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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136543
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】列車監視システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20240927BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240927BHJP
   B61L 25/04 20060101ALI20240927BHJP
   B61D 19/02 20060101ALI20240927BHJP
   B61D 37/00 20060101ALI20240927BHJP
   B61K 13/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H04N7/18 J
B60L3/00 Q
B61L25/04
B61D19/02 Z
B61D37/00 G
B61K13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047690
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】金枝 杏奈
(72)【発明者】
【氏名】住吉 正紀
(72)【発明者】
【氏名】保谷 雅史
(72)【発明者】
【氏名】柄澤 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】小野 泰貴
【テーマコード(参考)】
5C054
5H125
【Fターム(参考)】
5C054CC02
5C054EA01
5C054EA05
5C054EA07
5C054FC12
5C054FC15
5C054FE18
5C054FE21
5C054FE28
5C054FF03
5C054GB01
5C054HA30
5H125AA05
5H125CD02
(57)【要約】
【課題】乗務員の業務を軽減する。
【解決手段】列車に搭載される列車監視システムであって、列車の先頭及び後尾に設置される、列車の前方又は後方を撮影する前方カメラと、列車の側面に設置され、列車の側方を撮影する側面カメラと、前記前方カメラ及び前記側面カメラが撮影した映像を表示する表示装置と、前記表示装置が表示する映像を切り換える制御装置とを備え、前記制御装置は、取得した列車の状態に応じて、前記前方カメラが撮影した映像と前記側面カメラが撮影した映像とから、前記表示装置に表示する映像を選択する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車に搭載される列車監視システムであって、
列車の先頭及び後尾に設置され、列車の前方又は後方を撮影する前方カメラと、
列車の側面に設置され、列車の側方を撮影する側面カメラと、
前記前方カメラ及び前記側面カメラが撮影した映像を表示する表示装置と、
前記表示装置が表示する映像を切り換える制御装置とを備え、
前記制御装置は、取得した列車の状態に応じて、前記前方カメラが撮影した映像と前記側面カメラが撮影した映像とから、前記表示装置に表示する映像を選択することを特徴とする列車監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の列車監視システムであって、
前記制御装置は、列車がプラットホームへの入線走行中は、前記前方カメラが列車の前方を撮影した映像と、前記側面カメラが列車の側方を撮影した映像とを、前記表示装置に表示する映像に選択することを特徴とする列車監視システム。
【請求項3】
請求項1に記載の列車監視システムであって、
前記制御装置は、列車がプラットホームからの出線走行中は、前記前方カメラが列車の前方を撮影した映像と、前記前方カメラが列車の後方を撮影した映像と、前記側面カメラが列車の側方を撮影した映像とを、前記表示装置に表示する映像に選択することを特徴とする列車監視システム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の列車監視システムであって、
前記制御装置は、前記列車を構成する車両の各々に設けられた前記側面カメラが各車両の側方を撮影した複数の映像から、列車全体の側方が確認可能な一部の映像を、前記表示装置に表示する映像に選択することを特徴とする列車監視システム。
【請求項5】
請求項1に記載の列車監視システムであって、
前記制御装置は、列車がプラットホームに停車している乗降ドアの開放中は、前記列車を構成する車両の各々に設けられた前記側面カメラが各車両の側方を撮影した複数の映像を、前記表示装置に表示する映像に選択することを特徴とする列車監視システム。
【請求項6】
請求項1に記載の列車監視システムであって、
前記制御装置は、列車がプラットホームから離れた走行中は、前記前方カメラが列車の前方を撮影した映像と、前記前方カメラが列車の後方を撮影した映像とを、前記表示装置に表示する映像に選択することを特徴とする列車監視システム。
【請求項7】
請求項1に記載の列車監視システムであって、
前記前方カメラ及び前記側面カメラが撮影した映像に異常が映っているかを判定する映像解析装置を備え、
前記映像解析装置は、前記制御装置が選択した前記表示装置に表示する映像を解析して異常な状態が映っているかを判定することを特徴とする列車監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車に搭載される列車監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
列車には、進行方向や後方を撮影するために乗務員室に設けられる前方カメラと、主に車両の側方を撮影し、乗客の乗降を監視する側面カメラが設けられる。
【0003】
また、ワンマン運転時の運転士の業務は、走行中の前方確認、駅停車中のホーム状況確認、ドア閉時の扉挟みや車側灯の確認などがある。さらに、ツーマン運転時の車掌業務は、ホーム入線時のホーム状況確認、駅通過時の線路内確認がある。ワンマン運転時には、側面カメラが撮影した映像を運転台に設置した表示装置に表示される。また、前方カメラが撮影した映像は、前方支障物の確認や保守に活用され、トラブル発生時の原因究明のために記録装置に記録される。このように前方カメラと側面カメラは別個に管理され、異なる用途に使用される。
【0004】
本技術分野の背景技術として、以下の先行技術がある。例えば、特許文献1(特開2018-113602号公報)には、列車を編成する車両の少なくともドア付近を撮像するカメラと、前記カメラによって撮影されたカメラ映像を表示するモニタとを、前記列車に搭載した監視システムにおいて、車両の両側それぞれに設けられた複数のドアの各々に対して前記カメラが配置され、前記モニタのディスプレイ領域を複数のエリアに分割し、各車両のカメラによって撮影された複数のカメラ映像を各エリアにそれぞれ割り当てて表示させる制御を行う表示制御部を備え、前記表示制御部は、前記列車の進行方向を示す情報と、前記ドアが開く側を示す情報とに基づいて、各エリアに対する前記カメラ映像の割り当てを制御することを特徴とする監視システムが記載されている。
【0005】
また、特許文献2(国際公開2020/179167号)には、列車に搭載され、当該列車の周囲を異なる側から撮像する複数のカメラが用いられた列車監視装置が用いられた列車監視システムであって、前記列車監視装置は、前記列車が駅に停車する際に、複数の前記カメラのうちのいずれかを、前記列車の進行方向における後方を撮像する後方撮像カメラとして選定し、前記列車が前記駅から発車した後において、前記後方撮像カメラによって撮像した映像データを入手し、当該映像データを外部に送信させる動作をする制御部を具備することを特徴とする列車監視システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-113602号公報
【特許文献2】国際公開2020/179167号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように前方カメラと側面カメラは別個に管理され、異なる用途に使用されるが、前方カメラと側面カメラを総合的に管理し、乗務員業務の軽減が求められている。
【0008】
本発明は、前方カメラ、側面カメラ、映像表示装置を同一ネットワークに構築して、車両状態に従って、表示映像を選択して、ワンマン運行支援や自動運転に貢献することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、列車に搭載される列車監視システムであって、列車の先頭及び後尾に設置され、列車の前方又は後方を撮影する前方カメラと、列車の側面に設置され、列車の側方を撮影する側面カメラと、前記前方カメラ及び前記側面カメラが撮影した映像を表示する表示装置と、前記表示装置が表示する映像を切り換える制御装置とを備え、前記制御装置は、取得した列車の状態に応じて、前記前方カメラが撮影した映像と前記側面カメラが撮影した映像とから、前記表示装置に表示する映像を選択することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一例の列車監視システムでは、前記制御装置は、列車がプラットホームへの入線走行中は、前記前方カメラが列車の前方を撮影した映像と、前記側面カメラが列車の側方を撮影した映像とを、前記表示装置に表示する映像に選択することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一例の列車監視システムでは、前記制御装置は、列車がプラットホームからの出線走行中は、前記前方カメラが列車の前方を撮影した映像と、前記前方カメラが列車の後方を撮影した映像と、前記側面カメラが列車の側方を撮影した映像とを、前記表示装置に表示する映像に選択することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一例の列車監視システムでは、前記制御装置は、前記列車を構成する車両の各々に設けられた前記側面カメラが各車両の側方を撮影した複数の映像から、列車全体の側方が確認可能な一部の映像を、前記表示装置に表示する映像に選択することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一例の列車監視システムでは、前記制御装置は、列車がプラットホームに停車している乗降ドアの開放中は、前記列車を構成する車両の各々に設けられた前記側面カメラが各車両の側方を撮影した複数の映像を、前記表示装置に表示する映像に選択することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一例の列車監視システムでは、前記制御装置は、列車がプラットホームから離れた走行中は、前記前方カメラが列車の前方を撮影した映像と、前記前方カメラが列車の後方を撮影した映像とを、前記表示装置に表示する映像に選択することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一例の列車監視システムは、前記前方カメラ及び前記側面カメラが撮影した映像に異常が映っているかを判定する映像解析装置を備え、前記映像解析装置は、前記制御装置が選択した前記表示装置に表示する映像を解析して異常な状態が映っているかを判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、車両状態に従って選択された映像の表示によって、乗務員の業務を軽減できる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例の列車監視システムの構成を示す図である。
図2】本実施例の制御装置が取得する車両信号の例を示す図である。
図3】本実施例の制御装置の記憶装置に格納される判定表を示す図である。
図4】本実施例の列車の走行から駅停車、出線までの映像表示装置による監視対象を示す図である。
図5】本実施例の列車の駅通過時の映像表示装置による監視対象を示す図である。
図6】本実施例の映像表示装置の表示例を示す図である。
図7】本実施例の映像表示装置の表示例を示す図である。
図8】本実施例の映像表示装置の表示例を示す図である。
図9】本実施例の映像表示装置の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施例の列車監視システムの構成を示す図であり、4両編成の列車に搭載された列車監視システムの構成を示す図である。
【0019】
本実施例の列車監視システムは、車両51~54の4両で編成された列車に適用されている。先頭車両51には、4台の側面カメラ511~514と、ネットワークスイッチ515が設けられる。車両51の一側面には車両側方(特に乗降ドアから乗降する乗客)を撮影する側面カメラ511、512が設けられ、他の側面には車両側方(特に乗降ドアから乗降する乗客)を撮影する側面カメラ513、514が設けられる。先頭車両51には運転室があり、運転室内に映像表示装置516と前方カメラ517が設けられる。先頭車両51には、制御装置518と映像解析装置519が設けられる。ネットワークスイッチ515は、当該車両の側面カメラ511~514、映像表示装置516、前方カメラ517、制御装置518及び映像解析装置519を接続し、さらに、隣接車両52のネットワークスイッチ525と接続される。ネットワークスイッチ515を含めた列車ネットワークには、有線又は無線のネットワークを使用できる。
【0020】
中間車両52には、4台の側面カメラ521~524と、ネットワークスイッチ525が設けられる。車両52の一側面には車両側方(特に乗降ドアから乗降する乗客)を撮影する側面カメラ521、522が設けられ、他の側面には車両側方(特に乗降ドアから乗降する乗客)を撮影する側面カメラ523、524が設けられる。ネットワークスイッチ525は、当該車両の側面カメラ511~514を接続し、さらに、隣接車両51、53のネットワークスイッチ515、535と接続される。
【0021】
中間車両53には、中間車両52と同様に、4台の側面カメラ531~534と、ネットワークスイッチ535が設けられる。後尾車両54には、先頭車両51と同様に、4台の側面カメラ541~544と、ネットワークスイッチ545と、映像表示装置546と、前方カメラ547と、制御装置518が設けられる。後尾車両54の前方カメラ547は列車の後方を撮影する。
【0022】
以下、先頭車両51に搭載される各機器の動作を説明するが、他の車両52~54に搭載される機器も同様に動作する。
【0023】
映像表示装置516は、各車両のカメラが撮影した映像を表示する表示装置である。映像表示装置516は、各車両のカメラが撮影した映像を表示する表示部と、制御装置518への指示を入力するための操作部を有する。タッチパネルで操作部を構成し、操作部と表示部を一体に構成してもよい。
【0024】
制御装置518は、乗務員による映像表示装置516の操作によって列車監視システムの動作を制御する。制御装置518には、列車の運行制御装置(図示省略)が接続されるため、列車の状況、例えば停車している駅、走行速度、この駅のプラットホームがどちら側にあるか、乗降ドアの開閉状態などの車両状態を示す車両信号を取得する。制御装置518が運行制御装置から取得する車両信号は、例えば図2に示すように、先頭車、後尾車又は中間車であるかを示すCabSeS信号、ホーム検知センサがホームを検知していることを示すホーム検知信号、路線の起点からの線路上の位置を示すキロ程信号、列車の停止を示す停止信号、乗降ドアの開扉を示すドア開信号、乗降ドアの閉扉を示すドア閉信号、及び速度が5km/h超を示す5km/h超過信号を取得する。
【0025】
制御装置518は、CabSeS信号によって列車の進行方向を判定でき、ホーム検知信号によって列車がプラットホームにかかっているかを判定でき、キロ程信号によって列車の停車位置を判定でき、停止信号によって列車の走行又は停止を判定でき、ドア開信号及びドア閉信号によって乗降ドアの開閉を判定でき、5km/h超過信号によって列車の発車を判定できる。
【0026】
映像解析装置519は、列車の全ての側面カメラ511~514、521~524、531~534、541~544及び前方カメラ517、547が撮影した映像を記録する不揮発性記録装置(磁気ディスク装置や不揮発性メモリ等)を有し、入力された映像を解析し、異常が検出された(例えば、プラットホーム上の点字ブロックより線路側に物体が検出された)場合、映像表示装置516に異常を表示するためのデータを出力する。映像解析装置519は、異常が映っている映像と異常の場所及び種別で学習した機械学習モデルを利用して異常を検出するとよい。特に、映像解析装置519は、後述する制御装置518が映像表示装置516に表示する映像として選択した映像を解析して異常を検出すると、監視が必要な映像から的確に異常を検出できてよい。
【0027】
制御装置518、548は、例えば、一つ又は複数のMPU(Micro Processing Unit)やCPU(Central Processing Unit)等のプログラムを実行する各種演算装置、及びRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の各種記憶装置を有し、記憶装置に格納されたプログラムを演算装置が実行することによって、制御装置518、548の機能を提供する。
【0028】
同様に、映像解析装置519は、例えば、一つ又は複数のMPU(Micro Processing Unit)やCPU(Central Processing Unit)等のプログラムを実行する各種演算装置、及びRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の各種記憶装置を有し、記憶装置に格納されたプログラムを演算装置が実行することによって、映像解析装置519の機能を提供する。
【0029】
また、制御装置518、映像解析装置519の一つ又は両方は、映像表示装置516と別個に構成されても、映像表示装置516に内蔵されてもよい。また、制御装置548は、映像表示装置546と別個に構成されても、映像表示装置546に内蔵されてもよい。
【0030】
次に、制御装置518が実行する処理を説明する。なお、後尾車両54の制御装置548も同じ処理を実行する。
【0031】
図3は、制御装置518の記憶装置に格納される判定表を示す図であり、図4は、列車の走行から駅停車、出線までの映像表示装置516、546による監視対象を示す図である。
【0032】
制御装置518は、運行制御装置から取得した車両信号を所定のタイミング(例えば、所定の時間間隔)で判定表(図3)を参照して判定し、判定された車両状態に従って、表示する映像を選択して、映像表示装置516、546の画面に表示される映像を切り換える。
【0033】
ホーム検知信号がOFF、停止信号がOFF、ドア開信号がOFF、ドア閉信号がON、かつ5km/h超過信号がONである場合、列車は走行中と判定し、映像表示装置516、546に表示Dの映像(図9参照)を表示する。表示Dの映像は、図9に示すように、先頭車両(1号車)51の前方カメラ517が撮影した映像と、後尾車両(4号車)54の前方カメラ547が撮影した映像を選択して、選択された映像を並べて表示する。表示Dによって、前方の支障物(例えば線路内への人立ち入り)と後方の落下物を確認でき、ワンマン運転時にも走行安全性を向上できる。
【0034】
前述した走行中にホーム検知信号ONの立ち上がりを検出し、ホーム検知信号がON、停止信号がOFF、ドア開信号がOFF、ドア閉信号がON、かつ5km/h超過信号がONとなった場合、列車はプラットホームに入線中と判定し、映像表示装置516、546に表示Aの映像(図6参照)を表示する。表示Aの映像は、図6に示すように、先頭車両(1号車)51の前方カメラ517が撮影した映像と、プラットホーム側の側面カメラが撮影した映像を選択して、選択された映像を並べて表示する。側面カメラが撮影した映像は、1号車から後方を撮影する側面カメラ511と3号車から後方を撮影する側面カメラ531が撮影した映像を表示して、編成全体の側方を表示するとよい。図6では、車両が動いている間の映像の動きによって映像の詳細の確認が困難であることを考慮し、側面カメラが撮影した二つの映像を並べて表示する例を示すが、列車の編成やカメラの特性(例えば映像の解像度や画角)によって、表示される映像の数は一つでも、三つ以上でもよい。このとき、編成全体の側方が確認可能なように、例えば1両おきに側面カメラの映像を選択してもよい。表示Aによって、プラットホーム入線時の前方の支障物とプラットホームの状況(例えばプラットホーム上の点字ブロックより線路側の物体)を確認でき、ワンマン運転時にも走行安全性を向上できる。なお、図6の表示Aは、図9の表示Dから1号車前方カメラの表示は維持しつつ、4号車前方カメラの表示エリアを側方カメラの表示に切り替えたものである。これにより、1号車前方カメラの映像はそのままでプラットホームを撮影する側方カメラが表示されるので、運転士又は乗務員の視認性が良く、目視確認が容易になる。
【0035】
ホーム検知信号がON、停止信号がON、ドア開信号がOFF、ドア閉信号がON、かつ5km/h超過信号がOFFである場合、列車はプラットホームに停車中で乗降ドアが閉まっていると判定し、映像表示装置516、546に表示Bの映像(図7参照)を表示する。表示Bの映像は、図7に示すように、各車両のプラットホーム側の側面カメラが撮影した映像を選択して、選択された映像を並べて表示する。側面カメラが撮影した映像は、各車両から後方を撮影する側面カメラ511、521、531、541が撮影した映像を表示して、列車側面の全部を表示するとよい。図7では、各車両の側面カメラ511、521、531、541が撮影した四つの映像を並べて表示する例を示すが、列車の編成やカメラの特性(例えば映像の解像度)によっては、表示される映像の数は一つでも、二つ以上の任意の数でもよい。表示Bによって、駅停車後のプラットホームの状況(例えばプラットホームからの転落)を確認でき、ワンマン運転時にも開扉時の乗客の安全性を向上できる。
【0036】
ホーム検知信号がON、停止信号がON、ドア開信号がON、ドア閉信号がOFF、かつ5km/h超過信号がOFFである場合、列車はプラットホームに停車中で乗降ドアが開いていると判定し、映像表示装置516、546に表示Bの映像(図7参照)を表示する。表示Bの映像は、図7に示すように、各車両のプラットホーム側の側面カメラが撮影した映像を選択して、選択された映像を並べて表示する。側面カメラが撮影した映像は、各車両から後方を撮影する側面カメラ511、521、531、541が撮影した映像を表示して、列車側面の全部を表示するとよい。図7では、各車両の側面カメラ511、521、531、541が撮影した四つの映像を並べて表示する例を示すが、列車の編成やカメラの特性(例えば映像の解像度)によっては、表示される映像の数は一つでも、二つ以上の任意の数でもよい。表示Bによって、駅停車時の乗客の乗降状態(例えばプラットホームからの転落、ドア挟み、プラットホーム上の点字ブロックより線路側の物体)を確認でき、ワンマン運転時にも閉扉時の乗客の安全性を向上できる。
【0037】
前述した停車中に5km/h超過信号ONの立ち上がりを検出し、ホーム検知信号がON、停止信号がOFF、ドア開信号がOFF、ドア閉信号がON、かつ5km/h超過信号がONとなった場合、列車は走行を開始したと判定し、映像表示装置516、546に表示Cの映像(図8参照)を表示する。表示Cの映像は、図8に示すように、先頭車両(1号車)51の前方カメラ517が撮影した映像と、後尾車両(4号車)54の前方カメラ547が撮影した映像と、プラットホーム側の側面カメラが撮影した映像を選択して、選択された映像を選択して、選択された映像を並べて表示する。側面カメラが撮影した映像は、1号車から後方を撮影する側面カメラ511と3号車から後方を撮影する側面カメラ531が撮影した映像を表示して、列車側面の全部を表示するとよい。また、前方カメラ517、547が撮影した映像は、より遠くまで視認できるように、縦並びの2分割ではなく横並びの2分割で表示するとよい。図8では、車両が動いている間の映像の動きによって映像の詳細の確認が困難であることを考慮し、側面カメラが撮影した二つの映像を並べて表示する例を示すが、列車の編成やカメラの特性(例えば映像の解像度)によっては、表示される映像の数は一つでも、三つ以上でもよい。このとき、列車全体が確認可能なように、例えば1両おきに側面カメラの映像を選択してもよい。表示Cによって、駅からの発車時の前方の支障物(例えば線路内への人立ち入り)と後方の落下物(例えば線路内への人立ち入り)とプラットホームの状況(例えば、乗客のドア挟み、乗客の引きずり、プラットホーム上の点字ブロックより線路側の物体)を確認でき、ワンマン運転時にも走行安全性を向上できる。
【0038】
その後、ホーム検知信号がOFF、停止信号がOFF、ドア開信号がOFF、ドア閉信号がON、かつ5km/h超過信号がONとなった場合、列車はホームを出線して走行中と判定し、映像表示装置516、546に表示Dの映像(図9参照)を表示する。表示Dの映像は、図9に示すように、先頭車両(1号車)51の前方カメラ517が撮影した映像と、後尾車両(4号車)54の前方カメラ547が撮影した映像とを並べて表示する。
【0039】
前述した制御装置518による映像切換は、駅停車時の安全確認だけでなく、駅通過時の安全確認にも適用できる。図5は、列車の駅通過時の映像表示装置516、546による監視対象を示す図である。
【0040】
ホーム検知信号がOFF、停止信号がOFF、ドア開信号がOFF、ドア閉信号がON、かつ5km/h超過信号がONである場合、列車は走行中と判定し、映像表示装置516、546に表示Dの映像(図9参照)を表示する。
【0041】
前述した走行中にホーム検知信号ONの立ち上がりを検出し、ホーム検知信号がON、停止信号がOFF、ドア開信号がOFF、ドア閉信号がON、かつ5km/h超過信号がONとなった場合、列車はプラットホームに入線し、プラットホームを通過中と判定し、映像表示装置516、546に表示Aの映像(図6参照)を表示する。表示Aによって、プラットホーム通過時の前方の支障物とプラットホームの状況(例えばプラットホーム上の点字ブロックより線路側の物体)を確認でき、ワンマン運転時にも走行安全性を向上できる。
【0042】
その後、ホーム検知信号OFFの立ち下がりを検出し、ホーム検知信号がOFF、停止信号がOFF、ドア開信号がOFF、ドア閉信号がON、かつ5km/h超過信号がONとなった場合、列車はホームを出線して走行中と判定し、映像表示装置516、546に表示Dの映像(図9参照)を表示する。表示Dの映像は、図9に示すように、先頭車両(1号車)51の前方カメラ517が撮影した映像と、後尾車両(4号車)54の前方カメラ547が撮影した映像とを並べて表示する。
【0043】
以上に説明したように、本発明の実施例によると、車両状態に従って選択された映像の表示によって、乗務員の業務を軽減でき、特にワンマン運行時の乗務員を支援できる。また、車両状態に従って選択された映像から異常を検出するので、異常検出の計算機リソースを抑制でき、異常が発見される可能性が高い映像から的確に異常を検出でき、自動運転に貢献できる。
【0044】
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。
【0045】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0046】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
【0047】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0048】
51 先頭車両
52、53 中間車両
54 後尾車両
511、512、513、514、521、522、523、524、531、532、533、534、541、542、543、544 側面カメラ
515、525、535、545 ネットワークスイッチ
516、546 映像表示装置
517、547 前方カメラ
518、548 制御装置
519 映像解析装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9