(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013663
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】乾燥方法
(51)【国際特許分類】
F26B 3/347 20060101AFI20240125BHJP
F26B 21/00 20060101ALI20240125BHJP
F26B 9/06 20060101ALN20240125BHJP
【FI】
F26B3/347
F26B21/00 A
F26B9/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115926
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】522291119
【氏名又は名称】菊田 敏孝
(71)【出願人】
【識別番号】518155292
【氏名又は名称】宝来メデック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522291120
【氏名又は名称】園田 勝則
(71)【出願人】
【識別番号】522291131
【氏名又は名称】浅部 健太
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】菊田 敏孝
(72)【発明者】
【氏名】寳來 豊晴
(72)【発明者】
【氏名】園田 勝則
(72)【発明者】
【氏名】浅部 健太
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA01
3L113AB01
3L113AC13
3L113AC45
3L113AC52
3L113AC67
3L113BA05
3L113BA16
3L113BA19
3L113BA24
3L113BA27
3L113BA29
3L113CB08
3L113CB24
3L113DA01
3L113DA24
(57)【要約】
【課題】乾燥時間の短縮化を図るとともに、出来上がった乾燥物の品質向上を実現可能な乾燥方法を提供すること。
【解決手段】被乾燥物を収納する空間を有する乾燥室50と、板面に複数の永久磁石が配置された回転体と、当該回転体の板面に対向して配置され、前記回転体の回転によって渦電流を発生する導電板と、を有し、前記渦電流によって導電板を発熱させる熱発生部10と、熱発生部10を通って熱せられた空気を乾燥室50の内部に供給する送風部30と、を備える乾燥装置1を用いた乾燥方法であって、送風部30は、乾燥室50内に、湿度が10%から20%の範囲の空気を毎分25m
3から30m
3供給する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被乾燥物を収納する空間を有する乾燥室と、
板面に複数の永久磁石が配置された回転体、及び当該回転体の板面に対向して配置され、前記回転体の回転によって渦電流を発生する導電板を有し、前記渦電流によって導電板を発熱させる熱発生部と、
前記熱発生部を通って熱せられた空気を前記乾燥室の内部に供給する送風部と、を備える乾燥装置を用いた乾燥方法であって、
前記送風部は、前記乾燥室内に、湿度が10%から20%の範囲の空気を毎分25m3から30m3供給することを特徴とする乾燥方法。
【請求項2】
前記乾燥装置は、前記熱発生部の発熱量を制御する制御部を備え、
前記送風部は、温度が20℃から50℃の範囲の空気を前記乾燥室の内部に供給することを特徴とする請求項1記載の乾燥方法。
【請求項3】
前記乾燥室における被乾燥物を収納する空間の密閉度が高いことを特徴とする請求項1又は2記載の乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品や材木等を乾燥する乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来におけるこの種の技術として、特許文献1に記載された技術がある。特許文献1には、渦電流が発生可能な真空引きされる金属製容器を取り囲む回転体に複数の永久磁石をN極とS極が交互に位置するように配置した渦電流発熱による加熱装置を有し、金属製容器に被乾燥物を入れて低温乾燥することについて開示されている。
【0003】
また、渦電流発熱によって熱風を発生させる技術として、従来、特許文献2に記載された技術がある。特許文献2には、内部に永久磁石が配置され、回転可能に設けられた良導電体金属製の平盤状回転体と、前記平盤状回転体の上方かつ近傍に、前記永久磁石による磁界中に配置された導電材を含む発熱部と、該発熱部上に立設された複数の熱風流通管からなる熱風捕捉板とからなり、該熱風捕捉板には複数の熱風流通孔が螺旋状又はインボリュート曲線状に配置穿孔され、前記複数の熱風流通管に連通させると共に、当該熱風捕捉板を、熱風排気筒を有する略円筒形状のカバーで被覆し、前記発熱部で発生したジュール熱を熱風として捕集する、熱風発生装置について開示されており、更に、農業分野での温室ハウス栽培における加温装置として利用可能である点について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-76992号公報
【特許文献2】特許第5710937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、食品や材木等を乾燥する場合に、より乾燥時間が短いことは勿論、乾燥後に割れや欠け、変形等が少ないといった品質の高い出来上がりであることが望まれる。
【0006】
本発明は、このような問題点に対して鑑みなされたものであり、乾燥時間の短縮化を図るとともに、出来上がった乾燥物の品質向上を実現可能な乾燥方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は次に記載する構成を備える。
【0008】
(1) 被乾燥物を収納する空間を有する乾燥室(例えば、乾燥室50)と、
板面に複数の永久磁石(例えば、永久磁石16)が配置された回転体(例えば、回転体12)、及び当該回転体の板面に対向して配置され、前記回転体の回転によって渦電流を発生する導電板(例えば、導電板13)を有し、前記渦電流によって導電板を発熱させる熱発生部(例えば、熱発生部10)と、
前記熱発生部を通って熱せられた空気を前記乾燥室の内部に供給する送風部と、を備える乾燥装置(例えば、乾燥装置1)を用いた乾燥方法であって、
前記送風部は、前記乾燥室内に、湿度が10%から20%の範囲の空気を毎分25m3から30m3供給することを特徴とする乾燥方法。
【0009】
(2) (1)において、前記乾燥装置は、前記熱発生部の発熱量を制御する制御部(例えば、制御部30)を備え、
前記送風部は、温度が20℃から50℃の範囲の空気を前記乾燥室の内部に供給することを特徴とする乾燥方法。
【0010】
(3) (1)、(2)において、前記乾燥室における被乾燥物を収納する空間の密閉度が高いことを特徴とする乾燥方法。
【0011】
(1)~(3)によれば、複数の永久磁石を配置した回転体を回転させ、磁気誘導によって導電板に渦電流を発生させることにより、導電板に熱を発生させる熱発生部を備える乾燥装置を用い、被乾燥物を乾燥室内に収容し、乾燥室内に、湿度が10%から20%の範囲の空気を毎分25m3から30m3供給することによって被乾燥物を乾燥させる。このように、大量の低温低湿の空気を供給することによって被乾燥物を乾燥させることが可能になり、乾燥時間の短縮化を図るとともに、出来上がった乾燥物の品質向上を実現可能な乾燥方法を提供することが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、乾燥時間の短縮化を図るとともに、出来上がった乾燥物の品質向上を実現可能な乾燥方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態における乾燥装置1の外観を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態における乾燥装置1に係る熱風発生装置5の外観を示す斜視図である。
【
図3】熱発生部10の内部構成を示す斜視図である。
【
図5】回転体12を取り付けたモータ11の外観を示す斜視図である。
【
図7】導電板13上に載せられる帯状部材17の外観を示す斜視図である。
【
図8】貫通孔13b付近の気流を示す断面図である。
【
図9】乾燥装置1を使用したときの乾燥室の湿度を測定した結果を示す図である。
【
図10】キウイフルーツの乾燥実験における乾燥室50の温度及び湿度の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態における乾燥装置1の外観を示す斜視図である。乾燥装置1は、熱風発生装置5と、乾燥室50と、を備えている。
【0016】
熱風発生装置5は、熱風を発生可能であり、乾燥室50の内部に配置される。また、乾燥室50は、被乾燥物を乾燥させる、密閉度の高い内部空間を有する。乾燥室50は、換気口51と導入口52を備えている。換気口51は、乾燥室50の内部の換気を行う。導入口52は、乾燥室50の外部から空気を導入する。導入口52から導入された空気は、ダクト53を介して熱風発生装置5に送られる。熱風発生装置5は、導入口52を介して導入された空気を所定の温度に加熱して乾燥室50の内部に供給する。熱風発生装置5から乾燥室50の内部に供給された空気によって被乾燥物53が乾燥される。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態における乾燥装置1に係る熱風発生装置5の外観を示す斜視図である。熱風発生装置5は、熱発生部10と、制御部20と、送風部30と、を備えている。
【0018】
熱発生部10は、乾燥室50の外部から導入した空気を加熱する熱を発生する。制御部20は、熱発生部10の発熱量や送風部30における送風量等の制御を行う。
【0019】
送風部30は、シロッコファンを収納するファン収納部31と、シロッコファンを回転駆動するモータを有する駆動部32と、駆動部32と熱発生部10とを接続し、熱発生部10において加熱された空気を駆動部32に向けてガイドするダクト33と、駆動部32によって送り出された空気が吹き出される吹出口34と、を備える。本実施形態における送風部30は、毎分25~30m3の送風を行う能力を有する。
【0020】
図3は、熱発生部10の内部構成を示す斜視図である。熱発生部10は、モータ11と、円板状の回転体12(
図4、5参照)と、導電板13と、カバー14と、架台15と、を備える。
【0021】
図4は、回転体12の板面を示す平面図である。回転体12の板面には、複数の永久磁石16が配置されている。永久磁石16は直方体形状であり、
図4に示すように、永久磁石16は長手方向が所定の直径方向に対して直角方向を向くように、回転体12の略全面に配置されている。回転体12の裏面の中心部に円板状の支持台12aが固定されている。支持台12aの中心に円筒部が立設しており、この円筒部にモータ11の回転軸が挿入かつ固定される。なお、回転体12の中心軸と、支持台12aの中心軸と、支持台12aの中心の円筒部の中心軸とは一致する。
【0022】
図5は、回転体12を取り付けたモータ11の外観を示す斜視図である。モータ11は、回転体12を回転駆動させるものであり、モータ11の回転軸に対して回転体12の板面が直角になるように、回転体12の中心部が支持台12aを介して固定される。
【0023】
図6は、導電板13の外観を示す平面図である。導電板13は磁力により渦電流が発生し易い金属からなる円板体からなり、導電板13の外周の4箇所から架台15に固定するための延在部13aが形成されている。また、導電板13の板面には、多数の貫通孔13bが形成されている。導電板13は、回転体12と略同径である。本実施形態によれば、導電板13の中央部に貫通孔13bが任意に配置されており、外周部の貫通孔13bは放射状に配置されている。
【0024】
なお、導電板13としては、磁力により渦電流が発生し易い、銅、銀、アルミニウム、ステンレスなどの良導電体の金属を選択するのが好ましい。また、永久磁石16としては、例えば、ネオジウム系磁石、サマリウム系磁石などの表面3000ガウス以上の永久磁石を使用するのが好ましい。永久磁石16の磁力の強さが強いほど導電板13は高温に発熱する。
【0025】
図3に戻って、カバー14は、漏斗状に形成された部材であり、導電板13と略同径の円筒部14aと、この円筒部14aから先細りになるようにテーパ状に形成されたテーパ部14bと、テーパ部の端部から円筒状に延びる排気筒部14cと、によって構成されている。
【0026】
架台15は、回転体12を取り付けたモータ11、導電板13を支持する台である。架台15の下部にはモータ11が取り付けられ、モータ11の上方に回転体12が位置付けられる。導電板13は、回転体12の上方かつ近傍に位置付けられ、架台15の所定部位に延在部13a上が載せられる。そして、延在部13aを架台15にネジ止め等によって固定することにより、導電板13が架台15に固定される。
【0027】
この導電板13上にカバー14の円筒部14aが載せられる。このとき、全ての貫通孔13bはカバー14によって覆われる。また、カバー14の排気筒部14cは上方を向いており、ダクト33の端部に対向する。また、架台15は、周囲に金属板18が取り付けられており、架台15の内部が金属板18によって覆われている。この金属板の下部の所定部位に孔部(図示せず)が形成されており、この孔部と導入口52とが乾燥室50の内部においてダクト53によって接続されている。また、上部に位置する金属板18における排気筒部14cとの対向部位に孔部18aが形成されており、排気筒部14cは、孔部18aを介してダクト33の端部に対向する。
【0028】
図7は、導電板13上に載せられる帯状部材17の外観を示す斜視図である。帯状部材17は、帯状の金属部材を、らせん状又はインボリュート曲線状に加工したものである。帯状部材17は、導電板13上にリブ状に立設される。導電板13上にカバー14の円筒部14aが載せられたときに、帯状部材17はカバー14の内部に配置されている。
【0029】
このように構成した熱発生部10に電力を供給してモータ11を駆動させて回転体12を高速回転させることによって、導電板13に永久磁石16のN,Sの磁極が交互に横切る。その結果、電磁誘導現象により導電板13自体に渦電流が発生し、この渦電流が熱エネルギーに変換されて導電板13が発熱する。
【0030】
熱発生部10と同時に送風部30を駆動することにより、ダクト33の端部から空気が吸引され、
図8に示すように、貫通孔13bから上方に移動する気流が発生し、この気流が導電板13によって加熱される。そして、カバー14の内部で加熱された空気が帯状部材17のガイドによって上方に移動し、排気筒部14c及び孔部18aを介してダクト33の端部に吸引される。そして、吸引された空気がダクト33を通って吹出口34から排出される。本実施形態における熱発生部10は、導電板13が250℃まで上昇可能な能力を有しており、送風部30から100℃の熱風を吹き出させることが可能である。なお、孔部18a付近やダクト33の端部付近は、熱せられた空気が冷却されることによって水滴が付きやすい箇所であるため、このような水滴を回収する回収部を設けることが望ましい。
【0031】
図9は、乾燥装置1を使用したときの乾燥室の湿度を測定した結果を示す図である。乾燥装置1を用いて、乾燥室50に約30℃に加熱されたエアを毎分25m
3供給して、30分毎に乾燥室の湿度を測定したところ、測定開始当初では気温23.1℃、湿度68%、30分後で気温25.6℃、湿度37%、1時間後で気温27.0℃、湿度30%、1時間30分後で気温27.4℃、湿度28.0%、3時間30分後で気温28.1℃、湿度24.0%、という結果が得られた。
【0032】
このように乾燥装置1によれば、湿度68%であった測定開始当初から、1時間後に湿度30%、3時間に湿度24.0%と大きく値が下がっていることから、熱風発生装置5の稼働によって除湿が行われている。
【0033】
[熱風発生装置5を用いた乾燥方法]
次に、熱風発生装置5を用いた低温低湿度の乾燥方法について説明する。最初に、被乾燥物を乾燥室50内に収容し、熱風発生装置5が、乾燥室50内に、湿度が10%から20%の範囲の空気を毎分25m3から30m3供給する。乾燥室50内に供給する空気の温度は適宜設定可能であるが、低温低湿度の乾燥を行う場合には、20℃から50℃の範囲の空気を乾燥室50の内部に供給することが望ましく、40℃付近であることがより望ましい。
【0034】
次に、熱風発生装置5を用いてキウイフルーツを乾燥させる実験を行った結果について説明する。キウイフルーツ4個のキウイフルーツを42枚に輪切りにして乾燥室50の内部に並べて配置し、乾燥室50に約50℃に加熱された空気を毎分25m3供給して、25時間乾燥させた。
【0035】
図10は、キウイフルーツの乾燥実験における乾燥室50の温度及び湿度の変化を示す図であり、乾燥室50内の温度は概ね46~50℃の間であり、湿度は16~20%の環境で乾燥を行った。
【0036】
その結果、乾燥前のキウイフルーツ4個の重量は430グラムであったが、乾燥後の重量は80グラムに減少した。
【0037】
また、乾燥後のキウイフルーツの水分活性値、水分率、糖度を求めたところ、水分活性値が0.62AW、水分率9.79%、糖度が16度という値が得られた。水分活性値が0.62AWという値から、乾燥後のキウイフルーツにはカビや大腸菌が発生しにくいことが分かる。また、キウイフルーツの平均糖度は10~15%という点から糖度が16度という値は糖度が失われていないことが分かる。また、水分率9.79%であることから、キウイフルーツは25時間で十分乾燥されることが分かる。
【0038】
また、キウイフルーツの他に、熱風発生装置5を用いて、上述したキウイフルーツと同様の乾燥方法でバナナ、リンゴ、パイナップルを乾燥させたところ、加糖なしで12~24時間で十分に乾燥させることができた。また、従来、乾燥が不可能と言われていた納豆(ひきわりも含む)を乾燥させたところ、12~24時間で十分に乾燥させることができた。
【0039】
また、これらの食品の水分活性値は1~2日の乾燥処理で0.5~0.7AWという結果が得られ、常温流通可能な0.89AW以下に収めることができる。なお、乾燥後のキウイフルーツ、バナナ、リンゴ、パイナップルは、半年以上常温でカビの発生が認められなかった。
【0040】
他に、通常1~2週間を要するソフトサラミの熟成乾燥を、熱風発生装置5を用いて行ったところ25~36時間で熟成乾燥を行うことができた。このように、ソフトサラミの熟成乾燥の期間を大幅に短縮することが可能になった。
【0041】
また、6~12ヶ月を要するドライフラワーの作成における乾燥を、熱風発生装置5を用いて行ったところ4~12時間で行うことができた。このように、ドライフラワーの作成における乾燥期間を大幅に短縮することが可能になった。
【0042】
更に、乾燥室50に材木を収納し、熱風発生装置5を用いて湿度が10~20%の環境で常温(例えば、40℃)の空気を毎分25~30m3供給して、乾燥を行った。ここで、従来の材木の乾燥方法は、重油、灯油等の燃料を使用し、ボイラーによる蒸気で乾燥させる方法が一般的であり、この乾燥方法では20m3の材木から300~400リットルの水分が流出してくる。しかし、熱風発生装置5を用いた前述した乾燥方法によって材木を乾燥させたところ、材木から一切の水分の流出が認められなかった。それゆえ、乾燥後の材木は、強度が約30%向上し、しかも乾燥時の材木の表面の仕上り色が、従来方法と比較して顕著に異なり、天日乾燥に近い仕上りになった。
【0043】
[作用効果]
以上説明したように構成された本実施形態によれば、複数の永久磁石16を配置した回転体12を回転させ、磁気誘導によって導電板13に渦電流を発生させることにより、導電板13に熱を発生させる熱風発生装置5を用い、被乾燥物を乾燥室50内に収容し、熱風発生装置5が、乾燥室50内に、湿度が10%から20%の範囲の空気を毎分25m3から30m3供給することによって被乾燥物を乾燥させる。これにより、被乾燥物が食品の場合、密閉空間では雰囲気が低湿度のため、食品を均一に乾燥することが可能になり、栄養劣化が少ない食品の乾燥物を作成することが可能になる。
【0044】
また、被乾燥物が材木の場合、従来の蒸気乾燥とは異なり、水分の流出が無いことから、ひびや曲がりが少なく天日乾燥に近い仕上りになり、しかも材木の強度を向上させることが可能になる。
【0045】
また、通常1~2週間を要するソフトサラミの熟成乾燥を25~36時間で熟成乾燥を行い、6~12ヶ月を要するドライフラワーの作成における乾燥を4~12時間で行うことが可能になる。
【0046】
このように本実施形態によれば、乾燥時間の短縮化を図るとともに、出来上がった乾燥物の品質向上を実現可能な乾燥方法を提供することが可能になる。
【0047】
また、磁気誘導によって導電板に熱を発生させる熱風発生装置を用いているため、他の乾燥方法に比較して乾燥時間が短い。しかも燃料を使用していないため、二酸化炭素を排出することなく、ランニングコストの低減を図ることができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は上述したものに限るものではない。例えば、上述した本実施形態によれば、乾燥室50に1つの熱風発生装置5を配置しているが、複数の熱風発生装置5を配置してもよいことは言うまでもない。
【0049】
また、排気筒部14cの後流側に、導電板13によって加熱された空気を所定の温度に冷却する熱交換部を配置し、この熱交換部で加熱された空気に含まれる空気を凝縮して水滴化して回収することによって補助的に除湿を行ってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 乾燥装置
5 熱風発生装置
10 熱発生部
11 モータ
12 回転体
13 導電板
13a 延在部
13b 貫通孔
14 カバー
15 架台
16 永久磁石
20 制御部
30 送風部
31 ファン収納部
32 駆動部
33 ダクト
34 吹出口
50 乾燥室
51 換気口
52 導入口