(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013659
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】立軸回転電機用の軸受装置及び立軸回転電機
(51)【国際特許分類】
F16N 7/08 20060101AFI20240125BHJP
F16N 29/00 20060101ALI20240125BHJP
F16N 7/38 20060101ALI20240125BHJP
H02K 7/08 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
F16N7/08
F16N29/00 B
F16N7/38 F
F16N7/38 C
H02K7/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115918
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】ストヤノヴィチ パブレ
(72)【発明者】
【氏名】金田 大成
(72)【発明者】
【氏名】川崎 智
【テーマコード(参考)】
5H607
【Fターム(参考)】
5H607BB25
5H607DD03
5H607GG03
5H607GG09
5H607HH07
(57)【要約】
【課題】運転中の立軸回転電機の非常停止を抑制する。
【解決手段】立軸回転電機用の軸受装置は、回転部の周囲に設けられたガイド軸受と、ガイド軸受を覆い、ガイド軸受を浸す潤滑剤を貯留する軸受槽と、軸受槽内の温度を計測する温度計測部と、ガイド軸受と回転部との間のギャップ量を計測するギャップセンサと、ギャップ量を調整可能な調整機構と、調整機構を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、立軸回転電機の停止時には、温度計測部により計測された温度に基づいて調整機構を制御してギャップ量を調整し、立軸回転電機の運転時には、ギャップセンサにより計測されたギャップ量に基づいて調整機構を制御してギャップ量を調整する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転部を有する立軸回転電機に設けられる立軸回転電機用の軸受装置であって、
前記回転部の周囲に設けられたガイド軸受と、
前記ガイド軸受を覆い、前記ガイド軸受を浸す潤滑剤を貯留する軸受槽と、
前記軸受槽内の温度を計測する温度計測部と、
前記ガイド軸受と前記回転部との間のギャップ量を計測するギャップセンサと、
前記ギャップ量を調整可能な調整機構と、
前記調整機構を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記立軸回転電機の停止時には、前記温度計測部により計測された温度に基づいて前記調整機構を制御して前記ギャップ量を調整し、前記立軸回転電機の運転時には、前記ギャップセンサにより計測された前記ギャップ量に基づいて前記調整機構を制御して前記ギャップ量を調整する、立軸回転電機用の軸受装置。
【請求項2】
前記温度計測部は、前記潤滑剤の温度を計測する潤滑剤温度センサを含む、請求項1に記載の立軸回転電機用の軸受装置。
【請求項3】
前記温度計測部は、前記ガイド軸受の温度を計測する軸受温度センサを含む、請求項1に記載の立軸回転電機用の軸受装置。
【請求項4】
前記温度計測部は、前記潤滑剤の温度を計測する潤滑剤温度センサと、前記ガイド軸受の温度を計測する軸受温度センサと、を含む、請求項1に記載の立軸回転電機用の軸受装置。
【請求項5】
前記調整機構は、操作油を用いて前記ガイド軸受を油圧操作することにより前記ギャップ量を調整する油圧操作機構を含む、請求項1に記載の立軸回転電機用の軸受装置。
【請求項6】
前記調整機構は、ウォームギアを介して前記ガイド軸受を電動操作することにより前記ギャップ量を調整する電動操作機構を含む、請求項1に記載の立軸回転電機用の軸受装置。
【請求項7】
回転軸と、
請求項1から6のいずれか一項に記載の立軸回転電機用の軸受装置と、を備える、立軸回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、立軸回転電機用の軸受装置及び立軸回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
立軸の水車発電機や揚水発電設備の発電電動機等の立軸回転電機では、立軸回転電機の運転時の回転部の振れを抑制するために、回転部の周囲にガイド軸受が設けられる。一般的に、ガイド軸受は、潤滑剤に浸されるように軸受槽内に設置され、軸受カバーにより密閉される。このため、ガイド軸受と回転部との間のギャップ量は据付時に設定され、定期点検時等の立軸回転電機の停止時に、軸受カバーを分解して、ギャップ量の確認及び調整を行う。
【0003】
軸受槽内の潤滑剤の温度が低い状態で立軸回転電機を起動した場合、回転部の方がガイド軸受よりも先に温度が上昇して外周側に熱膨張し、回転部とガイド軸受との温度差による熱膨張の違いから、ガイド軸受と回転部との間のギャップが狭くなる(ギャップ量が小さくなる)場合がある。この場合、回転部とガイド軸受との接触を防止するために、運転中の立軸回転電機が非常停止(トリップ)される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、運転中の立軸回転電機の非常停止を抑制することができる立軸回転電機用の軸受装置及び立軸回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施の形態による立軸回転電機用の軸受装置は、回転部を有する立軸回転電機に設けられる。立軸回転電機用の軸受装置は、回転部の周囲に設けられたガイド軸受と、ガイド軸受を覆い、ガイド軸受を浸す潤滑剤を貯留する軸受槽と、軸受槽内の温度を計測する温度計測部と、ガイド軸受と回転部との間のギャップ量を計測するギャップセンサと、ギャップ量を調整可能な調整機構と、調整機構を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、立軸回転電機の停止時には、温度計測部により計測された温度に基づいて調整機構を制御してギャップ量を調整し、立軸回転電機の運転時には、ギャップセンサにより計測されたギャップ量に基づいて調整機構を制御してギャップ量を調整する。
【0007】
また、実施の形態による立軸回転電機は、回転軸と、上述の立軸回転電機用の軸受装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本実施の形態によれば、運転中の立軸回転電機の非常停止を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態による軸受装置の概略構成を示す正面断面図である。
【
図2】
図2は、第2の実施の形態による軸受装置の概略構成を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
まず、
図1を用いて、第1の実施の形態による立軸回転電機及び立軸回転電機用の軸受装置について説明する。
【0012】
本実施の形態による立軸回転電機1は、立軸の水車発電機である。立軸回転電機1は、揚水発電設備の発電電動機等であってもよい。立軸回転電機1は、回転部2と、軸受装置10と、を備えている。
【0013】
回転部2は、主軸3を含んでいる。主軸3は、鉛直方向に延びている。主軸3は、例えば、不図示のランナ羽根等を介して流水から動力を得ることで回転可能であってもよい。主軸3は、主軸ジャーナル4を有している。主軸ジャーナル4は、主軸3の周方向の全周にわたって延在していてもよい。
【0014】
軸受装置10は、ガイド軸受20と、軸受槽30と、温度計測部40と、ギャップセンサ50と、調整機構60と、を備えている。
【0015】
ガイド軸受20は、回転部2の周囲に設けられている。より具体的には、ガイド軸受20は、回転部2の主軸ジャーナル4の周囲に設けられている。ガイド軸受20は、主軸ジャーナル4の全周にわたって設けられていてもよい。また、ガイド軸受20は、主軸ジャーナル4の周方向に沿って複数のセグメントメタルに分割されたセグメント型の軸受であってもよい。ガイド軸受20は、主軸ジャーナル4と接触しておらず、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間にはギャップが設けられている。
【0016】
軸受槽30は、ガイド軸受20を覆うように設けられている。軸受槽30は、潤滑剤31を貯留している。ガイド軸受20及び主軸ジャーナル4は、潤滑剤31に浸されている。潤滑剤31は、油又は水であってもよい。軸受槽30は、軸受支持台32と、軸受カバー33と、を有していてもよい。軸受支持台32は、軸受槽30内でガイド軸受20を支持する。軸受カバー33は、ガイド軸受20を軸受槽30内に密封する。
【0017】
温度計測部40は、軸受槽30内の温度を計測する。温度計測部40は、軸受槽30内に設けられていてもよい。温度計測部40は、潤滑剤温度センサ41と、軸受温度センサ42と、を含んでいてもよい。潤滑剤温度センサ41は、潤滑剤31の温度を計測する。潤滑剤温度センサ41は、潤滑剤31内に設けられていてもよい。軸受温度センサ42は、ガイド軸受20の温度を計測する。軸受温度センサ42は、ガイド軸受20の表面又は内部に設けられていてもよい。これらの温度センサ41、42は、例えば、測温抵抗体(RTD)や熱電対により構成されていてもよい。図示された例においては、温度計測部40は、潤滑剤温度センサ41及び軸受温度センサ42の両方の温度センサ41、42を含んでいる。しかしながら、温度計測部40は、潤滑剤温度センサ41及び軸受温度センサ42のいずれか一方の温度センサ41、42を含んでいてもよい。温度計測部40により計測された温度は、後述する制御装置70に送られる。
【0018】
ギャップセンサ50は、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量(ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間の距離)を計測する。ギャップセンサ50は、ガイド軸受20の主軸ジャーナル4に対向する面の近傍に配置されていてもよい。ギャップセンサ50は、軸受支持台32に設けられていてもよい。ギャップセンサ50は、光、電波、超音波等によりガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間の距離を測定する非接触式の測距センサであってもよい。ギャップセンサ50により計測されたギャップ量は、後述する制御装置70に送られる。
【0019】
調整機構60は、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量を調整可能に構成されている。本実施の形態においては、調整機構60は、操作油を用いてガイド軸受20を油圧操作することによりギャップ量を調整する油圧操作機構61を含んでいる。油圧操作機構61は、油圧装置62と、油圧シリンダ63と、を備えていてもよい。油圧装置62は、油圧シリンダ63に操作油を供給可能に構成されている。油圧装置62は、軸受槽30の外部に配置されていてもよい。油圧シリンダ63は、ガイド軸受20の外周側に配置されている。油圧シリンダ63は、軸受槽30内、とりわけ潤滑剤31内に配置されていてもよい。油圧シリンダ63は、油圧装置62から操作油が供給されることにより、ピストンロッド64でガイド軸受20の外周部を押圧し、ガイド軸受20を径方向に移動させることができる。これにより、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量を調整することができる。調整機構60、すなわち油圧装置62は、後述する制御装置70からの制御信号により制御される。
【0020】
制御装置70は、調整機構60を制御する。制御装置70は、調整機構60を制御して、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量を調整することができる。より具体的には、制御装置70は、油圧装置62に制御信号を送信し、油圧装置62は、その制御信号に基づいて油圧シリンダ63に操作油を供給する。操作油が供給された油圧シリンダ63は、ピストンロッド64でガイド軸受20の外周部を押圧してガイド軸受20を径方向に移動させる。このようにして、制御装置70により油圧装置62が制御されて、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量が調整される。
【0021】
制御装置70は、立軸回転電機1の停止時には、温度計測部40により計測された温度に基づいて調整機構60を制御して、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量を調整する。すなわち、制御装置70は、立軸回転電機1の停止時に、温度計測部40により計測された温度に基づいて、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間の適切なギャップ量を設定する。そして、制御装置70は、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量がその設定したギャップ量になるように、調整機構60に制御信号を送信して調整機構60を制御する。
【0022】
制御装置70は、温度と適切なギャップ量の関係を数式やデータベース等の形式で保持していてもよい。制御装置70は、温度計測部40により計測された温度から、その温度に対応した適切なギャップ量を、当該数式やデータベース等を参照することにより取得してもよい。例えば、制御装置70は、軸受槽30内の温度が比較的低温の第1温度である場合、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量が比較的大きい第1所定量になるようにギャップ量を調整してもよい。また例えば、制御装置70は、軸受槽30内の温度が第1温度よりも高い第2温度である場合、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量が第1所定量よりも小さい第2所定量になるようにギャップ量を調整してもよい。
【0023】
また、制御装置70は、立軸回転電機1の運転時には、ギャップセンサ50により計測されたギャップ量に基づいて調整機構60を制御して、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量を調整する。すなわち、制御装置70は、立軸回転電機1の運転時に、ギャップセンサ50により計測されたギャップ量に基づいて調整機構60をフィードバック制御し、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量が適切なギャップ量に維持されるようにギャップ量を調整する。
【0024】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
【0025】
まず、立軸回転電機1の停止時には、制御装置70により調整機構60が制御されて、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量が調整される。より具体的には、制御装置70から油圧装置62に制御信号が送信され、その制御信号に基づいて油圧装置62から油圧シリンダ63に操作油が供給される。操作油が供給された油圧シリンダ63のピストンロッド64によりガイド軸受20の外周部が押圧され、ガイド軸受20が径方向に移動する。これにより、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量が調整される。
【0026】
ここで、立軸回転電機1の停止時、軸受槽30内の潤滑剤31が不図示の冷却装置により十分に冷却され、軸受槽30内の潤滑剤31の温度が低温になっている場合がある。この状態で立軸回転電機1を起動した場合、主軸ジャーナル4の方がガイド軸受20よりも先に温度が上昇して外周側に急速に熱膨張し、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量が急速に小さくなる(ギャップが狭くなる)場合がある。このため、立軸回転電機1の停止時には、制御装置70により、温度計測部40により計測された温度に基づいて調整機構60が制御されて、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量は、その温度に対応した適切なギャップ量になるように調整される。例えば、軸受槽30内の温度が比較的低温の第1温度である場合、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量は、比較的大きい第1所定量になるように調整される。また例えば、軸受槽30内の温度が第1温度よりも高い第2温度である場合、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量は、第1所定量よりも小さい第2所定量になるように調整される。これにより、立軸回転電機1の起動時に、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量が急速に小さくなることによって、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4とが接触することが防止される。
【0027】
次に、立軸回転電機1が起動されると、立軸回転電機1の回転部2が、不図示のランナ羽根を介して流水から動力を得て回転する。立軸回転電機1の運転時にも、制御装置70により調整機構60が制御されて、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量が調整される。
【0028】
ここで、立軸回転電機1の運転時、主軸ジャーナル4及びガイド軸受20の温度が上昇する。上述したように、主軸ジャーナル4の方がガイド軸受20よりも先に温度が上昇して外周側に熱膨張するため、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量が小さくなる(ギャップが狭くなる)場合がある。このため、立軸回転電機1の運転時には、制御装置70により、ギャップセンサ50により計測されたギャップ量に基づいて調整機構60が制御されて、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量は、適切なギャップ量に維持されるように調整される。これにより、立軸回転電機1の運転時に、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップを確保することができ、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4とが接触することが防止される。
【0029】
このように本実施の形態によれば、制御装置70は、立軸回転電機1の停止時には、温度計測部40により計測された温度に基づいて調整機構60を制御して、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量を調整する。また、制御装置70は、立軸回転電機1の運転時には、ギャップセンサ50により計測されたギャップ量に基づいて調整機構60を制御して、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量を調整する。このことにより、立軸回転電機1の運転時に、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4とが接触することを確実に防止することができる。このため、運転中の立軸回転電機1の非常停止(トリップ)を抑制することができる。また、本実施の形態によれば、立軸回転電機1の停止や分解を行うことなく、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量を調整することができる。このため、立軸回転電機1のメンテナンスを容易化することができる。
【0030】
また、本実施の形態によれば、温度計測部40は、潤滑剤31の温度を計測する潤滑剤温度センサ41と、ガイド軸受20の温度を計測する軸受温度センサ42と、を含んでいる。このように複数の温度センサ41、42を用いることにより、軸受槽30内の温度をより正確に把握することができる。このため、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量をより適切なギャップ量に調整することができ、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との接触をより効果的に防止することができる。
【0031】
また、本実施の形態によれば、調整機構60は、操作油を用いてガイド軸受20を油圧操作することによりギャップ量を調整する油圧操作機構61を含んでいる。このように調整機構60として油圧操作機構61を用いることにより、ギャップ量の調整時に所定の押圧力で確実にガイド軸受20の外周部を押圧することができる。このため、意図しないギャップ量の変動を抑制することができ、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との接触を確実に防止することができる。
【0032】
(第2の実施の形態)
次に、
図2を用いて、第2の実施の形態による立軸回転電機用の軸受装置について説明する。
【0033】
図2に示す第2の実施の形態においては、調整機構が、ウォームギアを介してガイド軸受を電動操作することによりギャップ量を調整する電動操作機構を含む点が主に異なる。他の構成は、
図1に示す第1の実施の形態と略同一である。
図2において、
図1に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0034】
本実施の形態においては、調整機構60は、ウォームギア67を介してガイド軸受20を電動操作することによりギャップ量を調整する電動操作機構65を含んでいる。電動操作機構65は、電動駆動装置66と、ウォームギア67と、を備えていてもよい。電動駆動装置66は、シャフト66sを介してウォームギア67に駆動力を伝達するように構成されている。電動駆動装置66は、駆動モータを含んでいてもよい。電動駆動装置66は、軸受槽30の外部に配置されていてもよい。ウォームギア67は、ガイド軸受20の外周側に配置されている。ウォームギア67は、軸受槽30内、とりわけ潤滑剤31内に配置されていてもよい。ウォームギア67は、電動駆動装置66からの駆動力をシャフト67sを介してロッド68に伝達し、当該ロッド68でガイド軸受20の外周部を押圧することで、ガイド軸受20を径方向に移動させることができる。これにより、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量を調整することができる。電動操作機構65は、制御装置70からの制御信号により制御される。
【0035】
本実施の形態においては、制御装置70は、電動操作機構65を制御して、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量を調整する。より具体的には、制御装置70は、電動駆動装置66に制御信号を送信し、電動駆動装置66は、その制御信号に基づいて駆動され、シャフト66sを介してウォームギア67に駆動力を伝達する。駆動力が伝達されたウォームギア67は、その駆動力をシャフト67sを介してロッド68に更に伝達し、当該ロッド68でガイド軸受20の外周部を押圧して、ガイド軸受20を径方向に移動させる。このようにして、制御装置70により電動操作機構65が制御されて、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との間のギャップ量が調整される。
【0036】
このように本実施の形態によれば、調整機構60は、ウォームギア67を介してガイド軸受20を電動操作することによりギャップ量を調整する電動操作機構65を含んでいる。このように調整機構60として電動操作機構65を用いることにより、精密な動作でより正確にギャップ量を調整することができる。このため、ギャップ量の誤差を低減することができ、ガイド軸受20と主軸ジャーナル4との接触を確実に防止することができる。
【0037】
以上述べた実施の形態によれば、運転中の立軸回転電機の非常停止を抑制することができる。
【0038】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1:立軸回転電機、2:回転部、10:軸受装置、20:ガイド軸受、30:軸受槽、31:潤滑剤、40:温度計測部、41:潤滑剤温度センサ、42:軸受温度センサ、50:ギャップセンサ、60:調整機構、61:油圧操作機構、65:電動操作機構、67:ウォームギア、70:制御装置