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特開2024-136519被処理水の浄化装置および浄化システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136519
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】被処理水の浄化装置および浄化システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 33/06 20060101AFI20240927BHJP
   C02F 1/32 20230101ALI20240927BHJP
   B63J 4/00 20060101ALI20240927BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B01D33/18 A
C02F1/32
B63J4/00 Z
B08B3/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047658
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内木 敏人
(72)【発明者】
【氏名】三浦 良治
【テーマコード(参考)】
3B201
4D037
4D116
【Fターム(参考)】
3B201AA46
3B201BB21
3B201BB92
4D037AA06
4D037AA11
4D037AB03
4D037BA18
4D037CA02
4D116AA12
4D116BB14
4D116BC27
4D116BC45
4D116BC48
4D116DD06
4D116KK02
4D116QA39C
4D116QA39E
4D116QA39G
4D116QA43C
4D116QA43E
4D116QA43G
4D116QA44C
4D116QA44E
4D116QA44G
4D116RR05
4D116RR16
4D116TT05
4D116TT07
4D116UU20
4D116VV09
4D116VV10
(57)【要約】
【課題】簡単でコンパクトな構成で被処理水を浄化することができる被処理水の浄化装置を提供する。
【解決手段】被処理水の浄化装置は、回収ポンプと、回収ポンプの下流側に配置される濾過装置と、を備える。濾過装置は、回収ポンプを通過した被処理水が流入する流入口と、被処理水を濾過するフィルタと、フィルタを通過した濾過水を排出する排出口と、を有する。流入口は、回収ポンプよりも上方に位置する。排出口は、流入口よりも下方に位置する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回収ポンプと、前記回収ポンプの下流側に配置される濾過装置と、を備え、
前記濾過装置は、
前記回収ポンプを通過した被処理水が流入する流入口と、
前記被処理水を濾過するフィルタと、
前記フィルタを通過した濾過水を排出する排出口と、を有し、
前記流入口は、前記回収ポンプよりも上方に位置し、
前記排出口は、前記流入口よりも下方に位置する、被処理水の浄化装置。
【請求項2】
前記排出口は、前記回収ポンプよりも上方に位置する、請求項1に記載の浄化装置。
【請求項3】
前記濾過装置は、前記フィルタが配置されるとともに、前記流入口および前記排出口を有する筐体をさらに備え、
前記筐体の上部は、開放されている、請求項1に記載の浄化装置。
【請求項4】
前記濾過装置を複数備え、
前記複数の濾過装置のうち、一の濾過装置の前記排出口は、他の濾過装置の前記流入口の高さ以上の位置にあり、かつ、流出管を介して前記他の濾過装置の前記流入口と連通する、請求項1に記載の浄化装置。
【請求項5】
前記複数の濾過装置のうち、前記被処理水の流れ方向の下流側に位置する濾過装置ほど、前記フィルタにおける前記被処理水の通過孔が小さい、請求項4に記載の浄化装置。
【請求項6】
前記濾過装置の前記排出口と連通管を介して連通する殺菌装置をさらに備え、
前記殺菌装置は、前記濾過装置の前記排出口よりも下方に位置する、請求項1に記載の浄化装置。
【請求項7】
前記殺菌装置は、前記濾過装置の設置区画の下方に位置する、請求項6に記載の浄化装置。
【請求項8】
前記連通管と連通する大気開放管をさらに備える、請求項6に記載の浄化装置。
【請求項9】
前記連通管を流れる前記濾過水の一部を、前記フィルタの逆洗水として前記濾過装置に供給する逆洗水供給部をさらに備える、請求項6に記載の浄化装置。
【請求項10】
前記フィルタの逆洗によって捕獲される捕獲物を回収する回収ボックスをさらに備える、請求項9に記載の浄化装置。
【請求項11】
前記回収ボックスは、前記設置区画よりも下方に配置される、請求項10に記載の浄化装置。
【請求項12】
前記フィルタを逆洗した後の逆洗排水を前記回収ボックスに導く逆洗排水案内部をさらに備える、請求項10に記載の浄化装置。
【請求項13】
前記回収ポンプの上流側に位置して、前記回収ポンプと接続される第1配管と、
前記第1配管と接続される第1バルブと、
前記回収ポンプの下流側に位置して、前記濾過装置の前記流入口と連通する第2配管と、
前記第2配管の途中に位置する第2バルブと、
前記第2配管における前記回収ポンプと前記第2バルブとの間から分岐する第3配管と、
前記第3配管と接続される第3バルブと、をさらに備える、請求項1に記載の浄化装置。
【請求項14】
前記被処理水は、船舶の船底から剥離されるデブリを含むデブリ含有水である、請求項1に記載の浄化装置。
【請求項15】
船底清掃の対象となる前記船舶とは別の作業船に設置される、請求項14に記載の浄化装置。
【請求項16】
請求項14または15に記載の浄化装置と、
前記船舶の船底清掃を行う清掃装置と、
前記清掃装置から前記浄化装置に前記デブリ含有水を送る回収用ホースと、を含む、浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理水の浄化装置および浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被処理水を浄化する処理装置が種々提案されている。例えば特許文献1では、海水、汚染水または汚水を処理する処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開公報WO2014/174309
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、処理装置の構成が複雑であり、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、簡単でコンパクトな構成で被処理水を浄化することができる、被処理水の浄化装置および浄化システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る被処理水の浄化装置は、回収ポンプと、前記回収ポンプの下流側に配置される濾過装置と、を備え、前記濾過装置は、前記回収ポンプを通過した被処理水が流入する流入口と、前記被処理水を濾過するフィルタと、前記フィルタを通過した濾過水を排出する排出口と、を有し、前記流入口は、前記回収ポンプよりも上方に位置し、前記排出口は、前記流入口よりも下方に位置する。
【0007】
本発明の他の側面に係る被処理水の浄化システムは、上記の浄化装置と、前記被処理水が船舶の船底から剥離されたデブリを含むデブリ含有水である場合において、前記船舶の船底清掃を行う清掃装置と、前記清掃装置から前記浄化装置に前記デブリ含有水を送る回収用ホースと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
上記の構成によれば、簡単でコンパクトな構成で被処理水を浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の一形態に係る被処理水の浄化システムの概略の構成を示す説明図である。
図2】上記浄化システムに含まれるデブリ回収装置の外観を示す斜視図である。
図3】上記デブリ回収装置の外観を示す斜視図である。
図4】上記デブリ回収装置の外観を示す斜視図である。
図5】上記デブリ回収装置の外観を示す斜視図である。
図6】上記デブリ回収装置が備える濾過装置の断面図である。
図7A】デブリ回収ホースを第1バルブに接続した状態と、そのときのデブリ含有水の流れとを模式的に示す説明図である。
図7B】上記デブリ回収ホースを第3バルブに接続した状態と、そのときの海水の流れとを模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
<1.浄化システムの概要>
図1は、本発明の実施形態に係る被処理水の浄化システム500の概略の構成を示す説明図である。浄化システム500は、デブリ回収装置1と、清掃装置CLと、デブリ回収ホースDHと、含んで構成される。ここで、本明細書において、デブリとは、主に、清掃装置CLによって船舶SHの船底から剥離される、貝類、藻類、その他の付着物を指すが、上記付着物以外の物体(例えば海中で舞っている砂などの粒状物質)を含んでいてもよい。また、ここで言う船舶SHの船底とは、船舶SHにおいて海水面WSよりも下方に位置して、海水と接触する部分を広く指す。以下では、デブリを含む水(例えば海水)を、デブリ含有水とも称する。
【0012】
デブリ回収装置1は、被処理水としてのデブリ含有水を浄化して(清浄にして)、デブリを回収する浄化装置の一例である。なお、デブリ回収装置1の詳細な構成については後述する。清掃装置CLは、船舶SHの船底清掃を行う装置である。清掃装置CLは、例えばコントローラによる遠隔操作に基づいて清掃動作を行うことが可能な水中洗浄機(ROV;Remote Operation Vehicle)で構成される。清掃装置CLは、例えば高圧水の船底への噴射により、船底からデブリを剥離する。清掃装置CLは、周囲を撮影するカメラを搭載しており、水中での撮影画像を、ケーブル(図示せず)を介して外部(例えば後述する作業船300上のPC(パーソナルコンピュータ))に出力する。
【0013】
デブリ回収ホースDHは、清掃装置CLからデブリ回収装置1にデブリ含有水を送るホースである。デブリ回収ホースDHの全長は、例えば100mほどであるが、その長さは任意に設定可能である。
【0014】
デブリ回収装置1は、船底清掃の対象となる船舶SHとは異なる作業船300上に設置される。作業船300上には、デブリ回収装置1のほか、発電機EG、高圧ポンプHP、ホースリールHR等も配置される。発電機EGは、デブリ回収装置1および清掃装置CLに供給する電力を生成する。高圧ポンプHPは、清掃装置CLに高圧水供給ホースを介して高圧水を供給する。ホースリールHRは、デブリ回収ホースDH、上記高圧水供給ホース、各種ケーブルを巻き取るリールである。各種ケーブルには、発電機EGから清掃装置CLに電力を供給するケーブル、清掃装置CLから出力される撮影画像データ、センサ信号等を伝送するケーブル等が含まれる。
【0015】
大型船などの船舶SHの停泊中に船底清掃を行う場合、まず、船舶SHに対する清掃装置CLの作業領域を複数の領域に分ける。図1の例では、船舶SHの船首から船尾に向かって、作業領域をZ1~Z6の6つの領域に分けている。そして、例えば領域Z1において、遠隔操作により、清掃装置CLの進行方向を、船首から船尾に向かう方向と、船尾から船首に向かう方向とで交互に切り替えながら、清掃装置CLを海水面WSから下方に向かって進めていく。このとき、作業者は、作業船300上のPCで、清掃装置CLのカメラで撮影されて送られてくる画像を見ながらコントローラを操作して、清掃装置CLを進行させる。
【0016】
作業船300から高圧ポンプHPを介して清掃装置CLに高圧水を供給することにより、清掃装置CLは、高圧水を船底に吹き付けて、船底からデブリを剥離する。剥離されたデブリは周囲の海水と混ざり、デブリ含有水として、清掃装置CLからデブリ回収ホースDHを介してデブリ回収装置1に供給される。デブリ回収装置1では、デブリ含有水に含まれるデブリが回収される。デブリが取り除かれた海水は、例えば紫外線照射などによる殺菌処理後に海洋に放出される。
【0017】
領域Z1での船底清掃の作業が完了すると、船舶SHの船尾方向に作業船300を移動させて停船させ、領域Z2において、清掃装置CLによる上記と同様の作業を行う。以降、領域Z3~Z6についても上記と同様の作業を行う。
【0018】
本実施形態では、デブリ回収装置1が作業船300に設置されるため、デブリ回収ホースDHの全長が例えば100mほどと短い場合でも、領域Z1~Z6の清掃ごとに、作業船300を移動させることにより、船舶SHの船底全体を清掃することができる。これにより、大型の船舶SH(例えば全長が100m以上)の船底清掃を行う場合でも、長いデブリ回収ホースDHを用いる必要がなくなる。つまり、長いデブリ回収ホースDHを用いることなく船底清掃を行う観点では、デブリ回収装置1は、船底清掃の対象となる船舶SHとは異なる作業船300に設置されることが望ましい。
【0019】
<2.デブリ回収装置の詳細について>
次に、上記したデブリ回収装置1の詳細について説明する。図2図5はそれぞれ、デブリ回収装置1の外観を示す斜視図である。なお、図2図5では、便宜的に、デブリ回収装置1の構成要素の一部の図示を省略している場合がある。例えばデブリ回収装置1の外枠および骨組みを構成するフレームFの一部については、便宜的に図示を省略している場合がある。
【0020】
ここで、以下での説明の便宜上、方向を以下のように定義しておく。まず、重力方向を上下方向とする。そして、重力方向の上流側を「上」とし、下流側を「下」とする。また、重力方向に垂直な一方向において、デブリ回収装置1に対して、上述したデブリ回収ホースDHとの接続側を「前」とし、その反対側を「後」とする。そして、上下方向および前後方向に垂直な方向において、一方側を「右」とし、他方側を「左」とする。図面では、必要に応じて、前方を「F」、後方を「B」、右方を「R」、左方を「L」、上方を「U」、下方を「D」の記号で示す。
【0021】
デブリ回収装置1は、回収ポンプ2と、濾過装置3と、を備える。回収ポンプ2は、清掃装置CL(図1参照)からデブリ回収ホースDHを介してデブリ含有水を回収するためのポンプである。濾過装置3は、回収ポンプ2の下流側に配置されて、回収ポンプ2によって供給されるデブリ含有水を濾過する。濾過装置3の上部は、デブリ回収装置1の屋根1aで覆われている。屋根1aは、例えばFRP(Fiber Reinforced Plastics)などの樹脂で構成される。なお、濾過装置3の詳細については後述する。
【0022】
デブリ回収装置1は、第1配管P1と、第1バルブV1と、第2配管P2と、第2バルブV2と、をさらに備える。第1配管P1は、回収ポンプ2の上流側に位置して、回収ポンプ2と接続される。第1バルブV1は、デブリ含有水の流通のオンとオフとを手動で切り替えるための切替弁であり、第1配管P1と接続される。
【0023】
第2配管P2は、回収ポンプ2の下流側に位置し、濾過装置3の流入口31a(図6参照)と連通する。第2配管P2は、回収ポンプ2から上方に延び、上部が後方に(濾過装置3に向かって)屈曲した形状を有する。第2バルブV2は、第1バルブV1と同様に、デブリ含有水の流通のオンとオフとを手動で切り替えるための切替弁であり、第2配管P2の途中に位置する。
【0024】
なお、デブリ回収装置1は、第3配管P3と、第3バルブV3と、をさらに備えるが、これらの詳細については後述する。
【0025】
デブリ含有水を浄化する際には、デブリ回収ホースDHを、第1バルブV1を介して第1配管P1と接続する。第1バルブV1および第2バルブV2を開き、第3バルブV3を閉じた状態で、回収ポンプ2を駆動すると、清掃装置CLからデブリ回収ホースDHを通ってデブリ含有水がデブリ回収装置1に向かって流れる。そして、デブリ含有水は、第1配管P1、回収ポンプ2、および第2配管P2を流れて濾過装置3に供給され、濾過装置3で濾過される。
【0026】
第2配管P2において、第2バルブV2と濾過装置3との間には、流量計4(図2図3参照)が配置されている。流量計4を配置することにより、第2配管P2を流れるデブリ含有水、つまり、清掃装置CLから供給されるデブリ含有水の流量を監視しながら、回収ポンプ2の駆動を制御して、上記流量を調整することができる。本実施形態では、例えば1分間あたり100Lのデブリ含有水が流れるように、回収ポンプ2を制御している。なお、回収ポンプ2の制御は、デブリ回収装置1の右側面に設置された第1制御盤C1内の制御部(例えばPLC;Programable Logic Controller)によって行われる。
【0027】
濾過装置3によってデブリ含有水が濾過された後の水(以下、濾過水とも称する)は、濾過装置3の排出口31b(図5参照)から排出される。排出口31bは、流出管33と接続される。流出管33は、排出口31bから後方に延び、フランジを介して中継管51と接続される。中継管51は、上記フランジから後方に延び、連通管5と連結される。連通管5は、上下方向に延びる。したがって、流出管33から排出される濾過水は、中継管51を介して連通管5に流れ出た後、連通管5の内部を下方に向かって流れ落ちる。
【0028】
上記の連通管5は、上下方向に延びる大気開放管6とも接続される。大気開放管6の上端は開口しており、下端が連通管5の上端と連結される。大気開放管6を設けることにより、流出管33から排出される濾過水に空気(例えば泡)が含まれている場合でも、上記空気を、大気開放管6を介して大気中に放出する(逃がす)ことができる。この場合、上記空気が濾過水とともに連通管5を介して後述する紫外線殺菌装置7に導かれて、紫外線殺菌装置7での濾過水の殺菌能力が低下するおそれが低減される。このような観点では、本実施形態のように、デブリ回収装置1は、連通管5と連通する大気開放管6を備えることが望ましい。
【0029】
図5に示すように、連通管5は、大径配管5aと小径配管5bとを連結して構成される。大径配管5aは、小径配管5bよりも内径が大きい配管であり、上下方向に延びる。上記の中継管51は、連通管5の大径配管5aに連結される。小径配管5bは、大径配管5aよりも下流側に位置する。小径配管5bの内径は、紫外線殺菌装置7における小径配管5bとの接続ポートの大きさに応じて設定される。連通管5が大径配管5aを有することにより、流出管33から排出される濾過水に空気が含まれている場合でも、濾過水が大径配管5aに流れ込む際に、濾過水から空気が抜けやすくなる。
【0030】
上下方向に延びる連通管5の下方側(小径配管5b)は、前方に向かって屈曲し、さらに下方に屈曲して紫外線殺菌装置7と接続される。したがって、濾過装置3の排出口31bから排出された濾過水は、連通管5の内部を下方に向かって流れ落ち、その後、前方に向かって流れて紫外線殺菌装置7に供給される。このように、デブリ回収装置1は、濾過装置3の排出口31bと連通管5を介して連通する紫外線殺菌装置7を備える。
【0031】
紫外線殺菌装置7は、紫外線照射により、濾過水に含まれる微生物(例えば細菌類、プランクトン)を殺菌処理する装置である。紫外線殺菌装置7は、前後方向に延びて位置する。殺菌装置として、紫外線殺菌装置7を用いることにより、次亜塩素酸ナトリウム等の殺菌剤を用いて殺菌処理を行う装置のような、上記殺菌剤が不要である。紫外線殺菌装置7は、デブリ回収装置1の右側面に設置された第2制御盤C2(図2参照)内の制御部によって行われる。なお、紫外線殺菌装置7の代わりに、超音波、温熱などを利用して殺菌処理を行う殺菌装置を用いてもよい。
【0032】
本実施形態では、図5に示すように、紫外線殺菌装置7は、濾過装置3の排出口31bよりも下方に位置する。この場合、濾過装置3の排出口31bから排出される濾過水を、その自重だけを利用して、連通管5を介して紫外線殺菌装置7に供給することができる。これにより、濾過水を紫外線殺菌装置7に供給する専用のポンプを用いる必要がない。したがって、紫外線殺菌装置7を備える場合であっても、コンパクトな構成を実現する観点では、本実施形態のように、紫外線殺菌装置7は排出口31bよりも下方に位置することが望ましい。なお、連通管5の長さ、水平方向に対する傾き角度等は、任意に設定されればよい。
【0033】
ここで、デブリ回収装置1を、上下方向に2段の区画に分離したとき、相対的に上方に位置する区画を、第1区画SE1とし、相対的に下方に位置する区画を、第2区画SE2とする。本実施形態では、濾過装置3は、第1区画SE1に設置される。一方、紫外線殺菌装置7は、第2区画SE2に設置される。すなわち、紫外線殺菌装置7は、濾過装置3の設置区画(第1区画SE1)の下方に位置する。この場合、濾過装置3が設置される第1区画SE1の下方の空間(第2区画SE2)を、紫外線殺菌装置7の配置空間として有効活用することができる。したがって、上下方向にコンパクトなデブリ回収装置1を実現する観点では、上記のように紫外線殺菌装置7の設置位置を規定することが望ましい。
【0034】
紫外線殺菌装置7によって殺菌処理された濾過水は、その後、第1排出管8に流れ出す。第1排出管8は、紫外線殺菌装置7の前側上部から上方に延び、前方に屈曲してさらに上方に延びる(図2図5参照)。第1排出管8の上端は、開口している。
【0035】
第1排出管8には、第2排出管9が連結されている。第2排出管9は、第1排出管8における上端(開口端)と下端(紫外線殺菌装置7との接続側端部)との間に連結されている。第2排出管9は、第1排出管8との連結部分から左方に延び、下方に屈曲した後、前方に屈曲している(図2参照)。第2排出管9には、排出ホース10が接続される。
【0036】
本実施形態では、第1排出管8と第2排出管9との連結部の高さは、上述の連通管5と中継管51との連結部分よりも低い。この位置関係により、流出管33から中継管51を介して連通管5に流れた濾過水は、紫外線殺菌装置7を介して第1排出管8に導かれる。そして、上記濾過水は、第1排出管8と第2排出管9との連結部に向かって、第1排出管8の内部を上方に流れる。その後、上記濾過水は。上記連結部から第2排出管9を通って下方に流れ出た後、排出ホース10から例えば海洋に排出される。
【0037】
また、上記した連通管5には、ドレイン管11(図5参照)が接続されている。ドレイン管11における連通管5との接続側とは反対側の端部は、第2排出管9と接続されている。また、ドレイン管11から分岐した2か所の分岐ドレイン管11aおよび11bは、紫外線殺菌装置7の底部と接続されている。ドレイン管11の所定箇所には、流体の流通のオンとオフとを切り替えるための切替弁12が設けられている。
【0038】
デブリ回収装置1の稼働時は、切替弁12は閉じられており、ドレイン管11の内部を流体が流れることはない。一方、デブリ回収装置1の非稼働時(停止時)には、各切替弁12を開くことにより、連通管5内の濾過水および紫外線殺菌装置7の内部の濾過水を、ドレイン管11を介して第2排出管9に導き、第2排出管9から排出ホース10を介して外部に排出することができる。これにより、デブリ回収装置1の非稼働時には、連通管5内および紫外線殺菌装置7内を清潔に保つことができる。
【0039】
<3.濾過装置の詳細について>
次に、上記した濾過装置3の詳細について説明する。図6は、濾過装置3の断面図である。本実施形態では、デブリ回収装置1は、濾過装置3を複数台備えている。具体的には、濾過装置3の台数は2台である。各濾過装置3の構成は、後述するフィルタ34の目の粗さ、つまり、フィルタ34におけるデブリ含有水の通過孔の大きさ(開口面積)が異なる以外は、同じである。なお、濾過装置3の台数は、1台であってもよいし、3台以上であってもよい。
【0040】
本実施形態では、2台の濾過装置3は直列的に接続される。つまり、図2等で示した第1配管P1および第2配管P2を介して、1台目の濾過装置3を通過した濾過水が、2台目の濾過装置3を通過し、連通管5に導かれる構成である。なお、以下での説明において、2台の濾過装置3を特に区別する必要がある場合、上流側に配置される濾過装置3を、第1濾過装置3aとし、下流側に配置される濾過装置3を、第2濾過装置3bとする。また、第1濾過装置3aのフィルタ34を、第1フィルタ34aとも称し、第2濾過装置3bのフィルタ34を、第2フィルタ34bとも称する。
【0041】
また、図6において、デブリ含有水および濾過水の流れを、実線の矢印で示す。なお、図6では、便宜的に、図2等で示した第2バルブV2および流量計4の図示を省略している。
【0042】
第2配管P2は、フランジを介して第1濾過装置3aの流入管31と接続される。流入管31の下流側端部は、濾過装置3の流入口31aを構成する。第1濾過装置3aの流入口31aは、回収ポンプ2よりも上方に位置する。したがって、回収ポンプ2を通過したデブリ含有水は、第2配管P2の内部を上方に向かって進行した後、流入管31によって後方に導かれ、流入口31aを介して筐体30の内部に被処理水として流入する。
【0043】
流入管31は、第1濾過装置3aの筐体30の前壁30aに設けられたリブ32によって支持される。筐体30は、底面部および側面部を有する箱型であり、筐体30の上部は開放されている(図3図4等参照)。つまり、濾過装置3は開放式である。筐体30の側面部は、上記の前壁30aを含み、さらに後壁30bも含む。後壁30bには、濾過水の排出口31bが設けられる。したがって、筐体30は、前壁30aに設けられる流入口31aと、後壁30bに設けられる排出口31bと、を有する、と言える。
【0044】
筐体30の前壁30aの上部には、後述する受皿部18(図2図3参照)を筐体30の外部に引き出すための開口部30Pが形成されている。流入管31は、第2配管P2との接続側から、開口部30Pの内側に向かって延びている。この結果、流入口31aは、開口部30Pの内側に位置する。
【0045】
筐体30には、フィルタ34が配置される。フィルタ34は、例えば円筒状のドラムフィルタで構成される。フィルタ34は、ギア等を含む駆動機構35(図4参照)の駆動により、前後方向に延びる軸を中心に回転する。駆動機構35は、モータ36(図4参照)によって駆動される。第1濾過装置3aにおけるモータ36の駆動は、デブリ回収装置1の右側面に設置された第3制御盤C3(図2参照)内の制御部によって行われる。
【0046】
フィルタ34は、筐体30の内部から上方にはみ出すように配置される。したがって、フィルタ34の一部は筐体30の内部に位置し、残りは筐体30の外部、つまり、筐体30の上部の開放空間に位置する。
【0047】
流入口31aを介して筐体30の内部に流入するデブリ含有水は、フィルタ34(第1フィルタ34a)の回転軸方向の一方側(ここでは前側)から、フィルタ34の内側に流入し、その自重により落下する。ここで、第1濾過装置3aにおいては、第1フィルタ34aは、例えば粒径が300μm以上の粒子を捕獲し、粒径300μm未満の成分を通過させる複数の通過孔を有する。したがって、デブリ含有水のうち、粒径300μm未満の成分だけがフィルタ34(第1フィルタ34a)を下方に通過し、その後、濾過水として筐体30の後壁30bに設けられた排出口31bから排出される。なお、第1フィルタ34aの上記通過孔の大きさは任意に設定可能である。
【0048】
上記の排出口31bは、上記の流入口31aよりも下方に位置し、回収ポンプ2よりも上方に位置する。排出口31bは、上述のように後方に延びる流出管33と接続される。第1濾過装置3aの流出管33は、第2濾過装置3bの流入管31とフランジを介して接続される。したがって、第1濾過装置3aの排出口31bから流出管33を介して排出される濾過水は、第2濾過装置3bの流入管31を通り、流入口31aから第2濾過装置3bの筐体30の内部に被処理水として流入する。本実施形態では、第1濾過装置3aの排出口31bと、第2濾過装置3bの流入口31aとが同じ高さ位置となるように、第1濾過装置3aおよび第2濾過装置3bが第1区画SE1(図2図3参照)において支持されている。
【0049】
第2濾過装置3bでは、第1濾過装置3aと同様に、フィルタ34(第2フィルタ34b)の回転軸方向の一方側(ここでは前側)から流入口31aを介してフィルタ34の内側に濾過水が流入する。第2フィルタ34bは、ギア等を含む駆動機構35の駆動により、前後方向に延びる軸を中心に回転する。駆動機構35は、モータ36によって駆動される。第2濾過装置3bにおけるモータ36の駆動は、デブリ回収装置1の右側面に設置された第4制御盤C4(図2参照)内の制御部によって行われる。
【0050】
第2フィルタ34bの内側に流入した濾過水は、その自重により落下する。ここで、第2濾過装置3bにおいては、第2フィルタ34bは、例えば粒径が50μm以上の粒子を捕獲し、粒径50μm未満の成分を通過させる複数の通過孔を有する。したがって、上記の濾過水のうち、粒径50μm未満の成分だけが第2フィルタ34bを下方に通過し、その後、筐体30の後壁30bに設けられた排出口31bから排出される。なお、第2フィルタ34bの上記通過孔の大きさは任意に設定可能である。
【0051】
第2濾過装置3bの排出口31bから排出される濾過水は、流出管33を通り、中継管51を介して連通管5に流れ出た後、連通管5の内部を下方に向かって流れ落ちる。その後、上記濾過水は、上述の通り、連通管5を通り、紫外線殺菌装置7に向かって流れる。
【0052】
以上のように、濾過装置3(例えば第1濾過装置3a)は、回収ポンプ2を通過した被処理水(デブリ含有水)が流入する流入口31aと、被処理水を濾過するフィルタ34と、フィルタ34を通過した濾過水を排出する排出口31bと、を有する。そして、流入口31aは回収ポンプ2よりも上方に位置し、排出口31bは流入口31aよりも下方に位置する。
【0053】
上記の位置関係では、回収ポンプ2によって被処理水(デブリ含有水)を流入口31aの位置まで汲み上げれば、その後は、被処理水の自重だけを利用して、被処理水をフィルタ34(第1フィルタ34a)によって濾過し、濾過水を排出口31bから排出することができる。したがって、第1濾過装置3aに被処理水を供給する回収ポンプ2とは別に、濾過水の排出専用のポンプを用いる必要がない。その結果、デブリ回収装置1の簡単でコンパクトな構成で、被処理水を浄化することができる。
【0054】
特に、上記の被処理水は、船舶SH(図1参照)の船底から剥離されるデブリを含むデブリ含有水である。この場合、デブリ含有水に含まれるデブリを濾過装置3によって取り除くことができるため、濾過水を海洋に排出しても、海洋汚染が生じる心配はほとんどなく、濾過水の海洋への排出が可能となる。つまり、海洋への排出が可能となる点では、濾過装置3で濾過する対象となる被処理水は、デブリ含有水であってもよい。
【0055】
また、第1濾過装置3aの排出口31bは、上下方向において、回収ポンプ2と流入口31aとの間に位置する。この構成では、第1濾過装置3aの下流側において、濾過水の自重を利用して付加的な処理を行うことができる。例えば、本実施形態のように、第1濾過装置3aの下流側に第2濾過装置3bを配置すれば、最初の第1濾過装置3aから排出される濾過水を被処理水として用い、被処理水の自重だけを利用して第2濾過装置3bで再度濾過し、濾過水として排出することができる。また、例えば、第1濾過装置3aの下方に紫外線殺菌装置7(図2参照)を配置し、第1濾過装置3aから排出される濾過水を、その自重だけを利用して紫外線殺菌装置7に供給して、殺菌処理することができる。
【0056】
したがって、濾過水の自重を利用した付加的な処理が可能となる観点では、本実施形態のように、排出口31bは、回収ポンプ2と流入口31aとの間に位置すること、つまり、回収ポンプ2よりも上方に位置することが望ましい。
【0057】
また、開放式の濾過装置3は、例えば密閉式の濾過装置に比べて、濾過に必要な圧力(例えば高圧)の生成が不要であり、濾過装置3の内部の構成が簡素となる。また、濾過装置3の内部に対して、開放空間からのアクセスが可能となるため、内部部品(例えばフィルタ34)の点検、交換などのメンテナンスも容易となる。これらの点で、濾過装置3を開放式で構成することは非常に有効である。
【0058】
また、本実施形態では、図6に示すように、複数の濾過装置3のうち、一の濾過装置3(例えば第1濾過装置3a)の排出口31bは、他の濾過装置3(例えば第2濾過装置3b)の流入口31aと同じ高さに位置し、かつ、流出管33を介して第2濾過装置3bの流入口31aと連通する。なお、第1濾過装置3aの排出口31bは、第2濾過装置3bの流入口31aよりも高い位置にあってもよい。
【0059】
この構成では、第1濾過装置3aの排出口31bから排出される濾過水は、その自重により、流出管33を介して第2濾過装置3bの流入口31aに被処理水として流入し、第2濾過装置3bによって再度濾過され、排出される。したがって、被処理水または濾過水の自重だけを利用して、複数の濾過装置3による多段濾過を実現する観点では、上記のように、第1濾過装置3aの排出口31bと第2濾過装置3bの流入口31aとの高さ方向の位置関係および接続関係を規定することが望ましい。
【0060】
また、本実施形態では、第1濾過装置3aの第1フィルタ34aの通過孔は、粒径300μm未満の成分を通過させる。一方、第2濾過装置3bの第2フィルタ34bの通過孔は、粒径50μm未満の成分を通過させる。つまり、複数の濾過装置3のうち、被処理水の流れ方向の下流側に位置する濾過装置3ほど、フィルタ34における被処理水の通過孔が小さい。
【0061】
このように、通過孔の大きさの異なるフィルタ34をそれぞれ有する複数の濾過装置3を、被処理水の流れ方向において、フィルタ34の通過孔の大きいほうから順に配置することにより、被処理水に含まれる懸濁物質を、粒径の大きいものから順に除去して濾過することができる。したがって、各濾過装置3におけるフィルタ34の目詰まりの発生を効率よく低減する観点では、上記のように、複数の濾過装置3を、通過孔の大きいフィルタ34を有するものから順に配置することが望ましい。
【0062】
<4.フィルタの逆洗およびデブリの回収について>
本実施形態のデブリ回収装置1は、フィルタ34を逆洗する構成を備える。フィルタ34を逆洗するとは、フィルタ34の外側から、つまり、フィルタ34によって濾過を行う方向(フィルタ34の内側から外側に向かう方向)とは逆方向から、フィルタ34に流体を当てる処理を言う。本実施形態では、上記流体として、濾過装置3で濾過された後の濾過水を利用する。以下、フィルタ34を逆洗する構成の詳細について説明する。
【0063】
図3図5に示すように、デブリ回収装置1は、逆洗水供給部13を備える。逆洗水供給部13は、連通管5を流れる濾過水の一部を、フィルタ34の逆洗水として濾過装置3に供給する。本実施形態では、逆洗水供給部13は、逆洗水取出管14と、第1分岐管15aおよび第2分岐管15bと、第1逆洗ポンプ16aおよび第2逆洗ポンプ16bと、第1吹付部17aおよび第2吹付部17bと、を有する。
【0064】
逆洗水取出管14は、上述したドレイン管11と接続される。逆洗水取出管14とドレイン管11との接続部は、ドレイン管11において最も上流側に位置する切替弁12よりもさらに上流側に位置する。
【0065】
連通管5を流れる濾過水の大部分は、上述の紫外線殺菌装置7に供給されるが、残りは、ドレイン管11に入り、切替弁12の上流側で逆洗水取出管14に流れる。そして、逆洗水取出管14に流れた濾過水は、第1分岐管15aおよび第2分岐管15bに分岐される。第1分岐管15aの途中には、図4に示すように、第1逆洗ポンプ16aが位置する。また、第2分岐管15bの途中には、図4に示すように、第2逆洗ポンプ16bが位置する。
【0066】
第1逆洗ポンプ16aの駆動により、第1分岐管15aを流れる濾過水は、第1吹付部17aに送られる。第1吹付部17aは、第1フィルタ34aの上方に位置して前後方向に延びる。第1吹付部17aにより、第1フィルタ34aの外側(外周面)に濾過水が吹き付けられる。これにより、第1フィルタ34aが逆洗される。なお、第1分岐管15aは、第1逆洗ポンプ16aと第1吹付部17aとの間で、第1濾過装置3aの筐体30の側壁を貫通して位置する。
【0067】
同様に、第2逆洗ポンプ16bの駆動により、第2分岐管15bを流れる濾過水は、第2吹付部17bに送られる。第2吹付部17bは、第2フィルタ34bの上方に位置して前後方向に延びる。第2吹付部17bにより、第2フィルタ34bの外側(外周面)にも濾過水が吹き付けられる。これにより、第2フィルタ34bが逆洗される。なお、第2分岐管15bは、第2逆洗ポンプ16bと第2吹付部17bとの間で、第2濾過装置3bの筐体30の側壁を貫通して位置する。
【0068】
第1フィルタ34aの逆洗により、第1フィルタ34aから剥離された付着物(デブリを含む)は、第1フィルタ34aを外側から内側に通過した濾過水とともに、逆洗排水として受皿部18(図2図3参照)で受けられる。また、第1フィルタ34aで濾過されずに第1フィルタ34aの内側に残り、第1フィルタ34aの回転によって上方まで持ち上げられたデブリも、第1フィルタ34aの逆洗により、受皿部18で受けられる。
【0069】
受皿部18は、フィルタ34(第1フィルタ34a)の内側で前後方向に延びて配置されるとともに、筐体30の開口部30Pを介して筐体30の前方に引き出されている。デブリを含む逆洗排水は、受皿部18から第1逆洗排水用ホース19aを介して第1回収ボックス20に送られる。第1回収ボックス20は、上方が開放された箱形であり、網状の第1カゴ20aと、第1カゴ20aを収容する第1外箱20bと、の二重構造を有する。したがって、第1回収ボックス20に送られた逆洗排水に含まれるデブリ(粒径300μm以上)は、第1カゴ20aで捕獲され、回収される。一方、逆洗排水に含まれる水(濾過水、海水)は、第1カゴ20aの網目部分を通過し、第1外箱20bの前壁に接続された第1排水ホース21を介して外部(例えば海洋)に排出される。なお、第1カゴ20aは無くてもよい。
【0070】
第2フィルタ34bの逆洗により、第2フィルタ34bから剥離された付着物は、第2フィルタ34bを外側から内側に通過した濾過水とともに、逆洗排水として受皿部(図示せず)で受けられる。また、第2フィルタ34bで濾過されずに第2フィルタ34bの内側に残り、第2フィルタ34bの回転によって上方まで持ち上げられたデブリも、第2フィルタ34bの逆洗により、上記受皿部で受けられる。
【0071】
上記デブリを含む逆洗排水は、上記受皿部から第2逆洗排水用ホース19b(図3図4参照)を介して第2回収ボックス22に送られる。第2回収ボックス22は、上方が開放された箱形であり、網状の第2カゴ22aと、第2カゴ22aを収容する第2外箱22bと、の二重構造を有する。したがって、第2回収ボックス22に送られた逆洗排水に含まれるデブリ(粒径50μm以上300μm未満)は、第2カゴ22aで捕獲され、回収される。一方、逆洗排水に含まれる水(濾過水、海水)は、第2カゴ22aの網目部分を通過し、第2外箱22bの後壁に接続された第2排水ホース23を介して外部(例えば海洋)に排出される。なお、第2カゴ22aは無くてもよい。
【0072】
フィルタ34の目詰まりを低減するとともに、フィルタ34を通過せずに捕獲されたデブリを、第1回収ボックス20または第2回収ボックス22にて回収することを可能にする観点では、デブリ回収装置1は、上記した逆洗水供給部13を備えることが望ましい。また、逆洗水供給部13により、濾過水の一部を逆洗水として利用するため、逆洗専用の水を別途用意する必要もない。
【0073】
フィルタ34の逆洗によって捕獲されるデブリを捕獲物として回収し、捕獲物をまとめて効率よく廃棄することを可能にする観点では、デブリ回収装置1は、回収ボックスを備えることが望ましい。なお、上記の回収ボックスは、上述した第1回収ボックス20および第2回収ボックス22の少なくとも一方で構成され得る。
【0074】
本実施形態では、図3に示すように、上記回収ボックスは、濾過装置3の設置区画である第1区画SE1よりも下方に配置される。逆洗排水の自重による流れを利用して、デブリ(捕獲物)を上記回収ボックスにて回収することを可能にする観点では、上記回収ボックスは、第1区画SE1よりも下方に配置されることが望ましい。
【0075】
また、逆洗排水を上記回収ボックスに確実に導いて、デブリ(捕獲物)を上記回収ボックスにて回収することを確実に可能にする観点では、デブリ回収装置1は、フィルタ34を逆洗した後の逆洗排水を上記回収ボックスに導く逆洗排水案内部24を備えることが望ましい。本実施形態では、逆洗排水案内部24は、上記の受皿部18と、逆洗排水用ホース(第1逆洗排水用ホース19aまたは第2逆洗排水用ホース19b)と、を含んで構成される。
【0076】
<5.デブリ回収ホースの詰まりの解消策について>
本実施形態のデブリ回収装置1は、デブリ回収ホースDHの内部で、異物による詰まりが発生した場合でも、その詰まりを解消できる構成を備える。以下、この構成について説明する。なお、上記の異物には、船底清掃によって船底から剥離されたデブリのほか、デブリ以外の物体(例えば海洋中のゴミ、金属片、石など)も含まれる。
【0077】
図2および図3で示したように、デブリ回収装置1は、上述した第1配管P1、第2配管P2、第1バルブV1、および第2バルブV2に加えて、第3配管P3と、第3バルブV3と、をさらに備える。
【0078】
第3配管P3は、第2配管P2における回収ポンプ2と第2バルブV2との間から分岐して設けられる。第3配管P3は、第2配管P2との接続部から左方向に延びて下方に屈曲し、その後、前方に向かって延びる。第3バルブV3は、第3配管P3と接続される。第3バルブV3は、流通のオンとオフとを手動で切り替えるための切替弁である。
【0079】
清掃装置CL(図1参照)からデブリ回収装置1にデブリ含有水を送るとき、図2等で示したように、デブリ回収ホースDHを第1バルブV1に接続する。この状態で、第1バルブV1および第2バルブV2を開き、第3バルブV3を閉じて回収ポンプ2を駆動する。この場合、デブリ回収ホースDHを通るデブリ含有水を、第1配管P1および第2配管P2を介して濾過装置3(第1濾過装置3a)に送ることができる。図7Aは、このときの上記デブリ含有水の流れを示す(破線の矢印参照)。
【0080】
一方、デブリ回収ホースDHに詰まりが発生したとき、図7Bに示すように、デブリ回収ホースDHを第3バルブV3に接続する。そして、海水を供給する供給ホースH0を第1バルブV1に接続する。この状態で、第1バルブV1および第3バルブV3を開き、第2バルブV2を閉じて回収ポンプ2を駆動する。この場合、図7Bに示すように、供給ホースH0を通る海水が、第1バルブV1を介して第1配管P1を流れ、第2配管P2の途中から第3配管P3に流れ込み、第3バルブV3を介してデブリ回収ホースDHに流れる(破線の矢印参照)。つまり、デブリ回収ホースDHでは、清掃装置CLからデブリ回収装置1に向かってデブリ含有水が流れる通常の方向とは逆方向に海水が流れる。この海水の流れにより、デブリ回収ホースDHの内部で異物による詰まりが発生した場合でも、その異物を上記海水によって清掃装置CLの方向に押し出して、詰まりを解消することができる。
【0081】
このように、デブリ回収ホースDHの詰まりにも対応する点では、デブリ回収装置1は、第3配管P3および第3バルブV3をさらに備えて、デブリ回収ホースDHの使用状態に応じて各バルブのオンオフを切り替えることが望ましい。
【0082】
<6.その他>
浄化装置において浄化対象となる被処理水は、デブリ含有水には限定されるわけではなく、バラスト水であってもよい。バラスト水とは、船舶(例えば貨物船)が空荷状態でも安全に航行するために船舶に積載される海水のことである。船舶が空荷で出港するとき、出港地の海水がバラスト水として積み込まれ、貨物を積み込む入港地で船外へ排出される。バラスト水に含まれる水生生物が出港地とは異なる入港地で排出されると、外来種として生態系に影響を与えるおそれがある。このような影響を低減するため、バラスト水を浄化することが必要となるが、このようなバラスト水を本実施形態の浄化装置の浄化対象とすることもできる。また、被処理水は、海水以外の流体(例えば汚染水、汚水)であってもよい。
【0083】
<7.付記>
本実施形態で説明した被処理水の浄化装置および浄化システムは、以下のように表現することもできる。
【0084】
付記(1)の被処理水の浄化装置は、
回収ポンプと、前記回収ポンプの下流側に配置される濾過装置と、を備え、
前記濾過装置は、
前記回収ポンプを通過した被処理水が流入する流入口と、
前記被処理水を濾過するフィルタと、
前記フィルタを通過した濾過水を排出する排出口と、を有し、
前記流入口は、前記回収ポンプよりも上方に位置し、
前記排出口は、前記流入口よりも下方に位置する。
【0085】
付記(2)の浄化装置は、付記(1)に記載の浄化装置において、
前記排出口は、前記回収ポンプよりも上方に位置する。
【0086】
付記(3)の浄化装置は、付記(1)または(2)に記載の浄化装置において、
前記濾過装置は、前記フィルタが配置されるとともに、前記流入口および前記排出口を有する筐体をさらに備え、
前記筐体の上部は、開放されている。
【0087】
付記(4)の浄化装置は、付記(1)から(3)のいずれかに記載の浄化装置において、
前記濾過装置を複数備え、
前記複数の濾過装置のうち、一の濾過装置の前記排出口は、他の濾過装置の前記流入口の高さ以上の位置にあり、かつ、流出管を介して前記他の濾過装置の前記流入口と連通する。
【0088】
付記(5)の浄化装置は、付記(4)に記載の浄化装置において、
前記複数の濾過装置のうち、前記被処理水の流れ方向の下流側に位置する濾過装置ほど、前記フィルタにおける前記被処理水の通過孔が小さい。
【0089】
付記(6)の浄化装置は、付記(1)から(5)のいずれかに記載の浄化装置において、
前記濾過装置の前記排出口と連通管を介して連通する殺菌装置をさらに備え、
前記殺菌装置は、前記濾過装置の前記排出口よりも下方に位置する。
【0090】
付記(7)の浄化装置は、付記(6)に記載の浄化装置において、
前記殺菌装置は、前記濾過装置の設置区画の下方に位置する。
【0091】
付記(8)の浄化装置は、付記(6)または(7)に記載の浄化装置において、
前記連通管と連通する大気開放管をさらに備える。
【0092】
付記(9)の浄化装置は、付記(6)から(8)のいずれかに記載の浄化装置において、
前記連通管を流れる前記濾過水の一部を、前記フィルタの逆洗水として前記濾過装置に供給する逆洗水供給部をさらに備える。
【0093】
付記(10)の浄化装置は、付記(9)に記載の浄化装置において、
前記フィルタの逆洗によって捕獲される捕獲物を回収する回収ボックスをさらに備える。
【0094】
付記(11)の浄化装置は、付記(10)に記載の浄化装置において、
前記回収ボックスは、前記設置区画よりも下方に配置される。
【0095】
付記(12)の浄化装置は、付記(10)または(11)に記載の浄化装置において、
前記フィルタを逆洗した後の逆洗排水を前記回収ボックスに導く逆洗排水案内部をさらに備える。
【0096】
付記(13)の浄化装置は、付記(1)から(12)のいずれかに記載の浄化装置において、
前記回収ポンプの上流側に位置して、前記回収ポンプと接続される第1配管と、
前記第1配管と接続される第1バルブと、
前記回収ポンプの下流側に位置して、前記濾過装置の前記流入口と連通する第2配管と、
前記第2配管の途中に位置する第2バルブと、
前記第2配管における前記回収ポンプと前記第2バルブとの間から分岐する第3配管と、
前記第3配管と接続される第3バルブと、をさらに備える。
【0097】
付記(14)の浄化装置は、付記(1)から(13)のいずれかに記載の浄化装置において、
前記被処理水は、船舶の船底から剥離されるデブリを含むデブリ含有水である。
【0098】
付記(15)の浄化装置は、付記(14)に記載の浄化装置において、
船底清掃の対象となる前記船舶とは別の作業船に設置される。
【0099】
付記(16)の浄化システムは、
付記(14)または(15)に記載の浄化装置と、
前記船舶の船底清掃を行う清掃装置と、
前記清掃装置から前記浄化装置に前記デブリ含有水を送る回収用ホースと、を含む。
【0100】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で拡張または変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、例えば船舶の船底清掃を行うシステムに利用可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 デブリ回収装置(浄化装置)
2 回収ポンプ
3 濾過装置
3a 第1濾過装置
3b 第2濾過装置
5 連通管
6 大気開放管
7 紫外線殺菌装置
13 逆洗水供給部
20 第1回収ボックス(回収ボックス)
22 第2回収ボックス(回収ボックス)
24 逆洗排水案内部
30 筐体
31a 流入口
31b 排出口
33 流出管
34 フィルタ
34a 第1フィルタ
34b 第2フィルタ
300 作業船
500 浄化システム
CL 清掃装置
DH デブリ回収ホース
P1 第1配管
P2 第2配管
P3 第3配管
SE1 第1区画(設置区画)
SH 船舶
V1 第1バルブ
V2 第2バルブ
V3 第3バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B