(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136524
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】スキンパック用台紙及びスキンパック包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 75/30 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B65D75/30 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047665
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 慎
(72)【発明者】
【氏名】平野 大信
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 悟志
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB01
3E067AB02
3E067AB04
3E067AB08
3E067BA15A
3E067BA20A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067CA02
3E067CA04
3E067CA24
3E067EA04
3E067FA01
3E067FB05
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】操業ライン上での走行性が良好であり、かつ、重量の大きい収容物品の包装にも耐えうるスキンパック用台紙を提供する。
【解決手段】紙基材層を有するスキンパック用台紙であって、前記スキンパック用台紙の厚さが、1.05mm以下であり、前記スキンパック用台紙の縦方向のテーバー剛度が、143mN・m以上であり、前記スキンパック用台紙の横方向のテーバー剛度が、83mN・m以上である、スキンパック用台紙。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材層を有するスキンパック用台紙であって、
前記スキンパック用台紙の厚さが、1.05mm以下であり、
前記スキンパック用台紙の縦方向のテーバー剛度が、143mN・m以上であり、
前記スキンパック用台紙の横方向のテーバー剛度が、83mN・m以上である、スキンパック用台紙。
【請求項2】
前記スキンパック用台紙の縦方向の引張弾性率が、2.65GPa以上であり、
前記スキンパック用台紙の横方向の引張弾性率が、1.65GPa以上である、請求項1に記載のスキンパック用台紙。
【請求項3】
前記スキンパック用台紙の坪量が、650g/m2以上である、請求項1に記載のスキンパック用台紙。
【請求項4】
前記紙基材層が、紙層Aと接着層Aと紙層Bとをこの順に有する合紙、又は単紙である、請求項1に記載のスキンパック用台紙。
【請求項5】
前記接着層Aが、ポリオレフィン系樹脂を含む、請求項4に記載のスキンパック用台紙。
【請求項6】
前記紙基材層の少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂層を有する、請求項1に記載のスキンパック用台紙。
【請求項7】
前記紙基材層と前記熱可塑性樹脂層との間に接着層Bを有する、請求項6に記載のスキンパック用台紙。
【請求項8】
前記接着層Bが、水系接着剤を含む、請求項7に記載のスキンパック用台紙。
【請求項9】
前記水系接着剤が、アクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤及びイソシアネート系接着剤からなる群より選択される1種以上である、請求項8に記載のスキンパック用台紙。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のスキンパック用台紙と、収容物品と、樹脂フィルムとを有し、
前記収容物品が、前記スキンパック用台紙と前記樹脂フィルムとの間に収容されている、スキンパック包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スキンパック用台紙及びスキンパック包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
食品包装の分野では、食品の鮮度保持及びロングライフ化を実現するスキンパックが使用されており、トレー上に食品を載せ、トレーと食品とをバリアフィルムを用いて真空パックしている。スキンパックは、特に精肉等の包装に用いた場合、ドリップ(保存時に食品から出る水分)を抑制できるため、賞味期限を延長でき、食品ロスを低減できる観点からも使用が進んでいる。
【0003】
こうしたなか、印刷適性による意匠性や環境負荷の低減等を考慮し、ポリスチレン及びポリプロピレン等の樹脂トレーに替えて、紙基材による台紙上に食品を載せ、フィルムによりパックするスキンパックも開発されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、被包装物を容易に取り出すことができるスキンパック包装体を提供することを目的として、台紙が基材と剥離層と接着層とを有し、スキンパックフィルムが前記接着層を介して基材に接着されているスキンパック包装体が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、内容物を用意に取り出すことができる包装体を提供することを目的として、紙層を含むベース材と、前記ベース材に載せられる内容物を覆うフィルムと、前記内容物が密封されるよう前記ベース材に前記フィルムを接合するイージーピール構造と、を備えるスキンパック包装体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-181075号公報
【特許文献2】国際公開第2021/039823号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スキンパック包装の対象は、一般的には、重量が数百g程度までの軽い収容物品である。これは、重量の大きい収容物品をスキンパック用台紙の上に載せると、台紙の四隅が浮き上がってしまい、その結果、収容物品を覆うフィルムを台紙に正確に貼り合わせることができず、包装不良が生じるためである。
台紙の厚さを増大して台紙の強度を高めれば、台紙四隅の浮き上がりを低減することは可能である。しかしながら、台紙の厚さが大きいと、台紙に均一にテンションをかけることが困難となり、操業ライン上で台紙が蛇行するため、フィルムを台紙に正確に貼り合わせることができないという問題は依然として解決できない。加えて、台紙の厚さが大きいと、意匠性を高める目的で印刷を施す際にも、様々な問題が生じる。例えば、広く一般に流通している印刷機は、印刷可能な紙の厚さが限られているため、厚さの大きい紙の印刷に対応できない。また、厚さの大きい台紙をロール状に巻き取ることは困難であるため、大ロットのグラビア印刷を行うことも難しい。
【0008】
本開示の課題は、操業ライン上での走行性が良好であり、かつ、重量の大きい収容物品の包装にも耐えうるスキンパック用台紙を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、鋭意検討の結果、台紙のテーバー剛度及び厚さを特定範囲とすることにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本開示の要旨は、以下の通りである。
【0010】
〔1〕 紙基材層を有するスキンパック用台紙であって、
前記スキンパック用台紙の厚さが、1.05mm以下であり、
前記スキンパック用台紙の縦方向のテーバー剛度が、143mN・m以上であり、
前記スキンパック用台紙の横方向のテーバー剛度が、83mN・m以上である、スキンパック用台紙。
〔2〕 前記スキンパック用台紙の縦方向の引張弾性率が、2.65GPa以上であり、
前記スキンパック用台紙の横方向の引張弾性率が、1.65GPa以上である、〔1〕に記載のスキンパック用台紙。
〔3〕 前記スキンパック用台紙の坪量が、650g/m2以上である、〔1〕又は〔2〕に記載のスキンパック用台紙。
〔4〕 前記紙基材層が、紙層Aと接着層Aと紙層Bとをこの順に有する合紙、又は単紙である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のスキンパック用台紙。
〔5〕 前記接着層Aが、ポリオレフィン系樹脂を含む、〔4〕に記載のスキンパック用台紙。
〔6〕 前記紙基材層の少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂層を有する、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のスキンパック用台紙。
〔7〕 前記紙基材層と前記熱可塑性樹脂層との間に接着層Bを有する、〔6〕に記載のスキンパック用台紙。
〔8〕 前記接着層Bが、水系接着剤を含む、〔7〕に記載のスキンパック用台紙。
〔9〕 前記水系接着剤が、アクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤及びイソシアネート系接着剤からなる群より選択される1種以上である、〔8〕に記載のスキンパック用台紙。
〔10〕 〔1〕~〔9〕のいずれかに記載のスキンパック用台紙と、収容物品と、樹脂フィルムとを有し、
前記収容物品が、前記スキンパック用台紙と前記樹脂フィルムとの間に収容されている、スキンパック包装体。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、操業ライン上での走行性が良好であり、かつ、重量の大きい収容物品の包装にも耐えうるスキンパック用台紙を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】スキンパック用台紙のたわみ評価の方法を説明する概略図である。
【
図2】スキンパック用台紙の走行性評価の方法を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、数値範囲を表す「X以上Y以下」及び「X~Y」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。数値範囲の下限値と上限値とが個別に記載されている場合、当該数値範囲は、任意の下限値と任意の上限値とを組み合わせたものとすることができる。
【0014】
<スキンパック用台紙>
本発明の第1の実施形態は、紙基材層を有するスキンパック用台紙(以下、単に「台紙」と称することがある。)であって、厚さが1.05mm以下であり、縦方向のテーバー剛度が143mN・m以上であり、横方向のテーバー剛度が83mN・m以上である。
スキンパック用台紙の「縦方向」とは、紙基材における抄紙方向(MD)であって、繊
維が配向する方向である。また、スキンパック用台紙の「横方向」とは抄紙方向に対して垂直な方向(CD)である。
【0015】
スキンパック用台紙の厚さが上記値以下であることにより、台紙に必要なテンションを均一にかけることができるため、走行中の台紙の蛇行を抑制され、操業ライン上での走行性(印刷走行性)が良好となる。
また、スキンパック用台紙の厚さが上記値以下とすることにより、印刷走行性の悪化を防ぎ、精度の高い印刷を実現できる。また、一般に流通している印刷機により印刷することも可能となる。
さらに、縦方向のテーバー剛度及び横方向のテーバー剛度がともに上記値以上であることにより、台紙上に収容物品を乗せた際の台紙のたわみを抑制することができる。そのため、本実施形態に係るスキンパック用台紙は、重量の大きい収容物品の包装に好適である。
【0016】
なお、本明細書において、「重量の大きい収容物品」とは、従来のスキンパック包装の包装対象とされている数百g程度の収容物品よりも重量が大きい物品、例えば1kg以上の収容物品を意味する。
また、本明細書において、「重量の大きい収容物品の包装にも耐えうるスキンパック用台紙」、「重量の大きい収容物品の包装に好適なスキンパック用台紙」とは、後述する実施例に示すように、スキンパック用台紙に重量1kgの重りを載せてたわみを評価したときに、実用可能レベルと判断されるものを指す。
【0017】
(スキンパック用台紙の厚さ)
スキンパック用台紙の厚さは、1.05mm以下であり、より印刷走行性を向上できる点で、好ましくは1.03mm以下、より好ましくは1.00mm以下、さらに好ましくは0.98mm以下である。
スキンパック用台紙の厚さは、小さいほど印刷走行性が向上することから、その下限は特に限定されないが、十分なテーバー剛度を有する台紙を容易に製造できる点で、好ましくは0.80mm以上、より好ましくは0.85mm以上、さらに好ましくは0.90mm以上である。
【0018】
スキンパック用台紙の厚さは、JIS P 8118:2014(「紙及び板紙-厚さ,密度及び比容積の試験方法」,2014年11月20日改定)に準拠して測定される。なお、スキンパック用台紙が後述する接着層及び熱可塑性樹脂層等の紙以外の層を有する場合には、スキンパック用台紙の断面の電子顕微鏡(SEM)の観察像から各層の厚みを測定し、その測定結果からスキンパック用台紙の厚さを算出する。すなわち、スキンパック用台紙が後述する接着層及び熱可塑性樹脂層等の紙以外の層を有する場合、スキンパック用台紙の厚さは、それらの層を含む厚さである。
【0019】
(スキンパック用台紙のテーバー剛度)
スキンパック用台紙の縦方向のテーバー剛度は、143mN・m以上であり、台紙のたわみをより抑制できる点で、好ましくは150mN・m以上、より好ましくは155mN・m以上である。
スキンパック用台紙の縦方向のテーバー剛度は、大きいほど台紙のたわみを抑制できることから、その上限は特に限定されないが、打ち抜き加工性の観点からは、好ましくは210mN・m以下、より好ましくは190mN・m以下、さらに好ましくは170mN・m以下である。
【0020】
スキンパック用台紙の横方向のテーバー剛度は、83mN・m以上であり、台紙のたわみをより抑制できる点で、好ましくは88mN・m以上、より好ましくは90mN・m以
上である。
スキンパック用台紙の横方向のテーバー剛度は、大きいほど台紙のたわみを抑制できることから、その上限は特に限定されないが、打ち抜き加工性の観点からは、好ましくは120mN・m以下であり、より好ましくは110mN・m以下である。
【0021】
スキンパック用台紙の縦方向のテーバー剛度は、テーバーこわさ計(例えば、東洋精機製作所社製,テーバー・剛性度試験機)を用い、JIS P 8125-2:2017(「紙及び板紙-曲げ抵抗試験方法-第2部:テーバー型試験機法」,2017年3月21日制定)に準拠して測定される。
【0022】
スキンパック用台紙の横方向のテーバー剛度に対する縦方向のテーバー剛度の比(以下、「テーバー剛度のT/Y比」と称することがある。)は、特に限定されないが、台紙のたわみを効果的に抑制できる点で、好ましくは1.25以上2.10以下、より好ましくは1.50以上2.00以下、さらに好ましくは1.60以上1.80以下である。
【0023】
スキンパック用台紙のT/Y比は、紙基材層の抄造時のジェットワイヤー比(J/W比)を制御することにより、調整することができる。J/W比は、抄紙機のインレットから紙料をワイヤーに噴出するときのワイヤーの走行速度(W)に対する紙料の噴出速度(J)の比である。J/W比が1であれば、繊維はランダムに配向し、J/W比が1の状態から紙料の噴射速度を上げるほど、又は下げるほど繊維は縦配向となり、縦方向のテーバー剛度が高まる。
【0024】
以下、スキンパック用台紙の縦方向のテーバー剛度及び横方向のテーバー剛度を上記範囲に調整する方法について説明する。
【0025】
一般に、紙の物性は、下記式(I)~式(III)に従う。式(I)から、スキンパック用台紙の厚さを必要以上に高めることなくテーバー剛度を向上させるには、引張弾性率を高めることが有効である。式(II)から、引張弾性率を高めるためにはスキンパック用台紙の密度を高めることが有効であるが、スキンパック用台紙の厚さを少なくとも一定以上に保つためには式(III)から、必然的にスキンパック用台紙の坪量増加を伴うことになる。
【0026】
(紙の剛度)∝(紙の厚さ)3×(紙の引張弾性率) 式(I)
(紙の引張弾性率)∝(紙の密度) 式(II)
(紙の密度)=(紙の坪量)/(紙の厚さ) 式(III)
【0027】
スキンパック用台紙の引張弾性率を調整する方法としては、例えば、紙基材層に特定量の極小繊維を含有させる方法、抄紙時のウェットプレス工程(ワイヤー脱水後の湿紙を圧縮搾水する工程)においてプレス線圧を高める方法、紙基材の離解フリーネスを調整する方法、及び紙力増強剤等の内添剤の添加量等を調整する方法が挙げられる。これらの方法は、単独で使用してもよく、併用してもよい。
【0028】
紙基材層に特定量の極小繊維を含有させる方法では、紙基材層(紙基材層が合紙である場合には、合紙を構成する紙層)を構成するパルプの繊維の隙間に極小繊維が入り込むことにより、紙基材層の坪量及び密度が高まるとともに引張弾性率が向上し、その結果、スキンパック用台紙の坪量、密度、及び引張弾性率も向上する。本方法において紙基材層に含有させる極小繊維の好適な量は、後述の通りである。
なお、本明細書において、「極小繊維」とは、繊維長0.2mm以下の繊維を意味する。パルプの繊維長は、繊維長測定機(バルメット株式会社製,型式FS-5 UHDベースユニット付)を用いて、ISO 16065-2:2014(「パルプ-自動光学分析
による繊維長の決定-Part2:非偏光法」,2014年1月14日発行)に準拠して測定
される。
【0029】
抄紙時のウェットプレス工程においてプレス線圧を高める方法では、湿紙への圧力付加及び湿紙水分低下により繊維間距離が減少、繊維間結合が強化され、出来上がった紙基材層又は紙層の引張弾性率が向上する。そして、その結果、スキンパック用台紙の引張弾性率も向上する。
【0030】
紙基材の離解フリーネスを調整する方法は、紙基材(紙基材層が合紙である場合には、合紙を構成する紙層)の原料となるパルプを叩解することにより行われる。一般に、パルプのフリーネス値が小さくなると、抄紙された紙の引張弾性率を高めることができる。なお、離解フリーネスとは、抄紙後の紙をJIS P 8220-1:2012(「パルプ-離解方法-第1部:化学パルプの離解」,2012年4月20日制定)に準拠して離解したパルプを、JIS P 8121-2:2012(「パルプ-ろ水度試験方法-第2部:カナダ標準ろ水度法」,2012年6月20日制定)に準拠して測定したカナダ標準濾水度のことである。
【0031】
以下に、スキンパック用台紙のテーバー剛度向上に好適な引張弾性率、坪量、及び密度の具体的範囲について説明する。
【0032】
(スキンパック用台紙の引張弾性率)
スキンパック用台紙の縦方向の引張弾性率は、好ましくは2.65GPa以上、より好ましくは3.00GPa以上、さらに好ましくは3.15GPa以上である。
スキンパック用台紙の縦方向の引張弾性率は、高いほど縦方向のテーバー剛度も向上するため、その上限は特に限定されないが、打ち抜き加工性の観点から、好ましくは5.30GPa以下、より好ましくは4.30GPa以下である。
【0033】
スキンパック用台紙の横方向の引張弾性率は、好ましくは1.65GPa以上、より好ましくは2.00GPa以上である。
スキンパック用台紙の横方向の引張弾性率は、高いほど横方向のテーバー剛度も向上するため、その上限は特に限定されないが、打ち抜き加工性の観点から、好ましくは3.30GPa以下、より好ましくは3.00GPa以下である。
【0034】
スキンパック用台紙の縦方向の引張弾性率及び横方向の引張弾性率は、JIS P 8113:2006(「紙及び板紙-引張特性の試験方法-第2部:定速伸張法」,2006年12月20日改定)に準拠して測定される。
【0035】
(スキンパック用台紙の坪量)
スキンパック用台紙の坪量は、好ましくは650g/m2以上、より好ましくは680g/m2以上、さらに好ましくは710g/m2以上、特に好ましくは750g/m2以上、最も好ましくは800g/m2以上である。
また、スキンパック用台紙の坪量は、大きいほど縦方向及び横方向のテーバー剛度も向上するため、その上限は特に限定されないが、打ち抜き加工性及び製造容易性の観点から、好ましくは1,100g/m2以下であり、より好ましくは1,000g/m2以下、さらに好ましくは950g/m2以下、特に好ましくは900g/m2以下である。
【0036】
スキンパック用台紙の坪量は、JIS P 8124:2011(「紙及び板紙-坪量の測定方法」,2011年3月22日改定)に準拠して測定される。
【0037】
(スキンパック用台紙の密度)
スキンパック用台紙の密度は、好ましくは0.63g/cm3以上、より好ましくは0.75g/cm3以上、さらに好ましくは0.80g/cm3以上である。
また、スキンパック用台紙の密度は、大きいほど縦方向及び横方向のテーバー剛度も向上するため、その上限は特に限定されないが、打ち抜き加工性及び製造容易性の観点から、好ましくは1.05g/cm3以下であり、より好ましくは1.00g/cm3以下、さらに好ましくは0.95g/cm3以下である。
【0038】
スキンパック用台紙の密度は、上記のようにして測定されたスキンパック用台紙の厚さ及び坪量を式(III)に当てはめることにより算出される。
【0039】
(紙基材層)
本実施形態に係るスキンパック用台紙は、上記厚さ及びテーバー剛度を充足する限り、紙基材層の構成材料及び層構成等は特に限定されない。紙基材層は、2以上の紙層を含む合紙であってもよく、1つの紙層からなる単紙であってもよい。
【0040】
紙基材層が合紙である場合、合紙に含まれる紙層の数、各紙層の積層方法、各紙層の物性等は、特に限定されないが、好ましい合紙としては、紙層Aと接着層Aと紙層Bとをこの順に有する合紙が挙げられる。紙層Aと接着層Aと紙層Bとをこの順に有する合紙は、紙層Aと接着層Aと紙層Bのみからなる合紙であってもよく、さらに他の紙層を、接着層を介して積層させた合紙であってもよい。このとき、紙層Bとして紙層Aと同一の紙層を使用してもよい。また、他の紙層として紙層A又は紙層Bと同一の紙層を使用してもよい。
【0041】
紙層Aの坪量は、好ましくは300g/m2以上1,000g/m2以下、より好ましくは400g/m2以上1,000g/m2以下、さらに好ましくは450g/m2以上900g/m2以下、特に好ましくは500g/m2以上800g/m2以下である。
【0042】
紙層Aの密度は、成形加工性の観点から、好ましくは0.50g/cm3以上1.20g/cm3以下、より好ましくは0.70g/cm3以上1.00g/cm3以下である。
【0043】
紙層Aの厚さは、好ましくは0.30mm以上1.20mm以下、より好ましくは0.40mm以上1.10mm以下、さらに好ましくは0.50mm以上1.00mm以下、特に好ましくは0.60mm以上0.95mm以下である。
【0044】
紙層Aは、単層構成であってもよく、複層構成であってもよい。紙層Aは、生産性の観点からは、単層構成であることが好ましい。また、各層の原料配合や坪量、抄造条件等を任意に調整できる観点から、紙層Aは、多層構成であることも好ましい。紙層Aが多層構成からなる場合、紙層Aを構成する層の数は、通常2以上10以下、好ましくは3以上9以下、より好ましくは4以上8以下、さらに好ましくは4以上6以下である。
【0045】
紙層Bの坪量は、好ましくは50g/m2以上480g/m2以下、より好ましくは60g/m2以上400g/m2以下、さらに好ましくは100g/m2以上360g/m2以下、特に好ましくは120g/m2以上240g/m2以下である。
【0046】
紙層Bの密度は、成形加工性の観点から、好ましくは0.50g/cm3以上1.20g/cm3以下、より好ましくは0.70g/cm3以上1.00g/cm3以下、さらに好ましくは0.75g/cm3以上1.00g/cm3以下である。
【0047】
紙層Bの厚さは、好ましくは0.05mm以上0.70mm以下、より好ましくは0.
06mm以上0.60mm以下、さらに好ましくは0.07mm以上0.50mm以下である。
【0048】
なお、各紙層の坪量、密度、及び厚さは、それぞれ、スキンパック用台紙の坪量、密度、及び厚さと同方法により測定される。
【0049】
紙層Bは、単層構成であってもよく、複層構成であってもよいが、生産性の観点から、単層構成であることが好ましい。
【0050】
紙層A及び紙層Bは、一般的に用いられている紙であれば特に限定されず、植物由来のパルプを主成分とする紙であることが好ましく、木材パルプを主成分とする紙であることがより好ましい。
紙層A及び紙層Bとしては、具体的には、クラフト紙、上質紙、(白)板紙、紙器用原紙、ミルクカートン原紙、カップ原紙、ライナー紙、塗工紙、片艶紙、グラシン紙、及びグラファン紙等が挙げられる。これらの中でも、紙層A及び紙層Bは、それぞれ、クラフト紙、上質紙、(白)板紙、紙器用原紙、カップ原紙、及び片艶紙からなる群より選択される紙であることが好ましく、剛性の面から、(白)板紙の中では高級板紙、特殊板紙、カップ原紙、及びクラフト紙からなる群より選択される紙であることがより好ましい。クラフト紙としては、晒クラフト紙、未晒クラフト紙、及び片艶晒クラフト紙が挙げられる。これらのうち、クラフト紙は、印刷適性や衛生面から、晒クラフト紙及び片艶晒クラフト紙からなる群より選択される紙であることが好ましい。
【0051】
紙層A及び紙層Bを構成するパルプは、前述の通り、木材パルプであること好ましく、クラフトパルプであることがより好ましい。クラフトパルプには、原料の違いから、広葉樹クラフトパルプ(LKP)及び針葉樹クラフトパルプ(NKP)がある。広葉樹クラフトパルプ(LKP)としては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)が好ましく、針葉樹クラフトパルプ(NKP)としては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)が好ましい。また、処理状態の違いから、晒クラフトパルプ(BKP)、未晒クラフトパルプ(UKP)、及び酸素漂白クラフトパルプ(OKP)が挙げられ、印刷適性の観点から、好ましくは晒クラフトパルプ(BKP)である。
これらの中でも、パルプは、広葉樹クラフトパルプ(LKP)及び針葉樹クラフトパルプ(NKP)からなる群より選択される1種以上であることが好ましく、広葉樹クラフトパルプ(LKP)と針葉樹クラフトパルプ(NKP)との混合物であることがより好ましい。該混合物において、針葉樹クラフトパルプ(NKP)に対する広葉樹クラフトパルプ(LKP)の質量比(LKP/NKP)は、一般的な紙に用いられる比率であれば特に制限なく、好ましくは1/99~99/1、より好ましくは30/80~99/1、さらに好ましくは40/60~99/1である。
【0052】
紙層Aを構成するパルプ及び紙層Bを構成するパルプのいずれか一方又は両方は、繊維長が0.2mm以下の極小繊維を特定量含むことが好ましい。
【0053】
各紙層を構成するパルプに含まれる極小繊維の量(個数)は、密度向上の観点及び坪量向上の観点から、10.0%以上27.0%以下であることが好ましく、13.0%以上23.0%以下であることがより好ましく、16.0%以上20.0%以下であることがさらに好ましい。
【0054】
各紙層中の極小繊維の量は、繊維長測定機(バルメット株式会社製,型式FS-5 UHDベースユニット付)を用いて算出される。より具体的には、同機器を用い、ISO 16065-2:2014(「パルプ-自動光学分析による繊維長の決定-Part2:非偏
光法」,2014年1月14日発行)に準拠して被写界深度0.5mmの測定セル内で撮
影することにより、繊維1本1本を検出して繊維長を測定し、その結果から繊維長0.2mm以下の極小繊維の含有割合が算出される。
【0055】
紙層A及び紙層Bの王研式平滑度(JIS P 8155:2010)は、好ましくは5秒以上、より好ましくは10秒以上1,000秒以下である。また、印刷適性の観点から、紙層A及び紙層Bの75°光沢度は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上70%以下である。
【0056】
紙層Aと紙層Bとを接着する接着層Aは、接着性を有する材料からなる層であればよいが、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。熱可塑性樹脂を用いることで、少なくとも一方の紙層の上に加熱溶融した樹脂をコーティングし、もう一方の紙層を貼合することにより、容易に合紙を得ることができる。
【0057】
熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ乳酸、スチレン系樹脂、及びアクリル系樹脂からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましく、ポリオレフィン系樹脂を含むことがより好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン(低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等)、ポリプロピレン(PP)、及びポリメチルペンテン等が挙げられる。これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群より選択される1種以上であることが好ましく、押し出しラミネート性及び紙層への塗工容易性の観点から、LDPE及びMDPEからなる群より選択される1種以上であることがより好ましい。
【0058】
接着層Aとして、後述する接着剤を用いて紙層Aと紙層Bとを積層してもよい。接着剤は、特に限定されず、水系接着剤、溶剤系接着剤、及びUV系接着剤等を用いることができる。これらの中でも、接着層Aに用いられる接着剤は、水系接着剤であることが好ましい。また、水系接着剤は、アクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、及びイソシアネート系接着剤からなる群より選択される1種以上であることが好ましく、接着力の制御がし易い点及び耐熱性に優れる点で、アクリル系接着剤であることがより好ましい。
【0059】
接着層Aの単位面積当たりの量は、特に限定されないが、好ましくは1.0g/m2以上50.0g/m2以下、より好ましくは1.0g/m2以上20.0g/m2以下である。接着層Aの形成に際しては、固形分がこの量となるように接着剤を紙層A又は紙層Bに塗工することが好ましい。
【0060】
接着層Aは、単一の樹脂の単層で形成してもよく、複数の樹脂を混合して単層で形成してもよく、同種や異種の樹脂からなる複数の層として形成してもよい。
接着層Aの厚さは、特に限定されないが、成形加工性の点から、好ましくは0.005mm以上0.100mm以下、より好ましくは0.010mm以上0.050mm以下である。
【0061】
紙基材層が単紙である場合、単紙としては、上述した紙層Aが好ましく用いられる。
【0062】
(熱可塑性樹脂層)
本実施形態に係るスキンパック用台紙は、紙基材層のみからなるものであってもよいが、紙基材層の少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂層を有していてもよい。熱可塑性樹脂層は、スキンパック用台紙の表面を食品等の収容物品から保護したり、収容物品を酸素等の外部刺激から保護したりする役割を有する。また、例えば、スキンパック用台紙と樹脂フィルムとの間に収容物品を挟んで収容する際に、熱可塑性樹脂層が該樹脂フィルムと接着
する役割を有する。
【0063】
熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂の単層であってもよく、熱可塑性樹脂を含む積層体であってもよいが、バリア層を含む積層体であることが好ましく、特に「熱可塑性樹脂層/バリア層/熱可塑性樹脂層」のように、熱可塑性樹脂層の中間にバリア層を有する積層体であることが好ましい。また、熱可塑性樹脂層は、ラミネート層であってもよい。
【0064】
熱可塑性樹脂層がバリア層を有する積層体である場合、バリア層は、酸素及び/又は水蒸気をバリア可能な層であれば、特に限定されず、単層構成であってもよく、2層以上の多層構成であってもよい。
【0065】
バリア層を形成する樹脂は、具体的には、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、及びポリ塩化ビニリデン樹脂からなる群より選択される1種以上であることが好ましく、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール、及びエチレン-ビニルアルコール共重合体からなる群より選択される1種以上であることがより好ましい。なお、ポリアミド系樹脂としては、芳香族ポリアミドが好ましく、ポリアミドMXD6がより好ましい。また、バリア層は、さらにバイオマス樹脂及び生分解性樹脂等の他の樹脂を1種以上含んでいてもよい。
或いは、バリア層は金属層であってもよい。
【0066】
バリア層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.003mm以上0.100mm以下、より好ましくは0.004mm以上0.050mm以下、さらに好ましくは0.005mm以上0.030mm以下である。
【0067】
熱可塑性樹脂層がラミネート層である場合、ラミネート層は、特に限定されないが、スキンパック用台紙に防水性及び防汚性を付与できる層であることが好ましい。
【0068】
ラミネート層に使用される熱可塑性樹脂としては、紙基材層にラミネートできるものであれば特に限定されず、公知の熱可塑性樹脂の中から適宜選択すればよい。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、及びポリブチレンスクシネート等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリブテン、ポリブタジエン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、及びポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート;ポリウレタン;ポリアミド;ポリアクリロニトリル;並びにポリ(メタ)アクリレート;等が例示される。
【0069】
これらの熱可塑性樹脂の中では、押し出しラミネート性及びバリア性に優れることから、ラミネート層に使用される熱可塑性樹脂は、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。また、PEは、押し出しラミネート性及び発泡性に優れる点で、低密度ポリエチレン(LDPE)及び中密度ポリエチレン(MDPE)からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
【0070】
熱可塑性樹脂層全体の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.001mm以上0.200mm以下、より好ましくは0.005mm以上0.100mm以下、さらに好ましくは0.010mm以上0.080mm以下、特に好ましくは0.010mm以上0.050mm以下である。
【0071】
(接着層B)
本実施形態に係るスキンパック用台紙は、紙基材層と熱可塑性樹脂層との間に接着層Bを有し、熱可塑性樹脂層が接着層Bを介して紙基材層の一方又は両方の面に積層されてい
てもよい。熱可塑性樹脂層の表面が接着性を有する場合、熱可塑性樹脂層を紙基材層の表面に直接接着してもよいが、輸送時及び展示時の剥離を抑制するために、紙基材層と熱可塑性樹脂層との間に接着層Bを有することが好ましい。
【0072】
接着層Bに用いられる接着剤は、特に限定されないが、ドライラミネート及びウェットラミネートに適する樹脂系の接着剤であることが好ましく、例えば、水系接着剤、溶剤系接着剤、及びUV系接着剤等を用いることができる。これらの中でも、接着層Bに用いられる接着剤は、水系接着剤であることが好ましい。また、水系接着剤は、アクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、及びイソシアネート系接着剤からなる群より選択される1種以上であることが好ましく、接着力の制御がし易い点及び耐熱性に優れる点で、アクリル系接着剤であることがより好ましい。
【0073】
接着層Bの単位面積当たりの量は、特に限定されないが、好ましくは1g/m2以上50g/m2以下、より好ましくは1g/m2以上20g/m2以下である。接着層Bの形成に際しては、固形分がこの量となるように接着剤を紙基材層又は熱可塑性樹脂層に塗工することが好ましい。塗工には、接着剤を含有する塗工液を用いることが好ましく、接着剤を含有する塗工液に硬化剤を混合した混合塗工液を用いることがより好ましい。
【0074】
接着層Bの厚さは、特に限定されないが、成形加工性の点から、好ましくは0.005mm以上0.100mm以下、より好ましくは0.008mm以上0.030mm以下である。
【0075】
(他の層)
本実施形態に係るスキンパック用台紙は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層を備えてもよい。例えば、スキンパック用台紙は、紙基材層の一方の面又は両面に、オフセット印刷によりインクからなる印刷層が形成されたものであってもよい。スキンパック用台紙が印刷層を有する場合は、印刷層表面上に、接着層Bを介して、熱可塑性樹脂層を設けることが好ましい。
【0076】
<スキンパック用台紙の製造方法>
本実施形態に係るスキンパック用台紙を製造する方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。以下の製造方法の一例を示す。
【0077】
(紙基材層の作製)
まず、パルプを含む紙料を抄紙し、必要に応じて得られた紙を接着剤により貼り合わせることで、紙基材層を作製する。
【0078】
パルプに特定量の極小繊維を含有させる場合は、パルプを調製する際に、広葉樹晒クラフトパルプ等の広葉樹クラフトパルプをカッターミル等公知の粉砕装置で粉砕して得られた極小繊維を加えることが好ましい。これにより、パルプ中の極小繊維の量を制御しやすくなるためである。
また、パルプの調製の際に、パルプに内添剤を添加してもよい。内添剤としては、サイズ剤、填料、紙力増強剤、歩留り向上剤、pH調整剤、濾水性向上剤、耐水化剤、柔軟剤、帯電防止剤、消泡剤、スライムコントロール剤、染料、及び顔料等が挙げられる。
【0079】
抄紙においては、公知の湿式抄紙機を適宜選択して使用することができる。抄紙機としては、長網抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、及び短網式抄紙機等が挙げられる。
また、抄紙においては、所望のテーバー剛度のT/Y比を有するスキンパック用台紙が得られるよう、J/W比を調整することが好ましい。
【0080】
抄紙機によって作製された紙は、例えば、フェルトにて搬送し、ドライヤーで乾燥させることが好ましい。ドライヤー乾燥前にプレドライヤーとして、多段式シリンダードライヤーを使用してもよい。
【0081】
また、上記のようにして得られた紙に、カレンダーによる表面処理を施して厚さやプロファイルの均一化を図ってもよい。カレンダー処理としては公知のカレンダー処理機を適宜選択して使用することができる。
【0082】
上記のようにして得られた紙は、紙基材層が単紙である場合には紙基材層として用い、紙基材層が合紙である場合には合紙を構成する紙層として用いる。紙基材層が、紙層Aと接着層Aと紙層Bとをこの順に有する合紙である場合、紙層Aの片面に上記接着層Aとなる熱可塑性樹脂を溶融押出コーティングし、このコーティング面に紙層Bを貼合させて、合紙を得ることができる。
【0083】
(熱可塑性樹脂層の形成)
紙基材層に一方又は両方の面に熱可塑性樹脂層を設ける場合、熱可塑性樹脂層は、紙基材層に直接接着してもよく、接着層Bを介して紙基材層に接着してもよい。後者の場合は、紙基材層表面上に接着剤を含有する塗工液を塗工しておき、紙基材層の表面に接着層Bを介して熱可塑性樹脂層を積層することが好ましい。また、このとき、熱可塑性樹脂層としてフィルムを紙基材層と貼り合わせてもよい。
【0084】
熱可塑性樹脂層が、「熱可塑性樹脂層/バリア層/熱可塑性樹脂層」のように、熱可塑性樹脂層の中間にバリア層を有する積層体を含む場合には、紙基材層表面上に熱可塑性樹脂を溶融押出コーティングし、その上に熱可塑性樹脂層の中間にバリア層を有する積層フィルムを配置し、溶融押出コーティングされた熱可塑性樹脂の表面と積層フィルムの熱可塑性樹脂層の表面とを加熱融合することで、熱可塑性樹脂層を形成してもよい。本手法により紙基材層にフィルムを貼り合わせることで、熱可塑性樹脂層を有するスキンパック用台紙を製造することもできる。
【0085】
熱可塑性樹脂層がラミネート層である場合、ラミネート層のラミネート方法は特に限定されず、公知の溶融押出法、溶融流延法、及びカレンダー法等の中から、適宜選択すればよい。
【0086】
(加工)
上記のようにして得られたスキンパック用台紙を、収容物品の大きさや形状、輸送、及び展示への適合性を考慮し、適当な寸法に裁断してもよい。裁断は、同一形状のスキンパック用台紙を効率的に得る観点から、打ち抜き加工によることが好ましい。
打ち抜き加工は、高速自動打抜機、平盤打抜機、又は輪転打抜機を用いて行うことが好ましく、高速自動打抜機によることがより好ましい。高速自動打抜機又は平盤打抜機を用いて打ち抜き加工を行うことで、四角形、角丸四角形、及び楕円形等の形状のスキンパック用台紙を容易かつ効率的に得ることができる。
【0087】
<スキンパック包装体>
本発明の第2の実施形態は、上記スキンパック用台紙と、収容物品と、樹脂フィルムとを有し、収容物品がスキンパック用台紙と樹脂フィルムとの間に収容されてなるスキンパック包装体である。本実施形態に係るスキンパック包装体は、収容物品を密封収納するものであることが好ましい。
【0088】
樹脂フィルムとしては、収容物品の種類や形状等によって、適宜選択することができる
が、好ましくは、スキンパック用台紙の熱可塑性樹脂層と接着して、収容物品を収容する必要があるため、その接着性に優れ、また、収容物品を取り出す際には剥離性を有するものである。従って、樹脂フィルムは、上述の熱可塑性樹脂層に用いられる熱可塑性樹脂から構成されるものであることが好ましく、内容物が食品等である場合、バリア層を有するものであることがより好ましい。バリア層としては、上述の熱可塑性樹脂層に用いられるバリア層が好適に用いられる。
【0089】
収容物品には制限はなく、食品、日用品等が挙げられるが、好ましくは、収容物品を密封して収容することができるため、野菜、精肉、鮮魚等の生鮮食品、及びそれらの加工食品等の食品を収容することに適している。
【実施例0090】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は、以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0091】
<紙層A-1の作製>
カナダ標準濾水度(CSF)450mLに叩解した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)75質量部、CSF600mLに叩解した針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)5質量部、及び極小繊維20質量部を混合叩解し、パルプスラリーを得た。なお、極小繊維はLBKPのドライシートを、カッターミル(株式会社ホーライ製,型番:HA8 2542
30E,スクリーン0.24mm)で機械粉砕し、繊維分級機(相川鉄工株式会社製,型番:MAX-F700)を用いてパルプ繊維長0.2mm以下の画分を分取したものである。得られたパルプスラリー100質量部に対して、硫酸バンド0.35質量部(固形分換算)を添加し、CSF500mLの紙料を調製した。この紙料を用いて、5層(表層、表下層、中層、裏下層、及び裏層)全ての設定坪量を等量とし、5層抄き短網式抄紙機により抄紙を行った。抄紙時に、プレス線圧を調整し、坪量600g/m2、厚さ0.73mm、密度0.83g/cm3の紙層A-1を得た。
【0092】
<紙層A-2の作製>
抄紙時の紙料の量とプレス線圧を調整し、紙層の坪量を620g/m2、厚さを0.75mmとしたこと以外は、紙層A-1と同様にして紙層A-2を得た。
【0093】
<紙層A-3の作製>
抄紙時の紙料の量とプレス線圧を調整し、紙層の坪量を660g/m2、厚さを0.80mmとしたこと以外は、紙層A-1と同様にして紙層A-3を得た。
【0094】
<紙層A-4の作製>
抄紙時の紙料の量とプレス線圧を調整し、紙層の坪量を660g/m2、厚さを0.75mmとしたこと以外は、紙層A-1と同様にして紙層A-4を得た。
【0095】
<紙層A-5の作製>
抄紙時の紙料の量とプレス線圧を調整し、紙層の坪量を570g/m2、厚さを0.75mmとしたこと以外は、紙層A-1と同様にして紙層A-5を得た。
【0096】
<紙層A-6の作製>
抄紙時の紙料の量とプレス線圧を調整し、紙層の坪量を480g/m2、厚さを0.82mmとしたこと以外は、紙層A-1と同様にして紙層A-6を得た。
【0097】
<紙層A-7の作製>
抄紙時の紙料の量とプレス線圧を調整し、紙層の坪量を765g/m2、厚さを0.93mmとしたこと以外は、紙層A-1と同様にして紙層A-7を得た。
【0098】
<紙層A-8の作製>
抄紙時の紙料の量とプレス線圧を調整し、紙層の坪量を680g/m2、厚さを0.82mmとしたこと以外は、紙層A-1と同様にして紙層A-8を得た。
【0099】
<紙層A-9の作製>
抄紙時の紙料の量とプレス線圧を調整し、紙層の坪量を500g/m2、厚さを0.60mmとしたこと以外は、紙層A-1と同様にして紙層A-9を得た。
【0100】
<紙層A-10の作製>
抄紙時の紙料の量とプレス線圧を調整し、紙層の坪量を380g/m2、厚さを0.46mmとしたこと以外は、紙層A-1と同様にして紙層A-10を得た。
【0101】
<紙層A-11の作製>
抄紙時の紙料の量とプレス線圧を調整し、紙層の坪量を580g/m2、厚さを0.70mmとしたこと以外は、紙層A-1と同様にして紙層A-11を得た。
【0102】
<紙層A-12の作製>
紙層B-1と貼合して得られる比較例2のスキンパック用台紙のテーバー剛度のT/Y比が2.0となるように抄紙時のJ/W比を調整したこと、及び、抄紙時の紙料の量とプレス線圧を調整し、紙層の坪量を620g/m2、厚さを0.75mmとしたこと以外は、紙層A-1と同様にして紙層A-12を得た。
【0103】
<紙層A-13の作製>
紙層B-1と貼合して得られる比較例3のスキンパック用台紙のテーバー剛度のT/Y比が1.2となるように抄紙時のJ/W比を調整したこと、及び、抄紙時の紙料の量とプレス線圧を調整し、紙層の坪量を620g/m2、厚さを0.75mmとしたこと以外は、紙層A-1と同様にして紙層A-13を得た。
【0104】
<紙層A-14の作製>
抄紙時の紙料の量とプレス線圧を調整し、紙層の坪量を700g/m2、厚さを0.84mmとしたこと以外は、紙層A-1と同様にして紙層A-14を得た。
【0105】
<紙層A-15の作製>
抄紙時の紙料の量とプレス線圧を調整し、紙層の坪量を520g/m2、厚さを0.75mmとしたこと以外は、紙層A-1と同様にして紙層A-15を得た。
【0106】
<紙層A-16の作製>
抄紙時の紙料の量とプレス線圧を調整し、紙層の坪量を460g/m2、厚さを0.82mmとしたこと以外は、紙層A-1と同様にして紙層A-16を得た。
【0107】
<紙層B-1の作製>
CSF520mLに叩解した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50質量部、及びCSF570mLに叩解した針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)50質量部を混合叩解し、パルプスラリーを得た。得られたパルプスラリー100質量部に対して、カチオン化デンプン(王子コーンスターチ株式会社製,ケートF)0.75質量部(固形分換算)、ロジンエマルジョン(荒川化学工業株式会社製,SPN)1.0質量部、及びアニオン変性
ポリアクリルアマイド(荒川化学工業株式会社製,ポリストロン)0.33質量部を添加し、紙料を調製した。この紙料を用いて、ヤンキードライヤーを備えた長網抄紙機により抄紙を行った。得られた紙にカレンダーで平滑化処理を施すことにより、坪量120g/m2、厚さ0.15mm、密度0.80g/cm3の紙層B-1を得た。
【0108】
<紙層B-2の作製>
抄紙時の紙料の量とプレス線圧を調整し、紙層の坪量を60g/m2、厚さを0.075mmとしたこと以外は、紙層B-1と同様にして紙層B-2を得た。
【0109】
<紙層B-3の作製>
抄紙時の紙料の量とプレス線圧を調整し、紙層の坪量を240g/m2、厚さを0.30mmとしたこと以外は、紙層B-1と同様にして紙層B-3を得た。
【0110】
<紙層B-4の作製>
抄紙時の紙料の量とプレス線圧を調整し、紙層の坪量を360g/m2、厚さを0.45mmとしたこと以外は、紙層B-1と同様にして紙層B-4を得た。
【0111】
<実施例1>
紙層A-1の片面にMDPE(株式会社ENEOS NUC製,型番:8010)を乾燥膜厚が0.02mmとなるよう溶融押出コーティングし、そのコーティング面に紙層B-1を貼り合わせて2層構成の紙基材層を得た。その後、オフセット印刷機を用いて両面に印刷層を形成した。続いて、PE/EVOH/PPの3層構成のフィルムA(三菱ケミカル株式会社製,ダイアミロンYF1966、厚さ0.04mm)のPP層側に、熱乾燥後の塗工量が10g/m2となるよう、水系アクリル接着剤(荒川塗料株式会社製,EM-575)100質量部に対して硬化剤(荒川塗料株式会社製,EM-550K)3質量部を混合してなる塗工液を塗布することで、接着層を形成した。この接着層と、紙基材層のA-1側が隣接するようドライラミネートして貼り合わせることにより、スキンパック
用台紙を作製した。
【0112】
<実施例2~6、8~10>
紙層、接着層、及び熱可塑性樹脂層を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にしてスキンパック用台紙を作製した。
【0113】
<実施例7>
PE/EVOH/PPの3層構成のフィルムA(三菱ケミカル株式会社製,ダイアミロンYF1966、厚さ0.04mm)のPP層側に、熱乾燥後の塗工量が10g/m2となるよう、水系アクリル接着剤(荒川塗料株式会社製,EM-575)100質量部に対して硬化剤(荒川塗料株式会社製,EM-550K)3質量部を混合してなる塗工液を塗布することで、接着層を形成した。この接着層と、紙基材層のA-7をドライラミネートして貼り合わせることにより、スキンパック用台紙を作製した。
【0114】
<実施例11>
紙層A-2の片面にLDPE(日本ポリエチレン株式会社製,型番:LC522)を乾燥膜厚が0.02mmとなるよう溶融押出コーティングし、そのコーティング面に紙層B-1を貼り合わせて2層構成の紙基材層を得た以外は、実施例1と同様にしてスキンパック用台紙を作製した。
【0115】
<実施例12>
紙層A-2の片面にHDPE(日本ポリエチレン株式会社製,型番:HJ580N)を乾燥膜厚が0.02mmとなるよう溶融押出コーティングし、そのコーティング面に紙層
B-1を貼り合わせて2層構成の紙基材層を得た以外は、実施例1と同様にしてスキンパック用台紙を作製した。
【0116】
<実施例13>
紙層A-2の片面にPPを(サンアロマー株式会社製,型番:PHA03A)乾燥膜厚が0.02mmとなるよう溶融押出コーティングし、そのコーティング面に紙層B-1を貼り合わせて2層構成の紙基材層を得た以外は、実施例1と同様にしてスキンパック用台紙を作製した。
【0117】
<実施例14>
フィルムAのPP層側に塗布する塗工液を、ポリウレタン系接着剤(三井化学株式会社製,型番:タケラックA310)に変更した以外は、実施例2と同様にしてスキンパック用台紙を作製した。
【0118】
<実施例15>
フィルムAのPP層側に塗布する塗工液を、イソシアネート系接着剤(DIC株式会社製,型番:ディックドライLX-500)100質量部に対してディックドライKW-75を10質量部混合したものに変更した以外は、実施例2と同様にしてスキンパック用台紙を作製した。
【0119】
<実施例16>
紙層A-2の片面にMDPEを乾燥膜厚が0.02mmとなるよう溶融押出コーティングし、そのコーティング面に紙層B-1を貼り合わせた。その後、両面にオフセット印刷機で印刷層を形成し、スキンパック用台紙を作製した。
【0120】
<実施例17>
紙層A-2の片面にMDPE(株式会社ENEOS NUC製,型番:8010)を乾燥膜厚が0.02mmとなるよう溶融押出コーティングし、そのコーティング面に紙層B-1を貼り合わせて2層構成の紙基材層を得た。その後、紙基材層の紙層A-2の上に、乾燥膜厚が0.04mmとなるようPPを溶融押出コーティングすることにより、スキンパック用台紙を作製した。
【0121】
<実施例18>
紙層A-2の片面にMDPE(株式会社ENEOS NUC製,型番:8010)を乾燥膜厚が0.02mmとなるよう溶融押出コーティングし、そのコーティング面に紙層B-1を貼り合わせて2層構成の紙基材層を得た。その後、紙基材層の紙層A-2の上に、乾燥膜厚が0.04mmとなるようMDPEを溶融押出コーティングすることにより、スキンパック用台紙を作製した。
【0122】
<実施例19>
紙層A-2の片面にMDPE(株式会社ENEOS NUC製,型番:8010)を乾燥膜厚が0.02mmとなるよう溶融押出コーティングし、そのコーティング面に紙層B-1を貼り合わせて2層構成の紙基材層を得た。続いて、PP/EVOH/PPの3層構成のフィルムB(三菱ケミカル株式会社製,型番:ダイアミロンF001)に、熱乾燥後の塗工量が10g/m2となるよう、水系アクリル接着剤(荒川塗料株式会社製,EM-575)100質量部に対して硬化剤(荒川塗料株式会社製,EM-550K)3質量部を混合してなる塗工液を塗布することで、接着層を形成した。この接着層と紙基材層のA-2側が隣接するようドライラミネートして貼り合わせることにより、スキンパック用台紙を作製した。
【0123】
<比較例1~6>
紙層A-1に代えて表1に示す紙層Aを用いた以外は、実施例1と同様にしてスキンパック用台紙を作製した。
【0124】
実施例及び比較例で作製したスキンパック用台紙の物性測定及び評価を、下記方法により行った。結果を表1及び表2に示す。
【0125】
〔坪量〕
紙層、紙基材層、及びスキンパック用台紙の坪量は、JIS P 8124:2011(「紙及び板紙-坪量の測定方法」,2011年3月22日改定)に準拠して測定した。
【0126】
〔厚さ〕
紙層、紙基材層、及びスキンパック用台紙の厚さは、JIS P 8118:2014(「紙及び板紙-厚さ,密度及び比容積の試験方法」,2014年11月20日改定)に準拠して測定した。なお、スキンパック用台紙が接着層及び/又は熱可塑性樹脂層を有する場合には、スキンパック用台紙の断面の電子顕微鏡(SEM)の観察像から、各層の厚みを測定した。
【0127】
〔極小繊維の量〕
繊維長測定機(バルメット株式会社製,型式FS-5 UHDベースユニット付)を用い、ISO 16065-2:2014に準拠して被写界深度0.5mmの測定セル内で撮影することにより、繊維1本1本を検出して繊維長を測定し、その結果から紙層中の繊維長0.2mm以下の極小繊維の含有割合を算出した。
紙層A-1~A-16を構成するパルプ中の極小繊維の含有割合(個数)は、23%であった。また、紙層B-1~B-4を構成するパルプ中の極小繊維の含有割合(個数)は、15%であった。
【0128】
〔テーバー剛度〕
実施例及び比較例で作製したスキンパック用台紙の縦方向及び横方向のテーバー剛度は、テーバーこわさ計(東洋精機製作所社製デジタルテーバー剛性度試験機)を用い、JIS P 8125-2:2017(「紙及び板紙-曲げ抵抗試験方法-第2部:テーバー型試験機法」,2017年3月21日制定)に準拠して測定した。
【0129】
〔引張弾性率〕
実施例及び比較例で作製したスキンパック用台紙の縦方向及び横方向の引張弾性率は、JIS P 8113:2006(「紙及び板紙-引張特性の試験方法-第2部:定速伸張法」,2006年12月20日改定)に準拠して測定した。
【0130】
〔たわみ評価〕
実施例及び比較例で得たスキンパック用台紙の打ち抜き加工を行い、縦(MD)330mm×横(CD)290mmの長方形の評価用紙片を得た。なお、打ち抜き加工は、自動平盤打抜機(旭マシナリー株式会社製,カートンマスター AP-1300-TSG-8)を用い、6000枚/時の条件で行った。
【0131】
図1(a)に示すように、4つの四角形の台13の上に、評価用紙片11の四隅が1cm×1cmずつ各台に載るよう評価用紙片11を置いた。その後、
図1(b)及び(c)に示すように、評価用紙片11の中央部分に500g(縦200mm×横70mm×厚さ30mmの直方体)の重り15を2個置き、たわみ具合を確認した。縦と横の両方向から、評価用紙片11が何cm沈み込んだか測定し、大きい方のたわみをもとに、以下の基準で評価した。3以上を実用可能レベルとし、2以下を不良な評価とした。
【0132】
評価基準
4:たわみが2.50cm以下
3:たわみが2.51~3.50cm
2:たわみが3.51~4.00cm
1:たわみが4.01cm以上
【0133】
〔走行性評価〕
実施例及び比較例で作製したスキンパック用台紙の打ち抜き加工を行い、縦(MD)330mm×横(CD)290mmの長方形の評価用紙片を得た。なお、打ち抜き加工は、自動平盤打抜機(旭マシナリー株式会社製,カートンマスター AP-1300-TSG-8)を用い、6000枚/時の条件で行った。
【0134】
オフセット印刷機を用い、厚さ500μmの厚紙に、レジスターマークとして十字線(線幅:0.1mm)を印刷した。この際、黒色、藍色、黄色、及び紅色の各色のレジスターマークを順に印刷し、全てのレジスターマークが重なるよう、オフセット印刷機の印刷条件を設定した。
【0135】
オフセット印刷機を用い、評価用紙片に、レジスターマークとして黒色、藍色、黄色、及び紅色の各色の十字線(線幅:0.1mm)を上記印刷条件で印刷した。印刷した各色のレジスターマークについて、黒色の十字線の交点と藍色の十字線の交点との距離(
図2(b)参照)、藍色の十字線の交点と黄色の十字線の交点との距離(
図2(c)参照)、及び黄色の十字線の交点と紅色の十字線の交点との距離(
図2(d)参照)を画像解析により測定した。これらの距離の合計値を算出し、以下の基準により評価した。2以上を実用可能レベルとし、1を不良な評価とした。
なお、
図2中、説明の便宜上、藍色、黄色、及び紅色のレジスターマークを破線で示したが、実際には実線で印刷したものである。
【0136】
評価基準
3:合計値が0.1mm以下
2:合計値が0.1mm超0.4mm以下
1:合計値が0.4mm超
【0137】
【0138】
【0139】
実施例及び比較例の結果より、厚さが特定値以下であり、かつ、縦方向及び横方向のテーバー剛度がそれぞれ特定値以上であるスキンパック用台紙は、良好な走行性を示し、1kgの物品を載せた場合のたわみも小さいことがわかる。したがって、かかるスキンパック用台紙は、軽量の収容物品だけでなく、重量の大きい収容物品の包装にも好適に使用することができる。