(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136601
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】紙容器、チャック付き紙容器
(51)【国際特許分類】
B65D 75/58 20060101AFI20240927BHJP
B65D 5/44 20060101ALI20240927BHJP
B65D 33/25 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B65D75/58
B65D5/44 T
B65D33/25 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047757
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【弁理士】
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【弁理士】
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】武本 一平
(72)【発明者】
【氏名】武士田 満
【テーマコード(参考)】
3E060
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E060AB15
3E060AB32
3E060CE15
3E060CE22
3E060CF05
3E060CG12
3E060DA14
3E060DA16
3E060DA17
3E064AD26
3E064BA01
3E064BA17
3E064BA26
3E064BA29
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA55
3E064BC08
3E064BC18
3E064EA12
3E064FA04
3E064HM01
3E064HN13
3E067AA11
3E067AB16
3E067AC01
3E067BA12A
3E067BB01A
3E067BB12A
3E067BB15A
3E067BB25A
3E067CA04
3E067CA07
3E067CA24
3E067EA06
3E067EA25
3E067EB11
3E067EB17
3E067EB27
3E067EE02
3E067EE40
3E067EE59
3E067FA01
3E067FB07
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】本開示の紙容器96において、その天部71を密封するために、易開封シール部53が設けられている。使用者が内容物を取り出すために、易開封シール部53を剥離する際に、剥離しやすい紙容器96を提供する。
【解決手段】紙基材層782を含む積層シート78からなる表がわブランク板10bと裏がわブランク板10aとが組み上げられる紙容器96において、前記紙容器96の上部重ね合わせ板34及び天部の側部板41の上縁部21に開封掴み代57と、前記開封掴み代57の下がわに位置し、前記上部重ね合わせ板34及び前記天部の側部板41を、横断する易開封シール部53を備え、前記上縁部21と連設され、前記上縁部21の上方に突出する開封タブ65を備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材層を含む積層シートからなるブランク板が組み上げられる紙容器において、
前記ブランク板は、少なくとも表がわブランク板と裏がわブランク板を含み、
前記紙容器の上部に、前記表がわブランク板と前記裏がわブランク板とが重ね合わせて接合される上部重ね合わせ板、及び前記上部重ね合わせ板の下がわに連設される天面板とからなる天部と、
前記上部重ね合わせ板の左右両がわに連設される天部の側部板と、
前記天部の左右両がわに連設される天部がわ突出部と、
前記天部の下がわに備わる胴部と、
前記胴部の下がわに備わる底部と、
前記上部重ね合わせ板及び前記天部の側部板の上縁部に開封掴み代と、
前記開封掴み代の下がわに位置し、前記上部重ね合わせ板及び前記天部の側部板を、横断する易開封シール部と、を備え、
前記上縁部と連設され、前記上縁部の上方に突出する開封タブを備える紙容器。
【請求項2】
前記開封タブは、前記上縁部のうち裏がわ上縁部の連設される裏がわ開封タブである請求項1に記載の紙容器。
【請求項3】
前記開封タブは、前記上縁部のうち表がわ上縁部の連設される表がわ開封タブである請求項1に記載の紙容器。
【請求項4】
前記開封タブは、前記胴部の方向に折り曲げられる請求項1に記載の紙容器。
【請求項5】
前記開封タブは、前記胴部に固定される請求項4に記載の紙容器。
【請求項6】
前記開封タブは、前記上部重ね合わせ板及び又は前記天部の側部板の方向に折り曲げられる請求項1に記載の紙容器。
【請求項7】
前記開封タブは、前記上部重ね合わせ板及び前記天部の側部板に固定される請求項6に記載の紙容器。
【請求項8】
前記開封タブは、前記上縁部のうち裏がわ上縁部の連設される裏がわ開封タブと、前記上縁部のうち表がわ上縁部の連設される表がわ開封タブとである請求項1に記載の紙容器。
【請求項9】
前記裏がわ開封タブと、前記表がわ開封タブとは、少なくとも一部が重なる請求項8に記載の紙容器。
【請求項10】
前記裏がわ開封タブと、前記表がわ開封タブとは、全部が重なる請求項9に記載の紙容器。
【請求項11】
前記上部重ね合わせ板と前記天部の側部板との高さ方向の幅が、前記天面板のうち裏がわ天面板の前後方向の幅より小さく、
前記開封タブは、前記上部重ね合わせ板及び又は前記天部の側部板の領域内に収まる請求項1に記載の紙容器。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の紙容器において、前記易開封シール部の下がわに、前記上部重ね合わせ板及び前記天部の側部板に、横方向に延びるチャックテープを備えるチャック付き紙容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紙容器、チャック付き紙容器に関し、特に立体形状を有し、自立性を備える紙容器の分野において、開口部を開口しやすい紙容器、チャック付き紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チャック付き紙容器として、特許文献1のような技術が開示されている。すなわち、直方体形状の紙容器の上部にチャックを設けており、内容物を取り出す際にはチャックを開けて、内容物の取り出しが終了したらチャックを閉じることができる。
【0003】
上記の技術により、内容物の保護や、紙容器転倒時の内容物の零れを防止できる。また、紙容器であることから、内容物を消費後の容器の減容化や、廃棄が容易である。
図15に従来技術のチャック付き紙容器80の斜視図を示す。
【0004】
なお、今後特段の説明がない場合は、
図15を参照に、表がわ壁面板831bを正面として、チャック付き紙容器80の表がわ、裏がわ、左がわ、右がわ、上がわ、下がわを示すものとする。
また、従来技術の説明を行う際に使用する符号は、本開示の紙容器と区別するために、80番代又は800番代としている。
また、符号の添え字のaは、チャック付き紙容器80の裏がわ部分の要素を示し、添え字のbは表がわ部分の要素を示す。添え字のaとbとの両方がある要素において、添え字がない符号は、aとbの両方を含むことがある。後述する本開示の紙容器96、及びチャック付き紙容器90においても、同様とする。
【0005】
特許文献1に記載されたチャック付き紙容器80においては、その天部871を開口し、内容物を取り出す際には、まず天部がわ突出部874が胴部872から取り外され、次に易開封加工線851が切断されたのち、チャックテープ861の雄型と雌型の嵌合部が解離されて、取り出し用開口部が開口される。そして、取り出し用開口部を通して、内容物が取り出される。
【0006】
チャックテープ861を開く際に、表がわチャックテープ861bの上がわの表がわ開封掴み代857bと、裏がわのチャックテープ861aの上がわの裏がわ開封掴み代857bを、それぞれ手指で掴んで、チャック付き紙容器80の前後方向に開く。その際に、表がわ開封掴み代857bと裏がわ開封掴み代857aが密着して、隙間が無くなることがあった。そのため、使用者が手指を差し込みにくくなるので、チャックテープ861を解離しにくくなり、チャック付き紙容器80が開口されにくいことがあった。
【0007】
チャック付き紙容器80を製造する際に、易開封加工線851はブランク板の強度が弱い部分であり、誤って易開封加工線851が折り曲げられると、チャック付き紙容器80の作製が難しくなり、ブランク板が不良品となり廃棄されることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、チャック付き紙容器90において、その初期開封の手段として易開封加工線に代わる開封手段を用いている。そしてその開封手段により、チャック付き紙容器90が製造される際に失敗が少なくなり、ブランク板10の損失が少なくなるチャック付き紙容器90を提供することが課題である。
さらに使用者がチャック付き紙容器90を手指で開封手段を初期開封する際に、開封しやすいチャック付き紙容器90を提供する。なおチャックテープ61を含まないこと以外は同様な形状であり、立体形状を有し自立性を備える紙容器96も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題は、本開示の以下の実施形態により解決することができる。
すなわち、本開示の紙容器96は、
紙基材層782を含む積層シート78からなるブランク板10が組み上げられる紙容器96において、
前記ブランク板10は、少なくとも表がわブランク板10bと裏がわブランク板10aを含み、
前記紙容器96の上部に、前記表がわブランク板10bと前記裏がわブランク板10aとが重ね合わせて接合される上部重ね合わせ板34、及び前記上部重ね合わせ板34の下がわに連設される天面板33とからなる天部71と、
前記上部重ね合わせ板34の左右両がわに連設される天部の側部板41と、
前記天部71の左右両がわに連設される天部がわ突出部74と、
前記天部71の下がわに備わる胴部72と、
前記胴部72の下がわに備わる底部73と、
前記上部重ね合わせ板34及び前記天部の側部板41の上縁部21に開封掴み代57と、
前記開封掴み代57の下がわに位置し、前記上部重ね合わせ板34及び前記天部の側部板41を、横断する易開封シール部53と、を備え、
前記上縁部21と連設され、前記上縁部21の上方に突出する開封タブ65を備えている。
【0011】
また、本開示の紙容器96は、
前記開封タブ65は、前記上縁部21のうち裏がわ上縁部21aの連設される裏がわ開封タブ65aであってもよい。
【0012】
また、本開示の紙容器96は、
前記開封タブ65は、前記上縁部21のうち表がわ上縁部21bの連設される表がわ開封タブ65bであってもよい。
【0013】
また、本開示の紙容器96は、
前記開封タブ65は、前記胴部72の方向に折り曲げられる請求項1に記載の紙容器96。
【0014】
また、本開示の紙容器96は、
前記開封タブ65は、前記胴部72に固定されてもよい。
【0015】
また、本開示の紙容器96は、
前記開封タブ65は、前記上部重ね合わせ板34及び又は前記天部の側部板41の方向に折り曲げられてもよい。
【0016】
また、本開示の紙容器96は、
前記開封タブ65は、前記上部重ね合わせ板34及び前記天部の側部板41に固定されてもよい。
【0017】
また、本開示の紙容器96は、
前記開封タブ65は、前記上縁部21のうち裏がわ上縁部21aの連設される裏がわ開封タブ65aと、前記上縁部21のうち表がわ上縁部21bの連設される表がわ開封タブ65bとであってもよい。
【0018】
また、本開示の紙容器96は、
前記裏がわ開封タブ65aと、前記表がわ開封タブ65bとは、少なくとも一部が重なってもよい。
【0019】
また、本開示の紙容器96は、
前記裏がわ開封タブ65aと、前記表がわ開封タブ65bとは、全部が重なってもよい。
【0020】
また、本開示の紙容器96は、
前記上部重ね合わせ板34と前記天部の側部板41との高さ方向の幅が、前記天面板33のうち裏がわ天面板33aの前後方向の幅より小さく、
前記開封タブ65は、前記上部重ね合わせ板34及び又は前記天部の側部板41の領域内に収まってもよい。
【0021】
上記のいずれか1つの紙容器96において、前記易開封シール部53の下がわに、前記上部重ね合わせ板34及び前記天部の側部板41に、横方向に延びるチャックテープ61を備えるチャック付き紙容器90であってもよい。
【発明の効果】
【0022】
上述した本開示の実施形態によれば、以下の紙容器96、チャック付き紙容器90を提供できる。
すなわち本開示の紙容器96、チャック付き紙容器90は、上縁部21と連設され、前記上縁部21の上方に突出する開封タブ65を備えている。そのため使用者が、内容物の入った紙容器96、チャック付き紙容器90の天部71に設けられる易開封シール部53を開封する際に、開封タブ65を掴み外がわ方向に移動することで、表がわ上縁部21bと裏がわ上縁部21aとの間に空隙部が生じ、手指を差し込みしやすくなるので、表がわ開封掴み代57bと裏がわ開封掴み代57aは、手指で掴みやすくなる。
【0023】
表がわ開封掴み代57bと裏がわ開封掴み代57aのそれぞれを、使用者が手指で掴んで、紙容器96、チャック付き紙容器90の前後方向に開くと、易開封シール部53が剥離する。そのため使用者が紙容器96、チャック付き紙容器90の易開封シール部53を剥離して内容物を取り出す際に、開口しやすい紙容器96、チャック付き紙容器90を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A】第一実施形態の第一態様のチャック付き紙容器90の製造に用いる裏がわブランク板10aの展開図である。
【
図1B】第一実施形態の第一態様のチャック付き紙容器90の製造に用いる表がわブランク板10bの展開図である。
【
図2】
図1A、
図1Bに示したブランク板10を用いてチャック付き紙容器90を作製する際の中間段階であり、平面状態の第一中間段階のチャック付き紙容器91の形状を示す正面図である。
【
図3】
図1A、
図1Bに示したブランク板10を用いてチャック付き紙容器90を作製する際の中間段階であり、起函状態の第二中間段階のチャック付き紙容器92の形状を示す斜視図である。
【
図4】
図1A、
図1Bに示したブランク板10を用いて作製したチャック付き紙容器90の斜視図である。
【
図5】
図4に示したチャック付き紙容器90の側面図である。
【
図6】
図4に示したチャック付き紙容器90の平面図である。
【
図7】天部がわ突出部74が引き起こされたチャック付き紙容器93の斜視図である。
【
図8】天部71が開口されたチャック付き紙容器94の斜視図である。
【
図9A】ブランク板10の一態様の積層シート78の断面図である。
【
図9B】ブランク板10の他の態様の積層シート78の断面図である。
【
図9C】ブランク板10のさらに他の態様の積層シート78の断面図である。
【
図9D】ブランク板10のさらに他の態様の積層シート78の断面図である。
【
図10A】ブランク板10とチャックテープ61との接合部の一態様の拡大断面図である。(
図2に記載される断面位置C-C参照)。
【
図10B】ブランク板10とチャックテープ61との接合部の他の態様の拡大断面図である。(
図2に記載される断面位置C-C参照)。
【
図11】第一実施形態の第二態様のチャック付き紙容器90の側面図である。
【
図12】第一実施形態の第三態様のチャック付き紙容器90の側面図である。
【
図13A】第二実施形態において、天部がわ突出部が引き起こされたチャック付き紙容器93の表がわ上部重ね合わせ板34bの部分拡大正面図である。
【
図13B】第三実施形態において、天部がわ突出部が引き起こされたチャック付き紙容器93の表がわ上部重ね合わせ板34bの部分拡大正面図である。
【
図13C】第四実施形態において、天部がわ突出部が引き起こされたチャック付き紙容器93の表がわ上部重ね合わせ板34bの部分拡大正面図である。
【
図13D】第五実施形態において、天部がわ突出部が引き起こされたチャック付き紙容器93の表がわ上部重ね合わせ板34bの部分拡大正面図である。
【
図13E】第六実施形態において、天部がわ突出部が引き起こされたチャック付き紙容器93の表がわ上部重ね合わせ板34bの部分拡大正面図である。
【
図13F】第七実施形態において、天部がわ突出部が引き起こされたチャック付き紙容器93の表がわ上部重ね合わせ板34bの部分拡大正面図である。
【
図13G】第八実施形態において、天部がわ突出部が引き起こされたチャック付き紙容器93の表がわ上部重ね合わせ板34bの部分拡大正面図である。
【
図13H】第九実施形態において、天部がわ突出部が引き起こされたチャック付き紙容器93の表がわ上部重ね合わせ板34bの部分拡大正面図である。
【
図14】第十実施形態において、チャック付き紙容器90の平面図である。
【
図15】従来技術のチャック付き紙容器80の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本開示について図面を用いながら説明する。但し本開示はこれら具体的に示された形態や、各種の具体的に記載された構造に限定されるものではない。
なお各図においては、分かり易くする為に、部材の大きさや比率を変更または誇張して記載することがある。また見やすさの為に、説明上不要な部分や繰り返しとなる符号は省略することがある。
【0026】
また本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
【0027】
なお以降の実施形態の説明については、チャックテープ61を備えている紙容器90にて説明する。チャックテープ61を備えていない紙容器96の形状は、チャックテープ61を備えていないこと以外は、形状、ブランク板の材質等は、チャック付き紙容器90と同様である。またチャックテープを備えていない紙容器96の製造方法は、チャックテープ61を取り付ける工程がないこと以外は、チャック付き紙容器90の製造方法と同様である。
【0028】
本開示のチャック付き紙容器90のブランク板10は、紙基材層782が積層され、また少なくとも最内層としてポリエチレンなどの熱可塑性樹脂が積層された積層シート78を用いて、外形を矩形状に形成するとともに、ブランク板10の中に設けられた各種の折り曲げ線により、チャック付き紙容器90の形成に必要な各部の形成板が区画されて構成されている。
【0029】
<第一実施形態の第一態様>
<ブランク板>
本態様のチャック付き紙容器90のブランク板10を、
図1A、
図1Bに示す。
図1Aは裏がわブランク板10aを表し、
図1Bは表がわブランク板10bを表す。なお裏がわブランク板10aと表がわブランク板10bの2枚を、合わせてブランク板10と記述する。
【0030】
また特段の説明がない限り、後述されるブランク板10の各構成要素において、各符号の添え字のaは裏がわブランク板10aの要素を示し、添え字のbは表がわブランク板10bの要素を示す。添え字のaとbの両方がある要素において、添え字がない符号はaとbの両方を含むことがある。
【0031】
図1Aの裏がわブランク板10aの図面の下がわである裏がわ上縁部21aが、チャック付き紙容器90の上がわとなる。
図1Bの表がわブランク板10bの図面の上がわである表がわ上縁部21bが、チャック付き紙容器90の上がわとなる。
【0032】
図1A、
図1Bとも、図面の表面がわが、チャック付き紙容器90を組み立てた際の外面がわとなり、裏面がわが内面がわとなる。
図1A、
図1Bは、各々の上縁部21a、21bを基準にして線対称となっており、裏がわブランク板10aと表がわブランク板10bの内面同士を、位置を合わせて重ね合わせると、各構成要素(後述する各形成板、線、シール部、チャックテープ接合部など)は重なり合う。
【0033】
今後特段の記述がない場合は、
図1Bを参照として、表がわブランク板10bの上下左右を示すものとする。裏がわブランク板10aについても、その上縁部21aを上がわとして説明する。従って
図1Aでは、上下が逆となる。
チャック付き紙容器90においても、その上縁部21がわを上がわとし、下縁部26がわを下がわとする。
【0034】
なお本態様では、開封タブ65は裏がわブランク板10aにのみ存在し、裏がわ開封タブ65aである。裏がわ開封タブ65aは裏がわ上縁部21aの幅方向の中央部に存在し、外がわ方向(
図1Aでは下がわ方向)に突出している。
【0035】
位置を合わせて重ねられた、上述の表がわブランク板10bと裏がわブランク板10aとが接合されて、
図2の平面状態である第一中間段階のチャック付き紙容器91が作製されて、次に
図3の起函状態の第二中間段階のチャック付き紙容器92が作製される。さらに
図4のチャック付き紙容器90の完成に向けて手順が進んでいくが、この製造方法については後述する。
【0036】
なお形成されたチャック付き紙容器90は、後ほど説明するが、上がわから順次、天部71、胴部72、底部73で構成されており、上述の上がわを天部がわと、下がわを底部がわと称することもある。(
図4参照)。
また、天部71に設けられた各構成要素の上下方向を説明する際に、天部がわとの記載は上縁部21がわを示し、底部73に設けられた各構成要素の上下方向を説明する際に、底部がわとの記載は下縁部26がわを示すこともある。
【0037】
上述のように、裏がわブランク板10aと表がわブランク板10bは、開封タブ65を除いて上下にほぼ線対称の形状であるので、ブランク板10の説明については、表がわブランク板10bで説明する。また裏がわブランク板10aと表がわブランク板10bとは、材質(層構成)、製造方法も同じである。
【0038】
本態様のチャック付き紙容器90の表がわブランク板10bは、少なくとも基材の紙を積層し、少なくとも最内層としてポリエチレンなどの熱可塑性樹脂を積層した積層シート78を用いて、外形を略矩形状に形成している。
図1Bを参照にして、上がわを表がわ上縁部21b、左右の両がわを表がわ側縁部11b、下がわを表がわ下縁部26bとする。
また表がわブランク板10bは、その幅方向の中央部を通る鉛直線を対称軸として左右対称な形状である。なお積層シート78については、後ほど説明する。
【0039】
表がわブランク板10bには、表がわ上縁部21bがわから順次、横断方向に存在する表がわ第一横折り曲げ線22b、表がわ第二横折り曲げ線23b、表がわ第三横折り曲げ線24b、表がわ第四横折り曲げ線25bが設けられている。
それらの表がわ横折り曲げ線22b、23b、24b、25bは、各々が表がわ上縁部21b及び表がわ下縁部26bに平行であることが望ましい。
【0040】
表がわブランク板10bには、左がわから順次、縦断する表がわ第一縦折り曲げ線12bと、表がわ第二縦折り曲げ線13bと、表がわ第二縦折り曲げ線13bと、表がわ第一縦折り曲げ線12bが設けられている。
すなわち各々表がわブランク板10bの側縁部11bに近い方の縦折り曲げ線が、表がわ第一縦折り曲げ線12bであり、表がわブランク板10bの側縁部11bに遠い方の縦折り曲げ線が、表がわ第二縦折り曲げ線13bである。
それらの表がわ縦折り曲げ線12b、13bは、各々が表がわブランク板10bの側縁部11bに略平行であることが望ましい。
【0041】
さらに表がわ天部がわ斜め折り曲げ線17b、表がわ底部がわ斜め折り曲げ線18b、が、それぞれ左右に一対で設けられており、チャック付き紙容器90の形成に必要な各部の形成板が区画されて構成されている。
【0042】
表がわ天部がわ斜め折り曲げ線17bは、表がわ第二縦折り曲げ線13bと、表がわ第二横折り曲げ線23bとの交点である、表がわ第二天部交点Fbを起点としている。
さらに、表がわ天部がわ斜め折り曲げ線17bは、上記の表がわ第二天部交点Fbと、表がわ第一縦折り曲げ線12bと表がわ第一横折り曲げ線22bとの交点である表がわ第一天部交点Ebとを結び、さらに表がわ側縁部11bまで延伸している。そして、表がわ側縁部11bと表がわ天部がわ斜め折り曲げ線17bの交点が、表がわ天部がわ斜め折り曲げ線17bの終点である。
【0043】
表がわ底部がわ斜め折り曲げ線18bは、表がわ第二縦折り曲げ線13bと、表がわ第三横折り曲げ線24bとの交点である、表がわ第二底部交点Hbを起点としている。
さらに、表がわ底部がわ斜め折り曲げ線18bは、上記の表がわ第二底部交点Hbと、表がわ第一縦折り曲げ線12bと表がわ第四横折り曲げ線25bとの交点である表がわ第一底部交点Gbとを結び、さらに表がわ側縁部11bまで延伸している。そして、表がわ側縁部11bと表がわ底部がわ斜め折り曲げ線18bの交点が、表がわ底部がわ斜め折り曲げ線18bの終点である。
【0044】
なお表がわ天部がわ斜め折り曲げ線17bは、表がわ第二天部交点Fbとは接せずに、近傍に位置してもよい。
また表がわ天部がわ斜め折り曲げ線17bは、表がわ第一天部交点Ebとは接せず、その近傍は存在しなくてもよい。あるいは、表がわ天部がわ斜め折り曲げ線17bは、表がわ第一天部交点Ebと表がわ側縁部11bとの間は、存在しなくてもよい。
【0045】
表がわ底部がわ斜め折り曲げ線18bは、表がわ第二底部交点Hbとは接せずに、近傍に位置してもよい。
また表がわ底部がわ斜め折り曲げ線18bは、表がわ第一底部交点Gbとは接せず、その近傍は存在しなくてもよい。あるいは、表がわ底部がわ斜め折り曲げ線18bは、表がわ第一底部交点Gbと表がわ側縁部11bとの間は、存在しなくてもよい。
【0046】
上記の各々の表がわの斜め折り曲げ線と各々の交点とが、接せずに近傍に位置することにより、充分な折り曲げ性能を有しつつ、なおかつ特定な箇所に折り曲げ線の過度な集中がなく、表がわブランク板10bの積層シートの強度の低下を防ぐことができる。
【0047】
表がわブランク板10bの左右の両がわの側縁部11bには、表がわ側縁部がわシール代36bが表がわ第一縦折り曲げ線12bを介して形成されている。また表がわブランク板10bの下がわに位置する表がわ下縁部26bには、表がわ底部がわシール代37bが、表がわ第四横折り曲げ線25bを介して形成されている。また表がわブランク板10bには、その最も上がわに位置する表がわ上縁部21bより下がわ方向に順次、各部の形成板が設けられている。
【0048】
主要部について説明すると、表がわ上縁部21bの中央領域の下がわに、表がわ上部重ね合わせ板34bが設けられている。その表がわ上部重ね合わせ板34bの下がわに、表がわ第一横折り曲げ線22bを介して、表がわ天面板33bが連設されている。その表がわ天面板33bの下がわに、表がわ第二横折り曲げ線23bを介して、表がわ壁面板31bが連設されている。その表がわ壁面板31bの下がわに、表がわ第三横折り曲げ線24bを介して、表がわ底面板35bが連設されている。
【0049】
また表がわ上部重ね合わせ板34bの左右の両がわの外方には、表がわ第二縦折り曲げ線13bを介して、表がわ天部の側部板41bが連設されている。さらに、表がわ天面板33bの左右の両がわの外方には、表がわ第二縦折り曲げ線13bを介して、表がわ天部がわ突出部代38bが連設されている。また表がわ壁面板31bの左右の両がわの外方には、表がわ第二縦折り曲げ線13bを介して、表がわ側面板32bが連設されている。さらに、表がわ底面板35bの左右の両がわの外方には、表がわ第二縦折り曲げ線13bを介して、表がわ底部がわ突出部代43bが連設されている。
【0050】
またそれぞれの表がわ天部の側部板41bの下がわに、表がわ第一横折り曲げ線22bを介して、表がわ天部がわ突出部代38bが連設されている。その表がわ天部がわ突出部代38bの下がわに、表がわ第二横折り曲げ線23bを介して、表がわ側面板32bが連設されている。その表がわ側面板32bの下がわに、表がわ第三横折り曲げ線24bを介して、表がわ底部がわ突出部代43bが連設されている。
【0051】
上記の表がわ底面板35bと、その左右両がわの表がわ底部がわ突出部代43bの下がわに、底部がわシール代37bが連設されている。
【0052】
上記の表がわ天部の側部板41bと、表がわ天部がわ突出部代38bと、表がわ側面板32bと、表がわ底部がわ突出部代43bとの左右の外がわには、表がわ第一縦折り曲げ線12bを介して、表がわ側縁部がわシール代36bが連設されている。
【0053】
本態様のブランク板10への折り曲げ線を付与する加工(罫線加工)は、積層シート78が完成してから罫線加工して、その後にチャック付き紙容器90を製造する機械に積層シートを供給する。あるいは、罫線加工はチャック付き紙容器90を製造する機械にて実施してもよい。
【0054】
罫線加工の方法としては、プラテン方式、ロータリーダイ方式など公知の方法から、適切な方法が採用される。
また罫線加工を実施する前に、積層シート78をシート断ちしてもよい。あるいは、積層シート78はロール状で罫線加工の工程に供給されてもよい。
【0055】
また積層シート78を打ち抜いて、ブランク板10を製造する打ち抜き工程について説明する。前記打ち抜き工程は、プラテン方式、ロータリーダイ方式など公知の方法から、適切な方法が選択される。ロール状の積層シート78から直接にブランク板10を形成してもよく、一度枚葉にシート断ちしてから、打ち抜いてもよい。また罫線加工と打ち抜き加工の順番は問わない。同時に加工してもよい。
【0056】
また所定のロール幅にスリットしたロール状の積層シート78を、チャック付き紙容器90を製造する機械に供給し、ロール状の積層シート78の横断方向に切断し、ブランク板10が作製されてもよい。
【0057】
表がわ上縁部21bの下がわには、表がわ上縁部21bとは間隔を有して、表がわ易剥離加工部54bが横方向に延在している。後述される、チャック付き紙容器90の内容物を封止する易開封シール部53が、表がわ易剥離加工部54bの領域に設けられる。
【0058】
表がわ易剥離加工部54bは、積層シート78がロールの状態、シート断ちの状態、ブランク板10に形成された後のいずれの状態で設けられてもよい。また、表がわ易剥離加工部54bは、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、シルク印刷等で設けられてもよい。あるいは、スタンプ、箔押し等で設けられてもよい。
【0059】
裏がわブランク板10aは、表がわブランク板10bと、線対称で同様の形状である。言い替えれば、ブランク板の層構成が逆になっている同様の形状のブランク板である。
【0060】
図2は、
図1A、
図1Bに示したブランク板10を用いてチャック付き紙容器90を製造する際の中間段階であり、平面状態のチャック付き紙容器の形状を示す正面図である。この中間段階のチャック付き紙容器を第一中間段階のチャック付き紙容器91と呼ぶ。最上部が
図1Bに示した表がわブランク板10bの上縁部21bであり、その裏がわには、裏がわブランク板10aが備えられている。裏がわブランク板10aは目視できないが、透視とすると開封タブ65を除いて表がわブランク板10bと同様の形状となる。
【0061】
なお
図2では、裏がわブランク板10aと表がわブランク板10bが重なっており、各構成要素は、製造上のバラツキの範囲で、図面を透視すると同じ位置関係であるので、「表がわ」の表記及び添え字を、説明の際に省略することがある。
【0062】
上部重ね合わせ板34及び表がわ天部の側部板41には、上述の2枚のブランク板10が互いに重なり合う所定の位置に、横断方向の密封手段としての易開封シール部53、およびチャックテープ接合部52とが、上縁部21がわから順次に設けられている。なおチャックテープ接合部52とは、チャックテープ61が接合されるブランク板10の相当箇所である。
【0063】
横断方向の密封手段としての易開封シール部53は、相対することになる表がわ易開封シール部53bと裏がわ易開封シール部53aとが接合されて形成される。その接合は、チャック付き紙容器90の全幅に渡って横断するように接合されるため、チャック付き紙容器90の密閉が保たれる。易開封シール部53が上縁部21に略平行であると、易開封シール部53の長さを短くすることができる。
【0064】
さらにチャックテープ61は、上縁部21に略平行であることが望ましい。そのような形態では、チャックテープ61の開閉及び、内容物の取り出しが容易となる。またチャックテープ61の長さを短くすることができる。
【0065】
<易開封シール部>
図7、
図8を参照にして、易開封シール部53について説明する。易開封シール部53は、チャック付き紙容器90の天部71を封止する作用がある。さらに内容物を取り出すために、チャック付き紙容器90の天部71を開封する際に容易に剥離できて、取り出し用開口部56を形成できる作用がある。そのため鋏などの道具を使用しなくても、使用者の手指でチャック付き紙容器90を開封できる。
【0066】
易開封シール部53が使用者の手指で容易に開封できるためには、易開封シール部53は、適切な剥離強度(上限)にてシールされる必要がある。さらに内容物の適切な密閉性を有するには、適切な剥離強度(下限)を有することが望ましい。その剥離強度は1N/15mm以上、20N/15mm以下が好ましい。
その適切な剥離強度を設定するためには、易開封シール部53が接合される界面、すなわちブランク板10の内面に易剥離加工部54が設けられる。易剥離加工部54により、易開封シール部53の剥離強度が適切に設定される。
【0067】
上記のように、適切な剥離強度を有する易開封シール部53を得るための易剥離加工部54は、グラビア印刷またはフレキソ印刷など手段でパターン状に、イージーピール性の熱接着性樹脂や、抗ヒートシール剤と呼ばれる樹脂の塗布液が塗布、乾燥されて形成される。
【0068】
易剥離加工部54がイージーピール性の熱接着性樹脂で形成される場合は、そのイージーピール性の熱接着性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレンやエチレン-酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂に、ポリスチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリブテン-1、無機または有機の充填剤、ポリエチレンワックス、脂肪酸アマイドなどを、添加剤として適宜に混合した樹脂組成物などが使用されてもよい。
【0069】
上記の無機または有機の充填剤は、無機の充填剤としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、クレー、酸化チタン、アルミナ、水酸化アルミニウムなどの粉末を使用することができ、特にシリカの粉末が好ましい。また、有機の充填剤としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン、フッ化エチレン系樹脂、シリコーン樹脂などの粉末を使用することができる。
【0070】
上記の樹脂組成物中の上記の添加剤の含有量は、4質量%以上、40質量%以下が好ましく、添加剤の含有量が4質量%未満の場合は、剥離強度が強くなり、良好な易開封シール部53(易剥離性)が得られず、また、添加剤の含有量が40質量%を超える場合は、剥離強度が弱くなりすぎるため好ましくない。
【0071】
上記のようなイージーピール性の熱接着性樹脂の塗布量は、乾燥時の塗布量で2g/m2以上、8g/m2以下が好ましく、3g/m2以上、5g/m2以下が更に好ましい。
【0072】
また、易剥離加工部54を抗ヒートシール剤で形成する場合は、その抗ヒートシール剤としては、基剤の樹脂に離型剤を適宜の量で混合した樹脂組成物を使用することができる。
この基剤の樹脂には、例えばエチルセルロース、環化ゴム、アクリル系樹脂などを使用することができ、離型剤には、例えば、シリコーン樹脂、ポリエチレンワックス、大豆レシチン、高級脂肪酸アマイドなどを使用することができる。抗ヒートシール剤を塗布する場合、その塗布量は少なくてよく、厚みにして、0.3μm以上、2μm以下が望ましい。
【0073】
なお易剥離加工部54は、ブランク板10の内面同士の接合力を弱くするものであるから、強固に接合したい箇所には設けないことが望ましい。本態様では、
図2に示すように、側縁部がわのシール代36の領域には、易剥離加工部54が掛からないことが望ましい。製造上のバラツキを考慮すると、側縁部がわシール代36と易剥離加工部54は離間していてもよい。その離間している間隔は0.5mm以上、15mm以下であってもよい。
【0074】
その間隔が0.5mm未満であると、製造上のバラツキにより、側縁部がわシール代36bと易剥離加工部54が重なってしまう虞れがある。
その間隔が15mmを超えると、チャック付き紙容器90の天部71を全面開口した際の開口部が小さくなり、内容物が取り出しにくくなることがある。
【0075】
また、易剥離加工部54の上下方向の長さ(高さ)は、易開封シール部53の上下方向の長さ(高さ)より、0.5mm以上、5mm以下の範囲で大きくもよい。これは、製造時の誤差により、易剥離加工部54及び又は易開封シール部53が、所定の位置からずれても、易開封シール部53が易剥離加工部54の領域から外れないためである。そのため易開封シール部53の幅は所定の幅で保たれるので、剥離強度が安定する。なおその大きさが0.5mm未満であると、易開封シール部53が易剥離加工部54の領域から外れる虞れがある。さらにその大きさが5mmを超えると、易剥離加工部54とチャックテープ接合部52とが干渉し、後述するチャックテープ61とブランク板10との接合を阻害する虞れがある。
【0076】
なお本態様では、易開封シール部53の剥離強度が適切に設定されるように、易剥離加工部54が設けられている。しかし他の方法にて剥離強度が適切に設定される場合には、易剥離加工部54は必ずしも設ける必要は無い。他の方法の例示として、易開封シール部53のヒートシール条件(温度、時間、加圧力等)が適切に設定されてもよい。あるいは、易開封シール部53の領域で、ドット形状、ストライプ形状等にして、実質的のヒートシール面積を減少させつつ、剥離強度が設定されてもよい。
【0077】
<チャックテープ>
チャックテープ61は、雄型チャックテープ61mと雌型チャックテープ61fとが、それぞれ押出成形にて成形されており、雄型チャックテープ嵌合部63mと、雌型チャックテープ嵌合部63fとが嵌合されている。
【0078】
<チャックテープの接合手順>
チャック付き紙容器90の組み立ての手順は後ほど説明するが、その手順のうち、ここではチャックテープ61の接合手順を説明する。
【0079】
チャックテープ接合部52は、この場合はチャック付き紙容器90を組み立てる際のチャックテープ61の接合予定部である。
【0080】
裏がわブランク板10aと表がわブランク板10bとが重ね合わされて、側縁部がわシール代36同士、及び易開封シール部53同士がヒートシールされる。
その際に、予め雄型チャックテープ61mと雌型チャックテープ61fとが、雄型チャックテープ嵌合部63mと、雌型チャックテープ嵌合部63fとで嵌合されたチャックテープ61がこの部分に挿入される。そして、同時に2枚のブランク板10の外面がわからチャックテープ接合部52が加熱、加圧される。そして、ブランク板10とチャックテープ61とが、ヒートシールされる。(
図10A、
図10B参照)。
【0081】
なおチャックテープ61のブランク板10への接合は、上記のようなヒートシールに限らず、接着剤や接着テープなど、その他の方法にて接合されてもよい。
【0082】
このような方法でチャックテープ61がヒートシールされることにより、雄型チャックテープ61mと雌型チャックテープ61fとを別々にチャックテープ接合部52にヒートシールする方法と比較して、ヒートシールの位置ずれが少なくなり、また取り付け工程が簡略化されるので、生産効率よくチャックテープ61を取り付けることができる。
【0083】
<ブランク板の積層シート>
ブランク板10に用いる積層シート78は、前述したように、少なくとも紙基材層782を積層し、少なくとも最内層の熱可塑性樹脂層783としてポリエチレンなどの熱可塑性樹脂を積層した積層シート78を用いる。さらに、中間層には必要に応じて、水蒸気や酸素やその他の物質のバリア層785や、強度向上層などを設けることができる。なお、強度向上層は特段のバリア性付与は必要とせず、機械的強度を有するフィルムでもよく、例示としてポリエチレンテレフタレートフィルムでもよい。
【0084】
また本態様のチャック付き紙容器90に絵柄等の印刷層を設ける場合、通常は紙基材層782の外がわに印刷するが、仮に紙基材層782の印刷適性が良くない場合は、例えば二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの合成樹脂フィルムに絵柄等の印刷層を設け、そのフィルムを紙基材層782の外がわのいずれかの層に積層することもできる。
【0085】
紙基材層782について説明する。紙基材層782は、剛性があり、且つ、折り曲げ線などで折り曲げた時、割れの生じにくい紙が好ましいが、特に限定はされずチャック付き紙容器90に充填される内容物に応じて、耐水性(サイズ度)なども考慮して適するものを適宜に選定して使用することができる。具体例として、上質紙、カップ原紙、ミルクカートン原紙などを好適に使用することができ、その坪量は、80g/m2以上、320g/m2以下の範囲が望ましい。
【0086】
最内層、及び必要に応じて最外層、中間層に用いられる熱可塑性樹脂層(シーラント層)について説明する。熱可塑性樹脂層(シーラント層)の樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)のほか、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α-オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・メタクリル酸のランダム共重合体(EMAA)、エチレン・アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、アイオノマー、そして、ポリプロピレン及びその共重合体、ポリエステル系樹脂などを使用することができ、これらの中から、充填される内容物や、保管及び使用される条件に応じて、適するものを適宜に選定して使用することができる。
【0087】
上記の熱可塑性樹脂のうち、特にエチレン・アクリル酸メチル共重合体(EMA)及びエチレン・メタクリル酸のランダム共重合体(EMAA)は、押し出しコートなどの加工時の熱安定性、各種の基材に対する接着性、低温ヒートシール性などに優れると共に、薄膜形成性にも優れているので、厚みをそれほど必要としない最外層の熱可塑性樹脂層を、例えば、6μm以上、10μm以下の比較的薄い厚さで押し出しコートして積層することも容易であり、プラスチック材料の使用比率を低減できると同時に、コスト面でもメリットを得ることができる。
【0088】
以上のような最内層、及び必要に応じて最外層、中間層の熱可塑性樹脂層(シーラント層)は、その積層面に必要に応じてアンカーコート、コロナ処理、フレーム(火炎)処理などの易接着性処理を施した後、その上に樹脂を押し出しコートして積層できるほか、熱可塑性樹脂を予めフィルム状に製膜しておいて、そのフィルムを公知のドライラミネート又は押し出しラミネート(サンドイッチラミネート)などで貼り合わせて積層することができる。
【0089】
積層シート78の中間層にバリア層785を積層する場合、バリア層785としては、アルミニウム箔などの金属箔のほか、アルミニウム、シリカ、アルミナなどの金属又は無機酸化物を二軸延伸PETフィルム、二軸延伸ナイロンフィルム(ONyフィルム)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)などの基材フィルムに、厚み20~100nmに蒸着した蒸着フィルムなどを使用することができる。あるいは、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下、EVOHと表記することがある。)フィルム、ナイロンMXD6の二軸延伸フィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、そして、ポリ塩化ビニリデンの塗膜層を設けたPETフィルム、ONyフィルム、OPPフィルムなどを使用することができる。
【0090】
このようなバリア層785は、通常、紙基材層782の内がわの面に積層することが、そのバリア性を効果的に利用できる点で好ましいが、バリア層785にアルミニウムなどの金属箔や金属蒸着フィルムを使用した場合は、そのメタリック感をデザインにも利用するため、紙基材層782の外がわの面に積層することもできる。バリア層785の積層は、公知のドライラミネート又は押し出しラミネート(サンドイッチラミネート)などにより容易に積層することができる。
【0091】
本態様のチャック付き紙容器90のブランク板10の積層シート78の層構成を例示する。積層シート78の断面図を、
図9A、
図9B、
図9C、
図9Dに示す。
【0092】
図9Aは、3層からなるブランク板10の積層シート78の断面図であり、その層構成は以下の通りであり、「/」は互いに隣接する層同士の境界を意味する。
(外面がわ) 最外層の熱可塑性樹脂層781 / 紙基材層782 /
最内層の熱可塑性樹脂層783 (内面がわ)
【0093】
図9Bは、2層からなるブランク板10の積層シート78の断面図であり、その層構成は以下の通りである。
(外面がわ) 紙基材層782 / 最内層の熱可塑性樹脂層783 (内面がわ)
図9Aに示した3層からなるブランク板10から、最外層の熱可塑性樹脂層781を除外した層構成である。
【0094】
またブランク板10にバリア性(水蒸気、酸素、保香性など)を要求する場合は、バリア層785を備えることができる。
図9Cは、5層ならなるブランク板10の積層シート78の断面図であり、その層構成は以下の通りである。
(外面がわ) 最外層の熱可塑性樹脂層781 / 紙基材層782 / 中間の接着層 784 / バリア層785 / 最内層の熱可塑性樹脂層783 (内面がわ)
【0095】
図9Dは、4層からなるブランク板10の積層シート78の断面図であり、その層構成は以下の通りである。
(外面がわ) 紙基材層782 / 中間の接着層 784 / バリア層785 /
最内層の熱可塑性樹脂層783 (内面がわ)
図9Cに示した5層からなるブランク板10から、最外層の熱可塑性樹脂層781を除外した層構成である。
【0096】
上記の各積層シート78の各層間の接合は、公知のドライラミネート、押出コーティング、接着剤などにより行われる。なお、各層間の接合のための層は、厚さが薄いため、示していないことがある。
【0097】
<チャック付き紙容器の作製>
以下に、チャック付き紙容器90のブランク板10から、第一中間段階のチャック付き紙容器91が作製され、さらに第二中間段階のチャック付き紙容器92が作製され、そして内容物が充填されたチャック付き紙容器90の包装体が完成させられるまでの手順の概要を説明する。
【0098】
<第一中間段階のチャック付き紙容器の作製>
上述の2枚のブランク板10が重ね合された際に、チャックテープ接合部52同士が重なる位置に、予め雄型チャックテープ61mと雌型チャックテープ61fとが嵌合されたチャックテープ61が挿入され、2枚のブランク板10のそれぞれの外面がわからチャックテープ接合部52が加熱、加圧されヒートシールされる。
【0099】
次いで易開封シール部53の内面同士がヒートシールされ、ブランク板10の側縁部11に隣接したそれぞれの側縁部がわシール代36の内面同士がヒートシールされる。そして、第一中間段階のチャック付き紙容器91は、下縁部26が開口する袋状に形成される。
【0100】
チャック付き紙容器90は、実際の製造の際には特に限定はされないが、生産性をよくするため、紙容器の組み立てと、内容物の充填と、各接合箇所のシールとをインラインで行う装置を用いてもよい。
【0101】
その装置において、ロール状に巻き上げられた長尺の印刷済み積層シート78を繰り出して、紙容器が横につながった形式で、折り曲げ線の加工、及びチャックテープ61の挿入及びヒートシール、側縁部がわシール代36のヒートシール、易開封シール部53のヒートシールなどを行ってもよい。なお、所望のチャック付き紙容器90が得られるならば、上記工程の順番以外でも構わない。
【0102】
ここで、本態様のチャック付き紙容器90の上部重ね合わせ板34の形状と、天部の側部板41の形状を、
図2を参照にして説明する。
上部重ね合わせ板34の左右両がわには天部の側部板41が連設されている。ここではこれらの3枚の形成板を合わせて、天部フラップ45と称する。天部フラップ45には、上縁部21がわから順次に、開封掴み代57、易開封シール部53、チャックテープ61が設けられており、チャックテープ61の下がわには、第一横折り曲げ線22が位置している。
【0103】
ところで第一中間段階のチャック付き紙容器91において、チャックテープ61とブランク板10が接合された箇所である、チャックテープ61の接合箇所の拡大断面図を
図10A、
図10Bに示す。その切断箇所は、
図2の断面位置C-Cに示されている。ここでは、ブランク板10は、
図9Dの4層の積層シート78で例示する。
【0104】
図10Aでは、表がわブランク板10bに表がわチャックテープ61bとして、雌型チャックテープ61fが接合されている。雌型チャックテープ61fは、ブランク板10に接合される雌型チャックテープ体部62fと、雄型チャックテープ61mと嵌合する凹部を有する雌型チャックテープ嵌合部63fを含んでいる。また裏がわブランク板10aに裏がわチャックテープ61aとして、雄型チャックテープ61mが接合されている。雄型チャックテープ61mは、ブランク板10に接合される雄型チャックテープ体部62mと、雌型チャックテープ61fと嵌合する凸部を有する雄型チャックテープ嵌合部63mを含んでいる。
【0105】
図10Bでは、表がわブランク板10bに表がわチャックテープ61bとして、雄型チャックテープ61mが接合されている。雄型チャックテープ61mは、ブランク板10に接合される雄型チャックテープ体部62mと、雌型チャックテープ61fと嵌合する凸部を有する雄型チャックテープ嵌合部63mを含んでいる。また裏がわブランク板10aに裏がわチャックテープ61aとして、雌型チャックテープ61fが接合されている。雌型チャックテープ61fは、ブランク板10に接合される雌型チャックテープ体部62fと、雄型チャックテープ61mと嵌合する凹部を有する雌型チャックテープ嵌合部63fを含んでいる。
【0106】
なお表がわブランク板10bに、雄型チャックテープ61mが接合されるか、あるいは雌型チャックテープ61fが接合されるかは、チャック付き紙容器90の要求性能や、チャック付き紙容器90の製造装置の仕様などにより、適宜選定される。
【0107】
<第二中間段階のチャック付き紙容器の作製>
第一中間段階のチャック付き紙容器91の底部73の開口部からマンドレルが差し込まれて、上部重ね合わせ板34が残されて、その下がわの天面板33が、第一横折り曲げ線22により前後に広げられて、上部重ね合わせ板34が上方向に起立させられる。
【0108】
ここで、胴部72の稜部72dの折り曲げ加工を確実に行うために、胴部72の内がわ及び又は外がわから、稜部72dの近傍(当接を含む)に補助部材を接触させてもよい。
【0109】
上部重ね合わせ板34の下がわに天面板33による天部71と、さら胴部72が続き、底部73が略矩形状に開口する第二中間段階のチャック付き紙容器92が形成される。この段階では
図3のように、上部重ね合わせ板34は、上方向に起立している。
【0110】
なお、設計では胴部72の水平断面の形状及び底部73の開口の形状は、矩形状を想定しているが、紙を主体とした柔軟性がある積層シート78からなるチャック付き紙容器90であるため、完全な矩形状とならない場合を含め、略矩形状としている。
【0111】
<チャック付き紙容器の成形・充填>
上方向に起立する上部重ね合わせ板34が、背面がわ(裏がわ天面板33aがわ)に折り曲げて寝かされて、左右両がわに突出する天部がわ突出部74が、側面板32の方向に折り曲げられて、胴部72に接合される。
この際に天部がわ突出部74の折り曲げ部76が折り曲げられる。その際に折り曲げ部76の折り曲げ加工を確実に行うために、天部71の内がわ及び又は外がわから、折り曲げ部76の近傍(当接を含む)に補助部材を接触させてもよい。
【0112】
天部がわ突出部74が胴部72に接合される方法は、接着剤(ホットメルト等)を使用する方法、接着テープを使用する方法、機械的に接合する方法(係合させるもの、接合具を用いるもの)などでもよい。また、ブランク板10の最外層に熱可塑性樹脂層(シーラント層)が備えられる場合は、その熱可塑性樹脂層(シーラント層)がヒートシールされる方法がある。後述する底部がわ突出部の接合も、同様な方法が用いられる。
【0113】
上記のように形成された第三中間段階のチャック付き紙容器95の底部73が上に向けられて、開口する底部73から内容物が充填され、次いで、底部73が折り曲げられて、底部がわシール代37同士が合掌シール形式でヒートシールされる。
【0114】
その後、接合された底部がわシール代37が、背面がわ(裏がわ底面板35aがわ)に折り曲げて寝かされて、左右両がわの突出する底部がわ突出部が底面板35がわに折り曲げられて接合されることにより、略直方体形状のチャック付き紙容器90の包装体が完成する。
【0115】
図4は、本態様のチャック付き紙容器90を示す斜視図である。
図5は、
図4に示したチャック付き紙容器90の側面図である。
図6は、
図4に示したチャック付き紙容器90の平面図である。
【0116】
図4に示したチャック付き紙容器90は、外形を略直方体形状に形成したものであり、その胴部72の稜部72dを備えている。
なお、紙を主体とした柔軟性がある積層シート78からなるチャック付き紙容器90であるため、完全な直方体形状とならないので、略直方体形状としている。
【0117】
本態様では、裏がわブランク板10aの裏がわ上縁部21aに裏がわ開封タブ65aが設けられており、本態様のチャック付き紙容器90が製造される際には、裏がわ開封タブ65aが損傷しないように、チャック付き紙容器の加工機が工夫されている。例えば加工機の部品に切除部があり、裏がわ開封タブ65aに接触しない工夫がある。または裏がわ開封タブ65aを保護するガイド部品等があってもよい。なお後述する表がわブランク板10bの表がわ上縁部21bに表がわ開封タブ65bが設けられても、同様に製造工程では保護されるので、表がわ開封タブ65bは損傷しない。
【0118】
<チャック付き紙容器の内容物取り出しのための開口動作>
完成した内容物入りチャック付き紙容器90の包装体の天部71を、内容物を取り出すために開口するまでの手順を説明する。
まず胴部72に接合されている天部がわ突出部74が引き剥がされる。そして天部がわ突出部74が上方に持ち上げられることで、天部がわ側部板41が起立し、それにあわせて上部重ね合わせ板34も起立する。そして
図7に示すように、天部がわ側部板41と、上部重ね合わせ板34とは、ほぼ同一面をなす。
【0119】
そして使用者が裏がわ開封タブ65aを手指で掴み、裏面がわ(後がわ)方向に移動させることで、表がわ上縁部21bと裏がわ上縁部21aとの間に空隙部が生じる。そしてその空隙部に使用者が手指を挿入しやすくなっており、よって容易に開封掴み代57を掴むことができる。そして使用者が表がわの開封掴み代57bと裏がわ開封掴み代57aとを手指で掴み、外がわ方向(前後方向)に表がわブランク板10bと裏がわブランク板10aを拡げることにより、易開封シール部53を剥離する。そしてチャック付き紙容器90の初期開封がされる。
【0120】
次に、チャック付き紙容器90の初期開封後に、チャックテープ61が開封される。ここで表がわ上縁部21bと表がわチャックテープ61bとの間の領域を、表がわ初期開封後開封掴み代571bとする。また裏がわ上縁部21aと裏がわチャックテープ61aとの間の領域を、裏がわ初期開封後開封掴み代571aとする。初期開封後開封掴み代571は、開封掴み代57と、易開封シール部53と、及びチャックテープ61と易開封シール部53との間の領域を含む。
【0121】
表裏の初期開封後開封掴み代571を使用者が手指で掴み、チャック付き紙容器90の外がわ方向(前後方向)に拡げる。そうすることで、上部重ね合わせ板34と左右両がわの天部の側部板41に設けられたチャックテープ61が解離する。
【0122】
このチャックテープ61の開口動作の際に、ブランク板10の左右両がわの側縁部11がわのチャックテープ61の端部は、それぞれの側縁部がわシール代36まで略全幅に渡って開口する。なお、側縁部がわシール代36は剥離しない。
上記のように、チャックテープ61の雄型チャックテープ61mと雌型チャックテープ61fが解離することで、取り出し用開口部56が形成される。
図8に、天部71が開口されたチャック付き紙容器94が示されている。
【0123】
易開封シール部53の剥離の動作と、チャックテープ61の解離の動作は、一つの動作で行ってもよい。または、易開封シール部53の剥離の動作が完了してから、チャックテープ61の解離の動作を行ってもよい。
【0124】
<第一実施形態の第二態様>
図11は、本態様のチャック付き紙容器90の側面図である。
裏がわ開封タブ65aは胴部72の方向に折り曲げられている。このようにすることで、内容物が充填されたチャック付き紙容器90が流通する際に、裏がわ開封タブ65aが突出しなくなるので、裏がわ開封タブ65aの損傷を防止できる。
ここで、裏がわ開封タブ65aの基端部に折り曲げ線を設けてもよい(不図示)。この折り曲げ線は、他の折り曲げ線と同様の方法で設けてもよい。またこの折り曲げ線は、裏がわ上縁部21aの延長線上でもよく、裏がわ上縁部21aの延長線を含む太い折り曲げ線でもよい。また裏がわ上縁部21aの延長線の近傍であり、かつ平行であってもよい。
【0125】
裏がわ開封タブ65aは、胴部72(裏がわ壁面板31a)と固定されてもよい。固定方法はホットメルト、接着剤を使用してもよい。あるいは裏がわブランク板10aの表がわに熱可塑性樹脂層(ヒートシール可能層)を備える場合は、ヒートシールを行ってもよい。ヒートシール方法としては、熱風加熱方法、加熱した治具を押し当てる方法、超音波溶着方法などがある。
本態様では、裏がわ開封タブ65aと胴部72とが接合されるので、不用意に裏がわ開封タブ65aが浮き上がることを防止でき、損傷を防止できる。
なお、チャック付き紙容器90の初期開封の際には、裏がわ開封タブ65aと胴部72は容易に離脱することが望ましく、適切に弱い固定が望ましい。そのためにはそれらの接着面積は30mm2以下が望ましい。また流通中に離脱しないためには、5mm2以上が望ましい。
【0126】
<第一実施形態の第三態様>
図12は、本態様のチャック付き紙容器90の側面図である。
裏がわ開封タブ65aは天部71の方向に折り曲げられている。このようにすることで、内容物が充填されたチャック付き紙容器90が流通する際に、裏がわ開封タブ65aが突出しなくなるので、裏がわ開封タブ65aの損傷を防止できる。
ここで、裏がわ開封タブ65aの基端部に折り曲げ罫線を設けてもよい(不図示)。この折り曲げ罫線は、他の罫線と同様の方法で設けてもよい。またこの折り曲げ罫線は、裏がわ上縁部21aの延長線上でもよく、裏がわ上縁部21aの延長線を含む太い罫線でもよい。また裏がわ上縁部21aの延長線の近傍であり、かつ平行であってもよい。
【0127】
裏がわ開封タブ65aは、天部71(表がわ上部重ね合わせ板34b)と固定されてもよい。固定方法はホットメルト、接着剤を使用してもよい。あるいは表がわブランク板10bの表がわに熱可塑性樹脂層(ヒートシール可能層)を備える場合は、ヒートシールを行ってもよい。ヒートシール方法としては、熱風加熱方法、加熱した治具を押し当てる方法、超音波溶着方法などがある。
本態様では、裏がわ開封タブ65aと天部71とが接合されるので、不用意に裏がわ開封タブ65aが浮き上がることを防止でき、損傷を防止できる。
なお、チャック付き紙容器90の初期開封の際には、裏がわ開封タブ65aと天部71は容易に離脱することが望ましく、適切に弱い固定が望ましい。そのためにはそれらの接着面積は30mm2以下が望ましい。また流通中に離脱しないためには、5mm2以上が望ましい。
【0128】
<第二実施形態>
図13Aは、本実施形態の天部がわ突出部74が引き起こされたチャック付き紙容器93を、正面(表がわ)から観察した表がわ上部重ね合わせ板34bの部分拡大正面図である。表がわ開封タブ65bのみが設けられており、裏がわ開封タブ65aは設けられていない。
【0129】
チャック付き紙容器90が初期開封される際に、使用者が表がわ開封タブ65bを手指で掴み、表面がわ(前がわ)方向に移動させることで、表がわ上縁部21bと裏がわ上縁部21aとの間に空隙部が生じる。そしてその空隙部に使用者が手指を挿入しやすくなっており、よって容易に開封掴み代57を掴むことができる。そして使用者が表がわの開封掴み代57bと裏がわ開封掴み代57aとを手指で掴み、外がわ方向(前後方向)に表がわブランク板10bと裏がわブランク板10aを拡げることにより、易開封シール部53を剥離する。そしてチャック付き紙容器90が初期開封される。
【0130】
本実施形態では、チャック付き紙容器90を表がわから見て、表がわ開封タブ65bに絵柄等を表示させることができる。
また第一実施形態の第二態様と同様に、表がわ開封タブ65bが胴部72がわに折り曲げられてもよく、表がわ開封タブ65bの基端部に折り曲げ線を設けてもよい。また表がわ開封タブ65bと胴部72とが接合されてもよい。
【0131】
また第一実施形態の第三態様と同様に、表がわ開封タブ65bが天部71がわに折り曲げられてもよく、表がわ開封タブ65bと天部71とが接合されてもよい。
後述する各実施形態においても、上記と同様に開封タブ65は折り曲げ加工や、その基端部に折り曲げ線を加工すること、あるいは胴部72や天部71に接合する加工がなされてもよい。
【0132】
<第三実施形態>
図13Bは、本実施形態の天部がわ突出部74が引き起こされたチャック付き紙容器93を、正面(表がわ)から観察した表がわ上部重ね合わせ板34bの部分拡大正面図である。
表がわ開封タブ65bと裏がわ開封タブ65aの両方が設けられており、それらはチャック付き紙容器90の表がわから見て、重なっていない。そのため裏がわ開封タブ65aの位置が視認しやすい。
【0133】
またチャック付き紙容器90が初期開封される際に、使用者が表がわ開封タブ65bを一方の手指で掴み、裏がわ開封タブ65aを他方の手指で掴み、表面がわ(前がわ)と裏面がわ(後がわ)方向に同時に移動させることで、表がわ上縁部21bと裏がわ上縁部21aとの間に大きな空隙部が生じる。そしてその空隙部に使用者が手指を挿入しやすくなっており、よって容易に開封掴み代57を掴むことができる。そして使用者が表がわの開封掴み代57bと裏がわ開封掴み代57aとを手指で掴み、外がわ方向(前後方向)に表がわブランク板10bと裏がわブランク板10aを拡げることにより、易開封シール部53を剥離する。そしてチャック付き紙容器90が初期開封される。
【0134】
<第四実施形態>
図13Cは、本実施形態の天部がわ突出部74が引き起こされたチャック付き紙容器93を、正面(表がわ)から観察した表がわ上部重ね合わせ板34bの部分拡大正面図である。裏がわ開封タブ65aのみが設けられており、その形状は幅方向(横方向)に長くなっている。幅方向が長いので裏がわ開封タブ65aの位置を過剰に認識することなく、使用者が手指で掴むことができるので、チャック付き紙容器の初期開封が容易である。
【0135】
裏がわ開封タブ65aの幅は、裏がわ上部重ね合わせ板34aの幅の50%以上であってもよく、90%以下であってもよい。裏がわ開封タブ65aの幅が裏がわ上部重ね合わせ板34aの幅の50%以上であれば、裏がわ開封タブ65aの位置を過剰に認識することなく、使用者が手指で掴むことができる。また裏がわ開封タブ65aの幅が裏がわ上部重ね合わせ板34aの幅の90%以下であれば、天部がわ突出部74を胴部72の方向に天部がわ突出部の折り曲げ部76にて折り曲げられる際に、裏がわ開封タブ65aが折り曲げの阻害にならない。
【0136】
さらに裏がわ開封タブ65aと天部がわ突出部の折り曲げ部76を構成する裏がわ第二縦折り曲げ線13aとは、3mm以上の距離があってもよい。他の実施形態でも同様であり、裏がわ開封タブ65aと裏がわ第二縦折り曲げ線13aとは、3mm以上の距離があってもよい
【0137】
なおチャック付き紙容器90の表がわから見て、同様の形状である表がわ開封タブ65bのみが存在してもよく、表がわ開封タブ65bと裏がわ開封タブ65aとの両方が存在してもよい。表がわ開封タブ65bの形態、作用効果は裏がわ開封タブ65aと同様である。
【0138】
<第五実施形態>
図13Dは、本実施形態の天部がわ突出部74が引き起こされたチャック付き紙容器93を、正面(表がわ)から観察した表がわ上部重ね合わせ板34bの部分拡大正面図である。裏がわ開封タブ65aのみが設けられており、複数個(ここでは3個)設けられている。それぞれの裏がわ開封タブ65aは同じ形状でもよく、異なる形状でもよい。このように複数存在する裏がわ開封タブ65aのそれぞれ形状が異なると、意匠性、デザイン性の自由度が広がる。
【0139】
なおチャック付き紙容器90には表がわ開封タブ65bのみが存在してもよく、表がわ開封タブ65bと裏がわ開封タブ65aとの両方が存在してもよい。その際は表がわ開封タブ65bと裏がわ開封タブ65aとの形状や個数は同じでも良く、異なってもよい。表がわ開封タブ65bの形態、作用効果は裏がわ開封タブ65aと同様である。
【0140】
<第六実施形態>
図13Eは、本実施形態の天部がわ突出部74が引き起こされたチャック付き紙容器93を、正面(表がわ)から観察した表がわ上部重ね合わせ板34bの部分拡大正面図である。表がわ開封タブ65bと裏がわ開封タブ65aの両方が設けられており、チャック付き紙容器90の表がわから見て、それらの形状は同じ形状である。
【0141】
そのため表がわから見ても裏がわから見ても、開封タブ65が1個に見えるので外観がシンプルであり、複数の開封タブ65が視認されなく整っている。さらに表がわ開封タブ65bと裏がわ開封タブ65aとの両方が存在するので、チャック付き紙容器90の初期開封が容易である。
【0142】
<第七実施形態>
図13Fは、本実施形態の天部がわ突出部74が引き起こされたチャック付き紙容器93を、正面(表がわ)から観察した表がわ上部重ね合わせ板34bの部分拡大正面図である。表がわ開封タブ65bと裏がわ開封タブ65aの両方が設けられており、チャック付き紙容器90の表がわから見て、それらは部分的に重なっている。表がわ開封タブ65bと裏がわ開封タブ65aの高さは同じであり、幅方向(左右方向)において位置がずれており、チャック付き紙容器90の表がわから見て、裏がわ開封タブ65aが視認できるので、裏がわ開封タブ65aの手指で掴む場所が分かりやすい。
【0143】
また本実施形態では、表がわ開封タブ65bと裏がわ開封タブ65aの両方に、他方の開封タブ65と重ならない領域が存在するので、使用者が手指で開封タブ65を掴みやすく、チャック付き紙容器90の初期開封が容易である。また表がわ開封タブ65bと裏がわ開封タブ65aとが重なる領域があるので、お互いに補強しあって、開封タブ65が意図しない変形を減少できる。
【0144】
<第八実施形態>
図13Gは、本実施形態の天部がわ突出部74が引き起こされたチャック付き紙容器93を、正面(表がわ)から観察した表がわ上部重ね合わせ板34bの部分拡大正面図である。表がわ開封タブ65bと裏がわ開封タブ65aの両方が設けられており、チャック付き紙容器90の表がわから見て、それらは部分的に重なっている。
【0145】
表がわ開封タブ65bの幅は裏がわ開封タブ65aの幅よりも大きく、また裏がわ開封タブ65aの高さは表がわ開封タブ65bの高さよりも大きい。このためチャック付き紙容器90の表がわから見て、表がわ開封タブ65bの上方に裏がわ開封タブ65aが視認できるので、裏がわ開封タブ65aの手指で掴む場所が分かりやすい。また本実施形態では、表がわ開封タブ65bと裏がわ開封タブ65aの両方に、他方の開封タブ65と重ならない領域が存在するので、使用者が手指で開封タブ65を掴みやすく、チャック付き紙容器90の初期開封が容易である。なお表がわ開封タブ65bと裏がわ開封タブ65aの形状は、上記にて説明した大きさ関係が逆であってもよい。
【0146】
<第九実施形態>
図13Hは、本実施形態の天部がわ突出部74が引き起こされたチャック付き紙容器93を、正面(表がわ)から観察した表がわ上部重ね合わせ板34bの部分拡大正面図である。本実施形態では、表がわ開封タブ65bの両がわの側辺に連なる表がわタブ切り込み線66bが設けられている。表がわタブ切り込み線66bは、表がわ上部重ね合わせ板34bの表がわ上縁部21bから下がわ方向に延びており、易開封シール部53には接しない位置に下がわの端点がある。
【0147】
本実施形態のチャック付き紙容器90の初期開封がされる際に、使用者が表がわ開封タブ65bを一方の手指で掴み、表面がわ(前がわ)方向に移動させることで、表がわ上部重ね合わせ板34bがタブ切り込み線66bにて、大きく変形する。すなわち表がわタブ切り込み線66bを挟んで、一方のがわ(左がわ)と他方のがわ(右がわ)の表がわ上部重ね合わせ板34bは分離するので、表がわ開封タブ65bはより大きく表がわに移動できて、表がわ上縁部21bと裏がわ上縁部21aとの間に大きな空隙部が生じる。そしてその大きな空隙部に使用者が手指を挿入しやすくなっており、開封掴み代57を掴みやすくなり容易にチャック付き紙容器90を初期開封ができる。
【0148】
なお表がわタブ切り込み線66bは、表がわ開封掴み代57bの高さ(縦方向長さ)の50%以上であってもよい。このようにすることにより、表がわ開封タブ65bが表がわ方向に充分に変形できて、使用者が開封掴み代57を掴みやすくなる。また表がわタブ切り込み線66bと易開封シール部53は接触しなくてもよい。そのようにすることで、初期開封する前の易開封シール部53の損傷を防止できる。さらに表がわタブ切り込み線66bと易開封シール部53は1mm以上の距離があってもよい。そのようにすることにより、表がわタブ切り込み線66bを表がわに移動させる際に、タブ切り込み線66bの下端に応力が掛って下がわ方向に亀裂が生じても、易開封シール部53の保護ができる。易開封シール部53が縦方向(短手方向)に切断されると、初期開封が容易でなくなる虞れが生じる。
【0149】
なお本実施形態では、表がわタブ切り込み線66bについて説明したが、裏がわ上部重ね合わせ板34aに同様な形態の裏がわタブ切り込み線66aを設けてもよく、表がわタブ切り込み線66bと裏がわタブ切り込み線66aの両方を設けてもよい。
【0150】
<第十実施形態>
図14は、本実施形態のチャック付き紙容器90の平面図である。本実施形態の天部フラップ45は、天面板33よりも高さ(縦方向長さ)が小さくなっており、チャック付き紙容器90を上がわから見ると(
図14参照)、上縁部21の裏がわ(上がわ)方向に裏がわ天面板33aが視認できる。また裏がわ上部重ね合わせ板34aの裏がわ上縁部21aには裏がわ開封タブ65aが設けられており、チャック付き紙容器90を上がわから見ると、裏がわ開封タブ65aが視認できる。
【0151】
ここで裏がわ開封タブ65aは裏がわ第二横折り曲げ線23aを超えておらず、すなわち裏がわ上部重ね合わせ板34aの領域内に収まっている。このため裏がわ開封タブ65aは裏がわ天面板33aよりも裏がわ方向に突出することがなく、チャック付き紙容器90が流通する際には、他の物体などにあたる虞れが少なくなり、損傷しにくくなる。
【0152】
なお本実施形態では、裏がわ開封タブ65aについて説明したが、表がわ上部重ね合わせ板34bに同様な形態の表がわ開封タブ65bを設けてもよく、表がわ開封タブ65bと裏がわ開封タブ65aの両方を設けてもよい。
【実施例0153】
以下に、実施例を挙げて本開示の実施形態を更に具体的に説明する。
【0154】
<実施例1>
実施例1では、第一実施形態の第一態様に相当する
図1A、
図1Bのブランク板10を用いて、
図4に示したチャック付き紙容器90を作製した。
【0155】
図1A、
図1Bの2枚のブランク板10を準備して、その内面同士が位置を合わされて重ね合され、
図2のように、対向する両がわの側縁部がわシール代36がヒートシールされ、また、易開封シール部53もヒートシールされた。あわせてチャックテープ61もヒートシールされた。そのようにして、底部がわシール代37が未シールである第一中間段階のチャック付き紙容器91が作製された。
【0156】
ブランク板10の積層シート78は、下記の構成とした。
図9Dにその積層シート78の断面図を示すが、絵柄等印刷層、易剥離加工部54は図示していない。なお「/」は互いに隣接する層同士の境界を意味する。
(外面がわ)
絵柄等印刷層(紙基材層782の外面にグラビア印刷) /
紙基材層782(液体紙容器用原紙150g/m
2 日本製紙) /
中間の接着層784(EMAA 20μm 三井・ダウポリケミカル
N0908N) /
バリア層785(シリカ蒸着PET 12μm 大日本印刷
IB-PET-UBP) /
最内層の熱可塑性樹脂層783(LDPE 40μm 日本ポリエチレン
LC520)
(内面がわ)
【0157】
上記の積層シート78の製造方法について説明する。まず、ロール状の紙基材層782が繰り出され、所定の位置に、所定の絵柄や文字がグラビア印刷されて、再びロール状に巻き上げられた。
【0158】
次の工程で、上記のロール状の紙基材層782が繰り出され、紙基材層782の内面がわに、バリア層785(シリカ蒸着PET 12μm)が、溶融した中間の接着層784(EMAA 20μm)を中間に介在させて、押出ラミネート(サンドイッチラミネート)により積層された。
【0159】
次にバリア層785の紙基材層782の反対がわ(内面がわ)に、押出ラミネートにより、最内層の熱可塑性樹脂層783(LDPE 40μm)が形成されて、再びロール状に巻き上げられた。
【0160】
また各接合層間には接合力を向上させるための、必要に応じてアンカーコート処理、コロナ処理、フレーム処理(火炎処理)などを実施してもよい。あるいは、溶融した樹脂にオゾン処理などをしてもよい。
【0161】
次にロール状の積層シート78が繰り出されて、最内層の熱可塑性樹脂層783の内面がわの所定の箇所に、易剥離加工部54がグラビア印刷にて設けられて、再びロール状に巻き上げられた。なお、本実施例では、先に紙基材層782が単層の状態にて絵柄等が印刷されている。しかし、積層シート78が完成した後に、積層シート78の表がわに絵柄等が印刷されてもよい。
【0162】
次にロール状の積層シート78が繰り出されて、罫線加工、及び打ち抜き加工などが施されて、ブランク板10が完成した。
【0163】
チャック付き紙容器90の上部重ね合わせ板34及び天部の側部板41の内面に、ヒートシールされて取り付けられるチャックテープ61は、雄型チャックテープ61m及び雌型チャックテープ61fとも、ヒートシールされるチャックテープ体部62が2層の層構成である。
そのチャックテープ61は、チャック付き紙容器90にヒートシールされる面の樹脂層がLLDPEで形成され、その反対がわの面の樹脂層がMDPEで形成され、また、雄型チャックテープ嵌合部63m及び雌型チャックテープ嵌合部63fは、いずれもLLDPEで形成されたもので、チャックテープ体部62の幅がいずれも7mmのものを用いた。
【0164】
裏がわブランク板10a及び表がわブランク板10bの寸法は、縦250mm、横189mmの矩形状で、周囲の端縁部にシール代として、両がわの側縁部11には幅7mmの側縁部がわシール代36が設けられた。また、下がわの下縁部26にはそれぞれ幅が10mmの底部がわシール代37を設けられた。
【0165】
また裏がわブランク板10aの裏がわ上縁部21aの幅方向(左右方向)の中央部に、裏がわ開封タブ65aが設けられた。裏がわ開封タブ65aは裏がわブランク板10aと同じ積層シート78からなり、裏がわ上縁部21a外方に延出していた。基端部の幅は15mmであり、高さは15mmであった。その先端部は円弧状であった。
【0166】
また上部重ね合わせ板34及び天部の側部板41の上縁部21に上下方向の長さ(短手方向)が10mmの開封掴み代57が設けられ、開封掴み代57の下がわには、上下方向の長さ(短手方向)が3mmの易開封シール部53が設けられた。易開封シール部53は、側縁部がわシール代36と、及び側縁部がわシール代36の近傍を除いて、易剥離加工部54の領域でシールされた。
【0167】
ブランク板10には、上縁部21から下がわ方向に順次、上部重ね合わせ板34、第一横折り曲げ線22、天面板33、第二横折り曲げ線23、壁面板31、第三横折り曲げ線24、底面板35がこの順に設けられた。
【0168】
また上部重ね合わせ板34の両がわの外方には、第二縦折り曲げ線13を介して、天部の側部板41が設けられた。さらに、天面板33の両がわの外方には、第二縦折り曲げ線13を介して、天部がわ突出部代38が設けられた。また壁面板31の両がわの外方には、第二縦折り曲げ線13を介して、側面板32が設けられた。さらに、底面板35の両がわの外方には、第二縦折り曲げ線13を介して、底部がわ突出部代43が設けられた。
【0169】
また易開封シール部53の下がわで、上部重ね合わせ板34及び天部の側部板41の内面で天部71を横断する方向に、チャックテープ61がヒートシールされた。ここで上縁部21とチャックテープ61の中心との間隔は、23mmであった。なおチャックテープ61の中心と第一横折り曲げ線22との間隔は、15mmであった。上記のように、第一中間段階のチャック付き紙容器91が作製された。
【0170】
次いで、この第一中間段階のチャック付き紙容器91が、未シール状態の底部がわシール代37の開口部からマンドレルが差し込まれて、上部重ね合わせ板34が残されて、その下がわの天面板33が第一横折り曲げ線22により前後に広げられて、上部重ね合わせ板34が上方向に起立させられた。
上部重ね合わせ板34の下に天面板33による天部71と、さらに水平方向の断面(底面に略平行な平面)が略矩形状の胴部72が続き、底部73が略矩形状に開口する第二中間段階のチャック付き紙容器92が形成された。(
図3参照)。
【0171】
そして重ね合わされた上部重ね合わせ板34が、裏がわ天面板33aがわに折り曲げられた。その後、天部71の左右両がわに連設された天部がわ突出部74が折り曲げられて、胴部72へ接合された。その接合にはホットメルトが用いられた。
【0172】
完成後の略直方体形状の紙容器の寸法が、幅が95mm、高さが120mm、奥行きが80mmとなるように形成した。変形部55の縦方向長さ(高さ)は5mm、横方向長さ(幅)は75mmmであった。
【0173】
上記のようにして、天部がわ突出部74が胴部72へ接合された中間段階のチャック付き紙容器92を反転して底部73を上がわにしてから、底部73から内容物としてスナック菓子を充填し、次いで底部73の折り込み、および底部がわシール代37同士のヒートシールと、そのヒートシール部を裏がわ底面板35aの方向へ寝かせた。
【0174】
さらに底部73の左右両がわから突出する底部がわ突出部75を底面板35がわへ折り曲げ、表がわ底面板35b及び/又は表がわ底部がわシール代37bへの接合を行って、本実施例のチャック付き紙容器90が作製された。
【0175】
<実施例2>
本実施例では、第一実施形態の第二態様に相当するチャック付き紙容器90が作製された。ブランク板10は第一実施形態の第一態様と同じ形状であった。裏がわ開封タブ65aが胴部72の方向に折り曲げられ、そして裏がわ壁面板31aと接合されて、
図11に記載のチャック付き紙容器90が作製された。その接合にはホットメルトが使用された。裏がわ開封タブ65aが裏がわ壁面板31aと接合されたこと以外は、積層シート78の層構成、チャック付き紙容器90の作製方法などは、実施例1と同じであった。
【0176】
<実施例3>
本実施例では、第一実施形態の第三態様に相当するチャック付き紙容器90が作製された。ブランク板10は第一実施形態の第一態様と同じ形状であった。裏がわ開封タブ65aが天部71の方向に折り曲げられ、そして表がわ上部重ね合わせ板34bと接合されて、
図12に記載のチャック付き紙容器90が作製された。その接合にはホットメルトが使用された。裏がわ開封タブ65aが表がわ上部重ね合わせ板34bと接合されたこと以外は、積層シート78の層構成、チャック付き紙容器90の作製方法などは、実施例1と同じであった。
【0177】
<実施例4>
本実施例では、第二実施形態に相当するチャック付き紙容器90が作製された。
図13Aに示されたように、表がわ開封タブ65bが、表がわブランク板10bの表がわ上縁部21bに設けられており、裏がわ開封タブ65aは設けられていなかった。その他の箇所のブランク板10の形状、積層シート78の層構成、チャック付き紙容器90の作製方法などは、実施例1と同じであった。
【0178】
<実施例5>
本実施例では、第三実施形態に相当するチャック付き紙容器90が作製された。
図13Bに示されたように、表がわ開封タブ65bが表がわブランク板10bの表がわ上縁部21bに設けられており、さらに裏がわブランク板10aの裏がわ上縁部21aには裏がわ開封タブ65aは設けられていた。チャック付き紙容器90の正面から見て、表がわ開封タブ65bと裏がわ開封タブ65aとは重なっていなかった。その他の箇所のブランク板10の形状、積層シート78の層構成、チャック付き紙容器90の作製方法などは、実施例1と同じであった。
【0179】
<実施例6>
本実施例では、第四実施形態に相当するチャック付き紙容器90が作製された。
図13Cに示されたように、裏がわ開封タブ65aが裏がわブランク板10aの裏がわ上縁部21aに設けられているが、表がわ開封タブ65bは設けられていなかった。裏がわ開封タブ65aは左右方向(幅方向)に長い矩形であり、幅は75mm、高さは8mmであった。裏がわ開封タブ65aはチャック付き紙容器90の幅方向の中央部にあり、裏がわ第二縦折り曲げ線13aとは10mmの距離があった。その他の箇所のブランク板10の形状、積層シート78の層構成、チャック付き紙容器90の作製方法などは、実施例1と同じであった。
【0180】
<実施例7>
本実施例では、第五実施形態に相当するチャック付き紙容器90が作製された。
図13Dに示されたように、裏がわ開封タブ65aが裏がわブランク板10aの裏がわ上縁部21aに設けられているが、表がわ開封タブ65bは設けられていなかった。裏がわ開封タブ65aは複数が設けられており、曲線にて形成された上凸状の形状、矩形、三角形であった。本実施例の裏がわ開封タブ65aは、いずれも基端部の幅は20mmであり、高さは8mmであった。その他の箇所のブランク板10の形状、積層シート78の層構成、チャック付き紙容器90の作製方法などは、実施例1と同じであった。
【0181】
<実施例8>
本実施例では、第六実施形態に相当するチャック付き紙容器90が作製された。
図13Eに示されたように、表がわ開封タブ65bが表がわブランク板10bの表がわ上縁部21bに設けられており、さらに裏がわブランク板10aの裏がわ上縁部21aには裏がわ開封タブ65aは設けられていた。チャック付き紙容器90の正面から見て、表がわ開封タブ65bと裏がわ開封タブ65aとは形状が同じであり重なって見えた。その他の箇所のブランク板10の形状、積層シート78の層構成、チャック付き紙容器90の作製方法などは、実施例1と同じであった。
【0182】
<実施例9>
本実施例では、第七実施形態に相当するチャック付き紙容器90が作製された。
図13Fに示されたように、表がわ開封タブ65bが表がわブランク板10bの表がわ上縁部21bに設けられており、さらに裏がわブランク板10aの裏がわ上縁部21aには裏がわ開封タブ65aは設けられていた。チャック付き紙容器90の正面から見て、表がわ開封タブ65bと裏がわ開封タブ65aとは部分的に重なっていた。表がわ開封タブ65bの高さと裏がわ開封タブ65aの高さは同じであり、左右方向(幅方向)に位置がずれていた。本実施例の表がわ開封タブ65bと裏がわ開封タブ65aとは、いずれも基端部の幅は30mmであり、高さは10mmであった。またそれらは上縁部21の幅方向(左右方向)の中央部にて、10mm重なっていた。その他の箇所のブランク板10の形状、積層シート78の層構成、チャック付き紙容器90の作製方法などは、実施例1と同じであった。
【0183】
<実施例10>
本実施例では、第八実施形態に相当するチャック付き紙容器90が作製された。
図13Gに示されたように、表がわ開封タブ65bが表がわブランク板10bの表がわ上縁部21bに設けられており、さらに裏がわブランク板10aの裏がわ上縁部21aには裏がわ開封タブ65aが設けられていた。チャック付き紙容器90の正面から見て、表がわ開封タブ65bと裏がわ開封タブ65aとは部分的に重なっていた。本実施例の表がわ開封タブ65bは基端部の幅は30mmであり、高さは8mmであった。裏がわ開封タブ65aは基端部の幅は15mmであり、高さは15mmであった。表がわ開封タブ65bの幅は裏がわ開封タブ65aの幅よりも大きく、裏がわ開封タブ65aの高さは表がわ開封タブ65bの高さよりも大きかった。その他の箇所のブランク板10の形状、積層シート78の層構成、チャック付き紙容器90の作製方法などは、実施例1と同じであった。
【0184】
<実施例11>
本実施例では、第九実施形態に相当するチャック付き紙容器90が作製された。
図13Fに示されたように表がわ開封タブ65bが表がわブランク板10bの表がわ上縁部21bに設けられていたが、裏がわ開封タブ65aが設けられていなかった。表がわ開封タブ65bの側縁部が延長される方向に、表がわ上部重ね合わせ板34bの領域で表がわタブ切り込み線66bが設けられた。本実施例の表がわ開封タブ65bは基端部の幅は30mmであり、高さは10mmであった。また表がわタブ切り込み線66bの長さは5mmであった。その他の箇所のブランク板10の形状、積層シート78の層構成、チャック付き紙容器90の作製方法などは、実施例1と同じであった。
【0185】
<実施例12>
本実施例では、第十実施形態に相当するチャック付き紙容器90が作製された。
図14を参照にして、本実施形態の天部フラップ45の高さは15mmであり、裏がわ天面板33aの高さは20mmであった。また裏がわ開封タブ65aが裏がわブランク板10aの裏がわ上縁部21aに設けられていたが、表がわ開封タブ65bは設けられていなかった。裏がわ開封タブ65aの高さは5mmであった。裏がわ開封タブ65aはチャック付き紙容器90の上面から見ると視認できた。また裏がわ開封タブ65aは裏がわ天面板33aの領域に収まっていた。その他の箇所のブランク板10の形状、積層シート78の層構成、チャック付き紙容器90の作製方法などは、実施例1と同じであった。
【0186】
<比較例>
比較例では、
図15に示したチャック付き紙容器80が作製された。完成したチャック付き紙容器80の外形の大きさは、実施例1と略同じであった。但し初期開封の手段が実施例1では易開封シール部53を剥離する方法であるのに対して、比較例では易開封加工線851を切り取り方法であることが異なった。ブランク板81の積層シートの層構成は、実施例1と同じであった。
【0187】
<評価>
実施例1から12と、比較例のサンプルを各20個作製した。内容物にはスナック菓子を充填した。
【0188】
実施例1から12のサンプルにおいて、使用者が開封タブ65を掴みチャック付き紙容器90の外がわ方向(前方向及び又は後ろ方向)に移動させた。そしてチャック付き紙容器90の表がわ上縁部21bと裏がわ上縁部21aとの間に空隙部が生じた。
【0189】
そして使用者は空隙部に手指を挿入して、開封掴み代57を充分に掴むことができたので、易開封シール部53を容易に剥離することができた。そしてチャック付き紙容器90の初期開封ができた。
【0190】
チャック付き紙容器90の初期開封後に、チャックテープ61が開封された。ここで表がわ上縁部21bと、表がわチャックテープ61bとの間の領域を表がわ初期開封後開封掴み代571bとした。また裏がわ上縁部21aと裏がわチャックテープ61bとの間の領域を裏がわ初期開封後開封掴み代571aとした。表裏の初期開封後開封掴み代571を、使用者が手指で掴み、チャック付き紙容器90の外がわ方向(前後方向)に拡げた。そうすることで、上部重ね合わせ板34と左右両がわの天部の側部板41とに設けられたチャックテープ61を容易に解離することができた。
【0191】
比較例のチャック付き紙容器80では、天部の側部板に初期開封の手段として設けられたノッチと、上部重ね合わせ板と天部の側部板に設けられた易開封加工線851により、上部シール部を含む部分を切り取って開封することができた。
次に、表がわ易開封加工線851bと表がわチャックテープ861bの間の表がわ開封掴み代857bと、裏がわ易開封加工線851aと裏がわチャックテープ861aの間の裏がわ開封掴み代857aとを、使用者が手指で掴み、チャック付き紙容器80の外がわ方向に拡げようとした。
【0192】
比較例のチャック付き紙容器80では、開封タブが設けられていないので、表がわ開封掴み代857bと裏がわ開封掴み代857aとの間に、使用者が手指を差し込むことは容易ではなかった。開封のために、表がわ開封掴み代857bと裏がわ開封掴み代857aとの間に手指の爪を差し込んでこじ開けたり、平板状の道具を差し込んでこじ開けたりしたので、チャックテープ861の解離に時間が必要となる場合があった。
【0193】
また上記のようにチャックテープ61が解離された実施例1から12のチャック付き紙容器90の包装体について、内容物の取り出し適性、およびチャックによる再封性をテストした。
【0194】
チャックテープ61の嵌合が容易に解離されて、チャック付き紙容器90の上部が略全幅に渡って開口され、取り出し用開口部56が形成された。その取り出し用開口部を経て、内部に充填されたスナック菓子を容易に取り出すことができた。
【0195】
また内容物の一部を取り出した後に、実施例1から12のチャック付き紙容器90の包装体は、容易にチャックテープ61が再嵌合されて、再封された。そして、残りの内容物は適切に保存された。
【0196】
さらに本開示のチャック付き紙容器90は、チャック付き紙容器90の全体の質量に対する紙の質量比率は、紙容器としての基準である51質量%以上を充分に満たすものであった。