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特開2024-136633磁気ヘッド検査方法および磁気ヘッド検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136633
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】磁気ヘッド検査方法および磁気ヘッド検査装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/455 20060101AFI20240927BHJP
   G11B 5/31 20060101ALI20240927BHJP
   G11B 21/12 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G11B5/455 G
G11B5/31 A
G11B5/31 M
G11B21/12 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047792
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本田 雅樹
(57)【要約】

【課題】磁気ヘッド品質の平準化の促進を可能とする。
【解決手段】磁気ヘッド検査方法であって、検査済みの磁気ヘッドの特性を示す特性値と、目標とする特性値の移動平均値との関係に応じて、検査に用いる特性値の閾値を、上下限の範囲で可変に設定する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ディスク装置の磁気ヘッドを検査する方法を示す磁気ヘッド検査方法であって、
検査済みの前記磁気ヘッドの特性を示す特性値と、目標とする前記特性値の移動平均値との関係に応じて、検査に用いる前記特性値の閾値を、上下限の範囲で可変に設定する、
磁気ヘッド検査方法。
【請求項2】
前記特性値が前記移動平均値未満の場合は前記閾値を増加させ、前記特性値が前記移動平均値以上の場合は前記閾値を減少させる、
請求項1に記載の磁気ヘッド検査方法。
【請求項3】
前記特性値は、前記磁気ヘッドのヘッド面当たりの容量である、
請求項1または2に記載の磁気ヘッド検査方法。
【請求項4】
前記特性値が前記閾値以上である前記磁気ヘッドを合格とする、
請求項1に記載の磁気ヘッド検査方法。
【請求項5】
磁気ディスク装置の磁気ヘッドを検査する装置を示す磁気ヘッド検査装置であって、
検査済みの前記磁気ヘッドの特性を示す特性値を取得する第1の取得部と、
目標とする前記特性値の移動平均値を取得する第2の取得部と、
前記特性値と前記移動平均値との関係に応じて、検査に用いる前記特性値の閾値を、上下限の範囲で可変に設定する閾値設定部と、を備える、
磁気ヘッド検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、磁気ヘッド検査方法および磁気ヘッド検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク装置の性能を担保するために行われる磁気ヘッドの試験規格は固定の閾値が適用されているが、磁気ヘッドの材料であるウェハ起因の特性によって出荷品質が左右されるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5473125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの実施形態は、磁気ヘッド品質の平準化の促進を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施形態に係る磁気ヘッド検査方法は、検査済みの磁気ヘッドの特性を示す特性値と、目標とする特性値の移動平均値との関係に応じて、検査に用いる特性値の閾値を、上下限の範囲で可変に設定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態の磁気ディスク装置の構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態の検査のやり方の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態の検査対象の複数の磁気ヘッドの各々の特性値の平均値と、良品と判定された磁気ヘッドの特性値との関係の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態の検査装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態の検査装置が有する機能の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態の閾値変化の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態の検査装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態に係る磁気ディスク装置の磁気ヘッドを検査する方法を示す磁気ヘッド検査方法、および、該磁気ヘッド検査方法を実施する磁気ヘッド検査装置を詳細に説明する。なお、本実施形態の説明により本発明が限定されるものではない。
【0008】
図1は、本実施形態の磁気ヘッド検査装置により検査される磁気ヘッド12を含む磁気ディスク装置1の構成の一例を示す模式的な図である。
【0009】
磁気ディスク装置1は、ホスト2に接続される。磁気ディスク装置1は、ホスト2から、ライトコマンドやリードコマンドなどの、アクセスコマンドを受信することができる。
【0010】
磁気ディスク装置1は、表面に記録面が形成された磁気ディスク11を備える。磁気ディスク装置1は、アクセスコマンドに応じて磁気ディスク11(より正確には磁気ディスク11の記録面)に対し、データのライトおよびデータのリードを行う。なお、磁気ディスク装置1は、複数枚の磁気ディスク11を有し得るが、実施形態では、説明及び図示の簡略化のため、磁気ディスク装置1は1枚の磁気ディスク11を備えることとしている。
【0011】
データのライトおよびリードは、磁気ヘッド22を介して行われる。具体的には、磁気ディスク装置1は、磁気ディスク11のほかに、スピンドルモータ12、モータドライバIC(Integrated Circuit)21、磁気ヘッド22、アクチュエータアーム15、ボイスコイルモータ(VCM)16、ランプ13、ヘッドIC24、リードライトチャネル(RWC)25、RAM27、FROM(Flash Read Only Memory)28、バッファメモリ29、ハードディスクコントローラ(HDC)23、およびプロセッサ26を備える。
【0012】
磁気ディスク11は、磁気ディスク11の回転軸に取り付けられたスピンドルモータ12により、所定の回転速度で回転される。スピンドルモータ12は、モータドライバIC21により駆動される。
【0013】
モータドライバIC21は、スピンドルモータ12の回転およびVCM16の回転を制御する。
【0014】
本実施形態の検査対象である磁気ヘッド22は、それに備わるライト素子22wおよびリード素子22rにより、磁気ディスク11に対してデータのライトおよびデータのリードを行う。また、磁気ヘッド22は、アクチュエータアーム15の先端に取り付けられている。磁気ヘッド22は、モータドライバIC21によって駆動されるVCM16により、磁気ディスク11の径方向に沿って移動される。
【0015】
磁気ディスク11の回転が停止しているときなどは、磁気ヘッド22は、ランプ13上に移動される。ランプ13は、磁気ヘッド22を、磁気ディスク11から離間した位置で保持するように構成されている。
【0016】
ヘッドIC24は、リード時に、磁気ヘッド22が磁気ディスク11からリードされた信号を増幅して出力し、RWC25に供給する。また、ヘッドIC24は、RWC25から供給されたライト対象のデータに対応した信号を増幅して、磁気ヘッド22に供給する。
【0017】
HDC23は、I/Fバスを介してホスト2との間で行われるデータの送受信の制御、バッファメモリ29の制御、およびリードされたデータの誤り訂正処理などを行う。
【0018】
バッファメモリ29は、ホスト2との間で送受信されるデータのバッファとして用いられる。例えば、バッファメモリ29は、磁気ディスク11にライトされるデータ、または磁気ディスク11からリードされたデータ、を一時記憶するために用いられる。
【0019】
バッファメモリ29は、例えば、高速な動作が可能な揮発性メモリによって構成される。バッファメモリ29を構成するメモリの種類は、特定の種類に限定されない。バッファメモリ29は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、またはこれらの組み合わせによって構成され得る。
【0020】
RWC25は、HDC23から供給されるライト対象のデータを変調してヘッドIC24に供給する。また、RWC25は、磁気ディスク11からリードされヘッドIC24から供給された信号を復調してデジタルデータとしてHDC23へ出力する。
【0021】
プロセッサ26は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ26には、RAM27、FROM(Flash Read Only Memory)28およびバッファメモリ29が接続されている。
【0022】
FROM28は、不揮発性メモリである。FROM28には、ファームウェア(プログラムデータ)および各種の動作パラメータなどが格納される。なお、ファームウェアは、磁気ディスク11に格納されてもよい。
【0023】
RAM27は、例えばDRAM、SRAM、またはこれらの組み合わせによって構成される。RAM27は、プロセッサ26によって動作用のメモリとして使用される。RAM27は、ファームウェアがロードされる領域や、各種の管理データが保持される領域として使用される。
【0024】
プロセッサ26は、FROM28または磁気ディスク11に格納されているファームウェアに従って、この磁気ディスク装置1の全体的な制御を行う。例えば、プロセッサ26は、ファームウェアをFROM28または磁気ディスク11からRAM27にロードし、ロードされたファームウェアに従って、モータドライバIC21、ヘッドIC24、RWC25、HDC23などの制御を実行する。
【0025】
なお、RWC25、プロセッサ26およびHDC23を含む構成は、コントローラ30と見なすこともできる。コントローラ30は、これらのほかに、他の要素(例えばRAM27、FROM28、バッファメモリ29、またはRWC25など)を含んでいてもよい。
【0026】
上述した磁気ディスク装置1の性能を担保するために、製品出荷前の段階で磁気ヘッド12の検査(動作特性試験)が行われる。検査としては、磁気ヘッド12の特性を示す特性値が閾値以上であるか否かを判定することにより行われ、特性値が閾値以上の場合は合格(良品)となって出荷が許可される。一方、特性値が閾値未満の場合は不合格(NG品)となって出荷が許可されない。本実施形態では、特性値の一例として、磁気ヘッド12のヘッド面当たりの容量を採用するが、これに限られるものではない。
【0027】
上述の検査のやり方としては、例えば図2に示すように、スライダー個片をダミーサスペンションに搭載した状態でディスク11を回転させ、磁気ヘッド12をロードして実施することができる。検査後、磁気ヘッド12をアンロードし、ダミーサスペンションから磁気ヘッド12を外す。この一連の動作は全て自動で実施できるよう、自動装置を利用して行われる。検査を終了したスライダー個片はハンドラーによって磁気ヘッド12の合否を振り分け、スライダートレーにセットされる。
【0028】
図3は、検査対象の複数の磁気ヘッド12の各々の特性値(この例ではヘッド面当たりの容量)の平均値と、良品と判定された磁気ヘッド12の特性値との関係の一例を示す図である。図3内において、同じ模様の丸印は、同じウェハによって製造された磁気ヘッド12であることを示している。図3からも理解されるように、両者はほぼ比例関係にあり、特性値が高いウェハから製造された磁気ヘッド12が連続するグループにおいては、そのグループの品質は高くなる(そのグループに属する磁気ヘッド12の特性値は高い)一方、特性値が低いウェハから製造された磁気ヘッド12が連続するグループにおいては、そのグループの品質は低くなる(そのグループに属する磁気ヘッド12の特性値は低い)。つまり、磁気ヘッド12が製造される際のウェハの特性によって、出荷される磁気ヘッド12の品質が左右されることになる。
【0029】
近年、磁気ディスク装置1の総合的な指標としてヘッド面当たりの容量の重要性が高まり、また機械学習技術の向上で磁気ヘッド11単品のヘッド面当たりの容量の予測もできるようになり、コア幅、エラーレート等の特性値では困難であった部品品質の把握ができるようになった。この点に鑑みて本実施形態では、磁気ヘッド11のヘッド面当たりの容量を特性値として出荷前の検査を行うが、この検査における閾値を固定とすると、上述したように、磁気ヘッド12の材料であるウェハの特性によって、磁気ヘッド12の出荷品質が左右されることになる。
【0030】
そこで、本実施形態では、製品出荷前の上述の検査において、品質の良いグループの合格基準は緩和し、品質の悪いグループの合格基準は強化するよう、閾値を動的に変化させることで、出荷品質の平準化を促進することを目的の一つとする。以下、本実施形態の検査装置の構成について説明する。本実施形態の検査装置は、磁気ディスク装置1とは別に設けられる。
【0031】
図4は、本実施形態の検査装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。図4に示すように、検査装置100は、プロセッサ101と、ROM102と、RAM103と、I/F部104と、を備える。なお、検査装置100のハードウェア要素は、図4に例示した構成に限られるものではなく、他のハードウェア要素(例えば操作デバイス、表示デバイス等)を備える形態であっても構わない。
【0032】
プロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、検査装置100の動作を統括的に制御する。プロセッサ101は、ROM102等に格納されたプログラムを実行することにより、検査装置100が有する各種の機能を実現する。検査装置100が有する各種の機能については後述する。
【0033】
ROM102は、不揮発性のメモリであり、プロセッサ100が実行するプログラムを含む各種データを記憶する。
【0034】
RAM103は、CPU101の作業領域を有する揮発性のメモリである。
【0035】
I/F部104は、検査対象の磁気ヘッド12等を含む外部の装置と接続するためのインタフェースである。
【0036】
次に、本実施形態に係る検査装置100が有する機能について説明する。
【0037】
図5は、本実施形態に係る検査装置100が有する機能の一例を示す図である。図5に示すように、例えば検査装置100は、検査部110、第1の取得部120、第2の取得部130、閾値設定部140を有する。
【0038】
なお、図5の例では、本実施形態の要部の説明に必要な機能のみを例示しているが、検査装置100が有する機能はこれらに限られるものではない。また、図5に例示する機能の一部または全部が専用のハードウェア回路(例えば半導体集積回路)で実現される形態であってもよい。
【0039】
検査部110は、検査対象の磁気ヘッド12の検査を実施する。より具体的には、本実施形態の検査部110は、検査対象の磁気ヘッド12のヘッド面当たりの容量を求め、その求めたヘッド面当たりの容量が閾値以上であるか否かを判定する。例えば検査部110は、ディスク11を回転させる機能、磁気ヘッド12のロード/アンロード等の検査に必要な制御を行うことができる。
【0040】
第1の取得部120は、検査済みの磁気ディスク12の特性を示す特性値を取得する。
【0041】
第2の取得部130は、目標とする特性値の移動平均値(ターゲットの移動平均値)を取得する。本実施形態では、第2の取得部130は、目標とするヘッド面当たりの容量の移動平均値を取得する。例えば第2の移動平均値はROM102等に格納されていてもよいし、検査装置100外の装置(サーバ等)に格納されていてもよい。第2の取得部130は、移動平均値が格納されたメモリにアクセスして移動平均値を取得することができる。例えば移動平均値は、製品ごとに異なる値を採ることもできる。
【0042】
閾値設定部140は、特性値と移動平均値との関係に応じて、検査に用いる特性値(この例ではヘッド面当たりの容量)の閾値を、上下限の範囲で可変に設定する。より具体的には、閾値設定部140は、特性値が移動平均値未満の場合は閾値を増加させ、特性値が移動平均値以上の場合は閾値を減少させる。
【0043】
なお、閾値の増加幅および減少幅は設計条件等に応じて任意に変更可能である。また、閾値の上下限の範囲についても、設計条件等に応じて任意に設定可能である。
【0044】
上記閾値設定部140の動作により、例えば図6に示すように、特性値が移動平均値未満の間は、閾値は経時的に増加していき、特性値が移動平均値以上になってからは、閾値は経時的に減少していく。つまり、検査対象の磁気ヘッド12の特性が悪い場合は自動的に検査が強化され、特性が良い場合は自動的に検査が緩和される。これにより、平均的に特性が良いグループ(製造ロット)は、特性値の平均値からワースト値までの差が大きくなる一方(検査が緩和されているため)、平均的に特性が悪いグループは、特性値の平均値からワースト値までの差が小さくなる(検査が強化されているため)。
【0045】
なお、図6においては、一例として、ターゲットのヘッド当たりの容量の移動平均値は108GB、閾値の上限は106GB、下限は100GB、閾値の増加幅は0.3GB、閾値の減少幅は-0.3GBにそれぞれ設定されている。
【0046】
図7は、本実施形態の検査装置100が実行する処理の一例を示すフローチャートである。以下、検査装置100が有する各機能(検査部110、第1の取得部120、第2の取得部130、閾値設定部140等)による処理の説明において、上述の説明と重複する部分については適宜説明を省略する。また、図7のフローチャートの各ステップの順番については、図7の例に限られるものではなく、適宜に変更可能である。
【0047】
図7に示すように、検査部110は、検査対象の磁気ヘッド12の検査を実施する(ステップS1)。上述したように、検査部110は、検査対象の磁気ヘッド12のヘッド面当たりの容量を求め、その求めた容量が閾値以上であるか否かを判定して、良品かNG品かを判別する。
【0048】
次に、第1の取得部120は、上述の特性値を取得する(ステップS2)。
【0049】
次に、第2の取得部130は、上述の移動平均値を取得する(ステップS3)。
【0050】
次に、閾値設定部140は、ステップS2で取得した特性値が、ステップS3で取得した移動平均値未満であるか否かを判定する(ステップS4)。ステップS4の結果が肯定の場合(ステップS4:Yes)、閾値設定部140は閾値を増加させる(ステップS5)。一方、ステップS4の結果が否定の場合(ステップS4:Nо)、閾値設定部140は閾値を減少させる(ステップS6)。
【0051】
ステップS5またはステップS6の後、検査装置100は、良品が基準値を超えたか否かを判定する(ステップS7)。基準値は設計条件等に応じて任意に変更可能であるが、ここでは一例として「400」とすることもできる。ステップS7の結果が肯定の場合(ステップS7:Yes)は処理終了となり、ステップS7の結果が否定の場合(ステップS7:Nо)は上述のステップS1以降の処理を繰り返す。
【0052】
以上に説明したように、本実施形態の検査装置100による検査方法は、検査済みの磁気ヘッド12の特性を示す特性値(ヘッド面当たりの容量)と、目標とする特性値の移動平均値との関係に応じて、検査に用いる特性値の閾値を、上下限の範囲で可変に設定する。より具体的には、特性値が移動平均値未満の場合は閾値を増加させ、特性値が移動平均値以上の場合は閾値を減少させる。つまり、検査対象の磁気ヘッド12の特性が悪い場合は自動的に検査が強化され、特性が良い場合は自動的に検査が緩和されるので、出荷される磁気ヘッド12の特性値を平均的に揃えることができる。したがって、磁気ヘッド12の出荷品質(磁気ディスク装置1の出荷品質に相当すると捉えることもできる)の平準化を促進することができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述の実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら新規な実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0054】
また、本明細書に記載された実施形態における効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 磁気ディスク装置
2 ホスト
11 磁気ディスク
12 磁気ヘッド
100 検査装置
101 プロセッサ
102 ROM
103 RAM
104 I/F部
110 検査部
120 第1の取得部
130 第2の取得部
140 閾値設定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7