(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136643
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
G11C 16/34 20060101AFI20240927BHJP
H01L 27/00 20060101ALI20240927BHJP
H10B 43/20 20230101ALI20240927BHJP
H10B 43/27 20230101ALI20240927BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240927BHJP
G11C 16/24 20060101ALI20240927BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G11C16/34 140
H01L27/00 301C
H01L27/00 301B
H01L27/00 301A
H10B43/20
H10B43/27
H01L29/78 371
G11C16/24 130
G11C16/04 170
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047814
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100121843
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 賢郎
(72)【発明者】
【氏名】日岡 健
【テーマコード(参考)】
5B225
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5B225BA19
5B225CA21
5B225DB08
5B225EA05
5B225EE18
5B225EE19
5B225FA02
5F083EP17
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP32
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP42
5F083EP44
5F083EP76
5F083ER02
5F083ER03
5F083ER22
5F083GA10
5F083KA01
5F083KA03
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA03
5F083LA05
5F101BA41
5F101BA46
5F101BB02
5F101BB08
5F101BC01
5F101BC02
5F101BC11
5F101BD16
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE01
5F101BE02
(57)【要約】
【課題】スキャン動作を精度良く実行することが可能となる半導体装置を提供する。
【解決手段】第1ラッチ回路からデータを出力することによりこのデータに基づいてバス信号線をHiまたはLowにした状態で第3トランジスタをオンすることにより、第1ラッチ回路から出力されたデータに基づいてセンスノードをHiまたはLowの状態にする第1ステップと、第1ステップによりセンスノードをHiまたはLowにした状態において、第3トランジスタをオフし、かつ、第5トランジスタをオンすることによりバス信号線をチャージすることに基づいて第4トランジスタをオンするときに、第1ノードを含む信号線をチャージする第2ステップを実行可能に構成される。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1トランジスタと、
前記第1トランジスタの一端と接続する他端を備える第2トランジスタと、
第3トランジスタと、
前記第3トランジスタの一端と接続する他端を備える第4トランジスタと、
前記第4トランジスタの一端と接続する第1ノードと、
前記第2トランジスタのゲートと、前記第3トランジスタの他端と、に接続するセンスノードと、
前記第1トランジスタの他端と、前記第4トランジスタのゲートと、に接続するバス信号線と、
前記バス信号線をチャージするための第5トランジスタと、
前記バス信号線にデータを出力可能に構成された第1ラッチ回路と
を備え、
前記第1ラッチ回路からデータを出力することによりこのデータに基づいて前記バス信号線をHiまたはLowにした状態で前記第3トランジスタをオンすることにより、前記第1ラッチ回路から出力されたデータに基づいて前記センスノードをHiまたはLowの状態にする第1ステップと、
前記第1ステップにより前記センスノードをHiまたはLowにした状態において、前記第3トランジスタをオフし、かつ、前記第5トランジスタをオンすることにより前記バス信号線をチャージすることに基づいて前記第4トランジスタをオンするときに、前記第1ノードを含む信号線をチャージする第2ステップと
を実行可能に構成された半導体回路を備える半導体装置。
【請求項2】
前記バス信号線にデータを出力可能に構成された第2ラッチ回路をさらに備え、
前記第2ステップにより前記第1ノードを含む信号線をチャージした状態で前記第2ラッチ回路からデータを出力することによりこのデータに基づいて前記バス信号線をHiまたはLowにした後に、前記第1ノードを含む信号線をディスチャージする第3ステップをさらに実行可能に構成された前記半導体回路を備える請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第3ステップにおいて前記第2ラッチ回路から出力されたデータに基づいて前記バス信号線をHiまたはLowにした状態で前記第3トランジスタをオンすることにより、前記第1ラッチ回路から出力されたデータ及び前記第2ラッチ回路から出力されたデータに基づいて前記センスノードをHiまたはLowの状態にする第4ステップをさらに実行可能に構成された前記半導体回路を備える請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記センスノードを含む信号線をチャージするプレチャージステップと、
前記プレチャージステップにより前記センスノードがチャージされた状態で前記第1ステップを実行可能に構成される
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記プレチャージステップにより前記センスノードは第1電位を有し、
前記第1ステップによりHiの状態を維持する前記センスノードは前記第1電位より低く、前記第1ステップによりLowの状態を維持する前記センスノードの電位より高い、第2電位を有する
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記センスノードと接続可能に構成されたビット線と
をさらに備える請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
複数の前記ビット線と、
複数の前記ビット線にそれぞれ接続可能に構成された複数の前記半導体回路であって、前記第1ステップ及び前記第2ステップを同時に実行可能に構成された複数の前記半導体回路と
をさらに備える請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
複数の前記半導体回路の前記第1ノードは、それぞれ、前記第2トランジスタの一端と接続する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
複数の前記半導体回路の前記第1ノードは、それぞれ、前記第2トランジスタの一端と絶縁する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
複数の前記ビット線にそれぞれ複数個ずつ接続された複数のメモリセルと、
複数の前記ビット線の電圧変動に基づいて前記メモリセルに格納された情報を読み出すためのセンスアンプとをさらに備え、
前記センスアンプは、複数の前記半導体回路を含む
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項11】
第1トランジスタと、
前記第1トランジスタの一端と接続する他端を備える第2トランジスタと、
第3トランジスタと、
前記第3トランジスタの一端と接続する他端を備える第4トランジスタと、
前記第4トランジスタの一端と接続する第1ノードと、
前記第2トランジスタのゲートと、前記第3トランジスタの他端と、に接続するセンスノードと、
前記第1トランジスタの他端と、前記第4トランジスタのゲートと、に接続するバス信号線と、
前記バス信号線をチャージするための第5トランジスタと、
前記バス信号線にデータを出力可能に構成された第1ラッチ回路と
を備え、
前記第3トランジスタをオフし、かつ、前記第5トランジスタをオンすることにより前記バス信号線をチャージすることに基づいて前記第4トランジスタをオンするときに、前記第1ノードを含む信号線をチャージ可能に構成された半導体回路を備える半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置として、NAND型フラッシュメモリが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態によれば、スキャン動作を実行することが可能となる半導体装置が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の半導体装置の半導体回路は、第1トランジスタと、前記第1トランジスタの一端と接続する他端を備える第2トランジスタと、第3トランジスタと、前記第3トランジスタの一端と接続する他端を備える第4トランジスタと、前記第4トランジスタの一端と接続する第1ノードと、前記第2トランジスタのゲートと、前記第3トランジスタの他端と、に接続するセンスノードと、前記第1トランジスタの他端と、前記第4トランジスタのゲートと、に接続するバス信号線と、前記バス信号線をチャージするための第5トランジスタと、前記バス信号線にデータを出力可能に構成された第1ラッチ回路を備える。
【0006】
この半導体回路は、前記第1ラッチ回路からデータを出力することによりこのデータに基づいて前記バス信号線をHiまたはLowにした状態で前記第3トランジスタをオンすることにより、前記第1ラッチ回路から出力されたデータに基づいて前記センスノードをHiまたはLowの状態にする第1ステップと、前記第1ステップにより前記センスノードをHiまたはLowにした状態において、前記第3トランジスタをオフし、かつ、前記第5トランジスタをオンすることにより前記バス信号線をチャージすることに基づいて前記第4トランジスタをオンするときに、前記第1ノードを含む信号線をチャージする第2ステップとを実行可能に構成される。
【0007】
本実施形態の半導体装置の半導体回路は、第1トランジスタと、前記第1トランジスタの一端と接続する他端を備える第2トランジスタと、第3トランジスタと、前記第3トランジスタの一端と接続する他端を備える第4トランジスタと、前記第4トランジスタの一端と接続する第1ノードと、前記第2トランジスタのゲートと、前記第3トランジスタの他端と、に接続するセンスノードと、前記第1トランジスタの他端と、前記第4トランジスタのゲートと、に接続するバス信号線と、前記バス信号線をチャージするための第5トランジスタと、前記バス信号線にデータを出力可能に構成された第1ラッチ回路を備える。
【0008】
この半導体回路は、前記第3トランジスタをオフし、かつ、前記第5トランジスタをオンすることにより前記バス信号線をチャージすることに基づいて前記第4トランジスタをオンするときに、前記第1ノードを含む信号線をチャージ可能に構成されている。
例えば、この半導体回路は、センスアンプ回路であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るメモリシステムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係るメモリセルアレイの構成を示す等価回路図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係るメモリセルアレイの構成を示す断面図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係るメモリセルアレイの構成を示す断面図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係るビット線とセンスアンプユニットとの関係を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、センスアンプユニットの一例を示す回路図である。
【
図8】
図8は、一実施形態に係るラッチ回路の回路図である。
【
図9】
図9は、メモリセルトランジスタMTの閾値分布等の一例を模式的に示す図である。
【
図10】
図10は、書き込み動作時における、各配線の電位変化を示す図である。
【
図11】
図11は、読み出し動作時における、各配線の電位変化を示す図である。
【
図12】
図12は、書き込み動作時における、各配線の電位変化を示す図である。
【
図13】
図13は、書き込み動作時における、NANDストリングの様子の一例を示す等価回路図である。
【
図14】
図14は、書き込み動作時における、ループ回数とベリファイ動作との関係の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、各ループにおいて行われるベリファイ動作のターゲットレベルの一例を示す図である。
【
図16】
図16は、各ループにおいて行われるプログラム動作のターゲットレベルの一例を示す図である。
【
図17】
図17は、センスアンプユニットとビット線との関係を示す模式図である。
【
図18】
図18は、比較例におけるバス信号線等の電位波形を示す模式図である。
【
図19】
図19は、一実施形態におけるバス信号線等の電位波形を示す模式図である。
【
図20】
図20は、一実施形態にセンスアンプ部の回路図である。
【
図22】
図22は、一実施形態にセンスアンプ部の回路図である。
【
図23】
図23は、一実施形態にセンスアンプ部の回路図である。
【
図24】
図24は、一実施形態にセンスアンプ部の回路図である。
【
図25】
図25は、一実施形態にセンスアンプ部の回路図である。
【
図26】
図26は、一実施形態にセンスアンプ部の回路図である。
【
図27】
図27は、一実施形態にセンスアンプ部の回路図である。
【
図28】
図28は、一実施形態にセンスアンプ部の回路図である。
【
図29】
図29は、一実施形態にセンスアンプ部の回路図である。
【
図30】
図30は、一実施形態にセンスアンプ部の回路図である。
【
図32】
図32は、一実施形態にセンスアンプ部の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0011】
本実施形態に係る半導体記憶装置2は、NAND型フラッシュメモリとして構成された不揮発性の記憶装置である。
図1には、半導体記憶装置2を含むメモリシステムの構成例がブロック図として示されている。このメモリシステムは、メモリコントローラ1と、半導体記憶装置2とを備える。尚、半導体記憶装置2は、
図1のメモリシステムにおいて実際には複数設けられているのであるが、
図1においてはそのうちの1つのみが図示されている。半導体記憶装置2の具体的な構成については後に説明する。このメモリシステムは、不図示のホストと接続可能である。ホストは、例えば、パーソナルコンピュータや携帯端末等の電子機器である。
【0012】
メモリコントローラ1は、ホストからの書き込みリクエストに従って半導体記憶装置2へのデータの書き込みを制御する。また、メモリコントローラ1は、ホストからの読み出しリクエストに従って半導体記憶装置2からのデータの読み出しを制御する。
【0013】
メモリコントローラ1と半導体記憶装置2との間では、チップイネーブル信号/CE、レディービジー信号R/B、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号/RE、RE、ライトプロテクト信号/WP、データである信号DQ<7:0>、データストローブ信号DQS、/DQS、の各信号が送受信される。
【0014】
チップイネーブル信号/CEは、半導体記憶装置2をイネーブルにするための信号である。レディービジー信号R/Bは、半導体記憶装置2がレディ状態であるか、ビジー状態であるかを示すための信号である。「レディ状態」とは、外部からの命令を受け付ける状態である。「ビジー状態」とは、外部からの命令を受け付けない状態である。コマンドラッチイネーブル信号CLEは、信号DQ<7:0>がコマンドであることを示す信号である。アドレスラッチイネーブル信号ALEは、信号DQ<7:0>がアドレスであることを示す信号である。ライトイネーブル信号/WEは、受信した信号を半導体記憶装置2に取り込むための信号であり、メモリコントローラ1によりコマンド、アドレス、及びデータを受信する都度アサートされる。メモリコントローラ1は、信号/WEが“L(Low)”レベルである間に信号DQ<7:0>を取り込むよう半導体記憶装置2に指示する。
【0015】
リードイネーブル信号/REは、メモリコントローラ1が、半導体記憶装置2からデータを読み出すための信号である。信号REは信号/REの相補信号である。これらは例えば、信号DQ<7:0>を出力する際の半導体記憶装置2の動作タイミングを制御するために使用される。ライトプロテクト信号/WPは、データ書き込み及び消去の禁止を半導体記憶装置2に指示するための信号である。信号DQ<7:0>は、半導体記憶装置2とメモリコントローラ1との間で送受信されるデータの実体であり、コマンド、アドレス、及びデータを含む。データストローブ信号DQSは、信号DQ<7:0>の入出力のタイミングを制御するための信号である。信号/DQSは信号DQSの相補信号である。
【0016】
メモリコントローラ1は、RAM11と、プロセッサ12と、ホストインターフェイス13と、ECC回路14と、メモリインターフェイス15と、を備える。RAM11、プロセッサ12、ホストインターフェイス13、ECC回路14、及びメモリインターフェイス15は、互いに内部バス16で接続されている。
【0017】
ホストインターフェイス13は、ホストから受信したリクエスト、ユーザデータ(書き込みデータ)等を内部バス16に出力する。また、ホストインターフェイス13は、半導体記憶装置2から読み出されたユーザデータ、プロセッサ12からの応答等をホストへ送信する。
【0018】
メモリインターフェイス15は、プロセッサ12の指示に基づいて、ユーザデータ等を半導体記憶装置2へ書き込む処理、及び、半導体記憶装置2から読み出す処理を制御する。
【0019】
プロセッサ12は、メモリコントローラ1を統括的に制御する。プロセッサ12は、例えばCPUやMPU等である。プロセッサ12は、ホストからホストインターフェイス13経由でリクエストを受けた場合に、そのリクエストに従った制御を行う。例えば、プロセッサ12は、ホストからのリクエストに従って、半導体記憶装置2へのユーザデータ及びパリティの書き込みをメモリインターフェイス15へ指示する。また、プロセッサ12は、ホストからのリクエストに従って、半導体記憶装置2からのユーザデータ及びパリティの読み出しをメモリインターフェイス15へ指示する。
【0020】
プロセッサ12は、RAM11に蓄積されるユーザデータに対して、半導体記憶装置2上の格納領域(メモリ領域)を決定する。ユーザデータは、内部バス16経由でRAM11に格納される。プロセッサ12は、メモリ領域の決定を、書き込み単位であるページ単位のデータ(ページデータ)に対して実施する。半導体記憶装置2の1ページに格納されるユーザデータのことを、以下では「ユニットデータ」とも称する。ユニットデータは、一般的には符号化されて、符号語として半導体記憶装置2に格納される。本実施形態では、符号化は必須ではない。メモリコントローラ1は、符号化せずにユニットデータを半導体記憶装置2に格納してもよいが、
図1では、一構成例として符号化を行う構成を示している。メモリコントローラ1が符号化を行わない場合には、ページデータはユニットデータと一致する。また、1つのユニットデータに基づいて1つの符号語が生成されてもよいし、ユニットデータが分割された分割データに基づいて1つの符号語が生成されてもよい。また、複数のユニットデータを用いて1つの符号語が生成されてもよい。
【0021】
プロセッサ12は、ユニットデータごとに書き込み先の半導体記憶装置2のメモリ領域を決定する。半導体記憶装置2のメモリ領域には物理アドレスが割当てられている。プロセッサ12は、ユニットデータの書き込み先のメモリ領域を、物理アドレスを用いて管理する。プロセッサ12は、決定したメモリ領域(物理アドレス)を指定してユーザデータを半導体記憶装置2へ書き込むようメモリインターフェイス15へ指示する。プロセッサ12は、ユーザデータの論理アドレス(ホストが管理する論理アドレス)と物理アドレスとの対応を管理する。プロセッサ12は、ホストからの論理アドレスを含む読み出しリクエストを受信した場合は、論理アドレスに対応する物理アドレスを特定し、物理アドレスを指定してユーザデータの読み出しをメモリインターフェイス15へ指示する。
【0022】
ECC回路14は、RAM11に格納されたユーザデータを符号化して、符号語を生成する。また、ECC回路14は、半導体記憶装置2から読み出された符号語を復号する。ECC回路14は、例えばユーザデータに付与されたチェックサム等を利用することで、データにおけるエラーの検出、及び当該エラーの訂正を行う。
【0023】
RAM11は、ホストから受信したユーザデータを半導体記憶装置2へ記憶するまでに一時格納したり、半導体記憶装置2から読み出したデータをホストへ送信するまでに一時格納したりする。RAM11は、例えば、SRAMやDRAM等の汎用メモリである。
【0024】
図1では、メモリコントローラ1が、ECC回路14とメモリインターフェイス15をそれぞれ備える構成例が示されている。しかしながら、ECC回路14がメモリインターフェイス15に内蔵されていてもよい。また、ECC回路14が、半導体記憶装置2に内蔵されていてもよい。
図1に示される各要素の具体的な構成や配置は、特に限定されない。
【0025】
ホストから書き込みリクエストを受信した場合、
図1のメモリシステムは次のように動作する。プロセッサ12は、書き込み動作の対象となるデータをRAM11に一時記憶させる。プロセッサ12は、RAM11にストアされたデータを読み出し、ECC回路14に入力する。ECC回路14は、入力されたデータを符号化し、符号語をメモリインターフェイス15に入力する。メモリインターフェイス15は、入力された符号語を半導体記憶装置2に書き込む。
【0026】
ホストから読み出しリクエストを受信した場合、
図1のメモリシステムは次のように動作する。メモリインターフェイス15は、半導体記憶装置2から読み出した符号語をECC回路14に入力する。ECC回路14は、入力された符号語を復号し、復号されたデータをRAM11にストアする。プロセッサ12は、RAM11にストアされたデータを、ホストインターフェイス13を介してホストに送信する。
【0027】
半導体記憶装置2の構成について説明する。
図2に示されるように、半導体記憶装置2は、メモリセルアレイ110と、センスアンプ120と、ロウデコーダ130と、入出力回路21と、ロジック制御回路22と、シーケンサ41と、レジスタ42と、電圧生成回路43と、入出力用パッド群31と、ロジック制御用パッド群32と、電源入力用端子群33と、を備えている。
【0028】
メモリセルアレイ110は、データを記憶する部分である。
図3には、メモリセルアレイ110の構成が等価回路図として示されている。メモリセルアレイ110は複数のブロックBLKにより構成されているのであるが、
図3においては、これらのうちの1つのブロックBLKのみが図示されている。メモリセルアレイ110が有する他のブロックBLKの構成も、
図3に示されるものと同じである。
【0029】
図3に示されるように、ブロックBLKは、例えば4つのストリングユニットSU(SU0~SU3)を含む。また各々のストリングユニットSUは、複数のNANDストリングNSを含む。NANDストリングNSの各々は、例えば8個のメモリセルトランジスタMT(MT0~MT7)と、選択トランジスタST1、ST2とを含む。
【0030】
尚、メモリセルトランジスタMTの個数は8個に限られず、例えば、32個、48個、64個、96個でもよい。例えばカットオフ特性を高めるために、選択トランジスタST1、ST2のそれぞれが、単一ではなく複数のトランジスタにより構成されていてもよい。さらに、メモリセルトランジスタMTと選択トランジスタST1、ST2との間には、ダミーセルトランジスタが設けられていてもよい。
【0031】
メモリセルトランジスタMTは、選択トランジスタST1と選択トランジスタST2との間において、直列接続されるようにして配置されている。一端側のメモリセルトランジスタMT7が、選択トランジスタST1のソースに接続され、他端側のメモリセルトランジスタMT0が、選択トランジスタST2のドレインに接続されている。
【0032】
ストリングユニットSU0~SU3の各々の選択トランジスタST1のゲートは、それぞれセレクトゲート線SGD0~SGD3に共通接続されている。選択トランジスタST2のゲートは、同一のブロックBLK内にある複数のストリングユニットSU間で同一のセレクトゲート線SGSに共通接続されている。同一のブロックBLK内にあるメモリセルトランジスタMT0~MT7の制御ゲートは、それぞれワード線WL0~WL7に共通接続される。すなわち、ワード線WL0~WL7及びセレクトゲート線SGSは、同一ブロックBLK内の複数のストリングユニットSU0~SU3間で共通となっているのに対し、セレクトゲート線SGDは、同一ブロックBLK内であってもストリングユニットSU0~SU3毎に個別に設けられている。
【0033】
メモリセルアレイ110には、m本のビット線BL(BL0、BL1、・・・、BL(m-1))が設けられている。上記の「m」は、1つのストリングユニットSUに含まれるNANDストリングNSの本数を表す整数である。それぞれのNANDストリングNSのうち、選択トランジスタST1のドレインは、対応するビット線BLに接続されている。選択トランジスタST2のソースは、ソース線SLに接続されている。ソース線SLは、ブロックBLKが有する複数の選択トランジスタST2のソースに対し、共通接続されている。
【0034】
同一のブロックBLK内にある複数のメモリセルトランジスタMTに記憶されているデータは、一括して消去される。一方、データの読み出し及び書き込みは、1つのワード線WLに接続され、かつ1つのストリングユニットSUに属する複数のメモリセルトランジスタMTに対して一括して行われる。それぞれのメモリセルは、上位ビット、中位ビット、及び下位ビットからなる3ビットのデータを保持することができる。
【0035】
つまり、本実施形態に係る半導体記憶装置2は、メモリセルトランジスタMTへのデータの書き込み方式として、1つのメモリセルトランジスタMTに3ビットデータを記憶させるTLC方式を採用している。このような態様に替えて、メモリセルトランジスタMTへのデータの書き込み方式としては、1つのメモリセルトランジスタMTに2ビットデータを記憶させるMLC方式や、1つのメモリセルトランジスタMTに1ビットデータを記憶させるSLC方式等を採用してもよい。
【0036】
尚、以下の説明では、1つのワード線WLに接続され、かつ1つのストリングユニットSUに属する複数のメモリセルトランジスタMTが記憶する1ビットデータの集合のことを「ページ」と称する。
図3では、上記のような複数のメモリセルトランジスタMTからなる集合の一つに、符号「MG」が付してある。
【0037】
本実施形態のように、1つのメモリセルトランジスタMTに3ビットのデータが記憶される場合、1つのストリングユニットSU内で共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルトランジスタMTの集合は、3ページ分のデータを記憶することができる。
【0038】
図4には、メモリセルアレイ110の構成が、模式的な断面図として示されている。同図に示されるように、メモリセルアレイ110では、導電体層320の上に複数のNANDストリングNSが形成されている。導電体層320は、埋め込みソース線(BSL)とも称されるものであり、
図3のソース線SLに該当するものである。
【0039】
導電体層320の上方には、セレクトゲート線SGSとして機能する複数の配線層333、ワード線WLとして機能する複数の配線層332、及びセレクトゲート線SGDとして機能する複数の配線層331が積層されている。積層された配線層333、332、331のそれぞれの間には、不図示の絶縁層が配置されている。
【0040】
メモリセルアレイ110には複数のメモリホール334が形成されている。メモリホール334は、上記の配線層333、332、331、及びこれらの間にある不図示の絶縁層を上下方向に貫通しており、且つ導電体層320に達する穴である。メモリホール334の側面には、ブロック絶縁膜335、電荷蓄積層336、及びゲート絶縁膜337が順次形成され、更にその内側に導電体柱338が埋め込まれている。導電体柱338は、例えばポリシリコンからなり、NANDストリングNSに含まれるメモリセルトランジスタMT並びに選択トランジスタST1及びST2の動作時にチャネルが形成される領域として機能する。このように、メモリホール334の内側には、ブロック絶縁膜335、電荷蓄積層336、ゲート絶縁膜337、及び導電体柱338からなる柱状体が形成されている。
【0041】
メモリホール334の内側に形成された柱状体のうち、積層された配線層333、332、331のそれぞれと交差している各部分は、トランジスタとして機能する。これら複数のトランジスタのうち、配線層331と交差している部分にあるものは、選択トランジスタST1として機能する。複数のトランジスタのうち、配線層332と交差している部分にあるものは、メモリセルトランジスタMT(MT0~MT7)として機能する。複数のトランジスタのうち、配線層333と交差している部分にあるものは、選択トランジスタST2として機能する。このような構成により、各メモリホール334の内側に形成された柱状体のそれぞれは、
図3を参照しながら説明したNANDストリングNSとして機能する。柱状体の内側にある導電体柱338は、メモリセルトランジスタMTや選択トランジスタST1、ST2のチャンネルとして機能する部分である。
【0042】
導電体柱338よりも上側には、ビット線BLとして機能する配線層が形成される。導電体柱338の上端には、導電体柱338とビット線BLとを接続するコンタクトプラグ339が形成されている。
【0043】
図4に示される構成と同様の構成が、
図4の紙面の奥行き方向に沿って複数配列されている。
図4の紙面の奥行き方向に沿って一列に並ぶ複数のNANDストリングNSの集合によって、1つのストリングユニットSUが形成されている。
【0044】
本実施形態に係る半導体記憶装置2では、メモリセルアレイ110の下方側、すなわち、メモリセルアレイ110と半導体基板300との間となる位置に、周辺回路PERが設けられている。周辺回路PERは、メモリセルアレイ110におけるデータの書き込み動作や読み出し動作、及び消去動作等を実現するために設けられた回路である。
図2に示されるセンスアンプ120、ロウデコーダ130、及び電圧生成回路43等は、周辺回路PERの一部となっている。周辺回路PERは、各種のトランジスタやRC回路等を含んでいる。
図4に示される例では、半導体基板300上に形成されたトランジスタTRと、メモリセルアレイ110の上方側にあるビット線BLとの間が、コンタクト924を介して電気的に接続されている。
【0045】
尚、このような構成に換えて、半導体基板300の上に直接メモリセルアレイ110が設けられている構成としてもよい。この場合、半導体基板300のp型ウェル領域が、ソース線SLとして機能することとなる。また、周辺回路PERは、半導体基板300の表面に沿ってメモリセルアレイ110と隣り合う位置に設けられることとなる。
【0046】
さらにこのような構成に替えて、半導体記憶装置2は、
図5に示されるようなCBA(CMOS Bonded Array)構造を有するものであってもよい。
図5に示される半導体記憶装置2は、メモリセルアレイ110が設けられるメモリ部80と周辺回路PERが設けられる制御回路部90とが別々のウエハから製造され、一方のウエハに製造されたメモリ部80と、他方のウエハに製造された制御回路部90とを貼合面B1で貼り合わせて互いに接合させたのち、ダイシングをすることにより製造される。メモリセルアレイ110と周辺回路PERとは、貼合面B1に設けられる配線層800,801及びビア810,811を介して互いに電気的に接続されている。
【0047】
図2に戻って説明を続ける。センスアンプ120は、ビット線BLに印加される電圧を調整したり、ビット線BLの電圧変動に基づいてメモリセルトランジスタMTに格納された情報を読み出してデジタルデータに変換するための回路である。したがってセンスアンプ120は、データの読み出し時には、メモリセルトランジスタMTからビット線BLの電圧変動に基づいて読み出しデータとしてデジタルデータを取得し、取得した読み出しデータを入出力回路21に転送する。センスアンプ120は、データの書き込み時には、ビット線BLを介して書き込まれる書き込みデータをメモリセルトランジスタMTに転送する。センスアンプ120の動作は、後述のシーケンサ41により制御される。
【0048】
センスアンプ120は、複数のビット線BLにそれぞれ対応して設けられた複数のセンスアンプユニットSAUを含んでいる。
図6は、ビット線BLとセンスアンプユニットSAUとの関係を示すブロック図である。
図7は、センスアンプユニットSAUの一例を示す回路図である。
図8は、ラッチ回路SDLの回路図である。
【0049】
上述したようにメモリセルアレイ110は、m本のビット線BL(BL0、BL1、・・・、BL(m-1))を備えている。ここで「m」は、1つのストリングユニットSUに含まれるNANDストリングNSの本数を表す整数であり、例えば16kB(約13万(16000×8))である。
【0050】
図6には1つのビット線BLに1つのセンスアンプユニットSAUが接続されて設けられていることが示されており、具体的には、ビット線BL1とセンスアンプユニットSAU1が接続され、ビット線BL2とセンスアンプユニットSAU2が接続され、ビット線BL(m-1)とセンスアンプユニットSAU(m-1)が接続されていることが示される。つまり、センスアンプユニットSAUは、ストリングユニットSUのメモリセルトランジスタMTに対しビット線BLを介して接続された回路、ということができる。
【0051】
さらに同図に示されるように各センスアンプユニットSAUは、センスアンプ部SAと、例えば5つのラッチ回路SDL、ADL、BDL、CDL、XDLとを含んでいる。センスアンプ部SA、ラッチ回路SDL、ADL、BDL、CDL、XDLは、互いにデータを送受信可能なように、バスによって接続されている。
【0052】
より詳細には
図7に示されるように、ラッチ回路SDL、ADL、BDL、及びCDLは、バス信号線であるLBUSを介して共通に接続されており、ラッチ回路XDLはバス信号線であるDBUSに接続されている。センスアンプユニットSAUは、LBUSとDBUSとの間に設けられた、トランジスタTR10(
図6では不図示)を備えている。トランジスタTR10のゲートには、ゲート信号DSWが入力される。このためトランジスタTR10がオンになると、LBUSとDBUSは接続される。
【0053】
尚、ラッチ回路XDLは、上記の通りセンスアンプユニットSAUの一部ではあるが、センスアンプユニットSAU毎に分離して設けられるのではなく、複数のセンスアンプユニットSAUが有する複数のラッチ回路XDLが、一定数ごとにまとめて設けられてよい。
【0054】
センスアンプ部SAは、例えば読み出し動作において、対応するビット線BLに読み出されたデータをセンスして、読み出したデータが“0”であるか“1”であるかを判定する。より具体的には、センスアンプ部SAは、ビット線BLの電圧が高い場合と低い場合に応じて“0”または“1”を出力可能に構成されている。ビット線BLに接続されるメモリセルトランジスタMTに電流が流れるときビット線BLの電圧は低下し、メモリセルトランジスタMTに電流が流れないときビット線BLの電圧は高いままである。そこで、メモリセルトランジスタMTの電荷格納状態に応じてメモリセルトランジスタMTに電流が流れるか、流れないかを区別できるゲート電圧をメモリセルトランジスタMTに印加することにより、センスアンプ部SAは、メモリセルトランジスタMTの状態に応じて“0”または“1”を出力可能に構成されている。
【0055】
以下
図7を用いてセンスアンプ部SAの具体的な回路構成の一例を説明する。同図に示されるようにセンスアンプ部SAは、TR1乃至TR16の16個のnチャネルMOSトランジスタと、TR17の1個のpチャネルMOSトランジスタと、容量素子C10及びC11とを含んでいる。
【0056】
なお本明細書において、トランジスタのソースとドレインは区別なく使用される場合がある。例えば、後述するように、トランジスタのドレインとして機能する部位はソースとして機能することも可能に構成されているからドレインと呼んでもソースと呼んでもよく、ソースとして機能する部位はドレインとして機能することも可能に構成されているからソースと呼んでもドレインと呼んでもよい。本実施形態においては便宜上、トランジスタのソースとドレインの一方を一端と呼び、ソースとドレインの他方を他端と呼ぶ場合がある。また、nチャネルMOSトランジスタにおいては、チャネルに接続する両端部のうち、高電位のVDD側をドレイン(トランジスタの「他端」の一例)と呼び、低電位のVSS側をソース(トランジスタの「一端」の一例)と呼ぶ場合がある。
【0057】
上述したようにTR20は、LBUSとDBUSとを接続するトランジスタである。TR20は、ゲート信号DSWに基づいてスイッチング可能に構成されている。TR5は、高電位(例えばVDD)の電源ノードであるVDD_LPCと、LBUSとを接続するトランジスタである。TR5の一端(ドレイン)はVDD_LPCに接続され、他端(ソース)はLBUSに接続されている。TR5は、ゲート信号LPCを制御信号として受信可能に構成され、ゲート信号LPCに基づいてスイッチング可能に構成される。このためTR5をオンすることにより、LBUSを、高電位(例えばVDD)を有するようにチャージ(「プリチャージ」と呼ばれる場合もある。)することが可能である。
【0058】
同図に示されるように、TR1とTR2は、LBUSと直列に接続されている2個のnチャネルMOSトランジスタである。
【0059】
TR1は、LBUSとTR2の他端(ドレイン)とを接続するトランジスタである。TR1の他端(ドレイン)はLBUSに接続され、一端(ソース)はTR2の一端(ドレイン)に接続される。TR1は、ゲート信号STBを制御信号として受信可能に構成され、ゲート信号STBに基づいてスイッチング可能に構成されている。
【0060】
TR2は、TR1のソースとノードであるVLOPとを接続するトランジスタである。TR2の他端(ドレイン)はTR1の一端(ソース)に接続され、TR2の一端(ソース)はVLOPに接続される。同図に示されるようにTR2のゲートは、センスノードであるSEN2に接続されている。このためTR2は、SEN2の電位を制御信号(ゲート信号)として受信可能に構成され、SEN2の電位に基づいてスイッチング可能に構成されている。
【0061】
同図に示されるように、TR3とTR4は、SEN2と直列に接続されている2個のnチャネルMOSトランジスタである。
【0062】
TR3は、SEN2とTR4の他端(ドレイン)とを接続するトランジスタである。TR3の他端(ドレイン)はSEN2に接続され、一端(ソース)はTR4の他端(ドレイン)と接続される。TR3は、ゲート信号LSLを制御信号として受信可能に構成され、ゲート信号LSLに基づいてスイッチング可能に構成されている。
【0063】
TR4は、TR3の一端(ソース)とノードであるVLOPとを接続するトランジスタである。TR4の他端(ドレイン)はTR3の一端(ソース)に接続され、TR4の一端(ソース)はVLOPに接続される。同図に示されるようにTR4のゲートは、バス信号線であるLBUSに接続されている。このためTR4は、LBUSの電位を制御信号(ゲート信号)として受信可能に構成され、LBUSの電位に基づいてスイッチング可能に構成されている。
【0064】
TR6は、LBUSとSEN2とを接続するトランジスタである。TR6の他端(ドレイン)はLBUSに接続され、TR6の一端(ソース)はSEN2に接続される。TR6は、ゲート信号BLQを制御信号として受信可能に構成され、ゲート信号BLQに基づいてスイッチング可能に構成されている。
【0065】
TR7は、高電位(例えばVDD)の電源ノードであるVHLBと、第2のセンスノードであるSEN1とを接続するトランジスタである。TR7の他端(ドレイン)はVHLBに接続され、一端(ソース)はSEN1に接続される。TR7は、ゲート信号SPCを制御信号として受信可能に構成され、ゲート信号SPCに基づいてスイッチング可能に構成されている。このためTR7をオンすることにより、SEN1を含む信号線を、高電位(例えばVDD)を有するようにチャージ(「プリチャージ」と呼ばれる場合もある。)することが可能である。
【0066】
TR8は、SEN1と、SEN2とを接続するトランジスタである。TR8の他端(ドレイン)はSEN1に接続され、一端(ソース)はSEN2に接続される。TR8は、ゲート信号S2Sを制御信号として受信可能に構成され、ゲート信号S2Sに基づいてスイッチング可能に構成されている。このためTR8をオンすることにより、SEN1とSEN2とを接続して同電位にすることが可能であり、TR8をオフすることにより、SEN1とSEN2とを絶縁(電気的に分離)することが可能である。
【0067】
SEN1及びSEN2は、データの読み出し時に、対象となるメモリセルトランジスタMTのデータをセンスするためのセンスノードに相当する。読み出し時に、対象となるメモリセルトランジスタMTのオン状態又はオフ状態に応じて、SEN1を含む信号線及びSEN2を含む信号線(並びに容量素子C10及びC11)にプリチャージされた電荷の、ビット線BLへの転送量が変動する。このときのノードSEN1及びSEN2の電位をセンスすることによりデータの読み出しが行われる。
【0068】
TR9は、低電位(例えばVSS乃至接地電位)の電源ノードであるSRCGNDと、TR12(後述)の一端(ドレイン)とを接続するトランジスタである。TR9の他端(ドレイン)はTR12の他端(ドレイン)に接続され、一端(ソース)はSRCGNDに接続される。TR9は、INV_Sの電位をゲート信号として受信可能に構成され、INV_Sの電位に基づいてスイッチング可能に構成されている。
【0069】
TR10は、DBUSとLBUSとを接続するトランジスタである。TR10の他端(ドレイン)はLBUSに接続され、一端(ソース)はDBUSに接続される。TR10は、ゲート信号DSWを制御信号として受信可能に構成され、ゲート信号DSWに基づいてスイッチング可能に構成されている。
【0070】
TR11は、SEN1とTR12の一端(ソース)とを接続するトランジスタである。TR11の他端(ドレイン)はSEN1に接続され、一端(ソース)はTR12の一端(ソース)に接続される。TR11は、ゲート信号XXLを制御信号として受信可能に構成され、ゲート信号XXLに基づいてスイッチング可能に構成されている。
【0071】
TR12は、TR17の一端(ソース)とTR12の他端(ドレイン)とを接続するトランジスタである。TR12の他端(ドレイン)はTR17の一端(ソース)に接続され、一端(ソース)はTR12の他端(ドレイン)に接続される。TR12は、ゲート信号BLXを制御信号として受信可能に構成され、ゲート信号BLXに基づいてスイッチング可能に構成されている。
【0072】
TR13は、TR12の一端(ソース)とノードであるSRCGNDとを接続するトランジスタである。TR13の他端(ドレイン)はTR12の一端(ソース)に接続され、一端(ソース)はSRCGNDに接続される。SRCGNDは、例えば、接地電位に維持される。TR13は、ゲート信号NLOを制御信号として受信可能に構成され、ゲート信号NLOに基づいてスイッチング可能に構成されている。
【0073】
TR14は、TR13の他端(ドレイン)とTR15の一端(ソース)とを接続するトランジスタである。TR14の他端(ドレイン)はTR13の他端(ドレイン)に接続され、一端(ソース)はTR15の一端(ドレイン)に接続される。TR14は、ゲート信号BLCを制御信号として受信可能に構成され、ゲート信号BLCに基づいてスイッチング可能に構成されている。
【0074】
TR15は、TR14の一端(ソース)とビットラインBLとを接続するトランジスタである。TR15の他端(ドレイン)はTR14の一端(ソース)に接続され、一端(ソース)はビットラインBLに接続される。TR15は、ゲート信号BLSを制御信号として受信可能に構成され、ゲート信号BLSに基づいてスイッチング可能に構成されている。
【0075】
TR16は、ノードであるCELSRCとビットラインBLとを接続するトランジスタである。TR16の他端(ドレイン)はCELSRCに接続され、一端(ソース)はビットラインBLに接続される。TR16は、ゲート信号BIASを制御信号として受信可能に構成され、ゲート信号BIASに基づいてスイッチング可能に構成されている。
【0076】
容量素子であるC10及びC11は、SEN1を含む信号線及びSEN2を含む信号線の容量を高める。C10の一方の電極はSEN1に接続され、他方の電極はLBUSに接続される。容量素子C11の一方の電極はSEN2に接続され、他方の電極はVLOPに接続される。
【0077】
VLOPは上述したように、TR2のソース、TR4のソース及びC11の他方の電極に接続される。また、VLOPを含む信号線は、充電(チャージ)可能に、かつ、放電(ディスチャージ)可能に構成されている。以下、電荷を信号線等に蓄積することを充電する、または、チャージする等と表現する場合がある。また、信号線等に蓄積されていた電荷を信号線等から放電させることを放電する、または、ディスチャージする等と表現する場合がある。チャージするための構成として、センスアンプ部SAは、電源ノード(例えばVDD_LPC)と、VLOPとを接続するトランジスタ(不図示)を備えてよい。このトランジスタを制御するゲート信号に基づいてこのトランジスタがオンになるとVLOPを含む信号線は、VDDの電位を有するようにチャージされる。同様にディスチャージするための構成として、センスアンプ部SAは、接地電位ノードと、VLOPとを接続するトランジスタを備えてよい。このトランジスタを制御するゲート信号に基づいてこのトランジスタがオンになるとVLOPは、ディスチャージされ、低電位(例えば接地電位)の状態になる。
【0078】
ゲート信号DSW、LPC、LSL、STB、S2S、SPC、XXL、BLX、BLC、NLO、BLS、BIAS、STI、STL、SLI、SLL、ATI、ATL、ALI、ALL、を含むセンスアンプ部SA及びラッチ回路SDL、ADL、BDL、CDL、XDLを構成する各トランジスタへの制御信号は、例えばシーケンサ41によって生成される。また、電源ノード(VDD_LPCを含む)には、例えば半導体記憶装置2の内部電源電圧であるVDDが印加され、接地電位ノード(SRCGNDを含む)には、例えば半導体記憶装置2の接地電位であるVSSが印加される。
【0079】
ラッチ回路SDL、ADL、BDL、CDL、XDLは、読み出しデータや書き込みデータを一時的に保持する。ラッチ回路XDLは入出力回路21に接続され、センスアンプユニットSAUと入出力回路21との間のデータの入出力に使用される。ラッチ回路SDL、ADL、BDL、CDLの全体のことを、以下では「ラッチ回路部DL」とも称する。
【0080】
ラッチ回路SDL等は、知られた構成を採用することが可能である。
図8はラッチ回路SDLの回路図の一例を示している。
【0081】
同図に示されるようにラッチ回路SDLは、例えば、インバータであるIV11及びIV12と、pチャネルMOSトランジスタであるTR18及びTR19と、nチャネルMOSトランジスタであるTR20及びTR21とを含んで構成可能である。IV11の入力ノードは、IV12の出力ノードでありIV11の反転ノードであるINV_Sに接続されており、IV12の入力ノードは、IV11の出力ノードであるLAT_Sに接続されている。LAT_Sの電位(HighまたはLow)はラッチ回路SDLに保持されるデータに相当し、LAT_Sの反転ノードであるINV_Sに保持されるデータ(LowまたはHigh)は、ラッチ回路SDLに保持されるデータの反転データに相当する。INV_Sは、TR9のゲート及びTR17のゲートにも接続されている(
図7)。このような構成により、例えばプログラム動作において、各ビット線BLに対応するメモリセルトランジスタMTの閾値電圧上昇の要否を、ラッチ回路SDLの格納データに基づいて制御することが可能となる。
【0082】
TR18は、高電位(例えばVDD)の電源ノードであるVDDSAとINV11のpチャネルMOSトランジスタとを接続するpチャネルMOSトランジスタであり、TR19は、高電位(例えばVDD)の電源ノードであるVDDSAとINV12のpチャネルMOSトランジスタとを接続するpチャネルMOSトランジスタである。
【0083】
TR20は、LAT_SとLBUSとを接続するトランジスタである。TR20は、ゲート信号STLを制御信号として受信可能に構成され、ゲート信号STLに基づいてスイッチング可能に構成され、オンとなるときLBUSにLAT_Sのデータ(HighまたはLow)を出力し、または、LAT_Sへの入力となるデータ(HighまたはLow)をLBUSから受け付ける。
【0084】
TR21は、LAT_Sの反転ノードであるINV_SとLBUSとを接続するトランジスタである。TR21は、ゲート信号STIを制御信号として受信可能に構成され、ゲート信号STIに基づいてスイッチング可能に構成され、オンとなるときLBUSにINV_Sのデータ(HighまたはLow)を出力し、または、INV_Sへの入力となるデータ(HighまたはLow)をLBUSから受け付ける。
【0085】
TR20とTR21とのいずれか一方のトランジスタをオンにすることにより、ラッチ回路SDLは、ラッチ回路SDLに保持されるデータまたはその反転データを出力可能に構成されている。
【0086】
ラッチ回路ADL(
図21B)、BDL、CDL、XDLは、ノードの名称等を除いてラッチ回路SDLと同様のハードウェア構成を備えているので詳細な説明を省略し、
図8と同様の符号を用いて説明する。ただし、ラッチ回路SDLはINV_Sに相当するノードがTR9のゲート及びTR17のゲートにも接続されている一方で、ラッチ回路ADL、BDL、CDLは、INV_Sの位置に相当するノード(例えば
図21Bに示されるINV_A)がTR9のゲート及びTR17のゲートに接続されていない点で異なる。
【0087】
ラッチ回路ADL、BDL、CDLは、例えば、TLCのメモリセルトランジスタMTの上位ビット、中位ビット、下位ビットをそれぞれ格納するために用いられる。
【0088】
ラッチ回路XDLは、例えば、センスアンプ120と入出力回路21との間のデータ転送の際のバッファメモリとして用いられる。ラッチ回路XDLは、DBUSに接続されている点において、LBUSに接続される他のラッチ回路ADL等と異なる。
【0089】
以上のような構成のセンスアンプユニットSAUにおいて、例えば、ゲート信号DSW、LPC、LSL、STB、S2S、SPC、XXL、BLX、BLC、NLO、BLS、及びVIASを供給するための複数の信号線の全て又は一部を、他の全て、または、一部のセンスアンプユニットSAUと共通化させることにより、センスアンプユニットSAUにより実行されるスキャン動作(後述)を複数のセンスアンプユニットSAUにおいて同時に実行可能に構成することができる。
【0090】
図2に戻って説明を続ける。ロウデコーダ130は、ワード線WLのそれぞれに電圧を印加するための、不図示のスイッチ群として構成された回路である。ロウデコーダ130は、レジスタ42からブロックアドレス及びロウアドレスを受け取り、当該ブロックアドレスに基づいて対応するブロックBLKを選択するとともに、当該ロウアドレスに基づいて対応するワード線WLを選択する。ロウデコーダ130は、選択されたワード線WLに対して電圧生成回路43からの電圧が印加されるよう、上記のスイッチ群の開閉を切り換える。ロウデコーダ130の動作はシーケンサ41により制御される。
【0091】
入出力回路21は、メモリコントローラ1との間で、信号DQ<7:0>、及び、データストローブ信号DQS、/DQSを送受信する。入出力回路21は、信号DQ<7:0>内のコマンド及びアドレスをレジスタ42に転送する。また、入出力回路21は、書き込みデータ及び読み出しデータを、センスアンプ120との間で送受信する。
【0092】
ロジック制御回路22は、メモリコントローラ1からチップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号RE、/RE、及びライトプロテクト信号/WPを受信する。また、ロジック制御回路22は、レディービジー信号R/Bをメモリコントローラ1に転送して、半導体記憶装置2の状態を外部に通知する。
【0093】
シーケンサ41は、メモリコントローラ1からインターフェイス回路20へと入力された制御信号に基づいて、メモリセルアレイ110を含む各部の動作を制御する。シーケンサ41は、本実施形態における「制御回路」に該当する。シーケンサ41とロジック制御回路22の両方を、本実施形態における「制御回路」と見なすこともできる。
【0094】
レジスタ42は、コマンドやアドレスを一時的に保持する部分である。レジスタ42には、書き込み動作や読み出し動作、及び消去動作等を指示するコマンドが保持される。当該コマンドは、メモリコントローラ1から入出力回路21に入力された後、入出力回路21からレジスタ42に転送され保持される。
【0095】
また、レジスタ42は、上記のコマンドに対応するアドレスも保持される。当該アドレスは、メモリコントローラ1から入出力回路21に入力された後、入出力回路21からレジスタ42に転送され保持される。
【0096】
更に、レジスタ42は、半導体記憶装置2の動作状態を示すステータス情報も保持される。ステータス情報は、メモリセルアレイ110等の動作状態に応じて、シーケンサ41によって都度更新される。ステータス情報は、メモリコントローラ1からの要求に応じて、状態信号として入出力回路21からメモリコントローラ1へと出力される。
【0097】
電圧生成回路43は、メモリセルアレイ110におけるデータの書き込み動作、読み出し動作、及び、消去動作のそれぞれに必要な電圧を生成する部分である。このような電圧には、例えば、それぞれのワード線WLに印加される電圧や、それぞれのビット線BLに印加される電圧等が含まれる。電圧生成回路43の動作はシーケンサ41によって制御される。
【0098】
入出力用パッド群31は、メモリコントローラ1と入出力回路21との間で各信号の送受信を行うための、複数の端子(パッド)が設けられた部分である。それぞれの端子は、信号DQ<7:0>、及び、データストローブ信号DQS、/DQSのそれぞれに対応して個別に設けられている。
【0099】
ロジック制御用パッド群32は、メモリコントローラ1とロジック制御回路22との間で各信号の送受信を行うための、複数の端子(パッド)が設けられた部分である。それぞれの端子は、チップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号RE、/RE、ライトプロテクト信号/WP、及び、レディービジー信号R/Bのそれぞれに対応して個別に設けられている。
【0100】
電源入力用端子群33は、半導体記憶装置2の動作に必要な各電圧の印加を受けるための、複数の端子が設けられた部分である。それぞれの端子に印加される電圧には、電源電圧VCC、VCCQ、VPP、及びVSSが含まれる。
【0101】
電源電圧VCCは、動作電源として外部から与えられる回路電源電圧であり、例えば3.3V程度の電圧である。電源電圧VCCQは、例えば1.2Vの電圧である。電源電圧VCCQは、メモリコントローラ1と半導体記憶装置2との間で信号を送受信する際に用いられる電圧である。電源電圧VPPは、電源電圧VCCよりも高圧の電源電圧であり、例えば12Vの電圧である。
【0102】
メモリセルアレイ110へデータを書き込んだり、データを消去したりする際には、20V程度の高い電圧(VPGM)が必要となる。この際に、約3.3Vの電源電圧VCCを電圧生成回路43の昇圧回路で昇圧するよりも、約12Vの電源電圧VPPを昇圧するほうが、高速かつ低消費電力で所望の電圧を生成することができる。一方で、例えば、高電圧を供給することができない環境において半導体記憶装置2が用いられる場合、電源電圧VPPには電圧が供給されなくともよい。電源電圧VPPが供給されない場合であっても、半導体記憶装置2は、電源電圧VCCが供給されていれば、各種の動作を実行することができる。すなわち、電源電圧VCCは、半導体記憶装置2に標準的に供給される電源であり、電源電圧VPPは、例えば使用環境に応じて追加的・任意的に供給される電源である。
【0103】
図9は、メモリセルトランジスタMTの閾値分布等を模式的に示す図である。
図9の中段にある図は、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧(横軸)と、メモリセルトランジスタMTの個数(縦軸)との対応関係を表している。
【0104】
本実施形態のようにTLC方式を採用した場合においては、複数のメモリセルトランジスタMTは、
図9の中段に示されるように、8つの閾値分布を形成する。この8個の閾値分布(書き込みレベル)のことを、閾値電圧の低い方から順に“ER”レベル、“A”レベル、“B”レベル、“C”レベル、“D”レベル、“E”レベル、“F”レベル、“G”レベルと称する。
【0105】
図9の上段にある表は、閾値電圧の上記各レベルのそれぞれに対応して、割り当てられるデータの例を表している。同表に示されるように、“ER”レベル、“A”レベル、“B”レベル、“C”レベル、“D”レベル、“E”レベル、“F”レベル、及び“G”レベルには、例えば以下に示すような、それぞれ異なる3ビットデータが割り当てられている。
“ER”レベル:“111”(“下位ビット/中位ビット/上位ビット”)
“A”レベル:“011”
“B”レベル:“001”
“C”レベル:“000”
“D”レベル:“010”
“E”レベル:“110”
“F”レベル:“100”
“G”レベル:“101”
【0106】
このように、本実施形態におけるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧は、予め設定された8つの候補レベルのうちの1つをとり得るものとなっており、それぞれの候補レベルに対応して、上記のようにデータが割り当てられている。
【0107】
互いに隣り合う一対の閾値分布の間には、それぞれ書き込み動作で使用されるベリファイ電圧が設定される。具体的には、“A”レベル、“B”レベル、“C”レベル、“D”レベル、“E”レベル、“F”レベル、及び“G”レベルにそれぞれ対応して、ベリファイ電圧VfyA、VfyB、VfyC、VfyD、VfyE、VfyF、及びVfyGが設定される。
【0108】
ベリファイ電圧VfyAは、“ER”レベルにおける最大の閾値電圧と“A”レベルにおける最小の閾値電圧との間に設定される。ワード線WLにベリファイ電圧VfyAが印加されると、当該ワード線WLに繋がるメモリセルトランジスタMTのうち、閾値電圧が“ER”レベルに含まれるメモリセルトランジスタMTがオン状態になり、閾値電圧が“A”レベル以上の閾値分布に含まれるメモリセルトランジスタMTがオフ状態になる。
【0109】
その他のベリファイ電圧VfyB、VfyC、VfyD、VfyE、VfyF、及びVfyGも、上記のベリファイ電圧VfyAと同様に設定される。ベリファイ電圧VfyBは、“A”レベルと“B”レベルとの間に設定され、ベリファイ電圧VfyCは、“B”レベルと“C”レベルとの間に設定され、ベリファイ電圧VfyDは、“C”レベルと“D”レベルとの間に設定され、ベリファイ電圧VfyEは、“D”レベルと“E”レベルとの間に設定され、ベリファイ電圧VfyFは、“E”レベルと“F”レベルとの間に設定され、ベリファイ電圧VfyGは、“F”レベルと“G”レベルとの間に設定される。
【0110】
例えば、ベリファイ電圧VfyAは0.8Vに、ベリファイ電圧VfyBは1.6Vに、ベリファイ電圧VfyCは2.4Vに、ベリファイ電圧VfyDは3.1Vに、ベリファイ電圧VfyEは3.8Vに、ベリファイ電圧VfyFは4.6Vに、ベリファイ電圧VfyGは5.6Vに、それぞれ設定してもよい。しかし、これに限定されることなく、ベリファイ電圧VfyA、VfyB、VfyC、VfyD、VfyE、VfyF、及びVfyGは、例えば、0V~7.0Vの範囲で、適宜、段階的に設定してもよい。
【0111】
また、隣り合う閾値分布の間には、それぞれ読み出し動作で使用される読み出し電圧が設定される。「読み出し電圧」とは、読み出し動作時において、読み出し対象となるメモリセルトランジスタMTに繋がるワード線WL、すなわち選択ワード線に対し印加される電圧である。読み出し動作では、読み出し対象となるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧が、印加された読み出し電圧よりも高いか否かの判定結果に基づいてデータが決定される。
【0112】
図9の下段の図において模式的に示されるように、具体的には、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧が“ER”レベルに含まれるのか“A”レベル以上に含まれるのかを判定する読み出し電圧VrAは、“ER”レベルにおける最大の閾値電圧と“A”レベルにおける最小の閾値電圧との間に設定される。
【0113】
その他の読み出し電圧VrB、VrC、VrD、VrE、VrF、及びVrGも、上記の読み出し電圧VrAと同様に設定される。読み出し電圧VrBは、“A”レベルと“B”レベルとの間に設定され、読み出し電圧VrCは、“B”レベルと“C”レベルとの間に設定され、読み出し電圧VrDは、“C”レベルと“D”レベルとの間に設定され、読み出し電圧VrEは、“D”レベルと“E”レベルとの間に設定され、読み出し電圧VrFは、“E”レベルと“F”レベルとの間に設定され、読み出し電圧VrGは、“F”レベルと“G”レベルとの間に設定される。
【0114】
そして、最も高い閾値分布(例えば“G”レベル)の最大の閾値電圧よりも高い電圧に、読み出しパス電圧VPASS_READが設定される。読み出しパス電圧VPASS_READがゲートに印加されたメモリセルトランジスタMTは、記憶するデータに依らずにオン状態になる。
【0115】
尚、ベリファイ電圧VfyA、VfyB、VfyC、VfyD、VfyE、VfyF、及びVfyGは、例えば、読み出し電圧VrA、VrB、VrC、VrD、VrE、VrF、及びVrGよりもそれぞれ高い電圧に設定される。つまり、ベリファイ電圧VfyA、VfyB、VfyC、VfyD、VfyE、VfyF、及びVfyGは、それぞれ“A”レベル、“B”レベル、“C”レベル、“D”レベル、“E”レベル、“F”レベル、及び“G”レベルの閾値分布の下裾近傍に設定される。
【0116】
以上に説明したようなデータの割り付けが適用された場合、読み出し動作において下位ビットの1ページデータ(下位ページデータ)は、読み出し電圧VrA及びVrEを用いた読み出し結果によって確定させることができる。中位ビットの1ページデータ(中位ページデータ)は、読み出し電圧VrB、VrD、及びVrFを用いた読み出し結果によって確定させることができる。上位ビットの1ページデータ(上位ページデータ)は、読み出し電圧VrC及びVrGを用いた読み出し結果によって確定させることができる。このように、下位ページデータ、中位ページデータ、及び上位ページデータがそれぞれ、2回、3回、及び2回の読み出し動作によって確定するため、以上のようなデータの割り付けは“2-3-2コード”と称される。
【0117】
尚、以上で説明したようなデータの割り付けはあくまで一例であり、実際のデータの割り付けはこれに限定されない。例えば、2ビット又は4ビット以上のデータが1つのメモリセルトランジスタMTに記憶されてもよい。また、データが割り付けられる閾値分布の数(つまり、上記の「候補レベル」の数)は7以下であってもよく、9以上であってもよい。例えば、“2-3-2コード”に代えて、“1-3-3コード”又は“1-2-4コード”を用いてもよい。また、例えば、下位ビット/中位ビット/上位ビットの割り当てを変更してもよい。より具体的には、例えば、“2-3-2コード”において、下位ページデータを読み出し電圧VrC及びVrBを用いた読み出し結果によって確定させ、中位ページデータを読み出し電圧VrB、VrD、及びVrFを用いた読み出し結果によって確定させ、上位ページデータを読み出し電圧VrA及びVrEを用いた読み出し結果によって確定させるようにデータを割り当ててもよい。すなわち、例えば、下位ビットと上位ビットの割り当てを入れ替えてもよい。この場合、閾値電圧の各レベルのそれぞれに対応して、以下のようにデータが割り当てられる。
“ER”レベル:“111”(“下位ビット/中位ビット/上位ビット”)
“A”レベル:“110”
“B”レベル:“100”
“C”レベル:“000”
“D”レベル:“010”
“E”レベル:“011”
“F”レベル:“001”
“G”レベル:“101”
【0118】
半導体記憶装置2において行われる書き込み動作について説明する。書き込み動作では、プログラム動作及びベリファイ動作が行われる。「プログラム動作」とは、一部のメモリセルトランジスタMTの電荷蓄積層336(
図4)に電子を注入することにより、当該メモリセルトランジスタMTの閾値電圧を変化させる動作のことである。「ベリファイ動作」とは、上記のプログラム動作の後、データを読み出すことで、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧がターゲットレベルまで達したか否かを判定し検証する動作である。閾値電圧がターゲットレベルまで達したメモリセルトランジスタMTは、その後、書き込み禁止とされる。ここでいう「ターゲットレベル」とは、先に述べた8つの候補レベルの中から、目標のレベルとして設定された特定の候補レベルのことである。
【0119】
書き込み動作では、以上のプログラム動作及びベリファイ動作が繰り返し実行される。これにより、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧がターゲットレベルまで上昇する。
【0120】
複数のワード線WLのうち、書き込み動作の対象(つまり、閾値電圧を変化させる対象)であるメモリセルトランジスタMTに繋がっているワード線WLのことを、以下では「選択ワード線」とも称する。また、書き込み動作の対象ではないメモリセルトランジスタMTに繋がっているワード線WLのことを、以下では「非選択ワード線」とも称する。書き込み対象であるメモリセルトランジスタMTのことを、以下では「選択メモリトランジスタ」とも称する。
【0121】
複数のストリングユニットSUのうち、書き込み動作の対象となるストリングユニットSUのことを、以下では「選択ストリングユニット」とも称する。また、書き込み動作の対象とはならないストリングユニットSUのことを、以下では「非選択ストリングユニット」とも称する。
【0122】
選択ストリングユニットに含まれる各NANDストリングNSの導電体柱338、すなわち、選択ストリングユニットにおける各チャンネルのことを、以下では「選択チャンネル」とも称する。また、非選択ストリングユニットに含まれる各NANDストリングNSの導電体柱338、すなわち、非選択ストリングユニットにおける各チャンネルのことを、以下では「非選択チャンネル」とも称する。
【0123】
複数のビット線BLのうち、選択メモリトランジスタに繋がっているビット線BLのことを、以下では「選択ビット線」とも称する。また、選択メモリトランジスタに繋がっていないビット線BLのことを、以下では「非選択ビット線」とも称する。
【0124】
プログラム動作について説明する。
図10は、プログラム動作時における各配線の電位変化を示している。プログラム動作では、センスアンプ120が、プログラムデータに対応して各ビット線BLの電位を変化させる。プログラム対象の(閾値電圧を上昇させるべき)メモリセルトランジスタMTに繋がるビット線BLには、“L”レベルとして例えば接地電位であるVSS(0V)が印加される。プログラム対象ではない(閾値電圧を維持させるべき)メモリセルトランジスタMTに繋がるビット線BLには、“H”レベルとして、例えば2.5Vが印加される。前者のビット線BLは、
図10においては「BL(0)」と表記されている。後者のビット線BLは、
図10においては「BL(1)」と表記されている。
【0125】
ロウデコーダ130は、書き込み動作の対象としていずれかのブロックBLKを選択し、更にいずれかのストリングユニットSUを選択する。より具体的には、選択されたストリングユニットSUにおけるセレクトゲート線SGD(選択セレクトゲート線SGDsel)には、電圧生成回路43からロウデコーダ130を介して例えば5Vが印加される。これにより、選択トランジスタST1はオン状態となる。他方で、セレクトゲート線SGSには、電圧生成回路43からロウデコーダ130を介して例えば電圧VSSが印加される。これにより、選択トランジスタST2はオフ状態となる。
【0126】
また、選択ブロックBLKにおける非選択ストリングユニットSUのセレクトゲート線SGD(非選択セレクトゲート線SGDusel)には、電圧生成回路43からロウデコーダ130を介して例えば電圧5Vが印加される。これにより、選択トランジスタST1がオン状態となる。なお、各ブロックBLKに含まれるストリングユニットSUにおいて、セレクトゲート線SGSは共通に接続されている。従って、非選択ストリングユニットSUにおいても、選択トランジスタST2はオフ状態となる。
【0127】
更に、非選択ブロックBLKにおけるセレクトゲート線SGD及びセレクトゲート線SGSには、電圧生成回路43からロウデコーダ130を介して例えば電圧VSSが印加される。これにより、選択トランジスタST1及び選択トランジスタST2はオフ状態となる。
【0128】
ソース線SLは、セレクトゲート線SGSの電位よりも高い電位とされる。当該電位は、例えば1Vである。
【0129】
その後、選択ブロックBLKにおける選択セレクトゲート線SGDselの電位を、例えば2.5Vとする。この電位は、上記の例で0Vが与えられたビット線BL(0)に対応する選択トランジスタST1はオンさせるが、2.5Vが与えられたビット線BL(1)に対応する選択トランジスタST1はカットオフさせる電圧である。これにより、選択ストリングユニットSUにおいては、ビット線BL(0)に対応する選択トランジスタST1はオンされ、2.5Vが与えられたビット線BL(1)に対応する選択トランジスタST1はカットオフされる。一方で、非選択セレクトゲート線SGDuselの電位を、例えば電圧VSSとする。これにより、非選択ストリングユニットSUにおいては、ビット線BL(0)及びビット線BL(1)の電位に関わらず、選択トランジスタST1はカットオフされる。
【0130】
そしてロウデコーダ130は、選択ブロックBLKにおいて、書き込み動作の対象としていずれかのワード線WLを選択する。書き込み動作の対象となるワード線WL(選択ワード線WLsel)に、電圧生成回路43からロウデコーダ130を介して例えば電圧VPGMが印加される。一方で、その他のワード線WL(非選択ワード線WLusel)に、電圧生成回路43からロウデコーダ130を介して例えば電圧VPASS_PGMが印加される。電圧VPGMは、トンネル現象により電子を電荷蓄積層336に注入するための高電圧である。電圧VPASS_PGMは、ワード線WLに繋がるメモリセルトランジスタMTをONとする一方で、閾値電圧は変化させない程度の電圧である。VPGMはVPASS_PGMよりも高い電圧である。
【0131】
プログラム対象のビット線BL(0)に対応するNANDストリングNSでは、選択トランジスタST1がオン状態となる。そのため、選択ワード線WLselに接続されたメモリセルトランジスタMTのチャネル電位は0Vとなる。制御ゲートとチャネルとの間の電位差が大きくなり、その結果、電子が電荷蓄積層336に注入されるので、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧が上昇される。
【0132】
プログラム対象ではないビット線BL(1)に対応するNANDストリングNSでは、選択トランジスタST1がカットオフ状態となる。そのため、選択ワード線WLselに接続されたメモリセルトランジスタMTのチャネルは電気的にフローティングとなり、ワード線WL等との容量カップリングによりチャネル電位は電圧VPGM近くまで上昇される。制御ゲートとチャネルとの間の電位差が小さくなり、その結果、電子は電荷蓄積層336に注入されないので、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧は維持される。正確にいうと、閾値分布レベルがより高い分布に遷移するほどには、閾値電圧は変動しない。
【0133】
読み出し動作について説明する。尚、プログラム動作に続いて行われるベリファイ動作は、以下に説明する読み出し動作と同じである。
図11は、読み出し動作時における各配線の電位変化を示している。読み出し動作では、読み出し動作の対象となるメモリセルトランジスタMT、を含むNANDストリングNSが選択される。あるいは、読み出し動作の対象となるページを含むストリングユニットSUが選択される。
【0134】
まず、選択セレクトゲート線SGDsel、非選択セレクトゲート線SGDusel及びセレクトゲート線SGSには、電圧生成回路43からロウデコーダ130を介して例えば5Vが印加される。これにより、選択ブロックBLKに含まれる選択トランジスタST1及び選択トランジスタST2はオン状態となる。また、選択ワード線WLsel及び非選択ワード線には、電圧生成回路43からロウデコーダ130を介して例えば読み出しパス電圧VPASS_READが印加される。読み出しパス電圧VPASS_READは、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧にかかわらず、メモリセルトランジスタMTをONとすることができ、かつ、閾値電圧は変化させない程度の電圧である。これにより、選択ストリングユニットSUであるか非選択ストリングユニットSUであるかにかかわらず、選択ブロックBLKに含まれる全てのNANDストリングNSにおいて、電流が導通する。
【0135】
次に、読み出し動作の対象となるメモリセルトランジスタMTに繋がるワード線WL(選択ワード線WLsel)に対し、電圧生成回路43からロウデコーダ130を介して例えばVrAのような読み出し電圧Vrが印加される。それ以外のワード線(非選択ワード線WLusel)に対しては、読み出しパス電圧VPASS_READが印加される。
【0136】
また、選択セレクトゲート線SGDsel及びセレクトゲート線SGSに印加する電圧は維持しつつ、非選択セレクトゲート線SGDuselには、電圧生成回路43からロウデコーダ130を介して例えば電圧Vssが印加される。これにより、選択ストリングユニットSUに含まれる選択トランジスタST1はオン状態を維持するが、非選択ストリングユニットSUに含まれる選択トランジスタST1はオフ状態となる。なお、選択ストリングユニットSUであるか非選択ストリングユニットSUであるかにかかわらず、選択ブロックBLKに含まれる選択トランジスタST2はオン状態となる。
【0137】
これにより、非選択ストリングユニットSUに含まれるNANDストリングNSは、少なくとも選択トランジスタST1がオフ状態となるため、電流パスを形成しない。一方で、選択ストリングユニットSUに含まれるNANDストリングNSは、選択ワード線WLselに印加される読み出し電圧VrとメモリセルトランジスタMTの閾値電圧との関係に応じて、電流パスが形成され、または、形成されない。
【0138】
センスアンプ120は、選択されたNANDストリングNSに繋がるビット線BLに対して電圧を印加する。この状態で、センスアンプ120は、当該ビット線BLを流れる電流の値に基づいてデータの読み出しを行う。具体的には、読み出し動作の対象となるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧が、当該メモリセルトランジスタMTに印加された読み出し電圧よりも高いか否かを判定する。尚、データの読み出しは、ビット線BLを流れる電流の値に基づくのではなく、ビット線BLにおける電位の時間変化に基づいて行われてもよい。後者の場合、ビット線BLは、予め所定の電位となるようにプリチャージされる。
【0139】
先に述べたベリファイ動作も、上記のような読み出し動作と同様に行われる。ベリファイ動作では、ベリファイの対象となるメモリセルトランジスタMTに繋がるワード線WLに対し、例えばVfyAのようなベリファイ電圧が電圧生成回路43からロウデコーダ130を介して印加されることとなる。
【0140】
なお、先に述べたプログラム動作の初期段階における選択セレクトゲート線SGDsel及び非選択セレクトゲート線SGDuselに5Vの電圧を印加する動作は、省略される場合がある。同様に、先に述べた読み出し動作(ベリファイ動作)の初期段階における非選択セレクトゲート線SGDuselに5Vの電圧を印加し選択ワード線WLselに読み出しパス電圧VPASS_READを印加する動作は、省略される場合がある。
【0141】
図12には、本実施形態における書き込み動作時における各配線の電位変化等が模式的に表されている。
図12(A)に示されるのは、各ワード線WLの電位を変化させるために、電圧生成回路43からメモリセルアレイ110へと供給される電流の時間変化の例である。当該電流のことを、以下では「Icc」とも称する。
【0142】
図12(B)の線L01に示されるのは、選択セレクトゲート線SGDselにおける電位の時間変化の例である。当該電位のことを、以下では「V_SGD_sel」とも称する。また、
図12(B)の線L02に示されるのは、非選択セレクトゲート線SGDuselにおける電位の時間変化の例である。当該電位のことを、以下では「V_SGD_usel」とも称する。
【0143】
図12(C)に示されるのは、選択ワード線WLselにおける電位の時間変化の例である。当該電位のことを、以下では「V_WL_sel」とも称する。
図12(D)に示されるのは、非選択ワード線WLuselにおける電位の時間変化の例である。当該電位のことを、以下では「V_WL_usel」とも称する。
【0144】
図12(E)に示されるのは、選択セレクトゲート線SGDselに対応する選択ストリングユニットに属する選択チャンネルにおける電位の時間変化の例である。当該電位のことを、以下では「V_Ch_sel」とも称する。このうち、線L11に示されるのは、選択チャンネルのうち、選択メモリトランジスタに繋がっていないもの(換言すれば、非選択ビット線に繋がっているもの)における電位の時間変化の例である。線L12に示されるのは、選択チャンネルのうち、選択メモリトランジスタに繋がるもの(換言すれば、選択ビット線に繋がっているもの)における電位の時間変化の例である。
【0145】
図12(F)に示されるのは、ビット線BLにおける電位の時間変化の例である。当該電位のことを、以下では「V_BL」とも称する。このうち、線L21に示されるのは、複数のビット線BLのうち非選択ビット線における電位の時間変化の例である。線L22に示されるのは、複数のビット線BLのうち選択ビット線における電位の時間変化の例である。
【0146】
図12(G)に示されるのは、非選択セレクトゲート線SGDuselに対応する非選択ストリングユニットに属する非選択チャンネルにおける電位の時間変化の例である。当該電位のことを、以下では「V_Ch_usel」とも称する。このうち、線L31に示されるのは、非選択ビット線に繋がっている非選択チャンネルの電位の時間変化の例である。線L32に示されるのは、選択ビット線に繋がっている非選択チャンネルの電位の時間変化の例である。
【0147】
図12の例では、時刻t1においてプログラム動作が開始される。シーケンサ41は、時刻t1から時刻t2までの期間において、V_SGD_sel(線L01)及びV_SGD_usel(線L02)を例えば0Vから5Vまで上昇させる。これにより、選択ストリングユニットの各選択トランジスタST1と非選択ストリングユニットの各選択トランジスタST1は、それぞれ、オン状態となる。
【0148】
時刻t2において、シーケンサ41は、非選択ビット線の電位を、
図12(F)の線L21のように2.5Vまで上昇させる。これにより、非選択ビット線に繋がっている選択チャンネルにおける電位は、
図12(E)の線L11に示されるように2.5Vまで上昇する。尚、図示は省略するが、プログラム動作が行われている期間においては、選択トランジスタST2はオフ状態とされている。
【0149】
その後、シーケンサ41は、V_SGD_sel(線L01)を一旦低下させた後、時刻t3から時刻t4までの期間においてV_SGD_selを2.5Vに変化させるとともに、V_SGD_usel(線L02)を0Vに変化させる(
図12(B))。
【0150】
図12(B)及び
図12(F)に示されるように、時刻t4以降においては、V_SGD_selは非選択ビット線における電位(2.5V)と同電位となっている。このため、選択ストリングユニットにおいて非選択ビット線に繋がる選択トランジスタST1は、カットオフされてオフ状態となる。一方、V_SGD_sel(線L01)は選択ビット線における電位(0V)よりも高くなっている。このため、選択ストリングユニットにおいて選択ビット線に繋がる選択トランジスタST1はオン状態となる。なお、V_SGD_usel(線L02)は非選択ビット線における電位(2.5V)より低く、選択ビット線における電位(0V)と同電位であるため、非選択ストリングユニットにおける選択トランジスタST1は全てオフ状態となる。
【0151】
その結果、非選択ビット線に繋がっている選択チャンネルは、選択トランジスタST1がオフ状態となることにより、時刻t4以降においてフローティングの状態となる。一方、選択ビット線に繋がっている選択チャンネルは、選択トランジスタST1がオン状態となることにより、時刻t4以降において選択ビット線と導通した状態となる。
【0152】
その後、時刻t5から時刻t6までの期間において、シーケンサは、ワード線WLのそれぞれの電位をVPASS_PGMまで上昇させる。VPASS_PGMは、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧によることなく、メモリセルトランジスタMTをオン状態とするような大きさの電位であって、例えば10Vである。
図12(C)及び
図12(D)に示されるように、時刻t6においては、V_WL_sel及びV_WL_uselの両方がVPASS_PGMまで上昇した状態となる。
図12(A)に示されるように、時刻t5以降においては、ワード線WLの電位を上昇させることに伴い、一時的にIccが上昇する。
【0153】
非選択ビット線に繋がっている選択チャンネルは、先に述べたようにフローティングの状態となっている。この状態で、それぞれのワード線WLの電位がVPASS_PGMまで上昇すると、ワード線WLと当該選択チャンネルとの間の容量カップリングにより、当該選択チャンネルの電位も上昇する。非選択ビット線に繋がっている選択チャンネルの電位V_Ch_selは、例えば、
図12(E)の線L11に示されるように、V_IH1まで上昇している。V_IH1は、概ねVPASS_PGMと同程度の電位である。非選択ビット線に繋がっている非選択チャンネルの電位V_Ch_uselも、
図12(G)の線L31に示されるように、V_IH1まで上昇している。すなわち、
図12(G)の線L31に示される非選択ビット線に繋がっている非選択チャンネルの電位V_Ch_uselは、
図12(E)の線L11に示される非選択ビット線に繋がっている選択チャンネルの電位V_Ch_selと概ね同様に変化する。
【0154】
なお、選択ビット線に繋がっている非選択チャンネルも、非選択ビット線に繋がっている非選択チャンネルと同様に、フローティングの状態となっている。この状態で、それぞれのワード線WLの電位がVPASS_PGMまで上昇すると、ワード線WLと当該非選択チャンネルとの間の容量カップリングにより、当該非選択チャンネルの電位も上昇する。選択ビット線に繋がっている非選択チャンネルの電位V_Ch_uselは、
図12(G)の線L32に示されるように、V_IH2まで上昇している。V_IH2は、概ねVPASS_PGMと同程度の電位であるが、V_IH1より低い電位である。
【0155】
選択ビット線に繋がっている選択チャンネルは、先に述べたように選択ビット線BLと導通した状態となっている。このため、それぞれのワード線WLの電位がVPASS_PGMまで上昇しても、当該選択チャンネルの電位は上昇せず、
図12(E)の線L12に示されるように0Vのままとなる。
【0156】
時刻t6において、各ワード線WLの電位がVPASS_PGMまで上昇すると、シーケンサ41は、選択ワード線の電位であるV_WL_selを更にVPGMまで上昇させる。VPGMは、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧を上昇させるような大きさの電位であって、例えば20Vである。非選択ワード線の電位はVPASS_PGMのまま維持される。
【0157】
図13には、このときにおけるNANDストリングNSの様子が等価回路図として示されている。
図13に示される一対のNANDストリングNS1、NS2は、同一の選択ストリングユニットに属している。このうち、NANDストリングNS1は選択ビット線に繋がっており、NANDストリングNS2は非選択ビット線に繋がっている。
図13の例では、NANDストリングNS1のメモリセルトランジスタMT3が、書き込み動作の対象となっている。
【0158】
時刻t7以降において、NANDストリングNS1では、選択トランジスタST1と、メモリセルトランジスタMTがオン状態となっており、選択トランジスタST2がオフ状態となっている。このため、選択ビット線に繋がっている選択チャンネルの電位V_Ch_selは0Vとなっている。
【0159】
NANDストリングNS1のうち、書き込みの対象とはなっていないメモリセルトランジスタMT0~MT2、MT4~MT7においては、ゲートに接続された非選択ワード線(VPASS_PGM)と、その内側の選択チャンネル(0V)の間の電位差は10V程度である。このため、これらのメモリセルトランジスタMTは、オン状態となるだけであり、その閾値電圧は変化しない。
【0160】
一方、NANDストリングNS1のうち、書き込みの対象となっているメモリセルトランジスタMT3においては、ゲートに接続された選択ワード線(VPGM)と、その内側の選択チャンネル(0V)との間の電位差は、比較的高い20Vとなっている。このため、メモリセルトランジスタMT3の閾値電圧は変化し、データが書き込まれる。
【0161】
非選択ビット線に繋がるNANDストリングNS2では、先に述べたように、選択トランジスタST1、ST2のいずれもがオフ状態となっている。このため、非選択ビット線に繋がっている選択チャンネルはフローティング状態となっている。各メモリセルトランジスタMTのゲートに繋がるワード線WL(VPASS_PGM又はVPGM)と、その内側にある選択チャンネル(V_IH1)との間の電位差は、概ね0V~10V程度の範囲に収まる。このため、これらのメモリセルトランジスタMTは、オン状態となるだけであり、その閾値電圧は変化しない。非選択ストリングユニットに属するNANDストリングNSにおいてもこれと同様であり、当該NANDストリングNSに含まれる各メモリセルトランジスタMTの閾値電圧は変化しない。
【0162】
以上のように、プログラム動作が実行される際においては、選択ストリングユニットに含まれる複数の選択チャンネルは、0Vに維持されるものとV_IH1まで上昇するものとに分かれることとなる。0Vに維持されるチャンネル、すなわち、データが書き込まれるメモリセルトランジスタMTに繋がるチャンネルのことを、以下では「チャンネルPG」とも称する。また、V_IH1まで上昇するチャンネル、すなわち、データが書き込まれるメモリセルトランジスタMTに繋がっていないチャンネルのことを、以下では「チャンネルIH」とも称する。選択ストリングユニットに属するチャンネルPG及びチャンネルIHのそれぞれの数は、ページに書き込まれるデータや、後述のループ回数に応じて都度変化する。
【0163】
尚、非選択ストリングユニットに含まれる複数の非選択チャンネルは、プログラム動作において、その全てが少なくともV_IH2まで上昇する。すなわち、プログラム動作において、選択ビット線に繋がっている非選択チャンネルの電位V_Ch_uselはV_IH2まで上昇し、非選択ビット線に繋がっている非選択チャンネルの電位V_Ch_uselは、V_IH2より高いV_IH1まで上昇する。非選択ストリングユニットに属するV_IH2まで電位が上昇する非選択チャンネル及びV_IH1まで電位が上昇する非選択チャンネルのそれぞれの数も、ページに書き込まれるデータや、ループ回数に応じて都度変化する。
【0164】
図12に戻って説明を続ける。時刻t7において、選択ワード線の電位V_WL_selがVPGMとされると、上記のようにデータの書き込みが行われる。当該状態は、時刻t8までの一定期間継続される。時刻t8においてプログラム動作は終了し、以降はベリファイ動作が行われる。
【0165】
ベリファイ動作において、シーケンサ41は、セレクトゲート線SGDにおける電位V_SGDを、例えば5Vまで上昇させる(
図12(B))。また、ビット線BLの電位V_BLを、例えば1Vに変化させる(
図12(F))。尚、このようなV_BLの切り換えは、選択ビット線及び非選択ビット線の両方に対して行われる。
【0166】
上記と同時に、シーケンサ41は、選択ワード線における電位V_WL_selを、VPGMからVPASS_READまで変化させる。その後の時刻t9において、シーケンサ41は、選択ワード線における電位V_WL_selを、VPASS_READからVcgrvまで変化させる(
図12(C))。Vcgrvは、ベリファイの対象となる候補レベルに応じて、
図9のVfyAやVfyB等の中から選択される大きさの電位である。ベリファイの対象となる候補レベルがどのように設定されるかについては後に説明する。
【0167】
また、シーケンサ41は、非選択ワード線における電位V_WL_uselを、VPASS_PGMからVPASS_READまで変化させる(
図12(D))。VPASS_READは、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧によることなく、メモリセルトランジスタMTをオン状態とするような大きさの電位であって、例えば5Vである。
【0168】
以上のような各配線の電位の変更は、ベリファイ動作が開始された時刻t8以降の期間において、シーケンサ41によって概ね同時に行われる。
【0169】
時刻t8の後の時刻t9には、シーケンサ41は、V_SGD_usel(線L02)を例えば5Vから0Vまで下降させる。時刻t9以降は、V_SGDが5Vに上昇したことに伴って選択トランジスタがON状態となり、それぞれのビット線BLと選択チャンネルとの間が導通した状態となる。このため、V_Ch_sel及びV_Ch_uselは、いずれも、ビット線BLの電位と同じ1Vとなるように変化する。
【0170】
時刻t9の状態においては、ベリファイの対象となるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧が、Vcgrvよりも高い場合には、当該メモリセルトランジスタMTはオフ状態となり、当該メモリセルトランジスタSTを含むチャンネルPGには電流が流れない。一方、ベリファイの対象となるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧が、Vcgrvよりも低い場合には、当該メモリセルトランジスタSTはオン状態となり、当該メモリセルトランジスタMTを含むチャンネルPGには電流が流れる。それぞれの電流値は、センスアンプ120によって検知することができる。シーケンサ41は、チャンネルPGを流れる電流に基づいて、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧がターゲットレベルに到達したかどうかを判定することができる。その後の時刻t10においてベリファイ動作が完了すると、シーケンサ41は、
図12(B)のV_SGD_sel(線L01)を5Vから0Vまで下降させると共に、
図12(C)のV_WL_selをVcgrvから0Vまで下降させる。
【0171】
尚、
図12の例は、ベリファイ動作が単一のレベルを対象として行われる例となっている。つまり、
図12(C)に示されるV_WL_selは、時刻t9においてVcgrvに設定された後、当該電圧に対応した単一のレベルについてのみベリファイ動作が行われている。後に説明するように、時刻t9以降においては、Vcgrvが段階的に変化するように調整され、それぞれの段階に応じた複数のレベルについてベリファイ動作が行われることもある。
【0172】
書き込み動作の全体における具体的な流れについて説明する。書き込み動作では、データが正しく書き込まれたことが確認されるまで、上記のようなプログラム動作とベリファイ動作とが繰り返される。
図14では、プログラム動作とベリファイ動作との組み合わせが19回繰り返されることによって、データが書き込まれる場合を例に示している。このように繰り返される各動作のことを、以下では「ループ」とも称する。
【0173】
図14には、書き込み動作時における選択ワード線の電位変化の例が示されている。同図に示されるように、上記のループは最大で19回実行される。尚、
図14に示される「VPGM1」とは、1回目のループにおいて選択ワード線に印加されるVPGMのことである。「VPGM2」とは、2回目のループにおいて選択ワード線に印加されるVPGMのことである。以下同様に、各回のループにおいて選択ワード線に印加されるVPGMが、
図14においては「VPGM3」、「VPGM4」、・・・、「VPGM19」と表記されている。同図に示されるように、ループが繰り返される毎に、VPGMの値は次第に大きくなるようにステップアップされる。
【0174】
図15には、各ループにおいて行われるベリファイ動作のターゲットレベルが示されている。また、
図16には、各ループにおいて行われるプログラム動作のターゲットレベルが示されている。尚、
図16に示される「1」は、当該レベルにおける書き込み動作が行われないことを意味しており、「0」は、当該レベルにおける書き込み動作が行わることを意味している。また、「0/1」は、当該レベルにおける書き込み動作が基本的には行われるが、前回の書き込み動作時においてベリファイをパスしていた場合には、書き込み動作が行われないことを意味している。
【0175】
図14及び
図15、16に示されるように、これらの例における1回目のループでは、プログラム動作において選択ワード線にVPGM1が印加された後、ベリファイ動作は“A”レベルのみを対象にして行われる。つまり、ベリファイ動作時において選択ワード線にはベリファイ電圧VfyAが印加され、ベリファイ電圧VfyB~VfyGは印加されない。
【0176】
尚、1回目のループにおいてプログラム対象となるメモリセルトランジスタMTは、閾値電圧が最終的に“A”レベル以上となるべき全てのメモリセルトランジスタMTである。一方、1回目のループにおいて“A”レベルのベリファイ対象となるメモリセルトランジスタMTは、閾値電圧が最終的に“A”レベルとなるメモリセルトランジスタMTである。閾値電圧が最終的に“B”レベル以上となるメモリセルトランジスタMTは、“A”レベルのベリファイ対象からは外される。
【0177】
2回目のループでは、選択ワード線にVPGM2が印加された後、1回目のループと同様のプログラム動作及びベリファイ動作が行われる。ただし、閾値電圧が最終的に“A”レベルとなるメモリセルトランジスタMTのうち、1回目のループにおいて“A”レベルのベリファイにパスしたものは、2回目のループにおけるプログラム動作及びベリファイ動作の対象からは外される。つまり、2回目のループでは、閾値電圧が最終的に“B”レベル以上となるメモリセルトランジスタMTと、前回のループにおいてベリファイにフェイルしたメモリセルトランジスタMTとが、プログラム動作の対象とされる。
【0178】
3回目のループでは、選択ワード線にVPGM3が印加されプログラム動作が行われた後、ベリファイ動作は“A”レベルと“B”レベルとを対象にして行われる。つまり、ベリファイ動作時において選択ワード線にはベリファイ電圧VfyA及びVfyBが順次印加され、ベリファイ電圧VfyC~VfyGは印加されない。
【0179】
尚、3回目のループにおいてプログラム対象となるメモリセルトランジスタMTは、閾値電圧が最終的に“B”レベル以上となるべき全てのメモリセルトランジスタMTと、これまでのループにおいてベリファイにフェイルしたメモリセルトランジスタMTである。また、3回目のループにおいて“A”レベルのベリファイ対象となるメモリセルトランジスタMTは、閾値電圧が最終的に“A”レベルとなるメモリセルトランジスタMTのうち、これまでのループにおいてベリファイにフェイルしたメモリセルトランジスタMTである。3回目のループにおいて“B”レベルのベリファイ対象となるメモリセルトランジスタMTは、閾値電圧が最終的に“B”レベルとなるメモリセルトランジスタMTである。
【0180】
4回目のループでは、選択ワード線にVPGM4が印加された後、3回目のループと同様のプログラム動作及びベリファイ動作が行われる。ただし、閾値電圧が最終的に“A”レベルとなるメモリセルトランジスタMTのうち、3回目のループにおいて“A”レベルのベリファイにパスしたものは、2回目のループにおけるプログラム動作及びベリファイ動作の対象からは外される。同様に、3回目のループにおいて“B”レベルのベリファイにパスしたものは、4回目のループにおけるプログラム動作及びベリファイ動作の対象からは外される。つまり、4回目のループでは、閾値電圧が最終的に“C”レベル以上となるメモリセルトランジスタMTと、前回のループにおいてベリファイにフェイルしたメモリセルトランジスタMTとが、プログラム動作の対象とされる。
【0181】
以降のループにおいても同様に、プログラム動作の後、
図9に示されるような各所定レベルのベリファイ動作が行われる。閾値電圧が最終的なターゲットレベルに到達したメモリセルトランジスタMTは、次回以降のループにおいて、プログラム動作及びベリファイ動作の対象からは外される。
【0182】
ループが繰り返されて行くに従って、閾値電圧が最終的なターゲットレベルに到達したメモリセルトランジスタMTは増加して行くので、プログラム動作及びベリファイ動作の対象から外されるメモリセルトランジスタMTは次第に増加して行く。この点は、
図16において、ループ回数の増加に伴って「1」と表記されたレベルの数が増加して行き、「0」と表記されたレベルの数が増加して行くことにも表れている。
【0183】
尚、
図15に示される例においては、“A”レベルを対象としたベリファイ動作は6回目のループで完了する。これは、例えば、事前に得られているメモリセルアレイ110の特性より、計6回のループ回数を経ることにより、“A”レベルへのデータの書き込みがほぼ完了することが分かっているからである。同様に、
図15に示される例においては、“B”レベルを対象としたベリファイ動作は8回目のループで完了する。これは、3回目から8回目までの計6回のループ回数を経ることにより、“B”レベルへのデータの書き込みがほぼ完了することが分かっているからである。
【0184】
尚、各候補レベルへのデータの書き込みは、完全に完了していなくてもよい。例えば、最終的に閾値電圧を“A”レベルとすべきメモリセルトランジスタMTのうち、まだ閾値レベルが“A”レベルまで到達していないメモリセルトランジスタMTが残っていたとしても、当該メモリセルトランジスタMTの数が一定数よりも少なくなっていれば、当該メモリセルトランジスタMTに対するプログラム動作や、“A”レベルのベリファイ動作は行われなくなる。これは、メモリセルトランジスタMTの一部に、閾値電圧が目標の候補レベルに到達していないもの(つまり、データの書き込みが完全には完了していないもの)が残っていたとしても、その数が十分に少なければ、ECC回路14が行うエラー訂正により半導体記憶装置10は正常に動作し得るからである。
【0185】
それぞれの候補レベルについて、当該候補レベルのベリファイ動作を何回目のループから開始させるか、及び、当該候補レベルのベリファイ動作を何回目のループで完了させるかは、シーケンサ41が行うビットスキャン動作に応じて都度決定される。「ビットスキャン動作」とは、各ループにおけるベリファイ動作に続いて行われる動作であって、先のベリファイ動作において閾値電圧が候補レベルに到達していないと判定されたメモリセルトランジスタMTの数、を取得する動作である。
【0186】
例えば、6回目のループにおいて、“A”レベル、“B”レベル、及び“C”レベルのベリファイ動作が行われた後は、これらの各レベルを対象としたビットスキャン動作が行われる。このビットスキャン動作によって、“A”レベルのベリファイ動作の際、閾値電圧が“A”レベルに到達していないと判定されたメモリセルトランジスタMTの数と、“B”レベルのベリファイ動作の際、閾値電圧が“B”レベルに到達していないと判定されたメモリセルトランジスタMTの数と、“C”レベルのベリファイ動作の際、閾値電圧が“C”レベルに到達していないと判定されたメモリセルトランジスタMTの数と、がそれぞれ個別に取得される。
【0187】
シーケンサ41は、例えば、閾値電圧が“A”レベルに到達していないと判定されたメモリセルトランジスタMTの数が、予め設定された所定数を依然として上回っているような場合には、7回目のループにおいても“A”レベルのベリファイ動作を再度実行する。また、シーケンサ41は、例えば、閾値電圧が“B”レベルに到達していないと判定されたメモリセルトランジスタMTの数が、予め設定された所定数を下回っているような場合には、7回目以降のループにおいて“B”レベルのベリファイ動作を実行しなくなる。
【0188】
このように、シーケンサ41は、ビットスキャン動作の結果に基づいて、どの候補レベルについて次のベリファイ動作を行うかを決定する。換言すれば、シーケンサ41は、ビットスキャン動作の結果に基づいて、次のベリファイ動作で判定に用いる候補レベルを決定する。
【0189】
プログラム動作が完了した後は、同じループにおけるベリファイ動作が行われる。ベリファイ動作に続いて行われるビットスキャン動作は、次のループにおけるプログラム動作と並行して行われる。具体的には、シーケンサ41は、ベリファイ動作が完了してから、次のループにおけるベリファイ動作を開始するまでの期間内において、ビットスキャン動作を行うように構成されている。プログラム動作の次に行われるベリファイ動作では、プログラム動作と並行して行われたビットスキャン動作の結果に基づいて、各レベルのベリファイ動作を継続すべきか否かが決定される。
【0190】
なお、ビットスキャン動作は、プログラム動作と並行して行わなくてもよい。例えば、ベリファイ動作に続けてビットスキャン動作を行い、当該ビットスキャン動作が完了した後に、次のループにおけるプログラム動作及びベリファイ動作を行ってもよい。
【0191】
プログラム動作及びベリファイ動作の際における、センスアンプユニットSAUの具体的な動作について説明する。ここでは、センスアンプ120に含まれる複数のセンスアンプユニットSAUのうち、4つのセンスアンプユニットSAU101、SAU102、SAU103、SAU104について説明する。
図17において模式的に示されるように、センスアンプユニットSAU101はビット線BL101に繋がっており、センスアンプユニットSAU102はビット線BL102に繋がっており、センスアンプユニットSAU103はビット線BL103に繋がっており、センスアンプユニットSAU104はビット線BL104に繋がっている。センスアンプユニットSAU101、SAU102、SAU103、SAU104、及びビット線BL101、BL102、BL103、BL104は模式的なものであり、実際のレイアウトとは関係ない。
【0192】
この例においては、これから行われるプログラム動作により、センスアンプユニットSAU101からビット線BL101を介して繋がるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧が“ER”レベルとされ、センスアンプユニットSAU102からビット線BL102を介して繋がるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧が“A”レベルとされ、センスアンプユニットSAU103からビット線BL103を介して繋がるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧が“B”レベルとされ、センスアンプユニットSAU104からビット線BL104を介して繋がるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧が“C”レベルとされるものとする。
【0193】
この場合、プログラム動作に先立って、各センスアンプユニットSAUのラッチ回路には、目標の閾値電圧(つまりターゲットレベル)に対応したデータが予め保持される。例えば、センスアンプユニットSAU102は、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧を“A”レベルに変化させるものであるから、センスアンプユニットSAU102のラッチ回路には、“A”レベルに対応した“011”(“下位ビット/中位ビット/上位ビット”)のデータが予め保持される。具体的には、ラッチ回路ADLには上位ビットに対応した“1”が保持され、ラッチ回路BDLには中位ビットに対応した“1”が保持され、ラッチ回路CDLには下位ビットに対応した“0”が保持される。その他のセンスアンプユニットSAUについても同様である。
【0194】
本実施形態に係る半導体記憶装置10のセンスアンプ120では、ラッチ回路ADL、BDL、CDLのいずれかに“0”が保持されているセンスアンプユニットSAUが、プログラム動作時において、これに繋がるビット線BLに0Vを印加する。つまり、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧を上昇させる動作を行う。一方、ラッチ回路ADL、BDL、CDLのいずれにも“1”が保持されているセンスアンプユニットSAUは、プログラム動作時において、これに繋がるビット線BLに2.5Vを印加する。つまり、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧を維持させる動作を行う。
【0195】
それぞれのセンスアンプユニットSAUが以上のような動作を行うように構成されているので、ラッチ回路に“111”が保持されたセンスアンプユニットSAUに繋がるメモリセルトランジスタMTでは、プログラム動作の前後において閾値電圧は変化しない。一方、ラッチ回路に“111”とは異なるデータが保持されたセンスアンプユニットSAUに繋がるメモリセルトランジスタMTでは、プログラム動作によって閾値電圧が上昇する。従って、
図17に示される状態からプログラム動作が行われると、センスアンプユニットSAU101に繋がるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧は維持され、センスアンプユニットSAU102、SAU103、SAU104に繋がるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧はいずれも上昇する。
【0196】
先に述べたように、ベリファイ動作が行われ、閾値電圧がターゲットレベルまで達したと判定されたメモリセルトランジスタMTは、その後、書き込み禁止とされる。本実施形態では、当該メモリセルトランジスタMTに繋がるセンスアンプユニットSAUのラッチ回路に保持されているデータを、“ER”レベルに対応した“111”に書き換えることで、当該メモリセルトランジスタMTを書き込み禁止とする。
【0197】
[比較例に係るビット演算処理]
続いて比較例に係る半導体記憶装置によるビット演算処理を説明する。ただし半導体記憶装置2と同様のハードウェア構成を備える構成要件については、半導体記憶装置2と同様の符号を付して詳細な説明を省略する。その後、本実施形態に係る半導体記憶装置2による演算処理を説明する。ビット演算処理の一例として、ラッチ回路ADLに格納されるデータと、ラッチ回路BDLに格納されるデータと、ラッチ回路CDLに格納されるデータのAND演算処理を行い、その結果をラッチ回路SDLに格納する処理について、
図7に示されるセンスアンプユニットSAU及び
図8に示されるラッチ回路SDLの回路図を用いて説明する。なお、
図17のセンスアンプユニットSAU101に示されるデータの場合、この演算処理の結果は1であり、センスアンプユニットSAU102~104に示されるデータの場合、この演算処理の結果は0である。
【0198】
図18は、この演算処理を実行するときの、横軸を時間とし、縦軸を電位とするバス信号線であるLBUS、ノードであるVLOP及びゲート信号LSLの電位波形を示すグラフである。
【0199】
まず時刻t0において、LBUS、SEN1を含む信号線及びSEN2を含む信号線をプリチャージする。具体的には、シーケンサ41は、ゲート信号LPCをTR5に供給し、TR5をオンすることにより、LBUSを、プリチャージする。シーケンサ41は、さらに、ゲート信号SPCをTR7に供給しTR7をオンし、かつ、ゲート信号S2SをTR8に供給しTR8をオンすることにより、SEN1を含む信号線及びSEN2を含む信号線を、プリチャージする。ここで他のトランジスタはオフ状態である。ただし仮にラッチ回路SDLに初期値として1(High)が格納されていた場合、INV_Sである0(Low)がpチャネルMOSトランジスタであるTR17のゲートに供給されるから、TR17はオン状態である。
【0200】
続いて時刻t1において、ラッチ回路ADLのデータをLBUSに出力する。具体的には、シーケンサ41は、ラッチ回路ADLにおける
図8の各トランジスタにゲート信号を供給することにより、TR18、TR19及びTR21をオン状態にし、TR20をオフ状態にする。その結果、ラッチ回路ADLに格納されているデータの反転データ(インバースデータ)がLBUSに供給される。
図17のセンスアンプユニットSAU101に示されるデータの場合、ラッチ回路ADLは1(High)を格納しているから、反転データが供給されるLBUSはLowになる。したがってLBUSはラッチ回路ADLのVSSのノードに接続されることとなるためディスチャージされ、
図18に示されるようにLBUSの電位は低下する(なお、ラッチ回路ADLが0(Low)を格納している場合の波形を破線で示す)。シーケンサ41は、同時に、ゲート信号S2Sに基づいてTR8をオフ状態にする。このためSEN1及びSEN2は共にHigh状態であるが、SEN1とSEN2とは絶縁している。
【0201】
続いて時刻t2においてシーケンサ41は、ゲート信号LSLに基づいてTR3をオン状態にする。一方でLBUSは、
図18に示されるとおりLowであるからTR4はオフ状態である。また、TR3とTR4との間には寄生容量が存在する。ここでTR3のドレインはSEN2に接続されているから、SEN2を含む信号線に蓄積されていたチャージは、TR3とTR4との間の寄生容量に蓄積される。このチャージシェアにより、SEN2は、High状態であるものの寄生容量に応じて電位が低下する。
【0202】
以上の動作により、ラッチ回路ADLに格納されていたデータである1(High)は、SEN2に転送された。
【0203】
続いて時刻t3において、次の処理のために、LBUSをプリチャージする。具体的には、シーケンサ41は、ゲート信号LPCをTR5に供給し、TR5をオンすることによりLBUSをプリチャージする。その結果LBUSの電位は、
図18に示されるとおり、Highになる。またシーケンサ41は、ゲート信号LSLに基づいて(Highのゲート信号LSLの供給を停止して)TR3をオフ状態にする。
【0204】
ここでTR4のゲートはバス信号線であるLBUSに接続されているため、LBUSがプリチャージされたことに伴いTR4はオン状態になる。また、同図に示されるとおりVLOPは、Low(例えばVSS)の状態を維持している。このため、TR3とTR4との間の寄生容量に蓄積していた電荷は、VLOPを介してディスチャージされる。
【0205】
続いて時刻t4において、今度はラッチ回路BDLのデータをLBUSに出力する。具体的には、シーケンサ41は、ラッチ回路BDLにおける
図8の各トランジスタにゲート信号を供給することにより、TR18、TR19及びTR21をオン状態にし、TR20をオフ状態にする。その結果、ラッチ回路BDLに格納されているデータの反転データ(インバースデータ)がLBUSに供給される。
図17のセンスアンプユニットSAU101に示されるデータの場合、ラッチ回路BDLは1(High)を格納しているから、反転データが供給されるLBUSはLowになる。したがってLBUSはラッチ回路BDLのVSSのノードに接続されることとなるためディスチャージされ、
図18に示されるようにLBUSの電位は低下する。
【0206】
続いて時刻t5においてシーケンサ41は、再度ゲート信号LSLに基づいてTR3をオン状態にする。一方でLBUSは、
図18に示されるとおりLowであるからTR4はオフ状態である。またTR3とTR4の間の寄生容量に蓄積されていた電荷は既にディスチャージされている。このためSEN2を含む信号線に蓄積されていたチャージは、TR3とTR4との間の寄生容量に再度蓄積される。このチャージシェアにより、SEN2は、High状態であるものの寄生容量に応じてさらに電位が低下する。
【0207】
このため、以上の動作により、ラッチ回路ADLに格納されていたデータである1(High)と、ラッチ回路BDLに格納されていたデータである1(High)の論理積である1(High)は、SEN2に転送された。しかしながらSEN2の電位は、さらに低下することとなる。
【0208】
続いて時刻t6において、次の処理のために、TR5をオンすることによりLBUSを再度プリチャージすると、LBUSの電位が
図18に示されるとおりHighになる。またシーケンサ41は、ゲート信号LSLに基づいて(Highのゲート信号LSLの供給を停止して)TR3をオフ状態にする。また、同図に示されるとおりVLOPは、Low(例えばVSS)の状態を維持している。するとLBUSがプリチャージされたことに伴いTR4はオン状態になるため、TR3とTR4との間の寄生容量に蓄積していた電荷は、VLOPを介して再度ディスチャージされてしまう。
【0209】
そして時刻t7において、今度はラッチ回路CDLのデータをLBUSに出力するため、シーケンサ41は、ラッチ回路CDLにおける
図8の各トランジスタにゲート信号を供給することにより、TR18、TR19及びTR21をオン状態にし、TR20をオフ状態にして、ラッチ回路BDLに格納されているデータの反転データ(インバースデータ)をLBUSに供給する。
図17のセンスアンプユニットSAU101に示されるデータの場合、ラッチ回路CDLは1(High)を格納しているから、反転データが供給されるLBUSはLowになる。
【0210】
続いて時刻t8においてTR3がオン状態になると、SEN2を含む信号線に蓄積されていたチャージは、TR3とTR4との間の寄生容量に再度蓄積される。このチャージシェアにより、SEN2は、さらに電位が低下してしまう。
以降は、演算処理を反映したSEN2の電位をラッチ回路SDLに格納するための処理が実行される。まず、TR5をオンすることによりLBUSを再度プリチャージする。
【0211】
続いてシーケンサ41は、TR5をオフすることによりLBUSをフローティング状態にする。
【0212】
その後シーケンサ41は、TR1をオンにする。その結果、SEN2がHighの場合、TR1及びTR2がオン状態となるから、LBUSにチャージされていた電荷は、VLOPを介してディスチャージされ、Lowとなる。このときシーケンサ41は、ラッチ回路SDLのTR18及びTR21をオン状態にし、TR19及びTR20をオフ状態にする。その結果、ラッチ回路SDLのINV_SとLBUSとが接続されるため、LBUSがLowのときLAT_SはHighとなる。このためラッチ回路SDLは、1(High)のデータを格納することとなる。
【0213】
以上のとおりであるから、格納されるデータの値によってはSEN2がHighの状態を維持するような演算処理を実行するケースが必ず生じるところ、比較例に係る半導体記憶装置によるビット演算処理の場合、演算処理を行う度に演算結果を反映したデータを保持するSEN2の電位が低下してしまうため、SEN2の電位に基づいて本来オンにされるTR2がオフ状態になってしまう結果、正しい演算結果を取得できなくなるか、又は、SEN2の電位を大きく低下させないために演算処理の回数が限定されてしまうという課題があった。
【0214】
[実施形態に係るビット演算処理]
続いて実施形態に係る半導体記憶装置2によるビット演算処理を説明する。比較例と同様、ラッチ回路ADLに格納されるデータと、ラッチ回路BDLに格納されるデータと、ラッチ回路CDLに格納されるデータのAND演算処理を行い、結果をラッチ回路SDLに格納する処理について、
図7に示されるセンスアンプユニットSAU及び
図8に示されるラッチ回路SDLの回路図を用いて説明する。
【0215】
図19は、この演算処理を実行するときの、横軸を時間とし、縦軸を電位とするバス信号線であるLBUS、ノードであるVLOP及びゲート信号LSLの電位波形を示すグラフである。
図20、
図21A、
図22乃至
図30、
図31Aは,各タイミングにおいて電流の流れる方向を破線の矢印示す回路図である。これら図において下線が引かれたトランジスタはオン状態であることを示し、下線が引かれていないトランジスタはオフ状態であることを示す。
【0216】
まず時刻t0(
図20)において、LBUS、SEN1を含む信号線及びSEN2を含む信号線をプリチャージする。具体的には
図20に示されるように、シーケンサ41は、ゲート信号LPCをTR5に供給し、TR5をオンすることにより、LBUSを、プリチャージする。シーケンサ41は、さらに、ゲート信号SPCをTR7に供給しTR7をオンし、かつ、ゲート信号S2SをTR8に供給しTR8をオンすることにより、SEN1を含む信号線及びSEN2を含む信号線を、プリチャージする。
【0217】
図19に示されるようにこのとき半導体記憶装置2は、例えばシーケンサ41を用いて、電源ノード(例えばVDD_LPC)と、VLOPとを接続するトランジスタを制御するゲート信号に基づいてVLOPを含む信号線を、例えばVDDの電位を有するようにチャージする。
【0218】
このように半導体記憶装置2は、LBUSをプリチャージするときに、LBUSに接続するゲートを有するTR4の一端(ソース)に接続されるノードであるVLOPをチャージ可能に構成されている。このため、
図20に示されるTR3とTR4との間の寄生容量を予め充電(チャージ)することが可能となる。このためTR3をオンしてSEN2とTR3とTR4との間の寄生容量が接続されたときに、SEN2を含む信号線にチャージがチャージシェアされて寄生容量をチャージしてしまうことを抑制することが可能となる。なお、他のトランジスタはオフ状態である。ただし仮にラッチ回路SDLに初期値として1(High)が格納されていた場合、INV_Sである0(Low)がpチャネルMOSトランジスタであるTR17のゲートに供給されるから、TR17はオン状態である。
【0219】
続いて時刻t1(
図21A及び
図21B)において、ラッチ回路ADLのデータをLBUSに出力する。具体的には、シーケンサ41は、ラッチ回路ADLにおける
図8の各トランジスタにゲート信号を供給することにより
図21Bに示されるように、TR18、TR19及びTR21をオン状態にし、TR20をオフ状態にする。その結果、ラッチ回路ADLに格納されているデータの反転データ(インバースデータ)がLBUSに供給される。
図17のセンスアンプユニットSAU101に示されるデータの場合、ラッチ回路ADLは1(High)を格納しているから、反転データが供給されるLBUSはLowになる。すなわちLBUSはラッチ回路ADLのVSSのノードに接続されることとなるためディスチャージされ、
図19に示されるLBUSの電位は低下する。シーケンサ41は、同時に、ゲート信号S2Sに基づいてTR8をオフ状態にする。このため
図21Aに示されるようにSEN1及びSEN2は共にHigh状態であるが、SEN1とSEN2とは絶縁している。
【0220】
続いて時刻t2(
図22)においてシーケンサ41は、ゲート信号LSLに基づいてTR3をオン状態にする。一方でLBUSは、
図19に示されるとおりLowであるからTR4はオフ状態である。ここでTR3のドレインはSEN2に接続されているから、
図22に示されるようにSEN2は、TR3とTR4との間の寄生容量を有する領域と接続する。しかしながら、既にTR3とTR4との間の寄生容量が予め充電されているので、SEN2を含む信号線に蓄積されていたチャージがシェアされてしまうことが抑制される。このため、SEN2の電位低下を抑制することが可能となる。
【0221】
以上の動作により、ラッチ回路ADLに格納されていたデータである1(High)は、SEN2に転送された。
【0222】
続いて時刻t3(
図23)において、次の処理のために、LBUSをプリチャージする。具体的には、シーケンサ41は、ゲート信号LPCをTR5に供給し、TR5をオンすることによりLBUSをプリチャージする。その結果LBUSの電位は、
図19に示されるとおり、Highになる。またシーケンサ41は、ゲート信号LSLに基づいて(Highのゲート信号LSLの供給を停止して)TR3をオフ状態にする。
【0223】
このとき半導体記憶装置2は、例えばシーケンサ41を用いて、電源ノード(例えばVDD_LPC)と、VLOPとを接続するトランジスタを制御するゲート信号に基づいてVLOPを含む信号線を、例えばVDDの電位を有するようにチャージする。
【0224】
このように半導体記憶装置2は、LBUSをプリチャージするときに、LBUSに接続するゲートを有するTR4の一端(ソース)に接続されるノードであるVLOPに電圧を印加可能に構成されている。このため、TR3とTR4との間の寄生容量に蓄積されていた電荷がVLOPを介してディスチャージされてしまうことを抑制することが可能となる。また、仮にTR3とTR4との間の寄生容量がチャージされていない場合は、VLOPに電圧を印加することにより、TR3とTR4との間の寄生容量を充電(チャージ)することが可能となる。この結果、再度TR3をオンしても、TR3とTR4との間の寄生容量によるチャージシェアのために、SEN2の電位が低下してしまうことを抑制することが可能となる。
【0225】
続いて時刻t4(
図24)において、今度はラッチ回路BDLのデータをLBUSに出力する。具体的には、シーケンサ41は、
図21Bに示されるラッチ回路ADLと同一のハードウェア構成を有するラッチ回路BDLの各トランジスタにゲート信号を供給することにより、TR18、TR19及びTR21をオン状態にし、TR20をオフ状態にする。その結果、ラッチ回路BDLに格納されているデータの反転データ(インバースデータ)がLBUSに供給される。
図17のセンスアンプユニットSAU101に示されるデータの場合、ラッチ回路BDLは1(High)を格納しているから、反転データが供給されるLBUSはLowになる(
図24)。したがってLBUSはラッチ回路BDLのVSSのノードに接続されることとなるためディスチャージされ、
図19に示されるようにLBUSの電位は低下する。その後半導体記憶装置2は、シーケンサ41を用いて、例えば接地電位ノードとVLOPとを接続するトランジスタにゲート信号を送信してこのトランジスタをオンすることにより、VLOPを低電位(例えば接地電位)の状態にさせる。
【0226】
同図に示されるように、このようにTR20をオフ状態にしてLBUSをLowにした後に、VLOPをLowにすることにより、TR3とTR4との間の寄生容量に蓄積した電荷がVLOPを介してディスチャージされてしまうことを抑制することが可能となる。
【0227】
続いて時刻t5(
図25)においてシーケンサ41は、再度ゲート信号LSLに基づいてTR3をオン状態にする。一方でLBUSは、
図25に示されるとおりLowであるからTR4はオフ状態である。ここでTR3とTR4の間の寄生容量には予め電荷が蓄積されている。このためSEN2を含む信号線に蓄積されていたチャージがTR3とTR4との間の寄生容量に蓄積されることを抑制することが可能となる。
【0228】
以上の動作により、ラッチ回路ADLに格納されていたデータである1(High)と、ラッチ回路BDLに格納されていたデータである1(High)の論理積である1(High)は、SEN2に転送された。
【0229】
続いて時刻t6(
図26)において、次の処理のために、LBUSをプリチャージする。プリチャージ時の動作は、時刻t3における動作と同様であるため詳細な説明を省略するが、半導体記憶装置2は、LBUSをプリチャージすると共に、VLOPを含む信号線をプリチャージする。このため、TR3とTR4との間に電荷が蓄積されていた場合、VLOPを介してディスチャージされてしまうことを抑制することが可能となり、また、TR3とTR4との間の寄生容量がチャージされていない場合、VLOPに電圧を印加することにより、TR3とTR4との間の寄生容量をチャージすることが可能となる。
【0230】
続いて時刻t7(
図27)において、今度はラッチ回路CDLのデータをLBUSに出力する。ラッチ回路のデータをLBUSに出力する時の動作は、時刻t4における動作と同様であるため詳細な説明を省略するが、シーケンサ41は、
図21Bに示されるラッチ回路ADLと同一のハードウェア構成を有するラッチ回路CDLの各トランジスタにゲート信号を供給することにより、TR18、TR19及びTR21をオン状態にし、TR20をオフ状態にして、ラッチ回路CDLに格納されているデータの反転データ(インバースデータ)をLBUSに供給する。このためラッチ回路CDLが1(”High“)を格納しているときLBUSの電位は低下する。また半導体記憶装置2は、LBUSの電位が低下した後に、VLOPの電位が低下するように制御する。
【0231】
続いて時刻t8(
図28)においてシーケンサ41は、再度ゲート信号LSLに基づいてTR3をオン状態にする。一方でLBUSは、
図28に示されるとおりLowであるからTR4はオフ状態である。ここでTR3とTR4の間の寄生容量には予め電荷が蓄積されている。このためSEN2を含む信号線に蓄積されていたチャージがTR3とTR4との間の寄生容量に蓄積されることを抑制することが可能となる。
【0232】
以上の動作により、ラッチ回路ADLに格納されていたデータである1(High)と、ラッチ回路BDLに格納されていたデータである1(High)と、ラッチ回路CDLに格納されていたデータである1(High)の論理積である1(High)は、SEN2に転送された。なお、いずれかのラッチ回路に格納されていたデータが0(Low)の場合、LBUSがHighとなる結果、TR4がオンするため、0(Low)がSEN2に転送されることとなる。また、ラッチ回路内に格納されているデータの反転データ(インバースデータ)をLBUSに供給することに替えて、格納されているデータをLBUSに供給することによりNAND演算等も可能になる。
【0233】
続いて時刻t9(
図29)において、次の処理のために、LBUSをプリチャージする。プリチャージ時の動作は、時刻t3における動作と同様であるため詳細な説明を省略するが、半導体記憶装置2は、LBUSをプリチャージすると共に、VLOPを含む信号線をプリチャージする。ただしその後にLSIを使用したまたは前述した演算処理がない場合、VLOPを含む信号線をプリチャージしなくてもよい。
【0234】
続いてシーケンサ41は、TR5をオフすることによりLBUSをフローティング状態にする。このとき
図30に示されるように、LBUSとソースまたはドレインが接続されているトランジスタであるTR5等のトランジスタはオフ状態であるから、HighのLBUSはフローティング状態となる。なお、SEN2とソースまたはドレインが接続されているトランジスタであるTR8等のトランジスタもオフ状態であるから、SEN2もフローティング状態となる。
【0235】
図31Aに示されるように、続いてシーケンサ41は、ゲート信号STBをTR1に供給することによりTR1をオン状態にする。同時にシーケンサ41は、
図31B
ラッチ回路SDLにゲート信号STI及びSLLを供給してTR18及びTR21をオン状態にし、その他のトランジスタであるTR19及びTR21をオフ状態にする。こにれより、ラッチ回路SDLのインバースノードであるINV_SがLBUSに接続される。
【0236】
ここでTR2のゲートは、センスノードであるSEN2に接続されているためTR2は、SEN2の電位を制御信号(ゲート信号)として受信可能に構成されている。このためTR2は、SEN2の電位に応じてオン状態またはオフ状態となる。
【0237】
上記のとおりここでSEN2はHighであるから、TR2はオン状態となる。このため、LBUSに蓄積されていた電荷は、VLOPを介してディスチャージされる。このためLBUSはLowになる(
図31A)。なお演算結果がLowである場合、SEN2はLowであるから、TR2はオフ状態となりしたがってLBUSはHighを維持する。
【0238】
したがって、ラッチ回路SDLのINV_Sは、Lowとなる。このため、ラッチ回路SDLのLAT_Sは、Highとなる。このため、SEN2を含む信号線に格納されていた演算結果は、ラッチ回路SDLに転送された。
【0239】
以上のとおりであるから本実施形態に係る半導体記憶装置2によれば、演算処理を行う度に演算結果を反映したデータを保持するSEN2の電位が大きく低下してしまい、誤演算を招くことを抑制することが可能となる。このためスキャン動作を精度良く実行することが可能となる半導体装置が提供される。
【0240】
[第2実施形態]
以下本実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。ただし他の実施形態に示された構成と同一又は同様の構成又は機能を有する要素については、同一又は同様の符号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0241】
図32は、本実施形態に係る半導体記憶装置のセンスアンプ部SAを示している。第1実施形態において第1ノードに相当するVLOPは、TR2のソース及びTR4のソースとそれぞれ接続していた。本実施形態において、TR2のソースとTR4のソースとは、分離しており、絶縁されている。このためTR2のソースに接続するノードであるVLOPと、TR4のソースに接続するノードであるVLSRC(「第1ノード」の一例)は、絶縁している。
【0242】
また、VLSRCを含む信号線は、充電(チャージ)可能に、かつ、放電(ディスチャージ)可能に構成されている。チャージするための構成として、センスアンプ部SAは、電源ノード(例えばVDD_LPC)と、VLSRCを含む信号線とを接続するトランジスタ(不図示)を備えてよい。このトランジスタを制御するゲート信号に基づいてこのトランジスタがオンになるとVLSRCを含む信号線は、VDDの電位を有するようにチャージされる。同様にディスチャージするための構成として、センスアンプ部SAは、接地電位ノードと、VLSRCを含む信号線とを接続するトランジスタを備えてよい。このトランジスタを制御するゲート信号に基づいてこのトランジスタがオンになるとVLSRCは、ディスチャージされ、低電位(例えば接地電位)の状態になる。
【0243】
VLOPは、TR2のソース及びC11の他方の電極に接続される。また、VLOPを含む信号線は、充電(チャージ)可能に、かつ、放電(ディスチャージ)可能に構成されている。チャージするための構成として、センスアンプ部SAは、電源ノード(例えばVDD_LPC)と、VLOPとを接続するトランジスタ(不図示)を備えてよい。このトランジスタを制御するゲート信号に基づいてこのトランジスタがオンになるとVLOPを含む信号線は、VDDの電位を有するようにチャージされる。同様にディスチャージするための構成として、センスアンプ部SAは、接地電位ノードと、VLOPとを接続するトランジスタを備えてよい。このトランジスタを制御するゲート信号に基づいてこのトランジスタがオンになるとVLOPは、ディスチャージされ、低電位(例えば接地電位)の状態になる。
【0244】
以上のような構成においても、第1実施形態に係る半導体記憶装置2と同様に動作させることにより(ただし
図19の「VLOP」は「VLSRC」に読み替える。同様に第1実施形態における「VLOP」は「VLSRC」に読み替える。)、半導体記憶装置2と同様に、演算処理を行う度に演算結果を反映したデータを保持するSEN2の電位が大きく低下してしまい、誤演算を招くことを抑制することが可能となる。このためスキャン動作を精度良く実行することが可能となる半導体装置が提供される。
【0245】
また、TR2のソースに接続するノードであるVLOPと、TR4のソースに接続するノードであるVLSRCが分離して設けられているから、VLSRCを含む信号線を、VLOPと独立して、チャージし、または、ディスチャージすることが可能となる。
【0246】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0247】
2:半導体記憶装置、41:シーケンサ、110:メモリセルアレイ、120:センスアンプ、MT:メモリセルトランジスタ。