(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136619
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】温度センサ装置、電圧検出装置及び電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20240927BHJP
G01K 1/14 20210101ALI20240927BHJP
H01M 50/298 20210101ALI20240927BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20240927BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20240927BHJP
【FI】
H01M50/204 401D
G01K1/14 L
H01M50/298
H01M50/569
H01M50/289
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047776
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】岡住 綾馬
(72)【発明者】
【氏名】沼倉 彩佳
【テーマコード(参考)】
2F056
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
2F056CL07
5H040AA07
5H040AT06
5H040AY06
5H040DD07
5H040DD26
5H040NN03
5H043AA02
5H043CA21
5H043FA32
(57)【要約】
【課題】温度センサ線の配策による温度センサ部材の損傷を抑制する。
【解決手段】温度センサ装置30は、電池セル100の少なくとも一部分を覆う部分プロテクタ300と、部分プロテクタ300の保持構造302に保持された支持体310と、支持体310によって支持された温度センサ素子320と、部分プロテクタ300の保持構造302から所定方向にずれて位置する配策構造304を介して配策されて温度センサ素子320に電気的に接続された温度センサ線330と、を備えている。支持体310は、保持構造302から引き出された引出部314と、引出部314に対して当該所定方向にずれて位置し温度センサ素子320が取り付けられた取付部316と、を有している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルの少なくとも一部分を覆うプロテクタと、
前記プロテクタの所定の第1構造に保持された支持体と、
前記支持体によって支持された温度センサ素子と、
前記プロテクタの前記第1構造から所定方向にずれて位置する第2構造を介して配策されて前記温度センサ素子に電気的に接続された温度センサ線と、
を備え、
前記支持体が、前記第1構造から引き出された第1部分と、前記第1部分に対して前記所定方向にずれて位置し前記温度センサ素子が取り付けられた第2部分と、を有する、温度センサ装置。
【請求項2】
前記支持体が、前記第1部分及び前記第2部分の間のねじれを規制する構造を有している、請求項1に記載の温度センサ装置。
【請求項3】
前記温度センサ素子及び前記第2構造の間における前記温度センサ線の少なくとも一部分が、前記温度センサ素子から前記第2構造までの最短経路からずれて位置している、請求項1に記載の温度センサ装置。
【請求項4】
前記第2構造が、所定の第1位置で前記温度センサ線を係止する第1係止部と、前記第1位置より前記温度センサ素子から離れた第2位置で前記温度センサ線を係止する第2係止部と、を有し、
前記第2位置が、前記第1位置に対して、前記温度センサ素子が位置する側の反対側にずれて位置している、請求項1に記載の温度センサ装置。
【請求項5】
前記支持体及び前記温度センサ線を少なくとも部分的に互いに接合する接合部をさらに備える、請求項1に記載の温度センサ装置。
【請求項6】
電池セルの少なくとも一部分を覆うプロテクタと、
前記プロテクタに保持された支持体と、
前記支持体によって支持された温度センサ素子と、
前記温度センサ素子に電気的に接続されて前記プロテクタを介して配策された温度センサ線と、
前記支持体及び前記温度センサ線を少なくとも部分的に互いに接合する接合部と、
を備える温度センサ装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のセンサ装置と、
前記プロテクタによって保持され前記電池セルの電圧を検出する電圧検出端子と、
を備える電圧検出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電圧検出装置と、
前記電池セルと、
を備える電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度センサ装置、電圧検出装置及び電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電池モジュールに用いられる様々な温度センサ装置が開発されている。電池モジュールは、複数の電池セルを備えている。温度センサ装置は、電池セルの温度を検出する温度センサ素子を備えている。
【0003】
特許文献1には、温度センサ装置の一例について記載されている。温度センサ装置は、温度検出素子と、温度検出素子を保持する素子ホルダと、を備えている。温度検出素子の上端部からは、一対の電線が引き出されている。
【0004】
特許文献2には、温度センサ装置の一例について記載されている。温度センサ装置は、サーミスタと、サーミスタを電池セルに対して押さえるコイルばねと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-171697号公報
【特許文献2】特開2018-045858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電池モジュールに用いられる温度センサ装置では、電池セルの少なくとも一部分を覆うプロテクタによって保持された支持体によって温度センサ素子が支持され、温度センサ素子に電気的に接続された温度センサ線がプロテクタを介して配策されることがある。温度センサ線の配策においては、温度センサ線の折り曲げによる温度センサ線の断線や、温度センサ線を介して温度センサ素子にかかる引張負荷による温度センサ素子の内部素子の損壊を抑制する必要がある。
【0007】
本発明の目的の一例は、温度センサ線の配策による温度センサ線、温度センサ素子等の温度センサ部材の損傷を抑制することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、以下のとおりである。
[1]
電池セルの少なくとも一部分を覆うプロテクタと、
前記プロテクタの所定の第1構造に保持された支持体と、
前記支持体によって支持された温度センサ素子と、
前記プロテクタの前記第1構造から所定方向にずれて位置する第2構造を介して配策されて前記温度センサ素子に電気的に接続された温度センサ線と、
を備え、
前記支持体が、前記第1構造から引き出された第1部分と、前記第1部分に対して前記所定方向にずれて位置し前記温度センサ素子が取り付けられた第2部分と、を有する、温度センサ装置。
[2]
前記支持体が、前記第1部分及び前記第2部分の間のねじれを規制する構造を有している、[1]に記載の温度センサ装置。
[3]
前記温度センサ素子及び前記第2構造の間における前記温度センサ線の少なくとも一部分が、前記温度センサ素子から前記第2構造までの最短経路からずれて位置している、[1]又は[2]に記載の温度センサ装置。
[4]
前記第2構造が、所定の第1位置で前記温度センサ線を係止する第1係止部と、前記第1位置より前記温度センサ素子から離れた第2位置で前記温度センサ線を係止する第2係止部と、を有し、
前記第2位置が、前記第1位置に対して、前記温度センサ素子が位置する側の反対側にずれて位置している、[1]~[3]のいずれか一に記載の温度センサ装置。
[5]
前記支持体及び前記温度センサ線を少なくとも部分的に互いに接合する接合部をさらに備える、[1]~[4]のいずれか一に記載の温度センサ装置。
[6]
電池セルの少なくとも一部分を覆うプロテクタと、
前記プロテクタに保持された支持体と、
前記支持体によって支持された温度センサ素子と、
前記温度センサ素子に電気的に接続されて前記プロテクタを介して配策された温度センサ線と、
前記支持体及び前記温度センサ線を少なくとも部分的に互いに接合する接合部と、
を備える温度センサ装置。
[7]
[1]~[6]のいずれか一に記載のセンサ装置と、
前記プロテクタによって保持され前記電池セルの電圧を検出する電圧検出端子と、
を備える電圧検出装置。
[8]
[7]に記載の電圧検出装置と、
前記電池セルと、
を備える電池モジュール。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記態様によれば、温度センサ線の配策による温度センサ部材の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る電池モジュールの分解斜視図である。
【
図2】実施形態に係る電圧検出装置の後方斜視図である。
【
図3】
図2において後方から見て電圧検出装置の上方左端部の一点鎖線で囲まれた領域αに位置する温度センサ装置の後方斜視図である。
【
図4】
図2において後方から見て電圧検出装置の上方左端部の一点鎖線で囲まれた領域αに位置する温度センサ装置の右側面図である。
【
図5】
図2において後方から見て電圧検出装置の下方略中央部の一点鎖線で囲まれた領域βに位置する温度センサ装置の左側面図である。
【
図6】電圧検出装置の下部に位置する温度センサ装置の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
図1は、実施形態に係る電池モジュール1の分解斜視図である。
図2は、実施形態に係る電圧検出装置20の後方斜視図である。
【0013】
各図には、説明のため、X方向、Y方向及びZ方向を示す矢印が示されている。以下、特に断りがない限り、X方向を示す矢印の先端側を電池モジュール1の後側とし、X方向を示す矢印の基端側を電池モジュール1の前側とする。Y方向は、X方向に直交している。Y方向は、電池モジュール1の左右方向である。以下、特に断りがない限り、Y方向を示す矢印の先端側を電池モジュール1の左側とし、Y方向を示す矢印の基端側を電池モジュール1の右側とする。Z方向は、X方向及びY方向の双方に直交している。Z方向は、電池モジュール1の上下方向である。以下、特に断りがない限り、Z方向を示す矢印の先端側を電池モジュール1の上側とし、Z方向を示す矢印の基端側を電池モジュール1の下側とする。以下、必要に応じて、X方向を示す矢印の先端側及び基端側をそれぞれ+X側及び-X側といい、Y方向を示す矢印の先端側及び基端側をそれぞれ+Y側及び-Y側といい、Z方向を示す矢印の先端側及び基端側をそれぞれ+Z側及び-Z側という。なお、X方向、Y方向及びZ方向の各々と、電池モジュール1の前後方向、左右方向及び上下方向の各々と、の関係は、上述した例に限定されない。
【0014】
図1及び
図2を参照し、電池モジュール1について説明する。
【0015】
電池モジュール1は、セル積層体10、電圧検出装置20、複数の温度センサ装置30及び収容体40を備えている。
【0016】
セル積層体10は、複数の電池セル100を有している。複数の電池セル100は、Y方向に積層されている。各電池セル100の長手方向は、X方向に対して略平行となっている。各電池セル100の短手方向は、Z方向に対して略平行となっている。各電池セル100の厚み方向は、Y方向に対して略平行となっている。各電池セル100の形状は、この例に限定されない。
【0017】
各電池セル100は、不図示の電池要素、外装材102、正極タブ104及び負極タブ106を含んでいる。一例において、電池要素は、Y方向に交互に積層された不図示の複数の正極及び複数の負極と、Y方向に隣り合う正極及び負極の間に位置する不図示のセパレータと、を含んでいる。外装材102は、電池要素と、不図示の電解液と、を封止している。正極タブ104は、電池要素の正極に電気的に接続されている。正極タブ104は、外装材102のX方向の両側の辺の一方から引き出されている。負極タブ106は、電池要素の負極に電気的に接続されている。負極タブ106は、外装材102のX方向の両側の辺の他方から引き出されている。ただし、各電池セル100の構造は、この例に限定されない。
【0018】
各電池セル100は、全固体電池であってもよい。全固体電池においては、セパレータに相当する部分に固体電解質層が設けられている。全固体電池は、電解液を含んでいない。以下、特に断りがない限り、各電池セル100は電解液を含む電池セルであるとして説明する。
【0019】
実施形態において、複数の電池セル100は、直列及び並列の組み合わせによって電気的に接続されている。具体的には、Y方向に隣り合って並列に接続された少なくとも2つの電池セル100を含むセル群が、Y方向に積層され直列に接続されている。セル積層体10の前方には、並列に接続されたセル群の電池セル100から引き出された正極タブ104と、並列に接続された他のセル群の電池セル100から引き出された負極タブ106と、が互いに電気的に接続されて、当該正極タブ104及び当該負極タブ106を含むタブ接続部108が形成されている。タブ接続部108における正極タブ104及び負極タブ106は、例えば、レーザ溶接によって互いに接合されている。セル積層体10の後方においても、タブ群が同様に形成されている。よって、セル積層体10のY方向の一端側に位置する上述のセル群からセル積層体10のY方向の他端側に位置する上述のセル群にかけて複数のセル群が直列に接続されている。
【0020】
複数の電池セル100の電気的接続は、上述した例に限定されない。例えば、単一の電池セル100が直列に接続されてセル積層体10が構成されていてもよい。
【0021】
電圧検出装置20は、複数の電池セル100の電圧を検出している。電圧検出装置20は、プロテクタ200、複数の電圧検出端子210、正極バスバー232及び負極バスバー234を有している。
【0022】
プロテクタ200は、セル積層体10の前部を覆っている。プロテクタ200は、複数の開口202を画定している。複数のタブ接続部108の各々は、複数の開口202の各々を介して前方に向けて露出されている。プロテクタ200は、複数の電圧検出端子210を一体的に保持している。よって、プロテクタ200をセル積層体10に対して適当な位置に設置することで、複数の電圧検出端子210の各々を、複数のタブ接続部108の各々に対して適当な位置に配置することができる。
【0023】
各電圧検出端子210の後面と、各タブ接続部108の前面と、は例えばレーザ溶接等の接合方法によって互いに接合されている。よって、各電圧検出端子210及び各タブ接続部108は、電気的に互いに接続されている。したがって、各電圧検出端子210は、各タブ接続部108の電圧を検出することができる。各電圧検出端子210には、不図示のハーネス等の電圧検出線の一端が電気的に接続されている。よって、複数の電圧検出端子210は、複数の電圧検出線を介して、不図示のコネクタに電気的に接続可能になっている。
【0024】
正極バスバー232は、プロテクタ200の右端部に配置されている。正極バスバー232は、セル積層体10の右端部に位置するセル群から引き出された正極タブ104に電気的に接続されている。正極バスバー232は、電池モジュール1を他の電池モジュール等の外部装置に電気的に接続するための外部端子として機能している。
【0025】
負極バスバー234は、プロテクタ200の左端部に配置されている。負極バスバー234は、セル積層体10の左端部に位置するセル群から引き出された負極タブ106に電気的に接続されている。負極バスバー234は、電池モジュール1を他の電池モジュール等の外部装置に電気的に接続するための外部端子として機能している。
【0026】
実施形態では、直列に接続された複数のセル群の終端の正極タブ104が、セル積層体10の右端側に位置するセル群の電池セル100から前方に向けて引き出された正極タブ104であり、直列に接続された複数のセル群の終端の負極タブ106が、セル積層体10の左端側に位置するセル群の電池セル100から前方に向けて引き出された負極タブ106である。よって、正極バスバー232及び負極バスバー234は、双方とも、電池セル100の前方に配置されている。しかしながら、直列に接続された複数のセル群の終端の正極タブ104及び負極タブ106の配置は、セル積層体10に含まれる電池セル100の数に応じて、異なることがある。例えば、直列に接続された複数のセル群の終端の正極タブ104が、セル積層体10の右端側に位置するセル群の電池セル100から後方に向けて引き出された正極タブ104であり、直列に接続された複数のセル群の終端の負極タブ106が、セル積層体10の左端側に位置するセル群の電池セル100から前方に向けて引き出された負極タブ106である場合を検討する。この場合、正極バスバー232は、セル積層体10の後方に配置され、負極バスバー234は、セル積層体10の前方に配置される。
【0027】
図2に示すように、複数の温度センサ装置30は、電圧検出装置20に設けられている。
図2に示す例では、電圧検出装置20の後方から見て、電圧検出装置20の上方略中央部、上方左端部、下方略中央部及び下方左端部の4箇所に4つの温度センサ装置30が設けられている。ただし、複数の温度センサ装置30の配置は、この例に限定されない。また、電圧検出装置20に設けられる温度センサ装置30の数は1つのみであってもよい。
【0028】
収容体40は、前方プレート410、後方プレート420、右方プレート430、左方プレート440、下方プレート450及び上方プレート460を有している。各カバーは、例えば、アルミニウム等の金属からなっている。前方プレート410は、セル積層体10及び電圧検出装置20の前部を覆っている。後方プレート420は、セル積層体10の後部を覆っている。右方プレート430は、セル積層体10の右部を覆っている。左方プレート440は、セル積層体10の左部を覆っている。下方プレート450は、セル積層体10の下部を覆っている。下方プレート450の上面と、セル積層体10の下端と、の間には熱伝導性接着剤452が配置されている。よって、セル積層体10から発生した熱を、熱伝導性接着剤452を通して電池モジュール1の下方に向けて逃がすことができる。上方プレート460は、セル積層体10の上部を覆っている。
【0029】
図3は、
図2において後方から見て電圧検出装置20の上方左端部の一点鎖線で囲まれた領域αに位置する温度センサ装置30の後方斜視図である。
図4は、
図2において後方から見て電圧検出装置20の上方左端部の一点鎖線で囲まれた領域αに位置する温度センサ装置30の右側面図である。
図4において、Y方向を示すX付き白丸は、+Y側が紙面の手前から奥に向かう側であり、-Y側が紙面の奥から手前に向かう側であることを示している。
【0030】
図3及び
図4を参照して、必要に応じて
図2を参照して、後方から見て電圧検出装置20の上方左端部に位置する温度センサ装置30について説明する。温度センサ装置30は、部分プロテクタ300、支持体310、温度センサ素子320及び一対の温度センサ線330を有している。部分プロテクタ300は、保持構造302及び配策構造304を含んでいる。支持体310は、基端部312、引出部314、取付部316及び接続部318を含んでいる。
【0031】
部分プロテクタ300は、後方から見て電圧検出装置20のプロテクタ200の上方左端部分である。すなわち、部分プロテクタ300は、プロテクタ200の一部分となっている。
図3に示すように、保持構造302及び配策構造304は、Y方向に対して略平行に互いにずれて位置している。実施形態では、
図2に示すように、後方から見て電圧検出装置20の上方左端部に位置する温度センサ装置30の保持構造302及び配策構造304だけでなく、他の温度センサ装置30の保持構造302及び配策構造304も、Y方向に対して略平行に互いにずれて位置している。
【0032】
支持体310は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の樹脂からなっている。基端部312は、保持構造302によって部分プロテクタ300に保持されている。具体的には、基端部312は、保持構造302によって画定された挿通孔にZ方向に対して略平行に挿通されている。ただし、基端部312を部分プロテクタ300保持する構造は、挿通孔に限定されない。引出部314は、保持構造302の挿通孔から引き出されている。引出部314は、基端部312に対して後方に向けて折り曲げられている。
図3に示すように、引出部314の後端部は、引出部314に外力が加わらない状態で、後方斜め上に向けられている。引出部314及び取付部316は、接続部318を介して互いに接続されている。後方から見て、取付部316は、引出部314に対して右側にずれて位置している。すなわち、引出部314及び取付部316は、Y方向に対して略平行に互いにずれて位置している。接続部318は、Y方向において引出部314及び取付部316の間に位置している。
【0033】
温度センサ素子320は、取付部316の下面に取り付けられている。よって、
図4に示すように、引出部314及び取付部316の各々の上面を上方プレート460の下面によって下方に向けて押圧することで、温度センサ素子320の下面を下方の電池セル100の上端に押し当てることができる。したがって、温度センサ素子320は、温度センサ素子320の下面及び電池セル100の上端が互いに接触した状態で、電池セル100の温度を検出することができる。
【0034】
一対の温度センサ線330は、温度センサ素子320の前端部から下方に向けて引き出されている。一対の温度センサ線330及び温度センサ素子320は、互いに電気的に接続されている。各温度センサ線330は、例えばハーネスである。各温度センサ線330は、配策構造304によってZ方向に対して略平行に配策されている。具体的には、
図3に示す例において、配策構造304は、爪304aを含んでいる。爪304aは、一対の温度センサ線330に対して後方に位置している。よって、爪304aによって、一対の温度センサ線330をZ方向に対して略平行に案内することができる。
【0035】
実施形態では、引出部314のY方向の位置及び保持構造302のY方向の位置がY方向に揃っており、取付部316のY方向の位置及び配策構造304のY方向の位置がY方向に揃っている。仮に、支持体310が取付部316及び接続部318を有さず温度センサ素子320が引出部314に取り付けられている場合を検討する。この場合、配策構造304のY方向の位置と、温度センサ素子320における各温度センサ線330が引き出される部分のY方向の位置と、がY方向に互いにずれる。よって、支持体310及び各温度センサ線330の干渉を避けるため、各温度センサ線330が温度センサ素子320及び配策構造304の間で比較的大きな曲率で折り曲げられることがある。各温度センサ線330が比較的大きな曲率で折り曲げられている場合、温度センサ素子320及び配策構造304の間で温度センサ線330に比較的大きな負荷がかかることがある。温度センサ素子320及び配策構造304の間で各温度センサ線330に比較的大きな負荷がかかる場合、温度センサ素子320及び配策構造304の間で各温度センサ線330の断線を抑制することが難しいことがある。これに対して、実施形態では、配策構造304のY方向の位置と、温度センサ素子320における各温度センサ線330が引き出される部分のY方向の位置と、がY方向に揃っている。よって、上述した場合と比較して、温度センサ素子320及び配策構造304の間の各温度センサ線330にかかる負荷を緩和することができる。したがって、実施形態では、上述した場合と比較して、温度センサ素子320及び配策構造304の間での各温度センサ線330の断線を抑制することができる。
【0036】
実施形態では、支持体310における接続部318の前方部分及び接続部318の後方部分にスリットが設けられている。このスリットは、取付部316における温度センサ素子320が取り付けられる位置の目印として機能することができる。例えば、温度センサ素子320の-Y側の縁と、スリットの+Y側の縁と、を互いに揃えることができる。加えて、接続部318のX方向の長さは、比較的長くなっている。例えば、引出部314、取付部316及び接続部318をX方向に対して略平行に配置させた状態で、接続部318のX方向の長さは、取付部316のX方向の長さの60%以上にすることができる。よって、接続部318は、引出部314及び接続部318の間のねじれを規制する構造となっている。例えば、実施形態では、接続部318のX方向の長さが比較的短い場合と比較して、取付部316及び温度センサ素子320が上方プレート460によって下方の電池セル100に向けて押圧されても、取付部316が引出部314に対してねじれることを抑制することができる。よって、実施形態では、上述した場合と比較して、取付部316及び温度センサ素子320が上方プレート460によって下方に向けて押圧される際に、温度センサ素子320を所望の位置に配置させやすくすることができる。
【0037】
接続部318の前方及び後方のスリットは、いずれも設けられていなくてもよい。或いは、接続部318の前方及び後方の一方のみにスリットが設けられていてもよい。
【0038】
実施形態では、
図4に示すように、温度センサ素子320の前端部及び配策構造304の上端部の間における温度センサ線330の少なくとも一部分は、温度センサ素子320の前端部から配策構造304の上端部までの最短経路から-X側に向けてずれて位置している。
図4に示す例において、温度センサ素子320の前端部から配策構造304の上端部までの最短経路は、温度センサ素子320の前端部から配策構造304の上端部までZ方向に対して略平行に延在する経路である。仮に、温度センサ線330がこの最短経路を通過する場合、温度センサ素子320の前端部の近傍において温度センサ線330が比較的大きな曲率で折り曲げられることがある。これに対して、
図4に示す例では、温度センサ線330が上述の最短経路を通過する場合と比較して、温度センサ素子320の前端部及び配策構造304の上端部の間における温度センサ線330の折れ曲がりの曲率を小さくすることができる。したがって、
図4に示す例では、温度センサ線330が上述の最短経路を通過する場合と比較して、温度センサ線330の断線を抑制することができる。
【0039】
図3及び
図4を用いて、後方から見て電圧検出装置20の上方左端部に位置する温度センサ装置30について説明した事項は、電圧検出装置20の他の箇所に位置する温度センサ装置30にも同様に適用可能である。
【0040】
図5は、
図2において後方から見て電圧検出装置20の下方略中央部の一点鎖線で囲まれた領域βに位置する温度センサ装置30の左側面図である。
図5において、Y方向を示す黒点付き白丸は、+Y側が紙面の奥から手前に向かう側であり、-Y側が紙面の手前から奥に向かう側であることを示している。
図5は、
図3及び
図4に図示された一対の温度センサ線330に相当する温度センサ線が取り除かれた状態の温度センサ装置30を図示している。
【0041】
図5を参照して、必要に応じて
図2を参照して、後方から見て電圧検出装置20の下方略中央部に位置する温度センサ装置30について説明する。
【0042】
図5に示すように、配策構造304は、下方係止部304b及び上方係止部304cを含んでいる。下方係止部304bは、温度センサ素子320の近傍の位置で温度センサ線330を係止している。下方係止部304bは、前方に向けて開口したフック構造となっている。よって、下方係止部304bの前方から温度センサ線330を下方係止部304bのフック構造に入り込ませて、温度センサ線330を下方係止部304bに係止させることができる。上方係止部304cは、下方係止部304bの位置よりも温度センサ素子320から離れた位置で温度センサ線330を係止している。上方係止部304cは、下方係止部304bと同様にして、前方に向けて開口したフック構造となっている。
【0043】
図5に示す例では、上方係止部304cのZ方向の位置は、下方係止部304bのZ方向の位置に対して+Z側にずれている。加えて、上方係止部304cのX方向の位置は、下方係止部304bのX方向の位置に対して-X側に向けてずれている。言い換えると、上方係止部304cのX方向の位置は、下方係止部304bのX方向の位置に対して、温度センサ素子320が位置する側の反対側に位置している。仮に、上方係止部304cのX方向の位置が
図5に示す位置より+X側にずれて、下方係止部304bのX方向の位置及び上方係止部304cのX方向の位置がX方向に揃っている場合を検討する。この場合、温度センサ線330は、温度センサ素子320の前端部から下方係止部304bを経由して上方係止部304cにかけて比較的大きな曲率で折り曲げられることがある。これに対して、実施形態では、上述した場合と比較して、温度センサ素子320の前端部から下方係止部304bを経由して上方係止部304cにかけての温度センサ線330の折り曲げの曲率を小さくすることができる。したがって、実施形態では、上述した場合と比較して、温度センサ線330の断線を抑制することができる。
【0044】
下方係止部304bの位置及び上方係止部304cの位置は、
図5に示す例に限定されない。例えば、下方係止部304bの位置は、下方係止部304bの位置が上方係止部304cの位置より温度センサ素子320の位置に近い限り、温度センサ素子320の近傍でなくてもよい。
【0045】
図5を用いて、後方から見て電圧検出装置20の下方略中央部に位置する温度センサ装置30について説明した事項は、電圧検出装置20の他の箇所に位置する温度センサ装置30にも同様に適用可能である。
【0046】
図6は、電圧検出装置20の下部に位置する温度センサ装置30の断面模式図である。
図6において、Y方向を示す黒点付き白丸は、+Y側が紙面の奥から手前に向かう側であり、-Y側が紙面の手前から奥に向かう側であることを示している。
【0047】
図6を参照して、電圧検出装置20の下部に位置する温度センサ装置30について説明する。
図6を用いて説明する事項は、電圧検出装置20の上部に位置する温度センサ装置30にも同様に適用可能である。
【0048】
温度センサ素子320は、サーミスタ322、ジュメット線324及び封止体326を含んでいる。温度センサ線330は、内部導体332及び被覆体334を含んでいる。サーミスタ322及びジュメット線324は、封止体326に封止されている。ジュメット線324の+X側の一端部は、サーミスタ322に電気的に接続されている。内部導体332は、内部導体332の+X側の一端部を除いて、被覆体334によって被覆されている。内部導体332の+X側の一端部は、被覆体334から露出されている。内部導体332の+X側の一端部は、封止体326に入り込んでいる。ジュメット線324の-X側の他端部及び内部導体332の+X側の一端部は、ジュメット線324の-X側の他端部及び内部導体332の+X側の一端部の間に位置する接続導体340を介して互いに電気的に接続されている。
【0049】
支持体310の上面及び封止体326の下面は、接着剤350を介して互いに接合されている。接着剤350は、支持体310の上面及び封止体326の下面の間だけでなく、支持体310の上面及び被覆体334の下面の間にも位置している。よって、支持体310の上面及び被覆体334の下面も、接着剤350を介して互いに接合されている。仮に、支持体310の上面及び被覆体334の下面の間に接着剤350が位置しない場合を検討する。この場合、温度センサ線330の配策において、温度センサ線330を介して温度センサ素子320にかかる引張負荷によって、温度センサ素子320における封止体326の内部素子の損傷を抑制することが比較的難しいことがある。これに対して、実施形態では、上述した場合と比較して、温度センサ線330を介した引張負荷が温度センサ素子320にかかりにくくすることができる。したがって、実施形態では、上述した場合と比較して、温度センサ素子320における封止体326の内部素子の損傷を抑制することができる。
【0050】
支持体310及び温度センサ線330を互いに接合する接合部は、接着剤350に限定されない。例えば、接着剤350に代えて、支持体310及び温度センサ線330を互いに固定する固定具を接合部として用いてもよい。
【0051】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0052】
1 電池モジュール、10 セル積層体、20 電圧検出装置、30 温度センサ装置、40 収容体、100 電池セル、102 外装材、104 正極タブ、106 負極タブ、108 タブ接続部、200 プロテクタ、202 開口、210 電圧検出端子、232 正極バスバー、234 負極バスバー、300 部分プロテクタ、302 保持構造、304 配策構造、304a 爪、304b 下方係止部、304c 上方係止部、310 支持体、312 基端部、314 引出部、316 取付部、318 接続部、320 温度センサ素子、322 サーミスタ、324 ジュメット線、326 封止体、330 温度センサ線、332 内部導体、334 被覆体、340 接続導体、350 接着剤、410 前方プレート、420 後方プレート、430 右方プレート、440 左方プレート、450 下方プレート、452 熱伝導性接着剤、460 上方プレート