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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136644
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/318 20060101AFI20240927BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20240927BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240927BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20240927BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20240927BHJP
   H10B 12/00 20230101ALI20240927BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L21/318 B
H01L29/78 613B
H01L29/78 617V
H01L29/78 618B
H01L29/78 626A
H01L27/06 102A
H01L27/088 E
H01L27/088 331E
H10B12/00 621
H10B12/00 621B
H01L21/31 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047815
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100121843
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 賢郎
(72)【発明者】
【氏名】戸田 将也
(72)【発明者】
【氏名】松尾 和展
(72)【発明者】
【氏名】ホアン ハ
(72)【発明者】
【氏名】高橋 恒太
(72)【発明者】
【氏名】虎谷 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】森山 和歌子
【テーマコード(参考)】
5F045
5F048
5F058
5F083
5F110
【Fターム(参考)】
5F045AA06
5F045AA15
5F045AB33
5F045AC02
5F045AC05
5F045AC12
5F045AD08
5F045EE19
5F045HA01
5F045HA02
5F048AA01
5F048AB01
5F048AC01
5F048AC10
5F048BA01
5F048BA14
5F048BA16
5F048BA19
5F048BA20
5F048BB01
5F048BB09
5F048BB11
5F048BB14
5F048BB19
5F048BC18
5F048BD07
5F048BF02
5F048BF07
5F048BF12
5F048BF15
5F048BF16
5F048BF17
5F048CB01
5F048CB02
5F048CB07
5F048CB10
5F058BA20
5F058BC08
5F058BE02
5F058BE10
5F058BF04
5F058BF24
5F058BF30
5F058BF37
5F083AD02
5F083AD03
5F083AD15
5F083AD18
5F083AD21
5F083AD28
5F083AD31
5F083GA09
5F083GA10
5F083JA01
5F083JA12
5F083JA33
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA39
5F083JA40
5F083KA01
5F083KA05
5F083PR21
5F110AA04
5F110AA26
5F110BB05
5F110BB06
5F110BB11
5F110CC09
5F110DD05
5F110EE01
5F110EE02
5F110EE04
5F110EE07
5F110FF01
5F110FF02
5F110FF03
5F110FF09
5F110FF12
5F110FF27
5F110GG01
5F110GG22
5F110HK01
5F110HK02
5F110HK04
5F110HK06
5F110HK07
5F110HK21
5F110HL01
5F110HL02
5F110HL04
5F110HL06
5F110HL07
5F110HM02
5F110HM12
5F110NN22
5F110NN23
5F110NN24
5F110NN72
5F110NN74
5F110NN75
5F110QQ11
5F110QQ19
(57)【要約】
【課題】金属を含む膜におけるウィスカの発生を抑制することが可能な半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、成膜装置のチャンバーに、インジウムが露出する第1表面と金属が露出する第2表面とを有する構造を含む基板を搬入することと、第1温度で前記チャンバーにインジウムの還元ガスを供給することと、前記還元ガスを供給した後に、前記第1温度より高い第2温度で前記チャンバーに膜形成用ガスを供給することと、を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成膜装置のチャンバーに、インジウムが露出する第1表面と第1金属が露出する第2表面とを有する構造を含む基板を搬入することと、
第1温度で前記チャンバーにインジウムの還元ガスを供給することと、
前記還元ガスを供給した後に、前記第1温度より高い第2温度で前記チャンバーに膜形成用ガスを供給することと、を含む、
半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1金属は、タングステンを含む、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記還元ガスを供給した後、前記チャンバーを大気開放せずに前記膜形成用ガスを供給する、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記膜形成用ガスは、前記還元ガスを含む、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2温度は、摂氏400度以上である、
請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記膜形成用ガスの供給は、ケイ素を含有する第1ガスの供給と、窒素を含有する第2ガスの供給とを繰り返すことを含む、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記還元ガスの供給は、第1時間にわたって行われ、
前記膜形成用ガスの供給は、前記第1時間の長さ未満の第2時間にわたって前記第1ガスを供給することと、前記第1時間の長さ未満の第3時間にわたって前記第2ガスを供給することと、を繰り返すことを含む、
請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第2時間は、前記第1時間の0.2倍以下である、
請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1ガスと、前記還元ガスとは同じガス種である、
請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記半導体装置の製造方法は、
前記還元ガスを供給した後であって、前記第2温度で前記膜形成用ガスを供給する前に、前記第2温度未満の温度で前記膜形成用ガスを供給することをさらに含む、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記半導体装置の製造方法は、
前記還元ガスを供給する前に、前記第2温度未満の第3温度で窒素を含有する第4ガスを供給することをさらに含む、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記半導体装置の製造方法は、
前記還元ガスを供給した後であって、前記第2温度で前記膜形成用ガスを供給する前に、前記第1温度以下の第4温度で窒素を含有する第3ガスを供給することをさらに含む、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記半導体装置の製造方法は、
前記還元ガスを供給する前に、エッチングによって、インジウムが露出する前記第1表面を含む底面と、前記第1金属が露出する前記第2表面を含む側面とを有する構造を形成することをさらに含む、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記半導体装置の製造方法は、
前記膜形成用ガスを供給した後、前記基板をチャンバーから搬出することと、
前記チャンバーから搬出した前記基板に酸化物半導体を形成することと、をさらに含み、
前記酸化物半導体は前記第1表面に接続し、かつ、前記膜形成用ガスの供給によって形成された膜を介して前記第2表面に対向する、
請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第3温度は、摂氏350度以下である、
請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の中には、インジウムの酸化物を含む膜及びタングステンを含む膜が形成されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開US2020/0185386号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開US2021/0125988号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開US2022/0102505号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体装置の製造プロセスにおいて、タングステンなどの金属を含む膜にインジウムが付着したとき、ウィスカが発生しやすくなることがある。
【0005】
本開示は、金属を含む膜におけるウィスカの発生を抑制することが可能な半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る半導体装置の製造方法は、成膜装置のチャンバーに、インジウムが露出する第1表面と金属が露出する第2表面とを有する構造を含む基板を搬入することと、第1温度で前記チャンバーにインジウムの還元ガスを供給することと、前記還元ガスを供給した後に、前記第1温度より高い第2温度で前記チャンバーに膜形成用ガスを供給することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係るメモリセルアレイの回路構成例を説明するための回路図である。
図2】第1実施形態に係る半導体記憶装置の構造例を説明するための断面模式図であり、ZX面に平行な断面図を示す。
図3】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図4】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図5】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図6】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図7】第1実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図8】半導体装置の製造プロセスにおける課題の一例を示す模式図である。
図9】半導体装置の製造プロセスにおける課題の一例を示す模式図である。
図10】半導体装置の製造プロセスにおける課題の一例を示す模式図である。
図11】第1実施形態に係る半導体装置におけるインジウムの還元ガスとITOとの反応を説明するための模式図である。
図12】第1実施形態に係る半導体装置におけるインジウムの還元ガスとITOとの反応を説明するための模式図である。
図13】第2実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図14】第3実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図15】第4実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図16】第5実施形態に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0009】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成について説明する。各図面には、X軸、Y軸及びZ軸を示すことがある。X軸、Y軸及びZ軸は、右手系の3次元の直交座標を形成する。以下、X軸の矢印方向をX軸+方向、矢印とは逆方向をX軸-方向と呼ぶことがあり、その他の軸についても同様である。なお、Z軸+方向及びZ軸-方向を、それぞれ「上方」及び「下方」と呼ぶこともある。また、X軸、Y軸又はZ軸にそれぞれ直交する面を、YZ面、ZX面又はXY面と呼ぶことがある。また、Z軸方向を「上下方向」と呼ぶことがある。「上方」、「下方」及び「上下方向」は、あくまで図面内での相対的位置関係を示す用語であり、鉛直方向を基準とした向きを定める用語ではない。
【0010】
本明細書において「接続」とは物理的な接続だけでなく電気的な接続も含み、特に指定する場合を除き、直接接続だけでなく間接接続も含む。
【0011】
第1実施形態に係る半導体記憶装置101は、OS-RAM(Oxide Semiconductor-Random Access Memory)であって、メモリセルアレイを備える。
【0012】
図1に示すように、メモリセルアレイは、複数のメモリセルMCと、複数のワード線WLと、複数のビット線BLと、を含む。
【0013】
図1には、複数のワード線WLの一例として、ワード線WL、ワード線WLn+1及びワード線WLn+2が示される(ここで、nは正の整数である)。また、図1には、ビット線BLの一例として、ビット線BL、ビット線BLm+1及びビット線BLm+2が示される(ここで、mは正の整数である)。なお、複数のメモリセルMCの個数は、図1に示す個数に限定されない。
【0014】
複数のメモリセルMCは、例えばマトリクス状に配列されることにより、メモリセルアレイを形成する。メモリセルMCは、電界効果トランジスタ(FET)であるメモリトランジスタMTRと、メモリキャパシタMCPと、を含む。
【0015】
行方向に沿って設けられる一連のメモリセルMCは、自己の属する行(例えば第n行)に対応するワード線WL(例えばワード線WL)に接続される。列方向に沿って設けられる一連のメモリセルMCは、自己の属する列(例えば第m+2列)に対応するビット線BL(例えばビット線BLm+2)に接続される。
【0016】
詳細には、メモリセルMCに含まれるメモリトランジスタMTRのゲートは、当該メモリセルMCの属する行に対応するワード線WLに接続される。メモリトランジスタMTRのソース又はドレインの一方は、当該メモリセルMCの属する列に対応するビット線BLに接続される。
【0017】
メモリセルMCに含まれるメモリキャパシタMCPの一方の電極は、当該メモリセルMCに含まれるメモリトランジスタMTRのソース又はドレインの他方に接続される。メモリセルMCの他方の電極は、特定の電位を供給する電源線(図示しない)に接続される。
【0018】
メモリセルMCは、対応するワード線WLの電位に基づくメモリトランジスタMTRのスイッチングにより、対応するビット線BLを流れる電流によるメモリキャパシタMCPへの電荷の蓄積によってデータを保持可能に構成される。
【0019】
図2に示すように、半導体記憶装置101は、半導体基板10と、回路11と、キャパシタ20と、半導体装置30と、導電体33と、絶縁層34、35、45及び63と、を備える。
【0020】
キャパシタ20は、導電体21と、絶縁膜22(「誘電膜」の一例)と、導電体23と、キャパシタ電極24(「第1キャパシタ電極」の一例)及びキャパシタ電極25(「第2キャパシタ電極」の一例)と、を含む。
【0021】
半導体装置30は、電界効果トランジスタ40(「半導体素子」の一例)と、電界効果トランジスタ40の上方に設けられる上部電極50と、電界効果トランジスタ40の下方に設けられる下部電極32(「第2導電膜」の一例)と、を含む。
【0022】
電界効果トランジスタ40は、チャネルに相当する酸化物半導体層70(「酸化物半導体」の一例)と、ゲート絶縁膜43(「膜」の一例)と、導電層42(「ゲート電極」の一例)と、を含む。
【0023】
酸化物半導体層70は、絶縁層45の中に形成され、上端70a(「第1端」の一例)及び下端70b(「第2端」の一例)を有する。酸化物半導体層70は、下端70bから上端70aへ向かうZ軸+方向(「第1方向」の一例)に延伸する柱状体である。酸化物半導体層70は、電界効果トランジスタ40のチャネルを形成し、酸化物半導体層70は、アモルファス構造を有する。
【0024】
導電層42は、電界効果トランジスタ40のゲート電極として機能し、酸化物半導体層70の上端70aと下端70bとの間にゲート絶縁膜43を介して対向する。導電層42は、ワード線WL(図1参照)に相当し、Y軸と平行な延伸軸に沿って延びる。
【0025】
ゲート絶縁膜43は、例えばシリコンと窒素とを含有するシリコン窒化膜(Si)である。
【0026】
上部電極50は、酸化物半導体層70に対するZ軸+方向に形成される。上部電極50は、金属酸化物層50a(「第1導電膜」の一例)と、バリアメタル層50bと、金属膜50cと、を含む。
【0027】
金属膜50cは、タングステン(W)(「第1金属」の一例)を含む。金属酸化物層50aは、金属膜50cと酸化物半導体層70の上端70aとの間に形成される。金属酸化物層50aは、インジウムを含む。金属酸化物層50aは、例えば、インジウムと酸素とを含む。金属酸化物層50aは、例えば、金属酸化物を含む。金属酸化物は、例えば、インジウム及び錫を金属元素として含む。本実施形態では、金属酸化物層50aは、インジウム-錫-酸化物(ITO)によって形成される。
【0028】
バリアメタル層50bは、チタン及び窒素を含み、金属酸化物層50aと金属膜50cとの間に形成される。本実施形態では、バリアメタル層50bは、例えば窒化チタン(TiN)によって形成される。
【0029】
導電層51は、上部電極50の上方の面の少なくとも一部に接するように形成される。導電層51は、ビット線BL(図1参照)に相当し、X軸と平行な延伸軸に沿って延びる。
【0030】
絶縁層63は、絶縁層45の上方に形成される。絶縁層63は、上部電極50及び導電層51を覆う。
【0031】
下部電極32は、酸化物半導体層70の下端70b(「第2端」の一例)に接する。下部電極32は、インジウムを含む。下部電極32は、例えば、インジウムと酸素とを含む。下部電極32は、例えば、金属酸化物を含む。下部電極32は、例えば、インジウム-錫-酸化物すなわちITO(「インジウムの酸化物」の一例)などの金属酸化物を含むITO層によって形成される。
【0032】
回路11は、半導体記憶装置101の複数のメモリセルMCすなわちキャパシタ20及び電界効果トランジスタ40のうち、所定のメモリセルMCを選択するためのデコーダ、ビット線BLに接続されるセンスアンプ、SRAMから構成されるレジスタなどの周辺回路を構成する。回路11は、CMOSプロセスで形成されたPチャネル型電界効果トランジスタ(Pch-FET)及びNチャネル型電界効果トランジスタ(Nch-FET)の電界効果トランジスタを有するCMOS回路を含んでよい。
【0033】
回路11の電界効果トランジスタは、例えば単結晶シリコン基板などの半導体基板10を用いて形成可能である。Pch-FET及びNch-FETは、半導体基板10にチャネル領域とソース領域とドレイン領域とを有し、半導体基板10の表面に近接した領域において半導体基板10の表面と略平行なX軸方向又はY軸方向にキャリアを流すためのチャネルを有する、いわゆる、横型の電界効果トランジスタである。なお、半導体基板10はP型乃至N型の導電型を有していてもよい。なお、図2は、便宜のため、回路11の電界効果トランジスタの一例を図示する。
【0034】
キャパシタ20は、メモリセルMCに含まれるメモリキャパシタMCPである(図1参照)。図2には、4つのキャパシタ20を図示しているが、キャパシタ20の個数は、4つに限定されない。
【0035】
本実施形態では、キャパシタ20は、半導体基板10の上方に設けられる。キャパシタ20におけるキャパシタ電極24は、導電体21及び下部電極32に接続される。キャパシタ電極25は、キャパシタ電極24と対向する。絶縁膜22は、キャパシタ電極24とキャパシタ電極25との間に設けられる。
【0036】
キャパシタ20は、ピラー型キャパシタなどの3次元キャパシタである。なお、本実施形態のキャパシタとして、電荷を蓄積可能な構成を備える他のキャパシタを採用してもよい。
【0037】
導電体21は、下部電極32の下方の端面に当接し、当該端部から下方に延びる形状を有する。キャパシタ電極24は、下部電極32及び導電体21を覆うように形成される。絶縁膜22は、キャパシタ電極24を覆うように形成される。キャパシタ電極25は、絶縁膜22の下方の一部を包囲し、導電体23の上方の端面と当接する下端を有する。
【0038】
導電体21は、アモルファスシリコンなどの材料を含んでよい。絶縁膜22は、酸化ハフニウムなどの材料を含んでよい。導電体23並びにキャパシタ電極24及び25は、タングステン(W)及び窒化チタン(TiN)などの材料を含んでよい。
【0039】
導電体33は、回路11と半導体装置30とを電気的に接続する配線を含む。導電体33は、ビア配線を含んでよく、例えば図2に示されるようにZ軸方向に延伸し、ワード線WLと半導体基板10上に設けられる回路11とを接続するビア配線を有する。導電体33は、例えば銅を含む。
【0040】
絶縁層34は、複数のキャパシタ20間に設けられる。絶縁層34は、例えばシリコンと酸素とを含有するシリコン酸化膜である。
【0041】
絶縁層35は、絶縁層34の上方に設けられる。絶縁層35は、例えばシリコンと窒素とを含有するシリコン窒化膜である。
【0042】
半導体装置30は、キャパシタ20の上方に設けられる。半導体装置30における電界効果トランジスタ40は、メモリセルMCのメモリトランジスタMTRに相当する(図1参照)。
【0043】
半導体装置30では、電界効果トランジスタ40は、下部電極32の上方に設けられる。詳細には、電界効果トランジスタ40の酸化物半導体層70は、下部電極32に対して半導体基板10から離れる方向すなわち上方に位置する。
【0044】
上部電極50は、酸化物半導体層70に対して半導体基板10から離れる方向すなわち上方に位置する。このような構成を備えることにより、電界効果トランジスタ40は、半導体基板10の表面に略垂直なZ軸方向(上下方向)に延伸するチャネルを有する、いわゆる、縦型のトランジスタである。
【0045】
また、酸化物半導体層70は、酸素欠損がドナーとなる半導体であり、金属元素として、インジウム(In)と、亜鉛(Zn)と、ガリウム(Ga)と、を含む。詳細には、酸化物半導体層70は、インジウム、ガリウム及び亜鉛の酸化物すなわちIGZO(InGaZnO)である。なお、酸化物半導体層70は、他の種類の酸化物半導体であってもよい。
【0046】
なお、半導体装置30がキャパシタ20の上方に設けられる構造を示したが、キャパシタ20が半導体装置30の上方に設けられる構造であっても良い。
【0047】
[半導体装置の製造方法]
以下、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例として半導体装置30の製造方法について説明する。
【0048】
まず、図3に示すように、半導体基板上に形成された絶縁層45と導電層42とに対するエッチングによって、上下方向に貫通するように孔部71(「構造」の一例)が形成される。
【0049】
孔部71は、例えば、トランジスタホールである。孔部71の下方は底面71aとなっている。底面71aは、ITOが露出する表面151(「第1表面」の一例)を含む。具体的には、表面151は、孔部71が形成される際に露出した下部電極32の一部である。
【0050】
孔部71のX軸方向及びY軸方向は、側面71bとなっている。側面71bは、タングステンが露出する表面152(「第2表面」の一例)を含む。具体的には、表面152は、孔部71が形成される際に露出した導電層42の一部である。
【0051】
次に、孔部71にゲート絶縁膜43を形成する。ゲート絶縁膜43の形成は、図4に示すフローで行われる。まず、半導体装置30を含む半導体基板は、時刻t0において成膜装置に格納される(Load in)。成膜装置は、例えばAtomic Layer Deposition(ALD)を用いて膜を形成する。成膜装置は、半導体基板が搬入されるチャンバーを備える。チャンバーは、搬入された半導体基板が配置されるホルダを備える。さらに、ホルダの内部に設けられたヒータにより、半導体基板を加熱することが可能である。
【0052】
次に、時刻t10から時刻t11までのソーク期間T10において、ゲート絶縁膜43を形成する処理の前処理として、還元ガス供給処理が行われる。還元ガス供給処理では、表面151と表面152とを含む孔部71に、第1温度でインジウムの還元ガスが供給される。
【0053】
第1温度は、摂氏350度以下が好ましい。本実施形態では、第1温度は、例えば摂氏300度である。なお、本実施形態における温度とは、ヒータの設定温度である。
【0054】
インジウムの還元ガスは、例えば、無機材料系のガス及び有機材料系のガスである。無機材料系のガスは、例えば、Si-X結合を含む。ここで、Xは、F、Cl、Br、I及びAtのようなハロゲンである。
【0055】
無機材料系のガスは、例えばハロゲン化物である。無機材料系のガスは、例えば、HSiCl(trichlorosilane : TCS)、HSiCl(dichlorosilane: DCS)、(SiCl(hexachlorodisilane : HCD)、及びSiH(diiodosilane)である。
【0056】
有機材料系のガスは、例えば、C-H結合及びN-C-H結合の少なくとも一方を含む。具体的には、有機材料系のガスは、例えば、[(CHN]SiH(Tris(dimethylamino)silane:TrisDMAS)のようなSiHにアミノ基が3つ結合されたもの、[NH(C)]SiH(Bis(tertiary-butylamino)silane:BTBAS)のようなSiHにアミノ基が2つ結合されたもの、モノアミノシラン系材料、及びカーボン材料である。
【0057】
また、有機材料系のガスは、ケイ素を含まないものあっても良い。有機材料系のガスは、例えば、Al、Ti、Zr又はHfなどの金属と、アミノ基又はC-H結合を有するものと、が結合したものである。有機材料系のガスは、例えばトリメチルアルミニウム(Trimethylaluminium:TMA)である。
【0058】
ソーク期間T10における還元ガス供給処理では、チャンバー内の圧力は、10~2000Paである。インジウムの還元ガスは、例えば、HCDである。HCDは、Nガスとともにチャンバー内へ1~2000sccm(standard cc/min)で供給される。
【0059】
ソーク期間T10の長さ(「第1時間」の一例)は、1~30分である。本実施形態では、ソーク期間T10の長さは、例えば10分である。
【0060】
次に、時刻t11から時刻t20までの昇温期間T20において昇温処理が行われる。昇温処理では、半導体装置30が格納されたチャンバーを大気開放することなく半導体装置30の温度が第1温度から第2温度に昇温される。つまり、インジウムの還元ガスを供給することと、後述するゲート絶縁膜43を形成することとは、同一のチャンバー内で連続して実行される。なお、昇温期間T20においては、例えば、N2ガスがチャンバー内に供給される。
【0061】
次に、図4に示すように、時刻t20から時刻t21までの膜形成期間T30において膜形成処理が行われる。膜形成処理は、第1温度より高い第2温度で膜形成用ガスがチャンバーに供給されることによって行われる。図5に示すように、半導体装置30における孔部71にゲート絶縁膜43が形成される。
【0062】
詳細には、第2温度は、摂氏400度以上である。本実施形態では、第2温度は、例えば、摂氏450度である。
【0063】
ゲート絶縁膜43の形成は、第1時間の長さ未満の第2時間にわたって、ケイ素を含有する第1ガスを供給することと、第1時間の長さ未満の第3時間にわたって、窒素を含有する第2ガスを供給することとを繰り返すことを含む。ここで、第2時間は、第1時間の0.2倍以下である。第3時間は、第1時間の0.2倍以下である。
【0064】
第1ガスは、ソーク期間T10で用いた還元ガスと同じガス種のガスであっても良い。具体的には、第1ガスは、例えばHCDである。第2ガスは、例えばNHである。
【0065】
具体的には、膜形成処理では、シリコン供給材料である第1ガスの供給と、NH、N、N又はNなどの窒化剤である第2ガスの供給と、が順次繰り返される。
【0066】
本実施形態では、膜形成期間T30における膜形成処理では、ALD単位処理P300が繰り返し実行される。ALD単位処理P300は、例えば、100回程度繰り返される。
【0067】
ALD単位処理P300は、プロセスP1、P2、P3及びP4を含む。プロセスP1、P2、P3及びP4は、この順に実行される。
【0068】
プロセスP1では、第1ガスが第2時間、供給される。具体的には、第1ガスの一例であるHCDが供給される。なお、HCDの供給時間(「第2時間」の一例)は、例えば5秒以上30秒以下である。
【0069】
プロセスP2では、チャンバーが真空引きされた後、パージされる。なお、チャンバーの真空引き時間は、例えば、5秒以上60秒以内である。パージ時間は、例えば5秒以上60秒以下である。
【0070】
プロセスP3では、第2ガスが第3時間、供給される。具体的には、第2ガスの一例であるNHが供給される。なお、NHの供給時間(「第3時間」の一例)は、例えば10秒以上60秒以下である。
【0071】
プロセスP4では、チャンバーが真空引きされた後、次のALD単位処理P300のためにパージされる。なお、チャンバーの真空引き時間は、例えば5秒以上60秒以内である。パージ時間は、例えば5秒以上60秒以下である。
【0072】
膜形成期間T30における膜形成処理によって、半導体装置30における孔部71の底面71a及び側面71bには、ゲート絶縁膜43が形成される(図5参照)。
【0073】
次に、図6に示すように、下部電極32の上方に形成されたゲート絶縁膜43がエッチングされることによって、下部電極32における表面151が露出する。
【0074】
次に、半導体基板がチャンバーから搬出された後(Load out)、図7に示すように、孔部71の内部に酸化物半導体層70が堆積される。これにより、下部電極32に接続し、かつ、ゲート絶縁膜43を介して導電層42に対向する対向面70cを有するチャネルが形成される。
【0075】
なお、ゲート絶縁膜43は、例えば、シリコン酸化膜や、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層であっても良い。ゲート絶縁膜43は、例えば、アルミナ(Al)などの高誘電材料を含んでいても良い。ゲート絶縁膜43がシリコン酸化膜の場合、シリコン供給材料である第1ガスの供給と、O、O又はHOなどの酸化剤である第2ガスの供給とが順次繰り返される。
【0076】
(課題)
図8に示すように、表面151においてITOが露出し、かつ、表面152においてタングステンが露出する状態において、半導体装置30を熱処理する場合を想定する。例えば、ゲート絶縁膜43の形成における熱処理を想定する。
【0077】
表面151では、熱によって温度が上昇し、ITOに含まれるインジウムが昇華する。昇華したインジウムが表面152に付着して表面152にインジウム塊91が形成されることがある。インジウム塊91は、例えば、金属の結晶片や、微細な原子の集合体である。
【0078】
なお、表面152へのインジウムの付着は、例えば、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching)によって孔部71が形成される際にも発生することがある。
【0079】
図9に示すように、タングステンが露出する表面152にインジウム塊91が付着した状態で熱処理をする場合、ウィスカが表面152に形成されることがある。ウィスカは、例えば、表面152から外側に向かって突出する髭状のタングステンの結晶である。ウィスカの形成は、例えば、摂氏350度以上で発生しやすい。
【0080】
仮に、ソーク期間T10における還元ガス供給処理(図4参照)を行わず、摂氏450度で膜形成処理を行う場合、ウィスカが形成される可能性が高くなる。ウィスカが成長すると、ウィスカが孔部71の一部又は全部を塞ぐことがある。
【0081】
図10に示すように、孔部71の一部又は全部が塞がれた半導体装置30にゲート絶縁膜93の形成及び酸化物半導体層94の形成が行われると、酸化物半導体層94が孔部71に完全に充填されないため、酸化物半導体層94がチャネルとして機能せず、好ましくない。
【0082】
(効果)
本実施形態では、図4に示すように、ソーク期間T10において還元ガス供給処理が行われるので、インジウムの還元ガスによって表面152におけるインジウム塊91(図8参照)を昇華させて減ずることができる。これにより、孔部71の一部又は全部が塞がれることを抑制することができるので、ゲート絶縁膜43及び酸化物半導体層70を良好に形成し、酸化物半導体層70をチャネルとして良好に機能させることができる。その結果、優れたトランジスタ特性を有する半導体記憶装置を形成することができる。
【0083】
還元ガス供給処理及び膜形成処理において、ITOが含まれる下部電極32では、以下の反応が起こる。すなわち、図11に示すように、インジウムの還元ガスとして、Si-X結合を含むガスが用いられる場合、下部電極32のITOに含まれるインジウムは、インジウムのハロゲン化物として昇華する。なお、Si-X結合を含むガスは、例えば無機材料系のガスである。当該ガスは、例えば、HCDである。
【0084】
インジウムが昇華する際に、ITO中の酸素はITO中に留まる。そのため、ITO中の酸素欠損の増加を抑制することができる。酸化物半導体層70からITOを含む下部電極32への酸素の移動が抑制される。これにより、酸化物半導体層70中のキャリアとなる酸素欠損の量が安定し、ひいてはしきい値電圧を安定にすることができる。
【0085】
インジウムの還元ガスとして、HCD等のSi-X結合を含むガスが用いられる場合、下部電極32にはハロゲンが含まれることがある。電気陰性度が大きいハロゲン原子が下部電極32に含まれる場合、ITO中の酸素の移動を抑制することができる。酸化物半導体層70中の酸素のITOへの移動を抑制することができる。
【0086】
また、下部電極32は、部分32a及び32bを含む(図7参照)。部分32aは、下部電極32の内部の上方に位置し、表面151を含む。部分32bは、部分32aより下方に位置し、表面151を含まない。下部電極32は、金属酸化物層50aの一部又は全部におけるハロゲン原子の濃度と比べて、ハロゲン原子の濃度が高い部分例えば部分32aを含む。例えば、下部電極32の部分32aは、部分32bと比べてハロゲン原子の濃度が高い。
【0087】
図12に示すように、インジウムの還元ガスとして有機材料系のガスが用いられる場合、下部電極32のITOに含まれる酸素は水素と容易に結合することで、ITO中の酸素が減少する。その結果、酸素と結合していないインジウムが増え、インジウムは融点が低いため昇華する。
【0088】
この場合、下部電極32におけるITO中の酸素が減少し、下部電極32と酸化物半導体層70との接触抵抗を低くすることができるので、電界効果トランジスタ40のオン電流Ionを大きくすることができる。また、酸化物半導体層70がテーパー形状に形成され、下端70bにおける酸化物半導体層70と下部電極32との接触面積が、上端70aにおける酸化物半導体層70と金属酸化物層50aとの接触面積より小さい場合がある。その場合、上部電極50と酸化物半導体層70との接触抵抗に比べて、下部電極32と酸化物半導体層70との接触抵抗が低いことで、良好なトランジスタ特性を得ることができる。なお、Si-X結合及びC-H結合の両方を含むDCSは、DCS中の水素が先にインジウムと反応するため、図12に示す反応を引き起こすと考えられる。
【0089】
また、部分32aにおけるケイ素の濃度は、部分32bにおけるケイ素の濃度より大きい。これは、ゲート絶縁膜43が形成される際にケイ素が表面151に付着するためである。
【0090】
また、下部電極32において、部分32aにおけるインジウムの濃度は、部分32bにおけるインジウムの濃度より小さい。これは、上記の反応によって、表面151におけるインジウムがハロゲン化して昇華したり、そのまま昇華したりするためである。
【0091】
また、インジウムの還元ガスとして有機材料系のガスが供給された場合、下部電極32において、部分32aにおける炭素の濃度は、部分32bにおける炭素の濃度より大きい。炭素は、錫と同族であるので、下部電極32における炭素は、錫と同様の機能を有し、ITOの伝導性を大きくする。このため、部分32aにおける導電性は、部分32bにおける導電性と比べて、大きい。
【0092】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る半導体装置30の製造方法について説明する。第2実施形態以降では第1実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0093】
図13に示すように、第2実施形態に係る半導体装置30の製造方法は、図4に示す第1実施形態に係る半導体装置30の製造方法と比べて、ソーク期間T10における還元ガス供給処理の後に、低温での成膜が行われる点で第1実施形態に係る半導体装置30の製造方法と異なる。
【0094】
第2実施形態に係る半導体装置30の製造方法では、インジウムの還元ガスが供給された後の構造に、第1温度以上第2温度未満の温度で成膜が行われる。
【0095】
詳細には、ソーク期間T10と昇温期間T20との間に低温膜形成期間T16が設けられる。本実施形態では、低温膜形成期間T16における低温膜形成処理では、ALD単位処理P300が繰り返し実行される。低温膜形成処理において繰り返されるALD単位処理300は、図4に示すALD単位処理P300と同様である。
【0096】
低温膜形成期間T16は、膜形成期間T30より短い。低温膜形成期間T16のALD単位処理P300の繰り返し回数は、膜形成期間T30のALD単位処理P300の繰り返し回数より少ない。低温膜形成期間T16において、ALD単位処理P300は、例えば、10回、50回又は100回繰り返される。
【0097】
また、低温膜形成処理が行われる温度は、例えば、ソーク期間T10の第1温度と同じであり、例えば摂氏300度である。なお、低温膜形成処理が行われる温度は、第1温度以上第2温度未満であれば、いずれの温度でもよい。
【0098】
図13に示す半導体装置30の製造方法では、ソーク期間T10における低温膜形成処理によって、表面152に付着したインジウム塊91を昇華させることができる。第1実施形態と同様に、優れたトランジスタ特性を有する半導体記憶装置を形成することができる。
【0099】
さらに、低温膜形成期間T16における低温膜形成処理によって下部電極32のITOに膜が形成されるので、表面151を保護することができる。これにより、例えば図12に示すメカニズムのように、下部電極32のITOからのインジウム及び酸素の脱離を抑制することができるので、下部電極32におけるITOの熱による粗密化などのダメージを抑制することができる。
【0100】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る半導体装置30の製造方法について説明する。図14に示すように、第3実施形態に係る半導体装置30の製造方法は、図4に示す第1実施形態に係る半導体装置30の製造方法と比べて、ソーク期間T10における還元ガス供給処理の直前に、アンモニアによるアニール処理が行われる点で第1実施形態に係る半導体装置30の製造方法と異なる。
【0101】
第3実施形態に係る半導体装置30の製造方法では、ITOが露出する表面151と、タングステンが露出する表面152とを含む孔部71に、第3温度で窒素を含有する第4ガスを供給して少なくとも表面151上に成膜する。
【0102】
詳細には、ソーク期間T10の直前にアンモニアアニール期間T5が設けられる。本実施形態では、アンモニアアニール期間T5におけるアンモニアアニール処理では、アンモニアガスがチャンバー内に供給される。
【0103】
アンモニアアニール期間T5の長さは、プロセスP3より長い。アンモニアアニール期間T5の長さは、例えば10~60分である。本実施形態では、アンモニアアニール期間T5において第3温度でアンモニアアニール処理が行われる。第3温度は、第2温度未満である。第3温度は、例えば、ソーク期間T10の第1温度と同じであり、例えば摂氏300度である。なお、第3温度は、摂氏350度以下が望ましい。
【0104】
さらに、図14に示す半導体装置30の製造方法では、アンモニアアニール期間T5におけるアンモニアアニール処理によって、下部電極32の表面151を窒化させることができる。下部電極32におけるITOからインジウムが昇華することを抑制することができる。第1実施形態と同様に、優れたトランジスタ特性を有する半導体記憶装置を形成することができる。
【0105】
また、T5において、アンモニアによるアニール処理を行うことで、導電層42の表面152のタングステンが窒化される。これにより、インジウム塊91がタングステン表面に付着した場合のウィスカ形成を抑制することができる。
【0106】
[第4実施形態]
第4実施形態に係る半導体装置30の製造方法について説明する。図15に示すように、第4実施形態に係る半導体装置30の製造方法は、図14に示す第3実施形態に係る半導体装置30の製造方法と比べて、アンモニアアニール期間T5におけるアンモニアアニール処理の代わりに、ソーク期間T10における還元ガス供給処理の直後に、アンモニアによるアニール処理が行われる点で第3実施形態に係る半導体装置30の製造方法と異なる。
【0107】
第4実施形態に係る半導体装置30の製造方法では、インジウムの還元ガスを供給した後の孔部71に、窒素を含有する第3ガスが第1温度以下の温度で供給される。
【0108】
詳細には、ソーク期間T10と昇温期間T20との間にアンモニアアニール期間T15が設けられる。
【0109】
本実施形態では、アンモニアアニール期間T15におけるアンモニアアニール処理は、図14に示すアンモニアアニール期間T5におけるアンモニアアニール処理と同様である。なお、アンモニアアニール期間T15におけるアンモニアアニール処理は、図14に示すアンモニアアニール期間T5におけるアンモニアアニール処理と異なってもよい。
【0110】
アンモニアアニール期間T15の長さは、プロセスP3より長い。アンモニアアニール期間T5の長さは、例えば10~60分である。アンモニアアニール期間T15において第4温度でアンモニアアニール処理が行われる。第4温度は、例えば、ソーク期間T10の第1温度と同じであり、例えば摂氏300度である。第1実施形態と同様に、優れたトランジスタ特性を有する半導体記憶装置を形成することができる。
【0111】
さらに、図15に示す半導体装置30の製造方法では、アンモニアアニール期間T15におけるアンモニアアニール処理によって、下部電極32の表面151を窒化させることができる。
【0112】
また、T15において、アンモニアによるアニール処理を行うことで、導電層42の表面152のタングステンが窒化される。タングステンが窒化されることで、インジウム塊91がタングステン表面に付着した場合のウィスカ形成を抑制することができる。
【0113】
また、例えば、ソーク期間T10における還元ガス供給処理を十分に行った場合、還元ガス供給処理によって導電層42の表面152におけるタングステンに1層以上の膜が形成される。そして、アンモニアアニール期間T15において、アンモニアによるアニール処理を行うことで、タングステン上の膜が窒化される。これにより、導電層42の表面152におけるタングステンの露出を抑制することができるので、ウィスカの形成から表面152を保護することができる。
【0114】
[第5実施形態]
第5実施形態に係る半導体装置30の製造方法について説明する。第1実施形態では、トランジスタホールである孔部71にインジウムの還元ガスが供給される製造方法について説明したが、図16に示すように、第5実施形態では、ビット線間に形成される溝部にインジウムの還元ガスが供給される製造方法について説明する。
【0115】
第5実施形態に係る半導体装置30では、隣接する2つの導電層51間にビット線(BL)-ランディングパット(LP)溝部321(「構造」の一例)が形成される。このBL-LP溝部321は、その後の工程で導電体が埋め込まれる。
【0116】
BL-LP溝部321は、エッチングによって形成される。BL-LP溝部321は、下方に底面321aを有し、上方が開口し、かつX軸方向に沿っている。
【0117】
BL-LP溝部321の下方の底面321aは、ITOが露出する表面161(「第1表面」の一例)を含む。具体的には、表面161は、BL-LP溝部321が形成される際に露出した上部電極50における金属酸化物層50aの一部である。
【0118】
BL-LP溝部321のY軸+方向の側面321bは、タングステン(「第1金属」の一例)が露出する表面162(「第2表面」の一例)を含む。具体的には、表面162は、BL-LP溝部321が形成される際に露出した、ランディングパットである金属膜50cの一部である。
【0119】
このように、表面161においてITOが露出し、かつ、表面162においてタングステンが露出する状態において、例えば、半導体装置30における絶縁層66の上方に膜が形成されることがある。
【0120】
膜形成の際の熱処理によって、表面161では、ITOに含まれるインジウムが昇華し、昇華したインジウムが表面152に付着して表面152にインジウム塊91が形成されることがある。
【0121】
なお、表面162へのインジウムの付着は、例えば、反応性イオンエッチングによってBL-LP溝部321が形成される際にも発生することがある。
【0122】
このような場合においても、図4図13図14及び図15に示す製造プロセスを適用することにより、表面162におけるインジウム塊91を昇華させて減ずることができる。これにより、タングステンを含む表面162におけるウィスカの発生を抑制することができる。
【0123】
(a)実施形態では、表面152及び162においてタングステンが露出する構成について説明したが、これに限定するものではない。表面152及び162では、他の金属が露出する構成であってもよい。
【0124】
(b)また、実施形態では、表面151及び161においてITOが露出する構成について説明したが、これに限定するものではない。表面151及び161では、インジウムがが露出する構成であってもよい。この構成でも、本発明の目的を達成することがかのうです。
【0125】
(c)
絶縁層と、
前記絶縁層の中に形成され、第1方向に延伸し、第1端及び第2端を有する酸化物半導体と、
前記酸化物半導体の前記第1端に接し、金属酸化物によって形成される第1導電膜と、
前記酸化物半導体の前記第2端に接し、前記金属酸化物によって形成される第2導電膜と、
前記酸化物半導体の前記第1端と前記第2端との間に絶縁膜を介して対向し、金属によって形成されるゲート電極と、を備え、
前記第2導電膜は、前記第1導電膜の一部又は全部におけるハロゲン原子の濃度と比べて、前記ハロゲン原子の濃度が大きい部分を含む、
半導体装置。
【0126】
(d)
絶縁層と、
絶縁層の中に形成され、第1方向に延伸し、第1端及び第2端を有する酸化物半導体と、
前記酸化物半導体の前記第1端に接し、金属酸化物によって形成される第1導電膜と、
前記酸化物半導体の前記第2端に接し、前記金属酸化物によって形成される第2導電膜と、
前記酸化物半導体の前記第1端と前記第2端との間に絶縁膜を介して対向するゲート電極と、を備え、
前記第2導電膜の導電率は、前記第1導電膜の導電率より大きい、
半導体装置。
【0127】
(e)
上記半導体装置と、
前記第1導電膜又は前記第2導電膜に接続される第1キャパシタ電極と、
前記第1キャパシタ電極と対向する第2キャパシタ電極と、
前記第1キャパシタ電極と前記第2キャパシタ電極との間に設けられる誘電膜と、を備える、
半導体記憶装置。
【0128】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0129】
10…半導体基板
11…回路
20…キャパシタ
21…導電体
22…絶縁膜
23…導電体
24、25…キャパシタ電極
30…半導体装置
32…下部電極
32a、32b…部分
33…導電体
34、35…絶縁層
40…電界効果トランジスタ
42…導電層
43…ゲート絶縁膜
45…絶縁層
50…上部電極
50a…金属酸化物層
50b…バリアメタル層
50c…金属膜
51…導電層
63…絶縁層
63a…側面
64、66…絶縁層
70…酸化物半導体層
70a…上端
70b…下端
70c…対向面
71…孔部
71a…底面
71b…側面
101…半導体記憶装置
151、152、161、162…表面
321…BL-LP溝部
321a…底面
321b…側面
P300…ALD単位処理
T5、T15…アンモニアアニール期間
T10…ソーク期間
T16…低温膜形成期間
T20…昇温期間
T30…膜形成期間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16