(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136520
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】無線通信装置、無線通信装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 76/10 20180101AFI20240927BHJP
H04W 8/00 20090101ALI20240927BHJP
H04W 76/30 20180101ALI20240927BHJP
H04W 76/18 20180101ALI20240927BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20240927BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W8/00 110
H04W76/30
H04W76/18
H04W88/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047660
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】西田 康太
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA42
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE25
5K067FF03
(57)【要約】
【課題】無線通信接続を確立するための処理量を抑制することが求められている。
【解決手段】無線通信装置100は、第1の無線通信方式の無線通信接続を、設定情報を用いて確立する第1の通信処理部151と、NAN規格にしたがって少なくとも一つの他の無線通信装置200を探索し、第2の無線通信方式の無線通信接続を確立する第2の通信処理部152と、前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を用いて、前記少なくとも一つの他の無線通信装置200に、前記設定情報を送信するよう制御する送信制御部156とを有し、前記第2の通信処理部152は、前記他の無線通信装置200が前記第1の無線通信方式の無線通信接続の確立に成功した場合に、当該他の無線通信装置200に対する前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を切断する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線通信方式の無線通信接続を、設定情報を用いて確立する第1の通信処理部と、
NAN(Neighbor Awareness Network)規格にしたがって少なくとも一つの他の無線通信装置を探索し、前記少なくとも一つの他の無線通信装置と、NAN規格にしたがった通信方式であり前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式の無線通信接続を確立する第2の通信処理部と、
前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を用いて、前記少なくとも一つの他の無線通信装置に、前記設定情報を送信するよう制御する送信制御部と
を有し、
前記第2の通信処理部は、前記他の無線通信装置が前記第1の無線通信方式の無線通信接続の確立に成功した場合に、当該他の無線通信装置に対する前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を切断する
無線通信装置。
【請求項2】
前記送信制御部は、前記他の無線通信装置が前記第1の無線通信方式の無線通信接続の確立に成功しなかった場合に、前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を用いて、当該他の無線通信装置に、再度、前記設定情報を送信するよう制御する
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記他の無線通信装置は、印刷装置であり、
前記送信制御部は、前記他の無線通信装置が前記第1の無線通信方式の無線通信接続の確立に成功しなかった場合に、前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を用いて、当該他の無線通信装置に、印刷ジョブを送信するよう制御する
請求項1又は2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記他の無線通信装置は、印刷装置であり、
前記他の無線通信装置による前記第1の無線通信方式の無線通信接続の確立が成功した後に、当該無線通信接続が切断した場合、
前記第2の通信処理部は、当該他の無線通信装置と前記第2の無線通信方式の無線通信接続を再度確立し、
前記送信制御部は、再度確立された前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を用いて、当該他の無線通信装置に、印刷ジョブを送信するよう制御する
請求項1又は2に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記少なくとも一つの他の無線通信装置のそれぞれについて、NAN規格にしたがって測定された、前記無線通信装置との距離を示す距離情報を取得する距離情報取得部をさらに有し、
前記送信制御部は、前記距離情報に基づいて、前記設定情報の送信先を制限する
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記少なくとも一つの他の無線通信装置のリストを表示するよう制御する表示制御部をさらに有し、
前記送信制御部は、前記リストに挙げられた前記少なくとも一つの他の無線通信装置から送信先を選択する指示にしたがって、前記設定情報の送信先を決定する
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つの他の無線通信装置のそれぞれについて、NAN規格にしたがって測定された、前記無線通信装置との距離を示す距離情報を取得する距離情報取得部をさらに有し、
前記表示制御部は、前記リストにおいて、前記少なくとも一つの他の無線通信装置のそれぞれの前記距離情報をさらに表示するよう制御する
請求項6に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記第2の通信処理部は、NAN規格にしたがって、サービスについての問い合わせをブロードキャストすることにより、特定のサービスを提供可能な前記少なくとも一つの他の無線通信装置を探索し、
前記送信制御部は、前記特定のサービスを提供可能な前記少なくとも一つの他の無線通信装置に、前記設定情報を送信するよう制御する
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項9】
他の無線通信装置と、NAN規格にしたがった第1の無線通信方式の無線通信接続を確立する第1の通信処理部と、
前記第1の無線通信方式の前記無線通信接続を用いて、前記他の無線通信装置から設定情報を取得する設定情報取得部と、
前記設定情報を用いて、前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式の無線通信接続を確立する第2の通信処理部と
を有し、
前記第1の通信処理部は、前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続の確立に成功した場合に、前記第1の無線通信方式の前記無線通信接続を切断する
無線通信装置。
【請求項10】
前記第1の通信処理部は、前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続の確立に成功した場合、前記無線通信装置との間で前記第1の無線通信方式の無線通信接続を確立中の装置のうち、前記他の無線通信装置以外の装置であって、確立に成功した前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を介して通信可能な装置に対する前記第1の無線通信方式の前記無線通信接続も切断する
請求項9に記載の無線通信装置。
【請求項11】
第1の無線通信方式の無線通信接続を、設定情報を用いて確立し、
NAN規格にしたがって少なくとも一つの他の無線通信装置を探索し、前記少なくとも一つの他の無線通信装置と、NAN規格にしたがった通信方式であり前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式の無線通信接続を確立し、
前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を用いて、前記少なくとも一つの他の無線通信装置に、前記設定情報を送信するよう制御し、
前記他の無線通信装置が前記第1の無線通信方式の無線通信接続の確立に成功した場合に、当該他の無線通信装置に対する前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を切断する
無線通信装置の制御方法。
【請求項12】
他の無線通信装置と、NAN規格にしたがった第1の無線通信方式の無線通信接続を確立し、
前記第1の無線通信方式の前記無線通信接続を用いて、前記他の無線通信装置から設定情報を取得し、
前記設定情報を用いて、前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式の無線通信接続を確立し、
前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続の確立に成功した場合に、前記第1の無線通信方式の前記無線通信接続を切断する
無線通信装置の制御方法。
【請求項13】
第1の無線通信方式の無線通信接続を、設定情報を用いて確立する第1の通信処理ステップと、
NAN規格にしたがって少なくとも一つの他の無線通信装置を探索し、前記少なくとも一つの他の無線通信装置と、NAN規格にしたがった通信方式であり前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式の無線通信接続を確立する第2の通信処理ステップと、
前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を用いて、前記少なくとも一つの他の無線通信装置に、前記設定情報を送信するよう制御する送信制御ステップと、
前記他の無線通信装置が前記第1の無線通信方式の無線通信接続の確立に成功した場合に、当該他の無線通信装置に対する前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を切断する切断ステップと
をコンピューターに実行させるプログラム。
【請求項14】
他の無線通信装置と、NAN規格にしたがった第1の無線通信方式の無線通信接続を確立する第1の通信処理ステップと、
前記第1の無線通信方式の前記無線通信接続を用いて、前記他の無線通信装置から設定情報を取得する設定情報取得ステップと、
前記設定情報を用いて、前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式の無線通信接続を確立する第2の通信処理ステップと、
前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続の確立に成功した場合に、前記第1の無線通信方式の前記無線通信接続を切断する切断ステップと
をコンピューターに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信装置、無線通信装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
Wi-Fi Allianceの認定プログラムの一つであるWi-Fi Awareには、装置間でアクセスポイントを介さずに無線通信するNAN(Neighbor Awareness Network)と呼ばれる通信プロトコルが規定されている。以下、Wi-Fi Allianceによって定められた、このNANについての規格をNAN規格と称す。特許文献1は、無線LAN(Local Area Network)接続のための情報を、NAN規格にしたがった無線通信接続であるNANデータリンク(NAN Data Link)を用いてユーザー端末とプリンターとの間で送受信することにより、プリンターが無線LAN接続を確立する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術では、無線LAN接続のための情報の送受信が行われた後、直ちに、NANデータリンクが切断される。このため、当該情報の伝送に誤りが発生しており、無線LAN接続に成功できなかった場合には、当該情報の伝送を再度行うために、ユーザー端末とプリンターはNANデータリンクを確立する処理からやり直さなければならない。つまり、情報の伝送を再度行う場合には、無線通信接続を確立するための処理量が増大してしまう。このため、無線通信接続を確立するための処理量を抑制する技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示にかかる無線通信装置は、第1の無線通信方式の無線通信接続を、設定情報を用いて確立する第1の通信処理部と、NAN規格にしたがって少なくとも一つの他の無線通信装置を探索し、前記少なくとも一つの他の無線通信装置と、NAN規格にしたがった通信方式であり前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式の無線通信接続を確立する第2の通信処理部と、前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を用いて、前記少なくとも一つの他の無線通信装置に、前記設定情報を送信するよう制御する送信制御部とを有し、前記第2の通信処理部は、前記他の無線通信装置が前記第1の無線通信方式の無線通信接続の確立に成功した場合に、当該他の無線通信装置に対する前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を切断する。
【0006】
また、本開示にかかる無線通信装置は、他の無線通信装置と、NAN規格にしたがった第1の無線通信方式の無線通信接続を確立する第1の通信処理部と、前記第1の無線通信方式の前記無線通信接続を用いて、前記他の無線通信装置から設定情報を取得する設定情報取得部と、前記設定情報を用いて、前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式の無線通信接続を確立する第2の通信処理部とを有し、前記第1の通信処理部は、前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続の確立に成功した場合に、前記第1の無線通信方式の前記無線通信接続を切断する。
【0007】
また、本開示にかかる無線通信装置の制御方法では、第1の無線通信方式の無線通信接続を、設定情報を用いて確立し、NAN規格にしたがって少なくとも一つの他の無線通信装置を探索し、前記少なくとも一つの他の無線通信装置と、NAN規格にしたがった通信方式であり前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式の無線通信接続を確立し、前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を用いて、前記少なくとも一つの他の無線通信装置に、前記設定情報を送信するよう制御し、前記他の無線通信装置が前記第1の無線通信方式の無線通信接続の確立に成功した場合に、当該他の無線通信装置に対する前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を切断する。
【0008】
また、本開示にかかる無線通信装置の制御方法では、他の無線通信装置と、NAN規格にしたがった第1の無線通信方式の無線通信接続を確立し、前記第1の無線通信方式の前記無線通信接続を用いて、前記他の無線通信装置から設定情報を取得し、前記設定情報を用いて、前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式の無線通信接続を確立し、前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続の確立に成功した場合に、前記第1の無線通信方式の前記無線通信接続を切断する。
【0009】
また、本開示にかかるプログラムは、第1の無線通信方式の無線通信接続を、設定情報を用いて確立する第1の通信処理ステップと、NAN規格にしたがって少なくとも一つの他の無線通信装置を探索し、前記少なくとも一つの他の無線通信装置と、NAN規格にしたがった通信方式であり前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式の無線通信接続を確立する第2の通信処理ステップと、前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を用いて、前記少なくとも一つの他の無線通信装置に、前記設定情報を送信するよう制御する送信制御ステップと、前記他の無線通信装置が前記第1の無線通信方式の無線通信接続の確立に成功した場合に、当該他の無線通信装置に対する前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を切断する切断ステップとをコンピューターに実行させる。
【0010】
また、本開示にかかるプログラムは、他の無線通信装置と、NAN規格にしたがった第1の無線通信方式の無線通信接続を確立する第1の通信処理ステップと、前記第1の無線通信方式の前記無線通信接続を用いて、前記他の無線通信装置から設定情報を取得する設定情報取得ステップと、前記設定情報を用いて、前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式の無線通信接続を確立する第2の通信処理ステップと、前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続の確立に成功した場合に、前記第1の無線通信方式の前記無線通信接続を切断する切断ステップとをコンピューターに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態にかかる通信システムの構成の一例を示す模式図である。
【
図2】実施の形態にかかる無線通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態にかかる無線通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4A】無線通信装置を無線LANに参加させるための通信システムの動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図4B】無線通信装置を無線LANに参加させるための通信システムの動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】ユーザーインターフェース画面の一例を示す模式図である。
【
図6】NAN接続の切断について説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0013】
上述した通り、無線通信接続を確立するための処理量を抑制する技術が求められている。そこで、本実施の形態では、設定情報の送信に用いられる無線通信接続の切断タイミングを工夫することにより、設定情報の再送信が必要な状況に陥ったとしても処理量が増大することを抑制できる技術について説明する。
【0014】
図1は、実施の形態にかかる通信システム10の構成の一例を示す模式図である。通信システム10は、アクセスポイント500と複数の無線通信装置を含む。アクセスポイント500は、無線LANのアクセスポイントである。なお、この無線LANは、具体的には、例えば、Wi-Fi(登録商標)ネットワークである。
図1に示すように、通信システム10は、上述した複数の無線通信装置として、無線通信装置100と無線通信装置200を含む。本実施の形態において、無線通信装置100は、無線通信装置200に後述する設定情報を送信する装置である。また、無線通信装置200は、無線通信装置100から当該設定情報を受信し、この設定情報を用いて、無線LANに接続する装置である。なお、
図1に示した例では、無線LAN接続している他の無線通信装置として、無線通信装置301及び無線通信装置302が図示されているが、通信システム10は必ずしもこれらの無線通信装置を含まなくてもよい。
【0015】
なお、本開示では、アクセスポイント500を介した通信を行う無線通信方式をNW(ネットワーク)無線通信方式とも称すこととする。NW無線通信方式は、Wi-Fi(登録商標)規格にしたがってアクセスポイント500を介した通信を行う方式ということもできるし、インフラストラクチャーモードの無線通信方式ということもできる。また、本開示では、NAN規格にしたがった通信方式をNAN無線通信方式とも称すこととする。
図1では、無線通信装置100、無線通信装置301、無線通信装置302が、NW無線通信方式の通信C
NWを実行することが可能な状態である。また、
図1に示した状態では、無線通信装置200は、NW無線通信方式の無線通信接続が未だ確立されておらず、NW無線通信方式の通信を実行することができない。このため、後述するように、無線通信装置100は、NAN無線通信方式の通信C
NANにより、設定情報を無線通信装置200に送信する。
【0016】
本実施の形態では、無線通信装置100は、一例として端末装置である。具体的には、無線通信装置100は、例えば、スマートフォン又はタブレット端末などのモバイル端末であるが、これに限られず、PC(Personal Computer)などであってもよい。また、本実施の形態では、無線通信装置200は、一例として、印刷装置(プリンター)である。通信システム10において、無線通信装置100と無線通信装置200は、上述した通り、NAN無線通信方式の通信、すなわちNAN規格にしたがった通信を行う。
【0017】
以下、無線通信装置100及び無線通信装置200の具体的な構成及び処理について説明する。まず、無線通信装置100について説明する。
図2は、無線通信装置100の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、無線通信装置100は、記憶部110、無線通信部120、表示部130、操作部140、及び制御部150を有する。
【0018】
記憶部110は、制御部150の処理を実現するためのプログラム及び無線通信装置100の処理に用いられるデータが格納される記憶装置である。この記憶装置は、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリー等の不揮発性記憶装置であってもよく、RAM(Random access Memory)等のメモリーを含んでもよい。
【0019】
無線通信部120は、無線通信を行うハードウェアである。すなわち、無線通信部120は、無線通信インターフェースである。無線通信部120は、送信回路、受信回路、及びアンテナを含みうる。
【0020】
表示部130及び操作部140は、ユーザーインターフェースである。表示部130は、各種情報をユーザーに対して表示するディスプレイ等で構成される。操作部140は、ユーザーからの入力操作を受け付けるボタン等で構成される。なお、表示部130及び操作部140は、タッチパネル等によって一体に構成されてもよい。
【0021】
制御部150は、無線通信装置100の各構成を制御する例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーである。制御部150は、複数のプロセッサーを有してもよい。制御部150は、プログラムをメモリーへ読み込み、プログラムを実行する。これにより、本実施の形態では、制御部150は、通信処理部151、通信処理部152、距離情報取得部153、入力受付部154、表示制御部155、送信制御部156、及び接続判定部157の機能を実現する。
【0022】
無線通信装置100は、通信処理部151と通信処理部152を備えており、2種類の異なる無線通信方式での通信が可能な構成を備えている。
通信処理部151は、NW無線通信方式の通信を実行する処理を行う。この処理は、NW無線通信方式の無線通信接続を、設定情報を用いて確立する処理を含む。この設定情報は、NW無線通信方式の無線通信接続を確立するために必要な情報、すなわち、無線LANに接続するための情報である。本実施の形態では、具体的には、この設定情報は、アクセスポイント500のSSID(Service Set Identifier)及びパスワードである。NW無線通信方式の通信は、このような設定情報を用いて無線通信接続が確立されたのちに行われる。
【0023】
通信処理部152は、NAN無線通信方式の通信を、少なくとも一つの無線通信装置との間で実行する処理を行う。無線通信装置100と無線通信装置200は、NAN無線通信方式の通信として、NAN規格にしたがったディスカバリーウィンドウ(DW:Discovery Window)を用いた通信と、NAN規格にしたがった無線通信接続を確立した上で行われる通信の2種類の通信を行うことが可能である。このため、通信処理部152により行われる処理には、ディスカバリーウィンドウを用いた通信を実行する処理と、無線通信接続を確立した上で行われる通信を実行する処理が含まれる。以下、NAN規格にしたがった無線通信接続をNAN接続とも称す。ここで、本実施の形態において、NAN規格にしたがった無線通信接続とは、具体的には、NANデータリンク(NAN Data Link)である。後述するように、通信処理部152は、NAN規格にしたがって少なくとも一つの他の無線通信装置を探索し、当該少なくとも一つの他の無線通信装置と、NAN無線通信方式の無線通信接続であるNAN接続(NANデータリンク)を確立する。
【0024】
ここで、無線通信装置100と無線通信装置200のNAN接続を確立するための、通信処理部151及び後述する無線通信装置200の通信処理部241の処理の詳細について説明する。なお、通信処理部241は、無線通信装置200において、NAN無線通信方式の通信を実行する処理を行う構成要素である。通信処理部151及び後述する無線通信装置200の通信処理部241は、NAN規格で定められた接続シーケンスにしたがってNAN接続を確立する。
【0025】
NAN接続を確立するために、まず、無線通信装置100の通信処理部152と無線通信装置200の通信処理部241は、無線通信装置100と無線通信装置200がNANクラスターを構成するための処理を行う。その後、無線通信装置100の通信処理部152と無線通信装置200通信処理部241は、NAN接続、すなわち、NANデータリンクを構築する処理を行う。
【0026】
NAN規格では、ディスカバリーウィンドウと呼ばれる期間が規定されている。ディスカバリーウィンドウは、主に、装置がサービスの報知及び検索を行うための間欠的に発生する通信期間であり、所定の周期で到来する。ディスカバリーウィンドウを共有する装置の集合はNANクラスターと呼ばれる。マスター(Master)として動作する装置は、NANクラスターにまだ属していない他の装置に、当該NANクラスターを認識させるためのディスカバリービーコン(Discovery Beacon)を送信する。また、マスターとして動作する装置は、各装置がディスカバリーウィンドウと同期するためのシンクロナイゼーションビーコン(Synchronization Beacon)を送信する。本実施の形態において、無線通信装置100がマスターとして動作してもよいし、無線通信装置200がマスターとして動作してもよい。
【0027】
NANクラスターを構成する各装置は、ディスカバリーウィンドウ内で信号を送受信することにより、各装置が提供するサービスを確認することができる。具体的には、ディスカバリーウィンドウ内では、サービスディスカバリーフレーム(Service Discovery Frame)と呼ばれるフォーマットのフレームで構成される信号が送信される。
【0028】
NANクラスターを構成する装置は、当該NANクラスターを構成する他の装置と、DW期間に限らずに相互通信することが可能なデータリンクを確立することができる。つまり、NANクラスターを構成する装置間で、NAN接続を行うことができる。NAN規格において、上述したデータリンクはNANデータリンクと呼ばれている。以下、本実施の形態で、無線通信装置100と無線通信装置200がNAN接続するまでの流れについて述べる。
【0029】
まず、無線通信装置100と無線通信装置200がディスカバリーウィンドウを共有する。ディスカバリーウィンドウを共有するために、無線通信装置100と無線通信装置200のいずれかがマスターとして動作する。例えば、無線通信装置100がマスターとして動作する場合、無線通信装置100の通信処理部152は、ディスカバリービーコン及びシンクロナイゼーションビーコンを無線通信装置100から送信する処理を行なう。
【0030】
無線通信装置100と無線通信装置200がディスカバリーウィンドウを共有すると、無線通信装置200は、サービスについての問い合わせがブロードキャストされるのを待ち構える。そして、無線通信装置100の通信処理部152は、特定のサービス(本実施の形態では、例えば、印刷サービス)を提供する装置である無線通信装置200を探索するために、ディスカバリーウィンドウを用いた通信を行う。具体的には、通信処理部152は、NAN規格で定められたディスカバリーウィンドウを用いた信号の送信を行うことにより、サービスについての問合せをブロードキャストする。すなわち、通信処理部152は、NANクラスターを構成する他の全ての装置に対して、問合せを行うメッセージをブロードキャストする。なお、このメッセージは、サービスディスカバリーフレームを用いたメッセージである。これに対し、この問合せのブロードキャストを受信した無線通信装置200の通信処理部241は、NAN規格で定められたディスカバリーウィンドウを用いた信号の送信を行うことにより、この問合せに応答する。これにより、無線通信装置100は、特定のサービスを提供可能な装置を特定することができる。その後、無線通信装置100の通信処理部152と、無線通信装置200の通信処理部241は、NAN規格にしたがった接続手順にしたがって、NANデータリンクを確立する処理を実行する。以上により、NAN接続が確立される。
【0031】
次に、無線通信装置100の通信処理部152の他の処理について説明する。通信処理部152は、NAN接続を切断する処理、すなわちNAN接続を終了する処理も行う。特に、通信処理部152は、後述する送信制御部156の制御により送信される設定情報の送信先の無線通信装置(無線通信装置200)がNW無線通信方式の無線通信接続の確立に成功した場合に、この無線通信装置(無線通信装置200)に対するNAN無線通信方式の無線通信接続を切断する。すなわち、通信処理部152は、設定情報を受信した無線通信装置200が無線LAN(アクセスポイント500)への接続に成功した後に、この無線通信装置200とのNAN接続を切断する。この場合、通信処理部152は、NAN接続を切断するだけでなく、このNAN接続を確立するために無線通信装置100が所属したNANクラスターから無線通信装置100を離脱させてもよい。ここで、NANクラスターからの離脱とは、具体的には、ディスカバリーウィンドウに同期する処理の終了、すなわちNANシンクロナイゼーションの終了である。無線通信装置100が、複数の無線通信装置200に対して設定情報を送信した場合には、通信処理部152は、これらの複数の無線通信装置200のうちNW無線通信方式の無線通信接続の確立に成功した無線通信装置200に対するNAN接続のみを切断してもよい。この場合、通信処理部152は、設定情報の送信先である、同一のNANクラスターに所属する全ての無線通信装置200がNW無線通信方式の無線通信接続の確立に成功した場合に、無線通信装置100をNANクラスターから離脱させてもよい。NAN接続の切断又はNANクラスターからの離脱により、不必要な通信の実行による電力の消費を抑制することができる。また、NW無線通信方式の通信と、NAN無線通信方式の通信において、共通のアンテナが用いられる場合には、NAN接続の切断又はNANクラスターからの離脱により、NW無線通信方式の通信のスループットを向上することができる。
【0032】
距離情報取得部153は、NAN規格にしたがった探索により発見された無線通信装置のそれぞれについて、無線通信装置100との距離を示す距離情報を取得する。すなわち、距離情報取得部153は、無線通信装置100が所属するNANクラスターに所属する他の無線通信装置との距離を示す情報を取得する。本実施の形態では、距離情報取得部153は、NAN規格にしたがって測定された、無線通信装置100との距離を示す距離情報を取得する。NAN規格では、NANクラスターを構成する装置が、当該NANクラスターを構成する他の装置との距離を測定する技術が定義されている。この技術は、Rangingとも呼ばれる。Rangingでは、NANクラスターを構成する装置間で、所定のフレームを送受信し、当該所定のフレームの送受信時刻から、装置間の距離を算出する。距離情報取得部153は、この技術を用いて測定された無線通信装置100と他の無線通信装置(無線通信装置200など)との距離を取得する。なお、距離情報取得部153は、無線通信装置100によって測定された距離を示す距離情報を取得してもよいし、他の無線通信装置によって測定された距離を示す情報を当該他の無線通信装置から取得してもよい。なお、本実施の形態では、距離情報取得部153はNAN規格にしたがって測定された距離を取得するが、他の技術により測定された距離を取得してもよい。また、その際、距離情報取得部153が取得する距離情報は、無線通信装置100が測定した距離を示す情報であってもよいし、他の装置から受信した距離を示す情報であってもよい。
【0033】
入力受付部154は、操作部140を介してユーザーが入力した指示又は情報などを受付ける。本実施の形態では、例えば、入力受付部154は、ユーザーが操作部140を介して行った印刷指示を受付ける。この指示は、印刷対象のデータを指定する指示を含む。また、この指示は、さらに、印刷設定を指定する指示を含んでもよい。また、入力受付部154は、他の無線通信装置(無線通信装置200)を無線LANに接続させるか否かについての指示を受付ける。また、入力受付部154は、無線LANに接続させる無線通信装置を選択する指示を受付けてもよい。すなわち、入力受付部154は、無線LANに接続するための設定情報の送信先の無線通信装置を選択する指示を受付けてもよい。
【0034】
表示制御部155は、表示部130による表示を制御する。本実施の形態では、表示制御部155は、後述する
図5のように、設定情報の送信先の無線通信装置を決定するためのユーザーインターフェース画面を表示部130に表示する。すなわち、表示制御部155は、NAN規格にしたがった探索により発見された無線通信装置のリストを表示部130に表示するよう制御する。特に、表示制御部155は、距離情報取得部153が取得した、無線通信装置ごとの距離情報を表示部130に表示するよう制御する。つまり、表示制御部155は、上述したリストにおいて、無線通信装置のそれぞれについての距離情報も表示するよう制御する。これにより、ユーザーは、無線LANに接続させる無線通信装置を、距離を参照して選択することができる。このため、ユーザーの利便性が向上する。
【0035】
送信制御部156は、NAN規格にしたがった探索により発見された少なくとも一つの他の無線通信装置に、通信処理部152によって確立されたNAN無線通信方式の無線通信接続、すなわちNAN接続を用いて、NW無線通信方式の無線通信接続を確立するために必要な設定情報を送信するよう制御する。これにより、本実施の形態では、無線通信装置200に設定情報(アクセスポイント500のSSID及びパスワード)が送信される。また、設定情報の送信後、当該設定情報の送信先の無線通信装置(無線通信装置200)がNW無線通信方式の無線通信接続の確立に成功しなかった場合に、送信制御部156は、接続が維持されたままのNAN無線通信方式の無線通信接続を用いて、当該無線通信装置に、再度、設定情報を送信するよう制御してもよい。すなわち、設定情報を受信した無線通信装置200が無線LAN(アクセスポイント500)への接続に成功しなかった場合、無線通信装置100は、再度、無線通信装置200に設定情報を送信してもよい。このように、設定情報の再送信が行われることで、一度目の設定情報の伝送において誤りが発生した場合であっても、設定情報を適切に伝送することができる。すなわち、設定情報の伝送時にノイズなどの影響によりビットエラーが発生した場合であっても、設定情報が無線通信装置200に再送信されるため、無線通信装置200は正しい設定情報を受信することができる。特に、本実施の形態では、設定情報を送信後にNAN接続が直ちに切断されるのではなく、NAN接続が維持されたままなので、設定情報の再送信が必要な場合であっても、NAN接続を再度確立する処理が不要である。このため、直ちに設定情報を再送信することができる。なお、送信制御部156は、設定情報とともに、当該設定情報を用いた接続処理の実行を指示する要求を、無線通信装置200に送信してもよい。
【0036】
送信制御部156は、NW無線通信方式の無線通信接続を確立するために必要な設定情報の送信先を、距離情報取得部153が取得した距離情報に基づいて制限してもよい。例えば、送信制御部156は、無線通信装置100から所定の距離以内に存在する無線通信装置だけに設定情報を送信するよう制御してもよい。これにより、遠い位置にある無線通信装置に対して、設定情報が送信されることを防ぐことができるため、ユーザーが管理していないような無線通信装置に設定情報が漏洩することを防ぐことができる。また、上述した構成によれば、無線通信装置100のユーザーの最寄りにある無線通信装置200に設定情報が送信されるため、無線LAN経由の印刷をユーザーの最寄りの装置で実現することができる。
【0037】
また、送信制御部156は、表示制御部155により表示された上述のリストに挙げられた無線通信装置から送信先を選択する指示にしたがって、設定情報の送信先を決定してもよい。この場合、送信制御部156は、入力受付部154が受付けたユーザーからの指示にしたがって、設定情報の送信先を決定する。このような構成によれば、ユーザーは、設定情報の送信先をリストのなかから選択することができる。つまり、ユーザーは、無線LANに接続させる無線通信装置を選択することができる。このため、ユーザーの利便性が向上する。
【0038】
また、送信制御部156は、設定情報以外の情報の送信を制御してもよい。例えば、送信制御部156は、入力受付部154が受付けた印刷指示に応じて生成された印刷ジョブを、NW無線通信方式又はNAN無線通信方式の無線通信接続を用いて、無線通信装置200に送信するよう制御してもよい。送信制御部156は、スループットに応じて、NW無線通信方式とNAN無線通信方式の無線通信接続を切り替えて、印刷ジョブを送信するよう制御してもよい。特に、送信制御部156は、設定情報を受信した無線通信装置200がNW無線通信方式の無線通信接続の確立に成功しなかった場合には、NAN無線通信方式の無線通信接続を用いて、この無線通信装置200に、印刷ジョブを送信するよう制御してもよい。このような構成によれば、無線通信装置100と無線通信装置200とがNW無線通信方式の通信を行えない場合であっても、印刷を実現することができる。
【0039】
設定情報を受信した無線通信装置200がNW無線通信方式の無線通信接続に成功した後に、アクセスポイント500の故障又は交換、電波環境の変化などといった何らかの理由により、この無線通信接続が切断してしまうことも考えられる。つまり、無線通信装置100と無線通信装置200のNAN接続が維持されていない状態で、無線通信装置200のNW無線通信方式の無線通信接続が切断してしまうことも考えられる。このような場合、すなわち、無線通信装置200によるNW無線通信方式の無線通信接続の確立が成功した後に、当該無線通信接続が切断した場合、無線通信装置100は次のように動作してもよい。まず、通信処理部152は、無線通信装置200とNAN接続を再度確立する処理を行う。その後、送信制御部156は、再度確立されたNAN接続を用いて、無線通信装置200に、印刷ジョブを送信するよう制御する。このような構成によれば、無線通信装置100と無線通信装置200とがNW無線通信方式の通信を行えない場合であっても、印刷を実現することができる。
【0040】
接続判定部157は、無線通信装置200が無線LAN(アクセスポイント500)への接続に成功したか否かを判定する。本実施の形態では、一例として、接続判定部157は、無線通信装置200からのパケットを、無線通信装置100がNW無線通信方式の通信により受信したか否かにより、接続に成功したか否かを判定する。接続判定部157は、無線通信装置200からのパケットを、無線通信装置100がNW無線通信方式の通信により受信した場合、接続に成功したと判定する。これに対し、例えば、接続判定部157は、設定情報の送信から所定の時間が経過しても無線通信装置200によるネットワーク接続が確認できない場合、無線通信装置200がネットワーク接続に失敗したと判定する。すなわち、接続判定部157は、設定情報の送信から所定の時間が経過しても無線通信装置200からのパケットを受信できない場合、無線通信装置200がネットワーク接続に失敗したと判定する。接続判定部157は、無線通信装置200からのパケットを得るために、次のような処理をしてもよい。例えば、接続判定部157は、無線通信装置200を探索するためのパケットを、NW無線通信方式の通信を用いて、無線LAN(アクセスポイント500)に接続している各装置にブロードキャストしてもよい。そして、このパケットを受信した無線通信装置200からの応答パケットを、NW無線通信方式の通信により無線通信装置100が受信した場合、接続判定部157は、無線通信装置200が無線LANへの接続に成功したと判定する。これに対し、無線通信装置100が応答パケットを受信できない場合、接続判定部157は、無線通信装置200が無線LANへの接続に失敗したと判定する。無線通信装置200を探索するための上述したパケットは、定期的に送信されてもよいし、設定情報の送信後の所定のタイミングで送信されてもよい。
【0041】
なお、設定情報の送信先の無線通信装置と、上述した応答パケットなどのパケットの送信元の無線通信装置との同一性は、例えば、通信時に通知されたMAC(Media access Control)アドレスを用いることにより判別可能である。この場合、接続判定部157は、設定情報を送信するための通信において通知された送信先の無線通信装置のMACアドレスを記憶部110に記憶しておけばよい。そして、接続判定部157は、NW無線通信方式の通信で通知されたMACアドレスが、記憶部210に記憶されているMACアドレスと一致するか否かを判定することにより、無線通信装置200が無線LANへの接続に成功したか否かを判定する。
【0042】
なお、上述した接続の判定方法は一例であり、無線通信装置100は、必ずしも無線通信装置200を探索するためのパケットをブロードキャストしなくてもよい。例えば、無線通信装置200が、NW無線通信方式の無線通信接続を確立した際に、NW無線通信方式の通信を用いて、無線LAN(アクセスポイント500)に接続している各装置にパケットをブロードキャストしてもよい。この場合、無線通信装置100は、無線通信装置200を探索するためのパケットをブロードキャストする必要がない。NW無線通信方式の無線通信接続を確立した無線通信装置によるパケットのブロードキャストは、無線通信接続が確立した時点で行われてもよいし、定期的に行われてもよい。また、このブロードキャストは、無線通信装置200だけでなく、NW無線通信方式の無線通信接続を確立した任意の無線通信装置によって行われてもよい。また、接続判定部157は、無線通信装置100が無線LAN(アクセスポイント500)へ接続しているか否かの判定も行ってもよい。
【0043】
次に、無線通信装置200について説明する。
図3は、無線通信装置200の構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、無線通信装置200は、記憶部210、無線通信部220、印刷部230、及び制御部240を有する。なお、無線通信装置200は、他の構成要素を備えていてもよい。例えば、無線通信装置200は、タッチパネルディスプレイなどのユーザーインターフェースをさらに備えていてもよいし、スキャナーなどをさらに備えていてもよい。
【0044】
記憶部210は、制御部240の処理を実現するためのプログラム及び無線通信装置200の処理に用いられるデータが格納される記憶装置である。この記憶装置は、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリー等の不揮発性記憶装置であってもよく、RAM等のメモリーを含んでもよい。
【0045】
無線通信部220は、無線通信を行うハードウェアである。すなわち、無線通信部220は、無線通信インターフェースである。無線通信部220は、送信回路、受信回路、及びアンテナを含みうる。
【0046】
印刷部230は、用紙などの印刷媒体に印刷を行うための印刷機能を有する。印刷部230は、印刷エンジンを含む。印刷エンジンとは、印刷媒体への画像の印刷を、色材を用いて実行する機械的構成である。印刷エンジンは、例えば、インクジェット方式により、インクを用いて印刷を行う機構を有してもよい。あるいは、印刷エンジンは、例えば、電子写真方式により、トナーを用いて印刷を行う機構を有してもよい。また、印刷エンジンは、印刷媒体を搬送する搬送機構を有してもよい。
【0047】
制御部240は、無線通信装置200の各構成を制御する例えばCPU等のプロセッサーである。制御部240は、複数のプロセッサーを有してもよい。制御部240は、プログラムをメモリーへ読み込み、プログラムを実行する。これにより、本実施の形態では、制御部240は、通信処理部241、設定情報取得部242、通信処理部243、接続判定部244、印刷情報取得部245、及び印刷処理部246の機能を実現する。
【0048】
無線通信装置200は、通信処理部241と通信処理部243を備えており、2種類の異なる無線通信方式での通信が可能な構成を備えている。
通信処理部241は、NAN無線通信方式の通信を、他の無線通信装置(本実施の形態では、無線通信装置100)との間で実行する処理を行う。上述した通り、無線通信装置100と無線通信装置200は、NAN無線通信方式の通信として、ディスカバリーウィンドウを用いた通信と、NAN接続を確立した上で行われる通信の2種類の通信を行うことが可能である。このため、通信処理部241により行われる処理には、ディスカバリーウィンドウを用いた通信を実行する処理と、NAN接続を確立した上で行われる通信を実行する処理が含まれる。上述した通り、本実施の形態では、通信処理部241は、無線通信装置100とディスカバリーウィンドウを用いた通信を行って、無線通信装置100とのNAN接続を確立する。なお、通信処理部241は、無線通信装置100以外の無線通信装置、例えば、無線通信装置301又は無線通信装置302などともNAN接続を確立してもよい。
【0049】
通信処理部241は、NAN接続を切断する処理、すなわちNAN接続を終了する処理も行う。特に、通信処理部241は、NW無線通信方式の無線通信接続の確立に成功した場合に、無線通信装置100との間に確立されたNAN接続を切断する。すなわち、通信処理部241は、無線通信装置100から受信した設定情報を用いた、後述する通信処理部243による接続処理に成功した場合に、この無線通信装置100とのNAN接続を切断する。さらに換言すると、通信処理部241は、無線通信装置200が無線LAN(アクセスポイント500)への接続に成功した後に、無線通信装置100とのNAN接続を切断する。なお、通信処理部241は、NAN接続を切断するだけでなく、このNAN接続を確立するために無線通信装置200が所属したNANクラスターから無線通信装置200を離脱させてもよい。
【0050】
上述した通り、無線通信装置200は、無線通信装置100以外の無線通信装置(例えば、無線通信装置301又は302)ともNAN接続を確立している場合がある。この場合、通信処理部241は、NW無線通信方式の無線通信接続を介して通信可能な無線通信装置とのNAN接続も切断してもよい。すなわち、通信処理部241は、NW無線通信方式の無線通信接続の確立に成功した場合、設定情報の送信元の無線通信装置100とのNAN接続の切断処理だけでなく、次のような切断処理を行ってもよい。通信処理部241は、無線通信装置100との間でNAN接続を確立中の他の装置のうち、無線通信装置100以外の装置であって、確立に成功したNW無線通信方式の無線通信接続を介して通信可能な装置に対するNAN接続も切断する。
【0051】
設定情報取得部242は、通信処理部241によって確立されたNAN無線通信方式の無線通信接続、すなわちNAN接続を用いて、無線通信装置100から設定情報を取得する。
【0052】
通信処理部243は、NW無線通信方式の通信を実行する処理を行う。通信処理部243は、設定情報取得部242が取得した設定情報、すなわち無線通信装置100から受信した設定情報を用いて、NW無線通信方式の無線通信接続を確立する。具体的には、通信処理部243は、無線通信装置100から受信した、アクセスポイント500のSSID及びパスワードを用いて、NW無線通信方式の無線通信接続を確立する。NW無線通信方式の無線通信接続の確立が成功すると、上述した通り、通信処理部241は、NAN接続を切断する。
【0053】
接続判定部244は、無線通信装置200がNW無線通信方式の無線通信接続を確立したか否かを判定する。すなわち、接続判定部244は、無線通信装置200が無線LAN(アクセスポイント500)への接続に成功したか否かを判定する。また、接続判定部244は、無線通信装置200とNAN接続を確立中の他の装置のうち、NW無線通信方式の無線通信が可能な装置が存在するか否かを判定する。例えば、接続判定部244は、上述した接続判定部157と同様の処理により、これを判定する。すなわち、接続判定部244は、NAN接続を確立中の無線通信装置からのパケットを、無線通信装置200がNW無線通信方式の通信により受信したか否かにより判定する。つまり、接続判定部244は、NAN接続を用いた通信で取得されるMACアドレスと同一のMACアドレスがNW無線通信方式の通信で取得された場合、無線通信装置200とNAN接続を確立した無線通信装置であって、無線通信装置200とNW無線通信方式の無線通信が可能な無線通信装置が存在すると判定する。
【0054】
印刷情報取得部245は、通信処理部241が確立したNAN接続又は通信処理部243が確立したNW無線通信方式の無線通信接続を用いて、無線通信装置100から印刷ジョブを取得する。
【0055】
印刷処理部246は、印刷部230による印刷を実行するための処理を行なう。本実施の形態では、印刷処理部246は、無線通信装置100から受信した印刷ジョブにしたがった印刷を、印刷部230を用いて実行する。
【0056】
次に、本実施の形態において、無線通信装置200を無線LANに参加させるための通信システム10の動作の流れについて説明する。
図4A及び
図4Bは、本実施の形態において、無線通信装置200を無線LANに参加させるための通信システム10の動作の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図4A及び
図4Bに示したフローチャートは、動作の一例を示すに過ぎない。したがって、例えば、各ステップは、技術的な矛盾を生じない限り、実行順序を入れ替えることができる。また、一部のステップが省略されてもよい。なお、以下で説明する動作に先だって、無線通信装置100は、設定情報を用いてNW無線通信方式の無線通信接続を確立している。一方、無線通信装置200は、NW無線通信方式の無線通信接続を未だ確立していないものとする。以下、
図4A及び
図4Bを参照しつつ、動作の流れについて説明する。
【0057】
ステップS101において、無線通信装置100の通信処理部152が、NAN規格にしたがって、サービスについての問い合わせをブロードキャストすることにより、無線通信装置200を探索する。すなわち、通信処理部152は、ディスカバリーウィンドウを用いた通信を行って無線通信装置200を探索する。なお、このとき、通信処理部152は、NAN規格にしたがって、サービスについての問い合わせをブロードキャストすることにより、特定のサービスを提供可能な無線通信装置だけを探索してもよい。この場合、後のステップにおいて、特定のサービスを提供可能な無線通信装置にだけ、設定情報が送信されることとなる。これにより、無線LANに参加させることが適切な無線通信装置だけを探索することができる。例えば、通信処理部152は、無線通信装置200のような接続サービスを提供可能な装置、すなわち、NAN接続で受信した設定情報を用いてNW無線通信方式の無線通信接続を確立する機能を備えた無線通信装置だけを探索してもよい。また、例えば、通信処理部152は、印刷サービスを提供可能な無線通信装置だけを探索してもよいし、スキャンサービスを提供可能な無線通信装置だけを探索してもよい。また、通信処理部152は、特定の条件を満たす特定のサービスを提供可能な無線通信装置だけを探索してもよい。例えば、通信処理部152は、特定の印刷設定での印刷サービスを提供可能な無線通信装置だけを探索してもよい。
【0058】
そして、本実施の形態では、ステップS102において、無線通信装置100の通信処理部152は、無線通信装置200とNAN接続を確立する。換言すると、無線通信装置200の通信処理部241は、無線通信装置100とNAN接続を確立する。なお、無線通信装置100の通信処理部152は、ステップS101における探索において複数の無線通信装置200が発見された場合、それら複数の無線通信装置200とNAN接続を確立してもよい。
【0059】
次に、ステップS103において、無線通信装置100の接続判定部157は、無線通信装置100が無線LAN(本実施の形態では、具体的にはWi-Fi(登録商標)ネットワーク)に接続しているか否かを判定する。ここでは、無線通信装置100が無線LANに接続しているものとして説明を続けるが、無線通信装置100が無線LANに接続していない場合、処理は終了する。無線通信装置100が無線LANに接続している場合、処理はステップS104へ移行する。なお、無線通信装置100が設定情報を保持している場合には、無線通信装置100が無線LANに接続しているか否かにかかわらず、処理がステップS104へ移行してもよい。
【0060】
ステップS104において、無線通信装置100の距離情報取得部153は、ステップS102でNAN接続が確立された他の無線通信装置と、無線通信装置100との距離を取得する。
【0061】
次に、ステップS105において、無線通信装置100の表示制御部155は、設定情報の送信先の無線通信装置を決定するためのユーザーインターフェース画面を表示部130に表示する。具体的には、例えば、表示制御部155は、
図5に示すように、ステップS101の探索により発見された無線通信装置のリストを含むユーザーインターフェース画面90を表示部130に表示する。すなわち、表示制御部155は、設定情報の送信先の無線通信装置の候補が示されたリストを表示部130に表示する。
【0062】
図5は、表示制御部155が表示するユーザーインターフェース画面90の一例を示す模式図である。
図5に示すように、表示制御部155は、設定情報の送信先の各候補について、無線通信装置100からの距離を表示してもよい。また、
図5に示すように、表示制御部155は、各無線通信装置の識別情報(プリンター名)を表示してもよい。なお、各無線通信装置の識別情報を取得するために、NAN接続された無線通信装置に対する識別情報の問い合わせが行われてもよい。
図5に示したユーザーインターフェース画面90は、無線通信装置100が保持する設定情報を他の無線通信装置に送信することを指示するためのボタン91と、無線通信装置100が保持する設定情報を他の無線通信装置に送信することキャンセルするためのボタン92を含んでいる。ボタン91は、他の無線通信装置を新たに無線LANに参加させることを指示するためのボタンということもできる。また、ボタン92は、他の無線通信装置に新たに無線LANに参加させることキャンセルするためのボタンということもできる。ユーザーは、他の無線通信装置を新たに無線LANに参加させる場合、リストに挙げられた無線通信装置から参加対象の装置を選択し、ボタン91を押す。なお、
図5に示した例では、ユーザーインターフェース画面90は、リストを含むが、リストを含まないユーザーインターフェース画面が表示されてもよい。この場合、ユーザーは、他の無線通信装置を新たに無線LANに参加させる場合、無線通信装置を選択することなく、他の無線通信装置を新たに無線LANに参加させることを指示する。この場合、送信制御部156は、NAN接続した全ての無線通信装置に設定情報を送信してもよいし、上述したように距離情報に基づいて送信先の無線通信装置を決定してもよい。
【0063】
入力受付部154が、他の無線通信装置を無線LANに接続させる指示をユーザーから受付けた場合(ステップS106でYES)、すなわちボタン91が操作された場合、処理はステップS107へ移行する。他の無線通信装置を無線LANに接続させる指示を受付けなかった場合(ステップS106でNO)、すなわちボタン92が操作された場合、処理は終了する。
【0064】
ステップS107において、無線通信装置100の送信制御部156は、ステップS102で確立されたNAN接続を用いて、NW無線通信方式の無線通信接続を確立するための設定情報、すなわちWi-Fi(登録商標)ネットワークに接続するための設定情報を、無線通信装置200に送信するよう制御する。例えば、送信制御部156は、リストに挙げられた無線通信装置200のうち、送信先としてユーザーに選択された無線通信装置200に、設定情報を送信するよう制御する。これに対し、無線通信装置200の設定情報取得部242は、無線通信装置100から送信された設定情報を取得する。これにより、NAN接続を介して無線通信装置100から無線通信装置200へ、設定情報が送信されることとなる。
【0065】
次に、ステップS108において、無線通信装置200の通信処理部243は、無線通信装置100から受信した設定情報を用いて、NW無線通信方式の無線通信接続を確立する処理を実行する。すなわち、通信処理部243は、Wi-Fi(登録商標)ネットワークに接続するための処理を実行する。無線通信装置200がNW無線通信方式の無線通信接続を確立した場合、すなわち、Wi-Fi(登録商標)ネットワークへの接続に成功した場合(ステップS109でYES)、処理はステップS111へ移行する。これに対し、接続に失敗した場合(ステップS109でNO)、処理はステップS110へ移行する。なお、無線通信装置200によるネットワーク接続の成功又は失敗は、無線通信装置100の接続判定部157及び無線通信装置200の接続判定部244により検出される。
【0066】
ステップS110において、無線通信装置100の送信制御部156は、ネットワーク接続に失敗した無線通信装置200に対して、既に設定情報の再送信を実施したか否かを判定する。設定情報の再送信が行われていない場合(ステップS110でNO)、処理はステップS107へ戻る。そしてステップS107において、設定情報の再送信が行われる。これにより、一度目の設定情報の伝送において誤りが発生した場合であっても、設定情報を適切に無線通信装置200に伝送することができる。これに対し、設定情報の再送信が既に行われている場合(ステップS110でYES)、処理は終了する。例えば、無線通信装置200とアクセスポイント500の距離が遠く、電波が弱いなどの場合、ステップS110でYESとなる。
【0067】
ステップS111に処理が進んだ場合、ステップS111において、無線通信装置200の通信処理部241と、無線通信装置100の通信処理部152は、NAN接続を切断する。なお、NAN接続の切断処理は、無線通信装置200と無線通信装置100のいずれか一方だけが行ってもよい。ステップS111の後、処理はステップS112へ移行する。
【0068】
ステップS112において、無線通信装置200の接続判定部244は、無線通信装置200とNAN接続を確立中の無線通信装置であって、Wi-Fi(登録商標)ネットワーク経由でアクセス可能な無線通信装置が存在するか否かを判定する。すなわち、接続判定部244は、NAN接続を切断可能な無線通信装置があるか否かを判定する。NAN接続を切断可能な無線通信装置が存在する場合(ステップS112でYES)、処理はステップS113へ移行する。NAN接続を切断可能な無線通信装置が存在しない場合(ステップS112でNO)、処理は終了する。
【0069】
ステップS113において、無線通信装置200の通信処理部241は、ステップS112で切断可能である無線通信装置として発見された無線通信装置とのNAN接続も切断する。その後、処理は終了する。なお、上述したフローチャートでは、ステップS102の後に距離情報が取得されているが、ステップS102の前に取得されてもよい。この場合、通信処理部152は、距離情報を用いて、NAN接続を確立する相手を限定してもよい。すなわち、例えば、通信処理部152は、距離が所定の閾値以下である無線通信装置とNAN接続を確立してもよい。
【0070】
図6は、NAN接続の切断について説明する模式図である。
図6に示した例では、上述したステップS101が開始される前に、既に無線通信装置200が、無線通信装置302とNAN接続L1を確立しており、無線通信装置303とNAN接続L2を確立しているものとする。なお、無線通信装置303は、無線LANに接続していない装置であるものとする。そして、ステップS102において、無線通信装置200は、無線通信装置100ともNAN接続L3を確立する。さらに、ステップS108において、無線通信装置200は、NW無線通信方式の無線通信接続L4を確立する。この場合、ステップS111において、NAN接続L3が切断される。また、無線通信装置200と無線通信装置302はアクセスポイント500を介した通信が可能になったため、ステップS113において、NAN接続L1が切断される。しかしながら、無線通信装置200は、無線通信装置303とはアクセスポイント500を介した通信が依然として行えないため、NAN接続L2を維持する。
【0071】
上述した実施の形態によれば、無線通信装置200に対してユーザーが設定情報を入力しなくても、無線通信装置200は、NW無線通信方式の無線通信接続を確立することができる。これにより、無線通信装置100だけでなく、無線LANの他の無線通信装置(例えば、無線通信装置301、302など)も、無線通信装置200のサービスを無線LAN経由で利用することができる。また、特に、上記の実施の形態によれば、設定情報の送信が行われて直ちに無線通信装置100と無線通信装置200のNAN接続が切断されるのではなく、無線通信装置200が、NW無線通信方式の無線通信接続に成功した場合に、NAN接続が切断される。このため、設定情報の再送信が必要な状況に陥ったとしても、NAN接続の確立をやり直す必要がない。このため、処理量を抑制することができる。
【0072】
以上、実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0073】
また、上述の例において、プログラムは、コンピューターに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピューターに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピューター可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピューター可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリー、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリー技術、CD-ROM、digital versatile disk(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピューター可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピューター可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0074】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1)
第1の無線通信方式の無線通信接続を、設定情報を用いて確立する第1の通信処理部と、
NAN(Neighbor Awareness Network)規格にしたがって少なくとも一つの他の無線通信装置を探索し、前記少なくとも一つの他の無線通信装置と、NAN規格にしたがった通信方式であり前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式の無線通信接続を確立する第2の通信処理部と、
前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を用いて、前記少なくとも一つの他の無線通信装置に、前記設定情報を送信するよう制御する送信制御部と
を有し、
前記第2の通信処理部は、前記他の無線通信装置が前記第1の無線通信方式の無線通信接続の確立に成功した場合に、当該他の無線通信装置に対する前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を切断する
無線通信装置。
(付記2)
前記送信制御部は、前記他の無線通信装置が前記第1の無線通信方式の無線通信接続の確立に成功しなかった場合に、前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を用いて、当該他の無線通信装置に、再度、前記設定情報を送信するよう制御する
付記1に記載の無線通信装置。
(付記3)
前記他の無線通信装置は、印刷装置であり、
前記送信制御部は、前記他の無線通信装置が前記第1の無線通信方式の無線通信接続の確立に成功しなかった場合に、前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を用いて、当該他の無線通信装置に、印刷ジョブを送信するよう制御する
付記1又は2に記載の無線通信装置。
(付記4)
前記他の無線通信装置は、印刷装置であり、
前記他の無線通信装置による前記第1の無線通信方式の無線通信接続の確立が成功した後に、当該無線通信接続が切断した場合、
前記第2の通信処理部は、当該他の無線通信装置と前記第2の無線通信方式の無線通信接続を再度確立し、
前記送信制御部は、再度確立された前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を用いて、当該他の無線通信装置に、印刷ジョブを送信するよう制御する
付記1又は2に記載の無線通信装置。
(付記5)
前記少なくとも一つの他の無線通信装置のそれぞれについて、NAN規格にしたがって測定された、前記無線通信装置との距離を示す距離情報を取得する距離情報取得部をさらに有し、
前記送信制御部は、前記距離情報に基づいて、前記設定情報の送信先を制限する
付記1から4のいずれか一項に記載の無線通信装置。
(付記6)
前記少なくとも一つの他の無線通信装置のリストを表示するよう制御する表示制御部をさらに有し、
前記送信制御部は、前記リストに挙げられた前記少なくとも一つの他の無線通信装置から送信先を選択する指示にしたがって、前記設定情報の送信先を決定する
付記1から5のいずれか一項に記載の無線通信装置。
(付記7)
前記少なくとも一つの他の無線通信装置のそれぞれについて、NAN規格にしたがって測定された、前記無線通信装置との距離を示す距離情報を取得する距離情報取得部をさらに有し、
前記表示制御部は、前記リストにおいて、前記少なくとも一つの他の無線通信装置のそれぞれの前記距離情報をさらに表示するよう制御する
付記6に記載の無線通信装置。
(付記8)
前記第2の通信処理部は、NAN規格にしたがって、サービスについての問い合わせをブロードキャストすることにより、特定のサービスを提供可能な前記少なくとも一つの他の無線通信装置を探索し、
前記送信制御部は、前記特定のサービスを提供可能な前記少なくとも一つの他の無線通信装置に、前記設定情報を送信するよう制御する
付記1から7のいずれか一項に記載の無線通信装置。
(付記9)
他の無線通信装置と、NAN規格にしたがった第1の無線通信方式の無線通信接続を確立する第1の通信処理部と、
前記第1の無線通信方式の前記無線通信接続を用いて、前記他の無線通信装置から設定情報を取得する設定情報取得部と、
前記設定情報を用いて、前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式の無線通信接続を確立する第2の通信処理部と
を有し、
前記第1の通信処理部は、前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続の確立に成功した場合に、前記第1の無線通信方式の前記無線通信接続を切断する
無線通信装置。
(付記10)
前記第1の通信処理部は、前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続の確立に成功した場合、前記無線通信装置との間で前記第1の無線通信方式の無線通信接続を確立中の装置のうち、前記他の無線通信装置以外の装置であって、確立に成功した前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を介して通信可能な装置に対する前記第1の無線通信方式の前記無線通信接続も切断する
付記9に記載の無線通信装置。
(付記11)
第1の無線通信方式の無線通信接続を、設定情報を用いて確立し、
NAN規格にしたがって少なくとも一つの他の無線通信装置を探索し、前記少なくとも一つの他の無線通信装置と、NAN規格にしたがった通信方式であり前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式の無線通信接続を確立し、
前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を用いて、前記少なくとも一つの他の無線通信装置に、前記設定情報を送信するよう制御し、
前記他の無線通信装置が前記第1の無線通信方式の無線通信接続の確立に成功した場合に、当該他の無線通信装置に対する前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を切断する
無線通信装置の制御方法。
(付記12)
他の無線通信装置と、NAN規格にしたがった第1の無線通信方式の無線通信接続を確立し、
前記第1の無線通信方式の前記無線通信接続を用いて、前記他の無線通信装置から設定情報を取得し、
前記設定情報を用いて、前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式の無線通信接続を確立し、
前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続の確立に成功した場合に、前記第1の無線通信方式の前記無線通信接続を切断する
無線通信装置の制御方法。
(付記13)
第1の無線通信方式の無線通信接続を、設定情報を用いて確立する第1の通信処理ステップと、
NAN規格にしたがって少なくとも一つの他の無線通信装置を探索し、前記少なくとも一つの他の無線通信装置と、NAN規格にしたがった通信方式であり前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式の無線通信接続を確立する第2の通信処理ステップと、
前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を用いて、前記少なくとも一つの他の無線通信装置に、前記設定情報を送信するよう制御する送信制御ステップと、
前記他の無線通信装置が前記第1の無線通信方式の無線通信接続の確立に成功した場合に、当該他の無線通信装置に対する前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続を切断する切断ステップと
をコンピューターに実行させるプログラム。
(付記14)
他の無線通信装置と、NAN規格にしたがった第1の無線通信方式の無線通信接続を確立する第1の通信処理ステップと、
前記第1の無線通信方式の前記無線通信接続を用いて、前記他の無線通信装置から設定情報を取得する設定情報取得ステップと、
前記設定情報を用いて、前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式の無線通信接続を確立する第2の通信処理ステップと、
前記第2の無線通信方式の前記無線通信接続の確立に成功した場合に、前記第1の無線通信方式の前記無線通信接続を切断する切断ステップと
をコンピューターに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0075】
10…通信システム、90…ユーザーインターフェース画面、91…ボタン、92…ボタン、100…無線通信装置、110…記憶部、120…無線通信部、130…表示部、140…操作部、150…制御部、151…通信処理部、152…通信処理部、153…距離情報取得部、154…入力受付部、155…表示制御部、156…送信制御部、157…接続判定部、200…無線通信装置、210…記憶部、220…無線通信部、230…印刷部、240…制御部、241…通信処理部、242…設定情報取得部、243…通信処理部、244…接続判定部、245…印刷情報取得部、246…印刷処理部、301…無線通信装置、302…無線通信装置、303…無線通信装置、500…アクセスポイント