(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136539
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体記憶装置、半導体記憶装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G11C 29/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G11C29/00 478
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047685
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100121843
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 賢郎
(72)【発明者】
【氏名】進藤 佳彦
【テーマコード(参考)】
5L206
【Fターム(参考)】
5L206AA10
5L206CC16
5L206CC32
5L206EE02
5L206FF08
5L206GG07
5L206HH10
(57)【要約】
【課題】有効ブロック数を改善することが可能な半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置は、第1レジスタと、第2レジスタと、第3レジスタと、第1アドレス登録部と、第2アドレス登録部と、を備える。第1レジスタは、第1物理プレーンの物理ブロックのアドレスである第1アドレスの情報を保持する。第2レジスタは、第2物理プレーンの物理ブロックのアドレスである第2アドレスの情報を保持する。第3レジスタは、第1物理プレーンにおいて不良な物理ブロックのアドレスであって、且つ第2物理プレーンにおいて正常な物理ブロックのアドレスである第3アドレスの情報を保持する。第1アドレス登録部は、第1アドレスに対応する第2物理プレーンの物理ブロックが不良なブロックである場合、第3レジスタに保持されている第3アドレスを第2アドレスとして第2レジスタに登録する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメモリセルの集合である物理ブロックをそれぞれ複数有する複数の物理プレーンを有し、複数の前記物理プレーンを組み合わせて一つの論理プレーンとして動作させる半導体記憶装置であって、
前記論理プレーンとして動作する複数の物理プレーンのうちの一つを第1物理プレーンとし、前記第1物理プレーンとは別の物理プレーンを第2物理プレーンとするとき、
前記第1物理プレーンの物理ブロックのアドレスである第1アドレスの情報を保持するための第1レジスタと、
前記第1アドレスに対応付けられる前記第2物理プレーンの物理ブロックのアドレスである第2アドレスの情報を保持するための第2レジスタと、
前記第1物理プレーンにおいて不良な物理ブロックのアドレスであって、且つ前記第2物理プレーンにおいて正常な物理ブロックのアドレスである第3アドレスの情報を保持するための第3レジスタと、
前記第1アドレスに対応する前記第2物理プレーンの物理ブロックが不良なブロックである場合、前記第3レジスタに保持されている前記第3アドレスを前記第2アドレスとして前記第2レジスタに登録する第1アドレス登録部と、
電源投入後に実行されるパワーオンリード処理の際に、前記第3アドレスの情報を前記第3レジスタに登録する第2アドレス登録部と、を備える
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1レジスタは、前記第1アドレスとして、前記第2物理プレーンにおいて不良なブロックのアドレスであって、且つ前記第1物理プレーンにおいて正常なブロックのアドレスを保持する
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1アドレス登録部は、
前記第1レジスタに保持される前記第1アドレスを読み込み、
前記第1アドレスに対応する前記第2物理プレーンの物理ブロックが正常なブロックである場合、前記第1アドレスを前記第2アドレスとして前記第2レジスタにそのまま登録し、
前記第1アドレスに対応する前記第2物理プレーンの物理ブロックが不良なブロックである場合、前記第1アドレスを前記第3レジスタに変換して、当該第3アドレスを前記第2アドレスとして前記第2レジスタに登録する
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1アドレス登録部は、
前記第1プレーンにおいて正常なブロックであって、且つ前記第2物理プレーンにおいて不良なブロックのアドレスである第4アドレスを保持するための第4レジスタを更に備える
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1アドレス登録部は、
前記第1レジスタに保持される前記第1アドレスを読み込むとともに、読み込んだ前記第1アドレスと、前記第4レジスタに保持される前記第4アドレスとを比較して、それらが一致しているか否かを示す信号を出力する比較回路と、
前記第1レジスタに保持される前記第1アドレスを読み込むとともに、読み込んだ前記第1アドレスと、前記第4レジスタに保持される前記第4アドレスとが一致している場合には、前記第1アドレスを、前記第3レジスタに保持される前記第3アドレスに変換する変換回路と、
前記第1レジスタに保持される前記第1アドレスと、前記変換回路により変換されたアドレスとを取り込むとともに、前記比較回路の出力信号に基づいて前記第1アドレス及び前記変換回路により変換されたアドレスのいずれかを前記第2レジスタに出力するマルチプレクサと、を備え、
前記マルチプレクサは、
前記比較回路から出力される信号が、前記第1アドレスと、前記第4レジスタに保持される前記第4アドレスとが不一致であることを示す信号である場合、前記第1アドレスを前記第2レジスタに出力し、
前記比較回路から出力される信号が、前記第1アドレスと、前記第4レジスタに保持される前記第4アドレスとが一致していることを示す信号である場合、前記変換回路により変換されたアドレスを前記第2レジスタに出力する
請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第2アドレス登録部は、前記パワーオンリード処理の際に、前記第4レジスタの情報を前記第4レジスタに更に登録する
請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
複数のメモリセルの集合である物理ブロックをそれぞれ複数有する複数の物理プレーンを有し、複数の前記物理プレーンを組み合わせて一つの論理プレーンとして動作させる半導体記憶装置の制御方法であって、
前記論理プレーンとして動作する複数の物理プレーンのうちの一つを第1物理プレーンとし、前記第1物理プレーンとは別の物理プレーンを第2物理プレーンとするとき、
前記第1物理プレーンの物理ブロックのアドレスである第1アドレスの情報を第1レジスタに保持し、
前記第1アドレスに対応付けられる前記第2物理プレーンの物理ブロックのアドレスである第2アドレスの情報を第2レジスタに保持し、
前記第1アドレスに対応する前記第2物理プレーンの物理ブロックが不良なブロックである場合、前記第1物理プレーンにおいて不良な物理ブロックのアドレスであって、且つ前記第2物理プレーンにおいて正常な物理ブロックのアドレスである第3アドレスを前記第2アドレスとして前記第2レジスタに登録し、
電源投入後に実行されるパワーオンリード処理の際に、前記第3アドレスの情報を第3レジスタに登録する
半導体記憶装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置、及び半導体記憶装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置では、通常メモリ領域と冗長メモリ領域とが設けられており、通常メモリ領域の不良なブロックのアドレスを冗長メモリ領域の正常なブロックに置き換える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0003315号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開示された実施形態によれば、有効ブロック数を改善することが可能な半導体記憶装置及び半導体記憶装置の制御方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、複数のメモリセルの集合である物理ブロックをそれぞれ複数有する複数の物理プレーンを有し、複数の物理プレーンを組み合わせて一つの論理プレーンとして動作させる半導体記憶装置である。半導体記憶装置は、第1レジスタと、第2レジスタと、第3レジスタと、第1アドレス登録部と、第2アドレス登録部と、を備える。論理プレーンとして動作する複数の物理プレーンのうちの一つを第1物理プレーンとし、第1物理プレーンとは別の物理プレーンを第2物理プレーンとするとき、第1レジスタは、第1物理プレーンの物理ブロックのアドレスである第1アドレスの情報を保持するためのものであり、第2レジスタは、第1アドレスに対応付けられる第2物理プレーンの物理ブロックのアドレスである第2アドレスの情報を保持するためのものである。第3レジスタは、第1物理プレーンにおいて不良な物理ブロックのアドレスであって、且つ第2物理プレーンにおいて正常な物理ブロックのアドレスである第3アドレスの情報を保持するためのものである。第1アドレス登録部は、第1アドレスに対応する第2物理プレーンの物理ブロックが不良なブロックである場合、第3レジスタに保持されている第3アドレスを第2アドレスとして第2レジスタに登録する。第2アドレス登録部は、電源投入後に実行されるパワーオンリード処理の際に、第3アドレスの情報を第3レジスタに登録する。
【0006】
実施形態の半導体記憶装置の制御方法は、複数のメモリセルの集合である物理ブロックをそれぞれ複数有する複数の物理プレーンを有し、複数の物理プレーンを組み合わせて一つの論理プレーンとして動作させる半導体記憶装置の制御方法である。この制御方法は、論理プレーンとして動作する複数の物理プレーンのうちの一つを第1物理プレーンとし、第1物理プレーンとは別の物理プレーンを第2物理プレーンとするとき、第1物理プレーンの物理ブロックのアドレスである第1アドレスの情報を第1レジスタに保持し、第1アドレスに対応付けられる第2物理プレーンの物理ブロックのアドレスである第2アドレスの情報を第2レジスタに保持し、第1アドレスに対応する第2物理プレーンの物理ブロックが不良なブロックである場合、第1物理プレーンにおいて不良な物理ブロックのアドレスであって、且つ第2物理プレーンにおいて正常な物理ブロックのアドレスである第3アドレスを第2アドレスとして第2レジスタに登録し、電源投入後に実行されるパワーオンリード処理の際に、第3アドレスの情報を第3レジスタに登録する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態のメモリシステムの概略構成を示すブロック図。
【
図2】実施形態の半導体記憶装置の概略構成を示すブロック図。
【
図3】実施形態のレジスタの概略構成を示すブロック図。
【
図4】実施形態のロウデコーダとメモリセルアレイの接続の一例を示すブロック図。
【
図5】実施形態の半導体記憶装置の構成を示す回路図。
【
図6】実施形態の半導体記憶装置の断面構造を示す断面図。
【
図7】論理アドレスから物理アドレスを設定する方法の一例を示すブロック図。
【
図8】論理ブロックアドレスの設定例を模式的に示す図。
【
図9】実施形態の論理ブロックアドレスの設定例を模式的に示す図。
【
図10】実施形態のアドレスレジスタの概略構成を示すブロック図。
【
図11】実施形態の半導体記憶装置における論理ブロックアドレスの設定例を模式的に示す図。
【
図12】(A),(B)は、実施形態のブロック状態レジスタ及び置き換えレジスタに保持される情報の一例を模式的に示す図。
【
図13】実施形態の半導体記憶装置の動作例を示すフローチャート。
【
図14】他の実施形態の半導体記憶装置の断面構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1 実施形態
以下、実施形態の半導体記憶装置及びその制御方法について図面を参照しながら説明する。本実施形態では、半導体記憶装置として、メモリセルトランジスタが半導体基板の上方に積層された三次元積層型NAND型フラッシュメモリを例に挙げて説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0009】
1.1 メモリシステムの構成
図1に示されるように、本実施形態のメモリシステムは、メモリコントローラ1と、半導体記憶装置2とを備えている。メモリシステムはホストと接続可能である。ホストは例えばパーソナルコンピュータや携帯端末等の電子機器である。なお、
図1では半導体記憶装置2が一つのみ図示されているが、実際のメモリシステムには半導体記憶装置2が複数設けられている。
【0010】
メモリコントローラ1は、ホストからの書き込みリクエストに従って半導体記憶装置2へのデータの書き込みを制御する。また、メモリコントローラ1は、ホストからの読み出しリクエストに従って半導体記憶装置2からのデータの読み出しを制御する。
メモリコントローラ1と半導体記憶装置2との間では、チップイネーブル信号/CE、レディービジー信号/RB、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号RE,/RE、ライトプロテクト信号/WP、データの信号DQ<7:0>、及びデータストローブ信号DQS,/DQSの各信号が送受信される。
【0011】
チップイネーブル信号/CEは、半導体記憶装置2をイネーブルにするための信号である。レディービジー信号/RBは、半導体記憶装置2がレディ状態であるか、あるいはビジー状態であるかを示すための信号である。「レディ状態」とは、外部からの命令を受け付ける状態である。「ビジー状態」とは、外部からの命令を受け付けない状態である。コマンドラッチイネーブル信号CLEは、信号DQ<7:0>がコマンドであることを示す信号である。アドレスラッチイネーブル信号ALEは、信号DQ<7:0>がアドレスであることを示す信号である。ライトイネーブル信号/WEは、受信した信号を半導体記憶装置2に取り込むための信号であり、メモリコントローラ1によりコマンド、アドレス、及びデータを受信する都度アサートされる。メモリコントローラ1は、信号/WEが“L(Low)”レベルである間に信号DQ<7:0>を取り込むように半導体記憶装置2に指示する。
【0012】
リードイネーブル信号RE,/REは、メモリコントローラ1が半導体記憶装置2からデータを読み出すための信号である。リードイネーブル信号RE,/REは、例えば信号DQ<7:0>を出力する際の半導体記憶装置2の動作タイミングを制御するために使用される。ライトプロテクト信号/WPは、データ書き込み及び消去の禁止を半導体記憶装置2に指示するための信号である。信号DQ<7:0>は、例えば8ビットの信号であり、半導体記憶装置2とメモリコントローラ1との間で送受信されるデータの実体である。信号DQ<7:0>はコマンド、アドレス、及びデータ等を含む。データストローブ信号DQS,/DQSは、信号DQ<7:0>の入出力のタイミングを制御するための信号である。
【0013】
メモリコントローラ1は、RAM11、プロセッサ12、ホストインターフェイス13、ECC回路14、及びメモリインターフェイス15を備えている。これらは内部バス16により互いに接続されている。
ホストインターフェイス13は、ホストから受信したリクエスト及びユーザデータ(書き込みデータ)等を内部バス16に出力する。また、ホストインターフェイス13は、半導体記憶装置2から読み出されたユーザデータ、及びプロセッサ12からの応答等をホストへ送信する。
【0014】
メモリインターフェイス15は、プロセッサ12の指示に基づいて、ユーザデータ等を半導体記憶装置2へ書き込む処理、及び半導体記憶装置2から読み出す処理を制御する。
プロセッサ12はメモリコントローラ1を統括的に制御する。プロセッサ12はCPUやMPU等である。プロセッサ12は、ホストからホストインターフェイス13を介してリクエストを受信した場合に、そのリクエストに従った制御を行う。例えば、プロセッサ12は、ホストからのリクエストに従って、半導体記憶装置2へのユーザデータ及びパリティの書き込みをメモリインターフェイス15へ指示する。また、プロセッサ12は、ホストからのリクエストに従って、半導体記憶装置2からのユーザデータ及びパリティの読み出しをメモリインターフェイス15へ指示する。
【0015】
プロセッサ12は、RAM11に蓄積されるユーザデータに対して、半導体記憶装置2上の格納領域(メモリ領域)を決定する。ユーザデータは、内部バス16を介してRAM11に格納される。プロセッサ12は、メモリ領域の決定を、書き込み単位であるページ単位のデータ(ページデータ)に対して実施する。半導体記憶装置2の1ページに格納されるユーザデータのことを、以下では「ユニットデータ」とも称する。ユニットデータは、一般的には符号化されて、符号語として半導体記憶装置2に格納される。本実施形態では、符号化は必須ではない。メモリコントローラ1は、符号化せずにユニットデータを半導体記憶装置2に格納してもよいが、
図1では一例として符号化を行う構成を示している。メモリコントローラ1が符号化を行わない場合には、ページデータはユニットデータと一致する。また、1つのユニットデータに基づいて1つの符号語が生成されてもよいし、ユニットデータが分割された分割データに基づいて1つの符号語が生成されてもよい。また、複数のユニットデータを用いて1つの符号語が生成されてもよい。
【0016】
プロセッサ12は、ユニットデータ毎に書き込み先の半導体記憶装置2のメモリ領域を決定する。例えば、プロセッサ12は、ホストから受信した書き込み命令に応答して書き込みコマンドを発行するとともに、発行した書き込みコマンドをメモリインターフェイス15に送信する。この動作は、読み出し命令及び消去命令の場合についても同様である。
【0017】
ECC回路14は、RAM11に格納されたユーザデータを符号化して、符号語を生成する。また、ECC回路14は、半導体記憶装置2から読み出された符号語を復号する。
RAM11は、ホストから受信したユーザデータを半導体記憶装置2に記憶するまでに一時格納したり、半導体記憶装置2から読み出したデータを、ホストへ送信するまでに一時的に格納したりする。RAM11は、例えばSRAMやDRAM等の汎用メモリである。
【0018】
図1では、メモリコントローラ1が、ECC回路14及びメモリインターフェイス15を備える構成例が示されている。しかしながら、ECC回路14がメモリインターフェイス15に内蔵されていてもよい。また、ECC回路14が半導体記憶装置2に内蔵されていてもよい。
図1に示される各要素の具体的な構成や配置は特に限定されない。
【0019】
ホストから書き込みリクエストを受信した場合、
図1のメモリシステムは次のように動作する。プロセッサ12は、書き込み対象となるデータをRAM11に一時的に記憶させる。プロセッサ12は、RAM11に格納されているデータを読み出してECC回路14に入力する。ECC回路14は、入力されたデータを符号化して、符号語を書き込みデータとしてメモリインターフェイス15に入力する。メモリインターフェイス15は、書き込みデータ、プロセッサ12が発行した書き込みコマンド、及び論理アドレスを含む信号DQ<7:0>を半導体記憶装置2に転送する。論理アドレスは、ホストからアクセス(読み出し動作、書き込み動作、及び消去動作等)を要求されたデータに付される。
【0020】
ホストから読み出しリクエストを受信した場合、
図1のメモリシステムは次のように動作する。まず、メモリインターフェイス15は、プロセッサ12が発行した読み出しコマンド及び論理アドレスを含む信号DQ<7:0>を半導体記憶装置2に転送する。これにより、半導体記憶装置2からメモリコントローラ1に、符号語が読み出しデータとして転送される。メモリインターフェイス15は、半導体記憶装置2から読み出した符号語をECC回路14に入力する。ECC回路14は、入力された符号語を復号して、復号されたデータをRAM11に格納する。プロセッサ12は、RAM11に格納されているデータを、ホストインターフェイス13を介してホストに送信する。
【0021】
1.2 半導体記憶装置の概略構成
図2は、半導体記憶装置2の構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、半導体記憶装置2は、4つの物理プレーンPPL0,PPL1,PPL2,PPL3と、入出力回路21と、ロジック制御回路22と、シーケンサ41と、レジスタ42と、電圧生成回路43と、入出力用パッド群31と、ロジック制御用パッド群32と、電源入力用端子群33とを備えている。
【0022】
物理プレーンPPL0は、メモリセルアレイ110と、センスアンプ120と、ロウデコーダ130とを備えている。他の物理プレーンPPL1~PPL3も、同様に、メモリセルアレイ210,310,410と、センスアンプ220,320,420と、ロウデコーダ230,330,430とをそれぞれ備えている。各物理プレーンPPL0~PPL3は互いに同一の構成を有している。すなわち、各メモリセルアレイ110,210,310,410の構成は互いに同一であり、各センスアンプ120,220,320,420の構成は互いに同一であり、各ロウデコーダ130,230,330,430の構成は互いに同一である。
【0023】
メモリセルアレイ110,210,310,410は、データを記憶する部分である。メモリセルアレイ110,210,310,410のそれぞれは、ワード線及びビット線に関連付けられた複数のメモリセルトランジスタを含んでいる。物理プレーンPPL0~PPL3は、それぞれ、複数の物理ブロックを有している。各物理ブロックは、消去動作の単位として機能する。
【0024】
本実施形態の半導体記憶装置2では、物理プレーンPPL0及び物理プレーンPPL1により一つの論理プレーンLPL0が構築されている。また、物理プレーンPPL2及び物理プレーンPPL3により一つの論理プレーンLPL1が構築されている。したがって、論理プレーンLPL0におけるメモリ容量は、物理プレーンPPL0のメモリ容量及び物理プレーンPPL1のメモリ容量の和に等しい。また、論理プレーンLPL1におけるメモリ容量は、物理プレーンPPL2のメモリ容量及び物理プレーンPPL3のメモリ容量の和に等しい。ホスト及びメモリコントローラ1は、半導体記憶装置2に書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作等を指示する際、論理プレーンLPL0,LPL1のいずれかを指定する論理プレーンLPL0では、物理プレーンPPL0が第1物理プレーンに相当し、物理プレーンPPL1が第2物理プレーンに相当する。また、論理プレーンLPL1では、物理プレーンPPL2が第1物理プレーンに相当し、物理プレーンPPL3が第2物理プレーンに相当する。
【0025】
半導体記憶装置2は、メモリコントローラ1から論理プレーンLPL0に対する書き込み命令又は読み込み命令を受信すると、2つの物理プレーンPPL0,PPL1を用いて、書き込み動作又は読み出し動作を実行する。
例えばメモリコントローラ1から論理プレーンLPL0に対するデータ長2X(Xは任意の整数)のデータの書き込み命令を半導体記憶装置2が受信した場合、半導体記憶装置2は、そのデータを2分割して、2つの物理プレーンPPL0,PPL1にデータ長Xのデータをそれぞれ書き込む。例えば、メモリコントローラ1から論理プレーンLPL0に対する16KBのデータの書き込み命令を半導体記憶装置2が受信した場合、物理プレーンPPL0及び物理プレーンPPL1が共に書き込み動作を行うことにより、物理プレーンPPL0のメモリセルアレイ110に含まれるいずれかの物理ブロックBLKに8KBのデータが書き込まれ、且つ物理プレーンPPL1のメモリセルアレイ210に含まれるいずれかの物理ブロックBLKに8KBのデータが書き込まれる。
【0026】
同様に、メモリコントローラ1から論理プレーンLPL0に対する読み出し命令を半導体記憶装置2が受信した場合、半導体記憶装置2は2つの物理プレーンPPL0,PPL1からデータ長Xのデータをそれぞれ読み出し、それらを組み合わせてデータ長2Xの読み出しデータをメモリコントローラ1に送信する。例えば、メモリコントローラ1から論理プレーンLPL0に対する16KBのデータの読み込み命令を半導体記憶装置2が受信した場合、物理プレーンPPL0及び物理プレーンPPL1が共に読み込み動作を行うことにより、物理プレーンPPL0のメモリセルアレイ110に含まれるいずれかの物理ブロックBLKから8KBのデータが読み込まれ、且つ物理プレーンPPL1のメモリセルアレイ210に含まれるいずれかの物理ブロックBLKから8KBのデータが読み込まれる。
半導体記憶装置2は、メモリコントローラ1から論理プレーンLPL1に対する書き込み命令又は読み込み命令を受信した場合には、2つの物理プレーンPPL2,PPL3に対してデータの書き込み及び読み込みを同様に実行する。
【0027】
データ長Xの物理プレーンを2つ設け、それらを組み合わせてデータ長2Xの論理プレーンとして動作させることにより、データ長2Xの物理プレーンを設ける場合と比べて、半導体記憶装置2による書き込み動作の及び読み出し動作を高速化させることができる。
【0028】
入出力回路21はメモリコントローラ1との間で信号DQ<7:0>及びデータストローブ信号DQS,/DQSを送受信する。入出力回路21は、信号DQ<7:0>内のコマンド及び論理アドレスをレジスタ42に転送する。また、入出力回路21は、書き込みデータ及び読み出しデータをセンスアンプ120,220,320,420との間で送受信する。
【0029】
ロジック制御回路22は、メモリコントローラ1からチップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号RE,/RE、及びライトプロテクト信号/WPを受信する。また、ロジック制御回路22は、レディービジー信号/RBをメモリコントローラ1に転送して、半導体記憶装置2の状態を外部に通知する。
【0030】
入出力回路21及びロジック制御回路22は、いずれも、メモリコントローラ1との間で信号が入出力される部分として構成される回路である。以下では、入出力回路21及びロジック制御回路22をまとめて「インターフェイス回路20」とも称する。インターフェイス回路20は、論理プレーンLPL0,LPL1の動作に関する制御信号を含む信号が入出力される部分である。上記の「制御信号」とは、例えば入出力回路21に入力される信号DQ<7:0>内のコマンド及び論理アドレスや、ロジック制御回路22に入力されるコマンドラッチイネーブル信号CLE等である。
【0031】
シーケンサ41は、メモリコントローラ1からインターフェイス回路20へと入力された制御信号に基づいて、論理プレーンLPL0,LPL1や電圧生成回路43等の各部の動作を制御する。また、シーケンサ41はパラメータレジスタ41Aを有する。パラメータレジスタ41Aは、例えば、後述のパワーオンリード処理によってROMブロックから読み出された情報を保持する。
レジスタ42は、コマンドやアドレス等を一時的に保持する部分である。
図3に示されるように、レジスタ42は、コマンドレジスタ42aと、アドレスレジスタ42bと、ステータスレジスタ42cとを有している。
【0032】
コマンドレジスタ42aは、論理プレーンLPL0,LPL1に対して書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作等を指示するコマンドが保持される部分である。当該コマンドは、メモリコントローラ1から入出力回路21に入力された後、入出力回路21からコマンドレジスタ42aに転送されて保持される。コマンドレジスタ42aは、保持したコマンドをシーケンサ41に転送する。
【0033】
アドレスレジスタ42bは、論理プレーンLPL0へのコマンドに対応する物理プレーンPPL0,PPL1のそれぞれのアドレス、及び論理プレーンLPL1へのコマンドに対応する物理プレーンPPL2,PPL3のそれぞれのアドレスが保持される部分である。例えばメモリコントローラ1から入出力回路21に論理プレーンLPL0の論理アドレスLAD0が入力されると、当該論理アドレスLAD0は入出力回路21からアドレスレジスタ42bに転送される。アドレスレジスタ42bは、当該論理アドレスLAD0を物理プレーンPPL0の物理アドレスPAD0及び物理プレーンPPL1の物理アドレスPAD1に変換するとともに、変換した物理アドレスPAD0,PAD1を保持する。
【0034】
論理アドレスLAD0は、論理LPL0に対応する論理ブロックアドレスLBAD0及び論理ロウアドレスLRAD0が含まれている。論理ブロックアドレスLBAD0は、論理プレーンLPL0の論理ブロックBLKを選択するためのアドレスである。論理ロウアドレスLRAD0は、論理プレーンLPL0のワード線を選択するためのアドレスである。
【0035】
物理アドレスPAD0には、物理プレーンPPL0のメモリセルアレイ110に対応する物理ブロックアドレスPBAD0及び物理ロウアドレスPRAD0が含まれている。物理ブロックアドレスPBAD0は、物理プレーンPPL0のメモリセルアレイ110に含まれるいずれかの物理ブロックBLKを選択するためのアドレスである。物理ロウアドレスPRAD0は、物理ブロックBLKに含まれるいずれかのワード線WLおよびいずれかのセレクトゲート線SGD(いずれかのストリングユニットSU)を選択するためのアドレスである。違う言い方をすると、物理ロウアドレスPRAD0は、物理ブロックアドレスPBAD0によって選択される物理ブロックBLKに含まれるいずれかのページ(メモリセルグループMG)を選択するためのアドレスである。本実施形態では、論理プレーンLPL0を基準にした場合、物理ブロックアドレスPBAD0が第1アドレスに相当する。
【0036】
物理アドレスPAD1には、物理プレーンPPL1のメモリセルアレイ210に対応する物理ブロックアドレスPBAD1及び物理ロウアドレスPRAD1が含まれている。物理ブロックアドレスPBAD1は、物理プレーンPPL1のメモリセルアレイ210に含まれるいずれかの物理ブロックBLKを選択するためのアドレスである。物理ロウアドレスPRAD1は、物理ブロックBLKに含まれるいずれかのワード線WLおよびいずれかのセレクトゲート線SGD(いずれかのストリングユニットSU)を選択するためのアドレスである。違う言い方をすると、物理ロウアドレスPRAD1は、物理ブロックアドレスPBAD1によって選択される物理ブロックBLKに含まれるいずれかのページ(メモリセルグループMG)を選択するためのアドレスである。本実施形態では、論理プレーンLPL0を基準にした場合、物理ブロックアドレスPBAD1が第2アドレスに相当する。
【0037】
アドレスレジスタ42bは、物理アドレスPAD0に含まれる物理ブロックアドレスPBAD0及び物理ロウアドレスPRAD0を物理プレーンPPL0のロウデコーダ130に転送する。また、アドレスレジスタ42bは、物理アドレスPAD1に含まれる物理ブロックアドレスPBAD1及び物理ロウアドレスPRAD1を物理プレーンPPL1のロウデコーダ230に転送する。
【0038】
メモリコントローラ1から入出力回路21に論理プレーンLPL1の論理アドレスLAD1が入力された場合、アドレスレジスタ42bは、同様に、論理アドレスLAD1を物理プレーンPPL2の物理アドレスPAD2及び物理プレーンPPL3の物理アドレスPAD3に変換するとともに、変換した物理アドレスPAD2,PAD3を保持する。また、アドレスレジスタ42bは、物理アドレスPAD2に含まれる物理ブロックアドレスPBAD2及び物理ロウアドレスPRAD2を物理プレーンPPL2のロウデコーダ330に転送する。さらに、アドレスレジスタ42bは、物理アドレスPAD3に含まれる物理ブロックアドレスPBAD3及び物理ロウアドレスPRAD3を物理プレーンPPL3のロウデコーダ430に転送する。本実施形態では、論理プレーンLPL1を基準にした場合、物理ブロックアドレスPBAD2が第1アドレスに相当し、物理ブロックアドレスPBAD3が第2アドレスに相当する。
【0039】
ステータスレジスタ42cは、物理プレーンPPL0~PPL3のそれぞれの状態を示すステータス情報が格納される部分である。ステータス情報は、物理プレーンPPL0~PPL3のそれぞれの動作状態に応じてシーケンサ41により都度更新される。ステータスレジスタ42cに格納されているステータス情報は、メモリコントローラ1からの要求に応じて、状態信号として入出力回路21からメモリコントローラ1に送信される。
【0040】
図2に示される電圧生成回路43は、シーケンサ41からの指示に基づいて、書き込み動作、読み込み動作、及び消去動作に必要な電圧を発生させ、この発生させた電圧をロウデコーダ130,230,330,430及びセンスアンプ120,220,320,420に供給する。
【0041】
センスアンプ120は、メモリセルアレイ110のビット線に印加される電圧を調整したり、メモリセルアレイ110のビット線の電圧を読み出してデータに変換したりするための回路である。センスアンプ120は、データの読み出し時には、メモリセルアレイ110のメモリセルトランジスタからビット線に読み出されたデータを取得するとともに、取得した読み出しデータを入出力回路21に転送する。センスアンプ120は、データの書き込み時には、ビット線を介して書き込まれるデータをメモリセルアレイ110のメモリセルトランジスタに転送する。
【0042】
ロウデコーダ130は、メモリセルアレイ110に含まれるいずれかの物理ブロックBLKにおける複数のワード線WLおよび複数のセレクトゲート線SGD,SGSに電圧をそれぞれ印加するための回路である。ロウデコーダ130は、レジスタ42のアドレスレジスタ42bから、物理プレーンPPL0に対応した物理ブロックアドレスPBAD0及び物理ロウアドレスPRAD0を受け取り、物理ブロックアドレスPBAD0に基づいてメモリセルアレイ110の物理ブロックを選択するとともに、物理ロウアドレスPRAD0に基づいてメモリセルアレイ110のワード線を選択する。ロウデコーダ130は、選択されたワード線に対して電圧生成回路43からの電圧が印加されるようにスイッチ群の開閉状態を切り換える。
【0043】
図4は、ロウデコーダ130とメモリセルアレイ110の接続の一例を示すブロック図である。電圧生成回路43は、メモリセルトランジスタMTに対するプログラム動作及び読み出し動作等に必要な電圧を含む各種電圧を発生する。電圧生成回路43は、信号線SG0~SG4に電圧を供給するSGドライバ43Aと、信号線CG0~CG7にそれぞれ電圧を供給する複数のCGドライバ43Bと含む。これらの信号線SG0~SG4,CG0~CG7は、ロウデコーダ130によって分岐されて、各物理ブロックBLKの配線に接続される。すなわち、信号線SG0~SG3は、グローバルセレクトゲート線として機能し、ロウデコーダ130を介して、各物理ブロックBLKにおけるローカルセレクトゲート線としてのセレクトゲート線SGD0~SGD3に接続される。信号線CG0~CG7は、グローバルワード線として機能し、ロウデコーダ130を介して、各物理ブロックBLKにおけるローカルワード線としてのワード線WL0~WL7に接続される。信号線SG4は、グローバルセレクトゲート線として機能し、ロウデコーダ130を介して、各物理ブロックBLKにおけるローカルセレクトゲート線としてのセレクトゲート線SGSに接続される。
【0044】
電圧生成回路43はシーケンサ41に制御されて、各種の電圧を生成する。SGドライバ(セレクトゲート線ドライバ)28A及びCGドライバ(ワード線ドライバ)28Bは、各種の生成された電圧を、対応する信号線SG0~SG4及び信号線CG0~CG7にそれぞれ供給する。
【0045】
ロウデコーダ130は、各物理ブロックBLKにそれぞれ対応した複数のスイッチ回路群130Aと、複数のスイッチ回路群130Aにそれぞれ対応して設けられる複数のブロックデコーダ130Bとを有している。各スイッチ回路群130Aは、信号線SG0~SG4とセレクトゲート線SGD0~SGD4とをそれぞれ接続する複数のトランジスタTR_SG0~TR_SG4、信号線CG0~CG7とワード線WL0~WL7とをそれぞれ接続する複数のトランジスタTR_CG0~TR_CG7を含む。トランジスタTR_SG0~TR_SG4およびトランジスタTR_CG0~TR_CG7の各々は、高耐圧トランジスタである。
【0046】
各ブロックデコーダ130Bは、対応するアドレス(物理アドレスPAD0に含まれる物理ブロックアドレスPBAD0)が供給された場合、トランジスタTR_SG0~TR_SG4およびトランジスタTR_CG0~TR_CG7のゲートに、ブロック選択信号BLKSELを供給する。これにより、アドレス(物理アドレスPAD0に含まれる物理ブロックアドレスPBAD0)に対応するスイッチ回路群130Aでは、トランジスタTR_SG0~TR_SG4およびトランジスタTR_CG0~TR_CG7がオン状態となって導通する。このため、電源生成回路43から信号線SG0~SG4及び信号線CG0~CG7に供給される電圧が、アドレス(物理アドレスPAD0に含まれる物理ブロックアドレスPBAD0)に対応する物理ブロックBLKに含まれるセレクトゲート線SGD0~SGD3、SGSおよびワード線WL0~WL7に供給される。
【0047】
センスアンプ220,320,420はメモリセルアレイ210,310,410のそれぞれに対してセンスアンプ120と同様の動作を行う。また、ロウデコーダ230,330,430はメモリセルアレイ210,310,410のそれぞれに対してロウデコーダ130と同様の動作を行う。
【0048】
センスアンプ120,220,320,420及びロウデコーダ130,230,330,430の動作はシーケンサ41により制御される。シーケンサ41は、センスアンプ120,220を同期させて動作させ、且つロウデコーダ130,230を同期させて動作させることにより、物理プレーンPPL0及び物理プレーンPPL1を一つの論理プレーンLPL0として動作させる。同様に、シーケンサ41は、センスアンプ320,420を同期させて動作させ、且つロウデコーダ330,430を同期させて動作させることにより、物理プレーンPPL2及び物理プレーンPPL3を一つの論理プレーンLPL1として動作させる。
【0049】
入出力用パッド群31は、メモリコントローラ1と入出力回路21との間で各信号の送受信を行うための複数の端子(パッド)が設けられる部分である。それぞれの端子は、信号DQ<7:0>、及びデータストローブ信号DQS、/DQSのそれぞれに対応して個別に設けられている。
【0050】
ロジック制御用パッド群32は、メモリコントローラ1とロジック制御回路22との間で各信号の送受信を行うための複数の端子(パッド)が設けられた部分である。それぞれの端子は、チップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号RE,/RE、ライトプロテクト信号/WP、及びレディービジー信号/RBのそれぞれに対応して個別に設けられている。
【0051】
電源入力用端子群33は、半導体記憶装置2の動作に必要な各電圧の印加を受けるための複数の端子が設けられた部分である。それぞれの端子に印加される電圧には、電源電圧Vcc,VccQ,Vpp、及び接地電圧Vssが含まれる。
電源電圧Vccは、動作電源として外部から与えられる回路電源電圧であり、例えば3.3V程度の電圧である。電源電圧VccQは、例えば1.2Vの電圧である。電源電圧VccQは、メモリコントローラ1と半導体記憶装置2との間で信号を送受信する際に用いられる電圧である。電源電圧Vppは、電源電圧Vccよりも高圧の電源電圧であり、例えば12Vの電圧である。
【0052】
メモリセルアレイ110,210,310,410がそれぞれ含む複数の物理ブロックBLKのうち少なくとも1つは、ROMブロックとして機能する。例えば、半導体記憶装置2において、メモリセルアレイ110が含む複数の物理ブロックBLKのうち1つ、メモリセルアレイ210が含む複数の物理ブロックBLKのうち1つ、メモリセルアレイ310が含む複数の物理ブロックBLKのうち1つ、及び、メモリセルアレイ410が含む複数の物理ブロックBLKのうち1つが、ROMブロックとして機能してもよい。ROMブロックは、ユーザデータではなく、半導体記憶装置2の動作に必要なデータ、例えば各種の動作パラメータ等を記憶する。また、ROMブロックは、メモリセルアレイ110,210,310,410にそれぞれ設けられる複数の物理ブロックBLKが正常及び不良のいずれの状態であるかを示す状態情報(グッドブロック・バッドブロック情報)が含まれている。ユーザがROMブロックに対するユーザデータの書き込みを指示することや、ROMブロックに格納されたデータの消去を指示することは、禁止される。違う言い方をすると、ROMブロックは、メモリセルアレイ110,210,310,410のそれぞれにおいて、外部からの書き込みや消去等が可能な記憶領域とは別に、外部からの書き込みや消去等が不可能な記憶領域として特別に設けられているブロックである。
【0053】
本実施形態のメモリシステムでは、メモリシステムに電源電圧が投入されたときに、半導体記憶装置2がパワーオンリード処理を実行する。具体的には、メモリシステムに電源電圧が投入されると、
図1に示されるメモリコントローラ1のプロセッサ12は、メモリインターフェイス15を介してパワーオンリード処理の実行を半導体記憶装置2に指示する。これにより、半導体記憶装置2では、例えばメモリセルアレイ110,210,310,410にそれぞれ設けられたROMブロックからデータが読み出されて、それらのデータがシーケンサ41のパラメータレジスタ41Aに格納される。
【0054】
パワーオンリード処理によってROMブロックに記憶されている動作パラメータを示す情報がシーケンサ41のパラメータレジスタ41Aに格納されることにより、半導体記憶装置2が適切に動作可能な状態、換言すれば半導体記憶装置2が起動した状態となる。また、ROMブロックから読み出された物理ブロックの状態情報(グッドブロック・バッドブロック情報)は、入出力回路21を介してメモリコントローラ1に送信されて、
図1に示されるRAM11に記憶される。メモリコントローラ1には、このRAMに記憶されている物理ブロックの状態情報(グッドブロック・バッドブロック情報)に基づいて、不良な物理ブロックを避けるようにして半導体記憶装置2へ動作を指示する。
【0055】
1.3 物理プレーンの構成
次に、物理プレーンPPL0~PPL3の構成について説明する。なお、先に述べたように、各物理プレーンPPL0~PPL3の構成は互いに同一であるため、以下では物理プレーンPPL0の構成についてのみ説明し、物理プレーンPPL1~PPL3の構成については図示及び説明を省略する。
【0056】
図5は、物理プレーンPPL0に設けられたメモリセルアレイ110の構成を示す等価回路である。メモリセルアレイ110は複数の物理ブロックBLK(0)~BLK(n-1)により構成されている。なお、「n」は、物理プレーンPPL0に含まれる物理ブロックの数を表す整数である。
図5においては、これらのうちの1つの物理ブロックBLKのみが図示されている。メモリセルアレイ110が有する他の物理ブロックBLKの構成も、
図5に示されるものと同じである。
【0057】
図5に示されるように、物理ブロックBLKは、例えば4つのストリングユニットSU(SU0~SU3)を含む。また各々のストリングユニットSUは、複数のNANDストリングNSを含む。NANDストリングNSの各々は、例えば8個のメモリセルトランジスタMT(MT0~MT7)と、選択トランジスタST1,ST2とを含む。
【0058】
なお、メモリセルトランジスタMTの個数は8個に限らず、例えば32個、48個、64個、又は96個でもよい。例えばカットオフ特性を高めるために、選択トランジスタST1,ST2のそれぞれが、単一ではなく複数のトランジスタにより構成されていてもよい。さらに、メモリセルトランジスタMTと選択トランジスタST1,ST2との間には、ダミーセルトランジスタが設けられていてもよい。
【0059】
メモリセルトランジスタMTは、選択トランジスタST1と選択トランジスタST2との間において、直列接続されるようにして配置されている。一端側のメモリセルトランジスタMT7が、選択トランジスタST1のソースに接続され、他端側のメモリセルトランジスタMT0が、選択トランジスタST2のドレインに接続されている。
【0060】
ストリングユニットSU0~SU3の各々の選択トランジスタST1のゲートは、それぞれセレクトゲート線SGD0~SGD3に共通接続されている。選択トランジスタST2のゲートは、同一の物理ブロックBLK内にある複数のストリングユニットSU間で同一のセレクトゲート線SGSに共通接続されている。同一の物理ブロックBLK内にあるメモリセルトランジスタMT0~MT7の制御ゲートは、それぞれワード線WL0~WL7に共通接続される。すなわち、ワード線WL0~WL7及びセレクトゲート線SGSは、同一物理ブロックBLK内の複数のストリングユニットSU0~SU3間で共通となっているのに対し、セレクトゲート線SGDは、同一物理ブロックBLK内であってもストリングユニットSU0~SU3毎に個別に設けられている。
【0061】
メモリセルアレイ110には、m本のビット線BL(BL0、BL1、・・・、BL(m-1))が設けられている。上記の「m」は、1つのストリングユニットSUに含まれるNANDストリングNSの本数を表す整数である。それぞれのNANDストリングNSのうち、選択トランジスタST1のドレインは、対応するビット線BLに接続されている。選択トランジスタST2のソースはソース線SLに接続されている。ソース線SLは、物理ブロックBLKが有する複数の選択トランジスタST2のソースに対して共通接続されている。
【0062】
同一の物理ブロックBLK内にある複数のメモリセルトランジスタMTに記憶されているデータは一括して消去される。一方、データの読み出し及び書き込みは、1つのワード線WLに接続され、且つ1つのストリングユニットSUに属する複数のメモリセルトランジスタMTに対して一括して行われる。
【0063】
なお、以下では、1つのワード線WLに接続され、且つ1つのストリングユニットSUに属する複数のメモリセルトランジスタMTの集合のことをメモリセルグループMGと称する。また、「メモリセルグループMG」に属するメモリセルトランジスタMTが記憶するデータの集合のことを「ページ」と称する。
図5では、ストリングユニットSU0に属しワード線WL7に接続されたメモリセルトランジスタからなるメモリセルグループMGに、符号「MG」が付してある。各メモリセルトランジスタMTが1ビットの情報を保持可能なSLC(Single Level Cell)である場合、1つのメモリセルグループMGは1ページのデータを記憶可能である。各メモリセルトランジスタMTが2ビットの情報を保持可能なMLC(Multi Level Cell)である場合、1つのメモリセルグループMGは2ページのデータを記憶可能である。各メモリセルトランジスタMTが3ビットの情報を保持可能なTLC(Three Level Cell)である場合、1つのメモリセルグループMGは3ページのデータを記憶可能である。各メモリセルトランジスタMTが4ビットの情報を保持可能なQLC(Quad Level Cell)である場合、1つのメモリセルグループMGは4ページのデータを記憶可能である。
【0064】
1.4 半導体記憶装置の断面構造
図6は、半導体記憶装置2の断面構造を示したものである。
図6に示されるように、半導体記憶装置2は、半導体基板40上に周辺回路PER及びメモリセルアレイ110が順に配置された構造を有している。
【0065】
メモリセルアレイ110では、導電体層520の上に複数のNANDストリングNSが形成されている。導電体層520は、埋め込みソース線(BSL)とも称されるものであり、
図5のソース線SLに該当するものである。
導電体層520の上方には、セレクトゲート線SGSとして機能する配線層533、ワード線WLとして機能する複数の配線層532、及びセレクトゲート線SGDとして機能する配線層531が積層されている。積層された配線層533,532,531のそれぞれの間には、不図示の絶縁層が配置されている。
【0066】
メモリセルアレイ110には複数のメモリホール534が形成されている。メモリホール534は、配線層533,532,531、及びそれらの間にある不図示の絶縁層を上下方向に貫通しており、且つ導電体層520に達する穴である。
メモリホール534のうち、積層された配線層533,532,531のそれぞれと交差している各部分はトランジスタとして機能する。これら複数のトランジスタのうち、配線層531と交差している部分にあるものは選択トランジスタST1として機能する。複数のトランジスタのうち、配線層532と交差している部分にあるものはメモリセルトランジスタMT(MT0~MT7)として機能する。複数のトランジスタのうち、配線層533と交差している部分にあるものは選択トランジスタST2として機能する。
【0067】
メモリホール534の上方にはビット線BLとして機能する配線層616が形成されている。メモリホール534の上端はコンタクトプラグ539を介して配線層616に接続されている。
図6に示される構造と同様の構造が、
図6の紙面の奥行き方向に沿って複数配列されている。
図6の紙面の奥行き方向に沿って一列に並ぶ複数のNANDストリングNSの集合によって、1つのストリングユニットSUが形成されている。
【0068】
半導体基板40と導電体層520(ソース線SL)とは離間して配置されており、両者の間に周辺回路PERの一部が配置されている。周辺回路PERは、メモリセルアレイ110におけるデータの書き込み動作や読み出し動作、及び消去動作等を実現するために設けられる回路である。
図2に示されるセンスアンプ120、ロウデコーダ130、及び電圧生成回路43等は周辺回路PERの一部となっている。
【0069】
周辺回路PERは、半導体基板40の上面に形成されたトランジスタTRと、複数の導電体611~615とを含む。導電体611~615は、例えば金属のような導体により形成された配線層である。導電体611~615は、複数の高さ位置に分布するように形成されており、コンタクト620~623を介して互いに電気的に接続されている。コンタクト620~623は、不図示の絶縁層を上下方向に貫くようにコンタクトホールを形成した後、当該コンタクトホールの内側に例えばタングステン等の導電体材料を充填することにより形成されたものである。導電体615はコンタクト624を介して配線層616(ビット線BL)に電気的に接続されている。
【0070】
1.5 アドレスレジスタの構成
上述のように、本実施形態の半導体記憶装置2では、データ長Xの物理プレーンPPL0及びデータ長Xの物理プレーンPPL1によりデータ長2Xの論理プレーンLPL0が構築されており、データ長X物理プレーンPPL2及びデータ長X物理プレーンPPL3によりデータ長2Xの論理プレーンLPL1が構築されている。データ長Xの物理プレーンを2つ設け、それらを組み合わせてデータ長2Xの論理プレーンとして動作させることにより、データ長2Xの物理プレーンを設ける場合と比べて、半導体記憶装置2による書き込み動作の及び読み出し動作を高速化させることができる。
図7に示されるように、論理プレーンLPL0に対応した論理アドレスLAD0には、論理ブロックアドレスLBAD0及び論理ロウアドレスLRAD0が含まれている。論理ブロックアドレスLBAD0は、論理プレーンLPL0の論理ブロックBLKを選択するためのアドレスである。論理ロウアドレスLRAD0は、論理プレーンLPL0のワード線を選択するためのアドレスである。
図8に、論理アドレスLAD0に基づく物理プレーンPPL0の物理アドレスPAD0及び物理プレーンPPL1の物理アドレスPAD1の設定方法の比較例を示す
図8に示す比較例では、論理ブロックアドレスLBAD0を物理プレーンPPL0,PPL1のそれぞれの物理ブロックアドレスPBAD0,PBAD1として用いるとともに、論理ロウアドレスLRAD0を物理プレーンPPL0,PPL1のそれぞれの物理ロウアドレスPRAD0,PRAD1として用いるという方法である。
【0071】
比較例の場合、例えば論理ブロックアドレスLBAD0がブロックBLK(0)のアドレスであるとき、物理プレーンPPL0,PPL1のそれぞれの物理ブロックアドレスPBAD0,PBAD1が共にブロックBLK(0)のアドレスに設定される。このとき、
図8に示される例のように、物理プレーンPPL0の物理ブロックBLK(0)が正常なブロック(グッドブロック)であって、且つ物理プレーンPPL1の物理ブロックBLK(0)も正常なブロック(グッドブロック)であれば、それらの組み合わせにより論理プレーンLPL0の論理ブロックBLK(0)を正常なブロック(グッドブロック)として構築することができる。
【0072】
一方、物理プレーンPPL0のある物理ブロックBLKと物理プレーンPPL1の対応するブロックのうちいずれか一方が不良なブロック(バッドブロック)である場合がある。例えば、論理ブロックアドレスLBAD0がブロックBLK(1)のアドレスである場合、物理プレーンPPL0,PPL1のそれぞれの物理ブロックアドレスPBAD0,PBAD1が共にブロックBLK(1)のアドレスに設定される。このとき、
図8に示される例のように、物理プレーンPPL0の物理ブロックBLK(1)が正常なブロック(グッドブロック)である一方、物理プレーンPPL1の物理ブロックBLK(1)が不良なブロック(バッドブロック)である場合には、それらを組み合わせて構築される論理プレーンLPL0の論理ブロックBLK(1)は不良なブロック(バッドブロック)となる。
【0073】
同様に、
図8に示される例のように、物理プレーンPPL0の物理ブロックBLK(2)が不良なブロック(バッドブロック)であって、且つ物理プレーンPPL1の物理ブロックBLK(2)が正常なブロック(グッドブロック)である場合にも、それらを組み合わせて構築される論理プレーンLPL0の論理ブロックBLK(2)は不良なブロック(バッドブロック)となる。
【0074】
なお、
図8に示される例のように、物理プレーンPPL0の物理ブロックBLK(3)及び物理プレーンPPL1の物理ブロックBLK(3)が共に不良なブロック(バッドブロック)である場合にも、それらを組み合わせて構築される論理プレーンLPL0の論理ブロックBLK(3)は不良なブロック(バッドブロック)となる。
【0075】
このように、
図8に示すような比較例の設定方法では、対をなす物理プレーンPPL0の物理ブロックBLK(i)及び物理プレーンPPL1の物理ブロックBLK(i)のいずれか一方が不良なブロックである場合には、論理ブロックBLK(i)は不良なブロックとなってしまい、対をなす物理プレーンPPL0の物理ブロックBLK(i)及び物理プレーンPPL1の物理ブロックBLK(i)が共に正常なブロックである場合のみ、論理ブロックBLK(i)が正常なブロックとして構築される。なお、iは0からn-1までの整数である。
図8に示す例の場合、パワーオンリード処理において、半導体記憶装置2は、メモリコントローラ1に対して、論理ブロックBLK(1),BLK(2),BLK(3),BLK(4)がバッドブロックであることを示す情報を送信する。これにより、メモリコントローラ1には、論理ブロックアドレスLBAD0として論理ブロックBLK(1),BLK(2),BLK(3),BLK(4)を指定することを避けつつ、半導体記憶装置2へ動作を指示する。
図8に示すような比較例の設定方法では、論理プレーンLPL0の論理ブロックBLKを簡便に構築することが可能であり、例えば、論理ブロックアドレスLBAD0を物理アドレスPAD0及び物理アドレスPAD1に変換するためのアドレス変換回路を簡略化することができる。
【0076】
一方、このような方法で論理プレーンLPL0を構築する場合、物理プレーンPPL0の物理ブロックBLK(1)や物理プレーンPPL1の物理ブロックBLK(2)は、正常なブロックであるにもかかわらず使用されないこととなり、無駄になる。このように、上記の方法により論理ブロックBLKを構築した場合、簡便ではあるものの、半導体記憶装置2の有効ブロック数が低下することが懸念される。
【0077】
そこで、本実施形態の半導体記憶装置2では、
図9に示すように、論理ブロックアドレスLBAD0によって指定される論理ブロックBLK(i)を、一方の物理プレーンPPL0の物理ブロックBLK(i)と、他方の物理プレーンPPL1物理ブロックBLK(j)とによって構築することを可能にする。ここで、jは0からn-1までの整数であり、i≠jである。例えば、
図9に示される例の場合、物理プレーンPPL0の物理ブロックBLK(1)と物理プレーンPPL1の物理ブロックBLK(2)とを組み合わせて一つの論理ブロックBLK(1)を構築することを可能にする。これにより、半導体記憶装置2の有効ブロック数を改善することが可能である。
図9に示す例の場合、パワーオンリード処理において、半導体記憶装置2は、メモリコントローラ1に対して、論理ブロックBLK(2),BLK(3),BLK(4)がバッドブロックであることを示す情報を送信する。これにより、メモリコントローラ1には、論理ブロックアドレスLBAD0として論理ブロックBLKBLK(2),BLK(3),BLK(4)を指定することを避けつつ、半導体記憶装置2へ動作を指示する。従って、本実施形態のメモリシステムでは、メモリコントローラ1は、比較例の場合と同様に、論理ブロックアドレスLBAD0として不良なブロックを指定することを避けるのみで半導体記憶装置2へ適切に動作を指示することができる。従って、比較例の場合と比べて、メモリコントローラ1によって半導体記憶装置2における不良なブロックを管理するための負荷は増加しない。
【0078】
次に、以上のような論理ブロックの構築を実現するために本実施形態のアドレスレジスタ42bが有する構成について具体的に説明する。
図10は、アドレスレジスタ42bの構成を示すブロック図である。
図10に示されるように、アドレスレジスタ42bは、第1アドレスレジスタ42b10と、第2アドレスレジスタ42b20とを有している。第1アドレスレジスタ42b10は、一方の論理プレーンLPL0に対応したアドレスレジスタである。第2アドレスレジスタ42b20は、他方の論理プレーンLPL1に対応したアドレスレジスタである。第1アドレスレジスタ42b10及び第2アドレスレジスタ42b20の構成及び動作は略同一であるため、以下では、第1アドレスレジスタ42b10の構成及び動作について代表して説明する。
【0079】
アドレスレジスタ42b10は、第1ブロックアドレスレジスタ70と、第2ブロックアドレスレジスタ71と、アドレス登録部72と、第1ロウアドレスレジスタ73と、第2ロウアドレスレジスタ74とを備えている。
第1ロウアドレスレジスタ73は物理プレーンPPL0の物理ロウアドレスPRAD0を保持するためのものである。第2ロウアドレスレジスタ74は物理プレーンPPL1の物理ロウアドレスPRAD1を保持するためのものである。各ロウアドレスレジスタ73,74には、入出力回路21からアドレスレジスタ42b10に転送される論理プレーンLPL0の論理アドレスLAD0に含まれる論理ロウアドレスLRAD0がそのまま保持される。すなわち、本実施形態の半導体記憶装置2では、論理ロウアドレスLRAD0が物理プレーンPPL0の物理ロウアドレスPRAD0及び物理プレーンPPL1の物理ロウアドレスPRAD1としてそのまま用いられる。
【0080】
第1ブロックアドレスレジスタ70は物理プレーンPPL0の物理ブロックアドレスPBAD0を保持するためのものである。第1ブロックアドレスレジスタ70には、入出力回路21からアドレスレジスタ42b10に転送される論理プレーンLPL0の論理アドレスLAD0に含まれる論理ブロックアドレスLBAD0がそのまま保持される。すなわち、本実施形態の半導体記憶装置2では、論理ブロックアドレスLBAD0が物理プレーンPPL0の物理ブロックアドレスPBAD0としてそのまま用いられる。
【0081】
なお、
図1に示されるメモリコントローラ1のプロセッサ12は、パワーオンリード処理の実行により半導体記憶装置2からメモリコントローラ1に送信される情報に基づいて、物理プレーンPPL0のメモリセルアレイ110に設けられる各物理ブロックBLKの正常及び不良の情報を把握している。プロセッサ12は、半導体記憶装置2に動作を指示する際、物理プレーンPPL0のメモリセルアレイ110に設けられる各物理ブロックBLKのうち、不良と判定された物理ブロックBLKのアドレスに対応する論理ブロックアドレスLBAD0の指定を避け、正常と判定された物理ブロックBLKのアドレスに対応する論理ブロックアドレスLBAD0のみを指定する。例えば物理プレーンPPL0,PPL1のそれぞれの物理ブロックBLKが
図9に示されるような状態であれば、プロセッサ12は、論理ブロックアドレスLBAD0として、ブロックBLK(0)やブロックBLK(1)を半導体記憶装置2に送信することがある一方、ブロックBLK(2)やブロックBLK(3)を半導体記憶装置2に送信することはない。
【0082】
図10に示される第2ブロックアドレスレジスタ71は、物理プレーンPPL1の物理ブロックアドレスPBAD1を保持するためのものである。第2ブロックアドレスレジスタ71には、アドレス登録部72により設定されるブロックアドレスが物理アドレスPAD1として保持される。
【0083】
アドレス登録部72は、第1ブロックアドレスレジスタ70に保持されている物理ブロックアドレスPBAD0に基づいて物理プレーンPPL1の物理ブロックアドレスPBAD1を設定する部分である。アドレス登録部72は、比較回路75と、変換回路76と、マルチプレクサ77とを有している。
【0084】
比較回路75は、ブロック状態レジスタ750を有している。比較回路75は、ブロック状態レジスタ750に保持されている物理ブロックアドレスと、第1ブロックアドレスレジスタ70に保持されている物理ブロックアドレスPBAD0とを比較して、それらが一致しているか否かを示す信号を出力する。
【0085】
ブロック状態レジスタ750には、物理プレーンPPL0のメモリセルアレイ110に設けられる各物理ブロックBLKのうちの正常な物理ブロックのアドレスであって、且つ物理プレーンPPL1のメモリセルアレイ210に設けられる各物理ブロックBLKのうちの不良な物理ブロックのアドレスが単数又は複数保持されている。具体的には、
図2に示されるシーケンサ41は、パワーオンリード処理の際に、物理プレーンPPL0,PPL1のそれぞれのメモリセルアレイ110,210のROMブロックから取得した物理プレーンPPL0,PPL1の状態情報、具体的には物理プレーンPPL0のメモリセルアレイ110において正常なブロックであると判定され、且つ物理プレーンPPL1のメモリセルアレイ210において不良なブロックであると判定された物理ブロックに対応したアドレスの情報をブロック状態レジスタ750に転送して保持させる。例えば物理プレーンPPL0,PPL1のそれぞれの物理ブロックBLKが
図9に示されるような状態であれば、シーケンサ41は、物理プレーンPPL0の物理ブロックBLK(1)が正常なブロックであり、且つ物理プレーンPPL1の物理ブロックBLK(1)が不良なブロックであるため、それらに対応したブロックBLK(1)のアドレスをブロック状態レジスタ750に転送して保持させる。
【0086】
図10に示される比較回路75は、第1ブロックアドレスレジスタ70に保持されている物理ブロックアドレスPBAD0を読み込むとともに、読み込んだ物理ブロックアドレスPBAD0と、ブロック状態レジスタ750に保持されるアドレスとを比較して、それらが一致しているか否かを判定する。
【0087】
例えば物理プレーンPPL0,PPL1のそれぞれの物理ブロックBLKが
図9に示されるような状態であれば、物理プレーンPPL1の物理ブロックBLK(0)は正常なブロックであるため、ブロックBLK(0)のアドレスはブロック状態レジスタ750に保持されていない。そのため、第1ブロックアドレスレジスタ70に物理ブロックアドレスPBAD0のアドレスとしてブロックBLK(0)のアドレスが保持されている場合、比較回路75は、第1ブロックアドレスレジスタ70に保持されている物理ブロックアドレスPBAD0と、ブロック状態レジスタ750に保持されているアドレスとが一致しないと判定するとともに、その判定結果をマルチプレクサ77に転送する。
【0088】
一方、物理プレーンPPL0の物理ブロックBLK(1)は正常なブロックであり、且つ物理プレーンPPL1の物理ブロックBLK(1)は不良なブロックであるため、ブロックBLK(1)のアドレスはブロック状態レジスタ750に保持されている。そのため、第1ブロックアドレスレジスタ70に物理ブロックアドレスPBAD0のアドレスとしてブロックBLK(1)のアドレスが保持されている場合、比較回路75は、第1ブロックアドレスレジスタ70に保持されている物理ブロックアドレスPBAD0と、ブロック状態レジスタ750に保持されているアドレスとが一致すると判定して、その判定結果をマルチプレクサ77に転送する。
【0089】
変換回路76は、ブロック状態レジスタ760と、置き換えレジスタ761とを有している。
ブロック状態レジスタ760には、比較回路75のブロック状態レジスタ750と同一の情報、すなわち物理プレーンPPL0のメモリセルアレイ110において正常なブロックであると判定され、且つ物理プレーンPPL1のメモリセルアレイ210おいて不良なブロックであると判定された物理ブロックに対応したアドレスの情報が保持されている。ブロック状態レジスタ760に記憶されるアドレスの情報は、パワーオンリード処理の際にシーケンサ41により登録されたものであってもよいし、比較回路75のブロック状態レジスタ750に登録されているアドレスの情報をコピーしたものであってもよい。本実施形態では、置き換えレジスタ750,760に保持されているアドレスが第4アドレスに相当する。
【0090】
置き換えレジスタ761には、物理プレーンPPL0において不良な物理ブロックのアドレスであって、且つ物理プレーンPPL1において正常な物理ブロックのアドレスが単数又は複数保持されている。例えば物理プレーンPPL0,PPL1のそれぞれの物理ブロックBLK,BLKが
図9に示されるような状態であれば、ブロックBLK(2)のアドレス及びブロックBLK(4)のアドレスが置き換えレジスタ761に保持されている。置き換えレジスタ761に記憶されているアドレスの情報は、パワーオンリード処理の際にシーケンサ41により登録される。本実施形態では、置き換えレジスタ761に保持されているアドレスが第3アドレスに相当する。
【0091】
変換回路76は、第1ブロックアドレスレジスタ70に保持されている物理ブロックアドレスPBAD0と、ブロック状態レジスタ760に保持されているアドレスとを比較して、それらが一致しているか否かを判定する。変換回路76は、それらが一致していると判定した場合には、物理ブロックアドレスPBAD0を、置き換えレジスタ761に保持されているブロックBLKのアドレスに変換するとともに、変換後の物理ブロックアドレスBACをマルチプレクサ77に送信する。
【0092】
例えば物理プレーンPPL0,PPL1のそれぞれの物理ブロックBLKが
図7に示されるような状態であれば、物理プレーンPPL0の物理ブロックBLK(1)は正常なブロックであり、且つ物理プレーンPPL1の物理ブロックBLK(1)は不良なブロックであるため、ブロックBLK(1)のアドレスはブロック状態レジスタ750に保持されている。そのため、第1ブロックアドレスレジスタ70に物理ブロックアドレスPBAD0としてブロックBLK(1)のアドレスが保持されている場合、変換回路76は、第1ブロックアドレスレジスタ70に保持されている物理ブロックアドレスPBAD0と、ブロック状態レジスタ760に保持されているアドレスとが一致していると判定して、物理ブロックアドレスPBAD0を、置き換えレジスタ761に保持されているアドレス、例えばブロックBLK(2)のアドレスに置き換えてマルチプレクサ77に送信する。
【0093】
なお、変換回路76のブロック状態レジスタ760に保持されている各ブロックBLKのアドレスは、置き換えレジスタ761に保持されている各ブロックのアドレスと一対一で対応付けられている。例えばブロック状態レジスタ760にブロックBLK(a1)のアドレスとブロックBLK(a2)のアドレスとが保持され、且つ置き換えレジスタ761にブロックBLK(b1)のアドレスとブロック(b2)のアドレスとが保持されているとする。なお、a1,a2,b1,b2は所定の整数である。この場合には、ブロックBLK(a1)のアドレスとブロックBLK(b1)のアドレスとが対応付けられるとともに、ブロックBLK(a2)のアドレスとブロックBLK(b2)のアドレスとが対応付けられている。
【0094】
ブロック状態レジスタ760に保持されているブロックBLKのアドレスの数と、置き換えレジスタ761に保持されているブロックBLKのアドレスの数とが一致していることが望ましい。これにより、物理プレーンPPL0において置き換えるべきブロックBLKのアドレスと、物理プレーンPPL1において置き換えることが可能なブロックBLKのアドレスとを一対一で対応付けることが可能となるため、アドレスレジスタ42bの回路構成を簡素化することが可能である。なお、物理プレーンPPL0,PPL1のそれぞれの不良なブロックの数が一致しない場合には、その差分の数だけ、一方の物理プレーンで正常なブロックであって、且つ他方の物理プレーンで不良なブロックのアドレスを強制的に不良なブロックと見なすことにより、物理プレーンPPL0,PPL1のそれぞれの不良なブロックの数を一致させてもよい。例えば物理プレーンPPL0,PPL1のそれぞれの物理ブロックBLKが
図9に示されるような状態であれば、シーケンサ41は、物理プレーンPPL1の物理ブロックBLK(4)を不良なブロックと見なす。これにより、物理プレーンPPL0の不良なブロックの数と物理プレーンPPL1の不良なブロックの数を一致させることができ、アドレスレジスタ42bの回路構成を簡素化するとともに、動作の信頼性を向上させることが可能である。
【0095】
また、変換回路76は、第1ブロックアドレスレジスタ70に保持されている物理アドレスPAD0と、ブロック状態レジスタ760に保持されているアドレスとが一致していない場合には、例えば物理アドレスPAD0の情報をそのままマルチプレクサ77に送信する。
【0096】
マルチプレクサ77は、第1ブロックアドレスレジスタ70に保持される物理ブロックアドレスPBAD0、及び変換回路76により変換された物理ブロックアドレスBACを読み込むとともに、比較回路75の出力信号に基づいて物理ブロックアドレスPBAD0及び変換後の物理ブロックアドレスBACのいずれかを第2ブロックアドレスレジスタ71に転送して保持させる。
【0097】
具体的には、マルチプレクサ77は、比較回路75から出力される信号が、第1ブロックアドレスレジスタ70に保持されている物理ブロックアドレスPBAD0と、ブロック状態レジスタ750に保持されているアドレスとが不一致であることを示す信号である場合、第1ブロックアドレスレジスタ70に保持される物理ブロックアドレスPBAD0をそのまま第2ブロックアドレスレジスタ71に転送して登録する。すなわち、マルチプレクサ77は、物理ブロックアドレスPBAD0に対応する物理プレーンPPL1の物理ブロックBLKが正常なブロックである場合には、その物理ブロックアドレスPBAD0をそのまま第2ブロックアドレスレジスタ71に登録する。
【0098】
一方、マルチプレクサ77は、比較回路75から出力される信号が、第1ブロックアドレスレジスタ70に保持されている物理ブロックアドレスPBAD0と、ブロック状態レジスタ750に保持されているアドレスとが一致することを示す信号である場合、変換回路76により変換された物理ブロックアドレスBACを第2ブロックアドレスレジスタ71に転送して登録する。すなわち、マルチプレクサ77は、物理ブロックアドレスPBAD0に対応する物理プレーンPPL1の物理ブロックBLKが不良なブロックである場合には、物理プレーンPPL0において不良な物理ブロックであって、且つ物理プレーンPPL1において正常な物理ブロックのアドレスを第2ブロックアドレスレジスタ71に登録する。
【0099】
1.6 半導体記憶装置の動作例
次に、
図11及び
図12を参照して、本実施形態の半導体記憶装置2の動作例について説明する。
例えば、物理プレーンPPL0の物理ブロックBLK(0)~BLK(11)及び物理プレーンPPL1の物理ブロックBLK(0)~BLK(11)が、
図11に示されるような状態であるとする。なお、
図11では、正常なブロックは白抜きで示され、不良なブロックには点ハッチングが付されている。すなわち、
図11に示される例では、物理プレーンPPL0では、物理ブロックBLK(0)~BLK(2),BLK(6),BLK(7),BLK(10),BLK(11)が正常なブロック(グッドブロック)であり、それ以外の物理ブロックBLK(3)~BLK(5),BLK(8),BLK(9)が不良なブロック(バッドブロック)である。また、物理プレーンPPL1では、物理ブロックBLK(0),BLK(2),BLK(4),BLK(5),BLK(7),BLK(10),BLK(11)が正常なブロック(グッドブロック)であり、それ以外の物理ブロックBLK(1),BLK(3),BLK(6),BLK(8),BLK(9)が不良なブロック(バッドブロック)である。
【0100】
物理プレーンPPL0の物理ブロックBLK(0)~BLK(11)及び物理プレーンPPL1の物理ブロックBLK(0)~BLK(11)が
図11に示されるような状態である場合、物理プレーンPPL0で正常なブロックであって、且つ物理プレーンPPL1で不良な物理ブロックBLK(1)BLK(6)のアドレスの情報がブロック状態レジスタ750,760に保持される。したがって、ブロック状態レジスタ750,760には、
図12(A)に示されるような情報が保持される。
【0101】
また、置き換えレジスタ761には、物理プレーンPPL0において不良な物理ブロックであって、且つ物理プレーンPPL1において正常な物理ブロックのアドレスが保持される。したがって、置き換えレジスタ761には、
図12(B)に示されるような情報が保持される。
【0102】
一方、メモリコントローラ1が、読み出し動作、書き込み動作、及び消去動作を半導体記憶装置2に行わせるために、コマンド及び論理プレーンLPL0の論理アドレスLAD0を含む信号DQ<7:0>を半導体記憶装置2に送信したとする。その際、メモリコントローラ1は、物理プレーンPPL0において正常な物理ブロックのアドレスに対応した論理ブロックアドレスLBAD0を半導体記憶装置2に送信する。具体的には、メモリコントローラ1は、論理ブロックアドレスLBAD0としてブロックBLK(0)~BLK(2),BLK(6),BLK(7),BLK(10),BLK(11)のアドレスを半導体記憶装置2に送信する。
【0103】
例えばメモリコントローラ1が論理ブロックアドレスLBAD0としてブロックBLK(0)のアドレスを半導体記憶装置2に送信したとすると、当該ブロックBLK(0)のアドレスが第1ブロックアドレスレジスタ70に保持される。このとき、
図11に示されるように、ブロックBLK(0)に対応する第2物理プレーンPPL1の物理ブロックBLK(0)は正常な物理ブロックであるため、当該ブロックBLK(0)のアドレスが第2ブロックアドレスレジスタ71に転送されて保持される。結果として、物理プレーンPPL0の物理ブロックBLK(0)と物理プレーンPPL1の物理ブロックBLK(0)とにより論理プレーンLPL0の論理ブロックBLK(0)が正常な論理ブロックとして構築される。
【0104】
続いて、メモリコントローラ1が論理ブロックアドレスLBAD0としてブロックBLK(1)のアドレスを半導体記憶装置2に送信したとすると、当該ブロックBLK(1)のアドレスが第1ブロックアドレスレジスタ70に保持される。このとき、ブロックBLK(1)のアドレスは、
図12(A)に示されるブロック状態レジスタ750,760に保持されているため、当該ブロックBLK(1)のアドレスは、
図12(B)に示される置き換えレジスタ761に登録されているブロックBLK(4)のアドレスに置き換えられる。結果として、
図11に二点鎖線で示されるように物理プレーンPPL0の物理ブロックBLK(1)と物理プレーンPPL1の物理ブロックBLK(4)とにより論理プレーンLPL0の論理ブロックBLK(1)が正常な論理ブロックとして構築される。
【0105】
続いて、メモリコントローラ1が論理ブロックアドレスLBAD0としてブロックBLK(2)のアドレスを半導体記憶装置2に送信したとすると、当該ブロックBLK(2)のアドレスが第1ブロックアドレスレジスタ70に保持される。このとき、
図11に示されるように、ブロックBLK(2)に対応する第2物理プレーンPPL1の物理ブロックBLK(2)は正常な物理ブロックであるため、当該ブロックBLK(2)のアドレスが第2ブロックアドレスレジスタ71に転送されて保持される。結果として、物理プレーンPPL0の物理ブロックBLK(2)と物理プレーンPPL1の物理ブロックBLK(2)とにより論理プレーンLPL0の論理ブロックBLK(2)が正常な論理ブロックとして構築される。
【0106】
続いて、メモリコントローラ1が論理ブロックアドレスLBAD0としてブロックBLK(6)のアドレスを半導体記憶装置2に送信したとすると、当該ブロックBLK(6)のアドレスが第1ブロックアドレスレジスタ70に保持される。このとき、ブロックBLK(6)のアドレスは、
図12(A)に示されるブロック状態レジスタ750,760に保持されているため、当該ブロックBLK(6)のアドレスは、
図12(B)に示される置き換えレジスタ761に登録されているブロックBLK(5)のアドレスに置き換えられる。結果として、
図11に二点鎖線で示されるように物理プレーンPPL0の物理ブロックBLK(6)と物理プレーンPPL1の物理ブロックBLK(5)とにより論理プレーンLPL0の論理ブロックBLK(6)が正常な論理ブロックとして構築される。
【0107】
次に、
図13を参照して、本実施形態の半導体記憶装置2の動作の流れについて説明する。
図13に示されるように、本実施形態の半導体記憶装置2では、メモリコントローラ1から送信される信号DQ<7:0>が入出力回路21により受信されると(ステップS10)、当該信号DQ<7:0>に含まれる論理プレーンLPL0の論理ブロックアドレスLBAD0が、物理プレーンPPL0の物理ブロックアドレスPBAD0として第1ブロックアドレスレジスタ70に保持される(ステップS11)。
【0108】
続いて、半導体記憶装置2では、論理ブロックアドレスLBAD0に対応する物理プレーンPPL1の物理ブロックが正常な物理ブロックである場合には(ステップS12:YES)、物理プレーンPPL0の物理ブロックアドレスPBAD0と同一のアドレス、すなわち論理プレーンLPL0の論理ブロックアドレスLBAD0が、物理プレーンPPL1の物理ブロックアドレスPBAD1として第2ブロックアドレスレジスタ71に保持される(ステップS13)。
【0109】
一方、半導体記憶装置2では、論理ブロックアドレスLBAD0に対応する物理プレーンPPL1の物理ブロックが不良な物理ブロックである場合には(ステップS12:NO)、置き換えレジスタ761に保持されているアドレスが、物理プレーンPPL1の物理ブロックアドレスPBAD1として第2ブロックアドレスレジスタ71に保持される(ステップS14)。すなわち、第2ブロックアドレスレジスタ71には、物理プレーンPPL0において不良な物理ブロックのアドレスであって、且つ物理プレーンPPL1において正常な物理ブロックのアドレスが保持される。
【0110】
半導体記憶装置2では、ステップS12又はステップS13の処理が実行された後、第1ブロックアドレスレジスタ70及び第2ブロックアドレスレジスタ71にそれぞれ保持されている物理ブロックアドレスPBAD0及び物理ブロックアドレスPBAD1がロウデコーダ130,230にそれぞれ送信されて(ステップS15)、メモリセルアレイ110,210の読み込み又は書き込みが行われる。
【0111】
なお、上述のように、メモリコントローラ1は、パワーオンリード処理の際に、半導体記憶装置2から物理プレーンPPL0のメモリセルアレイ110に設けられる各物理ブロックBLKの正常及び不良の情報を把握している。従って、メモリコントローラ1によって、物理プレーンPPL0における不良な物理ブロックに対応するブロックアドレスPBAD0と同一のアドレスが論理ブロックアドレスLBAD0として指定されることは、避けられる。半導体記憶装置2は、メモリコントローラ1によって動作を指示された際、物理プレーンPPL0における不良な物理ブロックに対応するブロックアドレスPBAD0と同一のアドレスが論理ブロックアドレスLBAD0として指定されている場合、動作を実行しないように構成されていてもよい。
【0112】
1.7 効果
本実施形態の半導体記憶装置2は、第1ブロックアドレスレジスタ70と、第2ブロックアドレスレジスタ71と、置き換えレジスタ761と、アドレス登録部72と、シーケンサ41とを備える。第1ブロックアドレスレジスタ70は、第1レジスタとして、物理プレーンPPL0の物理ブロックBLKのアドレスである物理ブロックアドレスPBAD0の情報を保持する。第2ブロックアドレスレジスタ71は、第1レジスタに対応付けられた第2レジスタとして、物理プレーンPPL1の物理ブロックBLKのアドレスである物理ブロックアドレスPBAD1の情報を保持する。置き換えレジスタ761は、第3レジスタとして、物理プレーンPPL0において不良な物理ブロックのアドレスであって、且つ物理プレーンPPL1において正常な物理ブロックのアドレスが保持されている。アドレス登録部72は、第1アドレス登録部として、物理ブロックアドレスPBAD0に対応する物理プレーンPPL1の物理ブロックBLKが不良なブロックである場合、置き換えレジスタ761に保持されているアドレスを物理ブロックアドレスPBAD1として第2ブロックアドレスレジスタ71に登録する。シーケンサ41は、第2アドレス登録部として、電源投入後に実行されるパワーオンリード処理の際に、物理プレーンPPL0において不良な物理ブロックのアドレスであって、且つ物理プレーンPPL1において正常な物理ブロックのアドレスを置き換えレジスタ761に登録する。
【0113】
例えば
図11に示されるように物理プレーンPPL0の物理ブロックBLK(1)が正常なブロックであり、且つそれと対をなす物理プレーンPPL1の物理ブロックBLK(1)が不良なブロックである場合、比較例のようにそれらを単純に組み合わせて論理プレーンLPL0の論理ブロックBLK(1)とすると、構築された論理ブロックBLK(1)は不良なブロック(バッドブロック)となってしまう。同様に、物理プレーンPPL0の物理ブロックBLK(4)が不良なブロックであり、且つそれと対をなす物理プレーンPPL1の物理ブロックBLK(4)が正常なブロックである場合、比較例のようにそれらを組み合わせて論理プレーンLPL0の論理ブロックBLK(4)とすると、構築された論理ブロックBLK(4)は不良なブロック(バッドブロック)となってしまう。これに対して、本実施形態では、正常な物理プレーンPPL0の物理ブロックBLK(1)と物理プレーンPPL1の物理ブロックBLK(4)とを組み合わせて論理プレーンLPL0の論理ブロックBLK(1)を構築することができる。これにより、比較例の場合と比べて、メモリコントローラ1によって半導体記憶装置2における不良なブロックを管理するための負荷を増加させることなく、有効ブロック数を改善することができる。
【0114】
なお、このような半導体記憶装置2では、メモリセルアレイ110,210,310,410にそれぞれ設けられるROMブロックには、初期状態において、工場出荷時に認識されている各物理ブロックBLKの正常及び不良の情報が記憶されている。但し、半導体記憶装置2が継続的に使用されてメモリセルアレイ110,210,310,410が経年劣化することにより、事後的にメモリセルアレイ110,210,310,410の各物理ブロックBLKが正常な状態から不良な状態に遷移することがある。このような後天的な不良ブロックがシーケンサ41により実行される特定のシーケンスチェックを通じて事後的に検出されると、シーケンサ41が後天的な不良ブロックのアドレスを各メモリセルアレイ110,210,310,410のROMブロックに記憶させる。本実施形態の半導体記憶装置2によれば、シーケンサ41が、パワーオンリード処理の際に、各メモリセルアレイ110,210,310,410のROMブロックに登録されている情報に基づいて、置き換えレジスタ761に登録されているアドレスの情報を更新することになる。そのため、後天的な不良ブロックが発生したような場合であっても、半導体記憶装置2としての動作を確保することができるため、信頼性を高めることが可能である。
【0115】
本実施形態のアドレスレジスタ42bには、物理プレーンPPL0の物理ブロックアドレスPBAD0として、物理プレーンPPL1において不良なブロックのアドレスであって、且つ物理プレーンPPL0において正常なブロックのアドレスが保持される。
このようなブロックのアドレスは、例えば
図11に示される物理プレーンPPL0の物理ブロックBLK(1)のアドレスである。本実施形態では、この物理プレーンPPL0の物理ブロックBLK(1)が論理プレーンLPL0の論理ブロックBLK(1)として利用されるため、より効率的に有効ブロック数を改善することができる。
【0116】
アドレス登録部72は、第1ブロックアドレスレジスタ70に保持される物理ブロックアドレスPBAD0を読み込み、物理ブロックアドレスPBAD0に対応する物理プレーンPPL1の物理ブロックBLKが正常なブロックである場合、物理ブロックアドレスPBAD0を物理ブロックアドレスPBAD1として第2ブロックアドレスレジスタ71にそのまま登録する。また、アドレス登録部72は、物理ブロックアドレスPBAD0に対応する物理プレーンPPL1の物理ブロックBLKが不良なブロックである場合、物理ブロックアドレスPBAD0を、物理プレーンPPL0において不良なブロックのアドレスであって、且つ物理プレーンPPL1において正常なブロックのアドレスに変換し、変換された物理ブロックアドレスBACを物理ブロックアドレスPBAD1として第2ブロックアドレスレジスタ71に登録する。
【0117】
この構成によれば、物理プレーンPPL0の物理ブロックBLKのアドレスに対応する物理プレーンPPL1の物理ブロックBLKが正常な物理ブロックである場合には、それらを組み合わせて論理プレーンLPL0の論理ブロックBLKを構築することができる。また、物理プレーンPPL0の物理ブロックBLKのアドレスに対応する物理プレーンPPL1の物理ブロックBLKが不良な物理ブロックである場合には、物理プレーンPPL0の物理ブロックBLKと、物理ブロックアドレスBACに対応した物理プレーンPPL1の物理ブロックBLKとを組み合わせて論理プレーンLPL0の論理ブロックBLKを構築することができる。
【0118】
アドレス登録部72は、ブロック状態レジスタ750,760と、比較回路75と、変換回路76と、マルチプレクサ77とを備える。ブロック状態レジスタ750,760は、第4レジスタとして、物理プレーンPPL0において正常な物理ブロックBLKであて、且つ物理プレーンPPL1において不良な物理ブロックBLKのアドレスを保持する。比較回路75は、第1ブロックアドレスレジスタ70に保持される物理ブロックアドレスPBAD0を読み込むとともに、読み込んだ物理ブロックアドレスPBAD0と、ブロック状態レジスタ750に保持されるアドレスとを比較して、それらが一致しているか否かを示す信号を出力する。変換回路76は、第1ブロックアドレスレジスタ70に保持される物理ブロックアドレスPBAD0を読み込むとともに、読み込んだ物理ブロックアドレスPBAD0と、ブロック状態レジスタ760に保持されるアドレスとが一致している場合には、物理ブロックアドレスPBAD0を、置き換えレジスタ761に保持されるアドレスに変換する。マルチプレクサ77は、比較回路75から出力される信号が、第1ブロックアドレスレジスタ70に保持される物理ブロックアドレスPBAD0と、ブロック状態レジスタ750に保持されるアドレスとが不一致であることを示す信号である場合、物理ブロックアドレスPBAD0を第2ブロックアドレスレジスタ71に登録する。マルチプレクサ77は、比較回路75から出力される信号が、第1ブロックアドレスレジスタ70に保持される物理ブロックアドレスPBAD0と、ブロック状態レジスタ750に保持されるアドレスとが一致することを示す信号である場合、変換回路76により変換された物理ブロックアドレスBACを第2ブロックアドレスレジスタ71に登録する。
この構成によれば、上述したアドレス登録部72の構成を容易に実現することが可能である。
【0119】
シーケンサ41は、パワーオンリード処理の際に、物理プレーンPPL0において正常な物理ブロックBLKであて、且つ物理プレーンPPL1において不良な物理ブロックBLKのアドレスの情報をブロック状態レジスタ750,760に登録するとともに、物理プレーンPPL0において不良な物理ブロックのアドレスであって、且つ物理プレーンPPL1において正常な物理ブロックのアドレスを置き換えレジスタ761に登録する。
アドレスレジスタ42bでは、半導体記憶装置2への電源の供給が遮断される都度、ブロック状態レジスタ750,760及び置き換えレジスタ761に登録されているアドレスの情報が消去される懸念がある。この点、上記の構成によれば、メモリシステムの電源投入時に、ブロック状態レジスタ750,760及び置き換えレジスタ761に登録されているアドレスの情報を復帰させることができるため、上記の懸念を解消することが可能である。
【0120】
2 他の実施形態
本開示は上記の具体例に限定されるものではない。
例えば半導体記憶装置2が有する物理プレーンの数は、本実施形態のように4つに限らず、任意に変更可能である。
例えば各論理プレーンLPL0,LPL1に含まれる物理プレーンの数は、本実施形態のように2つに限らず、3つ以上であってもよい。また、論理プレーンの数は、本実施形態のように2つに限らず、1つ、あるいは3つ以上であってもよい。
【0121】
半導体記憶装置2の構造は、
図6に示されるような構造に限らず適宜変更可能である。例えば半導体記憶装置2は、
図14に示されるようなCBA(CMOS Bonding Array)構造を有するものであってもよい。
図14に示される半導体記憶装置2では、メモリセルアレイ110が設けられるメモリ部80と、周辺回路PERが設けられる制御回路部90とが別々に製造される。この半導体記憶装置2は、別々の製造されたメモリ部80と制御回路部90とを貼合面B1で貼り合わせて互いに接合させることにより構成される。メモリセルアレイ110と周辺回路PERとは、貼合面B1に設けられる配線層800,801及びビア810,811を介して互いに電気的に接続されている。
【0122】
図10に示されるアドレス登録部72を実現するための回路構成は、アドレスレジスタ42bとは別に設けられていてもよい。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施し得るものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれ、かつ特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0124】
BLK:物理ブロック、PPL0,PPL1,PPL2,PPL3:物理プレーン、2:半導体記憶装置、41:シーケンサ(第2アドレス登録部)、42b:アドレスレジスタ、70:第1ブロックアドレスレジスタ(第1レジスタ)、71:第2ブロックアドレスレジスタ(第2レジスタ)、72:アドレス登録部(第1アドレス登録部)、75:比較回路、76:変換回路、77:マルチプレクサ、750,760:ブロック状態レジスタ(第4レジスタ)、761:置き換えレジスタ(第3レジスタ)。