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特開2024-136550エッジミリング装置及びそのエッジミリング部材
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136550
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】エッジミリング装置及びそのエッジミリング部材
(51)【国際特許分類】
   B23C 3/12 20060101AFI20240927BHJP
   B23C 9/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B23C3/12 B
B23C9/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047700
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】507244219
【氏名又は名称】惠亞工程股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄建徳
【テーマコード(参考)】
3C022
【Fターム(参考)】
3C022DD08
3C022DD11
3C022QQ03
(57)【要約】
【課題】エッジミリング装置を提供する。
【解決手段】前記エッジミリング装置は、作業面を有する基台と、前記作業面に移動可能に設けられた少なくとも1つのエッジミリング部材とを備えており、該エッジミリング部材により目標物に対して側面加工処理を行うことで、生産時間を加速させ、生産効率を向上させる。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのミリングカッターツールと、
板ベースであり、前記ミリングカッターツールの直線移動を駆動する支持構造と、
前記支持構造に移動可能に設けられ、前記ミリングカッターツールを搭載し、前記ミリングカッターツールとともに目標物に対して近接又は離間し、前記ミリングカッターツールが前記目標物のエッジミリング処理を行う搭載構造と、
カップリングにより前記ミリングカッターツールと直線的に一体に組み合わされ、前記搭載構造に配置されることで、前記ミリングカッターツールを前記カップリングにより直接駆動する少なくとも1つのサーボモータと、
を備えることを特徴とする、エッジミリング部材。
【請求項2】
前記支持構造の移動方向と前記搭載構造の移動方向とは相互に垂直であることを特徴とする、請求項1に記載のエッジミリング部材。
【請求項3】
前記搭載構造にはボールナットが固着され、
モータにより、ボールネジの回転を駆動し、前記ボールナットが直線運動するように駆動され、前記搭載構造を直線移動させて、前記ミリングカッターツールを所望の位置に移動させることを特徴とする、請求項1に記載のエッジミリング部材。
【請求項4】
前記サーボモータはカップリングベースの上ベース体にボルトで固定され、該カップリングベースの下ベース体は前記ミリングカッターツールのミリングカッターヘッドにボルトで固定され、前記カップリングベース内には、前記サーボモータと前記ミリングカッターヘッドとを接続する高性能防振材からなる円筒構造であるカップリングが設けられることで、前記サーボモータの回転軸は前記カップリングの一方の端に固定され、前記ミリングカッターヘッドの回転軸は前記カップリングの他方の端に固定される、請求項1に記載のエッジミリング部材。
【請求項5】
前記少なくとも1つのサーボモータは4つのサーボモータであり、該4つのサーボモータは、4つのミリングカッターツールをそれぞれ同時に回転させるころにより、該4つのミリングカッターツールが同時に加工を行うことができる、請求項1に記載のエッジミリング部材。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のエッジミリング部材と、
前記エッジミリング部材が移動可能に設けられる作業面を有し、支持構造が移動可能に設けられた基台と、
前記作業面に設けられ、前記目標物が載置される位置決め構造と、
第2の位置決め部材に対応して配置され、前記目標物を前記位置決め構造に押圧する固定部と、を備え
前記エッジミリング部材は、前記位置決め構造の側辺に設置され、前記位置決め構造に対して移動して前記目標物のエッジミリング処理を行い、
前記目標物は、対向する第1の表面及び第2の表面、前記第1の表面及び第2の表面に隣接する側面、並びに前記側面から突出する凸縁を有し、前記第2の表面の4つの隅には4つの脚座が設けられている、
エッジミリング装置。
【請求項7】
前記固定部は、前記位置決め構造の上方及び/又は一方の対角箇所外側に配置されていることを特徴とする、請求項6に記載のエッジミリング装置。
【請求項8】
前記固定部は、動力源により、押し下げ又は引き上げ運動を行い、押し下げの場合に前記目標物の第2の表面を押圧し、引き上げの場合に前記目標物から分離することを特徴とする、請求項7に記載のエッジミリング装置。
【請求項9】
前記基台にはダブルレール構造が固定され、前記支持構造の底部には前記ダブルレール構造に取り付けるためのスライドベースが固定され、前記スライドベースが前記ダブルレール構造に摺動可能となることで、前記支持構造の直線移動を駆動することを特徴とする、請求項6に記載のエッジミリング装置。
【請求項10】
前記支持構造にはボールナットと該ボールナットに接合されるボールスクリューとが固着され、
第1のモータにより、ボールネジの回転を駆動し、前記ボールナットが直線運動するよう駆動され、前記支持構造が前記基台に対して前記位置決め構造のエッジに沿って長距離直線移動することにより、前記ミリングカッターツールが前記目標物の側面に沿って直線移動でき、前記目標物の凸縁を加工し、4つの前記第1のモータにより4つの前記ボールスクリューの回転をそれぞれ同時に駆動することで、前記ミリングカッターツールは前記目標物の4つの凸縁を同時に加工することができることを特徴とする、請求項6に記載のエッジミリング装置。
【請求項11】
前記基台の作業面には、前記支持構造の移動をガイドするスライドレールが設置されていることを特徴とする、請求項6に記載のエッジミリング装置。
【請求項12】
前記基台には少なくとも1つの動力セットが設置され、
前記動力セットは、前記支持構造の移動を駆動する第1のモータと、前記搭載構造の移動を駆動する第2のモータとを含むことを特徴とする、請求項6に記載のエッジミリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリを処理する機具に関し、特に、エッジミリング装置及びそのエッジミリング部材に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、二重床装置は、静電防止の機械室又はクリーンルームに広く適用されている。そのうち、既存のアルミニウム合金ダイキャスト成型の二重床に対しては、通常、金型製作、アルミニウム溶融、ダイキャスト、成型及びトリミング等の5つの製造工程により製造されてなる。成型プロセスにおいて、二重床の表面と底部の複数箇所にバリが生じ、これらのバリにより、取り付け過程において、二重床同士の間が密接できず、架台フレームとの間とも密接できないほか、作業者の取り付けにも不利となり、作業者の安全性が不利になるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、現在の方法では、成型後の二重床の4つの側面のバリを人工で除去する必要があり、生産効率が低くなるのみならず、加工のたびに手間が掛かる。
【0004】
従って、如何にして上記従来技術の欠点を解消するかは、現在業界で解決すべき重要な課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記従来技術の欠点に鑑み、本発明は、
少なくとも1つのミリングカッターツールと、
板ベースであり、該ミリングカッターツールの直線移動を駆動する支持構造と、
該支持構造に移動可能に設けられ、該ミリングカッターツールを搭載し、該ミリングカッターツールとともに目標物に対して近接又は離間し、該ミリングカッターツールが該目標物のエッジミリング処理を行う搭載構造と、
カップリングにより該ミリングカッターツールと直線的に一体に組み合わされ、該搭載構造に配置されることで、該ミリングカッターツールを該カップリングにより直接駆動する少なくとも1つのサーボモータと、
を備えるエッジミリング部材を提供する。
【0006】
前記のエッジミリング部材において、該支持構造の移動方向と該搭載構造の移動方向とは相互に垂直である。
【0007】
前記のエッジミリング部材において、該搭載構造にはボールナットが固着され、モータにより、ボールネジの回転を駆動し、該ボールナットが直線運動するように駆動され、該搭載構造を直線移動させて、該ミリングカッターツールを所望の位置に移動させる。
【0008】
前記のエッジミリング部材において、該サーボモータはカップリングベースの上ベース体にボルトで固定され、該カップリングベースの下ベース体は該ミリングカッターツールのミリングカッターヘッドにボルトで固定され、該カップリングベース内には、該サーボモータと該ミリングカッターヘッドとを接続する高性能防振材からなる円筒構造であるカップリングが設けられることで、該サーボモータの回転軸は該カップリングの一方の端に固定され、該ミリングカッターヘッドの回転軸は該カップリングの他方の端に固定される。例えば、該少なくとも1つのサーボモータは4つのサーボモータであり、該4つのサーボモータは、該4つのミリングカッターツールをそれぞれ同時に回転させることにより、該4つのミリングカッターツールが同時に加工を行うことができる。
【0009】
本発明は、前記エッジミリング部材と、該エッジミリング部材が移動可能に設けられる作業面を有し、支持構造が移動可能に設けられた基台と、該作業面に設けられ、該目標物が載置される位置決め構造と、第2の位置決め部材に対応して配置され、該目標物を該位置決め構造に押圧する固定部とを備え、該エッジミリング部材は、該位置決め構造の側辺に設置され、該位置決め構造対して移動して該目標物のエッジミリング処理を行い、該目標物は、対向する第1の表面及び第2の表面、該第1及び第2の表面に隣接する側面、並びに該側面より突出する凸縁を有し、該第2の表面の4つの隅部には4つの脚座が設けられている、エッジミリング装置をさらに提供する。
【0010】
前記のエッジミリング装置において、該固定部は、該位置決め構造の上方及び/又は一方の対角箇所外側に配置されている。例えば、該固定部は、動力源により押し下げ又は引き上げ運動を行い、押し下げの場合に該目標物の第2の表面を押圧し、引き上げの場合に該目標物から分離する。
【0011】
前記のエッジミリング装置において、該基台にはダブルレール構造が固定され、該支持構造の底部には該ダブルレール構造に取り付けるためのスライドベースが固定され、該スライドベースが該ダブルレール構造に摺動可能となることで、該支持構造の直線移動を駆動する。
【0012】
前記のエッジミリング装置において、該支持構造にはボールナットと該ボールナットに接合されるボールネジとが固着され、第1のモータにより、該ボールネジの回転を駆動し、該ボールナットが直線運動するように駆動され、該支持構造が該基台に対して該位置決め構造のエッジに沿って長距離直線移動することにより、該ミリングカッターツールが該目標物の側面に沿って直線移動でき、該目標物の凸縁を加工し、4つの該第1のモータにより4つの該ボールネジの回転をそれぞれ駆動することで、該ミリングカッターツールは該目標物の4つの凸縁を同時に加工することができる。
【0013】
前記のエッジミリング装置において、該基台の作業面には、該支持構造の移動をガイドするスライドレールが設置されている。
【0014】
前記のエッジミリング装置において、該基台に少なくとも1つの動力セットが設置され、該動力セットは、該支持構造の移動を駆動する第1のモータと、該搭載構造の移動を駆動する第2のモータとを含む。
【発明の効果】
【0015】
上記からわかるように、本発明に係るエッジミリング装置及びそのエッジミリング部材によれば、主に該サーボモータにより該ミリングカッターツールを駆動することで、該エッジミリング部材が、例えば、二重床の目標物に対して側面のバリのミリング処理を行い、生産時間を加速させ、生産効率を向上させるとともに、必要なマンパワーを低減させる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】本発明に係るエッジミリング装置が加工機器に応用される正面立体模式図である。
図1A-1】図1Aの背面立体模式図である。
図1B図1Aの加工機器の輸送装置の立体模式図である。
図1B-1】図1Bの局所拡大立体模式図である。
図1B-2】図1Bの他の実施例の正面平面模式図である。
図1B-3】図1B-2の上面平面模式図である。
図1C図1Aの加工機器により加工される目標物の上面立体模式図である。
図1C-1】図1Cの下面立体模式図である。
図1C-2】図1Cの側面平面模式図である。
図1D図1Aの加工機器で加工済みの目標物の側面平面模式図である。
図2A】本発明に係るエッジミリング装置の立体模式図である。
図2A-1】図2Aの局所立体分解模式図である。
図2A-2】図2Aの局所立体分解模式図である。
図2B図2Aの上面平面模式図である。
図2C図2Aの側面平面模式図である。
図2D図2Aの局所拡大立体図である。
図2E図2Aの局所平面立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、特定の具体的な実施例により本発明の実施形態を説明する。本明細書の記載内容により、当業者が簡単に本発明のその他の利点や効果を理解できる。
【0018】
本明細書に添付された図面に示す構造、比例、寸法等は、明細書の記載内容に合わせて当業者に理解や閲読させるためのものであり、本発明の実施可能な限定条件を制限するものではないため、技術上の実質的な意味を有せず、いかなる構造の修飾、比例関係の変更又は寸法の調整は、本発明の効果及び目的に影響を与えるものでなければ、本発明に開示された技術内容の範囲に含まれる。さらに、本明細書に記載された例えば「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、及び「一」等の用語は、記載の明瞭さのためのものであり、本発明の実施可能な範囲を限定するものではなく、その相対関係の変更又は調整は、技術内容の実質的な変更でなければ、本発明の実施可能な範囲と見なすべきである。
【0019】
図1A及び図1A-1は、本発明に係る加工機器1の立体模式図である。図1A及び図1A-1に示すように、該加工機器1は、輸送装置1aと、高さ(高度ともいう)ミリング装置2と、エッジミリング装置3と、反転装置4と、孔開け装置5とを備える。
【0020】
この実施例において、該加工機器1は、生産ラインの方向を左、右方向(例えば、矢印方向Y)として、該生産ラインに垂直する方向を前、後方向(例えば、矢印方向X)として、該加工機器1の高さに沿う方向を上、下方向(例えば、矢印方向Z)として定義する。ここで、該方位は、本実施例の配置を説明するものにすぎず、特に制限されるものではないと理解すべきである。
【0021】
前記の輸送装置1aは、目標物9を所望の生産ラインの加工位置に輸送(例えば、クリップする)するためのものであるので、該輸送装置1aが、該高さミリング装置2、エッジミリング装置3、反転装置4及び孔開け装置5等の該目標物9を載置するための上方の周囲の箇所に配置されることで、該目標物9を該高さミリング装置2、エッジミリング装置3、反転装置4及び/又は孔開け装置5に載置することに有利となる。
【0022】
この実施例において、図1Bに示すように、該輸送装置1aは、少なくとも1つの出し入れ部材10と、該出し入れ部材10が移動可能に架設される支持部材11(該支持部材11は2つのブラケット110と該2つのブラケット110に設けられた横梁111とを含む)とを備えることで、該出し入れ部材10が該目標物9を出し入れるように用いられ、該出し入れ部材10が該支持部材11の移動に合わせて該目標物9を移動させる。
【0023】
さらに、該出し入れ部材10は、挟持部材100を有するクリッパー10aと、該クリッパー10aを架設するための搭載部10bとを備える。
【0024】
一つの実施例において、図1B-1に示すように(または図1B-2及び図1B-3に示す支持部材11a)、該横梁111には該出し入れ部材10の移動をガイドするためのスライドレール112とスライドベース116とが配置され、該スライドレール112は該横梁111に固定され、該スライドベース116は該搭載部10bに固定され、該スライドベース116及び該搭載部10bは、該スライドレール112を直線運動し、かつ少なくとも1つのラック112aと該ラック112aに噛合されかつ該出し入れ部材10に接続される歯車113とが配置され、該ラック112aは該横梁111に固定され、一つのサーボモータ10e及び減速機114は該搭載部10bに固定され、該サーボモータ10eまたは動力部10cにより該歯車113を回動させ、該歯車113が該ラック112aに沿って該出し入れ部材10を直線移動させることで、該出し入れ部材10が該スライドレール112により2つのブラケット110の間に安定して直線移動できる。具体的には、該サーボモータ10eは該搭載部10bに固定(図1B-1に示すボルト115)された減速機114に合わせて該歯車113を回転させる。ここで、該支持部材11、11aの種類は繁多であり、特に制限されるものではない。
【0025】
例えば、該クリッパー10aの挟持部材100は、必要に応じて幅Dを調整することで幅の異なる目標物9をクリップでき、油圧シリンダ又は空気圧シリンダ(動力源10dとして)により2つのクリッパー10aの距離を制御することで、目標物9を挟持又は開放することができる。また、該搭載部10bは、移動フレームであり、該横梁111(又はスライドレール112)に垂直に架設され、該歯車113に噛合され、該歯車113は、該ラック112a(図1B-1をご参照)に噛合され、該歯車113は、外力(例えばサーボモータ10e)により該減速機114に合わせて駆動することで、該出し入れ部材10がスライドベース(例えば、該搭載部10b)とスライドレール部材(例えば、スライドレール112及びその上のラック112aと歯車113)上に矢印方向Yへ直線に往復運動することができる。具体的には、該クリッパー10aは、複数の動力源10d(図1Bに示す空気圧又は油圧シリンダ)により、それらの挟持部材100を外伸又は内縮させる(矢印方向Yへ)ことで、開放又はクリップ動作を発生させる。また、該搭載部10bの底部には該クリッパー10aに接続される伸縮構造101(図1B-1に示すガイドロッド)が配置され、該クリッパー10aをシリンダ102により昇降させる。
【0026】
また、該出し入れ部材10の数量は、必要に応じて設定することができる。例えば、該高さミリング装置2、エッジミリング装置3及び反転装置4に対応する加工箇所にはそれぞれ該出し入れ部材10が配置されているため、少なくとも2つの出し入れ部材10が配置されている。具体的には、各該出し入れ部材10は、該高さミリング装置2と該エッジミリング装置3との間、及び該エッジミリング装置3と該反転装置4との間にそれぞれ設けられ、また、必要に応じて、それらの該出し入れ部材10を該目標物9の中間搬送部材として、該ブラケット110と該高さミリング装置2との間に増設する(図1B-2に示す破線)ことで、該目標物9を各加工箇所へ出し入れし続けることにより、生産ライン全体の加工処理フローを完成する。
【0027】
また、該目標物9は、二重床であり、図1C図1C-1及び図1C-2に示すように、対向する第1の表面9a(例えば、床面)及び第2の表面9b(例えば、底側端部)と、該第1、第2の表面9a、9bに隣接する側面9cとを有する。例えば、該目標物9は、ほぼ矩形体(例えば、正方形板)であり、該目標物9の底部(例えば、該第2の表面9bの側であり、二重床の底部である)はハニカム状であり、また、該目標物9の第2の表面9bの4つの隅には脚座90が形成され、該4つの脚座90に開口900(図1Dをご参照)が設置され、4つの脚座90をそれぞれネジで該二重床用の支持レッグに固定する。具体的には、該脚座90の端面9dは、該目標物9の第2の表面9bからやや突出し(図1C-2に示す高さの差h)、該第1の表面9aのエッジには該側面9cから突出する凸縁91が形成されている。該凸縁91は、該エッジミリング装置3の加工すべき二重床の4つのエッジである。この実施例における目標物9は二重床であるため、以下、該目標物9を二重床と称する。
【0028】
図2A図2Eは、本発明に係るエッジミリング装置3の模式図である。この実施例において、前記のエッジミリング装置3のエッジミリング部材3aは、該輸送装置1aに応じて作動し、図1C図1Dに示す該目標物8、9(高床)の側面9c上の凸縁91を加工することに用いられる。該凸縁91は、エッジミリング装置3で該二重床の4つのエッジの加工を高速に完成し、例えば、該二重床の周囲の側辺のバリを除去することで、該二重床の4つのエッジの寸法を加工処理する。具体的には、ヒューマンマシーン制御インタフェースを介して、プログラマブルロジック制御装置(Programmable Logic Controller、すなわち、PLC)により加工数値を入力することで、加工処理すべき該二重床の4つのエッジの寸法を制御する。
【0029】
図2A図2Eに示すように、該目標物9の4つのエッジの凸縁91を加工するためのエッジミリング部材3aは、少なくとも1つのサーボモータ36と、ミリングカッターツール30と、支持構造33と、該支持構造33に設けられ、それらのミリングカッターツール30を搭載する搭載構造34とを備え、該ミリングカッターツール30は、その本体30aの上端にミリングカッター300が配置され、該搭載構造34は、該支持構造33に移動可能に設けられている。前記の目標物9は、固定部材3bに固定され、該固定部材3bは、基台31と、該基台31に設けられた位置決め構造32とを備え、少なくとも1つのエッジミリング部材3aは、該基台31に設けられて該位置決め構造32の周囲に位置されていてもよく、該輸送装置1aは、該目標物9を該位置決め構造32に載置することで、該エッジミリング部材3aが該位置決め構造32に対して移動し、該目標物9のエッジミリング処理を行う。
【0030】
前記の基台31は、機具ステージであり、ほぼ矩形体となり、その作業面Sも矩形平面となる。
【0031】
この実施例において、該基台31内には、生産ラインに必要な機電部材、例えば、モータ、ケーブル又は他の関連の機器部材が配置されていてもよく、特に制限されるものではない。
【0032】
前記の位置決め構造32は、図1Cに示す該目標物9を位置決めして搭載するために、図2A-1に示すように、該基台31の作業面Sの中間箇所に配置されている。
【0033】
この実施例において、該位置決め構造32は、多層矩形板ブロック体であり、その上に正方形載置テーブル32aが設けられ、該二重床は、該正方形載置テーブル32aに載置され、該エッジミリング部材3aは、該正方形載置テーブル32aの4つのエッジ(この実施例では、合計4つのエッジミリング部材3aが示されている)にそれぞれ設置されている。
【0034】
さらに、該固定部材3bは、少なくとも1つの固定部320、320aをさらに備える。該固定部320、320aは、該載置テーブル32aの外側に配置され、該目標物9の移動を制限するとともに位置ずれを回避する。例えば、該基台31の前後両側に、アーチ状の支持枠39がそれぞれ設置され、図2A-2に示すように、該支持枠39の表面から延在するメイン枠390の上に該固定部320が架設されているため、該目標物9が該載置テーブル32aに載置された後、それらの固定部320により、該目標物9の脚座90を対角の位置で強く押圧して挟持することで、該目標物9のエッジミリング過程における位置ずれを防止することができる。
【0035】
また、該固定部320aは、目標物9の移動による位置ずれを制限するように、該載置テーブル32aの上方に配置されてもよい。例えば、図2A-2に示すように、該支持枠39にはブラケット392に枢接されたアーム枠391が配置され、該ブラケット392により該固定部320aが架設されているため、該目標物9が該正方形載置テーブル32aに載置された後、該ブラケット392を回転させることにより、それらの固定部320aが該目標物9の第2の表面9bを押圧して固定し、該目標物9のエッジミリング過程における位置ずれを防止することができる。
【0036】
前記のエッジミリング装置3には、該位置決め構造32(又は該載置テーブル32a)の各側辺(例えば、前、後、左、右側)にそれぞれ配置される少なくとも1つのエッジミリング部材3aが設けられている。
【0037】
この実施例において、各該エッジミリング部材3aは、該ミリングカッターツール30と、該基台31に設けられた支持構造33と、該支持構造33に設けられ、それらのミリングカッターツール30を搭載する搭載構造34とを備え、該ミリングカッターツール30は、その本体30aの上端にミリングカッター300が配置され、該搭載構造34は、該ミリングカッターツール30を所要の位置に移動させるように、該支持構造33に移動可能に設けられている。ミリングカッター300の種類は多くあり、特に制限されるものではないと理解すべきである。
【0038】
さらに、該支持構造33は板ベースであり、該基台31の作業面Sに移動可能に配置されている。例えば、該基台31の作業面Sには、該支持構造33の移動方向を制限するスライドレール37と、該支持構造33及び該搭載構造34の移動を駆動する動力セット38とが設けられている。具体的には、該スライドレール37は、該基台31に固定されたダブルレール構造であり、該支持構造33は、底部には該スライドレール37に取り付けるためのスライドベース330が固定され、これにより、該スライドベース330がスライドレール37に摺動可能となり、該支持構造33の直線移動を駆動することができる。さらに、該支持構造33の底部には、ボールナット(図示せず)と、該ボールナットに接合されるボールネジ380(該基台31の作業面Sに固着される)とが固定され、該動力セット38は、第1のモータ38aを備え、該第1のモータ38aにより、ボールネジ380の回転を駆動し、該ボールナットが直線運動するように駆動され、該支持構造33が該基台31に対して該位置決め構造32のエッジに沿って長距離直線移動することにより、該ミリングカッターツール30が該目標物9の側面9cに沿って直線移動し、該目標物9の凸縁91を加工することができ、4つの第1のモータ38aはボールスクリュー380の回転をそれぞれ同時に駆動させることで、該ミリングカッターツール30が該目標物9の凸縁91を同時に加工することができ、加工の時間が節約される。
【0039】
さらに、該搭載構造34は枠ベースとなり、該ミリングカッターツール30を該位置決め構造32に近接又は離間させるように、該支持構造33に移動可能に設けられている。該動力セット38は、該搭載構造34の移動を駆動する第2のモータ38bをさらに備える。そのうち、該位置決め構造32の一方の側辺を基準として、該支持構造33の移動方向(図2Bに示す移動方向f2、b2)と該搭載構造34の移動方向(図2Bに示す移動方向f1、b1)とは相互に垂直である。例えば、該支持構造33の上側にレール35が配置されることで、該搭載構造34の下方にあるスライダー340が該レール35に合わせて該レール35に移動することにより、該第2のモータ38bによって、該搭載構造34が該支持構造33に対して該レール35に沿って短距離直線移動するように駆動され、これにより、該ミリングカッターツール30が所望の平面位置又は加工位置に直線移動でき、該位置決め構造32に近接又は離間させることができる。具体的には、該搭載構造34の下側にはボールナット(図示せず)が固定され、該支持構造33には該ボールナットに接合するボールネジ(図示せず)が固着され、該第2のモータ38bにより該ボールネジを回転させると、該ボールネジが元の場所で移動せずに回転しているため、該ボールネジが該ボールナットを直線移動するように駆動させ、これにより、該ボールナットが該搭載構造34を該レール35に沿って移動するように直線駆動し、該ミリングカッターツール30が所望の加工位置に直線移動する。
【0040】
また、該搭載構造34の上には、ブラケット34aでサーボモータ36及び該ミリングカッターツール30が配置され、該サーボモータ36及び該ミリングカッターツール30は、直線的に一体に組み合わされるため、該搭載構造34の体積が縮小可能となり、該サーボモータ36により該ミリングカッターツール30の回転を直接駆動することで、該ミリングカッター300が目標箇所(例えば、該目標物9の側面9cの凸縁91に密接する)において該目標物9の凸縁91のバリを除去する。具体的には、該搭載構造34には該ミリングカッターツール30と該ミリングカッターツール30の回転を駆動するサーボモータ36とが配置され、また、図2D及び図2Eに示すように、該サーボモータ36は、カップリングベース36aの上ベース体363にボルト361で固定され、該カップリングベース36aの下ベース体364は該ミリングカッターツール30のミリングカッターヘッド36bにボルト361で固定され、該ミリングカッターツール30の回転を駆動することで、該ミリングカッターツール30は目標箇所(例えば、該目標物9の側面9cの凸縁91に密接する)において該目標物9の凸縁91のバリを除去する。また、該カップリングベース36a内には、該サーボモータ36と該ミリングカッターヘッド36bとを接続する高性能防振材からなる円筒構造であるカップリング360が設けられることで、該サーボモータ36の回転軸36cは該カップリング360の一方の端に固定され、該ミリングカッターヘッド36bの回転軸362は該カップリング360の他方の端に固定され、4つのサーボモータ36はそれぞれ同時に回転することで、該ミリングカッターツール30は該目標物9の凸縁91を同時に加工することができ、4分の3の加工時間が節約可能となる。
【0041】
従って、本発明の主な特徴は、該サーボモータ36を用いて該ミリングカッターツール30の回転を直接駆動することにより、該エッジミリング装置3の体積を縮小するのみならず、該サーボモータ36の回転がデジタル制御可能となるので、加工精度及び加工速度の向上が可能になる。これにより、従来技術のような一般のモータ駆動では達成できない効果を奏する。
【0042】
生産ライン上で該エッジミリング装置3を使用する場合、高さミリング作業が完成した後、該輸送装置1aにより、単一の目標物9を該高さミリング装置2から該エッジミリング装置3の位置決め構造32の載置テーブル32aに輸送するとともに、それらの固定部320、320aで該目標物9を固定する。そのうち、該目標物9は、その第1の表面9aが載置テーブル32aに向けられ、該第2の表面9bが上方へ向けられる。
【0043】
次に、第2のモータ38bにより、該搭載構造34を移動して該位置決め構造32(又は該載置テーブル32a)に近接させる(図2Bに示す移動方向f1)ことにより、該エッジミリング部材3aを所望の位置に移動させ、第1のモータ38aにより、該支持構造33を該スライドレール37に沿って直線スライドさせて(図2Bに示す移動方向f2)該ミリングカッターツール30を移動させ、該サーボモータ36により、該ミリングカッターツール30のミリングカッター300が該目標物9の4つの側面9cの凸縁91に対してバリをエッジミリングするように駆動し、該エッジミリング部材3aが該位置決め構造32(又は載置テーブル32a)の各エッジに対応して該目標物9のエッジミリング処理を行う。
【0044】
その後、第2のモータ38bにより、該搭載構造34を移動して該位置決め構造32(又は載置テーブル32a)から離間させる(図2Bに示す移動方向b1)ことで、該ミリングカッターツール30を所望の位置に移動させ、第1のモータ38aにより、該支持構造33を該スライドレール37に沿って直線スライドさせる(図2Bに示す移動方向b2)ことにより、該エッジミリング部材3aを原点に戻す。
【0045】
上記のように、本発明に係るエッジミリング装置3は、該サーボモータ36により、該ミリングカッターツール30を駆動することで、該エッジミリング部材3aが二重床に対して側面9c上の凸縁91のバリの加工処理を行い、生産時間を加速させ、生産効率を向上させるとともに、必要なマンパワーを低減することができる。
【0046】
さらに、該エッジミリング部材3aのループ移動(図2Bに示す移動方向f1、f2、b1、b2)の設計により、該ミリングカッターツール30のミリングカッター300の同一側面9c上の凸縁91に対する繰り返しミリングを回避できるので、該目標物9の側面9c上の凸縁91の過度のミリングによる損壊、又は該ミリングカッター300の機械的な騒音を回避することができる。
【0047】
さらに、該サーボモータ36はカップリング360により駆動されることで、振動を効果的に低減でき、該高さミリング装置3の作動時の騒音が低減できる。例えば、従来のベルト伝動のモータと比較して、該サーボモータ36は該カップリング360により該ミリングカッターツール30と直線的に一体化されているため、従来の伝動機構において必要となる2つのベルトプーリーとベルト(従来のモータでは、ミリングカッターツールを駆動して回転加工するために、ベルトプーリーが必要である)の配置をなくし、体積を顕著に縮小させ、かつ精度を大幅に向上させ、ベルトプーリーの駆動によって生じた振動及び騒音等の問題を解消できる。
【0048】
従って、本発明に係る効果は下記の通りである。
第一点として、サーボモータ36が用いられる利点が挙げられる。
1、応答速度が速いため、サーボモータ36は短時間内で所要の速度(2000RPM以上)に達すことができ、待ち時間が減少でき、床の加工速度を高めることができる。
2、サーボモータ36の利用可能な回転速度範囲(3000~5000RPM)が広いため、異なる床加工厚さに応じて必要の回転速度を調整することができ、刃物の使用時間(寿命)を延長し、加工精度を向上させることができる。例えば、二重床厚さ加工範囲が1mmから2~12mmのセグメントに拡大した場合、切削厚さが大きくなり、切削抵抗が増大し、切削熱も増加したため、サーボモータ36の回転速度を調整して切削速度を低減させる。
3、サーボモータ36は如何なる回転速度おいても安定したトルクを維持可能であり、ミリングカッターツール30を直接駆動して加工するため、従来のステッピングモータでの高負荷、慣性の過大または回転速度の増加時のトルク不足の問題がなく、それによるミリングカッターツールの駆動不可という課題は生じない。ここで、従来のステッピングモータのトルク(ねじり)は回転速度の増加に応じて逓減する。
【0049】
第二点として、本発明に係るサーボモータ36と該ミリングカッターツール30とが直線的に一体化されて直接駆動される形態の利点が挙げられる。
1、利用スペースを削減でき、エッジミリング装置3全体の寸法をさらに小型化できる。
2、効率が向上したため、減速機構でのパワー消耗、例えば、従来モータに用いられるベルト、チェーンまたはギアボックスの部品の相互摩擦はなくなる。
3、騒音を低減可能である。本発明の全体配置はより簡易化され、部品も少なくなり、かつ高性能防振材からなる円筒構造であるカップリング360が採用されているため、振動が発生しにくくなり、それによって生じる騒音も小さくなる。
4、寿命が延長可能であり、部品も少ないので、損壊しやすい部品、例えば、従来の加工システムにおける部品の老化(例えばベルトの張り)または応力による大半の損壊が少なくなる。
【0050】
上記実施例は、本発明の原理及びその効果を例示的に説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するためのものではない。当業者が、本発明の精神及び範囲を逸脱しなければ、上記の実施例に対して修正を施すことが可能である。従って、本発明の権利保護範囲は、後述の特許請求の範囲の通りである。
【符号の説明】
【0051】
1 加工機器
1a 輸送装置
10 出し入れ部材
10a クリッパー
10b 搭載部
10c 動力部
10d 動力源
10e サーボモータ
100 挟持部材
101 伸縮構造
102 シリンダ
11、11a 支持部材
110 ブラケット
111 横梁
112 スライドレール
112a ラック
113 歯車
114 減速機
115、361 ボルト
116 スライドベース
2 高さミリング装置
3 エッジミリング装置
3a エッジミリング部材
3b 固定部材
30 ミリングカッターツール
30a 本体
300 ミリングカッター
31 基台
32 位置決め構造
32a 載置テーブル
320 固定部
320a 固定部
33 支持構造
330 スライドベース
34 搭載構造
34a ブラケット
340 スライダー
35 レール
36 サーボモータ
36a カップリングベース
36b ミリングカッターヘッド
36c、362 回転軸
360 カップリング
363 上ベース体
364 下ベース体
37 スライドレール
38 動力セット
38a 第1のモータ
38b 第2のモータ
380 ボールネジ
39 支持枠
390 メイン枠
391 アーム枠
392 ブラケット
4 反転装置
5 成孔装置
8、9 目標物
9a 第1の表面
9b 第2の表面
9c 側面
9d 端面
90 脚座
91 凸縁
900 開口
D 幅
f1、f2、b1、b2 移動方向
h 高さの差
S 作業面
X、Y、Z 矢印方向
図1A
図1A-1】
図1B
図1B-1】
図1B-2】
図1B-3】
図1C
図1C-1】
図1C-2】
図1D
図2A
図2A-1】
図2A-2】
図2B
図2C
図2D
図2E