(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136518
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】水中洗浄作業装置
(51)【国際特許分類】
B08B 3/02 20060101AFI20240927BHJP
B08B 5/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B08B3/02 F
B08B5/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047656
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】涌田 健作
(72)【発明者】
【氏名】三浦 良治
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
【Fターム(参考)】
3B116AA46
3B116AB54
3B116BA03
3B116BA13
3B116BA35
3B116BB22
3B116BB62
3B116BB72
3B116BB90
3B116CD43
3B201AA46
3B201AB54
3B201BA03
3B201BA13
3B201BA35
3B201BB22
3B201BB62
3B201BB72
3B201BB90
3B201CD43
(57)【要約】
【課題】水中にて洗浄対象の洗浄を行う水中洗浄作業装置において、洗浄に伴い生じる汚水の吸引効率を向上することができる技術を提供する。
【解決手段】例示的な水中洗浄作業装置は、本体部と、前記本体部の下方に配置される洗浄部と、前記洗浄部による洗浄に伴い生じる汚水を吸引する吸引口と、を備える。前記吸引口は、底面視において少なくとも一部が前記洗浄部からずれた位置に配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部の下方に配置される洗浄部と、
前記洗浄部による洗浄に伴い生じる汚水を吸引する吸引口と、
を備え、
前記吸引口は、底面視において少なくとも一部が前記洗浄部からずれた位置に配置される、水中洗浄作業装置。
【請求項2】
前記洗浄部は、洗浄時に回転する洗浄円盤を有し、
前記吸引口は、底面視において少なくとも一部が前記洗浄円盤からずれた位置に配置される、請求項1に記載の水中洗浄作業装置。
【請求項3】
前記洗浄部は、前記洗浄円盤を複数有し、
前記吸引口は、底面視において、何れか2個の前記洗浄円盤の中心間を結ぶ直線を二等分する二等分線上に配置される、請求項2に記載の水中洗浄作業装置。
【請求項4】
前記洗浄円盤は、高圧水の噴射による反力で回転し、
前記吸引口は、底面視において、前記直線に対して、前記高圧水の噴射により生じる水流が前記二等分線上で向く向き側に配置される、請求項3に記載の水中洗浄作業装置。
【請求項5】
前記本体部と前記洗浄部との間に配置される洗浄部カバーを備え、
前記吸引口は、前記洗浄部カバーに設けられる、請求項1に記載の水中洗浄作業装置。
【請求項6】
前記洗浄部カバーは、
前記洗浄部が有する回転式の洗浄円盤の上方に配置されるカバー上壁部と、
前記カバー上壁部の外縁から下方に延びるカバー側壁部と、
を有し、
前記吸引口は、前記カバー側壁部に設けられる、請求項5に記載の水中洗浄作業装置。
【請求項7】
前記カバー上壁部は、前記洗浄部カバーの上面の一部の高さ位置を高くする隆起部を有し、
前記吸引口は、少なくとも一部が前記カバー側壁部のうち前記隆起部の側壁を構成する部分に配置される、請求項6に記載の水中洗浄作業装置。
【請求項8】
前記洗浄部カバーは、前記カバー側壁部の下端に配置される弾性部材を有する、請求項6に記載の水中洗浄作業装置。
【請求項9】
前記洗浄部と洗浄対象との距離を規制するローラを備える、請求項1に記載の水中洗浄作業装置。
【請求項10】
前記洗浄部は、高圧水の噴射により洗浄対象の洗浄を行い、
前記高圧水の噴射量よりも前記吸引口による水の吸引量の方が大きい、請求項1に記載の水中洗浄作業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中洗浄作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶の海水浸漬面に付着した貝や藻類等を除去する水中清掃作業機が知られる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1における水中清掃作業機は、清掃ノズルユニットと吸引装置とを備える。清掃ノズルユニットは、高圧水を清掃対象物に向かって噴射し、その噴流によって清掃対象物の清掃を行う。吸引装置は、清掃ノズルユニットの清掃後の汚水(残渣水)を吸引する。吸引装置は、汚水が吸引される吸引口と、汚水を吸引するための吸引ポンプとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成では、汚水を吸引する吸引口が、清掃ノズルユニットが備える円盤状の清掃体の上部に配置される。このために、洗浄に伴い生じた汚水の吸引効率が良くない可能性があった。
【0006】
本発明は、水中にて洗浄対象の洗浄を行う水中洗浄作業装置において、洗浄に伴い生じる汚水の吸引効率を向上することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的な水中洗浄作業装置は、本体部と、前記本体部の下方に配置される洗浄部と、前記洗浄部による洗浄に伴い生じる汚水を吸引する吸引口と、を備える。前記吸引口は、底面視において少なくとも一部が前記洗浄部からずれた位置に配置される。
【発明の効果】
【0008】
例示的な本発明によれば、水中にて洗浄対象の洗浄を行う水中洗浄作業装置において、洗浄に伴い生じる汚水の吸引効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】水中洗浄作業システムの概略の構成を示すブロック図
【
図3】水中洗浄作業装置を
図1とは異なる方向から見た概略斜視図
【
図4】
図1に示す水中洗浄作業装置から一部のカバー部材を取り除いた状態を示す概略斜視図
【
図5】水中洗浄作業装置が備えるフレーム部の概略の構成を示す斜視図
【
図6】水中洗浄作業装置が備える本体カバーの概略の構成を示す側面図
【
図7】水中洗浄作業装置が備える本体カバーの概略の構成を示す正面図
【
図8】水中洗浄作業装置が備えるスラスタの概略の構成を示す斜視図
【
図9】
図8に示すスラスタ本体とプロペラ部とを軸線が延びる方向に沿って見た図
【
図10】洗浄部が有する洗浄円盤の概略の構成を示す斜視図
【
図13】水中洗浄作業装置が備える洗浄部カバーの概略の構成を示す平面図
【
図14】洗浄部カバーと、2つの洗浄円盤との関係を示す概略底面図
【
図15】
図13に示す洗浄部カバーをXV-XV位置で切断した断面図
【
図16】洗浄部カバーが有する弾性部材の概略の構成を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。水中洗浄作業装置の説明における方向は、図面中に示す3次元直交座標系であるxyz座標系に基づく。以下では、このxyz座標系における、x方向を前後方向、y方向を左右方向、z方向を上下方向とする。+x側が前側、-x側が後側とする。+y側が左側、-y側が右側とする。後方から前方に向かって左となる側が左側であり、右となる側が右側である。+z側が上側、-z側が下側とする。なお、これらの方向は単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定する意図はない。
【0011】
<1.水中洗浄作業システム>
まず、本発明の実施形態に係る水中洗浄作業装置1を含む水中洗浄作業システム100の概要について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る水中洗浄作業システム100の概略の構成を示すブロック図である。なお、
図1において、ブロック間を接続する細い実線は電気配線を意味する。電気配線は、その線の数が複数ある場合でも、便宜的に1本で示している。また、
図1において、ブロック間を接続する太い実線はホースを意味する。
【0012】
図1に示すように、水中洗浄作業システム100は、水中洗浄作業装置1の他、発電機2と、配電盤3と、制御装置4と、高圧ポンプ5と、デブリ回収装置6と、リール7と、操作装置8と、端末装置9と、を備える。
【0013】
水中洗浄作業装置1は、水中において移動しながら洗浄対象の洗浄を行う。洗浄対象は、例えば、船体、橋脚、プール、または、養殖魚網等である。水中洗浄作業装置1の詳細については後述するため、ここでは、水中洗浄作業装置1の構成について簡単に説明する。
図1に示すように、水中洗浄作業装置1は、スラスタ11と、洗浄部12と、カメラ13と、センサ14と、ライト15とを備える。
【0014】
スラスタ11は、推進力を付与する。水中洗浄作業装置1は、スラスタ11を用いて水中を遊泳可能である。洗浄部12は、洗浄対象の洗浄を可能とする。本実施形態では、洗浄部12は、高圧水の噴射により洗浄対象の洗浄を行う。詳細には、洗浄部12は、高圧水の噴射により生じる噴流を利用して洗浄対象の洗浄を行う。ただし、洗浄部12は、高圧水を噴射する方式に限らず、例えばブラシを利用して洗浄対象の洗浄を行う構成等であってもよい。カメラ13は、水中洗浄作業装置1の周囲の環境を撮影する。
【0015】
センサ14は、水中洗浄作業装置1の状態を監視するために配置される。センサ14は、一種類でも良いが、本実施形態では複数種類のセンサを含む。センサ14には、例えば、圧力センサ、IMU(Inertial Measurement Unit)、温度センサ等が含まれる。圧力センサは、水中洗浄作業装置1が存在する位置の水深を検出可能とする。IMUは、水中洗浄作業装置1の姿勢を検出可能とする。温度センサは、スラスタ11の異常を検出可能とする。ライト15は、水中洗浄作業装置1の周囲を照らして、例えば水中に存在する洗浄対象の洗浄前後の状態を確認可能とする。
【0016】
発電機2、配電盤3、制御装置4、高圧ポンプ5、デブリ回収装置6、リール7、操作装置8、および、端末装置9は、船上、或いは、陸上に配置される。船上とは、詳細には、洗浄作業用の船(作業船)の上であってよい。また、陸上には、例えば車両等の陸上を移動する移動体の上が含まれてよい。
【0017】
発電機2は、例えばエンジン等の動力源を駆動させることにより、発電を行う。配電盤3は、発電機2により発電された電力を、制御装置4、高圧ポンプ5、および、デブリ回収装置6等に分配する。
【0018】
制御装置4は、操作装置8から指令に応じてスラスタ11に対する動作指令を生成する。なお、スラスタ11の数が複数である場合、スラスタごとに動作指令が生成される。スラスタ11は、動作指令に応じた電力を、電気ケーブル41(後述の
図2参照)を介して供給され、当該電力により駆動する。なお、操作装置8は、船上や陸上に居るオペレータによって操作される。操作装置8は、
図1に示すように、制御装置4と有線で接続されて通信を行う構成でもよいが、操作装置8は、無線により制御装置4と通信を行う構成であってもよい。すなわち、操作装置8は、携帯型の装置であってもよい。
【0019】
また、制御装置4は、水中洗浄作業装置1から、カメラ13で撮影された撮影情報や、センサ14で検出されたセンサ情報を、電気ケーブル41を介して取得する。制御装置4は、取得した撮影情報やセンサ情報等を端末装置9に出力する。端末装置9は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置と、液晶モニタ等の表示装置とを含む。端末装置9に含まれる表示装置には、カメラ13による撮影情報や、センサ14により取得された水深等の情報が表示される。船上或いは陸上に居るオペレータは、表示装置に表示される情報を見ながら、操作装置8を用いて水中洗浄作業装置1の操作を行う。
【0020】
高圧ポンプ5は、例えばモータ駆動式のポンプである。高圧ポンプ5は、例えばプランジャポンプである。高圧ポンプ5は、高圧水ホース51(後述の
図2参照)を介して高圧水を水中洗浄作業装置1の洗浄部12へ供給する。洗浄部12は、供給された高圧水を噴射して、噴流を利用して洗浄対象の洗浄を行う。
【0021】
デブリ回収装置6は、洗浄部12による洗浄に伴い生じる汚水からデブリを回収する装置である。デブリは、洗浄により洗浄対象から除去した付着生物に由来する汚れである。デブリ回収装置6は、汚水回収ホース61(後述の
図2参照)を介して、洗浄部12による洗浄に伴い生じる汚水を吸引する。デブリ回収装置6は、吸引した汚水を濾過することによりデブリ(残渣)を回収する。
【0022】
リール7は、水中洗浄作業装置1に繋がれる電気ケーブル41およびホース51、61を束ねて巻き取る装置である。水中洗浄作業装置1の未使用時には、電気ケーブル41およびホース51、61がリール7に巻き取られ、水中洗浄作業装置1もリール7の近傍に配置される収容部(不図示)に収容される。水中洗浄作業装置1の使用時には、リール7から電気ケーブル41およびホース51、61が繰り出され、水中洗浄作業装置1は、電気ケーブル41およびホース51、61が繰り出される量に応じた範囲で水中を移動可能となる。
【0023】
以上のように構成される水中洗浄作業システム100を用いて、船底の洗浄を行う作業の流れを、以下に例示する。ここでは、発電機2、配電盤3、制御装置4、高圧ポンプ5、デブリ回収装置6、リール7、操作装置8、および、端末装置9は、作業船上に配置されているものとする。
【0024】
まず、作業船が、洗浄対象となる船(洗浄対象船)に近づく。作業船が洗浄対象船に近づくと、リール7から電気ケーブル41およびホース51、61が繰り出され、水中洗浄作業装置1が海に入れられる。オペレータは、カメラ13の映像等を表示する表示装置(端末装置9の一部)を見ながら操作装置8を操作して、水中洗浄作業装置1を洗浄対象船に近づける。そして、オペレータは、水中洗浄作業装置1を、洗浄箇所に適切な姿勢(洗浄姿勢)として接近させる。
【0025】
オペレータは、洗浄姿勢で洗浄箇所に接近した水中洗浄作業装置1を、高圧ポンプ5を作動して洗浄部12を動作させた状態で直進移動させる。これにより、高圧水の噴射による噴流を用いて船体に付着した付着物の除去を行うことができる。また、当該洗浄時には、デブリ回収装置6が作動しており、付着物の除去に伴い生じた汚水はデブリ回収装置6へと送られる。すなわち、洗浄によって海が汚染されることを抑制することができる。オペレータは、水中洗浄作業装置1に対して、洗浄範囲に応じて直進と旋回とを繰り返し行わせながら、洗浄作業を完了する。
【0026】
洗浄箇所が他にある場合には、水中洗浄作業装置1は、洗浄姿勢を解除して他の洗浄箇所に移動する。例えば、船の側面を洗浄した後、船の底面や反対側の側面を更に洗浄する必要がある場合に、このような移動が行われる。全ての洗浄箇所の洗浄が完了すると、オペレータの操作により、水中洗浄作業装置1は水中を移動して作業船の近くまで戻る。これにより、水中洗浄作業装置1が回収される共に、電気ケーブル41およびホース51、61がリール7に巻き取られる。
【0027】
なお、以上では、オペレータが、水中洗浄作業装置1の操作を行う構成としたが、これは例示である。以上に説明した操作の少なくとも一部について、水中洗浄作業装置1が自動的に行う構成としてもよい。
【0028】
<2.水中洗浄作業装置>
以下、本実施形態の水中洗浄作業装置1の構成について詳細に説明する。
【0029】
図2は、本発明の実施形態に係る水中洗浄作業装置1の概略の構成を示す斜視図である。
図3は、本発明の実施形態に係る水中洗浄作業装置1を
図1とは異なる方向から見た概略斜視図である。詳細には、
図2は、水中洗浄作業装置1を斜め上方から見た斜視図である。
図3は、水中洗浄作業装置1を斜め下方から見た斜視図である。
図4は、
図1に示す水中洗浄作業装置1から一部のカバー部材を取り除いた状態を示す概略斜視図である。一部のカバー部材は、本体カバー102、カメラカバー131、および、洗浄部カバー18である。
【0030】
図2から
図4に示すように、水中洗浄作業装置1は、本体部10と、スラスタ11と、洗浄部12と、カメラ13と、ライト15と、防水ボックス16と、バンパ部17と、洗浄部カバー18と、を備える。
【0031】
[2-1.本体部]
本体部10は、フレーム部101と本体カバー102とを有する。フレーム部101は、例えばステンレス等の金属で構成される。本体カバー102は、例えばFRP(Fiber Reinforced Plastics)等の樹脂で構成される。なお、本体カバー102の裏面には、水中洗浄作業装置1の水中での姿勢等のバランスを調整するために浮力体が取り付けられてよい。また、フレーム部101に、バランス調整のための浮力体が配置されてもよい。浮力体は、例えば発泡体であってよい。
【0032】
(2-1-1.フレーム部)
図5は、本発明の実施形態に係る水中洗浄作業装置1が備えるフレーム部101の概略の構成を示す斜視図である。
図5に示すように、フレーム部101は、複数のフレーム部材で構成される。複数のフレーム部材は、例えば螺子止めや溶接等によって接続される。フレーム部101は、主フレーム1011と、第1副フレーム1012と、第2副フレーム1013とを含む。
【0033】
主フレーム1011は、左右方向に延びる。主フレーム1011は、側面視において(左右方向から見て)U字状である。主フレーム1011の左右の両端部には、スラスタ11の取り付けに用いられる箱形状の端部スラスタ取付部1014が設けられる。詳細には、端部スラスタ取付部1014は、主フレーム1011の左端部に設けられる左端部スラスタ取付部1014Lと、主フレーム1011の右端部に設けられる右端部スラスタ取付部1014Rとを含む。
【0034】
また、主フレーム1011の左右の端部の間には、当該主フレーム1011を左右に二等分する二等分面BS1を基準として対称に配置される2つの中間部スラスタ取付部1015が設けられる。2つの中間部スラスタ取付部1015のそれぞれは、主フレーム1011の底壁1011aに上向きに立設され、スラスタ11の取り付けに用いられる。詳細には、中間部スラスタ取付部1015は、二等分面BS1の左側に配置される左中間部スラスタ取付部1015Lと、二等分面BS1の右側に配置される右中間部スラスタ取付部1015Rとを含む。
【0035】
また、主フレーム1011の左右の端部の間には、二等分面BS1を基準として対称に配置される2つの洗浄部用貫通孔1016が設けられる。2つの洗浄部用貫通孔1016のそれぞれは、主フレーム1011の底壁1011aを上下方向に貫通し、洗浄部12の取り付けに用いられる。詳細には、洗浄部用貫通孔1016は、二等分面BS1の左側に配置される左洗浄部用貫通孔1016Lと、二等分面BS1の右側に配置される右洗浄部用貫通孔1016Rとを含む。左洗浄部用貫通孔1016Lは、左中間部スラスタ取付部1015Lを構成する立設フレームに囲まれるように配置される。右洗浄部用貫通孔1016Rは、右中間部スラスタ取付部1015Rを構成する立設フレームに囲まれるように配置される。
【0036】
以上からわかるように、主フレーム1011には、スラスタ11と洗浄部12とが取り付けられる。すなわち、本体部10は、スラスタ11と洗浄部12とが取り付けられる主フレーム1011を有する。別の言い方をすると、スラスタ11と洗浄部12とは、同一のフレーム(主フレーム1011)に取り付けられる。スラスタ11と洗浄部12とが取り付けられるフレームが同じとされることにより、水中洗浄作業装置1の高さを低くすることができる。また、スラスタ11と洗浄部12とが取り付けられるフレームが同じとされることにより、水中洗浄作業装置1の組み立て性を向上することができる。
【0037】
なお、主フレーム1011の底壁1011aの、左右方向の中央部には、上側に向けて立設される左右一対のフレーム部材で構成されるボックス取付部1017が設けられる。ボックス取付部1017は、防水ボックス16の取り付けに用いられる。また、ボックス取付部1017には、正面視において(前方から見て)、門形状のカメラ取付部1018が設けられる。カメラ取付部1018は、カメラ13の取り付けに用いられる。すなわち、本実施形態においては、同一のフレーム(主フレーム1011)に、スラスタ11および洗浄部12だけでなく、防水ボックス16およびカメラ13も取り付けられる。
【0038】
第1副フレーム1012は、主フレーム1011の上方に配置され、前後方向に延びる。第1副フレーム1012は、上下方向に広がる板状である。第1副フレーム1012は、主フレーム1011の前端よりも前方に突出すると共に、主フレーム1011の後端よりも後方に突出する。第1副フレーム1012は、詳細には、二等分面BS1を基準として左右対称に配置される左第1副フレーム1012Lと右第1副フレーム1012Rとを含む。左第1副フレーム1012Lは、左中間部スラスタ取付部1015Lを構成する立設フレームの右側面に取り付けられる。右第1副フレーム1012Rは、右中間部スラスタ取付部1015Rを構成する立設フレームの左側面に取り付けられる。
【0039】
左右の第1副フレーム1012L、1012Rは、バンパ部17を支持する。また、左右の第1副フレーム1012L、1012Rの左右方向間には、左右に延びる橋渡しフレーム1019が設けられる。詳細には、橋渡しフレーム1019は、前側橋渡しフレーム1019Fと後側橋渡しフレーム1019Rとを含む。
【0040】
前側橋渡しフレーム1019Fは、主フレーム1011よりの前方に配置され、左右の端部が左右の第1副フレーム1012L、1012Rの下端部に取り付けられる。前側橋渡しフレーム1019Fは、主フレーム1011と共に防水ボックス16の取り付けに用いられる。後側橋渡しフレーム1019Rは、主フレーム1011よりの後方に配置され、左右の端部が左右の第1副フレーム1012L、1012Rの上端部に取り付けられる。後側橋渡しフレーム1019Rは、電気ケーブル41を保持するためのクランプに利用される。
【0041】
第2副フレーム1013は、前後方向に延びるL字状の部材である。詳細には、第2副フレーム1013は、主フレーム1011の前面から前方に延びる2つの前第2副フレーム1013Fと、主フレーム1011の後面から後方に延びる2つの後第2副フレーム1013Rとを含む。2つの前第2副フレーム1013F、および、2つの後第2副フレーム1013Rは、それぞれ、主フレーム1011を左右に二等分する二等分面BS1に対して対称に配置される。また、2つの前第2副フレーム1013F、および、2つの後第2副フレーム1013Rは、左右の第1副フレーム1012L、1012Rよりも左右方向外方に配置される。2つの前第2副フレーム1013Fと、2つの後第2副フレーム1013Rとは、主フレーム1011の左右方向の同じ位置に配置される。4つの第2副フレーム1013は、バンパ部17の支持、および、洗浄部カバー18の支持に利用される。
【0042】
(2-1-2.本体カバー)
本体カバー102は、下方に向けて開口し、平面視において(上下方向から見て)前後方向に比べて左右方向に長く延びる形状となっている。
図2と
図4とを比較してわかるように、本体カバー102は、フレーム部101とスラスタ11とのうちフレーム部101を覆う位置に配置される。本体カバー102は、フレーム部101とスラスタ11とのうちフレーム部101のみを覆い、スラスタ11を覆わない。なお、本体カバー102は、フレーム部101の少なくも一部を覆えばよい。本実施形態では、本体カバー102は、フレーム部101に搭載される防水ボックス16や、フレーム部101に搭載される部品に接続される配線や配管を覆う。本体カバー102は、フレーム部101に固定される。
【0043】
図6は、本発明の実施形態にかかる水中洗浄作業装置1が備える本体カバー102の概略の構成を示す側面図である。詳細には、
図6は、本体カバー102を左から見た図である。
図6に示すように、本体カバー102の表面には、傾斜部1021が設けられる。傾斜部1021は、水中洗浄作業装置1が水中を移動する際の抵抗を低減可能に設けられる。また、傾斜部1021は、水中洗浄作業装置1が洗浄のための移動を行う際に、本体部10に対して洗浄部12側への押し付け力を発生可能に設けられる。
【0044】
傾斜部1021が設けられることにより、洗浄作業を行う際に上述のような押し付け力が得られるために、洗浄部12を洗浄対象に向けて押し付ける力を発生させる機構を小型化することができる。なお、本実施形態では、後述のように、洗浄部12を洗浄対象に向けて押し付ける力を発生させるための機構として、スラスタ11が利用される。傾斜部1021が設けられることにより、当該スラスタ11の小型化を図ることができる。
【0045】
詳細には、傾斜部1021は、前方から後方に向かうにつれて上方となる傾斜を含む。本実施形態では、傾斜部1021が設けられることにより、例えば、本体カバー102の前端部の高さ位置を後端部の高さ位置に比べて半分以下とすることができる。傾斜部1021が設けられることにより、水中洗浄作業装置1が前方に向かって直進する際に、前方が浮き上がらないように押し付け力を発生させることができる。このために、前方に向かって直進移動しながら洗浄作業を行う際に、水中洗浄作業装置1を洗浄対象に向けて押し付ける力を発生させる機構の小型化を図ることができる。
【0046】
なお、本実施形態では、上述の電気ケーブル41およびホース51、61(
図2等参照)は、本体部10から後方に延び出す。換言すると、水中洗浄作業装置1は、本体部10から後方に延びる配線41および配管51、61を備える。このような構成とすると、水中洗浄作業装置1を薄型化することができる。また、前方に移動しながら洗浄作業を行う水中洗浄作業装置1の操作性を向上することができる。
【0047】
また、本実施形態では、本体カバー102が、前方から後方に向かうにつれて上方となる傾斜部1021を備える構成としたが、これは例示にすぎない。本体カバー102は、外方から内方に向かうにつれて上方となる他の傾斜部を備えてもよい。
【0048】
図7は、本発明の実施形態にかかる水中洗浄作業装置1が備える本体カバー102の概略の構成を示す正面図である。
図2および
図7に示すように、本体カバー102の表面には、前後方向に延びる少なくとも1つの溝部1022が設けられる。詳細には、本体カバー102は、その表面に複数の溝部1022を有する。溝部1022は、本体カバー102の表面に対して下方に凹む。溝部1022は、本体カバー102の前端から後端まで延びる。溝部1022が設けられることにより、溝部1022に沿って前後方向に水を流すことができる。このために、水中洗浄作業装置1において、前後方向における直進安定性を確保することができる。
【0049】
より詳細には、溝部1022は、一対の第1溝部1022aと、一対の第2溝部1022bとを含む。
図7に示すように、本体カバー102は、上下方向の高さが高い背高部102aと、上下方向の高さが低い背底部102bとを有する。背高部102aは、本体カバー102の左右方向の中央に位置する。背底部102bは、背高部102aの左側と右側とのそれぞれに配置される。左右の背底部102bは、背高部102aに対して対称に配置される。背高部102aの上端は、背底部102bの上端よりも高い。なお、上述の傾斜部1021は、背高部102aの前側に設けられる。
【0050】
一対の第1溝部1022aは、背高部102aに設けられる。一対の第1溝部1022aは、背高部102a(本体カバー102と言い換えてもよい)を左右に二等分する二等分面BS2に対して対称に配置される。一対の第1溝部1022aは、背高部102aの表面に対して凹んで設けられ、前端から後端まで延びる。
【0051】
一対の第2溝部1022bのうち、一方は左側の背底部102bに設けられ、他方は右側の背底部102bに設けられる。一対の第2溝部1022bは、背高部102aを左右に二等分する二等分面BS2に対して対称に配置される。一対の第2溝部1022bは、背底部102bの表面に対して凹んで設けられ、前端から後端まで延びる。
【0052】
以上のように一対の第1溝部1022aおよび一対の第2溝部1022bが設けられるために、本体カバー102の表面には、左右方向に凹凸が設けられる。このような凹凸を本体カバー102の表面に設けることで、水の流れを利用して本体部10を安定させることができる。
【0053】
[2-2.スラスタ]
スラスタ11は、本体部10に推進力を与える。
図8は、本発明の実施形態に係る水中洗浄作業装置1が備えるスラスタ11の概略の構成を示す斜視図である。
図8に示すように、スラスタ11は、筒状のスラスタ本体11aと、スラスタ本体11a内に配置されるプロペラ部11bと、スラスタ本体11aから延び出す配線部11cとを有する。プロペラ部11bは、軸線AL1を中心として回転可能に設けられる。なお、軸線AL1は、筒状のスラスタ本体11aの中心を通り、スラスタ本体11aが延びる方向と平行な方向に延びる仮想線である。
【0054】
スラスタ本体11aは、モータを含んで構成される。当該モータには、上述の電気ケーブル41(
図2等参照)と電気的に接続される配線部11cを介して電力が供給される。当該供給された電力に応じて、プロペラ部11bが軸線AL1を中心とした回転を行う。水中でプロペラ部11bが回転することにより、水中洗浄作業装置1に推進力が与えられる。
【0055】
なお、プロペラ部11bは、詳細には、軸線AL1を中心とする環状の回転体11b1と、回転体11b1から内方に突出する複数の羽根11b2とを有する。回転体11b1は、スラスタ本体11aに回転可能に支持される。
図9は、
図8に示すスラスタ本体11aとプロペラ部11bとを軸線AL1が延びる方向に沿って見た図である。
【0056】
図9に示すように、軸線AL1が延びる方向に沿ってプロペラ部11bを平面視した場合、プロペラ部11bの中央には、複数の羽根11b2の先端部分に囲まれる円形状の孔11b3が存在する。このような構成とすると、プロペラ部の回転中心に羽根を支持する回転軸体が配置される構成のスラスタとする場合に比べて、海中を浮遊するビニール等の浮遊物をスラスタ11に巻き付き難くすることができる。ただし、スラスタ11は、プロペラ部の回転中心に羽根を支持する回転軸体が配置される構成のスラスタとされてもよい。
【0057】
本実施形態では、水中洗浄作業装置1は複数のスラスタ11を備える。そして、スラスタ11には、推進力を与える方向が異なる二種類のスラスタが含まれる。詳細には、スラスタ11には、本体部10に前後方向の推進力を与える前後スラスタ111が含まれる。すなわち、水中洗浄作業装置1は、前後方向に推進力を与える前後スラスタ111を備える。また、スラスタ11には、本体部10に上下方向の推進力を与える上下スラスタ112が含まれる。すなわち、水中洗浄作業装置1は、上下方向に推進力を与える上下スラスタ112を備える。前後スラスタ111と上下スラスタ112とが配置されることにより、水中洗浄作業装置1は、水中において、ピッチング、ローリング、および、ヨーイングを行うことができる。
【0058】
なお、前後スラスタ111と上下スラスタ112とは、異なる場所に異なる姿勢で配置されるが、同じ製品で構成される。すなわち、前後スラスタ111と上下スラスタ112とは、いずれも、上述した
図8に示す構造を有する。ただし、これは例示であり、前後スラスタ111と上下スラスタ112とは、異なる構成のスラスタであってもよい。
【0059】
また、上述のように、本体部10は、スラスタ11と洗浄部12とが取り付けられる主フレーム1011を有する。そして、スラスタ11には、前後スラスタ111と上下スラスタ112とが含まれる。このために、本体部10は、洗浄部12、上下スラスタ112、および、前後スラスタ111が取り付けられる主フレーム1011を有する。
【0060】
(2-2-1.前後スラスタ)
前後スラスタ111は、
図8に示す軸線AL1が前後方向と平行となるように、本体部10に配置される。前後スラスタ111は、主フレーム1011に設けられる中間部スラスタ取付部1015(
図5参照)に取り付けられる。
【0061】
図2や
図4に示すように、本実施形態では、水中洗浄作業装置1は複数の前後スラスタ111を備える。前後スラスタ111には、左側前後スラスタ111Lと、右側前後スラスタ111Rとが含まれる。左側前後スラスタ111Lは、左中間部スラスタ取付部1015L(
図5参照)に取り付けられる。右側前後スラスタ111Rは、右中間部スラスタ取付部1015R(
図5参照)に取り付けられる。左右の前後スラスタ111L、111Rは、本体部10を左右に二等分する二等分面に対して対称に配置される。
【0062】
なお、本実施形態では、前後スラスタ111の数は2つであるが、これは例示である。前後スラスタ111の数は、単数や3つ以上であってもよい。
【0063】
図2に示すように、前後スラスタ111は、溝部1022と前後方向に並んで配置される。このような構成とすると、前後スラスタ111を設ける上下方向の高さ位置を本体カバー102からずらさなくても、前後スラスタ111における水の流れが本体カバー102によって阻害されることを抑制できる。すなわち、このような構成とすると、水中洗浄作業装置1の上下方向の厚みが大きくなることを抑制して、前後スラスタ111を配置することができる。
【0064】
詳細には、
図2に示すように、左右の前後スラスタ111L、111Rのそれぞれは、第2溝部1022bの後方に配置される。左右の前後スラスタ111L、111Rのそれぞれは、本体カバー102の最上端部よりも低い位置に配置される。水中洗浄作業装置1の薄型化を図りつつ、左右の前後スラスタ111L、111Rが本体部10に取り付けられている。
【0065】
水中洗浄作業装置1においては、左右の前後スラスタ111L、111Rは独立して制御される。例えば、水中洗浄作業装置1は、左右の前後スラスタ111L、111Rのプロペラ部11bが同方向に同速度で回転される場合に、前後方向に直進する。プロペラ部11bが一方側に回転する場合に前進し、他方側に回転する場合に後進する。また、例えば、水中洗浄作業装置1は、左右の前後スラスタ111L、111Rの回転方向が逆とされることにより、左方向、或いは、右方向に旋回する。
【0066】
(2-2-2.上下スラスタ)
上下スラスタ112は、
図8に示す軸線AL1が上下方向と平行となるように、本体部10に配置される。上下スラスタ112は、主フレーム1011に設けられる端部スラスタ取付部1014(
図5参照)に取り付けられる。
【0067】
図2から
図4に示すように、本実施形態では、水中洗浄作業装置1は複数の上下スラスタ112を備える。上下スラスタ112には、左前側上下スラスタ112LFと、左後側上下スラスタ112LRと、右前側上下スラスタ112RFと、右後側上下スラスタ112RRとが含まれる。
【0068】
左前側上下スラスタ112LFは、箱状の左端部スラスタ取付部1014L(
図5参照)の前壁に取り付けられる。左後側上下スラスタ112LRは、箱状の左端部スラスタ取付部1014Lの後壁に取り付けられる。左前側上下スラスタ112LFと、左後側上下スラスタ112LRとは、左端部スラスタ取付部1014Lに対して対称に配置される。右前側上下スラスタ112RFは、箱状の右端部スラスタ取付部1014R(
図5参照)の前壁に取り付けられる。右後側上下スラスタ112RRは、箱状の右端部スラスタ取付部1014Rの後壁に取り付けられる。右前側上下スラスタ112RFと、右後側上下スラスタ112RRとは、右端部スラスタ取付部1014Rに対して対称に配置される。また、左側に配置される上下スラスタ112LF、112LRと、右側に配置される上下スラスタ112RF、112RRとは、本体部10を左右に二等分する二等分面に対して対称に配置される。
【0069】
なお、本実施形態では、上下スラスタ112の数は4つであるが、これは例示である。上下スラスタ112の数は、例えば3つ等の4つ以外の数とされてもよい。
【0070】
図2から
図4に示すように、本実施形態では、上下スラスタ112は、水中洗浄作業装置1の隅に配置される。詳細には、上下スラスタ112は、水中洗浄作業装置1の四隅に配置される。より詳細には、左前側上下スラスタ112LFは、水中洗浄作業装置1の左前側の角部に配置される。左後側上下スラスタ112LRは、水中洗浄作業装置1の左後側の角部に配置される。右前側上下スラスタ112RFは、水中洗浄作業装置1の右前側の角部に配置される。右後側上下スラスタ112RRは、水中洗浄作業装置1の右後側の角部に配置される。上下スラスタ112が四隅に配置されることにより、水中洗浄作業装置1の操作性を向上することができる。例えば、水中洗浄作業装置1のピッチングやローリングの操作を行い易くすることができる。
【0071】
また、本実施形態では、上下スラスタ112の上下は開放空間である。換言すると、上下スラスタ112の上下には遮蔽物が配置されない。このことは、4つの上下スラスタ112LF、112LR、112RF、112RRの全てに当てはまる。上下スラスタ112の上下が開放されているために、プロペラ部11bの回転により水流を効率良く生成することができる。
【0072】
なお、本実施形態では、上下スラスタ112は、上端部と下端部とに、ガード部11d(
図2参照)を含む。ガード部11dは、棒状部材11d1が格子状に配置される構造を有する。隣り合う棒状部材11d1の間隔が広く、当該ガード部11dは、水流を殆ど阻害しない。一方で、ガード部11dが設けられることにより、水中を浮遊する物体からプロペラ部11bを保護することができる。ただし、上下スラスタ112は、ガード部11dを備えなくてもよい。また、前後スラスタ111が、ガード部11dを備えてもよい。
【0073】
水中洗浄作業装置1においては、4つの上下スラスタ112LF、112LR、112RF、112RRは独立して制御される。例えば、水中洗浄作業装置1は、4つの上下スラスタ112LF、112LR、112RF、112RRのプロペラ部11bが同方向に同速度で回転される場合に、上下方向に移動する。プロペラ部11bが一方側に回転する場合に上方に移動(浮上)し、他方側に回転する場合に下方に移動(潜航)する。また、例えば、水中洗浄作業装置1は、左側の同速度で回転する2つの上下スラスタ112LF、112LRと、右側の同速度で回転する2つの上下スラスタ112RF、112RRとの回転方向が逆とされることにより、ローリングを行う。また、例えば、水中洗浄作業装置1は、前側の同速度で回転する2つの上下スラスタ112LF、112RFと、後側の同速度で回転する2つの上下スラスタ112LR、112RRとの回転方向が逆とされることにより、ピッチングを行う。
【0074】
[2-3.洗浄部]
洗浄部12は、本体部10の下方に配置される。例えば、船の側面の洗浄を行う場合、水中洗浄作業装置1は、上下スラスタ112を用いて上述のピッチングやローリングを行って、船の側面に洗浄部12を対向させる。そして、水中洗浄作業装置1は上下スラスタ112の駆動により洗浄部12を船の側面に接近させる。水中洗浄作業装置1は、船の側面に洗浄部12を接近させた状態で、前後スラスタ111により前進しながら船の側面の洗浄を行う。
【0075】
本実施形態では、
図3および
図4に示すように、洗浄部12は、平面視(底面視)において、上下スラスタ112と重ならない位置に配置される。換言すると、水中洗浄作業装置1は、平面視において、洗浄部12からずれた位置に配置されるスラスタ112を備える。洗浄部12からずれた位置に配置されるスラスタ112は、上下方向に推進力を与える上下スラスタである。
【0076】
上下スラスタ112と洗浄部12とが、平面視においてずれた位置(重ならない位置)に配置される構成は、プロペラと洗浄部とが同一の軸に配置される構成とは異なる。上下スラスタ112と洗浄部12とが、平面視においてずれた構成とすると、水中洗浄作業装置1の上下方向の厚みを薄くすることができる。この結果、例えば潮流の影響を抑制したり、自らの抵抗を減らしたりすることができ、水中洗浄作業装置1の操作性を向上することができる。
【0077】
詳細には、平面視において洗浄部12からずれた位置に配置されるスラスタ(上下スラスタ)112は、洗浄部12よりも外縁側に配置される。本実施形態では、複数(4つ)の上下スラスタ112が、洗浄部12を囲むように配置される。別の言い方をすると、洗浄部12が中央部に配置され、上下スラスタ112が周囲に配置される。このような構成とすることで、複数の上下スラスタ112の駆動を独立に制御して、洗浄部12と洗浄対象(船の側面等)との位置関係を容易に調整することができる。
【0078】
なお、本実施形態では、前後スラスタ111は、上下スラスタ112よりも中央側に配置される。このような構成とすると、平面視においてスラスタ11の配置範囲が広くなり過ぎることを抑制することができ、水中洗浄作業装置1の小型化を図ることができる。詳細には、前後スラスタ111は、平面視おいて洗浄部12と重なる位置に配置される。
【0079】
本実施形態では、洗浄部12は、洗浄時に回転する洗浄円盤121を有する。詳細には、洗浄部12は、洗浄円盤121を複数有する。洗浄円盤121が複数とされることにより、洗浄領域を広くすることができる。より詳細には、洗浄部12は、左右方向に並ぶ2つの洗浄円盤121を有する。洗浄円盤121を2つとすることにより、水中洗浄作業装置1の大型化を抑制しつつ、効率良く洗浄作業を行うことができる。なお、洗浄部12の数は、適宜変更されてよい。洗浄部12の数は、単数でも、3つ以上の複数であってもよい。洗浄円盤121は、例えばステンレスで構成される。
【0080】
図10は、洗浄部12が有する洗浄円盤121の概略の構成を示す斜視図である。
図10においては、洗浄円盤121の構成の理解を容易とするために、洗浄円盤121の底壁の記載が省略されている。また、
図10には、洗浄円盤121の他に、洗浄部12が有するロータリジョイント122も示されている。
図11は、
図10に示す洗浄円盤121の垂直断面を示す断面斜視図である。
図11に示す垂直断面は、前後方向と平行である。
図11には、ロータリジョイント122の断面斜視図も含まれる。
図10および
図11を参照して、洗浄円盤121の構成について説明する。
【0081】
なお、詳細には、
図10および
図11は、水中洗浄作業装置1の左側に配置される左洗浄円盤121Lの構成を示す図である。水中洗浄作業装置1の左側に配置される左洗浄円盤121Lと、右側に配置される右洗浄円盤121Rとは、噴射ノズルの向きを除いて同じ構造を有する。このために、左洗浄円盤121Lを代表例として洗浄円盤121の構成について説明する。
【0082】
図10および
図11に示すように、洗浄円盤121は、円盤本体1211と、円盤軸1212と、円盤内配管1213と、噴射ノズル1214とを有する。
【0083】
円盤本体1211は、上下に延びる軸線AL2(仮想線)を中心として回転可能に設けられる。円盤本体1211は、筒部1211aと、上壁部1211bと、底壁部1211c(
図3参照)とを有する。筒部1211aは、上下方向に延びる円筒状である。筒部1211aの中心は、軸線AL2と一致する。上壁部1211bおよび底壁部1211cは、円板状である。上壁部1211bは、筒部1211aの上端に配置され、中央部に開口1211dを有する。底壁部1211cは、筒部1211aの下端に配置され、外周縁に複数の切欠き1211eを有する。複数の切欠き1211eは、軸線AL2を中心とする周方向に等間隔に並ぶ。本実施形態では、切欠き1211eの数は3つであり、3つの切欠き1211eは周方向に120°間隔で並ぶ。
【0084】
円盤軸1212は、上下に延びる有底円筒状であり、上壁部1211bに設けられる開口1211dに配置される。円盤軸1212は、円盤本体1211に固定される。円盤軸1212の中心は、軸線AL2と一致する。円盤軸1212は、上壁部1211bに対して上下に突出する。円盤軸1212の、上壁部1211bより上側の一部分は、主フレーム1011に設けられる洗浄部用貫通孔1016(
図5参照)内に配置される。円盤軸1212の、上壁部1211bより下側の側面には、当該円盤軸1212の内部空間1212aと繋がる複数の側面開口1212bが設けられる。複数の側面開口1212bは、軸線AL2を中心とする周方向に等間隔に並ぶ。本実施形態では、側面開口1212bの数は3つであり、3つの側面開口1212bは周方向に120°間隔で並ぶ。
【0085】
円盤内配管1213は、軸線AL2と直交する方向に直線状に延びるパイプである。円盤内配管1213は、上壁部1211bに固定される。円盤内配管1213の一端は、側面開口1212bと繋がる。上述のように、本実施形態では、側面開口1212bの数が3つであり、円盤内配管1213の数は3つである。3つの円盤内配管1213は、軸線AL2を中心とする周方向に120°間隔に並ぶ。3つの円盤内配管1213の各他端は、筒部1211aの内周面の近くまで延びる。
【0086】
噴射ノズル1214は、円盤内配管1213の他端に取り付けられる。本実施形態では、円盤内配管1213の数が3つであり、噴射ノズル1214の数も3つである。なお、噴射ノズル1214の数は3つ以外であってもよい。また、噴射ノズル1214の数に応じて、側面開口1212bおよび円盤内配管1213の数も変更されてよい。噴射ノズル1214は、底壁部1211cに設けられる切欠き1211eにより外部に露出する。すなわち、噴射ノズル1214から噴射された高圧水は、外部に噴射される。噴射ノズル1214は、軸線AL2が延びる方向(上下方向)と直交する面(水平面)に対して所定角度だけ傾いて配置される。これにより、噴射ノズル1214から噴射された高圧水を洗浄対象に向けることができる。所定角度は、例えば30°等である。なお、左洗浄円盤121Lと右洗浄円盤121Rとでは、噴射ノズル1214の噴射口の周方向(軸線AL2を中心とする周方向)の向きが逆である。
【0087】
図11に示すように、ロータリジョイント122は、ハウジング1221と回転シャフト1222とを有する。
【0088】
ハウジング1221は、上下に延びる円筒状であり、主フレーム1011(
図5参照)に設けられる取付部MPに固定される。ハウジング1221の中心は、軸線AL2と一致する。ハウジング1221の外周面には、ハウジング1221の上下方向に延びる内部空間1221aと連通する注水口1221bが設けられる。注水口1221bには、フレーム部101上に設けられる配管53を介して高圧水ホース51から高圧水が注水される。なお、
図4に示すように、高圧水ホース51から供給される高圧水は、高圧水ホース51に接続される分配部52で左配管53Lおよび右配管53Rに分配される。左配管53L内を通る高圧水は、左洗浄円盤121L側の注水口1221bに供給される。右配管53R内を通る高圧水は、右洗浄円盤121R側の注水口1221bに供給される。
【0089】
回転シャフト1222は、上下に延びる有蓋筒状であり、ハウジング1221の内部空間1221aに配置される。回転シャフト1222は、ハウジング1221に回転可能に支持される。回転シャフト1222の中心は、軸線AL2と一致し、回転シャフト1222は、軸線AL2を中心として回転可能である。回転シャフト1222の外周面には、回転シャフト1222の内部空間1222aと繋がるシャフト開口1222bが設けられる。回転シャフト1222は、下部にフランジ部1222cを有する。フランジ部1222cは、洗浄円盤121の円盤軸1212の上端に取り付けられる。すなわち、回転シャフト1222と洗浄円盤121とは一体的に回転する。回転シャフト1222の内部空間1222aと、円盤軸1212の内部空間1212aとは繋がる。
【0090】
ロータリジョイント122の注水口1221bに高圧水が注水されると、回転シャフト1222、円盤軸1212、および、円盤内配管1213の各内部を通って噴射ノズル1214に高圧水が供給される。噴射ノズル1214に供給された高圧水は、噴射ノズル1214の噴射口から外部(洗浄対象)に噴射される。当該噴射による噴流により洗浄対象の洗浄を行うことができる。洗浄円盤121は、高圧水の噴射による反力で回転する。高圧水の供給量に応じて、洗浄円盤121の回転数は変わる。高圧水の供給量を大きくすると、洗浄円盤121の回転が速くなり、洗浄速度を高められる。洗浄円盤121の回転数は、例えば250rpm等とされる。
【0091】
なお、上述のように左洗浄円盤121Lと右洗浄円盤121Rとでは、噴射ノズル1214の噴射口の向きが逆とされる。このために、左洗浄円盤121Lと右洗浄円盤121Rとでは、高圧水の反力による回転の方向が逆となる。
【0092】
[2-4.カメラ]
カメラ13は、主フレーム1011に取り付けられる。カメラ13も、スラスタ11および洗浄部12と同様に主フレーム1011に取り付けられるために、水中洗浄作業装置1の組み立て性を向上することができる。詳細には、カメラ13は、主フレーム1011に設けられるカメラ取付部1018(
図5参照)に、カメラ台132(
図4参照)を介して取り付けられる。カメラ台132に上方からカメラカバー131が取り付けられることにより、カメラ13は覆われる。なお、カメラカバー131は、カメラ13によって水中洗浄作業装置1の周囲を撮影できるように透明部材で構成される。
【0093】
図2および
図4を参照してわかるよう、カメラ13は、本体カバー102よりも上方に配置される。そして、本実施形態においては、カメラ13は、前方を撮影するフロントカメラ13Fと、後方を撮影するリアカメラ13Rとを含む。フロントカメラ13Fとリアカメラ13Rとは、いずれも広角レンズ(画角170°程度等)を用いて構成される。このために、カメラ13により、水中洗浄作業装置1の外周を概ね撮影することができる。
【0094】
なお、本実施形態では、カメラ13の数を2つとしているが、これは例示である。カメラ13の数は、単数或いは3つ以上であってもよい。例えば、フロントカメラ13Fとリアカメラ13Rに加えて、水中洗浄作業装置1の左右を撮影するサイドカメラが設けられてもよい。
【0095】
[2-5.ライト]
ライト15は、水中洗浄作業装置1を用いた洗浄作業の、カメラ13による映像を見易くできる位置に配置されればよい。また、前述の目的を達成できるように、ライト15の数は適宜決定されてよい。ライト15の数は、単数でも複数でもよい。本実施形態では、ライト15の数は複数である。
【0096】
詳細には、水中洗浄作業装置1には、前方を照らす4つのライト15と、後方を照らす2つのライト15が設けられている。前方を照らす4つのライト15のうちの2つは、バンパ部17の前部に配置され、残り2つは、本体カバー102の前部に配置される。後方を照らすライト15は、上述の後側橋渡しフレーム1019R(
図2等参照)上に配置される。
【0097】
[2-6.防水ボックス]
防水ボックス16は、電子機器を収容する。防水ボックス16に収容される電子機器には、上述したセンサ14の少なくとも一部が含まれてよい。また、電子機器には、マイコン等の制御装置が含まれてよい。
図4に示すように、防水ボックス16は、主フレーム1011に取り付けられる。防水ボックス16も、スラスタ11および洗浄部12と同様に主フレーム1011に取り付けられるために、水中洗浄作業装置1の組み立て性を向上することができる。
【0098】
詳細には、
図4に示すように、防水ボックス16は、外形直方体状の第1防水ボックス161および第2防水ボックス162を含む。なお、防水ボックス16の数は単数でもよい。ただし、防水ボックス16の数を複数とすることにより、各防水ボックス16をコンパクトに構成することができる。防水ボックス16をコンパクトにすることにより、ボックスの蓋等が水圧の影響で破損する可能性を低減することができる。
【0099】
第1防水ボックス161は、上述のボックス取付部1017(
図5参照)に取り付けられる。第2防水ボックス162は、前端を上述の前側橋渡しフレーム1019Fに取り付けられ、後端を主フレーム1011の前壁に取り付けられる。第1防水ボックス161は、平面視において主フレーム1011と重なり、本体部10の左右方向の中央部に位置する。第2防水ボックス162は、第1防水ボックス161の前方に配置され、本体部10の左右方向の中央部に位置する。第2防水ボックス162は、第1防水ボックス161よりも低い位置に配置される。第1防水ボックス161と第2防水ボックス162との上下方向の高さ位置を変えることにより、傾斜部1021が設けられる本体カバー102を適切に取り付けることができる。
【0100】
上述した電気ケーブル41には、詳細には、スラスタ11を駆動する電力を供給する動力線を含む第1電気ケーブル411および第2電気ケーブル412が含まれる(
図4参照)。第1電気ケーブル411は、左側に配置される3つのスラスタ111L、112LF、112LR用の動力線を含む。第2電気ケーブル412は、右側に配置される3つのスラスタ111R、112RF、112RR用の動力線を含む。また、電気ケーブル41には、第3電気ケーブル413が含まれる。第3電気ケーブル413は、水中洗浄作業装置1に内蔵されるマイコン(不図示)へ電力を供給する電源線と、上述の制御装置4(
図1参照)にカメラ13およびセンサ14からの情報を送信する信号線とを含む。
【0101】
第1防水ボックス161は、詳細にはジャンクションボックスである。
図4に示すように、第1防水ボックス161の後面には、第1電気ケーブル411および第2電気ケーブル412が接続される。また、第1防水ボックス161の後面には、左側前後スラスタ111Lおよび右側前後スラスタ111Rの配線部11c(
図8参照)が接続される。また、第1防水ボックス161の左側面には、左前側上下スラスタ112LFおよび左後側上下スラスタ112LRの配線部11cが接続される。また、第1防水ボックス161の右側面には、右前側上下スラスタ112RFおよび右後側上下スラスタ112RRの配線部11cが接続される。
【0102】
第2防水ボックス162には、マイコンおよびIMU(いずれも不図示)が内蔵される。また、第2防水ボックス162の上面は、圧力センサ141が配置される。第2防水ボックス162後面には、上述の第3電気ケーブル413が接続される。また、第2防水ボックス162には、カメラ13との信号のやり取りを行うケーブル(不図示)が接続される。
【0103】
[2-7.バンパ部]
図2から
図4に示すように、バンパ部17は、本体部10およびスラスタ11を囲む。バンパ部17は、パイプ材を用いて構成される。バンパ部17は、フレーム部101に取り付けられる。バンパ部17が設けられることにより、本体部10やスラスタ11が、船体等の洗浄対象と接触する可能性を低減することができる。
【0104】
バンパ部17は、詳細には、上述した第1副フレーム1012および第2副フレーム1013に取り付けられる。このように構成することにより、バンパ部17が船体等の洗浄対象に接触したとしても副フレーム1012、1013の変形に留め、スラスタ11や洗浄部12が取り付けられる主フレーム1011が変形することを防止できる。
【0105】
バンパ部17は、前バンパ171と、後バンパ172と、左バンパ173と、右バンパ174とを備える(
図4参照)。前バンパ171は、左右方向に延びる1本のパイプ材で構成され、本体部10の前方に配置される。前バンパ171は、第1副フレーム1012および前第2副フレーム1013Fの前端部に取り付けられる。後バンパ172は、左右方向に延びる1本のパイプ材で構成され、本体部10の後方に配置される。後バンパ172は、第1副フレーム1012および後第2副フレーム1013Rの後端部に取り付けられる。
【0106】
左バンパ173は、左側の2つの上下スラスタ112LF、112LR、および、左端部スラスタ取付部1014Lの左方に配置される。左バンパ173は、平面視においてU字状の2つのパイプ材で構成される。2つのパイプ材は上下に間隔をあけて並ぶ。2つのパイプ材の両端部は、前バンパ171および後バンパ172の左端部にそれぞれ配置される連結部材175に取り付けられる。すなわち、左バンパ173は、前バンパ171および後バンパ172に接続される。また、左バンパ173を構成する2つのパイプ材は、左端部スラスタ取付部1014Lの左側面から左方に突出するプレート片176に支持される。
【0107】
右バンパ174は、右側の2つの上下スラスタ112RF、112RR、および、右端部スラスタ取付部1014Rの右方に配置される。右バンパ174は、平面視においてU字状の2つのパイプ材で構成される。2つのパイプ材は上下に間隔をあけて並ぶ。2つのパイプ材の両端部は、前バンパ171および後バンパ172の右端部にそれぞれ配置される連結部材175に取り付けられる。すなわち、右バンパ174は、前バンパ171および後バンパ172に接続される。また、右バンパ174を構成する2つのパイプ材は、右端部スラスタ取付部1014Rの右側面から右方に突出するプレート片176に支持される。右バンパ174は、主フレーム1011を挟んで左バンパ173と対象に配置される。
【0108】
前バンパ171には、上述したライト15が2つ取り付けられる。2つのライト15は、前バンパ171の上方に配置される。また、前バンパ171および後バンパ172には、ローラ19が取り付けられる。すなわち、バンパ部17には、ローラ19が設けられる。ローラ19は、詳細には、左右方向に延びる円柱状の回転体19aと、回転体19aを回転可能に支持する支持体19bとを有する(
図2参照)。
【0109】
ローラ19は、取付部材191を介して前バンパ171および後バンパ172の下方に配置される。詳細には、ローラ19は、回転体19aが支持体19bに対して下側とされた姿勢で、取付部材191に取り付けられる。支持体19bが取付部材191に取り付けられる。ローラ19の下端は、バンパ部17よりも下方に位置する。
【0110】
本実施形態では、ローラ19は、前バンパ171に4つ、後バンパ172に4つ配置される。前バンパ171に配置される4つのローラ19と、後バンパ172に配置される4つのローラ19とは、主フレーム1011に対して対称に配置される。前バンパ171(後バンパ172も同様)に配置される4つのローラ19は、左右の端部寄りに2つずつ配置される。
【0111】
図12は、ローラ19と洗浄円盤121との関係を示す正面図である。
図12に示すように、ローラ19の下端は、洗浄円盤121の下端よりも下方に位置する。すなわち、ローラ19は、洗浄部12と洗浄対象との距離を規制する。水中洗浄作業装置1は、洗浄部12と洗浄対象との距離を規制するローラ19を備える。ローラ19が設けられることにより、洗浄部12と洗浄対象とが接触することを防止できる。また、ローラ19が設けられることにより、洗浄時の水中洗浄作業装置1の操作性を向上することができる。
【0112】
[2-8.洗浄部カバー]
図2および
図3に示すように、洗浄部カバー18は、本体部10と洗浄部12との間に配置される。詳細には、洗浄部カバー18は、本体部10と洗浄部12との上下方向間に配置される。洗浄部カバー18は、洗浄部12の少なくとも一部を覆う。洗浄部カバー18が設けられることにより、洗浄部12を用いた洗浄により生じる汚水が拡散することを防止することができる。
【0113】
図13は、本発明の実施形態に係る水中洗浄作業装置1が備える洗浄部カバー18の概略の構成を示す平面図である。
図3および
図13に示すように、洗浄部カバー18は、カバー上壁部18aとカバー側壁部18bとを有する。カバー上壁部18aは、洗浄部12が有する回転式の洗浄円盤121の上方に配置される。カバー側壁部18bは、カバー上壁部18aの外縁から下方に延びる。本実施形態では、洗浄部12は、2つの洗浄円盤121L、121Rを有する。洗浄部カバー18は、左右方向に並ぶ2つの洗浄円盤121L、121Rを覆う。このために、洗浄部カバー18は、左右方向に延び、平面視においてスタジアム形状に構成される。
【0114】
図13に示すように、カバー上壁部18aには、上下方向に貫通する2つの貫通孔181L、181Rが設けられる。左貫通孔181Lは、左洗浄円盤121Lの円盤軸1212を通すために設けられる。右貫通孔181Rは、右洗浄円盤121Rの円盤軸1212を通すために設けられる。
【0115】
図3に示すように、洗浄部カバー18には、洗浄部12による洗浄に伴い生じる汚水を吸引する吸引口182が設けられる。すなわち、水中洗浄作業装置1は吸引口182を備える。吸引口182には、汚水回収ホース61の一端が接続される。汚水回収ホース61の他端は、上述のデブリ回収装置6(
図1参照)に接続される。デブリ回収装置6に設けられる不図示のポンプの駆動により吸引力が発生し、吸引口182からデブリ回収装置6に向けて汚水が流れる。
【0116】
詳細には、吸引口182は、カバー側壁部18bに設けられる。より詳細には、吸引口182は、カバー側壁部18bのうち、後側に位置する後側壁に設けられる。吸引口182は、底面視において(下方から見て)少なくとも一部が洗浄部12からずれた位置に配置される。また、吸引口182は、底面視において、少なくとも一部が洗浄円盤121からずれた位置に配置される。
【0117】
本実施形態では、吸引口182は、底面視において、全体が洗浄部12および洗浄円盤121からずれた位置に配置され、洗浄部12および洗浄円盤121とは重ならない。より詳細には、吸引口182は、底面視において、その全体が2つの洗浄円盤121L、121Rからずれた位置に配置され、2つの洗浄円盤121L、121Rとは重ならない。吸引口182が洗浄部12や洗浄円盤121からずれた位置に配置されることにより、洗浄部12による洗浄に伴い生じる汚水を吸引口182から効率良く吸引することができる。
【0118】
図14は、洗浄部カバー18と、2つの洗浄円盤121L、121Rとの関係を示す概略底面図である。なお、
図14において、白抜きの矢印は、噴射ノズル1214から高圧水が噴射された場合に生じる水流の向きを示す。また、
図14において、破線の矢印は、噴射ノズル1214から高圧水が噴射された場合における各洗浄円盤121L、121Rの回転方向を示す。また、
図14に一点鎖線で示す2つの直線SL1、SL2は、理解を容易とするための仮想線である。
【0119】
上述のように、左洗浄円盤121Lと右洗浄円盤121Rとは、噴射ノズル1214から高圧水が噴射される方向が逆であり、高圧水噴射時の回転方向が互いに逆である。また、各洗浄円盤121L、121Rは、噴射ノズル1214から高圧水を噴射した反力で回転するために、水流と反対方向に回る。
【0120】
上述のように、洗浄円盤121の数は、2つ以上であってよく(例えば3つであってもく)、吸引口182は、底面視において、何れか2個の洗浄円盤121の中心間を結ぶ直線を二等分する二等分線上に配置される構成であってよい。本実施形態では、
図14に示すように、吸引口182は、底面視において、隣り合う洗浄円盤121L、121Rの中心間を結ぶ直線SL1を二等分する二等分線SL2上に配置される。このような構成とする、2つの洗浄円盤121L、121Rの回転を考慮した適切な位置に吸引口182を配置して、効率良く汚水の吸引を行うことができる。
【0121】
なお、本実施形態では複数の洗浄円盤121L、121Rは、左右方向において接近して配置される。このために、吸引口182は、底面視において複数の洗浄円盤121L、121Rの接線上に配置される。また、吸引口182の配置は、適宜変更されてよく、その配置は、本実施形態の構成に限られるものではない。吸引口182の配置は、例えば、洗浄円盤121の回転方向や高圧水の水量に応じて適宜設計されてよい。
【0122】
本実施形態では、
図14に示すように、吸引口182は、底面視において、直線SL1に対して、高圧水の噴射により生じる水流が二等分線SL2上で向く向き側(
図14に示す例では後側)に配置される。このような構成とすると、高圧水を用いた洗浄により生じた汚物を、水流によって効率良く吸引口182に送ることができる。ただし、当該構成は例示に過ぎない。吸引口182と、水流の向き(洗浄円盤121の回転方向)との関係は、本実施形態の構成と逆であってもよい。すなわち、吸引口182は、直線SL1に対して、高圧水の噴射により生じる水流が二等分線SL2で向く向きと反対側に配置される構成としてもよい。この場合においても、吸引口182が、カバー側壁部18bの後壁に配置されるように、水流の向きは、
図14に示す構成と逆とすることが好ましい。
【0123】
図15は、
図13に示す洗浄部カバー18をXV-XV位置で切断した断面図である。なお、
図15は、洗浄部カバー18と他の部材との位置関係を理解しやすいように、洗浄円盤121およびローラ19も併せて示している。
【0124】
図13および
図15に示すように、カバー上壁部18aは、洗浄部カバー18の上面の一部の高さ位置を高くする隆起部18cを有する。詳細には、隆起部18cは、カバー上壁部18aの左右方向中央部、且つ、後部に位置する。隆起部18cの後端には、カバー側壁部18bが配置される。隆起部18cは、上面および側面を壁により囲われた隆起部内空間18dを有する。隆起部内空間18dは、隆起部18cよりも下の空間と繋がる。
【0125】
吸引口182は、少なくとも一部がカバー側壁部18bのうち隆起部18cの側壁を構成する部分に配置される。隆起部内空間18dは、吸引口182を介して外部と繋がる。本実施形態では、吸引口182は、その大部分が隆起部18cの側壁を構成する部分に配置される。吸引口182は、洗浄円盤121の円盤本体1211の上面よりも上方に配置される。このような構成とすると、汚水が吸引口182へ吸引される際に、吸引口182の手前に広い空間を位置させることができる。このために、吸引口182の吸引をスムーズに行うことができる。
【0126】
図3や
図15に示すように、洗浄部カバー18は、カバー側壁部18bの下端に配置される弾性部材183を有する。弾性部材183は、例えばゴム製である。
図16は、洗浄部カバー18が有する弾性部材183の概略の構成を示す斜視図である。
図16に示すように、弾性部材183は、中空状の本体部1831と、本体部1831の上部に配置される断面視C字状の取付部1832とを有する。本体部1831と取付部1832とは単一部材である。
【0127】
カバー側壁部18bの下端の概ね全周には、洗浄部カバー18の外方に向く方向に突出するフランジ部18eが設けられる(
図13も参照)。弾性部材183は、取付部1832がフランジ部18eを挟み込むことによって、洗浄部カバー18の下端に取り付けられる。本構成によれば、弾性部材183の着脱を容易とできる。弾性部材183は、洗浄部カバー18の下端の概ね全周に設けられる。なお、カバー側壁部18bの下端の全周にフランジ部を設けて、弾性部材183が、洗浄部カバー18の下端の全周に設けられる構成としてもよい。
【0128】
図15に示すように、本実施形態では、洗浄部12の下端は、カバー側壁部18bの下端と上下方向の高さ位置が同等である。弾性部材183は、カバー側壁部18bの下端よりも下方に突出する。仮に、弾性部材183が洗浄対象と接触したとしても、洗浄部12よりも下方に突出する弾性部材183の存在により、洗浄対象と洗浄部12との間に隙間が生じる。このために、洗浄部12が洗浄対象に接触することを防止できる。
【0129】
図17は、
図15の破線で囲った部分を拡大して示す図である。本実施形態では、
図17に示すように、ローラ19の下端の方が弾性部材183の下端よりも若干下方に位置する。このために、通常は、水中洗浄作業装置1を前後スラスタ112の駆動により洗浄対象に近づけた場合、ローラ19が洗浄対象に先に接触する。この結果、洗浄対象と洗浄部カバー18(詳細には弾性部材183)との間には隙間Sが生じる。
【0130】
本実施形態では、高圧水の噴射量よりも吸引口182による水の吸引量の方が大きい構成となっている。このために、洗浄部12を用いた洗浄時において、洗浄部カバー18内に水を引き込む流れを生じさせることができる。洗浄対象と洗浄部カバー18との隙間Sを適切に調整することにより、洗浄部カバー18の外部から内部へと水が流れ込む流速を大きくして、水中洗浄作業装置1を洗浄対象に近づける力を発生させることができる。当該力を利用することで、前後スラスタ112の出力を低下させることができる。
【0131】
なお、洗浄対象が湾曲している場合には、ローラ19の下端の方が弾性部材183の下端よりも若干下方に位置する構成にもかかわらず、洗浄対象と弾性部材183が洗浄対象と接触することがあり得る。上述のように、このような場合でも、弾性部材183の存在により洗浄対象と洗浄部12との間に隙間が生じるために、洗浄部12が洗浄対象に接触することを防止できる。
【0132】
[2-9.その他]
水中洗浄作業装置1は、特に限定する趣旨ではないが、水中において浮きも沈みもしない中性浮力を備える構成としてよい。また、水中洗浄作業装置1は、中性浮力よりも少し沈む側に調整された構成であってもよい。浮力調整は、本体部10の適所に発泡体を配置することによって調整されてよい。また、水中洗浄作業装置1の重心は、特に限定する趣旨ではないが、本体部10の上下方向の中央よりもやや下方に設定されてよい。このように構成すると、水中において、水中洗浄作業装置1を、上側を本体部10、下側を洗浄部12とする姿勢に自然と向かせることができる。
【0133】
<3.留意事項等>
本明細書中に開示される種々の技術的特徴は、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。また、本明細書中に示される複数の実施形態および変形例は可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【0134】
<4.付記>
本明細書における例示的な水中洗浄作業装置は、本体部と、前記本体部の下方に配置される洗浄部と、前記洗浄部による洗浄に伴い生じる汚水を吸引する吸引口と、を備え、前記吸引口は、底面視において少なくとも一部が前記洗浄部からずれた位置に配置される構成(第1の構成)であってよい。
【0135】
上記第1の構成の水中洗浄作業装置において、前記洗浄部は、洗浄時に回転する洗浄円盤を有し、前記吸引口は、底面視において少なくとも一部が前記洗浄円盤からずれた位置に配置される構成(第2の構成)であってよい。
【0136】
上記第2の構成の水中洗浄作業装置において、前記洗浄部は、前記洗浄円盤を複数有し、前記吸引口は、底面視において、何れか2個の前記洗浄円盤の中心間を結ぶ直線を二等分する二等分線上に配置される構成(第3の構成)であってよい。
【0137】
上記第3の構成の水中洗浄作業装置において、前記洗浄円盤は、高圧水の噴射による反力で回転し、前記吸引口は、底面視において、前記直線に対して、前記高圧水の噴射により生じる水流が前記二等分線上で向く向き側に配置される構成(第4の構成)であってよい。
【0138】
上記第1から第4のいずれかの構成の水中洗浄作業装置は、前記本体部と前記洗浄部との間に配置される洗浄部カバーを備え、前記吸引口は、前記洗浄部カバーに設けられる構成(第5の構成)であってよい。
【0139】
上記第5の構成の水中洗浄作業装置において、前記洗浄部カバーは、前記洗浄部が有する回転式の洗浄円盤の上方に配置されるカバー上壁部と、前記カバー上壁部の外縁から下方に延びるカバー側壁部と、を有し、前記吸引口は、前記カバー側壁部に設けられる構成(第6の構成)であってよい。
【0140】
上記第6の構成の水中洗浄作業装置において、前記カバー上壁部は、前記洗浄部カバーの上面の一部の高さ位置を高くする隆起部を有し、前記吸引口は、少なくとも一部が前記カバー側壁部のうち前記隆起部の側壁を構成する部分に配置される構成(第7の構成)であってよい。
【0141】
上記第6又は第7の構成の水中洗浄作業装置において、前記洗浄部カバーは、前記カバー側壁部の下端に配置される弾性部材を有する構成(第8の構成)であってよい。
【0142】
上記第1から第8のいずれかの構成の水中洗浄作業装置は、前記洗浄部と洗浄対象との距離を規制するローラを備える構成(第9の構成)であってよい。
【0143】
上記第1から第9のいずれかの構成の水中洗浄作業装置において、前記洗浄部は、高圧水の噴射により洗浄対象の洗浄を行い、前記高圧水の噴射量よりも前記吸引口による水の吸引量の方が大きい構成(第10の構成)であってよい。
【符号の説明】
【0144】
1・・・水中洗浄作業装置
12・・・洗浄部
18・・・洗浄部カバー
18a・・・カバー上壁部
18b・・・カバー側壁部
18c・・・隆起部
19・・・ローラ
121・・・洗浄円盤
121L・・・左洗浄円盤
121R・・・右洗浄円盤
182・・・吸引口
183・・・弾性部材