様であるため、図示及び詳細な説明は省略する。
【0222】
図17中の測定MS14は、ガスセンサ40aでの測定に対応する。例えば、MS14中の線LN14は、ガスセンサ40aの測定値(電圧値)であるセンサ出力を示す。例えば、生体情報測定システム1は、図17中の点線の○で示すセンサ出力(電力値)がピーク(最大)となった時点の各々で測定処理(図17では3回))を行って、各測定処理に対応する算出値を算出する。例えば、生体情報測定システム1は、ガスを繰り返しセンサに接触させ、センサ出力のピーク値に対応するデータを複数取得する。
【0223】
第4の測定例では、生体情報測定システム1は、複数回測定するため排便ガスを密閉手段50によりガス検出装置20と吸引装置10との間の流路に貯める。生体情報測定システム1は、ガス検出装置20と吸引装置10との間の流路に排便ガスを留めて、水素ガスセンサであるガスセンサ40aでの複数回の測定により複数の算出値取得し、平均化する。すなわち、生体情報測定システム1は、排便ガスをガス検出装置20内と異なる場所に留めた後、水素ガスセンサであるガスセンサ40aにガスを繰り返し接触させ、ガスセンサ40aでの複数回の測定により複数の算出値取得し、平均化する。
【0224】
このように、生体情報測定システム1は、流路内のガスを複数回測定して得られた複数の算出値の統計値である第二の算出値を算出する。第二の算出値は、流路内のガスを複数回測定して得られた複数の算出値の統計値である。
【0225】
これにより、生体情報測定システム1は、留めた排便ガスを水素ガスセンサで繰り返し測定することで第一の算出値を複数取得し、平均化することで、測定誤差による影響を低減することができる。第二の算出値を算出した後の処理については、第1の測定例と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0226】
<1-9-5.第5の測定例>
次に、図18を用いて第5の測定例について説明する。図18は、ガスセンサによる第5の測定例を示す図である。具体的には、図18は、第三のガスセンサであるガスセンサ40cを有するガス検出装置20(「ガス検出装置20A」とする)を配置した生体情報測定システム1が実行する第5の測定例の概要を示す図である。なお、上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。
【0227】
図18では、生体情報測定システム1は、ガスセンサ40cを備えるガス検出装置20Aを有する。例えば、第三のガスセンサであるガスセンサ40cは、ガスセンサ40bより水素ガスへの感度が高く、臭気性ガスに対して感度が低いガスセンサである。第5の測定例では、ガスセンサ40cは、水素ガスセンサであってもよい。
【0228】
第5の測定例では、生体情報測定システム1は、水素ガスセンサであるガスセンサ40aと第三のガスセンサであるガスセンサ40cから水素ガス量や濃度などを示す値(例えば算出値等)を取得し、平均化する。
【0229】
生体情報測定システム1は、ガスセンサ40cの検出結果に基づいて水素ガスに対応する算出値(「第四の算出値」ともいう)を算出する。例えば、生体情報測定システム1は、式(1)を用いて、ガスセンサ40cの測定値(電圧値)から、ガスセンサ40cの水素ガスに対応する第四の算出値を算出する。生体情報測定システム1は、第四の算出値を回帰式に当てはめてガスセンサ40cの測定に基づく水素ガスの量を算出(推定)する。
【0230】
図18中の測定MS15は、ガスセンサ40a及びガスセンサ40cでの測定に対応する。例えば、測定MS15中の線LN151は、ガスセンサ40aの測定値(電圧値)であるセンサ出力を示す。例えば、測定MS15中の線LN152は、ガスセンサ40cの測定値(電圧値)であるセンサ出力を示す。
【0231】
例えば、生体情報測定システム1は、図18中の線LN151上の点線の○で示すガスセンサ40aのセンサ出力(電力値)がピーク(最大)となった時点で測定処理を行って、測定処理に対応する第一の算出値を算出する。また、例えば、生体情報測定システム1は、図18中の線LN152上の点線の○で示すガスセンサ40cのセンサ出力(電力値)がピーク(最大)となった時点で測定処理を行って、測定処理に対応する第四の算出値を算出する。例えば、生体情報測定システム1は、水素ガスセンサ、第三のガスセンサそれぞれのピーク値に対応するデータを取得する。
【0232】
第5の測定例では、生体情報測定システム1は、生体情報測定システム1は、ガスセンサ40aの測定に基づく第一の算出値と、ガスセンサ40cの測定に基づく第四の算出値とを用いて第二の算出値を算出する。
【0233】
このように、生体情報測定システム1は、ガスセンサ40a及びガスセンサ40cの複数のガスセンサ40により測定して得られた複数の算出値を用いて求めた統計値である第二の算出値を算出する。第二の算出値は、複数のガスセンサ40により測定して得られた複数の算出値の統計値から求められる。
【0234】
これにより、生体情報測定システム1は、複数のガスセンサから水素ガス量を示す値(例えば算出値等)を算出し、平均化することで、個体差バラつきが低減され、より正しい水素ガス量を算出することができる。第二の算出値を算出した後の処理については、第1の測定例と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0235】
<1-9-6.第6の測定例>
次に、第6の測定例について説明する。第6の測定例の生体情報測定システム1は、ガス検出装置20Aが第三のガスセンサであるガスセンサ40cとして、水素ガスセンサとは異なる種類のガスセンサを有する点で、第5の測定例の生体情報測定システム1と相違する。なお、上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。
【0236】
第6の測定例では、生体情報測定システム1は、水素ガスセンサであるガスセンサ40aとは異なるメタンガスセンサであるガスセンサ40cを備えるガス検出装置20Aを有する。例えば、メタンガスセンサであるガスセンサ40cは、水素及びメタンと反応しやすく、臭気性ガスとは反応しづらいガスセンサである。例えば、メタンガスセンサであるガスセンサ40cは、排便ガス中のメタンガスを測定するためにガス検出装置20に搭載される。
【0237】
ここで、メタン算出菌を持つ人が少なく、排便ガス中にメタンガスを含んでいる人の割合が少ない。例えば、メタンガスが出ない人の場合、メタンガスセンサで水素ガス量を算出することが可能となる。
【0238】
そこで、第6の測定例では、生体情報測定システム1は、メタンガスが出る人が測定対象者である場合、ガスセンサ40cをメタンガス測定センサとして使用する。生体情報測定システム1は、利用者の排便ガスにメタンガスが含まれると判定した場合、ガスセンサ40cをメタンガスの検出用のセンサとして用いる。
【0239】
一方で、生体情報測定システム1は、メタンガス出ない人が測定対象者である場合、ガスセンサ40cを水素ガス測定センサとして使用する。生体情報測定システム1は、利用者の排便ガスにメタンガスが含まれないと判定した場合、ガスセンサ40cを水素ガスの検出用のセンサとして用いる。
【0240】
上述したように、他成分を測定することを目的とするガスセンサでも、そのガスセンサが当所の目的で使われていない場合は、水素ガスの測定用のセンサとして転用することにより、生体情報測定システム1は、水素ガスセンサの測定精度をさらに向上させることができる。
【0241】
例えば、メタンガスセンサであるガスセンサ40cの第四の算出値を算出する場合、生体情報測定システム1は、上述した臭気性ガス用の式(3)、(5)、(6)に代えて、メタンガスセンサ用の式を用いることにより、第四の算出値を算出してもよい。この場合、第四の算出値の算出については、用いる式が異なる点以外は臭気性ガスの第二の算出値の算出と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0242】
<1-9-6.第7の測定例>
次に、図19を用いて第7の測定例について説明する。図19は、ガスセンサによる第7の測定例を示す図である。図19は、上述した第1~第6の測定例のうちのいずれかと同様の構成の生体情報測定システム1が実行する第7の測定例の概要を示す図である。例えば、第7の測定例は、図15に示す第2の測定例での構成の生体情報測定システム1が実行する。なお、上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。
【0243】
図19中の測定MS16は、ガスセンサ40a及びガスセンサ40bでの測定に対応する。例えば、測定MS16中の線LN161は、ガスセンサ40aの測定値(電圧値)であるセンサ出力を示す。例えば、測定MS16中の線LN162は、ガスセンサ40bの測定値(電圧値)であるセンサ出力を示す。各ガスセンサ40の反応度は、任意の手段により決定される。例えば、各ガスセンサ40の反応度は、ピーク値を100%とし、排便前の値を0%として設定される。
【0244】
例えば、図19中の線LN161上の測定値TM11は、ガスセンサ40aの反応度が第1度(例えばピーク値の30%)である時点での測定値を示す。図19中の線LN161上の測定値TM12は、ガスセンサ40aの反応度が第2度(例えばピーク値の50%)である時点での測定値を示す。図19中の線LN161上の測定値TM13は、ガスセンサ40aの反応度が第3度(例えばピーク値)である時点での測定値を示す。
【0245】
例えば、図19中の線LN162上の測定値TM21は、ガスセンサ40bの反応度が第1度(例えばピーク値の30%)である時点での測定値を示す。図19中の線LN162上の測定値TM22は、ガスセンサ40bの反応度が第2度(例えばピーク値の50%)である時点での測定値を示す。図19中の線LN162上の測定値TM23は、ガスセンサ40bの反応度が第3度(例えばピーク値)である時点での測定値を示す。
【0246】
図19では、生体情報測定システム1は、複数のガスセンサ40について、排便ガスへの反応度が同じタイミングのガスセンサの値をセット(組)として用いる。例えば、生体情報測定システム1は、反応度が同じ第1度であるガスセンサ40aの測定値TM11とガスセンサ40bの測定値TM21とを1組(セット)として用いる。
【0247】
この場合、生体情報測定システム1は、測定値TM11及び測定値TM21に基づいて第一の算出値(「第一の算出値FV71」とする)及び第三の算出値(「第三の算出値TV71」とする)を算出する。そして、生体情報測定システム1は、算出した第一の算出値FV71及び第三の算出値TV71に基づいて、水素ガスの量(「水素ガス量VL11」とする)及び臭気性ガスの量(「臭気性ガス量VL21」とする)を算出する。そして、生体情報測定システム1は、算出した水素ガス量VL11と臭気性ガス量VL21との比を求めることにより、一次スコア(「一次スコアTS1」とする)を算出する。
【0248】
また、生体情報測定システム1は、反応度が同じ第2度であるガスセンサ40aの測定値TM12とガスセンサ40bの測定値TM22とを1組(セット)として用いる。この場合、生体情報測定システム1は、測定値TM12及び測定値TM22に基づいて第一の算出値FV72及び第三の算出値TV72を算出し、算出した第一の算出値FV72及び第三の算出値TV72に基づいて、水素ガスの量(「水素ガス量VL12」とする)及び臭気性ガスの量(「臭気性ガス量VL22」とする)を算出する。そして、生体情報測定システム1は、算出した水素ガス量VL12と臭気性ガス量VL22との比を求めることにより、一次スコア(「一次スコアTS2」とする)を算出する。
【0249】
また、生体情報測定システム1は、反応度が同じ第3度(ピーク値)であるガスセンサ40aの測定値TM13とガスセンサ40bの測定値TM23とを1組(セット)として用いる。この場合、生体情報測定システム1は、測定値TM13及び測定値TM23に基づいて第一の算出値FV73及び第三の算出値TV73を算出し、算出した第一の算出値FV72及び第三の算出値TV72に基づいて、水素ガスの量(「水素ガス量VL13」とする)及び臭気性ガスの量(「臭気性ガス量VL23」とする)を算出する。そして、生体情報測定システム1は、算出した水素ガス量VL13と臭気性ガス量VL23との比を求めることにより、一次スコア(「一次スコアTS3」とする)を算出する。
【0250】
これにより、生体情報測定システム1は、水素ガスセンサの測定と臭気性ガスセンサの測定とに基づく値の比を複数取得する。そして、生体情報測定システム1は、取得した複数の比(例えば一次スコア)を平均化することによりスコアを算出する。図19では、生体情報測定システム1は、一次スコアTS1、一次スコアTS2及び一次スコアTS3の平均値を、スコアとして算出する。
【0251】
上述したように、第7の測定例では、生体情報測定システム1は、同じタイミングで水素ガスセンサ及び臭気性ガスセンサの測定に基づく値を複数取得し、比にしたうえで平均化する。生体情報測定システム1は、第一のガスセンサの検出結果に基づいて得られた水素ガスに対応する第一の算出値、及び第三の算出値に基づいて算出されたスコアを用いて利用者の健康状態または健康状態に関する情報を推定する。生体情報測定システム1は、利用者の排便における共通するタイミングでの検出に対応する第一の算出値に基づく値(例えば水素ガスの量)と第三の算出値に基づく値(臭気性ガスの量)との比に基づいてスコアを算出する。
【0252】
このように、生体情報測定システム1は、1回の排便行為の中でも同一タイミングで水素由来の値及び臭気性ガス由来の値を取得する。生体情報測定システム1は、1組の第一の算出値に基づく値(例えば水素ガスの量)及び第三の算出値に基づく値(臭気性ガスの量)の比を平均化して、第一の算出値に基づく値及び第三の算出値に基づく値の比を算出する。このように、生体情報測定システム1は、複数の算出値に基づく値の比の統計値をスコアとして算出する。
【0253】
スコア(例えば量の比)のバラツキは、水素ガスセンサによるバラつきが大きく影響する。そこで、生体情報測定システム1は、スコア(例えば量の比)を平均化することで、結果として水素ガスセンサ由来のバラつきを低減させることができる。
【0254】
<1-9-7.構成及び制御例>
ここから、上述した測定例について、構成及び制御の一例について説明する。なお、以下に説明する生体情報測定システム1の構成及び制御は一例に過ぎず、上述した測定を行うことが可能であれば、生体情報測定システム1は、任意の構成及び制御が採用可能である。
【0255】
<1-9-7-1.第3の測定例に対応する構成及び制御>
まず、図20を用いて第3の測定例に対応する構成及び制御について説明する。図20は、第3の測定例に対応する構成及び制御の一例を示す図である。なお、上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。
【0256】
図20に示す装置構成CN11は、第3の測定例を実行する生体情報測定システム1の装置構成の一例を示す。図20では、構成及び制御のイメージを示すためのものであり、装置構成CN11は、第3の測定例を実行する生体情報測定システム1の構成のうち一部のみを図示する。例えば、装置構成CN11の吸引機構は吸引装置10に対応し、排出部はダクト12に対応し、センサはガスセンサ40に対応する。また、例えば、切替弁、流路#1、流路#2、貯蔵部及び閉止弁は、密閉手段50が有する構成である。
【0257】
図20では、生体情報測定システム1は、ステップS31~S35に示す処理を実行する。ステップS31の前では、ボウル部内のガスが流路#1の方向に流れるように切替弁が設定されているものとする。生体情報測定システム1は、吸引機構でボウル部からのガスを吸引する(ステップS31)。生体情報測定システム1は、所定値以上のセンサ出力値(例えば電圧値)を検知時、閉止弁を閉じる(ステップS32)。
【0258】
生体情報測定システム1は、所定時間経過後、流路#2方向(直接排出部に流れる側)に切替弁を切り替える(ステップS33)。生体情報測定システム1は、センサ測定後、閉止弁を開く(ステップS34)。生体情報測定システム1は、切替弁を流路#1方向(貯蔵部に流れる側)に切り替える(ステップS35)。
【0259】
このように、図20では、生体情報測定システム1は、閉止弁を閉じてガスを貯蔵した状態でセンサによる測定を実行する。
【0260】
<1-9-7-2.第4の測定例に対応する構成及び制御>
次に、図21図23を用いて第4の測定例に対応する構成及び制御について説明する。図21及び図23は、第4の測定例に対応する構成及び制御の一例を示す図である。上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。
【0261】
図21を用いて、ガスを循環させて複数回測定する場合の構成及び制御を説明する。図21に示す装置構成CN12は、第4の測定例を実行する生体情報測定システム1の装置構成の一例を示す。図21では、構成及び制御のイメージを示すためのものであり、装置構成CN12は、第4の測定例を実行する生体情報測定システム1の構成のうち一部のみを図示する。例えば、装置構成CN12の第1吸引機構は吸引装置10に対応し、排出部はダクト12に対応し、センサはガスセンサ40に対応する。また、例えば、第1切替弁、流路#1、流路#2、第2吸引機構、第2切替弁、流路#3及び流路#4は、密閉手段50が有する構成である。例えば、第2吸引機構は、吸引装置10と同様の機能を有する装置であり、所望の方向へ吸引を行うことできる。
【0262】
図21では、生体情報測定システム1は、ステップS41~S44に示す処理を実行する。ステップS41の前では、ボウル部内のガスが流路#1の方向に流れるように第1切替弁が設定され、流路#3の方向を流れるように第2切替弁が設定されているものとする。生体情報測定システム1は、第1吸引機構でボウル部からのガスを吸引する(ステップS41)。生体情報測定システム1は、所定値以上のセンサ出力値(例えば電圧値)を検知時、第1切替弁を流路#2方向(直接排出部に流れる側)に切り替え、第2切替弁を流路#4方向(密閉手段50内を循環する流れ側)に切り替える(ステップS42)。
【0263】
生体情報測定システム1は、第2吸引機構を作動し、複数回ガスを測定する(ステップS43)。生体情報測定システム1は、センサで複数回センサ出力を測定後、第1切替弁及び第2切替弁を元に戻す(ステップS44)。図21では、生体情報測定システム1は、ボウル部内のガスが流路#1の方向に流れるように第1切替弁を切り替え、流路#3の方向を流れるように第2切替弁を切り替える。
【0264】
このように、図21では、生体情報測定システム1は、同じガスを流路内で循環させ、繰り返しセンサでガスを測定する。
【0265】
図22を用いて、貯蔵したガスを小出しにして複数回測定する場合の構成及び制御を説明する。図22に示す装置構成CN13は、第4の測定例を実行する生体情報測定システム1の装置構成の一例を示す。図22では、構成及び制御のイメージを示すためのものであり、装置構成CN13は、第4の測定例を実行する生体情報測定システム1の構成のうち一部のみを図示する。例えば、装置構成CN13の第1吸引機構は吸引装置10に対応し、排出部はダクト12に対応し、センサはガスセンサ40に対応する。また、例えば、切替弁、流路#1、流路#2、貯蔵部、閉止弁及び第2吸引機構は、密閉手段50が有する構成である。
【0266】
図22では、生体情報測定システム1は、ステップS51~S54に示す処理を実行する。ステップS51の前では、ボウル部内のガスが流路#1の方向に流れるように切替弁が設定されているものとする。生体情報測定システム1は、第1吸引機構でボウル部からのガスを吸引する(ステップS51)。生体情報測定システム1は、所定値以上のセンサ出力値(例えば電圧値)を検知時、閉止弁を閉じる(ステップS52)。
【0267】
生体情報測定システム1は、所定時間経過後、流路#2方向(直接排出部に流れる側)に切替弁を切り替え、貯蔵部にガスをとどめる(ステップS53)。生体情報測定システム1は、第2吸引機構と閉止弁の開閉を制御して、センサにガスを流す(ステップS54)。この場合、生体情報測定システム1は、例えばセンサでガスを測定している間は、閉止弁を開き、第2吸引機構を作動させることにより、貯蔵部内のガスの一部を、センサを経由して排出部から排出する。また、生体情報測定システム1は、例えばセンサでのガスの測定を停止している間は、閉止弁を閉じ、第2吸引機構を停止し、貯蔵部内のガスの排出部からの排出を停止する。
【0268】
このように、図22では、生体情報測定システム1は、貯蔵部にガスをとどめ、所定量のガスを定期的にセンサに流す。
【0269】
図23を用いて、一度測定したガスを戻すことにより複数回測定する場合の構成及び制御を説明する。図23に示す装置構成CN14は、第4の測定例を実行する生体情報測定システム1の装置構成の一例を示す。図23では、構成及び制御のイメージを示すためのものであり、装置構成CN14は、第4の測定例を実行する生体情報測定システム1の構成のうち一部のみを図示する。例えば、装置構成CN14の第1吸引機構は吸引装置10に対応し、排出部はダクト12に対応し、センサはガスセンサ40に対応する。また、例えば、切替弁、流路#1、流路#2、貯蔵部、閉止弁及び第2吸引機構は、密閉手段50が有する構成である。
【0270】
図23では、生体情報測定システム1は、ステップS61~S65に示す処理を実行する。ステップS61の前では、ボウル部内のガスが流路#1の方向に流れるように切替弁が設定されているものとする。生体情報測定システム1は、第1吸引機構でボウル部からのガスを吸引する(ステップS61)。生体情報測定システム1は、所定値以上のセンサ出力値(例えば電圧値)を検知時、閉止弁を閉じる(ステップS62)。
【0271】
生体情報測定システム1は、所定時間経過後、流路#2方向(直接排出部に流れる側)に切替弁を切り替える(ステップS63)。生体情報測定システム1は、第2吸引機構を作動して、一度測定したガスをセンサに戻す(ステップS64)。なお、第2吸気機構と貯蔵部との間の流路は共通であってもよいし、第2吸引機構から貯蔵部へ流れる流路と、貯蔵部から第2吸引機構へ流れる流路とは個別に設けられてもよい。生体情報測定システム1は、繰り返し測定後、閉止弁を開き、切替弁を制御してガスを排出する(ステップS65)。
【0272】
このように、図23では、生体情報測定システム1は、貯蔵部にガスをとどめ、第2吸引機構を用いて測定したガスをセンサに戻す。
【0273】
<1-10.第2の処理(補正)>
上述した第1の処理に限らず、生体情報測定システム1は、任意の方法により測定ばらつきの影響を抑制してもよい。例えば、生体情報測定システム1は、ガスセンサに測定ばらつきによる影響を抑制するために、測定に基づく値等が所定の条件を満たす場合に値の補正を実行する第2の処理を実行する。第2の処理では、生体情報測定システム1は、臭気性ガスが正しく見積もれていない可能性がある所定の条件を満たす場合、補正を次実行する。具体的には、生体情報測定システム1は、臭気性ガスが正しく見積もれていない可能性がある場合、上述した第零の算出値、または、第二の算出値、または、第三の算出値のうち少なくとも一つを対象として補正を行う。
【0274】
これにより、生体情報測定システム1は、補正により測定ばらつきの影響抑制を抑制することができる。この点について以下説明する。なお、第1の処理等で説明した内容と同様の点について適宜説明を省略する。
【0275】
<1-10-1.第1の補正>
まず、生体情報測定システム1が第零の算出値または第二の算出値を補正する例を第1の補正として説明する。
【0276】
例えば、生体情報測定システム1は、所定の条件を満たす場合、第1の補正を実行する。生体情報測定システム1は、第一の算出値または第二の算出値が第一の閾値より上回った場合、または、第三の算出値が第一の閾値よりも小さい第二の閾値を下回った場合に、第1の補正を行う。この場合、生体情報測定システム1は、第一の算出値または第二の算出値が第一の閾値より上回るという第一の条件、及び、第三の算出値が第一の閾値よりも小さい第二の閾値を下回るという第二の条件を含む補正条件のうち少なくとも1つを満たす場合、第1の補正を行う。なお、第一の閾値及び第二の閾値は、ガスセンサ40等に応じて、任意の値に設定される。例えば、第一の閾値及び第二の閾値は、ガスセンサ40が導入される生体情報測定システム1ごと(すなわち装置ごと)に設定されてもよいし、共通で設定された値であってもよい。
【0277】
例えば、生体情報測定システム1は、補正条件のうち少なくとも1つを満たす場合、第二の算出値を減少させる補正を実行する。生体情報測定システム1は、第一の算出値から第二の算出値を算出する際に、1より小さい補正係数をかけることにより第1の補正を実行する。この場合、生体情報測定システム1は、補正パターン#1及び補正パターン#2のいずれを行ってもよい。
【0278】
補正パターン#1を実行する場合、生体情報測定システム1は、補正条件のうち少なくとも1つを満たす場合、第一の算出値に補正係数(例えば1未満の値)を乗算して第一の算出値を補正する。この場合、生体情報測定システム1は、算出した補正後の第一の算出値を用いて、第二の算出値を算出する。
【0279】
また、補正パターン#2を実行する場合、生体情報測定システム1は、補正条件のうち少なくとも1つを満たす場合、第二の算出値に補正係数(例えば1未満の値)を乗算して第二の算出値を補正する。この場合、生体情報測定システム1は、算出した補正後の第二の算出値を用いて、第三の算出値を算出する。
【0280】
なお、上述した補正は一例に過ぎず、生体情報測定システム1は、第二の算出値を減少させる補正に限らず、第零の算出値を増加させる補正を実行してもよい。また、生体情報測定システム1は、第二の算出値が第零の算出値より上回った場合に第1の補正を行ってもよい。この場合、第二の算出値が第零の算出値より上回るという第三の条件が補正条件に含まれてもよい。
【0281】
このように、第1の補正では、臭気性ガスの量を示す第三の算出値の算出に用いられる他の値を補正対象として、補正を行う。これにより、生体情報測定システム1は、他の値を基に算出される第三の算出値が適切に補正され、臭気性ガスの量が適切に算出(推定)することができる。したがって、生体情報測定システム1は、ガス測定に基づく処理を適切に実行可能にすることができる。
【0282】
<1-10-2.第2の補正>
なお、生体情報測定システム1は、第1の補正に限らず、第三の算出値を補正する第2の補正を実行してもよい。この場合、生体情報測定システム1は、臭気性ガスに対応する値として予め設定された補正用値を有し、第三の算出値が第三の閾値を下回った場合は、補正として、第三の算出値を補正用値に置き換える。
【0283】
なお、第三の閾値は、ガスセンサ40等に応じて、任意の値に設定される。例えば、第三の閾値は、ガスセンサ40が導入される生体情報測定システム1ごと(すなわち装置ごと)に設定されてもよいし、共通で設定された値であってもよい。
【0284】
また、補正用値は、任意の値が設定可能である。例えば、補正用値は、ガスセンサの検出下限値であってもよいし、人から出てくるガス量のデータを参照し、データに基づく算出値の最小値であってもよい。
【0285】
このように、第2の補正では、臭気性ガスの量を示す第三の算出値自体を補正対象として、補正を行う。これにより、生体情報測定システム1は、第三の算出値が適切に補正され、臭気性ガスの量が適切に算出(推定)することができる。したがって、生体情報測定システム1は、ガス測定に基づく処理を適切に実行可能にすることができる。
【0286】
<1-11.第3の処理(情報の変更)>
上述した第1の処理及び第2の処理に限らず、生体情報測定システム1は、任意の方法により測定ばらつきの影響を抑制してもよい。例えば、生体情報測定システム1は、ガスセンサに測定ばらつきによる影響を抑制するために、出力する情報を変更する第3の処理を実行する。第3の処理では、生体情報測定システム1は、健康系ガスと臭気性ガスとの比率が正しくない可能性がある条件(「変更条件」ともいう)を満たす場合、情報を変更して出力して表示させる。具体的には、生体情報測定システム1は、第一の算出値、第二の算出値、第三の算出値の少なくとも1つが変更条件を満たす場合、出力手段により出力される利用者の健康状態または健康状態に関する情報である第1情報を変更する制御を行う。
【0287】
これにより、生体情報測定システム1は、情報を変更することで利用者へ提供される情報を変更することにより、測定ばらつきの影響を抑制することができる。この点について以下説明する。なお、第1の処理及び第2の処理等で説明した内容と同様の点について適宜説明を省略する。
【0288】
<1-11-1.第1の変更>
まず、第1の変更について説明する。生体情報測定システム1は、変更条件を満たした場合、第1情報に含まれる値を、予め設定した設定値に変更する第1の変更を実行する。生体情報測定システム1は、第一の算出値または第二の算出値が第一の閾値より上回った場合、または、第三の算出値が第一の閾値よりも小さい第二の閾値を下回った場合に、第1の変更を行う。この場合、生体情報測定システム1は、第一の算出値または第二の算出値が第一の閾値より上回るという第一の条件、及び、第三の算出値が第一の閾値よりも小さい第二の閾値を下回るという第二の条件を含む変更条件のうち少なくとも1つを満たす場合、第1の変更を行う。
【0289】
生体情報測定システム1は、図24に示すような第1の変更を実行する。図24は、生体情報測定システムによる情報の第1の変更を示す図である。図24中のコンテンツCT11は、利用者の排便ガスの測定に基づくスコアの経時変化を示す情報である。
【0290】
コンテンツCT11中のスコアSC1が、対応する日時での測定(「対象測定」ともいう)に基づく変更前のスコアを示す。生体情報測定システム1は、対象測定での値のいずれかが変更条件のうち少なくとも1つを満たす場合、第1の変更を行う。生体情報測定システム1は、対象測定での値が変更条件を満たすと判定した場合、第1の変更を実行する。
【0291】
図24では、生体情報測定システム1は、対象測定での値が変更条件を満たすと判定し、コンテンツCT11中の元データであるスコアSC1を変更する。例えば、生体情報測定システム1は、スコアSC1を所定の値の変更後スコアCS1に変更する。変更後スコアCS1は、任意の値が設定されてもよいが、この点については後述する。図24では、スコアSC1が変更後スコアCS1に変更されることにより、生体情報測定システム1は、対象測定に対応するスコアを点線で示す平均(経時変動傾向を示す移動平均など)に近い値にすることができる。
【0292】
生体情報測定システム1は、元データであるスコアSC1が変更された変更後スコアCS1を含む情報(図25ではコンテンツCC11)を出力する。生体情報測定システム1は、元データであるスコアSC1が変更された変更後スコアCS1を含む情報を対象測定で対象となった利用者(「利用者X」ともいう)が利用するユーザ端末である表示手段300に出力(送信)する。
【0293】
生体情報測定システム1が出力した変更後スコアCS1を含む情報を受信した、利用者Xが利用する表示手段300は、図25に示すような情報を表示する。図25は、生体情報測定システムによる変更後の情報の表示例を示す図である。図25に示すように、利用者Xが利用する表示手段300は、元データであるスコアSC1が変更された変更後スコアCS1を含むコンテンツCC11を表示する。このように、利用者Xが利用する表示手段300は、測定ばらつきの影響を大きく受けたと推定される元データであるスコアSC1を表示せず、その代替情報をして、スコアSC1よりも適切と推定される変更後スコアCS1を表示する。このように、生体情報測定システム1は、情報の表示をあらかじめ決められた値に変更してもよい。
【0294】
上述したように、生体情報測定システム1は、第1の変更により、利用者へ提供される情報を変更することにより、測定ばらつきの影響を抑制することができる。したがって、生体情報測定システム1は、ガス測定に基づく処理を適切に実行可能にすることができる。
【0295】
なお、変更後スコアCS1の値等、変更後の情報は任意の情報により設定されてもよい。この点について、図26を用いて一例を説明する。図26は、生体情報測定システムによるスコアの補正例を示す図である。図26では、人から排出される水素量の分布を示す水素量分布情報DD11と、人から排出される臭気性ガス量の分布を示す臭気性ガス量分布情報DD12とを用いて、変更後の情報を決定してもよい。
【0296】
例えば、生体情報測定システム1は、第一の算出値が所定値、第二の算出値が所定値の時のスコアを算出してもよい。例えば、生体情報測定システム1は、ヒトから出てくる最大量/最小量(分布の3σなど)からスコアを算出してもよい。
【0297】
例えば、生体情報測定システム1は、関数FC2を用いて、変更後スコアCS1を算出してもよい。関数FC2は、水素量分布情報DD11を基に算出される水素量の平均に3δを加算した値を、健臭気性ガス量分布情報DD12を基に算出される臭気性ガス量の平均に3δを減算した値で除した値を、変更後スコアCS1として用いてもよい。
【0298】
<1-11-2.第2の変更>
なお、生体情報測定システム1は、第1の変更に限らず、任意の情報を用いて変更を行ってもよい。例えば、生体情報測定システム1は、対象となる利用者の過去の情報を用いて情報を変更する第2の変更を実行してもよい。この場合、生体情報測定システム1は、過去の測定に基づき出力した第1情報を記憶部120に記憶する。具体的には、生体情報測定システム1は、過去の測定に基づき算出したスコアを含む履歴情報を記憶部120に記憶する。
【0299】
生体情報測定システム1は、記憶部120に記憶された過去の測定に基づき算出したスコアに基づいて、情報を変更する第2の変更を行う。生体情報測定システム1は、変更条件のうち少なくとも1つを満たす場合、第2の変更を行う。
【0300】
生体情報測定システム1は、図27に示すような第2の変更を実行する。図27は、生体情報測定システムによる情報の第2の変更を示す図である。図27中のコンテンツCT12は、利用者の排便ガスの測定に基づくスコアの経時変化を示す情報である。
【0301】
コンテンツCT12中のスコアSC2が、対応する日時での測定(対象測定)に基づく変更前のスコアを示す。生体情報測定システム1は、対象測定での値のいずれかが変更条件のうち少なくとも1つを満たす場合、第2の変更を行う。生体情報測定システム1は、対象測定での値が変更条件を満たすと判定した場合、第2の変更を実行する。
【0302】
図27では、生体情報測定システム1は、対象測定での値が変更条件を満たすと判定し、コンテンツCT12中の元データであるスコアSC2を変更する。例えば、生体情報測定システム1は、対象測定での値が変更条件を満たすと判定した場合、その対象測定より前の測定に対応する複数のスコアを用いて算出した値の変更後スコアCS2に変更する。変更後スコアCS2は、対象測定の直近の複数回の測定の各々に対応する複数のスコアの平均値が用いられる。図27では、生体情報測定システム1は、対象測定の直近のスコアPS1及びスコアPS2を用いて、変更後スコアCS2を算出する。
【0303】
これにより、対象測定で対象となった利用者(利用者X)の過去の傾向を基に情報に変更されることにより、生体情報測定システム1は、利用者Xの過去の傾向に沿った情報に変更することができる。例えば、スコアPS1及びスコアPS2は、変更条件を満たさずに、元データのままのスコアであるものとする。例えば、生体情報測定システム1は、スコアPS1及びスコアPS2等の変更が行われていないデータについては、変更無し(補正無し)のスコアを出力する。
【0304】
生体情報測定システム1は、元データであるスコアSC2が変更された変更後スコアCS2を含む情報を出力する。生体情報測定システム1は、元データであるスコアSC2が変更された変更後スコアCS2を含む情報を対象測定で対象となった利用者(利用者X)が利用するユーザ端末である表示手段300に出力(送信)する。なお、情報の表示の点については図25で説明した内容と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0305】
上述したように、生体情報測定システム1は、第2の変更により、利用者へ提供される情報を変更することにより、測定ばらつきの影響を抑制することができる。したがって、生体情報測定システム1は、ガス測定に基づく処理を適切に実行可能にすることができる。
【0306】
このように、生体情報測定システム1は、過去のデータを参照し表示される情報を補正する。生体情報測定システム1は、過去複数回分のデータを参照し、平均値を表示する。生体情報測定システム1は、過去複数回のデータを参照し、現在に近いものに重みをつけて平均値を表示する。なお、生体情報測定システム1は、上述したように直近2回分のデータの平均値を用いる場合に限らず、任意の情報を用いてもよい。例えば、生体情報測定システム1は、直近3回分以上のデータの重みづけ平均を用いてもよい。この場合、生体情報測定システム1は、直近3回分以上のデータのうち、時間が近いデータの重みを重くした加重平均を用いてもよい。また、生体情報測定システム1は、平均値を計算する際に、過去に変更された情報(変更後のスコア)を用いなくてもよい。
【0307】
<1-11-3.第3の変更>
なお、生体情報測定システム1は、第1の変更及び第2の変更に限らず、任意の情報を用いて変更を行ってもよい。例えば、生体情報測定システム1は、利用者への通知を行う情報を用いて情報を変更する第3の変更を実行してもよい。この場合、生体情報測定システム1は、所定の条件を満たした場合、測定精度に関する第2情報を出力する。生体情報測定システム1は、所定の条件を満たした場合、測定エラーに関する第3情報を出力する。
【0308】
生体情報測定システム1は、変更条件のうち少なくとも1つを満たす場合、第3の変更を行う。生体情報測定システム1は、図28に示すような第3の変更を実行する。図28は、生体情報測定システムによる情報の第3の変更を示す図である。図28中のコンテンツCT13は、利用者の排便ガスの測定に基づくスコアの経時変化を示す情報である。
【0309】
コンテンツCT13中のスコアSC3が、対応する日時での測定(対象測定)に基づく変更前のスコアを示す。生体情報測定システム1は、対象測定での値のいずれかが変更条件のうち少なくとも1つを満たす場合、第3の変更を行う。生体情報測定システム1は、対象測定での値が変更条件を満たすと判定した場合、第3の変更を実行する。
【0310】
図28では、生体情報測定システム1は、対象測定での値が変更条件を満たすと判定し、コンテンツCT13に情報INF1を追加する。例えば、生体情報測定システム1は、対象測定での値が変更条件を満たすと判定した場合、その対象測定より算出された値に注意が必要であることを示す第2情報をコンテンツCT13に追加する。生体情報測定システム1は、測定精度が悪い可能性があることを示す情報を含む情報INF1をコンテンツCT13に追加する。生体情報測定システム1は、測定エラーである可能性があることを示す第3情報を含む情報INF1をコンテンツCT13に追加する。
【0311】
生体情報測定システム1は、測定精度に関する第2情報、測定エラーに関する第3情報を含む情報INF1が追加されたコンテンツCT13を出力する。生体情報測定システム1は、対象測定のスコアSC3の測定に問題が有る可能性を利用者に通知する情報INF1が追加されたコンテンツCT13を対象測定で対象となった利用者(利用者X)が利用するユーザ端末である表示手段300に出力(送信)する。なお、情報の表示の点については図25で説明した内容と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0312】
上述したように、生体情報測定システム1は、第3の変更により、情報を変更することで利用者へ提供される情報を変更することにより、測定ばらつきの影響を抑制することができる。したがって、生体情報測定システム1は、ガス測定に基づく処理を適切に実行可能にすることができる。
【0313】
なお、生体情報測定システム1は、上記変更条件以外の条件を満たす場合も第3の変更を行ってもよい。例えば、生体情報測定システム1は、測定自体が困難であった場合等、正しく測定できなかった可能性があることを報知するために情報INF1をコンテンツCT13に追加する第3の変更を行ってもよい。
【0314】
なお、上述してきた各実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0315】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【0316】
上述してきた各実施形態及び変形例について、以下のような構成であってもよいが、以下には限られない。
(1)
トイレ室に設置された大便器のボウル内に排出される排便ガスに基づいて、前記トイレ室の利用者の生体情報を測定する生体情報測定システムであって、
気体に含まれる水素ガスに反応する第一のガスセンサおよび硫黄成分を含む臭気性ガスと水素ガスに反応する第二のガスセンサを備えたガス検出装置と、
前記ガス検出装置を制御する制御装置と、
前記制御装置による処理結果に関する情報を出力する出力手段と、
を有し、
前記制御装置は、
前記第一のガスセンサの検出結果に基づいて水素ガスに対応する第一の算出値を算出し、
前記第一の算出値に基づいて前記第二のガスセンサの水素ガスに対応する第二の算出値を算出し、
前記第二のガスセンサの検出結果および前記第二の算出値に基づいて臭気性ガスに対応する第三の算出値を算出し、
前記生体情報測定システムが前記第三の算出値に基づいて前記利用者の健康状態または前記健康状態に関する情報を推定するものであって、
前記制御装置は、
前記第一の算出値、前記第二の算出値、前記第三の算出値の少なくとも1つが所定の条件を満たす場合、前記出力手段により出力される前記利用者の健康状態または前記健康状態に関する情報である第1情報を前記第三の算出値に基づかずに変更する制御を行う
ことを特徴とする生体情報測定システム。
(2)
前記所定の条件は、前記第一の算出値または前記第二の算出値が第一の閾値より上回ること、または、第三の算出値が前記第一の閾値よりも小さい第二の閾値を下回ることの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする(1)に記載の生体情報測定システム。
(3)
前記所定の条件は、前記第二の算出値が、前記第二のガスセンサの検出結果に基づき算出される臭気性ガス及び水素ガスに対応する第零の算出値より上回ることを含む
ことを特徴とする(1)または(2)に記載の生体情報測定システム。
(4)
前記制御装置は、
前記所定の条件を満たした場合、前記第1情報に含まれる値を、予め設定した設定値に変更する
ことを特徴とする(1)~(3)のいずれか1つに記載の生体情報測定システム。
(5)
過去の第1情報を記憶する記憶手段を有し、
前記制御装置は、
前記記憶手段に記憶された前記過去の第1情報に基づいて、前記第1情報を変更する
ことを特徴とする(1)~(4)のいずれか1つに記載の生体情報測定システム。
(6)
前記出力手段は、
前記所定の条件を満たした場合、測定精度に関する第2情報を出力する
ことを特徴とする(1)~(5)のいずれか1つに記載の生体情報測定システム。
(7)
前記出力手段は、
前記所定の条件を満たした場合、測定エラーに関する第3情報を出力する
ことを特徴とする(1)~(6)のいずれか1つに記載の生体情報測定システム。
(8)
トイレ室に設置された大便器のボウル内に排出される排便ガスに基づいて、前記トイレ室の利用者の生体情報を測定する便座装置であって、
気体に含まれる水素ガスに反応する第一のガスセンサおよび硫黄成分を含む臭気性ガスと水素ガスに反応する第二のガスセンサを備えたガス検出装置と、
前記ガス検出装置を制御する制御装置と、
前記制御装置による処理結果に関する情報を出力する出力手段と、
を有し、
前記制御装置は、
前記第一のガスセンサの検出結果に基づいて水素ガスに対応する第一の算出値を算出し、
前記第一の算出値に基づいて前記第二のガスセンサの水素ガスに対応する第二の算出値を算出し、
前記第二のガスセンサの検出結果および前記第二の算出値に基づいて臭気性ガスに対応する第三の算出値を算出し、
前記便座装置が前記第三の算出値に基づいて前記利用者の健康状態または前記健康状態に関する情報を推定するものであって、
前記制御装置は、
前記第一の算出値、前記第二の算出値、前記第三の算出値の少なくとも1つが所定の条件を満たす場合、前記出力手段により出力される前記利用者の健康状態または前記健康状態に関する情報である第1情報を前記第三の算出値に基づかずに変更する制御を行う
ことを特徴とする便座装置。
【符号の説明】
【0317】
1 生体情報測定システム
2 便座装置
3 本体部
4 測定装置
5 便座
6 洗浄ノズル
7 便器
8 ボウル部
9 便蓋
10 吸引装置
20 ガス検出装置
40 ガスセンサ
100 制御装置
110 通信部
120 記憶部
130 制御部
131 取得部
132 処理部
133 出力部
200 推定手段
R トイレ室
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