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特開2024-1366治療剤を溶解または可溶化するための方法および組成物。
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  • 特開-治療剤を溶解または可溶化するための方法および組成物。 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001366
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】治療剤を溶解または可溶化するための方法および組成物。
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/08 20060101AFI20231226BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20231226BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20231226BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 31/4045 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 38/26 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
A61K9/08
A61K9/14
A61K47/02
A61K47/12
A61P3/10
A61P37/02
A61K31/137
A61K31/4045
A61K38/26
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023189363
(22)【出願日】2023-11-06
(62)【分割の表示】P 2021020590の分割
【原出願日】2015-12-18
(31)【優先権主張番号】62/094,063
(32)【優先日】2014-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516182041
【氏名又は名称】ウィンドギャップ メディカル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アダム アール. スタンドレー
(72)【発明者】
【氏名】カリアパナダー ネライアパン
(72)【発明者】
【氏名】ブレント エー. ビュシーヌ
(57)【要約】
【課題】治療剤を溶解または可溶化するための方法および組成物の提供。
【解決手段】本発明は、乾燥医薬を含む医薬組成物を提供する。この乾燥医薬は、迅速に溶解し、可溶化され、かつ/または再構成されて対象に送達され得る。本発明は、医療液剤を調製する方法を提供する。この医療液剤は、本明細書で説明するような医薬組成物を第1の液体と混合することにより調製することができる。一部の実施形態では、乾燥医薬組成物は、乾燥医薬と1つまたは複数の乾燥pH調整剤の組合せを含む。一部の実施形態では、乾燥医薬組成物は、第1の溶液と混合することによって液剤に再構成することができる。一部の実施形態では、第1の溶液は、乾燥医薬を迅速に溶解するpHを有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図面に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本発明は、35U.S.C.§119(e)の下、2014年12月18日に出願された米国仮特許出願第62/094,063号(この全体の内容は、参考として本明細書に援用される)への優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
特定の病状に苦しむ個体は、しばしば、医療上の必要性に対処するために、自動注入器または充填済みシリンジをそばに保持しておくことが必要である。その例を少し挙げると、糖尿病を有する人のためのインスリンペン、食物および虫刺されアレルギーを有する人のためのエピネフリン自動注入器、ならびに戦場における化学的および/または生物学的毒素への曝露の危険性のある兵士のための解毒剤などである。
【0003】
例えばピーナツ、甲殻類、ハチ毒、特定の薬物、毒素など特定の物質への曝露は、敏感な個体においてアレルギー反応を引き起こす恐れがある。そうしたアレルギー反応は、アナフィラキシーショックをもたらす可能性がある。これは、血圧の急激な低下、じんましんおよび/または重篤な気道狭窄を引き起こす可能性があり、命にかかわる状態になり得る。アレルゲンに対する敏感な個体の応答は、時間とともに、徐々にまたは急激に増大または減少する可能性があり、それらの敏感な個体の大部分が、アナフィラキシーショックの影響を軽減するための解決法を必要としている。そうした曝露による影響を軽減するために迅速に応答することは、損傷および/または死を防止することができる。例えば、特定の状況では、エピネフリン(すなわち、アドレナリン)の注射は、アレルギー反応からの実質的および/または完全な救済を提供することができる。
【0004】
アレルギーに関して、例えばアレルギー反応は、最寄りの病院または医療施設から物理的に遠い場所で起こる可能性がある。例えば、ハチ刺されは、室内より屋外で起こる可能性がより高い。ピーナツを含む食物は、野球場のような、管理された家庭環境から離れた個人に供給される可能性がより高い。
【0005】
個体がアレルギー反応に苦しんでいるときに、緊急医療施設を利用できない可能性があるので、アレルギー反応に応答してエピネフリンを迅速に自己投与するために、例えば自動注入器などの医薬送達デバイスを携行する個体もいる。エピネフリン自動注入器をそばにもっていると、生命にかかわるアナフィラキシーの副作用を軽減しかつ/または逆転させるための、アレルゲンへの曝露後の緊急介入が可能になる。
【0006】
エピネフリン自動注入器を携行する必要のある患者について、医薬品(medication)の熱安定性プロファイルは問題となる可能性がある。患者は、制御された室温から外れた過度の暑さまたは寒さにそれらの医薬品が曝露されないように配慮しなければならない。そうしない場合、医薬品は迅速に分解し、アナフィラキシーショックの発現に対処するための推奨効力を持たない薬物になってしまう可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、対象、例えばヒト対象へ送達する(例えば、注入により)ための液剤に迅速に再構成することができる乾燥医薬組成物(例えば、乾燥粉末組成物)を提供する。一部の実施形態では、乾燥医薬組成物は、乾燥医薬と1つまたは複数の乾燥pH調整剤の組合せを含む。一部の実施形態では、乾燥医薬組成物は、第1の溶液と混合することによって液剤に再構成することができる。一部の実施形態では、第1の溶液は、乾燥医薬を迅速に溶解するpHを有する。一部の実施形態では、乾燥pH調整剤は乾燥医薬より遅く溶解し、乾燥医薬の溶解後に、溶液をpH調整する結果となる。本開示の態様は、生理学的に許容されない可能性のあるpHでの乾燥医薬(例えば、エピネフリン)の迅速な溶解を促進し、次いで、生理学的に許容される範囲へより遅くpH変化させるのに有用である。本開示によれば、このプロセスは、溶液を、適切な医薬とpH調整剤との乾燥組合せ物と混合することによって、単一のステップで得ることができる。
【0008】
一部の実施形態では、乾燥医薬組成物は1つまたは複数の薬学的に許容される担体を含む。本明細書で説明されるような医薬組成物を含むキットおよびシステムを本明細書でさらに提供する。本発明の態様によれば、乾燥医薬組成物は、長期にわたり、かつ温度変化へ曝露された場合の高い安定性(例えば、長い貯蔵寿命、効力および/またはキラル安定性)を含む、液体組成物より優れたいくつかの利点を有する。
【0009】
一部の態様では、本開示は、治療有効量の乾燥医薬および1つまたは複数のpH調整剤(例えば、1つまたは複数の乾燥pH調整剤)を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、pH調整剤は固体である。一部の実施形態では、薬学的組成物は第1の液体と混合した後に第1のpHに到達する。一部の実施形態では、第1のpHは約7.0未満である。一部の実施形態では、第1のpHは約6.0未満である。一部の実施形態では、第1のpHは約5.0未満である。一部の実施形態では、第1のpHは約4.0未満である。一部の実施形態では、第1のpHは約3.0未満である。一部の実施形態では、第1のpHは約2.0未満である。一部の実施形態では、第1のpHは約2.2未満である。一部の実施形態では、第1のpHは約2.2~約5.0である。一部の実施形態では、第1のpHは約1.0未満である。一部の実施形態では、第1のpHは約7.0を超える。一部の実施形態では、第1のpHは約8.0を超える。一部の実施形態では、第1のpHは約9.0を超える。一部の実施形態では、第1のpHは約10.0を超える。一部の実施形態では、第1のpHは約11.0を超える。一部の実施形態では、第1のpHは約12.0を超える。一部の実施形態では、第1のpHは約13.0を超える。一部の実施形態では、乾燥医薬は、1つまたは複数の乾燥pH調整剤より第1の液体に可溶性である。一部の実施形態では、乾燥医薬は、第1の液体と混合されると、容易に可溶化された塩を形成する。例えば、遊離塩基エピネフリンは、酸を含む第1の液体と混合されると、より可溶性の塩を形成する。
【0010】
一部の実施形態では、医薬組成物または乾燥医薬および第1の液体から形成される溶液を、1つまたは複数のpH調整剤とさらに接触させて第2のpHに到達する。ある特定の実施形態では、第2のpHは生理学的に許容されるpHである。一部の実施形態では、第2のpHは生理学的pHである。一部の実施形態では、第2のpHは約2.2~約5.0であり、乾燥医薬はエピネフリンである。一部の実施形態では、第2のpHは約4.2~約5.3であり、乾燥医薬はスマトリプタンである。一部の実施形態では、第2のpHは約0.1~約3.0または9.5~13.5であり、乾燥医薬はグルカゴンである。
【0011】
別の態様では、本明細書で説明するような医薬組成物および第1の液体を含む医療用キットを本明細書で提供する。
【0012】
別の態様では、本開示は、本明細書で説明するような医薬組成物と第1の液体を混合するステップを含む、医療液剤を調製する方法を提供する。特定の実施形態では、医薬組成物は、医療デバイスを介して対象に投与される。特定の実施形態では、医薬組成物は、医療デバイスの第1のチャンバー中に配置される。特定の実施形態では、第1の液体は、医療デバイスの第2のチャンバー中に配置される。注入の前に、医薬組成物を第1の液体と混合して乾燥医薬を溶解し、続いて、1つまたは複数の乾燥pH調整剤によるpH調整によって、生理学的に許容されるpHに到達する。溶解およびpH調整プロセスは、一般に5分未満以内に完了する。一部の実施形態では、溶解およびpH調整プロセスは、一般に1分未満以内に完了する。一部の実施形態では、溶解およびpH調整プロセスは、一般に30秒未満以内に完了する。一部の実施形態では、溶解およびpH調整プロセスは、一般に10秒未満以内に完了する。一部の実施形態では、溶解およびpH調整プロセスは、一般に5秒未満以内に完了する。一部の実施形態では、溶解およびpH調整プロセスは、一般に1秒未満以内に完了する。特定の実施形態では、医療デバイスは自動注入器である。
【0013】
特定の実施形態では、pH調整剤は、乾燥医薬から完全に分離されている。特定の実施形態では、pH調整剤は、乾燥医薬の粒子とは異なる粒子である。特定の実施形態では、pH調整剤は、乾燥医薬の粒子と会合している粒子である。特定の実施形態では、pH調整剤は、乾燥医薬の粒子中の粒子である。特定の実施形態では、pH調整剤は、乾燥医薬の粒子中に埋め込まれた粒子である。特定の実施形態では、pH調整剤および乾燥医薬の粒子のサイズは異なる。特定の実施形態では、pH調整剤および乾燥医薬の粒子のサイズは類似している。特定の実施形態では、pH調整剤は、乾燥医薬より緩徐に溶解する。
【0014】
本出願の上記および他の態様を、以下の非限定的な図によって例示し、詳細な説明において説明する。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
治療有効量の乾燥医薬および1つまたは複数のpH調整剤を含む医薬組成物。
(項目2)
前記1つまたは複数のpH調整剤が固体である、項目1に記載の医薬組成物。
(項目3)
第1の液体と混合した後、生理学的に許容されるpHに達する、項目1または2に記載の医薬組成物。
(項目4)
前記乾燥医薬が、前記1つまたは複数のpH調整剤より前記第1の液体に可溶性である、項目3に記載の医薬組成物。
(項目5)
前記乾燥医薬が前記1つまたは複数のpH調整剤と会合していない、項目3に記載の医薬組成物。
(項目6)
前記乾燥医薬および前記1つまたは複数のpH調整剤が異なる粒子である、項目3に記載の医薬組成物。
(項目7)
前記乾燥医薬が、前記1つまたは複数のpH調整剤より小さい粒子である、項目6に記載の医薬組成物。
(項目8)
前記乾燥医薬の粒子が、前記1つまたは複数のpH調整剤の粒子より速く溶解する、項目7に記載の医薬組成物。
(項目9)
前記乾燥医薬の粒子が約1μm~約30μmのサイズを有する、項目7に記載の医薬組成物。
(項目10)
前記1つまたは複数のpH調整剤の粒子が約35μm~約100μmのサイズを有する、項目7に記載の医薬組成物。
(項目11)
前記pH調整剤が、薬学的に許容される担体の1つまたは複数の層でコーティングされている、項目3に記載の医薬組成物。
(項目12)
前記pH調整剤が、薬学的に許容されるポリマーの1つまたは複数の層でコーティングされている、項目3に記載の医薬組成物。
(項目13)
前記第1の液体中の前記乾燥医薬の溶解の後、前記pH調整剤が放出される、項目11から12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目14)
前記乾燥医薬が前記pH調整剤と会合している、項目3に記載の医薬組成物。
(項目15)
前記pH調整剤が、前記乾燥医薬の1つまたは複数の層でコーティングされている、項目14に記載の医薬組成物。
(項目16)
前記第1の液体がpH最適化剤を含む、項目3~15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目17)
前記pH最適化剤が、酸である、項目16に記載の医薬組成物。
(項目18)
前記酸がHCl、リン酸または硫酸である、項目17に記載の医薬組成物。
(項目19)
前記乾燥医薬がエピネフリンである、項目1~18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目20)
前記pH最適化剤が、塩基である、項目16に記載の医薬組成物。
(項目21)
前記塩基が水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである、項目20に記載の医薬組成物。
(項目22)
前記乾燥医薬が約7.0~13.0のpHで可溶性である、項目1から21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目23)
前記pH調整剤が、酸である、項目1~22のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目24)
前記pH調整剤が、塩基である、項目1~22のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目25)
前記1つまたは複数のpH調整剤が、ナトリウムおよびカリウム緩衝化剤からなる群から選択される、項目1から22のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目26)
項目1から25のいずれか一項に記載の医薬組成物と第1の液体とを混合するステップを含む、医療液剤を調製する方法。
(項目27)
前記第1の液体が滅菌されている、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記第1の液体が1つの溶媒を含む、項目26に記載の方法。
(項目29)
前記第1の液体が水を含む、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記pH調整剤が、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸カリウムまたは酢酸カリウムである、項目26に記載の方法。
(項目31)
前記第1の液体が水および酸を含む、項目26に記載の方法。
(項目32)
前記第1の液体が水および塩基を含む、項目26に記載の方法。
(項目33)
前記医薬組成物が、医療デバイスの第1のチャンバー中に配置されている、項目26から32のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
前記第1の液体が、前記医療デバイスの第2のチャンバー中に配置されている、項目26から33のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
前記医療デバイスが自動注入器またはシリンジである、項目33から34のいずれか一項に記載の方法。
(項目36)
前記乾燥医薬が、前記第1の液体と混合されると、容易に可溶化された塩を形成する、項目26に記載の方法。
(項目37)
前記乾燥医薬が、エピネフリンである、項目1~36のいずれか1項に記載の医薬組成物または方法。
(項目38)
前記乾燥医薬が、遊離塩基形態のエピネフリンである、項目1~36のいずれか1項に記載の医薬組成物または方法。
(項目39)
前記乾燥医薬がエピネフリンであり、前記pH調整剤がクエン酸塩である、項目1~36のいずれか1項に記載の医薬組成物または方法。
(項目40)
前記乾燥医薬が5~10重量%であり、前記pH調整剤が90~95重量%である、項目1~36のいずれか1項に記載の医薬組成物または方法。
(項目41)
前記乾燥医薬が、グルカゴンである、項目1~36のいずれか1項に記載の医薬組成物または方法。
(項目42)
前記乾燥医薬が、スマトリプタンである、項目1~36のいずれか1項に記載の医薬組成物または方法。
(項目43)
前記第1の液体が、HClを含む、項目3~36のいずれか1項に記載の医薬組成物または方法。
(項目44)
前記第1の液体が、0.5~2.0のpHのHClを含む、項目3~36のいずれか1項に記載の医薬組成物または方法。
(項目45)
前記組成物が、非晶質固体である、項目1~36のいずれか1項に記載の医薬組成物または方法。
(項目46)
前記組成物が、多孔性マトリクスである、項目1~36のいずれか1項に記載の医薬組成物または方法。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、一段混合および注入プロセスのための非限定的な方法を例示する図である。
【0016】
図2図2は、本明細書で説明するような方法を使用した注入システムの非限定的な実施形態を示す図である。
【0017】
図3図3は、第1の液体中の非限定的に例示された酸の表1を示す図である。
【0018】
図4図4は、非限定的に例示されたpH調整剤の表2を示す図である。
【0019】
図5図5は、非限定的に例示された乾燥医薬および第1の液体との混合後の溶解度が改善された塩形態の表3を示す図である。
【0020】
図6図6は、乾燥医薬の第1の液体およびpH調整剤との非限定的に例示された反応の表4を示す図である。具体的には、医薬は、酸、その共役塩基、塩基またはその共役酸と塩を形成して溶解度が増大し、得られる交換塩および弱酸は、投与(例えば、注入)のための溶液を形成する。特定の実施形態では、過剰量の酸または共役塩を添加して、最終溶液のpHを調節することができる。
【0021】
図7図7は、非限定的に例示された反応タイプ1および5を、各化合物のモル比を付して示す図である。
【0022】
図8図8は、追加的な非限定的に例示された反応タイプ1および5を示す図である。
【0023】
図9図9は、乾燥医薬によるpH調整剤の非限定的に例示されたコーティングを示す図であり、ここで、乾燥医薬の1つまたは複数の粒子はpH調整剤の粒子上に存在するか(A)、またはpH調整剤は乾燥医薬の1つまたは複数の層でコーティングされている(B)。
【0024】
図10図10は、乾燥医薬と乾燥pH調整剤を含む混合物の非限定的な実施形態を表す図であり、ここで、医薬の粒径は、pH調整剤に対して、より小さい(A)かまたはより大きい(B)。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書で、医薬組成物、および治療剤を含むキットを提供する。本明細書で、本明細書で説明されるような医薬組成物およびキットを使用して、疾患または状態を治療または防止する方法をさらに提供する。
【0026】
一部の実施形態では、本発明の態様は、患者に送達するために容易に再構成することができる(例えば、自動注入器の関連で)治療剤の乾燥医薬組成物(例えば、乾燥塩形態)を調製することによって、治療剤を安定化させ、温度誘発性の分解の影響をより受けないようにすることに関する。
【0027】
一部の態様では、本開示は、固体形態で医薬を貯蔵するための有用な医薬組成物を提供し、それによってその分解を防止する。本開示は、本明細書で説明されるような医薬組成物から医療液剤を調製する方法をさらに提供する。一部の実施形態では、図1のスキームで例示したようにして、注入の前に一段混合を行う。一部の実施形態では、医薬組成物と第1の液体とが混合されると、乾燥医薬は、1つまたは複数のpH調整剤より速く(例えば、その前に)溶解する。一部の実施形態では、乾燥医薬の組成物(dry medicament composition)が注入の前にそれらが混合されるまで液体成分から分離されている、注入システム(例えば、図2に例示されているようなもの、または他の任意の適切な注入器/自動注入器)を使用する。表1~3(図3~5)は、使用できる酸(例えば、液体形態で提供し得る)、pH調整剤(例えば、固体形態で提供し得る)および医薬(例えば、固体形態で提供し得る)の非限定的な例を提供する。表4および5(例えば、図6~8)は、表1~3の試薬または他の適切な試薬を伴い生じ得る異なるタイプの反応の非限定的な例を示す。一部の実施形態では、pH調整剤は、乾燥医薬を溶解させるための好ましい第1のpHから、対象に注入するのに適した第2のpHへ、混合物のpH値を調節するように働く。
【0028】
一部の実施形態では、乾燥医薬は一般に、水にそれほど可溶性ではない。ある特定の実施形態では、乾燥医薬はエピネフリンある。ある特定の実施形態では、乾燥医薬は遊離塩基形態のエピネフリンである。ある特定の実施形態では、乾燥医薬はグルカゴンある。ある特定の実施形態では、乾燥医薬はスマトリプタンある。
【0029】
特定の実施形態では、乾燥医薬は、1つまたは複数のpH調整剤と会合していない。特定の実施形態では、乾燥医薬と1つまたは複数のpH調整剤とは異なる粒子である。特定の実施形態では、乾燥医薬は、1つまたは複数のpH調整剤より小さい粒子である。ある特定の実施形態では、乾燥医薬粒子は、1nmより大きなサイズを有する。ある特定の実施形態では、乾燥医薬粒子は、5nmより大きなサイズを有する。ある特定の実施形態では、乾燥医薬粒子は、10nmより大きなサイズを有する。ある特定の実施形態では、乾燥医薬粒子は、50nmより大きなサイズを有する。ある特定の実施形態では、乾燥医薬粒子は、100nmより大きなサイズを有する。ある特定の実施形態では、乾燥医薬粒子は、500nmより大きなサイズを有する。ある特定の実施形態では、乾燥医薬粒子は、1μmより大きなサイズを有する。ある特定の実施形態では、乾燥医薬粒子は、5μmより大きなサイズを有する。ある特定の実施形態では、乾燥医薬粒子は、10μmより大きなサイズを有する。一部の実施形態では、乾燥医薬粒子は、約20μm~約40μm(例えば、約20、22.5、25、27.5、30、32.5、35または約40μm)のサイズを有する。ある特定の実施形態では、乾燥医薬粒子は、50μmより大きなサイズを有する。ある特定の実施形態では、乾燥医薬粒子は、100μmより大きなサイズを有する。ある特定の実施形態では、乾燥医薬粒子は、500μmより大きなサイズを有する。ある特定の実施形態では、1つまたは複数のpH調整剤粒子は、1nmより大きなサイズを有する。ある特定の実施形態では、1つまたは複数のpH調整剤粒子は、5nmより大きなサイズを有する。ある特定の実施形態では、1つまたは複数のpH調整剤粒子は、10nmより大きなサイズを有する。ある特定の実施形態では、1つまたは複数のpH調整剤粒子は、50nmより大きなサイズを有する。一部の実施形態では、1つまたは複数のpH調整剤粒子は、約40μm~約60μm(例えば、約40、45、47.5、50、52.5、55、57.5、または約60μm)のサイズを有する。ある特定の実施形態では、1つまたは複数のpH調整剤粒子は、100nmより大きなサイズを有する。ある特定の実施形態では、1つまたは複数のpH調整剤粒子は、500nmより大きなサイズを有する。ある特定の実施形態では、1つまたは複数のpH調整剤粒子は、1μmより大きなサイズを有する。ある特定の実施形態では、1つまたは複数のpH調整剤粒子は、5μmより大きなサイズを有する。ある特定の実施形態では、1つまたは複数のpH調整剤粒子は、10μmより大きなサイズを有する。ある特定の実施形態では、1つまたは複数のpH調整剤粒子は、50μmより大きなサイズを有する。ある特定の実施形態では、1つまたは複数のpH調整剤粒子は、100μmより大きなサイズを有する。ある特定の実施形態では、1つまたは複数のpH調整剤粒子は、500μmより大きなサイズを有する。
【0030】
本明細書で使用する場合、粒径の数値は、公知の技術(例えば、レーザー回折)および装置(例えばMalvernによって提供されているサイズ範囲デバイス)を使用して測定されるような粒子直径を指す。一部の実施形態では、粒子のサイズは、粒子(例えば、乾燥組成物)の集団の代表値(例えば、平均値(mean)、中央値または平均値(average))である。一部の実施形態では、乾燥組成物は非晶質固体を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は結晶性固体を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は非晶質固体および結晶性固体の混合物を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は固体ケーキである。一部の実施形態では、乾燥組成物は多孔性マトリクスである。
【0031】
特定の実施形態では、乾燥医薬は、1つまたは複数のpH調整剤の前に溶解される粒子である。特定の実施形態では、乾燥医薬粒子は、1つまたは複数のpH調整剤粒子より速く溶解する。特定の実施形態では、乾燥医薬は、1つまたは複数のpH調整剤より大きい粒子である。特定の実施形態では、乾燥医薬は、1つまたは複数のpH調整剤と類似したサイズの粒子である。理解されるように、乾燥医薬およびpH調整剤の異なる製剤(例えば、コーティング、ケージング等)は、異なる溶解速度が達成されるように、これらの物質の固有の溶解度を変えることができる。
【0032】
特定の実施形態では、pH調整剤は、薬学的に許容される担体の1つまたは複数の層でコーティングされている。特定の実施形態では、薬学的に許容される担体は固体である。薬学的に許容される担体には、特定の所望剤形に適しているあらゆる賦形剤(diluent)、分散剤、懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、保存剤、固体結合剤、滑沢剤などが含まれる。医薬組成物薬剤の製剤化および/または製造における全般的な考察は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、E.W.Martin(Mack Publishing Co., Easton, Pa.、1980年)およびRemington: The Science and Practice of Pharmacy、第21版(Lippincott Williams & Wilkins、2005年)に見ることができる。
【0033】
特定の実施形態では、pH調整剤は、薬学的に許容されるポリマーの1つまたは複数の層でコーティングされている。特定の実施形態では、pH調整剤は、第1の液体との混合後、乾燥医薬が溶解した後に放出される。
【0034】
特定の実施形態では、乾燥医薬はpH調整剤と会合している(例えば、図9A)。特定の実施形態では、pH調整剤は乾燥医薬の1つまたは複数の層でコーティングされている(例えば、図9B)。特定の実施形態では、クエン酸ナトリウムは、エピネフリンの1つまたは複数の層でコーティングされている。
【0035】
一部の実施形態では、乾燥医薬およびpH調整剤の異なる溶解速度は異なる粒径によって達成される。一部の実施形態では、乾燥医薬の粒径はpH調整剤の粒径に対してより小さく、そうすることで、より小さい医薬粒子は最初にかつ/またはより迅速に溶解する(例えば、図10A)。一部の実施形態では、乾燥医薬の粒径は、pH調整剤の粒径に対してより大きい(例えば、図10B)。例えば、特定の実施形態では、乾燥医薬およびpH調整剤の異なる溶解速度は、pH調整剤上に持続放出コーティングを含めることによって達成することができる。特定の持続放出コーティングの特性は、より小さい粒径が、pH調整剤の好ましい溶解速度を提供するようなものであり得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、pH最適化剤は、溶液のpHを最適化する能力を有する薬剤を指す。特定の実施形態では、pH最適化剤は、乾燥医薬の溶解を容易にする。ある特定の実施形態では、pH最適化剤は本明細書に一般的に記載されるような酸である。ある特定の実施形態では、pH最適化剤は本明細書に一般的に記載されるような塩基である。ある特定の実施形態では、pH最適化剤は緩衝剤である。
【0037】
本明細書で使用される場合、pH調整剤は、溶液のpH値を変えることができる薬剤である。特定の実施形態では、pH調整剤は、溶液のpHを、投与に適した生理学的に許容されるpHに調整する。特定の実施形態では、pH調整剤は、一般に本明細書で説明するような酸である。特定の実施形態では、pH調整剤は、一般に本明細書で説明するような塩基である。特定の実施形態では、pH調整剤は、一般に本明細書で説明するような緩衝剤である。特定の実施形態では、pH調整剤は塩である。
【0038】
本明細書で一般に定義されるように、酸は、水溶液中で解離してHをもたらす化学物質である。特定の実施形態では、酸は有機酸である。特定の実施形態では、酸は無機酸である。酸の例には、これらに限定されないが、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウ酸、カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、チオシアン酸、トルエンスルホン酸またはウンデシレン酸が含まれる。一部の実施形態では、酸は、塩酸;硫酸;リン酸;マレイン酸;1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸;2,2-ジクロロ酢酸;2-ヒドロキシエタンスルホン酸;2-オキソグルタル酸;4-アセトアミド安息香酸;4-アミノサリチル酸;酢酸;アジピン酸;アスコルビン酸(L);アスパラギン酸(L);ベンゼンスルホン酸;安息香酸;ショウノウ酸(+);カンファー-10-スルホン酸(+);カプリン酸(デカン酸);カプロン酸(ヘキサン酸);カプリル酸(オクタン酸);炭酸;桂皮酸;クエン酸;シクラミン酸;ドデシル硫酸;エタン-1,2-ジスルホン酸;エタンスルホン酸;ギ酸;フマル酸;ガラクタル酸;ゲンチシン酸;グルコヘプトン酸(D);グルコン酸(D);グルクロン酸(D);グルタミン酸;グルタル酸;グリセロリン酸;グリコール酸;馬尿酸;臭化水素酸;塩酸;イソ酪酸;乳酸(DL);ラクトビオン酸;ラウリン酸;マレイン酸;リンゴ酸(-L);マロン酸;マンデル酸(DL);メタンスルホン酸;ナフタレン-1,5-ジスルホン酸;ナフタレン-2-スルホン酸;ニコチン酸;硝酸;オレイン酸;シュウ酸;パルミチン酸;パモ酸;リン酸;プロピオン酸;ピログルタミン酸(-L);サリチル酸;セバシン酸;ステアリン酸;コハク酸;硫酸;酒石酸(+L);チオシアン酸;トルエンスルホン酸(p)またはウンデシレン酸である。一部の実施形態では、酸は、硫酸、塩酸、臭化水素酸、硝酸、リン酸、過塩素酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、マロン酸、酒石酸またはその組合せである。特定の実施形態では、酸は、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酒石酸、リンゴ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸またはギ酸である(例えば、図5)。
【0039】
本明細書で一般に定義されるように、塩基は、水溶液中で解離してOHをもたらす化学物質である。特定の実施形態では、塩基は有機塩基である。特定の実施形態では、塩基は無機塩基である。特定の実施形態では、塩基はアルカリ塩基である。塩基の例には、これらに限定されないが、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化マンガン、水酸化アルミニウム、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、トロメタミン、N-メチルグルカミンまたはその組合せが含まれる。一部の実施形態では、塩基は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである。
【0040】
本明細書で使用される場合、「緩衝剤(buffer)」という用語は、緩衝化剤(buffering agent)か、または1つもしくは複数の緩衝化剤を含む緩衝液を指す。本明細書で一般に定義されるように、緩衝化剤は、別の酸または塩基を添加した後、溶液のpHを、選択された値の近傍に維持するのに使用される弱い酸または塩基である。緩衝化剤の機能は、酸または塩基がその溶液に添加された場合に、pHの急激な変化を防止するためである。例示的な緩衝化剤には、これらに限定されないが、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプト酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、D-グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、プロパン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、第二リン酸カルシウム、リン酸、第三リン酸カルシウム、水酸化リン酸カルシウム(calcium hydroxide phosphate)、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物(potassium mixture)、リン酸二カリウム、リン酸2水素カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、リン酸2水素ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、発熱物質を含まない水、等張食塩水、リンガー溶液、エチルアルコールおよびその混合物が含まれる。特定の実施形態では、緩衝剤は、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩またはアンモニウム塩である。特定の実施形態では、緩衝剤は、クエン酸塩、酢酸塩、リン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩またはマレイン酸塩である(例えば、図4)。特定の実施形態では、緩衝剤は、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化カリウム、クエン酸カリウム、酢酸カリウム、コハク酸ナトリウムまたはコハク酸カリウムである。
【0041】
本明細書で使用される場合、第1の液体は、溶媒または溶液であってよい。一部の実施形態では、第1の液体は単一の溶媒である。一部の実施形態では、第1の液体は、pH最適化剤および単一の溶媒を含む溶液である。一部の実施形態では、第1の液体は水を含む。一部の実施形態では、第1の液体は、水およびpH最適化剤を含む。一部の実施形態では、pH最適化剤は、本明細書で一般的に定義されるような酸である。一部の実施形態では、pH最適化剤はHClである。一部の実施形態では、第1の液体は、HClを含む水溶液である。一部の実施形態では、pH最適化剤は、本明細書で一般的に定義されるような塩基である。一部の実施形態では、pH最適化剤はアルカリ塩基である。
【0042】
一部の実施形態では、第1の液体のpHは約0.1~約6.9である。一部の実施形態では、第1の液体のpHは、約0.5~約5.0である。一部の実施形態では、第1の液体のpHは、約1.0~約5.0である。一部の実施形態では、第1の液体のpHは、約2.0~約5.0である。一実施形態では、第1の液体のpHは、約0.1~約6.0である。一実施形態では、第1の液体のpHは、約0.1~約5.0である。一実施形態では、第1の液体のpHは、約0.1~約4.0である。一実施形態では、第1の液体のpHは、約0.1~約3.0である。一実施形態では、第1の液体のpHは、約0.1~約2.0である。一実施形態では、第1の液体のpHは、約0.1~約1.0である。一実施形態では、第1の液体のpHは、約0.01~約2.2であり、乾燥医薬はエピネフリンである。一部の実施形態では、第1の液体のpHは、約0.25~約0.50である。一部の実施形態では、第1の液体のpHは、約0.50~約0.75である。一部の実施形態では、第1の液体のpHは、約0.75~約1.0である。一部の実施形態では、第1の液体のpHは、約1.0~約1.25である。一実施形態では、第1の液体のpHは、1.25である。一部の実施形態では、第1の液体のpHは、約1.25~約1.5である。一部の実施形態では、第1の液体のpHは、約1.5~約1.75である。一部の実施形態では、第1の液体のpHは、約1.75~約2.0である。一部の実施形態では、第1の液体のpHは、約2.0~約2.25である。一部の実施形態では、第1の液体のpHは、約2.25~約2.5である。一部の実施形態では、第1の液体のpHは、約2.5~約2.75である。一部の実施形態では、第1の液体のpHは、約2.75~約3.0である。
【0043】
一部の実施形態では、第1の液体のpHは、約7.0~約13.5である。一部の実施形態では、第1の液体のpHは、約8.0~約13.5である。一部の実施形態では、第1の液体のpHは、約9.0~約13.5である。一部の実施形態では、第1の液体のpHは、約9.5~約13.5である。一部の実施形態では、第1の液体のpHは、約9.5~約13.5であり、乾燥医薬はグルカゴンである。
【0044】
一部の実施形態では、医薬組成物と第1の液体とが混合されると、乾燥医薬は、1つまたは複数のpH調整剤より速く溶解する。一部の実施形態では、pH調整剤は、混合物のpH値を、乾燥医薬を溶解させるための好ましいpHから対象に注入するのに適したpHへと調節するように働く(例えば、図3~8の試薬および反応によって例示されるように)。ある特定の実施形態では、最終溶液のpHは生理学的に許容されるpHである。一部の実施形態では、最終溶液のpHは約2.2~約5.0であり、乾燥医薬はエピネフリンである。一部の実施形態では、最終溶液のpHは約2.2~約5.0であり、乾燥医薬はエピネフリン遊離塩基形態である。一部の実施形態では、最終溶液のpHは約2.2~約5.0であり、乾燥医薬はエピネフリン塩形態である。一部の実施形態では、最終溶液のpHは約2.2~約5.0であり、乾燥医薬はエピネフリン塩酸塩形態である。一部の実施形態では、最終溶液のpHは約2.2~約5.0であり、乾燥医薬はエピネフリン酒石酸水素塩形態である。一部の実施形態では、最終溶液のpHは約4.2~約5.3であり、乾燥医薬はスマトリプタンである。一部の実施形態では、最終溶液のpHは約0.1~約3.0であり、乾燥医薬はグルカゴンである。
【0045】
乾燥医薬組成物は、薬学的処方物において使用されるような適切な任意の方法により調製することができる。例えば、薬物を、化学的に誘導する、凍結乾燥する(フリーズドライする)かつ/または噴霧乾燥することができ、かつ/または薬物および/または医薬を乾燥形態にする他の任意の技術を使用することができる。しかし、一部の実施形態では、自動注入器を作動させると(例えば、注入の直前かまたは注入時点で)乾燥薬物と混合されてそれを可溶化することができる液体成分も含む自動注入器において、その乾燥組成物を使用できるように、その乾燥された薬物が容易にかつ迅速に可溶性になることが重要である。
【0046】
心停止ならびにアナフィラキシーを処置するのに使用されるものを含め、何らかの形態のエピネフリンを含む多くの一般的な薬物処方物が存在する。エピネフリン遊離塩基の不溶性に起因して、ヘルスケアにおいて使用されるエピネフリンの最終的な剤形は、一般に、塩酸塩、重酒石酸塩またはホウ酸塩を形成させるために酸を使用して処方される。
【0047】
一部の実施形態では、L-エピネフリン遊離塩基を含む医薬組成物が、医療デバイスのチャンバー(例えば、自動注入器)中に配置される。pH最適化剤(例えば、HClなどの酸)を含む第1の液体は別のチャンバー中に配置される。一実施形態では、HCl溶液は、1Mまたはそれより高いものである。一部の実施形態では、HCl溶液は、0.1Mまたはそれより高いものである。一部の実施形態では、HCl溶液は、0.01Mまたはそれより高いものである。一部の実施形態では、HCl溶液は、0.001Mまたはそれより高いものである。一部の実施形態では、HCl溶液は、0.0001Mまたはそれより高いものである。一部の実施形態では、HCl溶液は、0.00001Mまたはそれより高いものである。一部の実施形態では、HCl溶液は、0.000001Mまたはそれより高いものである。
【0048】
一部の実施形態では、第1の液体(例えば、自動注入器中)の容積は、約100μL~約200μL(例えば、約100、125、150、175または約200μL)である。一部の実施形態では、第1の液体(例えば、自動注入器中)の容積は、約200μL~約300μL(例えば、約200、225、250、275または約300μL)である。一部の実施形態では、第1の液体(例えば、自動注入器中)の容積は、約300μL~約400μL(例えば、約300、325、350、375または約400μL)である。一部の実施形態では、第1の液体(例えば、自動注入器中)の容積は、約400μL~約500μL(例えば、約400、425、450、475または約500μL)である。一部の実施形態では、第1の液体(例えば、自動注入器中)の容積は、約500μL~約600μL(例えば、約500、525、550、575または約600μL)である。一部の実施形態では、第1の液体(例えば、自動注入器中)の容積は、約600μL~約700μL(例えば、約600、625、650、675または約700μL)である。一部の実施形態では、第1の液体(例えば、自動注入器中)の容積は、約700μL~約800μL(例えば、約700、725、750、775または約800μL)である。一部の実施形態では、第1の液体(例えば、自動注入器中)の容積は、約800μL~約1000μL(例えば、約800、850、900、950または約1000μL)である。一部の実施形態では、第1の液体(例えば、自動注入器中)の容積は、約1mL~約1.5mL(例えば、約1、1.1、1.2、1.3、1.4または約1.5mL)である。一部の実施形態では、液体は1.5mL超の体積のものである。
【0049】
一実施形態では、エピネフリンなどの治療剤を溶解させるために、メタ重亜硫酸塩、塩化ナトリウムおよび他の材料などの追加の成分を、第1の液体中に含めることもできる。
【0050】
一実施形態では、エピネフリン遊離塩基を、溶解した材料のpHが6未満のpH、5未満のpH、4未満のpH、3未満のpH、2未満のpH、2~5のpHとなるように、pH最適化剤を含む第1の液体中に溶解させる。一実施形態では、溶解したエピネフリン溶液を、次に、最終pHが投与のために生理学的に許容されるようにpH調整剤で調整する。
【0051】
特定の実施形態では、第1の溶液を、乾燥医薬および乾燥pH調整剤を含む乾燥組成物に添加する。一部の実施形態では、第1の溶液はpH最適化剤を含む。ある特定の実施形態では、pH最適化剤は酸である。ある特定の実施形態では、pH最適化剤は塩基である。ある特定の実施形態では、pH最適化剤は緩衝剤である。
【0052】
特定の実施形態では、乾燥医薬は、乾燥pH調整剤より速く第1の溶液中に溶解する。しかし、pH調整剤が溶解するにしたがって、それは、得られる溶液のpHを、例えば第1の溶液のpHより、生理学的に許容されるpH範囲になるように調整する。一部の実施形態では、乾燥pH調整剤は酸である。一部の実施形態では、乾燥pH調整剤は塩基である。一部の実施形態では、乾燥pH調整剤は緩衝剤である。特定の実施形態では、緩衝剤は弱酸の塩、または弱塩基の塩、例えば酢酸ナトリウム(例えば、乾燥粉末形態で)を含む。一部の実施形態では、緩衝剤は、弱酸およびその共役塩基または弱塩基およびその共役酸の混合物(例えば、乾燥粉末形態で)を含み得る。一部の実施形態では、緩衝剤は、クエン酸およびその共役塩基の混合物(例えば、乾燥粉末形態で)を含み得る。一部の実施形態では、緩衝剤は、酢酸およびその共役塩基の混合物(例えば、乾燥粉末形態で)を含み得る。一部の実施形態では、緩衝剤は、酒石酸およびその共役塩基の混合物(例えば、乾燥粉末形態で)を含み得る。一部の実施形態では、溶解した医薬溶液のpHを調整するための緩衝剤(例えば、乾燥粉末形態で)は、本明細書で説明されるような乾燥医薬とすでに混合されている。しかし、一部の実施形態では、緩衝剤(例えば、乾燥粉末形態で)は、溶解した溶液を受け入れるためのリザーバーの内部に含まれている。一部の実施形態では、緩衝剤は、溶解時のpHが2未満のpHに下がる場合、溶解した溶液のpHをpH2超に増大させるのに有用である可能性がある。一部の実施形態では、pH調整乾燥薬剤は塩基である。一部の実施形態では、pH調整乾燥薬剤は水酸化ナトリウムである。一部の実施形態では、pH調整剤による溶液のpHの調整は、得られる溶液を注入に適したものにする。一部の実施形態では、1つの特徴は、医薬が、医薬の溶解を容易にするために酸または塩基で提供され、緩衝剤が混合物を注入に適したpHに調整することであることを理解すべきである。
【0053】
特定の実施形態では、1つの粉末化形態のエピネフリンは、例えば-(-)エピネフリン遊離塩基である。-(-)エピネフリン(epi)は水への溶解性が低い。しかし、水溶液にpH最適化剤を添加すると、その溶解度を増大させることができる。特定の実施形態では、酸、例えば塩酸(HCl)の添加はその環境をより酸性にし、それによって、エピネフリンの溶解度を増大させる。
【0054】
酸の添加は、エピネフリンの溶解がより速くなるように促進する。注入を行う前に、例えば自動注入器または事前充填シリンジの内部でエピネフリンをより迅速に溶解させる必要がある場合、溶解速度の改善が重要である。特定の実施形態では、エピネフリンの迅速な溶解は、pHを約2.2未満に低下させることによって達成される。これは、注入前に、調整して約2.2~約5のpH値に戻すことができる。一実施形態では、エピネフリンを溶解させるpH値は、約2.2またはそれ未満である。一実施形態では、エピネフリンを含む注射溶液のpH値は約2.2またはそれ未満である。一実施形態では、エピネフリンを含む注射溶液のpH値は約5.0またはそれより大きい。
【0055】
pH値を、約2.2未満から約2.2~約5の範囲に調節するために、いくつかのアプローチを用いることができる。一部の実施形態では、1つまたは複数のpH調整剤(例えば、乾燥形態で)は、医薬を含む乾燥組成物中に存在し、緩衝系を形成する。特定の実施形態では、pH調整剤は緩衝剤である。特定の実施形態では、pH調整剤は緩衝化剤である。特定の実施形態では、緩衝化剤はナトリウムまたはカリウム緩衝化剤である。特定の実施形態では、緩衝化剤はクエン酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウムである。特定の実施形態では、緩衝系はクエン酸三ナトリウムおよびクエン酸を含む。
【0056】
一部の実施形態では、本明細書で提供する方法は、エピネフリンを溶解させるために第1の液体(例えば、酸性溶液)を使用し、続いて、pH調整剤(例えば、緩衝剤)のより遅い溶解に起因したpH調整により、注入のための約2.2~約5の最終pH範囲に到達させることによって、医療デバイス(例えば、自動注入器または事前充填シリンジ)内部での医薬(例えば、エピネフリン)の迅速な溶解を可能にする。
【0057】
一部の実施形態では、以下の反応タイプが関与する。
【化1】
【0058】
eq.1~eq.3に示すように、クエン酸ナトリウムおよびエピネフリン粉末は塩酸と反応してクエン酸溶液中でエピネフリン塩酸塩および塩化ナトリウムを生成する。クエン酸は、3つの酸解離定数(pKa)を有するトリプロトン弱酸(triprotic weak acid)である。この解離反応をeq.4~eq.6に示す。
【化2】
【0059】
クエン酸のpKa値は、目標注入溶液のpH内である。クエン酸を含む系は、より良好な緩衝能、およびpHドリフトに対する抵抗性を有する。組み合わされバランスがとられた反応(式3)は、注入のための目標pH値およびエピネフリン濃度を有する溶液をもたらす。溶液のpHおよび塩化ナトリウムの濃度は、HCl:クエン酸ナトリウムおよび/またはクエン酸ナトリウム:エピネフリンの相対比率を変えることによって調整することができる。ある特定の実施形態では、HCl:クエン酸ナトリウムのモル比は、約100:1~約1:100である。ある特定の実施形態では、HCl:クエン酸ナトリウムのモル比は、約80:1~約1:100である。ある特定の実施形態では、HCl:クエン酸ナトリウムのモル比は、約60:1~約1:100である。ある特定の実施形態では、HCl:クエン酸ナトリウムのモル比は、約40:1~約1:100である。ある特定の実施形態では、HCl:クエン酸ナトリウムのモル比は、約20:1~約1:100である。ある特定の実施形態では、HCl:クエン酸ナトリウムのモル比は、約10:1~約1:100である。ある特定の実施形態では、HCl:クエン酸ナトリウムのモル比は、約5:1~約1:100である。ある特定の実施形態では、HCl:クエン酸ナトリウムのモル比は、約10:1~約1:100である。ある特定の実施形態では、HCl:クエン酸ナトリウムのモル比は、約100:1~約1:80である。ある特定の実施形態では、HCl:クエン酸ナトリウムのモル比は、約100:1~約1:60である。ある特定の実施形態では、HCl:クエン酸ナトリウムのモル比は、約100:1~約1:40である。ある特定の実施形態では、HCl:クエン酸ナトリウムのモル比は、約100:1~約1:20である。ある特定の実施形態では、HCl:クエン酸ナトリウムのモル比は、約100:1~約1:10である。ある特定の実施形態では、HCl:クエン酸ナトリウムのモル比は、約100:1~約1:5である。ある特定の実施形態では、HCl:クエン酸ナトリウムのモル比は、約100:1~約1:1である。ある特定の実施形態では、HCl:クエン酸ナトリウムのモル比は、約50:1~約1:50である。ある特定の実施形態では、HCl:クエン酸ナトリウムのモル比は、約20:1~約1:20である。ある特定の実施形態では、HCl:クエン酸ナトリウムのモル比は、約10:1~約1:10である。ある特定の実施形態では、HCl:クエン酸ナトリウムのモル比は、約5:1~約1:5である。
【0060】
一部の実施形態では、エピネフリンとクエン酸ナトリウムとの両方を、酸(例えば、HCl)を含む第1の液体と混合する。緩衝効果は、クエン酸とその共役塩基、クエン酸ナトリウム(eq.4)の間の可逆反応によって達成することができる。特定の実施形態では、溶液平衡を左へ推進するように、クエン酸三ナトリウムを添加して過剰のHCl中でクエン酸イオンを増大させ、それによって、溶液のpHを増大させる(例えば、約2.2~約5.0の範囲に)。一部の実施形態では、エピネフリンと酢酸ナトリウムとの両方を、酸(例えば、HCl)を含む第1の液体と混合する。一部の実施形態では、エピネフリンと酒石酸水素ナトリウムとの両方を、酸(例えば、HCl)を含む第1の液体と混合する。
【0061】
特定の実施形態では、第1のチャンバー中に乾燥医薬を、第2のチャンバー中に第1の液体を貯蔵する医療デバイスを本明細書で提供する。乾燥粉末医薬を、第1の液体中に迅速に溶解させ、続いて、pH調整剤(例えば、それは、乾燥組成物中で医薬と混合して提供される)のより遅い溶解に起因して、注入に適したpHにpH調整することができる。一部の実施形態では、送達の直前に、液体用量中に粉末医薬品を迅速に溶解させる能力を伴う粉末医薬品(medication)の熱安定性の利益は、はるかに少ない貯蔵要件およびより長い保存寿命を有する医薬を患者にもたらす。特定の実施形態では、医療デバイスは自動注入器である。特定の実施形態では、粉末化形態のエピネフリンを自動注入器の第1のチャンバー中に配置し、酸を含む水溶液を自動注入器の第2のチャンバー中に配置する。一部の実施形態では、粉末化形態のエピネフリンを、粉末化形態のpH調整剤(例えば、乾燥形態の緩衝剤)と混合する。
【0062】
一部の実施形態では、乾燥医薬(例えば、エピネフリン、グルカゴンまたは他の医薬)および乾燥pH調整剤(例えば、クエン酸塩、酢酸塩または他のpH調整剤)を含む乾燥組成物を、約25mg~約50mg(例えば、約25、27.5、30、32.5、35、37.5、40、42.5、45、47.5または約50mg)の重量で提供する(例えば、自動注入器中で)。一部の実施形態では、乾燥医薬(例えば、エピネフリン、グルカゴンまたは他の医薬)および乾燥pH調整剤(例えば、クエン酸塩、酢酸塩または他のpH調整剤)を含む乾燥組成物を、約15~約25mg(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または約25mg)の重量で提供する(例えば、自動注入器中で)。一部の実施形態では、乾燥医薬(例えば、エピネフリン、グルカゴンまたは他の医薬)および乾燥pH調整剤(例えば、クエン酸塩、酢酸塩または他のpH調整剤)を含む乾燥組成物を、約5~約15mg(例えば、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または約15mg)の重量で提供する(例えば、自動注入器中で)。一部の実施形態では、乾燥医薬(例えば、エピネフリン、グルカゴンまたは他の医薬)および乾燥pH調整剤(例えば、クエン酸塩、酢酸塩または他のpH調整剤)を含む乾燥組成物を、約3~約5mg(例えば、約3、3.25、3.5、3.75、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.75または約5mg)の重量で提供する(例えば、自動注入器中で)。一部の実施形態では、乾燥医薬(例えば、エピネフリン、グルカゴンまたは他の医薬)および乾燥pH調整剤(例えば、クエン酸塩、酢酸塩または他のpH調整剤)を含む乾燥組成物を、約1mg~約3mg(例えば、約1、1.25、1.5、1.75、2、2.1、2.15、2.17、2.2、2.3、2.4、2.5、2.75または約3mg)の重量で提供する(例えば、自動注入器中で)。一部の実施形態では、乾燥医薬(例えば、エピネフリン、グルカゴンまたは他の医薬)および乾燥pH調整剤(例えば、クエン酸塩、酢酸塩または他のpH調整剤)を含む乾燥組成物を、約0.1mg~約1mg(例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9または約1mg)の重量で提供する(例えば、自動注入器中で)。
【0063】
特定の実施形態では、乾燥組成物を含む医療デバイスを本明細書で提供する。一部の実施形態では、乾燥組成物は乾燥医薬を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、乾燥医薬(例えば、エピネフリン、グルカゴンまたは他の医薬)および乾燥pH調整剤(例えば、クエン酸塩、酢酸塩または他のpH調整剤)を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約1重量%の乾燥医薬および約99重量%の乾燥pH調整剤を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約2重量%の乾燥医薬および約98重量%の乾燥pH調整剤を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約3重量%の乾燥医薬および約97重量%の乾燥pH調整剤を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約4重量%の乾燥医薬および約96重量%の乾燥pH調整剤を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約5重量%の乾燥医薬および約95重量%の乾燥pH調整剤を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約6重量%の乾燥医薬および約94重量%の乾燥pH調整剤を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約7重量%の乾燥医薬および約93重量%の乾燥pH調整剤を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約8重量%の乾燥医薬および約92重量%の乾燥pH調整剤を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約9重量%の乾燥医薬および約91重量%の乾燥pH調整剤を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約10重量%の乾燥医薬および約90重量%の乾燥pH調整剤を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約10重量%~約15重量%の乾燥医薬および約85重量%~約90重量%の乾燥pH調整剤を含む。例えば、約10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、または約15重量%の乾燥医薬および約85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、または約90重量%の乾燥pH調整剤である。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約15重量%~約20重量%の乾燥医薬および約80重量%~約85重量%の乾燥pH調整剤を含む。例えば、約15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、または約20重量%の乾燥医薬および約80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、または約85重量%の乾燥pH調整剤である。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約20重量%~約25重量%の乾燥医薬および約75重量%~約80重量%の乾燥pH調整剤を含む。例えば、約20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、または約25重量%の乾燥医薬および約75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、または約80重量%の乾燥pH調整剤である。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約25重量%~約40重量%の乾燥医薬および約60重量%~約75重量%の乾燥pH調整剤を含む。例えば、約25重量%、27.5重量%、30重量%、32.5重量%、35重量%、37.5重量%または約40重量%の乾燥医薬および約60重量%、62.5重量%、65重量%、67.5重量%、70重量%、72.5重量%、または約80重量%の乾燥pH調整剤である。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約40重量%~約55重量%の乾燥医薬および約45重量%~約60重量%の乾燥pH調整剤を含む。例えば、約40重量%、42.5重量%、45重量%、47.5重量%、50重量%、52.5重量%または約55重量%の乾燥医薬および約45重量%、47.5重量%、50重量%、52.5重量%、55重量%、57.5重量%、または約60重量%の乾燥pH調整剤である。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約55重量%~約70重量%の乾燥医薬および約30重量%~約45重量%の乾燥pH調整剤を含む。例えば、約55重量%、57.5重量%、60重量%、62.5重量%、65重量%、67.5重量%または約70重量%の乾燥医薬および約30重量%、32.5重量%、35重量%、37.5重量%、40重量%、42.5重量%、または約45重量%の乾燥pH調整剤である。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約70重量%~約85重量%の乾燥医薬および約15重量%~約30重量%の乾燥pH調整剤を含む。例えば、約70重量%、72.5重量%、75重量%、77.5重量%、80重量%、82.5重量%または約85重量%の乾燥医薬および約15重量%、17.5重量%、20重量%、22.5重量%、25重量%、27.5重量%、または約30重量%の乾燥pH調整剤である。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約85重量%~約99重量%の乾燥医薬および約1重量%~約15重量%の乾燥pH調整剤を含む。例えば、約85重量%、87.5重量%、90重量%、92.5重量%、95重量%、97.5重量%または約99重量%の乾燥医薬および約1重量%、2.5重量%、5重量%、7.5重量%、10重量%、12.5重量%、または約15重量%の乾燥pH調整剤である。
【0064】
一部の実施形態では、乾燥組成物は、約1重量%エピネフリンおよび約99重量%クエン酸塩を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約2重量%エピネフリンおよび約98重量%クエン酸塩を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約3重量%エピネフリンおよび約97重量%クエン酸塩を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約4重量%エピネフリンおよび約96重量%クエン酸塩を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約5重量%エピネフリンおよび約95重量%クエン酸塩を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約6重量%エピネフリンおよび約94重量%クエン酸塩を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約7重量%エピネフリンおよび約93重量%クエン酸塩を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約8重量%エピネフリンおよび約92重量%クエン酸塩を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約9重量%エピネフリンおよび約91重量%クエン酸塩を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約10重量%エピネフリンおよび約90重量%クエン酸塩を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約10重量%~約15重量%エピネフリンおよび約85重量%~約90重量%クエン酸塩を含む。例えば、約10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、または約15重量%エピネフリンおよび約85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、または約90重量%クエン酸塩である。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約15重量%~約20重量%エピネフリンおよび約80重量%~約85重量%クエン酸塩を含む。例えば、約15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、または約20重量%エピネフリンおよび約80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、または約85重量%クエン酸塩である。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約20重量%~約25重量%エピネフリンおよび約75重量%~約80重量%クエン酸塩を含む。例えば、約20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、または約25重量%エピネフリンおよび約75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、または約80重量%クエン酸塩である。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約25重量%~約40重量%エピネフリンおよび約60重量%~約75重量%クエン酸塩を含む。例えば、約25重量%、27.5重量%、30重量%、32.5重量%、35重量%、37.5重量%または約40重量%エピネフリンおよび約60重量%、62.5重量%、65重量%、67.5重量%、70重量%、72.5重量%、または約80重量%クエン酸塩である。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約40重量%~約55重量%エピネフリンおよび約45重量%~約60重量%クエン酸塩を含む。例えば、約40重量%、42.5重量%、45重量%、47.5重量%、50重量%、52.5重量%または約55重量%エピネフリンおよび約45重量%、47.5重量%、50重量%、52.5重量%、55重量%、57.5重量%、または約60重量%クエン酸塩である。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約55重量%~約70重量%エピネフリンおよび約30重量%~約45重量%クエン酸塩を含む。例えば、約55重量%、57.5重量%、60重量%、62.5重量%、65重量%、67.5重量%または約70重量%エピネフリンおよび約30重量%、32.5重量%、35重量%、37.5重量%、40重量%、42.5重量%、または約45重量%クエン酸塩である。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約70重量%~約85重量%エピネフリンおよび約15重量%~約30重量%クエン酸塩を含む。例えば、約70重量%、72.5重量%、75重量%、77.5重量%、80重量%、82.5重量%または約85重量%エピネフリンおよび約15重量%、17.5重量%、20重量%、22.5重量%、25重量%、27.5重量%、または約30重量%クエン酸塩である。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約85重量%~約99重量%エピネフリンおよび約1重量%~約15重量%クエン酸塩を含む。例えば、約85重量%、87.5重量%、90重量%、92.5重量%、95重量%、97.5重量%または約99重量%エピネフリンおよび約1重量%、2.5重量%、5重量%、7.5重量%、10重量%、12.5重量%、または約15重量%クエン酸塩である。
【0065】
一部の実施形態では、乾燥組成物は、約1重量%グルカゴンおよび約99重量%クエン酸塩を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約2重量%グルカゴンおよび約98重量%クエン酸塩を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約3重量%グルカゴンおよび約97重量%クエン酸塩を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約4重量%グルカゴンおよび約96重量%クエン酸塩を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約5重量%グルカゴンおよび約95重量%クエン酸塩を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約6重量%グルカゴンおよび約94重量%クエン酸塩を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約7重量%グルカゴンおよび約93重量%クエン酸塩を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約8重量%グルカゴンおよび約92重量%クエン酸塩を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約9重量%グルカゴンおよび約91重量%クエン酸塩を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約10重量%グルカゴンおよび約90重量%クエン酸塩を含む。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約10重量%~約15重量%グルカゴンおよび約85重量%~約90重量%クエン酸塩を含む。例えば、約10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、または約15重量%グルカゴンおよび約85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、または約90重量%クエン酸塩である。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約15重量%~約20重量%グルカゴンおよび約80重量%~約85重量%クエン酸塩を含む。例えば、約15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、または約20重量%グルカゴンおよび約80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、または約85重量%クエン酸塩である。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約20重量%~約25重量%グルカゴンおよび約75重量%~約80重量%クエン酸塩を含む。例えば、約20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、または約25重量%グルカゴンおよび約75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、または約80重量%クエン酸塩である。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約25重量%~約40重量%グルカゴンおよび約60重量%~約75重量%クエン酸塩を含む。例えば、約25重量%、27.5重量%、30重量%、32.5重量%、35重量%、37.5重量%または約40重量%グルカゴンおよび約60重量%、62.5重量%、65重量%、67.5重量%、70重量%、72.5重量%、または約80重量%クエン酸塩である。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約40重量%~約55重量%グルカゴンおよび約45重量%~約60重量%クエン酸塩を含む。例えば、約40重量%、42.5重量%、45重量%、47.5重量%、50重量%、52.5重量%または約55重量%グルカゴンおよび約45重量%、47.5重量%、50重量%、52.5重量%、55重量%、57.5重量%、または約60重量%クエン酸塩である。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約55重量%~約70重量%グルカゴンおよび約30重量%~約45重量%クエン酸塩を含む。例えば、約55重量%、57.5重量%、60重量%、62.5重量%、65重量%、67.5重量%または約70重量%グルカゴンおよび約30重量%、32.5重量%、35重量%、37.5重量%、40重量%、42.5重量%、または約45重量%クエン酸塩である。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約70重量%~約85重量%グルカゴンおよび約15重量%~約30重量%クエン酸塩を含む。例えば、約70重量%、72.5重量%、75重量%、77.5重量%、80重量%、82.5重量%または約85重量%グルカゴンおよび約15重量%、17.5重量%、20重量%、22.5重量%、25重量%、27.5重量%、または約30重量%クエン酸塩である。一部の実施形態では、乾燥組成物は、約85重量%~約99重量%グルカゴンおよび約1重量%~約15重量%クエン酸塩を含む。例えば、約85重量%、87.5重量%、90重量%、92.5重量%、95重量%、97.5重量%または約99重量%グルカゴンおよび約1重量%、2.5重量%、5重量%、7.5重量%、10重量%、12.5重量%、または約15重量%クエン酸塩である。
【0066】
本明細書で説明される乾燥形態の医薬、酸、塩基、緩衝剤または他の化合物は、粉末、固体形態、結晶形態、ペレット、粒子または他の乾燥形態の化合物の1つまたは複数を指すことを理解すべきである。
【0067】
一部の実施形態では、乾燥組成物は乾燥エピネフリン遊離塩基を含む。一部の実施形態では、乾燥薬物組成物は乾燥L-エピネフリン遊離塩基を含む。一部の実施形態では、乾燥薬物組成物は乾燥エピネフリン塩を含む。一部の実施形態では、エピネフリン塩は、エピネフリンのマレイン酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、酸性酒石酸塩、酒石酸水素塩または硫酸塩である。一部の実施形態では、エピネフリン塩は、エピネフリン塩酸塩である。一部の実施形態では、エピネフリン塩は、エピネフリン重酒石酸塩である。一部の実施形態では、エピネフリン塩は、エピネフリンホウ酸塩である。一部の実施形態では、エピネフリンはL-エピネフリンである。一部の実施形態では、乾燥薬物組成物は、乾燥pH調整剤をさらに含む。一部の実施形態では、乾燥薬物組成物は、塩および/または酸化防止剤をさらに含む。一部の実施形態では、乾燥薬物組成物は、メタ重亜硫酸ナトリウムおよび/またはマンニトール(manitol)を含む。
【0068】
一部の実施形態では、乾燥組成物は、溶液を乾燥することによって(この点に関しては本発明の態様は限定されないので、例えば、真空乾燥、フリーズドライ、凍結乾燥または適切な任意の乾燥技術によって)調製する。一部の実施形態では、乾燥組成物を、乾燥粉末として自動注入器の内部に入れる。一部の実施形態では、乾燥組成物は、効率的で迅速な溶解、可溶化または再構成を可能にする適切な任意の粒径を有することができる。一部の実施形態では、乾燥組成物の粒径を、限定された容積内で薬物溶液を乾燥することによって制御することができる。例えば、一部の実施形態では、薬物溶液を、自動注入器の限定領域(confine)内で(例えば、自動注入器の1つまたは複数のマイクロ流体チャネルの中で)乾燥する。結果として、乾燥された薬物組成物の粒径は、マイクロ流体チャネルの直径のオーダー(例えば、直径で約1ミクロン~約500ミクロン)のものであってよい。しかし、一部の実施形態ではより小さいまたは大きい粒径を使用することができる。
【0069】
組成物は、使用される条件および組成物の性質(例えば、組成物の薬物または他の成分)に依存して異なる程度まで乾燥させられ得ることが理解されるべきである。一部の実施形態では、乾燥組成物は、50重量%未満の水、40重量%未満の水、30重量%未満の水、20重量%未満の水、10重量%未満の水、5重量%未満の水、1重量%未満の水、0.1重量%未満の水、0.01重量%未満の水、またはそれ未満を有する。
【0070】
一部の実施形態では、乾燥して粉末形態にする前に、医薬とpH調整剤は溶液中で混合される。一部の実施形態では、医薬およびpH調整剤を個々に乾燥する。一部の実施形態では、乾燥医薬および乾燥pH調整剤を、独立に、公知の技術(例えば、微粉化、ミリング、バッシング、粉砕)を使用して、所望の粒径比を達成するように処理する。
【0071】
一部の実施形態では、溶液中の治療剤または医薬(例えば、L-エピネフリン)の最終濃度が1mg/mLとなるように、組成物の成分を計量し測定する。一実施形態では、治療剤または医薬(例えば、L-エピネフリン)の最終濃度は0.8mg/mL~1.2mg/mL。一実施形態では、治療剤または医薬(例えば、L-エピネフリン)の最終濃度は0.7mg/mL~1.3mg/mLである。一部の実施形態では、治療剤または医薬(例えば、L-エピネフリン)の最終濃度は0.8mg/mL未満、例えば、0.7mg/mL未満である。一部の実施形態では、治療剤または医薬(例えば、L-エピネフリン)の最終濃度は1.2mg/mLより大きい、例えば、1.3mg/mLより大きい。
【0072】
一部の実施形態では、1つまたは複数の成分(例えば、1つまたは複数の酸、塩基、緩衝剤、塩、添加剤、治療剤、医薬、薬物または本明細書で説明する他の成分)の濃度は、1nM~1M、例えば1nM~1μM、1μm~1mM、1mM~10mM、10mM~100mM、100mM~500mM、500mM~1M、約1mM、約5mM、約10mM、約50mM、約100mM、約500mM、約1M、あるいは成分および/または用途に応じて(例えば、溶解後の最終溶液において)それより多いかまたは少ない範囲である。
【0073】
注入システム(例えば、シリンジ/自動注入器デバイス)の非限定的な例を図2に示す。注入システム20は、シリンジ40(例えば、液体成分を保持するため)および混合器22(例えば、乾燥医薬の組成物を保持するため)を有する。シリンジ40は、体積を画定する円筒状管42を有する。シリンジ40の円筒状管42は出口ポート48の方へ向かって先細になっている。シリンジ40は、液体成分26を出口ポート48から強制的に出すための、押し下げハンドル52、シャフト54およびピストン56を備えたプランジャー50を有する。注入器30は、混合器22から離れていてよいが、混合器22の一部としてのニードル60として示されている。注入器30は、混合して合わせた医薬28の送達のためのノズルまたは管であってもよい。混合器22は、入口68および出口70を備えた内部流チャンバー66を画定するハウジング64を備えて例示されている。マイクロチャネル124などの単一のチャネルを備えた混合器22が示されている。この実施形態では、混合デバイス22のマイクロチャネル124は、入口68と出口70の間の流体経路を画定する蛇行状チャネルである。流体は、出口70ならびに入口68を出入りすることができる。蛇行状チャネル124は2つの機能を有する:第1の機能は、チャネルが折り返すことができるように流体の流れ方向を曲げることによってチャネル構造の小型化を可能にし、それによって、長いチャネルは、小さい領域をより効率的に利用することになる。第2の機能は、チャネル中に屈曲部またはエルボーがあるたびに自然な流れは乱され、チャネルの断面に左右される混合がもたらされることである。特定の実施形態では、液体は、混合器22を通して押し込まれてニードル60を出る。一部の実施形態では、出口ポート48は入口68と連結されており、シリンジ40からの流体は、混合器22中で乾燥医薬を通って押し込まれ、それによって、乾燥医薬を溶解、可溶化および/または再構成する。一部の実施形態では、乾燥医薬は、対象に注入する前に、液体と混合される(例えば、シールまたは膜を破裂または穿孔することによって、かつ/または1つまたは複数の弁を開放して液体成分を乾燥医薬の組成物と連結させることによって)まで、その乾燥医薬を乾燥状態に保つ構成(例えば、シール、膜、1つもしくは複数の弁または他のシステムあるいはその任意の組合せを含む)によって液体から分離されている。図2に例示したシステムは非限定的なものであり、本明細書で説明される組成物は、適切な任意の注入システム(例えば医薬およびpH調整剤を含む乾燥医薬の組成物が、液体成分から分離されており、液体成分と乾燥医薬の組成物とが注入前に混合されるシステムなど)と併せて使用することができる。一部の実施形態では、注入システムは、溶解を促進するために、医薬組成物および液体成分の物理的混合を増大させるための1つまたは複数の特徴を含む。しかし、一部の実施形態では、液体成分を乾燥医薬の組成物と接触させたときに、十分な混合が生じる。
【0074】
特定の実施形態では、エピネフリンおよび少なくとも1つの粉末pH調整剤(例えば、緩衝剤)を含む粉末医薬を、シリンジ/自動注入器デバイスの第1のチャンバー中に配置する。特定の実施形態では、緩衝剤は、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酢酸カリウム、コハク酸ナトリウムまたはコハク酸カリウムである。一部の実施形態では、溶媒(例えば、水)およびpH最適化剤(例えば、酸)を含む第1の液体を第2のチャンバー中に配置する。一部の実施形態では、pH最適化剤はHClである。
【0075】
投与の前に、医療デバイスの第1のチャンバー中の医薬組成物を、第2のチャンバー中の第1の流体と接触させて、注入用の溶液を生成させる。特定の実施形態では、その接触を第1のチャンバー中で実施する。特定の実施形態では、その接触を第2のチャンバー中で実施する。特定の実施形態では、その接触を第3のチャンバー中で実施する。特定の実施形態では、医薬組成物と第1の流体を部分的に混合する。特定の実施形態では、医薬組成物と第1の流体を完全に混合して溶液を生成させる。特定の実施形態では、エピネフリンを、第1のチャンバー中に配置し、第2のチャンバーからの酸性の第1の流体と、約2.2またはそれ未満のpHで接触させる。特定の実施形態では、第1の液体中でのエピネフリンの溶解に続いて、pH調整剤が放出されて約2.2~約5.0の最終pHがもたらされる。
【0076】
一部の実施形態では、エピネフリンとpH調整剤との異なる溶解速度は、異なる粒径によって達成される。一部の実施形態では、エピネフリンの粒径は、pH調整剤の粒径に対してより小さく、そうすることで、pHが最初は2.2未満である間に、より小さいエピネフリン粒子が最初にかつ/またはより迅速に溶解する可能性がより高く、より大きい粒径を有するpH調整剤はより緩徐に溶解し、次いで、合わさった溶液のpHを約2.2~約5.0の目標範囲に増大させる。
【0077】
本明細書で提供される医薬組成物は、非経口、静脈内、筋肉内または皮下経路で投与することができる。特定の実施形態では、投与経路は皮下である。特定の実施形態では、投与経路は静脈内である。
【0078】
注入可能調製物、例えば滅菌された注入可能な水性または油性懸濁剤は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して公知の技術にしたがって製剤化することができる。滅菌された注入可能な調製物は、非毒性の非経口的に許容される賦形剤または溶媒中の滅菌された注入可能な液剤、懸濁剤または乳剤であってよく、例えば1,3-ブタンジオール中の液剤としてであってよい。使用できる許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンガー溶液、U.S.Pおよび等張性塩化ナトリウム溶液がある。
【0079】
注入可能な製剤は、例えば細菌保持フィルターによる濾過によって、または、使用前に、滅菌された水または他の滅菌された注入可能な媒体中に溶解または分散させれら得る滅菌された固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことによって滅菌することができる。
【0080】
キット(例えば、薬剤パック)も本開示に包含される。本発明のキットは、疾患または状態(例えば、アレルギー反応)を防止および/または処置するのに有用であり得る。提供されるキットは、本発明の医薬組成物および容器(例えば、バイアル、アンプル、瓶、シリンジおよび/またはディスペンサーパッケージまたは他の適切な容器)を含むことができる。提供されるキットは、医療デバイス(例えば、自動注入器)中に本発明の医薬組成物を含むことができる。特定の実施形態では、キットは、組成物を投与するための取扱説明書をさらに含む。
【0081】
特定の実施形態では、治療剤は、Agrylin(アナグレリドHCl)、Akten(塩酸リドカイン)、Apokyn(塩酸アポモルヒネ)、Arestin(塩酸ミノサイクリン)、Avandamet(マレイン酸ロシグリタゾンおよびメトホルミンHCl)、Avelox I.V.(塩酸モキシフロキサシン)、Cardizem(R)(注射用ジルチアゼムHCl)、Contrave(ナルトレキソンHClおよびブプロピオンHCl)、Gemzar(ゲムシタビンHCL)、Hycamtin(塩酸トポテカン)、Lamisil(塩酸テルビナフィン)、Metozolv ODT(塩酸メトクロプラミド)、Namenda(メマンチンHCl)、Paxil(塩酸パロキセチン)、Oxecta(オキシコドンHCl)、Quillivant XR(塩酸メチルフェニデート)、Redux(塩酸デクスフェンフルラミン)、Relpax(臭化水素酸エレトリプタン)、Reminyl(臭化水素酸ガランタミン)、Renagel(塩酸セベラマー)、Requip(塩酸ロピニロール)、Ritalin LA(メチルフェニデートHCl)、Savella(塩酸ミルナシプラン)、Strattera(アトモキセチンHCl)、Tasigna(ニロチニブ塩酸塩一水和物)、Tiazac(塩酸ジルチアゼム)、Valcyte(バルガンシクロビルHCl)、Valtrex(バラシクロビルHCl)、VERSED(ミダゾラムHCI)、ザナフレックス(Zanaflex)(塩酸チザニジン)、Zingo(リドカイン塩酸塩一水和物)、ジプラシドン(塩酸ジプラシドン)、Zoloft(セルトラリンHCl)、Zometa(ゾレドロン酸)、Zyrtec(セチリジンHCl)、グルカゴンまたはスマトリプタンからなる群より選択される。
【0082】
薬学的に許容される添加剤には、所望される特定の剤形に適している、あらゆる全ての賦形剤、分散物、懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、保存剤、固体結合剤、滑沢剤などが含まれる。薬学的組成物薬剤の処方および/または製造における全般的な考察は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、E.W.Martin(Mack Publishing Co., Easton, Pa.、1980年)およびRemington: The Science and Practice of Pharmacy、第21版(Lippincott Williams & Wilkins、2005年)に見ることができる。
【0083】
提供される医療液剤を、皮内、筋肉内、鼻腔内、静脈内、経口、直腸、皮下、局所または膣投与により送達することができる。特定の実施形態では、提供される医療液剤を皮内または筋肉内で投与する。本明細書で説明する皮内または筋肉内医療液剤を送達するのに適したデバイスには、米国特許第4,886,499号、同第5,190,521号、同第5,328,483号、同第5,527,288号、同第4,270,537号、同第5,015,235号、同第5,141,496号および同第5,417,662号に記載されているものなどの従来のシリンジまたは短いニードルデバイスが含まれる。
【0084】
一部の実施形態では、医療液剤中の治療剤の量は、所望の生物学的応答を引き出す、すなわちその状態を処置するのに十分な有効量である。一部の実施形態では、医療液剤中の治療剤の量は、状態の処置において治療利益をもたらす、あるいは、その状態に関連する1つまたは複数の症状を遅延させるまたは最小にするのに十分な治療有効量である。「治療有効量」という用語は、治療全体を改善する、その状態の症状または原因を低減させるまたはそれを回避する、あるいは別の治療剤の治療有効性を増進させる量を包含することができる。一部の実施形態では、有効量は、状態、またはその状態に関連する1つもしくは複数の症状を防止する、あるいはその再発を防止するのに十分な予防的に有効な量である。
【0085】
本明細書で使用される、治療剤の有効量は、例えば、被験体の種、年齢および全身状態、副作用または障害の重症度、具体的な化合物の正体、投与の方式などに応じて、被験体ごとに変わることになる。所望の投薬量を、1日3回、1日2回、1日1回、2日に1回、3日に1回、週1回、2週間に1回、3週間に1回または4週間に1回送達することができる。特定の実施形態では、所望の投薬量を、複数回投与(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14回またはそれ超の回数の投与)を用いて送達することができる。
【0086】
特定の実施形態では、70kg成人に1日に1回または複数回投与するための化合物の有効量は、単位剤形当たり、約0.0001mg~約3000mg、約0.0001mg~約2000mg、約0.0001mg~約1000mg、約0.001mg~約1000mg、約0.01mg~約1000mg、約0.1mg~約1000mg、約1mg~約1000mg、約1mg~約100mg、約10mg~約1000mgまたは約100mg~約1000mgの化合物を含むことができる。
【0087】
特定の実施形態では、本発明の化合物は、所望の治療効果を得るために、1日に1回または複数回、1日当たり被験体の体重に対して約0.001mg/kg~約100mg/kg、約0.01mg/kg~約50mg/kg、好ましくは約0.1mg/kg~約40mg/kg、好ましくは約0.5mg/kg~約30mg/kg、約0.01mg/kg~約10mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、より好ましくは約1mg/kg~約25mg/kg送達するのに十分な投薬量レベルであってよい。
【0088】
本明細書で説明するような用量範囲は、成人へ提供される薬学的組成物の投与の指針をもたらすものであることを理解されよう。例えば、子供または青年に投与する量は、担当医師(medical practitioner)または当業者が決定することができ、それは、成人に投与される量より少ないかまたはそれと同じであってよい。
【0089】
一部の実施形態では、医療液剤を、ヒト被験体に投与する。一部の実施形態では、医療液剤を、非ヒト被験体に投与する。
【0090】
特定の実施形態では、本明細書で説明されるような乾燥医薬または医薬組成物は、温度の変化に対して安定である。一部の実施形態では、本明細書で説明しかつ/または実施例で例示する乾燥組成物は、以下の、-30℃未満、または-30℃~-25℃、または-25℃未満、または-25℃~-20℃、または-20℃未満、または-20℃~-15℃、または-15℃未満、または-15℃~-10℃、または-10℃未満、または-10℃~-5℃、または-5℃未満、または-5℃~0℃、または0℃未満、または0℃~5℃、または5℃未満、または5℃~10℃、または10℃未満、または10℃~15℃、または15℃未満、または15℃~20℃、または20℃未満、または20℃~25℃、または25℃超、または25℃~30℃、または30℃超、または30℃~35℃、または35℃超、または35℃~40℃、または40℃超、または40℃~45℃、または45℃超、または45℃~50℃、または50℃超、または50℃~55℃、または55℃超、または55℃~60℃または60℃超の温度曝露に、最大で1年間、2年間、3年間、5年間、7年間、最大で10年間または10年間を超えて供された場合、90%超の効力、95%超の効力、90%~100%の効力または90%~115%の効力を保持する。
【0091】
一部の実施形態では、L-エピネフリン粉末を注入器デバイス中に溶解させた後、得られる溶液は、その乾燥L-エピネフリンが、以前に、-30℃未満、または-30℃~-25℃、または-25℃未満、または-25℃~-20℃、または-20℃未満、または-20℃~-15℃、または-15℃未満、または-15℃~-10℃、または-10℃未満、または-10℃~-5℃、または-5℃未満、または-5℃~0℃、または0℃未満、または0℃~5℃、または5℃未満、または5℃~10℃、または10℃未満、または10℃~15℃、または15℃未満、または15℃~20℃、または20℃未満、または20℃~25℃、または25℃超、または25℃~30℃、または30℃超、または30℃~35℃、または35℃超、または35℃~40℃、または40℃超、または40℃~45℃、または45℃超、または45℃~50℃、または50℃超、または50℃~55℃、または55℃超、または55℃~60℃または60℃超の温度曝露に、最大で1年間、2年間、3年間、5年間、7年間、最大で10年間または10年間を超えて供された場合でも、90%超の効力、95%超の効力、90%~100%の効力または90%~115%の効力を保持する。
【0092】
特定の実施形態では、本明細書で説明されるような乾燥医薬または医薬組成物はキラル治療剤を含む。特定の実施形態では、本明細書で説明されるような乾燥医薬または医薬組成物はキラルL-エピネフリンを含む。一部の実施形態では、本明細書で説明する乾燥医薬組成物は、-30℃未満、または-30℃~-25℃、または-25℃未満、または-25℃~-20℃、または-20℃未満、または-20℃~-15℃、または-15℃未満、または-15℃~-10℃、または-10℃未満、または-10℃~-5℃、または-5℃未満、または-5℃~0℃、または0℃未満、または0℃~5℃、または5℃未満、または5℃~10℃、または10℃未満、または10℃~15℃、または15℃未満、または15℃~20℃、または20℃未満、または20℃~25℃、または25℃超、または25℃~30℃、または30℃超、または30℃~35℃、または35℃超、または35℃~40℃、または40℃超、または40℃~45℃、または45℃超、または45℃~50℃、または50℃超、または50℃~55℃、または55℃超、または55℃~60℃または60℃超の温度曝露に、最大で1年間、2年間、3年間、5年間、7年間、最大で10年間または10年間を超えて供された場合、60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超、95%~100%のL-エピネフリンのキラル純度を保持する。
【0093】
一部の実施形態では、L-エピネフリン粉末を注入器デバイス中に溶解させた後、得られる溶液は、その乾燥L-エピネフリンが、以前に、-30℃未満、または-30℃~-25℃、または-25℃未満、または-25℃~-20℃、または-20℃未満、または-20℃~-15℃、または-15℃未満、または-15℃~-10℃、または-10℃未満、または-10℃~-5℃、または-5℃未満、または-5℃~0℃、または0℃未満、または0℃~5℃、または5℃未満、または5℃~10℃、または10℃未満、または10℃~15℃、または15℃未満、または15℃~20℃、または20℃未満、または20℃~25℃、または25℃超、または25℃~30℃、または30℃超、または30℃~35℃、または35℃超、または35℃~40℃、または40℃超、または40℃~45℃、または45℃超、または45℃~50℃、または50℃超、または50℃~55℃、または55℃超、または55℃~60℃または60℃超の温度曝露に、最大で1年間、2年間、3年間、5年間、7年間、最大で10年間または10年間を超えて供された場合でも、60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超、95%~100%のキラル純度を保持する。
均等物および範囲
【0094】
特許請求の範囲において、「a」、「an」および「the」などの冠詞は、それとは反対に指定されていないか、あるいは文脈から明らかでない限り、1つまたは複数を意味することができる。ある群の1つまたは複数のメンバーの間に「または(or)」を含む特許請求の範囲または説明は、それとは反対に指定されているか、あるいは文脈から明らかであるのでない限り、その群メンバーの1つ、1つ超またはすべてが、所与の産物またはプロセス中に存在する、その中で使用されているあるいはそれに関連している場合に満たされているものと考える。本開示は、その群の正確に1つのメンバーが所与の産物またはプロセス中に存在する、その中で使用されているあるいはそれに関連している実施形態を含む。本開示は、その群メンバーの1つ超またはすべてが所与の産物またはプロセス中に存在する、その中で使用されているあるいはそれに関連している実施形態を含む。
【0095】
さらに、本開示は、挙げられている請求項の1つまたは複数から、1つまたは複数の限定、要素、節(clause)および記述用語が別の請求項に導入されているすべての変更形態、組合せ形態および置換形態を包含する。例えば、別の請求項に従属している任意の請求項は、同じ基本請求項に従属している他の任意の請求項において見出される1つまたは複数の限定を含むように改変することができる。要素がリストとして、例えばマーカッシュ群形式で提示されている場合、その要素の各下位群も開示されており、その群から任意の要素を取り出すことができる。一般に、開示、または開示の態様が、特定の要素および/または特徴を含むものとして参照されている場合、その開示、または開示の態様の特定の実施形態は、そうした要素および/または特徴からなる、またはから本質的になることを理解すべきである。簡潔にするために、それらの実施形態は、本明細書においてこの通りの言葉で(in haec verba)具体的に示されてはいない。「含むこと(comprising)」および「含むこと(containing)」という用語は、開放されていることを意図するものであり、追加的な要素またはステップの包含を許容することも留意されたい。範囲が与えられている場合、末端は包含される。さらに、別段の指定がないか、あるいは、文脈および当業者の理解から明らかでない限り、範囲として表されている値は、その文脈による別段の明らかな指定のない限り、その範囲の下限の単位の10分の1まで、開示の異なる実施形態における記述範囲内の特定の任意の値または下位範囲を想定することができる。
【0096】
本出願は、様々な交付済み特許、公開特許出願、学術論文および他の刊行物を参照するが、そのすべてを参照により本明細書に組み込む。組み込まれている参照のいずれかと本明細書との間に不一致がある場合、本明細書が優先されるものとする。さらに、従来技術に含まれる本開示の特定の任意の実施形態は、請求項の任意の1つまたは複数から明らかに排除することができる。そうした実施形態は当業者に公知であると見なされるので、本明細書でその排除が明らかに示されていなくても、それらを排除することができる。従来技術の存在に関係していてもいなくても、本開示の特定の任意の実施形態を、いかなる理由があるにせよ、任意の請求項から排除することができる。
【0097】
当業者は、慣行的なものに過ぎない実験を用いて、本明細書で説明する特定の実施形態の多くの均等物を理解するか、またはそれを確認することができよう。本明細書で説明する本実施形態の範囲は、上記説明に限定されるものではなく、むしろ、それは、添付の特許請求の範囲に示される通りのものである。当業者は、以下の特許請求の範囲で定義するような本開示の趣旨または範囲を逸脱することなく、本説明に、種々の変更および改変を加えることができることを理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】