(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136544
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】インプリント用マスターモールドの作製方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20240927BHJP
B29C 59/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L21/30 502D
B29C59/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047692
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】510018649
【氏名又は名称】コネクテックジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】小松 裕司
(72)【発明者】
【氏名】酒井 大介
【テーマコード(参考)】
4F209
5F146
【Fターム(参考)】
4F209AF01
4F209AG05
4F209AH33
4F209PA02
4F209PB01
4F209PQ11
5F146AA32
(57)【要約】
【課題】所望の順テーパー形状に形成した構造体を基材上に形成することができるインプリント用マスターモールドの作製方法を提供する。
【解決手段】基材1上に所定膜厚のレジスト3を塗布する塗布工程と、基材1上に塗布されたレジスト3を、マスク4を介して露光する露光工程と、露光したレジスト3を現像する現像工程とを含み、露光工程は、現像工程における現像により形成されるレジスト3で構成される構造体2の側面形状が順テーパーとなるように、露光量を、基材1上に塗布するレジスト3の全厚みが感光する最小露光量(Df)の2倍以下の露光量に設定して前記レジスト3の所定部位を露光する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に、配線パターンやバンプパターン等の所定パターンに形成された構造体を有するインプリント用マスターモールドの作製方法であって、前記基材上に所定膜厚のレジストを塗布する塗布工程と、前記基材上に塗布された前記レジストを、マスクを介して露光する露光工程と、露光した前記レジストを現像する現像工程とを含み、前記露光工程は、前記現像工程における現像により形成される前記レジストで構成される構造体の側面形状が順テーパーとなるように、露光量を下記Dfの2倍以下の露光量に設定して前記レジストの所定部位を露光することを特徴とするインプリント用マスターモールドの作製方法。
記
Df:基材上に塗布するレジストの全厚みが感光する最小露光量
【請求項2】
請求項1記載のインプリント用マスターモールドの作製方法において、前記露光工程において、前記マスクとして、透光部及び遮光部で構成されるバイナリーマスクを用い、且つ、前記露光量を下記D0~前記Dfに設定することを特徴とするインプリント用マスターモールドの作製方法。
記
D0:基材上に塗布するレジストが感光し始める露光量
【請求項3】
請求項1記載のインプリント用マスターモールドの作製方法において、前記露光工程において、前記マスクとして、透光部、遮光部及びグレースケール部で構成されるグレースケールマスクを用いることを特徴とするインプリント用マスターモールドの作製方法。
【請求項4】
請求項3記載のインプリント用マスターモールドの作製方法において、前記グレースケール部は、前記透光部の開口縁に沿って設けられていることを特徴とするインプリント用マスターモールドの作製方法。
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項に記載のインプリント用マスターモールドの作製方法において、前記露光量は、予め確知した前記レジストの所定厚における露光量と前記順テーパーのテーパー角度との関係データに基づいて決定されたものであることを特徴とするインプリント用マスターモールドの作製方法。
【請求項6】
請求項1~4いずれか1項に記載のインプリント用マスターモールドの作製方法において、前記基材として、透光性を有するものを用い、前記レジストとして、ネガ型のレジストを用い、また、前記基材の表面に前記マスクを形成するマスク形成工程を含み、前記露光工程は、前記基材の裏面側から光を照射し、前記基材の表面に形成された前記マスクを介して前記レジストを露光することを特徴とするインプリント用マスターモールドの作製方法。
【請求項7】
請求項5記載のインプリント用マスターモールドの作製方法において、前記基材として、透光性を有するものを用い、前記レジストとして、ネガ型のレジストを用い、また、前記基材の表面に前記マスクを形成するマスク形成工程を含み、前記露光工程は、前記基材の裏面側から光を照射し、前記基材の表面に形成された前記マスクを介して前記レジストを露光することを特徴とするインプリント用マスターモールドの作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリント用マスターモールドの作製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、インプリント法を用いた配線形成方法に関し、特許文献1に開示される技術(以下、「従来技術」という。)を提案している。
【0003】
この従来技術は、
図13に示すように、基板10上に形成する配線パターンやバンプパターンと同様のパターンの凹部21が形成されたレプリカモールド20の前記凹部21に導電性ペースト22を充填し、この凹部21に導電性ペースト22が充填されたレプリカモールド20を基板10に重ね合わせて加圧(圧接)することで、このレプリカモールド20の凹部21内の導電性ペースト22を基板10に転写して、基板10上に所定パターンの配線11やバンプを形成するものである。
【0004】
ところで、この従来技術に用いるレプリカモールド20は、
図14に示すように、基材上に配線パターンやバンプパターンを表した構造体(凸体)を有するマスターモールド30(原版)を用いて作製されるものであり、このマスターモールド30の構造体は、基材31そのものをエッチングして形成したり(
図14(a)参照)、基材31上に塗布したレジスト32をパターニングして形成されている(
図14(b)参照)。
【0005】
このマスターモールドの構造体をレジストで形成する場合、従来、レジストを十分な露光量で露光しており、これにより、構造体は、側面形状が基材に対してほぼ垂直な形状となっている。
【0006】
しかしながら、構造体の側面形状が基材に対してほぼ垂直形状であると、レプリカモールドを形成する際の重合加圧時にマスターモールドの構造体が一時的に逆テーパー形状に変形する場合があり、適正な転写ができなくなるおそれがある。
【0007】
したがって、レプリカモールドの作製をスムーズに、且つ、歩留り良く行うためには、マスターモールドの構造体の基材に対する側面形状を順テーパー形状とすることが好ましいが、このマスターモールドの構造体の形状は、そのままレプリカモールドの凹部形状に反映し、さらに、このレプリカモールドの凹部形状はそのまま基板上に形成される配線やバンプの形状に反映し、たとえば、テーパー角度が大きくなりすぎると微細化や高アスペクト化に支障が生じてしまうことから、単にテーパー形状とするだけではなく、目的とするパターンのサイズ、ピッチ、アスペクト等を考慮した適正なテーパー角度の順テーパー形状に形成しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、これまでマスターモールドの構造体の側面形状のテーパー角度を簡易に制御する方法は確立されておらず、現状は、マスターモールドの構造体の側面形状を所望のテーパー角度の順テーパー形状にするためには、多くの煩雑な作業を要し、工数とコストがかかる作業となっている。
【0010】
本発明はこのような現状に鑑みなされたものであり、目的とするパターンのサイズ、ピッチ、アスペクト等を考慮した最適なテーパー角度の順テーパー形状に形成した構造体を基材上に容易に形成することができるインプリント用マスターモールドの作製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0012】
基材1上に、配線パターンやバンプパターン等の所定パターンに形成された構造体2を有するインプリント用マスターモールドの作製方法であって、前記基材1上に所定膜厚のレジスト3を塗布する塗布工程と、前記基材1上に塗布された前記レジスト3を、マスク4を介して露光する露光工程と、露光した前記レジスト3を現像する現像工程とを含み、前記露光工程は、前記現像工程における現像により形成される前記レジスト3で構成される構造体2の側面形状が順テーパーとなるように、露光量を下記Dfの2倍以下の露光量に設定して前記レジスト3の所定部位を露光することを特徴とするインプリント用マスターモールドの作製方法に係るものである。
記
Df:基材1上に塗布するレジスト3の全厚みが感光する最小露光量
【0013】
また、請求項1記載のインプリント用マスターモールドの作製方法において、前記露光工程において、前記マスク4として、透光部4a及び遮光部4bで構成されるバイナリーマスクを用い、且つ、前記露光量を下記D0~前記Dfに設定することを特徴とするインプリント用マスターモールドの作製方法に係るものである。
記
D0:基材1上に塗布するレジスト3が感光し始める露光量
【0014】
また、請求項1記載のインプリント用マスターモールドの作製方法において、前記露光工程において、前記マスク4として、透光部4a、遮光部4b及びグレースケール部4cで構成されるグレースケールマスクを用いることを特徴とするインプリント用マスターモールドの作製方法に係るものである。
【0015】
また、請求項3記載のインプリント用マスターモールドの作製方法において、前記グレースケール部4cは、前記透光部4aの開口縁に沿って設けられていることを特徴とするインプリント用マスターモールドの作製方法に係るものである。
【0016】
また、請求項1~4いずれか1項に記載のインプリント用マスターモールドの作製方法において、前記露光量は、予め確知した前記レジスト3の所定厚における露光量と前記順テーパーのテーパー角度との関係データに基づいて決定されたものであることを特徴とするインプリント用マスターモールドの作製方法に係るものである。
【0017】
また、請求項1~4いずれか1項に記載のインプリント用マスターモールドの作製方法において、前記基材1として、透光性を有するものを用い、前記レジスト3として、ネガ型のレジスト3を用い、また、前記基材1の表面に前記マスク4を形成するマスク形成工程を含み、前記露光工程は、前記基材1の裏面側から光を照射し、前記基材1の表面に形成された前記マスク4を介して前記レジスト3を露光することを特徴とするインプリント用マスターモールドの作製方法に係るものである。
【0018】
また、請求項5記載のインプリント用マスターモールドの作製方法において、前記基材1として、透光性を有するものを用い、前記レジスト3として、ネガ型のレジスト3を用い、また、前記基材1の表面に前記マスク4を形成するマスク形成工程を含み、前記露光工程は、前記基材1の裏面側から光を照射し、前記基材1の表面に形成された前記マスク4を介して前記レジスト3を露光することを特徴とするインプリント用マスターモールドの作製方法に係るものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は上述のようにしたから、目的とするパターンのサイズ、ピッチ、アスペクト等を考慮した最適なテーパー角度の順テーパー形状に形成したレジストで構成される構造体を基材上に容易に形成することができるインプリント用マスターモールドの作製方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明における構造体の形成例の概略説明図である。
【
図2】実施例1におけるレジストの感光特性説明図である。
【
図4】実施例1におけるレジスト(SU-8)の感光特性を示すグラフである。
【
図5】実施例1のネガ型のレジストを用いた場合において、所定膜厚における露光量を変えて露光した構造体のSEM画像である。
【
図6】実施例1のポジ型のレジストを用いた場合において、所定膜厚における露光量を変えて露光した構造体のSEM画像である。
【
図8】実施例2において、ネガ型のレジストを用いる場合のマスク(グレースケールマスク)を示す概略図である。
【
図9】実施例2におけるグレースケールマスクを用いた場合の露光時の光強度分布を示す説明図(原理の説明)である。
【
図10】実施例2におけるグレースケールマスクを用いた場合の露光時の光強度分布を示す説明図(実際の分布)である。
【
図11】実施例2におけるバイナリーマスクを用いた場合の露光時の光強度分布を示す説明図(実際の分布)である。
【
図12】実施例2において、ポジ型のレジストを用いる場合のマスク(グレースケールマスク)を示す概略図である。
【
図13】従来例におけるレプリカモールドを用いた配線形成方法の断面模式図である。
【
図14】従来例におけるマスターモールドの作製方法及びマスターモールドを用いたレプリカモールドの作製方法を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0022】
基材1上にレジスト3を塗布し、この基材1上に塗布したレジスト3を、マスク4を介して露光し、この露光したレジスト3を現像してレジスト3で構成される構造体2を形成する。
【0023】
本発明は、上記作業において、レジスト3を露光する際の露光量を、Df(基材1上に塗布するレジスト3の全厚みが感光する最小露光量)の2倍以下に設定して露光するから、
図1(a)に示すように、マスク4の透光部4a(開口部)の縁部(端部)近傍におけるレジスト3が、このレジスト3の膜厚方向に対して光量が減衰する条件(Dfよりも小さい露光量)で露光され、これにより、
図1(b)に示すような基材1に対して側面形状が順テーパー形状となる構造体2を容易に形成することができる。
【0024】
すなわち、たとえば、マスク4を介してレジスト3を露光する場合、光の回折現象によりマスク4の透光部4aの縁部近傍は中央部に比べて光量が弱まるため、マスク4の透光部4aの縁部近傍においてはレジスト3の膜厚方向に対して感光作用が低下する現象が生じる。したがって、露光量を基材1上に塗布するレジスト3の全厚みが感光する最小露光量(Df)の2倍以下に設定することで、
図2に示すように、マスク4の透光部4aの縁部近傍において縁側に行くにつれ露光量が低下し、これに伴いレジスト3の膜厚方向における感光作用も縁側に行くにつれ低下し、これにより、順テーパー形状の構造体2を得ることが可能となる。
【0025】
また、たとえば、マスク4の透光部4aの縁部にグレースケール部4cを有するグレーススケールマスクを用いることで、上述した光の回折現象に加え、グレースケール部4cの作用により露光量を空間的に変化させることができ、よりテーパー角度が大きい順テーパー形状の構造体2を得ることが可能となる。
【実施例0026】
本発明の具体的な実施例1について
図1~
図6に基づいて説明する。
【0027】
本実施例は、基材1上に、配線パターンやバンプパターン等の所定パターンに形成された構造体2を有するインプリント用マスターモールドの作製方法である。
【0028】
具体的には、基材1上にマスク4を形成するマスク形成工程と、このマスク4上にレジスト3を塗布する塗布工程と、前記マスク4上に塗布されたレジスト3を、前記マスク4を介して露光する露光工程と、露光した前記レジスト3を現像する現像工程とを含むものである。
【0029】
すなわち、本実施例は、露光工程においてフォトマスクを用いず、基材1上に形成したマスク4を介してレジスト3を所定のパターンに形成し、レジスト3で構成される構造体2を形成するものである。
【0030】
なお、本実施例は、レジスト3として、厚膜用のネガ型のレジスト3を用いる場合であり、このネガ型のレジスト3を用いる場合、露光の際、レジスト3の表面側から光を照射すると構造体2が基材1に対して逆テーパー形状になるため、光の照射は基材1側からとなる。そのため、基材1には、透光性を有するものを用いる。
【0031】
具体的には、本実施例では、レジスト3として、日本化薬株式会社製のSU-8を用い、また、基材1には、ガラス製のものを用いている。
【0032】
以下、上記基材1とレジスト3を用いた本実施例のインプリント用マスターモールドの作製方法における各工程について詳述する。
【0033】
まず、マスク形成工程において、ガラス製基材1上に所定パターンのマスク4を形成する。
【0034】
具体的には、基材1上にマスク4を形成するためのマスク用膜5を成膜し、このマスク用膜5をエッチング処理により所定パターンに形成する。本実施例では、マスク用膜5としてCrをスパッタリングにより基材1上に成膜し(
図3(b)参照)、このCr膜5上にレジスト(本実施例では東京応化工業社製のポジ型レジスト OFPRを使用。)を塗布し、所定のフォトマスクを介して露光、現像した後、前記レジストを介してCr膜5をエッチング処理し(
図3(c)参照)、エッチング処理後に前記レジストを除去して、透光部4a(開口部)及び遮光部4bで構成されるバイナリーマスクを形成する(
図3(d)参照)。
【0035】
なお、マスク用膜5の膜厚は、露光工程における露光時に遮光性を発揮し得る厚さであれば良い(本実施例では、60nm ~ 120nm(露光条件により適宜変更)に設定している。)。
【0036】
また、マスク用膜5は、Crに限定されるものではなく、本実施例と同様の作用効果を発揮し得るものであれば適宜採用可能である。
【0037】
続いて、塗布工程において、基材1上に構造体2を形成するためのレジスト3、言い換えると、構造体2となるレジスト3を塗布する。
【0038】
具体的には、基材1上に形成したマスク4上に所定膜厚のレジスト3(SU-8)を塗布する(
図3(e)参照)。
【0039】
なお、構造体2を形成するためのレジスト3は上記に限定されるものではない。
【0040】
続いて、露光工程において、前記レジスト3を露光する。
【0041】
具体的には、ガラス製基材1の裏面側から光を照射し、ガラス製基材1とレジスト3との間に設けられたマスク4を介してレジスト3を露光する(
図3(f)参照)。
【0042】
また、露光量は、現像により形成される構造体2の基材1に対する側面形状が順テーパーとなるように、下記Dfの2倍以下、好ましくは、下記D0~Dfに設定する。
記
D0:基材1上に塗布するレジスト3が感光し始める露光量
Df:基材1上に塗布するレジスト3の全厚みが感光する最小露光量
【0043】
より具体的には、露光量は、予め確知したレジスト3の所定厚における露光量と順テーパーのテーパー角度との関係データに基づき、目的のテーパー角度に応じた上記範囲の露光量に設定して行う。
【0044】
D0及びDfは、たとえば、メーカーが開示しているデータシートなどから確知することができる。本実施例の場合、
図4に示す、Kayaku Advanced Materials, Inc.(カヤク アドヴァンスド マテリアルズ社)のSU-8に関するデータシート(https://kayakuam.com/wp-content/uploads/2020/09/KAM-SU-8-2-25-Datasheet-9.3.20-final.pdf)からD0及びDfを確知している。
【0045】
本実施例では、この確知したD0及びDfに基づき、実験によりレジスト3の所定膜厚における露光量と順テーパーのテーパー角度との関係データを取得し、この関係データに基づき、目的のテーパー角度に応じた露光量に設定している。
【0046】
具体的には、本実施例では、径が異なるバンプパターンや線幅が異なる配線パターンを有するTEGパターンを用い、
図5に示すような、所定膜厚において、露光量を変えて露光したサンプルを作製し、このサンプルにおけるバンプパターンや配線パターン(
図5はバンプパターン)のSEM画像等からテーパー角度を求め、所定膜厚における露光量と順テーパーのテーパー角度との関係データを取得している。
【0047】
たとえば、
図5からは、下表1のような露光量とテーパー角度との関係データを取得することができ、このデータ(テーパー角度)に基づき、露光量を設定したり、あるいは、露光量を決定するための算出式を作成し、この算出式を用いて露光量を設定することができる。
【0048】
【0049】
最後に、現像工程において、露光処理したレジスト3を現像する。
【0050】
本実施例は、ネガ型のレジスト3を用いているので、露光処理した部分のレジスト3が残存し、この残存したレジスト3により側面形状が所望のテーパー形状(テーパー角度)に形成された構造体2が形成され、マスターモールドが完成する(
図3(g)参照)。
【0051】
なお、本実施例は上記のとおり、ネガ型のレジスト3を用いた場合であるが、レジスト3として、ポジ型のレジスト3を用いても良い。
【0052】
ポジ型のレジスト3を用いる場合は、マスク形成工程は不要であり、露光工程においてフォトマスクを用いる。
【0053】
また、ポジ型のレジスト3は、ネガ型のレジスト3とは逆に、露光部位がなくなるため、
図1に示すように、露光工程において、レジスト3の表面側から露光し、残ったレジスト3が構造体2となる。
【0054】
また、
図6は、レジスト3として、東京応化工業社製 PMER P-LA900を用い、ネガ型のレジスト3の場合と同様のTEGパターンを用い、所定膜厚において、露光量を変えて露光したサンプルにおける構造体2の形状を示すものである。
【0055】
この
図6に示すように、ポジ型のレジスト3の場合も、ネガ型のレジスト3と同様、露光量を変化させることで構造体2のテーパー角度が変化することが確認でき、このサンプルにおけるバンプパターンや配線パターンのSEM画像等からテーパー角度を求め、所定膜厚における露光量と順テーパーのテーパー角度との関係データを取得することができる。
【0056】
本実施例は上述のようにするから、目的とするパターンのサイズ、ピッチ、アスペクト等を考慮した最適なテーパー角度の順テーパー形状に形成した構造体2を基材1上に容易に形成することができるインプリント用マスターモールドの作製方法となる。
【0057】
すなわち、本実施例は、構造体2を形成するレジスト3の露光量を、D0(基材1上に塗布するレジスト3が感光し始める露光量)~Df(基材1上に塗布するレジスト3の全厚みが感光する最小露光量)に設定するから、マスク4の透光部4aの縁部近傍において縁部側に行くにつれ露光量が低下し、これに伴いレジスト3の膜厚方向における感光作用も縁部側に行くにつれ低下し、これにより、確実に側面形状が順テーパー形状となる構造体2を形成することができる。
【0058】
よって、レプリカモールドを形成する際の重合加圧時にマスターモールドの構造体に変形が生じても、逆テーパー形状が生じることが防止され、パターン転写をスムーズに、且つ、歩留り良く行うことができるマスターモールドを作製することができる。
具体的には、本実施例では、マスク4として、グレーススケールマスクを用いており、このグレースケールマスクは、透光部4a、遮光部4b及びグレースケール部4cで構成されるものである。
以下、本実施例について詳述するが、本実施例の工程フローにおいては、マスク形成工程以外は実施例1と同様であるため、マスク形成工程以外の工程の説明は省略する。
なお、本実施例のようにマスク4にグレースケールマスクを用いる場合は、露光量に制限はないが、実施例1の露光工程における露光条件、すなわち、Dfの2倍以下の露光量とすることが望ましい。
下表2は、膜厚40μmのレジスト3を、バイナリーマスクを用いて露光した場合とグレースケールマスクを用いて露光した場合での、パンプ径10μmの構造体2において、側面テーパー角度を測定した結果である。なお、グレースケールマスクにおいては、グレースケール部4cの領域(幅)を1.5μmとしたものを用いた。
なお、本実施例は上記のとおり、ネガ型のレジスト3を用いた場合であるが、レジスト3として、ポジ型のレジスト3(たとえば、東京応化工業社製 PMER P-LA900など)を用いても良い。